説明

心血管に有利な影響を及ぼす、カロブ材料およびオメガ−3−脂肪酸を含む栄養食品

本発明は、少なくとも1つのカロブ材料、特に水に不溶性のカロブ繊維、および少なくとも1つの n-3 脂肪酸を含む、コレステロール低下および脂質低下栄養食品に関する。本発明はさらにそれらの活性化合物配合物の製造方法および使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのコレステロールを低下させるカロブ材料(Johannisbrotprodukt)、特にカロブ繊維、ならびに、少なくとも1つのコレステロールレベルおよびトリグリセリドレベルを減少させる、およびHDL/LDLコレステロール比を有利に変化させる n-3 脂肪酸を含む栄養食品(diaetetisches Lebensmittel)に関する。本発明はさらに、上記栄養食品の製造方法およびそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バランスの悪い食生活の状況において、人口の広い部分で血中脂質値、とくに血中コレステロール値の量の上昇が見られる。200 mg/dlを超えるコレステロール値、特に130 mg/dl を超えるLDLコレステロール値は、心血管疾患の主要な危険因子の1つと考えられている。したがって、著しく増加したコレステロール値、特にLDLコレステロール、および増加した血中脂質値の場合における治療上の処置が、至急に必要である。現在まで、これに関しては、解決するためのいろいろな取り組みが記載されている。一般にわずかな有効性しか示さない、生活様式および栄養習慣の切り替えに加えて、コレステロールの取込および代謝を異なる方法で抑制する、いくつかの特定の活性化合物が開発されている。これらは、スタチン(例えば特許文献1; 特許文献2; 特許文献3参照)、胆汁酸再吸収阻害剤(Inhibitoren der Gallensaeureresorption)(例えば特許文献4; 特許文献5; 特許文献6参照)、胆汁酸抑制剤(Gallensaeuresequestrantien)(例えば特許文献7参照)のようなとりわけ薬学的に有効な物質である。これらすべての活性化合物は、医師の指示および監視の下で服用されなければならない。
【0003】
上記活性化合物はまた、植物源から単離されるコレステロール低下物質を含むことができる。ここでは主に、植物ステロール群、特にフィトステロール、フィトスタノールおよび上記化合物類のエステル(例えば特許文献8、特許文献9、特許文献10参照)のコレステロール低下作用を挙げることができる。しかし主に後者は、すべての集団グループにおける消費には適さず(例えば妊娠女性または幼児は除外される)、しばしばその適用が制限される。
【0004】
これに対して、十分に摂取されると、心血管疾患のリスクを、特に増加したコレステロールレベルを低下させることによって、低下させることができると繰り返し示されている食物成分がある。高繊維食品は、低繊維食品と比較して、心血管疾患に対する低リスクと結びついていることが一般に知られている。概して高繊維質である全粒穀物(小麦、オーツ麦、大麦、ライ麦、およびオーツ麦のふすま、米ぬか、小麦のふすま、大豆のふくま等のような穀物のふすまもまた)に加えて、他の繊維もまた、心血管リスクおよび増加したコレステロールレベルの減少に貢献することができる。いくつかの水溶性の繊維、例えば、β−グルカン(オーツ麦または大麦由来)、オオバコ、ペクチンまたはグァーガム(Guargummi)は、血中コレステロールレベルを低下させる作用を示す(非特許文献1)。
【0005】
加えて、水不溶性のカロブ繊維は、例えば特許文献11に記載の方法により製造され、血清コレステロール値、特にLDLコレステロールを有意に低下させることができる(非特許文献2)食物成分として知られている。ここで、重要なLDL/HDL比が「善玉コレステロール」のほうへ移るようにHDL値が一定に保たれ、従って動脈硬化リスクが減少する。一般にコレステロールの減少は、粘性で可溶性繊維の場合にのみ起こるものなので、この不溶性で、不粘性の調製物の著しい作用は、さらに驚くべきものである。
【0006】
さらに、心血管疾患リスクの有意な減少に貢献することができる食物成分には、n-3 脂肪酸が含まれる。ほとんどの先進国では、n-3 脂肪酸の供給が不足していることが知られている。対照的に、特に食品中の全脂質量ならびに飽和脂肪酸および n-6 脂肪酸の供給はとても高い。これは、主に最近約150年の間に生じ、いろいろな慢性疾患(文明の)、特に先進国において主要な死因である心血管疾患の発症と関連している食品成分の変遷に基づく。その間に、対象とされた n-3 脂肪酸、特にオール-シス-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸(EPA)およびオール-シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DHA)の供給の増加は、有意に心血管リスクを減少することができるという多数の研究がなされてきた(非特許文献3、非特許文献4)。同様に、多くの異なる機関(WHO, FAO, AHA, ISSFAL,英国栄養財団(British Nutrition Foundation)および多数の他の機関)が、n-3 脂肪酸の供給の十分な増加を推奨している。それにもかかわらず(推奨に対して)、少なくとも0.5 〜1.5 gの n-3 脂肪酸の供給の不足がみられる。ここでのほとんどの推奨は、脂肪質の海水魚の定期的な摂取(少なくとも週2回)による n-3 脂肪酸(特にDHAおよびEPA)の供給に関する。n-3 脂肪酸による心血管リスクの減少における有益な効果は、詳細については明らかになっていないが、主に、動脈硬化、高血圧、血漿トリグリセリドレベル、不整脈および心拍変動(Herzfrequenzvariabilitaet)のような心血管疾患に対する、いくつかの主要な危険因子に対する有益な効果と結びついている。興味深いことに、n-3 脂肪酸は、さらに主要な危険因子であるコレステロールレベルに対しては効果がない、またはわずかだけ効果があることが明らかになっている。「善玉コレステロール」に向かうLDL/HDL比のわずかな変化についての議論がせいぜいである(非特許文献5)。
【0007】
しかし、これらの全ての食物成分によって得られる効果は、治療力のある活性化合物により得られる効果よりも有意に低く、そして所望よりもかなり低い。たとえ繊維、特にカロブ繊維に富む食品が、多くの場合、特に非常に高いコレステロールレベル(全コレステロール>300 mg/dl)の場合に、コレステロールレベルおよび血中脂質値の制御に貢献ができるとしても、持続的な減少には不十分である。同様に、n-3 脂肪酸に富む食品、特にオール-シス-9,12,15-オクタデカトリエン酸(ALA)、EPAおよびDHAに富む食品は、多くの場合、特に増加した心血管リスク(例えば心臓発作後)の場合に、心血管リスクの全面的な減少および全般的な健康状態の改善に重要な貢献を果たすことができるが、これ単独では十分でない。
【0008】
カロブ材料および n-3脂肪酸の間の、コレステロールを低下させるおよび血中脂質を減少させる相互作用については知られていない。しかし、ペクチンのような粘性の繊維が、コレステロール低下において、n-3 脂肪酸との相乗効果を有することができるという指摘がある(非特許文献6)。カロブ材料、特にカロブ繊維は粘性でないので、コレステロールを低下させるおよび血中脂質を低下させる相互作用、もちろん相乗的相互作用についても明らかでない。例えば、まさに、粘性繊維カロブビーンミール(Johannisbrotkernmehl)とカロブ果肉の水不溶性な繊維との拮抗する作用が記載されている(非特許文献7)。
【特許文献1】米国特許(US-A)第4,231,938号明細書
【特許文献2】米国特許(US-A)第4,444,784号明細書
【特許文献3】米国特許(US-A)第4,346,227号明細書
【特許文献4】米国特許(US-A)第5,998,400号明細書
【特許文献5】米国特許(US-A)第6,277,831号明細書
【特許文献6】米国特許(US-A)第6,221,897号明細書
【特許文献7】米国特許(US-A)第4,027,009号明細書
【特許文献8】特許出願公開(WO)第96/38047号明細書
【特許文献9】特許出願公開(WO)第99/56558号明細書
【特許文献10】米国特許(US-A)第6,087,353号明細書
【特許文献11】欧州特許(EP- A)0 616 780号明細書
【非特許文献1】Brown et al. 1999; Am. J. Clin. Nutr. 69: 30-42
【非特許文献2】Zunft et al. 2001, Adv. In Ther. 18: 230-36
【非特許文献3】GISSI-Prevenzione Investigators (Gruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell’Infarto miocardico), Dietary supplementation with n-3 polyunsaturated fatty acids and vitamin E after myocardial infarction: results of the GISSI-prevenzione trial. Lancet. 1999; 354: 447-455
【非特許文献4】Burr et al., Effects of changes in fat, fish and fibre intake on death and myocardial reinfarction: diet and reinfarction trial (DART), The Lancet, 1989, 757-761
【非特許文献5】Gylling and Miettinen, Curr Control Trials Cardiovasc Med 2001, 123-128
【非特許文献6】V. Bartz 2002, Ernahrung & Medizin 17, 149-150
【非特許文献7】Peres-Olleros et al. 1999; J. Sci. Food Agric. 79, 173-178
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
純粋な薬学的コレステロール低下剤は、治療目的を達成するために、時々相当な量を使用しなければならないという不利な点を有する。この場合、時々生命を脅かす無用な副作用も起こりうる。さらに、活性化合物の取り込み増加に伴い、ほんのわずかな付加的なコレステロールレベル低下のみが達成されるという飽和効果が知られている。さらなる不利な点は、通常とても高価である薬学的なコレステロール低下剤を使用する、長期間の治療によって生じる高コストである。植物源(例えばフィトステロール)より単離したコレステロール低下剤の場合には、無用の副作用を避けるための量的な制限が存在する。
【0010】
よって、この点において日々の栄養補給に有益な貢献ができる、コレステロールを低下させるおよび血中脂質を低下させる栄養食品がさらに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、少なくとも1つのカロブ材料、特にカロブ繊維、および少なくとも1つの n-3脂肪酸を含む、コレステロールレベルおよび血中脂質レベルを低下させる栄養食品を提供することにより達成される。本発明の栄養食品を適用すると、上述の全コレステロールの低下および血中脂質値の低下効果に加えて、HDL およびLDL比率の「善玉」HDLコレステロールへの移り変わりが生じる。
【0012】
さらに、本発明の栄養食品による、相乗的なコレステロールレベルの低下および血中脂質値の低下は、心血管系において公知の n-3脂肪酸の有益な効果によって有利に増補される(上記参照)。
【0013】
上記の心血管の健康状態において有益な効果とは独立して、本発明の栄養食品は、n-3脂肪酸の供給の増加という手段により、健康状態にいっそうの有益な効果を得る。好ましくは本発明において使用されるDHAはここで特定の役割を果たす。さらに本発明の活性化合物配合物は、食物繊維の投与後、および特にスタチンによる高コレステロール値の薬剤治療における無用の副作用として生じ得る、体内の必須の n-3脂肪酸の欠乏を補償することができる。
【0014】
本発明の栄養食品の使用は、実質的な心血管の健康状態を超えて一般的な健康状態に有益な効果を有する。
【0015】
本発明におけるカロブ材料は、カロブ果実それ自体およびそれから得られた成分である。本発明において好ましくは使用されるカロブ繊維は、AOAC法985.29によって測定され、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも60重量%、さらに好ましくは少なくとも80重量%(いずれの場合も乾燥重量に基づく)である高い全食物繊維含量によって特徴付けられる、カロブ繊維である。それらのAOAC 法991.42により測定される水不溶性食物繊維の質量は、少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも70重量%である。
【0016】
カロブ繊維材料を製造するためには、特に水溶性のカロブ成分の、カロブの種を取った果肉からの切り離し、および縮合型タンニンの(部分的)変性のための加熱処理が必要である。製造工程はさらに、洗浄および分離工程、乾燥、粉砕(Vermahlung)、もし適するならばふるい分け(Siebung)を含む。この工程により、< 250 μm、好ましくは< 150 μm、さらに好ましくは< 100 μmの繊維長が生成される。特に好ましいのは、特許文献11に記載の方法および未公開の特許出願(PCT/EP)第03/08636号明細書に記載の方法である。従って、上記のように得られた調製物は、顕著なコレステロール低下作用および適当なトリグリセリド低下作用を示し、食品の富化(Anreicherung von Lebensmitteln)のために使用することができる。
【0017】
本発明の目的においては、n-3脂肪酸(オメガ-3脂肪酸, T-3脂肪酸)は、少なくとも2つの二重結合を有する> C12の鎖長を有し、少なくとも2つ以上の二重結合のうちアルキル端から数えて最初の1つが、炭素原子C3 およびC4の間を構成する、長鎖多価不飽和脂肪酸(PUFAs)を意味するものである(表1参照)。ここで n-3脂肪酸は、遊離脂肪酸、エステル、トリグリセリド、リン脂質、糖脂質、スフィンゴ脂質、ワックス(Wachse)またはステロールエステルとして存在でき、化学的手法または例えば適当な酵素(リパーゼ)を用いた生体触媒によるトリグリセリドのエステル交換によって、それらの一価アルコールエステルの富化形態でいることも可能である。 少なくともTFA(以下を参照)の15 area-%の濃度でこれらの物質を含む、これらすべての物質および生成物を、n-3脂肪酸または n-3活性化合物という語句(これらの語句は同義として使用される)によって以下に要約する。
表1−n-3 脂肪酸
【0018】
【表1】

【0019】
本発明の目的には、少なくともTFA の20 area-%(area-%はAOCS公定方法Ce 1b-89に関連する;TFA = 全脂肪酸)の n-3 脂肪酸含量を有する n-3 活性化合物を使用するのが好ましい。特に好ましい含量は少なくともTFA の30 area-%、さらに好ましいのは少なくともTFA の40 area-%、その上さらに好ましいのは少なくともTFA の60 area-%である。
【0020】
さらに本発明の目的には、種々の n-3 活性化合物、好ましくは n-3 活性化合物DHA、EPAおよびALAの少なくとも2つの混合物が好ましく、さらに n-3 活性化合物DHAおよびEPAの混合物が好ましい。特に好ましいのは、n-3 活性化合物の主要成分としてEPA またはDHAを使用すること、特にDHAを単一の n-3 活性化合物として使用することである。
【0021】
上記EPA およびDHAの混合物に適した供給源(Quelle)は、魚油である。ALAに適した供給源は植物油であり、特に亜麻仁油またはとりわけ大麻油である。
【0022】
特に好ましいのは、微生物から単離されるn-3 活性化合物である。好ましい微生物は、ストラメノパイル下界(Stramenopiles)(またはラビリントゥラ門(Labyrinthulomycota))、さらに好ましくはヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)(ヤブレツボカビ科(Thraustchytriidea))、特にスチゾキトリウム属(Schizochytrium)、 ヤブレツボカビ属(Thrausto-chytrium)、およびウルケニア属(Ulkenia)、および渦鞭毛藻類(Dinoflagellaten)(渦鞭毛植物(Dinophyta))、好ましくは海産渦鞭毛藻(Crypthecodinium)、特にC.コーニイ(C. cohnii)の生物であり、これらは好ましくはDHAの生産、少なくともTFA の20 area-%、好ましくは少なくともTFA の30 area-%、およびさらに好ましくは少なくともTFA の40 area-%の濃度のDHAの生産に適している。この場合、n-3 脂肪酸の生産に関しては、以下の公開公報が参照されることにより組み込まれる:特許出願公開(WO-A)第91/07498号明細書、特許出願公開(WO-A)第91/11918号明細書、特許出願公開(WO-A)第96/33263号明細書、特許出願公開(WO-A)第98/03671号明細書。
【0023】
さらに、EPA および/または DHAの供給源はまた、例えばユーグレナ(Euglena )(特開(JP-A)第60-196157号公報)、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)、フェオダクチルム(Phaeodactylum) およびその他 (Tonon et al., Long chain polyunsaturated fatty acid production and partitioning to triacylglycerols in four microalgae. Phytochemistry 2002, 15-24)のような藻類、および細菌、好ましくは例えばシェワネラ(Shewanella)、ビブリオ(Vibrio)またはモリテラ(Moritella)(Cho and Mo, Screening and characterization of eicosapentaenoic acid-producing marine bacteria, Biotechnology Letters 1999, 215-218; 特開(JP-A)第2000/245442号公報; 特開(JP-A)第63-216490号公報; 特開(JP-A)第2001/309797号公報)である。
【0024】
さらに、n-3 脂肪酸に適した供給源は、トランスジェニック生物、好ましくは微生物および植物である。
【0025】
加えて、本発明の目的のために、上記のような油状物(例えば魚油、植物油または微生物由来の油状物)から、当業者に公知の種々の方法(例えばクロマトグラフィー、吸収または吸着法(Ab- oder Adsorptionsverfahren)、ウインタリング(Winterisierung)等)によって精製されまたは濃縮された n-3 活性化合物が使用される。
【0026】
本発明の栄養食品はカロブ材料、特にカロブ繊維、および少なくとも1つの n-3 脂肪酸を含む。さらに、上記食品は、溶剤、充填剤(Fuellstoffe)、メチルセルロースのような担体(Traegerstoffe)、甘味炭水化物(suessende Kohlenhydrate)および他の甘味料、香味料、着色料(Farbstoffe)、酸化防止剤および保存料のような通常の添加剤を含むことができる。
【0027】
カロブ材料および n-3 脂肪酸の配合物は、2つの異なる摂取形態で摂取することもできる。この場合、カロブ材料、特にカロブ繊維および n-3 脂肪酸に適した用途は、パン、シリアル(Cerealien)、スナックバーまたはフルーツバー(Snack- oder Fruchtriegel)または粉末飲料(Getraenkepulver)のような食品としての用途である。さらにカロブ材料および n-3 脂肪酸を家庭で作った料理へ直接添加すること、および栄養補助剤の形態(Nahrungsergaenzungsmitteltypischer Form)(とりわけ、錠剤、糖衣錠、硬または軟カプセル剤、サシェ(Sachets)、顆粒、バー(Riegel)等)で使用することもまた可能である。
【0028】
本発明の栄養食品は、1日2から4回までの摂取で治療効果を達成するのに必要な量の食物成分を含む。
【0029】
カロブ材料またはカロブ繊維成分は、著しいコレステロール低下を引き起こす、または有益な意味でHDL/LDL比に影響を及ぼす濃度で、上記栄養食品に含まれる。カロブ繊維の1日の用量は1-25 g、通常5-15 gの範囲でよい。
【0030】
本発明の n-3 脂肪酸は、上記カロブ材料との相乗効果で、著しいコレステロール低下または血中脂質値の低下を引き起こすおよび有益な意味でHDL/LDL比に影響を及ぼす濃度で、本発明栄養食品中に含まれる。n-3 脂肪酸の1日の用量は50 mg ないし10 g、通常100 mgないし5 g、そして好ましくは200 mgないし2 gの範囲でよい。
【0031】
本発明の栄養食品の摂取は、日ごとに定めた1つの時点に行われること、または1日にわたり分割することができ、比較的少ない用量の摂取におけるカロブ材料、特にカロブ繊維と n-3脂肪酸との混合比率は上記の比率と一致する。
【0032】
本発明の食品を製造するために、好ましくは、所望である量のカロブ材料、特にカロブ繊維および n-3 脂肪酸をお互いに混合させ、噴霧乾燥し、溶剤を除去して、凝塊化および/またはインスタント化(instantisiert)させる。さらにすべての食品加工技術における通常の方法またはその他の圧縮、混練または糖衣コーティングのような製剤の製造方法(gallenischen Herstellungsverfahren)を使用することができる。n-3 脂肪酸は純粋な形態で、またはカプセル化してもしくはマイクロカプセル化の形態で混合物に添加することができ、カプセル化またはマイクロカプセル化のためにはコアセルベーション、噴霧乾燥または流動床乾燥のような当業者に公知の方法を利用することができる。リポソームまたはミセルへの封入もまた可能である。
【0033】
さらに、n-3 脂肪酸は、体内で脂肪酸が持続放出(除放)されるような形態で混合物に添加することができる。これらの「除放」製剤を製造するのに適した方法は、例えば、コーティング法、または(マイクロ)カプセル化における適当なカプセル基質の使用である。
【0034】
さらにカロブ材料自体、特にカロブ繊維自体を、n-3 脂肪酸の担体または基質として使用することができる。
【0035】
本発明による併用した摂取の場合、カロブ材料および n-3 脂肪酸を組み合わせた摂取により、個々の成分を投与したときの効果を合わせるよりも、コレステロールレベルおよび血中脂質値の大きな低下が導かれる。驚くべきことに、この場合には、カロブ材料、特にカロブ繊維、および n-3 脂肪酸の併用した摂取は、非特異的な干渉によって個々の物質の活性を減少させないが、観察される効果は、物質の個々での投与で得られる効果を著しく超えるものである。
【0036】
従って本発明の食品は、従来の食品の切り替えまたは栄養食品によって達成され得るよりも、頻繁に治療するのが望ましいコレステロールレベルおよびトリグリセリドレベルの大きな低下を可能にする。
【0037】
さらに本発明活性化合物の配合物は、例えばスタチンを用いた薬剤治療の結果として薬剤の用量を減少させることができる場合に、補強の意味で用いることができる。従って特に、コレステロール低下活性化合物の投与において頻繁におこる無用の副作用を、減少させることまたは完全に回避することができる。従って、本発明の栄養食品は、高コレステロール症または高脂血症の治療を十分に増進させる。
【0038】
本発明の食物成分は、薬剤および栄養補助食品に適したおよび最も効果を有する混合比で調製した調合物に使用することもできる。このためには、例えば、溶解して使用される粉末または錠剤型の調合物、また咀嚼性タブレット(Kautabletten)が考えられる。これらの調合物はさらに、可溶性担体のような溶解を改善するための成分(添加剤)、例えばでんぷん、セルロース、ベントナイト(Bentonit)、ペクチンまたは有機酸と組み合わせての過酸化物および炭酸塩のような錠剤崩壊剤(Tablettensprengmittel)、および一般的な着色料、ショ糖、ブドウ糖、果糖のような甘味料、および他の炭水化物、例えばソルビトール、キシリトール、マルチトール(Maltit)およびイソマルト(Isomalt)のような糖アルコール、または例えばアセスルファム-K、チクロ(Cyclamat)、サッカリン、スクラロース、またはアスパルテームのような非栄養性甘味料、および特に受容性(Akzeptanz)を改善するための香味料を含むことができる。
【0039】
本発明の食品は、組み合わせて摂取することができ、またカロブ材料、特にカロブ繊維および n-3 脂肪酸を含む栄養食品または栄養補助食品の形態で別々に摂取することもできる。組み合わせた形態の場合には、カロブ材料、特にカロブ繊維は、n-3 脂肪酸の担体として使用することができる。
【0040】
本発明を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0041】
実施例1:
粉末状の調合物(一人分量(fur eine Portionsgrose))

【0042】
150 mlのなま温かい牛乳に調合物を撹拌により懸濁し、飲む。
実施例2:
咀嚼性タブレット(Kautabletten)

【0043】
上記咀嚼性タブレットは通常の手法により混合および圧縮する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのカロブ材料(Johannisbrotprodukt)および少なくとも1つの n-3脂肪酸を含むコレステロール低下およびトリグリセリド低下食品。
【請求項2】
カロブ材料がカロブ果肉またはカロブ果肉から製造された材料である、請求項1記載の食品。
【請求項3】
カロブ材料がカロブ繊維である、請求項1記載の食品。
【請求項4】
カロブ繊維が水に不溶性である、請求項3記載の食品。
【請求項5】
n-3 脂肪酸が、少なくとも2つの二重結合を有し、> C12の鎖長を有する多価不飽和脂肪酸、またはそのエステル、トリグリセリド、リン脂質、糖脂質、スフィンゴ脂質、ワックス(Wachs)またはステロールエステルである、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の食品。
【請求項6】
少なくとも2つの二重結合のうちアルキル端から数えて最初の1つが、炭素原子C3 およびC4の間を構成する、請求項5記載の食品。
【請求項7】
n-3 脂肪酸が、以下の物質:オール-シス-9,12,15-オクタデカトリエン酸(All-cis-9,12,15-Octadecatriensaeure)(ALA)、オール-シス-6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸、オール-シス-11,14,17-エイコサトリエン酸、オール-シス-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸、オール-シス-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸(EPA)、オール-シス-13,16,19-ドコサトリエン酸、オール-シス-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸(DPA)およびオール-シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DHA)のうちの1つ以上から選択される、請求項5または6のいずれか1つに記載の食品。
【請求項8】
n-3 脂肪酸が、オール-シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DHA)である、請求項7記載の食品。
【請求項9】
n-3 脂肪酸が、誘導体化されていない、請求項5ないし8のいずれか1つに記載の食品。
【請求項10】
別々の摂取形態(getrennten Darreichungsformen)の中で、少なくとも1つのカロブ材料および少なくとも 1つの n-3脂肪酸を含む 、コレステロール低下配合物(Kombinationspraeparat)。
【請求項11】
少なくとも1つのカロブ材料および少なくとも1つのコレステロール低下活性化合物を相互に混合することを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の食品を製造する方法。
【請求項12】
薬剤として、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の食品を使用する方法。
【請求項13】
コレステロール低下薬剤としての、請求項12記載の使用方法。
【請求項14】
高コレステロール症、高脂血症または動脈硬化の予防のための、請求項12記載の使用方法。
【請求項15】
HDL/LDL比を有利に変化させるための、請求項12記載の使用方法。
【請求項16】
n-3 脂肪酸とともに付加的に供給させるために、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の食品を使用する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に不溶性であるカロブ繊維および少なくとも1つの n-3 脂肪酸を含み、その際、1つの n-3 脂肪酸または複数の n-3 脂肪酸が少なくともTFAの15 area-%(area-%はAOCS 公定方法 Ce 1b-89を適用; TFA = 全脂肪酸)の濃度で含まれる、コレステロール低下およびトリグリセリド低下食品。
【請求項2】
n-3 脂肪酸が、少なくとも2つの二重結合を有し、> C12の鎖長を有する多価不飽和脂肪酸、またはそのエステル、トリグリセリド、リン脂質、糖脂質、スフィンゴ脂質、ワックス(Wachs)またはステロールエステルである、請求項1記載の食品。
【請求項3】
n-3 脂肪酸が、以下の物質:オール-シス-9,12,15-オクタデカトリエン酸(All-cis-9,12,15-Octadecatriensaeure)(ALA)、オール-シス-6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸、オール-シス-11,14,17-エイコサトリエン酸、オール-シス-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸、オール-シス-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸(EPA)、オール-シス-13,16,19-ドコサトリエン酸、オール-シス-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸(DPA)およびオール-シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(All- cis-4,7,10,13,16,19-Docosahexaensaure)(DHA)のうちの1つ以上から選択される、請求項1または2いずれかに記載の食品。
【請求項4】
n-3 脂肪酸が、オール-シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DHA)である、請求項3記載の食品。
【請求項5】
水に不溶性であるカロブ繊維および少なくとも1つのn-3 脂肪酸を別々の摂取形態(getrennten Darreichungsformen)で含み、その際、1つの n-3 脂肪酸または複数の n-3 脂肪酸が少なくともTFAの15 area-%(area-%はAOCS 公定方法 Ce 1b-89を適用; TFA = 全脂肪酸)の濃度で含まれる、コレステロール低下配合物(Kombinationspraeparat)。
【請求項6】
少なくとも1つのカロブ材料および少なくとも1つのコレステロール低下活性化合物を相互に混合することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1つに記載された食品の製造方法。
【請求項7】
薬剤として、請求項1ないし4のいずれか1つに記載された食品を使用する方法。
【請求項8】
コレステロール低下薬剤としての、請求項7記載の使用方法。
【請求項9】
高コレステロール症、高脂血症または動脈硬化の予防のための、請求項7記載の使用方法。
【請求項10】
HDL/LDL比を有利に変化させるための、請求項7記載の使用方法。
【請求項11】
n-3 脂肪酸とともに付加的に供給させるために、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の食品を使用する方法。

【公表番号】特表2006−512070(P2006−512070A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562816(P2004−562816)
【出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014714
【国際公開番号】WO2004/057979
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(398037789)ニュートリノヴァ ニュートリション スペシャリティーズ アンド フード イングリーディエンツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【Fターム(参考)】