説明

微粒子フィルタおよび使用方法

分析重量測定計量用途に特に適している微粒子フィルタ。微粒子フィルタは、リングで支持されているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)媒体を含み、安定したマイクログラムおよびサブマイクログラムの計量結果をもたらす。支持リングは、PTFEであっても、金属箔であっても、または大気中の水分が変化してもフィルタの質量が変化しないような他の非吸湿性ポリマーであってもよい。フィルタは、導電性フィルタ媒体が導電性リング・デバイスと結合した場合に、フィルタをアースした計量パンまたは他の面上に置くことにより、蓄積した静電荷の放電を容易にする。微粒子フィルタは、フィルタ媒体の各面上に識別記号を印刷することによりフィルタの識別を容易にすることができる。構成要素が化学的に不活性であるために、微粒子フィルタは、排気および周囲空気の試験の際に行う多環式炭化水素の検出中に使用する抽出技術に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は微粒子フィルタおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願)
本願は、2004年2月16日付けの米国仮特許出願第60/545,296号および2004年3月1日付けの米国仮特許出願第60/549,076号の利益を主張する。上記特許出願は、参照により本明細書に組み込むものとする。
【0003】
微粒子フィルタは昔から周知のものであり、広く使用されてきた。種々のタイプの微粒子フィルタが、例えば、広い範囲の試験プロトコルに対する実験室内での空気濾過および分析測定のような異なる用途に数十年間使用されてきた。
【0004】
重量分析が近年重要視されている。重量分析は、物質の重量が、計算の際に使用される基本的測定値であるという原理に基づいている。微粒子フィルタ用途の重量分析の場合には、フィルタが触れた空気の量内の微粒子の重量を計算するために、空気流に触れる前の計量(前計量)の結果と空気流に触れた後の計量(後計量)の結果が比較される。
【0005】
この計算の場合には、前計量のデータおよび後計量のデータに基づく正味の重量が、捕捉した微粒子の結果であって、フィルタ自身の質量の変化でないことが重要である。業界ではもっと少ない正味の重量が関心の的になってきたので、微粒子フィルタ重量分析の正確さおよび精度の要件がますます厳しくなってきている。マイクログラム(0.000001g)レベルまたはサブマイクログラム・レベル(0.0000001g)で正確に計量するための要件は、連邦、州、群および地域環境保護局、燃焼機関メーカーおよびその関連実験室、およびフィルタに付着した微粒子の定性および定量のための抽出技術により、化学種形成を行う実験室からなる、周囲空気汚染市場で重量測定微粒子の実験を行う両方の実験室のための連邦規制法に規定されている。
【0006】
関連するすべての関心事の中で、微粒子フィルタの正味の重量の正確で精度の高い測定が最も重要である。今まで、マイクログラム・レベルおよびサブマイクログラム・レベルで特に性能、安定性および使い勝手が改善された微粒子フィルタおよび種々の用途のために設計された微粒子フィルタは報告されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、粒子サンプリング試験フィルタに関する。このフィルタは、ディーゼル排気試験、空気の品質の監視および一般的な実験室用途で粒子サンプリング・フィルタとして使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、本発明の微粒子フィルタは、フルオロポリマー・フィルタ膜と、フィルタ膜の第1および第2の面に印刷されている識別記号と、フィルタ膜の外周縁に融着している支持リングとを備える。微粒子フィルタは、実質的に非吸湿性であり、水分が不変であり、有機溶媒による溶解に対してほとんど不活性である。一実施形態の場合には、フィルタ膜はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料からなる。
【0009】
他の態様によれば、本発明は、フルオロポリマー・フィルタ膜およびパーフルオロアルコキシ・ポリマー支持リングを備える微粒子フィルタを周囲の試験前の環境と平衡させるステップと、微粒子フィルタの第1および第2の面に印刷されている識別記号により微粒子フィルタを識別するステップと、微粒子フィルタ上に蓄積した静電荷を消散させるステップと、微粒子フィルタを予備計量するステップと、微粒子フィルタを使用して試験的使用を行うステップと、微粒子フィルタを周囲の試験後の環境と平衡させるステップと、微粒子フィルタのクリーンな面上に印刷してある識別記号により微粒子フィルタを識別するステップと、微粒子フィルタを後計量するステップと、予備計量および後計量に基づいて試験的使用内で微粒子フィルタが収集した微粒子の正味の重量を測定するステップとを含む微粒子フィルタを使用する分析重量測定計量方法に関する。
【0010】
さらに他の態様によれば、本発明は、ポリテトラフルオロエチレン・フィルタ膜およびパーフルオロアルコキシ・ポリマー支持リングを備える微粒子フィルタをフィルタ膜の第1および第2の面上に印刷してある識別記号により識別するステップと、フィルタにより微粒子サンプルを収集するステップと、フィルタ膜の第1および第2の面のうちの少なくとも一方の上に印刷してある識別記号によりフィルタを識別するステップと、フィルタから微粒子サンプルを抽出するステップと、多環式芳香族炭化水素(PAH)に対して抽出したサンプルを分析するステップとを含む微粒子フィルタを使用してPAHを検出するための方法に関する。
【0011】
さらに他の態様によれば、本発明は、ポリマーからなる支持リングを、フルオロポリマーからなるフィルタ膜に溶着またはその上に成形するステップと、フィルタ膜の第1の面上に識別記号を印刷するステップと、第1の面上の識別記号から偏倚しているフィルタ膜の第2の面上に識別記号を印刷するステップとを含む分析重量測定計量のために使用する微粒子フィルタの製造方法に関する。好適には、支持リングのポリマーはパーフルオロアルコキシのようなフルオロポリマーである。
【0012】
本発明の微粒子フィルタおよび方法は、改善された効率および透過性、改善された水分安定性、改善された相対湿度安定性、改善された静的安定性、改善された処理を行うためのリング付きまたはリング無し設計、およびある実施形態の場合の自動フィルタ処理および計量を容易にする識別記号またはコードを印刷することができるオプションとしての機能のうちの1つまたは複数の種々の利点を提供する。本発明の微粒子フィルタ・デバイスの実施形態は、蓄積した静電荷の放電を容易にし、改善された識別方法および手段を提供し、微粒子汚染物質および材料を正確に測定するために使用することができる。
【0013】
本発明の上記概要は、本発明の図示の各実施形態または各実施態様を説明するためのものではない。図面および下記の詳細な説明は、これら実施形態をより詳細に例を挙げて説明するためのものである。
【0014】
添付の図面を参照しながら本発明の種々の実施形態の下記の詳細な説明を読めば、本発明をよりよく理解することができるだろう。
【0015】
本発明は種々に修正することができ、別の形にすることができるが、そのいくつかの例示としての特性を図面に示し、詳細に説明する。しかし、本発明は特定の実施形態に制限されないことを理解されたい。それどころか、本発明は、すべての修正、等価物、および添付の特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲内に入る他のものを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、例えば、ディーゼル排気試験の際に粒子サンプリング・フィルタとして使用することができる粒子サンプリング試験フィルタ、および粒子サンプリング試験フィルタの使用方法に関する。本発明の粒子サンプリング・フィルタは、改善された効率および透過性、改善された水分安定性、改善された相対湿度安定性、改善された静的安定性、改善された処理を行うためのリング付きまたはリング無し設計、およびある実施形態の場合の自動フィルタ処理および計量を容易にする識別記号またはコードを印刷することができるオプションとしての機能のうちの1つまたは複数の種々の利点を提供する。本発明の微粒子フィルタ・デバイスの実施形態は、蓄積した静電荷の放電を容易にし、改善された識別方法および手段を提供し、粒子汚染物質および材料を正確に測定するために使用することができる。
【0017】
本発明の実施形態は、燃焼車両排気試験および分析を含む広い範囲の用途および試験方法で使用することができる。多環式芳香族炭化水素(PAH)は、参照により本明細書に組み込むものとする、米国保険省、有毒物質および疾患登録庁の「多環式芳香族炭化水素のための毒物学プロファイル(1995年)」(TOXICOLOGICAL PROFILE FOR POLYCYCLIC AROMATIC HYDROCARBONS (1995))に記載されている。PAHは、石炭、オイル、ガス、木材、ゴミおよび他の有機物質の不完全燃焼中に形成される化学物質のグループであり、例えば煤のような燃焼生成物の一部としての複合混合物として通常発生する。多くのPAHの形は、環境内でのその存在およびレベルを監視する1つの重要な理由である周知の発ガン性物質である。
【0018】
PAHは、ほとんどの場合、住宅地での木材の焼却、自動車およびトラックからの排気のような汚染源から空気中への放出物として環境内に入る。ディーゼル排気微粒子内のPAHの大部分は、主としてフルオアンテン、フェナントレンおよびピレンなどの三環および四環化合物である。ディーゼル排気の大部分はフェナントレンおよびアントラセンである。アセナフテン、フッ素およびフェナントレンは全(粒子相および気相)ディーゼル排気の大分を占めることが分かっている。微粒子PAHの約90〜95%の粒子の直径は3.3ミクロン未満であり、分布のピークは0.4〜1.1ミクロンの範囲にある。粗いおよび中核をなすPAHの微粒子の直径は、0.1ミクロン以下から5ミクロン以上にわたる場合がある。PAHの検出およびラベルの特徴付けは通常フィルタ・サンプリング方法により行われる。しかし、現在の市販の微粒子フィルタは、業界で所望の処理を正確かつ簡単に行うことができない。さらに、周知の微粒子フィルタは、支持リングの気化を考慮に入れていない。そのため、PAHサンプリングのためのこれらの微粒子フィルタの使用は、全体的に正確でない場合がある。本発明の微粒子フィルタおよび方法の一実施形態を使用すれば、例えば車両排気試験の際に収集したPAH粒子を抽出することができる。
【0019】
一態様においては、本発明は、環境および静電荷のような他のパラメータを測定するための、現在の技術レベルの冗長計量プロセス、ロボットによる自動化、および他の分析器具を使用する、自動実験室測定から微粒子フィルタの重量測定性能に影響を与えるパラメータをすでに識別している。これらのパラメータとしては、以下に説明する吸湿性および水分変動、静電荷、およびフィルタ識別等がある。
【0020】
吸湿性および水分変動の点では、周囲の空気からの水は、計量が行われる実験室環境の周囲の水分の含有量により、フィルタに吸収されたり、フィルタから放出されたりする。現在入手することができる市販の微粒子フィルタは、通常、所望の必要とされる正確さおよび5倍の精度に適合することができない。そのため、試験結果は有害ではないにしても、役に立たないものになる。
【0021】
静電荷の点については、微粒子フィルタ内で通常使用する媒体は、静電荷を蓄積し易い。この電荷の効果は計量中のフィルタに正のバイアスをかけることになり、これにより所望の正確さおよび精度の10倍よりも大きい有意の誤差が生じる恐れがある。
【0022】
フィルタ識別の点については、現在のフィルタでは、識別または英数字の刷り込みが行われていなかった。これらのアプローチは、識別がない場合には、外部「キャリア・タグ付け」が必要になる。この方法の場合には、タグにより識別するキャリアを必ず使用しなければならず、そのため、その試験期間中識別したキャリア内にフィルタを収納または保持しなければならない。英数字が印刷されているフィルタの場合でも、手動によるデータ入力または書込みが広く行われていて、両方とも面倒なものであり、エラーを生じ易い。さらに、空気流内に挿入するために通常使用するカセット内にフィルタを入れると、縁部の印刷が読みにくくなる。
【0023】
本発明の微粒子フィルタの種々の実施形態を使用すると、吸湿性の変動が少なくなり、静電荷の消散が改善され、フィルタ識別が向上し、他の利点も得られる。本発明のこれらおよび他の態様については、微粒子フィルタの実施形態の構造および組成の種々の面について、またシステムおよび製造方法、組立ておよび使用について、以下により詳細に説明する。
A.フィルタ媒体
本発明は、ポリプロピレン・スクリム支持体のようなポリマー支持体を含むフルオロポリマー(好適には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))膜を含むことができる。一実施形態の場合には、試験フィルタは、0.5インチ(12.7mm)の水柱および0.5psi(3.4kPa)で0.010インチ(0.254mm)の厚さで、少なくとも1.0cfm/ft(0.3m/min/m)、通常0.5インチ(12.7mm)の水柱および0.010インチ(0.254mm)の厚さで、少なくとも2.0cfm/ft(0.6m/min/m)の空気流を有する。厚さの範囲は約0.005インチ(0.127mm)〜約0.02インチ(0.51mm)であってもよい。試験フィルタは、通常、非常に効率的で、10.5fpm(3.15m/min)の空気速度で0.1μmの粒子の少なくとも99%を、通常は、10.5fpm(3.15m/min)の空気速度で0.1μmの粒子の少なくとも99.5%、より好適には10.5fpm(3.15m/min)の空気速度で0.1μmの粒子の99.99%を捕捉する。
【0024】
ポリマー支持体は、例えば、約0.0100インチ(0.254mm)より薄い、通常、約0.0045インチ(0.114mm)より薄い厚さを有し、0.5インチ(12.7mm)水柱で平方フィート(0.09平方メートル)当たり1分間で少なくとも770立方フィート(22立方メートル)の空気透過性、および華氏65度(摂氏18度)および65%の相対湿度で約1%未満の水分吸収を有するポリプロピレン材料を含むことができる。
【0025】
膜として使用するための適当なポリマー・フィルムとしては、例えば、参照によりそれぞれ本明細書に組み込むものとする米国特許第3,953,566号;4,187,390号;4,945,125号;5,066,683号;5,157,058号および5,362,553号に記載されている拡張ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または例えば、Tetratec#1305(ペンシルベニア州フィラデルフィア所在のDonaldson Membanes社)などの市販のものがある。拡張PTFEフィルムは、通常、微小多孔性構造を形成するために、小繊維により相互に連結している複数のノードを含む。
【0026】
空気濾過および他の用途に使用するための拡張PTFEフィルムは、多くの場合、比較的優れた空気透過性を有する。拡張PTFEフィルムの空気透過性の1つの基準は、フィルムを通して100立方センチメートルの空気が流れるのに要する秒数である。通常、適当な拡張PTFEフィルムの空気透過性は、ニューヨーク州トロイ所在のGurley Precision Instruments社のGurleyデンソメータ、モデル4110により測定した場合、約20秒以下である。好適には、空気透過性は、約6秒以下、より好適には約4秒以下である。
【0027】
孔部の大きさは、試験フィルタを通る流れから防止または制限することができる粒子の有効な範囲を決定する際に役に立つ。多くの場合、膜の平均孔部サイズは約2μm以下である。多くの濾過用途の場合、平均孔部サイズは、約0.05μm〜約3.0μm、好適には約0.2μm〜約3.0μm、より好適には、約1.0μm〜約2.5μmの範囲である。しかし、これより大きいまたは小さい平均孔部サイズを使用することもできる。
【0028】
フィルタを通る流れのもう1つの要因は、膜の多孔性である(すなわち、多孔性でないPTFEの密度に対して膜の密度を比較して測定した膜の容積内の開いた空間の百分率である)。通常、膜の多孔性は、約20%以上および約95%以下である。多くの場合、多くの濾過用途に適している試験フィルタの膜の多孔性は、約70%〜約95%、好適には約80%〜約95%、より好適には約85%〜約95%である。
【0029】
支持体スクリムは、通常、織られたまたは不織の多孔性ポリマー材料から作られる。多くの場合、支持体スクリムは、繊維性材料から作られるが、他の多孔性材料も使用することができる。支持体スクリムの平均孔部サイズは、通常、膜の平均孔部サイズより大きいが、特定の用途の場合には必ずしもそうでなくてもよい。多くの濾過用途に適している支持体スクリムの多孔性は、多くの場合、約20%〜約80%、好適には約30%〜約75%、より好適には約40%〜約70%である。
【0030】
支持体スクリム用の適当なポリマー材料としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリアミド(例えば、ナイロン)のような伸張または焼結プラスチック等がある。支持体スクリムとして使用するための市販の不織材料の例としては、Ahlstrom Filtration, Inc.社(ペンシルベニア州マウントホリースプリングス所在)のHollytex.TMの.#3257、Midwest Filtration社(オハイオ州フェアフィールド所在)のCerex.TMの#100、またはAdvanced Fabrics社(フロリダ州ペンサコラ所在)のCerex等がある。これらの材料は、多くの場合、例えば、0.5オンス/平方ヤード(約17g/m)、1オンス/平方ヤード(約34g/m)および2オンス/平方ヤード(約68g/m)のような種々の重量で入手することができる。支持体スクリムとして使用するための市販の織った材料の例としては、Travis Textiles社(ニューヨーク州ニューヨーク所在)のポリエステル・フィルム(スタイル604、150デニール)等がある。支持体スクリム材料の他の例としては、例えば、Exxon Corp社(イリノイ州バッファロー・グローブ所在)のExxaire XBF−110W、XBF−116W、BF−303WおよびBF−513K2、Amoco Corp社(ジョージア州アトランタ所在)のAP3材料、Poex Technologies Corp社(ジョージア州フェアバーン所在)のX−7744 Porex T3、およびClopay Building Products Co.,Inc.社(オハイオ州シンシナティ所在)のBR−300を含む、種々の伸張または焼結ポリエチレン、ポリプロピレンおよび他のプラスチックがある。一実施形態の場合には、これらの同じ材料も、拡張PTFE膜の代わり、または追加の膜として使用することができる。
B.支持リング
図1を参照すると、一実施形態では、本発明の微粒子フィルタ10は、支持リング14により支持されているフルオロポリマー(例えば、PTFE)フィルタ膜12を含む。支持リング14は、溶着または他の方法によりフィルタ膜12に融着または取り付けることができる。それにより、本発明のフィルタ10のいくつかの実施形態は、安定したマイクログラムおよびサブマイクログラムの計量結果を示す重量測定分析の改善された方法を提供する。フィルタ膜12は、約0.0005インチ(0.013mm)〜約0.0035インチ(0.089mm)、通常は約0.0012インチ(0.031mm)の厚さを有することができる。
【0031】
本発明の他の実施態様によれば、フィルタ支持リング14は、吸湿性変動に影響を与えるある変数として識別されてきた。広い意味で考えると、微粒子フィルタは、上記のように、基板として全面に組み込まれた支持構造を有するもの、および構造的に統合するためにリングにより支持されている膜を有するものを含む2つの分類からなる。いくつかの工業的な特定の関心、特にディーゼル排気および空気の品質試験の際の特定の関心のために、支持リングの設計は通常望ましいものである。実験結果は、支持リングが吸湿性変動に影響を与える問題のある1つの構成要素であることを示している。このように認識されるまで支持リングはそのような構成要素であると考えられていなかった。
【0032】
一実施形態の場合には、支持リング14は、その質量が、例えば相対湿度および露点のような大気中の湿気が変化しても、変化しない材料を含む。支持リング14は、PTFE材料またはPFA材料または当業者であれば周知の他のプラスチック材料を含むことができる。他の実施形態の場合には、支持リング14は、例えばステンレス鋼またはアルミニウムのような金属箔を含む。これらの支持リングはPTFEフィルタ膜12と一緒に非吸湿性フィルタを提供する。
【0033】
好適には、PFAまたは他の支持リング材料は、溶着または他の接着剤を使用しない接着方法でPTFEまたは他のフィルタ膜に取り付けることが好ましい。多くのフルオロポリマーの溶着は問題を抱えている。例えば、PTFEフィルタ膜およびPTFEリングのような別々のPTFE片を一緒に溶着するのは非常に難しいか、不可能であることが分かっている。PFAリングは、PTFEフィルタ膜に溶着するのが遥かに易しく、適当に不活性であり吸湿性を有さないことが分かっている。特に適当な溶着技術としては、熱溶着等があり、超音波溶着を含むことができる。米国特許第4,929,293号および6,289,912号に、チューブおよび弁の形をしているフルオロポリマーに対する溶着技術の例が記載されている。これら米国特許は参照により本明細書に組み込むものとする。リングのポリマーも、フィルタ膜の上にオーバーモールドすることができ、リングと膜との間を非常に強固に接着する。オーバーモールディングは、フィルタ膜、好適には拡張PTFEをリング用の凹部を有する型内に配置するプロセスである。溶融ポリマーがリング凹部に注入され、非溶融拡張PTFEと接触し、それにより接着が行われる。これらのポリマーの接着性を利用して金属リングをフィルタ膜に固定することができる。
【0034】
また、接着剤による接着方法は、例えば、重量測定安定性および/または粒子抽出があまり重要でない用途を有する実施形態で使用することができる。
【0035】
他の支持リング材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロビニルエーテルのポリマー、パーフルオロアルコキシ(PFAとも呼ばれる)、テトラフルオロエチレンとエチレン(ETFEと呼ばれる)のポリマー、フッカポリビニリデン(PVDFと呼ばれる)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン(FEPと呼ばれる)のポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレン・コポリマー(ECTFEと呼ばれる)、ポリメチルペンテン(PMPと呼ばれる)ポリエーテルエーテルケトン(PEEKと呼ばれる)、ポリエステル、ポリプロピレンおよびポリエチレン等がある。専用のポリマーもリングに適しているように思われる。すなわち、Dow Plastics社のIsoplast2530、GLS Corporation社のDynaflex(登録商標)D3204−1000−03、Ticona社のVectra A130、およびChevron Phillips Chemical Co.社のRyton(商標)R−4である。
C.静電放電
本発明の微粒子フィルタの特定の実施形態を使用すると、蓄積した静電荷の放電が容易になる。微粒子フィルタの構造、特にPTFE膜の構造および組成を、特定の実施形態の場合の導電性および消散のために工夫することができる。
【0036】
PTFEを合成するのに適している種々様々の材料を通常使用することができ、本発明の特定の用途に従い、必要に応じて導電性を変えることができる。これらの材料としては、炭素充填材、炭素粉末または炭素繊維、セラミック材料、および当業者にとって周知の他の材料等がある。導電性フィルタ膜を導電性支持リングと一緒に使用する場合には、アースした表面上に置いた場合には、微粒子フィルタは静電荷を消散させることができ、通常必要な追加の放電ステップを省略することができる。例えば、精密計量装置上の計量パンを通常アースすることができる。そうすることにより、静電荷の消散のためにポロニウム210およびα放射性元素を使用しなくてもすむ。
D.フィルタ識別
本発明の種々の実施形態を使用すれば、フィルタを簡単に識別することができる。図2を参照すると、識別記号16を露出エリアの中心近くのフィルタ膜12の各面上に印刷することができる。産業上のフィルタ用途では、通常いつでも一方の面だけが視認可能である。例えば、空気流の中に置いた場合には、フィルタを支持するための背後プレートに対して設置した時、「負荷」面上の識別を見ることができなければならない。ロードした後、煤により識別が見にくくなる場合がある。そのため、第2のクリーンな面の識別が必要になる場合がある。
【0037】
一実施形態の場合には、識別記号16または情報コードは、フィルタ膜12の両面上に印刷され、他方が正確な読み取りを阻害しないように、それぞれの中心からずれた場所に位置する。さらに、対向面上の鏡像情報コードの読み間違いを防止するために、読んでいる記号またはコードが見ている面上の目標物であり、対向面の鏡像ではないことを識別するために、コードが一意の開始文字を含むように設計されている。識別記号または情報コードは、フィルタの空気流および質量の変動の影響を無視することができるように最小の大きさになっている。識別記号16は、二次元ドット・コード化またはバー・コード化ラベル、英数字ラベル、または他の周知の文字、画像またはマークであってもよい。
【0038】
識別記号16は、例えばインク・ジェットまたは類似の印刷デバイスによりインクで印刷することが好ましい。識別記号に使用するインクまたは他の材料は、安定性および化学的特性、特に、周知のまたは好適な、重量測定、抽出による化学種生成または他の分析に影響を与えないものを考慮して選択される。好適には、インクの影響が知られている、存在しないために、試験後抽出および分析ステップおよび方法が簡単になることが好ましい。例えば、周知のまたは所望の化学的プロファイルを有するインクを選択することができる。次に、収集した粒子または他の収集した物質から抽出したすべてのインク・アーティファクトは、容易に無視することができ、当該微粒子の分析が容易になる。インクが、蒸発したり、またはそうでない場合で、フィルタの流れ、流れ構成要素または収集した粒子または他の収集した物質と反応して、余分なガス状または微粒子アーティファクトを生成したり、不正確な試験結果を生じないないように、特殊不溶性を有するインクまたは永久インクを選択することもできる。一実施形態の場合には、抽出溶媒により消えないで、フィルタ膜上に識別記号を保存し、試験結果の精度および一貫性を維持するインクが選択される。揮発性物質を除去して、時間が経過しても質量が必ず安定するように、製造中さもなくば使用前に印刷したフィルタ膜を加熱することができる。
E.試験フィルタの使用
図3および図4は、フィルタ10の例示としてのライフ・サイクルの流れ図である。図1および図2もその一実施形態を示す。本発明の微粒子フィルタ10は、フィルタ膜12および非吸湿性支持リング14を備える。支持リング14はフィルタ膜12の周囲に同心に配置されている。
【0039】
すでに説明したように、フィルタ10は、PTFE膜または類似の材料を含むことができる。この改良した設計の支持リング14は、金属箔、PTFE、PFAまたは他の非吸湿性プラスチック、または当業者であれば周知の類似の材料を含むことができる。微粒子フィルタ10の材料組成、構造、スケールおよび/または他の特性は、すでに説明した他の特性の中でとりわけ流速、粒子トラップのサイズ、および効率のための特定の規格または要件に適合するようにカスタマイズすることができる。例えば、特定の工業規格に適合するように、または個々の用途のための特定の一組の要件に適合するようにフィルタ10を設計することができる。
【0040】
同様に、フィルタ10は、フィルタ膜12および種々のサイズおよび形状の支持リング14を備えることができる。フィルタ10は、種々の寸法および形状を有することができるが、ある実施形態の場合には、直径100mm未満の円形であり、他の実施形態の場合には、直径75mm未満の円形であるが、直径は50mm未満であることが望ましい。一実施形態の場合には、フィルタは、47mmの直径を有する。フィルタ10の直径の適当な大きさは、リムの周囲に3mm幅の同心支持リング14を含む約46.2mmである。支持リング14は、上記したように、支持リング14の周囲のフィルタ膜12の一方の面、好適には両面に溶着、結合、接着または融着することができる。支持リング14は、所望の使用目的または用途により、例えば、接着、圧着または他の接合のような他の方法および手段によりフィルタ膜12に取り付けることができる。支持リング14のサイズおよび厚さも、特定の用途および実施形態により変えることができる。
【0041】
いくつかの実施形態の場合には、フィルタ10はほぼ平らであるが、ニーズまたは用途によりその全体または一部の厚さを変えることができる。計量および当業者に周知の他の用途を容易に用いることができるようにするために、微粒子フィルタ10の例示としての実施形態は、全面の平らな面から約7ミリメートル低くなっている。例えば、支持リング14を除くフィルタ膜12の厚さは、一実施形態の場合には約2ミクロンである。
【0042】
本発明のフィルタ10は、また、識別情報を含むこともできる。使用中、フィルタ10の片面だけに通常識別子が貼付され、目で見ることができる。識別子が貼付されている面が、使用中にフィルタ10上に付着する例えば煤または他の屑のような微粒子により覆われている場合には、使用後はフィルタ10を正しく識別するのが不可能ではないにしても難しくなる。
【0043】
図2の実施形態を参照すると、フィルタ10には、使用前にフィルタ膜12の各面上に、例えば二次元ドット・コード化識別記号のような識別記号が貼付される。識別記号16は、空気流および質量の変動に対する影響が無視できるほど小さくなるように、膜12の上に貼付することができる。
【0044】
好適には、微粒子フィルタ10は、その質量が、例えば相対湿度および露点のような大気中の水分の変動により変化しない材料を含むことが好ましい。通常、この業界においては、空気フィルタが、正確で精度が高く安定している結果を示すように、大気中の水分の状況が変化しても保持水分の量の変化を最小限度にすることが望ましい。それ故、このようなフィルタを使用した場合、使用後のフィルタの重量と使用前のその重量の間の違いを、試験前および試験後の計量間の大気中の水分の含有量の違いよりも、フィルタが吸収した材料により正確に反映させることができる。
【0045】
例えば、質量に対する水分の変動の影響は、約0.140g〜約0.160gの質量の範囲内で、通常は47mmフィルタであるフィルタ上のプラスマイナス約0.1℃の一定の温度で、約1%の周囲湿度の変化につき、約0.4マイクログラム以下の場合もある。他のフィルタ・サイズの水分の変動は、通常、フィルタの質量に比例する。
【0046】
本発明の微粒子フィルタの例示としての実施形態の吸湿性吸収率は改善されている。例えば、微粒子フィルタの一実施形態は、好適にはこの吸収率の10倍以上の吸湿性の変動を有する市販のフィルタと比較した場合、百分率の相対湿度につき約0.4マイクログラム以下の吸湿性吸収率を有する。
【0047】
それ故、特に図3を参照すると、フィルタは最初に周囲の計量環境に順応する。次に、計量前の準備の際に、例えば、実施形態内のフィルタのクリーンな面上の識別記号を走査することによりフィルタが識別される。フィルタ上のすべての静電荷は、例えば計量パンのようなアースした面上にフィルタを置くことにより、またはα粒子のポロニウム210源を使用することにより消散する。次に、フィルタが、マイクロバランスにより計量され、カートリッジ内にロードされる。
【0048】
エンジン試験等の特定の用途の場合には、フィルタのロード面上の識別記号が帯電し、エンジン試験が行われ、フィルタがカートリッジから取り外される。フィルタを周囲の計量環境に順応させた後で、計量後の手順が行われる。フィルタのクリーンな面上の識別記号を走査することによりフィルタが識別され、フィルタが静電的に放電され、試験後計量のためにフィルタがマイクロバランス上で計量される。図4は他の試験方法を示す。
【0049】
本発明のある実施形態による微粒子フィルタは、PAH、ニトロPAHおよび他の関連する粒子を検出するための方法で使用することができる。PAHを収集するサンプリング方法は、本発明の微粒子フィルタの実施形態を使用するステップを含むことができる。何故なら、この微粒子フィルタは、PAHおよびニトロPAH排気を改善された方法で、すなわちより正確に抽出することができるからである。ある実施形態の場合には、この方法は、不活性またはほぼ不活性のフィルタ・リングを有する非吸湿性微粒子フィルタにより微粒子排気を収集するステップと、微粒子フィルタから微粒子排気を抽出するステップと、抽出物を清掃するステップと、抽出物を分析するステップとを含む。
【0050】
一実施形態の場合には、微粒子排気を収集するステップは、微粒子フィルタを空気流、より詳細には排気流、さらにより詳細には自動車の排気流に露出させるステップを含む。それ故、本発明の実施形態は、PAH、ニトロPAH用のディーゼルおよび他の車両の排気試験および周囲空気の品質試験の際に、より正確な空気試験結果を提供することができる。一実施形態の場合には、微粒子フィルタは、PTFEフィルタ膜およびPFA支持リングを有する。微粒子排気を抽出するステップは、微粒子フィルタから微粒子排気を抽出するSoxhletを含む。例えば、とりわけSoxhlet、超音波、マイクロ波のような多数の抽出方法を使用することができるが、多くの方法は有機溶媒を使用する。この実施形態のPTFEフィルタ膜およびPFA支持リングは抽出プロセス溶媒にほぼ不活性であり、フィルタ上に識別記号を印刷するために使用するインクは、すでに説明したように、周知の化学的プロファイルを有するように、特定の溶媒に溶けないようにするために、および/または試験の流れに不揮発性の影響を有するようにするために選択することができる。抽出のために使用する通常の有機溶媒の例としては、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、エタノール/トルエンの混合物、ベンゼン、塩化メチレン、メタノール、およびこれらの種々の混合物および他の溶媒等がある。抽出物を分析するステップは、PAHに対する正イオン電子衝突モードでのガス・クロマトグラフィ/質量分光測定/選択的イオン監視(GC/MS/SIM)による分析ステップ、およびニトロPAHに対する負イオン化学的イオン化モードでのGC/MS/SIMによる分析ステップを含むことができる。周知の化学的プロファイルを有する可溶性インクの場合には、抽出物を分析するステップは、さらに、抽出したインクを識別および無視するステップを含む。
【0051】
本発明は、本発明の本質的な属性の精神から逸脱することなしに、他の特定の形で実施することができる。それ故、図の実施形態は、すべての点で例示としてのものであって本発明を制限するものと見なすべきではない。本発明の範囲は上記説明にではなく、添付の特許請求の範囲に記載してある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態による微粒子フィルタの上部および側部の略図。
【図2】本発明の一実施形態による識別記号を含む微粒子フィルタ媒体の頂面図。
【図3】本発明の一実施形態による試験フィルタ・サイクルの流れ図。
【図4】本発明の一実施形態による試験フィルタ・サイクルの流れ図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子フィルタであって、
フルオロポリマー・フィルタ膜と、
前記フィルタ膜の第1および第2の面上に印刷された識別記号と、
前記フィルタ膜の外縁部に融着された支持リングとを備え、
前記微粒子フィルタが実質的に非吸湿性であり、水分が不変で、有機溶媒による溶解に対してほぼ不活性の微粒子フィルタ。
【請求項2】
前記フィルタ膜が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料を含み、前記支持リングが前記フィルタ膜に溶着されている請求項1に記載の微粒子フィルタ。
【請求項3】
前記フィルタ膜の多孔性が、約70%〜約95%の範囲である請求項2に記載の微粒子フィルタ。
【請求項4】
前記フィルタ膜が、約0.05ミクロン〜約3.0ミクロンの範囲の平均孔部サイズを有する請求項2に記載の微粒子フィルタ。
【請求項5】
前記平均孔部サイズが、約1.0ミクロン〜約2.5ミクロンの範囲にある請求項4に記載の微粒子フィルタ。
【請求項6】
前記フィルタが、0.5インチ(12.7mm)の水柱で少なくとも約1.0cfm/ft(0.3m/min/m)の空気流を有する請求項2に記載の微粒子フィルタ。
【請求項7】
前記空気流が、0.5インチ(12.7mm)の水柱で少なくとも2.0cfm/ft(0.6m/min/m)である請求項6に記載の微粒子フィルタ。
【請求項8】
前記フィルタ膜が、約0.0005インチ(0.013mm)〜約0.0035インチ(0.089mm)の範囲の厚さを有する請求項2に記載の微粒子フィルタ。
【請求項9】
前記フィルタ膜が、約0.0012インチ(0.031mm)の厚さを有する請求項8に記載の微粒子フィルタ。
【請求項10】
前記フィルタが、約10.5fpm(3.15m/min)の空気速度で0.1ミクロンの粒子の少なくとも99%を捕捉する請求項2に記載の微粒子フィルタ。
【請求項11】
前記フィルタが、約10.5fpm(3.15m/min)の空気速度で0.1ミクロンの粒子の少なくとも99.99%を捕捉する請求項10に記載の微粒子フィルタ。
【請求項12】
前記支持リングが、PTFE;テトラフルオロエチレン、パーフルオロビニルエーテルおよびパーフルオロアルコキシのポリマー;テトラフルオロエチレンとエチレンのポリマー;フッ化ポリビニリデン;テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのポリマー;エチレン−クロロトリフルオロエチレン・コポリマー;ポリメチルペンテン;ポリエステル;ポリプロピレン;ポリエチレン;金属箔;および成形可能なサーモプラスチックからなるグループから選択した材料を含む請求項2に記載の微粒子フィルタ。
【請求項13】
前記支持リングが、前記フィルタ膜上に成形され、前記支持リングが、サーモプラスチック・ポリウレタン樹脂;サーモプラスチック・エラストマ;液晶ポリマー;および硫化ポリフェニレンからなるグループから選択した材料を含む請求項2に記載の微粒子フィルタ。
【請求項14】
前記フィルタ膜が、PTFE材料および前記微粒子フィルタの導電特性を変えるために、炭素充填材、炭素粉末、炭素繊維およびセラミック材料からなるグループから選択した材料を含む請求項2に記載の微粒子フィルタ。
【請求項15】
前記識別記号が、ドット・コード化識別記号を含む請求項1に記載の微粒子フィルタ。
【請求項16】
前記第1の面上に印刷されている前記識別記号が、前記第2の面上に印刷されている前記識別記号から偏倚している請求項1に記載の微粒子フィルタ。
【請求項17】
前記識別記号が、前記第1の面の識別記号を前記第2の面上の識別記号から区別するための一意の最初の文字を含む請求項16に記載の微粒子フィルタ。
【請求項18】
前記識別記号が、印刷したインクを含む請求項1に記載の微粒子フィルタ。
【請求項19】
前記インクが、周知の化学的プロファイルを有する請求項18に記載の微粒子フィルタ。
【請求項20】
前記インクが、不溶性である請求項18に記載の微粒子フィルタ。
【請求項21】
前記微粒子フィルタが実質的に円形であり、前記支持リングが前記フィルタ膜に同心状に溶着される請求項1に記載の微粒子フィルタ。
【請求項22】
前記微粒子フィルタが約100ミリメートル未満の直径を有し、前記支持リングが約10ミリメートル未満の直径を有する請求項21に記載の微粒子フィルタ。
【請求項23】
前記微粒子フィルタが約47ミリメートルの直径を有し、前記支持リングが約3ミリメートルの直径を有する請求項22に記載の微粒子フィルタ。
【請求項24】
前記微粒子フィルタが、前記微粒子フィルタの質量にほぼ比例する吸湿性吸収率を有する請求項1に記載の微粒子フィルタ。
【請求項25】
約0.14g〜約0.16gの質量を有する微粒子フィルタが、相対湿度の変化の百分率に対して約0.4マイクログラム未満の吸湿性吸収率を有する請求項24に記載の微粒子フィルタ。
【請求項26】
前記微粒子フィルタが、ジクロロメタン、アセトン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、エタノールとトルエンの混合物、ベンゼン、塩化メチレン、メタノールおよびこれらの組合せからなるグループから選択した有機溶媒による溶解に対してほぼ不活性である請求項1に記載の微粒子フィルタ。
【請求項27】
前記微粒子フィルタが、全面上において平面から約7ミリメートル未満である請求項1に記載の微粒子フィルタ。
【請求項28】
前記微粒子フィルタの厚さが、約2ミクロンである請求項27に記載の微粒子フィルタ。
【請求項29】
微粒子フィルタを使用して分析重量測定計量を行うための方法であって、
フルオロポリマー・フィルタ膜およびパーフルオロアルコキシ・ポリマー支持リングを備える微粒子フィルタを周囲の試験前の環境と平衡させるステップと、
前記微粒子フィルタの第1および第2の面に印刷された識別記号により前記微粒子フィルタを識別するステップと、
前記微粒子フィルタ上に蓄積した静電荷を消散させるステップと、
前記微粒子フィルタを予備計量するステップと、
前記微粒子フィルタを使用して試験的使用を行うステップと、
前記微粒子フィルタを周囲の試験後の環境と平衡させるステップと、
前記微粒子フィルタのクリーンな面上に印刷された前記識別記号により前記微粒子フィルタを識別するステップと、
前記微粒子フィルタを後計量するステップと、
前記予備計量および前記後計量に基づいて試験的使用中に前記微粒子フィルタにより集めた微粒子の正味の重量を測定するステップとを含む方法。
【請求項30】
前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン材料を含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記試験的使用中に前記微粒子フィルタを所定量の空気に触れさせるステップと、
前記収集した微粒子の正味の重量から前記量の空気内の微粒子の重量を計算するステップとをさらに含む請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記微粒子フィルタ上に蓄積した静電荷を消散させる前記ステップが、前記微粒子フィルタをアースした面上に置くステップを含む請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記微粒子フィルタ上に蓄積した静電荷を消散させる前記ステップが、ポロニウム210およびαエミッタ放射性元素を使用するステップを含む請求項29の方法。
【請求項34】
識別記号により前記微粒子フィルタを識別する前記ステップが、前記識別記号を走査するステップをさらに含む請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記微粒子フィルタを使用して試験的使用を行う前記ステップが、多環式芳香族炭化水素を検出するためにエンジン試験を行うステップを含む請求項29に記載の方法。
【請求項36】
微粒子フィルタを使用して多環式芳香族炭化水素(PAH)を検出するための方法が、
前記フィルタ膜の第1および第2の面に印刷してある識別記号により、ポリテトラフルオロエチレン・フィルタ膜およびパーフルオロアルコキシ・ポリマー支持リングを備える微粒子フィルタを識別するステップと、
前記フィルタにより微粒子サンプルを収集するステップと、
前記フィルタ膜の前記第1および第2の面の少なくとも一方上に印刷された前記識別記号により前記フィルタを識別するステップと、
前記フィルタから微粒子サンプルを抽出するステップと、
PAHの抽出したサンプルを分析するステップとを含む方法。
【請求項37】
前記微粒子フィルタ上に蓄積した静電荷を消散させるステップをさらに含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
微粒子サンプルを収集する前記ステップが、前記微粒子フィルタを燃焼機関の排気流に曝すステップを含む請求項36に記載の方法。
【請求項39】
識別記号により前記フィルタを識別する前記ステップが、前記識別記号を走査するステップをさらに含む請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記微粒子サンプルを抽出する前記ステップが、有機溶媒により前記微粒子サンプルを抽出するステップを含む請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記微粒子サンプルを抽出する前記ステップが、Soxhlet抽出、超音波抽出およびマイクロ波抽出からなるグループから選択した抽出方法のうちの1つを含む請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記抽出したサンプルを分析する前記ステップが、正イオン電子衝撃モードで、ガス・クロマトグラフィ/質量分光測定/選択的イオン監視により前記抽出サンプルを分析するステップを含む請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記抽出サンプルを分析する前記ステップが、識別記号インクの周知の化学的プロファイルに帰する構成要素を無視するステップを含む請求項36に記載の方法。
【請求項44】
分析重量測定計量のために使用する微粒子フィルタを製造するための方法であって、
フルオロポリマーを含むフィルタ膜に、パーフルオロアルコキシのポリマーを含む支持リングを溶着するステップと、
前記フィルタ膜の第1の面上に識別記号を印刷するステップと、
前記第1の面上の前記識別記号から偏倚している前記フィルタ膜の第2の面上に前記識別記号を印刷するステップとを含む方法。
【請求項45】
前記溶着ステップが、前記フィルタ膜へ前記支持リングを熱溶着するステップを含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の面および前記第2の面上に前記識別記号を印刷するためにインク・ジェット・プリンタを使用するステップをさらに含む請求項44に記載の方法。
【請求項47】
インクを選択する前記ステップが、少なくとも一部では前記インクの溶融性の特性に基づいてインクを選択するステップを含む請求項46に記載の方法。
【請求項48】
インクを選択する前記ステップが、周知の化学的プロファイルを有するインクを選択するステップを含む請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレンを含む請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記フルオロポリマーを、炭素充填材、炭素粉末、炭素繊維およびセラミック材料からなるグループから選択した材料と合成することにより、前記微粒子フィルタの導電特性を変えるステップをさらに含む請求項44に記載の方法。
【請求項51】
微粒子フィルタであって、
フルオロポリマー膜と、
ポリプロピレン支持体スクリムとを含み、
前記ポリマー支持体スクリムが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリアミドからなるグループから選択した材料を含む微粒子フィルタ。
【請求項52】
前記フルオロポリマー膜が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料を含む請求項51に記載の微粒子フィルタ。
【請求項53】
前記膜の多孔性が、約70%〜約95%の範囲にある請求項52に記載の微粒子フィルタ。
【請求項54】
前記膜が、約0.05ミクロン〜約3.0ミクロンの範囲の平均孔部サイズを有する請求項53に記載の微粒子フィルタ。
【請求項55】
前記平均孔部サイズが、約1.0ミクロン〜約2.5ミクロンの範囲にある請求項54に記載の微粒子フィルタ。
【請求項56】
前記フィルタが、0.5インチ(12.7mm)の水柱で少なくとも約1.0cfm/ft(0.3m/min/m)の空気流を有する請求項52に記載の微粒子フィルタ。
【請求項57】
前記空気流が、0.5インチ(12.7mm)の水柱で少なくとも2.0cfm/ft(0.6m/min/m)である請求項56に記載の微粒子フィルタ。
【請求項58】
前記膜および支持体スクリムが、約0.005インチ(0.127mm)〜約0.020インチ(0.51mm)の範囲の厚さを有する請求項52に記載の微粒子フィルタ。
【請求項59】
前記膜および支持体スクリムが、約0.010インチ(0.254mm)の厚さを有する請求項58に記載の微粒子フィルタ。
【請求項60】
前記フィルタが、約10.5fpm(3.15m/min)の空気速度で0.1ミクロンの粒子の少なくとも99%を捕捉する請求項52に記載の微粒子フィルタ。
【請求項61】
前記フィルタが、約10.5fpm(3.15m/min)の空気速度で0.1ミクロンの粒子の少なくとも99.99%を捕捉する請求項60に記載の微粒子フィルタ。
【請求項62】
前記ポリマー支持体スクリムが、約0.0100インチ(0.254mm)未満の厚さを有する請求項51に記載の微粒子フィルタ。
【請求項63】
前記ポリマー支持体スクリムが、約0.0045インチ(0.114mm)未満の厚さを有する請求項62に記載の微粒子フィルタ。
【請求項64】
前記ポリマー支持体スクリムが、0.5インチ(12.7mm)の水柱で平方フィート(0.09平方メートル)当たり1分間に少なくとも770立方フィート(22立方メートル)の空気透過性を有する請求項51に記載の微粒子フィルタ。
【請求項65】
前記ポリマー支持体スクリムが、華氏65度(摂氏18度)の温度および65%の相対湿度で約1%未満の水分吸収を有する請求項51に記載の微粒子フィルタ。
【請求項66】
前記ポリマー支持体スクリムの多孔性が、約20%〜約80%の範囲である請求項51に記載の微粒子フィルタ。
【請求項67】
前記ポリマー支持体スクリムの多孔性が、約40%〜約70%の範囲である請求項66に記載の微粒子フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−524508(P2007−524508A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554192(P2006−554192)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/004962
【国際公開番号】WO2005/079431
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506279322)メジャーメント テクノロジー ラボラトリーズ コーポレイション (1)
【氏名又は名称原語表記】MEASUREMENT TECHNOLOGY LABORATORIES CORPORATION
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】