説明

快適性が増したポリウレタン製品の発泡に使用される樹脂組成物

親水性ポリオール(A)と、末端エチレンオキシドキャップを有する疎水性ポリオール(B)の特徴的な組み合わせが、樹脂組成物及びポリウレタン系に使用され、及びポリウレタン製品、例えばポリウレタンフォームを形成するために使用される。親水性ポリオール(A)は、エチレンオキシド(EO)がリッチであり、そして疎水性ポリオール(B)は、プロピレンオキシド(PO)がリッチである。親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)は、樹脂組成物中、及びポリウレタン系中に質量割合(A:B)が、1.5:1〜20:1で存在する。ポリウレタン製品は、乗り物への適用、例えば、自動車及びオートバイシートに使用するのに卓越した快適性を示し、この快適性は、従来のポリウレタン製品と比較して、共振周波数とピーク透過率が低減されていることに起因する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して樹脂組成物に関し、及び樹脂組成物を含むポリウレタン系に関し、そしてより特定的には、乗り物に使用するための、(ポリウレタン製品の製造用の樹脂組成物によって)快適性が増したポリウレタン製品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車及びオートバイの座席等の乗り物の座席(シート)の「快適性」の改良は、ここ数年にわたり興味を集めいている。シートメーカー及びOMSからの性能改良の全体的な要求により、シートデザインの多くの局面について再検討する必要が生じた。このような局面には、ポリウレタンフォーム等のポリウレタン製品から形成されるクッションを使用するシートも含まれる。ある場合では、このような必要性は、クッションの厚みを減少させ、空間部分を広げると共に質量を低減し、更に、当初のシートと同じ性能を有するものにするという要望に由来した。これについて、快適性には正確な定義は存在しないが、「不快でない」とする代わりに「快適性」という用語がしばしば使用されている。車体の割合及び搭乗者の質量及び各人の嗜好が、この認識に影響する。このことは、快適性の定量化を主観的で困難なものにする。
【0003】
自動車シートクッションに関し、Japanese Automobile Standards Organization(JASO)B−407は、振動伝達率特性(vibration transmissibility)の基準値を規定している。快適な感覚を得るために、走行中の振動の間、例えばハイウェイをオートバイで走行している間、搭乗者が不快であると感じる振動数の範囲で振動を大きく抑制することが効果的である。シートに関して不快であると感じる他の要因には、(不適切な支持及び/又はシートが硬いと感じることに加え、)搭乗者とシートの間の接触面において、高い圧力がかかる個所が含まれる。施された負荷で、シート中のポリウレタンフォームが時間と共にクリープする傾向も、シートの圧力分布と振動透過率に影響を及ぼす。クリープは、所定時間(代表例では、3時間以下)における一定の負荷状態及び振動状態での、クッションの厚さの可逆的な減少として定義される。
【0004】
シートの振動性能は、ポリウレタンフォームから形成されたクッション等のシートの成分の共振周波数とピーク透過率を調整することによって改良することができる。通常、共振周波数とピーク透過率の値は低いことが好ましく、この理由は、これにより、搭乗者への振動伝達が全体的に少なくなり、そして周波数(振動数)の広範囲にわたる振動を絶縁することができるからである。上述のように、クリープ等の、所定時間におけるポリウレタンフォームの特性の変化は、快適性に不利な影響を与える。この理由は、自動車シートが硬く感じられ、そして自動車の共振周波数が増すからである。疲労は、一定又は周期的な負荷に起因する負可逆的な変化であり、圧縮装置又は打撃試験(pounding test)を使用して測定される。シートは、消費者の快適性とロイヤルティーを維持するため、長年にわたり保持される必要があり、疲労特性は、重要な役割を担う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートのクッションとして、種々のポリウレタンフォームが、長年にわたり開発されてきた。しかしながら、これらのポリウレタンは、高価な原材料を使用する、使用する成分の数が多い、有害な成分を使用する、加工(処理)や成形が困難である、望ましくない快適特性(例えば、共振特性が高い、ピーク透過率が高い)、及びクリープと疲労に問題を有する、等の不適切な問題を有するものである。
【0006】
従って、シートクッション用ポリウレタンフォーム等、ポリウレタン製品(これらはピーク振動透過率が低減され、及び共振周波数が低減され、快適性と性能特性が改良されたものである)の形成に使用するための樹脂組成物を提供する機会が残っている。更に、上述した未解決の問題(不適切性)を解消する樹脂組成物、ポリウレタン系、及びポリウレタン製品を提供する機会が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要約及び長所
本発明は、ポリウレタン製品を形成するために使用される樹脂組成物を提供する。この樹脂組成物は、アルキレンオキシドを含む親水性ポリオール(A)であって、見かけの官能値が少なくとも2であり、ヒドロキシル価が、20〜200mg KOH/gであり、及び上記アルキレンオキシド100質量部に対して、エチレンオキシドが、少なくとも50質量部である、親水性ポリオール(A)を含む。この樹脂組成物は、更に、アルキレンオキシドを含む疎水性ポリオール(B)であって、末端エチレンオキシドキャップを有し、見かけの官能値が少なくとも2であり、ヒドロキシル価が、20〜100mg KOH/gであり、及び上記アルキレンオキシド100質量部に対して、プロピレンオキシドが、少なくとも60質量部である疎水性ポリオール(B)を含む。親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)は、1.5:1〜20:1の質量割合(A:B)で存在する。本発明は、更に、親水性ポリオール(A)、疎水性ポリオール(B)及びイソシアネート成分(C)を含むポリウレタン系を提供する。
【0008】
本発明は、樹脂組成物及びポリウレタン系に使用され、及びポリウレタン製品に使用される親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)の特徴的な組合せを提供する。ポリウレタン製品は、乗り物に使用した場合、ポリウレタン製品を形成する樹脂組成物に起因して、優れた快適性を示す。このポリウレタン製品は、従来のポリウレタン製品と比較して、共振周波数が低く、そしてピーク振動透過率(peak vibration transmissivity)が低い。クリープ、ヒステリシス及び疲労等の他の特性についても卓越している。
【0009】
以下に、図面を使用して本発明を詳細に説明する。これにより、本発明の他の長所も明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】振動透過率と周波数の関係を示した線グラフであり、比較実施例1と本発明の実施例6について示した図である。
【図2】偏位(deflection)の百分率の経時変化を示した線グラフであり、比較実施例1と本発明の実施例6について示した図である。
【図3】ダイナミッククリープ、具体的にはDMA(dynamic storage modulus)の経時変化を示した線グラフであり、比較実施例1と本発明の実施例6について示した図である。
【図4】振動透過率(vibration transmissity)と周波数の関係を示した線グラフであり、比較実施例3と本発明の実施例10について示した図である。
【図5】ダイナミッククリープの経時変化、具体的には厚さの経時変化を示した線グラフであり、比較実施例3と本発明の実施例10について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は、ポリウレタン製品の形成に使用するための樹脂組成物を提供する。樹脂組成物は、親水性ポリオール(A)を含む。代表例では、親水性ポリオール(A)は、見かけの官能値(nominalfunctionality)が少なくとも2であり、より典型的には2〜6、そして最も典型的な場合には、2〜4である。「見かけの官能値」という用語は、官能値が、製造後のポリオールの実際の官能値ではなく、開始剤分子の官能値に基づくことを意味している。代表例では、親水性ポリオール(A)は、ヒドロキシル価が、20〜200mg KOH/gであり、及びより典型的には20〜100mg KOH/g、及び最も典型的には、25〜55mg KOH/gである。一実施の形態では、親水性ポリオール(A)は、ヒドロキシル価が、約44〜約47mg KOH/gである。
【0012】
親水性ポリオール(A)は、アルキレンオキシドを含む。親水性ポリオール(A)は、アルキレンオキシド100質量部に対して、典型的には少なくとも50質量部、より典型的には少なくとも70質量部のエチレンオキシドを含む。従って、親水性ポリオール(A)は、エチレンオキシドがリッチなポリオールであり、これにより親水性ポリオール(A)に親水性が付与される。一実施の形態では、親水性ポリオール(A)は、1種以上のアルキレンオキシド、例えば、オキシアルキレンモノマー、例えばエチレンオキシド(EO)モノマー、プロピレンオキシド(PO)モノマー、ブチレンオキシド(BO)モノマー等の反応から形成される。しかしながら、本発明は、親水性ポリオール(A)を製造する方法を限定するものではない。
【0013】
一実施の形態では、親水性ポリオール(A)のアルキレンオキシドは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物を含む。他の実施の形態では、親水性ポリオール(A)のアルキレンオキシドは、エチレンオキシドのみを含む。更なる実施の形態では、親水性ポリオール(A)は、アルキレンオキシド100質量部に対して、エチレンオキシドを約75質量部、及びプロピレンオキシドを約25質量部含む。ある実施の形態(及び上記に示唆したように)では、親水性ポリオール(A)は、この技術分野では公知のタイプのアルキレオキシド、例えば、ブチレンオキシドを、エチレンオキシドと組み合せ、及び適宜プロピレンオキシドと組み合せて含む。
【0014】
親水性ポリオール(A)のアルキレンオキシドは、種々の状態(形態)、例えばランダム(ヘテロ性)形態、ブロック形態、キャップ形態、又はこれらの組み合わせで配列されて良い。一実施の形態では、親水性ポリオール(A)は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのヘテロ性混合物(heteric mixture)を含む。ある実施の形態では、親水性ポリオール(A)は、末端部がキャップ、例えば、エチレンオキシドキャップ、プロピレンオキシドキャップ、又はブチレンオキシドキャプでキャップされる。親水性ポリオール(A)について、末端部がキャップされる場合、親水性ポリオール(A)は、親水性ポリオール(A)100質量部に対して、典型的には約5〜25、より典型的には約5〜約20、及び最も典型的には約10〜約15質量部の末端部キャップ、例えばエチレンオキシドキャップを有する。
【0015】
本発明の目的に適切な親水性ポリオール(A)は、グリセリン−開始、トリメチロールプロパン−開始、及びスクロース−開始のポリエーテルポリオール、及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。一実施の形態では、親水性ポリオール(A)は、グリセリン−開始のポリエーテルポリオールである。親水性ポリオール(A)のアルキレンオキシドは、通常、親水性ポリオール(A)のそれぞれの開始剤部分から伸び、そして適宜(所望より)、上述のように末端部がキャップされる。適切な親水性ポリオール(A)の特定の例は、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されているPLURACOL(登録商標)593である。一実施の形態では、親水性ポリオール(A)は、数平均分子量が3150〜4150の範囲である。親水性ポリオール(A)は、上述した親水性ポリオールの2種以上の組合せを含んでも良いと理解される。例えば、親水性ポリオール(A)は、見かけの官能値が2の第1の親水性ポリオールと見かけの官能値が3の第2の親水性ポリオールを含むことができる。
【0016】
本樹脂組成物は、更に、末端部エチレンオキシドキャップを有する疎水性ポリオール(B)を含む。疎水性ポリオール(B)は、代表例では、見かけの官能値が少なくとも2であり、より典型的には、2〜6、及び最も典型的には2〜4である。疎水性ポリオール(B)は、代表例では、ヒドロキシル価が、20〜100mg KOH/gであり、より典型的には20〜80mg KOH/g、及び最も典型的には20〜60mg KOH/gである。一実施の形態では、疎水性ポリオール(B)は、ヒドロキシル価が、約23〜約26mg KOH/gである。他の実施の形態では、疎水性ポリオール(B)は、ヒドロキシル価が、約34〜約36mg KOH/gである。
【0017】
疎水性ポリオール(B)は、アルキレンオキシドを含む。疎水性ポリオール(B)は、アルキレンオキシド100質量部に対して、代表例では、少なくとも60質量部のプロピレンオキシドを含み、より典型的には、少なくとも89質量部のプロピレンオキシドを含む。従って、疎水性ポリオール(B)は、プロピレンがリッチなポリオールであり、これにより、疎水性ポリオール(B)に疎水性が与えられる。一実施の形態では、疎水性ポリオール(B)は一種以上のアルキレンオキシドの反応から形成される。本発明は、疎水性ポリオール(B)の製造方法によって限定されるものではない。
【0018】
一実施の形態では、疎水性ポリオール(B)のアルキレンオキシドは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物を含む。他の実施の形態では、疎水性ポリオール(B)のアルキレンオキシドは、ロピレンオキシドのみを含む。ある実施の形態では、疎水性ポリオール(B)は、他の種類の、それ自体公知のアルキレンオキシド、例えばブチレンオキシドを、プロピレンオキシドと組み合わせて、及び適宜エチレンオキシドと組み合わせて含む。疎水性ポリオール(B)のアルキレンオキシドは、種々の状態(形態)、例えばランダム(ヘテロ性)形態、ブロック形態、キャップ形態、又はこれらの組み合わせで配列されて良い。一実施の形態では、疎水性ポリオール(B)は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのヘテロ性混合物を含む。
【0019】
上述のように、疎水性ポリオール(B)は、エチレンオキシドで末端部がキャップされている。疎水性ポリオール(B)は、疎水性ポリオール(B)100質量部に対して、典型的には約5〜25質量%エチレンオキシドの末端部キャップ、より典型的には約5〜約20、及び最も典型的には約10〜約15質量部の末端部キャップを有する。一実施の形態では、疎水性ポリオール(B)は、疎水性ポリオール(B)100質量部に対して、約13質量部のエヒレンオキシドキャップを有する。ある実施の形態では、末端エチレンオキシドキャップには、エチレンオキシドだけが存在していて良い。しかし、他の実施の形態では、エチレンオキシドは、プロピレンオキシドと一緒に、及び適宜、他のアルキレンオキシド、例えばブチレンオキシドと一緒に(疎水性ポリオール(B)のアルキレンオキシド中に)存在していて良い。
【0020】
本発明の目的のための、適切な疎水性ポリオール(B)は、グリセリン−開始、トリメチロールプロパン−開始、及びスクロース−開始のポリエーテルポリオール、及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。一実施の形態では、疎水性ポリオール(B)は、グリセリン−開始のポリエーテルポリオールである。疎水性ポリオール(B)のアルキレンオキシドは、通常、疎水性ポリオール(B)のそれぞれの開始剤部分から伸びる。他の実施の形態では、親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)の両方が、グリセリン−開始のポリエーテルポリオールである。適切な疎水性ポリオール(B)の特定の例は、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されているPLURACOL(登録商標)538及びPLURACOL(登録商標)2097である。一実施の形態では、疎水性ポリオール(B)は、数平均分子量が4300〜5300の範囲である。疎水性ポリオール(B)は、上述した疎水性ポリオールの2種以上の組合せを含んでも良いと理解される。例えば、疎水性ポリオール(B)は、見かけの官能値が2の第1の疎水性ポリオールと見かけの官能値が3の第2の疎水性ポリオールを含むことができる。
【0021】
ある実施の形態では、樹脂組成物は、更に充填剤成分を含む。充填剤成分は、代表例では、スチレン、アクリロニトリル、アクリル及びメタクリル酸のエステル、エチレン不飽和ニトリル、アミン、及びこれらの組合せから成る群から選ばれる、モノマーの反応生成物を含む。一実施の形態では、充填剤成分は、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)であり、これは、スチレンモノマーとアクリロニトリルモノマーの反応生成物である。他の実施の形態では、充填剤は、ウレアであり、これは、アミンモノマーとイソシアネート(NCO)基(例えばジイソシアネートのNCO基)の反応生成物である。樹脂組成物に使用した場合、充填剤成分は、樹脂組成物に加えられる、及び/又は親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)の少なくとも一方(1種)に含められる独特の成分であって良い。これについては更に後述する。
【0022】
ある実施の形態では、親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)の少なくとも1種が、充填剤成分を含む。これらの実施の形態では、親水性ポリオール(A)及び/又は疎水性ポリオール(B)は、ポリマーポリオールとして分類される。ポリマーポリオールは、グラフトポリオール、グラフト分散ポリオール、PHD(polyharnstoff dispersion)ポリオール、PIPA(ポリイソシアネート重付加)ポリオール、及びこれらの組合せから成る群から選ぶことができる。グラフト及びグラフト分散ポリオールは、この技術分野の当業者にとって公知であり、そして現場重合(in-situ polymerization)、すなわち、1種以上のビニルモノマー、例えばスチレンモノマー及び/又はアクリロニトリルモノマーのポリオール(例えばポリエーテルポリオール)中での反応によって得られる生成物を含む。一実施の形態では、疎水性ポリオール(B)は、スチレン-アクリロニトリルグラフチポリオールである。適切なグラフトポリオールの特定の例は、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されているPLURACOL(登録商標)1365、PLURACOL(登録商標)4600、PLURACOL(登録商標)4800、PLURACOL(登録商標)4815、及びPLURACOL(登録商標)4830を含む。PHDポリオールは、代表例では、ジイソシアネートとジアミンをポリオール中で現場重し、ポリウレア粒子の適切な分散物を得ることにより形成される。PIPAポリオールはPHDポリオールに類似するが、分散物は、典型的には、ジイソシアネートと(ジアミンの代わりに)アルカノールアミン(alkanoamone) と現場重合させ、ポリオール中ポリウレタン分散物を得ることにより形成されることで異なる。ある実施の形態では、疎水性ポリオール(B)は、充填剤を、(疎水性ポリオール(B)と充填剤を合わせて100質量部として、)約5〜約50質量部、より典型的には、約15〜約40質量部、及び最も典型的には約20〜約35質量部部含む。他の実施の形態では、親水性ポリオール(A)は、充填剤を上述した量で含む。ある実施の形態では、親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)の両方が充填剤成分を含む。ここで、本発明は、ポリマーポリオールを製造する如何なる方法にも限定されるものではない。
【0023】
親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)は、樹脂組成物中に、質量割合(A:B)が、1.5:1〜20:1の範囲で存在し、より典型的には、1.5:1〜10:1の範囲、及び最も典型的には、1.5:1〜6:1の範囲で存在する。充填剤成分が親水性ポリオール(A)及び/又は疎水性ポリオール(B)と一緒に含まれる場合、それぞれのポリマーポリオールは、充填剤成分及びキャリヤーポリオール部分を含む。本発明の目的のために、上述した質量割合(A:B)は、キャリヤーポリオールの質量部に適用され、充填剤成分(充填剤が含まれる場合)に起因する質量部には適用されない。この概念は、以下の式で表される。
質量割合(A:B)=(A−X):(B−X
ここで、Aは、親水性ポリオール(A)のキャリヤーポリオール部分と充填剤成分を合わせた質量部であり、Xは、親水性ポリオール(A)中に存在する充填剤成分の質量部のみである。Bは、疎水性ポリオール(B)のキャリヤーポリオール部分と充填剤成分を合わせた質量部であり、Xは、疎水性ポリオール(B)中に存在する充填剤成分の質量部のみである。例えば、親水性ポリオール(A)が、充填剤成分を含まず、及び60質量部の量で樹脂組成物中に含まれる場合、A=60及びX=0である。更に、疎水性ポリオール(B)が、40質量部の量で樹脂組成物中に含まれ,そして疎水性ポリオール(B)が、疎水性ポリオール(B)100質量部に対して、充填剤成分を25質量部とキャリヤーポリオール部分を75質量部含む場合、B=40及びX=10である。従って、充填剤成分に起因する質量部を除外して、親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)は、樹脂組成物中に、質量割合(A:B)が2:1で存在する。質量割合(A:B)は、樹脂組成物中に存在するエチレンオキシドとプロピレンオキシドの合計量(これは、樹脂組成物に親水性/疎水性の最終的な特性を与える。)を制御するのに重要である。全体的には、樹脂組成物は、親水性であると考えられ、この理由は、疎水性ポリオール(B)に対して親水性ポリオール(A)が過剰に存在するからである。
【0024】
樹脂組成物は、更に添加剤成分を含んでも良い。使用する場合、添加剤は、代表例では、界面活性剤、触媒、充填剤、難燃剤、水、可塑剤、安定剤、架橋剤、鎖延長剤、chain−terminating agent、脱気剤、湿潤剤、表面改質剤、ワックス、フォーム安定剤、湿分除去剤、デシカント、粘性低減剤、気泡径低減化合物、セルオープナー、補強剤、染料、顔料、着色剤、離型剤、抗酸化剤、相性剤、紫外線安定剤、チキソトロピックエージェント、老化防止剤、潤滑剤、結合剤、溶媒、レオロジープロモーター、粘着促進剤、増粘剤、防煙剤、静電防止剤、抗菌剤、及びこれらの組合わせから成る群から選ばれる。
【0025】
適切な触媒の特定の例は、Air Products and Chemicals of Allentown,PAから市販されているPOLYCAT(登録商標)77、DABCO(登録商標)33LV、DABCO(登録商標)BL−7、DABCO(登録商標)8800、及びCrompton OSi Specialties of Greenwich,CTから市販されているNAAX(登録商標)A−1を含む。界面活性剤の特定の例は、Dow Corning Corporation of Midland,MIから市販されている、DC−198、DC−5043及びDC−5164、Air Products and Chemicals of Allentown,PAから市販されているDABCO(登録商標)DC−5164、及びDegussa Goldschmidt Chemical Corporation of Hopewell,VAから市販されているTEGOSTAB(登録商標)B4113を含む。添加剤成分は、上述した添加剤の如何なる組み合わせをも含むと理解される。
【0026】
樹脂組成物は、更に、親水性ポリオール(A)、疎水性ポリオール(B)及び適宜(含む場合には、)、充填剤成分及び/又は添加剤成分の他に、追加のポリオールを含んでも良い。追加のポリオールは、ポリウレタンの技術分野では公知の如何なるポリオールであっても良く、又は2種以上のポリオールの組み合わせであっても良い(例えば、ジオール、トリオール又はこれらの組み合わせ)。適切な追加のポリオールの特定の例は、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている、見かけの官能値が4、ヒドロキシル価が約360〜約375mg KOH/gのスクロース/グリセリン開始ポリオールである。
【0027】
親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)は、上述した種々の量で、樹脂組成物中に存在して良い。充填剤成分、添加剤成分、及び追加的なポリオールの少なくとも1種が使用された場合、親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)は合わせて、樹脂組成物100質量部に対して、樹脂組成物中に、代表例では、約70〜約97質量部、より典型的には、約80〜約90質量部、及び最も典型的には、約80〜約85質量部、存在する。従って、樹脂組成物中に使用した場合、充填剤成分、添加剤成分、及び/又は追加的なポリオールは、樹脂組成物の残りの100質量部中、樹脂組成物100質量部に対して、例えば約3〜30質量部存在する。ある実施の形態では、充填剤成分は、樹脂組成物中、樹脂組成物100質量部に対して、約0.1〜約30質量部存在する。他の実施の形態では、添加剤成分は、樹脂組成物中、樹脂組成物100質量部に対して、約0.1〜約15質量部存在する。更にある実施の形態では、追加的なポリオールは、樹脂組成物中、樹脂組成物100質量部に対して、約0.1〜約15質量部存在する。ここで、充填剤成分、添加剤成分、及び追加的なポリオールは、任意の成分であり、従って、親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)は、樹脂組成物中に、合わせて、(樹脂組成物の)100質量部存在しても良い。
【0028】
本発明は、更に、ポリウレタン製品の形成に使用するためのポリウレタン系を提供する。ポリウレタン系は、親水性ポリオール(A)、疎水性ポリオール(B)及びイソシアネート成分(C)を含む。ポリウレタン系は、更に、樹脂組成物について上述したように、充填剤成分、添加剤成分、及び追加的なポリオールの少なくとも1種を含んでも良い。親水性ポリオール(A)及び疎水性ポリオール(B)は、ポリウレタン系中に、質量割合(A:B)が1.5:1〜20:1.より典型的には、1.5:1〜10:1、及び最も典型的には、1.5:1〜6:1で存在する。全体的には、ポリウレタン系は、親水性であると考えられ、この理由は、疎水性ポリオール(B)に対して親水性ポリオール(A)が過剰に存在するからである。上述のように、充填剤成分を親水性ポリオール(A)及び/又は疎水性ポリオール(B)と一緒に含める場合には、質量割合(A:B)は、充填剤成分に起因する質量には適用されない。
【0029】
ポリウレタン系は、種々の手段、例えば、大きなドラム及びコンテナ、又は小さなキット(箱)や包みで、消費者に提供されて良い。例えば、あるキットは、樹脂組成物を含むことができ、そして他のキットは、イソシアネート成分(C)を含むことができる。親水性ポリオール(A)及び疎水性ポリオール(B)は(既に)組み合わせて樹脂組成物を形成していても良く、又形成していなくても良い。すなわち、ポリウレタン系は、2種、3種、又はそれ以上の種類の明確な成分、例えば、それぞれが明確な成分を含む個々のキットを含んでも良い。
【0030】
ある実施の形態では、イソシアネート成分(C)は、有機ポリイソシアネートである。適切な有機ポリイソシアネートは、通常の脂肪族、脂環式、脂肪族及び芳香族イソシアネートを含むが、本発明は、これらに限定されない。一実施の形態では、イソシアネート成分(C)は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI類)、ポリマー性ジフェニルメタンジイソシアネート(pMDI類)、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれる。本発明の目的のための、他の適切なイソシアネートの例は、トルエンジイソシアネート(TDI類)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI類)、イソホロンジイソシアネート(IPDI類)、及びこれらの組み合わせを含む。適切なイソシアネート成分(C)の特定の例は、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されているLUPRANATE(登録商標)M、LUPRANATE(登録商標)ME、LUPRANATE(登録商標)MI、及びLUPRANATE(登録商標)M20Sを含む。
【0031】
他の実施の形態では、イソシアネート成分(C)は、イソシアネート−終末(terminated)プレポリマーである。イソシアネート−終末プレポリマーは、イソシアネートとイソシアネート反応性成分との反応生成物である。イソシアネートは、この技術分野の当業者にとって公知の如何なるタイプのイソシアネートであっても良く、例えば、上述した有機ポリイソシアネートであって良い。イソシアネート反応性成分は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリチリトール、及びソルビトールの少なくとも1種から選ばれるポリオールであっても良い。このイソシアネート反応性成分は、エチレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン及びポリエチレンポリフェニレンポリアミン、及びアミノアルコールから選ばれるポリアミンであっても良いが、本発明は、これらに限定されない。適切なアミノアルコールの例は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びこれらの組み合わせを含む。一実施の形態では、イソシアネート反応性の成分は、数平均分子量が1000を超え、及びイソシアネート成分(C)100質量部に対して1〜20質量部存在するポリオールである。イソシアネート成分(C)は、上述したイソシアネート及びイソシアネート−終末プレポリマーの如何なる組み合わせをも含んで良いと理解される。更に、本発明は、イソシアネート(C)の如何なる特定の製造方法によっても限定されない。
【0032】
本発明は、更に、ポリウレタン製品を提供する。ポリウレタン製品は、ポリウレタン系すなわち、発泡剤成分(D)の存在下での親水性ポリオール(A)、疎水性ポリオール(B)及びイソシアネート成分(C)の反応性生物を含む。ポリウレタン製品は、更に、追加的なポリオールを更に含んでよく、及び/又は(樹脂組成物の分散物について上述したように、)少なくとも1種の充填剤及び添加剤を含んでも良い。
【0033】
親水性ポリオール(A)及び疎水性ポリオール(B)は、ポリウレタン製品を製造するポリウレタン系の反応の前に、質量割合(A:B)が、1.5:1〜20:1で存在し、より典型的には、1.5:1〜10:1、及び最も典型的には、1.5:1〜6:1で存在する。従って、ポリウレタン製品は、親水性ポリウレタンフォームである。更に、ポリウレタン製品は、典型的には、粘性と弾性を併せ持つポリウレタンフォームとして分類される。上述したように、(充填剤成分が、ポリウレタン製品を製造する反応の前の親水性ポリオール(A)及び/又は疎水性ポリオール(B)と一緒に含まれる場合には、)質量割合(A:B)は、充填剤成分に起因する如何なる質量部にも適用されない。
【0034】
ポリウレタン製品の技術分野では公知のように、イソシアネートインデックスは、イソシアネート成分(C)中のNCOの、親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)を合わせた中のOH基の割合である。イソシアネート成分(C)、親水性ポリオール(A)、及び疎水性ポリオール(B)及び適宜(任意に)追加的なポリオールは、イソシアネートインデックスが、典型的には約90〜約120の範囲、より典型的には約95〜約115の範囲、及び最も典型的には約100〜約115の範囲になる量で反応してポリウレタン製品を作る。イソシアネートインデックスは、ポリウレタン製品(polyurethane article)の硬度を変えるために調整することができる。例えば、ポリウレタン製品を硬くするために、イソシアネートインデックスは、110から115に増すことができる。ポリウレタン製品中に、充填剤成分、例えばSANが存在する場合、ポリウレタン製品の硬度も増すことができ、及びポリウレタン製品の引裂強度も増すことができる。ポリウレタン技術の当業者は、ポリウレタン製品を製造する反応の前に存在するイソシアネート成分(C)の量は、ポリウレタン製品を製造する反応の前に存在する親水性ポリオール(A)及び疎水性ポリオール(B)及び適宜追加的なポリオールと組み合わせたイソシアネートインデックスによって決定され得ることを理解している。
【0035】
発泡剤成分(D)は、この技術分野では公知の如何なる発泡剤であっても良い。例えば、発泡剤成分(D)は、化学的発泡剤、物理的発泡剤、及びこれらの組み合わせから選択されて良い。一実施の形態では、発泡剤(D)は、化学的発泡剤である。この技術分野の当業者にとっては公知のように、化学的発泡剤は、ポリウレタン製品を製造するために使用される1種以上の成分、例えばイソシアネート成分(C)と反応してガス、例えば二酸化炭素を生成し、このガスが、発泡(フォーミング)の間、ポリウレタン製品を物理的に発泡させる。発泡剤成分(D)として使用される場合、化学的発泡剤は、代表例では水であり、水は、イソシアネート成分(C)と反応して二酸化炭素ガスを生成する。他の実施の形態では、発泡剤成分(D)は、物理的発泡剤である。ここで、使用される場合、物理的発泡剤は、発泡工程の間、その最初の化学的構造を保持する発泡剤である。すなわち、物理的発泡剤は、ポリウレタン製品を製造するのに使用される如何なる成分とも反応しない。発泡剤成分(D)として使用された場合、物理的発泡剤は、代表例では、ヒドロフルオロカーボン(HFC)で、これは、難燃焼性で、オゾン減少性が零である。本発明の目的のための適切な物理的発泡剤の例は、HFC−134a、HFC−152a、HFC−245fa、HFC−365mfc、HFC−22及びこれらの組み合わせである。
【0036】
発泡剤の一部又は全てが本発明のある成分に事前に存在しても良いと理解される。例えば、樹脂組成物は、添加剤成分として、発泡剤成分(D)として作用する水を含んでも良い。ある実施の形態では、発泡剤成分(D)は水であり、そしてポリウレタン製品を製造する反応の前の親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)を合わせて100質量部として、0.5〜5質量部の量で含まれる。
【0037】
本発明のポリウレタン製品は、種々の用途に使用することができ、そして特に座席に使用するのに適切である。例えば、ポリウレタン製品は、シートクッション型内で成型してシートクッション、例えば、自動車シートクッション、トラックシートクッション、大型トラックシートクッション、オートバイシートクッション、自転車シートクッション、トラクターシートクッション、ATVシートクッション、ボートシートクッション、ジェットスキーシートクッション、スノーモービルシートクッション等を形成することができる。シートクッション型は、成形と発泡の技術分野では公知の如何なるシートクッション型、例えば、閉鎖タイプ又は開放タイプ型を使用しても良い。使用した場合、シートクッション型は、代表例では加熱され、ポリウレタン製品の硬化が促進される。ポリウレタン製品を硬化させるための適切な温度は、代表例では、38℃(100°F)から54℃(130°F)の範囲である;しかし、この範囲よりも低い温度(例えば室温)又は高い温度も使用して良いと理解される。換言すれば、シートクッション型は、加熱しなくても良い。
【0038】
一実施の形態では、ポリウレタン製品は、ポリウレタン製品と接触する外部層を組み合わされており、これにより通常、本発明のポリウレタン製品から形成されるシートクッションで、より薄く及び/又は柔らかいシートクッションが使用可能になる。使用する場合、代表例では、外部層は、エラストマー層であり、これは典型的には、噴霧(スプレー)可能なエラストマー組成物の反応生成物を含む。本発明のための適切なポリウレタンエラストマー組成物は、UD特許出願No.6,432,543(Harrisonら)、6,649,107(Harrisonら)、6,852,403(Harrisonら)、及び6,352,658(Changら)に開示されており、これら文献の全ては、ここに導入される。本発明の目的のために適切な他の外部層は、ビニル、クロス(布)、革及びこれらの組み合わせであるが、本発明は、これらには限定されない。
【0039】
上記に示唆したように、ポリウレタン製品は、調節(設定)して、種々の所望の最終特性を得ることができ、例えば、硬度、例えば25%IFD(indentation force deflection)が、約70ポンド力(lbf)、及び/又は密度、例えば1立方フット当たり、約5ポンド(lbs/ft)の密度を得ることができる。一実施の形態では、ポリウレタン製品は、25%IFDで特定される硬度が、約75ポンド力(lbf)である。ポリウレタン製品は、代表では、25%IFDが、約30〜約100lbfの範囲であり、より典型的には、約40〜約80、及び最も典型的には、約50〜約80lbfの範囲である。ポリウレタン製品は、典型的には、卓越した疲労特性を有しており、典型的には、ポリウレタン製品は、40%IFD変化が、約8パーセントロス未満であり、より典型的には、約5パーセントロス未満、及び最も典型的には、3パーセントロス未満である。一実施の形態では、ポリウレタン製品は、密度が160kg/m(10lbs/ft)未満である。ポリウレタン製品は、代表例では、密度が約1〜10lbs/ft未満であり、より典型的には、約48〜112kg/m(3〜7bs/ft)、及び最も典型的には、約64〜約96kg/m(4〜約6bs/ft)である。ポリウレタン製品の硬度、疲労及び密度は、ASTM D3574に従って測定することができる。ポリウレタン製品の他の物理的特性、例えば、ヒステリシスについては、後述する実施例で明確に理解される。
【0040】
通常、ポリウレタン製品の2つの重要な物理的特性は、振動透過率、特にピーク振動透過率及び共振周波数である。上述のように、これらの振動伝達特性は、通常、ポリウレタン製品がシートクッションの製造に使用される場合に重要になる。通常、共振周波数とピーク振動透過率が低いことが望ましい。この理由は、シートクッションを使用する搭乗者(乗り手)に伝わる振動が少なくなるからである。一実施の形態では、ポリウレタン製品は、ピーク振動伝達係数が3未満である。ある実施の形態では、ポリウレタン製品は、厚さが約4インチであり及びピーク振動透過率が3未満である。ポリウレタン製品は、種々の厚さ(4インチ以上又は以下の厚さ)を有するように作ることができると理解される。上述した実施の形態は、通常、例えばJASO B−407によって規定された自動車シート用の要求される快適性に適合するために重要である。ピーク振動透過率及び共振周波数に加え、ポリウレタン製品のクリープ特性を決定するために、通常、ダイナミックモジュール(動的モジュール)が重要になる。
【0041】
ポリウレタン製品のダイナミックモジュールと振動透過率の間には、関連性がある。以下の式に表されるように、共振周波数は通常、ダイナミックモジュールの平方根の増加に伴い増加する。
【0042】
【数1】

ここで、ωは、共振周波数(rad/s)、Eは、ダイネミックモジュール、Aは、質量(質量体)よって覆われた断面積、dは、ポリウレタン製品の圧縮状態の厚さであり、そしてmは質量である。ダイナミックモジュールは、力のゆがみ曲線(force deflection curve)の傾きである。すなわち、ダイナミックモジュールは、ポリウレタン製品を更にゆがめるために必要とされる、追加的な力である。通常、ダイナミックモジュールの値が低いことが望ましい。この理由は、これにより、振動を受けた場合、例えば乗り物に乗車した時、搭乗者(使用者)が感じる圧力が減少することに加え、ポリウレタン製品の共振周波数が低くなるからである。上述のように、ポリウレタン製品は、種々の厚さを有していて良く、例えば、シート(座席)に使用される場合、例えば約1〜4インチの厚さを有していても良い。
【0043】
以下に実施例を使用して、本発明の樹脂組成物、ポリウレタン系、及びポリウレタン製品を説明するが、該説明は、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0044】
本発明のポリウレタン製品について、6つの実施例、具体的には、実施例1〜6を作成した。更に、実施例1〜6と比較するために、2つの対照ポリウレタン製品、具体的には、比較例1及び2(Comp.1,2)を作成した。標準のハンドミックス技術を使用して、ポリウレタン製品を製造した。直径が3インチの混合ブレードを使用して、45秒間、3000rpmで、イソシアネート1以外の全ての成分をブレンドし、樹脂組成物を形成した。次にイソシアネート1を樹脂組成物に加え、フォーム混合物を形成し、次にこれを更に6秒間、混合(攪拌)した。次にフォー混合物を、15×15×4インチの長方形のブロック型(該ブロック型は、ウォータージャケットを有し、電気で加熱されている)に注ぎ、そしてブロック型を50℃(120°F)に維持し、ポリウレタン製品のブロックを形成した。ブロック型の構造により、溶媒ベースの離型剤の塗布と型開放注型が必要であった。7分後にポリウレタン製品を脱型し、そして直ちに手で押しつぶした(砕いた)。ポリウレタン製品を製造するために使用した各成分を表1に示す。表1について、他に記載がなければ、全ての値は、ポリウレタン製品を製造する反応の前の全成分を100質量部とした、質量部である。
【0045】
【表1】

【0046】
ポリオール1は、高分子量のポリオールで、エチレンオキシドが約21%、見かけの官能値が3及びヒドロキシル価が、26.5〜28.5mg KOH/gであり、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0047】
ポリオール2は、エチレンオキシドがリッチ(豊富)なポリオールで、エチレンオキシドが約75%、見かけの官能値が3及びヒドロキシル価が、44.0〜47.0mg KOH/gであり、及び数平均分子量が3650であり、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0048】
ポリオール3は、プロピレンオキシドがリッチな疎水性グラフトポリオールで、末端部エチレンオキシドキャップを約13質量%含み、そしてSAN固体を約32%有し、見かけの官能値が3及びヒドロキシル価が、23〜26mg KOH/gであり、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0049】
ポリオール4は、高分子量のポリオールで、末端部エチレンオキシドキャップを約13質量%有し、見かけの官能値が3及びヒドロキシル価が、34.0〜36.0mg KOH/gであり、そして数平均分子量が約4800であり、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0050】
ポリオール5は、ヒドロキシル終末(terminated)プロピレングリコールで、数平均分子量が、約2000で、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0051】
触媒1は、ビス(ジメチルアミンプロピル)メチルアミンを含んだ第3級アミン触媒で、Air Products and Chemicals of Allentown,PAから市販されている。
【0052】
触媒2は、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテルを含んだアミン発泡触媒で、Air Products and Chemicals of Allentown,PAから市販されている。
【0053】
触媒3は、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテルを約70質量%、ジプロピレングリコールを約30質量%含んだアミン発泡触媒で、Air Products and Chemicals of Allentown,PAから市販されている。
【0054】
触媒4は、約33質量%のトリエチレンジアミン及び約67質量%のジプロピレングリコールを含んだゲル化触媒で、Air Products and Chemicals of Allentown,PAから市販されている。
【0055】
界面活性剤1は、気泡調整(cell-regulating)シリコーン界面活性剤で、Degussa Goldschmidt Chemical Corporation of Hopewell,VAから市販されている。
【0056】
界面活性剤2は、非シリコーングリコール界面活性剤で、Dow Corning Corporation of Midland,MIから市販されている。
【0057】
界面活性剤3は、シリコーングリコール界面活性剤で、Dow Corning Corporation of Midland,MIから市販されている。
【0058】
イソシアネート1は、3種類のイソシアネートのブレンドで、
1)約36質量%のポリメチレン ポリフェニルポリイソシアネート(該ポリメチレン ポリフェニルポリイソシアネートは、見かけの官能値が3で、NCO含有量が約31.5質量%である);
2)約33.0質量%の、実質的に純粋な4,4’−ジフェニルメタン ジイソシアネート(該4,4’−ジフェニルメタン ジイソシアネートは、見かけの官能値が2.0で、NCO含有量が約33.5質量%である);及び
3)約31質量%の混合物(該混合物は、約50質量%の2,4’−ジフェニルメタン ジイソシアネート及び約50質量%の4,4’−ジフェニルメタン ジイソシアネートの混合物であって、見かけの官能値が2で、NCO含有量が約33.5質量%である);
を含んでおり、これらは全てBASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0059】
ポリウレタン製品の種々の物理的特性を試験した。例えば、IFD、引張強度、落球弾性(falling ball resilience)、及び熱熟成(heat aging)、密度、ブロック裂け(block tear)、空気流れ、及び圧縮セット等を、ASTM D3574に従って測定した。試験装置を使用し、ポリウレタン製品の振動透過率の測定を行なった。この試験装置は、シェーカー、シェーカーの上のテーブル、加速器、及びテーブルの上の質量を含んでいた。質量は、直径が8インチのディスクで、質量が50lbsであった。ポリウレタン製品のブロックをテーブルと質量の間のシェーカーに配置した。加速器をテーブルと質量の上に配置した。ポリウレタン製品をローディング(負荷)させた後、質量を、ポリウレタン製品に30秒間置いた。そして、正弦曲線の波形がテーブルに施され、1〜10Hzの範囲で周波数が150秒以内にスキャンされ、0.1Hz毎にデータを記録した。テーブルでのピーク加速(加速度)を、0.2g一定に調整した。データを、質量における加速度のテーブルにおける加速度の割合として記録した。デジタルフィツタリングを使用し、データ中のノイズを低減した。
【0060】
RSAIII及びポリウレタン試料のディスク状DMA試料を使用して、ASTM D 4065に従い、DMA(Dynamic Mechnical Analysis)を行った。DMAサンプルは、直径が25mmで、高さが13mmであった。−100℃〜+200℃の温度曲線(temperature sweep)を使用し、5℃/分の速度で加熱し、1Hzの周波数、及びひずみ振幅が0.2%で、データを採取した。
RSAIII及びポリウレタン試料のディスク状クリープ試料を使用して、ダイナミッククリープ分析を行った。クリープ試料は、直径が25mmで、高さが25mmであった。RSAIIIを使用して、クリープ試料の最初の高さ(25mm)を40%圧縮するのに要する力を測定し、そして試料を24時間にわたりリラックスさせた(和らげた)。次にクリープ試料をRSAIIIに搭載し、そして予め設定された力まで、静的に圧縮した。振動性の負荷を、振幅が1mm及び周波数が1Hzでクリープ試料に施した。
【0061】
自動張力特性器(auto-tension feature)を使用して、静的な力を当初に測定した値に一定に維持し、これによりクリープの間、クリープ試料の厚さの安定的な減少が得られた。ダイナミックモジュール及び試料の試料厚さを2時間にわたり記録した。以下に示す表2に、実施例の種々の物理的特性を示す。比較実施例1及び実施例6の振動透過率及び偏差百分率(percent deflection)を、図1、2及び3に示した。これにより、実施例6は、比較実施例と比べて、飛躍的に改良されていることがわかる。
【0062】
【表2】

【0063】
実施例1〜6は全て、比較実施例1と比べて、ダイナミッククリープと振動試験の両方が優れている。ピーク透過率は、比較実施例1よりも常に低く、そして共振周波数は、比較実施例1よりも良好である。実施例1〜6の硬度は全て、比較実施例2よりも常に高い。実施例1〜6の疲労は全て、比較実施例1と比べて低減されている。実施例6は、硬度と振動伝達試験の性能について、最良の組合せを示している。
【0064】
本発明のポリウレタン製品について、追加的な試験、特に実施例7〜9を作成した。更に、実施例7〜9と比較するために、一つの対照ポリウレタン製品、特に比較実施例3を作成した。フォーム混合物を、EMB高圧ウレタン計量導入器を使用して供給した。混合物の合計排出量を、250g/sに維持した。樹脂とイソシアネート成分の温度の両方を27℃(80°F)に維持した。ブロック型の表面温度を120°Fに維持し、ポリウレタン製品のブロックを形成した。約3分後、ポリウレタン製品を脱型(離型)した。脱型した後すぐに、ポリウレタン製品を手で押しつぶした(砕いた)。ポリウレタン製品を形成するのに使用した各成分の量とタイプを以下の表3に示した。表3の全ての値は、他に記載がなければ、ポリウレタン製品を製造する反応の前の全成分を100質量部とした、質量部である。
【0065】
【表3】

【0066】
ポリウレタン製品の種々の物理的特性を、実施例1〜6について上述したように試験し、及び以下の表4に示した。ピーク透過率について、実施例7〜9は、比較実施例3と比較して一貫して低いものであった。
【0067】
【表4】

【0068】
追加的な実施例、具体的には実施例10のポリウレタン製品(本発明のもの)を製造した。更に、一つの対照ポリウレタン製品、具体的には比較実施例4を、実施例10と比較するために製造した。ポリウレタン製品を、実施例1〜6について上述したポリウレタン製品のように製造した。
【0069】
ポリウレタン製品を形成するために使用した各成分の量と種類を表5に示す。表3の全ての値は、他に記載がなければ、ポリウレタン製品を製造する反応の前の全成分を100質量部とした、質量部である。
【0070】
【表5】

【0071】
ポリオール6は、エチレンオキシドがリッチな、親水性ポリオールで、約5質量%の末端エチレンオキシドキャップ、及び約75合計質量%のエチレンオキシドを有し、見かけの官能値が3であり、及びヒドロキシル価が、約41mg KOH/gであり、BASF AG of Ludwigshafen,Germanyから市販されている。
【0072】
ポリオール7は、グリセリン開始ポリエーテルポリオールで、末端エチレンオキシドキャップを約14質量%エチレンオキシド有し、見かけの官能値が3、及びヒドロキシル価が、約28mg KOH/gであり、BASF AG of Ludwigshafen,Germanyから市販されている。
【0073】
ポリオール8は、グラフトポリオールで、SAN固体を約45%有し、見かけの官能値が3、及びヒドロキシル価が、23〜26mg KOH/gであり、BASF AG of Ludwigshafen,Germanyから市販されている。
【0074】
ポリオール9は、エチレンオキシドがリッチな連続気泡(cell opening)ポリオールで、Dow Chemical Company Midland,MIから市販されている。
【0075】
ポリオール10は、1,4−ブタンジオールで、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0076】
触媒5は、約33質量%の1,4−ジアザビシクロオクタン、及び約67質量%のジプロピレングリコールを含み、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0077】
触媒6は、ジメチルアミノエトキシエタノール(DMEE)を含み、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0078】
触媒7は、N,N−ジメチルエタノールアミンS(DMEA)を含み、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0079】
イソシアネート2は、イソシアアネート−終末プレポリマーで、以下のものを含んでいる:
1)約24.50質量%の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートで、官能値が約2で、NCO含有量が約33.5質量%のものである;
2)約11.90質量%の所定の混合物で、該混合物は、約50質量%の2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート及び約50質量%の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物で、官能値が約2で、NCO含有量が約33.5質量%のものである;
3)約54.50質量%のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートで、官能値が約2.7で、NCO含有量が約31.5質量%のものである;及び
4)約9.10質量%のポリオール6;
(これらは全て、BASF AG of Ludwigshafen,Germanyから市販されている。)
【0080】
イソシアネート3は、イソシアアネート−終末プレポリマーで、以下のものを含んでいる:
1)約39.76質量%の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;
2)約31.62質量%の所定の混合物で、該混合物は、約50質量%の2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート及び約50質量%の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物で、官能値が約2で、NCO含有量が約33.5質量%のものである;
3)約9.00質量%のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートで、官能値が約2.7で、NCO含有量が約31.5質量%のものである;及び
4)約19.62質量%のポリオール6;
(これらは全て、BASF AG of Ludwigshafen,Germanyから市販されている。)
【0081】
ポリウレタン製品の種々の物理的特性を試験し、該試験を以下の表6に示した。振動電圧試験をポリウレタン製品について行った。上部及び下部プレートを有する振動テーブル、質量、及びサーボ水力装置をポリウレタン製品を試験するのに使用した。ポリウレタン製品(物品)の100×100×50mm試料を、上部プレートと下部プレートの間に配置し、プレートを試料に完全に重ねた。プレートは、ISO3386−1に従って構成されていた。下部プレートには、直径6mmの孔が20mm隔てて穿孔されていた。上部プレートの頂部には、無摩擦のベアリングが配置されていた。直径8mmのガイディングロッドを、上部プレートの中心とサンプルの中心に穿孔された孔を通して、無摩擦のベアリングに通した。質量を上部プレートとガイディングロッド上に配置し、30分維保持した。ガイディングロッドは、質量と試料の動きを一軸に制限する。振幅が0.25mmの正弦曲線の変位を発生させるサーボ水力装置を使用して、テーブルを加速した。周波数を、600秒以内に、(具体的には1分間で2Hzの速度で、)1から21Hzへと連続的に増加させた。質量とテーブルの両方の変位を、高解像度レーザー伸び計を使用して測定した。ウエイトの付加により、質量を、試料の圧縮応力が40%遍位になるように調整した(これは、ISO3386−1に従い、試料のために、事前に測定されたものである。)。実施例4と比較実施例10について、上部及び下部プレートでの変位振幅の割合として計算された透過率を、周波数に対してプロットし、図4に示した。
【0082】
ポリウレタン製品について、ダイナミックコンディション試験における厚さの損失を測定した。ポリウレタン製品の100×100×50mmの試料を、上部及び下部プレートの間に配置し、プレートを、上述のように試料に完全に重ねた。試料を1分間に100mmの速度で、70%変位まで、4回/サイクル圧縮した。4回目のサイクルで、45%変位に達した時に、この変位に達するのに必要とされる初期静的力(initial static force)を記録した。4回目のサイクルの完了に続き、初期静的力を維持した。該初期静的力の維持は、変位を連続的に調整して行った。そしてサーボ水力装置を使用して、周波数が1Hz及び振幅が0.25mmの正弦曲線の変位を付加した。空気温度を40℃に維持し、そして2時間毎に、25%と80%の相対湿度を交互に変化させた。測定の継続期間は、80000サイクルであった。比較実施例4及び実施例10について、(図4について説明したように、)サンプルの厚さを時間の関数として記録した。図4及び図5から理解されるように、実施例10は、比較実施例4に対して、大きく改良されている。
【0083】
【表6】

【0084】
4種の樹脂組成物、具体的には本発明の樹脂A〜Dを作成した。この樹脂組成物は、上記実施例1〜6について記載した樹脂組成物のように作成した。樹脂組成物の相分離が懸念された。従って、樹脂AとBを混合し、そしてガラスジャー中に、大気温度で保管した。2ヶ月の後、何れの樹脂にも相分離は観察されなかった。樹脂Aの粘度は、1373cpで、樹脂Bの粘度は、2160cpであった(両方とも23℃で測定)。樹脂組成物を形成するのに使用した各成分の量と種類を、以下の表7に示した。表7の全ての値は、他に記載がなければ、樹脂組成物100質量部に対する質量部である。
【0085】
【表7】

【0086】
本発明のポリウレタン製品の追加的な実施例、具体的には、実施例11を作成した。更に、2つの対照ポリウレタン製品、具体的には比較実施例5と6を、実施例11と比較するために作成した。ポリウレタン製品のブロックを、実施例1〜6に記載したように製造した。ポリウレタン製品を形成するために使用した各成分の量とタイプを以下の表8に示す。表8の全ての値は、他に記載がなければ、ポリウレタン製品を製造する反応の前の全成分を100質量部とした、質量部である。
【0087】
【表8】

【0088】
ポリオール11は、グリセロール/ソルビトール 共開始のポリオールで、終末エチレンオキシドキャップを約20質量%有し、見かけの官能値が2.9、及びヒドロキシル価が、31mg KOH/gであり、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0089】
ポリオール12は、グラフトポリオールで、SAN固体を約43%有し、見かけの官能値が3、及びヒドロキシル価が、19.8mg KOH/gであり、末端エチレンオキシドキャップを約19質量%有しており、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0090】
触媒8は、約85質量%のジエタノールアミン(DEAO)と約15質量%の水を含むブレンドで、Air Products and Chemicals of Allentown,PAから市販されている。
【0091】
界面活性剤4は、ポリアルキレンオキシメチルシリコーン界面活性剤であり、Down Corning Corporation of Midland,MIから市販されている。
【0092】
イソシアネート4は、約80質量%の2,4’−トルエンジイソシアネートと約20質量%の2,6’−トルエンジイソシアネートの混合物で、BASF Corporation of Florham Park, NJから市販されている。
【0093】
ポリウレタン製品の種々の物理的特性を、実施例1〜6について上述したように試験し、及び以下の表9に示した。ピーク透過率について、実施例11は、比較実施例5及び6と比較して低いものであった。
【0094】
【表9】

【0095】
本発明を実施の形態を使用して説明したが、使用した用語は、その用語が本来有する意味に理解され、これにより限定されるものではない。上述した教示により、多くの変更と変形が可能であることが明確である。本発明は、他に特定の記載がなければ、添付した請求項の範囲内で実施して良いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン製品の形成に使用するための樹脂組成物であって、
(A)アルキレンオキシドを含む親水性ポリオールであって、
(i)見かけの官能値が少なくとも2であり、
(ii)ヒドロキシル価が、20〜200mg KOH/gであり、及び
(iii)前記アルキレンオキシド100質量部に対して、エチレンオキシドが、少なくとも50質量部である、
親水性ポリオール、及び
(B)アルキレンオキシドを含む疎水性ポリオールであって、
(i)末端エチレンオキシドキャップを有し、
(ii)見かけの官能値が少なくとも2であり、
(iii)ヒドロキシル価が、20〜100mg KOH/gであり、及び
(iv)前記アルキレンオキシド100質量部に対して、プロピレンオキシドが、少なくとも60質量部である、
疎水性ポリオールを含み、
親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)が、1.5:1〜20:1の質量割合(A:B)で存在することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記親水性ポリオール(A)と前記疎水性ポリオール(B)が、1.5:1〜10:1の質量割合(A:B)で存在することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記親水性ポリオール(A)と前記疎水性ポリオール(B)が、1.5:1〜6:1の質量割合(A:B)で存在することを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記親水性ポリオール(A)が、前記アルキレンオキシド100質量部に対して、エチレンオキシドを少なくとも70質量部有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記疎水性ポリオール(B)が、前記アルキレンオキシド100質量部に対して、プロピレンオキシドを少なくとも80質量部有することを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記疎水性ポリオール(B)が、前記疎水性ポリオール(B)100質量部に対して、エチレンオキシドを5〜25質量部有することを特徴とする請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂組成物100質量部に対して、充填剤成分を約0.1〜約30質量部の量で有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記充填剤成分が、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸及びメタクリル酸のエステル、エチレン不飽和ニトリル、アミン、アミド及びこれらの組合せから成る群から選ばれる、モノマーの反応生成物を含むことを特徴とする請求項7に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記親水性ポリオール(A)の前記アルキレンオキシドが、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記親水性ポリオール(A)は、数平均分子量が3150〜4150の範囲であり、及び前記疎水性ポリオール(B)は、数平均分子量が4300〜5300の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記樹脂組成物中に存在する前記親水性ポリオール(A)及び前記疎水性ポリオール(B)は、これらを合わせた量が、前記樹脂組成物100質量部に対して、70〜97質量部であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
ポリウレタン製品を形成するのに使用されるポリウレタン系であって、
(A)アルキレンオキシドを含む親水性ポリオールであって、
(i)見かけの官能値が少なくとも2であり、
(ii)ヒドロキシル価が、20〜200mg KOH/gであり、及び
(iii)前記アルキレンオキシド100質量部に対して、エチレンオキシドが、少なくとも50質量部である、
親水性ポリオール、及び
(B)アルキレンオキシドを含む疎水性ポリオールであって、
(i)末端エチレンオキシドキャップを有し、
(ii)見かけの官能値が少なくとも2であり、
(iii)ヒドロキシル価が、20〜100mg KOH/gであり、及び
(iv)前記アルキレンオキシド100質量部に対して、プロピレンオキシドが、少なくとも60質量部である、
疎水性ポリオール、及び
(C)イソシアネート成分、
を含み、
親水性ポリオール(A)と疎水性ポリオール(B)が、1.5:1〜20:1の質量割合(A:B)で存在することを特徴とするポリウレタン系。
【請求項13】
前記イソシアネート成分(C)が、ポリマー性ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI類)、ジフェニルメタンジイソシアネート(pMDI類)、トルエンジイソシアネート(TDI類)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI類)、イソホロンジイソシアネート(IPDI類)、及びこれらの組合せから成る群から選ばれることを特徴とする請求項12に記載のポリウレタン系。
【請求項14】
ポリウレタン製品であって、以下の反応生成物、
(A)アルキレンオキシドを含む親水性ポリオールであって、
(i)見かけの官能値が少なくとも2であり、
(ii)ヒドロキシル価が、20〜200mg KOH/gであり、及び
(iii)前記アルキレンオキシド100質量部に対して、エチレンオキシドが、少なくとも50質量部である、
親水性ポリオール、及び
(B)アルキレンオキシドを含む疎水性ポリオールであって、
(i)末端エチレンオキシドキャップを有し、
(ii)見かけの官能値が少なくとも2であり、
(iii)ヒドロキシル価が、20〜100mg KOH/gであり、及び
(iv)前記アルキレンオキシド100質量部に対して、プロピレンオキシドが、少なくとも60質量部である、
疎水性ポリオール、及び
(C)イソシアネート成分、
を、
(D)発泡剤成分、
の存在下に含み、及び、前記ポリウレタン製品を製造する反応の前に、前記親水性ポリオール(A)と前記疎水性ポリオール(B)が、1.5:1〜20:1の質量割合(A:B)で存在することを特徴とするポリウレタン製品。
【請求項15】
前記イソシアネート成分、前記親水性ポリオール(A)、及び前記疎水性ポリオール(B)は、約90〜約120のイソシアネートインデックスを有することになる量で反応されることを特徴とする請求項14に記載のポリウレタン製品。
【請求項16】
ピーク振動透過率が3未満であることを特徴とする請求項14に記載のポリウレタン製品。
【請求項17】
ASTM D3574に従う密度が、10ポンド/立方フット未満であることを特徴とする請求項14に記載のポリウレタン製品。
【請求項18】
前記ポリウレタン製品に接触する外部層と結合した状態の請求項14に記載のポリウレタン製品。
【請求項19】
前記外部層が、更にエラストマー層として定義されることを特徴とする請求項18に記載のポリウレタン製品。
【請求項20】
前記エラストマー層が噴霧可能なエラストマー組成物の反応生成物を含むことを特徴とする請求項18に記載のポリウレタン製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−532401(P2010−532401A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513946(P2010−513946)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058323
【国際公開番号】WO2009/003964
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】