説明

微粒子、粒子群、偽造防止用インク、偽造防止用トナー、偽造防止用シートおよび偽造防止媒体

【課題】本発明は、高度な認証を可能とする微粒子、粒子群、偽造防止用インク、偽造防止用トナー、偽造防止用シートおよび偽造防止媒体を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する微粒子であって、上記識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含むことを特徴とする微粒子を提供することにより、上記目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を用い、多段階の認証を行う偽造防止技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
偽造防止技術としては、ホログラム、透かし、潜像模様、パールインキ、発光インキ、凹版印刷、マイクロ文字等が知られている。中でも、偽造防止技術が適用されていることが容易に確認できない場合には模倣および複製の可能性が低くなることから、目視(肉眼)では確認できない情報を利用する偽造防止技術が注目されている。しかしながら、近年では印刷技術が発展し高精細な印刷が可能となっていることから、目視では確認できない情報であっても、情報の位置が特定されると、模倣または複製される可能性が高くなるという問題があった。
【0003】
そこで、微粒子による偽造防止技術が提案されている。この微粒子は、タガント(taggant)(追跡用添加物)とも称されるものである。微粒子には、拡大することにより識別可能な情報を有するものが知られており、例えば、文字、数字、符号、標章等の記号や特殊な形状を有する微粒子や、有色の薄膜が複数層積層された微粒子が提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。記号や特殊な形状を有する微粒子では、拡大して記号や特殊な形状を識別することで、真贋判定を行うことができる。また、有色の薄膜が複数層積層された微粒子では、拡大して積層した色のパターンを識別することで、真贋判定を行うことができる。このような微粒子による偽造防止技術は、微粒子自体の確認が難しく、模倣および複製が困難であり、優れた偽造防止効果を発揮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3665282号公報
【特許文献2】特開2008−230228号公報
【特許文献3】特開2009−193069号公報
【特許文献4】特開2001−288698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
偽造防止技術には、その用途から2つの側面が求められる。一つは、真正品の認証が容易であること、もう一つは、精巧な模倣品や複製品等の偽物との区別が必要となったときに高度な認証を行えることである。
従来の微粒子による偽造防止技術では、特定の微粒子の存在有無を確認するだけであるため、微粒子の存在が知られた場合には、模倣または複製される危険性が高まる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、高度な認証を可能とする微粒子、粒子群、偽造防止用インク、偽造防止用トナー、偽造防止用シートおよび偽造防止媒体を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する微粒子であって、上記識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含むことを特徴とする微粒子を提供する。
【0008】
本発明においては、識別情報群が第1識別情報および第2識別情報を含むので、第1識別情報を確認する第一段階の認証と、第2識別情報を確認する第二段階の認証という多段階の認証を行うことができ、高度な認証が可能となる。また、第2識別情報は、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるため、第2識別情報の存在および詳細を悟られにくくすることができ、第1識別情報よりも第2識別情報の認証レベルが高くなるので、優れた偽造防止効果を得ることができる。
また本発明においては、第1識別情報および第2識別情報は拡大することにより識別可能であるので、容易に真贋判定を行うことが可能である。
さらに本発明の微粒子は、第1識別情報だけでなく、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報も有するので、微粒子の製造が複雑で、模倣および複製が困難であり、高い偽造防止効果とともに牽制効果も得ることができる。
【0009】
上記発明においては、上記第2識別情報の大きさが、上記第1識別情報の大きさに対して10分の1以下であることが好ましい。第2識別情報の存在および詳細をより一層悟られにくくすることができ、偽造防止効果が向上するからである。
【0010】
また本発明は、拡大することにより識別可能な識別情報を有する複数の微粒子を含有する粒子群であって、上記粒子群は、上記粒子群に含有されるすべての上記微粒子で共通する共通識別情報と、上記粒子群に含有される一の上記微粒子および他の上記微粒子で異なる非共通識別情報とを有し、少なくとも一部の上記微粒子は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する微粒子であり、上記識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含み、上記第1識別情報および上記第2識別情報のうち、一方を上記共通識別情報、他方を上記非共通識別情報として用いることを特徴とする粒子群を提供する。
【0011】
本発明の粒子群は、共通識別情報および非共通識別情報を有するので、複数の微粒子について、共通識別情報の認証と非共通識別情報の認証という多段階の認証を行うことができ、高度な認証が可能となる。また、第2識別情報は、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるため、第2識別情報の存在および詳細を悟られにくくすることができ、第1識別情報よりも第2識別情報の認証レベルが高くなる。さらに、非共通識別情報は、一の微粒子および他の微粒子で異なる情報であるので、非共通識別情報の認証レベルが高くなる。第1識別情報および第2識別情報は、一方が共通識別情報、他方が非共通識別情報として用いられているので、優れた偽造防止効果を得ることができる。
また本発明においては、第1識別情報および第2識別情報は拡大することにより識別可能であるので、容易に真贋判定を行うことが可能である。
さらに本発明においては、微粒子が、第1識別情報だけでなく、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報も有するので、微粒子の製造が複雑で、模倣および複製が困難であり、高い偽造防止効果とともに牽制効果も得ることができる。
【0012】
上記発明においては、上記第2識別情報の大きさが、上記第1識別情報の大きさに対して10分の1以下であることが好ましい。第2識別情報の存在および詳細をより一層悟られにくくすることができ、偽造防止効果が向上するからである。
【0013】
また本発明は、上述の微粒子あるいは上述の粒子群を含有することを特徴とする偽造防止用インクおよび偽造防止用トナーを提供する。
【0014】
本発明によれば、上述の微粒子あるいは上述の粒子群を用いるので、複数の認証段階を設定して真贋判定を行うことができ、高度な認証が可能である。また、本発明の偽造防止用インクおよび偽造防止用トナーを偽造防止媒体に適用する際には、支持体上に本発明の偽造防止用インクを塗布したり、支持体上に本発明の偽造防止用トナーを転写したりすることで、支持体上に微粒子を容易に固定することができるので、種々の支持体に使用することが可能であり、支持体の形状等の選択の幅が広がるという利点を有する。
【0015】
さらに本発明は、上述の微粒子あるいは上述の粒子群が透明樹脂中に分散された微粒子含有層を有することを特徴とする偽造防止用シートを提供する。
【0016】
本発明によれば、上述の微粒子あるいは上述の粒子群を用いるので、複数の認証段階を設定して真贋判定を行うことができ、高度な認証が可能である。また、本発明の偽造防止用シートにおける微粒子の個数や位置を予め決めた状態で、偽造防止媒体に適用することができるので、優れた偽造防止効果を得ることができる。
【0017】
さらに本発明は、基底部と、上記基底部の表面に形成され、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を有する識別部とを有する偽造防止用シートであって、上記識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含むことを特徴とする偽造防止用シートを提供する。
【0018】
本発明においては、凸部または凹部が有する識別情報群が第1識別情報および第2識別情報を含むので、第1識別情報を確認する第一段階の認証と、第2識別情報を確認する第二段階の認証という多段階の認証を行うことができ、高度な認証が可能となる。また、第2識別情報は、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるため、第2識別情報の存在および詳細を悟られにくくすることができ、第1識別情報よりも第2識別情報の認証レベルが高くなるので、優れた偽造防止効果を得ることができる。
また本発明においては、第1識別情報および第2識別情報は拡大することにより識別可能であるので、容易に真贋判定を行うことが可能である。
さらに本発明においては、凸部または凹部は、第1識別情報だけでなく、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報も有するので、凸部または凹部の形成が複雑で、模倣および複製が困難であり、高い偽造防止効果とともに牽制効果も得ることができる。
【0019】
また本発明は、基底部と、上記基底部の表面に形成され、拡大することにより識別可能な識別情報を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える複数の凹凸形状を有する識別部とを有する偽造防止用シートであって、上記識別部は、上記識別部を構成するすべての上記凹凸形状の上記凸部または凹部で共通する共通識別情報と、上記識別部を構成する一の上記凹凸形状の上記凸部または凹部および他の上記凹凸形状の上記凸部または凹部で異なる非共通識別情報とを有し、少なくとも一部の上記凹凸形状は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状であり、上記識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含み、上記第1識別情報および上記第2識別情報のうち、一方を上記共通識別情報、他方を上記非共通識別情報として用いることを特徴とする偽造防止用シートを提供する。
【0020】
本発明においては、識別部が共通識別情報および非共通識別情報を有するので、複数の凹凸形状について、共通識別情報の認証と非共通識別情報の認証という多段階の認証を行うことができ、高度な認証が可能となる。また、第2識別情報は、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるため、第2識別情報の存在および詳細を悟られにくくすることができ、第1識別情報よりも第2識別情報の認証レベルが高くなる。さらに、非共通識別情報は、一の凹凸形状および他の凹凸形状で異なる情報であるので、非共通識別情報の認証レベルが高くなる。第1識別情報および第2識別情報は、一方が共通識別情報、他方が非共通識別情報として用いられているので、優れた偽造防止効果を得ることができる。
また本発明においては、第1識別情報および第2識別情報は拡大することにより識別可能であるので、容易に真贋判定を行うことが可能である。
さらに本発明においては、凸部または凹部が、第1識別情報だけでなく、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報も有するので、凸部または凹部の形成が複雑で、模倣および複製が困難であり、高い偽造防止効果とともに牽制効果も得ることができる。
【0021】
上記発明においては、上記第2識別情報の大きさが、上記第1識別情報の大きさに対して10分の1以下であることが好ましい。第2識別情報の存在および詳細をより一層悟られにくくすることができ、偽造防止効果が向上するからである。
【0022】
さらに本発明は、上述の微粒子、上述の粒子群、あるいは上述の偽造防止用シートを有することを特徴とする偽造防止媒体を提供する。
【0023】
本発明においては、上述の微粒子、上述の粒子群、あるいは上述の偽造防止用シートを用いるので、偽造防止に非常に有用である。
【発明の効果】
【0024】
本発明においては、第1識別情報と、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを用いるので、高度な認証が可能であるとともに、高い偽造防止効果および牽制効果が得られるという効果を奏する。また本発明においては、第1識別情報および第2識別情報は拡大することにより識別可能であるので、真贋判定が容易であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の微粒子の一例を示す模式図および拡大図である。
【図2】本発明の微粒子の他の例を示す模式図および拡大図である。
【図3】本発明の微粒子の他の例を示す模式図、断面図および拡大図である。
【図4】本発明の微粒子の他の例を示す模式図、断面図および拡大図である。
【図5】本発明の微粒子の他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の粒子群の一例を示す模式図および拡大図である。
【図7】本発明の粒子群の他の例を示す模式図および拡大図である。
【図8】本発明の粒子群の他の例を示す模式図および拡大図である。
【図9】本発明の粒子群の他の例を示す模式図および拡大図である。
【図10】本発明の粒子群の他の例を示す模式図および拡大図である。
【図11】本発明の粒子群の他の例を示す模式図および拡大図である。
【図12】本発明の粒子群の他の例を示す模式図および拡大図である。
【図13】本発明の粒子群の他の例を示す模式図および拡大図である。
【図14】本発明の粒子群の他の例を示す模式図および拡大図である。
【図15】本発明の偽造防止用シートの一例を示す概略断面図である。
【図16】本発明の偽造防止用シートの他の例を示す概略断面図である。
【図17】本発明の偽造防止用シートの他の例を示す概略断面図である。
【図18】本発明の偽造防止用シートの他の例を示す概略断面図である。
【図19】本発明の偽造防止用シートの他の例を示す概略断面図である。
【図20】本発明の偽造防止用シートの他の例を示す概略断面図である。
【図21】本発明の偽造防止用シートの検査方法の一例を示す模式図である。
【図22】本発明の偽造防止用シートの他の例を示す模式図、拡大図および断面図である。
【図23】本発明の偽造防止用シートの他の例を示す模式図、拡大図および断面図である。
【図24】本発明の偽造防止用シートの他の例を示す模式図および拡大図である。
【図25】本発明の偽造防止用シートの他の例を示す模式図および拡大図である。
【図26】本発明の偽造防止媒体の一例を示す上面図および断面図である。
【図27】本発明の偽造防止媒体の他の例を示す上面図、断面図および斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の微粒子、粒子群、偽造防止用インク、偽造防止用トナー、偽造防止用シートおよび偽造防止媒体について詳細に説明する。
【0027】
A.微粒子
まず、本発明の微粒子について説明する。
本発明の微粒子は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する微粒子であって、上記識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含むことを特徴とするものである。
【0028】
本発明の微粒子について図面を参照しながら説明する。
図1(a)、(b)は本発明の微粒子の一例を示す模式図であり、図1(b)は図1(a)において破線で示される枠10の拡大図である。図1(a)、(b)に例示する微粒子1は、拡大することにより識別可能な第1識別情報3(数字「1」)と第2識別情報4(文字「A」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「A」)は、第1識別情報3(数字「1」)よりも小さく、第1識別情報3(数字「1」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
図1(a)、(b)に例示する微粒子1を用いた真贋判定においては、まず、低倍率で拡大して第1識別情報3(数字「1」)を確認する第一段階の認証を行い、次に、高倍率で拡大して第2識別情報4(文字「A」)を確認する第二段階の認証を行う。このように、二つの認証段階を設定して真贋判定を行うことができる。また、第2識別情報4(文字「A」)は、第1識別情報3(数字「1」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるため、第1識別情報3(数字「1」)よりも第2識別情報4(文字「A」)の認証レベルが高くなる。
【0029】
図2(a)、(b)は本発明の微粒子の他の例を示す模式図であり、図2(b)は図2(a)において破線で示される枠10の拡大図である。図2(a)、(b)に例示する微粒子1は、拡大することにより識別可能な第1識別情報3(文字「A」)と第2識別情報4(文字「a」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「a」)は、第1識別情報3(文字「A」)よりも小さく、第1識別情報3(文字「A」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
図2(a)、(b)に例示する微粒子1を用いた真贋判定においては、まず、低倍率で拡大して第1識別情報3(文字「A」)を確認する第一段階の認証を行い、次に、高倍率で拡大して第2識別情報4(文字「a」)を確認する第二段階の認証を行う。このように、二つの認証段階を設定して真贋判定を行うことができる。また、第2識別情報4(文字「a」)は、第1識別情報3(文字「A」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるため、第1識別情報3(文字「A」)よりも第2識別情報4(文字「a」)の認証レベルが高くなる。
【0030】
このように本発明においては、識別情報群が第1識別情報および第2識別情報を含むので、第1識別情報を確認する第一段階の認証と、第2識別情報を確認する第二段階の認証という多段階の認証を行うことができ、高度な認証が可能となる。また、第2識別情報は、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるため、第2識別情報の存在および詳細を悟られにくくすることができ、第1識別情報よりも第2識別情報の認証レベルが高くなるので、優れた偽造防止効果を得ることができる。
また本発明においては、第1識別情報および第2識別情報は拡大することにより識別可能であるので、微粒子を拡大して第1識別情報および第2識別情報を確認することにより、容易に真贋判定を行うことができる。さらに、第2識別情報は第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるので、第1識別情報を識別可能な任意の倍率で微粒子を拡大して第1識別情報のみ確認することにより、簡易的に真贋判定を行うこともできる。
さらに本発明の微粒子は、第1識別情報だけでなく、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報も有するので、微粒子の製造が複雑で、模倣および複製が困難であり、高い偽造防止効果とともに牽制効果を得ることができる。
【0031】
なお、「第2識別情報が第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能である」とは、第1識別情報を識別可能な任意の倍率で微粒子を拡大したときに、第2識別情報が全く悟られない場合だけでなく、第2識別情報について識別不可能な程度に何らかの偽造防止策が施されていることが分かる場合をも含む概念である。
【0032】
「識別情報が識別可能である」とは、識別情報を認識できることをいう。また、「識別情報が識別不可能である」とは、識別情報を認識できないことをいう。「認識する」とは、例えば、識別情報が文字である場合には文字として認識することをいい、識別情報を不規則配置とする場合には配置を計測して認識することをいう。
具体的には、図1(a)、(b)に示すように第2識別情報4が文字「A」である場合、図1(b)に示すように第2識別情報4が文字「A」として認識できれば、識別情報は識別可能であるとする。一方、図1(a)、(b)に示すように第2識別情報4が文字「A」である場合、図1(a)に示すように第2識別情報4が文字「A」として認識できなければ、識別情報は識別不可能であるとする。
また、図示しないが、第2識別情報を不規則配置とする場合、配置を計測できれば、識別情報は識別可能であるとする。一方、第2識別情報を不規則配置とする場合、配置を計測できなければ、識別情報は識別不可能であるとする。
また例えば、第1識別情報を識別可能な任意の倍率で微粒子を拡大したときに、第2識別情報について何らかの偽造防止策が施されていることが分かったとしても、その第2識別情報を認識できなければ、第2識別情報は識別不可能とする。
具体的には、図1(a)、(b)に示すように第1識別情報3が数字「1」であり、第2識別情報4が文字「A」である場合、図1(a)に示すように第1識別情報3(数字「1」)を識別可能な任意の倍率で微粒子1を拡大したときに、第2識別情報4として何らかの識別情報が付与されていることが分かったとしても、第2識別情報4を文字「A」として認識できなければ、第2識別情報4は識別不可能であるとする。
【0033】
以下、本発明の微粒子における各構成について説明する。
【0034】
1.識別情報群
本発明における識別情報群は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含むものであり、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含むものである。
【0035】
なお、「拡大することにより識別可能」とは、目視観察では識別困難であり、拡大手段を用いて拡大して観察することで識別可能であることをいう。
拡大手段としては、例えば、ルーペ等の簡易拡大鏡、顕微鏡、CCDカメラを用いたコンピューターソフトウェアによる拡大画像表示等を挙げることができる。
【0036】
識別情報の大きさとしては、拡大することにより識別可能であれば特に限定されるものではないが、具体的には300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましい。識別情報が大きすぎると、目視で識別可能となり、偽造防止効果が低下するおそれがあるからである。なお、識別情報が小さいと、簡易拡大器具による真贋判断は困難となるが、顕微鏡等の高度な拡大器具を用いることで識別可能であり、識別情報が小さくなれば、製造が困難となり偽造防止効果も高くなる。したがって、識別情報の大きさの下限は、認証容易性に比較して秘匿性や模倣困難性を重視する場合等、本発明の微粒子の用途に応じて適宜選択される。
【0037】
識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含む。以下、第1識別情報および第2識別情報について説明する。
【0038】
(1)第1識別情報
本発明における第1識別情報は、拡大することにより識別可能な識別情報の一つである。
【0039】
第1識別情報の大きさとしては、拡大することにより識別可能であれば特に限定されるものではないが、具体的には300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましい。第1識別情報が大きすぎると、目視で識別可能となり、偽造防止効果が低下するおそれがあるからである。また、第1識別情報の大きさは、ルーペ等の簡易拡大器具を用いて識別可能であることが好ましく、具体的には50μm以上であることが好ましい。簡易拡大器具により識別可能であれば、容易に真贋判定を行うことができるからである。なお、第1識別情報の大きさが50μm以下である場合、簡易拡大器具による真贋判断は困難となるが、顕微鏡等の高度な拡大器具を用いることで識別可能であり、第1識別情報が小さくなれば、製造が困難となり偽造防止効果も高くなる。したがって、第1識別情報の大きさの下限は、認証容易性に比較して秘匿性や模倣困難性を重視する場合等、本発明の微粒子の用途に応じて適宜選択される。
【0040】
第1識別情報の種類としては、拡大することにより識別可能な識別情報であれば特に限定されるものではなく、例えば、形状、印(しるし)等が挙げられる。以下、形状および印(しるし)についてそれぞれ説明する。
【0041】
(a)形状
本発明における形状は、本発明の微粒子の外形形状である。
形状としては、拡大することにより識別可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形等の多角形、円、楕円、三角柱、四角柱、六角柱、八角柱等の角柱、円柱等の柱体、三角錐、四角錐、六角錐、八角錐等の角錐、円錐等の錐体等の幾何学形状;文字、数字、符号、標章等の記号;人物、動物、植物、食物、道具、乗物、建物、風景等の任意の形状とすることができる。また、これらの形状は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。これらの形状は、本発明の微粒子の用途に合わせた形状とすることができ、また所定の意味を表現する形状とすることもできる。
【0042】
形状は、平面形状であってもよく、立体形状であってもよい。
図2(a)、(b)は、上述したように本発明の微粒子の他の例を示す模式図であり、図2(b)は図2(a)において破線で示される枠10の拡大図である。図2(a)、(b)に例示する微粒子1は、第1識別情報3(文字「A」)と第2識別情報4(文字「a」)とを含む識別情報群2を有しており、第1識別情報3(文字「A」)が平面形状である。
図3(a)〜(c)は本発明の微粒子の他の例を示す模式図であり、図3(b)は図3(a)において破線で示される枠10の拡大図であり、図3(c)は図3(a)のA−A線断面図である。図3(a)〜(c)に例示する微粒子1は、第1識別情報3(ティーポットの形状)と第2識別情報4(文字「TEA」)とを含む識別情報群2を有しており、第1識別情報3(ティーポットの形状)が立体形状である。
【0043】
立体形状としては、平面のみから構成されるものであってもよく、曲面のみから構成されるものであってもよく、平面および曲面から構成されるものであってもよい。
【0044】
なお、立体形状が曲面を有することは、反射特性を測定することにより確認することができる。平面は法線方向が一つであるのに対して、曲面は法線方向が位置によって異なる。そのため、平面と曲面とでは反射光の明暗が異なる。また、平面と曲面とでは光の入射角度を変化させたときの反射光の明暗の変化も異なる。
具体的に、立体形状が曲面を有することは、破壊式または非破壊式の検査手法にて確認することができる。
破壊式の検査方法としては、例えばカッターやカミソリ、ミクロトーム等により微粒子を切断し、ルーペや顕微鏡等により拡大して観察することにより確認する手法が挙げられる。
非破壊式の検査方法としては、接触式または非接触式の形状測定を行うことにより確認する手法が挙げられる。接触式の形状測定は、例えば針を微粒子に接触させ、移動させることにより形状を計測する触針式の形状測定器を用いる手法が挙げられる。非接触式の形状測定は、例えば可干渉性の少ない白色光を光源として、ミラウ型やマイケルソン型等の等光路干渉計を利用し、測定面に対応するCCD各画素の等光路位置(干渉強度が最大になる位置)を、干渉計対物レンズを垂直走査(スキャン)して見つける手法にて形状を計測する、走査型白色干渉計を用いる手法が挙げられる。
【0045】
本発明において、立体形状が曲面を有する場合、図3(c)に例示するように、微粒子1は、通常、表面11と、表面11に対向する裏面12とを有している。なお、図示しないが、微粒子は、表面および裏面の他に側面を有していてもよい。
立体形状が微粒子表面に曲面を有する場合、微粒子表面の50%以上が曲面で構成されていることが好ましく、75%以上が曲面で構成されていることがより好ましい。微粒子表面での曲面の割合が高いほど、光の反射により立体形状を確認しやすいため、容易に識別可能となるからである。
なお、上記曲面の割合は、上述の破壊式または非破壊式の検査手法にて測定することができる。
【0046】
(b)印(しるし)
本発明における印(しるし)としては、拡大することにより識別可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形等の多角形、円、楕円等の幾何学形状や、文字、数字、符号、標章等の記号が挙げられる。また、これらの印は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。これらの印は、本発明の微粒子の用途に合わせた印とすることができ、また所定の意味を表現する印とすることもできる。
【0047】
第1識別情報が印である場合、例えば、印は凹部で形成されていてもよく凸部で形成されていてもよい。また、印が凹部で形成されている場合、凹部は貫通していなくてもよく貫通していてもよい。図4(a)、(b)に示す例においては、第1識別情報3(数字「1」)が印であり、印が凹部で形成され、凹部が貫通していない。また、図4(a)、(c)に示す例においては、第1識別情報3(数字「1」)が印であり、印が凹部で形成され、凹部が貫通している。なお、図4(b)、(c)は図4(a)のB−B線断面図である。
【0048】
印の形成方法としては、微粒子表面の一部に所望の印を形成することができる方法であれば特に限定されない。例えば、微粒子作製時に印を形成する方法や微粒子作製後に印を形成する方法が挙げられる。微粒子作製時に印を形成する方法としては、レーザーによる直描法や階調マスクを用いたフォトリソグラフィー法等により微粒子の形状を形成する際に印を形成する方法等が挙げられる。また、微粒子作製後に印を形成する方法としては、微粒子の一部に印刷法や賦型法により印を形成する方法等を挙げることができる。
【0049】
(2)第2識別情報
本発明における第2識別情報は、拡大することにより識別可能な識別情報の一つであり、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な識別情報である。
【0050】
第2識別情報の大きさとしては、拡大することにより識別可能であり、かつ上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であれば特に限定されるものではないが、第2識別情報の大きさが、上記第1識別情報の大きさに対して10分の1以下であることが好ましく、30分の1以下であることがより好ましい。第2識別情報の存在および詳細をより一層悟られにくくすることができ、偽造防止効果が向上するからである。具体的に、第2識別情報の大きさは、30μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。第2識別情報が大きすぎると、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率で識別可能となるおそれがあるからである。なお、第2識別情報が小さくなれば、製造が困難となり偽造防止効果も高くなることから、第2識別情報の大きさの下限は、認証容易性に比較して秘匿性や模倣困難性を重視する場合等、本発明の微粒子の用途に応じて適宜選択される。ただし、小さすぎるものは形成が困難であることから、第2識別情報の大きさの下限は、可視光域の波長程度であればよく、0.4μm程度とする。
【0051】
第2識別情報の種類としては、拡大することにより識別可能な識別情報であれば特に限定されるものではなく、例えば、印(しるし)等が挙げられる。
なお、印(しるし)については、第1識別情報の項に記載した印(しるし)と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0052】
第2識別情報が印である場合、印は1つであってもよく複数であってもよい。印が複数である場合には、一般的な印刷の偽造防止技術を応用することができる。例えば、鏡文字、天地反転文字、特殊フォント文字、デザイン文字、大きさ違い、フォント違い、ミススペル(ミススペリング)、不規則配置等が挙げられる。このような偽造防止技術を応用することにより、模倣および複製がより一層困難となり、極めて高い偽造防止効果を得ることができる。
例えば、鏡文字、天地反転文字、ミススペルの場合、その位置を確認することで認証することができる。この場合には、識別情報を識別可能な任意の倍率で拡大したときに、目視により位置を確認して認証可能である。
特殊フォント文字、デザイン文字の場合、文字の作成が困難であるという利点を有しており、他の印との差が若干の場合は形状(線幅、大きさ)を解析することで認証することができる。他の印と明らかに異なる場合は、識別情報を識別可能な任意の倍率で拡大したときに、目視により形状を解析して認証可能である。
大きさ違い、フォント違い、不規則配置の場合、他の印との差が若干の場合は形状(線幅、大きさ、位置)を解析することで認証することができる。他の印と明らかに異なる場合は、識別情報を識別可能な任意の倍率で拡大したときに、目視により形状を解析して認証可能である。
【0053】
第2識別情報が印である場合であって、上記第1識別情報も印である場合、第2識別情報は、第1識別情報の内側に形成されていてもよく、第1識別情報の外側に形成されていてもよく、第1識別情報の内側および外側の両方に形成されていてもよい。図4(a)に示す例においては、第2識別情報4(文字「A」)が、第1識別情報3(数字「1」)の内側および外側の両方に形成されている。
【0054】
第2識別情報が印である場合、例えば、印は凹部で形成されていてもよく凸部で形成されていてもよい。また、印が凹部で形成されている場合、凹部は貫通していなくてもよく貫通していてもよい。図4(a)、(d)、(e)に示す例においては、第2識別情報4(文字「A」)が印であり、印が凹部で形成され、凹部が貫通していない。また、図4(a)、(d)、(f)に示す例においては、第2識別情報4(文字「A」)が印であり、印が凹部で形成され、凹部が貫通している。なお、図4(d)は図4(a)において破線で示される枠10Aの拡大図であり、図4(e)、(f)は図4(d)のC−C線断面図である。
【0055】
また、第1識別情報および第2識別情報が印である場合であって、第2識別情報が第1識別情報の内側に形成されている場合、第1識別情報を構成する印が凸部で形成され、第2識別情報を構成する印が凸部で形成されていてもよく、第1識別情報の印が凸部で形成され、第2識別情報の印が凹部で形成されていてもよく、第1識別情報の印が凹部で形成され、第2識別情報の印が凸部で形成されていてもよく、第1識別情報の印が凹部で形成され、第2識別情報の印が凹部で形成されていてもよい。また、第1識別情報の印が凹部または凸部で形成され、第2識別情報の印が凹部で形成されている場合、第2識別情報の印を形成する凹部は貫通していなくてもよく貫通していてもよい。図4(a)、(g)、(h)に示す例においては、第1識別情報3(数字「1」)および第2識別情報4(文字「A」)が印であり、第1識別情報3(数字「1」)の印が凹部で形成され、第2識別情報4(文字「A」)の印が凹部で形成され、第2識別情報4(文字「A」)の印を形成する凹部が貫通していない。また、図4(a)、(g)、(i)に示す例においては、第1識別情報3(数字「1」)および第2識別情報4(文字「A」)が印であり、第1識別情報3(数字「1」)の印が凹部で形成され、第2識別情報4(文字「A」)の印が凹部で形成され、第2識別情報4(文字「A」)の印を形成する凹部が貫通している。なお、図4(g)は図4(a)において破線で示される枠10Bの拡大図であり、図4(h)、(i)は図4(g)のD−D線断面図である。
【0056】
(3)他の識別情報
本発明における識別情報群は、上記の拡大することにより識別可能な複数の識別情報に加えて、他の識別情報を有していてもよい。
他の識別情報の種類としては、識別可能な情報であれば特に限定されるものではなく、例えば、形状、大きさ、色彩、光の吸収・反射、磁気共鳴等が挙げられる。これらの他の識別情報は、後述する微粒子の材料等に応じて適宜選択される。
図1(a)、(b)に例示する微粒子1は、第1識別情報3(数字「1」)および第2識別情報4(文字「A」)以外に、形状(円形)、大きさ、色彩(例えば白色)という識別情報を有することができる。
図2(a)、(b)に例示する微粒子1は、第1識別情報3(文字「A」)および第2識別情報4(文字「a」)以外に、大きさ、色彩(例えば白色)という識別情報を有することができる。
【0057】
形状は、本発明の微粒子の外形形状であり、識別可能な情報であれば特に限定されるものではない。なお、形状については、上記第1識別情報の項に記載した形状と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0058】
大きさは、本発明の微粒子の大きさである。なお、微粒子の大きさについては、後述するので、ここでの説明は省略する。
【0059】
色彩は、無色であってもよく有色であってもよい。また、紫外線や赤外線等の刺激を受けることで色彩が変化してもよい。色彩は、後述する微粒子の材料に応じて適宜選択される。
【0060】
2.微粒子の構造
本発明の微粒子の粒径は、微粒子が上記識別情報群を有することが可能であれば特に限定されるものではない。第1識別情報が形状である場合には、微粒子の粒径は、第1識別情報と同様に、拡大することにより識別可能な程度とされる。具体的には、微粒子の粒径は、300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましい。微粒子の粒径が大きすぎると、目視で観察可能となり、偽造防止媒体に用いた際に微粒子の位置が特定されてしまうため、偽造防止効果が低下するおそれがあるからである。また、微粒子の粒径は、ルーペ等の簡易拡大器具を用いて観察可能であることが好ましく、具体的には50μm以上であることが好ましい。簡易拡大器具での観察が可能であれば、容易に真贋判定することができるからである。また、微粒子の粒径が小さすぎると、微粒子が所望の識別情報を有することが困難となったり、簡易拡大器具での観察が難しく、より高度な拡大器具を用いる必要があり、真贋判定が複雑化したりする可能性があるからである。
【0061】
なお、粒径とは、一般に粒子の粒度を示すために用いられるものであり、本発明においては、レーザー法により測定した値である。レーザー法とは、粒子を溶媒中に分散し、その分散溶媒にレーザー光線を当てて得られた散乱光を細くし、演算することにより、平均粒径、粒度分布等を測定する方法である。上記粒径は、レーザー法による粒径測定機として、リーズ&ノースラップ(Leeds & Northrup)社製 粒度分析計 マイクロトラックUPA Model-9230を使用して測定した値である。
【0062】
本発明の微粒子の厚みは、微粒子が所望の識別情報を有することが可能な厚みであれば特に限定されるものではないが、中でも、0.1μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、1μm〜100μmの範囲内であることがより好ましい。微粒子の厚みが上記範囲であれば、光の反射により識別情報を視認しやすく、容易に識別可能となる。一方、微粒子の厚みが厚すぎると、微粒子の製造が困難となる場合があり、微粒子の厚みが薄すぎると、微粒子が所望の識別情報を有することが困難となる場合がある。
なお、上記の微粒子の厚みは、微粒子の裏面に略垂直な断面における微粒子の厚みをいう。例えば図3(c)に示すような微粒子の厚みHをいう。
ここで、「略垂直な断面」とは、略垂直な断面と微粒子の裏面とのなす角度が90度±10度の範囲内にあるものを示す。
【0063】
また本発明においては、微粒子の粒径(L)および微粒子の厚み(H)が、H/L≧1/100を満たすことが好ましく、中でも、H/L≧1/30、特にH/L≧1/20、さらにH/L≧1/10を満たすことがより好ましい。微粒子の粒径に対する微粒子の厚みの比が上記範囲であれば、光の反射により識別情報を視認しやすく、容易に識別可能となるからである。一方、上記の比が大きすぎると、微粒子の製造が困難となる場合があり、上記の比が小さすぎると、微粒子が所望の識別情報を有することが困難となる場合がある。
なお、微粒子の粒径(L)および厚み(H)は、破壊式または非破壊式の検査手法にて測定することができる。
【0064】
本発明の微粒子は、無色であってもよく有色であってもよく、後述の微粒子の材料に応じて適宜選択される。
【0065】
また、本発明の微粒子は、光透過性を有していてもよく有さなくてもよく、後述の微粒子の材料に応じて適宜選択される。
【0066】
3.微粒子の材料
本発明の微粒子の材料としては、所望の識別情報を含む識別情報群を有する微粒子を製造できる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、樹脂材料、金属材料等を用いることができる。樹脂材料としては、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂を例示することができる。また、金属材料としては、蒸着法、メッキ法、スパッタ法により成膜可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、金属や、金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物を例示することができ、具体的には、Al、ZnS、TiO2、Cu、Au、Pt等が挙げられる。
【0067】
中でも、微粒子の材料は樹脂材料であることが好ましい。樹脂材料には、後述するような紫外線発光材料、赤外線発光材料、赤外線反射材料、赤外線吸収材料、量子ドット材料、磁性材料、着色材料等の機能性材料を添加することが可能であり、微粒子に、拡大することにより識別可能な識別情報以外に、他の識別情報を付与することが可能となる。これにより、真贋判定が容易になるとともに、偽造防止効果を向上させることができる。また、樹脂材料は、微細加工ができるだけでなく、生産効率を向上させることができる。
【0068】
樹脂材料は、耐溶剤性を有することが好ましく、中でも、本発明の微粒子を用いて微粒子が透明樹脂中に分散された微粒子含有層を形成する際に使用される溶媒に対して不溶であることが好ましい。
【0069】
樹脂材料の中でも、特に感光性樹脂が好適である。後述の微粒子の製造方法の項に記載するように、直接描画や階調マスク等により生産性良く安価に微粒子を製造することができるからである。
感光性樹脂としては、ポジ型感光性樹脂およびネガ型感光性樹脂のいずれも用いることができる。
【0070】
また本発明の微粒子は、図5に例示するように、樹脂層7と、樹脂層7上に形成され、微粒子1の表面11に形成された金属層8とを有することも好ましい。微粒子の表面に金属層が形成されていることで、光の反射により第1識別情報および第2識別情報を視認しやすく、真贋判定が容易になるとともに、偽造防止効果を向上させることができるからである。特に、本発明の微粒子を用いて微粒子が透明樹脂中に分散された微粒子含有層を形成する場合には、微粒子が樹脂材料からなる場合、微粒子と透明樹脂との屈折率の差が小さいために、微粒子と透明樹脂との界面が見えにくくなり、第1識別情報および第2識別情報を視認するのが困難になることが懸念されるが、微粒子の表面に金属層が形成されていることで、第1識別情報および第2識別情報の視認性を高めることが可能となる。
【0071】
樹脂層の材料としては、上記の樹脂材料を用いることができる。また、金属層の材料としては、上記の金属材料を用いることができる。
金属層の形成方法としては、蒸着法を挙げることができる。
金属層の厚みとしては、本発明の微粒子を用いて微粒子が透明樹脂中に分散された微粒子含有層を形成した場合に、第1識別情報および第2識別情報の視認性を向上させることができる厚みであれば特に限定されるものではなく、例えば1nm〜250nm程度とすることができ、10nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。金属層が厚すぎると、第1識別情報および第2識別情報が損なわれてしまうおそれがあり、金属層が薄すぎると、金属層の形成が困難であったり、第1識別情報および第2識別情報の視認性を高める効果が十分に得られなかったりする可能性があるからである。
【0072】
本発明の微粒子が樹脂材料を含有する場合、微粒子は、紫外線発光材料、赤外線発光材料、赤外線反射材料、赤外線吸収材料、量子ドット材料、磁性材料、顔料や染料等の着色材料等の機能性材料を含有することが好ましい。上述したように、真贋判定が容易になるとともに、偽造防止効果を向上させることができるからである。中でも、本発明の微粒子は、紫外線発光材料、赤外線発光材料、赤外線反射材料、赤外線吸収材料、量子ドット材料および磁性材料からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。これらの材料は、材料の特性による識別が可能であり、偽造防止効果を向上させることができるからである。特に、本発明の微粒子は、紫外線発光材料、赤外線発光材料および量子ドット材料からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。発光により識別が可能であり、真贋判定をさらに容易に行うことができるからである。
以下、各機能性材料に分けて説明する。
【0073】
(1)紫外線発光材料
本発明に用いられる紫外線発光材料としては、紫外線の吸収により蛍光発光する材料を用いることができる。紫外線発光材料は、短波長域(約200nm〜300nm)の吸収により発光するもの、および、長波長域(約300nm〜400nm)の吸収により発光するもののいずれも使用することができる。この紫外線発光材料は、紫外線により励起され、これよりも低いエネルギー準位に戻るときに発するスペクトルのピークが青、緑、赤等の波長域にあるものであり、目的に応じて適宜選択することができる。具体例としては、Ca259Cl:Eu2+、CaWO4、ZnO:Zn、Zn2SiO4:Mn、Y22S:Eu、ZnS:Ag、YVO4:Eu、Y23:Eu、Gd22S:Tb、La22S:Tb、Y3Al512:Ce、Sr5(PO43Cl:Eu、3(Ba,Mg)O・8Al23:Eu、Zn2GeO4:Mn、Y(P,V)O4:Eu、0.5MgF2・3.5MgO・GeO2:Mn、ZnS:Cu、ZnS:Mn等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を用いてもよい。なお、上記紫外線発光材料は、その組成を、主成分と付活剤または発光中心とを「:」で繋いで表記している。
【0074】
微粒子中の紫外線発光材料の含有量としては、発光による識別が可能であれば特に限定されるものではなく、1質量%〜50質量%程度とすることができる。
【0075】
(2)赤外線発光材料
本発明に用いられる赤外線発光材料としては、赤外線の吸収により蛍光発光する材料を用いることができる。赤外線発光材料は、赤外線(約800nm〜1200nm)で励起され、可視光(約400nm〜800nm)を発光するものであり、目的に応じて適宜選択することができる。具体例としてはYF3:Yb+Er、YF3:Yb+Tm、BaFCl:Yb+Er等が挙げられる。なお、上記赤外線発光材料は、その組成を、主成分と付活剤または発光中心とを「:」で繋いで表記している。
【0076】
微粒子中の赤外線発光材料の含有量としては、発光による識別が可能であれば特に限定されるものではなく、1質量%〜50質量%程度とすることができる。
【0077】
(3)赤外線反射材料
本発明に用いられる赤外線反射材料としては、赤外線に対して波長選択反射性を有する材料を用いることができ、例えば、多層構造材料、赤外線反射顔料、コレステリック構造を有する液晶材料等を挙げることができる。赤外線反射材料が反射する赤外線の波長は特に限定されないが、通常、800nm〜2500nmである。
【0078】
多層構造材料としては、赤外線を反射するような間隔で形成された赤外線反射面を有する層(赤外線反射層)で構成された多層構造材料を挙げることができる。多層構造材料は、各層(赤外線反射層)のBragg反射によって特定波長の赤外線を反射するものである。
具体的には、コレステリック液晶の架橋体のような固定化されたコレステリック構造を有する多層液晶材料を用いて、赤外線反射層を形成することができる。
【0079】
赤外線反射顔料は、赤外線反射材料の粉末や粒子が用いられ、無機系顔料および有機系顔料のいずれも用いることができる。無機系顔料としては、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム錫(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)等の複合金属酸化物、アルミニウム、金、銅等の金属が挙げられる。また、無機系顔料として、特開2004−4840号公報に記載の、天然または合成雲母、別の葉状珪酸塩、ガラス薄片、薄片状二酸化珪素または酸化アルミニウム等の透明支持材料と、金属酸化物の被覆とからなる干渉顔料等も用いることができる。一方、有機系顔料としては、例えば、特開2005−330466号公報および特開2002−249676号公報に記載されている顔料が挙げられ、アゾ系、アンスラキノン系、フタロシアニン系、ペリノン・ペリレン系、インジゴ・チオインジゴ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジケトピロロピロール系、アゾメチン系およびアゾメチンアゾ系の有機色素を用いることができる。
【0080】
コレステリック構造を有する液晶材料(いわゆるコレステリック液晶材料)としては、ネマチック液晶にカイラル剤を混合したカイラルネマチック液晶材料、または、高分子コレステリック液晶材料を挙げることができる。
【0081】
微粒子中の赤外線反射材料の含有量としては、赤外線の反射による識別が可能であれば特に限定されるものではなく、0.1質量%〜50質量%程度とすることができる。
【0082】
(4)赤外線吸収材料
本発明に用いられる赤外線吸収材料としては、赤外線(800nm〜1100nm)を吸収できる材料であれば特に限定されるものではない。中でも、800nm〜1100nmの波長域を吸収し、かつ可視光域、すなわち380nm〜780nmの波長域では吸収が少なく十分な光線透過率を有する赤外線吸収材料が好ましい。
【0083】
赤外線吸収材料としては、例えば、ポリメチン系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、インモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、アミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系金属錯体類、特開2007−163644号公報に開示されているベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体等の有機系赤外線吸収材料、および特開2006−154516号公報に開示されている複合タングステン酸化物、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンモン、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ランタン、酸化タングステン、酸化インジウム錫(ITO)等の無機系赤外線吸収材料などが挙げられる。赤外線吸収材料は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、「系化合物」とは、例えばアントラキノン系化合物の場合、アントラキノン誘導体をいう。
【0084】
また、赤外線吸収材料は、使用する樹脂材料の種類によって適宜選択することが好ましい。例えば、光硬化性樹脂や感光性樹脂を用いた場合、赤外線吸収材料としては、複合タングステン酸化物等の無機系近赤外線吸収材料を好適に用いることができる。
【0085】
微粒子中の赤外線吸収材料の含有量は、赤外線の吸収による識別が可能であれば特に限定されるものではないが、0.1質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。赤外線吸収材料の含有量が上記範囲内であれば、十分な赤外線吸収機能を発現できるとともに、十分な量の可視光線を透過できるからである。
【0086】
(5)量子ドット材料
量子ドット(Quantum dot)材料は、半導体のナノメートルサイズの微粒子で、電子や励起子がナノメートルサイズの小さな結晶内に閉じ込められる量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)により、特異的な光学的、電気的性質を示し、半導体ナノ粒子(Semiconductor Nanoparticle)とか、半導体ナノ結晶(Semiconductor Nanocrystal)とも呼ばれるものである。
本発明に用いられる量子ドット材料としては、半導体のナノメートルサイズの微粒子であり、量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)を生じる材料であれば特に限定されない。例えば、自らの粒径によって発光色が規制される半導体微粒子と、ドーパントを有する半導体微粒子がある。
【0087】
量子ドット材料は、1種の半導体化合物からなるものであっても、2種以上の半導体化合物からなるものであってもよく、例えば、半導体化合物からなるコアと、このコアと異なる半導体化合物からなるシェルとを有するコアシェル型構造を有していてもよい。その代表例としては、CdSeからなるコアと、その周囲に設けられたZnSシェルと、さらにその周囲に設けられた保護材料(キャッピング材料と呼ばれることもある)とで構成されたものを例示できる。この量子ドット材料は、その粒径により発光色を異にするものであり、例えば、CdSeからなるコアのみから構成される量子ドットの場合、粒径が2.3nm、3.0nm、3.8nm、4.6nmのときの蛍光スペクトルのピーク波長は、528nm、570nm、592nm、637nmである。
【0088】
量子ドット材料のコアとなる材料として具体的には、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII−VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIII−V族半導体化合物、Si、Ge及びPbのようなIV族半導体、等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶を例示できる。また、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物を含む半導体結晶を用いることもできる。
【0089】
さらに、ドーパントを有する半導体微粒子からなる量子ドット材料としては、上記半導体化合物に、Eu3+、Tb3+、Ag、Cuのような希土類金属のカチオンまたは遷移金属のカチオンをドープしてなる半導体結晶を用いることもできる。
【0090】
なかでも、作製の容易性、可視域での発光を得られる粒径の制御性、蛍光量子収率の観点から、CdS、CdSe、CdTe、InP、InGaP等の半導体結晶が好適である。
【0091】
コアシェル型の量子ドット材料を用いる場合にシェルを構成する半導体としては、励起子がコアに閉じ込められるように、コアを形成する半導体化合物よりもバンドギャップの高い材料を用いることで、量子ドット材料の発光効率を高めることが出来る。
このようなバンドギャップの大小関係を有するコアシェル構造(コア/シェル)としては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
【0092】
量子ドットのサイズは、所望の波長の光が得られるように、量子ドットを構成する材料によって適宜制御すればよい。量子ドットは粒径が小さくなるに従い、エネルギーバンドギャップが大きくなる。すなわち、結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。そのため、量子ドットのサイズを変化させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長全域にわたって、その発光波長を調節することができる。
【0093】
一般的には、量子ドットの粒径(直径)は0.5nm〜20nmの範囲内であることが好ましく、特に1nm〜10nmの範囲内であることが好ましい。なお、量子ドットのサイズ分布が狭いほど、より鮮明な発光色を得ることができる。
【0094】
また、量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。量子ドットの粒径は、粒子ドットが球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
【0095】
量子ドットの粒径、形状、分散状態等の情報については、透過型電子顕微鏡(TEM)により得ることができる。また、量子ドットの結晶構造、粒径については、X線結晶回折(XRD)により知ることができる。さらには、紫外−可視(UV−Vis)吸収スペクトルによって、量子ドットの粒径、表面に関する情報を得ることもできる。
【0096】
微粒子中の量子ドット材料の含有量としては、発光による識別が可能であれば特に限定されるものではなく、0.1質量%〜50質量%程度とすることができる。
【0097】
(6)磁性材料
本発明に用いられる磁性材料としては、核磁気共鳴(NMR)、核四極子共鳴(NQR)、電子スピン共鳴(ESR)、強磁性共鳴、反強磁性共鳴、フェリ磁性共鳴、磁壁共鳴、スピン波共鳴、スピンエコー共鳴等の磁気共鳴を示すものを用いることができる。
【0098】
共鳴周波数は、核固有のパラメーターである磁気回転比γおよび外部磁場の磁場強度により決まるものであることから、磁性材料が磁気共鳴を示す共鳴周波数を選択することにより、本発明の微粒子の存在を確認することができ、真贋判定を行うことが可能となる。
例えば、磁性材料を含有する微粒子と、磁性材料を含有しない微粒子とに、磁性材料が核磁気共鳴を示す周波数の電磁波を照射すると、磁性材料を含有する微粒子では共鳴吸収が起こり、磁性材料を含有しない微粒子では共鳴吸収が起こらないため、この共鳴吸収を観測することにより微粒子の存在を確認することができ、真贋判定を行うことが可能となる。また、得られるNMRスペクトルでは、物質の構造やエネルギー状態等によりシグナルの位置、強度、半値幅、形状等が異なるため、使用する磁性材料の種類により識別することも可能である。
【0099】
磁性材料は、磁性材料の粉末や粒子が用いられる。磁性材料としては、特開2005−309418号公報に記載の磁気共鳴を示す微粒子を例示することができる。
【0100】
微粒子中の磁性材料の含有量は、磁気共鳴による識別が可能であれば特に限定されるものではないが、1質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、5質量%〜20質量%の範囲内がより好ましい。磁性材料の含有量が少なすぎると、識別が困難となり、磁性材料の含有量が多すぎると、所望の識別情報群を有する微粒子の作製が困難となる場合があるからである。
【0101】
(7)着色材料
本発明に用いられる着色材料としては、顔料、染料を挙げることができる。
着色材料は、微粒子に含有させることができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的な顔料、染料を用いることができる。
【0102】
微粒子中の着色材料の含有量としては、0.1質量%〜50質量%程度とすることができる。
【0103】
4.微粒子の製造方法
本発明の微粒子の製造方法としては、所望の識別情報を含む識別情報群を有する微粒子を製造できる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な識別情報を有する微粒子の製造方法を適用することができる。また、本発明の微粒子の製造方法には、例えば、基板上に溶媒溶解性を有する犠牲層および感光性樹脂層を順に積層し、フォトリソグラフィー法により感光性樹脂層の露光および現像を行って感光性樹脂層に第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を形成し、犠牲層を溶解させ、感光性樹脂からなる微粒子を製造する方法を用いることもできる。感光性樹脂層の露光の際には、階調露光を行うことができ、例えば、レーザーによる直描法や階調マスクを用いた階調露光を行うことができる。
【0104】
5.用途
本発明の微粒子は、偽造防止用途に好適であり、例えば、金券、ギフトカード、クレジットカード、IDカード、パスポート、運転免許証、ブランド品、自動車部品、精密機器部品、家電、化粧品、医薬品、食品、OAサプライ品、スポーツ用品、CD、DVD、ソフトウェア、たばこ、お酒等に用いることができる。
【0105】
B.粒子群
次に、本発明の粒子群について説明する。
本発明の粒子群は、拡大することにより識別可能な識別情報を有する複数の微粒子を含有する粒子群であって、上記粒子群は、上記粒子群に含有されるすべての上記微粒子で共通する共通識別情報と、上記粒子群に含有される一の上記微粒子および他の上記微粒子で異なる非共通識別情報とを有し、少なくとも一部の上記微粒子は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する微粒子であり、上記識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含み、上記第1識別情報および上記第2識別情報のうち、一方を上記共通識別情報、他方を上記非共通識別情報として用いることを特徴とするものである。
【0106】
本発明の粒子群について図面を参照しながら説明する。
図6(a)〜(d)は本発明の粒子群の一例を示す模式図であり、図6(c)は図6(a)において破線で示される枠10Aの拡大図であり、図6(d)は図6(b)において破線で示される枠10Bの拡大図である。図6(a)〜(d)に例示する粒子群は、図6(a)、(c)に示す微粒子1Aと、図6(b)、(d)に示す微粒子1Bとを含有している。
図6(a)、(c)に例示する微粒子1Aは、第1識別情報3(数字「1」)と第2識別情報4(文字「A」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「A」)は、第1識別情報3(数字「1」)よりも小さく、第1識別情報3(数字「1」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
図6(b)、(d)に例示する微粒子1Bは、第1識別情報3(数字「1」)と第2識別情報4(文字「B」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「B」)は、第1識別情報3(数字「1」)よりも小さく、第1識別情報3(数字「1」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
図6(a)〜(d)に例示するように、微粒子1A,1Bでは、第1識別情報3(数字「1」)が共通しており共通識別情報21であり、第2識別情報4(文字「A」、「B」)が異なり非共通識別情報22である。
図6(a)〜(d)に例示する微粒子1A,1Bを含有する粒子群を用いた真贋判定においては、まず、低倍率で拡大して、粒子群が、微粒子1A,1Bに、第1識別情報3である数字「1」という共通識別情報21を有することを確認するという第一段階の認証を行う。次いで、高倍率で拡大して、粒子群が、微粒子1A,1Bに、第1識別情報3を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報4である文字「A」、「B」という非共通識別情報22を有することを確認するという第二段階の認証を行う。このように二つの認証段階を設定して真贋判定を行う。
第2識別情報4は、第1識別情報3を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるので、第1識別情報3よりも第2識別情報4の認証レベルが高くなる。また、第2識別情報4が非共通識別情報22として用いられ、非共通識別情報22は微粒子1A,1Bで異なる情報であるので、非共通識別情報22の認証レベルはさらに高くなる。
【0107】
図7(a)〜(d)は本発明の粒子群の他の例を示す模式図であり、図7(c)は図7(a)において破線で示される枠10Aの拡大図であり、図7(d)は図7(b)において破線で示される枠10Bの拡大図である。図7(a)〜(d)に例示する粒子群は、図7(a)、(c)に示す微粒子1Aと、図7(b)、(d)に示す微粒子1Bとを含有している。
図7(a)、(c)に例示する微粒子1Aは、第1識別情報3(文字「A」)と第2識別情報4(文字「a」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「a」)は、第1識別情報3(文字「A」)よりも小さく、第1識別情報3(文字「A」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
図7(b)、(d)に例示する微粒子1Bは、第1識別情報3(文字「A」)と第2識別情報4(文字「b」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「b」)は、第1識別情報3(文字「A」)よりも小さく、第1識別情報3(文字「A」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
図7(a)〜(d)に例示するように、微粒子1A,1Bでは、第1識別情報3(文字「A」)が共通しており共通識別情報21であり、第2識別情報4(文字「a」、「b」)が異なり非共通識別情報22である。
図7(a)〜(d)に例示する微粒子1A,1Bを含有する粒子群を用いた真贋判定においては、まず、低倍率で拡大して、粒子群が、微粒子1A,1Bに、第1識別情報3である文字「A」という共通識別情報21を有することを確認するという第一段階の認証を行う。次いで、高倍率で拡大して、粒子群が、微粒子1A,1Bに、第1識別情報3を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報4である文字「a」、「b」という非共通識別情報22を有することを確認するという第二段階の認証を行う。このように二つの認証段階を設定して真贋判定を行う。
第2識別情報4は、第1識別情報3を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるので、第1識別情報3よりも第2識別情報4の認証レベルが高くなる。また、第2識別情報4が非共通識別情報22として用いられ、非共通識別情報22は微粒子1A,1Bで異なる情報であるので、非共通識別情報22の認証レベルはさらに高くなる。
【0108】
図8(a)〜(d)は本発明の粒子群の他の例を示す模式図であり、図8(c)は図8(a)において破線で示される枠10Aの拡大図であり、図8(d)は図8(b)において破線で示される枠10Bの拡大図である。図8(a)〜(d)に例示する粒子群は、図8(a)、(c)に示す微粒子1Aと、図8(b)、(d)に示す微粒子1Bとを含有している。
図8(a)、(c)に例示する微粒子1Aは、第1識別情報3(数字「1」)と第2識別情報4(文字「A」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「A」)は、第1識別情報3(数字「1」)よりも小さく、第1識別情報3(数字「1」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
図8(b)、(d)に例示する微粒子1Bは、第1識別情報3(数字「2」)と第2識別情報4(文字「A」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「A」)は、第1識別情報3(数字「1」)よりも小さく、第1識別情報3(数字「1」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
図8(a)〜(d)に例示するように、微粒子1A,1Bでは、第2識別情報4(文字「A」)が共通しており共通識別情報21であり、第1識別情報3(数字「1」、「2」)が異なり非共通識別情報22である。
図8(a)〜(d)に例示する微粒子1A,1Bを含有する粒子群を用いた真贋判定においては、まず、低倍率で拡大して、粒子群が、微粒子1A,1Bに、第1識別情報3である数字「1」、「2」という非共通識別情報22を有することを確認するという第一段階の認証を行う。次いで、高倍率で拡大して、粒子群が、微粒子1A,1Bに、第1識別情報3を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報4である文字「A」という共通識別情報21を有することを確認するという第二段階の認証を行う。このように二つの認証段階を設定して真贋判定を行う。
第2識別情報4は、第1識別情報3を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるので、第1識別情報3よりも第2識別情報4の認証レベルが高くなる。また、非共通識別情報22は、微粒子1A,1Bで異なる情報であるので、非共通識別情報22の認証レベルが高くなる。
【0109】
図9(a)〜(d)は本発明の粒子群の他の例を示す模式図であり、図9(c)は図9(a)において破線で示される枠10Aの拡大図であり、図9(d)は図9(b)において破線で示される枠10Bの拡大図である。図9(a)〜(d)に例示する粒子群は、図9(a)、(c)に示す微粒子1Aと、図9(b)、(d)に示す微粒子1Bとを含有している。
図9(a)、(c)に例示する微粒子1Aは、第1識別情報3(星型)と第2識別情報4(文字「a」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「a」)は、第1識別情報3(星型)よりも小さく、第1識別情報3(星型)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
図9(b)、(d)に例示する微粒子1Bは、第1識別情報3(十字型)と第2識別情報4(文字「a」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「a」)は、第1識別情報3(十字型)よりも小さく、第1識別情報3(十字型)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
図9(a)〜(d)に例示するように、微粒子1A,1Bでは、第2識別情報4(文字「a」)が共通しており共通識別情報21であり、第1識別情報3(星型、十字型)が異なり非共通識別情報22である。
図9(a)〜(d)に例示する微粒子1A,1Bを含有する粒子群を用いた真贋判定においては、まず、低倍率で拡大して、粒子群が、微粒子1A,1Bに、第1識別情報3である星型、十字型という非共通識別情報22を有することを確認するという第一段階の認証を行う。次いで、高倍率で拡大して、粒子群が、微粒子1A,1Bに、第1識別情報3を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報4である文字「a」という共通識別情報21を有することを確認するという第二段階の認証を行う。このように二つの認証段階を設定して真贋判定を行う。
第2識別情報4は、第1識別情報3を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるので、第1識別情報3よりも第2識別情報4の認証レベルが高くなる。また、非共通識別情報22は、微粒子1A,1Bで異なる情報であるので、非共通識別情報22の認証レベルが高くなる。
【0110】
図10(a)〜(d)は本発明の粒子群の他の例を示す模式図であり、図10(c)は図10(a)において破線で示される枠10Aの拡大図であり、図10(d)は図10(b)において破線で示される枠10Bの拡大図である。図10(a)〜(d)に例示する粒子群は、図10(a)、(c)に示す微粒子1Aと、図10(b)、(d)に示す微粒子1Bとを含有している。
図10(a)、(c)に例示する微粒子1Aは、第1識別情報3(数字「1」)と第2識別情報4(文字「A」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「A」)は、第1識別情報3(数字「1」)よりも小さく、第1識別情報3(数字「1」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
図10(b)、(d)に例示する微粒子1Bは、識別情報5(数字「1」)を有している。
図10(a)〜(d)に例示するように、微粒子1A,1Bでは、第1識別情報3および識別情報5(数字「1」)が共通しており共通識別情報21であり、第2識別情報4(文字「A」)の有無が異なり非共通識別情報22である。
図10(a)〜(d)に例示する微粒子1A,1Bを含有する粒子群を用いた真贋判定においては、まず、低倍率で拡大して、粒子群が、微粒子1A,1Bに、第1識別情報3または識別情報5である数字「1」という共通識別情報21を有することを確認するという第一段階の認証を行う。次いで、高倍率で拡大して、粒子群が、微粒子1A,1Bに、第1識別情報3を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報4である文字「A」の有無という非共通識別情報22を有することを確認するという第二段階の認証を行う。このように二つの認証段階を設定して真贋判定を行う。
第2識別情報4は、第1識別情報3を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるので、第1識別情報3よりも第2識別情報4の認証レベルが高くなる。また、第2識別情報4が非共通識別情報22として用いられ、非共通識別情報22は微粒子1A,1Bで異なる情報であるので、非共通識別情報22の認証レベルは高くなる。
【0111】
このように本発明の粒子群は、すべての微粒子で共通する共通識別情報と、一の微粒子および他の微粒子で異なる非共通識別情報とを有するので、複数の微粒子について、共通識別情報の認証と非共通識別情報の認証という多段階の認証を行うことができ、高度な認証が可能となる。
【0112】
また本発明においては、第2識別情報は第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるため、第2識別情報の存在および詳細を悟られにくくすることができ、第1識別情報よりも第2識別情報の認証レベルが高くなる。また、非共通識別情報は、一の微粒子および他の微粒子で異なる情報であるので、非共通識別情報の認証レベルが高くなる。第1識別情報および第2識別情報は、一方が共通識別情報、他方が非共通識別情報として用いられているので、優れた偽造防止効果を得ることができる。
【0113】
また本発明においては、第1識別情報および第2識別情報は拡大することにより識別可能であり、第1識別情報および第2識別情報のうち、一方は共通識別情報、他方は非共通識別情報であるので、微粒子を拡大して共通識別情報および非共通識別情報を確認することにより、容易に真贋判定を行うことができる。
さらに、第2識別情報は第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であり、第1識別情報は共通識別情報または非共通識別情報であるので、第1識別情報を識別可能な任意の倍率で微粒子を拡大して第1識別情報のみ確認し、共通識別情報または非共通識別情報のいずれか一方のみを確認することにより、真正性を保証することができ、簡易的に真贋判定を行うこともできる。
【0114】
さらに本発明においては、微粒子が、第1識別情報だけでなく、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報も有するので、微粒子の製造が複雑で、模倣および複製が困難であるので、高い偽造防止効果とともに牽制効果を得ることが可能である。
【0115】
以下、本発明の粒子群における各構成について説明する。
【0116】
1.共通識別情報
本発明における共通識別情報は、粒子群に含有されるすべての微粒子で共通する情報である。
本発明においては、少なくとも一部の微粒子は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有し、識別情報群が第1識別情報と第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含む微粒子であり、共通識別情報として、第1識別情報または第2識別情報が用いられる。
なお、第1識別情報および第2識別情報については、上記「A.微粒子」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
【0117】
共通識別情報として、第1識別情報を用いてもよく、第2識別情報を用いてもよい。図6(a)〜(d)、図7(a)〜(d)、図10(a)〜(d)に示す例においては、共通識別情報21として第1識別情報3が用いられている。一方、図8(a)〜(d)、図9(a)〜(d)に示す例においては、共通識別情報21として第2識別情報4が用いられている。
【0118】
また、共通識別情報として、第1識別情報または第2識別情報を用いることに加えて、他の識別情報を用いてもよい。
他の識別情報の種類としては、識別可能な情報であれば特に限定されるものではなく、例えば、形状、大きさ、色彩、光の吸収・反射、磁気共鳴等が挙げられる。
図6(a)〜(d)に示す例においては、共通識別情報21として、第1識別情報3(数字「1」)以外に、形状(円形)、大きさ、色彩(例えば白色)を用いることができる。
図7(a)〜(d)に示す例においては、共通識別情報21として、第1識別情報3(文字「A」)以外に、大きさ、色彩(例えば白色)を用いることができる。
図8(a)〜(d)に示す例においては、共通識別情報21として、第2識別情報4(文字「A」)以外に、形状(円形)、大きさ、色彩(例えば白色)を用いることができる。
図9(a)〜(d)に示す例においては、共通識別情報21として、第2識別情報4(文字「a」)以外に、色彩(例えば白色)を用いることができる。
図10(a)〜(d)に示す例においては、共通識別情報21として、第1識別情報3(数字「1」)以外に、形状(円形)、大きさ、色彩(例えば白色)を用いることができる。
なお、他の識別情報については、上記「A.微粒子」の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0119】
2.非共通識別情報
本発明における非共通識別情報は、粒子群に含有される一の微粒子および他の微粒子で異なる情報である。
本発明においては、少なくとも一部の微粒子は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有し、識別情報群が第1識別情報と第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含む微粒子であり、非共通識別情報として、第1識別情報または第2識別情報が用いられる。
なお、第1識別情報および第2識別情報については、上記「A.微粒子」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
【0120】
非共通識別情報として、第1識別情報を用いてもよく、第2識別情報を用いてもよい。図8(a)〜(d)、図9(a)〜(d)に示す例においては、非共通識別情報22として第1識別情報3が用いられている。一方、図6(a)〜(d)、図7(a)〜(d)、図10(a)〜(d)に示す例においては、非共通識別情報22として第2識別情報4が用いられている。
【0121】
非共通識別情報として第1識別情報を用いる場合であって、第1識別情報が形状または印(しるし)であり、形状または印が表現するものが同一である場合には、一般的な印刷の偽造防止技術を応用することにより、非共通識別情報とすることができる。例えば、鏡文字、天地反転文字、特殊フォント文字、デザイン文字、大きさ違い、フォント違い、ミススペル(ミススペリング)、不規則配置等が挙げられる。このような偽造防止技術を応用することにより、模倣および複製が困難となり、高い偽造防止効果を得ることができる。
【0122】
非共通識別情報として第2識別情報を用いる場合、非共通識別情報として、第2識別情報の相違を用いてもよく、第2識別情報の有無を用いてもよい。
【0123】
また、非共通識別情報として第2識別情報を用いる場合であって、第2識別情報が印(しるし)である場合にも、上述したような一般的な印刷の偽造防止技術を応用することにより、非共通識別情報とすることができる。このような偽造防止技術を応用することにより、模倣および複製が困難となり、高い偽造防止効果を得ることができる。
【0124】
また、非共通識別情報として、第1識別情報または第2識別情報を用いることに加えて、他の識別情報を用いてもよい。
他の識別情報の種類としては、識別可能な情報であれば特に限定されるものではなく、例えば、形状、大きさ、色彩、光の吸収・反射、磁気共鳴等が挙げられる。
図11(a)、(b)に例示する微粒子1A,1B,1Cを含有する粒子群においては、非共通識別情報22として、第2識別情報4(文字「A」、「B」、「C」)以外に、形状(四角形、六角形、円形)を用いることができる。なお、図11(b)は図11(a)において破線で示される枠10A、10B、10Cの拡大図である。
図12(a)、(b)に例示する微粒子1A,1B,1Cを含有する粒子群においては、非共通識別情報22として、第1識別情報3(数字「1」、「2」、「3」)以外に、形状(四角形、六角形、円形)を用いることができる。なお、図12(b)は図12(a)において破線で示される枠10A、10B、10Cの拡大図である。
図13(a)、(b)に例示する微粒子1A,1B,1Cを含有する粒子群においては、非共通識別情報22として、第2識別情報4(文字「A」、「B」、「C」)以外に、色彩を用いることができる。なお、図13(b)は図13(a)において破線で示される枠10A、10B、10Cの拡大図である。
図14(a)、(b)に例示する微粒子1A,1B,1Cを含有する粒子群においては、非共通識別情報22として、第2識別情報4(文字「A」、「B」、「C」)以外に、大きさを用いることができる。なお、図14(b)は図14(a)において破線で示される枠10A、10B、10Cの拡大図である。
なお、他の識別情報については、上記「A.微粒子」の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0125】
非共通識別情報は、粒子群に含有される一の微粒子および他の微粒子で異なる情報であり、非共通識別情報として、第1識別情報または第2識別情報が用いられる場合、第1識別情報または第2識別情報が異なることになる。この場合、図6(a)〜(d)、図7(a)〜(d)、図8(a)〜(d)、図9(a)〜(d)、図10(a)〜(d)に例示するように、2種類の識別情報の組み合わせにより非共通識別情報としてもよく、図11(a)〜(b)、図12(a)〜(b)、図13(a)〜(b)、図14(a)〜(b)に例示するように、3種類の識別情報の組み合わせにより非共通識別情報としてもよく、図示しないが、4種類以上の識別情報の組み合わせにより非共通識別情報としてもよい。
【0126】
非共通識別情報は、粒子群に含有される一の微粒子および他の微粒子で異なる情報である。異なる情報を有する微粒子の存在率としては特に限定されるものではなく、同程度であってもよく、異なっていてもよい。中でも、異なる情報を有する微粒子の存在率が異なることが好ましい。非共通識別情報の確認が困難となり、偽造防止効果が向上し、より高度な真贋判定が可能となるからである。
例えば、異なる情報を有する2種類の微粒子が存在する場合、2種類の微粒子の存在率は、100:1〜1:1の範囲内であることが好ましく、中でも、20:1〜1:1の範囲内であることがより好ましい。上記存在率が上記範囲内であることにより、非共通識別情報の確認が好適となるからである。
【0127】
3.微粒子
本発明の粒子群は、拡大することにより識別可能な識別情報を有する複数の微粒子を含有するものである。上記複数の微粒子のうち、少なくとも一部の微粒子は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有し、上記識別情報群が、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含む微粒子である。
【0128】
なお、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する微粒子であって、上記識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含む微粒子については、上記「A.微粒子」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0129】
本発明の粒子群に含有される識別情報を有する複数の微粒子は、少なくとも一部の微粒子が、第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を有する微粒子であればよく、例えば、すべての微粒子が第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を有する微粒子であり、本発明の粒子群が第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を有する微粒子のみを含有していてもよく、一部の微粒子が第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を有する微粒子であり、本発明の粒子群が第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を有する微粒子と識別情報を有する他の微粒子とを含有していてもよい。
例えば、図6(a)〜(d)、図7(a)〜(d)、図8(a)〜(d)、図9(a)〜(d)に示す微粒子1A,1Bはいずれも第1識別情報3および第2識別情報4を含む識別情報群2を有する微粒子である。一方、例えば、図10(a)〜(d)においては、微粒子1Aは第1識別情報3および第2識別情報4を含む識別情報群2を有する微粒子であり、微粒子1Bは識別情報5を有する他の微粒子である。
【0130】
識別情報を有する他の微粒子としては、拡大することにより識別可能な識別情報を有しており、第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を有する微粒子と識別情報を有する他の微粒子との組み合わせにより、第1識別情報および第2識別情報のうち、一方を共通識別情報、他方を非共通識別情報として用いることができるものであれば特に限定されるものではない。
他の微粒子が有する識別情報としては、拡大することにより識別可能な情報であれば特に限定されるものではなく、上記「A.微粒子」の項に記載した第1識別情報と同様とすることができる。
また、他の微粒子の構造、材料、製造方法については、上記「A.微粒子」の項に記載した微粒子の構造、材料、製造方法と同様とすることができる。
【0131】
本発明の粒子群に含有される複数の微粒子の種類の数としては、2種類以上であればよい。例えば、図6(a)〜(d)、図7(a)〜(d)、図8(a)〜(d)、図9(a)〜(d)、図10(a)〜(d)においては粒子群が2種類の微粒子を含有し、図11(a)〜(b)、図12(a)〜(b)、図13(a)〜(b)、図14(a)〜(b)においては粒子群が3種類の微粒子を含有している。
【0132】
4.用途
本発明の粒子群の用途としては、上記「A.微粒子」の項に記載した用途と同様とすることができる。
【0133】
C.偽造防止用インク
次に、本発明の偽造防止用インクについて説明する。
本発明の偽造防止用インクは、上述の微粒子あるいは上述の粒子群を含有することを特徴とするものである。
【0134】
本発明においては、上述の微粒子または上述の粒子群を用いるので、高度な認証が可能であり、本発明の偽造防止用インクを用いることにより、偽造防止効果に優れた偽造防止媒体を得ることが可能である。また、本発明の偽造防止用インクを偽造防止媒体に適用する際には、支持体上に本発明の偽造防止用インクを塗布することにより、支持体上に微粒子を容易に固定することができるので、種々の支持体に使用することが可能であり、支持体の形状等の選択の幅が広いという利点を有する。
以下、本発明の偽造防止用インクにおける各構成について説明する。
【0135】
1.微粒子
本発明に用いられる微粒子については、上記「A.微粒子」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
【0136】
微粒子としては、1種類の微粒子を用いてもよく、2種類以上の微粒子を用いてもよい。例えば、2種類以上の微粒子を用いる場合には、所定の意味を表現するように微粒子を組み合わせて使用することができる。
【0137】
偽造防止用インク中の微粒子の含有量としては、本発明の偽造防止用インクを偽造防止媒体に用いた場合に、微粒子による真贋判定が可能であれば特に限定されるものではなく、0.01質量%〜50質量%程度とすることができる。
【0138】
2.粒子群
本発明に用いられる粒子群については、上記「B.粒子群」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
【0139】
偽造防止用インク中の粒子群の含有量としては、本発明の偽造防止用インクを偽造防止媒体に用いた場合に、粒子群による真贋判定が可能であれば特に限定されるものではなく、0.01質量%〜50質量%程度とすることができる。
【0140】
3.透明樹脂成分
本発明の偽造防止用インクは、通常、透明樹脂成分中に上述の微粒子または上述の粒子群が分散されたものである。
【0141】
本発明に用いられる透明樹脂成分の光透過性としては、本発明の偽造防止用インクを用いて微粒子または粒子群が透明樹脂中に分散された微粒子含有層を形成した際に、微粒子または粒子群が観察可能であれば特に限定されないが、透明樹脂成分を所定の厚みで成膜したときに、可視領域における全光線透過率が10%以上であることが好ましい。
なお、上記全光線透過率は、JIS K 7105に準拠して測定した値である。
【0142】
透明樹脂成分としては、上記光透過性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、光硬化性樹脂成分、熱硬化性樹脂成分、熱可塑性樹脂成分のいずれも用いることができる。中でも、光硬化性樹脂成分、熱硬化性樹脂成分等の硬化性樹脂成分が好ましく、特に光硬化性樹脂成分が好ましい。光硬化性樹脂成分を用いることにより、耐熱性の低い支持体にも本発明の偽造防止用インクを適用することが可能となり、用途の選択肢が広がるからである。また、本発明の偽造防止用インクを用いて微粒子または粒子群が透明樹脂中に分散された微粒子含有層を形成する場合には、生産効率を向上させることができるからである。
【0143】
4.機能性材料
本発明の偽造防止用インクは、上記の微粒子または粒子群と透明樹脂成分との他に、紫外線発光材料、赤外線発光材料、赤外線反射材料、赤外線吸収材料、量子ドット材料等の機能性材料を含有していてもよい。
【0144】
例えば、偽造防止用インクが紫外線発光材料または赤外線発光材料を含有する場合であって、微粒子が紫外線発光材料または赤外線発光材料を含有しない場合または粒子群に紫外線発光材料または赤外線発光材料を含有する微粒子が存在しない場合には、発光の有無により、微粒子の位置を特定することができ、真贋判定が容易になるとともに、偽造防止効果を向上させることが可能となる。また、偽造防止用インクが紫外線発光材料または赤外線発光材料を含有する場合であって、微粒子も紫外線発光材料または赤外線発光材料を含有する場合または粒子群に紫外線発光材料または赤外線発光材料を含有する微粒子が存在する場合には、発光の波長により、微粒子の位置を特定することができ、真贋判定が容易になるとともに、偽造防止効果を向上させることが可能となる。
【0145】
偽造防止用インクが赤外線反射材料または赤外線吸収材料を含有する場合であって、微粒子が赤外線反射材料または赤外線吸収材料を含有しない場合または粒子群に赤外線反射材料または赤外線吸収材料を含有する微粒子が存在しない場合には、赤外線の吸収または反射の有無により、微粒子の位置を特定することができ、真贋判定が容易になるとともに、偽造防止効果を向上させることが可能となる。また、偽造防止用インクが赤外線反射材料または赤外線吸収材料を含有する場合であって、微粒子も赤外線反射材料または赤外線吸収材料を含有する場合または粒子群に赤外線反射材料または赤外線吸収材料を含有する微粒子が存在する場合には、吸収または反射する赤外線の波長により、微粒子の位置を特定することができ、真贋判定が容易になるとともに、偽造防止効果を向上させることが可能となる。
【0146】
偽造防止用インクが量子ドット材料を含有する場合であって、微粒子が量子ドット材料を含有しない場合または粒子群に量子ドット材料を含有する微粒子が存在しない場合には、発光の有無により、微粒子の位置を特定することができ、真贋判定が容易になるとともに、偽造防止効果を向上させることが可能となる。また、偽造防止用インクが量子ドット材料を含有する場合であって、微粒子も量子ドット材料を含有する場合または粒子群に量子ドット材料を含有する微粒子が存在する場合には、発光の波長により、微粒子の位置を特定することができ、真贋判定が容易になるとともに、偽造防止効果を向上させることが可能となる。
【0147】
なお、機能性材料については、上記「A.微粒子」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0148】
偽造防止用インク中の紫外線発光材料の含有量としては、発光による識別が可能であれば特に限定されるものではなく、1質量%〜50質量%程度とすることができる。
【0149】
偽造防止用インク中の赤外線発光材料の含有量としては、発光による識別が可能であれば特に限定されるものではなく、1質量%〜50質量%程度とすることができる。
【0150】
偽造防止用インク中の赤外線反射材料の含有量としては、赤外線の反射による識別が可能であれば特に限定されるものではなく、0.1質量%〜50質量%程度とすることができる。
【0151】
偽造防止用インク中の赤外線吸収材料の含有量は、赤外線の吸収による識別が可能であれば特に限定されるものではないが、0.1質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。赤外線吸収材料の含有量が上記範囲内であれば、十分な赤外線吸収機能を発現できるとともに、十分な量の可視光線を透過できるからである。
【0152】
偽造防止用インク中の量子ドット材料の含有量としては、発光による識別が可能であれば特に限定されるものではなく、0.1質量%〜50質量%程度とすることができる。
【0153】
5.溶媒
本発明の偽造防止用インクは、溶媒を含有していてもよい。溶媒としては、上記の微粒子または粒子群と透明樹脂成分とが分散するものであれば特に限定されるものではなく、偽造防止用インクの塗布方法等に応じて適宜選択される。また、溶媒は1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
例えばグラビア印刷用インキとして用いる場合、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。オフセット印刷用インキやシルクスクリーン印刷用インキとして用いる場合は、高沸点の石油系溶剤(炭素数が15以上(C15以上)の炭化水素類)が挙げられる。
【0154】
本発明の偽造防止用インクの固形分濃度は、偽造防止用インクを偽造防止媒体に適用可能であれば特に限定されるものではなく、20質量%〜85質量%程度とすることができる。
【0155】
D.偽造防止用トナー
次に、本発明の偽造防止用トナーについて説明する。
本発明の偽造防止用トナーは、上述の微粒子あるいは上述の粒子群を含有することを特徴とするものである。
【0156】
本発明においては、上述の微粒子または上述の粒子群を用いるので、高度な認証が可能であり、本発明の偽造防止用トナーを用いることにより、偽造防止効果に優れた偽造防止媒体を得ることが可能である。また、本発明の偽造防止用トナーを偽造防止媒体に適用する際には、支持体上に本発明の偽造防止用トナーを転写することにより、支持体上に微粒子または粒子群を容易に固定することができるので、種々の支持体に使用することが可能であり、支持体の形状等の選択の幅が広いという利点を有する。
【0157】
本発明の偽造防止用トナーは、上記微粒子または上記粒子群を含有するものであればよく、乾式トナーおよび湿式トナーのいずれであってもよく、その組成としては一般的な組成とすることができる。本発明の偽造防止用トナーは、例えば、主樹脂、副樹脂、着色剤、荷電制御剤、流動性制御剤等を含有することができる。
主樹脂としては、光透過性を有し、上記微粒子または上記粒子群が分散するものであれば特に限定されるものではない。主樹脂の光透過性としては、上述の偽造防止用インクにおける透明樹脂成分の光透過性と同様とすることができる。主樹脂にはスチレン−アクリル系、ポリエステル系が主として使用される。副樹脂にはポリプロピレン、ポリエチレン、WAX類が使用される。主樹脂や副樹脂は1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
着色剤にはカーボン、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料等が使用される。荷電制御剤はプラス系、マイナス系があり、金属を含有したものや、樹脂系、四級アンモニウム塩等が挙げられる。流動制御剤はシリカ等が使用される。
【0158】
なお、微粒子および粒子群については、上述の偽造防止用インクにおける微粒子および粒子群と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0159】
本発明の偽造防止用トナーは、紫外線発光材料、赤外線発光材料、赤外線反射材料、赤外線吸収材料、量子ドット材料等の機能性材料をさらに含有していてもよい。機能性材料としては、上述の偽造防止用インクにおける機能性材料と同様とすることができる。
【0160】
E.偽造防止用シート
次に、本発明の偽造防止用シートについて説明する。
本発明の偽造防止用シートは、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群であって、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含む識別情報群を用いることを特徴とするものであり、2つの実施態様を有する。本発明の偽造防止用シートの第1実施態様は、上記識別情報群を有する微粒子を有するものである。また、本発明の偽造防止用シートの第2実施態様は、基底部と、上記基底部の表面に形成され、上記識別情報群を有する識別部とを有するものである。
以下、各実施態様に分けて説明する。
【0161】
1.第1実施態様
本実施態様の偽造防止用シートは、上述の微粒子あるいは上述の粒子群が透明樹脂中に分散された微粒子含有層を有することを特徴とするものである。
【0162】
本実施態様の偽造防止用シートについて図面を参照しながら説明する。
図15は本実施態様の偽造防止用シートの一例を示す概略断面図である。図15に示す偽造防止用シート30は、透明樹脂31中に所定の微粒子1が分散された微粒子含有層32からなるものである。
【0163】
本実施態様においては、上述の微粒子または上述の粒子群を含有する微粒子含有層を有するので、高度な認証が可能であり、本実施態様の偽造防止用シートを用いることにより、偽造防止効果に優れた偽造防止媒体を得ることが可能である。また、微粒子または粒子群を偽造防止媒体に適用する際に、微粒子または粒子群を含有するインクを支持体上に塗布する場合には、インクの塗布量が少ないと支持体上に微粒子または粒子群が存在していない可能性があり、偽造防止効果が得られないおそれがあるが、本実施態様においては、偽造防止用シートにおける微粒子の個数が予め分かった状態で、偽造防止媒体に適用することができるので、確実に偽造防止効果を達成することができる。さらに本実施態様においては、偽造防止用シートにおける微粒子の位置についてマッピングを行うことが可能であり、高度な偽造防止を実現することが可能である。また、本実施態様の偽造防止用シートは偽造防止媒体への適用が容易であるという利点も有する。さらには、本実施態様の偽造防止用シートは他のシートとの積層も容易であり、付加価値を高めることができる。
【0164】
図16は本実施態様の偽造防止用シートの例を示す概略断面図である。図16に示す偽造防止用シート30においては、剥離層33と、粘着層34と、透明樹脂31中に所定の微粒子1が分散された微粒子含有層32とが順に積層されている。
【0165】
図17は本実施態様の偽造防止用シートの他の例を示す概略断面図である。図17に示す偽造防止用シート30は、基材35と、基材35上に形成され、透明樹脂31中に所定の微粒子1が分散された微粒子含有層32とを有し、微粒子含有層32側に粘着層34および剥離層33が順に積層されている。
【0166】
図18は本実施態様の偽造防止用シートの他の例を示す概略断面図である。図18に示す偽造防止用シート30は、基材35と、基材35上に形成され、透明樹脂31中に所定の微粒子1が分散された微粒子含有層32と、微粒子含有層32上に形成されたハードコート層36とを有し、基材35側に粘着層34および剥離層33が順に積層されている。
【0167】
図19は本実施態様の偽造防止用シートの他の例を示す概略断面図である。図19に示す偽造防止用シート30においては、剥離層33と、粘着層34と、ホログラム層37と、透明樹脂31中に所定の微粒子1が分散された微粒子含有層32とが順に積層されている。
【0168】
図20は本実施態様の偽造防止用シートの他の例を示す概略断面図である。図20に示す偽造防止用シート30は、基材35と、基材35上に形成され、透明樹脂31中に所定の微粒子1が分散された微粒子含有層32と、微粒子含有層32上に形成されたハードコート層36とを有し、基材35側にホログラム層37と粘着層34と剥離層33とが順に積層されている。
【0169】
このように、本実施態様の偽造防止用シートは、微粒子含有層以外に他の構成を有していてもよい。
以下、本実施態様の偽造防止用シートにおける各構成について説明する。
【0170】
(1)微粒子含有層
本実施態様における微粒子含有層は、上述の微粒子あるいは上述の粒子群が透明樹脂中に分散されたものである。
なお、微粒子については上記「A.微粒子」の項に記載し、粒子群については上記「B.粒子群」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0171】
微粒子含有層が上記「A.微粒子」の項に記載した微粒子を含有する場合には、微粒子としては、1種類の微粒子を用いてもよく、2種以上の微粒子を用いてもよい。例えば、2種類以上の微粒子を用いる場合には、所定の意味を表現するように微粒子を組み合わせて使用することができる。
【0172】
本実施態様に用いられる透明樹脂の光透過性としては、微粒子含有層中の微粒子が観察可能であれば特に限定されないが、透明樹脂からなる層を微粒子含有層と同じ厚みで形成したときに、可視領域における全光線透過率が10%以上であることが好ましい。
なお、上記全光線透過率は、JIS K 7105に準拠して測定した値である。
【0173】
透明樹脂としては、上記光透過性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも用いることができる。中でも、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂好ましく、特に光硬化性樹脂が好ましい。例えば図17、図18および図20に示すように、基材35上に微粒子含有層32が形成されている場合には、光硬化性樹脂を用いることにより、耐熱性の低い基材も使用することが可能となり、用途の選択肢が広がるからである。また、偽造防止用シートの生産効率を向上させることができるからである。
透明樹脂は、上記「C.偽造防止用インク」の項に記載した透明樹脂成分を固化させたものとすることができる。
【0174】
微粒子含有層中の微粒子の含有量としては、本実施態様の偽造防止用シートを偽造防止媒体に用いた場合に、微粒子による真贋判定が可能であれば特に限定されるものではないが、微粒子含有層1cm当たりに少なくとも1個以上の微粒子が含有されていることが好ましい。
【0175】
また、微粒子含有層が基材上に形成されている場合には、微粒子含有層は基材上に一面に形成されていてもよくパターン状に形成されていてもよい。微粒子含有層のパターン形状が所定の意味を表す形状である場合には、微粒子を隠し情報として利用することができ、偽造防止効果を高めることができる。
【0176】
微粒子含有層の膜厚としては、本実施態様の偽造防止用シートを偽造防止媒体に用いた場合に、微粒子による真贋判定が可能であれば特に限定されるものではなく、本実施態様の偽造防止用シートの層構成や微粒子含有層に含まれる透明樹脂の種類等に応じて適宜選択される。例えば図17、図18および図20に示すように、基材35上に微粒子含有層32が形成されている場合には、微粒子含有層の膜厚は比較的薄くともよい。一方、図15に例示するように、微粒子含有層32が単独で形成されている場合には、自己支持性の観点から、微粒子含有層の膜厚は比較的厚いことが好ましい。また、微粒子含有層に含まれる透明樹脂が硬化性樹脂である場合には、割れを抑制する観点から、微粒子含有層の膜厚は比較的薄いことが好ましい。
具体的に、微粒子含有層の膜厚は、0.1μm〜500μm程度とすることができ、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
【0177】
微粒子含有層の形成方法としては、例えば、上述の偽造防止用インクを塗布し、固化させる方法が挙げられる。例えば図17、図18および図20に示すように、基材35上に微粒子含有層32が形成されている場合には、基材上に偽造防止用インクを塗布し、固化させることで、微粒子含有層を形成することができる。また、図15に例示するように、微粒子含有層32が単独で形成されている場合には、基板上に偽造防止用インクを塗布し、固化させた後、基板から微粒子含有層を剥離することで、微粒子含有層を単独で得ることができる。この際に用いられる基板としては、光透過性を有していても有さなくてもよく、例えば、ガラス基板、樹脂基板等を用いることができる。
【0178】
偽造防止用インクの塗布方法としては、任意の方法を用いることができる。
また、偽造防止用インクの固化方法としては、透明樹脂の種類に応じて適宜選択される。硬化性樹脂の場合には、光や熱による硬化方法が用いられる。熱可塑性樹脂の場合には、冷却する方法が用いられる。
【0179】
(2)基材
本実施態様においては、図17、図18および図20に例示するように、微粒子含有層32が基材35上に形成されていてもよい。本実施態様の偽造防止用シートの強度を高めることができ、また取扱い性が良好となるからである。中でも、微粒子含有層に含まれる透明樹脂が硬化性樹脂である場合には、微粒子含有層の割れを抑制する観点から、微粒子含有層は比較的薄いことが好ましいので、基材上に微粒子含有層が形成されていることが好ましい。また、本実施態様の偽造防止用シートを偽造防止媒体に適用した際に、図17に例示するように、基材35が微粒子含有層32よりも表面側となるように配置されている場合には、基材により微粒子含有層を保護することもできる。図17および図20に例示する層構成の場合には、透明基材が用いられ、図18に例示する層構成の場合には、不透明基材を使用することもできる。
【0180】
本実施態様に用いられる基材は、光透過性を有していてもよく有さなくてもよく、基材の形成位置により適宜選択される。本実施態様の偽造防止用シートを偽造防止媒体に適用した際に、図17に例示するように、基材35が微粒子含有層32よりも表面側となるように配置されている場合や、図20に例示するように、基材35がホログラム層37よりも表面側となるように配置されている場合には、基材は光透過性を有することが好ましい。一方、本実施態様の偽造防止用シートを偽造防止媒体に適用した際に、図18に例示するように、基材35が微粒子含有層32よりも裏面側となるように配置されている場合には、基材は光透過性を有していてもよく有さなくてもよい。
【0181】
基材が光透過性を有する場合、その光透過性としては、微粒子含有層中の微粒子が観察可能であれば特に限定されないが、可視領域における全光線透過率が10%以上であることが好ましい。
【0182】
また、基材は、フレキシブル性を有することが好ましい。本実施態様の偽造防止用シートを種々の形状の偽造防止媒体に適用することが可能となるからである。
【0183】
このような基材としては、一般的な樹脂基材を用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂基材を挙げることができる。
【0184】
また、基材の表面は、微粒子含有層との密着性を向上させるために、易接着処理が施されていることが好ましい。易接着処理としては、微粒子含有層および基材を接着させることができれば特に限定されるものではなく、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理等の物理的処理、あるいは、クロム酸、シランカップリング剤、プライマー剤等を使用した化学的処理を挙げることができる。
中でも、プライマー剤を用いた化学的処理であることが好ましい。プライマー剤は、基材製造時に処理されるものと、製造後の基材表面に処理されるものと、いずれの場合も好適である。プライマー剤で処理した基材としては、市販されているものを用いることができる。また、製造後の基材表面を処理するプライマー剤としては、上記偽造防止用インクと密着するものであればよい。
【0185】
基材の厚みは、本実施態様の偽造防止用シートの用途や種類等に応じて適宜選択されるものであるが、1μm〜800μm程度とすることができ、好ましくは10μm〜50μmの範囲内である。
【0186】
(3)粘着層
本実施態様においては、図16〜図20に例示するように、微粒子含有層32上に粘着層34が積層されていてもよい。粘着層を介して、本実施態様の偽造防止用シートを貼付することができるからである。
【0187】
粘着層は、基材上に微粒子含有層が形成されている場合、基材側に積層されていてもよく、微粒子含有層側に積層されていてもよい。微粒子含有層上に後述のハードコート層が形成されている場合には、ハードコート層とは反対側の面に粘着層が配置される。また、微粒子含有層とホログラム層とが積層されている場合には、ホログラム層側に粘着層が配置される。
【0188】
粘着層の材料としては、粘着層を介して本実施態様の偽造防止用シートを貼付することができれば特に限定されるものではなく、例えば、熱可塑系、熱硬化系、光硬化系、エラストマー系のいずれも用いることができ、偽造防止用シートの用途や種類等に応じて適宜選択される。偽造防止用シートを転写箔として使用する場合には、ヒートシール性を有する粘着層が用いられる。
【0189】
粘着層の膜厚は、粘着層を介して本実施態様の偽造防止用シートを貼付することができれば特に限定されるものではなく、例えば1μm〜100μm程度とすることができる。
粘着層の形成方法は、公知の方法を用いることができる。
【0190】
(4)剥離層
本実施態様においては、図16〜図20に例示するように、微粒子含有層32上に粘着層34と剥離層33とが順に積層されていてもよい。粘着層および剥離層が積層されていることにより、本実施態様の偽造防止用シートの取り扱いが容易になるからである。
本実施態様の偽造防止用シートは、偽造防止媒体に適用される際には、剥離層を剥がして用いられる。
【0191】
剥離層としては、剥離性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、一般的な樹脂基材を用いることができる。
【0192】
(5)ハードコート層
本実施態様においては、図18および図20に例示するように、微粒子含有層32上にハードコート層36が形成されていてもよい。ハードコート層により微粒子含有層を保護することができるからである。
ハードコート層は、本実施態様の偽造防止用シートを偽造防止媒体に適用した際に、図18および図20に例示するように、ハードコート層36が微粒子含有層32よりも表面側となるように配置される。
【0193】
ハードコート層は光透過性を有する。ハードコート層の光透過性としては、微粒子含有層中の微粒子が観察可能であれば特に限定されないが、可視領域における全光線透過率が10%以上であることが好ましく、中でも50%以上であることが好ましく、特に80%以上であることが好ましい。
【0194】
ハードコート層の材料としては、上記光透過性を満たし、微粒子含有層を保護することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、光硬化性樹脂を用いることができる。
【0195】
ハードコート層の膜厚は、微粒子含有層を保護することができれば特に限定されるものではなく、例えば1μm〜100μm程度とすることができる。
ハードコート層の形成方法は、公知の方法を用いることができる。
【0196】
(6)ホログラム層
本実施態様においては、図19および図20に例示するように、微粒子含有層32上にホログラム層37が積層されていてもよい。ホログラム層により偽造防止効果を高めることができるからである。
【0197】
ホログラム層の種類としては特に限定されるものではなく、レリーフ型ホログラム層であってもよく、体積型ホログラム層であってもよい。レリーフ型ホログラム層は生産性に優れており、一方で体積型ホログラム層は偽造防止効果に優れている。
ホログラム層としては公知のものを使用することができる。
【0198】
ホログラム層は、本実施態様の偽造防止用シートを偽造防止媒体に適用した際に、図19および図20に例示するように、ホログラム層37が微粒子含有層32よりも裏面側になるように配置される。これにより、微粒子含有層をホログラム層の保護層として利用することができる。
【0199】
(7)偽造防止用シート
本実施態様の偽造防止用シートの形態としては、枚葉であってもよく長尺であってもよい。
【0200】
また、本実施態様の偽造防止用シートの形状としては、特に限定されるものではなく、矩形、多角形、円形、楕円形、その他、任意の形状とすることができる。本実施態様の偽造防止用シートの形状が所定の意味を表す形状である場合には、微粒子または粒子群を隠し情報として利用することができる。
【0201】
本実施態様の偽造防止用シートの検査方法としては、例えば図21に示すように、偽造防止用シート30にLED照明51で光を照射し、カメラ(ラインセンサ)52により画像を取得する方法を挙げることができる。図21においては、偽造防止用シート30に対してカメラ52と反対側にLED照明51を配置して、透過光を観察しているが、図示しないが、偽造防止用シートに対してカメラと同じ側にLED照明を配置して、反射光を観察してもよい。
偽造防止用シートの検査装置では、微粒子の位置をマッピングし、データベースに保存し、照合が可能である。
検査において、微粒子含有層に微粒子が含有されていない領域があった場合には、レーザーマーキング装置を使用し、微粒子が含有されていない領域にマーキングを行い、偽造防止用シートを所定の形状とする際に排除してもよい。
【0202】
本実施態様の偽造防止用シートは、そのままラベルとして使用したり、転写箔として使用したりすることが可能である。また、偽造防止用シートは、ホログラム層を有する場合には、ホログラムラベルやホログラム転写箔として使用することもできる。さらに、偽造防止用シートは、偽造防止媒体へのラミネートフィルムとして使用することもできる。
偽造防止用シート自体は光透過性を有するものとすることができるので、様々な偽造防止媒体に適用することができる。
【0203】
さらに、本実施態様の偽造防止用シートを偽造防止媒体に適用する際には、偽造防止媒体の表面に偽造防止用シートを固着してもよく、偽造防止媒体が複数層から構成される場合には、偽造防止媒体の内部に偽造防止用シートを埋め込んでもよく、偽造防止媒体が紙で構成される場合には、偽造防止用シートを細長く切断し、紙に抄き込んでもよい。偽造防止媒体の表面に偽造防止用シートを固着する場合には、偽造防止用シートをそのまま貼付してもよく、転写箔加工を行って転写してもよい。転写方法としては、熱転写法が挙げられる。
なお、偽造防止媒体については、後述の「F.偽造防止媒体」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
【0204】
2.第2実施態様
本実施態様の偽造防止用シートは、基底部と、上記基底部の表面に形成され、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を有する識別部とを有する偽造防止用シートであって、上記識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含むことを特徴とするものである。
【0205】
本実施態様の偽造防止用シートは、2つの態様を有する。以下、各態様に分けて説明する。
【0206】
(1)第1態様
本態様の偽造防止用シートは、基底部と、上記基底部の表面に形成され、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を有する識別部とを有する偽造防止用シートであって、上記識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含むことを特徴とするものである。
【0207】
本態様の偽造防止用シートについて図面を参照しながら説明する。
図22(a)は本態様の偽造防止用シートの一例を示す概略斜視図であり、図22(b)は図22(a)において破線で示される枠10の拡大図であり、図22(c)は図22(a)のE−E線断面図である。図22(a)〜(c)に示すように、偽造防止用シート40は、基底部41と、基底部41上に形成された凸部43を備える複数の凹凸形状を有する識別部42とを有している。各凸部43は、拡大することにより識別可能な第1識別情報3(数字「1」)と第2識別情報4(文字「A」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「A」)は、第1識別情報3(数字「1」)よりも小さく、第1識別情報3(数字「1」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
【0208】
図23(a)は本態様の偽造防止用シートの他の例を示す概略斜視図であり、図23(b)は図23(a)において破線で示される枠10の拡大図であり、図23(c)は図23(a)のF−F線断面図である。図23(a)〜(c)に示すように、偽造防止用シート40は、基底部41と、基底部41上に形成された凹部44を備える複数の凹凸形状を有する識別部42とを有している。各凹部44は、拡大することにより識別可能な第1識別情報3(数字「1」)と第2識別情報4(文字「A」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「A」)は、第1識別情報3(数字「1」)よりも小さく、第1識別情報3(数字「1」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
【0209】
図24(a)は本態様の偽造防止用シートの他の例を示す概略斜視図であり、図24(b)は図24(a)において破線で示される枠10の拡大図である。図24(a)、(b)に示すように、偽造防止用シート40は、基底部41と、基底部41上に形成された凸部43または凹部44を備える複数の凹凸形状を有する識別部42とを有している。各凸部43および凹部44は、拡大することにより識別可能な第1識別情報3(数字「1」)と第2識別情報4(文字「A」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「A」)は、第1識別情報3(数字「1」)よりも小さく、第1識別情報3(数字「1」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
【0210】
図22(a)〜(c)、図23(a)〜(c)、図24(a)、(b)に例示する偽造防止用シート40を用いた真贋判定においては、まず、低倍率で拡大して第1識別情報3(数字「1」)を確認する第一段階の認証を行い、次に、高倍率で拡大して第2識別情報4(文字「A」)を確認する第二段階の認証を行う。このように、二つの認証段階を設定して真贋判定を行うことができる。また、第2識別情報4(文字「A」)は、第1識別情報3(数字「1」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるため、第1識別情報3(数字「1」)よりも第2識別情報4(文字「A」)の認証レベルが高くなる。
【0211】
このように本態様においては、凸部または凹部が有する識別情報群が第1識別情報および第2識別情報を含むので、第1識別情報を確認する第一段階の認証と、第2識別情報を確認する第二段階の認証という多段階の認証を行うことができ、高度な認証が可能となる。
また本態様においては、第2識別情報は第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるため、第2識別情報の存在および詳細を悟られにくくすることができ、第1識別情報よりも第2識別情報の認証レベルが高くなるので、優れた偽造防止効果を得ることができる。
【0212】
また本態様においては、第1識別情報および第2識別情報は拡大することにより識別可能であるので、識別部を拡大して第1識別情報および第2識別情報を確認することにより、容易に真贋判定を行うことができる。さらに、第2識別情報は第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるので、第1識別情報を識別可能な任意の倍率で識別部を拡大して第1識別情報のみ確認することにより、簡易的に真贋判定を行うこともできる。
さらに本態様においては、識別部は、第1識別情報だけでなく、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報も有するので、識別部の形成が複雑で、模倣および複製が困難であり、高い偽造防止効果とともに牽制効果を得ることが可能である。
【0213】
また、上記第1実施態様の偽造防止用シートにおいては、微粒子の位置や向き等の制御が難しく、識別情報の確認が困難となる可能性があるが、本態様によれば、基底部上に識別情報を有する凸部または凹部を備える凹凸形状を有する識別部が形成されているので、一定の面積を有する偽造防止用シートに対して、凸部または凹部の数および位置を予め決めることができるため、識別情報の確認を容易に行うことが可能であり、真贋判定を短時間で正確に行うことが可能となる。さらに、本態様においては、偽造防止用シートにおける凸部または凹部の数および位置が予め分かった状態で、偽造防止媒体に適用することができるので、確実に偽造防止効果を達成することが可能であるとともに、高度な偽造防止を実現することが可能である。
また、本態様の偽造防止用シートは偽造防止媒体への適用が容易であるという利点も有する。さらには、本態様の偽造防止用シートは他のシートとの積層も容易であり、付加価値を高めることができる。
【0214】
なお、「凸部」とは、偽造防止用シートの識別部側の表面の識別情報を有さない部分に対して凸形状である部分をいう。また、「凹部」とは、偽造防止用シートの識別部側の表面の識別情報を有さない部分に対して凹形状である部分をいう。
「凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状」とは、凸部または凹部が形成されてなる形状をいう。
【0215】
また、「識別部が凹凸形状を有する」とは、識別部が1つの凹凸形状を有する場合だけではなく、複数の凹凸形状を有する場合を含む概念である。
「1つの凹凸形状」とは、1つの凸部が形成されてなる凹凸形状、1つの凹部が形成されてなる凹凸形状をいう。また、「複数の凹凸形状」とは、複数の凸部が形成されてなる凹凸形状、複数の凹部が形成されてなる凹凸形状、1つの凸部および1つの凹部が形成されてなる凹凸形状、複数の凸部および複数の凹部が形成されてなる凹凸形状をいう。
【0216】
以下、本態様の偽造防止用シートにおける各構成について説明する。
【0217】
(a)識別部
本態様における識別部は、基底部の表面に形成され、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を有するものであり、識別情報群は、第1識別情報と、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含む。
以下、識別部における各構成について説明する。
【0218】
(i)識別情報群
本態様における識別情報群は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含むものであり、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含むものである。
なお、識別情報群については、上記「A.微粒子」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0219】
第1識別情報または他の識別情報が形状である場合、形状は、凸部または凹部の外形形状である。
また、第1識別情報または他の識別情報が曲面を有する立体形状である場合、凸部上面または凹部底面が曲面を有することになる。
【0220】
第1識別情報または第2識別情報が印(しるし)である場合、印の形成方法としては、凸部または凹部の一部に所望の印を形成することができる方法であれば特に限定されない。例えば、印刷法を用いて凸部または凹部の一部に印を形成する方法、凸部または凹部の一部に賦型することにより印を形成する方法、凸部または凹部を形成する際に同時に印を形成する方法等を挙げることができる。
【0221】
(ii)凹凸形状
本態様における凹凸形状は、上記識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備えるものである。
【0222】
凸部または凹部の大きさとしては、凸部または凹部が上記識別情報群を有することが可能な大きさであれば特に限定されるものではない。第1識別情報が形状である場合には、凸部または凹部の大きさは、第1識別情報と同様に、拡大することにより識別可能な大きさとされる。具体的には、凸部または凹部の大きさは、300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましい。凸部または凹部が大きすぎると、目視で観察可能となり、偽造防止効果が低下するおそれがあるからである。また、凸部または凹部の大きさは、ルーペ等の簡易拡大器具を用いて観察可能であることが好ましく、具体的には50μm以上であることが好ましい。簡易拡大器具での観察が可能であれば、容易に真贋判定することができるからである。また、凸部または凹部が小さすぎると、凸部または凹部が所望の識別情報を有することが困難となったり、簡易拡大器具での観察が難しく、より高度な拡大器具を用いる必要があり、真贋判定が複雑化したりする可能性があるからである。
【0223】
凸部の高さまたは凹部の深さとしては、凸部または凹部を基底部表面に形成可能であり、凸部または凹部が上記識別情報群を有することが可能であれば特に限定されるものではないが、0.1μm〜500μmの範囲内、中でも1μm〜100μmの範囲内、特に5μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。凸部の高さまたは凹部の深さが上記範囲であれば、光の反射により凸部または凹部を視認しやすく、容易に識別可能となる。一方、凸部の高さまたは凹部の深さが小さすぎる場合または大きすぎる場合は、凸部または凹部に所望の識別情報を付与することが困難となる場合があるからである。
【0224】
なお、凸部の高さは、図22(c)に例示するように、偽造防止用シート40の凸部43が形成されていない部分の表面から凸部43の頂部までの距離xを指す。
また、凹部の深さは、図23(c)に例示するように、偽造防止用シート40の凹部44が形成されていない部分の表面から凹部44の底部までの距離yを指す。
凸部の高さ(x)または凹部の深さ(y)は、上述した破壊式または非破壊式の検査方法にて測定することができる。
【0225】
また、凸部または凹部の大きさ(u)と凸部の高さ(x)または凹部の深さ(y)とはそれぞれ、x/u≧1/100またはy/u≧1/100を満たすことが好ましく、中でもx/u≧30またはy/u≧30、さらにx/u≧20またはy/u≧20、特にx/u≧10またはy/u≧10であることが好ましい。凸部または凹部の大きさ(u)に対する凸部の高さ(x)または凹部の深さ(y)の比が上記範囲であれば、光の反射により凸部または凹部を視認しやすく、容易に識別可能となるからである。一方、上記の比が小さすぎる場合または大きすぎる場合は、所望の識別情報を有する凸部または凹部を形成することが困難となる場合があるからである。
【0226】
なお、凸部または凹部の大きさ(u)は、凸部または凹部の平面視の大きさである。
凸部または凹部の大きさ(u)は、上述した破壊式または非破壊式の検査方法にて測定することができる。
【0227】
識別部は、1つの凹凸形状を有していてもよく、複数の凹凸形状を有していてもよい。すなわち、識別部は、1つの凹部または1つの凸部を有していてもよく、複数の凸部または複数の凹部を有していてもよく、1つの凸部および1つの凹部を有していてもよく、複数の凸部および複数の凹部を有していてもよい。中でも、識別部は、複数の凹凸形状を有することが好ましい。識別部が複数の凹凸形状を有することで、本態様の偽造防止用シートに種々の識別情報を付与することができるため、偽造防止機能を向上させることができるからである。
【0228】
凸部または凹部の個数としては、1個以上であれば特に限定されるものではなく、本態様の偽造防止用シートの用途や、本態様の偽造防止用シートが適用される偽造防止媒体の用途により適宜選択されるものであるが、10個〜1,000,000,000個の範囲内、中でも100個〜1,000,000個の範囲内であることが好ましい。凸部または凹部の個数が上記範囲に満たない場合は、識別情報群を有する凸部または凹部の位置の特定や、識別情報自体の確認を行う際に多くの時間がかかる可能性があるからである。
【0229】
識別部が複数の凹凸形状を有する場合、凸部または凹部が有する識別情報群は同じであってもよく異なっていてもよい。
【0230】
識別部が、識別情報群が異なる凸部または凹部を備える2種類以上の凹凸形状を有する場合、2種類以上の凹凸形状の比率としては、同じであってもよく異なっていてもよい。
【0231】
凸部または凹部の配置としては、識別情報を認識することができる配置であれば特に限定されるものではなく、図22(a)および図23(a)に例示するように凸部または凹部が規則的に配置されていてもよく、図示しないが凸部または凹部が不規則に配置されていてもよい。
【0232】
(iii)識別部
識別部の配置としては、基底部の表面に識別部が形成されていればよく、例えば、識別部が、偽造防止用シートの一部に形成されていてもよく、偽造防止用シートの全面に形成されていてもよい。
【0233】
識別部は基底部の表面に形成されていればよく、例えば、基底部と識別部とが一体で形成されていてもよく、基底部と識別部とが別体で形成されていてもよいが、中でも、基底部と識別部とが一体で形成されていることがより好ましい。本態様の偽造防止用シートを簡便な方法で作製することが可能となるからである。
【0234】
識別部全体の大きさとしては、目視可能な大きさであってもよく、拡大することにより観察可能な大きさであってもよく、本態様の偽造防止用シートの用途により適宜選択される。
【0235】
識別部は、無色であってもよく有色であってもよく、識別部の材料に応じて適宜選択される。
また、識別部は、光透過性を有していてもよく有さなくてもよく、識別部の材料に応じて適宜選択される。
【0236】
識別部の材料としては、上記識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を有する識別部を形成できる材料であれば特に限定されるものではないが、通常、樹脂材料が用いられる。
なお、樹脂材料については、上記「A.微粒子」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0237】
また、識別部は、樹脂材料以外に、紫外線発光材料、赤外線発光材料、赤外線反射材料、赤外線吸収材料、量子ドット材料、磁性材料、着色材料等の機能性材料を含有することができる。
なお、機能性材料については、上記「A.微粒子」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0238】
識別部の形成方法としては、基底部の表面に識別部を形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、上記識別部を構成する凹凸形状と嵌合する形状を有する原版を用い、樹脂層表面に上記識別部を構成する凹凸形状を賦型する方法、樹脂層表面に切削加工を施す方法、フォトリソグラフィー法により感光性樹脂層の露光および現像を行って上記識別部を構成する凹凸形状を形成する方法等が挙げられる。
【0239】
(b)基底部
本態様における基底部は、その表面に上記識別部が形成されるものである。
【0240】
基底部の厚みとしては、基底部の表面に上記識別部を形成することができ、本態様の偽造防止用シートを所望の偽造防止媒体に用いることができる程度の厚みであれば特に限定されるものではないが、具体的には、1μm〜800μmの範囲内、中でも10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。基底部の厚みが上記範囲に満たないと、凹部を有する識別部を形成することが困難となったり、凸部を有する識別部を形成した場合に十分な自己支持性を有することが困難となったりするからである。また、基底部の厚みが上記範囲を超える場合は、本態様の偽造防止用シートが厚膜となるため、本態様の偽造防止用シートを加工することが困難となる可能性があるからである。また、本態様の偽造防止用シートが適用される偽造防止媒体の規格に沿わない場合があるからである。
【0241】
なお、基底部の厚みは、図22(c)や図23(c)に例示するように、偽造防止用シート40の識別部42が形成されていない部分の厚みzを指す。
基底部の厚みについては、上述した破壊式または非破壊式の検査方法にて測定することができる。
識別部が凸部を備える凹凸形状を有する場合は、通常、凸部の高さおよび基底部の厚みの総和である偽造防止用シート全体の厚みと凸部の高さとをそれぞれ測定し、偽造防止用シート全体の厚みと凸部の高さとの差を算出することにより、基底部の厚みが求められる。
【0242】
基底部は、無色であってもよく有色であってもよく、基底部の材料に応じて適宜選択される。
また、基底部は、光透過性を有していてもよく有さなくてもよく、基底部の材料に応じて適宜選択される。
【0243】
なお、基底部の材料については、上記識別部の材料と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0244】
(c)その他の構成部材
本態様の偽造防止用シートは、上記基底部および識別部を有するものであれば特に限定されるものではなく、必要に応じて他の構成部材を有していてもよい。以下、他の構成部材について説明する。
【0245】
(i)金属層
本態様においては、上記識別部上に金属層が形成されていてもよい。識別部上に金属層が形成されていることにより、光の反射により識別部の識別情報を視認しやすく、真贋判定が容易になるとともに、偽造防止効果を向上させることができるからである。特に、後述するように識別部上にハードコート層が形成されている場合、ハードコート層も樹脂を用いて形成されるものであることから、識別部およびハードコート層の屈折率の差が小さいために、識別部とハードコート層との界面が見えにくくなり、凸部または凹部が有する識別情報を視認するのが困難になることが懸念されるが、識別部上に金属層が形成されていることで、識別情報の視認性を高めることが可能となる。
【0246】
金属層の形成方法としては、例えば、蒸着法、メッキ法、スパッタ法等を挙げることができる。
なお、金属層の材料、厚み等については、上記「A.微粒子」の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0247】
(ii)粘着層
本態様の偽造防止用シートの少なくとも一方の表面に粘着層が形成されていてもよい。
粘着層は、本態様の偽造防止用シートの少なくとも一方の表面に形成されていればよく、例えば、本態様の偽造防止用シートの識別部側の面に形成されていてもよく、本態様の偽造防止用シートの基底部側の面に形成されていてもよく、本態様の偽造防止用シートの両面に形成されていてもよい。
【0248】
なお、粘着層については、上記第1実施態様の偽造防止用シートの項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0249】
(iii)剥離層
本態様の偽造防止用シートが上記粘着層を有する場合には、粘着層上に剥離層が形成されていてもよい。
なお、剥離層については、上記第1実施態様の偽造防止用シートの項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0250】
(iv)基材
本態様においては、上記基底部および識別部が基材上に形成されていてもよい。
なお、基材については、上記第1実施態様の偽造防止用シートの項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0251】
(v)ハードコート層
本態様においては、上記識別部上にハードコート層が形成されていてもよい。
なお、ハードコート層については、上記第1実施態様の偽造防止用シートの項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0252】
(vi)ホログラム層
本態様の偽造防止用シートの基底部側の表面にホログラム層が積層されていてもよい。
なお、ホログラム層については、上記第1実施態様の偽造防止用シートの項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0253】
(d)偽造防止用シート
偽造防止用シートの形態、形状、使用等については、上記第1実施態様と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0254】
(2)第2態様
本態様の偽造防止用シートは、基底部と、上記基底部の表面に形成され、拡大することにより識別可能な識別情報を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える複数の凹凸形状を有する識別部とを有する偽造防止用シートであって、上記識別部は、上記識別部を構成するすべての上記凹凸形状の上記凸部または凹部で共通する共通識別情報と、上記識別部を構成する一の上記凹凸形状の上記凸部または凹部および他の上記凹凸形状の上記凸部または凹部で異なる非共通識別情報とを有し、少なくとも一部の上記凹凸形状は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状であり、上記識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含み、上記第1識別情報および上記第2識別情報のうち、一方を上記共通識別情報、他方を上記非共通識別情報として用いることを特徴とするものである。
【0255】
本態様の偽造防止用シートについて図面を参照しながら説明する。
図25(a)は本態様の偽造防止用シートの一例を示す概略斜視図であり、図25(b)は図25(a)において破線で示される枠10Aの拡大図であり、図25(c)は図25(a)において破線で示される枠10Bの拡大図である。図25(a)〜(c)に示すように、偽造防止用シート40は、基底部41と、基底部41上に形成された凸部43A,43Bを備える複数の凹凸形状を有する識別部42とを有している。
各凸部43Aは、拡大することにより識別可能な第1識別情報3(文字「A」)と第2識別情報4(文字「a」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「a」)は、第1識別情報3(文字「A」)よりも小さく、第1識別情報3(文字「A」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
各凸部43Bは、拡大することにより識別可能な第1識別情報3(文字「A」)と第2識別情報4(文字「b」)とを含む識別情報群2を有している。第2識別情報4(文字「b」)は、第1識別情報3(文字「A」)よりも小さく、第1識別情報3(文字「A」)を識別可能な任意の倍率では識別不可能となっている。
図25(a)〜(c)に例示するように、凸部43A,43Bでは、第1識別情報3(文字「A」)が共通しており共通識別情報21であり、第2識別情報4(文字「a」、「b」)が異なり非共通識別情報22である。
図25(a)〜(c)に例示する偽造防止用シート40用いた真贋判定においては、まず、低倍率で拡大して、識別部42が、凸部43A,43Bに、第1識別情報3である文字「A」という共通識別情報21を有することを確認するという第一段階の認証を行う。次いで、高倍率で拡大して、識別部42が、凸部43A,43Bに、第1識別情報3を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報4である文字「a」、「b」という非共通識別情報22を有することを確認するという第二段階の認証を行う。このように二つの認証段階を設定して真贋判定を行う。
第2識別情報4は、第1識別情報3を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるので、第1識別情報3よりも第2識別情報4の認証レベルが高くなる。また、第2識別情報4が非共通識別情報22として用いられ、非共通識別情報22は凸部43A,43Bで異なる情報であるので、非共通識別情報22の認証レベルはさらに高くなる。
【0256】
本態様においては、識別部が、すべての凹凸形状の凸部または凹部で共通する共通識別情報と、一の凹凸形状の凸部または凹部および他の凹凸形状の凸部または凹部で異なる非共通識別情報とを有するので、識別部を構成する複数の凹凸形状について、共通識別情報の認証と非共通識別情報の認証という多段階の認証を行うことができ、高度な認証が可能となる。
【0257】
また本態様においては、第2識別情報は第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であるため、第2識別情報の存在および詳細を悟られにくくすることができ、第1識別情報よりも第2識別情報の認証レベルが高くなる。また、非共通識別情報は、一の凹凸形状の凸部または凹部および他の凹凸形状の凸部または凹部で異なる情報であるので、非共通識別情報の認証レベルが高くなる。第1識別情報および第2識別情報は、一方が共通識別情報、他方が非共通識別情報として用いられているので、優れた偽造防止効果を得ることができる。
【0258】
また本態様においては、第1識別情報および第2識別情報は拡大することにより識別可能であり、第1識別情報および第2識別情報のうち、一方は共通識別情報、他方は非共通識別情報であるので、微粒子を拡大して共通識別情報および非共通識別情報を確認することにより、容易に真贋判定を行うことができる。
さらに、第2識別情報は第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能であり、第1識別情報は共通識別情報または非共通識別情報であるので、第1識別情報を識別可能な任意の倍率で微粒子を拡大して第1識別情報のみ確認し、共通識別情報または非共通識別情報のいずれか一方のみを確認することにより、真正性を保証することができ、簡易的に真贋判定を行うこともできる。
【0259】
さらに本態様においては、識別部が、第1識別情報だけでなく、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報も有するので、識別部の形成が複雑で、模倣および複製が困難であり、高い偽造防止効果とともに牽制効果を得ることが可能である。
【0260】
また、上記第1実施態様の偽造防止用シートにおいては、微粒子の位置や向き等の制御が難しく、識別情報の確認が困難となる可能性があるが、本態様によれば、基底部上に識別情報を有する凸部または凹部を備える凹凸形状を有する識別部が形成されているので、一定の面積を有する偽造防止用シートに対して、凸部または凹部の数および位置を予め決めることができるため、識別情報の確認を容易に行うことが可能であり、真贋判定を短時間で正確に行うことが可能となる。さらに、本態様においては、偽造防止用シートにおける凸部または凹部の数および位置が予め分かった状態で、偽造防止媒体に適用することができるので、確実に偽造防止効果を達成することが可能であるとともに、高度な偽造防止を実現することが可能である。
また、本態様の偽造防止用シートは偽造防止媒体への適用が容易であるという利点も有する。さらには、本態様の偽造防止用シートは他のシートとの積層も容易であり、付加価値を高めることができる。
【0261】
以下、本態様の偽造防止用シートにおける各構成について説明する。
【0262】
(a)識別部
本態様における識別部は、基底部の表面に形成され、拡大することにより識別可能な識別情報を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える複数の凹凸形状を有するものである。識別部は、識別部を構成するすべての凹凸形状の凸部または凹部で共通する共通識別情報と、識別部を構成する一の凹凸形状の凸部または凹部および他の凹凸形状の凸部または凹部で異なる非共通識別情報とを有する。また、少なくとも一部の凹凸形状は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状であり、識別情報群は、第1識別情報と、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含む。これらの第1識別情報および第2識別情報のうち、一方が共通識別情報、他方が非共通識別情報として用いられる。
以下、識別部における各構成について説明する。
【0263】
(i)共通識別情報
本態様における共通識別情報は、識別部を構成するすべての凹凸形状の凸部または凹部で共通する情報である。
なお、共通識別情報については、上記「B.粒子群」の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0264】
(ii)非共通識別情報
本態様における非共通識別情報は、識別部を構成する一の凹凸形状の凸部または凹部および他の凹凸形状の凸部または凹部で異なる情報である。
なお、非共通識別情報については、上記「B.粒子群」の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0265】
(iii)凹凸形状
本態様における凹凸形状は、拡大することにより識別可能な識別情報を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備えるものであり、識別部は、複数の凹凸形状を有する。複数の凹凸形状のうち、少なくとも一部の凹凸形状は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状であり、上記識別情報群は、第1識別情報と、第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含む。
【0266】
なお、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状であって、上記識別情報群は、第1識別情報と、上記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含む凹凸形状については、上記第1態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0267】
複数の凹凸形状は、少なくとも一部の凹凸形状が、第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状であればよい。例えば、すべての凹凸形状が第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状であり、識別部が、第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状のみを有していてもよい。また例えば、一部の凹凸形状が第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状であり、識別部が、第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状と識別情報を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える他の凹凸形状とを有していてもよい。
【0268】
識別情報を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える他の凹凸形状としては、拡大することにより識別可能な識別情報を有しており、第1識別情報および第2識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状と識別情報を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える他の凹凸形状との組み合わせにより、第1識別情報および第2識別情報のうち、一方を共通識別情報、他方を非共通識別情報として用いることができるものであれば特に限定されるものではない。
他の凹凸形状の凸部または凹部が有する識別情報としては、拡大することにより識別可能な情報であれば特に限定されるものではなく、上記第1識別情報と同様とすることができる。
【0269】
識別部を構成する複数の凹凸形状の種類の数としては、2種類以上であればよい。
【0270】
なお、凸部または凹部の大きさ、凸部の高さまたは凹部の深さ、凸部または凹部の個数、凸部または凹部の配置等については、上記第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0271】
(iv)識別部
なお、識別部の配置、識別部全体の大きさ、識別部の材料、識別部の形成方法等については、上記第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0272】
(b)基底部
本態様における基底部は、その表面に上記識別部が形成されるものである。
なお、基底部については、上記第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0273】
(c)その他の構成部材
本態様の偽造防止用シートは、上記基底部および識別部を有するものであれば特に限定されるものではなく、必要に応じて他の構成部材を有していてもよい。
なお、他の構成部材については、上記第1態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0274】
(d)偽造防止用シート
偽造防止用シートの形態、形状、使用等については、上記第1実施態様と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0275】
F.偽造防止媒体
次に、本発明の偽造防止媒体について説明する。
本発明の偽造防止媒体は、上述の微粒子、上述の粒子群、あるいは上述の偽造防止用シートを有することを特徴とするものである。
【0276】
図26(a)、(b)は本発明の偽造防止媒体の一例を示す模式図であり、図26(a)は上面図、図26(b)は図26(a)のG−G線断面図である。図26(a)、(b)に示す偽造防止媒体60においては、支持体61の表面に、上述の微粒子1が透明樹脂31中に分散された微粒子含有層32が固着されている。
【0277】
図27(a)〜(c)は本発明の偽造防止媒体の他の例を示す模式図であり、図27(a)は上面図、図27(b)は図27(a)のH−H線断面図、図27(c)は偽造防止媒体の積層構造を示す斜視図である。図27(a)〜(c)に示す偽造防止媒体60おいては、支持体61上に第1樹脂層62と上述の微粒子1が透明樹脂31中に分散された微粒子含有層32からなる偽造防止用シート30と第2樹脂層63とが積層されており、偽造防止媒体60の内部に偽造防止用シート30が埋め込まれている。偽造防止媒体の内部に偽造防止用シートが埋め込まれている場合には、偽造防止用シートが剥がされて悪用されるのを防ぐことができる。
【0278】
本発明の偽造防止媒体は、上述の微粒子、上述の粒子群、あるいは上述の偽造防止用シートを有するので、偽造防止に非常に有用である。
【0279】
以下、本発明の偽造防止媒体における各構成について説明する。
なお、微粒子については上記「A.微粒子」の項に詳しく記載し、粒子群については上記「B.粒子群」の項に詳しく記載し、偽造防止用シートについては上記「E.偽造防止用シート」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
【0280】
上述の微粒子または粒子群を用いる場合、支持体上に微粒子を固定する方法としては、上述の偽造防止用インク、偽造防止用トナー、偽造防止用シートを用いる方法が挙げられる。偽造防止用インクを用いる場合、支持体上に偽造防止用インクを塗布し、固化させる方法が挙げられる。偽造防止用トナーを用いる場合、支持体上に偽造防止用トナーを転写する方法が挙げられる。偽造防止用シートを用いる場合、支持体の表面に偽造防止用シートを固着する方法、支持体と第1樹脂層と偽造防止用シートと第2樹脂層とを積層する方法、支持体が紙である場合には、偽造防止用シートを細長く切断し、紙に抄き込む方法が挙げられる。支持体の表面に偽造防止用シートを固着する際には、そのまま貼ってもよく、転写してもよい。また、支持体と第1樹脂層と偽造防止用シートと第2樹脂層との積層方法としては、例えば、各層を接着層を介して積層する方法、各層を熱圧着により積層する方法等を挙げることができる。
【0281】
本発明に用いられる支持体としては、本発明の偽造防止媒体の用途に応じて適宜選択されるものである。支持体は、光透過性を有していてもよく有さなくてもよい。支持体の材料としては、例えば、ガラス、樹脂、金属、紙等が挙げられる。
【0282】
また、支持体と第1樹脂層と偽造防止用シートと第2樹脂層とが積層されている場合、第1樹脂層は光透過性を有していてもよく有さなくてもよい。中でも、支持体と第1樹脂層との間に、任意の情報を記録し得るまたは有する機能層(例えば受像層、ホログラム層等)が形成されている場合には、第1樹脂層は光透過性を有することが好ましい。第1樹脂層が光透過性を有する場合、その光透過性としては、偽造防止用シートを構成する基材の光透過性と同様とすることができる。第1樹脂層としては、例えば一般的な樹脂基材を用いることができる。
一方、第2樹脂層は、光透過性を有するものである。第2樹脂層の光透過性としては、偽造防止用シートを構成する基材の光透過性と同様とすることができる。第2基材としては、例えば一般的な樹脂基材を用いることができる。
【0283】
本発明の偽造防止媒体の用途としては、例えば、金券、ギフトカード、クレジットカード、IDカード、パスポート、運転免許証、ブランド品、自動車部品、精密機器部品、家電、化粧品、医薬品、食品、OAサプライ品、スポーツ用品、CD、DVD、ソフトウェア、たばこ、お酒等を挙げることができる。
【0284】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0285】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
6インチのシリコンウェハー表面をHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理した後、ポジ型レジスト(東京応化工業製LA900)を塗布し加熱処理することで20μmの塗膜を形成した。
塗膜を形成したシリコンウェハーに、半導体露光装置(ニコン社製 NSR-2205i14E2)を使用し、第1識別情報および第2識別情報のパターンに対応した濃度階調を有する階調マスクパターンを露光した。露光波長は365nmで露光量は800mJとした。
露光後に現像処理を行い洗浄することによりシリコンウェハー上にレジストの凹凸形状による第1識別情報に対応するパターン(大きさ:300μm)および第2識別情報に対応するパターン(大きさ:15μm)を有する原版を作製した。現像液には東京応化工業製NMD−3を使用し5分間処理し、純水にて洗浄を行った。
【0286】
凹凸によるパターン形状が形成された原版に、UV硬化樹脂を塗布し、その上に易接着処理を行ったPET(東洋紡社製 A4300)(厚み:38μm)を重ね合わせ、UV照射を行って半硬化させて、原版から易接着PETとともにUV硬化樹脂を剥離した。剥離後、完全硬化させるため再度UV照射を行った。
以上の工程により、PET基材上に第1識別情報および第2識別情報の凹凸パターンを形成したシートを作製した。
【符号の説明】
【0287】
1、1A、1B、1C … 微粒子
2 … 識別情報群
3 … 第1識別情報
4 … 第2識別情報
5 … 識別情報
21 … 共通識別情報
22 … 非共通識別情報
30 … 偽造防止用シート
31 … 透明樹脂
32 … 微粒子含有層
33 … 剥離層
34 … 粘着層
35 … 基材
36 … ハードコート層
37 … ホログラム層
40 … 偽造防止用シート
41 … 基底部
42 … 識別部
43、43A、43B … 凸部
44 … 凹部
60 … 偽造防止媒体
61 … 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する微粒子であって、
前記識別情報群は、第1識別情報と、前記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含むことを特徴とする微粒子。
【請求項2】
前記第2識別情報の大きさが、前記第1識別情報の大きさに対して10分の1以下であることを特徴とする請求項1に記載の微粒子。
【請求項3】
拡大することにより識別可能な識別情報を有する複数の微粒子を含有する粒子群であって、
前記粒子群は、前記粒子群に含有されるすべての前記微粒子で共通する共通識別情報と、前記粒子群に含有される一の前記微粒子および他の前記微粒子で異なる非共通識別情報とを有し、
少なくとも一部の前記微粒子は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する微粒子であり、
前記識別情報群は、第1識別情報と、前記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含み、
前記第1識別情報および前記第2識別情報のうち、一方を前記共通識別情報、他方を前記非共通識別情報として用いることを特徴とする粒子群。
【請求項4】
前記第2識別情報の大きさが、前記第1識別情報の大きさに対して10分の1以下であることを特徴とする請求項3に記載の粒子群。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の微粒子あるいは請求項3または請求項4に記載の粒子群を含有することを特徴とする偽造防止用インク。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の微粒子あるいは請求項3または請求項4に記載の粒子群を含有することを特徴とする偽造防止用トナー。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の微粒子あるいは請求項3または請求項4に記載の粒子群が透明樹脂中に分散された微粒子含有層を有することを特徴とする偽造防止用シート。
【請求項8】
基底部と、
前記基底部の表面に形成され、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状を有する識別部と
を有する偽造防止用シートであって、
前記識別情報群は、第1識別情報と、前記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含むことを特徴とする偽造防止用シート。
【請求項9】
基底部と、
前記基底部の表面に形成され、拡大することにより識別可能な識別情報を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える複数の凹凸形状を有する識別部と
を有する偽造防止用シートであって、
前記識別部は、前記識別部を構成するすべての前記凹凸形状の前記凸部または凹部で共通する共通識別情報と、前記識別部を構成する一の前記凹凸形状の前記凸部または凹部および他の前記凹凸形状の前記凸部または凹部で異なる非共通識別情報とを有し、
少なくとも一部の前記凹凸形状は、拡大することにより識別可能な複数の識別情報を含む識別情報群を有する凸部または凹部の少なくとも一方を備える凹凸形状であり、
前記識別情報群は、第1識別情報と、前記第1識別情報を識別可能な任意の倍率では識別不可能な第2識別情報とを含み、
前記第1識別情報および前記第2識別情報のうち、一方を前記共通識別情報、他方を前記非共通識別情報として用いることを特徴とする偽造防止用シート。
【請求項10】
前記第2識別情報の大きさが、前記第1識別情報の大きさに対して10分の1以下であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の偽造防止用シート。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の微粒子、請求項3または請求項4に記載の粒子群、あるいは請求項7から請求項10までのいずれかに記載の偽造防止用シートを有することを特徴とする偽造防止媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−219218(P2012−219218A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88289(P2011−88289)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】