恒温槽型圧電発振器
【課題】恒温槽型圧電発振器の本体筐体の低背化を行うこと、及び製造コストを低く抑えることができる恒温槽型圧電発振器を提供する。
【解決手段】恒温槽型圧電発振器1に、圧電振動子2と、圧電振動子2を発振子とした発振回路3を構成する発振部31と、圧電振動子2を所定温度に保つ恒温槽5とが設けられ、圧電振動子2と発振部31とは基板6の一主面60に配されている。また、基板6の内部に圧電振動子2を所定温度に保つ恒温部51が設けられ、基板6の一主面60に圧電振動子2と発振部31とを封止する金属ケース52が設けられている。恒温槽5は恒温部51と金属ケース52とによって構成される。
【解決手段】恒温槽型圧電発振器1に、圧電振動子2と、圧電振動子2を発振子とした発振回路3を構成する発振部31と、圧電振動子2を所定温度に保つ恒温槽5とが設けられ、圧電振動子2と発振部31とは基板6の一主面60に配されている。また、基板6の内部に圧電振動子2を所定温度に保つ恒温部51が設けられ、基板6の一主面60に圧電振動子2と発振部31とを封止する金属ケース52が設けられている。恒温槽5は恒温部51と金属ケース52とによって構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子と、前記圧電振動子を所定温度に保つ恒温槽とを備えた恒温槽型圧電発振器(OCXO(Oven Controlled Crystal Oscillator))に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の恒温槽型圧電発振器の一例としては、圧電振動子と、前記圧電振動子を所定温度に保つための恒温槽とを備えたものがある。
【0003】
前記恒温槽には、例えばアルミブロックが用いられ、前記圧電振動子は前記恒温槽の内部に格納されている。また、前記恒温槽の内部には、前記圧電振動子の温度を検知するセンサ部が前記圧電振動子と接した状態で格納されている。前記恒温槽は、回路基板の一主面に配され、前記回路基板の他主面には、前記恒温槽を加熱するヒータ部が配されている。前記ヒータ部による加熱動作は、前記センサ部による温度検知に基づいて制御される。
【0004】
このような構成を備えた恒温槽型圧電発振器の一例として、特許文献1に開示の圧電発振器がある。
【0005】
この特許文献1に開示の圧電発振器は、前記圧電振動子を収納した前記アルミブロックが回路基板に配置され、前記圧電振動子と前記回路基板とが第2の回路基板に電気的に接続された構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−306480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示の圧電発振器においては、前記恒温槽で前記圧電振動子の温度を制御することができるため周波数の高安定化を実現することはできるが、前記圧電振動子を前記アルミブロックに収納しているため、圧電発振器の本体筐体の低背化や、製造コストを低く抑えることが難しい。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、圧電発振器の本体筐体の低背化を行い、製造コストを低く抑えることができる恒温槽型圧電発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る恒温槽型圧電発振器は、圧電振動子と、前記圧電振動子を発振子とした発振回路を構成する発振部と、前記圧電振動子を所定温度に保つ恒温槽とが設けられ、前記圧電振動子と前記発振部とが基板の一主面に配され、前記基板の内部に前記圧電振動子を所定温度に保つ恒温部が設けられ、前記基板の一主面に、前記圧電振動子と前記発振部とを封止する恒温ケースが設けられ、前記恒温槽は、前記恒温部と前記恒温ケースとによって構成されたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、前記恒温槽が前記恒温ケースと前記恒温部とから構成されるので、従来のアルミブロックを前記恒温槽とする恒温槽型圧電発振器と比較して、製造手順が簡単化され、製造コストが低く抑えられる。また、前記圧電振動子と前記発振部とを封止する(前記圧電振動子と前記発振部とを内包する)前記恒温ケースが前記基板の一主面に設けられ、前記恒温部と前記恒温ケースとによって前記圧電振動子と前記発振部とを封止する恒温槽が構成されるので、恒温槽を別途設ける従来の恒温槽型圧電発振器と比較して、当該恒温槽型圧電発振器の本体筐体を低背化や小型化することができる。
【0011】
また、前記構成において、前記圧電振動子を加熱するヒータ部が設けられ、前記ヒータ部は、前記恒温槽の外側に配されていてもよい。
【0012】
この場合、前記ヒータ部が前記恒温槽の外側に配されるので、前記ヒータ部を前記恒温槽の内側に配することによって前記ヒータ部により前記恒温槽の内側で急峻な熱勾配が生じることを防止できる。
【0013】
また、前記構成において、前記圧電振動子の温度を検知するセンサ部が設けられ、前記センサ部は、前記恒温槽の内側に配されていてもよい。
【0014】
この場合、前記センサ部が前記恒温槽の内側に配されるので、前記圧電振動子の近傍に前記センサ部を配して前記圧電振動子の温度を正確に検知することができる。
【0015】
また、前記構成において、前記基板の一主面に、前記恒温ケースと接合する接合部が形成され、前記接合部は、凹形状からなり、前記恒温ケースに、前記接合部に嵌まる突出片が設けられてもよい。
【0016】
この場合、前記基板の一主面に前記接合部が形成され、前記接合部は凹形状からなり、前記恒温ケースに前記突出片が設けられているので、前記接合部が前記基板の他主面に露出することを防止することができる。これにより、前記接合部から前記恒温槽の外側に前記恒温槽内の熱が放出することを確実に防止して、前記恒温槽内の温度を安定させることができ、その結果、消費電力を下げることができる。
【0017】
また、前記構成において、前記基板に、前記恒温ケースと接合する接合部が形成され、前記接合部は、前記基板を貫通する貫通孔であり、前記恒温ケースに、前記接合部に接合する突出片が設けられてもよい。
【0018】
この場合、前記基板に前記接合部が形成され、前記接合部は、前記基板を貫通する貫通孔であり、前記恒温ケースに前記突出片が設けられているので、前記恒温槽内の熱が前記基板上に拡がる放熱を抑制し、その結果、消費電力を下げることができる。
【0019】
また、前記構成において、前記基板の他主面で前記恒温ケースの突出片が前記基板に半田付けされていてもよい。
【0020】
この場合、前記基板の他主面で前記恒温ケースの突出片が前記基板に半田付けされるので、前記恒温ケースを前記基板に容易に設けることができる。
【0021】
また、前記構成において、前記基板は樹脂基板であってもよく、より好ましくは熱伝導率が0.2W/(m・K)〜0.5W/(m・K)の樹脂基板である。具体例を示すと、前記基板として、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板、またはフッ素樹脂基板を用いることができる。
【0022】
この場合、前記基板の熱伝導率が比較的低いため、前記恒温槽内から前記基板を介した前記恒温槽の外側への放熱を低減させることができ、消費電力を下げることができる。
【0023】
また、前記構成において、前記恒温部は、平板状パターンまたは網目状パターンであってもよい。
【0024】
この場合、前記恒温部は、平板状パターンまたは網目状パターンであるので、当該恒温槽型圧電発振器を低背化することができる。さらに、前記恒温槽内の熱を安定させることができる。また、平板状パターンの具体例としてベタパターンが挙げられる。
【0025】
また、前記構成において、前記圧電振動子に、外部接続端子が突設され、前記基板に、前記圧電振動子を搭載する搭載部が設けられ、前記外部接続端子の先端部は、前記搭載部内に配されてもよい。
【0026】
この場合、前記圧電振動子に前記外部接続端子が突設され、前記基板に前記搭載部が設けられ、前記外部接続端子の先端部は前記搭載部内に配されるので、前記圧電振動子を安定した状態で前記所定温度に保つことができる。
【0027】
また、前記構成において、前記搭載部は、前記恒温部上の前記基板の一主面に凹形状に形成されてもよい。
【0028】
この場合、前記搭載部が前記恒温部上の前記基板の一主面に凹形状に形成されるので、前記外部接続端子の先端部を前記恒温部の近傍に配置することができ、その結果、前記外部接続端子を介して前記圧電振動子の振動片(例えば水晶振動片)に前記恒温部からの熱を直接伝えることができる。
【0029】
また、前記構成において、当該恒温槽型圧電発振器の本体筐体は、前記圧電振動子と前記発振回路と前記ヒータ部と前記恒温槽と前記基板とを封止してもよい。
【0030】
この場合、当該恒温槽型圧電発振器の本体筐体は、前記圧電振動子と前記発振部と前記恒温ケースと前記基板と前記恒温槽とを封止するので、前記圧電振動子と前記発振部と前記恒温ケースと前記基板と前記恒温槽とを塵などの外的環境や、衝撃などの外からかかる力から保護することができる。なお、前記本体筐体は、EMS(Electro Magnetic Susceptibility)に対応することができるため、金属を用いて形成されていることがより好ましい。
【0031】
また、前記構成において、前記基板の一主面には、前記圧電振動子の代わりまたは前記圧電振動子及び前記発振部の代わりに、表面実装型圧電デバイスが配されてもよい。
【0032】
この場合、前記表面実装型圧電デバイスが薄型の電子部品であることにより、当該恒温槽型圧電発振器の本体筐体を低背化することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る恒温槽型圧電発振器は、当該恒温槽型圧電発振器の本体筐体の低背化を行い、製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器の概略構成を示す透視図である。
【図2】本実施形態の恒温槽型圧電発振器を構成する本体筐体と、基板と、金属ケースの概略分解斜視図である。
【図3】本実施形態に係る基板を示す概略平面図である。
【図4】本実施形態に係る金属ケースを示す概略斜視図である。
【図5】本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器の基板への金属ケース及び圧電振動子の接合構造を示した概略構成図である。
【図6】本実施形態の他の形態に係る基板を示す概略平面図である。
【図7】本実施形態の他の形態に係る基板を示す概略平面図である。
【図8】本実施形態の他の形態に係る基板を示す概略平面図である。
【図9】本実施形態の他の形態に係る基板を示す概略平面図である。
【図10】本実施形態の他の形態に係る恒温槽型圧電発振器の基板への金属ケースの接合を示した概略構成図である。
【図11】図12に示す金属ケースを図9に示す接合部に接合した場合における、恒温槽型圧電発振器の基板への金属ケースの接合構造を示した概略構成図である。
【図12】本実施形態の他の形態に係る金属ケースを示す概略斜視図である。
【図13】本実施形態の他の形態に係る恒温部を示す概略平面図である。
【図14】本実施形態の他の形態に係るヒータ部を示す概略構成図である。
【図15】本実施形態の他の形態に係るヒータ部を示す概略構成図である。
【図16】本実施形態の他の形態に係る恒温槽内の各構成を示す概略透視図である。
【図17】本実施形態の他の形態に係る恒温槽内の各構成を示す概略透視図である。
【図18】本実施形態の他の形態に係る恒温槽型圧電発振器の概略構成を示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態(本実施形態)に係る恒温槽型圧電発振器について図面を参照しつつ説明する。
【0036】
本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器1を図1,2に示す。図1は、本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器1の概略構成を示す透視図である。図2は、本実施形態の恒温槽型圧電発振器1を構成する本体筐体9と、基板6と、金属ケース52(本発明でいう恒温ケース)の概略分解斜視図である。
【0037】
本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器1には、図1,2に示すように、基板6と、基板6の一主面に配した圧電振動子2及び発振部31と、圧電振動子2及び発振部31を封止する金属ケース52とが設けられている。
【0038】
恒温槽型圧電発振器1の本体筐体9は、図1,2に示すように、一面に開口部90が形成された保護用ケース91と、保護用ケース91と接合して当該恒温槽型圧電発振器1の構成部材を封止するベース92とからなる。ベース92には、外部の電子機器と電気的に接続する外部リード端子93が本体筐体9の内部(内側)から外部(外側)に突出形成されている。なお、保護用ケース91とベース92とは金属を用いて形成されており、ベース92と外部リード端子93との間にはガラスなどで形成された絶縁性を有する部材が介在していることが、EMSに対応することができるため好ましい。
【0039】
次に、恒温槽型圧電発振器1の各構成について、図1〜4を用いて詳説する。図3は、本実施形態に係る基板6を示す概略平面図である。図4は、本実施形態に係る金属ケース52を示す概略斜視図である。
【0040】
圧電振動子2は、図1に示すように、SCカットまたはATカットなどの水晶振動片(図示省略)と、この水晶振動片を支持する支持ベース23と、支持ベース23に支持された水晶振動片を気密封止するキャップ24から構成されている。前記水晶振動片には、一対の励振電極(図示省略)と、前記一対の励振電極から引き出された引出電極(図示省略)とが形成されている。支持ベース23には、2つのリード端子21(本発明でいう外部接続端子)が挿入して接合されている。2つのリード端子21は、支持ベース23から外方に延設されたアウターリード部と、圧電振動子2の内部に配され、前記水晶振動片の前記引出電極にそれぞれ接合されたインナーリード部から構成されている。なお、図1に示すように、2つのリード端子21は、圧電振動子2の側面視同一位置に配される。
【0041】
金属ケース52は、図1,4に示すように、一端面に開口部53が形成された箱状体であり、この金属ケース52を基板6に配する際、この開口部53が基板6の一主面60に向く。この金属ケース52は、天面板56と、4つの側面板50とからなり、この天面板56の外周端から側面板50が下垂して設けられている。これら4つの側面板50のうち、任意の対向する2面の側面板50には、その先端から突出片54が突出形成されている。なお、金属ケース52は、熱伝導性の高い材料で形成されていることが好ましく、本実施形態では、真鍮が用いられている。
【0042】
基板6は、複数の層が積層された多層基板から構成され、例えば熱伝導率が0.2W/(m・K)〜0.5W/(m・K)の樹脂基板である。具体例を示すと、基板6として、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板、またはフッ素樹脂基板を用いることができる。
【0043】
基板6の内部には、図1,3に示すように、圧電振動子23を所定温度に保つ恒温部51が設けられている。恒温部51は、基板6の中間層に形成されており、熱伝導性が高い熱伝導性材料(本実施形態では銅)からなる熱伝導層であり、平面視矩形の平板状パターンに成形されている。本実施形態では、恒温部51としてベタパターンが用いられている。
【0044】
基板6の一主面60には、図1〜3に示すように、圧電振動子2を発振子とした発振回路3がパターン形成され(図示省略)、発振回路3の構成部材である発振部31(集積回路チップやその他の電子部品など)や、圧電振動子2の温度を検出するセンサ部7が設けられている。本実施形態では、センサ部7として、例えばサーミスタなどが用いられている。また、図3に示すように、恒温部51上の基板6の一主面60の平面視矩形の領域(恒温部51と平面視重なり合う領域)を重複領域Aとし、この重複領域Aに圧電振動子2のリード端子21を電気的に接続する搭載部63が形成されている。搭載部63は、恒温部51に達しない深さの円柱形の凹形状に形成されている。また、重複領域Aの外周に沿って、金属ケース52と接合する接合部62が設けられている。接合部62は、基板6の一主面60の重複領域Aの外周縁の各辺に沿って直方体の凹形状に形成されている。この接合部62には、凹形状の内面から接合部62外の基板6の一主面60上まで延出した熱伝導性が高い熱伝導膜18が設けられている。熱伝導膜18は、恒温部51に接続されている。本実施形態では、熱伝導膜18として、銅が用いられている。
【0045】
基板6の他主面61には、図1,2に示すように、圧電振動子2を加熱するヒータ部4と、ヒータ部4用のトランジスタ41とが設けられている。本実施形態では、ヒータ部4として膜抵抗体が用いられている。
【0046】
また、基板6には、図5に示すように、恒温部51上の基板6の一主面60から恒温部51に貫通する複数のビアホール64が形成されている。ビアホール64は、このビアホール64を介して、ヒータ部4が恒温部51に接続され、ヒータ部4による熱が恒温部51に伝わる。また、基板6の平面視外周に一主面60から他主面61にかけて貫通する孔65が形成され、図1に示すように孔65に外部リード端子93が挿入される。
【0047】
この恒温槽型圧電発振器1では、恒温部51と金属ケース52とによって恒温槽5が構成される。恒温槽5内では、基板6の一主面60に配された圧電振動子2と発振部31とが封止され、圧電振動子2が所定温度に保たれる。また、図1に示すように、恒温槽5の外側にヒータ部4が配され、恒温槽5の内側にセンサ部7が配されている。
【0048】
次に、図1〜5を用いて、恒温槽型圧電発振器1の製造工程を説明する。
【0049】
図1,2に示すように、基板6の一主面60に発振部31とセンサ部7を搭載し、基板6の他主面61にヒータ部4とトランジスタ41とを搭載する。これらの構成部材の基板6への搭載後、図5に示すように、搭載部63にリード端子21の先端部22を配し、接合材8(半田または導電性接着剤など)を用いてリード端子21を基板6に電気的に接続するとともに機械的に接合し、基板6に圧電振動子2を搭載する。圧電振動子2の搭載後、金属ケース52の突出片54を接合部62に嵌合し、接合材28(例えば半田または熱伝導性樹脂)を用いて接合する。この際は、突出片54は、熱伝導膜18を介して恒温部51と接続する。そして、ベース92に設けられた外部リード端子93に基板6の孔65を挿入させて半田などを用い、外部リード端子93を孔65に接合する。その後、保護用ケース91をべース92に被せて、保護用ケース91とベース92とを接合し、この接合により恒温槽型圧電発振器1の構成部材(圧電振動子2、発振部31、基板6、金属ケース52など)を本体筐体9内に封止し、恒温槽型圧電発振器1を製造する。
【0050】
本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器1によれば、恒温槽5が金属ケース52と恒温部51とから構成されるので、従来のアルミブロックを恒温槽とする恒温槽型圧電発振器と比較して、製造手順が簡単化され、製造コストが低く抑えられる。また、圧電振動子2と発振部31とを封止する(圧電振動子2と発振部31とを内包する)金属ケース52が一主面60に設けられ、金属ケース52と恒温部51とによって圧電振動子2と発振部31とを封止する恒温槽5が構成されるので、恒温槽を別途設ける従来の恒温槽型圧電発振器と比較して、恒温槽型圧電発振器1の本体筐体を低背化や小型化することができる。
【0051】
また、ヒータ部4が恒温槽5の外側に配されるので、ヒータ部4を恒温槽5の内側に配することによってヒータ部4により恒温槽5の内側で急峻な熱勾配が生じることを防止できる。
【0052】
また、センサ部7が恒温槽5の内側に配されるので、圧電振動子2の近傍にセンサ部7を配して圧電振動子2の温度を正確に検知することができる。
【0053】
また、基板6の一主面60に接合部62が形成され、接合部62が凹形状からなり、金属ケース52に突出片54が設けられているので、接合部62が基板6の他主面61に露出することを防止することができる。これにより、接合部62から恒温槽5の外側に恒温槽5内の熱が放出することを確実に防止して、恒温槽5内の温度を安定させることができ、その結果、消費電力を下げることができる。
【0054】
また、恒温部51が平板状パターンであるので、恒温槽5内の熱を安定させることができる。
【0055】
また、基板6は樹脂基板である。これにより、基板6の熱伝導率が比較的低いため、恒温槽5内から基板6を介した恒温槽5の外側への放熱を低減させることができ、消費電力を下げることができる。
【0056】
また、圧電振動子2にはリード端子21が突設され、基板6に搭載部63が設けられ、リード端子21の先端部22は搭載部63内に配されるので、圧電振動子2を安定した状態で所定温度に保つことができる。また、本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器1の製造工程において、基板6の搭載部63を基準としてリード端子21の先端部22の搭載位置を決定することができ、圧電振動子2を基板6に配置する際の位置決めが容易になる。
【0057】
また、搭載部63が恒温部51上の基板6の一主面60に凹形状に形成されるので、リード端子21の先端部22を恒温部51の近傍に配置することができ、その結果、リード端子21を介して圧電振動子2の水晶振動片に恒温部51からの熱を直接伝えることができる。
【0058】
また、恒温槽型圧電発振器1の本体筐体9は、構成部材(例えば、圧電振動子2と発振部31と金属ケース52と基板6と恒温槽5)を封止するので、構成部材を塵などの外的環境や、衝撃などの外からかかる力から保護することができる。
【0059】
また、本実施形態では、接合部62が設けられているので、上記した製造工程と異なり、恒温槽型圧電発振器1を製造する際に、接合部62に導電性接合材(図示省略)を供給した状態で突出片54を接合部62に挿入するといった手順を実施することによって、突出片54を接合部62に接合して、金属ケース52を導電性接合材及び熱伝導膜18を介して恒温部51に接合することができる。
【0060】
また、本実施形態では、恒温部51が基板6内部に設けられているので、恒温部51の熱が外部へ放出することなく、恒温槽5内の温度を安定させることができる。
【0061】
なお、本実施形態では、恒温ケースとして金属ケース52を用いているが、これは好適な例であり、これに限定されるものではなく、恒温槽5を構成できるものであれば任意の材料からなってもよい。
【0062】
また、本実施形態では、凹形状の接合部62を基板6の一主面60に形成しているが、接合部62の形状や配置は図3に示す形態に限定されるものではなく、例えば、下記する図6〜図9に示す他の形態であってもよい。図6〜9は、本実施形態の他の形態に係る基板6を示す概略平面図である。
【0063】
図6に示す基板6では、重複領域Aの外周縁の各辺に沿って接合部62がそれぞれ形成されている。
【0064】
図7に示す基板6では、重複領域Aの外周縁の4つの辺のうちの対向する任意の2つの辺に沿ってそれぞれ接合部62が形成されている。この接合部62は、それぞれ隣接する辺にまたがって形成される。すなわち、接合部62は、それぞれ重複領域Aの連続する3つの辺に沿って形成され、平面視[状もしくは]状に成形されている。
【0065】
図8に示す基板6では、重複領域Aの4つの隅それぞれに4つの接合部62が形成されている。この接合部62は、隅に隣り合う2つの辺にまたがって形成され、平面視L字形状に成形されている。
【0066】
図9に示す基板6では、重複領域Aの外周縁の4つの辺に沿って平面視円形の接合部62が形成されている。
【0067】
なお、上記した図6〜9に示す形態の場合、接合部62の形状に対応させて、金属ケース52の突出片54が成形されることは言うまでもない。
【0068】
また、本実施形態では、接合部62は凹形状からなるが、その形状は限定されるものではなく、図10,11に示す他の形態であってもよい。
【0069】
図10に示す他の形態では、接合部62は、基板6の一主面60から他主面61にかけて貫通する貫通孔に成形されている。図10は、貫通孔に成形された接合部62を備えた基板6への金属ケース52(突出片54)の接合を示した概略構成図である。この場合、接合部62は、基板6を貫通する貫通孔であるので、恒温槽5内の熱が重複領域Aの外側に拡がる放熱を抑制し、その結果、消費電力を下げることができる。この図10に示す他の形態では、熱伝導膜18は、貫通孔の内側面を介して基板6の一主面60から他主面61にかけて設けられている。また、金属ケース52の突出片54が基板6の他主面61で半田付けされている。これにより、金属ケース52を基板6に容易に設けることができる。
【0070】
なお、接合部62が凹形状からなる場合及び接合部62が貫通孔に成形されている場合において、図示していないが、金属ケース52(特に、突出片54)のケース外側表面が接合部62に当接せず、前記ケース外側表面と接合部62との間に間隙が保たれていてもよい。前記間隙が保たれていることにより、金属ケース52の熱が金属ケース52から基板6の重複領域A外側へ伝わり外部リード端子93を介して外部に放熱されることが抑制される。
【0071】
図11に示す他の形態では、接合部62は、一主面60から恒温部51まで貫通形成するビアホールに成形されている。なお、ビアホール内には、導電性材料からなる充填材が充填されている。また、この図11に示す形態では、基板6の一主面60において接合部62と金属ケース52とが接合される。そのため、図11に示す接合部62に対して、図4に示す本実施形態の突出片54が形成された金属ケース52を用いることができない。そこで、この図11に示す他の形態では、図12に示す金属ケース52を用いる。図12は、図4とは異なる形態の金属ケース52の概略斜視図である。
【0072】
図12に示す金属ケース52は、一端面に開口部53が形成された箱状体であり、この金属ケース52を基板6に配する際、この開口部53が基板6の一主面60に向く。また、金属ケース52の4つの側面板50の先端面55が幅広に形成されている。この金属ケース52の先端面55が、接合材28を用いて図11に示す基板6に接合される。このように、4つの側面板50の先端面55が幅広に形成されることで、金属ケース52の基板6に当接する部位の面積が広くなり、金属ケース52が基板6に確実に接続される。なお、先端面55が幅広に形成されることが望ましいが、先端面55が幅広に形成されなくてもよい。
【0073】
また、接合部62は、図3、図6〜図11に示す形態に限定されるものではなく適宜変更可能であるが、金属ケース52をより容易に基板6に配置するためには接合部62の数が少なく形状が簡単であることが好ましく、金属ケース52と恒温部51との間でより効率よく熱伝導を行うためには重複領域Aの外周縁に沿って隙間なく複数の接合部62が形成されることが好ましい。
【0074】
なお、接合部62が図10に示すように貫通孔に成形されている場合、外部リード端子93が挿入される孔65と重複領域Aとの間に接合部62を配することで、重複領域Aの熱が基板6を介して外部リード端子93に伝わり外部に放熱されることが抑制される。よって、接合部62は図10に示すように貫通孔に成形されていることがより好ましい。
【0075】
また、本実施形態では、恒温部51として、平板状パターンを用いているが、これに限定されるものではなく、他の形態であってもよく、例えば、図13に示す網目状パターンであってもよい。この場合、平板状パターンの恒温部51と比べて恒温部51を形成する際の材料コストを低く抑えることができる。図13は、網目状パターンの恒温部の概略平面図を示す。
【0076】
また、本実施形態では、ヒータ部4として膜抵抗体が用いられているが、これに限定されるものではなく、例えば、図14,15に示す他の形態であってもよい。図14,15は、本実施形態の他の形態に係るヒータ部4を示す概略構成図である。
【0077】
図14に示す他の形態では、ヒータ部4として、ニクロム線などのヒータ線が用いられる。このヒータ線は、金属ケース52に巻回されている。
【0078】
図15に示す他の形態では、ヒータ部4として、樹脂モールドされたトランジスタが用いられる。このトランジスタは、金属ケース52の側面板50に当接して設けられている。
【0079】
また、本実施形態にかかる圧電振動子2では、キャップ24が他の部材と接していないが、図16に示すように、金属ケース52の内壁と圧電振動子2のキャップ24とが金属片などの熱伝導片38を介して接続されてもよい。この場合、熱伝導片38を介して金属ケース52から圧電振動子2に直接熱が伝わり、圧電振動子2を安定した状態で所定温度に保つことができる。
【0080】
また、図16に示す形態の他に、図17に示すように、キャップ24の一部(先端部)が挿入可能な熱伝導性が高いジャケット48が設けられてもよい。この場合、ジャケット48を介して恒温部51からの熱が圧電振動子2へ伝わり、圧電振動子2を安定した状態で所定温度に保つことができる。なお、図17に示すジャケット48は、半田などの接合材58によって基板6の一主面60に接合されている。しかしながら、ジャケット48は、恒温部51に接合されていてもよい。
【0081】
また、本実施形態では、圧電振動子2にリードタイプの圧電振動子2を用いているが、これに限定されるものではなく、本実施形態の他の形態において、恒温槽型圧電発振器は、リードタイプの圧電振動子2の代わりに表面実装型圧電デバイスとして表面実装型圧電振動子などが基板6の一主面に配されたものであってもよい。この場合、恒温槽型圧電発振器の本体筐体9を低背化することができる。
【0082】
また、本実施形態の他の形態において、恒温槽型圧電発振器は、圧電振動子2及び発振部3の代わりに表面実装型圧電デバイスとして表面実装型圧電発振器などが基板6の一主面に配されたものであってもよい。この場合、前記表面実装型圧電デバイスは薄型の電子部品であるため、恒温槽型圧電発振器1の本体筐体9を低背化することができる。
【0083】
図18には、基板6の一主面に表面実装型圧電発振器20が配された恒温槽型圧電発振器1を示した。これにより、部品点数を飛躍的に減らすことができる。さらに、センサ部7として表面実装型のサーミスタを用いた場合、恒温槽5内部には表面実装型圧電発振器20とセンサ部7(表面実装型のサーミスタ)のみを配置するだけでよく、恒温槽5内部からリード部品を排除することができる。この場合、恒温槽型圧電発振器1の本体筐体9をさらに低背化することができる。
【0084】
また、本実施形態では、基板6に形成された発振回路3に温度補償回路が付加されてもよい。これにより、恒温槽型圧電発振器1の周波数がより安定する。
【0085】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0086】
1 恒温槽型圧電発振器
2 圧電振動子
21 リード端子
3 発振回路
31 発振部
4 ヒータ部
41 トランジスタ
5 恒温槽
51 恒温部
52 金属ケース
6 基板
60 一主面
61 他主面
62 接合部
63 搭載部
7 センサ部
8 接合材
18 熱伝導膜
9 本体筐体
91 保護用ケース
92 ベース
93 外部リード端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子と、前記圧電振動子を所定温度に保つ恒温槽とを備えた恒温槽型圧電発振器(OCXO(Oven Controlled Crystal Oscillator))に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の恒温槽型圧電発振器の一例としては、圧電振動子と、前記圧電振動子を所定温度に保つための恒温槽とを備えたものがある。
【0003】
前記恒温槽には、例えばアルミブロックが用いられ、前記圧電振動子は前記恒温槽の内部に格納されている。また、前記恒温槽の内部には、前記圧電振動子の温度を検知するセンサ部が前記圧電振動子と接した状態で格納されている。前記恒温槽は、回路基板の一主面に配され、前記回路基板の他主面には、前記恒温槽を加熱するヒータ部が配されている。前記ヒータ部による加熱動作は、前記センサ部による温度検知に基づいて制御される。
【0004】
このような構成を備えた恒温槽型圧電発振器の一例として、特許文献1に開示の圧電発振器がある。
【0005】
この特許文献1に開示の圧電発振器は、前記圧電振動子を収納した前記アルミブロックが回路基板に配置され、前記圧電振動子と前記回路基板とが第2の回路基板に電気的に接続された構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−306480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示の圧電発振器においては、前記恒温槽で前記圧電振動子の温度を制御することができるため周波数の高安定化を実現することはできるが、前記圧電振動子を前記アルミブロックに収納しているため、圧電発振器の本体筐体の低背化や、製造コストを低く抑えることが難しい。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、圧電発振器の本体筐体の低背化を行い、製造コストを低く抑えることができる恒温槽型圧電発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る恒温槽型圧電発振器は、圧電振動子と、前記圧電振動子を発振子とした発振回路を構成する発振部と、前記圧電振動子を所定温度に保つ恒温槽とが設けられ、前記圧電振動子と前記発振部とが基板の一主面に配され、前記基板の内部に前記圧電振動子を所定温度に保つ恒温部が設けられ、前記基板の一主面に、前記圧電振動子と前記発振部とを封止する恒温ケースが設けられ、前記恒温槽は、前記恒温部と前記恒温ケースとによって構成されたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、前記恒温槽が前記恒温ケースと前記恒温部とから構成されるので、従来のアルミブロックを前記恒温槽とする恒温槽型圧電発振器と比較して、製造手順が簡単化され、製造コストが低く抑えられる。また、前記圧電振動子と前記発振部とを封止する(前記圧電振動子と前記発振部とを内包する)前記恒温ケースが前記基板の一主面に設けられ、前記恒温部と前記恒温ケースとによって前記圧電振動子と前記発振部とを封止する恒温槽が構成されるので、恒温槽を別途設ける従来の恒温槽型圧電発振器と比較して、当該恒温槽型圧電発振器の本体筐体を低背化や小型化することができる。
【0011】
また、前記構成において、前記圧電振動子を加熱するヒータ部が設けられ、前記ヒータ部は、前記恒温槽の外側に配されていてもよい。
【0012】
この場合、前記ヒータ部が前記恒温槽の外側に配されるので、前記ヒータ部を前記恒温槽の内側に配することによって前記ヒータ部により前記恒温槽の内側で急峻な熱勾配が生じることを防止できる。
【0013】
また、前記構成において、前記圧電振動子の温度を検知するセンサ部が設けられ、前記センサ部は、前記恒温槽の内側に配されていてもよい。
【0014】
この場合、前記センサ部が前記恒温槽の内側に配されるので、前記圧電振動子の近傍に前記センサ部を配して前記圧電振動子の温度を正確に検知することができる。
【0015】
また、前記構成において、前記基板の一主面に、前記恒温ケースと接合する接合部が形成され、前記接合部は、凹形状からなり、前記恒温ケースに、前記接合部に嵌まる突出片が設けられてもよい。
【0016】
この場合、前記基板の一主面に前記接合部が形成され、前記接合部は凹形状からなり、前記恒温ケースに前記突出片が設けられているので、前記接合部が前記基板の他主面に露出することを防止することができる。これにより、前記接合部から前記恒温槽の外側に前記恒温槽内の熱が放出することを確実に防止して、前記恒温槽内の温度を安定させることができ、その結果、消費電力を下げることができる。
【0017】
また、前記構成において、前記基板に、前記恒温ケースと接合する接合部が形成され、前記接合部は、前記基板を貫通する貫通孔であり、前記恒温ケースに、前記接合部に接合する突出片が設けられてもよい。
【0018】
この場合、前記基板に前記接合部が形成され、前記接合部は、前記基板を貫通する貫通孔であり、前記恒温ケースに前記突出片が設けられているので、前記恒温槽内の熱が前記基板上に拡がる放熱を抑制し、その結果、消費電力を下げることができる。
【0019】
また、前記構成において、前記基板の他主面で前記恒温ケースの突出片が前記基板に半田付けされていてもよい。
【0020】
この場合、前記基板の他主面で前記恒温ケースの突出片が前記基板に半田付けされるので、前記恒温ケースを前記基板に容易に設けることができる。
【0021】
また、前記構成において、前記基板は樹脂基板であってもよく、より好ましくは熱伝導率が0.2W/(m・K)〜0.5W/(m・K)の樹脂基板である。具体例を示すと、前記基板として、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板、またはフッ素樹脂基板を用いることができる。
【0022】
この場合、前記基板の熱伝導率が比較的低いため、前記恒温槽内から前記基板を介した前記恒温槽の外側への放熱を低減させることができ、消費電力を下げることができる。
【0023】
また、前記構成において、前記恒温部は、平板状パターンまたは網目状パターンであってもよい。
【0024】
この場合、前記恒温部は、平板状パターンまたは網目状パターンであるので、当該恒温槽型圧電発振器を低背化することができる。さらに、前記恒温槽内の熱を安定させることができる。また、平板状パターンの具体例としてベタパターンが挙げられる。
【0025】
また、前記構成において、前記圧電振動子に、外部接続端子が突設され、前記基板に、前記圧電振動子を搭載する搭載部が設けられ、前記外部接続端子の先端部は、前記搭載部内に配されてもよい。
【0026】
この場合、前記圧電振動子に前記外部接続端子が突設され、前記基板に前記搭載部が設けられ、前記外部接続端子の先端部は前記搭載部内に配されるので、前記圧電振動子を安定した状態で前記所定温度に保つことができる。
【0027】
また、前記構成において、前記搭載部は、前記恒温部上の前記基板の一主面に凹形状に形成されてもよい。
【0028】
この場合、前記搭載部が前記恒温部上の前記基板の一主面に凹形状に形成されるので、前記外部接続端子の先端部を前記恒温部の近傍に配置することができ、その結果、前記外部接続端子を介して前記圧電振動子の振動片(例えば水晶振動片)に前記恒温部からの熱を直接伝えることができる。
【0029】
また、前記構成において、当該恒温槽型圧電発振器の本体筐体は、前記圧電振動子と前記発振回路と前記ヒータ部と前記恒温槽と前記基板とを封止してもよい。
【0030】
この場合、当該恒温槽型圧電発振器の本体筐体は、前記圧電振動子と前記発振部と前記恒温ケースと前記基板と前記恒温槽とを封止するので、前記圧電振動子と前記発振部と前記恒温ケースと前記基板と前記恒温槽とを塵などの外的環境や、衝撃などの外からかかる力から保護することができる。なお、前記本体筐体は、EMS(Electro Magnetic Susceptibility)に対応することができるため、金属を用いて形成されていることがより好ましい。
【0031】
また、前記構成において、前記基板の一主面には、前記圧電振動子の代わりまたは前記圧電振動子及び前記発振部の代わりに、表面実装型圧電デバイスが配されてもよい。
【0032】
この場合、前記表面実装型圧電デバイスが薄型の電子部品であることにより、当該恒温槽型圧電発振器の本体筐体を低背化することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る恒温槽型圧電発振器は、当該恒温槽型圧電発振器の本体筐体の低背化を行い、製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器の概略構成を示す透視図である。
【図2】本実施形態の恒温槽型圧電発振器を構成する本体筐体と、基板と、金属ケースの概略分解斜視図である。
【図3】本実施形態に係る基板を示す概略平面図である。
【図4】本実施形態に係る金属ケースを示す概略斜視図である。
【図5】本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器の基板への金属ケース及び圧電振動子の接合構造を示した概略構成図である。
【図6】本実施形態の他の形態に係る基板を示す概略平面図である。
【図7】本実施形態の他の形態に係る基板を示す概略平面図である。
【図8】本実施形態の他の形態に係る基板を示す概略平面図である。
【図9】本実施形態の他の形態に係る基板を示す概略平面図である。
【図10】本実施形態の他の形態に係る恒温槽型圧電発振器の基板への金属ケースの接合を示した概略構成図である。
【図11】図12に示す金属ケースを図9に示す接合部に接合した場合における、恒温槽型圧電発振器の基板への金属ケースの接合構造を示した概略構成図である。
【図12】本実施形態の他の形態に係る金属ケースを示す概略斜視図である。
【図13】本実施形態の他の形態に係る恒温部を示す概略平面図である。
【図14】本実施形態の他の形態に係るヒータ部を示す概略構成図である。
【図15】本実施形態の他の形態に係るヒータ部を示す概略構成図である。
【図16】本実施形態の他の形態に係る恒温槽内の各構成を示す概略透視図である。
【図17】本実施形態の他の形態に係る恒温槽内の各構成を示す概略透視図である。
【図18】本実施形態の他の形態に係る恒温槽型圧電発振器の概略構成を示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態(本実施形態)に係る恒温槽型圧電発振器について図面を参照しつつ説明する。
【0036】
本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器1を図1,2に示す。図1は、本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器1の概略構成を示す透視図である。図2は、本実施形態の恒温槽型圧電発振器1を構成する本体筐体9と、基板6と、金属ケース52(本発明でいう恒温ケース)の概略分解斜視図である。
【0037】
本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器1には、図1,2に示すように、基板6と、基板6の一主面に配した圧電振動子2及び発振部31と、圧電振動子2及び発振部31を封止する金属ケース52とが設けられている。
【0038】
恒温槽型圧電発振器1の本体筐体9は、図1,2に示すように、一面に開口部90が形成された保護用ケース91と、保護用ケース91と接合して当該恒温槽型圧電発振器1の構成部材を封止するベース92とからなる。ベース92には、外部の電子機器と電気的に接続する外部リード端子93が本体筐体9の内部(内側)から外部(外側)に突出形成されている。なお、保護用ケース91とベース92とは金属を用いて形成されており、ベース92と外部リード端子93との間にはガラスなどで形成された絶縁性を有する部材が介在していることが、EMSに対応することができるため好ましい。
【0039】
次に、恒温槽型圧電発振器1の各構成について、図1〜4を用いて詳説する。図3は、本実施形態に係る基板6を示す概略平面図である。図4は、本実施形態に係る金属ケース52を示す概略斜視図である。
【0040】
圧電振動子2は、図1に示すように、SCカットまたはATカットなどの水晶振動片(図示省略)と、この水晶振動片を支持する支持ベース23と、支持ベース23に支持された水晶振動片を気密封止するキャップ24から構成されている。前記水晶振動片には、一対の励振電極(図示省略)と、前記一対の励振電極から引き出された引出電極(図示省略)とが形成されている。支持ベース23には、2つのリード端子21(本発明でいう外部接続端子)が挿入して接合されている。2つのリード端子21は、支持ベース23から外方に延設されたアウターリード部と、圧電振動子2の内部に配され、前記水晶振動片の前記引出電極にそれぞれ接合されたインナーリード部から構成されている。なお、図1に示すように、2つのリード端子21は、圧電振動子2の側面視同一位置に配される。
【0041】
金属ケース52は、図1,4に示すように、一端面に開口部53が形成された箱状体であり、この金属ケース52を基板6に配する際、この開口部53が基板6の一主面60に向く。この金属ケース52は、天面板56と、4つの側面板50とからなり、この天面板56の外周端から側面板50が下垂して設けられている。これら4つの側面板50のうち、任意の対向する2面の側面板50には、その先端から突出片54が突出形成されている。なお、金属ケース52は、熱伝導性の高い材料で形成されていることが好ましく、本実施形態では、真鍮が用いられている。
【0042】
基板6は、複数の層が積層された多層基板から構成され、例えば熱伝導率が0.2W/(m・K)〜0.5W/(m・K)の樹脂基板である。具体例を示すと、基板6として、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板、またはフッ素樹脂基板を用いることができる。
【0043】
基板6の内部には、図1,3に示すように、圧電振動子23を所定温度に保つ恒温部51が設けられている。恒温部51は、基板6の中間層に形成されており、熱伝導性が高い熱伝導性材料(本実施形態では銅)からなる熱伝導層であり、平面視矩形の平板状パターンに成形されている。本実施形態では、恒温部51としてベタパターンが用いられている。
【0044】
基板6の一主面60には、図1〜3に示すように、圧電振動子2を発振子とした発振回路3がパターン形成され(図示省略)、発振回路3の構成部材である発振部31(集積回路チップやその他の電子部品など)や、圧電振動子2の温度を検出するセンサ部7が設けられている。本実施形態では、センサ部7として、例えばサーミスタなどが用いられている。また、図3に示すように、恒温部51上の基板6の一主面60の平面視矩形の領域(恒温部51と平面視重なり合う領域)を重複領域Aとし、この重複領域Aに圧電振動子2のリード端子21を電気的に接続する搭載部63が形成されている。搭載部63は、恒温部51に達しない深さの円柱形の凹形状に形成されている。また、重複領域Aの外周に沿って、金属ケース52と接合する接合部62が設けられている。接合部62は、基板6の一主面60の重複領域Aの外周縁の各辺に沿って直方体の凹形状に形成されている。この接合部62には、凹形状の内面から接合部62外の基板6の一主面60上まで延出した熱伝導性が高い熱伝導膜18が設けられている。熱伝導膜18は、恒温部51に接続されている。本実施形態では、熱伝導膜18として、銅が用いられている。
【0045】
基板6の他主面61には、図1,2に示すように、圧電振動子2を加熱するヒータ部4と、ヒータ部4用のトランジスタ41とが設けられている。本実施形態では、ヒータ部4として膜抵抗体が用いられている。
【0046】
また、基板6には、図5に示すように、恒温部51上の基板6の一主面60から恒温部51に貫通する複数のビアホール64が形成されている。ビアホール64は、このビアホール64を介して、ヒータ部4が恒温部51に接続され、ヒータ部4による熱が恒温部51に伝わる。また、基板6の平面視外周に一主面60から他主面61にかけて貫通する孔65が形成され、図1に示すように孔65に外部リード端子93が挿入される。
【0047】
この恒温槽型圧電発振器1では、恒温部51と金属ケース52とによって恒温槽5が構成される。恒温槽5内では、基板6の一主面60に配された圧電振動子2と発振部31とが封止され、圧電振動子2が所定温度に保たれる。また、図1に示すように、恒温槽5の外側にヒータ部4が配され、恒温槽5の内側にセンサ部7が配されている。
【0048】
次に、図1〜5を用いて、恒温槽型圧電発振器1の製造工程を説明する。
【0049】
図1,2に示すように、基板6の一主面60に発振部31とセンサ部7を搭載し、基板6の他主面61にヒータ部4とトランジスタ41とを搭載する。これらの構成部材の基板6への搭載後、図5に示すように、搭載部63にリード端子21の先端部22を配し、接合材8(半田または導電性接着剤など)を用いてリード端子21を基板6に電気的に接続するとともに機械的に接合し、基板6に圧電振動子2を搭載する。圧電振動子2の搭載後、金属ケース52の突出片54を接合部62に嵌合し、接合材28(例えば半田または熱伝導性樹脂)を用いて接合する。この際は、突出片54は、熱伝導膜18を介して恒温部51と接続する。そして、ベース92に設けられた外部リード端子93に基板6の孔65を挿入させて半田などを用い、外部リード端子93を孔65に接合する。その後、保護用ケース91をべース92に被せて、保護用ケース91とベース92とを接合し、この接合により恒温槽型圧電発振器1の構成部材(圧電振動子2、発振部31、基板6、金属ケース52など)を本体筐体9内に封止し、恒温槽型圧電発振器1を製造する。
【0050】
本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器1によれば、恒温槽5が金属ケース52と恒温部51とから構成されるので、従来のアルミブロックを恒温槽とする恒温槽型圧電発振器と比較して、製造手順が簡単化され、製造コストが低く抑えられる。また、圧電振動子2と発振部31とを封止する(圧電振動子2と発振部31とを内包する)金属ケース52が一主面60に設けられ、金属ケース52と恒温部51とによって圧電振動子2と発振部31とを封止する恒温槽5が構成されるので、恒温槽を別途設ける従来の恒温槽型圧電発振器と比較して、恒温槽型圧電発振器1の本体筐体を低背化や小型化することができる。
【0051】
また、ヒータ部4が恒温槽5の外側に配されるので、ヒータ部4を恒温槽5の内側に配することによってヒータ部4により恒温槽5の内側で急峻な熱勾配が生じることを防止できる。
【0052】
また、センサ部7が恒温槽5の内側に配されるので、圧電振動子2の近傍にセンサ部7を配して圧電振動子2の温度を正確に検知することができる。
【0053】
また、基板6の一主面60に接合部62が形成され、接合部62が凹形状からなり、金属ケース52に突出片54が設けられているので、接合部62が基板6の他主面61に露出することを防止することができる。これにより、接合部62から恒温槽5の外側に恒温槽5内の熱が放出することを確実に防止して、恒温槽5内の温度を安定させることができ、その結果、消費電力を下げることができる。
【0054】
また、恒温部51が平板状パターンであるので、恒温槽5内の熱を安定させることができる。
【0055】
また、基板6は樹脂基板である。これにより、基板6の熱伝導率が比較的低いため、恒温槽5内から基板6を介した恒温槽5の外側への放熱を低減させることができ、消費電力を下げることができる。
【0056】
また、圧電振動子2にはリード端子21が突設され、基板6に搭載部63が設けられ、リード端子21の先端部22は搭載部63内に配されるので、圧電振動子2を安定した状態で所定温度に保つことができる。また、本実施形態に係る恒温槽型圧電発振器1の製造工程において、基板6の搭載部63を基準としてリード端子21の先端部22の搭載位置を決定することができ、圧電振動子2を基板6に配置する際の位置決めが容易になる。
【0057】
また、搭載部63が恒温部51上の基板6の一主面60に凹形状に形成されるので、リード端子21の先端部22を恒温部51の近傍に配置することができ、その結果、リード端子21を介して圧電振動子2の水晶振動片に恒温部51からの熱を直接伝えることができる。
【0058】
また、恒温槽型圧電発振器1の本体筐体9は、構成部材(例えば、圧電振動子2と発振部31と金属ケース52と基板6と恒温槽5)を封止するので、構成部材を塵などの外的環境や、衝撃などの外からかかる力から保護することができる。
【0059】
また、本実施形態では、接合部62が設けられているので、上記した製造工程と異なり、恒温槽型圧電発振器1を製造する際に、接合部62に導電性接合材(図示省略)を供給した状態で突出片54を接合部62に挿入するといった手順を実施することによって、突出片54を接合部62に接合して、金属ケース52を導電性接合材及び熱伝導膜18を介して恒温部51に接合することができる。
【0060】
また、本実施形態では、恒温部51が基板6内部に設けられているので、恒温部51の熱が外部へ放出することなく、恒温槽5内の温度を安定させることができる。
【0061】
なお、本実施形態では、恒温ケースとして金属ケース52を用いているが、これは好適な例であり、これに限定されるものではなく、恒温槽5を構成できるものであれば任意の材料からなってもよい。
【0062】
また、本実施形態では、凹形状の接合部62を基板6の一主面60に形成しているが、接合部62の形状や配置は図3に示す形態に限定されるものではなく、例えば、下記する図6〜図9に示す他の形態であってもよい。図6〜9は、本実施形態の他の形態に係る基板6を示す概略平面図である。
【0063】
図6に示す基板6では、重複領域Aの外周縁の各辺に沿って接合部62がそれぞれ形成されている。
【0064】
図7に示す基板6では、重複領域Aの外周縁の4つの辺のうちの対向する任意の2つの辺に沿ってそれぞれ接合部62が形成されている。この接合部62は、それぞれ隣接する辺にまたがって形成される。すなわち、接合部62は、それぞれ重複領域Aの連続する3つの辺に沿って形成され、平面視[状もしくは]状に成形されている。
【0065】
図8に示す基板6では、重複領域Aの4つの隅それぞれに4つの接合部62が形成されている。この接合部62は、隅に隣り合う2つの辺にまたがって形成され、平面視L字形状に成形されている。
【0066】
図9に示す基板6では、重複領域Aの外周縁の4つの辺に沿って平面視円形の接合部62が形成されている。
【0067】
なお、上記した図6〜9に示す形態の場合、接合部62の形状に対応させて、金属ケース52の突出片54が成形されることは言うまでもない。
【0068】
また、本実施形態では、接合部62は凹形状からなるが、その形状は限定されるものではなく、図10,11に示す他の形態であってもよい。
【0069】
図10に示す他の形態では、接合部62は、基板6の一主面60から他主面61にかけて貫通する貫通孔に成形されている。図10は、貫通孔に成形された接合部62を備えた基板6への金属ケース52(突出片54)の接合を示した概略構成図である。この場合、接合部62は、基板6を貫通する貫通孔であるので、恒温槽5内の熱が重複領域Aの外側に拡がる放熱を抑制し、その結果、消費電力を下げることができる。この図10に示す他の形態では、熱伝導膜18は、貫通孔の内側面を介して基板6の一主面60から他主面61にかけて設けられている。また、金属ケース52の突出片54が基板6の他主面61で半田付けされている。これにより、金属ケース52を基板6に容易に設けることができる。
【0070】
なお、接合部62が凹形状からなる場合及び接合部62が貫通孔に成形されている場合において、図示していないが、金属ケース52(特に、突出片54)のケース外側表面が接合部62に当接せず、前記ケース外側表面と接合部62との間に間隙が保たれていてもよい。前記間隙が保たれていることにより、金属ケース52の熱が金属ケース52から基板6の重複領域A外側へ伝わり外部リード端子93を介して外部に放熱されることが抑制される。
【0071】
図11に示す他の形態では、接合部62は、一主面60から恒温部51まで貫通形成するビアホールに成形されている。なお、ビアホール内には、導電性材料からなる充填材が充填されている。また、この図11に示す形態では、基板6の一主面60において接合部62と金属ケース52とが接合される。そのため、図11に示す接合部62に対して、図4に示す本実施形態の突出片54が形成された金属ケース52を用いることができない。そこで、この図11に示す他の形態では、図12に示す金属ケース52を用いる。図12は、図4とは異なる形態の金属ケース52の概略斜視図である。
【0072】
図12に示す金属ケース52は、一端面に開口部53が形成された箱状体であり、この金属ケース52を基板6に配する際、この開口部53が基板6の一主面60に向く。また、金属ケース52の4つの側面板50の先端面55が幅広に形成されている。この金属ケース52の先端面55が、接合材28を用いて図11に示す基板6に接合される。このように、4つの側面板50の先端面55が幅広に形成されることで、金属ケース52の基板6に当接する部位の面積が広くなり、金属ケース52が基板6に確実に接続される。なお、先端面55が幅広に形成されることが望ましいが、先端面55が幅広に形成されなくてもよい。
【0073】
また、接合部62は、図3、図6〜図11に示す形態に限定されるものではなく適宜変更可能であるが、金属ケース52をより容易に基板6に配置するためには接合部62の数が少なく形状が簡単であることが好ましく、金属ケース52と恒温部51との間でより効率よく熱伝導を行うためには重複領域Aの外周縁に沿って隙間なく複数の接合部62が形成されることが好ましい。
【0074】
なお、接合部62が図10に示すように貫通孔に成形されている場合、外部リード端子93が挿入される孔65と重複領域Aとの間に接合部62を配することで、重複領域Aの熱が基板6を介して外部リード端子93に伝わり外部に放熱されることが抑制される。よって、接合部62は図10に示すように貫通孔に成形されていることがより好ましい。
【0075】
また、本実施形態では、恒温部51として、平板状パターンを用いているが、これに限定されるものではなく、他の形態であってもよく、例えば、図13に示す網目状パターンであってもよい。この場合、平板状パターンの恒温部51と比べて恒温部51を形成する際の材料コストを低く抑えることができる。図13は、網目状パターンの恒温部の概略平面図を示す。
【0076】
また、本実施形態では、ヒータ部4として膜抵抗体が用いられているが、これに限定されるものではなく、例えば、図14,15に示す他の形態であってもよい。図14,15は、本実施形態の他の形態に係るヒータ部4を示す概略構成図である。
【0077】
図14に示す他の形態では、ヒータ部4として、ニクロム線などのヒータ線が用いられる。このヒータ線は、金属ケース52に巻回されている。
【0078】
図15に示す他の形態では、ヒータ部4として、樹脂モールドされたトランジスタが用いられる。このトランジスタは、金属ケース52の側面板50に当接して設けられている。
【0079】
また、本実施形態にかかる圧電振動子2では、キャップ24が他の部材と接していないが、図16に示すように、金属ケース52の内壁と圧電振動子2のキャップ24とが金属片などの熱伝導片38を介して接続されてもよい。この場合、熱伝導片38を介して金属ケース52から圧電振動子2に直接熱が伝わり、圧電振動子2を安定した状態で所定温度に保つことができる。
【0080】
また、図16に示す形態の他に、図17に示すように、キャップ24の一部(先端部)が挿入可能な熱伝導性が高いジャケット48が設けられてもよい。この場合、ジャケット48を介して恒温部51からの熱が圧電振動子2へ伝わり、圧電振動子2を安定した状態で所定温度に保つことができる。なお、図17に示すジャケット48は、半田などの接合材58によって基板6の一主面60に接合されている。しかしながら、ジャケット48は、恒温部51に接合されていてもよい。
【0081】
また、本実施形態では、圧電振動子2にリードタイプの圧電振動子2を用いているが、これに限定されるものではなく、本実施形態の他の形態において、恒温槽型圧電発振器は、リードタイプの圧電振動子2の代わりに表面実装型圧電デバイスとして表面実装型圧電振動子などが基板6の一主面に配されたものであってもよい。この場合、恒温槽型圧電発振器の本体筐体9を低背化することができる。
【0082】
また、本実施形態の他の形態において、恒温槽型圧電発振器は、圧電振動子2及び発振部3の代わりに表面実装型圧電デバイスとして表面実装型圧電発振器などが基板6の一主面に配されたものであってもよい。この場合、前記表面実装型圧電デバイスは薄型の電子部品であるため、恒温槽型圧電発振器1の本体筐体9を低背化することができる。
【0083】
図18には、基板6の一主面に表面実装型圧電発振器20が配された恒温槽型圧電発振器1を示した。これにより、部品点数を飛躍的に減らすことができる。さらに、センサ部7として表面実装型のサーミスタを用いた場合、恒温槽5内部には表面実装型圧電発振器20とセンサ部7(表面実装型のサーミスタ)のみを配置するだけでよく、恒温槽5内部からリード部品を排除することができる。この場合、恒温槽型圧電発振器1の本体筐体9をさらに低背化することができる。
【0084】
また、本実施形態では、基板6に形成された発振回路3に温度補償回路が付加されてもよい。これにより、恒温槽型圧電発振器1の周波数がより安定する。
【0085】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0086】
1 恒温槽型圧電発振器
2 圧電振動子
21 リード端子
3 発振回路
31 発振部
4 ヒータ部
41 トランジスタ
5 恒温槽
51 恒温部
52 金属ケース
6 基板
60 一主面
61 他主面
62 接合部
63 搭載部
7 センサ部
8 接合材
18 熱伝導膜
9 本体筐体
91 保護用ケース
92 ベース
93 外部リード端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
恒温槽型圧電発振器であって、
圧電振動子と、前記圧電振動子を発振子とした発振回路を構成する発振部と、前記圧電振動子を所定温度に保つ恒温槽とが設けられ、
前記圧電振動子と前記発振部とが、基板の一主面に配され、
前記基板の内部に、前記圧電振動子を所定温度に保つ恒温部が設けられ、
前記基板の一主面に、前記圧電振動子と前記発振部とを封止する恒温ケースが設けられ、
前記恒温槽は、前記恒温部と前記恒温ケースとによって構成されたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項2】
請求項1に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記圧電振動子を加熱するヒータ部が設けられ、
前記ヒータ部は、前記恒温槽の外側に配されたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記圧電振動子の温度を検知するセンサ部が設けられ、
前記センサ部は、前記恒温槽の内側に配されたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記基板の一主面に、前記恒温ケースと接合する接合部が形成され、
前記接合部は、凹形状からなり、
前記恒温ケースに、前記接合部に嵌まる突出片が設けられたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項5】
請求項1乃至3のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記基板に、前記恒温ケースと接合する接合部が形成され、
前記接合部は、前記基板を貫通する貫通孔であり、
前記恒温ケースに、前記接合部に接合する突出片が設けられたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記基板は樹脂基板であることを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記恒温部は、平板状パターンまたは網目状パターンであることを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記圧電振動子に、外部接続端子が突設され、
前記基板に、前記圧電振動子を搭載する搭載部が設けられ、
前記外部接続端子の先端部は、前記搭載部内に配されたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項9】
請求項8に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記搭載部は、前記恒温部上の前記基板の一主面に凹形状に形成されたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
当該恒温槽型圧電発振器の本体筐体は、前記圧電振動子と前記発振部と前記恒温ケースと前記基板と前記恒温槽を封止することを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記基板の一主面には、前記圧電振動子の代わりまたは前記圧電振動子及び前記発振部の代わりに、表面実装型圧電デバイスが配されたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項1】
恒温槽型圧電発振器であって、
圧電振動子と、前記圧電振動子を発振子とした発振回路を構成する発振部と、前記圧電振動子を所定温度に保つ恒温槽とが設けられ、
前記圧電振動子と前記発振部とが、基板の一主面に配され、
前記基板の内部に、前記圧電振動子を所定温度に保つ恒温部が設けられ、
前記基板の一主面に、前記圧電振動子と前記発振部とを封止する恒温ケースが設けられ、
前記恒温槽は、前記恒温部と前記恒温ケースとによって構成されたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項2】
請求項1に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記圧電振動子を加熱するヒータ部が設けられ、
前記ヒータ部は、前記恒温槽の外側に配されたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記圧電振動子の温度を検知するセンサ部が設けられ、
前記センサ部は、前記恒温槽の内側に配されたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記基板の一主面に、前記恒温ケースと接合する接合部が形成され、
前記接合部は、凹形状からなり、
前記恒温ケースに、前記接合部に嵌まる突出片が設けられたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項5】
請求項1乃至3のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記基板に、前記恒温ケースと接合する接合部が形成され、
前記接合部は、前記基板を貫通する貫通孔であり、
前記恒温ケースに、前記接合部に接合する突出片が設けられたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記基板は樹脂基板であることを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記恒温部は、平板状パターンまたは網目状パターンであることを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記圧電振動子に、外部接続端子が突設され、
前記基板に、前記圧電振動子を搭載する搭載部が設けられ、
前記外部接続端子の先端部は、前記搭載部内に配されたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項9】
請求項8に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記搭載部は、前記恒温部上の前記基板の一主面に凹形状に形成されたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
当該恒温槽型圧電発振器の本体筐体は、前記圧電振動子と前記発振部と前記恒温ケースと前記基板と前記恒温槽を封止することを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一つの請求項に記載の恒温槽型圧電発振器であって、
前記基板の一主面には、前記圧電振動子の代わりまたは前記圧電振動子及び前記発振部の代わりに、表面実装型圧電デバイスが配されたことを特徴とする恒温槽型圧電発振器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−44932(P2011−44932A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192174(P2009−192174)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
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