説明

性腺刺激ホルモン放出ホルモンレセプターアンタゴニストとしてのピリミジン−2,4−ジオン誘導体

男性および女性の両方における種々の性ホルモン関連状態の処置において有用性を有するGnRHレセプターアンタゴニストが開示される。本発明の化合物は、構造式(I)を有し、ここでR1a、R1b、R2a、R2b、R、R、R、R、RおよびXは、本明細書中に規定されるとおりであり、本発明の化合物は、その立体異性体、プロドラッグおよび薬学的に受容可能な塩を含む。また、薬学的に受容可能なキャリアと組合せて本発明の化合物を含む組成物、および性腺ホルモン放出ホルモンの拮抗を必要とする被験体において性腺ホルモン放出ホルモンに拮抗するための、それらの組成物の使用に関する方法も開示される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の権利についての声明)
本明細書中に記載される研究の一部の資金は、国立衛生研究所により提供された助成金番号第1−R43−HD38625号および同2R44−HD38625−02号の下に、米国政府により提供された。米国政府は、本発明において特定の権利を有し得る。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)レセプターアンタゴニストに関し、そしてこのようなアンタゴニストの投与による障害の処置を必要とする温血動物へのこのアンタゴニストの投与により障害を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
(関連技術の説明)
性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)(黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)としても公知)は、ヒトの生殖において重要な役割を果たすデカペプチド(pGlu−His−Trp−Ser−Tyr−Gly−Leu−Arg−Pro−Gly−NH)である。GnRHは、視床下部から放出され、下垂体に対して黄体化ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)の生合成ならびに放出を刺激するように作用する。下垂体から放出されるLHは、雄性および雌性の両方において性腺ステロイド産生の調節を担うが、その一方でFSHは、雄性における精子形成および雌性における卵胞発達を調節する。
【0004】
その生物学的重要性に起因して、GnRHに対する合成アンタゴスニトおよび合成アゴニストは、特に前立腺癌、乳癌、子宮内膜症、子宮平滑筋腫(線維平滑筋腫)、卵巣癌、前立腺肥大、生殖補助治療、および性的早熟症の文脈において、かなりの注目の対象であり続けている(The Lancet 358:1793−1803,2001;Mol.Cel.Endo.166:9−14,2000)。例えば、ペプチド性GnRHアゴニスト(例えば、リュープロレリン(pGlu−His−Trp−Ser−Tyr−d−Leu−Leu−Arg−Pro−NHEt))は、このような状態を処置するために使用されてきた。このようなアゴニストは、下垂体の性腺刺激ホルモンにおけるGnRHレセプターに結合することにより機能し、それによって性腺刺激ホルモンの合成および放出を誘発するようである。GnRHアゴニストの慢性投与は、性腺刺激ホルモンを欠乏させ、引き続いてそのレセプターをダウンレギュレーションし、しばらくの期間(例えば、慢性投与の開始後のほぼ2〜3週間)の後にステロイドホルモンの抑制をもたらす。
【0005】
対照的に、GnRHアンタゴストは、初期から性腺刺激ホルモンを抑制すると考えられ、従って、過去20年にわたって非常に大きな注目を受けてきた。現在まで、このようなアンタゴニストの臨床的使用に対する主要な障害のいくつかは、それらのバイオアベイラビリティーの相対的低さおよびヒスタミン放出により引き起こされる有害な副作用であった。しかし、それらは、制限されたバイオアベイラビリティーに起因して、未だ徐放性送達経路(例えば、皮下注射または鼻腔内スプレー)によって送達されねばならないが、低ヒスタミン放出特性を有するいくつかのペプチド性アンタゴニストが報告されている。
【0006】
ペプチド性GnRHアンタゴニストに関連する制限を考慮して、多くの非ペプチド性化合物が提案されている。例えば、Choら(J.Med.Chem.41:4190−4195,1998)は、GnRHレセプターアンタゴニストとして使用するためのチエノ[2,3−b]ピリジン−4−オンを開示し;米国特許第5,780,437号および同5,849,764号は、(公開されたPCT WO 97/21704号、同98/55479号、同98/55470号、同98/55116号、同98/55119号、同97/21707号、同97/21703号、および同97/21435号が開示するように)GnRHレセプターアンタゴニストとしての置換インドールを教示し;公開されたPCT WO96/38438号は、GnRHレセプターアンタゴニストとしての三環式ジアゼピンを開示し;公開されたPCT WO 97/14682号、同97/14697号および同99/09033号は、GnRHアンタゴニストとしてのキノリン誘導体およびチエノピリジン誘導体を開示し;公開されたPCT WO 97/44037号、同97/44041号、同97/44321号、および同97/44339号は、GnRHレセプターアンタゴニストとしての置換キノリン−2−オンを教示し;そして公開されたPCT WO 99/33831号は、GnRHレセプターアンタゴニストとしての特定のフェニル置換縮合窒素含有二環式化合物を開示する。最近公開されたPCT WO 02/066459号およびWO 02/11732号は、それぞれ、インドール誘導体ならびに新規な二環式ピロリジン誘導体および三環式ピロリジン誘導体の、GnRHアンタゴニストとしての使用を開示する。化合物およびそれらのGnRHアンタゴニストとしての使用を開示する他の最近公開されたPCTとしては、WO 00/69859号、WO 01/29044号、WO 01/55119号、WO 03/013528号、WO 03/011870号、WO 03/011841号、WO 03/011839号、およびWO 03/011293号が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この分野において、顕著な進歩が形成されているが、その一方で有効な低分子GnRHレセプターアンタゴニストに対する必要性が当該分野において未だ存在する。また、このようなGnRHレセプターアンタゴニストを含有する薬学的組成物および、例えば、性ホルモン関連状態を処置するためのそれらの組成物の使用に関する方法に対する必要性が存在する。本発明は、これらの必要性を満たし、そして他の関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】

(発明の簡単な要旨)
手短に言えば、本発明は、概して、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)レセプターアンタゴニスト、ならびにそれらの調製方法および使用方法、ならびに上記化合物を含有する薬学的組成物に関する。より具体的には、本発明のGnRHレセプターアンタゴニストは、以下の一般的構造(I):
【0009】
【化2】

を有する化合物(その立体異性体、プロドラッグ、および薬学的に受容可能な塩を含む)であり、ここでR1a、R1b、R2a、R2b、R、R、R、R、RおよびXは、以下に規定されるとおりである。
【0010】
本発明のGnRHレセプターアンタゴニストは、幅広い範囲の治療用途にわたって有用性を有し、男性および女性の両方ならびに哺乳動物一般(本明細書中で「被験体」とも呼ばれる)における種々の性ホルモン関連状態を処置するために使用され得る。例えば、このような状態としては、子宮内膜症、子宮線維平滑筋腫、多嚢胞性卵巣疾患、多毛症、性的早熟症、性腺ステロイド依存性新形成(例えば、前立腺癌、乳癌、および卵巣癌)、性腺刺激性下垂体腺腫、睡眠時無呼吸症、過敏性腸症候群、月経前症候群、良性前立腺肥大、避妊、および不妊(例えば、インビトロ受精のような生殖補助治療)が挙げられる。本発明の化合物はまた、成長ホルモン欠乏症および低身長の処置のための補助剤として、および全身性エリテマトーデスの処置のために有用である。上記化合物はまた、男性ホルモン、エストロゲン、黄体ホルモン、ならびに抗男性ホルモンおよび抗プロゲストゲンと組合せて、子宮内膜症、線維平滑筋腫および避妊の処置のために有効であり、加えて、アンギオテンシン変換酵素インヒビター、アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストまたはレニンインヒビターと組合せて、子宮線維平滑筋腫の処置のために有用である。加えて、上記化合物は、ビスホスホネートおよび他の薬剤と組合せて、リン酸カルシウム代謝および骨代謝の障害の処置および/または予防のために使用され得、そして卵胞ホルモン、黄体ホルモンおよび/または男性ホルモンと組合せて骨喪失または生殖機能不全症状(例えば、GnRHアンタゴニストによる治療の間ののぼせ)の予防または処置のために使用され得る。
【0011】
本発明の化合物は、それらのGnRHレセプターアンタゴニスト活性に加えて、肝臓にある主要な代謝酵素、つまりシトクロムP450酵素との低下した相互作用を有する。このファミリーの酵素は、CYP2D6およびCYP3A4というサブタイプを含み、薬物および毒素の代謝を担い、体内からのそれらの排泄を導く。これらの酵素の阻害は、上記酵素がこの機能を果たし得ないという、生命を脅かす状態を導き得る。
【0012】
本発明の方法は、GnRHレセプターアンタゴニストの投与を必要とする哺乳動物に、有効量のGnRHレセプターアンタゴニストを、好ましくは薬学的組成物の形態で、投与する工程を包含する。従って、なおさらなる実施形態では、薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤と組み合わせて1つ以上の本発明のGnRHレセプターアンタゴニストを含有する薬学的組成物が、開示される。
【0013】
本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の詳細な説明を参照することによって明らかとなる。この目的のために、特定の背景情報、手順、化合物および/または組成物を詳細に記載する種々の参考文献が本明細書中で示され、それらは、各々、その全体がこれにより参考として援用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
上記のように、本発明は、概して、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)レセプターアンタゴニストとして有用な化合物に関する。本発明の化合物は、以下の構造(I):
【0015】
【化3】

を有するか、またはこれらの立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に受容可能な塩であり、
ここで、
1aおよびR1bは、同じであるかまたは異なり、そして独立に、水素、ハロゲン、C1〜4アルキル、またはアルコキシであり;
2aおよびR2bは、同じであるかまたは異なり、そして独立に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、または−SOCHであり;
は、水素またはメチルであり;
は、フェニルまたはC3〜7アルキルであり;
およびRは、同じであるかまたは異なり、そして独立に、水素またはC1〜4アルキルであるか;または
およびそれが結合する窒素は、Rおよびそれが結合する炭素と一緒になって、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたは2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールを形成し;
は、−COOHまたは酸同配体であり;そして
Xは、−O−(C1〜6アルカンジイル)または−O−(C1〜6アルカンジイル)−O−(C1〜6アルカンジイル)であり、ここで各(C1〜6アルカンジイル)は、必要に応じて1〜3個のC1〜4アルキル基で置換されている。
【0016】
本明細書中で使用される場合、上記の用語は以下の意味を有する。
【0017】
「C1〜6アルキル」とは、直鎖もしくは分枝状の、非環状もしくは環状の、不飽和もしくは飽和の1〜6個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが挙げられ;他方、飽和分枝状アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル、などが挙げられる。代表的な飽和環状アルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられ;他方、不飽和環状アルキルとしては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどが挙げられる。不飽和アルキルは、隣接する炭素原子の間に少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む(それぞれ、「アルケニル」または「アルキニル」と呼ばれる)。代表的な直鎖アルケニルおよび分枝状アルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどが挙げられ;他方、代表的な直鎖アルキニルおよび分枝状アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニルなどが挙げられる。
【0018】
「C1〜4アルキル」とは、直鎖もしくは分枝状の、非環状もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の1〜4個の炭素原子を含む炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルなどが挙げられ;分枝状アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどが挙げられ;他方、環状アルキルとしては、シクロプロピルなどが挙げられる。
【0019】
「C3〜7アルキル」とは、直鎖もしくは分枝状の、非環状もしくは環状の3〜7個の炭素原子を含む炭化水素を意味する。代表的な直鎖アルキルとしては、n−プロピル、n−ブチル、n−ヘキシルなどが挙げられ;他方、分枝状アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチルなどが挙げられる。代表的な環状アルキルとしては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0020】
「C1〜6アルカンジイル」とは、同一の炭素原子または異なる炭素原子から2つの水素が取られた二価のC1〜6アルキルであって、例えば、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHC(CHCH−などが挙げられる。
【0021】
「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味し、代表的にはフルオロおよびクロロを意味する。
【0022】
「ヒドロキシ」とは、−OHを意味する。
【0023】
「アルコキシ」とは、−O−(C1〜6アルキル)を意味する。
【0024】
「シアノ」とは、−CNを意味する。
【0025】
「酸同配体」とは、カルボン酸に類似した性質を示し、8未満のpKaおよび好ましくは7未満のpKaを有する部分を意味する。代表的な酸同配体としては、テトラゾール、3H−[1,3,4]オキサジアゾール−2−オン、[1,2,4]オキサジアゾール−3−オン、1,2−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン、2H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン、スルホニル基またはスルホキシド基で置換されたトリアゾール、スルホニル基またはスルホキシド基で置換されたイミダゾール、[1,2,4]オキサジアゾリジン−3,5−ジオン、[1,2,4]−チアジアゾリジン−3,5−ジオン、イミダゾリジン−2,4−ジオン、イミダゾリジン−2,4,5−トリオン、ピロリジン−2,5−ジオンおよびピロリジン−2,3,5−トリオンが挙げられる。酸同配体としてはまた、−C(=O)NHSONR、−C(=O)NHSO、−C(=O)NHC(=O)NRおよび−C(=O)NHC(=O)Rが挙げられ、ここでRは、水素またはC1〜4アルキルであり、そしてRは、C1〜4アルキルである。
【0026】
本発明の1つの実施形態では、Rは、フェニルであり、本発明の代表的なのGnRHアンタゴニストとしては、以下の構造(II)を有する化合物が挙げられる。
【0027】
【化4】

別の実施形態では、構造(III)に示されるように、Rは、C3〜7アルキルである。このC3〜7アルキル基は、直鎖アルキルであっても、分枝状アルキル(例えば、構造(IV)に示されるようなイソブチル)であっても、環状アルキル(例えば、構造(V)に示されるようなシクロヘキシル)であってもよい。
【0028】
【化5】

別の実施形態では、Rおよびそれが結合する窒素は、Rおよびそれが結合する炭素と一緒になって、構造(VI)および(VII)に示されるような、それぞれ、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたは2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールを形成する。
【0029】
【化6】

別の実施形態では、R1aおよびR1bは、水素、アルコキシまたはハロゲンである。このアルコキシは、メトキシまたはエトキシであり得、このハロゲンは、代表的にはフロオロまたはクロロである。
【0030】
別の実施形態では、R2aおよびR2bは、水素、トリフルオロメチル、ハロゲン(代表的にはフロオロもしくはクロロ)または−SOCHであり得る。
【0031】
さらなる実施形態では、Xは、−OCHCH−、−OCHCHCH−または−OCHCHCHCH−である。
【0032】
本発明の化合物は、公知の有機合成技術(実施例により詳細に記載される方法を含む)により調製され得る。一般に、上記構造(I)の化合物は、以下の反応スキームにより作製され得、この反応スキームでは、すべての置換基は、別な様で示されない限り、上で規定されたとおりである。
【0033】
【化7】

適切に置換されたベンゾニトリルは、適切な試薬(例えば、THF中のボラン)を使用して還元され得、次いで尿素1を生成する。ジケテンのような試薬との環化は、化合物2を与え、この化合物2は、酢酸中の臭素、N−ブロモスクシンイミド、または他の臭素化剤で臭素化され得、化合物3を与える。アルキル化は、化合物4を与え、ボロン酸またはボロン酸エステルとのSuzuki縮合は、化合物5(Qは、アルコキシ、ヒドロキシ、または式−X−Rという基であり得る)を与える。塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸のような代表的な試薬を用いる、この保護されたアミンの脱保護は、化合物6を与え、この化合物6は、アルキル化され得るか、または還元的アミノ化条件を介してアルデヒドと縮合され、式7の化合物を与え得る。本発明の化合物を得るために、これらの種々の工程の順序を変更することは可能である。
【0034】
【化8】

反応スキーム1の改変では、化合物4は、脱保護を受けて化合物8を与え、この化合物8は、Suzuki条件下で適切なボロン酸と縮合され、化合物6を与え得る。
【0035】
【化9】

置換フェニル酢酸エステル9(対応する酸から作製されるか購入される)およびジメチルホルムアミドジメチルアセタールのような試薬が縮合され、10を与える。尿素との環化は、式11の化合物を与える。例えば、置換ベンジルブロミドを用いたアルキル化は12を与え、この12は、適切なアルキルアハイド、アルキルメシレートまたはアルキルトシレートでアルキル化され、5を与え得る。
【0036】
【化10】

化合物13または化合物13の適切に保護されたtert−ブトキシカルボニル(Boc)もしくはカルボベンジルオキシ(CBZ)バージョンは、適切な酸(例えば、HBrまたはBBr)を用いて脱アルキル化され、化合物14を与え得る。酸、エステル、または酸同配体官能性を含むアルキルハライドとのアルキル化が化合物15を直接与える前に、そのアミン官能性の再保護が必要であるかも知れず、またはエステルが存在する場合には、そのエステルの加水分解の後に、化合物15を与え得る。
【0037】
本発明の化合物は、一般に、遊離酸または遊離塩基として利用され得る。あるいは、本発明の化合物は、酸付加塩または塩基付加塩の形態で使用され得る。本発明の遊離アミノ化合物の酸付加塩は、当該分野で周知の方法により調製され得、有機酸および無機酸から形成され得る。適切な有機酸としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸、およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。適切な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、および硝酸が挙げられる。塩基付加塩としては、カルボキシレートアニオンとともに形成する塩基付加塩を含み、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウムおよびカルシウム)ならびにアンモニウムイオンおよびその置換誘導体(例えば、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウムなど)より選択される有機カチオンおよび無機カチオンとともに形成される塩を含む。従って、構造(I)の用語「薬学的に受容可能な塩」は、任意かつすべての受容可能な塩形態を包含することが意図される。
【0038】
さらに、プロドラッグがまた、本発明の文脈内に含まれる。プロドラッグは、そのようなプロドラッグが患者に投与された場合に、インビボで構造(I)の化合物を放出する任意の共有結合で結合したキャリアである。プロドラッグは、一般に、修飾物が、慣習的な操作によるかまたはインビボにおいてかのいずれかで、切断されて親化合物が得られるように、官能基を修飾することにより調製される。プロドラッグとしては、例えば、ヒドロキシ基、アミン基、またはスルフヒドリル基が、患者に投与された場合に切断してそのヒドロキシ基、アミン基、またはスルフヒドリル基を形成する任意の基に結合された、本発明の化合物が挙げられる。従って、プロドラッグの代表例としては、構造(I)の化合物のアルコール官能基およびアミン官能基の酢酸誘導体、ギ酸誘導体および安息香酸誘導体が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。さらに、カルボン酸(−COOH)の場合には、メチルエステル、エチルエステルなどのようなエステルが用いられ得る。
【0039】
立体異性体に関して、構造(I)の化合物は、キラル中心を有し得、ラセミ体、ラセミ体混合物および個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして生じ得る。すべてのこのような異性体形態は、その混合物を含めて本発明の内に含まれる。さらに、構造(I)の化合物のいくつかの結晶形態は、多形として存在し得、これは本発明の中に含まれる。さらに、構造(I)の化合物のいくつかはまた、水または他の有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。このような溶媒和物は、同様に本発明の範囲内に含まれる。
【0040】
化合物のGnRHレセプターアンタゴニストとしての有効性は、種々のアッセイ技術により決定され得る。当該分野で周知のアッセイ技術は、GnRH活性を測定するための培養された下垂体細胞の使用(Valeら、Endocrinology 91:562−572,1972)およびラット下垂体膜(Perrinら、Mol.Pharmacol.23:44−51,1983)または以下に記載されるようなクローン化されたレセプターを発現する細胞由来の膜に結合する放射性リガンドの測定を包含する。他のアッセイ技術としては、GnRH刺激性カルシウム流入の阻害、ホスホイノシトール加水分解の調節、および去勢動物における性腺刺激ホルモンの循環濃度に対するGnRHレセプターアンタゴニストの効果の測定が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。これらの技術、放射性標識リガンドの合成、放射性イムノアッセイにおける放射性標識リガンドの使用、および化合物のGnRHレセプターアンタゴニストとしての有効性の測定についての説明が以下に続く。
【0041】
(GnRH刺激性LH放出の阻害)
適切なGnRHアンタゴニストは、そのレセプターに対するGnRH特異的な結合を阻害し得、そしてGnRHに関連する活性に拮抗し得る。例えば、未成熟のラットにおけるGnRH刺激性LH放出の阻害は、Vilchez−Martinezの方法に従って測定され得る(Endocrinology 96:1130−1134,1975)。手短に言えば、25日齢の雄性のSpraque−Dawleyラットが、経口胃管栄養法(oral gavage)、皮下注射、または静脈内注射により、生理食塩水中または他の適切な処方物中のGnRHアンタゴニストを投与される。この後に、0.2mL生理食塩水中の200ngのGnRHが、皮下注射される。最後の注射の30分後、その動物は、断頭され、幹血液が収集される。遠心分離の後、分離された血漿は、放射性イムノアッセイ(以下を参照のこと)によるLHおよび/またはFSHの濃度の決定まで、−20℃で保存される。
【0042】
(GnRHアンタゴニストのラット下垂体前葉細胞培養アッセイ)
下垂体前葉を、7週齢の雌性Sprague−Dewleyラットから収集し、採取した腺を、分散用フラスコ中で、37℃で1.5時間、コラーゲナーゼで消化する。コラーゲナーゼ消化の後、この腺を、37℃で9分間、さらにノイラミニダーゼで消化する。消化された組織を、次いで0.1%BSA/McCoyの5A培地で洗浄し、そして洗浄した細胞を、3%FBS/0.1BSA/McCoyの5A培地に懸濁し、96ウェルの組織培養プレートに、1ウェルあたり40,000細胞の細胞密度で、200μlの培地中でプレートする。この細胞を、次いで37℃で3日間、インキュベートする。GnRHアンタゴニストのアッセイのために、インキュベートした細胞は、まず0.1%BSA/McCoyの5A培地で1回洗浄し、次いで三連のウェル中で、試験サンプル、および200μlの0.1%BSA/McCoyの5A培地中の1nMのGnRHを添加する。各サンプルを、5つの用量レベルでアッセイし、GnRH刺激性LH放出および/またはFSH放出の阻害についての効力を決定するための用量−応答曲線を生成する。37℃での4時間のインキュベーションの後、この培地を採取し、この培地中に分泌されたLHおよび/またはFSHのレベルをRIAにより定量する。
【0043】
(膜結合アッセイ1)
GnRHレセプター発現ベクターで安定にまたは一過性にトランスフェクトした細胞を採取し、5%スクロースに再懸濁し、そしてpolytronホモジナイザー(2×15秒)を用いてホモジナイズする。核を、遠心分離(3000×gで5分間)により除去し、上清を遠心分離(20,000×gで30分間、4℃)し膜画分を収集する。最終の膜調製物を、結合用緩衝液(10mM Hepes(pH 7.5)、150mM NaCl、および0.1%BSA)に再懸濁し、−70℃で保存する。結合反応を、ポリエチレンイミンでコーティングされたGF/C膜を備えたMillipore MultiScreen 96ウェル濾過プレートアセンブリ中で実施する。この反応を、膜(130μl結合用緩衝液中の40μgタンパク質)を、50μlの[125I]標識化GnRHペプチド(約100,000cpm)および20μlの種々の濃度のコンペティターに加えることにより開始する。この反応を、90分後に真空の適用およびリン酸塩緩衝化生理食塩水での洗浄(2×)により停止する。結合した放射活性を、96ウェルのシンチレーション計数(Packard Topcount)を用いてか、またはプレートからフィルターを取り出しそして直接γ線計数を実施することにより測定する。K値を、Prism software package(GraphPad Software)を用いる非線形最小二乗回帰を用いて競合結合データから計算する。
【0044】
(膜結合アッセイ2)
さらなる膜結合アッセイのために、安定にトランスフェクトされたHEK293細胞を、堅い表面に対して組織培養フラスコを打ちつけることにより採取し、1000×gでの5分間の遠心分離により収集する。細胞ペレットを、5%スクロースに再懸濁し、2回の15秒のホモジナイズ工程のために、polytronホモジナイザーを用いてホモジナイズする。次いで、細胞ホモジネートを、5分間、3000×gで遠心分離し核を取り除き、そして次いで、その上清を、30分間、44,000×gで遠心分離し、膜画分を収集する。この膜ペレットを、GnRH結合用緩衝液(10mM HEPES、pH 7.5、150mM NaClおよび0.1%BSA)に再懸濁し、アリコートを、直ちに液体窒素中で瞬間冷凍し、−80℃で保存する。この膜懸濁液のタンパク質含量を、Bio−Radタンパク質アッセイキット(Bio−Rad、Hercules、CA)を用いて定量する。
【0045】
膜調製物を用いた競合放射性リガンド結合アッセイを、GF/Cメンブランフィルターを備えたMillipore 96ウェル濾過プレート中で実施する。このGF/Cメンブランフィルターは、200μlの0.1%ポリエチレンイミン(Sigma、St.Louis、MO)で予めコーティングされている。使用の前に、このプレートを、リン酸塩緩衝化生理食塩水溶液で、3回、洗浄する。GnRH結合用緩衝液中の膜画分(ヒトレセプターおよびサルレセプターについて25μgのタンパク質、ラットレセプターについて12μgを含む130μl)を、20μlの種々の濃度の競合リガンドと一緒に、ウェルに添加する。この結合反応を、放射性リガンド(50μlのGnRH結合用緩衝液中の0.1nM)を添加することにより開始する。この反応を、90分間、室温で、プラットホーム振盪器で進行させ、次いでアッセイプレートをMillipore真空マニホールド(Millipore、Bedford、MA)に置き、溶媒を吸引し、そしてウェルを200μlの氷冷リン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)で2回洗浄することにより停止する。このウェル中のフィルターを取り出し、ガンマ計数器でカウントする。K値を、各競合結合曲線から、非線形最小二乗回帰を用いて計算し、そして、0.5nMの放射性リガンド親和性を仮定して、Cheng−Prusoff方程式(Prism、GraphPad Software、San Diego、CA)を用いて放射性リガンド濃度に対して補正する。平均K値を、各レセプターリガンド対に対するpK値の平均の真数から計算する。
【0046】
(膜結合アッセイ3)
安定にトランスフェクトしたヒトGnRHレセプターRBL細胞を、コンフルエンス(confluence)まで増殖する。この培地を取り除き、そしてこの細胞単層を、DPBSで1回洗浄する。0.5mM EDTA/PBS(Ca++Mg++を含まない)の溶液を、プレートに添加し、次いでこのプレートを37℃で10分間インキュベートする。細胞を、フラスコを緩やかにたたくことにより取り除く。この細胞を収集し、4℃での800g、10分間の遠心分離によりペレット化する。この細胞ペレットを、次いで緩衝液[DPBS(1.5mM KHPO、8.1mM NaHPO、2.7mM KCl、および138mM NaCl)に10mM MgCl、2mM EGTAを補充し、NaOHでpH=7.4にしたもの]に再懸濁する。次いで、細胞の溶解を、圧力セルを用い、4℃でNを900psiの圧力で30分間付与することにより実施する。破壊されない細胞およびより大きい砕片を、4℃での1200gでの10分間の遠心分離により取り除く。次いでこの細胞膜の上清を、45,000gで遠心分離し、得られた膜ペレットを、アッセイ緩衝液に再懸濁し、氷上で、組織ホモジナイザーを用いてホモジナイズする。タンパク質濃度を、ウシ血清アルブミンを標準として用いるCoomassie Plus Protein Reagent kit(Pierce、Rockford、IL)を用いて定量する。このペレットをアリコートに分け、使用まで−80℃で保存する。一定範囲のタンパク質濃度を用いる滴定分析を、最適のタンパク質濃度をウェルの最終濃度あたり15μgであると定量した。
【0047】
Unifilter GF/Cフィルタープレート(Perkin Elmer、Boston MA)を、蒸留水中の0.5%ポリエチレンイミンの溶液で30分間前処理する。フィルターを、細胞採取器(UniFilter−96 Filtermate;Packard)を用いて、1ウェルあたり200μlのPBS、1% BSA(Fraction V)および0.01% Tween−20、pH=7.4)で予めリンスする。膜を、急速真空濾過により採取し、250μlの氷冷緩衝液(PBS、0.01% Tween−20、pH=7.4)で3回洗浄する。プレートを風乾し、50μlのシンチレーション流体(Microscint 20;Packard)を添加し、そしてこのプレートを、TopCount NXT(Packard Instruments、IL)を用いて、放射活性についてモニタリングする。
【0048】
結合実験を、10mM HEPES、150mM NaCl、および0.1% BSA、pH=7.5を含む緩衝液中で実施する。膜を、200μlの各ウェル中で、50μl [125I]His、D−Tyr、GnRH(0.2nMの最終濃度)および、全体積に対して30pM〜10μMの範囲の濃度の50μlの低分子コンペティターとともにインキュベートする。インキュベーションを、室温で2時間実施する。この反応を、上に記載したように、GF/Cフィルターでの急速濾過により停止する。カーブフィッティングを、Excel Fit Software(IDBS、Emeryville、CA)を用いて実施する。Ki値を、上記放射性リガンドに対して0.7nMのKd値(これは、飽和結合実験で以前に決定された値である)を用いるChengおよびPrusoffの方法(ChengおよびPrusoff、1973)を用いて計算する。
【0049】
(Ca++フラックス測定)
ヒトGnRHレセプターを発現する細胞におけるGnRH刺激性カルシウムフラックスの阻害を決定するために、96ウェルプレートを、50,000細胞/ウェルの密度でヒトGnRHレセプターで安定にトランスフェクトしたRBL細胞で播種し、そして一晩結合させる。細胞を、1時間、37℃で、以下の培地で負荷する:20mM HEPES、10%FBS、2μM Fluo−4、0.02% プルロン酸(pluronic acid)、および2.5mM プロベネシドを伴なうDMEM。細胞を、負荷後、洗浄緩衝液(Hanksの平衡塩類、20mM HEPES、2.5mM プロベネシド)で4回洗浄し、最後の洗浄の後には、これらのウェルには150μlを残す。GnRHを、FLIPR緩衝液(Hanksの平衡塩類、20mM HEPES)を含む0.1% BSAで20nMの濃度まで希釈し、そして96ウェルプレートに分与する(低タンパク質結合)。種々の濃度のアンタゴニストを、第3の96ウェルプレート中で、0.1% BSA/FLIPR緩衝液中に調製する。GnRH刺激性(最終20nMまたは4nMの50μl)Ca++フラックスに起因する蛍光の測定を、種々の濃度のアンタゴニスト50μlとの1分間のインキュベーションの後に、FLIPRシステム(Molecular Devices、FLIPR384システム、Sunnyvale、CA)についての製造業者の指示書に従って実施する。
【0050】
(ホスホイノシトール加水分解アッセイ)
この手順は、公開されたプロトコル(W.Zhouら、J.Biol.Chem.270(32),pp18853−18857,1995)から改変される。手短に言えば、ヒトGnRHレセプターで安定にトランスフェクトされたRBL細胞を、200,000細胞/ウェルの密度で24ウェルプレート中に、24時間、播種する。細胞を、10%透析FBSを含む、イノシトールを含まない培地で1回洗浄し、次いで1μCi/mLの[myo−H]−イノシトールで標識化する。20〜24時間後、細胞を緩衝液(140nM NaCl、4mM KCl、20mM Hepes、8.3mM グルコース、1mM MgCl、1mM CaClおよび0.1% BSA)で洗浄し、そして、種々の濃度のアンタゴニストおよび10mM LiClとともにかまたはこれらを伴わずに、37℃で1時間、同じ緩衝液中で、未変性のGnRHペプチドで処理する。細胞を、4℃で30分間、10mM ギ酸で抽出し、Dowex AG1−X8カラムに負荷し、1M ギ酸アンモニウムおよび0.1M ギ酸で洗浄し、溶出する。この溶出液を、シンチレーション計数器でカウントする。PI加水分解アッセイからのデータを、Prism program(Graphpad、GraphPad Software、San Diego、CA)による非線形最小二乗回帰を用いてプロットし、これより用量比をもまた、計算する。Schild1次プロットを、4個の独立の実験で得た用量比から線形回帰によって生成し、X切片を、そのアンタゴニストの親和性を定量するのに使用する。
【0051】
(去勢動物研究)
去勢動物の研究は、GnRHアンタゴニストの効果について高感度のインビボアッセイを提供する(Andrology 25:141−147,1993)。下垂体におけるGnRHレセプターは、循環系へのGnRH刺激性LH放出を媒介する。去勢は、GnRH刺激性LH放出の増強をもたらす性腺ステロイドの負のフィードバック制御の低下に起因して、循環するLHのレベルの上昇をもたらす。その結果、去勢されたサルにおける循環するLHレベルの抑制の測定は、GnRH拮抗作用の高感度のインビボ尺度として使用され得る。それ故に、雄性サルは、外科手術により去勢され、そして4週間回復させられ、その時点でLHの上昇したレベルが存在する。動物は、次いで上記試験化合物を、経口用量または静脈内用量で投与す、一続きの血液サンプルが、LHの測定のために採取する。これらの動物に由来する血清中のLH濃度は、イムノアッセイ技術またはバイオアッセイ技術により定量し得る(Endocrinology 107:902−907,1980)。
【0052】
(GnRH放射性リガンドの調製)
GnRHアナログは、クロラミンT法により標識化する。20μlの0.5M リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.6)中の10μgのペプチドに、1mCiのNa125Iを添加し、次いで15μlの0.05M リン酸ナトリウム緩衝液中の22.5μgのクロラミンTを添加し、この混合物を、20秒間、ボルテックスにかける。この反応を、30μlの0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液中の60μgのメタ重亜硫酸ナトリウムの添加によって停止する。この反応混合物をC−8 Sep−Pakカートリッジ(Millipore Corp.、Milford、MA)を通すことにより、遊離したヨウ素を取り除く。このペプチドを、小容量の80%アセトニトリル/水で溶出する。この回収した標識化ペプチドを、0.1%TFA中のアセトニトリルの勾配を用いるBeckman 334勾配HPLCシステムに取付けたVydac C−18分析用カラム(The Separations Group、Hesperia、CA)での逆相HPLCにより、さらに精製する。精製した放射性ペプチドを、0.1%BSA/20%アセトニトリル/0.1%TFA中で、−80℃で保存し、4週間までの間使用し得る。
【0053】
(LHおよびFSHのRIA)
LHレベルを定量するために、各サンプル培地を、二連でアッセイし、そしてすべての希釈物を、RIA用緩衝液(0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液/0.15M NaCl/1% BSA/0.01% NaN、pH7.5)で扱い、このアッセイキットを、NIDDKにより支援されるNation Hormone and Pituitary Programより入手する。12×75mmのポリエチレン試験管に、100μlの1:5に希釈した試験培地またはRIA緩衝液中のrLH標準および100μlの[125I]標識rLH(約30,000cpm)ならびに100μlの1:187,500に希釈したウサギ抗rLH抗体および100μlのRIA緩衝液を添加する。この混合物を、室温で一晩インキュベートする。翌日、100μlの1:20に希釈したヤギ抗ウサギIgGおよび100μlの1:1000に希釈した正常なウサギ血清を添加し、そしてこの混合物を、室温でさらに3時間インキュベートする。このインキュベートした管を、次いで3,000rpmで30分間遠心分離し、その上清を吸引により取り除く。その管の中の残存するペレットを、γ線計数器によりカウントする。FSHのRIAを、LH抗体を1:30,000に希釈したFSH抗体で置き替え、標識化rLHを標識化rFSHで置き替えて、LHについてアッセイと類似のやり方で行なう。
【0054】
(GnRHレセプターアンタゴニストの活性)
GnRHレセプターアンタゴニストの活性は、代表的には、そのGnRHレセプターから放射性標識化リガンドの50%を置換するのに必要な化合物の濃度としてのIC50から計算し、以下の式:
【0055】
【化11】

により計算する「K」値として報告する。ここでLは、放射性リガンドであり、Kはレセプターに対するに放射性リガンドの親和性である(ChengおよびPrusoff,Biochem.Pharmacol.22:3099,1973)。本発明のGnRHレセプターアンタゴニストは、100μM以下のKを有する。本発明の好ましい実施形態では、上記GnRHレセプターアンタゴニストは、10μM未満のK、そしてより好ましくは、1μM未満のK、そしてさらにより好ましくは0.1μM(すなわち、100nM)未満のKを有する。この目的のために、下記実施例に具体的に開示するすべての化合物は、上記の膜結合アッセイ1〜3の1つ以上において、100nM未満のKを有する。
【0056】
GnRHアンタゴニストの、ヒト肝臓中の主要な薬物代謝酵素、つまりCYP2D6およびCYP3A4を阻害する能力は、Crespiら(Anal.Biochem.248:188−190;1997)により記載するようなマイクロタイタープレートベースの蛍光分析法に従って、インビボで評価し得る。Km(つまり、最大速度の半分を生成する基質の濃度)に等しい濃度でのAMMC(すなわち、3−[2−(N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウム)エチル]−7−メトキシ−4−メチルクマリン)およびBFC(すなわち、7−ベンジルオキシ−4−(トリフルオロメチル)クマリン)が、それぞれ、CYP2D6およびCYP3A4に対する標識基質として使用する。手短に言えば、組変え型CYP2D6またはCYP3A4を、標識基質およびNADPH生成系(1mM NADP+、46mM グルコース−6−リン酸および3単位/mL グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼからなる)とともに、37℃で、0.03μM、0.09μM、0.27μM、0.82μM、2.5μM、7.4μM、22μM、67μM、および200μMのサンプルGnRHアンタゴニストの非存在下または存在下でインキュベートする。反応を、等量のアセトニトリルの添加により停止する。この沈殿したタンパク質を、遠心分離により取り除き、澄んだ上清流体をマイクロタイタープレート蛍光分析計を用いて分析する。本発明のGnRHアンタゴニストは、好ましくは250nMより大きいK、より好ましくは1μMより大きいK、そして最も好ましくは5μMより大きいKを有する。
【0057】
上で言及したように、本発明のGnRHレセプターアンタゴニストは、広い範囲の治療用途にわたって有用性を有し、男性および女性の両方、ならびに哺乳動物一般における種々の性ホルモン関連状態を処置するために使用され得る。例えば、このような状態としては、子宮内膜症、子宮線維平滑筋腫、多嚢胞性卵巣疾患、多毛症、性的早熟症、性腺ステロイド依存性新形成(例えば、前立腺癌、乳癌、および卵巣癌)、性腺刺激性下垂体腺腫、睡眠時無呼吸症、過敏性腸症候群、月経前症候群、良性前立腺肥大、避妊、不妊(例えば、インビトロ受精のような生殖補助治療)が挙げられる。
【0058】
本発明の化合物はまた、成長ホルモン欠乏症および低身長の処置のための補助剤ならびに全身性エリテマトーデスの処置のための補助剤として有用である。
【0059】
さらに、上記化合物は、男性ホルモン、卵胞ホルモン、黄体ホルモンならびに抗エストロゲンおよび抗黄体ホルモンと組合せて、子宮内膜症、線維平滑筋腫および避妊の処置に対して有用であり、そしてアンギオテンシン変換酵素インヒビター、アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストまたはレニンインヒビターと組合せて、子宮線維平滑筋腫の処置のために有用である。上記化合物はまた、ビスホスホネートおよび他の薬剤と組合せて、リン酸カルシウム代謝および骨代謝の障害の処置のために使用され得、そして卵胞ホルモン、黄体ホルモンおよび/または男性ホルモンと組合せて骨喪失または生殖機能不全症状(例えば、GnRHアンタゴニストによる処置の間ののぼせ)の予防または処置のために使用され得る。
【0060】
本発明の別の実施形態では、1つ以上のGnRHレセプターアンタゴニストを含む薬学的組成物が開示される。投与のために、本発明の組成物は、薬学的組成物として処方され得る。本発明の薬学的組成物は、本発明のGnRHレセプターアンタゴニストならびに薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤を含有する。このGnRHレセプターアンタゴニストは、特定の障害を処置するために有効な量で−つまり、GnRHレセプターアンタゴニスト活性を達成する(しかも好ましくは、その患者に対して受容可能な毒性で)に十分な量で−この組成物中に存在する。代表的には、本発明の薬学的組成物は、投与経路に依存して、1薬用量あたり0.1mg〜250mgの量で、そしてより代表的には、1薬用量あたり1mg〜60mgの量でGnRHレセプターアンタゴニストを含み得る。適切な濃度および薬用量は、当業者により容易に決定され得る。
【0061】
薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤は、当業者にはよく知られている。液体溶液として処方される組成物について、受容可能なキャリアおよび/または希釈剤としては、生理食塩水および滅菌水が挙げられ、そして必要に応じて、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬および他の一般的な添加剤を含み得る。上記組成物はまた、GnRHレセプターアンタゴニストに加えて希釈剤、分散剤および界面活性剤、結合剤、ならびに潤滑剤を含む丸剤、カプセル剤、顆粒剤または錠剤としても処方され得る。当業者は、さらに上記GnRHレセプターアンタゴニストを、適切な様式で、そして受け入れられた慣習(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.Easton,PA 1990に開示される受け入れられた慣習)に従って処方し得る。
【0062】
別の実施形態では、本発明は、上で議論されたような性ホルモン関連状態を処置するための方法を提供する。このような方法は、温血動物に、その状態を処置するに十分な量で本発明の化合物を投与する工程を包含する。この文脈において、「処置」は、予防的投与を包含する。このような方法は、(好ましくは、上で議論されたような薬学的組成物の形態での)本発明のGnRHレセプターアンタゴニストの全身投与を包含する。本明細書中で使用される場合、全身投与は、経口投与方法および非経口投与方法を包含する。経口投与に対して、GnRHレセプターアンタゴニストの適切な薬学的組成物としては、散剤、顆粒剤、丸剤、錠剤およびカプセル剤ならびに液剤、シロップ剤、懸濁剤、および乳剤が挙げられる。これらの組成物はまた、矯味矯臭剤、保存剤、沈殿防止剤、増粘剤、乳化剤および他の薬学的に受容可能な添加剤を含み得る。非経口投与に対して、本発明の化合物は、水性注射液剤中で調製され得、上記GnRHレセプターアンタゴニストに加えて、緩衝液、抗酸化剤、静菌薬およびこのような液剤において一般的に用いられる他の添加剤を含み得る。
【0063】
以下の実施例は、限定のためではなく、例示のために提供される。要約すれば、本発明のGnRHレセプターアンタゴニストは、上に開示された一般的な方法によりアッセイされ得、その一方で、以下の実施例は、本発明の代表的な化合物の合成を開示する。
【実施例】
【0064】
(サンプルを分析するためのHPLC方法)
溶出時間、t(分単位)
(方法1−超臨界流体クロマトグラフィー質量スペクトル(SCF−MS))
カラム:Thermo−Hypersil−Keystoneからの4.6×150mm Deltabond Cyano 5μM。
【0065】
移動相:SFC等級二酸化炭素および1mMのジエチルマロン酸二ナトリウム改質剤を伴う最適等級メタノール。
【0066】
温度:50℃
圧力:120bar
流量:4.8mL/分
勾配:2.6分の全ランタイムについて、1.7分にわたる5%〜55%メタノール、そして0.8分間55%で保持し、次いで0.1分のうちに5%まで戻る
(方法2(HPLC−MS))
カラム:Waters ODS−AQ、2.0×50mm
移動相:A=0.05%トリフルオロ酢酸を伴う水;B=0.05%トリフルオロ酢酸を伴うアセトニトリル
勾配:13.25分にわたる95%A/5%B〜5%A/95%B、そして2分間5%A/95%Bで保持し、次いで0.25分間にわたって95%A/5%Bまで戻る
流量:1mL/分
紫外波長:220および254nM
(方法3(HPLC−MS))
カラム:BHK Lab ODS−O/B、4.6×50mm、5μM
移動相:A=0.05%トリフルオロ酢酸を伴う水;B=0.05%トリフルオロ酢酸を伴うアセトニトリル
勾配:0.5分間の95%A/5%B、次いで0.05分間の90%A/10%B、18.94分間にわたる90%A/10%B〜5%A/95%B、次いで0.05分間にわたって1%A/99%Bへ、そして1%A/99%Bで2.16分間保持し、次いで0.50分間にわたって95%/5%Bまで戻る
流量:2.5mL/分
紫外波長:220および254nM
(方法4(HPLC−MS))
カラム:Waters ODS−AQ、2.0×50mm
移動相:A=0.05%トリフルオロ酢酸を伴う水;B=0.05%トリフルオロ酢酸を伴うアセトニトリル
勾配:2.25分にわたる95%A/5%B〜10%A/90%B、次いで1.0分間にわたって10%A/90%Bで保持し、次いで0.1分間にわたって95%A/5%Bまで戻る。
【0067】
流量:1mL/分
紫外波長:220および254nM
(方法5(HPLC))
カラム:Agilent Zorbax SB−C18、5μM、4.6×250mm。
【0068】
移動相:A=0.05%トリフルオロ酢酸を伴う水;B=0.05%トリフルオロ酢酸を伴うアセトニトリル
勾配:50分にわたる95%A/5%B〜5%A/95%B、次いで0.1分間にわたる5%A/95%B〜1%A/99%B、次いで0.8分間1%A/99%Bで保持し、そして0.2分間にわたって95%A/5%Bまで戻り、このような勾配を4分間保持する。
【0069】
流量:2.0mL/分
紫外波長:220および254nM
(方法6(HPLC−MS))
カラム:Phenomenex Synergi 4μ Max−RP 80A、50.0×2.0mm
移動相:A=0.025%トリフルオロ酢酸を伴う水;B=0.025%トリフルオロ酢酸を伴うアセトニトリル
勾配:0.25分間95%A/5%B、次いで13分にわたる95%A/5%B〜95%B/5%A、そして2分間にわたり95%A/5%B〜95%B/5%Aで保持し、次いで0.25分間のうちに95%A/5%Bまで戻る
流量:1mL/分
紫外波長:220nMおよび254nM
(実施例1)
(3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0070】
【化12】

(工程1A)
(2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジルアミンン1aの調製)
60mLのTHF中の2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(45g、0.238mol)に、60℃で、1M BH:THFをゆっくりと添加し、得られた溶液を一晩還流させた。この反応混合物を周囲温度まで冷却した。メタノール(420mL)をゆっくりと添加し、十分に攪拌した。次いで、この溶媒をエバポレートし、その残渣をEtOAcと水との間で分配した。この有機層をNaSOで乾燥した。エバポレーションにより、1aを黄色油状物(46g、0.238mmol)として得た。MS(CI) m/z 194.0(MH)。
【0071】
(工程1B)
(N−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素1bの調製)
フラスコ中の2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン1a(51.5g、0.267mmol)に、尿素(64g、1.07mmol)、HCl(濃、30.9mmol、0.374mmol)および水(111mL)を添加した。この混合物を6時間還流した。この混合物を、周囲温度まで冷却し、氷でさらに冷却し、濾過し、黄色固体を得た。400mLのEtOAcを用いた再結晶により、1bを白色固体(46.2g、0.196mmol)として得た。MS(CI) m/z 237.0(MH)。
【0072】
(工程1C)
(1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン1cの調製)
NaI(43.9g、293mmol)を、365mLのアセトニトリル中のN−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素1b(46.2g、19.6mmol)に添加した。この得られた混合物を、氷水浴で冷却した。ジケテン(22.5mL、293mmol)を、滴下漏斗を介してゆっくりと添加し、次いで同様にしてTMSCl(37.2mL、293mmol)を添加した。得られた黄色懸濁液を室温までゆっくり温め、そして20時間攪拌した。LC−MSは、出発物質の消失を示した。この黄色混合物に、525mLの水を添加し、一晩攪拌した。さらに20時間攪拌した後、この沈殿をブフナー漏斗を介して濾過し、この黄色固体を水およびEtOAcで洗浄し、1cを白色固体(48.5g、16mmol)として得た。H NMR(CDCl)δ 2.152(s,3H),5.365(s,2H),5.593(s,1H),7.226−7.560(m,3H),9.015(s,1H);MS(CI) m/z 303.0(MH)。
【0073】
(工程1D)
(5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン1dの調製)
臭素(16.5mL、0.32mmol)を、145mLの酢酸中の1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン1c(48.5g、0.16mol)に添加した。得られた混合物は、透明になり、次いで1時間以内に沈殿を形成した。2時間の攪拌後、この黄色固体を濾過し、冷EtOAcでほぼ白色固体になるまで洗浄した。この濾液を飽和NaHCOで洗浄し、NaSOで乾燥した。エバポレーションにより、黄色固体を得、この固体をEtOAcで洗浄し、淡黄色固体を得た。この2つの固体を合わせて、全部で59.4gの1d(0.156mol)を得た。H NMR(CDCl)δ 2.422(s,3H),5.478(s,2H),7.246−7.582(m,3H),8.611(s,1H);MS(CI) m/z 380.9(MH)。
【0074】
5−ブロモ−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン1d.1を同じ手順を用いて作製した。
【0075】
(工程1E)
(5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン1eの調製)
225mLのTHF中の5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン1d(15g、39.4mmol)に、N−t−Boc−D−フェニルグルシノール(11.7g、49.2mmol)およびトリフェニルホスフィン(15.5g、59.1mmol)を添加し、次いでジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(13.6g、59.1mmol)を添加した。得られた黄色溶液を一晩攪拌した。その揮発物をエバポレートし、その残渣を、3:7 EtOAc/ヘキサンを用いてシリカゲルで精製し、1eを白色固体(23.6g、39.4mmol)として得た。MS(CI) m/z 500.0(MH−Boc)。
【0076】
(工程1F)
(3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン1fの調製)
圧力管中の30mL/90mLのHO/ジオキサン中の5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン1e(15g、25mmol)に、2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸(4.25g、25mmol)および炭酸ナトリウム(15.75g、150mmol)を添加した。N気体を10分間吹き込んだ。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.9g、2.5mmol)を添加し、この管を封止し、この得られた混合物を90℃で一晩加熱した。周囲温度まで冷却した後、この沈殿を濾過により取り除いた。揮発物をエバポレーションにより除き、そして残渣をEtOAc/飽和NaHCOの間で分配した。この有機溶媒をエバポレートし、その残渣を2:3 EtOAc/ヘキサンを用いてクロマトグラフィーにかけ、13.4g(20.8mmol、83%)の黄色固体を得た。
【0077】
この黄色固体(6.9g、10.7mmol)を、20mL/20mL CHCl/TFAに溶解した。得られた黄色溶液を室温で2時間攪拌した。揮発物をエバポレートし、この残渣をEtOAc/飽和NaHCOの間で分配した。この有機層をNaSOで乾燥した。エバポレーションにより、1fを黄色油状物(4.3g、7.9mmol、74%)として得た。H NMR(CDCl)δ 2.031(s,3H),3.724−4.586(m,6H),5.32−5.609(m,2H),6.736−7.558(m,11H);MS(CI) m/z 546.0(MH)。
【0078】
3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン1f.1を、この実施例に記載したのと同じ手順を用いて作製した。
【0079】
(実施例2)
(3−[2(R)−アミノ−2−シクロヘキシルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0080】
【化13】

(工程2A)
(tert−ブチル 1−シクロヘキシル−2−ヒドロキシエチルカルバメート2aの調製)
無水THF(10mL)中のN−(t−ブチルオキシカルボニル)シクロヘキシルグリシン(2.0g、7.77mmol)の溶液を0℃まで冷却した。ボラン溶液(THF中、1M、15.5mL、15,5mmol)をゆっくり添加し、この反応混合物を室温まで温め、そして2時間攪拌した。この反応物をMeOH(5mL)でクエンチし、揮発物をエバポレートし、そして残渣を水とEtOAcとの間で分配した。この有機層を、飽和NaHCO/水、ブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そしてエバポレートし、tert−ブチル 1−シクロヘキシル−2−ヒドロキシエチルカルバメート2a(1.26g、66.7%)を得た。MS(CI) m/z 144.20(MH−Boc)。
【0081】
(工程2B)
(5−ブロモ−3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−シクロヘキシルエチル]−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン2bの調製)
THF(10mL)中のtert−ブチル 1−シクロヘキシル−2−ヒドロキシエチルカルバメート4a(638mg、2.62mmol)の溶液を、周囲温度で、5−ブロモ−1−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン1d.1(869mg、2.62mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.03g、3.93mmol)で処理し、次いでジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(906mg、3.93mmol)を導入した。この反応混合物を、周囲温度で16時間攪拌し、揮発物をエバポレートした。この残渣を、飽和NaHCO/HOとEtOAcとの間で分配した。この有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、エバポレートし、そしてフラッシュクロマトグアフィー(シリカ、25%EtOAc/ヘキサン)により精製し、化合物2b(1.39g、95.4%)を得た。MS(CI) m/z 456.10、458.10(MH−Boc)。
【0082】
(工程2C)
(3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−シクロヘキシルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン2cの調製)
ベンゼン/EtOH/エチレングリコールジメチルエーテル(20/2/22mL)中の5−ブロモ−3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−シクロヘキシルエチル]−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン2b(1.0g、1.79mmol)に、2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸(382mg、2.24mmol)および飽和Ba(OH)/水(約0.5M、15mL)を添加した。この反応混合物を、10分間、Nで酸素を追い出した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(208mg、0.18mmol)を添加し、この反応混合物を、N下、80℃で一晩加熱した。この反応混合物を、ブラインとEtOAcとの間で分配した。この有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、エバポレートし、そしてフラッシュクロマトグアフィー(シリカ、30%EtOAc/ヘキサン)により精製し、化合物2c(348mg、32.3%)を得た。MS(CI) m/z 502.20(MH−Boc)。
【0083】
(工程2D)
(3−[2(R)−アミノ−2−シクロヘキシルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン2dの調製)
ジクロロメタン(DCM、2mL)中の化合物2c(300mg、0.5mmol)に、TFA(2mL)を添加し、そしてこの反応混合物を周囲温度で1時間攪拌した。揮発物をエバポレートし、その残渣を、飽和NaHCO/水とEtOAcとの間で分配した。この有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、エバポレートし、そして逆相HPLC(C−18カラム、15〜75%ACN/水)により精製し、化合物2dを得た。MS(CI) m/z 502.20(MH)。
【0084】
(実施例3)
(3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0085】
【化14】

(工程3A)
(2−クロロ−3−メトキシベンズアルデヒド3aの調製)
HOAc(40mL)中の3−ヒドロキシベンズアルデヒド(20.12g、160mmol)の懸濁液に、攪拌しながら、注意深くtBuOCl(20mL、176mmol)を添加した。この反応物は、透明な溶液となり、そして激しく発熱した。それを冷却し、16時間攪拌し、これにより白色沈殿を生じた。この固体を濾過し、HOで洗浄し、そして乾燥して2−クロロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド(13.77g、55%)を得た。GCMS(EI) m/z 156、158(M)。
【0086】
DMF(30mL)中の2−クロロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド(4.55g、29mmol)の溶液に、KCO(4.8g、34.9mmol)を添加し、次いでMeI(2.7mL,43.6mmol)を添加し、そしてこの混合物を室温で16時間攪拌した。真空中での濃縮の後、この残渣を酢酸エチル中に取り込み、HO、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し濃縮した。酢酸エチル/ヘキサン(1/5)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによる精製により、2−クロロ−3−メトキシベンズアルデヒド3a(4.68g、94%)を無色油状物として得、これは放置により固化した。GCMS(EI) m/z 170、172(M)。
【0087】
(工程3B)
(2−クロロ−1−メトキシ−3−[2−(メチルスルファニル)−2−(メチルスルフィニル)ビニル]ベンゼン3bの調製)
THF(25mL)中の2−クロロ−3−メトキシベンズアルデヒド3a(4.65g、27.3mmol)およびメチル(メチルチオ)メチルスルホキシド(4.3mL、43.9mmol)の溶液に、40%Triton Bのメタノール性溶液(6.2mL、13.6mmol)を添加し、得られた溶液を16時間還流させた。THFを除去した後、この残渣を酢酸エチルに取り込み、1N HCl、HO、およびブラインで洗浄し、次いでNaSOで乾燥し、そして濃縮した。ジクロロメタンを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−クロロ−1−メトキシ−3−[2−(メチルスルファニル)−2−(メチルスルフィニル)ビニル]ベンゼン3b(3.61g、48%)を、黄色油状物として得た。GCMS(EI) m/z 225(M−Cl−16)、210(M−Cl−OMe)。
【0088】
(工程3C)
((2−クロロ−3−メトキシフェニル)酢酸エチル7cの調製)
エタノール(20mL)中の2−クロロ−1−メトキシ−3−[2−(メチルスルファニル)−2−(メチルスルフィニル)ビニル]ベンゼン3b(3.58g、12.9mmol)の溶液に、HClの5M エタノール性溶液(5.2mL)を添加し、得られた溶液を3時間還流した。エバポポレーションの後、この残渣を、ジクロロメタンを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、(2−クロロ−3−メトキシフェニル)酢酸エチル3c(2.78g、94%)を黄色油状物として得た。GCMS(EI) m/z 228、230(M)。
【0089】
(工程3D)
(2−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル3dの調製)
DMFDMA(16mL、120mmol)中の(2−クロロ−3−メトキシフェニル)酢酸エチル3c(2.78g、12mmol)の溶液を、16時間還流した。エバポレーション後、この残渣を、酢酸エチル/ヘキサン(1/2〜1/1)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、最初に未反応の(2−クロロ−3−メトキシフェニル)酢酸エチル3c(1.8g、65%)を、次いで2−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル3d(1.1g、32%;回収された出発物質に基づき90%)を黄色シロップとして得た。MS(CI) m/z 284.0、286.0(MH)。
【0090】
(工程3E)
(5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン3eの調製)
アセトニトリル(20mL)中の2−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル3d(1.7g、6mmol)、尿素(1.08g、18mmol)およびNaI(2.7g、18mmol)の混合物に、TMSCl(2.3mL、18mmol)を添加した。得られた混合物を、16時間還流し、室温まで冷却し、そして1.0M NaOH(30mL)を添加した。この得られた溶液を20時間攪拌し、そしてアセトニトリルを真空中で除去した。この水溶液をエーテルで洗浄し、氷浴で冷却し、そして1N HCl(30mL)で中和した。この沈殿を濾過し、さらなるHOで洗浄し、乾燥し、5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン3e(1.24g、82%)を、淡黄色の固体として得た。MS(CI) m/z 253.1、255.1(MH)。
【0091】
(工程3F)
(5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン3fの調製)
アセトニトリル(25mL)中の5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン3e(2.2g、8.7mmol)の懸濁液に、ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(4.3mL、17.4mmol)を添加し、得られた溶液を1.5時間還流した。この混合物を室温まで冷却し、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルベンジルブロミド(2.7g、10.5mmol)を添加し、還流を16時間再び続けた。この反応を、MeOH(25mL)の添加によりクエンチし、そして2時間攪拌した。濃縮後、その残渣を、酢酸エチル/ヘキサン(1/1)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン3f(3.3g、88%)を、白色固体として得た。MS(CI) m/z 429.0、431.0(MH)。
【0092】
(工程3G)
(3−[2(R)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン3gの調製)
DMF(2mL)中の5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン3f(75mg、0.175mmol)、KCO(72mg、0.525mmol)およびN−(t−ブトキシカルボニル)−D−α−フェニルグリシノールメシレート(0.11g、0.35mmol、THF中のN−(t−ブトキシカルボニル)−D−α−フェニルグリシノールから、続くメタンスルホニルクロリドおよびトリエチルアミンの添加により作製)の混合物を、75℃で16時間加熱した。この反応物を、酢酸エチルで希釈し、HOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。この残渣を、酢酸エチル/ヘキサン(2/3)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物3g(82mg、72%)を、白色固体として得た。MS(CI) m/z 548.0、550.0(MH−Boc)。
【0093】
(工程3H)
(3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン3hの調製)
化合物3g(2.7g、4.2mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、TFA(14mL、175mmol)を添加し、そしてこの混合物を室温で4.5時間攪拌した。濃縮後、その残渣を、DCM中に取り込み、飽和NaHCO水溶液を添加した。水層をDCMで抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、濃縮して化合物3h(2.2g、96%)を得た。MS(CI) m/z 548.0、550.0(MH)。
【0094】
3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン3h.1を、上に提供された手順を用い、適切な出発物質の置き換えにより調製した。
【0095】
(実施例4)
(3−[2(R)−アミノ−2−(イソブチル)エチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0096】
【化15】

(工程4A)
(3−[2(R)−{tert−ブトキシカルボニル−アミノ}−2−(イソブチル)エチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン4aの調製)
ピリジン(6mL)中のN−(t−ブトキシカルボニル)−D−α−ロイシノール(1.21g、5.57mmol)の溶液に、トシルクロリド(1.6g、8.35mmol)を添加した。この反応混合物を、室温で3時間攪拌し、EtOAcで希釈し、1N HCl、HO、飽和NaHCO水溶液およびブラインで逐次的に洗浄した。この有機層をNaSOで乾燥し、濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(1/3)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、[3−メチル−1−[[[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]ブチル]−1,1−ジメチルエチルカルバミン酸エステル(1.66g、80%)を得た。MS(CI) m/z 272.2(MH−Boc)。
【0097】
DMF(2mL)中の5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン3f(56mg、0.13mmol)、KCO(754mg、0.39mmol)および[3−メチル−1−[[[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]ブチル]−1,1−ジメチルエチルカルバミン酸エステル(97mg、0.26mmol)の混合物を95℃で16時間加熱した。この反応物を酢酸エチルで希釈し、HOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。この残渣を、酢酸エチル/ヘキサン(1/1)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、回収した[3−メチル−1−[[[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]ブチル]−1,1−ジメチルエチルカルバミン酸エステル(30mg、54%)および化合物4a(30mg、37%)を得た。MS(CI) m/z 528.0、530.0(MH−Boc)。
【0098】
(工程4B)
(3−[2(R)−アミノ−2−(イソブチル)エチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン4bの調製)
DCM(1mL)中の化合物4a(30mg、0.048mmol)の溶液に、TFA(0.1mL、1.3mmol)を添加し、そして室温で1.5時間攪拌した。濃縮後、その残渣を、DCMに取り込み、飽和NaHCOを添加した。この水層をDCMで抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、濃縮し、化合物4bを得た。MS(CI) m/z 528.0、530.0(MH)。
【0099】
(実施例5)
(3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0100】
【化16】

(工程5A)
(3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニル−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン5aの調製)
ジクロロメタン(200mL)中の化合物1f.1(28g、56mmol)の溶液に、ジクロロメタン(100mL)中のジ−tert−ブチルジカーボネート(12g、56mmol)の溶液を、滴下漏斗を通して滴下した。この反応混合物を室温で2時間攪拌し、そしてLC/MSは、上記出発物質が消費されたことを示した。この反応混合物を真空により濃縮し、所望の生成物5aを、淡黄色固体として得た。
【0101】
(工程5B)
(3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルチオベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン5bの調製)
乾燥DMSO(100mL)中の化合物5a(33g、56mmol)の溶液に、ナトリウムチオメトキシド(4.0g、56mmol)を窒素下で添加した。この反応混合物を、窒素下で1時間、100℃まで加熱した。さらなる0.28当量のナトリウムチオメトキシド(1.1g、16mmol)を添加し、そしてこの反応混合物を、窒素下で1時間、100℃まで加熱した。この反応混合物を冷却し、エチルエーテルと水との間で分配した。この有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。この粗生成物を、ヘキサン中の50%酢酸エチルで溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、化合物5bを、淡黄色固体(27g、44mmol、78%)として得た。
【0102】
(工程5C)
(3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン5cの調製)
無水ジクロロメタン(400mL)中の化合物5b(27g、44mmol)の溶液に、3−クロロ過安息香酸(mCPBA、30g、180mmol)を添加した。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。この反応混合物をジクロロメタンと水との間に分配した。この有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。この粗生成物を、ヘキサン中の50%酢酸エチルで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーを用いて精製し、所望の生成物である化合物5cを、淡黄色固体(15g、24mmol、53%)として得た。
【0103】
(工程5D)
(3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−メチルスルホニルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン5−1の調製)
無水ジクロロメタン(60mL)中の化合物5c(10g、15mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(TFA、16mL)を添加した。この反応混合物を室温で4時間攪拌した。この反応混合物を濃縮し、そして酢酸エチルと希NaOH水溶液との間に分配した。この有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、5−1を、黄褐色固体(8.0g、14mmol、94%)として得た。
【0104】
(実施例6)
(3−[2(R)−TERT−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(3−ヒドロキシフェニル)−1−[2−クロロ−6−フルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0105】
【化17】

(工程6A)
(3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−5−ブロモ−1−[2−クロロ−6−フルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
40mLの無水THF中のN−Boc−D−フェニルグリシノール(2.61g、11.0mmol)、5−ブロモ−1−[2−クロロ−6−(フルオロ)ベンジル]−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(3.48g、10.0mmol)、PPh(3.95g、15.0mmol)およびジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(3.45g、15.0mmol)を、N下で16時間、周囲温度で攪拌した。溶媒を真空中で除去し、そしてこの残渣を、EtOAc/ヘキサンを溶出液(10%EtOAcから30%EtOAcへ増加する)として用いて、シリカゲル(約300g)を介して精製し、4.29g(76%収率)の6aを泡状固体として得た。
【0106】
【化18】

(工程6B)
(3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(3−ヒドロキシフェニル)−1−[2−クロロ−6−フルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
化合物6a(4.00g、7.06mmol)、3−ヒドロキシフェニルボロン酸ピナコールエステル(2.33g、10.59mmol)、KCO(7.8mL、2N溶液、15.5mmol)、およびBa(OH)(2.6mL,飽和溶液)を、管中で、130mLのトルエンおよび50mLのEtOHに懸濁させた。この混合物に、15分間、Nを用いてパージし、Pd(PPh(404mg、0.35mmol)を添加し、この管を封止し、100℃まで16時間加熱した。この混合物を室温まで冷却した後、この固体を濾過し、この溶液をエバポレートした。得られた残渣をシリカゲル(30〜40%EtOAc/ヘキサン)を介して精製し、わずかに茶色がかった泡状固体6b(3.96g、98%収率)を得た。
【0107】
【化19】

3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(3−ヒドロキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−トリフルオロメチルベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)(化合物6b.1)を、同じ手順により作製した。
【0108】
(実施例7)
(3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−(ブトキシ)フェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0109】
【化20】

(工程7A)
(3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンの調製)
乾燥ジクロロメタン(20mL)中の1f.1塩酸塩(2.13g、4mmol)に、−78℃、N下で、ジクロロメタン中のBBr(1M、16mL、4当量)をゆっくり添加した。次いで、この混合物を一晩攪拌し、その間に温度は徐々に室温まで上昇した。溶媒および過剰のBBrをNパージにより除去し、これにより黄色固体を得た。この固体をMeOHに溶解し、残存しているかも知れないBBrを分解し、次いでNパージにより再び濃縮した。得られた固体をジクロロメタン(50mL)に懸濁させ、pH>8になるまでTEAを加えた。Boc無水物(698mg、0.8当量)を添加し、数時間攪拌した。TLCおよびHPLC−MSは、この反応の完了を示した。この混合物を濃縮し、水と酢酸エチルとの間に分配した。この有機層を分離し、乾燥し、そして残渣まで濃縮し、この残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、7a(1.5g)を得た。MS(M−Boc+H):518.4。
【0110】
(工程7B)
(3−[2(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンの調製)
無水DMF(5mL)中のBocで保護されたフェノール7a(581mg、1.0mmol)に、5−ブロモ吉草酸メチル(234mg、1.2mmol)およびKCO(690mg,5.0mmol)を添加した。この混合物を、50℃で5時間激しく攪拌した。この攪拌した混合物に、LiOH(240mg、10mmol)を添加し、次いでMeOH(10mL)および水(10mL)を添加した。この混合物を80℃で1時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、飽和クエン酸溶液でpH=3まで酸性にし、そして酢酸エチルで抽出した。この有機層を水で洗浄し、乾燥し、濃縮して油状物を得、この油状物をクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製し、7b(0.68g、泡状物質様)を得た。
【0111】
【化21】

(工程7C)
(3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2,6−ジフルオロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンの調製)
化合物7b(0.68g)をジオキサン(5mL)中で、2時間、4N HClで処理した。この反応混合物を濃縮し、分取HPLCで精製した。所望の化合物7−1を、最初はTFA塩として得たが、次いでHPLCにより脱塩し、遊離のアミノ酸生成物を得た。ナトリウム塩を、この7−1遊離塩基を50mLの水に懸濁させ、次いですべての物質が溶解するまで、徐々に0.2 NaOHを添加することにより作製した。その溶液のpHは、約9であった。この溶液を凍結乾燥し、化合物7−1ナトリウム塩(395mg)を得た。
【0112】
【化22】

以下の化合物を、上記の手順に従って作製した。
【0113】
【化23−1】

【0114】
【化23−2】

ヒドロキシ置換化合物(例えば、化合物6bおよび6b.1)を用いて出発し、そして工程7Bおよび7Cの手順に従って、以下の化合物もまた、作製した。
【0115】
【化24−1】

【0116】
【化24−2】

(実施例8)
(3−[2(R)−メチルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−(ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0117】
【化25】

(工程8A)
(N−Boc−N−メチル−D−フェニルグリシノール)
LAH(1.62g、5.0当量)を、窒素下で丸底フラスコに添加し、次いで無水THF(200mL)をゆっくり添加した。N−Boc−D−フェニルグリシノール(10g、42.7mmol)を添加し、この反応混合物を、N下で一晩還流した。この混合物を室温まで冷却し、次いで0℃まで冷却し、それが泡を発生しなくなるまでNaOH(10%溶液)を添加した。中和の間、さらに200mLのTHFを加え、次いで50gのNaSOを添加した。攪拌の後、この混合物を濾過し、そしてこの固体をTHFで洗浄した。合わせた溶液を濃縮し、6.2gの無色油状物を得た。この油状物に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(BocO、13.8g、5mmol)を添加した。泡がすぐに発生し、そしてこの混合物をトルエン(10mL)で希釈し、そして100℃で0.5時間加熱した。ショートカラムクロマトグラフィーを使用して、ヘキサン/酢酸エチル(8/2)によりBocOを最初に洗い出し、次いでヘキサン/酢酸エチル(2/8)により化合物8a(9.0g、収率=85%)を得た。MS(M−Boc+H):152.2。NMR(CDCl)δ 7.38−7.22(m,5H),5.25−5.15(m,1H),4.05−4.00(m,2H),2.70(s,3H),1.66(br,1H),1.48(s,9H)。
【0118】
(工程8B)
(3−[2(R)−{N−tert−ブトキシカルボニル−N−メチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
乾燥THF中のBoc−N−メチル−D−フェニルグリシノール8a(8.9g、35mmol)および5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン1d(12g、31.5mmol)に、トリフェニルホスフィン(12g、45.6mmol)を添加し、次いでジ−tert−ブチルジアゾカルボキシレート(10.5g、45.6mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。この混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、21gの白色泡状物質8bを得た。NMRは、それが50%の副生成物(t−BuOCNHNHCO−tBu)を含むことを示した。MS(M−Boc+H):512.2、514.2。NMR(CDCl)δ 7.55(d,J=7.8Hz,1H),7.45−7.20(m,7H),5.90−5.18(m,3H),4.95−4.80(m,1H),4.28(dd、J=17.1および5.4Hz,1H),2.56(s,1.5H),2.50(s,3H),2.41(s,1.5H),1.42(s,9H)。
【0119】
(工程8C)
(3−[2(R)−{N−tert−ブトキシカルボニル−N−メチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
30mLのジオキサンと6mLの水との混合物中のブロミド8b(2.7g、4.4mmol)に、2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸(1.48g、2.0当量)およびNaCO(3.3g、7当量)を添加した。この混合物をNガスで15分間パージし、次いでPd(PPh(500mg)を添加した。それを、次いで100℃で12時間激しく攪拌し、そして濃縮してジオキサンを除去した。この混合物を酢酸エチルと水との間で分配した。この有機層を分離し、NaSOで乾燥し、次いでカラムクロマトグラフィーで精製し、885mgの8c(33%)を得た。MS(M−Boc+H):560.3。
【0120】
(工程8D)
(3−[2(R)−{N−tert−ブトキシカルボニル−N−メチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
化合物8c(885mg、1.34mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶解し、N下で−78℃まで冷却し、BBr(ジクロロメタン中の1M、5.2mL、4.0当量)をゆっくり添加した。この混合物を、一晩攪拌しながらゆっくり室温まで温めた。この混合物をNの流れにより濃縮し、MeOH(10mL)で処理し、そして再び濃縮してHBrを除去した。THF(50mL)を添加し、この混合物が塩基性になるまでトリエチルアミンを加えた。BocO(2.33g、0.8当量)を添加し、この混合物を遊離のアミンがTLCおよびHPLCの両方で見られなくなるまで攪拌した。この混合物を濾過し、濃縮し、そしてEtOAc/HO中で分配した。この有機層を分離し、濃縮して油状物を得、これをカラムクロマトグラフィーにより精製し、464mgの8d(53%収率)を得た。
【0121】
【化26】

(工程8E)
(3−[2(R)−{N−tert−ブトキシカルボニル−N−メチルアミノ}−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
化合物8d(400mg、0.62mmol)をDMF(5mL、無水)に溶解し、次いで5−ブロモ吉草酸メチル(107マイクロリットル、1.2当量)を添加し、次いで粉末状KCO(430mg、5.0当量)を添加した。この混合物を50℃で3時間加熱した。MeOH(10mL)および水(10mL)を添加し、次いでLiOH(148mg、10当量)を添加した。この混合物を80℃まで数時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、NaHSOを用いてpH=3まで酸性にした。この粗生成物を酢酸エチル/水で中で分配した。この有機層を分離し、乾燥し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 4/6)により精製し、7e(300mg、65%)を得た。MS(M−Boc+H):646.3。
【0122】
(工程8F)
(3−[2(R)−メチルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
化合物8eを1.5mLのジクロロメタンに溶解し、1.5mLのTFAを添加した。この混合物を、室温で1時間攪拌し、濃縮してTFAを除去し、EtOAc/HO中に分配し、そして飽和NaHCOを添加し、この水溶液を中性にした。この有機層を分離し、濃縮し、そしてクロマトグラフィー(溶出液としてのジクロロメタン/MeOH 90/10)で精製した。得られた化合物8−1を水(20mL)に懸濁させ、そしてpH=9まで0.1N NaOHを徐々に添加し、そしてすべての物質が溶解するまで、絶えず超音波処理した。この溶液を凍結乾燥し、120mgの8−1をナトリウム塩として得た。
【0123】
【化27】

(実施例9)
(3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(3−([5−ヒドロキシカルボニル]−1−ペントキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0124】
【化28】

(工程9A)
(5−ブロモ−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−3−[N−(ベンジルオキシカルボニル)−1(R)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン9aの調製)
THF(20mL)中の5−ブロモ−1−(2−フルオロ−6−トリフルオロメチルベンジル)−6−メチル−ウラシル1d(2.29g、6.0mmol)の溶液を、室温で、N−(ベンジルオキシカルボニル)−R−1−ヒドロキシメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン(1.96g、6.6mmol、工程2Aのボラン還元によって(R)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−イソキノリンカルボン酸から調製した)およびトリフェニルホスフィン(2.36g、9.0mmol)を用いて処理し、次いでジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(2.07g、9.0mmol)を何回かに分けて5分間にわたって導入した。この混合物を室温で16時間攪拌し、濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(2/3)で溶出するシリカゲルでのカラムクロマトフラフィーにより精製し、化合物9a(3.96g、100%)を得た。MS(CI)m/z 660.2、662.2(MH)。
【0125】
(工程9B)
(5−(3−ヒドロキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−3−[N−(ベンジルオキシカルボニル)−1(R)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン9bの調製)
ジオキサン/水(90/10mL)中の化合物9a(3.3g、5.0mmol)に、3−ヒドロキシフェニルボロン酸(1.38g、10mmol)およびNaCO(3.18g、30mmol)を添加した。この混合物を窒素で15分間脱酸素し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.58g、0.5mmol)を添加し、この反応混合物を90℃で16時間加熱した。この反応混合物をエバポレートし、、EtOAcとHOとの間で分配した。この有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(2/3〜1/1)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトフラフィーにより精製し、化合物9b(3.12g、93%)を得た。MS(CI)m/z 674.0(MH)。
【0126】
(工程9C)
(3−[N−(ベンジルオキシカルボニル)−(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(3−([5−ヒドロキシカルボニル]−1−ペントキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン9cの調製)
DMF(1mL)中の化合物9b(168mg、0.25mmol)に、6−ブロモヘキサン酸エチル(0.053mL、0.3mmol)およびKCO(172mmg、1.25mmol)を添加した。この混合物を80℃で加熱し、5時間激しく攪拌した。NaOH(0.1g、2.5mmol)およびMeOH/HO(1:1、4mL)を次いで添加し、そして80℃で1時間加熱した。この反応混合物をエバポレートし、EtOAcと(水相をpH3にするための)1N HClとの間に分配した。この有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(2/1)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトフラフィーにより精製し、化合物9c(0.14g、70%)を得た。MS(CI)m/z 788.3(MH)。
【0127】
(工程9D)
(3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(3−([5−ヒドロキシカルボニル]−1−ペントキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン9−1の調製)
化合物9c(0.14g、0.18mmol)を80%AcOH(10mL)に溶解し、1atmのHの下、Pd/C(14mg)の存在下で、室温で12時間水素化した。この混合物をセライトで濾過し、エバポレートし、そしてEtOAcと(水相をpH6〜7にするための)飽和NaHCO水溶液との間で分配した。この有機層をHOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮し、化合物4(0.114g、98%)を得た。MS(CI)m/z 654.4(MH)。
【0128】
以下の化合物を、上記の手順に従って作製した。
【0129】
【化29】

(実施例10)
(3−[(N−メチル−1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(3−([5−ヒドロキシカルボニル]−1−ペントキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0130】
【化30】

(工程10A)
(3−[(N−メチル−1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(3−([5−ヒドロキシカルボニル]−1−ペントキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン10−1の調製)
THF中の化合物9−1(10mg、0.015mmol)およびホルムアルデヒド(7.5M水溶液、4μL、0.03mmol)の溶液を室温で5分間攪拌した。ボランピリジン錯体(8M;7.5μL)を添加し、1時間攪拌した。濃縮後、この残渣を分取LCMSで精製し、化合物10−1を得た。MS(CI)m/z 668.4(MH)。
【0131】
以下の化合物を、上記の手順に従って作製した。
【0132】
【化31】

(実施例11)
(3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0133】
【化32】

(工程11A)
(5−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−3−[N−(ベンジルオキシカルボニル)−1(R)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン11aの調製)
ジオキサン/水(18/2mL)中の化合物9a(0.66g、1.0mmol)に、2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸(0.34g、2.0mmol)およびNaCO(0.64g、6.0mmol)を添加した。この混合物を窒素で15分間脱酸素し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.12g、0.1mmol)を添加し、この反応混合物を90℃で16時間加熱した。この反応混合物をエバポレートし、、EtOAcとHOとの間で分配した。この有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(2/3〜1/1)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトフラフィーにより精製し、化合物11a(0.57g、81%)を得た。MS(CI)m/z 705.9(MH)。
【0134】
(工程11B)
(5−(2−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−3−[1(R)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン11bの調製)
−78℃の乾燥ジクロロメタン(15mL)中の化合物11a(1.51g、2.14mmol)に、BBr(ジクロロメタン中の1M、10.7mL、10.7mmol)を添加した。この混合物を16時間攪拌し、その間に温度は徐々に室温に上昇した。この反応混合物を、窒素でパージすることによりエバポレートした。MeOHを添加し、そして再び窒素でエバポレートした。この残渣をジクロロメタン(5mL)に取り込み、そしてヘキサン(100mL)を添加した。得られた黄色固体を濾過し、ヘキサンで洗浄し、乾燥して粗化合物11bを得た。MS(CI)m/z 558.0(MH)。
【0135】
(工程11C)
(5−(2−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−3−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−1(R)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン11cの調製)
ジクロロメタン(15mL)中の化合物11bに、pHが8より大きくなるまで、EtN(約1.2mL)を添加し、次いでBocO(0.37g、1.7mmol)を添加した。この混合物を12時間攪拌し、エバポレートし、そしてEtOAcとHOとの間で分配した。この有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(2/3〜1/1)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトフラフィーにより精製し、化合物11c(1.2g、85%)を得た。MS(CI)m/z 558.0(MH−Boc)。
【0136】
(工程11D)
(3−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−1(R)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン11−1の調製)
DMF(1mL)中の化合物11c(0.17g、0.26mmol)に、5−ブロモ吉草酸メチル(0.044mL、0.31mmol)およびKCO(0.18、1.3mmol)を添加した。この混合物を80℃に加熱し、激しく5時間攪拌した。次いで、NaOH(0.1g、2.6mmol)およびMeOH/HC(1:1、4mL)を添加し、そして80℃で1時間加熱した。この反応混合物をエバポレートし、そしてEtOAcと(水相をpH3にするための)1N HClとの間に分配した。この有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、そして酢酸エチル/ヘキサン(3/1)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトフラフィーにより精製し、化合物11d(0.15g、77%)を得た。MS(CI)m/z 658.0(MH−Boc)。
【0137】
(工程11E)
(3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンの調製)
DCM(2mL)中の化合物11d(0.15g、0.2mmol)の溶液に、TFA(0.4mL、5.2mmol)を添加し、そしてこの混合物を、室温で1.5時間攪拌した。濃縮後、この残渣をEtOAcに取り込み、飽和NaHCO水溶液を添加した。この有機層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮し、化合物11−1(0.11g、84%)を得た。MS(CI)m/z 658.0(MH)。
【0138】
以下の化合物を、上記の手順に従って作製した。
【0139】
【化33】

(実施例12)
(3−[(N−メチル−1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0140】
【化34】

(工程12A)
(3−[(N−メチル−1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン12−1の調製)
THF中の化合物11−1(15mg、0.023mmol)およびホルムアルデヒド(7.5M水溶液、6μL、0.045mmol)の溶液を室温で5分間攪拌した。ボランピリジン錯体(8M;12μL)を添加し、1時間攪拌した。濃縮後、この残渣を分取LCMSで精製し、化合物12−1を得た。MS(CI)m/z 672.0(MH)。
【0141】
以下の化合物を、上記の手順に従って作製した。
【0142】
【化35】

(実施例13)
(3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−クロロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0143】
【化36】

(工程13A)
(N−ベンジルオキシカルボニル−1−ヒドロキシメチル−D−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン13aの調製)
THF(10mL)中のN−ベンジルオキシカルボニル−D−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−カルボン酸(3.11g、10mmol、市販のD−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−カルボン酸とO−ベンジルオキシカルボニル−N−ヒドロキシスクシンアミドとから作製した)へ、BH(THF中の1M溶液、30mL、30mmol)を5分間にわたって添加し、そしてこの反応混合物を3時間攪拌した。MeOH(90mL)中の酢酸(9mL)を添加し、この混合物を30分間攪拌した。溶媒をエバポレートし、残渣をEtOAcに取り込み、そして飽和NaHCO水溶液(90mL、水相pH7〜8)およびブラインで洗浄した。この有機層をNaSOで乾燥し、濃縮し、化合物13a(2.97g、100%)を得た。MS(CI)m/z 253.9(MH−CO)、297.9(MH);t=2.695分(方法4)。
【0144】
(工程13B)
(N−ベンジルオキシカルボニル−1−(メタンスルホニルオキシメチル)−D−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン13bの調製)
ジクロロメタン(69mL)中の化合物13a(6.15g、20.7mmol)の溶液に、EtN(3.17mL、22.8mmol)を添加し、次いでメタンスルホニルクロリド(1.76mL、22.8mmol)を添加した。この反応物を室温で一晩攪拌し、エバポレートし、EtOAcとHOとの間で分配した。この有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、化合物13b(7.8g、100%)を得た。MS(CI)m/z 376.0(MH);t=2.666分(方法4)。
【0145】
(工程13C)
(3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン13cの調製)
工程3Gの手順に従って、N−ベンジルオキシカルボニル−1−(メタンスルホニルオキシメチル)−D−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン13b(6.57g、17.52mmol)および5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン3f(5.14g、12mmol)は、3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン13c(5.73g、68%)を生成した。MS(CI)m/z 708.0、710.0(MH)。
【0146】
(工程13D)
(3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−クロロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン13−1の調製)
工程7A〜7Cに概要が示された手順に従い、そして3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン13cを出発物質として用いて、以下の化合物を合成した。
【0147】
【化37】

(実施例14)
(3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−フルオロ−3−([ヒドロキシカルボニル]−1−プロポキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン)
【0148】
【化38】

(工程14A)
(3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−フルオロ−3−([3−ヒドロキシ−1−プロポキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン14aの調製)
DMF(1mL)中の化合物11c(170mg、0.26mmol)に、ブロモプロパノール(43mg、0.31mmol)およびKCO(180mg、1.30mmol)を添加した。この混合物を80℃で一晩加熱した。この反応混合物をエバポレートし、EtOAcとHOとの間に分配した。この有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(3/2)を用いて分取TLCプレートで精製し、化合物14a(0.13g、70%)を得た。MS(CI)m/z 616.0(MH−Boc)。
【0149】
(工程14B)
(3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−フルオロ−3−([tert−ブトキシカルボニル]メトキシ−1−プロポキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン14bの調製)
トルエン(1mL)中の化合物14a(130mg、0.18mmol)に、ブロモ酢酸tert−ブチル(0.04mL、0.27mmol)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(3mg、0.009mmol)および粉末にしたNaOH(32mg、0.81mmol)を添加した。この混合物を室温で24時間激しく攪拌し、そしてEtOAcとHOとの間に分配した。この有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮して粗化合物14bを得た。MS(CI)m/z 674.0(MH−Boc−tBu)、730.1(MH−Boc)。
【0150】
(工程14C)
(3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−フルオロ−3−([ヒドロキシカルボニル]メトキシ−1−プロポキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン14−1の調製)
ジクロロメタン(3mL)中の化合物14bを、室温で、一晩、TFA(0.36mL、4.67mmol)で処理し、濃縮しDCM中の10%MeOHを用いて分取TLCプレートで精製し、化合物14−1(60mg、2段階にわたって49%)を得た。MS(CI)m/z 674.0(MH)。
【0151】
以下の化合物を、上記の手順に従って作製した。
【0152】
【化39】

例示のために、本発明の特定の実施形態が本明細書中に記載されてきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の改変がなされ得ることが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によることを除いて限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】

を有する化合物またはその立体異性体、プロドラッグ、もしくは薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
1aおよびR1bは、同じであるかまたは異なり、そして独立に、水素、ハロゲン、C1〜4アルキル、またはアルコキシであり;
2aおよびR2bは、同じであるかまたは異なり、そして独立に、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、または−SOCHであり;
は、水素またはメチルであり;
は、フェニルまたはC3〜7アルキルであり;
およびRは、同じであるかまたは異なり、そして独立に、水素またはC1〜4アルキルであるか;または
およびそれが結合する窒素は、Rおよびそれが結合する炭素と一緒になって、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたは2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールを形成し;
は、−COOHまたは酸同配体であり;ならびに
Xは、−O−(C1〜6アルカンジイル)または−O−(C1〜6アルカンジイル)−O−(C1〜6アルカンジイル)であり、ここで各(C1−6アルカンジイル)は、必要に応じて1〜3個のC1〜4アルキル基で置換されている、化合物。
【請求項2】
1aが、ハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1aが、フルオロまたはクロロである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1aが、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
2aが、ハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
2bが、トリフルオロメチル、ハロゲンまたは−SOCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、メチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が、フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、C3〜7アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
3〜7アルキルが、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、Hまたはメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が、−COOHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
が、酸同配体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
Xが、直鎖C1〜6アルカンジイルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
前記直鎖C1〜6アルカンジイルが、−CHCHCH−である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
前記直鎖C1〜6アルカンジイルが、−CHCHCHCH−である、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
前記直鎖C1〜6アルカンジイルが、−CHCHCHCHCH−である、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
Xが、分枝C1〜6アルカンジイルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が、3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H、3H)−ジオン、3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(3−([5−ヒドロキシカルボニル]−1−ペントキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−クロロベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H、3H)−ジオン、3−[2(R)−アミノ−2−フェニルエチル]−5−(3−([5−ヒドロキシカルボニル]−1−ペントキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H、3H)−ジオン、3−[2(R)−メチルアミノ−2−フェニルエチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H、3H)−ジオン、3−[1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン]メチル]−5−(3−([5−ヒドロキシカルボニル]−1−ペントキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H、3H)−ジオン、3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−フルオロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H、3H)−ジオン、3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−フルオロ−3−([3−ヒドロキシカルボニル]−1−プロポキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−6−メチル−ピリミジン−2,4(1H、3H)−ジオン、3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−クロロ−3−([4−ヒドロキシカルボニル]−1−ブトキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H、3H)−ジオン、または3−[(1−R−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)メチル]−5−(2−クロロ−3−([5−ヒドロキシカルボニル]−1−ペントキシ)フェニル)−1−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−ピリミジン−2,4(1H、3H)−ジオンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤を含む、薬学的組成物。
【請求項22】
性腺刺激ホルモン放出ホルモンの拮抗を必要としている被験体において、性腺刺激ホルモン放出ホルモンに拮抗するための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項23】
性ホルモン関連状態の処置を必要としている被験体の性ホルモン関連状態を処置するための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の請求項21に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項24】
前記性ホルモン関連状態は、癌、良性前立腺肥大または子宮筋腫である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記癌は、前立腺癌、子宮癌、乳癌または下垂体前葉腺腫である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記癌は、前立腺癌である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記性ホルモン関連状態は、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣疾患、子宮線維平滑筋腫または性的早熟症である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記性ホルモン関連状態は、子宮内膜症である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記性ホルモン関連状態は、子宮線維平滑筋腫である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
不妊症の処置を必要としている被験体の不妊症を処置するための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の請求項21に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項31】
エリテマトーデス、過敏性腸症候群、月経前症候群、多毛症、低身長または睡眠障害の処置を必要としている被験体のエリテマトーデス、過敏性腸症候群、月経前症候群、多毛症、低身長または睡眠障害を処置するための方法であって、該方法は、該被験体に、有効量の請求項21に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。

【公表番号】特表2007−521308(P2007−521308A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518838(P2006−518838)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/021569
【国際公開番号】WO2005/007164
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(500389793)ニューロクライン バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】