説明

微細試験片をナノ領域まで条件変化をさせながら成形し、隋時ナノ領域までの物性を、自動的に最適制御しながら測定する方法及び測定機

【課題】取り扱いが容易で、単純な形状の試験片を用いて、ナノ領域のナノ物性を、条件を変化させながら、自動制御、自動調整し、精度を高く、安価に計測する。
【解決手段】測定したい金属・高分子・セラミックス等のすべての材料の微細試験片を装置に取り付け、試験片のナノ領域に於けるナノ物性を、温度や形状変化に対応して、引っ張り力による変化等を正確に、3次元表示自動調整しながら測定する装置で、ナノ物性を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験片を測定機に迅速に位置づけ、測定部の正確な制御を行い、測定部分をナノレベルに加工しながら、試験片の温度を変化させたり、引っ張り応力を加えたり、さらに形状加工を加えて、試験片のナノ領域までのナノ物性(融点と機械物性、剛性率,破壊塑性値他)をデュアルカンチレバー等で構成される測定部で測定するとともに、3次元表示・自動制御を行うプログラムによって、自動調整しながら、正確に安価にナノ物性を測定する測定装置と測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナノ物性を測定する測定機は、マクロ試験片の位置や領域がナノ分解能の測定であるが、ナノ物性の発現する条件での測定ではなかった。
ナノ物性を測定するためには、ナノ試験片を用いる必要があるが、ナノ試験片の作成が困難である上、ナノ試験片を取り付けるための方法がなかった。
【0003】
ナノ領域の測定は、正確な位置決めや制御が重要であるが、精度をあげる迅速な位置決めや制御方法がなかった。また、温度条件等の変化や測定部を加工しながら、変化を正確に測定する方法もなかった。
【0004】
また、測定を自動的にできないため、調整に時間がかかり、物性の正確な精度による測定方法もなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ナノ領域までの加工が容易な試験片の形状の作成と、容易な取り付けと、試験片をナノ物性の測定可能なナノレベルまで成形する際の温度変化や加工等の諸条件の変化設定を自動的に行い、さらに3次元表示や制御可能なソフトを用いて、自動調節しながらナノ物性の測定精度を高めて、また安価に測定することを解決することが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、この発明は、先ず取り付けや測定の取り扱いが容易になるように、微細試験片を予め加工して作成する。
試験片の測定部分を、ナノレベルに加工できるようにスリットを設けて、形状を作成する。
スリット形状は、丸型、角型、多角型及び類似型を含む孔である。
試験片形状の一例を図1に示す。
【0007】
この微細試験片を掴み治具取り付け時に、傷まないように、掴み治具取り付け部を樹脂で被覆して、掴み治具に取り付ける。
【0008】
測定手の測定部(例えばカンチレバーの先端)が一致するように位置決めをする。その際マルチ測定手(デュアルカンチレバーを含む)の一方の位置を固定する。次に他の測定手をスキャンして測定部に移動させて最終的に位置決めを正確に行う。この位置決めは、他の測定手を横方向、縦方向、奥行き方向に動かすが、ピエゾステージでのピエゾの変化で、電位差がそれぞれ最大値になる位置がカンチレバーの先端が一致する位置である。これをパソコン上にX、Y、Z軸で表現し、自動的に一致できるようにした。
【0009】
次に、掴み治具に取り付けた試験片と測定手(例えばカンチレバーの先端)の測定部分の位置決めは、試験片と測定手間での原子間力の電位差の情報とシミュレーション結果及びGAIN、ループなどの制御アルゴリズムとフィードバック法を用いて、ナノ領域測定部までの距離が正確に測れるように、両方の測定手の真ん中に、試験片の測定部の真ん中が位置するように、迅速に制御する。
【0010】
試験片を取り付けた後、試験片の温度を一定にして試験片の形状を変化させるか,もしくは試験片の形状は一定のまま、温度を変化させながら、測定手(例えばカンチレバーの先端)で測定部の距離の変化をモニタリングすることによって、ナノ領域での昇華等の情報を得る。
これによってナノ領域に於ける物性の測定を行うことができる
【0011】
また、取り付けた試験片の温度を、加熱器でコントロールし、加工応力やレーザーやスポットクーラーによって温度勾配を試験片に与え、また原子をプローブと加工材料にトンネル電流を発生させて、その作用により原子を吸着する法を利用した原子吸着機によって、試験片のナノ物性の測定すべき部分の形状を自由に変化させるための加工を行う。これによって、加工をしながらナノ領域のナノ物性の測定ができる。
【0012】
測定に際して、条件変化他によって得られた情報をプログラムによってパソコン上に3次元表示を行い、表示された図と測定機の操作が連動された測定機と測定条件の変化とを自動的に調整をしながら、測定することができる。
【0013】
ナノ領域のナノ物性を、条件を変化させながら、自動調整を正確に行い、精度を高く測定する
測定機を図3に示す。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって、取り扱いが容易で、単純な形状の試験片を用いて、ナノ領域のナノ物性を、条件を変化させながら、自動制御、自動調整しながら、精度を高く、安価に計測する事ができるため、ナノ部品、ナノ製品の工業化に必要不可欠な測定装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
微細な金属や高分子の試験片(図1の1)の一部を、スリット加工(図1の4)して、その部分を測定する際に、ナノ領域への加工をし易いように形状を予め作成しておく。
スリットの形状は丸型、角型、多角型及び類似型を含む。
【0016】
測定のために、測定手の位置決めする際、測定手(カンチレバー(図3の10)など)の一方を先ず位置を固定する。次にパソコン上にピエゾステージと連動して、X、Y、Z軸で位置が表示されるので、他のカンチレバーを移動させて、パソコン上のX、Y、Z軸で表示された位置がカンチレバーと試験片の測定部の原子間力が最大値になるようにバランスさせ、縦、横、深さでヅレのないように、合致させて、最終的に位置決めをする。尚、測定手はピエゾステージ上に固定され、パソコンで自動的に制御を行う。
【0017】
試験片を掴み治具(図2の5)に取り付ける.試験片にはあらかじめ掴み部(図1の2)を設け,樹脂等で補強した。
【0018】
試験片を掴み治具で、取り付け部に取り付け、試験片とマルチ測定手の距離を正確に位置決めするために、まず変位計(図3の11)からのレーザー光でカンチレバーまでの正確な距離を測定し、次に、測定する試験片とカンチレバー間の原子間力による電位差による距離情報とシミュレーション結果及びGAIN、ループなどの制御アルゴリズムとフィードバック法を用いて、試験片のナノ測定部の真ん中が、測定手の真ん中に位置するように迅速に自動的に制御する。
【0019】
この測定及び加工部をオートクレーブで覆い、加熱器、レーザーやスポットクーラーで、温度勾配を、また原子吸着機の原子吸着法で形状加工を行い、試験片形状をナノ領域まで、変化させながら、ピエゾ(圧電素子)ステージ(図3の9)で、引っ張り力(図2の7)を加え、変化を測定する。
つまり試験片全体を引張加工(図2の7),および試験片のナノ領域測定部を温度勾配、形状加工機器(図2の8)によって温度、圧力、湿度他を制御して、試験片を自由形状に加工し、測定手(カンチレバー等)(図2の6)により条件変化におけるナノ部分の厚さを計測しながら、ナノ物性を測定する。
【0020】
試験片のナノ領域での変化情報を、3次元表示のプログラムにより、コンピュータシミュレーション処理を行い、フィードバック制御の表示を見ながら、操作条件を変化させて、自動調整を行いながら測定する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明に関する測定機及び測定方法は、ナノ物性を測定するための不可欠な機器であり、ナノ部品、ナノ製品の工業的な利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】準備すべき試験片の形状
【図2】測定部及び加工部
【図3】測定機
【符号の説明】
【0023】
1 試験片
2 掴み部
3 測定箇所
4 スリット
5 掴み治具
6 測定手(カンチレバー等)
7 引っ張り加工
8 温度勾配、形状加工機器
9.ピエゾステージ
10.カンチレバー
11 変位計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定したい金属・高分子・セラミックス等すべての材料の微細試験片を、ナノ領域に加工し易くできる形状に予め作成する方法
形状は丸型、角型、多角型他類似の形状を含むものとする。
【請求項2】
1の項の試験片を測定機に取り付けるに際し、試験片が傷まないように、樹脂で掴み治具取り付け部分を被覆し、掴み治具に取り付ける方法
【請求項3】
測定手の測定部(例えばカンチレバーの先端)が一致するように位置決めする際、マルチ測定手(デュアルカンチレバーを含む)の一方の位置を決め、次に他の測定手をスキャンしながら測定部に移動させて、最終的に先端が正しく位置するように位置決めする機構と方法
【請求項4】
試験片を取り付けた後、試験片とマルチ測定手の距離を正確に位置決めするために、測定手から試験片の測定部との電位差情報とシミュレーション結果及びGAIN、ループなどの制御アルゴリズムとフィードバック法を用いて、迅速に制御する方法
【請求項5】
測定機の温度条件をコントロールし、引っ張り荷重を試験片に加え、試験片の測定したい部分をナノ領域に徐々に変化させ、測定部の距離によってナノ変化を見ながら、ナノ物性(融点)を測定する方法
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1以上により、ナノ領域のナノ物性を環境条件や形状変化をさせながら、正確に迅速に測定するナノ測定機

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−17416(P2007−17416A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223382(P2005−223382)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(504328691)有限会社ナノ・フューチャー (3)
【Fターム(参考)】