説明

必要とされる細胞周期に取り組むために、非埋め込み式機器を用いたナノボール(カプセル型ナノ粒子)包含治療薬の組織挿入により組織中放出がもたらされることを用いた、血流改善による冠動脈の活性化

身体内腔における標的部位に薬物を送達するための薬物送達医療機器が開示されている。薬物送達医療機器は、バルーンカテーテル、およびバルーンカテーテルに取り付けられたインフレータブルバルーンを含む。インフレータブルバルーンは親水性表面を有する。親水性表面の1以上の部分は2以上のナノキャリアで被覆されている。2以上のナノキャリアのナノキャリアは封入剤によって取り囲まれた薬物を含む。薬物が封入剤によって取り囲まれているので、ナノキャリアの表面には薬物は存在しない。インフレータブルバルーンが身体内腔における標的部位に接近して膨張するとき、約30%〜80%の2以上のナノキャリアは15−90秒以内に親水性表面から放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、身体内腔における標的部位に薬物を投与するための医療機器に関する。より詳細には、本発明は血管中の標的部位へ1以上の薬物を効果的に送達するための、1以上の薬物のナノキャリアで被覆された薬物送達インフレータブルバルーンに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達挿入可能医療機器は、薬物を血管内の標的部位に局所的に送達するために使用される。薬剤溶出バルーン(DEB)は、そのような1つの薬物送達挿入可能医療機器である。広く使用されているが、DEBsはDEBsの表面に薬物を搭載するための高分子の使用と関連している。使用される高分子は標的部位において炎症の原因となり得る。高分子によって引き起こされる炎症を避けるために、薬物は高分子を使用せずにDEBの表面に搭載し得る。しかしながら、当技術分野で周知のこのような高分子フリーの手法は、DEBの表面修飾に基づいている。
【0003】
さらに、DEBは、一般に、30秒〜90秒の範囲のほんの短時間の間、血管中の標的部位と接触する。DEBに搭載される薬物の必要量は、このような短時間のうちにDEBの表面から放出され得ない。従って、送達される実際に必要な薬物の量と比較して、より大量の薬物をDEBに搭載しなければならない。より大量の薬物がDEBに搭載されると、DEBが標的部位から引き抜かれた後に相当量の薬物がDEBの表面に残存し得る。DEBに存在する薬物の残量は、血管を通ってDEBが引き抜かれる間に血流中で洗い流されるため、望まれない副作用を引き起こし得る。
【0004】
さらに、マイクロサイズの薬物粒子が現行のDEBsに被覆されている。薬物のマイクロサイズ粒子は標的部位において効果的に組織に浸透し得ない。従って、現行のDEBsは薬物の効果的な組織内拡散を示すことが不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、DEBが標的部位に接触する短時間のうちに、薬物を血管中の標的部位へ効果的に送達することが可能であるDEBに対する技術の必要性がある。さらに、薬物を内腔の最大領域に効果的に送達し、かつ薬物送達バルーンに搭載された最適量の薬物による強化された生物学的利用能をもたらすことが可能であるDEBに対する技術の必要性がある。
【0006】
添付の図面では、個別の図を通して、類似の参照番号は同一または機能的に類似した要素を指しており、また添付の図面は、以下の詳細な説明とともに、本明細書に組み込まれるか、または本明細書の一部を構成し、種々の実施形態をさらに例示し、かつ本発明による種々の原理および利点を全て説明するための役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施例1によるMalvern(登録商標) ZS90によって検出された大豆リン脂質のナノ粒子の粒度分布を示している。
【図2】図2は、実施例1によるMalvern(登録商標) ZS90によって検出されたナノキャリアの粒度分布を示している。
【図3】図3は、実施例2による、17の動物に割り当てられた番号、各動物におけるステントの種類およびステントの位置、並びに動物に対して実施された調査の種類(PK/LM)を示す表である。
【図4】図4は、実施例3による、各群、すなわち、コントロール、シロリムス、およびパクリタキセルの群に対する、平均内腔面積、平均ステント面積、平均新生内膜面積、および平均新生内膜閉塞所見率における、平均および標準偏差の値の表を示している。
【図5】図5は、実施例3による、各群に対する、中央内腔面積、中央ステント面積、中央新生内膜面積、および中央新生内膜閉塞所見率における、平均および標準偏差の値の表を示している。
【図6】図6は、実施例3による、各群に対する、最小内腔面積、最小ステント面積、最小新生内膜面積、および最小新生内膜閉塞所見率における、平均および標準偏差の値の表を示している。
【図7】図7は、実施例3による、各群に対する、最大内腔面積、最大ステント面積、最大新生内膜面積、および最大新生内膜閉塞所見率における、平均および標準偏差の値の表を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明による実施形態を詳細に説明する前に、実施形態は、主に、血管中の標的部位へ薬剤を局所的に送達するための薬物送達挿入可能医療機器における構成要素の組み合わせにあることが認められるべきである。従って、本発明の実施形態の理解に関するそれらの具体的な詳細のみを含むように構成要素は説明されているため、詳細な開示は不明瞭にならず、それは本明細書の説明における利益を得る当業者に容易に明らかになるであろう。
【0009】
本文書では、用語「含む(comprises)」、「含まれている(comprising)」、またはそれらの他のいずれの変形も、非排他的な包括を網羅することを意図し、要素のリストを含むこれらの工程、方法、物品、または装置は、それらの要素だけを含むのではなく、リストに明示されなかった、または固有の、工程、方法、物品、または装置等のその他の要素を含み得る。「〜を含む(comprises...a)」が前に書かれている要素は、より多くの制約を受けることはなく、その要素を含む工程、方法、物品、または装置において、同一の要素がさらに存在することを排除するものではない。
【0010】
さらに、本発明による実施形態を詳細に説明する前に、本発明を説明するために本明細書において使用される科学的および技術的な用語は、当業者によって理解され得るものと同じ意味を有することが認められるべきである。
【0011】
一般的に、種々の実施形態に従って、本発明は身体内腔における標的部位へ薬剤を送達するための薬物送達医療機器を開示する。身体内腔は、血管、尿道、食道、尿管、および胆管の1つであり得る。薬物送達医療機器は、身体内腔と関連する医学的状態を治療するために使用される。医学的状態は、例えば、アテローム性動脈硬化症、動脈閉塞、再狭窄、血管中でのプラークの蓄積、および血管中での血栓形成であり得る。
【0012】
薬物送達医療機器は、バルーンカテーテル、およびバルーンカテーテルに取り付けられるインフレータブルバルーンを含む。インフレータブルバルーンは親水性表面を有する。親水性表面の1以上の部分は2以上のナノキャリアで被覆されている。2以上のナノキャリアのナノキャリアは、封入剤によって取り囲まれる薬物を含む。封入剤は、生物学的薬剤、血液添加物、およびリン脂質の1つ以上であり得る。薬物は封入剤によって取り囲まれるため、ナノキャリアの表面には薬物が存在しない。インフレータブルバルーンが身体内腔における標的部位に近接して膨張すると、約30%〜80%の2以上のナノキャリアは15〜90秒以内に親水性表面から放出される。
【0013】
薬物送達医療機器は、一般に、経皮的血管形成術(PTA)のために使用されるバルーンカテーテル組立体であり得る。1つの実施形態では、薬物送達医療機器は、一般に、経皮的冠動脈形成術(PTCA)のために使用されるバルーンカテーテル組立体であり得る。バルーンカテーテル組立体は、本質的に、バルーンカテーテル、およびバルーンカテーテルに取り付けられるインフレータブルバルーンを含む。さらに、バルーンカテーテル組立体は、1以上のカテーテルチューブ、1以上のガイドワイヤー、インフレータブルバルーンを膨張させるための流体供給、および2以上のナノキャリアを標的部位に送達するためのバルーンカテーテル組立体を機能させるために必要であり得るあらゆるその他の構成要素を含み得る。本発明は、主に2以上のナノキャリアで被覆されるインフレータブルバルーンにあるので、インフレータブルバルーン以外のバルーンカテーテル組立体の機能および構成要素は詳細には開示されない。
【0014】
インフレータブルバルーンは、一般に、PTAおよびPTCAの1つにおいて使用され、かつ身体内腔における標的部位に2以上のナノキャリアを送達するためにも使用可能なあらゆるバルーンであり得る。例えば、インフレータブルバルーンは、血管形成術用バルーンであり得る。
【0015】
インフレータブルバルーンは親水性表面を有する。親水性表面はインフレータブルバルーンの表面に被覆される1以上の親水性物質の層であるため、一般に、インフレータブルバルーンが身体内腔中を移動するときに、インフレータブルバルーンと身体内腔壁との摩擦を減少させることが可能である。種々の実施形態によれば、1以上の親水性表面は、本発明の範囲から逸脱することなく、当技術分野で周知の親水性表面から選択され得る。例えば、1以上の親水性表面は、限定されるものではないが、ポリアルキレングリコール、アルコキシポリアルキレングリコール、メチルビニルエーテルとマレイン酸との共重合体、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンイミン)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルスルホン酸、ヘパリン、デキストラン、修飾デキストラン、およびコンドロイチン硫酸の1つ以上、並びに少なくとも1つの粘着防止剤から選択され得る。
【0016】
親水性表面の1以上の部分は、2以上のナノキャリアで被覆される。親水性被覆がされていないバルーンの表面からのナノキャリアの放出と比較すると、親水性表面の1以上の部分に被覆された2以上のナノキャリアは急速に放出される。従って、親水性表面からの2以上のナノキャリアのバースト放出は、インフレータブルバルーンが身体内腔における標的部位に接触する短時間のうちに達成し得る。1つの例示的な実施形態では、約70%〜80%の2以上のナノキャリアは、インフレータブルバルーンが標的部位に近接して膨張すると、約60秒以内に親水性表面から放出される。
【0017】
種々の実施形態によれば、親水性表面は1以上の露出した親水性表面をさらに有する。1以上の露出した親水性表面は、2以上のナノキャリアを1以上の所望の部分において被覆しないことで、インフレータブルバルーンの1以上の所望の部分において作成可能である。つまり、2以上のナノキャリアは、1以上の露出した親水性表面を除いて、全親水性表面に被覆される。1つの実施形態では、1以上の露出した親水性表面は、親水性表面の遠位端の1以上の部分および親水性表面の近位端の1以上の部分の、1つ以上において作成される。1以上の露出した親水性表面は、標的部位において血液と接触するときに、1以上の露出した親水性表面に存在する1以上の親水性物質の溶解を促進する。1以上の露出した親水性表面に存在する1以上の親水性物質の溶解に応じて、親水性表面に存在する1以上の親水性物質は血液中においても溶解し、それが親水性表面からの2以上のナノキャリアの放出をもたらす。したがって、1以上の露出した親水性表面は、インフレータブルバルーンからの2以上のナノキャリアの放出を促進する。
【0018】
インフレータブルバルーンは、親水性表面の1以上の部分を被覆する2以上のナノキャリアをさらに有する。2以上のナノキャリアのナノキャリアは、封入剤によって取り囲まれる薬物を含む。薬物は、薬物のナノ結晶を含み得る。薬物のナノ結晶は、1nm〜1500nmの範囲の平均直径を有し得る。さらに、薬物のナノ結晶は、2以上の異なる平均直径を有し得る。あるいは、薬物は、ナノサイズの粒子、ナノ球体、リポソーム、ナノカプセル、デンドリマー、およびナノ寸法を有する薬物のあらゆるその他の類似形状の1つ以上を含み得る。
【0019】
薬物は、限定されるものではないが、抗増殖剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、抗血液凝固剤、抗フィブリン剤、抗血栓薬、抗有糸分裂薬、抗生物質、抗アレルギー薬、抗酸化剤、抗増殖剤、エストロゲン、プロテアーゼ阻害剤、抗体、免疫抑制剤、細胞増殖抑制剤、細胞毒性薬、カルシウムチャネル遮断薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、栄養補助食品、ビタミン、抗血小板凝集剤、および遺伝子組み換え上皮細胞の1つ以上であり得る。
【0020】
薬物は、限定されるものではないが、例えば、シロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、クロベタゾール、デキサメタゾン、ゲニステイン、ヘパリン、17β−エストラジオール、ラパマイシン、エベロリムス、エチルラパマイシン、ゾタロリムス、ABT−578、バイオリムスA9、ドセタキセル、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン、マイトマイシン、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリン類似物質、ヒルジン、アルガトロバン、ホルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa、組換体ヒルジン、ビバリルジン、ニフェジピン、コルヒチン、ロバスタチン、ニトロプルシド、スラミン、セロトニン阻害薬、ステロイド、チオールプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン、一酸化窒素または一酸化窒素の供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣剤、エストラジオール、アスピリン、アンギオペプチン、カプトプリル、シラザプリル、リシノプリル、ペミロラストカリウム、α−インターフェロン、生物活性RGD、およびそれらのあらゆる塩または類似体の1つ以上であり得る。
【0021】
種々の実施形態によれば、薬物は、封入剤によって完全に囲まれているため、ナノキャリアの表面にはいかなる遊離薬物も存在しない。従って、薬物とインフレータブルバルーンの表面との直接の接触は避けられる。さらに、ナノキャリアが標的部位の組織に浸透し、かつ封入剤が溶解したときにのみ、薬物は標的部位の組織と接触する。従って、薬物の標的部位の組織およびインフレータブルの表面への直接の暴露は、封入剤の存在によって阻止される。
【0022】
封入剤は、生物学的薬剤、血液添加物、およびリン脂質の1つ以上であり得る。あるいは、封入剤は、限定されるものではないが、1以上の生物学的薬剤、1以上の血液添加物、1以上のリン脂質、および1以上の添加物の1つ以上であり得る。
【0023】
1つの例示的な実施形態では、封入剤は生物学的薬剤であり得る。生物学的薬剤は、生物学的薬剤のナノ粒子を含み得る。生物学的薬剤のナノ粒子は、1nm〜1500nmの範囲の平均直径を有し得る。さらに、生物学的薬剤のナノ粒子は、2以上の異なる平均直径を有し得る。あるいは、生物学的薬剤は、ナノサイズ粒子、ナノ球体、リポソーム、ナノカプセル、デンドリマー、およびナノ寸法を有する生物学的薬剤のあらゆるその他の類似形状の1つ以上を含み得る。
【0024】
生物学的薬剤は、限定されるものではないが、薬物キャリア、添加物、血液成分、血液由来の添加物、天然型リン脂質、固体脂質ナノ粒子、生きた動物から得られるリン脂質、合成由来のリン脂質、類脂質、ビタミン、および糖分子の1つ以上であり得る。生物学的薬剤は、例えば、ステロイド、ビタミン、エストラジオール、エステル型脂肪酸、非エステル型脂肪酸、グルコース、イノシトール、L−乳酸塩、リポタンパク質、炭水化物、リン酸三カルシウム、沈殿リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、ヒト、卵子、および大豆の少なくとも1つに由来する物質、phospholipon(登録商標) 80H、phospholipon(登録商標) 90H、Lipoids S75、Lipoids E80、Intralipid(登録商標) 20、Lipoid EPC、Lipoids E75、卵子から得られる脂質、大豆から得られる脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、カルジオリピン、およびホスファチジルエタノールアミンの1つ以上であり得る。
【0025】
他の例示的な実施形態では、封入剤はリン脂質であり得る。リン脂質は、リン脂質のナノ粒子を含み得る。リン脂質のナノ粒子は、1nm〜1500nmの範囲の平均直径を有し得る。さらに、リン脂質のナノ粒子は、2以上の異なる平均直径を有し得る。あるいは、リン脂質は、ナノサイズ粒子、ナノ球体、リポソーム、ナノカプセル、デンドリマー、およびナノ寸法を有するリン脂質のあらゆるその他の類似形状の1つ以上を含み得る。リン脂質は、限定されるものではないが、卵子から得られる脂質、大豆から得られる脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、カルジオリピン、ホスファチジルエタノールアミンの1つ以上であり得る。
【0026】
さらに、他の例示的な実施形態では、封入剤は血液添加物であり得る。血液添加物は血液添加物のナノ粒子を含み得る。血液添加物のナノ粒子は1nm〜1500nmの範囲の平均直径を有し得る。さらに血液添加物のナノ粒子は、2以上の異なる平均直径を有し得る。あるいは、血液添加物は、ナノサイズ粒子、ナノ球体、リポソーム、ナノカプセル、デンドリマー、およびナノ寸法を有する血液添加物のあらゆるその他の類似形状の1つ以上であり得る。血液添加物は、合成的に製造され得た血液中で発見される1以上の添加物であり得る。血液添加物は、限定されるものではないが、ステロイド、ビタミン、エストラジオール、エステル型脂肪酸、非エステル型脂肪酸、グルコース、イノシトール、L−乳酸塩、脂質、リポタンパク質、リン脂質、炭水化物、リン酸三カルシウム、沈殿リン酸カルシウム、および第三リン酸カルシウムの1つ以上であり得る。
【0027】
血液添加物および生物学的薬剤は、pH7.4未満で溶解する。したがって、2以上のナノキャリアが標的部位の組織と接触すると、生物学的薬剤および血液添加物は血液中で溶解する。生物学的薬剤および血液添加物の溶解は、標的部位において2以上のナノキャリアからの薬物の放出をもたらす。したがって、薬物のpHに依存する2以上のナノキャリアからの放出が達成される。
【0028】
さらに、封入剤は、生物学的薬剤、血液添加物、およびリン脂質の1つ以上であるため、2以上のナノキャリアは、標的部位の組織に対して親和性を示す。このような親和性は、インフレータブルバルーンの親水性表面からの2以上のナノキャリアの標的部位への効果的な移動を促進する。さらに、生物学的薬剤およびリン脂質の1つ以上は、2以上のナノキャリアのナノキャリア中に存在する薬物を安定させる性質を示す。
【0029】
2以上のナノキャリアは、10nm〜1500nmの範囲の平均直径を有し得る。あるいは、2以上のナノキャリアは2以上の平均直径を有し得る。2以上の平均直径は、1nm〜1500nmの範囲であり得る。
【0030】
種々の実施形態によれば、2以上のナノキャリアは当技術分野で周知の方法を使用することで調製され得る。例えば、薬物のナノ結晶、生物学的薬剤のナノ粒子、リン脂質のナノ粒子、および血液添加物のナノ粒子の1つ以上は、限定されるものではないが、高圧均質化、噴霧乾燥、高速均質化、ボールミル粉砕、粉砕、ゾルゲル法、水熱合成法、噴霧熱分解法などの1つ以上を用いることによって得ることが可能である。
【0031】
当技術分野で周知の方法を使用して2以上のナノキャリアを得るために、薬物のナノ結晶は、生物学的薬剤、リン脂質、および血液添加物の1つ以上のナノ粒子によってさらにカプセル化される。従って、得られる2以上のナノキャリアの平均直径は、1nm〜1500nmの範囲であり得る。次いで、2以上のナノキャリアが得られると、2以上のナノキャリアは当技術分野で周知の方法および技術を使用して、薬物送達挿入可能医療機器の親水性表面に被覆され得る。
【0032】
1つの例示的な実施形態では、薬物のナノ結晶を得るために、所定量の薬物を溶媒中に加え、続いて界面活性剤を加える。例えば、シロリムスのナノ結晶を得るために、所定量のシロリムスを水中に加え、続いてTween(登録商標) 80を加える。そして、得られた薬物の溶液は、その後、所定の時間、所定のrpmにおいて高速均質化にさらされ得る。所定のrpmおよび所定の時間は、薬物のナノ結晶の所望の平均直径に基づいて選択され得る。所定のrpmおよび所定の時間にて、薬物の溶液を高速均質化にさらすことによって、薬物のナノ結晶の溶液が得られる。
【0033】
同様に、例えば、大豆リン脂質などの生物学的薬剤の所定量を溶媒中に加え、続いて界面活性剤を加える。そして、得られた生物学的薬剤の溶液は、その後、所定の時間、所定のrpmにおいて高速均質化にさらされ得る。所定のrpmおよび所定の時間は、生物学的薬剤のナノ粒子の所望の平均直径に基づいて選択され得る。所定のrpmおよび所定の時間にて、生物学的薬剤の溶液を高速均質化にさらすことによって、生物学的薬剤のナノ粒子の溶液が得られる。
【0034】
次いで、薬物のナノ結晶の溶液を生物学的薬剤のナノ粒子の溶液に加えられることで混合物を形成する。その後、混合物は所定時間、所定のrpmにおいて高速均質化にさらされ得る。所定のrpmおよび所定時間、混合物を高速均質化にさらすことによって、薬物のナノ結晶は生物学的薬剤のナノ粒子でカプセル化されて、2以上のナノキャリアを形成する。このようにして、2以上のナノキャリアの溶液が得られる。
【0035】
その後、2以上のナノキャリアの溶液を、1以上の有機溶媒(例えば、メタノール、ジクロロメタン等)で抽出することで、1以上の生物学的薬剤および薬物のあらゆる遊離型を除去することが可能である。その後、1以上の有機溶媒での抽出から生じる溶液は、2以上のナノキャリアをインフレータブルバルーンの親水性表面に被覆するために使用され得る。当技術分野で周知の方法および技術を使用することで、2以上のナノキャリアはインフレータブルバルーンの親水性表面に被覆され得る。例えば、2以上のナノキャリアは、限定されるものではないが、スプレー塗装技術、および噴霧技術の1つ以上を使用することによって、インフレータブルバルーンの親水性表面に被覆され得る。さらに、2以上のナノキャリアは、バルーンが折り畳まれた形状および折り畳まれていない形状のときに、インフレータブルバルーンの親水性表面に被覆され得る。
【0036】
1つの実施形態では、インフレータブルバルーンの親水性表面は、平均直径が800nmの2以上のナノキャリアで被覆される。親水性表面は、親水性表面の近位端および遠位端において1以上の露出した親水性表面をさらに有する。つまり、近位端および遠位端における部分は、2以上のナノキャリアで被覆されていない。2以上のナノキャリアのナノキャリアは、リン酸三カルシウムおよび大豆リン脂質の1つ以上によって取り囲まれたシロリムスのナノ結晶を含む。インフレータブルバルーンが血管中で標的部位に近接して膨張すると、約70%〜80%の2以上のナノキャリアはインフレータブルバルーンの親水性表面から放出される。その後、2以上のナノキャリアは標的部位において組織に吸収される。
【0037】
1つの例示的な実施形態では、インフレータブルバルーンは血管と関連する医学的状態を治療するために使用される。血管は、例えば、冠動脈、末梢動脈、頸動脈、腎動脈、腸骨動脈、膝下の動脈、および静脈の1つであり得る。血管は、組織の2以上の層を含む。組織の2以上の層は、内膜層、中膜層、および外膜層であり得る。内膜層は血管を通過する血流と直接接触する血管の組織の最内層である。中膜層は内膜層の下方の血管の組織の層である。一方、外膜層は中膜層の下方の血管の組織の層である。
【0038】
2以上のナノキャリアのナノキャリアは、インフレータブルバルーンの親水性表面から放出されると、内膜層に存在する組織間の孔を介して内膜層に直接浸透し得る。一方で、2以上のナノキャリアのナノキャリアは、内膜層に存在する細胞間の孔および中膜層と関連する脈管の血管を通過することで、中膜層に浸透し得る。同様に、2以上のナノキャリアのナノキャリアは、内膜層に存在する組織間の孔、中膜層と関連する脈管の血管、および外膜層と関連する脈管の血管を通過することで、外膜層に浸透し得る。内膜層に存在する組織間の孔、中膜層と関連する脈管の血管、および外膜層と関連する脈管の血管は、異なる内径を有する。従って、2以上のナノキャリアのナノキャリアにおける内膜層、中膜層、および外膜層の1つ以上への浸透は、2以上のナノキャリアと関連する平均直径に左右される。
【0039】
他の実施形態では、2以上のナノキャリアは、ナノキャリアの第1セット、ナノキャリアの第2セット、およびナノキャリアの第3セットを含む。ナノキャリアの第1セットは、内膜層に存在する細胞間の孔を介した内膜層への浸透に適した第1平均直径を有する。ナノキャリアの第2セットは、中膜層と関連する脈管の血管および内膜層に存在する細胞間の孔を介した中膜層への浸透に適した第2平均直径を有する。ナノキャリアの第3セットは、内膜層に存在する細胞間の孔、中膜層と関連する脈管の血管、および外膜層と関連する脈管の血管を介した外膜層への浸透に適した第3平均直径を有する。
【0040】
第1平均直径は、800nm〜1500nmの範囲であり、第2平均直径は300nm〜800nmの範囲であり、および第3平均直径は10nm〜300nmの範囲であり得る。1つの実施形態では、第1平均直径は1000nm、第2平均直径は700nm、および第3平均直径は200nmである。第1平均直径、第2平均直径、および第3平均直径は、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の治療必要性を満たすために変化し得る。
【0041】
第1平均直径を有するナノキャリアの第1セットは、約10%〜60%の2以上のナノキャリアを含み得る。一方で、第2平均直径を有するナノキャリアの第2セットは、約20%〜70%の2以上のナノキャリアを含み、および第3平均直径を有するナノキャリアの第3セットは、約30%〜80%の2以上のナノキャリアを含み得る。あるいは、ナノキャリアの第1セット、ナノキャリアの第2セット、およびナノキャリアの第3セットは、約15%〜90%、約10%〜約85%、および約5%〜約85%の2以上のナノキャリアをそれぞれ含み得る。
【0042】
2以上のナノキャリアがインフレータブルバルーンの親水性表面から放出されるとき、ナノキャリアの第1セットは内膜層に存在する組織間の孔を介して中間層に浸透する。ナノキャリアの第2セットは、中膜層と関連する脈管の血管および内膜層に存在する組織間の孔を介して中膜層に浸透する。一方で、ナノキャリアの第3セットは、外膜層と関連する脈管の血管、中膜層と関連する脈管の血管、および内膜層に存在する組織間の孔を介して外膜層に浸透する。従って、2以上のナノキャリアのサイズ依存性の浸透が達成される。
【0043】
さらに、他の実施形態では、ナノキャリアの第3セットに存在する薬物は、ナノキャリアの第2セットに存在する薬物と異なり、およびナノキャリアの第2セットに存在する薬物は、ナノキャリアの第1セットに存在する薬物と異なる。つまり、ナノキャリアの第1セット、ナノキャリアの第2セット、およびナノキャリアの第3セットにそれぞれ存在する薬物は異なり得る。例えば、ナノキャリアの第3セットに存在する薬物は、抗炎症剤および抗血栓薬の1つ以上であり得る。ナノキャリアの第2セットは、抗増殖剤を含み得る。一方で、ナノキャリアの第1セットは、例えば、治癒促進剤(pro−healing agent)を含み得る。さらに、ナノキャリアの第1セット、ナノキャリアの第2セット、およびナノキャリアの第3セットの1つ以上に存在する薬物は、限定されるものではないが、本発明の範囲から逸脱することなく、抗腫瘍剤、抗血液凝固剤、抗フィブリン剤、抗血栓薬、抗有糸分裂薬、抗生物質、抗アレルギー薬、抗酸化剤、エストロゲン、プロテアーゼ阻害剤、抗体、免疫抑制剤、細胞増殖抑制剤、細胞毒性薬、カルシウムチャネル遮断薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、栄養補助食品、ビタミン、抗血小板凝集剤、および遺伝子組み換え上皮細胞の1つ以上から選択され得る。
【0044】
ナノキャリアの第3セットは、ナノキャリアの第1セット、ナノキャリアの第2セット、およびナノキャリアの第3セットの間で、最小の平均直径を有する。従って、ナノキャリアの第3セットが標的部位に接近したときに親水性表面から放出されるために必要な時間は、ナノキャリアの第2セットおよびナノキャリアの第1セットが外表面から放出されるために必要な時間よりも短い。従って、ナノキャリアの第3セットは親水性表面からの急速な放出を示す。一方で、ナノキャリアの第2セットおよびナノキャリアの第3セットは、ナノキャリアの第3セットの放出速度と比較すると、親水性表面からの低速の放出を示す。
【0045】
さらに、2以上のナノキャリア中の、生物学的薬剤、リン脂質、および血液添加物の1つ以上の存在によって、2以上のナノキャリアは標的部位の組織に対して親和性を示す。さらに、血管中の1以上の層に浸透する2以上のナノキャリアの能力によって、最小の平均直径を有するナノキャリアは外膜層まで浸透する。外膜層に浸透するナノキャリアは、長時間外膜層に残存し得る。つまり、外膜層は、薬物が長時間にわたってゆっくりと放出されるための薬物のリザーバーとして作用し得る。
【0046】
2以上のナノキャリアのナノキャリアに存在する薬物は、ナノキャリアが、内膜層、中膜層、および外膜層の1つ以上に浸透した後、かつ封入剤が溶解した後にのみ放出される。このようにして、標的部位における薬物の組織内放出が達成される。こうして放出される薬物は、長時間の間、外膜層、中膜層、および内膜層の1つ以上にわたって拡散し得る。このような場合、外膜層、中膜層、および内膜層の1つ以上にわたって拡散される薬物は、長時間にわたる薬物の組織内拡散をもたらし得る。従って、薬物の組織内放出および薬物の組織内拡散によって、薬物は標的部位における病変の最大部分に送達され得る。
【0047】
さらに、他の実施形態では、インフレータブルバルーンは、標的部位に薬物を送達するために使用され、そこではステントが血管中に配置される。このような場合、薬物の長時間にわたる組織内放出および組織内浸透によって、標的部位における病変の治癒の遅れ、および標的部位における病変の不適切な治癒の事例が最小化される。従って、病変の治癒の遅れまたは不適切な治癒の患者に与えられる抗血小板療法が最小化され得る。
【0048】
種々の実施形態によれば、2以上のナノキャリアは、あらゆる方法でインフレータブルバルーンの親水性表面に被覆され得るため、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の治療目的を達成し得る。2以上のナノキャリアが親水性表面に被覆され得る方法は、限定されるものではないが、2以上のナノキャリアを単層として親水性表面に被覆すること、2以上のナノキャリアを2以上の層として親水性表面に被覆すること、および2以上のナノキャリアを1以上の高分子を使用して被覆することの1つ以上を含む。さらに、2以上のナノキャリアは、限定されるものではないが、例えば、スプレー塗装、ディープ塗装、超音波粉体塗装(ultrasonic cloud coating)、ミスト塗装、静電塗装、および当技術分野で周知のあらゆるその他の技術の1以上の技術を用いて、インフレータブルバルーンの親水性表面に被覆され得る。
【0049】
一般的に、種々の実施形態に従って、本発明は、身体内腔と関連する医学的状態を治療するために、身体内腔における標的部位に薬物を送達するための方法も開示する。該方法は、身体内腔における標的部位にインフレータブルバルーンを位置させることを含む。インフレータブルバルーンは、バルーンカテーテル組立体および当技術分野で周知の方法を用いることで標的部位に位置され得る。インフレータブルバルーンは標的部位に位置した後、インフレータブルバルーンはバルーンカテーテル組立体と関連する適した膨張機構を用いて膨張される。膨張に応じて、インフレータブルバルーンは標的部位に接触し、約30%〜80%の2以上のナノキャリアは標的部位と接触して15〜90秒以内にインフレータブルバルーンから放出される。種々の実施形態によれば、インフレータブルバルーンは1回以上標的部位と接触させられることによって、薬物を標的部位に送達することが可能である。
【実施例1】
【0050】
大豆リン脂質はLioid GMBHから入手し、バッチ番号は776114−1/906であった。シロリムスは、中国のFujan Chemicalsから入手し、純度は99.5%を超えていた。使用する水、その他の溶媒、および試薬は、HPLCグレードであった。Hydraflow(登録商標)親水性コーティング(以下「親水性表面」)で被覆されたCOPANコポリアミド血管形成術用バルーンを有するポリアミドカテーテルシステム(以下「バルーンシステム」)は、フランス、パリのMinvasysから入手した。
【0051】
大豆リン脂質(20mg w/w)をHPLCグレード水(20ml)に加え、続いてTween(登録商標) 80(5mg)を加えて、大豆リン脂質の水溶液を得た。大豆リン脂質の水溶液(20ml)を、氷水浴中で20〜25分間、15000−20000rpmでの高速均質化にさらして溶液A1を得た。それ故、得られた溶液A1は大豆リン脂質のナノ粒子を包含した。次いで、溶液A1を、Malvern(登録商標) ZS90(Malvern、イギリス)粒度検出器を用いて粒度を検出するために分析した。図1はMalvern(登録商標) ZS90で検出された大豆リン脂質のナノ粒子の粒度分布を示している。大豆リン脂質のナノ粒子の平均直径は431nmであり、最大直径は1000nmであることが分かった。
【0052】
シロリムス(20mg w/w)を10mlの脱イオン水に加えて、シロリムスの水溶液を得た。シロリムスの水溶液(10ml)を、氷水浴中で150〜200分間、15000−20000rpmでの高速均質化にさらして溶液A2を得た。それ故、得られた溶液A2はシロリムスのナノ結晶を包含した。
【0053】
高速均質化工程の下で、溶液A1をゆっくりと一滴ずつA2溶液に速やかに加えた。完全に追加した後、結果として生じた混合物をさらに20分間、15000−20000rpmでの高速均質化にさらして溶液A3を得た。その後、溶液A3を磁気撹拌器(2MLH撹拌器付きホットプレート加熱器、Accumax、インド)を用いて20分間撹拌した。それ故、得られた溶液A3はナノキャリア(大豆リン脂質のナノ粒子によって取り囲まれたシロリムスのナノ結晶)を包含した。次いで、溶液A3を、Malvern(登録商標) ZS90(Malvern、イギリス)粒度検出器を用いて粒度を検出するために分析した。図2はMalvern(登録商標) ZS90によって検出されたナノキャリアの粒度分布を示している。ナノキャリアの平均直径は、133.6nm(ピーク1)および554.9nm(ピーク2)であり、最大直径は1000nmであることが分かった。
【0054】
さらに、溶液A3(ナノキャリアの水溶液)をジクロロメタンで抽出した。溶液A3(20ml)を100mlの分液漏斗に移した。50mlのジクロロメタンを100mlの分液漏斗に加えた。結果として生じた混合物を15分間振盪し、その後静置した。その後、2層、すなわち水層およびジクロロメタン層が100mlの分液漏斗内で観察された。ジクロロメタン層を水層から分離した。ジクロロメタン層、すなわちナノキャリアの溶液を、バッチ番号を付して琥珀色の小さなメスフラスコに保存した。次いで、ナノキャリアの溶液をバルーンシステムの被覆のために使用した。
【0055】
ナノキャリアの溶液(5ml)を被覆装置のリザーバーに注いだ。バルーンシステムを被覆装置の回転マンドレルに取り付けた。バルーンシステムのバルーンを被覆装置の噴霧ノズルにさらした。バルーンシステムをマンドレルの回転によって5〜40rpmで回転させ、同時にナノキャリアの溶液を0.5−4.0psiの不活性ガス圧および2振動にてバルーンに噴霧した。このようにして、ナノキャリアで被覆されたバルーン(以下「被覆バルーン」)が得られた。その後、被覆バルーンシステムを取り外し、被覆表面の平滑度およびあらゆる異質粒子を高分解能顕微鏡の下で検査した。その後、被覆バルーンシステムを以下の実施例2において説明するようにさらに分析した。
【実施例2】
【0056】
薬物動態(PK)調査および組織学的評価または光学顕微鏡法(LM)のために、5〜6月齢および3〜4Kgの体重の17匹の雄のニュージーランドラビット(以下「動物」)の生体内において、被覆バルーンをさらに評価した。図3は、17の動物に割り当てられた番号、各動物におけるステントの種類およびステントの位置、ならびに動物に対して実施された調査の種類(PK/LM)を示す表である。17匹の動物のうちの9匹(動物66〜74)をPK調査のために使用し、8匹(動物75〜82)を組織学的評価のために使用した。
【0057】
PK調査のために使用する動物の両方の大腿動脈に被覆バルーンを挿入した。被覆バルーンを大腿動脈中で2回膨張させた。被覆バルーンを70秒間7ATMにて1回目の膨張を行い、その後、収縮させた。再度、被覆バルーンを60秒間7ATMにて2回目の膨張を行い、その後、収縮させて引き抜いた。
【0058】
事前に取り付けられたステント(3.0mm×12−14mm)、すなわち被覆バルーンに取り付けられたステントを、バルーンを30秒間膨張させることによる呼び圧力にて動物の左右の腸骨動脈に埋め込んだ。全ての事前に折り畳まれたステントに対するバルーンとステントの比率は、約1.4:1であった。ステントの配置に続いて、ステントの開存性を調査するために血管造影を実施した。
【0059】
ステント配置後の4時点、つまり、0.5時間後、1時間後、3時間後、および24時間後における血清分析のために、全血を動物の耳の中央から採取した。各時点における安楽死の後、後の測定のために、ステント周りの組織を切離、重量測定、および液体窒素中で瞬間凍結させた。コロラド大学デンバー校は、全血およびステントを取り囲む組織の薬物分析を実施した。4時点、つまり、0.5時間後、1時間後、3時間後、および24時間後におけるシロリムスの濃度は、それぞれ9.32ng/ml、7.08ng/ml、4.09ng/ml、および0.81ng/mlであることが分かった。
【0060】
1日目、8日目、および14日目の薬物動態調査において、シロリムスの最大血液濃度はカテーテル法の30分後に見られ(9.3ng/ml)、一方で、循環値は24時間までに著しく減少する(0.81ng/ml)ことが結論付けられた。組織薬物濃度については、1日目に最大濃度に到達し(140.4ng/mg)、8日目までに15.5ng/mg、および14日目までに5.5ng/mgまで顕著に減少することを示した。しかしながら、各時点における個々の薬物濃度は動脈間で変化を示し、2匹の動物(動物番号72および74)において、1日目の値は35.0〜275.0ng/mg、8日目の値は0.7ng/mg〜33.2ng/mg、および14日目の値は14.8ng/mgから定量限界値未満[BLQ]であった。それに対し、同様の時点におけるシロリムス溶出ステントを有するラビットの公開データでは、1日目および8日目それぞれにおいて、4.52ng/mgおよび1.56ng/mgの組織濃度に到達していた(Finn AV、Kolodgie FD Circulation 2005;112:270)。
【0061】
さらなる測定は、ステント周りの組織のスライドにおける組織学的調査を包含した。スライドを、顕微鏡システムによって較正されたNational Institute for Standard and Technology(IP Lab Software、メリーランド州)によって分析した。各スライドの断面積、すなわち、外弾性板(EEL)、内弾性板(IEL)、および内腔面積を測定した。新生内膜の厚さを、ステントストラットの内表面とステントの内腔境界との間の距離として測定した。血管層面積を以下の式を用いて計算した。
【0062】
中層面積=EEL−IEL
【0063】
新生内膜面積=IEL−内腔面積、および
【0064】
狭窄率=[1−(内腔面積/IEL)]100。
【0065】
全てのステントは広く拡張して血管壁に十分近接して配置されていることが分かった。全ての動物は調査のインライフフェーズ(in−life−phase)の間生存した。
【0066】
再内皮化は、サンプル群およびコントロール群において完了したことが分かった。狭窄率は、サンプル群において11.48(±1.30%)、およびコントロール群において11.49(±1.49%)であることが分かった。新生内膜の厚さは、試料群において0.030mm(±0.0076mm)、およびコントロール群において0.032(±0.0098mm)であることが分かった。
【0067】
また、組織内のシロリムスの濃度を1日目、8日目、および14日目において評価した。1日目、8日目、および14日目における組織内のシロリムスの濃度は、それぞれ、140.4ng/mg、15.5ng/mg、および5.5ng/mgであることが分かった。同様の時点におけるシロリムス溶出ステントに関するラビット調査の公開データ(Finn AV、Kolodgie FD Circulation 2005;112:270)と比べて、比較的高い組織内濃度が1回膨張させた被覆バルーンにおいて達成可能であることが結論付けられた。
【実施例3】
【0068】
約25〜30kgの体重の6匹のブラジルのブタ(以下「動物」)を、本調査のために選択した。ステントサイズが2.513mm〜3.013mmの範囲のベアメタルステント(Cronus(登録商標)、Scitech、ブラジルから入手)、およびサイズが約3.015mmの被覆バルーンを使用した。a)被覆バルーン(シロリムス)、b)被覆バルーン(パクリタキセル)、およびc)ベアバルーンを使用して、ステントを各動物の3つの血管、すなわちLAD(左前下行枝)、LCX(左回旋枝)、およびRCA(右冠動脈)に配置した。パクリタキセル被覆バルーンは、実施例1におけるシロリムスをパクリタキセルと置換し、残りの工程を同様に維持することで調製した。各被覆バルーンに対するバルーンと動脈の比率は、約1.1:1.0〜1.2:1.0であった。被覆バルーンおよびベアバルーンのそれぞれを60秒間膨張させた。シロリムス被覆バルーンを有する動物に「シロリムス」と表示し、パクリタキセル被覆バルーンを有する動物に「パクリタキセル」と表示し、かつベアバルーンを有する動物に「コントロール」と表示した。
【0069】
群、すなわち、シロリムス、パクリタキセル、およびコントロールの群を、それぞれ定性OCT分析のために調査した。調査される定性的パラメータは、a)ステント縁における組織増殖、b)腔内血栓形成、およびc)被覆されていないステントストラットを包含した。ステント縁における組織増殖は1つのコントロールおよび2つのパクリタキセルにおいて見られることが分かった。一方で、ステント縁における組織増殖はシロリムス群においては観察されなかった。さらに、腔内血栓形成は1つのコントロールおよび2つのパクリタキセルにおいて見られることが分かった。一方で、腔内血栓形成はシロリムス群においては観察されなかった。
【0070】
新生内膜成長および内皮化(endothelialization)の減少に関して、シロリムスはパクリタキセルおよびベアバルーンよりも良好に機能することが結論付けられた。組織によるステントストラットの被覆は全群に対して実質的に完了していた。パクリタキセル群において毒性が発見された。毒性はパクリタキセルのより高い組織内濃度に起因して、パクリタキセル群において発見された。しなしながら、使用されたパクリタキセルの投与量は、市販製品と比較して低かった。従って、被覆バルーンは高分子フリーの手法を使用してパクリタキセルまたはシロリムスの急速な移動を示した。
【0071】
定量的OCT分析を、各ステントに対して、6つの等距離ステント内組織片において実施した。従って、全部で108[すなわち6(動物)3(各動脈)6(組織片)]のステント内組織片(断面積)を分析した。定量的分析のパラメータは、a)内腔面積、b)ステント面積、c)新生内膜面積、およびd)新生内膜閉塞率を包含した。図4は、各群、すなわち、コントロール、シロリムス、およびパクリタキセルの群に対する、平均内腔面積、平均ステント面積、平均新生内膜面積、および平均新生内膜閉塞所見率における、平均および標準偏差の値の表を示している。図5は、各群に対する、中央内腔面積、中央ステント面積、中央新生内膜面積、および中央新生内膜閉塞所見率における、平均および標準偏差の値の表を示している。図6は、各群に対する、最小内腔面積、最小ステント面積、最小新生内膜面積、および最小新生内膜閉塞所見率における、平均および標準偏差の値の表を示している。図7は、各群に対する、最大内腔面積、最大ステント面積、最大新生内膜面積、および最大新生内膜閉塞所見率における、平均及び標準偏差の値の表を示している。927のステントストラットのデータセットのうち、たった1つのストラット(パクリタキセル)に組織による明らかな無被覆が見られることが結論付けられた。血栓の観察に基づいて、パクリタキセルの薬物投与量は、必要量よりも多かったであろうことが結論付けられた。パクリタキセルのより多い投与量およびそれに関する血栓効果は、パクリタキセルのより高い組織内薬物浸透に起因し得る。従って、被覆バルーンに被覆されるシロリムスまたはパクリタキセルの量は、現行のDEBsに搭載されるシロリムスまたはパクリタキセルの量よりも少ない。
【0072】
本発明の種々の実施形態は、薬物送達バルーンが標的部位に接触する短時間のうちに、薬物を血管中の標的部位へ効果的に送達することが可能である薬物送達バルーンを提供する。さらに、本発明は、薬物を病変部の最大領域に効果的に送達し、かつ薬物送達バルーンに搭載された最適量の薬物による強化された生物学的利用能をもたらすことが可能である薬物送達バルーンを提供する。
【0073】
本明細書において説明した上記の認識された利点およびその他の利点は単に例示されているだけで、本発明の種々の実施形態の全ての利点における完全な解釈を意図するものではないことを、当業者は理解するであろう。
【0074】
前述の明細書において、本発明の具体的な実施形態が開示されている。しかしながら、様々な修正および変更を以下の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく行い得ることを当業者は理解し得る。それ故、例えば、本明細書および図面は、限定を意味するというよりは、むしろ例示性を意味し、全てのこのような修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。利益、利点、問題の解決方法、およびあらゆる利益、利点、問題の解決方法をもたらし、またはより顕著なものにするいかなる構成要素も、全ての請求項または何れかの請求項において重要とされ、要求され、もしくは不可欠とされる機能または構成要素であると見なされるべきではない。本発明は、本出願の係属中に成されたあらゆる補正および全ての発行されたそれらの特許請求の範囲と同等のものを含む、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達医療機器であって、
バルーンカテーテル、および
前記バルーンカテーテルに取り付けられたインフレータブルバルーンを含み、
前記インフレータブルバルーンは親水性表面を有し、前記親水性表面の少なくとも1部分は複数のナノキャリアで被覆されており、前記複数のナノキャリアのナノキャリアは封入剤によって取り囲まれた薬物を含み、前記ナノキャリアの表面には薬物が存在せず、前記インフレータブルバルーンが身体内腔における標的部位に近接して膨張すると、30%〜80%の前記複数のナノキャリアが15−90秒以内に前記親水性表面から放出される薬物送達医療機器。
【請求項2】
請求項1の薬物送達医療機器であって、前記封入剤は、生物学的薬剤、リン脂質、および血液添加物の少なくとも1つを含む薬物送達医療機器。
【請求項3】
請求項1の薬物送達医療機器であって、前記インフレータブルバルーンは遠位端および近位端を有し、前記インフレータブルバルーンの前記遠位端の少なくとも1部分および前記インフレータブルバルーンの前記近位端の少なくとも1部分は、前記複数のナノキャリアで被覆されていない薬物送達医療機器。
【請求項4】
請求項2の薬物送達医療機器であって、前記生物学的薬剤および前記リン脂質は、前記標的部位に対する親和性、および前記薬物の安定化を含む群より選択される少なくとも1つの効果を有する薬物送達医療機器。
【請求項5】
請求項2の薬物送達医療機器であって、前記生物学的薬剤は、7.4未満のpHを有する媒体に溶解する薬物送達医療機器。
【請求項6】
請求項1の薬物送達医療機器であって、前記複数のナノキャリアは単一の平均直径を有し、前記単一の平均粒子直径は10nm〜1000nmの間の範囲である薬物送達医療機器。
【請求項7】
請求項1の薬物送達医療機器であって、前記複数のナノキャリアは、第1平均直径を有するナノキャリアの第1セット、および第2平均直径を有するナノキャリアの第2セットをさらに含み、前記第1平均直径は前記第2平均直径とは異なる薬物送達医療機器。
【請求項8】
請求項1の薬物送達医療機器であって、前記複数のナノキャリアの少なくとも1つのナノキャリアは、前記生物学的薬剤によって取り囲まれた薬物および少なくとも1つの高分子をさらに含む薬物送達医療機器。
【請求項9】
請求項8の薬物送達医療機器であって、前記少なくとも1つの高分子は、ポリ(l−ラクチド)、ラセミ体ポリラクチド、ポリ(l−ラクチド−co−グリコリド)、ラセミ体ポリ(l−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(l−ラクチド−co−カプロラクトン ポリ(d、l−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(l−ラクチド−co−トリメチレンカーボネイト)、およびポリ(d、l−ラクチド−co−トリメチレンカーボネイト)の少なくとも1つを含む群より選択され、前記少なくとも1つの高分子は、前記薬物および生物学的薬剤の少なくとも1つと共有結合し、前記親水性表面上に分布される前記薬物の濃度は、0.1μg/mm〜約8.0μg/mmの範囲である薬物送達医療機器。
【請求項10】
請求項2の薬物送達医療機器であって、前記少なくとも1つの生物学的薬剤は、薬物キャリア、添加物、血液成分、血液由来の添加物、リン脂質、固体脂質ナノ粒子、類脂質、ビタミン、および糖分子を含む群より選択される薬物送達医療機器。
【請求項11】
請求項2の薬物送達医療機器であって、前記生物学的薬剤は、ステロイド、ビタミン、エストラジオール、エステル型脂肪酸、非エステル型脂肪酸、グルコース、イノシトール、L−乳酸塩、リポタンパク質、炭水化物、リン酸三カルシウム、沈殿リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、ヒト、卵子、および大豆の少なくとも1つに由来する物質、Phospholipon(登録商標) 80H、phospholipon(登録商標) 90H、Lipoids S75、Lipoids E80、Intralipid(登録商標) 20、Lipoid EPC、Lipoids E75、卵子から得られる脂質、大豆から得られる脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、カルジオリピン、およびホスファチジルエタノールアミンを含む群より選択される薬物送達医療機器。
【請求項12】
請求項1の薬物送達医療機器であって、前記薬物は、抗増殖剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、抗血液凝固剤、抗フィブリン剤、抗血栓薬、抗有糸分裂薬、抗生物質、抗アレルギー薬、抗酸化剤、少なくとも1つのフラボノイド、エストロゲン、プロテアーゼ阻害剤、抗体、免疫抑制剤、細胞増殖抑制剤、細胞毒性薬、カルシウムチャネル遮断薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、栄養補助食品、ビタミン、抗血小板凝集剤、および遺伝子組み換え上皮細胞を含む群より選択され、前記少なくとも1つのフラボノイドは、ナリゲニン、ナリンギン、エリオジクチオール、ヘスペレチン、ヘスペリジン(エスペリジン)、ケンフェロール、ケルセチン、ルチン、シアニドール、メシアドノール(meciadonol)、カテキン、没食子酸エピガロカテキン、タキシフォリン(ジヒドロクエルセチン)、ゲニステイン、ゲニスチン、ダイゼイン、ビオカニン、グリシテイン、クリシン、ジオスミン、ルエトリン(luetolin)、アピゲニン、タンゲリチン、およびノビレチンの少なくとも1つを含む群より選択される薬物送達医療機器。
【請求項13】
請求項1の薬物送達医療機器であって、前記薬物は、シロリムス、パクリタキセル、タクロリムス、クロベタゾール、デキサメタゾン、ゲニステイン、ヘパリン、β−エストラジオール、ラパマイシン、エベロリムス、エチルラパマイシン、ゾタロリムス、ABT−578、バイオリムスA9、ドセタキセル、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン、マイトマイシン、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリン類似物質、ヒルジン、アルガトロバン、ホルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa、組換体ヒルジン、ビバリルジン、ニフェジピン、コルヒチン、ロバスタチン、ニトロプルシド、スラミン、セロトニン阻害薬、ステロイド、チオールプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン、一酸化窒素、一酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣剤、エストラジオール、アスピリン、アンギオペプチン、カプトプリル、シラザプリル、リシノプリル、ペミロラストカリウム、α−インターフェロン、および生物活性RGDを含む群より選択される薬物送達医療機器。
【請求項14】
請求項1の薬物送達医療機器であって、前記薬物は、シロリムスおよびパクリタキセルを含む群より選択される薬物送達医療機器。
【請求項15】
請求項1の薬物送達医療機器であって、前記身体内腔は血管を含み、該血管は、冠動脈、末梢動脈、頸動脈、腎動脈、腸骨動脈、膝下の動脈、および静脈の1つである薬物送達医療機器。
【請求項16】
請求項1の薬物送達医療機器であって、該薬物送達医療機器は、医学的状態を治療するために使用され、該医学的状態は、狭窄、再狭窄、動脈閉塞、動脈内血栓、急性心筋梗塞、および動脈病変を含む群より選択される薬物送達医療機器。
【請求項17】
身体内腔と関連する医学的状態を治療するために、薬物を標的部位へ送達する薬物送達医療機器を作成するための方法であって、前記方法は、
薬物の少なくとも1つのナノ粒子を封入剤のナノ粒子でカプセル化して複数のナノキャリアを得る段階、および、前記封入剤は、生物学的薬剤、リン脂質、および血液添加物の少なくとも1つを含み、
医療機器の親水性表面を前記複数のナノキャリアで被覆する段階を含み、
30%〜80%の前記複数のナノキャリアは、前記医療機器が前記標的部位に接近して拡張すると、15〜90秒以内に前記表面から放出される方法。
【請求項18】
請求項17の方法であって、前記医療機器はインフレータブルバルーンであり、前記被覆する段階は、前記インフレータブルバルーンが折り畳まれた形状、折り畳まれていない形状、および部分的に折り畳まれていない形状の少なくとも1つにあるときに実施される方法。
【請求項19】
身体内腔と関連する医学的状態を治療するために、身体内腔における標的部位に薬物を送達する方法であって、該方法は、
薬物送達医療機器を前記標的部位に位置させる段階、
前記インフレータブルバルーンを前記標的部位と接触させるために膨張させる段階、および、
前記薬物送達医療機器はバルーンカテーテルに取り付けられたインフレータブルバルーンを含み、該インフレータブルバルーンは親水性表面を有し、該親水性表面の少なくとも1部分は複数のナノキャリアで被覆されており、該複数のナノキャリアのナノキャリアは封入剤によって取り囲まれた前記薬物を含み、
30%〜80%の前記複数のナノキャリアは前記標的部位と接触してから15〜90秒以内に放出される段階を含む方法。
【請求項20】
請求項19の方法であって、前記インフレータブルバルーンは前記標的部位に接触するために繰り返し膨張される方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2012−528660(P2012−528660A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513739(P2012−513739)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000349
【国際公開番号】WO2010/140163
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511290721)コンセプト メディカル インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】