説明

心臓血管分野における直接トロンビン阻害薬のための新規適応

本発明は、心臓血管分野におけるダビガトランエテキシレートなどの直接トロンビン阻害薬のための新規適応に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接トロンビン阻害薬(DTI)のための新規適応、前記疾患を治療するための医薬組成物を調製するための方法及びそれらを治療する方法に関する。
【発明の開示】
【0002】
本発明の直接トロンビン阻害薬は、
(1)以下の構造を有するダビガトランとして公知な、1-メチル-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-ベンズイミダゾル-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-ヒドロキシカルボニルエチル)-アミド、
【化1】

(2)以下の構造を有するダビガトランエテキシレートとして公知な、エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾル-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオン酸塩、
【化2】

(3)以下の構造を有する、1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノメチル]-ベンズイミダゾル-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミド、
【化3】

(4)メラガトラン(イノガトラン)、
(5)キシメラガトラン、
(6)ヒルジン、
(7)ヒロログ、及び
(8)アルガトロバン、
或いはその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸添加塩、溶媒和物、水和物又はプロドラッグを含む。
【0003】
好ましい直接トロンビン阻害薬は、ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート及び1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニル-アミノメチル]-ベンズイミダゾル-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミド、及びその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸添加塩、溶媒和物、水和物及びプロドラッグである。
より好ましくは、ダビガトラン及びダビガトランエテキシレート、及びその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸添加塩、溶媒和物、水和物及びプロドラッグである。
最も好ましくは、ダビガトランエテキシレート、及びその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸添加塩、溶媒和物、水和物及びプロドラッグ、特にメタンスルホン酸添加塩である。
全ての活性成分は有効量で用いられる。
【0004】
活性化合物(1)〜(3)が、WO 98/37075及びWO 04/014894などの先行技術に開示されている。ダビガトランエテキシレートのメタンスルホン酸との酸添加塩がWO 03/074056に記載されている。ダビガトランエテキシレートの酸添加塩が、実験項で述べられている。ダビガトランエテキシレートのメタン-スルホン酸との酸添加塩の特異的な多形体及び半水化物が、WO 2005/028468に記載されている。ダビガトランエテキシレートを含有する医薬組成物の例が、WO 03/074056、WO 2005/018615及びWO 2005/023249に開示されている。
上記薬剤のプロドラッグは、生体内で開裂され得る1種以上の基、特に生体内でカルボキシル基に転化され得る基及び/又は生体内でイミノ又はアミノ基から開裂され得る基を含むような誘導体である。生体内で開裂され得る2種の基を含む化合物は、いわゆるダブルブロドラッグである。生体内でカルボキシル基に転化され得る基及び生体内でイミノ又はアミノ基から開裂され得る基が、例えば参照としてここに組み込まれるWO 98/37075、並びに特定の抗血栓剤に関する上記の他のWO公報に開示されている。
【0005】
本発明の直接トロンビン阻害薬は、そのような形態が存在すれば、個々の化合物に依存して互変異性体、光学異性体、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸添加塩、溶媒和物又は水和物から選択される形態で用いられ得ると理解される。多種のエナンチオマーが存在する場合、実質的に純粋なエナンチオマーの形態で使用するのが好ましい。
上記直接トロンビン阻害薬の薬理学的に許容される酸添加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロスルフェート(hydrosulphate)、ヒドロホスフェート(hydrophosphate)、ヒドロ-メタンスルホネート(hydromethane-sulphonate)、ヒドロニトレート(hydro-nitrate)、ヒドロマレアート(hydromaleate)、ヒドロアセテート(hydroacetate)、ヒドロベンゾエート(hydrobenzoate)、ヒドロシトレート(hydrocitrate)、ヒドロフマレート(hydro-fumarate)、ヒドロタートレート(hydro-tartrate)、ヒドロラクテート(hydrolactate)、ヒドロオキサレート(hydrooxalate)、ヒドロサクシネート(hydro-succinate)、ヒドロベンゾエート(hydrobenzoate)及びヒドロ-p-トルオルスルホネート(hydro-p-toluolsulphonate)、好ましくは塩酸塩、臭化水素酸塩、ヒドロスルフェート、ヒドロホスフェート、ヒドロマレアート、ヒドロフマレート及びヒドロメタンスルホネートからなる群から選択される塩を含む。一部の直接トロンビン阻害薬には、1当量以上の酸、例えば2当量の酸を加えてもよい。塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、安息香酸及び酢酸の塩が特に好ましい。
【0006】
好ましい実施態様は、ダビガトランエテキシレートの塩酸、マレイン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸及びマロン酸との塩、そのエナンチオマー、混合物及び水和物である。特に好ましくは、酒石酸、サリチル酸、メタンスルホン酸及びクエン酸並びにそのエナンチオマー、混合物及び水和物である。最も好ましい塩は、ダビガトランエテキシレートのメタンスルホン酸添加塩である。
以下の用語は同義語として用いられる:
塩酸との塩-塩酸塩
マレイン酸との塩-マレイン酸塩
酒石酸との塩-酒石酸塩
サリチル酸との塩-サリチル酸塩
クエン酸との塩-クエン酸塩
マロン酸との塩-マロン酸塩
メタンスルホン酸との塩-メタンスルホン酸塩
【0007】
本発明の範囲内における直接トロンビン阻害薬に対するいかなる参照も、上記化合物(1)〜(8)から選択されるいかなる特定の直接トロンビン阻害薬に対する参照として理解されるべきである。
本発明の好ましい実施態様は、活性物質エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート、その塩、エナンチオマー、混合物及び水和物の新規適応に関する。この活性物質は以下の化学式を有し、
【化4】

WO 98/37075からすでに公知であり、トロンビン阻害性及びトロンビン持続性活性を有する化合物が、名称1-メチル-2-[N-[4-(N-n-ヘキシルオキシカルボニルアミジノ)フェニル]-アミノ-メチル]-ベンズイミダゾル-5-イル-カルボン酸-N-(2-ピリジル)-N-(2-エトキシカルボニルエチル)-アミドで開示されている。式Iの化合物は、以下の化合物のダブルプロドラッグであり、
【化5】

すなわち、式Iの化合物がまず実際に有効な化合物、すなわち式IIの化合物に体内で転化される。化学式Iの化合物に対する主要なタイプの適応は、深部静脈血栓症の術後予防及び脳梗塞の予防である。
【0008】
驚くべきことに、該直接トロンビン阻害薬、例えばダビガトランエテキシレートなどは、深部静脈血栓症の術後予防及び脳梗塞の予防に有効に用いられるだけでなく、心臓血管及び呼吸器分野における他の疾患の予防及び/又は治療にも好適である。
特に、本発明は、ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート、1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノ-メチル]-ベンズイミダゾル-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミド、メラガトラン(イノガトラン)、キシメラガトラン、ヒルジン、ヒロログ及びアルガトロバンからなる群から選択される化合物、或いはその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸添加塩、溶媒和物、水和物又はプロドラッグの、血栓症及び/又は静脈血栓塞栓症発作(VTE)、好ましくは
第一期VTE予防、
第二期VTE予防、及び
VTE治療、
の中から選択されるVTEの中から選択される疾患の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための使用に関する。
【0009】
別の実施態様では、本発明は、上記化合物の脳梗塞の治療及び/又は予防のため、
好ましくは非出血性脳梗塞の治療のため、又は
心房細動を有する患者における第一期及び第二期脳梗塞予防、及び
脳梗塞のリスクが高い患者(例えば、一過性脳虚血発作(TIA)又は脳梗塞後及び心筋梗塞又は急性冠不全症候群後の高齢の患者、非常に低い駆出率の心臓を有する患者)の第一期及び第二期脳梗塞予防、
の中から選択される脳梗塞予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
【0010】
さらに別の実施態様では、本発明は、心筋梗塞(急性冠症候群[ACS]とも呼ばれる)、好ましくは
ステント移植をしている/した、
経皮冠動脈インターベンション(PCI)をしてステント移植をしていない、及び
PCIをしていない、
患者に生じるACS応答心筋梗塞(ACS resp. myocardial infarction)の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
心筋梗塞応答ACS(myocardial infarction resp. ACS)の治療及び/又は予防は、発作直後(急性治療)又は発作の少し後(例えば、心筋梗塞後、post-MI)(慢性治療、第二次予防)のいずれでもよい。
【0011】
さらに別の実施態様では、本発明は、心筋梗塞、特に動脈冠静脈バイパス(ACVB)を有する患者及び血栓溶解後の患者における心筋梗塞の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
別の実施態様では、本発明は、オフポンプ冠状動脈バイパスグラフト手術をしている患者における血栓症又は血栓塞栓発作の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
別の実施態様では、本発明は、グラフト血栓症、特にACVB患者及び血栓溶解後の患者におけるグラフト血栓症の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
【0012】
別の実施態様では、本発明は、ステント血栓症、特にPCI患者及び血栓溶解後の患者におけるステント血栓症の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
別の実施態様では、本発明は、増加した心臓血管のリスク、好ましくは降圧剤及び/又は脂質低下薬剤で治療中の患者、増加した炎症状態を有する患者、増加した凝血因子(例えば、PAI 1)を有する患者又は糖尿病を有する患者における増加した心臓血管リスクの治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
別の実施態様では、本発明は、先天性心臓疾患、特に開放性卵円孔、先天性心不全、血管の先天性配置異常及び血管異常(例えば、大動脈狭部狭窄)の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
【0013】
別の実施態様では、本発明は、人工心臓弁による障害、不整脈、心不全、肥大型閉塞性心筋症(HOCM)、及び糖尿病の中から選択される疾患の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
別の実施態様では、本発明は、末梢動脈疾患(PAD)、特に
糖尿病を患っている患者、
末梢血管に移植されたステントを有する又は有さない患者、及び
末梢バイパス手術を受けた患者、
における末梢動脈疾患の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
【0014】
別の実施態様では、本発明は、脳微細血管疾患及び肺梗塞の中から選択される疾患の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
別の実施態様では、本発明は、シャント血栓症、カテーテル血栓症(中心静脈ライン[CVL]を含む)及び血栓塞栓症発作の、特にシャントを用いる又は用いない透析中の患者及び透析機にいる患者における予防及び/又は治療のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
別の実施態様では、本発明は、肺塞栓(PE)、特にPEの高いリスクを有する患者(例えば、先天性凝固障害、多重肺塞栓後の患者)及び深部静脈血栓症(DVT)及び/又は任意の他の種類のVTEを有する患者におけるPEの治療及び/又は予防のための上記化合物の使用に関する。
【0015】
別の実施態様では、本発明は、血栓症、静脈血栓塞栓症発作(VTE)、肺塞栓(PE)及び深部静脈血栓症(DVT)の、診療中の患者(動けない患者)及び一時的に動ける患者、特に
任意の種類の手術後で動けない患者、
任意の種類の事故又は外傷後で動けない患者、
VTEのさらなる危険因子を有する動けない患者、
癌を有する患者、
心不全を有する患者、
多発性硬化症(MS)を有する患者、
患者を動けなくする別の診断を有する患者、又は
長距離航空機の乗客、
における治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
【0016】
上記i.a.は、健康な人において長距離航空機移動で動けないときに心臓血管疾患のリスクを短期的に予防することを含む。長距離航空機の乗客の好ましい下位群は、女性、特に妊娠している女性に関する。長距離航空機の乗客の他の好ましい下位群は、50歳以上か又は他の危険因子を有する人である。長距離航空機の乗客の好ましい服用量範囲は、乗車日に1回服用のみで50mg〜300mgである。任意に、乗車時間によって第二の服用が24時間後に行われ得る。この服用スケジュールは、航空機の乗客に望ましい短期的な予防に即する。
【0017】
別の実施態様では、本発明は、妊娠している女性に生じる本出願に記載されている疾患、特に妊娠している女性の脳梗塞、心不全(高リスク経妊)、先天性血液凝固疾患及び溶血の治療及び/又は予防、並びに高い肝臓酵素及び低い血小板(HELLP)症候群(妊娠している女性)の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
別の実施態様では、本発明は、小児における急性又は慢性動脈血栓症(例えば心臓血管カテーテル法、中心静脈ライン(CVL)などによるもの)の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
別の実施態様では、本発明は、小児の先天性心臓疾患、特に小児の術後先天性心臓及び小児VTEの治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
【0018】
別の実施態様では、本発明は、癌を有する小児の静脈血栓症及び/又はVTEの治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
別の実施態様では、本発明は、勃起障害の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
上記トロンビン阻害薬は、上記疾患(VTE、PEなど)によって引き起こされる発作の予防及び/又は治療に有用であり、器官又は部位への血流を最適化し、及び/又は該疾患の直接的な治療に好適である。
好ましい実施態様は、上記及び下記の疾患の1種に関連するVTEを治療又は予防するための薬剤の調製のための、本発明の直接トロンビン阻害薬の使用である。
【0019】
好ましい適応は以下である:
非出血性脳梗塞の治療、
非常に低い駆出分画の心臓を有する患者における第一期及び第二期脳梗塞予防、
ステント移植をしている/した、
経皮冠動脈インターベンション(PCI)をしてステント移植をしていない、及び
PCIをしていない、
患者に生じる心筋梗塞応答急性冠不全症候群(ACS)、好ましくはACS応答心筋梗塞の治療及び/又は予防、
血栓症、静脈血栓塞栓症発作(VTE)、肺塞栓(PE)及び深部静脈血栓症(DVT)の、診療中の患者(動けない患者)及び一時的に動ける患者、特に
任意の種類の手術後で動けない患者、
任意の種類の事故又は外傷後で動けない患者、
VTEのさらなる危険因子を有する動けない患者、
癌を有する患者、
心不全を有する患者、
多発性硬化症(MS)を有する患者、
患者を動けなくする別の診断を有する患者、又は
長距離航空機の乗客、
における治療及び/又は予防、
増加した心臓血管のリスク、好ましくは
降圧剤及び/又は脂質低下薬剤で治療中の患者、
増加した炎症状態を有する患者、
増加した凝血因子(例えば、PAI 1)を有する患者、又は
糖尿病を有する患者における増加した心臓血管リスクの治療及び/又は予防、
先天性心臓疾患、特に
開放性卵円孔、
先天性心不全、
血管の先天性配置異常、及び
血管異常の治療及び/又は予防、
人工心臓弁、
不整脈、
心不全、
肥大型閉塞性心筋症(HOCM)、又は
糖尿病による心臓血管障害の治療及び/又は予防、
末梢動脈疾患(PAD)、特に
糖尿病を患っている患者、
末梢血管に移植されたステントを有する又は有さない患者、及び
末梢バイパス手術を受けた患者におけるPADの治療及び/又は予防、
脳微細血管疾患の治療及び/又は予防、
肺梗塞の治療及び/又は予防、
特に透析中の患者におけるシャント血栓症の治療及び/又は予防、
特に透析中の患者におけるカテーテル血栓症の治療及び/又は予防、
透析機における血栓塞栓症発作の治療及び/又は予防、
肺塞栓(PE)、特にPEの高いリスクを有する患者(例えば、先天性凝固障害、多重肺塞栓後の患者)におけるPEの治療及び/又は予防、
妊娠している女性の脳梗塞、
妊娠している女性(高リスク経妊)の心不全、
妊娠している女性の先天性血液凝固疾患、
妊娠している女性の溶血、及び
妊娠している女性の高い肝臓酵素及び低い血小板(HELLP)症候群の治療及び/又は予防、
勃起障害の治療及び/又は予防。
【0020】
別の実施態様では、本発明は、VTEに関連する上記疾患の1種又は数種の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための上記化合物の使用に関する。
該直接トロンビン阻害薬は、任意にその医薬的に許容される酸添加塩の形態で用いられ、固体、液体又はスプレー形態で従来の医薬製剤に組み込まれ得る。該組成物は、例えば、好適な for 経口、局所、舌、直腸、非経口の投与又は経鼻の吸入に好適な形態で存在してよく、好ましい形態は、例えば、カプセル、錠剤、被覆錠剤、アンプル、座薬及び経鼻スプレーを含む。
該活性成分は、医薬組成物に従来から用いられている賦形剤又はキャリア、例えば、タルク、アラビアゴム、ラクトース、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、コーンスターチ、水性又は非水性ビヒクル、ポリビニルピロリドン、脂肪酸の半合成グリセリド、塩化ベンザルコニウム、リン酸ナトリウム、EDTA、ポリソルビン酸塩80に組み込まれ得る。該組成物は有利には投与単位で調合され、各投与単位は該活性成分の単独投与量を供給するよう適合される。1日当たりに投与可能な投与量範囲は、0.1mg〜600mg、好ましくは50mg〜300mg/日である。各投与単位は、適宜0.1mg〜200mg、好ましくは50mg〜150mgを含有し得る。
【0021】
好適な錠剤は、例えば、該活性物質を公知の賦形剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はラクトースなどの不活性希釈剤、コーンスターチ又はアルギン酸などの錠剤分解剤、スターチ又はゼラチンなどの結合剤、ステアリン酸マグネシウム又はタルクなどの潤滑剤及び/又は放出を遅らせるための薬剤、例えばカルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、又はポリ酢酸ビニル、と混合することによって得られ得る。該錠剤は複数の層を含んでもよい。
被覆錠剤は、適宜、該錠剤と同様に製造されたコアを錠剤被覆に通常用いられる物質、例えばコリドン又はシェラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖で被覆することによって調製され得る。放出を遅らせるか又は不適合性を妨げるために、該コアは複数の層からなってもよい。同様に、該錠剤被覆は、場合によっては該錠剤のための上記賦形剤を用いて複数の層からなり、放出を遅らせてもよい。
【0022】
本発明の活性物質又はその組み合わせを含有するシロップ又はエリキシルは、サッカリン、チクロ、グリセロール又は糖などの甘味料及び風味増強剤、例えばバニリン又はオレンジエキスなどの香料をさらに含有し得る。それらは、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどの懸濁補助剤又は濃厚剤、湿潤剤、例えば、脂肪アルコールと酸化エチレンの凝縮生成物など、又はp-ヒドロキシ安息香酸塩などの保存剤を含んでもよい。
注射用溶液は、通常の方法では、例えばp-ヒドロキシ安息香酸塩などの保存剤、又はエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩などの安定化剤を添加することにより調製され、注射用バイアル又はアンプルに移される。
【0023】
1種以上の活性物質又は活性物質の組み合わせを含有するカプセルは、例えば該活性物質をラクトース又はソルビトールなどの不活性キャリアと混合し、それらをゼラチンカプセルに詰め込むことによって調製され得る。
好適な座薬は、例えば、この目的のために提供されるキャリア、例えば中性脂肪又はポリエチレングリコール又はその誘導体と混合することによって製造され得る。
以下の実施例は、その範囲を制限することなく本発明を説明する。
出発物質ダビガトランエテキシレート(エチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニル-アミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート)は、例えば国際特許出願WO 98/37075の実施例113に記載されているように調製され得る。
【0024】
実施例1
エチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの塩酸塩
125mg(1.59mmol)の塩化アセチルを5mlのエタノールに攪拌下で加えた。得られた溶液を室温下で1.0g(1.59mmol)のエチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの溶液に滴下し、さらに2時間攪拌した。混合物を完全にエバポレートし、残渣をまずは約5mlの酢酸エチルの添加後に粉砕して吸引濾過し、続いて約10mlのアセトンで終夜攪拌し、吸引濾過し、少量のアセトン及びジエチルエーテルで洗浄し、及び60℃の真空下で乾燥させた。
収率:理論量の86%
融点:135℃
【0025】
実施例2
エチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニル-アミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートのクエン酸塩
210mg(1.0mmol)のクエン酸水和物を10mlの酢酸エチルに溶解させ、室温下で攪拌しながら628mg(1.0mmol)のエチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの45ml酢酸エチル溶液に滴下した。黄色の沈殿物が形成された。混合物を終夜攪拌し、生成物を吸引濾過し、少量の酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄し、及び約50℃の真空下で乾燥させた。
収率:理論量の83%
融点:約170℃(分解)
【0026】
実施例3
エチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの酒石酸塩
150mg(1.0mmol)のL(+)-酒石酸を5mlの無水エタノールに溶解させ、室温下で攪拌しながら628mg(1.0mmol)のエチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの50ml酢酸エチル溶液に滴下した。微細な沈殿物が形成された。懸濁液をさらに2時間攪拌し、続いて生成物を吸引濾過し、少量の冷却酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄し、及び真空下の約50℃で乾燥させた。
収率:理論量の72%
融点:約160℃(分解)
【0027】
実施例4
エチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートのマロン酸塩
104mg(1.0mmol)のマロン酸を10mlの酢酸エチルに溶解させ、室温下で攪拌しながら628mg(1.0mmol)のエチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの50ml酢酸エチル溶液に滴下した。約1時間後に微細な沈殿物が形成された。懸濁液をさらに3時間攪拌し、続いて生成物を吸引濾過し、少量の冷却酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄し、及び真空下の約50℃で乾燥させた。
収率:理論量の79%
融点:100℃
【0028】
実施例5
エチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートのマレイン酸塩
116mg(1.0mmol)のマレイン酸を10mlの酢酸エチルに溶解させ、攪拌しながら室温下で628mg(1.0mmol)のエチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの50ml酢酸エチル溶液に滴下した。沈殿物が形成された。懸濁液をさらに3時間攪拌し、続いて生成物を吸引濾過し、少量の冷却酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄し、及び真空下の約50℃で乾燥させた。
収率:理論量の93%
融点:120℃
【0029】
実施例6
エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニル-アミノ-イミノ-メチル)-フェニル-アミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートサリチレート
1.38g(10.0mmol)のサリチル酸の20mlアセトン溶液を、攪拌しながら35-40℃で6.28g(10.0mmol)のエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニル-アミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート塩基(WO 98/37075で記載されたように調製した)の45mlアセトン溶液に滴下した。数分後に生成物が析出し始め、65mlのアセトンで希釈した。30分内に混合物を室温まで冷却させ、沈殿物を吸引濾過し、約40mlのアセトンで洗浄し、及び40℃の循環型空気乾燥機で乾燥させた。
収率:理論量の94%
融点:155℃
【0030】
実施例7
10ml当たり75mgの活性物質を含有する乾燥アンプル
組成:
活性物質 75.0mg
マンニトール 50.0mg
注射用の水 10.0mlになるまで
調製:
活性物質及びマンニトールを水に溶解させた。詰め込んだ後、該溶液を凍結乾燥させた。注射のために使用する溶液を製造するために、該生成物を水に溶解させた。
【0031】
実施例8
2ml当たり35mgの活性物質を含有する乾燥アンプル
組成:
活性物質 35.0mg
マンニトール 100.0mg
注射用の水 2.0mlになるまで
調製:
活性物質及びマンニトールを水に溶解させた。詰め込んだ後、該溶液を凍結乾燥させた。注射のために使用する溶液を製造するために、該生成物を水に溶解させた。
【0032】
実施例9
50mgの活性物質を含有するタブレット
組成:
(1)活性物質 50.0mg
(2)ラクトースラクトース 98.0mg
(3)トウモロコシスターチ 50.0mg
(4)ポリビニルピロリドン 15.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
215.0mg
調製:
(1)、(2)及び(3)を共に混合して(4)の水溶液で顆粒化した。(5)を乾燥した顆粒化物質に加えた。この混合物から錠剤に両面から圧力をかけて2平面にカットし、片面に分割用の刻みを入れた。
錠剤の直径:9mm
【0033】
実施例10
350mgの活性物質を含有するタブレット
組成:
(1)活性物質 350.0mg
(2)ラクトース 136.0mg
(3)トウモロコシスターチ 80.0mg
(4)ポリビニルピロリドン 30.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
600.0mg
調製:
(1)、(2)及び(3)を共に混合して(4)の水溶液で顆粒化した。(5)を乾燥した顆粒化物質に加えた。この混合物から錠剤に両面から圧力をかけて2平面にカットし、片面に分割用の刻みを入れた。
錠剤の直径:12mm
【0034】
実施例11
50mgの活性物質を含有するカプセル
組成:
(1)活性物質 50.0mg
(2)乾燥トウモロコシスターチ 58.0mg
(3)粉末ラクトース 50.0mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
160.0mg
調製:
(1)を(3)で倍散した。この倍散剤を(2)及び(4)の混合物に激しく混合しながら加えた。この粉末混合物を、サイズ3のハードゼラチンカプセルにカプセル充填用機械で詰め込んだ。
【0035】
実施例12
350mgの活性物質を含有するカプセル
組成:
(1)活性物質 350.0mg
(2)乾燥トウモロコシスターチ 46.0mg
(3)粉末ラクトース 30.0mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
430.0mg
調製:
(1)を(3)で倍散した。この倍散剤を(2)及び(4)の混合物に激しく混合しながら加えた。この粉末混合物を、サイズ0のハードゼラチンカプセルにカプセル充填用機械で詰め込んだ。
【0036】
実施例13
100mgの活性物質を含有する座薬
1つの座薬が以下を含有する:
活性物質 100.0mg
ポリエチレングリコール(M.W. 1500) 600.0mg
ポリエチレングリコール(M.W. 6000) 460.0mg
ポリエチレンソルビタンモノステアレート 840.0mg
2,000.0mg
【0037】
実施例14

【0038】
実施例15

実施例14及び15のペレットの調製及び構造は、WO 03/074056に詳細に記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート、1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノメチル]-ベンズイミダゾル-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミド、メラガトラン(イノガトラン)、キシメラガトラン、ヒルジン、ヒロログ及びアルガトロバンからなる群から選択される化合物、或いはその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸添加塩、溶媒和物、水和物又はプロドラッグの、
非出血性脳梗塞、
非常に低い駆出分画の心臓を有する患者における第一期及び第二期脳梗塞、
心筋梗塞応答急性冠不全症候群(ACS)、
診療中の患者(動けない患者)における血栓症、静脈血栓塞栓症発作(VTE)、肺塞栓(PE)及び深部静脈血栓症(DVT)、
増加した心臓血管のリスク、
先天性心疾患、
心臓血管障害、
末梢動脈疾患(PAD)、
脳微細血管疾患、
肺梗塞、
シャント血栓症、
カテーテル血栓症、
透析機における血栓塞栓症発作、
肺塞栓(PE)、
妊娠している女性の脳梗塞、
妊娠している女性(高リスク経妊)の心不全、
妊娠している女性の先天性血液凝固疾患、
妊娠している女性の溶血、
妊娠している女性の高い肝臓酵素及び低い血小板(HELLP)症候群、及び
勃起障害、
からなる群から選択される疾患の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための使用。
【請求項2】
前記心筋梗塞応答急性冠不全症候群(ACS)が、
ステント移植をしている/した、
経皮冠動脈インターベンション(PCI)をしてステント移植をしていない、及び
PCIをしていない、
患者において生じるACS応答心筋梗塞(MI)である、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記診療中の患者(動けない患者)及び一時的に動けない人が、
任意の種類の手術後で動けない患者、
任意の種類の事故又は外傷後で動けない患者、
VTEのさらなる危険因子を有する動けない患者、
癌を有する患者、
心不全を有する患者、
多発性硬化症(MS)を有する患者、
患者を動けなくする別の診断を有する患者、又は
長距離航空機の乗客、
である、請求項1記載の使用。
【請求項4】
前記増加した心臓血管のリスクが、
降圧剤及び/又は脂質低下薬剤で治療中の患者、
増加した炎症状態を有する患者、
増加した凝血因子(例えば、PAI 1)を有する患者、又は
糖尿病を有する患者、
における増加した心臓血管のリスクである、請求項1記載の使用。
【請求項5】
前記先天性心疾患が、
開放性卵円孔、
先天性心不全、
血管の先天性配置異常、及び
血管異常、
の中から選択される、請求項1記載の使用。
【請求項6】
前記心臓血管障害が、
人工心臓弁、
不整脈、
心不全、
肥大型閉塞性心筋症(HOCM)、又は
糖尿病、
による、請求項1記載の使用。
【請求項7】
前記末梢動脈疾患(PAD)が、
糖尿病を有する患者、
末梢血管に移植されたステントを有する又は有さない患者、又は
末梢バイパス手術を受けた患者、
におけるPADである、請求項1記載の使用。
【請求項8】
前記シャント血栓症又はカテーテル血栓症が透析中の患者に生じる、請求項1記載の使用。
【請求項9】
前記肺塞栓(PE)が、PEの高いリスクを有する患者におけるPEである、請求項1記載の使用。
【請求項10】
前記PEの高いリスクを有する患者が、先天性凝固障害を患っている患者及び/又は多重肺塞栓を経験した患者である、請求項9記載の使用。
【請求項11】
前記疾患がVTEに関連する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記化合物が、ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート及び1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノメチル]-ベンズイミダゾル-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミドからなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記化合物が、ダビガトラン及びダビガトランエテキシレート又はその薬理学的に許容される酸添加塩からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記化合物が、ダビガトランエテキシレート又はその薬理学的に許容される酸添加塩である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記化合物が、ダビガトランエテキシレートのメタンスルホン酸添加塩である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
前記化合物が、1日当たり0.1mg〜600mgの用量範囲で投与される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
非出血性脳梗塞、
非常に低い駆出分画の心臓を有する患者における第一期及び第二期脳梗塞、
心筋梗塞応答急性冠不全症候群(ACS)、
診療中の患者(動けない患者)における血栓症、静脈血栓塞栓症発作(VTE)、肺塞栓(PE)及び深部静脈血栓症(DVT)、
増加した心臓血管のリスク、
先天性心疾患、
心臓血管障害、
末梢動脈疾患(PAD)、
脳微細血管疾患、
肺梗塞、
シャント血栓症、
カテーテル血栓症、
透析機における血栓塞栓症発作、
肺塞栓(PE)、
妊娠している女性の脳梗塞、
妊娠している女性(高リスク経妊)の心不全、
妊娠している女性の先天性血液凝固疾患、
妊娠している女性の溶血、
妊娠している女性の高い肝臓酵素及び低い血小板(HELLP)症候群、及び
勃起障害、
からなる群から選択される疾患の治療及び/又は予防のための方法であって、
ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート、1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノメチル]-ベンズイミダゾル-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミド、メラガトラン(イノガトラン)、キシメラガトラン、ヒルジン、ヒロログ及びアルガトロバンからなる群から選択される化合物、或いはその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸添加塩、溶媒和物、水和物又はプロドラッグの治療上有効量を、それを必要としている患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項18】
前記心筋梗塞応答急性冠不全症候群(ACS)が、
ステント移植をしている/した、
経皮冠動脈インターベンション(PCI)をしてステント移植をしていない、及び
PCIをしていない、
患者において生じるACS応答心筋梗塞(MI)である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記診療中の患者(動けない患者)及び一時的に動けない人が、
任意の種類の手術後で動けない患者、
任意の種類の事故又は外傷後で動けない患者、
VTEのさらなる危険因子を有する動けない患者、
癌を有する患者、
心不全を有する患者、
多発性硬化症(MS)を有する患者、
患者を動けなくする別の診断を有する患者、又は
長距離航空機の乗客、
である、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記増加した心臓血管のリスクが、
降圧剤及び/又は脂質低下薬剤で治療中の患者、
増加した炎症状態を有する患者、
増加した凝血因子(例えば、PAI 1)を有する患者、又は
糖尿病を有する患者、
における増加した心臓血管のリスクである、請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記先天性心疾患が、
開放性卵円孔、
先天性心不全、
血管の先天性配置異常、及び
血管異常、
の中から選択される、請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記心臓血管障害が、
人工心臓弁、
不整脈、
心不全、
肥大型閉塞性心筋症(HOCM)、又は
糖尿病、
による、請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記末梢動脈疾患(PAD)が、
糖尿病を有する患者、
末梢血管に移植されたステントを有する又は有さない患者、又は
末梢バイパス手術を受けた患者、
におけるPADである、請求項17記載の方法。
【請求項24】
前記シャント血栓症又はカテーテル血栓症が透析中の患者に生じる、請求項17記載の方法。
【請求項25】
前記肺塞栓(PE)が、PEの高いリスクを有する患者におけるPEである、請求項17記載の方法。
【請求項26】
前記PEの高いリスクを有する患者が、先天性凝固障害を患っている患者及び/又は多重肺塞栓を経験した患者である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記疾患がVTEに関連する、請求項17〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記化合物が、ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート及び1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノメチル]-ベンズイミダゾル-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミドからなる群から選択される、請求項17〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記化合物が、ダビガトラン及びダビガトランエテキシレート又はその薬理学的に許容される酸添加塩からなる群から選択される、請求項17〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、ダビガトランエテキシレート又はその薬理学的に許容される酸添加塩である、請求項17〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記化合物が、ダビガトランエテキシレートのメタンスルホン酸添加塩である、請求項17〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物が、1日当たり0.1mg〜600mgの用量範囲で投与される、請求項17〜31のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−543842(P2009−543842A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519954(P2009−519954)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057255
【国際公開番号】WO2008/009638
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】