説明

微細流体検出のための蛍光検出器

【課題】微細流体チップの所定体積のマイクロチャンバでの反応を実時間で検出する超小型蛍光検出器の提供。
【解決手段】所定体積のマイクロチャンバを備える微細流体チップ内でのPCR増幅を実時間で測定する蛍光検出器で試料流入口、試料排出口、マイクロチャンネル、幅広のマイクロチャンバを持つ微細流体チップ、マイクロチャンバ内での反応温度を調節するマイクロヒータ、励起光用発光ダイオード光源、励起光をマイクロチャンバに照射する第1の光学系機構、第1の検出器、マイクロチャンバ内で誘導された蛍光ビームを第1の検出器に反射させる第2の光学系機構を含む。そして光源の光が第1のミラーと対物レンズとの間でフォーカシングし、マイクロチャンバ全体を照射するスポットサイズに変換され、対物レンズを通過した励起光のスポットサイズを広く形成して微細流体チップのマイクロチャンバの全体に励起光を照射し、より広い面積で蛍光ビームを検出。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細流体検出のための蛍光検出器に関する。より詳しくは、微細流体素子内で微細流体の反応をリアルタイムで検出することができる超小型蛍光検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
微細流体チップは、フォトリソグラフィや高温−エンボッシング(hot−embossing)、モールディングなどの微細加工技術によって形成された微細チャンネル構造に蓋をかぶせて微量の流体を保管するか或いは調節させるためのチップであり、消耗される試薬の量を減らして分析時間を短くすることができるという長所を有している。
【0003】
特に、PCR反応(Polymerase Chain Reaction)において、DNA変性、アニーリング、及び延長反応の過程でそれぞれ異なる温度が要求されるときに、上記の反応は温度サイクルが反復されながら遂行される。この場合、反応体積を小さく反応面積を広くすることによって、マイクロチャンバ内の温度を早く変換させて、温度サイクルのサイクル時間を短縮することができる。
【0004】
PCR反応をリアルタイムで検出する方法として、あらゆる方法があるが、現在、蛍光検出法が使用されることが多い。また、蛍光検出法として、ダイを用いる方法と、TaqMan(登録商標)方法など多様な方法が開発されている。ダイを用いる方法において、PCR反応により二本鎖DNAに結合することによって蛍光を向上させるために、SYBR Green Iなどのダイを用いる。TaqMan方法において、PCR反応に使用されるプライマー以外に二つのプライマーの間に結合することができるDNAシーケンスをプローブとして使用し、このプローブ両端において、蛍光端と発光抑制端とを結合させる。この際、DNA合成に使用されるTaqポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性を使用してプローブを切断すれば、蛍光端と発光抑制端との間に結合されたDNAが切断される。これにより、蛍光端と発光抑制端との結合が切断されるが、この際、発光する蛍光を分析する。
【0005】
一方、このような蛍光検出法の一つとして、光ファイバを用いてチューブ内の蛍光を検出する方法がある(特許文献1)。この場合、多数のチューブ内における蛍光を一つの検出器によって検出することができるという点では有利であるものの、光ファイバに蛍光を励起させるための励起光を集光させるために、レーザのような干渉性に優れた光を発生する高価な光源を使用しなければならない。これにより、精密な光学装置が必要になって、コストが高くなるという短所がある。
【0006】
一方、励起ブロックと検出ブロックとを分けて構成し、LED(Light Emitting Diode)を用いた励起ブロックに蛍光を励起させ、励起ブロックに対して垂直に位置する検出ブロックに蛍光信号を検出させる方法がある(特許文献2)。これによれば、モジュール化において有利であるという長所を有している。
【0007】
しかし、励起と検出とを90℃の角度をもって行うためには、励起と検出とがひし形を呈するチューブの壁面側において行われるために、チューブは充分な壁面厚さを有することが必要となり、また試料の体積が25μl以上にしなければならないという短所がある。
【特許文献1】米国特許第5928907号明細書
【特許文献2】米国特許第6369893号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の技術的課題は、所定体積を有し、微細流体チップ上に配置されるマイクロチャンバ内において生じる微細流体の反応をリアルタイムで検出することができる超小型蛍光検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、所定の体積を有するマイクロチャンバを備える微細流体チップ内で反応するPCR増幅をリアルタイムで測定するための蛍光検出器であって、
試料流入口および試料排出口と、前記試料流入口と前記試料排出口を連結するマイクロチャンネルと、そのマイクロチャンネルの途中に前記試料流入口および前記試料排出口の幅より広い幅で形成されたマイクロチャンバとを備える微細流体チップと、
前記マイクロチャンバ内における反応温度を調節するために前記微細流体チップの下部に結合されたマイクロヒータと、
励起光を発生する発光ダイオードである光源と、
前記励起光を所定のスポットサイズで前記マイクロチャンバに照射することが可能な第1の光学系機構と、
第1の検出器と、
前記所定のスポットサイズを有する前記励起光により前記マイクロチャンバ内で誘導された蛍光ビームを前記第1の検出器に反射させる第2の光学系機構と、を含み、
前記第1の光学系機構は、
前記励起光の短波長成分を透過させる第1のフィルターと、
前記光源と前記第1のフィルターとの間に配置されて前記励起光を集光するための第1のレンズと、
前記第1のフィルターを通過した前記励起光の所定成分の波長を透過させ、前記マイクロチャンバ内で誘導された蛍光ビームを反射させる第1のミラーと、
前記第1のミラーを透過した前記励起光を前記所定のスポットサイズで照射可能な対物レンズと、を含み、
前記励起光は、前記第1のレンズにより前記第1のミラーと前記対物レンズの間で焦点が結ばれるように集光され、前記対物レンズを通過することでマイクロチャンバ全体を照射する前記所定のスポットサイズに形成されて前記マイクロチャンバを照射する、ことを特徴とする微細流体検出のための蛍光検出器が提供される。
【0010】
また、本発明の他の類型によれば、第2の光学系機構は、第1のミラーから反射された蛍光ビームを第1の検出器に反射するための第2のミラーと、蛍光ビームのうち長波長成分を透過させる第2のフィルターと、第2のフィルターを透過した蛍光ビームを第1の検出器に集束するための第2のレンズと、を含む蛍光検出器が提供される。
【0011】
また、本発明の他の類型によれば、第1のミラーは第1及び第2の面を備え、第1の面に励起光を透過し、蛍光ビームを反射するコーティングが形成され、第2の面は励起光と蛍光ビームとを通すことが可能であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の類型によれば、第1のミラーは第1及び第2の面を備え、第1の面に励起光を透過するコーティングが形成され、第2の面には励起光を透過し蛍光ビームを反射するコーティングが形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の類型によれば、第2のミラーは、蛍光ビームのうち第1の波長を有する蛍光ビームを反射し、第2の波長を有する蛍光ビームは透過することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の類型によれば、マイクロチャンバ内においてPCR反応が発生され、当該PCR反応の間、蛍光ビームを発生させるためのダイとしてSYBRグリーンIが用いられることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の他の類型によれば、SYBRグリーンIは、B−型肝炎ウイルスをエンコーディングしたDNAのPCR増幅をリアルタイムでモニタリングするために用いられることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の他の類型によれば、二つ以上の波長を有する蛍光ビームを発生するようにマイクロチャンバ内に少なくとも2以上のダイが用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
前記のように構成された本発明の望ましい実施形態によると、光源から発生される光が第1のミラーと対物レンズとの間でフォーカシングするように設計されることによって、対物レンズを通過した励起ビームのスポットサイズを広く形成して微細流体チップのマイクロチャンバ全体に励起光を照射することができ、より広い面積で蛍光ビームを検出することができる。
【0018】
従って、本発明の望ましい実施形態により蛍光検出器を構成すれば、励起光をマイクロチャンバに整列することが容易であり、その他の光学部品を調節するための機構的部品を不要にするので、蛍光検出器のコストを下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付した図面に基づき本発明の望ましい実施形態における微細流体チップ及び微細流体チップを用いて微細流体の反応を検出するための蛍光検出器を詳細に説明する。
【0020】
図1に示すように、微細流体チップ100は、試料流入口106と試料排出口108とがそれぞれに形成された上部基板110及び下部基板112を含む。反応温度を調節するため下部基板112にはマイクロヒータ102が結合される。また、上部基板110又は下部基板112において、マイクロチャンバ105、および試料流入口106と試料排出口108とを連結するマイクロチャンネル103が、フォトリソグラフィ、高温−エンボッシング、又はプラスチックモールドのような方法により形成される。
【0021】
上部基板110と下部基板112とは、内部に流体が保管可能なように、アノーディックボンディングや熱的ボンディング、接着剤を用いたボンディングなどにより接合される。微細流体チップ100は、シリコン表面に金属をパターニングしたマイクロヒータ102を下部基板112に接触させて、温度を制御することができる。温度伝達が容易なように、下部基板112は、シリコン、メタル、又は熱伝導率の高いプラスチック材質を使用して形成されることが望ましい。また、上部基板110は、蛍光検出が容易なように、ガラス透明なプラスチックなどの透明な材質によって形成されることが望ましい。
【0022】
微細流体チップ100の中央部分に形成されるマイクロチャンバ105の幅は、流入する試料が検出される体積を最大化させるために、試料流入口106および試料排出口108の幅より広くなっている。本発明の望ましい実施形態において、微細流体チップ100の中央部分に形成されるマイクロチャンバ105の幅は1mm以上に製作される。
【0023】
図2は、本発明の望ましい実施形態における蛍光検出器を説明するための概略図である。
【0024】
図2に示す本発明の望ましい実施形態における蛍光検出器200は、例えば発光ダイオードである光源202と、第1及び第2のレンズ204、236と、第1及び第2のフィルター206、234と、第1及び第2のミラー208、232と、対物レンズ210と、微細流体チップ220と、活性領域242を有するフォトダイオード240と、を含む。
【0025】
光源202から発生された光は、第1のレンズ204により対物レンズ210の前方に焦点Fが結ばれるように集光され、光源202から発生した光から蛍光に干渉を与え得る長波長成分を除去するために第1のレンズ204と焦点Fとの間に第1のフィルター206が配置される。本発明の望ましい実施形態による第1のフィルター206は、励起ビーム通過フィルターと称され、短波長を通過させるフィルターやバンドパスフィルターが適用されている。
【0026】
第1のフィルター206を通過した光のうち所定の波長成分を有する光のみが、第1のフィルター206と対物レンズ210との間に配置された第1のミラー208によって、対物レンズ210を透過され、残りの波長成分を有する光は、第2のミラー232へ反射される。これにより、残りの波長成分を有する励起ビームは、微細流体チップ220に入射されない。本発明の望ましい実施形態で、第1のミラー208は、ダイクロイックミラーにより形成される。
【0027】
第1のミラー208を透過した励起ビームは、対物レンズ210により所定のスポットサイズで微細流体チップ220のマイクロチャンバ225に照射される。
【0028】
本発明の望ましい実施形態において、微細流体チップ220のマイクロチャンバ225内に発生するPCRの蛍光信号の検出について、下記の通り実施した。
【0029】
<実施例1>
ターゲットDNAの初期濃度からB−型肝炎ウイルスをエンコーディングしたDNAのPCR増幅をリアルタイムでモニタリングするために、蛍光ビームを検出するPCRのマスタ混合物の組成は、下記表1の通りである。
【0030】
【表1】

【0031】
表1に基づいて準備されたPCR溶液中1μlを、図1に示した微細流体チップ100の試料流入口106に注入することによりマイクロチャンネル103を通じてマイクロチャンバ105内に試料が流入される。
【0032】
続いて、微細流体チップ100のマイクロチャンバ105に蛍光検出器を整列させた後、図4Aに示す温度プロファイルを用いてマイクロヒータ102を加熱し、下記の表2に記載されたPCR温度条件に従って熱周期を変化させながら実験を進めた。
【0033】
【表2】

【0034】
図4Bは、DNA増幅反応の間、本発明の望ましい実施形態による蛍光検出器を用いて蛍光信号をリアルタイムで検出した結果を説明するための図である。
【0035】
図4Bにおいて、DNAプラスミドが複製される数に依存する温度サイクルの間、リアルタイムでフォトダイオードによって測定された蛍光ビームの値が示されている。すなわち、アニーリング区間で8秒間経過後に5秒間蛍光ビームを連続測定してPCR周期数について表示している。
【0036】
図4Bによれば、PCR反応の間、DNA量が幾何級数的に増加するが、蛍光ビームは、検出限界以下では、検出されず直線に放出され、そして、蛍光ビームは、検出限界以上にDNAが増幅されれば、周期に依存して幾何級数的に増加して、検出され始めることが分かる。
【0037】
そして、反応するdNTPの濃度が落ちる特定周期以後には、反応速度が減速し始めながら、蛍光ビーム増加率が低下してPCR反応の典型的なS字曲線を示す。DNAプラスミドの複製数が増加することに応じて、幾何級数的に増加し始める周期が短くなることが分かる。
【0038】
<実施例2>
SYBRグリーンIを用いてリアルタイムPCR反応を検出するときには、PCRで増幅されたDNAが所望の部位であるか否かを確認するためにDNA変性を生じさせるメルティングカーブを描く必要がある。
【0039】
図5は、微細流体チップ内において温度が上昇することによって生じるDNAメルティングに伴う蛍光の減少量を、蛍光検出器で測定した結果を説明するための図である。
【0040】
図5に示すように、温度が上昇する間、リアルタイムで蛍光を検出したときに、温度に依存して増幅されたDNAの2本鎖がほどけて一本鎖になっていくことが把握される。従って、こうした信号を分析して得ることができる情報は、DNAのメルティング温度であり、これよりPCRで増幅されたDNAの2本鎖の長さが分かる。
【0041】
下記の表3は、メルティングカーブを得るために実験した条件を示したものである。
【0042】
【表3】

【0043】
再び、図2を参照すれば、本発明の望ましい実施形態によると、マイクロチャンバ225内の試料は、光源202から発生された励起光により蛍光を発し、この蛍光ビームは、対物レンズ210に入射された後、対物レンズ210によって集束されて選択される。この際、選択された蛍光ビームは、第1のミラー208により第2のミラー232へ反射された後、再び第2のミラー232により第2のフィルター234に反射される。
【0044】
本発明の望ましい実施形態によると、第2のフィルター234は、蛍光ビーム透過フィルターであって蛍光ビームのうち長波長成分を通過させるフィルター又はバンドパスフィルターを使用した。
【0045】
その後、第2のレンズ236は、第2のフィルター234を透過した蛍光ビームをフォトダイオード240の活性領域242に集束させることにより電気的信号を検出する。
【0046】
図3は、本発明の望ましい他の実施形態による蛍光検出器を説明するための概略図を示す。
【0047】
図3に示す本発明の望ましい他の実施形態による蛍光検出器300は、光源302と、第1〜第3のレンズ304、336、338と、第1〜第3のフィルター306、307、309と、第1及び第2のミラー308、311と、第1及び第2のフォトダイオード340、344と、対物レンズ310及び微細流体チップ320と、を含む。
【0048】
図2を参照して説明した蛍光検出器200が一つの蛍光ビームを検出するように設計される一方、図3に示した蛍光検出器300は、同時に2本以上の蛍光ビームを検出することができるように構成されるという点で相違する。
【0049】
例えば、本発明の望ましい実施形態において、B−型肝炎のウイルス遺伝因子をエンコーディングしたDNAを検出するためにSYBRグリーンIダイを使用したが、その他の遺伝形質をエンコーディングしたものを検出するためにダイとしてFAM(carboxyfluorescein)とTAMRA(carboxytetramethylrhodamine)などを同時に使用する場合に、蛍光検出器300を適用することができる。
【0050】
より詳しく説明すれば、本発明の望ましい他の実施形態による第1のミラー308は、二つ以上のダイを使用することによって発生される相異なる波長を有する蛍光ビームを全て第2のミラー311に反射させる。
【0051】
第2のミラー311は、第1の波長の蛍光ビームを第2のフィルター307及び第2のレンズ336を経由して第1のフォトダイオード340の活性領域342に入射させる。
【0052】
一方、第2の波長の蛍光ビームは、第2のミラー311を透過した後、第3のフィルター309を通過する。その後、第3のフィルター309を通過した第2の波長の蛍光ビームは、第3のレンズ338により、第2のフォトダイオード344の活性領域346に入射される。これにより、蛍光検出器300は、2本以上の蛍光ビームを検出することができる。
【0053】
本発明の望ましい実施形態において、470nm程度をピーク波長とする青色LEDを光源302として使用し、励起ビームパスフィルターとしての第1のフィルター306は、短い波長の光を透過させる短波長パスフィルターとして短波長を有する光を透過するダイクロイックフィルターを使用した。
【0054】
この際、ダイクロイックフィルターは、透過させてはならない長波長の光を0〜1%程度の透過率で透過するので、背面光信号を減らすために2枚以上を使用することもできる。
【0055】
また、放射光パスフィルターの場合には、フィルターを透過してフォトダイオードに到達する励起光が検出されることによって引き起される背面光信号の増加を減じるために、長波長の光を透過する一あるいは二枚のダイクロイックフィルターを使用することができ、さらに長波長の光を透過する色ガラスフィルターを追加的に使用することもできる。
【0056】
本発明の望ましい実施形態において、第1のミラーは、第1及び第2の面を備えている。第1の面には、励起光を透過させて蛍光ビームを反射させるコーティングが形成され、第2の面は、励起光と蛍光ビームとを通す。しかしながら、第1の面に励起光を透過させるコーティングが形成され、第2の面に励起光を透過させて蛍光ビームを反射させるコーティングが形成されるように、第1のミラーを変形することができる。
【0057】
本発明は、図面に示された実施形態を参考に説明されたが、これは、例示的なことに過ぎず、当業者なら、これより多様な変形及び均等な他実施形態に改変可能であるという点を理解できるであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、詳細な説明の範囲内で決められるのではなく、特許請求範囲で決められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、微細流体素子内で微細流体の反応をリアルタイムで検出することができる超小型蛍光検出器に係り、例えば、PCR反応をリアルタイムで検出する方法に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の望ましい実施形態による微細流体検出のための蛍光検出器に使用される微細流体チップを説明するための斜視図である。
【図2】本発明の望ましい実施形態における蛍光検出器を説明するための概略図である。
【図3】本発明の望ましい他の実施形態による蛍光検出器を説明するための概略図である。
【図4A】DNA増幅反応をリアルタイムで観察するための装置で時間による反応温度プロファイルを説明するための図である。
【図4B】DNA増幅反応の間、本発明の望ましい実施形態による蛍光検出器を用いて蛍光信号をリアルタイムで検出した結果を説明するための図である。
【図5】微細流体チップ内において温度が上昇することによって生じるDNAメルティングに伴う蛍光の減少量を蛍光検出器で測定した結果を説明するための図である。
【符号の説明】
【0060】
100 微細流体チップ、
102 マイクロヒータ、
103 マイクロチャンネル、
105 マイクロチャンバ、
106 試料流入口、
108 試料排出口、
110 上部基板、
112 下部基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の体積を有するマイクロチャンバを備える微細流体チップ内で反応するPCR増幅をリアルタイムで測定するための蛍光検出器であって、
試料流入口および試料排出口と、前記試料流入口と前記試料排出口を連結するマイクロチャンネルと、そのマイクロチャンネルの途中に前記試料流入口および前記試料排出口の幅より広い幅で形成されたマイクロチャンバとを備える微細流体チップと、
前記マイクロチャンバ内における反応温度を調節するために前記微細流体チップの下部に結合されたマイクロヒータと、
励起光を発生する発光ダイオードである光源と、
前記励起光を所定のスポットサイズで前記マイクロチャンバに照射することが可能な第1の光学系機構と、
第1の検出器と、
前記所定のスポットサイズを有する前記励起光により前記マイクロチャンバ内で誘導された蛍光ビームを前記第1の検出器に反射させる第2の光学系機構と、を含み、
前記第1の光学系機構は、
前記励起光の短波長成分を透過させる第1のフィルターと、
前記光源と前記第1のフィルターとの間に配置されて前記励起光を集光するための第1のレンズと、
前記第1のフィルターを通過した前記励起光の所定成分の波長を透過させ、前記マイクロチャンバ内で誘導された蛍光ビームを反射させる第1のミラーと、
前記第1のミラーを透過した前記励起光を前記所定のスポットサイズで照射可能な対物レンズと、を含み、
前記励起光は、前記第1のレンズにより前記第1のミラーと前記対物レンズの間で焦点が結ばれるように集光され、前記対物レンズを通過することでマイクロチャンバ全体を照射する前記所定のスポットサイズに形成されて前記マイクロチャンバを照射する、ことを特徴とする微細流体検出のための蛍光検出器。
【請求項2】
前記第1のミラーは第1及び第2の面を備え、前記第1の面には前記励起光を透過し、前記蛍光ビームを反射するコーティングが形成され、前記第2の面は前記励起光と前記蛍光ビームとを通すことが可能であることを特徴とする請求項1に記載の微細流体検出のための蛍光検出器。
【請求項3】
前記第1のミラーは第1及び第2の面を備え、前記第1の面には前記励起光を透過するコーティングが形成され、前記第2の面には前記励起光を透過し前記蛍光ビームを反射するコーティングが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の微細流体検出のための蛍光検出器。
【請求項4】
前記第2の光学系機構は、
前記第1のミラーから反射された前記蛍光ビームを前記第1の検出器に反射するための第2のミラーと、
前記蛍光ビームのうち長波長成分を透過させる第2のフィルターと、
前記第2のフィルターを透過した前記蛍光ビームを前記第1の検出器に集束するための第2のレンズと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の微細流体検出のための蛍光検出器。
【請求項5】
前記第2のミラーは、前記蛍光ビームのうち第1の波長を有する蛍光ビームを反射し、第2の波長を有する蛍光ビームは透過することを特徴とする請求項4に記載の微細流体検出のための蛍光検出器。
【請求項6】
第2の検出器と、
前記第2の波長を有する前記蛍光ビームのうち長波長成分を透過させる第3のフィルターと、
前記第2のミラーから透過された前記第2の波長を有する前記蛍光ビームを前記第2の検出器に集束するための第3のレンズと、を含むことを特徴とする請求項5に記載の微細流体検出のための蛍光検出器。
【請求項7】
二つ以上の波長を有する前記蛍光ビームを発生するように前記マイクロチャンバ内に少なくとも二つ以上のダイが用いられることを特徴とする請求項5に記載の微細流体検出のための蛍光検出器。
【請求項8】
前記二つ以上のダイは、SYBRグリーンI、FAM、又はTAMRAの中から選択されることを特徴とする請求項7に記載の微細流体検出のための蛍光検出器。
【請求項9】
前記マイクロチャンバ内においてPCR反応が発生され、当該PCR反応の間、前記蛍光ビームを発生させるためのダイとしてインターカレーティングエージェント又はTaqMan(登録商標)が用いられることを特徴とする請求項1に記載の微細流体検出のための蛍光検出器。
【請求項10】
前記インターカレーティングエージェントSYBRグリーンIであることを特徴とする請求項9に記載の微細流体検出のための蛍光検出器。
【請求項11】
前記SYBRグリーンIは、B−型肝炎ウイルスをエンコーディングしたDNAのPCR増幅をリアルタイムでモニタリングするために用いられることを特徴とする請求項10に記載の微細流体検出のための蛍光検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−116446(P2008−116446A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268238(P2007−268238)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【分割の表示】特願2004−369445(P2004−369445)の分割
【原出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】