説明

性能向上のためのポリマ材料と他の物質との併用

ヒドロゲルの、動物の胃内での膨潤を可能にする又はその能力を高める、及び/又は、前記ヒドロゲルが胃内で膨潤したままでいる時間量を増加させる方法をここで解説する。ある実施態様では、ポリマ内に膨潤を誘導するために、ポリマを、前記ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げ、かつ維持する一種以上の物質と一緒に前記動物に投与する。前記ポリマはホモポリマ、コポリマ、ポリマ混合物、架橋ポリマ、又は複合材であってよい。ある実施態様では、前記ポリマは超吸収性ポリマ(「SAP」)である。またポリマを、食欲抑制剤などの一種以上の活性な薬剤と一緒に投与することもできる。pH調節剤及び/又は活性な薬剤は、当該ポリマと同時に同じ剤形で投与することも、当該ポリマと同時に別々の剤形で投与することも、又は順次投与することもできる。本組成物は経口投与用に調合される。調合物には、抗生物質など、胃への送達用の薬物を含めることができ、あるいはヒドロゲルを、肥満のコントロールのためなど、充填剤として用いることができる。本調合物を用いて、例えば薬物送達の制御など、胃内滞留を高めることができる。薬物を送達する方法も、本発明の方法を実施するための医薬と併せて、ここで解説される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、引用をもってそれら両者の全文をここに援用することとする、2006年3月28日提出の米国仮特許出願60/786,615号、及び2006年3月30日提出の60/787,396号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、適した胃内pHを誘導することによりpH依存的であるポリマを用いた機械的及び生理学的手段を通して、更に、体重減少を誘導する他の薬理学的及び外科的手段と本ポリマを併用することにより、体重減少を誘導し、胃腸管の障害を治療する方法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
公共の保健上の尽力や現在の抗肥満薬では、肥満の益々の流行を抑えられていない。工業国では、食物が豊富なことや、地方から都会へ人口が移動したことに伴った運動レベルの低下を原因として、この障害は益々広まってきている。肥満は、大まかに言って、健康を維持するのに必要な量を超えた過剰な体脂肪として定義される。
【0004】
肥満には罹患率及び死亡率の上昇が伴う。健康に対する肥満の有害な影響の中には、心臓血管疾患のリスクやそれに伴う高血圧、糖尿病、及び高脂血症といった症状の増加がある。数百万の人が臨床上肥満であり、健康に対する肥満の悪影響を鑑みると、治療をすれば有益であろう。更に、多くの人が、臨床上肥満ではなくとも体重減少によりその健康及び生活状態を向上させることができる。
【0005】
肥満の病理は多因子性であり、その中には、食事行動、脂肪蓄積の機序、エネルギー摂取及び消費の構成要素、並びに遺伝的及び心理的影響のコントロールがある。同様に、肥満の治療は一般に多因子的である。残念ながら、脂肪蓄積及び遺伝的影響の機序は、大まかに言って治療になじまない。更に、食事行動及び心理的影響のコントロールには長期の治療が必要である。加えて、エネルギー摂取及び消費の構成要素は治療可能であるが、多くの肥満した個人は、彼らのエネルギー消費を有意に増加させるような運動に対して耐性であるか、あるいは運動をすることができない。従って、エネルギー摂取量をコントロールすることは肥満の治療にとって魅力的なアプローチである。
【0006】
多様な薬物及び薬物クラスが体重減少剤及び抗肥満薬であることが知られている。これらの薬物は、例えば1)神経伝達物質又は神経イオンチャンネルに影響する中枢神経系物質;2)レプチン/インシュリン/中枢神経系経路物質;3)胃腸管−神経経路物質;4)安静時代謝速度に影響すると思われる物質(「選択的」β-3刺激剤/アゴニスト、非共役タンパク質ホモログ、及び甲状腺受容体アゴニスト);及び5)他のより多様な物質など、生物学的経路に影響する物質から成る。しかしこれらの抑制剤は、典型的には、例えば胃の「満腹」などで引き起こされる真の満足感を生じず、及び/又は、不安及び過敏などの望ましくない副作用を起こすことがあり、有害な副作用を起こしかねない。
【0007】
アンフェタミン(デキストロアンフェタミン)が体重減少及び抗肥満薬として用いられてきたが、許容できない心悸亢進及び高血圧を引き起こすことがある。またそれらは濫用の可能性が高率である。フェンテルミン、ベンズフェタミン、フェンジメトラジン、マジンドール、及びジエチルプロピオンを含む他の交感神経様作用性アドレナリン作動性薬も、有害な対心臓血管副作用があると思われ、それらの指示用途はごく短期間(12週間)である。2000年には食欲抑制剤フェニルプロパノールアミンが、脳卒中のリスク、特に成人女性における脳卒中のリスクが許容可能できないものであるために、米国市場から取り除かれた。例えばオルリスタット及びシブトラミンなど、他の体重減少剤も有害な副作用を有し得る。例えばオルリスタットの使用はしばしば、特に低脂肪食の推奨に従わない患者間で、放屁、油性便、大便逼迫又は大便失禁、及び腹痛を含む有害な事象を引き起こす。更に、毎日のマルチビタミン補助が、長期の使用で理論上置き得る脂溶性ビタミン(A、D、E、及びK)の吸収阻害の可能性を防ぐために、推奨される。シブトラミンの使用により、血圧及び心拍数が上昇する可能性があり、その使用は、管理下になり高血圧、CHD、心律動異常、うっ血性心不全、又は卒中のある患者では禁忌となっている。
【0008】
食欲を抑制する手段としての満腹感が当業で公知であり、肥満の治療や体重減少の両方に結び付けられている。例えば、Acharya らの米国特許第5,336,486号は、難消化性の植物性繊維で胃を満たすことにより誘導される偽の満腹感を解説している。しかし大量の繊維を消費するには、胃腸管の不快感を引き起こすことのある大量の繊維を患者が吐き出す必要がある。また他の理由からこのような大量の繊維に耐えられない患者もいる。通常よりも長時間、植物性繊維を胃に留めると引き起こされる不快感を減らすために、植物性繊維に基づく食事献立が、カロリー数の低い簡単に消化される製品を添加することで改良されてきた。Kratochvil の米国特許第5,063,073号;Christensenらの第5,654,028号;及びGraceらの第6,426,077 号を参照されたい。Wounderlichらの米国特許第5,405,616号及び第6,103,269号は、ゼラチン又はコラーゲン加水分解物と、一種以上の活性薬剤と一種以上の医薬品添加物(即ち可塑剤、臭気剤等)とから成る材料を解説している。該材料を溶液又は懸濁液として調製した後、凍結乾燥させて固体の材料を得る。この固体の材料を粉末、錠剤又はカプセルとして投与することができる。乾燥させたポリマ製材料が胃の水性媒質に接触すると、それは数分で膨潤して溶解し、胃腸管が空になるのに干渉しないような溶液となる。
【0009】
体重をコントロールするために低カロリー製品は、可溶性コラーゲン、ゼラチン又はコラーゲン加水分解物など、コラーゲン製のバイオポリマを用いることにより、得ることができる。米国特許第5,100,688号;第5,211,976号;第5,219,599号;第5,665,234号;第5,665,419号を参照されたい。米国のEYI-エセンシャリー・ユア・プロダクツ社製造の食事用サプリメントCALORAD(R)などの市販の製品が体重コントロールのために、そして筋肉刺激剤としても、そして骨粗鬆症の救援や関節炎治療のために、用いられてきた。
【0010】
しかしこれらの薬物及び材料のいずれも、肥満をコントロールしたり、あるいは使用者にとって充分な安全性と共に体重減少を誘導したりするための満足いく手段とはならなかった。
【0011】
人体が分泌する流体を含め、水及び水性の媒質のための吸収性材料が文献で公知である。これらの材料は典型的にはポリマをベースとしており、粉末、顆粒、マイクロ粒子又は繊維の形状で作製される。これらのポリマ製材料は水性媒質に接触すると、溶解することなく液相をそれらの構造内に吸収することで膨潤する。「ヒドロゲル」は水を吸収して膨潤する能力を有するポリマ製材料である。水吸収率が乾燥ポリマ1g当り水20gを越えれば、この材料は「超吸収性ポリマ」(SAP)と呼ばれる。胃内でのこれらの材料が膨潤すると満腹感(即ち胃の満腹)を起こすことができる。食欲を抑制する手段としての満腹感は当業で公知であり、また肥満を治療する、及び/又は、体重減少を誘導する、ために用いられてきた。
【0012】
ポリマ製ハイドロゲルも、制御された薬物送達、特に長時間の放出及び/又は遅延型放出調合物用に用いられてきた。医薬用途においては、当該薬物は典型的にはポリマ製材料内に分散させられる。薬物の放出速度は、ヒドロゲルからの薬物の分散速度、及び/又は、ポリマ製材料の分解速度、に依存する。薬物の経口投与は、一般に、a)胃内で薬物を放出するもの、及びb)小腸又は口腔、十二指腸などの他の位置で薬物を放出するもの、という2つのクラスのヒドロゲルの一方を用いるものである。「満腹」の原理を用いた、活性物質の制御放出のためのヒドロゲルの使用は、Johnsonらの米国特許第3,574,820号; Battista らの第4,264,493号;Caldwellらの第4,758,436号;Siposの第 5,614,223号;Yatesの第6,319,510号;Flashner-Barak
の第6,476,006号;及びZuckermanの第6,485,710号に解説されている。
【0013】
胃は、水、塩酸、ペプシン及び粘液(多糖バイオゲル)を含有する水性媒質である胃液分泌を生じる。この媒質は1乃至3のpHを有し、ペプシンタンパク質分解酵素を含有する。小腸は胃のそれよりも複雑な化学的組成を持つ水性媒質を分泌する。それは5乃至9のpHを特徴とし、タンパク質と多糖の両方で生分解酵素活性を示す。胃内で機能するようデザインされたヒドロゲルは、(1)水性媒質中で膨潤して、治療上重要な効果を誘導するために充分な時間、その体積を保てねばならない;及び(2)その機能が満たされたらすぐに容易に消去されることで、小腸又は胃管の閉塞を避け、また毒性の副産物の産生を避けることができなくてはならない。
【0014】
残念ながら、体重減少及び肥満治療を含む治療目的に用いることができそうな多くのヒドロゲルは胃内の酸性pHでは膨潤しないか、あまり膨潤しない。Park らは、ポリ(アクリルアミド−コ−アクリル酸)の膨潤率は媒質のpHに依存することを実証した。約5程度のpHでヒドロゲルは最大の膨潤を示した。ポリ(アクリルアミド−コ−アクリル酸)では、1.2乃至7.5の間で媒質pHを交互にすることにより、膨潤及び収縮の反復が見られた、膨潤率の変化は数分で起きるほど大変、速かった (Park et al., J Biomater Sci Polym Ed., 11(12),
1371-80 (2000))。Peppas らは、メタクリル酸 (MAA) 及び 2-メタクリルオキシエチル1 グルコシド (MEG)のコポリマがpH依存的な膨潤をし、膨潤状態及び収縮状態間の遷移が5のpHで起きることを解説した。該ヒドロゲルの膨潤率は5より上のpH値で増加した(Peppas et al., J. Biomater. Sci. Polymer Edn, Vol. 13,
No. 11, pp. 1271-1281 (2002))。
【0015】
Ronらの米国第5,876,741号はアジピン酸に架橋させたヒドロキシプロピルセルロース (HPC)ヒドロゲルがpH<5.0で最小の応答を示し、pH>5.0で有意な応答を示すことを解説している。アジピン酸に架橋させたこのHPCヒドロゲルはほぼ理想的な結果を示し、pH<5.0では水吸収率はゼロであり、5<pH<7では中程度の膨潤を示し、そしてpH>7では20倍の膨潤を示した。
【0016】
肥満及び他の胃障害の治療のために、低酸性の胃内でのポリマ製ヒドロゲルの膨潤を誘導する方法が求められている。
【0017】
従って本発明の目的は、肥満及び他の胃障害の治療のために機械的及び生理的手段を用いて満腹感を誘導し、食欲を抑える方法を提供することである。
【0018】
発明の概要
ある局面では、本発明は、ヒドロゲルの、動物の胃内での膨潤を可能にする又はその能力を高める、及び/又は、前記ヒドロゲルが胃内で膨潤したままでいる時間量を増加させる方法に関し、本方法は、水膨潤性ポリマを、前記ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げ、かつ維持する一種以上の物質と一緒に前記動物に投与するステップを含む。更なる実施態様では、本ポリマは超吸収性ポリマである。更なる実施態様では、本ポリマはホモポリマ、コポリマ、ポリマ混合物、架橋ポリマ、ポリマ複合材、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、本ポリマはポリマ複合材である。
【0019】
更なる実施態様では、pHを変える前記一種以上の物質は緩衝剤、H2 遮断剤、プロトンポンプ阻害剤、制酸剤、タンパク質、栄養性シェーキ(原語:shakes)、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記緩衝剤は重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、, 水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される。 更なる実施態様では、前記H2 遮断剤は、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、及びこれらの組合せ、からなる群より選択される。更なる実施態様では、前記プロトンポンプ阻害剤はオメプラゾール、ランソプラゾール、エソルネプラゾール(原語:esorneprazole)、パントプラゾール、アベプラゾール(原語:abeprazole)、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される。更なる実施態様では、前記制酸剤は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、及びヒドロタルサイト(原語:hydrotalcite)から成る群より選択される。
【0020】
更なる実施態様では、本ポリマは、可塑剤、希釈剤、結着剤、潤滑剤、着色剤、安定化剤、界面活性剤、着香料、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤及びこれらの組合せから成る群より選択される一種以上の薬学的に許容可能な医薬品添加物を更に含む。更なる実施態様では、前記緩衝剤は、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される。
【0021】
更なる実施態様では、本ポリマを一種以上の治療上活性な、診断上又は予防上活性な薬剤と一緒に投与する。更なる実施態様では、前記薬剤は、鎮痛薬、抗炎症薬、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、抗精神病薬、気管支拡張剤、抗喘息薬、心臓血管薬、コルチコステロイド、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸管薬、筋肉弛緩剤、栄養物質、ビタミン類、副交感神経模倣薬、刺激剤、食欲抑制薬、
食欲抑制剤、抗肥満薬、抗ナルコレプシー薬、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される。 更なる実施態様では、前記薬剤は食欲抑制剤又は抗肥満薬である。更なる実施態様では、前記食欲抑制剤又は抗肥満薬は、塩酸シブトラミン、オルリスタット、リモナバント、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドール
フェンジメトラジン、フェンテルミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、ナルメトレン、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される。
【0022】
更なる実施態様では、本ポリマは経口投与用に調合される。更なる実施態様では、前記調合物は錠剤、カプセル、シロップ、溶液、懸濁液、粉末、バー、及びシェーキ(原語:shakes)から成る群より選択される。
【0023】
更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる物質を、本ポリマと同時に、同じ剤形で投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマと同時に、異なる剤形で投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマの投与前又は投与後に投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマの投与から24時間以内に投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマの投与から2時間以内に投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマの投与から6時間以内に投与する。
【0024】
更なる実施態様では、更に本発明の方法は、ヒドロゲルが胃内に一定の時間、滞留した後にこのヒドロゲルを分解、分散、及び/又は、収縮させる物質を投与するステップを更に含む。更なる実施態様では、前記物質を本ポリマの投与後に投与する。更なる実施態様では、前記物質は、本ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを下げる作用をする。更なる実施態様では、前記物質は有機酸である。更なる実施態様では、前記物質は酸性の飲料、例えばオレンジジュース又はコカコーラである。更なる実施態様では、前記物質はタンパク質である。更なる実施態様では、前記タンパク質は酵素である。更なる実施態様では、前記酵素はペプシン、パンクレアチン、及びこれらの組合せから成る群より選択される。
【0025】
更なる実施態様では、本ポリマ及び物質を、肥満のための外科的介入と組み合わせて投与する。更なる実施態様では、肥満を治療するための前記外科的介入は胃の結紮、胃のバイパス手術、胃内バルーン、移植可能な胃刺激材及び胃の電気刺激から成る群より選択される。
【0026】
更なる実施態様では、水膨潤性の調合物はシェークの形であり、選択的にはビタミン類、ミネラル、又は栄養物質を含み、本ポリマの膨潤を高めるべく胃内pHを上げたり、食餌中の栄養分を補ったり、あるいは満腹感及び体重減少を誘導したりするのに有効である。
【0027】
更なる実施態様では、当該動物は霊長類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、鳥類、げっ歯類、ネコ、又はイヌである。更なる実施態様では、当該動物はヒトである。
【0028】
別の局面では、本発明は、薬物と、本ポリマ及び/又は動物の胃のミクロ環境のpHを上げる一種以上の物質とを含む水膨潤性のポリマを動物に投与するステップを含む、動物に前記薬物を送達するための方法に関する。更なる実施態様では、前記薬物は徐放的に本ポリマから放出される。更なる実施態様では、前記薬物は治療上活性な診断用、及び予防上活性な薬剤から成る群より選択される。更なる実施態様では、前記薬剤は鎮痛剤、抗炎症薬、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、抗精神病薬、気管支拡張剤、抗喘息薬、心臓血管薬、コルチコステロイド、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸管薬、筋肉弛緩剤、栄養物質、ビタミン類、副交感神経模倣薬、刺激剤、食欲抑制薬、食欲抑制剤、抗肥満薬、抗ナルコレプシー薬、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される。更なる実施態様では、前記薬剤は食欲抑制剤又は抗肥満薬である。更なる実施態様では、前記食欲抑制剤又は抗肥満薬は塩酸シブトラミン、オルリスタット、リモナバント、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドール
フェンジメトラジン、フェンテルミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、ナルメトレン、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される。
【0029】
更なる実施態様では、本ポリマは超吸収性ポリマである。更なる実施態様では、本ポリマはホモポリマ、コポリマ、ポリマ混合物、架橋ポリマ、ポリマ複合材、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される。更なる実施態様では、本ポリマはポリマ複合材である。
【0030】
更なる実施態様では、pHを変える前記一種以上の物質は、緩衝剤、H2 遮断剤、プロトンポンプ阻害剤、制酸剤、タンパク質、栄養性シェーキ、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記緩衝剤は、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、H2 遮断剤はシメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記プロトンポンプ阻害剤はオメプラゾール、ランソプラゾール、エソルネプラゾール、パントプラゾール、アベプラゾール(原語:abeprazole)、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記制酸剤は水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、及びヒドロタルサイトから成る群より選択される。
【0031】
更なる実施態様では、本ポリマは、更に可塑剤、希釈剤、結着剤、潤滑剤、着色剤、安定化剤、界面活性剤、着香料、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤
及びこれらの組合せから成る群より選択される、一種以上の薬学的に許容可能な医薬品添加物を含む。更なる実施態様では、前記緩衝剤は重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せから成る群より選択される。
【0032】
更なる実施態様では、本ポリマは経口投与用に調合される。更なる実施態様では、前記調合物は錠剤、カプセル、シロップ、溶液、懸濁液、粉末、バー、及びシェーキ(原語:shakes)から成る群より選択される。
【0033】
更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる物質を、本ポリマと同時に、同じ剤形で投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマと同時に、異なる剤形で投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマの投与前又は投与後に投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマの投与から24時間以内に投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマの投与から2時間以内に投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマの投与から6時間以内に投与する。
【0034】
更なる実施態様では、更に本発明の方法は、ヒドロゲルが胃内に一定の時間、滞留した後にこのヒドロゲルを分解、分散、及び/又は、収縮させる物質を投与するステップを更に含む。更なる実施態様では、前記物質を本ポリマの投与後に投与する。更なる実施態様では、前記物質は、本ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを下げる作用をする。更なる実施態様では、前記物質は有機酸である。更なる実施態様では、前記物質は酸性の飲料、例えばオレンジジュース又はコカコーラである。更なる実施態様では、前記物質はタンパク質である。更なる実施態様では、前記タンパク質は酵素である。更なる実施態様では、前記酵素はペプシン、パンクレアチン、及びこれらの組合せから成る群より選択される。
【0035】
更なる実施態様では、本ポリマ及び物質を、肥満のための外科的介入と組み合わせて投与する。更なる実施態様では、肥満を治療するための前記外科的介入は胃の結紮、胃のバイパス手術、胃内バルーン、移植可能な胃刺激材及び胃の電気刺激から成る群より選択される。
【0036】
更なる実施態様では、水膨潤性の調合物はシェークの形であり、選択的にはビタミン類、ミネラル、又は栄養物質を含み、本ポリマの膨潤を高めるべく胃内pHを上げたり、食餌中の栄養分を補ったり、あるいは満腹感及び体重減少を誘導したりするのに有効である。
【0037】
更なる実施態様では、当該動物は霊長類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、鳥類、げっ歯類、ネコ、又はイヌである。更なる実施態様では、当該動物はヒトである。
【0038】
本発明の方法は肥満を治療する、体重減少を誘導する、及び/又は、胃内保持を増加させる、ためのものである。
【0039】
別の局面では、本発明は、ヒドロゲルの、動物の胃内での膨潤を可能にする又はその能力を高める、及び/又は、前記ヒドロゲルが胃内で膨潤したままでいる時間量を増加させる医薬に関し、本医薬は、水膨潤性のポリマを、本ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げ、かつ維持する一種以上の物質と組み合わせて含む。更なる実施態様では、本ポリマは超吸収性ポリマである。更なる実施態様では、本ポリマはホモポリマ、コポリマ、ポリマ混合物、架橋ポリマ、ポリマ複合材、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される。更なる実施態様では、本ポリマはポリマ複合材である。
【0040】
更なる実施態様では、pHを変える一種以上の物質は緩衝剤、H2遮断剤、プロトンポンプ阻害剤、制酸剤、タンパク質、栄養性シェーキ、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記緩衝剤は重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記H2 遮断剤は、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記プロトンポンプ阻害剤はオメプラゾール、ランソプラゾール、エソルネプラゾール、パントプラゾール、アベプラゾール(原語:abeprazole)、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記制酸剤は水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、及びヒドロタルサイトから成る群より選択される。
【0041】
更なる実施態様では、前記医薬は更に可塑剤、希釈剤、結着剤、潤滑剤、着色剤、安定化剤、界面活性剤、着香料、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤及びこれらの組合せから成る群より選択される、一種以上の薬学的に許容可能な医薬品添加物を含む。更なる実施態様では、前記緩衝剤は重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せから成る群より選択される。
【0042】
更なる実施態様では、前記医薬は更に一種以上の治療上活性な、診断用又は予防上活性な薬剤を含む。更なる実施態様では、前記薬剤は鎮痛剤、抗炎症薬、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、抗精神病薬、気管支拡張剤、抗喘息薬、心臓血管薬、コルチコステロイド、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸管薬、筋肉弛緩剤、栄養物質、ビタミン類、副交感神経模倣薬、刺激剤、食欲抑制薬、食欲抑制剤、抗肥満薬、抗ナルコレプシー薬、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記薬剤は食欲抑制剤又は抗肥満薬である。更なる実施態様では、前記食欲抑制剤又は抗肥満薬は塩酸シブトラミン、オルリスタット、リモナバント、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドール
フェンジメトラジン、フェンテルミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、ナルメトレン、及びこれらの組合せから成る群より選択される。
【0043】
更なる実施態様では、前記医薬は経口投与用に調合される。更なる実施態様では、前記調合物は錠剤、カプセル、シロップ、溶液、懸濁液、粉末、バー、及びシェーキ(原語:shakes)から成る群より選択される。
【0044】
更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる物質は、同じ剤形中にある。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質は、異なる剤形中にある。
【0045】
更なる実施態様では、本発明の医薬は、ポリマが胃内に一定の時間、滞留した後にこのポリマを分解、分散、及び/又は、収縮させる物質を更に含む。更なる実施態様では、前記物質は、本ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを下げる作用をする。更なる実施態様では、前記物質は有機酸である。更なる実施態様では、前記物質は酸性の飲料、例えばオレンジジュース又はコカコーラである。更なる実施態様では、前記物質はタンパク質である。更なる実施態様では、前記タンパク質は酵素である。
【0046】
更なる実施態様では、前記医薬はシェークの形であり、選択的にはビタミン類、ミネラル、又は栄養物質を含み、本ポリマの膨潤を高めるべく胃内pHを上げたり、食餌中の栄養分を補ったり、あるいは満腹感及び体重減少を誘導したりするのに有効である。
【0047】
別の局面では、本発明は薬物を動物に送達するための医薬に関し、本医薬は、前記薬物を含む水膨潤性のポリマと、前記ポリマ及び/又は動物の胃のミクロ環境のpHを上げる一種以上の物質とを含む。更なる実施態様では、前記薬物は本ポリマから徐放的に放出される。更なる実施態様では、前記薬物は治療上活性な、診断用及び予防上活性な薬剤から成る群より選択される。更なる実施態様では、前記薬剤は鎮痛剤、抗炎症薬、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、抗精神病薬、気管支拡張剤、抗喘息薬、心臓血管薬、コルチコステロイド、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸管薬、筋肉弛緩剤、栄養物質、ビタミン類、副交感神経模倣薬、刺激剤、食欲抑制薬、食欲抑制剤、抗肥満薬、抗ナルコレプシー薬、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記薬剤は食欲抑制剤又は抗肥満薬である。更なる実施態様では、前記食欲抑制剤又は抗肥満薬は塩酸シブトラミン、オルリスタット、リモナバント、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドール
フェンジメトラジン、フェンテルミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、 ナルメトレン、及びこれらの組合せから成る群より選択される。
【0048】
更なる実施態様では、前記ポリマは超吸収性ポリマである。更なる実施態様では、前記ポリマはホモポリマ、コポリマ、ポリマ混合物、架橋ポリマ、ポリマ複合材、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記ポリマはポリマ複合材である。
【0049】
更なる実施態様では、pHを変える前記一種以上の物質は緩衝剤、H2 遮断剤、プロトンポンプ阻害剤、制酸剤、タンパク質、栄養性シェーキ、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記緩衝剤は重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記H2 遮断剤はシメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記プロトンポンプ阻害剤はオメプラゾール、ランソプラゾール、エソルネプラゾール、パントプラゾール、アベプラゾール(原語:abeprazole)、及びこれらの組合せから成る群より選択される。更なる実施態様では、前記制酸剤は水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、及びヒドロタルサイトから成る群より選択される。
【0050】
更なる実施態様では、本ポリマは、可塑剤、希釈剤、結着剤、潤滑剤、着色剤、安定化剤、界面活性剤、着香料、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤
及びこれらの組合せからなる群より選択される一種以上の薬学的に許容可能な医薬品添加物を更に含む。更なる実施態様では、前記緩衝剤は、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せから成る群より選択される。
【0051】
更なる実施態様では、本ポリマは経口投与用に調合される。更なる実施態様では、前記調合物は錠剤、カプセル、シロップ、溶液、懸濁液、粉末、バー、
及びシェーキ(原語:shakes)から成る群より選択される。
【0052】
更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる物質を、本ポリマと同時に、同じ剤形で投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマと同時に、異なる剤形で投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマの投与前又は投与後に投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマの投与から24時間以内に投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマの投与から2時間以内に投与する。更なる実施態様では、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、本ポリマの投与から6時間以内に投与する。
【0053】
更なる実施態様では、本発明の医薬は、ヒドロゲルが胃内に一定の時間、滞留した後にこのヒドロゲルを分解、分散、及び/又は、収縮させる物質を更に含む。更なる実施態様では、前記物質は本ポリマの投与後に投与される。更なる実施態様では、前記物質は、本ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを下げる作用をする。更なる実施態様では、前記物質は有機酸である。更なる実施態様では、前記物質は酸性の飲料、例えばオレンジジュース又はコカコーラである。更なる実施態様では、前記物質はタンパク質である。更なる実施態様では、前記タンパク質は酵素である。更なる実施態様では、前記酵素はペプシン、パンクレアチン、及びこれらの組合せから成る群より選択される。
【0054】
更なる実施態様では、前記医薬を、肥満のための外科的介入と組み合わせて投与する。更なる実施態様では、肥満を治療するための前記外科的介入は胃の結紮、胃のバイパス手術、胃内バルーン、移植可能な胃刺激材及び胃の電気刺激から成る群より選択される。
【0055】
更なる実施態様では、水膨潤性の調合物はシェークの形であり、選択的にはビタミン類、ミネラル、又は栄養物質を含み、本ポリマの膨潤を高めるべく胃内pHを上げたり、食餌中の栄養分を補ったり、あるいは満腹感及び体重減少を誘導したりするのに有効である。
【0056】
更なる実施態様では、当該動物は霊長類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、鳥類、げっ歯類、ネコ、又はイヌである。更なる実施態様では、当該動物はヒトである。
【0057】
本発明のこれらの実施態様、他の実施態様、並びにそれらの特長及び特徴は、以下の説明及び請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0058】
発明の詳細な説明
I. 定義
ここで用いられる場合の「ポリマ複合材」とは、一本以上のポリマ鎖から成り、この場合の当該ポリマ鎖はファン・デル・ワールス力、水素結合、イオン相互作用等の非共有結合的相互作用を介して相互作用するような巨大分子材料を言う。当該複合材は複数の結合種により安定した三次元ネットワーク型の巨大分子構造を有する。
【0059】
ここで用いられる場合の用語「ポリマ混合物」とは、二種以上の異なる種のポリマの肉眼上均質な混合物を言う。
【0060】
ヒドロゲルと、ヒドロゲルの膨潤を可能にする、及び/又は、向上させる方法
ポリマを含有する組成物を、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げ、かつ維持する一種以上のpH調節薬剤と組み合わせて投与し、前記ポリマが胃内で膨潤したままでいる時間を増加させることにより、動物又はヒトの胃内でのヒドロゲルの膨潤を可能にし、及び/又は、向上させる方法をここで説明する。
【0061】
A. ポリマ
当該ポリマはホモポリマでも、コポリマでも、架橋ポリマでも、ポリマ混合物でも、又はポリマ複合材でもよい。ある実施態様では、前記ポリマは超吸収性ポリマである。ヒドロゲルを形成することのできる適したポリマには、限定はしないが、合成又は天然のポリマがある。合成ポリマの例にはポリアクリル酸及びポリメタクリル酸ポリマ、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリエチレングリコールポリマ、コポリマ及びブロックコポリマ、並びに他の水膨潤性の生体適合性ポリマがある。天然ポリマの例にはコラーゲン、ヒアルロン酸、ゼラチン、アルブミン、多糖、及びこれらの誘導体がある。天然ポリマは更に、オオバコなどの多様な植物材料から単離された種類のものであってもよい。
【0062】
構造上は、水吸収性のポリマ材料は三次元巨大分子構造である。これらはいくつかの方法を通して作製される:a)モノマからの合成(架橋重合反応);b)ポリマ及び重合反応助剤からの合成(グラフティング及び架橋重合反応);ポリマ及び非重合反応助剤からの合成(架橋ポリマ);d)エネルギ源のあるポリマからの合成(助剤のない架橋ポリマ)及びe)ポリマからの合成(反応性ポリマ対ポリマのインターカップリングによる架橋)。合成に用いられる原材料及び技法はヒドロゲルの鍵となる特性の創出及びそれらの用途範囲において主要な因子である。
【0063】
三次元ポリマ構造及び製薬及び/又は医療分野で潜在的な用途のある、高純度の水性媒質用吸収性材料を得るには数多くの公知の方法がある:a)化学法:イオン及び/又は配位的なインターコンプレキシング(即ち、Widraの米国特許第4,570,629号及びBand らの米国特許第5,153,174号);二重結合又は環を持つ反応基を有するオリゴマ又は反応性ポリマとの架橋(即ち、Franzblauらの米国特許第5,489,261号及びDoillonらの米国特許第5,863,984号);放射線照射による架橋(即ち、Kuamz らの米国特許第 RE33,997号;Miyataの米国特許第4,264,155 号;及びBellらの米国特許第5,948,429号);及びb)物理的方法マイクロ波を用いた架橋
(即ち、Reichmanらの米国特許第5,859,077 号及び第6,168,762 号);凍結乾燥(即ち、Williamsらの米国特許第 5,676,967号 及びMcGregor らの第5,869,080号);及びデハイドロサーモ(原語:dehydrothermo-)架橋法(即ち、Bergらの米国特許第4,837,285号;Akharらの米国特許第4,950,485号;及びBrodskyらの米国特許第 4,971,954 号)。
【0064】
三次元構造を得る他の物理的方法と同じく、デハイドロサーモ−架橋法により、何らかの化学的プロセスの活性化で起き得る、反応の二次生成物が生じ得る毒性効果や、あるいは反応生成物(この中には新しい種類の共有、イオン又は配位結合が見られる)のエネルギ状態修飾といったリスクがなくなる。更に、凍結乾燥あるいはマイクロ波を通じた架橋と比べて、デハイドロサーモ−架橋法は、結果的得られる三次元ネットワークの構造上の特徴を調節するためのより多くの可能性を提供する(即ち、Scotchford C.A., Cascone .G.D., Ownes S.,Gusti P., "Osteoblast
responses of collagen-PVA bioartificial polymers in vitro :the effects of
cross-linking method and collagen content", Biomaterials
19,1-11,1998 ; Giunchedi P., Genta I., Conti B., Muzzarelli R.A.A., Conti B., Biomaterials
19,157-161,1998)。しかし、デハイドロサーモ−化教法により得られるコラーゲン製バイオポリマに基づくヒドロゲルは、高吸収能を有さない。
【0065】
B. pH調節薬剤
本ポリマ製材料を一種以上のpH調節薬剤と同時投与することで、本ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げ、かつ維持することができる。適したpH調節薬剤には、緩衝剤、プロトンポンプ阻害剤、H2 遮断剤、及び制酸剤がある。これらのpH調節薬剤の例を以下に解説する。当該組成物は、水和化すると膨潤して満足感を生ずるような胃充填材料として作用することができる。該pH調節薬剤を本ポリマと同時に同じ剤形で投与することも、本ポリマと同時に別の剤形又は順次投与することもできる。該pH調節薬剤をポリマ製組成物と順次投与する場合は、該pH調節薬剤を、該ポリマ製組成物の投与から24時間以内、より好ましくは12時間以内、そして最も好ましくは6時間以内に投与するとよい。
【0066】
i. 緩衝剤
適したpH緩衝剤には、限定はしないが、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せがある。
【0067】
ii. プロトンポンプ阻害剤
適したプロトンポンプ阻害剤には、限定はしないが、オメプラゾール、(Losec(R)、Prilosec(R))、重炭酸と組み合わせたオメプラゾール (Zegerid(R)、Rapinex(R))、ランソプラゾール、 (Prevacid(R)、Zoton(R)、 エソメプラゾール、 (Nexium(R))、パントプラゾール、 (Protonix(R)、Somac(R)、Pantoloc(R))、及びラベプラゾール(Aciphex(R)、Pariet(R))がある。
【0068】
iii. H2 遮断剤
適した H2 遮断剤には、限定はしないが、クリメチジン (Tagamet(R))、ラニチジン、 (Zantac(R))、ファモチジン、炭酸カルシウム及び水酸化マグネシウム、 (Pepcid(R))、完全)を組み合わされた, ファモチジン(Pepcid(R))、並びにニザチジン、 (Axid(R)、Tazac(R))がある。
【0069】
I. 制酸剤
適した一般用制酸剤には、限定はしないが、水酸化アルミニウム、 (Amphojel(R)、 AlternaGEL(R))、水酸化マグネシウム (ミルク・オブ・マグネシア(原語:Milk of Magnesia(R))、 水酸化マグネシウムと組み合わされた水酸化アルミニウム(Maalox(R))、Mylanta(R)),
炭酸アルミニウム、ゲル (Basajel(R))、炭酸カルシウム (Tums(R), Titralac(R)、カルシウムを豊富に含む Rolaids(R))、及びヒドロタルサイト (Talcid(R))がある。
【0070】
C. 活性薬剤
更に本組成物を、一種以上の治療上活性な、診断用、又は予防用薬剤の制御送達のために用いることもできる。当該活性薬剤の放出速度は、ヒドロゲルからの活性薬剤の拡散速度や、当該ポリマ製複合材の分解速度に依存する。
【0071】
薬剤の例には鎮痛剤、抗炎症剤、抗蠕虫薬、抗不整脈薬、抗菌剤、抗ウィルス剤、抗抗血圧薬、抗凝固剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗てんかん薬、抗カビ剤、抗痛風薬、抗マラリア剤、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン剤、抗新生物薬、勃起不全改善薬、免疫抑制剤、抗原虫薬、抗甲状腺薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、神経弛緩薬、神経遮断剤、心臓変力薬、コルチコステロイド、利尿剤、抗パーキンソン病薬、胃腸管薬、ヒスタミン H1 及び H2
受容体アンタゴニスト、角質溶解薬、脂質調節薬、抗狭心症薬、栄養物質、オピオイド鎮痛剤、性ホルモン、刺激剤、筋肉弛緩剤、抗骨粗鬆症薬、抗肥満薬、認知促進剤、抗尿失禁薬、栄養性油脂、抗良性前立腺肥大症薬、必須脂肪酸、非必須脂肪酸、ビタミン類、ミネラル、及びこれらの混合物がある。
【0072】
ある実施態様では、前記ポリマ製組成物を食欲抑制剤と組み合わせて投与する。前記食欲抑制剤を、前記ポリマ製組成物の投与前又は投与後に投与することができる。代替的には、前記食欲抑制剤を前記ポリマ製組成物と同時に投与することもできる。適した食欲抑制剤には、限定はしないが、Meridia (塩酸シブトラミン、Abbott
Laboratories社から入手可能)、Xenical (オルリスタット、Roche USA社から入手可能)、Acomplia (リモナバント、Sanofi-Aventis 社により開発され、FDAの承認待ち))、リモナバント、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドールフェンジメトラジン、フェンテルミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、ナルメトレン、及びこれらの組合せがある。更に前記ポリマ製組成物を、胃の結紮、胃のバイパス手術、胃内バルーン、移植可能な胃刺激材(米国の承認待ち)及び胃の電気刺激(米国の承認待ち)などの肥満を治療するための外科的治療と組み合わせて投与することもできる。
【0073】
D. 他の医薬品添加物
ここで解説したポリマ製複合材を、一種以上の薬学的に許容可能な医薬品添加物と一緒に調合して、多種の胃腸管の障害を治療したり、一種以上の活性薬剤の制御放出を提供することができる。適した医薬品添加物には、pH調節薬剤、可塑剤、着色剤、着香料、保存剤、抗酸化剤、界面活性剤、分散剤、推進薬、希釈剤、結着剤、及びこれらの組合せがある。
【0074】
E.栄養性シェーキ
シェーキには、食品添加物を含有するいずれの飲料も含まれる。食品添加物には、限定はしないが、着香料、ビタミン類、ミネラル、及び緩衝剤がある。ある実施態様では、前記ポリマ製組成物を、患者によって消費されるシェーキと併せて投与する。ビタミン類、ミネラル、選択的には栄養物質を含有するシェーキは、食事量を減らしたために患者が摂取できないような栄養分を供給する目的に役立てることができる。前記シェーキには、前記ポリマ製組成物と同時投与することのできる一種以上のタンパク質を含有させることができる。当業においては、タンパク質は胃のpHを上げ、かつ維持することができることが公知である。前記シェーキには、胃のpHを上げることで当該ポリマを膨潤させて治療効果を上げるような緩衝剤を含めることができる。このような緩衝剤には、限定はしないが、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せが含まれよう。前記シェーキには、ビタミン類、ミネラル及び緩衝剤のいずれの組合せをも含めることができる。数多くのシェーキが満腹感を誘導して体重減少に導くことが公知である(例えば Slim Fast(R))。前記ポリマをこのシェーキを組み合わせて用いることで、満腹感を促進する上で有利な効果を有することができる。前記ポリマを市販のシェーキと組み合わせて摂取して、胃のpHを上げる、及び/又は、食事量を減らしたために不足する患者の必要な栄養分を供給したり、及び/又は、満腹感の効果亢進を生じさせたりしてもよい。市販のシェーキには、限定はしないが、Slim Fast(R)、 Golean(R) Protein
Meal Chocolate Shake、Optimum
Nutrition Complete Protein Diet Meal Shake Mix、Walker Diet Low Carb Shake、Walker Diet(R) Fiber Combinations、Diet Lean Low Carb Shakes、NATURADE(R) Diet Lean -
Low Carb Dieter's Shake, DIET SHAKE VANILLA ATKINS(R) NUTRITIONALS、OxeSlim Diet Shake 2 Go、Herbalife(R)によるProtein Drink Mix、Herbalife(R)によるFormula 1 Nutritional Shake Mix 、Basic Organics Pat's Diet Shake、UNIVERSAL NUTRITION(R) Specialized Protein
for Dieting、SportPharma 社によるMeal Replacement Protein Shake、 SportPharma(R)による Whey Protein Shake、Medifast(R) Ready-toDrink Shakes、Eating for LifeRight! for Women Nutrition Shake、Chocolate、Genisoy(R)
Soy Protein Powder Natural、Atkins(R) Rtd Shake、Muscletech(R) NITRO-Tech
RTDs、Keto(R)
Slim Shake、Genisoy(R) Soy
Protein Shake、SpiruTein(R)
Sport、Spiru-Tein(R)、Eas Myoplex(R) Lite、Optimum 社によるProtein Diet、Power Shake、NutriMelt(R) Meal
Replacement Protein Shake、NRG Protein
Booster、Nature's Plus(R)
Ketoslim Shake、To-Diet-For(R) シェーキ、NutriTech(R) All One
Powder、Total Soy French
Vanilla、Balance Total Balance
Drink Mix、Pro V60 Straw、Slim & Trim Vanilla Cream、Scitec Nutrition Protein Delite、MetRx(R) Meal
Replacement、Ensure(R)
High Protein Complete Balanced Nutrition Drinkがある。
【0075】
III. 投与の方法
前記ポリマ製組成物は、典型的には経口投与される。適した経口用剤形には、錠剤、カプセル、キャプレット(原語:caplets)、粉末、シロップ、溶液、懸濁液及びシェーキ(原語:shakes)がある。ある実施態様では、前記ポリマ製組成物を一種以上の医薬品添加物、そして選択的には一種以上のpH調節薬剤、及び/又は、一種以上の活性薬剤と一緒に圧縮して、錠剤を形成する。錠剤を調製するために適した医薬品添加物には、結着剤、保存剤、抗酸化剤、推進剤、着香料、着色剤、及びこれらの組合せがある。
【0076】
ある実施態様では、前記ポリマを硬質又は軟質のゼラチン・カプセル内に封入する。前記カプセルの充填材料は、前記ポリマと、そして選択的一種以上のpH調節薬剤、及び/又は、活性薬剤とを含有する。また前記充填材料は一種以上の医薬品添加物も含有してよい。適した医薬品添加物には、限定はしないが、可塑剤、結晶化阻害剤、湿潤剤、バルク充填剤、可溶化剤、生物学的利用能促進剤、溶媒、及びこれらの組合せがある。ヒドロゲルが胃内に(食欲を抑える、及び/又は、一種以上の活性な薬剤を放出するために)適当な時間、留まったら、前記ポリマ組成物は分解、分散又は侵食されて、満腹感を軽減する、及び/又は、患者にとっての不快感及び/又は害を避けることができる。ある実施態様では、前記ポリマ及び/又は胃のミクロ環境の酸性を増す物質を投与して、前記ポリマを(pHを下げることにより)収縮させる。適した物質には、限定はしないが、クエン酸及びリン酸塩などの有機酸がある。部分的にタンパク質から成るようなポリマの場合、ペプシン又はパンクレアチンなどの酵素が適した物質である。
【0077】
他に定義しない限り、ここで用いられる技術用語及び科学用語のすべては、開示された本発明が属する当業の当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。ここで引用された公開文献及びその引用の根拠となった材料を、引用をもって特にここに援用することとする。当業者であれば、ごく慣例的な実験を用いるのみで、ここで解説された本発明の具体的な実施態様の均等物を数多く認識され、あるいは確認することができよう。このような均等物は以下の請求の範囲の包含するところとして、意図されている。
【0078】
IV. In Vivo検査
実験用ラットに、本発明のポリマ製材料であるPMSF-1を、様々な実験条件(実施例の項の実施例1を参照されたい)下で経口強制栄養として与えた。PMSF-1
は、両者とも引用をもってその全文をここに援用することとする米国特許第6,833,488号及びPCT 公開特許出願No. WO2005/084724A1に提供された手法に従って調製された。該動物をと殺し、それらの胃を切除し、胃の内容物を分析した。PMSF-1の経口強制栄養後、この動物に何ら急性毒性又は行動変化はみとめられなかった。ラットのと殺後、ラットの胃には何の肉眼的病理も観察されなかった。本PMSF-1 器具がラットの胃で観察されたが、H2遮断剤を予備投与された動物、あるいは、器具の投与後に食事を許された動物では、滞留時間の延びがみとめられた。
【0079】
この研究の第一の目的は、三つの異なる実験条件下、即ち:1)PMSF-1の摂取後に動物が何も食餌を摂らなかった場合;2)当該ポリマの経口強制栄養前に胃内pHを上げるH2遮断剤を動物に与えた場合;及び3)PMSF-1ポリマの経口強制栄養後に動物が食事を許された場合;で、PMSF-1を経口強制栄養した後のラットの胃内でのPMSF-1の滞留時間を理解することであった。胃の内容物の視覚的検査及び定量という組合せを用いて結論に達した。H2遮断剤を予備投与された動物では、H2遮断剤を投与されなかった動物に比較して、観察時点でそれらの胃内のPMSF-1量が明らかにより多かった。例えばPMSF-1の経口強制栄養から90分後では、H2遮断剤を予備投与されたラットの胃からは,当初のPMSF-1の27%が回収されたが、これに比べて、H2遮断剤の投与を受けなかったラットのからは90分後ではPMSF-1は全く回収されなかった。加えて、胃のpHを上げると記載されている食物もまた、より長時間、PMSF-1を膨潤した状態に留め、H2遮断剤で観察された結果と一致した。
【0080】
この研究の第二の目的は、PMSF-1材料の経口強制栄養により、何らかの肉眼的中毒又は明白なGI病理が生じたかどうかを判定することであった。何の急性中毒も当該動物で観察されなかった。その上、排出された糞便及び粘稠度は正常であったことから、GI機能が正常であることが示唆された。胃の肉眼的な組織病理検査でも、いずれの明白な以上も見られなかった。
【0081】
実施例
実施例1
ポリマ製材料の投与後のラットにおける胃内容物の観察
表1に上げた特徴を持つウィスター・ラットを、従来の実験条件で個別にVelaz T4 ケージに容れた。室温は20−24℃であり、相対湿度は30−70℃の間だった。蛍光照明により、1日当りほぼ12時間の照射を提供した。少なくとも1週間に1回、食餌及び水溶液を取替え、清潔にした。リグノセル(原語:Lignocel )(Velaz Ltd.,
Czech Republic) を敷き藁として用いた。
【0082】
【表1】

【0083】
順化及び研究期間中、動物には適宜、観察された質(可能性のある毒性又は微生物混入について、1年当り最低2回、分析された)の標準的なペレット状のげっ歯類用食餌 (NOE H4, Racio Breclav, Czech Republic)を与えた。観察された質(可能性のある毒性又は微生物混入について、1年当り最低2回、分析された)の水も、順化及び研究期間中、適宜与えられた。ラットをピクリン酸溶液で烙印し、5日間、順化させた。実験デザイン及びグループの割り振りをそれぞれ表2及び3に挙げる。
【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
全ラットを一晩、絶食させた。第一群のラットには、投与から4時間前にH2 遮断剤PepcidAC(R)
(10 mg ファモチジン、Johnson &Johnson・Merck Consumer Pharmaceuticals, 1 カプセル/ラット) を予備投薬した。第二群には予備投薬を施さず、PMSF-1の経口摂取後、食糧を摂らせなかった。第三群には予備投薬はしたが、PMSF-1の経口摂取後にも食糧を摂らせた。
【0087】
材料を膨潤させるために、PMSF-1粉末を水道水に640 mg のPMSF-1 対 50 mL の水の比率になるように混合した。ラットには5 mL の膨潤させたPMSF-1を経口栄養により摂らせた。第三群のラット (F5, F6) には食餌を与え、PMSF-1 の経口栄養直後に体重測定し、検死まで暗室に維持した。第三群の食餌消費量を測定し、記録した。検死は表4に従って行なわれた。
【0088】
【表4】

【0089】
ラットをエーテルを用いて麻酔し、この動物の胃を切除し、洩れを防ぐために胃の出口を縛り、胃の重さを計った。次に、胃を清浄にし、胃の内容物の重さを計り、視覚的に検査した。PMSF-1経口栄養後の嘔吐、下痢、運動及び行動の変化を含め、毒性の何らかの兆候についてラットを観察した。第三群の食餌消費量を記録した。PMSF-1投与、検死期間、及び胃の内容物検査のリアルタイムの結果を表5に挙げる。
【0090】
【表5】

【0091】
上記の結果は、H2遮断剤が、動物の胃内でPMSF-1が膨潤したままでいる総時間量を増加させることを実証している。更に、胃のpHを上げることが公知の食餌も、PMSF-1をより長時間、膨潤したままに留め、PMSF-1を食餌と混合した状態に留めた。従って、食餌で得られたこの結果は、更に、性質上生理的又は栄養的であるに関係なく、薬剤をPMSF-1と組み合わせて摂取すると、胃環境中でのPMSF-1の能力を高めることができることを示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロゲルの、動物の胃内での膨潤を可能にする又はその能力を高める、及び/又は、前記ヒドロゲルが胃内で膨潤したままでいる時間量を増加させる方法であって、水膨潤性ポリマを、前記ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げ、かつ維持する一種以上の物質と一緒に前記動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記ポリマが超吸収性ポリマである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマがホモポリマ、コポリマ、ポリマ混合物、架橋ポリマ、ポリマ複合材、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマがポリマ複合材である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
pHを変える前記一種以上の前記物質が緩衝剤、H2
遮断剤、プロトンポンプ阻害剤、制酸剤、タンパク質、栄養性シェーキ(原語:shakes)、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記緩衝剤が重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、, 水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記H2 遮断剤が、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、及びこれらの組合せ、からなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記プロトンポンプ阻害剤がオメプラゾール、ランソプラゾール、エソルネプラゾール(原語:esorneprazole)、パントプラゾール、アベプラゾール(原語:abeprazole)、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記制酸剤が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、及び重炭酸アンモニウムから成る群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマが、可塑剤、希釈剤、結着剤、潤滑剤、着色剤、安定化剤、界面活性剤、着香料、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤及びこれらの組合せから成る群より選択される一種以上の薬学的に許容可能な医薬品添加物を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記緩衝剤が、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマを一種以上の治療上活性な、診断上又は予防上活性な薬剤と一緒に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記薬剤が、鎮痛薬、抗炎症薬、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、抗精神病薬、気管支拡張剤、抗喘息薬、心臓血管薬、コルチコステロイド、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸管薬、筋肉弛緩剤、栄養物質、ビタミン類、副交感神経模倣薬、刺激剤、食欲抑制薬、
食欲抑制剤、抗肥満薬、抗ナルコレプシー薬、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記薬剤が食欲抑制剤又は抗肥満薬である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記食欲抑制剤又は抗肥満薬が、塩酸シブトラミン、オルリスタット、リモナバント、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドール
フェンジメトラジン、フェンテルミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、ナルメトレン、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマが経口投与用に調合される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記調合物が錠剤、カプセル、シロップ、溶液、懸濁液、粉末、バー、及びシェーキ(原語:shakes)から成る群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる物質を、前記ポリマと同時に、同じ剤形で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマと同時に、異なる剤形で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマの投与前又は投与後に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマの投与から24時間以内に投与する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマの投与から2時間以内に投与する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマの投与から6時間以内に投与する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
ヒドロゲルが胃内に一定の時間、滞留した後にこのヒドロゲルを分解、分散、及び/又は、収縮させる物質を投与するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記物質を前記ポリマの投与後に投与する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記物質が、前記ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを下げる作用をする、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記物質が有機酸である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記物質が酸性の飲料である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記物質がタンパク質である、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記タンパク質が酵素である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記酵素がペプシン、パンクレアチン、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリマ及び物質を、肥満のための外科的介入と組み合わせて投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
肥満を治療するための前記外科的介入は胃の結紮、胃のバイパス手術、胃内バルーン、移植可能な胃刺激材及び胃の電気刺激から成る群より選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
水膨潤性の前記調合物が、選択的にはビタミン類、ミネラル、又は栄養物質を含むシェークの形であり、前記ポリマの膨潤を高めるべく胃内pHを上げたり、食餌中の栄養分を補ったり、あるいは満腹感及び体重減少を誘導したりするのに有効である、請求項17に記載の方法。
【請求項35】
前記動物が霊長類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、鳥類、げっ歯類、ネコ、又はイヌである、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
薬物と、ポリマ及び/又は動物の胃のミクロ環境のpHを上げる一種以上の物質とを含む水膨潤性のポリマを動物に投与するステップを含む、動物に前記薬物を送達するための方法。
【請求項38】
前記薬物が徐放的に前記ポリマから放出される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記薬物が治療上活性な診断用、及び予防上活性な薬剤から成る群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記薬剤が鎮痛剤、抗炎症薬、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、抗精神病薬、気管支拡張剤、抗喘息薬、心臓血管薬、コルチコステロイド、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸管薬、筋肉弛緩剤、栄養物質、ビタミン類、副交感神経模倣薬、刺激剤、食欲抑制薬、食欲抑制剤、抗肥満薬、抗ナルコレプシー薬、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記薬剤が食欲抑制剤又は抗肥満薬である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記食欲抑制剤又は抗肥満薬が塩酸シブトラミン、オルリスタット、リモナバント、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドール
フェンジメトラジン、フェンテルミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、ナルメトレン、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ポリマが超吸収性ポリマである、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記ポリマがホモポリマ、コポリマ、ポリマ混合物、架橋ポリマ、ポリマ複合材、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記ポリマがポリマ複合材である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
pHを変える前記一種以上の前記物質が、緩衝剤、H2
遮断剤、プロトンポンプ阻害剤、制酸剤、タンパク質、栄養性シェーキ、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
前記緩衝剤が、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記H2 遮断剤はシメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記プロトンポンプ阻害剤がオメプラゾール、ランソプラゾール、エソルネプラゾール、パントプラゾール、アベプラゾール(原語:abeprazole)、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記制酸剤が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、及びヒドロタルサイトから成る群より選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記ポリマが、更に可塑剤、希釈剤、結着剤、潤滑剤、着色剤、安定化剤、界面活性剤、着香料、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤
及びこれらの組合せから成る群より選択される、一種以上の薬学的に許容可能な医薬品添加物を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項52】
前記緩衝剤が重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ポリマが経口投与用に調合される、請求項37に記載の方法。
【請求項54】
前記調合物が錠剤、キャプレット(原語:caplet)、カプセル、シロップ、溶液、懸濁液、粉末、バー、及びシェーキ(原語:shakes)から成る群より選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマと同時に、同じ剤形で投与する、請求項37に記載の方法。
【請求項56】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマと同時に、異なる剤形で投与する、請求項37に記載の方法。
【請求項57】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマの投与前又は投与後に投与する、請求項37に記載の方法。
【請求項58】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマの投与から24時間以内に投与する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマの投与から2時間以内に投与する、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマの投与から6時間以内に投与する、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
ヒドロゲルが胃内に一定の時間、滞留した後にこのヒドロゲルを分解、分散、及び/又は、収縮させる物質を投与するステップを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項62】
前記物質を前記ポリマの投与後に投与する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記物質が、前記ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを下げる作用をする、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記物質が有機酸である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記物質が酸性の飲料である、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記物質がタンパク質である、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記タンパク質が酵素である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記酵素がペプシン、パンクレアチン、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記ポリマ及び物質を、肥満のための外科的介入と組み合わせて投与する、請求項37に記載の方法。
【請求項70】
肥満を治療するための前記外科的介入が胃の結紮、胃のバイパス手術、胃内バルーン、移植可能な胃刺激材及び胃の電気刺激から成る群より選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
水膨潤性の調合物が、選択的にはビタミン類、ミネラル、又は栄養物質を含むシェークの形であり、前記ポリマの膨潤を高めるべく胃内pHを上げたり、食餌中の栄養分を補ったり、あるいは満腹感及び体重減少を誘導したりするのに有効である、請求項54に記載の方法。
【請求項72】
前記動物が霊長類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、鳥類、げっ歯類、ネコ、又はイヌである、請求項37に記載の方法。
【請求項73】
前記動物がヒトである、請求項37に記載の方法。
【請求項74】
肥満を治療する、体重減少を誘導する、及び/又は、胃内保持を増加させる、ためのものである、請求項1乃至73のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
ヒドロゲルの、動物の胃内での膨潤を可能にする又はその能力を高める、及び/又は、前記ヒドロゲルが胃内で膨潤したままでいる時間量を増加させる医薬であって、水膨潤性のポリマを、前記ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げ、かつ維持する一種以上の物質と組み合わせて含む、医薬。
【請求項76】
前記ポリマが超吸収性ポリマである、請求項75に記載の医薬。
【請求項77】
前記ポリマがホモポリマ、コポリマ、ポリマ混合物、架橋ポリマ、ポリマ複合材、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される、請求項75に記載の医薬。
【請求項78】
前記ポリマがポリマ複合材である、請求項77に記載の医薬。
【請求項79】
pHを変える一種以上の物質が緩衝剤、H2遮断剤、プロトンポンプ阻害剤、制酸剤、タンパク質、栄養性シェーキ、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項75に記載の医薬。
【請求項80】
前記緩衝剤が重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項79に記載の医薬。
【請求項81】
前記H2 遮断剤が、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項79に記載の医薬。
【請求項82】
前記プロトンポンプ阻害剤がオメプラゾール、ランソプラゾール、エソルネプラゾール、パントプラゾール、アベプラゾール(原語:abeprazole)、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項79に記載の医薬。
【請求項83】
前記制酸剤が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、及びヒドロタルサイトから成る群より選択される、請求項79に記載の医薬。
【請求項84】
前記医薬が更に可塑剤、希釈剤、結着剤、潤滑剤、着色剤、安定化剤、界面活性剤、着香料、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤及びこれらの組合せから成る群より選択される、一種以上の薬学的に許容可能な医薬品添加物を含む、請求項75に記載の医薬。
【請求項85】
前記緩衝剤が重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項84に記載の医薬。
【請求項86】
前記医薬が更に一種以上の治療上活性な、診断用又は予防上活性な薬剤を含む、請求項75に記載の医薬。
【請求項87】
前記薬剤が鎮痛剤、抗炎症薬、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、抗精神病薬、気管支拡張剤、抗喘息薬、心臓血管薬、コルチコステロイド、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸管薬、筋肉弛緩剤、栄養物質、ビタミン類、副交感神経模倣薬、刺激剤、食欲抑制薬、食欲抑制剤、抗肥満薬、抗ナルコレプシー薬、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項86に記載の医薬。
【請求項88】
前記薬剤が食欲抑制剤又は抗肥満薬である、請求項86に記載の医薬。
【請求項89】
前記食欲抑制剤又は抗肥満薬が塩酸シブトラミン、オルリスタット、リモナバント、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドール
フェンジメトラジン、フェンテルミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、ナルメトレン、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項88に記載の医薬。
【請求項90】
前記医薬が経口投与用に調合される、請求項75に記載の医薬。
【請求項91】
前記調合物が錠剤、キャプレット(原語:caplet)、カプセル、シロップ、溶液、懸濁液、粉末、バー、及びシェーキ(原語:shakes)から成る群より選択される、請求項90に記載の医薬。
【請求項92】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる物質が、同じ剤形中にある、請求項75に記載の医薬。
【請求項93】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質が、異なる剤形中にある、請求項75に記載の医薬。
【請求項94】
ポリマが胃内に一定の時間、滞留した後にこのポリマを分解、分散、及び/又は、収縮させる物質を更に含む、請求項75に記載の医薬。
【請求項95】
前記物質が、ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを下げる作用をする、請求項75に記載の医薬。
【請求項96】
前記物質が有機酸である、請求項95に記載の医薬。
【請求項97】
前記物質が酸性の飲料である、請求項95に記載の医薬。
【請求項98】
前記物質がタンパク質である、請求項95に記載の医薬。
【請求項99】
前記医薬が、選択的にはビタミン類、ミネラル、又は栄養物質を含むシェークの形であり、前記ポリマの膨潤を高めるべく胃内pHを上げたり、食餌中の栄養分を補ったり、あるいは満腹感及び体重減少を誘導したりするのに有効である、請求項75に記載の医薬。
【請求項100】
薬物を動物に送達するための医薬であって、前記薬物を含む水膨潤性のポリマと、前記ポリマ及び/又は動物の胃のミクロ環境のpHを上げる一種以上の物質とを含む、医薬。
【請求項101】
前記薬物が前記ポリマから徐放的に放出される、請求項100に記載の医薬。
【請求項102】
前記薬物が治療上活性な、診断用及び予防上活性な薬剤から成る群より選択される、請求項100に記載の医薬。
【請求項103】
前記薬剤が鎮痛剤、抗炎症薬、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、抗精神病薬、気管支拡張剤、抗喘息薬、心臓血管薬、コルチコステロイド、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸管薬、筋肉弛緩剤、栄養物質、ビタミン類、副交感神経模倣薬、刺激剤、食欲抑制薬、食欲抑制剤、抗肥満薬、抗ナルコレプシー薬、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項102に記載の医薬。
【請求項104】
前記薬剤が食欲抑制剤又は抗肥満薬である、請求項102に記載の医薬。
【請求項105】
前記食欲抑制剤又は抗肥満薬が塩酸シブトラミン、オルリスタット、リモナバント、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドール
フェンジメトラジン、フェンテルミン、アンフェタミン、フェンフルラミン、 ナルメトレン、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項104に記載の医薬。
【請求項106】
前記ポリマが超吸収性ポリマである、請求項100に記載の医薬。
【請求項107】
前記ポリマがホモポリマ、コポリマ、ポリマ混合物、架橋ポリマ、ポリマ複合材、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項100に記載の医薬。
【請求項108】
前記ポリマがポリマ複合材である、請求項107に記載の医薬。
【請求項109】
pHを変える前記一種以上の物質が緩衝剤、H2
遮断剤、プロトンポンプ阻害剤、制酸剤、タンパク質、栄養性シェーキ、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項100に記載の医薬。
【請求項110】
前記緩衝剤が重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項109に記載の医薬。
【請求項111】
前記H2 遮断剤がシメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項109に記載の医薬。
【請求項112】
前記プロトンポンプ阻害剤がオメプラゾール、ランソプラゾール、エソルネプラゾール、パントプラゾール、アベプラゾール(原語:abeprazole)、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項109に記載の医薬。
【請求項113】
前記制酸剤が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、及びヒドロタルサイトから成る群より選択される、請求項109に記載の医薬。
【請求項114】
前記ポリマが、可塑剤、希釈剤、結着剤、潤滑剤、着色剤、安定化剤、界面活性剤、着香料、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤
及びこれらの組合せからなる群より選択される一種以上の薬学的に許容可能な医薬品添加物を更に含む、請求項100に記載の医薬。
【請求項115】
前記緩衝剤が、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項114に記載の医薬。
【請求項116】
前記ポリマが経口投与用に調合される、請求項100に記載の方法。
【請求項117】
前記調合物が錠剤、キャプレット(原語:caplet)、カプセル、シロップ、溶液、懸濁液、粉末、バー、 及びシェーキ(原語:shakes)から成る群より選択される、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる物質を、前記ポリマと同時に、同じ剤形で投与する、請求項100に記載の方法。
【請求項119】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマと同時に、異なる剤形で投与する、請求項100に記載の医薬。
【請求項120】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマの投与前又は投与後に投与する、請求項100に記載の医薬。
【請求項121】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマの投与から24時間以内に投与する、請求項120に記載の医薬。
【請求項122】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマの投与から2時間以内に投与する、請求項120に記載の医薬。
【請求項123】
ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを上げる前記物質を、前記ポリマの投与から6時間以内に投与する、請求項120に記載の医薬。
【請求項124】
ヒドロゲルが胃内に一定の時間、滞留した後にこのヒドロゲルを分解、分散、及び/又は、収縮させる物質を更に含む、請求項100に記載の医薬。
【請求項125】
前記物質を前記ポリマの投与後に投与する、請求項124に記載の医薬。
【請求項126】
前記物質が、前記ポリマ及び/又は胃のミクロ環境のpHを下げる作用をする、請求項124に記載の医薬。
【請求項127】
前記物質が有機酸である、請求項126に記載の医薬。
【請求項128】
前記物質が酸性の飲料である、請求項126に記載の医薬。
【請求項129】
前記物質がタンパク質である、請求項124に記載の医薬。
【請求項130】
前記タンパク質が酵素である、請求項129に記載の医薬。
【請求項131】
前記酵素がペプシン、パンクレアチン、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項130に記載の医薬。
【請求項132】
前記医薬を、肥満のための外科的介入と組み合わせて投与する、請求項100に記載の方法。
【請求項133】
肥満を治療するための前記外科的介入が、胃の結紮、胃のバイパス手術、胃内バルーン、移植可能な胃刺激材及び胃の電気刺激から成る群より選択される、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
水膨潤性の調合物が、選択的にはビタミン類、ミネラル、又は栄養物質を含むシェークの形であり、前記ポリマの膨潤を高めるべく胃内pHを上げたり、食餌中の栄養分を補ったり、あるいは満腹感及び体重減少を誘導したりするのに有効である、請求項117に記載の医薬。
【請求項135】
前記動物が霊長類、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、鳥類、げっ歯類、ネコ、又はイヌである、請求項100に記載の医薬。
【請求項136】
前記動物がヒトである、請求項100に記載の医薬。

【公表番号】特表2009−531462(P2009−531462A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503243(P2009−503243)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/065351
【国際公開番号】WO2007/112436
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(508286821)ジェレシス, インク. (3)
【Fターム(参考)】