説明

性機能障害、認知障害、精神病性障害、不安、鬱病などを処置するための5HT1A受容体モジュレーターとしての5−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−L−ピペリジニル]エチル}キノリノン誘導体

本発明は、式(I)で示される化合物を提供する(式中、R1は、C1-6アルキル、ハロまたはハロC1-6アルキルであり;R2は、水素またはC1-6アルキルであり;


は、単結合または二重結合であり;各R3およびR4は、同一であっても異なっていてもよく、水素、C1-6アルキルまたはハロC1-6アルキルであり;ここで、i)


が二重結合である場合には、pおよびqは1であり、そして、ii)


が単結合である場合には、pおよびqは2であり、1個のR3および1個のR4がそれらの相互接続原子と一緒になって、同一であっても異なっていてもよい1個または2個のハロまたはメチル基によって置換されていてもよいシクロプロパン環を形成し;Xは、CHまたはNであり;存在する場合の各R5は、同一であっても異なっていてもよく、C1-6アルキルまたはハロであるか;または2個のR5基が連結して、1個または2個の原子を含有する橋を形成していてもよく;nは、0、1、2または3であり;存在する場合の各R6は、同一であっても異なっていてもよく、C1-6アルキルまたはハロであり;mは、0、1、2または3である)。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規キノリノン誘導体に関する。本発明はまた、5−HT1A受容体のアンタゴニズムによって媒介される疾患および状態の治療における該誘導体の使用に関する。加えて、本発明は、該誘導体を含有する組成物およびそれらの製造方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
第一の態様によると、本発明は、式(I):
【化1】


[式中、
1は、C1-6アルキル、ハロまたはハロC1-6アルキルであり;
2は、水素またはC1-6アルキルであり;
【化2】

は、単結合または二重結合であり(ここで、
【化3】

が二重結合である場合、pおよびqは1であり;
【化4】

が単結合である場合、pおよびqは2である);
各R3およびR4は、同一であっても異なっていてもよく、水素、C1-6アルキルまたはハロC1-6アルキルであるか;または
【化5】

が単結合である場合、1個のR3および1個のR4がそれらの相互接続原子と一緒になって、同一であっても異なっていてもよい1個または2個のハロまたはメチル基によって置換されていてもよいシクロプロパン環を形成し;
Xは、CHまたはNであり;
存在する場合の各R5は、同一であっても異なっていてもよく、C1-6アルキルまたはハロであるか;または2個のR5基が連結して、1個または2個の原子を含有する橋を形成してもよく;
nは、0、1、2または3であり;
存在する場合の各R6は、同一であっても異なっていてもよく、C1-6アルキルまたはハロであり;
mは、0、1、2または3である]
で示される化合物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0003】
他に特記しない限り、アルキル基は、それがアルコキシ、ハロアルキルおよびハロアルコキシのような別の基の一部を形成するか否かに関係なく、直鎖または分枝鎖である。
【0004】
本明細書で使用する場合、ハロアルキル基は、1個またはそれ以上のハロゲン原子によって置換されているアルキル基を意味する。ハロアルコキシ基は、同様に解釈される。
【0005】
ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0006】
誤解を避けるために、存在する場合の1個、2個または3個のR5基は、いずれかの適当な位置でピペラジンまたはピペリジン環と結合することができる。
【0007】
誤解を避けるために、存在する場合の1個、2個または3個のR6基は、いずれかの適当な位置でキノリン環と結合することができる。
【0008】
一の実施態様では、
1は、C1-6アルキル、ハロまたはハロC1-6アルキルであり;
2は、水素またはC1-6アルキルであり;
【化6】

は、単結合または二重結合であり;
各R3およびR4は、同一であっても異なっていてもよく、水素、C1-6アルキルまたはハロC1-6アルキルである(ここで、
i)
【化7】

が二重結合である場合、pおよびqは1であり、
ii)
【化8】

が単結合である場合、pおよびqは2であり、1個のR3および1個のR4がそれらの相互接続原子と一緒になって、同一であっても異なっていてもよい1個または2個のハロまたはメチルによって置換されていてもよいシクロプロパン環を形成し;
Xは、CHまたはNであり;
存在する場合の各R5は、同一であっても異なっていてもよく、C1-6アルキルまたはハロであるか;または2個のR5基が連結して、1個または2個の原子を含有する橋を形成してもよく;
nは、0、1、2または3であり;
存在する場合の各R6は、同一であっても異なっていてもよく、C1-6アルキルまたはハロであり;
mは、0、1、2または3である。
【0009】
一の実施態様では、R1はC1-6アルキルである。さらなる実施態様では、R1はC1-3アルキルである。さらなる実施態様では、R1はメチルである。
【0010】
一の実施態様では、R2は、水素またはC1-6アルキルである。さらなる実施態様では、R2は、水素またはC1-3アルキルである。さらなる実施態様では、R2は、水素またはメチルである。さらなる実施態様では、R2は水素である。
【0011】
一の実施態様では、
【化9】

は、単結合であり、各R3および各R4は水素である。
【0012】
一の実施態様では、XはNである。
【0013】
一の実施態様では、nは、0、1または2である。さらなる実施態様では、nは0または1である。さらなる実施態様では、nは0である。
【0014】
一の実施態様では、存在する場合の各R5はC1-6アルキルである。さらなる実施態様では、存在する場合の各R5はC1-3アルキルである。さらなる実施態様では、存在する場合の各R5はメチルである。
【0015】
一の実施態様では、存在する場合の各R5は、式(I)におけるエチレン鎖と結合した窒素の隣の炭素原子の一方または両方にてピペラジンまたはピペリジン環と結合する。
【0016】
一の実施態様では、2個のR5基が結合して橋を形成する場合、該橋は、2個の炭素原子を含有し、該橋は、ピペラジンまたはピペリジン環における非隣接炭素原子に結合する。
【0017】
一の実施態様では、mは0または1である。さらなる実施態様では、mは0である。
【0018】
一の実施態様では、存在する場合のR6は、キノリン環の7位に結合する。
【0019】
一の実施態様では、
1はC1-6アルキルであり;
2は水素であり;
【化10】

は、単結合であり、各R3およびR4は水素であり;
XはNであり;
nは0、1または2であり;
存在する場合の各R5はC1-6アルキルであり;
mは0または1であり;
存在する場合のR6はC1-6アルキルまたはハロである。
【0020】
一の実施態様では、式(I)で示される化合物は、
6−メチル−5−{2−[4−(2−メチルキノリン−5−イル)ピペラジン−1−イル]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物1);
5−{2−[(2S)−4−(7−フルオロ−2−メチルキノリン−5−イル)−2−メチルピペラジン−1−イル]エチル}−6−メチル−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物2);
1,6−ジメチル−5−{2−[4−(2−メチルキノリン−5−イル)ピペラジン−1−イル]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物7);
6−メチル−5−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−2(1H)−キノリノン(化合物14);
5−{2−[4−(7−フルオロ−2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−6−メチル−2(1H)−キノリノン(化合物15);
6−メチル−5−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペリジニル]エチル}−2(1H)−キノリノン(化合物16);
5−{2−[4−(7−フルオロ−2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−1,6−ジメチル−2(1H)−キノリノン(化合物19);
1,6−ジメチル−5−{2−[(2S)−2−メチル−4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−2(1H)−キノリノン(化合物21);
5−{2−[(2S)−4−(7−フルオロ−2−メチル−5−キノリニル)−2−メチル−1−ピペラジニル]エチル}−1,6−ジメチル−2(1H)−キノリノン(化合物23);および
3,6−ジメチル−7−{2−[(2S)−2−メチル−4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−1,1a,3,7b−テトラヒドロ−2H−シクロプロパ[c]キノリン−2−オン(化合物33)
からなる群から選択される。
【0021】
さらなる実施態様では、式(I)で示される化合物は、6−メチル−5−{2−[4−(2−メチルキノリン−5−イル)ピペラジン−1−イル]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物1)である。
【0022】
第一の態様で定義された化合物は、医薬上または獣医学上許容される塩を形成してもよい。したがって、さらなる態様によると、本発明は、第一の態様およびその実施態様において定義した化合物の医薬上許容される塩を提供する。
【0023】
第一の態様で定義した化合物は、塩基性中心を含有しており、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸のような無機酸で、カルボン酸で、または、有機スルホン酸で形成された非毒性酸付加塩を形成することができる。例としては、HCl、HBr、HI、硫酸塩または重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩またはリン酸水素塩、酢酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、サッカラート、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、カンシル酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモン酸塩が挙げられる。好適な医薬塩について検討については、Berge et al, J. Pharm, Sci., 66, 1-19, 1977;P L Gould, International Journal of Pharmaceutics, 33 (1986), 201-217;およびBighley et al, Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, Marcel Dekker Inc, New York 1996, Volume 13, page 453-497を参照のこと。
【0024】
当業者にとって当然のことながら、最終脱保護段階の前に調製され得る第一の態様において定義した化合物のある保護誘導体は、そのままでは薬理活性を有することができないかもしれないが、場合によっては、経口もしくは非経口投与することができ、その後、体内で代謝されて、薬理学的に活性がある第一の態様において定義した化合物を形成することができる。したがって、かかる誘導体は、「プロドラッグ」として記載され得る。第一の態様で定義された化合物の保護誘導体およびプロドラッグは全て、本発明の範囲内に包含される。本発明の化合物に適当なプロドラッグの例は、Drugs of Today, Volume 19, Number 9, 1983, pp 499−538およびTopics in Chemistry, Chapter 31, pp 306−316および“Design of Prodrugs” by H. Bundgaard, Elsevier, 1985, Chapter 1に記載されている(該文献の開示内容は出典明示により本明細書の一部を構成する)。また、当業者にとって当然のことながら、H. Bundgaard in “Design of Prodrugs”(該文献の開示内容は出典明示により本明細書の一部を構成する)によって記載されているような「前駆部分」として当業者に知られているある部分は、適当な官能基が第一の態様において定義した化合物内に存在する場合にはかかる官能基上にあってもよい。
【0025】
第一の態様において定義した化合物またはそれらの医薬上許容される塩は、溶媒和化形態または水和化形態で存在することができる。
【0026】
第一の態様において定義した化合物、それらの医薬上許容される塩、または該化合物もしくは塩の溶媒和物/水和物は、1つまたはそれ以上の多形形態で存在することができる。
【0027】
したがって、さらなる態様では、本発明は、第一の態様において定義した化合物の医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0028】
以下、第一の態様において定義した化合物、それらの医薬上許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグを「本発明の化合物」という。
【0029】
本発明の化合物は、1個またはそれ以上のキラル中心を有することができて、多数の立体異性体形で存在することができる。全ての立体異性体およびそれらの混合物は本発明の範囲内に包含される。ラセミ化合物は、分取HPLCおよびキラル固定相をもつカラムを使用して分離され得るか、または当業者に知られている方法を用いて個々のエナンチオマーを得るように分割され得る。さらに、キラル中間化合物は、分割され得、本発明のキラル化合物を調製するために使用され得る。
【0030】
本発明の化合物は、1種類またはそれ以上の互変異性体形態で存在し得る。全ての互変異性体およびそれらの混合物は本発明の範囲に包含される。例えば、2−ヒドロキシキノリニルに関する請求項は、その互変異性体であるα−キノリノニルに及ぶ。
【0031】
本発明の化合物のジアステレオ異性体は、文献周知の方法に従って、例えば、分取HPLCによって、またはクロマトグラフィー精製法によって得ることができる。ラセミ化合物は、分取HPLCおよびキラル固定相をもつカラムを使用して分離され得るか、または当業者に知られている方法を用いて個々のエナンチオマーを得るように分割され得る。さらに、キラル中間化合物は、分割され得、本発明のキラル化合物を調製するために使用され得る。
【0032】
本発明また、本発明の化合物の全ての好適な同位体変種を包含する。本発明の化合物の同位体変種は、少なくとも1個の原子が、同じ原子数を有するが自然界にて通常見られる原子量とは異なる原子量を有する原子によって置き換えられたものであると定義される。本発明の化合物に取り込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体が挙げられ、例えば、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げられる。本発明のある同位体変種、例えば、3Hまたは14Cのような放射性同位体が取り込まれているものは、薬物および/または基質組織分布研究に有用である。トリチウム同位体、すなわち3H、炭素−14同位体、すなわち14Cは、それらの製造の容易さおよび検出能のために特に好ましい。また、ジューテリウム、すなわち2Hのような同位体での置換は、大きい代謝安定性によりもたらされるある種の治療的利点、例えば、インビボ半減期の増加または必要用量の減少をもたらすことができ、故に、状況によっては好ましい。本発明の化合物の同位体変種は、一般に、慣用の方法によって、例えば、例示した方法によって、または適当な試薬の適当な同位体変種を使用して以下の実施例および調製例に記載される調製法によって、製造され得る。
【0033】
本発明の化合物は、様々な方法で調製することができる。以下の反応スキームおよびそれ以降では、特記しない限り、R1〜R6、X、n、m、pおよびqは、第一の態様において定義したとおりである。これらの方法は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0034】
本明細書の全体にわたって、一般式は、ローマ数字(I)、(II)、(III)、(IV)などで指定される。これらの一般式の下位は、(Ia)、(Ib)、(Ic)など、(IVa)、(IVb)、(IVc)などと定義される。
【0035】
一般式(I)で示される化合物は、反応スキーム1に示されるように式(II)で示される化合物を式(III)で示される化合物と反応させることによって調製され得る。典型的な反応条件は、適当な溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタン)中にて室温で30分間、(II)および(III)を撹拌すること、次いで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤で処理することを含む。
【0036】
【化11】

【0037】
式(IIIa)で示される化合物、すなわち、R1およびR2がアルキルであり、
【化12】

が二重結合であり、R3およびR4が水素である一般式(III)で示される化合物は、反応スキーム2に従って調製され得る。第一工程では、式(IV)で示される化合物が、3−クロロ過安息香酸による処理のような当該技術分野で知られている条件下でN−オキシド(V)に変換される。式(V)で示される化合物を無水トリフルオロ酢酸で処理することによりキノリノン(VI)が得られる。水素化ナトリウムおよびヨードメタンによるN−アルキル化により、(VII)が得られる。パラジウムの触媒作用下にて式(VI)で示される化合物をアリルトリブチルスタンナンで処理することにより、式(VIII)で示される化合物が得られた。この工程の典型的な条件は、高温(例えば、100℃)でジメチルホルムアミド中におけるパラジウム(0)テトラキストリフェニルホスフィンおよび塩化リチウムでの処理を含む。最後に、熟練化学者に知られている条件下にて四酸化オスミウムおよび過ヨウ素酸ナトリウムで式(VIII)で示される化合物を処理することにより式(IIIa)で示される化合物が得られる。
【0038】
一般式(IV)で示される化合物は、商業的に入手可能であるか、または当業者に知られている方法によって調整され得る。
【0039】
【化13】

【0040】
式(IIIb)で示される化合物、すなわち、R1がアルキルであり、
【化14】

が単結合であり、各R3および各R4が水素である一般式(III)で示される化合物は、熟練化学者に知られている条件下にて式(IX)で示される化合物を四酸化オスミウムおよび過ヨウ素酸ナトリウムで処理することにより反応スキーム3に従って調製され得る。式(IX)で示される化合物は、WO2006/024517のDescription 72に記載されているものと同様の方法を使用して調製され得る。
【0041】
【化15】

【0042】
式(IIIc)で示される化合物、すなわち、R1がアルキルであり、R2が水素であり、
【化16】

が二重結合であり、R3およびR4が水素である一般式(III)で示される化合物は、反応スキーム4に従って調製され得る。最初に、式(VI)で示される化合物(反応スキーム2を参照)をパラジウムの触媒作用下で2−(エテニルオキシ)−N,N−ジメチルエタンアミンと反応させて、式(X)で示される化合物を得る。典型的な反応条件は、高温(例えば、100℃)での酢酸パラジウム(II)、トリフェニルホスフィンおよびトリエチルアミンによる処理を含む。酸性条件下(典型的には、室温での希硫酸水溶液)で(X)を処理することにより、式(IIIc)で示される化合物が得られる。
【0043】
【化17】

【0044】
式(IIId)で示される化合物、すなわち、R1がハロであり、R2がアルキルであり、
【化18】

が二重結合であり、R3およびR4が水素である一般式(III)で示される化合物は、反応スキーム5に従って調製され得る。最初に、典型的には氷浴温度でトリエチルアミンの存在にて、式(XI)で示される化合物を塩化ピバロイルで処理することにより、式(XII)で示される化合物が調製され得る。(XII)を強塩基(例えば、n−ブチルリチウム)で処理し、次いで、ジメチルホルムアミドを添加することにより、式(XIII)で示される化合物が得られる。室温で適当な溶媒(例えば、トルエン)中にて(カルボエトキシメチレン)トリフェニル−ホスホランで処理することにより式(XIV)で示される化合物が得られ、これを酸性条件下で環化することができ、式(XV)で示される化合物が得られる。トリフラートの形成、次いで、反応スキーム2に記載した条件と同様の条件下でのリルトリブチルスタンナンとの反応により、式(XVIII)で示される化合物が得られる。標準条件下での四酸化オスミウムおよび過ヨウ素酸ナトリウムとの反応により式(IIId)で示される化合物が得られる。
【0045】
一般式(XI)で示される化合物は、商業的に入手可能であるか、または、当業者に知られている方法によって調製され得る。
【0046】
【化19】

【0047】
式(IIIe)で示される化合物、すなわち、R1およびR2がアルキルであり、
【化20】

が単結合であり、1個のR3および1個のR4がそれらの相互接続原子と一緒になってシクロプロパン環を形成する一般式(III)で示される化合物は、反応スキーム6に従って調製され得る。式(XIX)で示される化合物は、ヨウ化トリメチルスルホニウムの溶液中にて塩基(例えば、水素化ナトリウム)に(VII)を添加し、次いで、高温で加熱することにより式(VII)で示される化合物(反応セクション2を参照)から調製され得る。式(IIIe)で示される化合物は、反応スキーム2について記載された方法を使用して(XIX)から得ることができる。
【0048】
【化21】

【0049】
式(IIa)で示される化合物、すなわち、XがNである一般式(II)で示される化合物は、反応スキーム7に従って製造され得る。典型的には、式(XXI)および(XXII)で示される化合物を、パラジウム触媒(例えば、酢酸パラジウム(II))、塩基(例えば、炭酸セシウム)およびBINAPの存在下、高温にて適当な溶媒(例えば、トルエン)中で反応させる。
【0050】
【化22】

【0051】
一般式(XXIa/b)で示される化合物は、商業的に入手可能であるか、文献公知であるか、または、当業者に知られている方法によって製造され得る。
【0052】
式(IIb)で示される化合物は、適当な溶媒(例えば、DMF)中、パラジウム触媒および塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下、高温で、式(XXIb)で示される化合物を式(XXIII)で示される化合物と反応させ、次いで、標準的な条件下で(WO 2004/046124、Descriptions 16および18を参照)、二重結合の還元およびブトキシカルボニル(BOC)保護基の除去を行うことによって、反応スキーム8に従って製造され得る。
【0053】

【0054】
本発明の化合物は、5−HT1A受容体の有効なアンタゴニストである。加えて、本発明の化合物には、有効なセロトニン再取り込み阻害剤であるものがある。加えて、本発明の化合物は、5−HT1B受容体よりも5−HT1A受容体に対して選択的である、すなわち、当該化合物は、5−HT1B受容体のアンタゴニストであるよりもむしろ5−HT1A受容体のアンタゴニストである。
【0055】
したがって、さらなる態様によると、本発明は、薬物として、好適にはヒト用薬物として使用するための本発明の化合物を提供する。
【0056】
さらなる態様によると、本発明は、性機能障害を治療または予防するための薬物の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0057】
一の実施態様では、性機能障害は、性的欲求の障害(性的欲求低下障害(302.71)および性嫌悪障害(302.79)を含む);性的興奮の障害(女性の性的興奮の障害(302.72)および男性の勃起障害(302.72)を含む);オルガズム障害(女性オルガズム障害(302.73)、男性オルガズム障害(302.74)および早漏(302.75)を含む);性交疼痛障害(性交疼痛症(302.76)および膣痙攣(306.51)を含む);特定不能の性機能障害(302.70);性嗜好異常(露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、窃触症(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯的フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)および特定不能の性嗜好異常(302.9)を含む);性同一性障害(小児の性同一性障害(302.6)および青年期または成人の性同一性障害(302.85)を含む);ならびに特定不能の性障害(302.9)からなる群から選択される。
【0058】
さらなる実施態様では、性機能障害は、早漏である。
【0059】
さらなる態様によると、本発明は、疾患に伴う認知障害の治療を含む認知を増強する薬物の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0060】
一の実施態様では、「認知障害」なる用語としては、例えば、注意、見当識を含む認知機能の障害、学習障害、記憶(すなわち、記憶障害、健忘症、健忘性障害、一過性全健忘症候群および加齢に伴った記憶障害)および言語機能の障害;脳卒中の結果としての認知障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、エイズ関連認知症、または多発梗塞性認知症、アルコール性認知症、甲状腺機能低下症関連認知症、ならびに小脳萎縮症および筋萎縮性側策硬化症のような他の変性障害に関連する認知症のような他の認知症状態;せん妄またはうつ病(仮性認知症状態)心的外傷、頭部外傷、年齢関連認知低下、脳卒中、神経変性、薬物誘発性状態、神経毒性物質、軽度認知障害、年齢関連認知障害、自閉症関連認知障害、ダウン症候群、精神病に関連する失認、および電気ショック療法後関連認知障害のような認知低下を引き起こす可能性のある他の急性または亜急性病態;ならびにパーキンソン病、神経遮断薬誘発性パーキンソニズムおよび遅発性ジスキネジーのような運動障害性障害が挙げられる。
【0061】
一の実施態様では、認知障害を伴う疾患は、認知障害を伴う、統合失調症、双極性障害、うつ病、他の精神障害および精神病状態、例えば、アルツハイマー病からなる群から選択される。
【0062】
本発明の化合物は、性機能障害の治療、および疾患に伴う認知障害の治療を含む認知を増強するための治療に加えて、以下の挙げられるものからなる群から選択される疾患または状態を治療することができる[以下の疾患名の後の括弧内の番号は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th Edition, published by the American Psychiatric Association(DSM−IV)および/またはInternational Classification of Diseases, 10th Edition(ICD−10)における分類コードを表す]:
【0063】
i)精神障害、例えば、統合失調症(亜型である、妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、鑑別不能型(295.90)および残遺型(295.60)を含む);統合失調症様障害(295.40);統合失調感情障害(295.70)(亜型である双極型およびうつ病型を含む);妄想性障害(297.1)(亜型である色情型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型、混合型、および特定不能型を含む);短期精神病性障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);一般身体疾患を示す精神病性障害(妄想を伴う亜型および幻覚を伴う亜型を含む);物質誘発性精神病性障害(妄想を伴う亜型(293.81)および幻覚を伴う亜型(293.82)を含む);ならびに特定不能の精神病性障害(298.9)。
【0064】
ii)うつ病および気分障害、例えば、うつ病エピソード(大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソードおよび軽躁病エピソードを含む);うつ病性障害(大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能のうつ病性障害(311)を含む);双極性障害(双極性I型障害、双極性II型障害(すなわち、軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および特定不能の双極性障害(296.80)を含む);他の気分障害(うつ病性の特徴を伴う亜型、大うつ病様エピソードを伴う亜型、躁病性の特徴を伴う亜型および混合性の特徴を伴う亜型を含む一般健康状態に因る気分障害(293.83)を含む);物質誘発性気分障害(うつ病性の特徴を伴う亜型、躁病性の特徴を伴う亜型および混合性の特徴を伴う亜型を含む);ならびに特定不能の気分障害(296.90)。
【0065】
iii)不安障害、例えば、社会不安障害;パニック発作;広場恐怖、パニック障害;パニック障害の既往歴のない広場恐怖(300.22);特定の恐怖症(300.29)(動物型、自然環境型、血液・注射・外傷型、状況型およびその他の型の亜型を含む);社会恐怖(300.23);強迫性障害(300.3);心的外傷後ストレス障害(309.81);急性ストレス障害(308.3);全般性不安障害(300.02);一般健康状態に因る不安障害(293.84);物質誘発性不安障害;および特定不能の不安障害(300.00)。
【0066】
iv)物質関連障害、例えば、物質使用障害(物質依存、物質渇望および物質乱用を含む);物質誘発性障害(物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘性障害、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性機能障害、物質誘発性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)を含む);アルコール関連障害(アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、アルコール誘発性持続性健忘性障害、アルコール誘発性精神病性障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性機能障害、アルコール誘発性睡眠障害および特定不能のアルコール関連障害(291.9)を含む);アンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害(例えば、アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘発性精神病性障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性性機能障害、アンフェタミン誘発性睡眠障害および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9));カフェイン関連障害(カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害および特定不能のカフェイン関連障害(292.9)を含む);大麻関連障害(大麻依存(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘発性精神病性障害、大麻誘発性不安障害および特定不能の大麻関連障害(292.9)を含む);コカイン関連障害(コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘発性精神病性障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性性機能障害、コカイン誘発性睡眠障害および特定不能のコカイン関連障害(292.9)を含む);幻覚剤関連障害(幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘発性精神病性障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害および特定不能の幻覚剤関連障害(292.9)を含む);吸入剤関連障害(吸入剤依存(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘発性持続性認知症、吸入剤誘発性精神病性障害、吸入剤誘発性気分障害、吸入剤誘発性不安障害および特定不能の吸入剤関連障害(292.9)を含む);ニコチンに関連する障害(ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および特定不能のニコチン関連障害(292.9)を含む);オピオイド関連障害(オピオイド依存(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘発性精神病性障害、オピオイド誘発性気分障害、オピオイド誘発性性機能障害、オピオイド誘発性睡眠障害および特定不能のオピオイド関連障害(292.9)を含む);フェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害(フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害および特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9)を含む);鎮静剤、催眠剤または抗不安薬関連障害(鎮静剤、催眠剤または抗不安薬依存(304.10)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬乱用(305.40)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬離脱(292.0)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬持続性認知症、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬持続性健忘性障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性精神病性障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性気分障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性不安障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性性機能障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性睡眠障害および特定不能の鎮静剤、催眠剤または抗不安薬関連障害(292.9)を含む);多物質関連障害(多物質依存(304.80)を含む);ならびに他の(または不明の)物質関連障害(タンパク質同化ステロイド、硝酸塩吸入剤および亜酸化窒素を含む)。
【0067】
v)睡眠障害、例えば、睡眠異常(原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および特定不能の睡眠異常(307.47)を含む)のような原発性睡眠障害;睡眠時随伴症(悪夢障害(307.47)、睡眠驚愕障害(307.46)、睡眠時遊行症(307.46)および特定不能の睡眠時随伴症(307.47)を含む)のような原発性睡眠障害;他の精神疾患に関連した睡眠障害(他の精神障害に関連した不眠症(307.42)および他の精神疾患に関連した過眠症(307.44)を含む);一般健康状態に因る睡眠障害;ならびに物質誘発性睡眠障害(亜型である不眠症型、過眠症型、睡眠時随伴症型および混合型を含む)。
【0068】
vi)摂食障害、例えば、神経性無食欲症(307.1)(亜型である制限型およびむちゃ食い/排出型を含む);神経性大食症(307.51)(亜型である排出型および非排出型を含む);肥満;強迫性摂食障害;過食症;ならびに特定不能の摂食障害(307.50)。
【0069】
vii)自閉性障害(299.00)、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害および特定不能の広汎性発達障害を含む自閉症スペクトラム障害。
【0070】
viii)注意欠陥/多動性障害(亜型である注意欠陥/多動性障害混合型(314.01)、注意欠陥/多動性障害不注意優勢型(314.00)、注意欠陥/多動性障害多動性−衝動性優勢型(314.01)および特定不能の注意欠陥/多動性障害(314.9)を含む);多動性障害;破壊的行動障害、例えば、行為障害(亜型である小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および発症年齢特定不能(312.89)を含む)、反抗挑戦性障害(313.81)および特定不能の破壊的行動障害;ならびにトウレット障害(307.23)のようなチック障害。
【0071】
ix)亜型である妄想性人格障害(301.0)、統合失調質人格障害(301.20)、統合失調型人格障害(301.22)、反社会性人格障害(301.7)、境界性人格障害(301.83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301.81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)および特定不能の人格障害(301.9)を含む人格障害。
【0072】
当然のことながら、本明細書における「治療」に対する言及は、予防、再発防止、および症状(軽度であろうと、中等度であろうと、または重度であろうと)の抑制または寛解、ならびに確立した症状の治療に及ぶ。本発明の化合物は、化合物そのものとして投与され得るが、好適には、該活性成分は、医薬製剤として提供される。
【0073】
本発明の化合物は、男性性機能障害を治療または予防するために以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)ホスホジエステラーゼV阻害剤、例えば、バルデナフィルおよびシルデナフィル;ii)ドーパミンアゴニスト/ドーパミン輸送阻害剤、例えば、アポモルヒネおよびブプロピオン;iii)αアドレナリン受容体アンタゴニスト、例えば、フェントラミン;iv)プロスタグランジンアゴニスト、例えば、アルプロスタジル;v)テストステロンアゴニスト、例えば、テストステロン;vi)セロトニン再取り込み阻害剤、例えば、シタロプラム、エシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、ダポキセチン、セルトラリン、フェモキセチン、フルボキサミン、インダルピンおよびジメルジン;v)ノルアドレナリン輸送阻害剤、例えば、レボキセチン。
【0074】
本発明の化合物は、女性性機能障害を治療または予防するために、男性性機能障害に関して特定された同薬剤と、および、加えて、エストラジオールのようなエストロゲンと組み合わせて使用することができる
【0075】
本発明の化合物は、精神障害を治療または予防するために以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)抗精神病薬;ii)錐体外路副作用に関する薬物、例えば、抗コリン薬(例えば、ベンズトロピン、ピペリデン、プロシクリジンおよびトリヘキシフェニジル)、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)およびドーパミン作動薬(例えば、アマンタジン);iii)抗うつ薬;iv)抗不安薬;およびv)向知性薬、例えば、コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、タクリン、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミン)。
【0076】
本発明の化合物は、うつ病および気分障害を治療まはた予防するために抗うつ薬と組み合わせて使用することができる。
【0077】
本発明の化合物は、双極性障害を治療または予防するために以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)気分安定剤;ii)抗精神病薬;およびiii)抗うつ薬。
【0078】
本発明の化合物は、不安障害を治療または予防するために以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)抗不安薬;およびii)抗うつ薬。
【0079】
抗精神病薬としては、定型抗精神病薬(例えば、クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジントリフルオペラジン、チオチキセン、ハロペリドール、モリンドンおよびロキサピン);および非定型抗精神病薬(例えば、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピラゾール、ジプラシドンおよびアミスルプリド)が挙げられる。
【0080】
抗うつ薬としては、セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、シタロプラム、エシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、ダポキセチン、セルトラリン、フェモキセチン、フルボキサミン、インダルピンおよびジメルジン);セロトニン/ノルアドレナリン二重再取り込み阻害剤(例えば、ベンラファキシン、デュロキセチンおよびミルナシプラン);ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(例えば、レボキセチンおよびベンラファキシン);三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびトリミプラミン);モノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えば、イソカルボキサジド、モクロペミド、フェネルジンおよびトラニルシプロミン);ならびに他のもの(例えば、ブプロピオン、ミアンセリン、ミルタザピン、ナファドゾンおよびトラゾドン)が挙げられる。
【0081】
気分安定剤としては、リチウム、バルプロ酸ナトリウム/バルプロ酸/ジバルプロエックス、カルバマゼピン、ラモトリギン、ガバペンチン、トピラマートおよびチアガビンが挙げられる。
【0082】
抗不安薬としては、アルプラゾラムおよびロラゼパムのようなベンゾジアゼピン系薬物が挙げられる。
【0083】
加えて、本発明の化合物は、5−HT3アンタゴニスト(例えば、オンダンセトロン、グラニセトロンおよびメトクロプラミド);セロトニン作動薬(例えば、スマトリプタン、ロオルシン、ヨヒンビンおよびメトクロプラミド);およびNK−1アンタゴニストと組み合わせて投与することができる。
【0084】
当然のことながら、組合せまたは組成物の化合物は、同時に(同一のまたは異なる医薬製剤中にて)、別々に、または連続的に投与することができる。
【0085】
当然のことながら、本明細書における「治療」に対する言及は、予防、再発防止、および症状(軽度であろうと、中等度であろうと、または重度であろうと)の抑制または寛解、ならびに確立した症状の治療に及ぶ。
【0086】
本発明の化合物は、通常、患者への投与の前に医薬組成物に製剤化されるが、必ずしもそうではない。したがって、別の態様では、本発明は、本発明の化合物および1種類またはそれ以上の医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物を対象とする。
【0087】
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の安全かつ有効な量が抽出され、次いで、患者に投与される、散剤またはシロップ剤のようなバルク形態で調製およびパッケージ化され得る。
【0088】
別法として、本発明の医薬組成物は、各物理的に別個の単位が本発明の化合物の安全かつ有効な量を含有する単位投与形態で調製およびパッケージ化され得る。単位投与形態で調製される場合、本発明の医薬組成物は、典型的には、0.01mg〜50mgを含有する。
【0089】
本発明の医薬組成物は、典型的には、本発明の化合物を1種類含有する。しかしながら、ある実施態様では、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を2種類以上含有する。例えば、ある実施態様では、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を2種類含有する。加えて、本発明の医薬組成物は、さらに、さらなる医薬的に活性な化合物を1種類またはそれ以上含んでもよい。
【0090】
本明細書で使用する場合、「医薬上許容される賦形剤」とは、医薬組成物に形態または一貫性を与えることに関与する医薬上許容される物質、組成物またはビヒクルを意味する。各賦形剤は、患者へ投与した場合に本発明の化合物の効力を実質的に減少させる相互作用および医薬上許容されない医薬組成物をもたらす相互作用が回避されるように、混ぜ合わせた場合に医薬組成物の他の成分と適合しなければならない。加えて、各賦形剤は、もちろん、それを医薬上許容なものにするのに十分に高い純度のものでなければならない。
【0091】
本発明の化合物および医薬上許容される賦形剤は、典型的には、望ましい投与経路による患者への投与に適した投与形態に製剤化される。例えば、投与剤形としては、(1)錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、トローチ剤、散剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、液剤、乳剤、サシェ剤、およびカシェ剤のような経口投与に適したもの、(2)滅菌液剤、懸濁剤、および復元用散剤のような非経口投与に適したもの、(3)経皮パッチ剤のような経皮投与に適したもの、(4)坐剤のような直腸投与に適したもの、(5)乾燥散剤、エアゾール剤、懸濁剤、および液剤のような吸入に適したもの;および(6)クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、液剤、ペースト剤、スプレー剤、フォーム剤およびゲル剤のような局所投与に適したものが挙げられる。
【0092】
適当な医薬上許容される賦形剤は、選択された特定の投与形態に依存して変わるであろう。加えて、適当な医薬上許容される賦形剤は、それらが組成物において果たし得る特定の機能で選ぶことができる。例えば、ある医薬上許容される賦形剤は、それらの均一な投与形態の製造を容易にする能力で選ぶことができる。ある医薬上許容される賦形剤は、それらの安定な投与形態の製造を容易にする能力で選ぶことができる。ある医薬上許容される賦形剤は、それらの、一旦患者へ投与された場合の本発明の化合物の一の臓器または身体の一部から別の臓器または身体の別の部分への運搬または輸送を容易にする能力で選ぶことができる。ある医薬上許容される賦形剤は、それらの、患者の服薬遵守を高める能力で選ぶことができる。
【0093】
適当な医薬上許容される賦形剤としては、以下の種類の賦形剤が挙げられる:希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、フレーバー剤、フレーバーマスキング剤、着色料、アンチケーキング剤、保湿剤、キレート化剤、可塑剤、増粘剤、抗酸化剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、および緩衝剤。当業者にとって当然のことながら、ある医薬上許容される賦形剤は、2つ以上の機能を果たすことがあり、存在する該賦形剤の量および製剤中に存在する他の成分に依存して別の機能を果たすことがある。
【0094】
当業者は、本発明で使用するのに適当な量の適当な医薬上許容される賦形剤を該当業者に選択させ得る技術的知識およびスキルをもっている。加えて、医薬上許容される賦形剤を記載する熟練技術者が利用可能であり、適当な医薬上許容される賦形剤を選択するのに有用であり得る多くの資料がある。例として、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives(Gower Publishing Limited)、およびThe Handbook of Pharmaceutical Excipients(the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が挙げられる。
【0095】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の技術および方法を使用して調製される。当該技術分野で一般的に使用される方法のいくつかは、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記載されている。
【0096】
一の態様では、本発明は、本発明の化合物の安全かつ有効な量および希釈剤または充填剤を含む錠剤またはカプセル剤のような固体経口投与形態を対象とする。適当な希釈剤および充填剤としては、ラクトース、シュークロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびアルファ化デンプン)、セルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶性セルロース)、硫酸カルシウムおよび第二リン酸カルシウムが挙げられる。固体経口投与形態は、さらに、結合剤を含むことができる。適当な結合剤としては、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびアルファ化デンプン)、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、ポビドン、ならびにセルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶性セルロース)が挙げられる。固体経口投与形態は、さらに、崩壊剤を含むことができる。適当な崩壊剤としては、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、アルギン酸、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。固体経口投与形態は、さらに、滑沢剤を含むことができる。適当な滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルクが挙げられる。
【0097】
本明細書にて引用した特許および特許出願を包含するがこれらに限定されない全ての刊行物は、個々の刊行物が十分に開示されているかの如く具体的かつ個別的に出典明示により本明細書の一部とすることが明示されているかのように出典明示により本明細書の一部とする。
【0098】
当然のことながら、本発明は、以下のさらなる態様を包含する。最初の態様について記載した実施態様は、これらのさらなる態様にまで及ぶ。上記の疾患および状態は、適当な場合には、これらのさらなる態様にまで及ぶ。
【0099】
i)早漏症のような性機能障害の治療または予防に使用するための本発明の化合物。
ii)疾患に伴う認知障害の治療を含む認知増強に使用するための本発明の化合物。
iii)本発明の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳動物における性機能障害(例えば、早漏症)の治療方法または予防方法。
iv)本発明の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳動物における疾患に伴う認知障害の治療方法または予防方法。
【0100】
支持化合物
多くの本発明の化合物を調製し、生物学的アッセイで試験した。これらの化合物、それらの製造およびアッセイを以下に記載する。
【0101】
以下の手順において、各出発物質の後に、典型的には中間体に対する言及を行う。これは、熟練化学者への単なる補助のために行われる。出発物質は、必ずしも、言及されるバッチから調製されたわけではない。
【0102】
本発明の化合物および中間体は、ACD/Name PRO 6.02 化合物命名ソフトウェア(カナダ国M5H2L3オンタリオ、トロントのAdvanced Chemistry Development Inc.)を使用して命名される。
【0103】
プロトン磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Varian装置にて300、400または500MHzで、Bruker装置にて300または400MHzで記録された。化学シフトは残留溶媒線を内部標準として用いてppm(δ)にて記録される。分裂パターンは、s:一重線;d:二重線;t:三重線;q:四重線;m:多重線;b:幅広いとして記載した。NMRスペクトルは、25〜90℃の範囲の温度で記録したものである。2種類以上の配座異性体が検出された場合には、最も豊富なものについての化学シフトを記載する。
【0104】
質量スペクトル(MS)は以下のいずれかを使用して測定した:
a)4 II 三連四重極質量分析計(Micromass UK)、またはES(+)およびES(−)イオン化モードで操作するAgilent MSD 1100 質量分析計、またはHPLC装置Agilent 1100 Seriesと連結したES(+)およびES(−)イオン化モードで操作するAgilent LC/MSD 1100質量分析計[LC/MS − ES(+):分析はSupelcosil ABZ +Plus(33×4.6mm、3μm)で行った(移動相:100%[水+0.1% HCO2H]で1分間、次いで、5分間の間に100%[水+0.1% HCO2H]から5%[水+0.1% HCO2H]および95%[CH3CN]、最後に、これらの条件下で2分間;T=40℃;流量=1mL/分;LC/MS − ES(−):分析はSupelcosil ABZ +Plus(33×4.6mm、3μm)で行った(移動相:100%[水+0.05% NH3]で1分間、次いで、5分間の間に100%[水+0.05% NH3]から5%[水+0.05% NH3]および95%[CH3CN]、最後にこれらの条件下で2分間;T=40℃;流量=1mL/分]。該マススペクトルでは、分子イオンクラスターにおけるピークを1つだけ記録する;または
b)総イオン電流(TIC)およびDAD UVクロマトグラフィートレースならびにピークを伴うMSおよびUVスペクトルは、2996 PDA検出器を装着し、ポジティブまたはネガティブ・エレクトロスプレーイオン化モードで操作するWaters Micromass ZQTM質量分析計と連結したUPLC/MS AcquityTMシステムで採取した。[LC/MS − ES(+/−):分析はAcquityTM UPLC BEH C18カラム(50×21mm、1.7μm粒径)、カラム温度40℃(移動相:A−水+0.1% HCOOH/B−MeCN+0.075% HCOOH、流速:1.0mL/分、勾配:t=0分 3%B、t=0.05分 6%B、t=0.57分 70%B、t=1.4分 99%B、t=1.45分 3%B)を使用して行った]。
【0105】
旋光度は、JASCO DIP−360デジタル旋光計(λ=589nm、T=20℃、c=1(MeOH中))で測定することができる。
【0106】
シリカ固相抽出は、Varianにより供給されるSPE−SiカラムまたはInternational Supplied Technologyにより供給されるIsolute Si IIのいずれかを使用して行った。
【0107】
SPE−SCXカートリッジは、Varianにより供給されるイオン交換固相抽出カラムである。SPE−SCXカートリッジと一緒に使用される溶離液は、メタノール、次いで、メタノール中2Nアンモニア溶液である。
【0108】
使用する略語を下記表に記載する:
【表1】

【実施例】
【0109】
化合物1: 6−メチル−5−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン・二塩酸塩
【化23】

(6−メチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−5−キノリニル)アセトアルデヒド(中間体1)(70mg、0.345mmol)および2−メチル−5−(1−ピペラジニル)キノリン(WO 2004/046124、Description 3)(117mg、0.517mmol)の乾燥1,2−ジクロロエタン(4ml)中混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(110mg、0.517mmol)を添加し、得られた反応混合物を4.5時間撹拌した。反応混合物をNaHCO3の飽和水溶液でクエンチし、DCMで抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮した。粗生成物をSPEカートリッジ(シリカゲル、10g)によって精製し、メタノールのDCM中勾配液(2%から3%まで)で溶離して、標記化合物の遊離塩基を得た(78mg、55%);MS(ES)m/z:415.2 [MH+];C26304Oの理論値:414.5。この標記化合物の遊離塩基(27mg、0.07mmol)をメタノール/DCM(1/1、2ml)に溶解し、0℃にてHCl(メタノール中1.25M溶液0.115ml、0.143mmol)で処理した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。揮発性物質の蒸発およびジエチルエーテルを用いた粉砕によって、黄色固体として標記化合物(27mg)を得た;1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:10.95(br.s,1H)、10.00(s,1H)、8.58(br.s,1H)、7.70−7.86(m,2H)、7.48−7.68(m,1H)、7.22−7.41(m,1H)、6.99(d,1H)、6.70(d,1H)、3.77(d,2H)、3.45−3.55(m,4H)、3.23−3.34(m,2H)、3.15−3.23(m,2H)、3.07−3.16(m,2H)、2.96(t,2H)、2.75(s,3H)、2.44(t,2H)、2.31(s,3H)。
【0110】
適当なアリールピペラジンまたはアリールピペリジンおよび(6−メチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−5−キノリニル)アセトアルデヒド(中間体1)から出発して、化合物1の製造について記載した一般的な還元アミノ化法に従って、式(Ia)で示される以下の化合物を製造した。
【0111】
【表2】

【0112】
化合物7: 1,6−ジメチル−5−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン・二塩酸塩
【化24】

6−メチル−5−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン(化合物1の遊離塩基)(50mg、0.121mmol)の0℃での乾燥DMF(3ml)中溶液に水素化ナトリウム(鉱油中60%分散体7mg、0.169mmol)およびヨードメタン(0.09ml、0.145mmol)を添加した。2時間後、反応物を水でクエンチし、DCMで抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮した。粗生成物をSPEカートリッジ(シリカゲル、10g)によって精製し、メタノールのDCM中勾配液(2%から3%まで)で溶離して、標記化合物の遊離塩基を得た(40mg、77%);MS(ES)m/z:429.1 [MH+];C27324Oの理論値:428.6。遊離塩基(40mg、0.09mmol)をメタノール(3ml)に溶解し、0℃にてHCl(メタノール中1.25M溶液0.164ml、0.206mmol)で処理した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。揮発性物質の蒸発およびジエチルエーテルを用いた粉砕によって、黄色固体として標記化合物を得た(40mg);1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:10.77(br.s,1H)、8.60(br.s,1H)、7.74(br.s,2H)、7.54(br.s,1H)、7.30(br.s,1H)、7.13(d,1H)、6.96(d,1H)、3.64−3.90(m,2H)、3.44−3.61(m,4H)、3.22−3.25(m,3H)、3.16−3.18(m,1H)、3.12−3.40(m,6H)、2.84−3.01(m,2H)、2.71(br.s,3H)、2.47−2.57(m,2H)、2.32−2.40(m,3H)。
【0113】
適当なアリールピペラジンおよび(1,6−ジメチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−5−キノリニル)アセトアルデヒド(中間体3)から出発して、化合物1の製造について記載した一般的な還元アミノ化法に従って、式(Ib)で示される以下の化合物を製造した。
【0114】
【表3】

【0115】
化合物13: 1,6−ジメチル−5−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペリジニル]エチル}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン・二塩酸塩
【化25】

化合物6の遊離塩基から出発して、化合物7の製造と同様の方法で標記化合物を製造した。標記化合物の遊離塩基により、MS(ES)m/z:428.3 [MH+];C28333Oの理論値:427.6;1H NMR(塩)(300MHz,DMSO−d6)δ:11.16(br.s,1H)、9.08(br.s,1H)、8.3−7.5(m,4H)、7.11(d,1H)、6.92(d,1H)、4.0−2.8(m,17H)、2.40−2.0(t,9H)が得られた。
【0116】
適当なアリールピペラジンまたはアリールピペリジンおよび(6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−5−キノリニル)アセトアルデヒド(中間体14)から出発して、化合物1の製造について記載した一般的な還元アミノ化法に従って、式(Ic)で示される以下の化合物を製造した。
【0117】
【表4】

【0118】
適当なアリールピペラジンまたはアリールピペリジンおよび(1,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−5−キノリニル)アセトアルデヒド(中間体12)から出発して、化合物1の製造について記載した一般的な還元アミノ化法に従って、式(Id)で示される以下の化合物を製造した。
【0119】
【表5−1】

【表5−2】

【0120】
適当なアリールピペラジンまたはアリールピペリジンおよび(6−クロロ−1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−5−キノリニル)アセトアルデヒド(中間体23)から出発して、化合物1の製造について記載した一般的な還元アミノ化法に従って、式(Ie)で示される以下の化合物を製造した。
【0121】
【表6】

【0122】
化合物31および32: 3,6−ジメチル−7−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−1,1a,3,7b−テトラヒドロ−2H−シクロプロパ[c]キノリン−2−オン・二塩酸塩の分離エナンチオマー
【化26】

2−メチル−5−(1−ピペラジニル)キノリンのラセミ混合物および(3,6−ジメチル−2−オキソ−1a,2,3,7b−テトラヒドロ−1H−シクロプロパ[c]キノリン−7−イル)アセトアルデヒド(中間体26)から出発して、一般的な還元アミノ化法(実施例1)に従って、標記化合物の遊離塩基をラセミ混合物として製造した;MS:(ES)m/z:441 [MH+]。C28344Oの理論値:440.59。遊離塩基をセミ分取HPLCクロマトグラフィーCHIRALCEL OD[25×2.1cm;移動相(n−ヘキサン、モディファイヤー:30%エタノール)、流速=13ml/分;UV波長:225nm]によって分離して、化合物31(エナンチオマー1)の遊離塩基(29mg)および化合物32(エナンチオマー2)の遊離塩基(28mg)を得た。両エナンチオマーのエナンチオマー過剰率を分析用HPLC条件[キラルカラム:CHIRALCEL OD、25×0.46cm;移動相(n−ヘキサン、モディファイヤー:28%エタノール)、流速=0.8ml/分;UV波長:DAD(210〜340nm);CD=230nm(円偏光二色性)]によって証明した。
化合物31(エナンチオマー1)の有離塩基:>99.5% a/a(UVによる)、保持時間:8.8分、e.e. >99.5%;MS:(ES)m/z:441 [MH+]。C28344Oの理論値:440.59。
化合物32(エナンチオマー2)の遊離塩基:96.8% a/a(UVによる)、保持時間10.6分;e.e.=93.74%;エナンチオマー1を3.1%含有する;MS:(ES)m/z:441 [MH+]。C28344Oの理論値:440.59。
【0123】
常法にて遊離塩基を塩酸塩に変換した。
化合物31(エナンチオマー1):1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:11.61(br.s,1H)、8.93(br.s,1H)、7.91−8.04(m,2H)、7.77−7.89(m,1H)、7.48(br.s,1H)、7.10(d,1H)、6.91(d,1H)、3.23−4.02(m,12H)、3.19−3.23(m,3H)、2.89−2.96(m,3H)、2.81−2.91(m,1H)、2.34−2.40(m,3H)、2.14−2.22(m,1H)、1.66−1.74(m,1H)、0.47−0.54(m,1H)。
化合物32(エナンチオマー2):1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:11.64(br.s,1H)、8.95(br.s,1H)、7.91−8.10(m,2H)、7.77−7.90(m,1H)、7.48(br.s,1H)、7.10(d,1H)、6.92(d,1H)、3.24−3.93(m,12H)、3.19−3.24(m,3H)、2.91−2.95(m,3H)、2.81−2.91(m,1H)、2.34−2.40(m,3H)、2.13−2.21(m,1H)、1.63−1.74(m,1H)、0.46−0.54(m,1H)。
【0124】
化合物33および34: 3,6−ジメチル−7−{2−[(2S)−2−メチル−4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−1,1a,3,7b−テトラヒドロ−2H−シクロプロパ[c]キノリン−2−オン・二塩酸塩の分離ジアステレオ異性体
【化27】

2−メチル−5−[(3S)−3−メチル−1−ピペラジニル]キノリンおよび(3,6−ジメチル−2−オキソ−1a,2,3,7b−テトラヒドロ−1H−シクロプロパ[c]キノリン−7−イル)アセトアルデヒド(中間体26)から出発して、一般的な還元アミノ化法(実施例1)に従って、標記化合物の遊離塩基をジアステレオ異性体の混合物として製造した;MS:(ES)m/z:455 [MH+]。C28344Oの理論値:454.6。該混合物をセミ分取HPLCクロマトグラフィー[CHIRALPAK AD−H、25×2.1cm;移動相(n−ヘキサン、モディファイヤー:45%エタノール)、流速=11ml/分;UV波長:225nm]により分離して、化合物33(ジアステレオ異性体1)の遊離塩基(38mg)および化合物34(ジアステレオ異性体2)の遊離塩基(31mg)を得た。常法にて遊離塩基を塩酸塩に変換した。ジアステレオ異性体のエナンチオマー純度を分析用HPLC条件[キラルカラム:CHIRALPAK AD−H、25×0.46cm;移動相(n−ヘキサン、モディファイヤー:45%エタノール)、流速=0.8ml/分;UV波長:DAD(210〜340nm);CD=230nm(円偏光二色性)]によって証明した。
【0125】
化合物33(ジアステレオ異性体1):>99.5% a/a(UVによる)、保持時間10.1分(化合物34(ジアステレオ異性体2)の痕跡は検出されなかった);1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:11.33(br.s,1H)、8.89(br.s,1H)、7.97(br.s,2H)、7.78(br.s,1H)、7.42(br.s,1H)、7.00−7.19(m,1H)、6.89−6.94(m,1H)、3.19(br.s,3H)、3.08−4.13(m,11H)、2.89(br.s,3H)、2.75−2.88(m,1H)、2.28−2.40(m,3H)、2.09−2.24(m,1H)、1.61−1.74(m,1H)、1.39−1.59(m,3H)、0.44−0.59(m,1H)。
化合物34(ジアステレオ異性体2):>99.5% a/a(UVによる)、保持時間14.6分(化合物33(ジアステレオ異性体1)の痕跡は検出されなかった);1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:11.13−11.79(m,1H)、8.92(br.s,1H)、7.94(br.s,2H)、7.81(br.s,1H)、7.44(br.s,1H)、7.06−7.14(m,1H)、6.88−6.95(m,1H)、3.21(s,3H)、3.11−4.14(m,11H)、2.89(br.s,3H)、2.78−2.87(m,1H)、2.31−2.41(m,3H)、2.13−2.22(m,1H)、1.61−1.71(m,1H)、1.40−1.63(m,3H)、0.45−0.56(m,1H)。
【0126】
化合物35および36: 3,6−ジメチル−7−{2−[(2R)−2−メチル−4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−1,1a,3,7b−テトラヒドロ−2H−シクロプロパ[c]キノリン−2−オン・二塩酸塩の分離ジアステレオマー
【化28】

2−メチル−5−[(3R)−3−メチル−1−ピペラジニル]キノリンおよび(3,6−ジメチル−2−オキソ−1a,2,3,7b−テトラヒドロ−1H−シクロプロパ[c]キノリン−7−イル)アセトアルデヒド(中間体26)から出発して、一般的な還元アミノ化法(実施例1)に従って、標記化合物の遊離塩基をジアステレオマーの混合物として製造した;MS:(ES)m/z:455 [MH+]。C28344Oの理論値:454.6。該混合物をセミ分取HPLCクロマトグラフィー[CHIRALCEL OD、25×2.1cm;移動相(n−ヘキサン、モディファイヤー:30%イソプロパノール)、流速=15ml/分;UV波長:220nm]により分離して、化合物35(ジアステレオ異性体1)の遊離塩基(40mg)および化合物36(ジアステレオ異性体2)の遊離塩基(37mg)を得た。常法にて遊離塩基を塩酸塩に変換した。ジアステレオ異性体のエナンチオマー純度を分析用HPLC条件[キラルカラム:CHIRALCEL OD、25×0.46cm;移動相(n−ヘキサン、モディファイヤー:25%イソプロパノール)、流速=0.9ml/分;UV波長:DAD(210〜340nm);CD=225nm(円偏光二色性)]によって証明した。
化合物35(ジアステレオ異性体1):99.8% a/a(UVによる)、保持時間11.8分(化合物36(ジアステレオ異性体2)は検出されなかった);1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:11.62−11.88(m,1H)、8.99(br.s,1H)、8.00(br.s,2H)、7.84(br.s,1H)、7.47(br.s,1H)、7.05−7.16(m,1H)、6.86−6.97(m,1H)、3.20(br.s,3H)、3.08−4.12(m,11H)、2.93(br.s,3H)、2.79−2.92(m,1H)、2.32−2.41(m,3H)、2.13−2.24(m,1H)、1.62−1.75(m,1H)、1.42−1.60(m,3H)、0.46−0.59(m,1H)。
化合物36(ジアステレオ異性体2):(99.8% a/a(UVによる)、保持時間18.3分(化合物35(ジアステレオ異性体1)は検出されなかった);1H NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:11.53−12.13(m,1H)、9.05(br.s,1H)、7.94−8.11(m,2H)、7.87(br.s,1H)、7.41−7.58(m,1H)、7.05−7.16(m,1H)、6.84−6.98(m,1H)、3.16−3.24(m,3H)、3.14−4.13(m,11H)、2.95(br.s,3H)、2.80−2.92(m,1H)、2.31−2.43(m,3H)、2.10−2.24(m,1H)、1.60−1.72(m,1H)、1.42−1.63(m,3H)、0.44−0.55(m,1H)。
【0127】
中間体1: (6−メチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−5−キノリニル)アセトアルデヒド
【化29】

四酸化オスミウム(水中4重量%溶液1.4ml、0.125当量)を6−メチル−5−(2−プロペン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン(製造について、WO 2006024517、Description 123を参照)(350mg、1.74mmol)のTHF/水(2:1;30ml)中撹拌溶液に添加した。10分後、過ヨウ素酸ナトリウム(930mg、4.35mmol)を添加し、反応混合物を2時間撹拌した。THFを蒸発させた後、残留物を水と酢酸エチルとの間で分配させた。有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮した。粗生成物をSPE−Siカートリッジにより精製し、酢酸エチル/シクロヘキサン(7/3)で溶離して、標記化合物(219mg、62%)を得た;1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:9.7(t,1H)、7.04(d,1H)、6.60(d,1H)、3.80(d,2H)、2.88(t,2H)、2.60(t,2H)、2.27(s,3H)。
【0128】
中間体2: 1,6−ジメチル−5−(2−プロペン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン
【化30】

6−メチル−5−(2−プロペン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン(製造について、WO 2006024517、Description 123を参照)(400mg、1.99mmol)の0℃での乾燥DMF(2ml)中溶液に水素化ナトリウム(鉱油中60%分散体88mg、2.19mmol)およびヨードメタン(0.136ml、2.19mmol)を添加した。3時間後、反応混合物をNH4Cl飽和水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮した。粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、酢酸エチル/シクロヘキサン(1/4)で溶離して、薄橙色の油状物として標記化合物を得た(326mg、76%);MS;(ES)m/z:216.2 [MH+]。C1417NOの理論値:215.29。
【0129】
中間体3: (1,6−ジメチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−5−キノリニル)アセトアルデヒド(D3)
【化31】

1,6−ジメチル−5−(2−プロペン−1−イル)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン(中間体2、325mg、1.51mmol)から出発して、中間体1の製造と同様の方法で、標記化合物を収率65%で製造した;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ: 9.74(t,1H)、7.16(d,1H)、6.91(d,1H)、3.85(d,2H)、3.35(s,3H)、2.80−2.86(m,2H)、2.59−2.65(m,2H)、2.31(s,3H)。
【0130】
中間体4: 5−[(3R,5S)−3,5−ジメチル−1−ピペラジニル]−2−メチルキノリン
【化32】

トリフルオロメタンスルホン酸2−メチル−5−キノリニル(製造について、WO 2004046124、Description 1を参照;0.5g、1.72mmol)の乾燥トルエン(20ml)中溶液にシス−2,6−ジメチルピペラジン(0.2g、1.8mmol)、炭酸セシウム(0.84g、2.58mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.02g、0.086mmol)およびBINAP(0.214g、0.344mmol)を添加した。反応混合物を90℃で18時間加熱し、溶媒を蒸発させ、粗生成物をシリカフラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH 95:5)により精製して、茶色の油状体として標記化合物を得た(0.2g);1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:8.8(d,1H)、7.8(d,1H)、7.65(t,1H)、7.32(d,1H)、7.05(d,1H)、3.38(m,2H)、3.25(d,2H)、2.60(t,2H)、2.31(s,3H)、1.1(s,6H)。
【0131】
中間体5: 5−(3,3−ジメチル−1−ピペラジニル)−2−メチルキノリン
【化33】

トリフルオロメタンスルホン酸2−メチル−5−キノリニルおよび2,2−ジメチルピペラジン(商業的に入手可能)から出発して、中間体4と同様の方法で標記化合物を製造した;MS(ES)m/z:256 [MH+]。
【0132】
中間体6: 5−(3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2−メチルキノリン
【化34】

中間体4について記載した方法に従って、トリフルオロメタンスルホン酸2−メチル−5−キノリニルを3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸1,1−ジメチルエチルと反応させ、次いで、DCM(1:1)中におけるトリフルオロ酢酸での室温にて1時間の処理によりt−ブトキシカルボニル基を除去することによって、標記化合物を製造した。溶媒を除去し、SCXカートリッジを使用して粗生成物を精製し、NH4OH/MeOH 98/2で溶離した;MS(ES)m/z:254 [MH+]。
【0133】
中間体7: 7−フルオロ−2−メチル−5−[(3S)−3−メチル−1−ピペラジニル]キノリン
【化35】

トリフルオロメタンスルホン酸7−フルオロ−2−メチル−5−キノリニル(製造について、WO 2004046124、Description 101を参照)および(2S)−2−メチルピペラジンから中間体4の製造と同様の方法で標記化合物を製造した;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:8.31(d,1H)、7.29 −7.42(m,1H)、7.22(d,1H)、6.76−6.88(m,1H)、3.12−3,31(m,5H)、2.76−2.91(m,1H)、2.66−2.76(m,3H)、2.42−2.56(m,1H)、1.09−1.21(m,3H)。
【0134】
中間体8: 5−ブロモ−6−メチルキノリン1−オキシド
【化36】

3−クロロ過安息香酸(77%、24.1g、139.4mmol)を5−ブロモ−6−メチルキノリン(19.9g、89.5mmol、製造について、Chem. Heterocycl. Compd.(Engl.Trans.)1998 vol 24, 8, 892を参照)の0℃でのにDCM(331ml)中溶液に添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、NaHCO3飽和水溶液でクエンチした。反応混合物をDCMで抽出し、合わせた有機抽出物をNaHCO3飽和水溶液で再度洗浄し、次いで、乾燥させ(Na2SO4)、真空蒸発させて、標記化合物を固体として得た(21.30g、100%);MS;(ES)m/z:238、240 [MH+]。C108BrNOの理論値:238.08;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:8.67(d,1H)、8.54(d,1H)、8.19(d,1H)、7.65(d,1H)、7.38(dd,1H)、2.66(s,3H)。
【0135】
中間体9: 5−ブロモ−6−メチル−2(1H)−キノリノン
【化37】

無水トリフルオロ酢酸(48.5ml、348.6mmol)を5−ブロモ−6−メチルキノリン1−オキシド(中間体8)(16.6g、69.7mmol)の0℃でのDMF(46ml)中溶液に添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌し、次いで、NaHCO3飽和水溶液(600ml)中に注いだ。得られた沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルを用いて粉砕して、標記化合物を得た(13.5g、81%);MS:(ES)m/z:238、240 [MH+]。C108BrNOの理論値:238.08;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:11.92(br.s.,1H)、8.08(d,1H)、7.47(d,1H)、7.24(d,1H)、6.60(d,1H)、2.42(s,3H)。
【0136】
中間体10: 5−ブロモ−1,6−ジメチル−2(1H)−キノリノン
【化38】

5−ブロモ−6−メチル−2(1H)−キノリノン(中間体9)(7.0g、29.4mmol)の0℃での乾燥DMF(100ml)中溶液に水素化ナトリウム(鉱油中60%分散体1.65g、41.2mmol)およびヨードメタン(2.2ml、35.3mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、水でクエンチし、DCMで抽出した。合わせた有機物を乾燥し(Na2SO4)、真空濃縮した。ジエチルエーテルを用いて粗生成物を粉砕して、標記化合物を得た(4.98g、67%);MS;(ES)m/z:252、254 [MH+]。C1110BrNOの理論値:252.11。
【0137】
中間体11: 1,6−ジメチル−5−(2−プロペン−1−イル)−2(1H)−キノリノン
【化39】

5−ブロモ−1,6−ジメチル−2(1H)−キノリノン(中間体10)(4.98g、19.76mmol)の乾燥DMF(100ml)中溶液にアリルトリブチルスタンナン(7.85g、23.7mmol)、パラジウム(0)テトラキストリフェニルホスフィン(2.28g、1.98mmol)および塩化リチウム(0.016g、0.4mmol)を添加した。反応混合物を100℃で1.5時間加熱し、次いで、水で希釈し、DCMで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、真空蒸発させた。粗物質をシリカフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン(7:3))により精製して、標記化合物を得た(3.95g、94%);MS(ES)m/z:214.17 [MH+];C1415NOの理論値:213.28。
【0138】
中間体12: (1,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−5−キノリニル)アセトアルデヒド
【化40】

1,6−ジメチル−5−(2−プロペン−1−イル)−2(1H)−キノリノン(中間体11)(3.95g、18.51mmol)から出発して、中間体1の製造と同様の方法で、標記化合物を収率64%(2.55g)で製造した;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:9.77(t,1H)、7.79(d,1H)、7.46(d,1H)、7.28(d,1H)、6.76(d,1H)、4.08(d,2H)、3.74(s,3H)、2.42(s,3H)。
【0139】
中間体13: 5−((E/Z)−2−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}エテニル)−6−メチル−2(1H)−キノリノン
【化41】

5−ブロモ−6−メチル−2(1H)−キノリノン(中間体9)(1.5g、6.3mmol)のDMF(50ml)中溶液に酢酸パラジウム(II)(566mg、2.52mmol)、トリフェニルホスフィン(661mg、2.52mmol)、2−(エテニルオキシ)−N,N−ジメチルエタンアミン(5.8g、50.4mmol)およびTEA(7.04ml、50.4mmol)を添加し、該混合物を100℃で加熱した。2時間後、さらにに、酢酸パラジウム(II)(283mg、1.26mmol)、トリフェニルホスフィン(331mg、1.26mmol)、2−(エテニルオキシ)−N,N−ジメチルエタンアミン(2.9g、25.2mmol)およびTEA(3.52ml、25.2mmol)を添加し、反応物を100℃で一夜撹拌した。該反応はまだ完了していなかったので、さらに酢酸パラジウム(II)(142mg、0.63mmol)、トリフェニルホスフィン(166mg、0.63mmol)、2−(エテニルオキシ)−N,N−ジメチルエタンアミン(1.45g、12.6mmol)およびTEA(1.76ml、12.62mmol)を添加し、反応物を100℃でさらに6時間撹拌した。反応物を冷却し、水でクエンチし、DCMで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮した。粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、メタノールの酢酸エチル中勾配液(5%から10%まで)で溶離して、標記化合物を得た(685mg、40%);(ES)m/z:273.1 [MH+];C162022の理論値:272.35。
【0140】
中間体14: (6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−5−キノリニル)アセトアルデヒド
【化42】

5−((E/Z)−2−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}エテニル)−6−メチル−2(1H)−キノリノン(中間体13)(685mg、2.52mmol)のDCM/ペンタン(50ml/12.5ml)中溶液にH2SO4(96%)/H2O(12.5ml/50ml)の混合物を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した後、NaHCO3(飽和溶液)およびK2CO3で中和した。混合物をDCMで抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮して、標記化合物(442mg)を得、これをさらなる精製を行わずに次工程で使用した;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:12.3(br.s,1H)9.77(s,1H)、7.95(d,1H)、7.43(d,1H)、7.35(d,1H)、6.77(d,1H)、4.08(d,2H)、2.43(s,3H)。
【0141】
中間体15: N−[4−クロロ−3−(メチルオキシ)フェニル]−2,2−ジメチルプロパンアミド
【化43】

4−クロロ−3−(メチルオキシ)アニリン(商業的に入手可能)(9.0g、57mmol)およびTEA(8.74ml、63mmol)の氷浴温度でのDCM(60ml)中溶液に塩化ピバロイル(7.02ml、57mmol)を20分間にわたって添加した。温度を室温に加温し、2.5時間後、反応混合物を水でクエンチした。該混合物をDCMで抽出し、有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮した。ジエチルエーテルを用いて粗固体を粉砕して、標記化合物を得た(11.0g、80%);(ES)m/z:242.1 [MH+];C1216ClNO2の理論値:241.72。
【0142】
中間体16: N−[4−クロロ−2−ホルミル−3−(メチルオキシ)フェニル]−2,2−ジメチルプロパンアミド
【化44】

ブチルリチウム(THF中1.6M溶液71ml、114mmol)をN−[4−クロロ−3−(メチルオキシ)フェニル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(中間体15)(11.0g、45.6mmol)の0℃でのTHF(50ml)中溶液にゆっくりと添加した。該反応物を0℃で2時間撹拌し、次いで、DMF(8.8ml、114mmol)を添加した。温度を室温に上昇させ、撹拌をさらに16時間続けた。反応物をNH4Cl飽和水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮した。この粗生成物をさらなる精製を行わずに次工程で使用した;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:11.6(br.s,1H)、10.35(s,1H)、8.50(d,1H)、7.52(d,1H)、3.95(s,3H)、1.30(s,9H)。
【0143】
中間体17: (2E/Z)−3−[3−クロロ−6−[(2,2−ジメチルプロパノイル)アミノ]−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−プロペン酸エチル
【化45】

(カルボエトキシメチレン)トリフェニル−ホスホラン(商業的に入手可能)(17.7g、50.9mmol)をN−[4−クロロ−2−ホルミル−3−(メチルオキシ)フェニル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(中間体16)(13.7g、50.9mmol)の室温でのトルエン(60ml)中溶液に添加した。反応混合物を5時間撹拌し、溶媒を減圧除去し、粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、酢酸エチル/シクロヘキサン(3/7)で溶離して、標記化合物(13.9g、90%)を得た;(ES)m/z:340.1 [MH+];C1722ClNO4の理論値:339.82。
【0144】
中間体18: 6−クロロ−5−(メチルオキシ)−2(1H)−キノリノン
【化46】

(2E/Z)−3−[3−クロロ−6−[(2,2−ジメチルプロパノイル)アミノ]−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−プロペン酸エチル(中間体17)(11.3g、33.3mmol)のエタノール(50ml)中溶液に塩酸水溶液(H2O中10%溶液210ml)を添加し、該混合物を還流させながら20時間加熱した。エタノールを減圧除去し、標記生成物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄した(4.42g、63%);(ES)m/z:210.1 [MH+];C108ClNO2の理論値:209.63。
【0145】
中間体19: 6−クロロ−5−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン
【化47】

臭化水素(H2O中48%、60ml)を6−クロロ−5−(メチルオキシ)−2(1H)−キノリノン(中間体18)(2.0g、9.6mmol)にゆっくりと添加し、該混合物を130℃で2.5時間加熱した。溶媒を減圧除去して、固体を得、これを水およびジエチルエーテルで洗浄して、標記化合物を得た(2.19g、100%);(ES)m/z:196.0 [MH+];C96ClNO2の理論値:195.60。
【0146】
中間体20: トリフルオロメタンスルホン酸6−クロロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−5−キノリニル
【化48】

1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド(5.21g、14.6mmol)を6−クロロ−5−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン(中間体19)(2.19g、11.2mmol)の0℃でのCH3CN(60ml)およびトリエチルアミン(4.7ml、33.7mmol)中撹拌懸濁液に滴下した。反応混合物を室温で7時間撹拌し、次いで、水でクエンチし、DCMで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮した。粗生成物を、ジエチルエーテルを用いた粉砕により精製して、標記化合物を得た(2.69g、73%);(ES)m/z:328.2 [MH+];C105ClF3NO4Sの理論値:327.67。
【0147】
中間体21: 6−クロロ−5−(2−プロペン−1−イル)−2(1H)−キノリノン
【化49】

トリフルオロメタンスルホン酸6−クロロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−5−キノリニル(中間体20)(2.00g、6.12mmol)から出発して、中間体11の製造と同様の方法で、標記化合物を収率71%で製造した(952mg);(ES)m/z:220.1 [MH+];C1210ClNOの理論値:219.67。
【0148】
中間体22: 6−クロロ−1−メチル−5−(2−プロペン−1−イル)−2(1H)−キノリノン
【化50】

6−クロロ−5−(2−プロペン−1−イル)−2(1H)−キノリノン(中間体21)(837mg、3.82mmol)から出発して、中間体2の製造と同様の方法で、標記化合物を収率53%で製造した(469mg);(ES)m/z:234.1 [MH+];C1312ClNOの理論値:233.70。
【0149】
中間体23: (6−クロロ−1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−5−キノリニル)アセトアルデヒド
【化51】

6−クロロ−1−メチル−5−(2−プロペン−1−イル)−2(1H)−キノリノン(中間体22)(469mg、2.01mmol)から出発して、中間体1の製造と同様の方法で、標記化合物を収率52%で製造した(220mg);1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:9.8(t,1H)、7.71(d,1H)、7.64(d,1H)、7.34(d,1H)、6.80(d,1H)、4.28(d,2H)、3.75(s,3H)。
【0150】
中間体24: (±)−7−ブロモ−3,6−ジメチル−1,1a,3,7b−テトラヒドロ−2H−シクロプロパ[c]キノリン−2−オン
【化52】

水素化ナトリウム(鉱油中60%分散体368mg、6.7mmol)をヨウ化トリメチルスルホニウム(1.43g、6.5mmol)のDMSO(4ml)中溶液に添加し、該混合物を室温で1時間撹拌した。反応温度を0℃に冷却し、5−ブロモ−1,6−ジメチル−2(1H)−キノリノン(中間体10)のDMSO(2ml)中溶液を滴下した。次いで、得られた混合物を90℃で2日間加熱した。反応混合物を氷上に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮した。粗生成物をSPEカートリッジ(シリカゲル、20g)により精製し、シクロヘキサン/酢酸エチル(3:1)で溶離して、標記化合物を得た(77mg、31%);MS:(ES)m/z:266、268 [MH+]。C1212BrNOの理論値:266.14。
【0151】
中間体25: (±)−3,6−ジメチル−7−(2−プロペン−1−イル)−1,1a,3,7b−テトラヒドロ−2H−シクロプロパ[c]キノリン−2−オン
【化53】

7−ブロモ−3,6−ジメチル−1,1a,3,7b−テトラヒドロ−2H−シクロプロパ[c]キノリン−2−オン(中間体24、498mg、1.9mmol)から出発して、中間体11の製造と同様の方法で、標記化合物を収率94%で製造した;MS;(ES)m/z:228.1 [MH+]。C1517NOの理論値:227.14。
【0152】
中間体26: (±)−(3,6−ジメチル−2−オキソ−1a,2,3,7b−テトラヒドロ−1H−シクロプロパ[c]キノリン−7−イル)アセトアルデヒド
【化54】

3,6−ジメチル−7−(2−プロペン−1−イル)−1,1a,3,7b−テトラヒドロ−2H−シクロプロパ[c]キノリン−2−オン(中間体25、398mg、1.75mmol)から出発して、中間体1の製造と同様の方法で、標記化合物を収率52%で製造した;1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:9.79(s,1H)、7.13(d,1H)、6.86(d,1H)、3.87−4.06(m,2H)、3.35(s,3H)、2.37−2.50(m,1H)、2.32(s,3H)、2.22−2.33(m,1H)、1.57−1.66(m,1H)、0.53−0.61(m,1H)。
【0153】
生物学的アッセイ
a)機能的能力 − 一次スクリーン
機能的能力は、以下のGTPγS結合プロトコールによって決定され得る。該研究で使用される細胞はCHO細胞およびヒト胚腎臓(HEK293)である。以下のとおり、ヒト受容体をコードするDNAを細胞にトランスフェクトした:HEK293 5−HT1A;CHO 5−HT1B;およびCHO 5−HT1D。試験化合物を最初に100%ジメチルスルホキシドに溶解して10mMの濃度にした。試験化合物の100%ジメチルスルホキシド中段階希釈を、384ウェルアッセイプレート中にてBiomek FXを使用して行って、アッセイにおける試験化合物の最終最高濃度を3μMとする。固体白色384ウェルアッセイプレート(Costar)に1.0%総アッセイ容量(TAV)で試験化合物を添加した。20mM HEPES pH 7.4、100mM NaCl、3mM MgCl2および10μM GDP中にて50%TAVの前結合した(室温で90分間)膜(5ug/ウェル)、Wheatgerm Agglutinin Polystyrene Scintillation Proximity Assay ビーズ(RPNQ0260 Amersham International)(0.25mg/ウェル)を添加した。3回目の投与は、アッセイバッファー中で調製した、20%TAVのバッファー、アゴニストフォーマット、またはEC80最終アッセイ濃度(FAC)のアゴニスト、5HTアンタゴニストフォーマットの添加であった。該アッセイは、29%TAVのGTPγS 0.38nM FACの添加によって開始した。全ての添加後、アッセイプレートを室温で2〜3時間インキュベートした。アッセイプレートをViewlux、613/55フィルターで5分間カウントした。最後の添加の後、2〜6時間、アッセイプレートを読み取った。
アッセイa)を使用した場合、全ての支持化合物1〜36から得られた5−HT1Aに対するfpKiは7.7よりも大きかった。
アッセイa)を使用した場合、支持化合物1〜11、13〜16、および20〜35から得られた5−HT1Aに対するfpKiは8よりも大きく、5−HT1Bに対するfpKiは7以下であった。
アッセイa)を使用した場合、支持化合物1、2、6〜11、13〜15、17〜20、26〜29、31、32および34から得られた5−HT1Aに対するfpKiは8.5以上であり、5−HT1Bに対するfpKiは7以下であった。
【0154】
b)受容体親和性
本発明の化合物の5−HT1A受容体、5−HT1B受容体および5−HT1D受容体に対する親和性は、以下のアッセイによって決定され得る。
Trisバッファー中にて5−HT1A受容体を発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(4×107細胞/ml)をホモジナイズし、1mlのアリコートに分けて貯蔵した。Trisバッファー中にて5−HT1B受容体を発現するCHO細胞(4×107細胞/ml)をホモジナイズし、1.5mlのアリコートに分けて貯蔵した。Trisバッファー中にて5−HT1D受容体を発現するCHO細胞(1×108/ml)をホモジナイズし、1mlのアリコートに分けて貯蔵した。結合アッセイは、総容量500μlで行われる。各試験化合物について0.3mM〜0.3nM(最終濃度の100倍の濃度)の濃度範囲の7つの溶液を調製した。1ウェルにつき試験化合物を含有する溶液5μlを分配し、所望の最終のアッセイ濃度の5倍の濃度で、すなわち、5−HT1B1D受容体についてはTris Mg HCl バッファー(pH 7.7)中にて[3H]−5−HT 15nM(最終アッセイ濃度:3nM)、そして、5−HT1A受容体については150μM GPP(NH)p(最終アッセイ濃度:30μM)を含有するTris Mg HClバッファー(pH 7.7)中にて[3H]WAY100635 2.5nM(最終濃度:0.5nM)放射性リガンド100μlを添加した。Tris Mg HClバッファー(pH 7.7)中の細胞膜懸濁液400μl/ウェルを添加して、総容量505μlを調製した。37℃で45分間インキュベートした。5−HT1B1D受容体については0.01mM 5−HTを使用し、そして、5−HT1A受容体については0.01mM WAY100635を使用して非特異的結合を決定した。Packard Filtermateを用いる急速濾過によりインキュベーションを終わらせた。Topcountシンチレーションカウンティングを用いて放射能を測定した。反復性最小二乗カーブフィッティングプログラムによって得られたIC50からpKi値を計算した。
【0155】
c)ヒトSERTについての濾過[3H]シタロプラム結合アッセイ
セロトニン輸送体(SERT)の再取り込み部位を結合する化合物の親和性は、ヒトSERT(hSERT/LLCPK)をトランスフェクトした組換え型ブタ腎臓上皮細胞において行われる[3H]シタロプラム結合アッセイを用いて評価され得る。500cm2のペトリ皿中にて細胞を増殖させ、80%の集密度の膜調製物を使用した。5mM EDTAを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で細胞を収集し、4℃で8分間、900gにて遠心分離した。30〜50容量のアッセイバッファー(50mM Tris、120mM NaCl、5mM KCl、10μMパルギリン、0.1%アスコルベート(pH=7.7))中にてペレットをホモジナイズし、4℃で20分間、48000gにて遠心分離した。同容量でペレットを再懸濁し、37℃で20分間インキュベートした後、上記のように遠心分離し、最後に、冷アッセイバッファー中タンパク質約0.2mg/mlのアリコートに分けた。[3H]シタロプラム結合アッセイについては、試験化合物(DMSO原液で100倍)(総結合を規定するため)または最終濃度10μMのDMSO中フルオキセチン(非特異的結合を規定するため)4μl、アッセイバッファー中0.25nMの最終濃度の[3H]シタロプラム200μl、およびタンパク質2μg/ウェルの濃度のアッセイバッファーで希釈した膜(最終アッセイ容量400μl)200μlを添加した。膜を添加して、反応を開始し、室温で2時間インキュベートした。Packardセルハーベスターを用いて0.5%ポリエチレンイミン(PEI)中に前浸漬したGF/B 96−フィルタープレートで急速濾過することによって反応を停止させた。96−フィルタープレートを1ml/ウェルの冷0.9%NaCl溶液で3回洗浄し、Packard TopCountで放射能をカウントした。
【0156】
d)ヒトSERTについてのシンチレーション近接アッセイ(SPA)
ヒトSERT輸送体に対する化合物親和性はまた、組換え型ヒトSERT膜中にて[3H]シタロプラムSPA結合アッセイを使用することによって評価され得る。Bacmam形質導入293−F細胞のホモジナイズ、次いで、低速での遠心分離、および50mM TRIS、130mM NaClバッファー(膜を−80℃で数ヶ月間貯蔵することができる)中における再懸濁によって膜を調製した。SPA結合アッセイは、384−ウェルプレートフォーマット(Greiner 781095)中にて行われる。簡単に言えば、DMSO原液中の試験化合物0.5μLは、アッセイバッファー(20mM HEPES、145mM NaCl、5mM KCl、pH 7.3)中に2mg/mL SPAビーズ(Amersham RPNQ0001)、4μg/mL hSERT Bacmam膜、0.01%プルロニックF−127、2.5nM [3H]シタロプラムを含有するSPA混合物50μLによって添加する。インキュベーションは、室温で少なくとも2時間行う。カウントは、安定しており、Trilux装置を用いて3日目まで読み取ることができる。結合放射能だけがビーズを励起することができる(SPA技術)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
1は、C1-6アルキル、ハロまたはハロC1-6アルキルであり;
2は、水素またはC1-6アルキルであり;
【化2】

は、単結合または二重結合であり(ここで、
【化3】

が二重結合である場合、pおよびqは1であり;
【化4】

が単結合である場合、pおよびqは2である);
各R3およびR4は、同一であっても異なっていてもよく、水素、C1-6アルキルまたはハロC1-6アルキルであるか;または
【化5】

が単結合である場合、1個のR3および1個のR4がそれらの相互接続原子と一緒になって、同一であっても異なっていてもよい1個または2個のハロまたはメチル基によって置換されていてもよいシクロプロパン環を形成し;
Xは、CHまたはNであり;
存在する場合の各R5は、同一であっても異なっていてもよく、C1-6アルキルまたはハロであるか;または2個のR5基が連結して、1個または2個の原子を含有する橋を形成してもよく;
nは、0、1、2または3であり;
存在する場合の各R6は、同一であっても異なっていてもよく、C1-6アルキルまたはハロであり;
mは、0、1、2または3である]
で示される化合物。
【請求項2】
1がC1-6アルキル、ハロまたはハロC1-6アルキルであり;
2が水素またはC1-6アルキルであり;
【化6】

が単結合または二重結合であり;
各R3およびR4が、同一であっても異なっていてもよく、水素、C1-6アルキルまたはハロC1-6アルキルであり;ここで、
i)
【化7】

が二重結合である場合、pおよびqが1であり、
ii)
【化8】

が単結合である場合、pおよびqが2であり、1個のR3および1個のR4が、それらの相互接続原子と一緒になって、同一であっても異なっていてもよい1個または2個のハロまたはメチル基によって置換されていてもよいシクロプロパン環を形成し;
XがCHまたはNであり;
存在する場合の各R5が、同一であっても異なっていてもよく、C1-6アルキルまたはハロであるか;または2個のR5基が連結して、1個または2個の原子を含有する橋を形成してもよく;
nが0、1、2または3であり;
存在する場合の各R6が、同一であっても異なっていてもよく、C1-6アルキルまたはハロであり;
mが0、1、2または3である、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
1がC1-6アルキルである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
1がC1-3アルキルである、請求項1〜3いずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
1がメチルである、請求項1〜4いずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
2が水素またはC1-6アルキルである、請求項1〜5いずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
2が水素またはC1-3アルキルである、請求項1〜6いずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
2が水素またはメチルである、請求項1〜7いずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
2が水素である、請求項1〜8いずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
【化9】

が単結合であり、各R3および各R4が水素である、請求項1〜9いずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
XがNである、請求項1〜10いずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
nが0、1または2である、請求項1〜11いずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
nが0または1である、請求項1〜12いずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
nが0である、請求項1〜13いずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
存在する場合の各R5がC1-6アルキルである、請求項1〜14いずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
存在する場合の各R5がC1-3アルキルである、請求項1〜15いずれか1項記載の化合物。
【請求項17】
存在する場合のR5がメチルである、請求項1〜16いずれか1項記載の化合物。
【請求項18】
存在する場合の各R5が、式(I)におけるエチレン鎖と結合した窒素の隣の炭素原子の一方または両方にてピペラジンまたはピペリジン環と結合している、請求項1〜17いずれか1項記載の化合物。
【請求項19】
2個のR5基が結合して橋を形成する場合、該橋が2個の炭素原子を含有し、該橋が非隣接炭素原子に結合している、請求項1〜12いずれか1項記載の化合物。
【請求項20】
mが0または1である、請求項1〜19いずれか1項記載の化合物。
【請求項21】
mが0である、請求項1〜20いずれか1項記載の化合物。
【請求項22】
存在する場合の各R6がキノリン環の7位に結合している、請求項1〜21いずれか1項記載の化合物。
【請求項23】
式(I)で示される化合物が以下のものからなる群から選択される、請求項1記載の化合物:
6−メチル−5−{2−[4−(2−メチルキノリン−5−イル)ピペラジン−1−イル]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物1);
5−{2−[(2S)−4−(7−フルオロ−2−メチルキノリン−5−イル)−2−メチルピペラジン−1−イル]エチル}−6−メチル−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物2);
1,6−ジメチル−5−{2−[4−(2−メチルキノリン−5−イル)ピペラジン−1−イル]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物7);
6−メチル−5−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−2(1H)−キノリノン(化合物14);
5−{2−[4−(7−フルオロ−2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−6−メチル−2(1H)−キノリノン(化合物15);
6−メチル−5−{2−[4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペリジニル]エチル}−2(1H)−キノリノン(化合物16);
5−{2−[4−(7−フルオロ−2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−1,6−ジメチル−2(1H)−キノリノン(化合物19);
1,6−ジメチル−5−{2−[(2S)−2−メチル−4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−2(1H)−キノリノン(化合物21);
5−{2−[(2S)−4−(7−フルオロ−2−メチル−5−キノリニル)−2−メチル−1−ピペラジニル]エチル}−1,6−ジメチル−2(1H)−キノリノン(化合物23);および
3,6−ジメチル−7−{2−[(2S)−2−メチル−4−(2−メチル−5−キノリニル)−1−ピペラジニル]エチル}−1,1a,3,7b−テトラヒドロ−2H−シクロプロパ[c]キノリン−2−オン(化合物33)。
【請求項24】
式(I)で示される化合物が6−メチル−5−{2−[4−(2−メチルキノリン−5−イル)ピペラジン−1−イル]エチル}−3,4−ジヒドロキノリン−2(1H)−オン(化合物1)である、請求項1記載の化合物。
【請求項25】
請求項1〜24いずれか1項記載の化合物の医薬上許容される塩。

【公表番号】特表2010−504367(P2010−504367A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529679(P2009−529679)
【出願日】平成19年9月24日(2007.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060082
【国際公開番号】WO2008/037681
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】