説明

微細加工したナノスプレー電極システム

【課題】ナノスプレーキャピラリニードル、1組の電極、および質量分析器へのキャピラリ入力部を位置合わせする方法を提供すること。
【解決手段】この電極システムは、微細加工技術を利用して、2つの別々のチップからなるアセンブリとして形成される。各チップは、絶縁プラスチック基板上に形成される。第1のチップは、キャピラリエレクトロスプレーニードルおよびAPI質量分析器入力部用の機械的位置合わせフィーチャを、1組の部分電極と共に担持する。第2のチップは、1組の部分電極を担持する。完全な電極システムは、これらのチップがスタック構成で組み立てられるときに形成され、テイラーコーンのきっかけをつくることができ、かつ集束させることによって電気的中性物からイオンを分離し得るアインツェルレンズを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析法に関し、詳細には、液体クロマトグラフィ法またはキャピラリ電気泳動法と共に質量分析法を用いることに関する。本発明は、特に、微細加工した構成で実施するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロスプレー法は、生化学質量分析法(MS)におけるソフトイオン化の一般的な方法である。というのは、生化学質量分析法によって、液体クロマトグラフィ(LC)によって予め分離された液体試料を分析し、断片化を伴わずに複雑な分子をイオン化し、多重帯電による重分子の質量−電荷比を減少させることができるからである(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。生化学質量分析法は、キャピラリ電気泳動法(CE)などの他の方法によって予め分離された液体試料でも類似のやり方で用いることができる。
【0003】
原理は簡単である。典型的にはオリフィスを含むダイアフラムからなる電極と、分析物を含むキャピラリニードルと、の間に電圧を印加する。先端部から液体を引き抜き、テイラーコーン(Taylor cone)内に引き込むと、そこから大型の帯電した液滴が放出される。これらの液滴は音速に加速され、それらが移動するときに蒸発する。収縮する液滴中の電荷のクーロン斥力により、レイリー安定限界(Rayleigh stability limit)に達したときに、断片化されてイオンになる。得られたイオンは、多重に帯電していることがある。
【0004】
エレクトロスプレー質量分析器システムは、以下のいくつかの主要要素を含む。
・LCシステムまたはCEシステムとのインターフェースとなり得るエレクトロスプレーイオン化源
・(好ましくは、分子ではなく)イオンを真空チャンバに結合するインターフェース
・結合を最大にし得る位置合わせおよび/または観察用のシステム
・マスフィルタおよび検出器
従来方式では、スプレーは、大気圧から、中間の圧力で保持されるチャンバを介して注入される。差動排気を用いて流量と実現可能な圧力を合わせるいくつかの真空インターフェースが開発されている(例えば、非特許文献3参照)。イオン光学系は通常、キャピラリ(capillaries)などの入力および出力用のオリフィス、キャピラリアレイ(capillary arrays)、およびスキマー電極を備え、場合によっては、全通過モードでイオン案内部として動作する4重極レンズも含む。これらのコンポーネントを使用して、結合したイオンと電気的中性物(neutrals)との比を最大にする。そうしないとチャンバが一杯になる。
【0005】
様々な方法を用いて、小型の液滴からなる良好に分散したスプレーが得られるように、そしてそれ故に、分析物イオンの凝縮された流れが得られるようにする。直接加熱によって、溶媒を選択的に除去することができる(例えば、非特許文献4参照)。シースガス流を使用することによって利点が得られることがある(例えば、非特許文献5参照)。超音波によって噴霧が強められることがある(例えば、非特許文献6参照)。
【0006】
エレクトロスプレー法では位置合わせは重要ではなく、単にMS入力部に向かってスプレーを方向付けてよい。あるいは、スプレーの軸外方向を利用して、電気的中性物の分離を促進する。スプレーを集束させるためにキャピラリに直接装着された同軸レンズが開発されている(例えば、Li G., Yin H. “Mass spectrometer electrospray ionization”特許文献1参照)。しかし、このような簡単な機械システムを使用して実現し得る電極の複雑さには限界がある。
【0007】
キャピラリの内径が約100μmまでの従来型エレクトロスプレーシステムでは、流量は1μl/分程度であり、引出し電圧は2.5kV〜4kVの範囲である。流量および電圧は、内径が約10μmまでの範囲のキャピラリに基づくいわゆる「ナノスプレーシステム」ではかなり小さくなる(例えば、非特許文献7参照)。このようなキャピラリは、製作が比較的簡単であり、ある範囲の直径およびフリット材で入手可能である。また、キャピラリ径を小さくし、流量を少なくすると、質量−電荷比が大きいイオンが生成される傾向があり、それによって、生体分子に対する適用可能性がさらに広がる。
【0008】
スプレーの円錐形のサイズが小さくなるので、ナノスプレー源の位置合わせはより重要になる。典型的には、この供給源を精密位置合わせ装置に取り付け、ビデオカメラを使用して、大気圧イオン化(API)質量分析器の真空注入口に入るスプレーを観察する操作を必要とする。供給源は、ほとんどの普及ブランドの質量分析器にカスタマイズされて販売されている。しかし、このようなシステムは大型かつ複雑であり、コストがかかる。
【0009】
コストを削減するために、ナノスプレーイオン化源のコンポーネントの一部を一体化する様々な試みがなされている。エッチングされたキャピラリを含むガラスチップの縁部からスプレーを引き出すことができることが示されている(例えば、非特許文献8参照)。その後、面内流による一体型キャピラリが多くの材料で、特にプラスチックで実証された(例えば、非特許文献9および非特許文献10参照)。場合によっては、チャネルではなくスロットから(例えば、非特許文献11参照)、他の場合には、整形された表面から流体が引き出される(例えば、非特許文献12参照)。1次元アレイで形成される装置もある。チップの表面に直交して流れが通過する幾何形状も、しばしばシリコンを深堀反応性イオンエッチングすることによって実証されている(例えば、非特許文献13および非特許文献14参照)。このような装置は、2次元アレイに形成することができる。
【0010】
上記の進歩はもっぱら、システムのサブコンポーネントを一体化してイオン放出器にする試みからなるものである。これらの試みは、システムの流体部分に注力し、電気的中性物からイオンを分離する問題、ならびにイオンスプレーを真空システムへの注入口に位置合わせする問題を無視している。その結果、これらは、低コストナノスプレーシステムに好適なものではなくなっている。というのは、正確な位置合わせには、依然として高価な位置決め装置が必要とされるからである。
【0011】
【非特許文献1】Gaskell S.J. "Electrospray: Principles and practice" J. Mass Spect. 32, 677-688 (1997)
【非特許文献2】Abian J. "The coupling of gas and liquid chromatography with mass spectrometry" J. Mass Spectrom. 34, 157-168 (1999)
【非特許文献3】Duffin K.L., Wachs T., Henion J.D. "Atmospheric-pressure ion-sampling system for liquid-chromatography mass-spectrometry analyses on a benchtop mass-spectrometer" Anal. Chem. 64, 61-68 (1992)
【非特許文献4】Lee E.D., Henion J.D. "Thermally-assisted electrospray interface for Iiquidchromatography mass-spectrometry" Rapid Comm. in Mass Spect. 6, 727-733 (1992)
【非特許文献5】Huggins T.G., Henion J.D. "Capillary electrophoresis mass-spectrometry determination of inorganic ions using an ion spray-sheath flow interface electrophoresis"14, 531-539 (1993)
【非特許文献6】Hirabayashi A., de la Mora J.F. "Charged droplet formation in sonic spray" Int. J. Mass Spect. 175, 277-282 (1998)
【特許文献1】Li G., Yin H. "Mass spectrometer electrospray ionization" 米国特許第6462337号明細書
【非特許文献7】Wilm M., Mann M. "Analytical properties of the nanoelectrospray ion source" Anal. Chem. 68, 1-8 (1996)
【非特許文献8】Ramsey R., Ramsey J."Generating electrospray from microchip devices using electroosmotic pumping" Anal. Chem. 69, 1 174-1178 (1997)
【非特許文献9】Licklider L., Wang X.Q., Desai A., Tai Y.C., Lee T.D. "A micromachined chip-based electrospray source for mass spectrometry" Anal Chem. 72, 367-75 (2000)
【非特許文献10】Svedberg M., Petterson A., Nilsson S., Bergquist J., Nyholm L., Nikolajeff F., Markides K. "Sheathless electrospray from polymer microchips" Anal Chem. 75, 3934-3940 (2003)
【非特許文献11】Le Gac S., Arscott S., Rolando C. "A planar microfabricated nanoelectrospray emitter tip based on a capillary slot" Electrophoresis 24, 3640-3647 (2003)
【非特許文献12】Kameoka J., Orth R., Czaplewski D., Wachs T., Craighead H.G. "An electrospray ionization source for integration with microfluidics" Anal. Chem. 74, 5897-5901 (2002)
【非特許文献13】Schultz G.A., Corso T.N., Prosser S.J., Zhang S. "A fully integrated monolithic microchip electrospray device for mass spectrometry" Anal. Chem. 72, 4058-4063 (2000)
【非特許文献14】Griss P., Melin J., Sjodahl J., Roeraade J., Stemme G. "Development of micromachined hollow tips for protein analysis based on nanoelectrospray ionization mass spectrometry" J. Micromech. Microeng. 12, 682-687 (2002)
【非特許文献15】Bean K.E. "Anisotropic etching of silicon" IEEE Trans. Electron Devices ED-25, 1185-1193 (1978)
【非特許文献16】Hynes A.M., Ashraf H., Bhardwaj J.K., Hopkins J., Johnston I., Shepherd J.N. "Recent advances in silicon etching for MEMS using the ASETM process" Sensors and Actuators 74, 13-17 (1999)
【非特許文献17】Lorenz H., Despont M., Fahrni N., LaBianca N., Renaud P., Vettinger P. "SU-8: a low-cost negative resist for MEMS" J. Micromech. Microeng. 7 121-124 (1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、低コストナノスプレーシステムを提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、低コストナノスプレー源における位置合わせおよび電極装着の問題の解決策を提供することによって、上記その他の問題に対処するものである。これは、微小電子機械システム技術を利用して、絶縁プラスチック基板上に、適切な機械的位置合わせフィーチャおよび導電電極フィーチャを一体に形成することによって行う。この手法により、流体排出、スプレー加熱、およびシースガス流用のフィーチャを一体化することもできる。
【0014】
本発明は、ナノスプレーキャピラリニードル、1組の電極、およびAPI質量分析器へのキャピラリ入力部を位置合わせする方法を提供する。この電極システムは、微小電子機械システム技術を利用して、2つの別々のチップからなるアセンブリとして形成される。各チップは、絶縁プラスチック基板上に形成される。第1のチップは、キャピラリエレクトロスプレーニードルおよびAPI質量分析器入力部用の機械的位置合わせフィーチャを、1組の部分電極と共に担持する。第2のチップは、1組の部分電極を担持する。完全な電極システムは、これらのチップがスタック構成で組み立てられるときに形成され、テイラーコーンのきっかけをつくることができ、かつ集束させることによって電気的中性物からイオンを分離し得るアインツェルレンズを含む。
【0015】
したがって、本発明により、請求項1に記載のシステムが提供される。請求項1の従属請求項において有利な実施形態も提供される。本発明により、主要な方法独立請求項で詳述されるこのようなシステムを製作する方法も提供される。
【0016】
上記その他の特徴は、以下の図面を参照してよりよく理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、図1から図9に示す実施形態の例を参照して本発明を説明する。
【0018】
本発明者は、MEMS構造の利益をナノスプレー用途に拡張し得ることに思い当たった。MEMSでは、リソグラフィによるパターン化、酸化、およびメタライゼーションという広く用いられている方法を、異方性湿式化学エッチング(例えば、非特許文献15参照)および深堀反応性イオンエッチング(例えば、非特許文献16参照)などの特殊な技術と組み合わせて、シリコンなどの結晶質半導体の3次元フィーチャが形成される。SU−8などの特殊な感光性ポリマーに紫外線を露光して、プラスチックで3次元フィーチャを形成することができる(例えば、非特許文献17参照)。これらの方法を用いて、絶縁基板、位置合わせフィーチャ、および導電電極を組み合わせることができる。本発明者は、これらにより少なくとも潜在的に、一体化されたナノスプレーイオン化源を低コストで形成し得ることに思い当たった。
【0019】
しかし、MEMS技術を利用してナノスプレー装置を提供することを実現するには、依然として別の難点がある。この装置は一般に、湿潤環境かつ高電圧で動作させなければならず、そのため、電気的な絶縁および廃水が共に必要とされる。したがって、MEMSで最も一般に使用される基板材料であるシリコンは適切ではない。しかし、ガラスなどの他の絶縁材料は、微細加工が難しい。安定なスプレーを得るには、典型的には、軸方向に整列したオリフィスを含む電極が必要とされる。電気的中性物から効率的にイオンを分離するには、静電偏向または集束が必要とされる。集束の場合には、整列したオリフィスを含む別の電極が必要とされる。イオン経路自体が基板の面内にある場合、このようなオリフィスを面内パターン化だけで形成するのは極めて難しい。最後に、スプレーの周りにシースガスを提供するフィーチャ、噴霧化を促進するフィーチャ、ならびに、好ましくは溶媒を蒸発させることができるフィーチャを一体化することが望ましい。上記その他の理由から、これまでは、一体型MEMSナノスプレーシステムが可能ではなかった。しかし、図1から図9を検討することにより理解されるように、本発明者は、上記その他の問題に対処した。
【0020】
図1に、微細加工したナノスプレー電極システムの概念を示す。(例えば)ターボ分子ポンプ103によって、ポンプ排気した質量分析器101を高真空容器102内に設ける。このチャンバに、(この場合も、例として)ロータリポンプ105によってポンプ排気され、中間の圧力で保持された別のチャンバ104を介してイオンを注入する。この真空システムへの注入口は、キャピラリ106であるとする。入力キャピラリは別にして、これらのコンポーネントの厳密な構成は重要ではないことを理解されたい。例えば、質量分析器のフィルタ要素は、イオントラップ、4重極、磁気セクタ(magnetic sector)、交差電磁界、または飛行時間型装置とし得る。同様に、中間真空チャンバは、別のキャピラリおよびスキマー電極を含めて、ある範囲のコンポーネントを含むことができるはずである。
【0021】
このシステムへの全体的な入力は、ナノスプレーキャピラリ107によって提供される。ナノスプレーキャピラリ107と、質量分析計へのキャピラリ入力部106との位置合わせは、微細加工チップ108によって行われる。このチップは、ナノスプレーキャピラリ用の第1の組の機械的位置合わせフィーチャ109と、質量分析計へのキャピラリ入力部用の第2の組の位置合わせフィーチャ110と、を含む。このチップは、イオン経路に直交して設置された1組の電極111も含む。この1組の電極111は、(例えば)ダイアフラム電極とし得る(ただし、これに限定されるものではない)。排出およびガス注入用の穴を含めて、他のフィーチャをチップに一体化することもできる。
【0022】
図2に、チップ108の主要フィーチャを示す。このチップは、2つの別々の基板から構築され、各基板は、スタックアセンブリの形で配置された微細加工フィーチャを担持する。第1の基板は、絶縁材料で形成された基部201からなり、基部201は、図1のフィーチャ109に対応するナノスプレーキャピラリ用の機械的位置合わせフィーチャを担持する。この位置合わせフィーチャは、導電性または半導体のブロック203にエッチングされた(例えば)溝202とし得る(ただし、これに限定されるものではない)。この基板は、図1のフィーチャ110に対応する、質量分析計へのキャピラリ入力部用の位置合わせフィーチャも担持する。この場合も、この位置合わせフィーチャは、例えば、類似の材料205のブロックにエッチングされた別の溝204とし得る。この基板は、図1のフィーチャ111の一部に対応する、類似の材料207の直立プレートにエッチングされた溝206からなる1組の電極も担持する。
【0023】
第2の基板は、やはり絶縁材料で形成された基部208からなり、基部208は、図1のフィーチャ111の別の部分に対応する別の1組の電極を担持する。この別の1組の電極は、導電性または半導体の材料210の直立プレートにエッチングされた溝209からなる。これら2つの基板を重ね合わせると、これら部分電極の組が組み合わされて、閉じた瞳(pupils)211を備えた完全なダイアフラム電極が形成される。
【0024】
3つのこのような電極を使用して、いわゆる「アインツェル(einzel)」または均一電位静電レンズが形成される。このタイプのレンズにより、電極スタックを貫通して軸方向に通過するイオンを、簡単に、かつ制御された状態で集束することができ、したがって、質量分析計へのキャピラリ入力部にイオンスプレーを集束して、凝縮された分析物イオンの流れを提供することができる。
【0025】
位置合わせ用の溝202および204、ならびに電極の溝206および209は全て、類似のフォトリソグラフィプロセスによって画定することができ、したがって、互いに位置合わせし得ることを理解されたい。この態様により、上記の本発明の背景技術の項目で特定した、正確に位置合わせされた1組の機械的なフィーチャおよび電極を構築するという第1の問題の解決策が得られる。排出用の穴と共にパターン化し得る絶縁基板を使用すると、湿潤環境で高電圧を維持するという問題の解決策が得られることも理解されよう。最後に、部分電極を重ね合わせることにより、基板に直交して配置されたダイアフラム電極を形成するという問題の解決策が得られることを理解されたい。
【0026】
様々な材料およびプロセスを用いて、図2に類似の構造を実現し得ることが当業者には理解されよう。図3に、あるプロセスを示すが、これは限定的なものではなく例示するためのものである。用いる材料は低コストであり、3つのリソグラフィステップしか必要とされない。このプロセスは、結晶質シリコン基板に基づくものであり、その上に、後でプラスチックの仮想基板を形成する。個々のプロセスのステップを、典型的なフィーチャを含む1組のウエハ断面によって、次々に展開されてゆくように示す。
【0027】
ステップ1では、まず、(100)配向シリコン基板((100)-oriented silicon substrate)301を酸化して、両面にSiO層302を形成する。(例えば)フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチングによって、このSiOをパターン化しエッチングして、チャネル形状の開口303を形成する。ステップ2では、下にあるシリコン基板を、(111)結晶面を貫通して異方性エッチングして、V形溝304を形成する。この目的には一般に、水酸化カリウム(KOH)、水、およびイソプロパノール(IPA)からなるエッチング液を使用し得る。このステップにより、すべてのキャピラリ装着用の溝および電極の瞳が画定される。正面の酸化物を除去し、ウエハをひっくり返す。
【0028】
ステップ3では、ウエハに、エポキシベースのフォトレジストSU−8 305の厚い層をスピンコーティングする。このレジストは、少なくとも厚さ0.5mmで、層状にコーティングし露光することができる。このレジストは、粘着性に優れ、硬化後は極めて堅固になり、そのため、処理後の仮想基板材料として使用し得る。このレジストをフォトリソグラフィによりパターン化して、各ダイの周りにさいころ状の溝306を、任意の排出用の穴307およびガス注入口と共に形成する。
【0029】
ステップ4では、典型的には金属クロムの接着層およびより厚い金の別の層308によって、ウエハの正面を金属化して導電率を増加させる。ステップ5では、フォトレジスト309でウエハの正面をコーティングする。このウエハは平坦でないので、このステップでは、好ましくはスピンコーティングレジストではなく電着レジストを使用する。このレジストをパターン化して、全ての電極および位置合わせ用のブロック310の輪郭を画定し、このパターンを、金属を貫通して転写する。ステップ6では、このパターンを、深堀反応性イオンエッチングによってシリコンウエハを貫通して転写して、要素間に深い分離フィーチャ311を形成する。次いで、ステップ7で、フォトレジストを除去し、個々のダイを分離する。
【0030】
ステップ8では、金属層312を合わせてはんだ付けするか、あるいは接合することによって2つのダイを合わせて重ね合わせて、完全なナノスプレーチップが形成される。あるいは、このステップでは導電性エポキシを使用し得る。このチップをキャリア回路ボードに装着し、下側の基板上の適切なフィーチャにワイヤボンド接続部313を作製する。
【0031】
型の内部に金属を電気メッキすることにより導電性位置合わせ要素および電極要素を形成することによって、第1の代替プロセスが提供されることが当業者には理解されよう。この型自体は、一連のパターン化およびエッチングのステップによって形成し得る。ただし、この代替方法は、型を別に形成することを必要とし、これは手間のかかるプロセスである。
【0032】
絶縁基板に付着した導電層をソーイング(sawing)または他の方法で侵食することにより導電性位置合わせ要素および電極要素を形成することによって、第2の代替プロセスが提供されることも当業者には理解されよう。基板の基部は、ソーイングによって、または侵食によって画定することもでき、溝は部分ソーイングによって形成し得る。ただし、この代替方法では、生成し得る構造の範囲の柔軟性がそれほど得られない。
【0033】
ガラスから基板の基部を形成することによって、第3代替プロセスが提供されることも当業者には理解されよう。この基板の基部は、ソーイングによって、あるいは(感光性ガラスの場合には)フォトパターニングによってパターン化し得る。しかし、これらの代替方法では、やはり、生成し得る構造の範囲の柔軟性がそれほど得られない。これらの欠点にもかかわらず、ここで述べた各代替方法は、特定の応用例についての本発明の状況では、有用であると考えられることがあることを理解されたい。
【0034】
図4に、図3のプロセスを用いて実現し得る個々の基板の配置を示す。比較的大型のプラスチック基板−基部401は、エッチングされ金属化されたシリコン中に形成され、かつエッチングされた位置合わせ溝403を有するナノスプレーキャピラリ用の装着ブロック402を担持する。この基板は、類似のエッチングされた位置合わせ溝405を備えた質量分析器入力キャピラリ用の類似の装着ブロック404と、エッチングされた溝407を備えた1組の部分電極406と、を担持する。これらの電極は、それらの端部で広がっており、それによってスタックされたアセンブリの助けとなり、接合が可能になる。プラスチック製基板−基部を貫通する大型の穴408により、排出路が提供され、より小型の穴409により、シースガスがエッチングされたプレナムチャンバ(plenum chamber)410に流入するチャネルが提供される。より小型のプラスチック製基板基部411は、別の1組の部分電極412と、シースガスプレナム(sheath gas plenum)を画定する別のフィーチャ413と、を担持する。
【0035】
図5に組立てを示す。より小型の基板501を、より大型の基板502の上部に位置合わせして反転させ、電極を合わせて接合する。この装置を外部印刷回路ボードに装着し、ワイヤボンド接続部503を位置合わせフィーチャおよび電極に取り付ける。このチップを位置合わせし、質量分析器の入力キャピラリ504に電気的に接続し、ナノスプレーキャピラリ505をチップの入力位置合わせフィーチャに挿入し、電気的に接続する。各キャピラリにはストッパを設けて、キャピラリが一定の距離しか位置合わせ溝に挿入されないようにする。
【0036】
図6に、この装置の静電的な動作を示す。質量分析器へのキャピラリ入力部およびその位置合わせフィーチャ601は、共に接地電位にあると仮定する。ナノスプレーキャピラリが導電接点を含むと仮定し、ナノスプレーキャピラリに、その関連するマウント602を介して大きな直流電圧Vを印加する。あるいは、この電圧は、キャピラリに入る導線を介して印加することもできる。レンズ要素の外側電極603、604に中間電圧Vを印加し、中央要素605に別の電圧Vを印加する。スプレー606は、電位差V−Vのために、ナノスプレーキャピラリの出口に生成されたテイラーコーンから放出される。イオンの流れは、集束電圧Vの作用により、質量分析器へのキャピラリ入力部607に集束される。
【0037】
図7に、シースガス注入口の動作を示す。シースガスは、注入穴702を介して、このアセンブリの下側の基板−基部701を通過する。このガスは、ナノスプレーキャピラリマウント704に形成されたプレナム703に流入する。キャピラリは、上側および下側のナノスプレーキャピラリマウントの溝によって形成されたオリフィスを完全に密封していないので、キャピラリの周りのプレナムからガスが漏れる。しかし、キャピラリ705には自然なテーパが付けられているので、漏れの大部分は前方軸方向706で生じるようにされ、それによってスプレーの周りにシースが形成される。
【0038】
図8に、熱的な動作モードを示す。電流Iは、電極801の1つまたは複数を流れ、それによって局所的に加熱され、そのため、キャリア溶媒など、スプレー中のより多くの揮発性成分が選択的に蒸発することがあり、その結果、分析物イオン流が濃縮される。
【0039】
図9(a)〜図9(d)に、異なる可能な電極断面を示す。最も簡単な実施形態(図9(a))では、異方性湿式化学エッチングによって形成された溝を備えた2枚のプレート901と902のアセンブリにより、菱形瞳(diamond-shaped pupil)903を備えた電極が生成される。この瞳の縁部は、シリコンの(111)結晶面角度θ=cos−1(1/√3)=54.73°によって画定される。瞳のサイズは、最初にエッチングする溝の幅を、軸に沿って連続的または段階的に変化させることによって制御し得る。深堀反応性イオンエッチングなどの他の製作方法を用いて、対称性が本質的により大きいU形の位置合わせ溝および電極溝を形成し得ることが当業者には理解されよう。
【0040】
これらの電極は、図9(b)に示すように、追加の隙間904を利用して水平にセグメント化することもできるし、図9(c)に示すように、追加のエッチング905を利用して垂直にセグメント化することもできることも当業者には理解されよう。図9(d)に示すように、両方のセグメント化方法を組み合わせることができる。このタイプのセグメント化された電極を使用して、集束に加えて1軸または2軸の静電偏向を実現することができる。このように自由度を追加すると、例えば、電気的中性物がたどれない湾曲部または急折部をイオン経路に挿入することによって、電気的中性物からのイオンの分離を改善する潜在的な可能性が得られる。
【0041】
セグメント化された電極を使用して横方向静電力を提供することができると、経時的にスプレーを偏向し得ることも理解されたい。正弦波状に変化する横方向の力を利用してスプレーを振動させると、スプレー流に周期的な摂動を誘起することができる。この摂動の空間周波数が、流れのパターンにおけるレイリー分裂(Rayleigh instability)の空間周波数に一致するように選択される場合、この流れは、断片化されて液滴になるように仕向けられ、そのため、噴霧化が促進される。
【0042】
本明細書で説明してきたものは、微細加工したナノスプレー装置である。有利な実施形態を説明してきたが、ある種の完全体およびコンポーネントを用いて実施形態の例が示されており、添付の特許請求の範囲に照らして必要とみなされることがある場合を除き、本発明はいかなる形でも限定されるものではないことを理解されたい。さらに、特定の図を参照して本発明が説明される場合、1つの図のコンポーネントおよび特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の図のものと自由に交換可能であることを理解されたい。
【0043】
MEMS技術を参照して本発明の装置の性質を縮小して言及したが、本発明の状況では、MEMSという用語は、微細加工した、または微細加工するという用語を包含することを意図し、ミクロン程度の寸法の3次元の構造および装置の製作を定義することを意図することを理解されたい。これは、マイクロエレクトロニクスおよびマイクロマシニングの技術を組み合わせることである。マイクロエレクトロニクスでは、シリコンウエハから集積回路を製作することができ、マイクロマシニングでは、主にシリコンウエハから3次元構造が製作される。これは、ウエハから材料を取り除くか、あるいは、ウエハ上に、またはウエハ内に材料を追加することによって実現し得る。微細加工の魅力を要約すると、装置がバッチ製作され、それによって生産コストが低減され、小型化により材料が節約され、小型化により応答時間が速くなり、かつ装置による占有率(invasiveness)が低くなることである。ウエハを微細加工する技術には様々なものがあり、これらは当業者には周知のものである。これらの技術は、材料の除去に関係するもの、ならびに、ウエハへの材料の被着または追加に関するものに分けることができる。前者の例には、以下のものが含まれる。
【0044】
・湿式化学エッチング(異方性および等方性)
・電気化学エッチングまたは光支援電気化学エッチング
・ドライプラズマエッチングまたは反応性イオンエッチング
・イオンビームによる除去
・レーザ
【0045】
後者の例には、以下のものが含まれる。
・蒸着
・厚膜被着
・スパッタリング
・電気メッキ
・化学気相成長(CVD)
・エピタキシ
これらの技術をウエハの接合と組み合わせて、複雑な3次元を生成することができる。本発明によって提供されるインターフェース装置はこれらの例である。
【0046】
本明細書で用いる「備える」という言葉は、ここで言及したフィーチャ、完全体、ステップ、またはコンポーネントの存在を明示するものであり、1つまたは複数の他のフィーチャ、完全体、ステップ、コンポーネント、またはこれらの集合の存在または追加を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態による、大気圧イオン化質量分析器へのキャピラリ入力部にナノスプレーニードルを位置合わせする微細加工したナノスプレーシステムの概略図である。
【図2】本発明の実施形態による微細加工したナノスプレーシステムを2つのチップのスタックアセンブリとして構築するところを示す図である。
【図3】本発明の実施形態による微細加工したナノスプレーチップを構築するプロセスの流れである。
【図4】(a)および(b)は、本発明の実施形態による微細加工したナノスプレーチップの下部基板および上部基板の配置を示す図である。
【図5】本発明の実施形態による微細加工したナノスプレーチップのアセンブリを示す図である。
【図6】本発明の実施形態による微細加工したナノスプレーチップの静電的な動作を示す図である。
【図7】本発明の実施形態による微細加工したエレクトロスプレーチップのシースガス注入口の動作を示す図である。
【図8】本発明の実施形態による微細加工したエレクトロスプレーチップの熱的な動作を示す図である。
【図9】スタック電極アセンブリを使用して実現可能な電極構成を示す図であり、(a)は、閉じた瞳構成とした電極構成を示し、(b)は、水平に分割された瞳とした電極構成を示し、(c)は、垂直に分割された瞳とした電極構成を示し、(d)は、4象限瞳構成とした電極構成を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノスプレー源と質量分析器を結合するための単一チップ上に設けられる微細加工したナノスプレーイオン化装置であって、
キャピラリ入力部と協働する第1位置合わせフィーチャと、
キャピラリ出力部と協働する第2位置合わせフィーチャと、
前記キャピラリ入力部とキャピラリ出力部の間のイオン経路を画定するオリフィスと、
を備え、
前記イオン経路にほぼ直交する向きに設けられた少なくとも1つの導電電極をさらに備え、
前記第1位置合わせフィーチャ、前記第2位置合わせフィーチャ、前記オリフィス、および前記少なくとも1つの電極は、それぞれ前記チップ内に一体に形成される
ことを特徴とする微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項2】
前記チップは2枚の基板から構築され、
前記各基板はスタック構成で組み合わされて、前記チップが形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項3】
前記2枚の基板はそれぞれ絶縁基部を備え、
前記各基板は、前記得られるチップがその外側の表面に絶縁部分を有するように互いに重ね合わされる
ことを特徴とする請求項2に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項4】
前記2枚の基板はそれぞれ、個々のフィーチャと共に形成され、
前記各フィーチャは、前記2枚の基板が合わせられたときに、得られるフィーチャの組合せにより、前記第1位置合わせフィーチャ、前記第2位置合わせフィーチャ、前記オリフィス、および前記少なくとも1つの電極が画定されるように構成される
ことを特徴とする請求項2または3に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項5】
第1の基板は、前記キャピラリ入力部用の第1の溝状の位置合わせフィーチャ、および前記キャピラリ出力部用の第2の溝状の位置合わせフィーチャを画定し、
前記各基板はさらに、その上に、前記基板に垂直に配置された溝状の直立縁部を伴う前記少なくとも1つの導電電極を備える
ことを特徴とする請求項4に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項6】
前記第2基板は、その上に、前記基板に垂直に配置された溝状の直立縁部を伴う少なくとも1つの導電電極を備えることを特徴とする請求項5に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項7】
前記第1基板と第2基板を互いに重ね合わせて、前記第1および第2の基板上に設けられた前記少なくとも1つの電極が連続電極を形成し、
前記電極の溝は組み合わされてオリフィスを形成する
ことを特徴とする請求項6に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項8】
前記キャピラリ入力部は、ナノスプレーキャピラリであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項9】
前記ナノスプレーキャピラリ入力部は流体を供給し、
前記流体は、液体クロマトグラフィシステムから導入可能である
ことを特徴とする請求項8に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項10】
前記ナノスプレーキャピラリ入力部は流体を供給し、
前記流体は、キャピラリ電気泳動システムから導入可能である
ことを特徴とする請求項8に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項11】
最初に、前記入力キャピラリに最も近い電極を使用してテイラーコーンを生成し、次いで、前記入力キャピラリに収容された液体からイオンを引き出すことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項12】
前記キャピラリ出力部は、質量分析器への入力部を形成することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項13】
少なくとも2つの電極を備え、少なくとも第2電極を使用して前記出力キャピラリにイオンを集束することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項14】
少なくとも1つの電極が電気的に加熱され、選択的に溶媒を除去するために使用されることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項15】
少なくとも1つの電極がセグメント化されて、偏向横方向電界を形成するために使用されることによって、電気的中性物からのイオンの分離を助けることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項16】
前記偏向横方向電界は経時的に変化して、噴霧化の促進に使用されることを特徴とする請求項15に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項17】
前記チップは、少なくとも1つの流体排出用の穴を含むことを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項18】
少なくとも第1基板基部は、少なくとも1つのガス注入用の穴と、前記キャピラリ入力部を取り囲むプレナムチャンバと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項19】
前記プレナムチャンバは、前記スプレーに対するシースとして構成された軸方向ガス流を生成するように構成されることを特徴とする請求項18に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項20】
前記絶縁基部は、フォトパターニングが可能なポリマーで形成されることを特徴とする請求項3に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項21】
前記基板−基部の周囲、排出用の穴、およびガス注入口は、フォトパターニングによって画定されることを特徴とする請求項18に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項22】
前記位置合わせフィーチャおよび電極は、半導体で形成されることを特徴とする請求項1から21のいずれかに記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項23】
前記半導体は、シリコンであることを特徴とする請求項22に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項24】
前記半導体は、異方性湿式化学エッチングによって結晶面を貫通して溝状に加工されることを特徴とする請求項22に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項25】
前記半導体は、深堀反応性イオンエッチングによって溝状に加工されることを特徴とする請求項22に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項26】
前記位置合わせフィーチャまたは前記電極のいずれかは、深堀反応性イオンエッチングを利用することによって形成されることを特徴とする請求項22に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項27】
前記電極、溝、または基板−基部は、ソーイングによって形成されることを特徴とする請求項3に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項28】
前記位置合わせフィーチャおよび電極は、金属で形成されることを特徴とする請求項1から27のいずれかに記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項29】
前記金属は、電気メッキによって被着されることを特徴とする請求項28に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項30】
前記基板−基部は、ガラスで形成されることを特徴とする請求項3に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項31】
前記ガラスは、フォトパターニング可能であることを特徴とする請求項30に記載の微細加工したナノスプレーイオン化装置。
【請求項32】
出力部にキャピラリニードルを有するナノスプレー供給源と、入力部にキャピラリニードルを有する質量分析器と、前記供給源と前記質量分析器の間に設けられた請求項1から31のいずれかに記載のナノスプレーイオン化装置と、を備え、
前記装置の前記位置合わせフィーチャは、前記キャピラリニードル用の接続ポートを提供し、それによって、前記供給源から発する流体がイオン化されて、前記質量分析器に渡されるようにし得ることを特徴とする一体化パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−27131(P2007−27131A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−197964(P2006−197964)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(505037981)マイクロサイク システムズ リミテッド (8)
【Fターム(参考)】