説明

患者取り違え防止システム

【課題】本発明の目的は、患者の取り違え防止の確実性を向上することにある。
【解決手段】患者取り違え防止システムは、患者情報と患者固有の静脈パターン情報とを保持するデータベースシステム201と、検査室受付と検査室との少なくとも一方に設置される静脈パターンを読み取るための読み取りセンサー部303と、読み取られた静脈パターンに対応する患者情報をデータベースシステムに照会する照会部300と、照会に呼応して取得される患者情報を表示する表示部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線部門で用いられる放射線情報システム(以下RISと称す)、画像診断装置ならびに放射線治療機器を用いた各段階における患者の取り違えを未然に防止するための患者取り違え防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常の検査は、次の方法(1)、(2)、(3)により患者を特定、検査が行われるのが一般的である。
(方法1)患者固有の患者情報と、実際に検査を行う患者さんとが一致していることを確認するため、患者自身に口頭で言ってもらった氏名、生年月日等の患者情報を、装置に表示されている検査対象の患者情報と照合する。
(方法2)検査時に患者が持参しているIDカード(磁気カード、ICカードなど)から読み込んだ患者情報を、検査対象の患者情報と照合する。
(方法3)健診など、不特定多数の検診者を対象とする場合は、受付順にて当日の連番を発行して、検診者は、連番の記された番号札、番号表を技師に手渡しして、検査する。
【0003】
しかし、実際には、
1)同姓同名:同じ氏名の患者がいた。
2)家族でIDカードを複数もっている場合、誤って本人以外のカードを持参、
3)患者の勘違い:自分が検査の順番と勘違いして本人でもないのに検査室に入る、
4)確信犯として、順番待ちがいやなので本人でもないのに本人と名乗り検査室に入る、
等のケースが存在するため、患者取り違えに対して注意が必要となり医師、技師の患者取り違えに対する負担が大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、患者の取り違え防止の確実性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある局面において、患者取り違え防止システムは、患者情報と患者固有の生体情報とを保持するデータベースシステムと、検査室受付と検査室との少なくとも一方に設置される前記生体情報を読み取るための生体情報読み取り部と、前記生体情報読み取り部で読み取られた生体情報に対応する患者情報を前記データベースシステムに照会する照会部と、前記照会に呼応して取得される患者情報を表示する表示部とを具備する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の目的は、患者の取り違え防止の確実性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図面を参照して本発明の実施形態に係る患者取り違え防止システムについて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る患者取り違え防止システムは、例えば病院情報システム(HIS)又は放射線情報システム(RIS)10に組み込まれる。ここでは、本実施形態に係る患者取り違え防止システムは、RIS10に組み込まれるものとして説明する。本実施形態に係る患者取り違え防止システムは、サーバー200を有する。サーバー200は、HISから供給さらた患者の氏名、性別、生年月日等の患者情報と、患者固有の生体情報を記憶するデータベースシステム203と、患者の生体情報を入力しそれに対応する患者情報を提供する認証エンジン(認証プロセッサ)204と、さらに図2に示すようにLANインタフェース201と、コントローラ202とを有する。生体情報としては、非接触取得が可能な種類が選択されるべきであり、ここでは手のひらの静脈パターンが採用される。しかし、虹彩等他の生体情報であっても良い。
【0008】
サーバー200は、LANインタフェース201を介して病院内情報通信網20に接続される。病院内情報通信網20には、患者情報/静脈パターン登録部100が接続される。患者情報/静脈パターン登録部100は、典型的には初診受付に設置される。患者情報/静脈パターン登録部100は、図2に示すように、LANインタフェース101、コントローラ102、静脈パターン読み取りセンサー部103、ディスプレイ104、キーボード/マウス105、磁気カードリード/ライタ106を有する。この患者情報/静脈パターン登録部100を介して、初診段階で、患者情報と、静脈パターンが入力される。患者情報と、静脈パターン情報は、典型的にはHISを経由して、サーバー200のデータベースシステム203に登録される。
【0009】
病院内情報通信網20には、複数の照会/照合部300が接続される。照会/照合部300は、図2に示すように、LANインタフェース301、コントローラ302、静脈パターン読み取りセンサー部303、図示しないディスプレイを有する。複数の照会/照合部300は、複数の診察室にそれぞれ設置される。照会/照合部300は、検査室受付に設置される。複数の照会/照合部300は、複数の撮影室にそれぞれ設置される。コントローラ302は、静脈パターン読み取りセンサー部303で読み取った患者の静脈パターン情報を、照会リクエストとともに、LANインタフェース301を介してサーバー200に送信する。コントローラ302は、照会リクエストに呼応してサーバー200から返信される当該静脈パターンに対応する患者情報を、図示しないディスプレイに表示する。それにより診察段階、検査受付段階、検査段階の各段階において本人照合をすることができる。
【0010】
病院内情報通信網20には、複数のRIS端末500が接続される。RIS端末500は、図4に示すように、LANインタフェース501、コントローラ502、静脈パターン読み取りセンサー部503、図示しないディスプレイを有する。複数のRIS端末500は、検査依頼を発行するために、複数の診察室にそれぞれ設置される。複数のRIS端末500は、画像診断装置400に検査オーダーを供給するために、複数の撮影室にそれぞれ設置される。
【0011】
病院内情報通信網20には、複数の画像診断装置400が接続される。複数の画像診断装置400には、X線診断装置、X線コンピュータ断層撮影装置等が含まれる。画像診断装置400は、図3に示すように、LANインタフェース401、コントローラ402、静脈パターン読み取りセンサー部403、図示しないディスプレイを有する。
【0012】
上述したように放射線部門で検査を行う患者の生体情報として典型的には静脈パターンをキーに患者を特定、認証することで患者本人であることを確認可能な機器、システムを構築することで、画像と患者情報のミスファイルを未然に防止して患者の取り違えを防止することを実現する。すなわち、診察対象患者又は検査(撮影)対象患者が、診察段階、検査受付段階、検査段階において取得した静脈パターンに対応する患者情報で特定される患者と一致するか否かが確認(照合)される。一致しない場合は、検査を開始できないように画像診断装置側で撮影禁止(検査禁止)のインターロックをかける。また、検査オーダーを発行する側のRISにおいて患者認証のインターロックを有することで、画像診断装置にミスファイルの原因となるオーダーを発行しない。さらに、患者認証の機能を有しないRISと画像診断装置の間に患者取り違えを照会、照合する端末を配置して、RISにて選択された患者の情報と患者がセンサー部に患者の手のひらをかざして獲得した静脈パターン認証を行い、照会した患者情報を照合して、認証が成功しない場合には画像診断装置にオーダーを発行しない。
【0013】
患者の生体情報の1つとして患者の手のひらの静脈パターンは患者固有の情報であり、あらかじめ、実際的には初診時に患者情報と患者の手のひらの静脈パターンの情報とがサーバー200のデータベース203に登録される。図2に示すように、画像診断装置400にて検査を行う際に、患者の静脈パターンを照会/照合部300の静脈パターン読み取りセンサー部303で読み込み、サーバー200に静脈パターンを転送、認証エンジン204にて患者情報の特定を行う。サーバー200から提供された静脈パターンから特定した患者の患者情報は、ディスプレイ304に表示される。表示された静脈パターンから特定した患者の患者情報が、検査オーダーの患者の情報と一致するか否かを目視確認することができる。なお、目視確認に代えて、静脈パターンから特定した患者の患者情報を、検査オーダーの患者の情報に対して自動的に照合するようにしてもよい。
【0014】
表示された静脈パターンから特定した患者の患者情報が、検査オーダーの患者の情報と一致しないとき、図3に示すように、画像診断装置400のコントローラ402は、検査が行えないように撮影禁止のインターロックをかける、つまり撮影禁止信号404をX線ジェネレータに出力する。それにより患者を取り違えて撮影をおこなってしまうことを未然に防止することができる。
【0015】
図4に示すように、RIS(放射線情報システム)10の端末500にて、患者の静脈パターンを照会/照合部300の静脈パターン読み取りセンサー部503で読み込み、サーバー200に静脈パターンを転送し、認証エンジン204にて患者の特定を行い、静脈パターンを照会した患者の患者情報を取得する。このサーバー200からの患者情報と、端末500で次の検査対象患者として選択された患者の患者情報とを端末500のコントローラ502で照合し、選択した患者の情報と認証した患者情報とが一致しない場合は、検査が行えないように、画像診断装置400にはオーダーを発行しない。それにより患者の取り違えを未然に防止することができる。
【0016】
図5に示すように、RIS(放射線情報システム)10と画像診断装置400において、検査オーダーを発行するRIS10とオーダーを受け取って検査を行う画像診断装置400の間に照会/照合部300を配置し、RIS(放射線情報システム)10にて選択された患者のオーダー情報を照会/照合部300に転送して、患者の手のひらの静脈パターンを照会/照合部300の静脈パターン読み取りセンサー部3503で読み込み、患者の特定を行う(サーバー200から患者情報の提供を受ける)。照合/照会部300のコントローラ302は、選択した患者の情報と、提供を受けた患者情報とが一致するとき、RIS10からのオーダーを画像診断機器400に転送する。照合/照会部300のコントローラ302は、選択した患者の情報と、提供を受けた患者情報とが一致しないときは、RIS10からのオーダーを画像診断機器400に転送しない。それにより患者の取り違えを未然に防止することができる。
【0017】
このよう本実施形態では、誤診の原因となる検査の禁止、再検査による患者への負担の軽減、X線を使用する機器においては不要な被曝を防止することが可能となる。また、患者の認証で多大な労力、時間を費やしていたが、本発明により検査の省力化を図ることができる。
【0018】
以下に本実施形態による患者取り違え防止システムの構成を動作手順ととともに図1を参照して具体的に説明する。
上述したように初診受付に患者情報/静脈パターン登録部100がサーバー200とともに配置される。診察室には照会/照合部300がRIS端末500とともに配置される。検査受付には、照会/照合部300が配置される。撮影室には、照会/照合部300が、画像診断装置400とともに配置される。
【0019】
(初診受付)
初診の患者Aは受付で初診票に必要事項を記入する。受付は、初診票に従って患者情報を典型的にはHIS端末としての患者情報/静脈パターン登録部100のキーボードやマウス105から入力する。また、患者の手のひらの静脈のパターンを静脈パターン読み取りセンサー部103で読み取る。患者情報は、静脈のパターン情報とともに、登録部100から、HIS又はRISのサーバー200にLAN101,201を介して送信され、データベースシステム203に登録される。患者情報と、静脈のパターン情報とは単一レコードに登録される。または、患者情報と、静脈のパターン情報とは別のレコードに登録され、相互に関連付けられる。
【0020】
(診察)
患者Aは、診察を受けるため診察室前に移動し、待機する。医師は、診察待ちの患者Aを診察室に招き入れる。患者Aは、診察室に設置されている照会/照合部300の静脈パターン読み取りセンサー部303に手のひらをかざす。照会/照合部300は、読み取った静脈パターン情報を照合リクエストとともにサーバー200に送信する。
【0021】
サーバー200は、受信した患者Aの静脈パターンでデータベースシステム203を検索する。患者Aの静脈パターンに整合する静脈パターンが特定される。当該特定された静脈パターンに関連付けられている患者情報が、サーバー200の認証エンジン102から、照会/照合部300に送信される。照会/照合部300のディスプレイ304に、受信した患者情報が表示される(図2参照)。
【0022】
医師は、診察室に入ってきて、手のひらをかざして静脈パターンを読み取った患者の患者情報をディスプレイで確認し、診察予定の例えばカルテ上の患者確認と一致するか否かを照合する。一致しているとき、診察を行う。不一致のとき、診察室に入ってきて、手のひらをかざして静脈パターンを読み取った患者に対する診察は行わない。
【0023】
(検査受付)
診察後、各種検査を行うため、医師は検査のオーダーを発行する。検査オーダーはHIS内のデータベースシステムに登録され、適時にHISのデータベースシステムからRISサーバー600に送られ、RISサーバー600内のデータベースシステムに登録される。患者Aは、当日の検査を指示された場合、検査室の受付に移動する。当日検査がない場合は、指定された日に来院、受付で受付完了後、検査室前で待機する。
【0024】
検査室受付に設置されている照会/照合部300の静脈パターン読み取りセンサー部303に患者の手のひらをかざしてもらう。照会/照合部300は、読み取った静脈パターン情報を照合リクエストとともにサーバー200に送信する。サーバー200は、受信した静脈パターンでデータベースシステム203を検索する。患者の静脈パターンに整合する静脈パターンが特定される。当該特定された静脈パターンに関連付けられている患者情報が、サーバー200の認証エンジン102から、照会/照合部300に送信される。照会/照合部300のディスプレイに、受信した患者情報が表示される。
【0025】
受付事務員は、検査受付に来て手のひらをかざして静脈パターンを読み取った患者の患者情報をディスプレイで確認し、本日検査予定の患者リストの中に同一の患者がいるか否かを確認する。または、コンとローラ302は、検査受付に来て手のひらをかざして静脈パターンを読み取った患者の患者情報と、本日検査予定の患者リストの患者情報とを照合する。当該患者が、本日検査予定の患者リストの中にいることが確認できたとき、当該患者は検査室前への移動及び待機を、受付事務員により口頭で促される。当該患者が、本日検査予定の患者リストの中にいることが確認できなかったとき、当該患者は、本日は検査予約が入っていないことを受付事務員から告げられる。
【0026】
(検査)
検査技師は、RIS500上の検査リストの中から患者Aの検査を選択するとともに、検査待機の患者を呼ぶ。患者Aを検査室(撮影室)に招きいれて、画像診断装置400に接続されている静脈パターン読み取りセンサー部403に患者の手のひらをかざしてもらう。照会/照合部300は、読み取った静脈パターン情報を照合リクエストとともにサーバー200に送信する。サーバー200は、受信した静脈パターンでデータベースシステム203を検索する。患者の静脈パターンに整合する静脈パターンが特定される。当該特定された静脈パターンに関連付けられている患者情報が、サーバー200の認証エンジン102から、照会/照合部300に送信される。照会/照合部300のディスプレイに、受信した患者情報が表示される。
【0027】
検査技師は、検査室に入って来て手のひらをかざして静脈パターンを読み取った患者の患者情報をディスプレイで確認し、これから検査を行う予定の患者Aと一致するか否かを確認する。または、コントローラ302は、検査室に入って来て手のひらをかざして静脈パターンを読み取った患者の患者情報と、これから検査を行う予定の患者Aの患者情報とを照合する。
【0028】
検査室に入って来て手のひらをかざして静脈パターンを読み取った患者の患者情報が、これから検査を行う予定の患者Aと一致するとき、そのまま検査が開始される。しかし、検査室に入って来て手のひらをかざして静脈パターンを読み取った患者の患者情報が、これから検査を行う予定の患者Aと一致しないとき、図3に示すように、検査が行えないように画像診断装置400で撮影禁止のインターロックを出力して撮影できないようにする。インターロックは、典型的には、X線ジェネレータへの撮影禁止信号404である。X線ジェネレータは撮影禁止信号404を受け取ったとき、例えば高電圧発生器からX線管球への高電圧(管電圧)の印加を停止する。
【0029】
以上のように診察、検査受付、検査の各段階で生体情報としての静脈パターンにより本人確認を行うことにより、患者の取り違え防止の確実性を向上することができる。
【0030】
(変形例1)
図6に示すように、RIS端末500に、照会/照合部300を設けるようにしても良い。検査に際して、検査技師は、RIS500で患者Aを選択し、検査待ちの患者Aを呼ぶ。患者Aを検査室に招きいれて、RIS500の照会/照合部300の静脈パターン読み取りセンサー部503に患者Aの手のひらをかざしてもらう。照会/照合部300は、読み取った静脈パターン情報を照合リクエストとともにサーバー200に送信する。サーバー200は、受信した静脈パターンでデータベースシステム203を検索する。患者の静脈パターンに整合する静脈パターンが特定される。当該特定された静脈パターンに関連付けられている患者情報が、サーバー200の認証エンジン102から、照会/照合部300に送信される。照会/照合部300のディスプレイに、受信した患者情報が表示される。
【0031】
検査技師は、検査室に入って来て手のひらをかざして静脈パターンを読み取った患者の患者情報をディスプレイで確認し、これから検査を行う予定の患者Aと一致するか否かを確認する。または、コントローラ302は、検査室に入って来て手のひらをかざして静脈パターンを読み取った患者の患者情報と、これから検査を行う予定の患者Aの患者情報とを照合する。
【0032】
検査室に入って来て手のひらをかざして静脈パターンを読み取った患者の患者情報が、これから検査を行う予定の患者Aと一致するとき、RIS端末500から画像診断装置400に検査オーダー情報が送信される。画像診断装置400では患者Aに対して検査オーダー情報に従って検査が行われる。検査室に入って来て手のひらをかざして静脈パターンを読み取った患者の患者情報が、これから検査を行う予定の患者Aと一致しないとき、RIS端末500から画像診断装置400には検査オーダー情報は送信されない。画像診断装置400では検査オーダー情報がないので、検査を行うことができない。
【0033】
(変形例2)
図7に示すように、初診受付に患者情報/静脈パターン登録部100およびサーバー200を、診察室、検査受付に照会/照合部300をそれぞれ配置する。検査室には、RIS端末500と画像診断装置400およびその間に位置する照会/照合部300を配置する。
【0034】
初診の患者Aの患者情報を患者情報/静脈パターン登録部100に接続されたキーボード、マウス104で入力、手のひらの静脈のパターンを静脈パターン読み取りセンサー部103で読み込み、患者情報、静脈のパターンをサーバー200にLAN101,201を介してサーバー200のデータベース203に登録する。
【0035】
患者Aは、診察を受けるため診察室前に移動し、待機する。医師は、診察待ちの患者Aを診察室に招き入れる。診察室に設置されている照会/照合部300に接続されている静脈パターン読み取りセンサー部303に患者Aの手のひらをかざしてもらう。照会/照合部300は、読み取った静脈パターンをサーバー200に転送する。サーバー200は、受信した患者Aの静脈パターンとデータベース203に登録されている静脈パターンを、認証エンジン102を用いて照合して患者を特定する。患者Aが特定できない場合は、別患者と判断して診察を中止する。
【0036】
診察後、各種検査を行うため、医師はRISサーバー600に対して検査のオーダーを予約する。患者Aは、当日の検査を指示された場合、検査室の受付に移動する。当日検査がない場合は、指定された日に来院、受付で受付完了後、検査室前で待機する。診察室に設置されている照会/照合部300に接続されている静脈パターン読み取りセンサー部303に患者Aの手のひらをかざしてもらう。照会/照合部300は、読み取った静脈パターンをサーバー200に転送する。サーバー200は、受信した患者Aの静脈パターンとデータベース203に登録されている静脈パターンを、認証エンジン102を用いて照合して患者を特定する。
【0037】
受付完了後、検査室前に移動、待機する。技師は、RIS500で患者Aを選択する。
【0038】
選択した患者の情報は照会/照合部300に送られる。検査待ちの患者Aを呼ぶ。患者Aを検査室に招きいれて、照会/照合部300に接続されている静脈パターン読み取りセンサー部303に患者Aの手のひらをかざしてもらう。照会/照合部300は、読み取った静脈パターンをサーバー200に転送する。サーバー200は、受信した患者Aの静脈パターンとデータベース203に登録されている静脈パターンを、認証エンジン202を用いて照合して患者を特定する。認証が成功しない場合は、患者の取り違えが発生しているため、検査が行えないように照会/照合部300から画像診断装置にオーダー情報を送信しないことで検査がおこなえないようににする。
【0039】
(変形例3)
複数の検査を異なるCT装置、MRI装置、超音波装置などの画像診断装置で行う場合でも同様にして患者の取り違えを未然に防ぐことができる。
【0040】
また、放射線治療では、病巣に対して放射線を照射することにより病巣部を壊死、縮小させることが重要であり、治療計画にもとづき、スケジュール管理がキーとなる。また、患者を取り違えると正常組織へダメージを与えることになり、患者取り違えを未然に防ぐことが重要である。本実施形態を適用することにより、患者取り違えによる誤照射などを未然に防ぐことが可能となる。
【0041】
(変形例4)
患者を特定するために静脈パターンを照会、照合するのに、IDカードと兼用して、IDカードに対応する患者の静脈パターンと照合することで認証を早く完了させるシステムも適用可能となる。
【0042】
(変形例5)
上記の実施形態では、病院全体に広げたシステムについて説明したが、放射線部門の一部のエリアに限定してもよい。
図8に示すように、検査受付に患者情報/静脈パターン登録部100およびサーバー200を配置する。検査室には、RIS端末500と画像診断装置400を配置する。RIS端末500と画像診断装置400との間に照会/照合部300を配置する。
【0043】
患者Aの患者情報を患者情報/静脈パターン登録部100に接続されたキーボード、マウス104で入力またはIDカードで患者情報を読み込む。次に手のひらの静脈のパターンを静脈パターン読み取りセンサー部103で読み込み、患者情報、静脈のパターンをサーバー200にLAN101,201を介してサーバー200のデータベース203に登録する。
【0044】
受付完了後、検査室前に移動、待機する。
【0045】
検査技師は、RIS500で患者Aを選択する。選択した患者の情報は照会/照合部300に送られる。技師は検査待ちの患者Aを呼ぶ。患者を検査室に招きいれて、照会/照合部300に接続されている静脈パターン読み取りセンサー部303に患者Aの手のひらをかざしてもらう。照会/照合部300は、読み取った静脈パターンをサーバー200に転送する。サーバー200は、受信した患者Aの静脈パターンとデータベース203に登録されている静脈パターンを、認証エンジン202を用いて照合して患者を特定する。認証が成功しない場合は、患者の取り違えが発生しているため、検査が行えないように照会/照合部300から画像診断装置400にオーダー情報を送信しないことで検査がおこなえないようににする。
【0046】
(変形例6)
本実施形態は健診にも適用可能である。不特定多数の検診者を対象とする例えば健診などの場合は、検査受付にて検査受付処理を行った時点と、実際に検査を行う時点とで時間差が大きく、また検査を行う場所が異なることがある。そのため、検診者が検査室にくるのが遅れたため、順番が前後してしまう事態や、早く検査を受けたいので前の人を追い越して検査室に入ったなどの事態がおこるため、患者を特定するのが困難な場合が生じる。そのため、技師は必ず、受付時に発行した検診者NO、検診者情報を技師などを確認してから検査が行う必要があった。
【0047】
図9に示すように、検査受付に患者情報/静脈パターン登録部100およびサーバー200を、検査室には、画像診断装置400とともに、照会/照合部300を配置する。患者Aの患者情報が患者情報/静脈パターン登録部100に接続されたキーボード、マウス104で入力され、またはIDカードで患者情報を読み込まれる。次に手のひらの静脈のパターンが静脈パターン読み取りセンサー部103で読み込まれる。患者情報が、静脈のパターン情報とともにサーバー200にLAN101,201を介してサーバー200のデータベースシステム203に送られ、登録される。
【0048】
検査受付完了後、検診者は検査室前に移動、待機する。技師は、画像診断装置400で患者Aを選択する。患者Aを検査室に招きいれて、画像診断装置400に接続されている静脈パターン読み取りセンサー部303に患者Aの手のひらをかざしてもらう。画像診断装置400は、読み取った静脈パターンを認証リクエストともにサーバー200に転送する。サーバー200は、受信した患者の静脈パターンでデータベースシステム201を検索する。患者の静脈パターンに整合する静脈パターンの患者情報が、データベースシステム201から検査室の照会/照合部300に表示される。静脈パターンから照会された患者の患者情報と、次の検診者NOの検診者情報との整合が技師により目視確認され、又はコントローラ302により自動判定される。整合しているとき、照会/照合部300のコントローラ302は、画像診断装置400に対して撮影許可信号を発生する。静脈パターンから照会された患者の患者情報と、次の検診者NOの検診者情報とが整合しないとき、照会/照合部300のコントローラ302は、画像診断装置400に対して撮影禁止信号を発生する。
【0049】
(変形例7)
病棟で、X線撮影を行う場合には、通常、可搬性(ポータブル)を有するX線診断装置が使用されることが多い。このX線診断装置は、自由に移動可能である反面、RIS10からのオーダー情報を病棟で獲得、ポータブルX線診断装置にオンラインで接続できないため、あらかじめ、メモして病棟で確認後、撮影するケースが多い。ここでは、病棟でX線撮影を行う場合の適用例を図10を参照して説明する。
【0050】
入院患者の患者情報ならびに静脈パターンは、あらかじめ、患者情報/静脈パターン登録部100にてサーバー200に登録されている。当日に検査を受ける複数の患者を対象として、検査オーダー情報が画像診断装置400に保持される。また、当日に検査を受ける複数の患者を対象として、全員分の患者情報及び静脈パターンが、サーバー200から、ポータブルX線診断装置1000に付加されている画像診断装置400にダウンロードされ、画像診断装置400の比較的小規模なデータベースシステム2010に記憶される。
【0051】
検査に際しては、検査対象の患者が入院している病棟へポータブルX線診断装置1000は移動される。検査技師は、画像診断装置400で、当日検査する検査オーダーリストの中から、検査対象患者Aの検査オーダーを選択する。画像診断装置400に接続されている静脈パターン読み取りセンサー部4303に患者Aの手のひらをかざしてもらう。画像診断装置400は認証エンジン2020により、読み取った静脈パターンで、データベースシステム2010を検索し、読み取った静脈パターンで登録されている患者情報を読み出す。読み出された患者情報は画像診断装置400のディスプレイに表示される。技師又は画像診断装置400は、表示された患者情報と、選択した検査オーダーの患者情報との整合を確認する。整合しているとき、画像診断装置400はポータブルX線診断装置1000に撮影許可信号を供給する。整合していないとき、患者の取り違えが発生しているため、検査が行えないように画像診断装置400からポータブルX線診断装置1000に撮影許可信号が供給されない。それにより患者の取り違え防止の確実性が向上する。
【0052】
(変形例8)
本実施形態は、手術への適用も可能である。図11に示すように、手術室に照会/照合部300を配置し、手術室受付にも照会/照合部300を配置する。手術を受ける患者の認証を下記の手順で行う。まず、手術室受付で当日手術を受ける患者をリストより選択する。手術室受付の照会/照合部300に接続されている静脈パターン読み取りセンサー部303にて手術を受ける患者の静脈パターンを読み込む。読み取った静脈パターンによりデータベースシステム203を検索し、読み取った静脈パターンに関連付けられている患者情報と、手術オーダーの患者情報との整合を確認する。同様に、手術室においても、照会/照合部300に接続されている静脈パターン読み取りセンサー部303にて手術を受ける患者の静脈パターンを読み込み、読み取った静脈パターンによりデータベースシステム203を検索し、読み取った静脈パターンに関連付けられている患者情報と、手術オーダーの患者情報との整合を確認する。
【0053】
このように照合部300の静脈センサー部303にて静脈パターンの認証を行うことで手術室を間違えて搬送しても手術前に患者の取り違えをチェックすることができる。
【0054】
(変形例9)
図12のデータベースシステム1203は認証エンジンとともに手術室受付の照会/照合部300に装備される。また、データベースシステム1203は認証エンジンとともに手術室の照会/照合部300にも装備される。各データベースシステム1203には、当日手術を行う全患者の患者情報と、静脈パターン情報とが、メインのデータベースシステム203からLANを経由してダウンロードされ、記憶される。図11の例と同様に、手術室受付と、手術室とで個々に照会/照合部300の静脈センサー部103にて患者の手のひらの静脈を読み取り、さきほどダウンロードした静脈パターンと照合することにより、静脈パターンを読み取った患者が、手術予定した患者であるか否かを確認することができる。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係る患者取り違え防止システムの構成を示す図。
【図2】本実施形態において診察段階の認証動作を補足するための図。
【図3】本実施形態において検査段階の画像診断装置での認証動作を補足するための図。
【図4】本実施形態において検査段階のRISでの認証動作を補足するための図。
【図5】本実施形態において検査段階のRISと画像診断装置との間の照会照合部での認証動作を補足するための図。
【図6】本実施形態において図4の認証動作に対応する構成図。
【図7】本実施形態において図4の認証動作に対応する構成図。
【図8】本実施形態においてRIS内に組まれた患者取り違え防止システムの構成を示す図。
【図9】本実施形態において集団検診に好適な検査室受付に患者情報/静脈パターン登録部を設置するケースの構成を示す図。
【図10】本実施形態において病棟撮影に好適な認証エンジンを設けるるケースの構成を示す図。
【図11】本実施形態において手術時の患者認証に好適な構成を示す図。
【図12】本実施形態において手術時の患者認証に好適な他の構成を示す図。
【符号の説明】
【0057】
100…患者情報/静脈パターン登録部、101…LAN、102…コントローラ、103…静脈パターン読み取りセンサー部、104…ディスプレィ、105…キーボード/マウス、106…磁気カードリード/ライター、200…サーバー、201…LAN、202…コントローラ、203…患者情報/静脈パターンデータベース、204…認証エンジン、300…照会/照合部、301…LAN、302…コントローラ、303…脈パターン読み取りセンサー部、304…ディスプレィ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者情報と患者固有の生体情報とを保持するデータベースシステムと、
検査室受付と検査室との少なくとも一方に設置される前記生体情報を読み取るための生体情報読み取り部と、
前記生体情報読み取り部で読み取られた生体情報に対応する患者情報を前記データベースシステムに照会する照会部と、
前記照会に呼応して取得される患者情報を表示する表示部とを具備することを特徴とする患者取り違え防止システム。
【請求項2】
前記照会に呼応して取得される患者情報と、事前に供給された検査オーダ情報内の患者情報とを照合する照合部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の患者取り違え防止システム。
【請求項3】
前記照会に呼応して取得される患者情報と、前記検査オーダ情報内の患者情報とが整合しないとき、検査装置に対して検査禁止信号を発生する禁止信号発生部をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の患者取り違え防止システム。
【請求項4】
前記照会に呼応して取得される患者情報と、前記検査オーダ情報内の患者情報とが整合するとき、前記検査装置に対して検査許可信号を発生する許可信号発生部をさらに備えることを特徴とする請求項3記載の患者取り違え防止システム。
【請求項5】
前記照会に呼応して取得される患者情報と、検査対象の患者の情報とを照合する照合部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の患者取り違え防止システム。
【請求項6】
前記照会に呼応して取得される患者情報と、前記検査対象の患者の情報とが整合するとき、検査装置に対して検査オーダ情報を発生するとともに、前記照会に呼応して取得される患者情報と、前記検査対象の患者の情報とが整合しないとき、前記検査装置に対して前記検査オーダ情報を発生しないオーダー発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の患者取り違え防止システム。
【請求項7】
前記生体情報は患者の静脈パターン情報であることを特徴とする請求項1記載の患者取り違え防止システム。
【請求項8】
前記生体情報読み取り部は、前記生体情報を非接触で読み取る機能を有することを特徴とする請求項1記載の患者取り違え防止システム。
【請求項9】
患者情報と患者固有の生体情報とを保持するデータベースシステムと、
手術室受付と手術室との少なくとも一方に設置される前記生体情報を読み取るための生体情報読み取り部と、
前記生体情報読み取り部で読み取られた生体情報に対応する患者情報を前記データベースシステムに照会する照会部と、
前記照会に呼応して取得される患者情報を表示する表示部とを具備することを特徴とする患者取り違え防止システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−271810(P2006−271810A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98205(P2005−98205)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】