説明

微細分散した霧状燃料を発生する方法と装置

本発明は、微細に分散した霧状燃料を発生するため、特に自動車のヒータ(25)用の燃えやすい燃料と空気の混合気を提供するための方法と装置に関する。本発明に従い、燃料(3)を部分的に充填したチャンバ(1)内において、超音波振動子が液体燃料(3)内に浸漬され、超音波振動子(2)の上方に露出した燃料表面(4)を有する柱状燃料が形成される。この場合、超音波振動子(2)は、燃料表面(4)から最も小さな燃料粒子(5)を分離してチャンバ(1)内に霧状燃料を生じるような周波数で運転される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細に分散した霧状燃料を発生するため、特に自動車のヒータ用の燃えやすい燃料と空気の混合気を提供するための方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を噴霧するための方法と装置が多数知られている。この方法と装置は、いろいろな物理的作用原理に基づいて、多数の用途のために、液体、特に燃料を噴霧して小さな液体粒子を生じる。ヒータ、特に自動車の独立暖房装置の場合、良好な混合気準備は燃料と空気の混合気を点火および燃焼させるために特に重要である。というのは、ヒータの運転可能性がこの混合気に依存するからである。従来技術から例えば、高圧に適した噴霧ノズルによって燃料と空気の混合気を発生する噴霧システムが知られている。この噴霧ノズルは例えば特許文献1に記載されている。この装置の欠点の一つは、噴霧ノズルが例えば汚染粒子によって塞がれることにある。それによって、微細分散した燃料と空気の混合気の発生はもはや保証されない。このような噴霧装置は更に、燃料と空気のエーロゾルとも呼ばれる満足できる燃料と空気の霧化を達成するためには、燃料を高圧でノズルから押し出さなければならないという欠点がある。
【0003】
特許文献2では、燃料エーロゾルが超音波噴霧ノズルによって得られる。このノズルは噴霧ハウジングを備え、この噴霧ハウジングの一方の端面には、多数の噴射口が設けられている。この噴射口は噴霧ハウジングの内部の圧力室から外側に通じている。噴霧ノズルの圧力室内で圧力下にある燃料は、噴射口を経て微細な燃料噴流として流出し、超音波噴霧ノズルに取り付けられた超音波振動子によって、燃料小滴に分解され、燃料と空気の混合気を生じる。この装置の欠点の一つは、噴射口が詰まり、燃料と空気の混合気の必要量が得られないことにある。
【0004】
特許文献3には、自動車ヒータの超音波噴霧装置が記載されている。この超音波噴霧装置は超音波振動子と、この超音波振動子から突出する棒と、この棒の端部に設けられた噴霧プレートを備えている。燃料は燃料管から、突出する棒を通って延在する内部通路を経て噴霧プレートに供給される。特許文献4には、超音波振動子を備えた超音波噴霧装置が記載されている。この超音波振動子はほぼ軸線対称の金属本体を備えている。この場合、超音波振動子は縦長の範囲を備え、この縦長の範囲はその自由端に噴霧プレートを備えている。縦長の範囲は軸方向貫通路を備えている。この貫通路を通って、液体燃料が燃料貯蔵部から噴霧プレートの外面に達して膜を形成する。この両装置の場合、燃料の霧化は超音波によって行われ、噴霧プレート上にフィルムとして形成される燃料の表面にさざ波を発生することにより、燃料と空気のエーロゾルが生じる。これらの装置の欠点の一つは、超音波噴霧装置、特に超音波振動子が燃料供給のために多数の通路を備えているので、このような部品のための製作コストが高いことにある。他の欠点は、ポンプの間欠動作によって生じる燃料供給の脈動を、コストのかかる手段によって減衰しなければならないことにある。
【特許文献1】DE 102 07 311 A1
【特許文献2】DE 35 24 701 A1
【特許文献3】DE 39 42 747 A1
【特許文献4】DE 39 33 300 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底をなす課題は、上記の欠点が回避され、特に改善された燃焼プロセスを達成できる霧状燃料を生じる、微細に分散した霧状燃料を発生するための装置と方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は請求項1の特徴を有する方法によって解決される。従属請求項には、方法の有利な発展形態が記載されている。
【0007】
本発明では、燃料を部分的に充填したチャンバ内で超音波振動子が燃料内に浸漬され、超音波振動子の上方に、露出した燃料表面を有する柱状燃料が形成される。この場合、超音波振動子は、燃料表面から最も小さな燃料粒子を分離させてチャンバ内に浮遊する霧状燃料(噴霧燃料)を生じるような周波数で運転される。超音波振動子は好ましくは電気的な端子を備えているので、電気的な励起エネルギーを供給することができる。この場合、運転中、超音波振動子は機械的に振動する。本発明では、超音波振動子がメガヘルツ範囲内の周波数で励起される。これによって、超音波振動子は超音波振動を発生する。この超音波振動は、例えばガソリン、ディーゼル油または灯油である液体燃料を通って、燃料表面、すなわち燃料と空気の境界面まで伝わる。音波エネルギーは燃料表面のすぐ近くにおいて、超音波振動子の上方での柱状燃料の絶え間のない圧縮および減圧を生じる。それによって、交叉したさざ波が発生する。このさざ波の波山から最小の霧状小滴(=エーロゾル)が分離する。この過程によって、燃料は燃料表面の上方へ放出されるので、微細分散した均質な霧状燃料が形成される。この霧状燃料は例えば出口を経てチャンバの外に案内可能である。本発明の方法により、微細分散した多量の流量の霧状燃料を発生可能であるときわめて有利である。この場合同時に、燃焼プロセスにとって非常に有利なきわめて小さな燃料粒子を得ることができる。
【0008】
有利な代替的実施形の場合、出口を備えたチャンバの外側において、チャンバ内に負圧を発生させる空気流が流れ、それによって霧状燃料が出口を経てチャンバから出て、空気流と混合する。チャンバ内において、非常に高い濃度の燃料粒子を有する霧状燃料が生じる。チャンバの外側において、好ましくは回転する空気流と流出する霧状燃料との確実な混合が達成されるので、チャンバの外側で発生する燃料と空気の混合気は燃焼プロセス、例えば自動車のヒータにおける燃焼プロセスに適している。
【0009】
チャンバ内で満足できる霧状燃料を発生するためには、柱状燃料が超音波振動子から充分な高さを有することが重要である。柱状燃料の高さhが15mm≦h≦50mm、特に20mm≦h≦40mmであるときに、非常に微細に分散された均質な霧状燃料が得られる。これを保証するために、運転中、燃料供給部を経て同時に燃料がチャンバに補充される。運転中、柱状燃料の高さhが上記の範囲内にあるようにするために、本発明の実施形では、チャンバ内の柱状燃料の高さhを測定する手段、好ましくはセンサが設けられている。センサはチャンバへの燃料供給量を制御する評価ユニットに接続可能である。センサと評価ユニットは例えばワイヤレス通信によって連絡可能である。このワイヤレス通信は実施形では、無線通信であってもよい。無線通信はブルートゥース基準に従ってGHz範囲であると有利である。
【0010】
方法の有利な実施形では、運転中、柱状燃料の高さがほぼ一定に保たれる。柱状燃料の高さhが一定であると、発生すべき霧状燃料の品質、特に燃料小滴の大きさと燃料粒子の均一な分布に関する品質に有利に作用する。
【0011】
本発明は同様に、請求項8記載の特徴を有する、微細に分散した霧状燃料を発生するための装置に関する。この場合、従属請求項には有利な実施形が記載されている。
【0012】
本発明では、超音波振動子がチャンバの底範囲に配置され、チャンバが超音波振動子から離隔された燃料供給部を備え、この燃料供給部によって、閉鎖可能な出口を備えたチャンバに液体燃料を入れることができる。本発明で、運転中、充分な高さの柱状燃料が超音波振動子の上方に存在するように、装置が形成されている。薄い燃料フィルムで湿らされ、超音波振動子上で直接霧状燃料を発生する、従来技術で知られている超音波振動子と異なり、本発明による装置の場合には、燃料表面で広範囲にわたって燃料粒子の分離が行われ、それによって高い分離速度が達成可能である。装置は更に、燃料内の不純物に対して一層大きな耐性を有する。燃料表面での分離速度の上昇は例えば面状の大きな超音波振動子によって生じることができる。この装置の他の利点の一つは、簡単に形成された超音波振動子を使用できることにある。この超音波振動子は労働者が大きな労力をかけずに装置に組み立て可能であり、そして装置から分解可能である。
【0013】
有利な実施形では、超音波振動子が例えば円板状に形成された圧電セラミック部品である。超音波振動子は種々の運転特性パラメータに依存して超音波振動子を制御する電子制御装置に接続されている。
【0014】
超音波振動子が係合結合式および/または摩擦結合式に支持ユニットに配置されていると合目的である。この支持ユニットは、例えばチャンバの底範囲に固定された弾性的なラバースリーブとして形成可能である。弾性的なラバースリーブは、運転中超音波振動子の機械的な振動を可能にする。この場合、ラバースリーブは同時に、燃料のシール機能を受け持つ。ラバースリーブが燃料耐性の材料によって形成されていると有利である。
【0015】
本発明の他の代替的な実施形では、チャンバがベース要素と、このベース要素を少なくとも部分的に取り囲むキャップ要素とを備え、このキャップ要素が出口を備えている。チャンバがほぼ円筒形に形成され、キャップ要素が外側で、軸方向に移動可能にベース要素に支持されていると有利である。キャップ要素は駆動ユニットを介してベース要素に沿って往復運動可能である。駆動ユニットは例えば電磁弁、サーボモータまたはソレノイドである。この場合、駆動ユニットは線形駆動装置として形成されている。キャップ要素の位置に応じて、チャンバの閉鎖位置または開放位置が得られる。ベース要素がステンレス鋼からなり、これに対してキャップ要素が耐熱性合成樹脂からなっていると合目的である。本発明の他の実施形では、キャップ要素をベース要素に回転可能に支持することができる。この場合、駆動ユニットが回転駆動装置として形成されていると有利である。
【0016】
好ましくは、チャンバの底範囲とは反対の側に、シールが配置されている。このシールはキャップ要素の底、すなわち閉鎖された端面側に固定されたリングシールであってもよい。閉鎖位置で、シールはベース要素に接触し、同時に出口は少なくともベース要素の外周面の範囲によって覆われて閉鎖される。出口の開放位置ではシールがベース要素に対して離れている。
【0017】
他の実施形では、装置が、閉鎖位置においてチャンバの底範囲の方に向いた力をキャップ要素に加える手段を備えている。それによって、非運転状態で、燃料は出口から流出不可能である。キャップ要素を閉鎖位置に確実に保持するために、例えばばねを介してキャップ要素に引張り力を加えることができる。それによって、良好な封止作用が達成される。同様に、駆動ユニット単独によって、キャップ要素を閉鎖位置に保持する力を加えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の他の効果、特徴および詳細は、次の記載から明らかになる。次の記載では、図を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。その際、請求項と明細書で述べた特徴はそれぞれ、それ自体単独でもまた任意の組み合わせでも本発明にとって重要である。
【0019】
図1と図2は自動車のヒータ用の円筒状チャンバ1を示している。チャンバ1の底範囲には、液体燃料3内に浸漬される超音波振動子2が配置されている。図1と図2からわかるように、柱状燃料hは超音波振動子2の上方に形成され、燃料表面4が露出している。チャンバ1内には、図3と図4に示した燃料供給部7の開口範囲が設けられている。この開口範囲は超音波振動子2に対して間隔をおいて位置決めされている。燃料3は図示していないポンプを介してチャンバ1に供給される。この場合、燃料の脈動供給は方法にとって邪魔にならない。
【0020】
超音波振動子2とは反対のチャンバ1の側に、閉鎖可能な出口6が配置されている(図3と図4参照)。超音波振動子2はラバースリーブ8に係合結合式に連結されて支持された圧電セラミックの円板状部品である。この部品は図1と図2に示してある。ラバースリーブ8の内側には溝14が形成され、この溝14内に超音波振動子2が確実に収容されている。この場合、ラバースリーブ8はチャンバ1の底範囲に圧入されている。多大な組み立て労力なしに超音波振動子2をラバースリーブ8内に取り付け、および/またはラバースリーブ8から取り外し可能であることがきわめて有利である。チャンバ1はベース要素9と、このベース要素9を少なくとも部分的に取り囲み出口6を有するキャップ要素10を備えている。図3と図4から明らかなように、出口6は長方形に形成されている。勿論、出口6を他の形に形成してもよい。
【0021】
ベース要素9よりも大きな直径を有するキャップ要素10は、ベース要素9にさや状にかぶせられている。ベース要素9の外周面には2個の軸受ブッシュ15が固定されている。この軸受ブッシュ15は好ましくはステンレス鋼からなるスペーサスリーブ16によって円筒軸線24方向で固定保持されている。それによって、キャップ要素10は軸受ブッシュ15に接触し、円筒軸線24に関して軸方向に移動可能である。この軸方向は図2に記入した両方向矢印によって示されている。ベース要素9の外周面にプレス嵌めされた軸受ブッシュ15は合成樹脂製軸受材料によって形成されている。
【0022】
キャップ要素10の軸方向運動により、本発明による装置は閉鎖位置から開放位置にもたらされる。本実施の形態においては往復式ソレノイド12である駆動ユニット12を介して、キャップ要素10の線形運動が行われる。保持アングル部材17に固定されたソレノイド12はキャップ要素10に作用連結されている。この場合、キャップ要素10は連結要素18を備え、この連結要素18にソレノイド12が固定されている。保持アングル部材17は、チャンバ1の底範囲においてベース要素9に固定連結されている。
【0023】
チャンバ1の外側で引張りばね13が使用される。この引張りばね13は、2個のアングル要素20、21を介してキャップ要素10と保持アングル部材17に連結されている。本実施の形態の場合、アングル要素20または21はキャップ要素10または保持アングル部材17に一体に連結されている。アングル要素20、21はキャップ要素10および/または保持アングル部材17に、係合結合式および/または摩擦結合式および/または材料結合式に固定可能である。
【0024】
キャップ要素10の底、すなわち超音波振動子2とは反対の側に、リングシール11が固定されている。超音波振動子2の下方には、チャンバ1の下側閉鎖部材として、および超音波振動子2用ケーブルガイドとして機能するエラストマーブッシュ22が位置決めされている。
【0025】
運転中、超音波振動子2はほぼ1.7MHzの周波数で励起される。それによって、超音波振動が発生する。この超音波振動は燃料3を通って燃料表面4まで案内される。超音波の負の圧力相の間、表面4の燃料3が分離され、次の圧力相で崩壊する中空室を形成することになる。非常に小さな燃料粒子5が遊離するので、霧状燃料がきわめて短い時間でチャンバ1内の燃料表面4の上方に形成される。発生する霧状燃料がヒータ25の混合室26に達することができるようにするために、出口6は開放位置にある(図2、図4および図5参照)。これは、シール11がベース要素9に接触していないことを意味する。霧状燃料がチャンバ1から確実に出ることができるようにするために、チャンバ1の外側を流れる空気流(図5において矢印で示す)によってチャンバ1内に負圧が発生させられる。それによって、霧状燃料は出口6を経てチャンバ1から出て、空気流と混合し、燃料と空気の混合気となる。図5に示すように、回転する空気流が燃料空気ファン19によって発生させられ、チャンバ1のそばを通過する。
【0026】
燃焼しやすい燃料と空気の混合気を生じるための空気流と霧状燃料の確実な混合は、出口6とヒータ25内に配置された点火要素27との間の混合室26で行われる。この混合室26と点火要素27の間には、熱遮蔽体28が配置されている。この熱遮蔽体28は、混合気流量コントローラとしての働きと逆火をくい止める働きをする。点火要素27で燃料と空気の混合気が点火されるので、その後方にある燃焼室23において安定した開放的な火炎が形成される。
【0027】
燃料3の満足できる噴霧を得るためには、運転中、充分に高い柱状燃料hがチャンバ1内に存在することが重要である。図示した実施の形態では、柱状燃料hはほぼ30mmである。この場合同様に、霧状燃料のために供される、燃料表面4の上方のスペースが、充分に大きな容積を有することが重要である。超音波振動子2は約25mmの直径を有し、1.7MHzの励起周波数で約6.7ml/分の噴霧出力をもたらす。所定量の燃料がチャンバ1から出る間同時に、消費された量の燃料が燃料供給部7を経てむらなく補充される。それによって、柱状燃料hはほぼ一定に保たれる。
【0028】
ヒータ25の燃焼運転を終了すると、超音波振動子2の電気的な励起と燃料供給が停止される。同時にまたは所定の時間だけ遅れて、ソレノイド12が停止される。それによって、キャップ要素10が閉鎖位置に移動する。この場合、キャップ要素10はベース要素9に沿ってチャンバ1の底範囲の方へ軸方向に移動する。図1と図3に示した閉鎖位置では、リングシール11はベース要素9に直接載っている。この場合、出口6はベース要素9の外周面によって完全に覆われている。閉鎖位置では燃料3の流出が不可能である。チャンバ1の外側に配置した引張りばね13がチャンバ1の底範囲の方に向いた力をキャップ要素10に加えるので、リングシール11はベース要素9の端面側の上縁にしっかりと載り、確実なシール作用を生じる。燃焼空気ファン19は燃焼運転終了後二三秒して停止される。
【0029】
図示していない本発明の他の代替的な実施の形態では、ばね13がチャンバ1の中に配置される。充分な大きさの戻し力を加えることができる駆動ユニット12が使用されるときには、ばね13を省略することができる。この実施の形態の場合、ベース要素9とシール11を含むキャップ要素10との間のシール作用は、駆動ユニット12の戻し力だけによって達成される。このような構造的な手段により、チャンバ1の寸法を最小限に抑えることができ、同様に構造的に簡単に形成可能である。
【0030】
更に、出口を開閉するために線形駆動装置の代わりに回転駆動装置を使用することができる。回転軸線の回りにチャンバ1を動かす揺動ピストンと回転駆動装置の組み合わせも考えられる。本発明による装置の運転中、起こり得るカーブ走行、加速操作または制動操作によって、燃料3が出口6から流出しないようにするために、「溢れ防止部材」を設けることが得策である。これに関連して、燃料表面4の上方においてチャンバ1の内壁に薄板を配置することができ、それによって燃料3を鎮静化させることができる。
【0031】
チャンバ1内での噴霧効果を改善するために、本発明の他の実施の形態では、超音波振動子2を出口6の方に向かってやや斜めに位置決めすることができる(図示せず)。これは、円筒軸線24が円板状超音波振動子2に対して垂直に延在していないことを意味する。これにより、非常に小さな直径を有する燃料粒子5だけを出口6から吸い上げることができる。幾分大きな燃料粒子5は出口6とは反対側のチャンバ内壁に衝突し、このチャンバ内壁に結露し、そしてチャンバ1の底範囲の方へ流れて戻る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】霧状燃料を発生するための本発明による装置の閉鎖状態の断面図である。
【図2】霧状燃料を発生するための本発明による装置の開放状態の断面図である。
【図3】図1の装置の三次元的な側面図である。
【図4】図2の装置の三次元的な側面図である。
【図5】自動車のエアヒータにおける本発明による装置を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1…チャンバ、2…超音波振動子、3…燃料、4…燃料表面、5…燃料粒子、6…出口、7…燃料供給部、8…ラバースリーブ、9…ベース要素、10…キャップ要素、11…シール、12…駆動ユニット、13…手段、ばね、14…溝、15…軸受ブッシュ、16…スペーサスリーブ、17…保持アングル部材、18…連結要素、19…燃焼空気ファン、20…アングル要素、21…アングル要素、22…エラストマーブッシュ、23…燃焼室、24…軸線、25…ヒータ、26…混合室、27…点火要素、28…熱遮蔽体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細に分散した霧状燃料を発生するため、特に自動車のヒータ(25)用の燃えやすい燃料と空気の混合気を提供するための方法において、燃料(3)を部分的に充填したチャンバ(1)内で超音波振動子(2)が燃料(3)内に浸漬され、超音波振動子(2)の上方に、露出した燃料表面(4)を有する柱状燃料が形成され、超音波振動子が、燃料表面(4)から最も小さな燃料粒子(5)を分離させてチャンバ(1)内に霧状燃料を生じるような周波数で運転されることを特徴とする方法。
【請求項2】
超音波振動子(2)がメガヘルツ範囲内の周波数で励起されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
出口(6)を備えたチャンバ(1)の外側において、チャンバ(1)内に負圧を発生させる空気流が流れ、それによって霧状燃料が出口(6)を経てチャンバ(1)から出て、空気流と混合することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
燃料供給部(7)を経て燃料が補充されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
柱状燃料の高さを測定する手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
運転中、柱状燃料の高さが一定に保たれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
柱状燃料の高さhが15mm≦h≦50mm、特に20mm≦h≦40mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
微細に分散した霧状燃料を発生するため、特に自動車のヒータ(25)用の燃えやすい燃料と空気の混合気を提供するための装置において、超音波振動子(2)がチャンバ(1)の底範囲に配置され、チャンバが超音波振動子(2)から離隔された燃料供給部(7)を備え、この燃料供給部によって、閉鎖可能な出口(6)を備えたチャンバ(1)に液体燃料(3)を入れることができ、運転中柱状燃料が超音波振動子(2)の上方に存在するように装置が形成されていることを特徴とする装置。
【請求項9】
超音波振動子(2)が圧電セラミック部品であることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
超音波振動子(2)が円板状に形成されていることを特徴とする請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
超音波振動子(2)が係合結合式および/または摩擦結合式に支持ユニット(8)に固定されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
支持ユニット(8)がラバースリーブ(8)であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
チャンバ(1)がベース要素(9)と、このベース要素(9)を少なくとも部分的に取り囲むキャップ要素(10)とを備え、このキャップ要素が出口(6)を備えていることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
チャンバ(1)がほぼ円筒形であり、キャップ要素(10)が軸方向に移動可能にベース要素(9)に支持されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
チャンバ(1)の底範囲とは反対側に、シール(11)が配置されていることを特徴とする請求項8〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
シール(11)がキャップ要素(10)の底に固定されたリングシール(11)であることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
駆動ユニット(12)がキャップ要素(10)に作用連結されていることを特徴とする請求項8〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
チャンバ(1)の閉鎖位置でシール(11)がベース要素(9)に接触し、この場合少なくともベース要素(9)の外周面の範囲が出口(6)を完全に閉鎖し、開放位置でシール(11)がベース要素(9)に対して離れており、この場合出口(6)が開放していることを特徴とする請求項8〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
閉鎖位置においてチャンバ(1)の底範囲の方に向いた力をキャップ要素(10)に加える手段(13)が設けられていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
方法に関する請求項1〜7のいずれか一項に従って運転可能である、請求項8〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
請求項8〜20のいずれか一項に記載の装置を備えた自動車用ヒータ(25)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−520946(P2008−520946A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541657(P2007−541657)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/DE2005/001881
【国際公開番号】WO2006/053511
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(591018763)ベバスト・アクチィエンゲゼルシャフト (102)
【Fターム(参考)】