説明

情報プリント方法

【課題】 色を使用した、単純な白黒プリントよりも高い情報密度に対する拡張された情報プリント方法を提供する。
【解決手段】 第1の情報を表す第1のデータを受け入れるステップと、前記第1の情報にわたる情報値を追加する第2の情報を表す第2のデータを受け入れるステップと、前記第1のデータに従って第1色のマークを付着するステップと、前記第1の情報および前記第2の情報を前記媒体上にプリントし、別個の前記第1の情報および前記第2の情報として前記プリント媒体から検出できるように、前記第2のデータに従って少なくとも1つの第2色のマークを付着するステップとを含んでなる媒体上に情報をプリントする方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ハードコピー媒体へのプリントに関し、特に、ハードコピー媒体上にプリントされたテキストまたはグラフィック内に、あるいはテキストまたはグラフィックに隣接して、データを配置することに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリントは、通常、少量の離散したインクを槽から用紙や透明フィルム等のシートすなわち媒体に向けて、媒体上に知覚可能な英数字やグラフィックや絵図画像を生成する技術であると考えられている。少量のインク(通常はインク滴)の移動に必要なエネルギは、熱、圧電、静電、音波、電磁、および同様のエネルギ源から生じうる。インクジェットプリントの基本については、W.J. LolydおよびH. T. TaubによるOutput Hardcopy Devices(R. C. DurbeckおよびS. Sherrにより編集された)Academic Press, San Diego, 1988, 第13章において見出すことができる。液体インク溶剤(liquid ink vehicle)がインク着色剤から急速に蒸発してインク着色剤のドットとして、インク滴をプリント媒体上に付着させる。テキストの場合には、インクドットを、文字がプリントされる場所を完全に満たし、文字内または文字間の空白には存在しないように着色剤(通常は黒色)を生成する配置に付着する。各インク滴の量子的性質(quantumnature)によるプリント文字のエッジの荒さは、文字のエッジにて各滴の配置を注意深く選択する(ならびに、他のインクの化学的性質や媒体等を最適化する)ことにより軽減できる。
【0003】
グレースケールプリントおよびカラー画像プリントの場合、輝度および色合いのグラデーションを実現可能とするために、スーパーピクセルにおけるプリントの概念を導入している。スーパーピクセルは、通常、より小さな正方形エリアへと細分される理論的な正方形であり、プリント媒体のある面積(スーパーピクセル)のコーディネーションとして一般に認識されている。より小さな各エリア(ピクセルと呼ばれる)に、グレースケールレベルまたはスーパーピクセルに実現する色に応じて、ドットを配置するか、または配置しないままにすることができる。例えば、米国特許第4,930,018号公報を参照されたい。さらに、離散量(ドット)を用いてプリントする際に生じる望ましくないアーチファクト(artifact)を回避するために、ディザリング(dithering)および誤差拡散計算を行い、ドットをスーパーピクセル間に拡散して計算に従ってアーチファクトを低減する。例えば、米国特許第5,031,050号公報を参照されたい。
【0004】
一般に、プリント方法に関係なく、情報(データ)をプリント画像に埋め込む技術が採用され始めている。米国特許第5,905,819号公報において、ステガノグラフィ(steganography)技術は、デジタルメッセージをプリント画像内に隠すという、より最近の要望に対する先駆として認識された。デジタルステガノグラフィは、前記特許では、改変防止(tamper-proofing)技術(デジタル画像が元の状態から操作されているか、または変更されているかを決定する能力を提供する)と、デジタル透かし(digital watermarking)(所有権および著作権の侵害を確証する能力を提供する)と、画像タグ付け(image tagging)(一意の識別子を各画像のコピーに付加して、海賊版製作者を識別する)と、デジタルポインタ(例えば、さらなる情報について、目に見えないインターネットアドレスを提供する)と、データ増補(data augmentation)(人間の知覚では比較的に検出不可能な形態により、データが隠されている画像に関するさらなる情報を提供する)とを含むものとして解釈されている。この特許は、所望の画像をほとんど歪ませずに、所望の画像とデータを組み合わせる複雑な方法を開示する。しかし、この開示された方法は、組み合わせたコピーからデータを回復するには、元の画像を知らなければならないという欠点を有する。また、例えば、米国特許第5,859,920号公報を参照されたい。
【0005】
視覚画像における隠された情報については、郵便料金アプリケーション(postal franking application)における用法も見つかっている。2パス・ドット・マトリクス・プリント方法を用いて、郵便証印を封筒に配する米国特許第5,829,895号公報に記載される一例では、一方のパスが、ドットを低い密度で生成するようにドットマトリクスのドット密度を調節することにより、プリントされた郵便証印にメッセージを配する。これによって、ドット密度が低いことから、メッセージの読み取りが可能になる。第2のプリントパスは、このメッセージを消失させるために、初めはドット密度の低いエリアに、ドットをより高い密度で配置する。これによって、郵便料金詐欺を防止できる。
【0006】
郵便詐欺を防ぐ他の技術は、人間が知覚可能な光スペクトルにおいて目に見えない蛍光(または燐光)インクの使用を含み、これを目に見える知覚可能な印刷層上の印刷層にプリントする。したがって、目に見える印刷の上にプリントされたバーコード(米国特許第5,693,693号公報に記載するもの等)は、従来のバーコードにおいて利用可能なものよりも、より多くかつ比較的に安全に情報を含みうる。
【0007】
別の技術的な方向では、InfoImaging Technologies, Inc.が、現在3D FaxFileと呼ばれる製品を市場に販売している。この製品は、文書(テキスト、カラー画像等)を、標準的なファクシミリ機を介して伝送可能なデジタル白黒パターンへと変換する。受信側において、ファクシミリされた文書を走査するか、さもなければデジタルデータストリームに再度変換してから、デジタルデータストリームを元の文書のコピーへと再構成する。符号化およびデータ圧縮により、元の文書よりもかなり安全かつ小さな文書をファクシミリできるようになる。また、別の色がない伝送技術により、色文書を伝送できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記にかかわらず、プリント媒体に情報を追加するまたは格納する技術を提供する必要性がある。色の使用が、単純な白黒プリントよりも高い情報密度に対する拡張された性能を提供する。さらに、無関係でありうる2以上の情報ブロックを媒体にプリントする場合には、情報が互いに干渉せず、それぞれがプリント媒体から独立に回復可能であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
媒体上のプリント情報は、第1の情報を表すデータの受け入れと、第2の情報を表すデータの受け入れとを含んでなる。第2の情報は、情報値を第1の情報上に追加する。第1色のマークを第1のデータに従って付着し、第2色のマークを第2のデータに従って付着する。このようにして、第1の情報および第2の情報を媒体上にプリントし、これら情報は、別個の第1の情報および第2の情報としてプリント媒体から検出可能である。
【0010】
本特許のファイルは、色により作成された少なくとも1枚の図面を含んでいる。色の図面を有する本特許のコピーは、申請および必要料金の支払いに基づき、米国特許商標庁により提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、カラープリント装置のマルチカラー・ドット付着性能を有利に用いて、異なる範囲のインク色で各チャネルまたは各データソースをプリント媒体に符号化することにより、複数のチャネルまたは情報のデータソースをプリント媒体上へと配置する。好ましい実施形態は、インクジェットプリンタを用いて、インクドットの形態のカラーマークを記録媒体に配置することについて記載しているが、カラーマークを記録媒体に配置するレーザプリンタ等他のプリント装置であっても本発明からの利益を得ることができる。色範囲は、黒色またはシアン等単一の識別可能な色、またはデジタル的に符号化可能な色に分割することができる色全域(color gamut)(例えば、インクジェットプリントにおいて一般に知られているイエローとシアンとマゼンタとの各インクの224個の組み合わせ)、またはグレーの陰影(プリントにおいてはグレースケールと通常呼ばれる)、または人間が知覚不可能な色(赤外線または紫外線における反射および吸収を有する色等)でありうる。
【0012】
例示的なインクジェットプリント装置である本発明を使用可能なプリンタ101を、図1の等角図に概略的に示す。また、グラフィックスプロッタやコピー機やファクシミリ機のようなプリント装置も、本発明を有利に使用できる。プリンタハウジング103は、用紙等の入力プリント媒体105が当技術分野で既知の機構により搬送されるプリントプラテンを含む。他の形態の媒体は、OHP用紙(overhead transparency)または生地(fabric)でありうる。プリンタ内のキャリッジ209は、黒色インクまたはカラーインクのインク滴を噴射可能な個々のプリントカートリッジの1つまたは集合を保持する。代替実施形態は、1以上の液通したオフ・アクシス(off-axis)インク槽から時折補充される半永久的なプリントヘッド機構、またはプリントカートリッジ内で使用可能な2色以上のカラーインクおよび色毎に設計されたインク噴射ノズルを有する単一のプリントカートリッジ、または単色のプリントカートリッジもしくはプリント機構を備えうる。少なくともこれら代替は、本発明を満足のいくように採用できる。プリンタ101に採用できるキャリッジ209は、図2に示すように、2個のプリントカートリッジ210および211を搭載する。キャリッジ209を、通常、プリンタ内にスライドバーまたは同様の機構によって支持し、キャリッジ209が並進して往復運動する、すなわちプリント媒体105を横切って前後に走査できるようにスライドバーに沿って物理的に推進される。走査軸Xを図1において矢印により示す。キャリッジ209が媒体を横切って走査する際に、インク滴が、プリントカートリッジ210および211のセットのプリントヘッド内に配置された滴生成器から媒体105上へと所定のプリント帯(print swath)パターンにより選択的に噴射され、ドットマトリクスの操作を使用して画像または英数字キャラクタを形成する。一般に、ドットマトリクスの操作をユーザのコンピュータ(図示せず)によって決定し、命令をプリンタ101内のマイクロプロセッサベースの電子コントローラに送信する。他の技術は、プリンタ制御コマンドと共にラスタ化データをプリンタに送信するに先立って、ユーザのコンピュータによりデータのラスタ化を使用する。この動作は、ユーザのコンピュータに常駐するプリンタドライバソフトウェアの制御下にある。プリンタは、コマンドおよびラスタ化データを解釈し、いずれの滴生成器を熱するかを決定する。プリンタキャリッジ209から媒体105に向けたインク滴飛翔経路軸(trajectory axis)Zを矢印に示す。1つのプリント帯が完了すると、次のプリント帯のプリント準備のために、媒体105を、矢印により示すプリント媒体軸Yに沿って適切な距離移動する。本発明は、プリントヘッドと媒体との間に相対運動を与える代替手段、例えば、固定された印字ヘッド(ぺージ幅アレイ等)を有し、1以上の方向に媒体を移動するものや、固定媒体を有し、プリントヘッドを1以上の方向に移動させるもの(フラットベッドプロッタ等)などを使用するインクジェットプリンタにも適用可能である。さらに、本発明は、大型フォーマット装置、コピー機、ファクシミリ機、フォトプリンタ等を含む各種のプリントシステムに適用可能である。
【0013】
インクジェットキャリッジ209およびプリントカートリッジ210、211を、図2において、プリンタ101内のZ方向から示す。各カートリッジのプリントヘッド213、215を、プリントカートリッジをこの方向から見るときに観察できる。好ましい実施形態において、インクを、各プリントヘッド210、211の本体部分に格納し、内部通路を通じて各プリントヘッドに送る。マルチカラープリントに適合する本発明の一実施形態において、色(シアン、マゼンタ、イエロー)毎に1つずつある、3つのオリフィスグループを、プリントヘッド215の有孔オリフィス板の表面上に構成する。電気的な接続を通してプリントヘッド215および可撓性ポリマテープ上の関連する導電トレース(図示せず)と連絡するプリンタからのコマンドの制御の下に、色毎にインクを選択的に吐出される。好ましい実施形態において、テープを、通常、プリントカートリッジの縁部に沿って曲げて固定する。同様にして、単色インクである黒色を、カートリッジ210のインク収容部分に格納し、プリントヘッド213におけるオリフィスの単一グループに送る。ポリマテープ上に配された導電トレース上において、プリンタからのプリントヘッドに制御信号を連結する。図示していない他の用途において、追加の色を有するさらなるインクカートリッジを、キャリッジ209に搭載できる。特別な目的のために、可視光では無色であるが、赤外線または紫外線において吸収性、蛍光性、または燐光性のインクを使用できる。
【0014】
図3に示す好ましい実施形態から明らかなように、ローラ307と、プラテンモータ309と、牽引装置(図示せず)とを備える媒体先送り機構により、1枚の媒体シートが、入力トレイからプリントヘッドの真下にあるプリンタのプリントエリアに進められる。好ましい実施形態において、インクジェットプリントカートリッジ210、211を、キャリッジモータ311により、媒体を入力するY方向に垂直な±X方向に、プラテン上の媒体105を横切って徐々に引き込む。プラテンモータ309およびキャリッジモータ311は、通常、媒体およびカートリッジ・ポジション・コントローラ313の制御下にある。このような位置決めおよび制御装置の一例は、米国特許第5,070,410号公報における記載に見出すことができる。こうして、媒体105をある位置に位置決めし、プリントカートリッジ210および211がインク滴を吐出して、プリンタの滴加熱コントローラに入力されるデータが要求するように、ドットを媒体上に配置できる。これらインクのドットは、プリントカートリッジ210および211がキャリッジモータ311により媒体を横切って並進する際に、走査方向に平行な帯域にプリントヘッドにおける選択されたオリフィスからインク滴を吐出することから形成される。プリントカートリッジ210および211が、媒体105上のプリント帯の終端にて行程の終わりに達すると、媒体を従来通りにポジションコントローラ313およびプラテンモータ309によって徐々に先送りする。スライドバー上において、プリントカートリッジが、X方向における行程の終わりに達すると、プリントを続けながら支持機構に沿って戻るか、あるいはプリントせずに戻る。媒体を、プリントヘッドのインク吐出部分の幅、またはノズル間の間隔に関連するそのある部分に等しい増分量により先送りできる。インク画像または文字を作成するために、媒体の制御と、プリントカートリッジの位置決めと、正確なインク排出器の選択とを、ポジションコントローラ313および滴加熱コントローラ315によって決定する。このコントローラを、従来の電子ハードウェア構成において実施でき、従来のメモリ316から動作命令を提供できる。媒体のプリントが完了すると、ユーザが取り去るために、媒体をプリンタの出力トレイへと排紙する。
【0015】
本発明に従ってプリンタを制御する、文書プリントプロセスの一般化したフローチャートを図4に示す。コンピュータシステムを利用して、文書作成者401は、Microsoft WordまたはQuark Xpress等の文書作成アプリケーション402を用いて文書を作成する。作成者は、アプリケーションのプリント動作403を呼び出すことにより文書のプリントを開始する。アプリケーションコードは、デジタル表現の文書を、コンピュータオペレーティングシステムにより認識可能なマイクロソフト・グラフィックス・デバイス・インタフェース(Graphics DeviceInterface:以下、「GDI」と呼ぶ)等の描画アプリケーションプログラミングインタフェース関数呼び出し404へと変換する。描画アプリケーションインタフェース関数呼び出しは、プリント装置ドライバ405に送信される。プリント装置ドライバ405は、プリント装置が理解できるように、オペレーティングシステムの描画インタフェース関数呼び出しを、ページ記述言語、例えば、アドビ・ポストスクリプトまたはヒューレット・パッカード・プリンタ制御言語407に変換する。なお、アプリケーションプログラムによっては、ページ記述言語を直接に生成可能なものもあり、この場合には、代替のプロセス経路406が用いられることに留意する。一般に、プリント装置にあるが、低コストシステムでは、プリンタデバイスドライバソフトウェア内に実施できるラスタ画像プロセッサ408は、デジタル文書表現をラスタ化した形態に変換し、それによって、文書の各ページを別個のデジタルラスタ画像データ409により表す。そして、ラスタ化されたページ画像データ409を、図3に示すように、プリンタメモリ313と、滴加熱コントローラ315と、ポジションコントローラ313とからなるプリント装置コントローラ410によって処理する。プリント装置コントローラ410は、上述したカートリッジ210、211からなるプリンタ・マーキング・エンジン411に、文書作成アプリケーションに入力された情報に従ってインク滴を吐出し、最終的にプリントされた文書のページ412を生成するよう命令する。
【0016】
図5は、本発明に使用可能な強化したプリントプロセスを示す。このプロセスは、プリントする「黒色」のテキスト情報を表す第1の情報データソース501を仮定する。別のアプリケーションから端を発する第2の情報データソース502を導入する。第2の情報データソースを、ラスタデータコンバータ503により、ラスタピクセルデータ値へと変換する。これらデータ値は、「黒色」インクについてのピクセル値を使用しないように、一意に割り当てられる。そして、第2の情報ラスタデータを、次に説明するデータ結合プロセス504によって、第1の情報ラスタ画像データと結合し、最終的な結合ラスタデータ505を生成する。そして、最終的な結合ラスタデータ505を、プリント装置コントローラ410に送信し、上述したようにプリントプロセスを続け、第1の情報データおよび第2の情報データに従って、インク滴を媒体105に対してプリントカートリッジ210、211の適切な位置に吐出し、第1および第2の情報の双方を含むプリントページ412を生成する。第1の情報の色(すなわち、インク滴)が、第2の情報の色に適合し、第2の情報の色と干渉しないよう配置するように、第1の情報および第2の情報を媒体上にプリントすることが本発明の特徴である。さらに、第2の情報の色を、第1の情報の色に適合し、第1の情報の色と干渉しないように配置する。別の方法を考慮すると、第1の情報をマークのパターンとして媒体上に配置し、第2の情報をラスタフォーマットの一連のカラーマークとして配置し、これは、走査装置により走査されると、第2の情報のデータを回復する。この特徴の例を、本開示に添付される図において見出すことができる。
【0017】
図6は、ラスタ画像データ結合プロセスをより詳細に示す。このプロセスにおいて、第1の情報ラスタデータからの各スーパーピクセル値を評価し、目に見える「黒色」マークをプリントページに作成するか否かを決定する。作成する場合には、604において、最終的なラスタ画像データにおけるスーパーピクセル値を「黒色」に設定する。そうでない場合には、605において、最終的なラスタ画像データ値を、第2の情報ラスタデータにおける次のスーパーピクセルの値に設定する。このため、第1および第2の情報を結合したものを含む最終的なラスタ画像を生成する。本発明の好ましい実施形態において、プリントデータのスケールを、スーパーピクセルとして確立する。プリント媒体上に情報を伝えるために、スーパーピクセルよりも大きなエリアを使用してもよいため、本発明の範囲はそれに制限されない。同様に、情報を伝えるために、ピクセル程小さなエリアを使用してもよい。
【0018】
本発明を使用するシステムからプリント媒体上への出力を示すいくつかの例が以下に続く。特徴および利点を、図の色表現において最も知覚できる。図7において、カラースーパーピクセルへとラスタ化し、ヒューレットパッカード社から市販されているHP970Cxi等のカラーインクジェットプリンタによってプリントした第2の情報の一例を示す。媒体の標準サイズのシートのプリントエリアに、大量の情報(数メガバイト)を配することが可能なため、第2の情報は、ピクチャと、テキストと、グラフィックスと、プリントされている第1の情報に関連してもしなくてもよい情報とのようなデータを効率的に格納できる。図8および図9は、図7におけるプリントされた第2の情報の拡大図を示し、第2の情報を格納するために、プリント媒体に適用可能な色全域の可能な範囲をさらに示す。
【0019】
図10は、元々従来のテキストデータとして入力された第1の情報のラスタデータと、元々従来のピクチャ、グラフィックス、テキストまたは同様のデータとして入力された第2の情報のラスタデータとを結合した、結合ラスタデータの出力を示すプリントページである。そして、プリント出力では、背景がカラースーパーピクセルであり、前景が黒色テキストであり、これによって、プリント媒体から独立して検出可能な第1および第2のデータを提供する。図示のように、第2の情報である背景は、高い色輝度でプリントされる。第1の情報である黒色テキストの視認性を強化するために、より低い輝度を用いてもよいが、第2の情報信号の信号対雑音比(S/N)が低減する。図11は、図10のプリントの一部を拡大して示したものである。
【0020】
第2の情報の回復については、図12および図13を見ることにより理解できる。図12は、図10のプリント部分のあるラスタラインである。十分な解像度を有する走査装置は、ラスタラインに沿って走査が行われる際に、各スーパーピクセルの色全域を容易に検出する。走査装置の色全域から真の黒色(true black)をなくすことにより、図13の2つのラスタライン部分を、走査装置によって検出する。各スーパーピクセルの具体的な色の検出から、第2のデータを、ラスタライン走査において検出したスーパーピクセルのストリームから回復する。完全な理解のために、図14および図15にプリントされた図は、媒体のプリントされた第2のデータから黒色テキスト情報を除去したもの、および、その拡大図(図15)を示す。
【0021】
第1のデータは、テキストデータに制限される必要はない。図16は、背景が、カラースーパーピクセル符号化した第2情報である第1の情報グラフィック画像(真の黒色でプリント)を示す。プリントされた第2の情報は、図17において第1の情報を除去して示しており、図17の拡大図を図18に示す。
【0022】
グレーの陰影を意味するように「色」を取り去った本発明の第1の代替実施形態からの出力を図19に示す。本実施形態において、第1の情報を元々従来のテキストデータとして入力し、第2の情報のラスタデータを元々従来のピクチャ、グラフィックス、テキスト、または同様のデータとして入力する。そして、プリント出力は、背景が所定のプリンタグレースケールに従って様々なグレーの陰影を有するスーパーピクセルであり、前景が黒色テキストである。このため、第1および第2のデータを、プリント媒体から見たときに、独立して検出可能な媒体上にプリントする。もちろん、グレースケール符号化を使用するときには、第2の情報の密度を、色符号化から減じる。図20は、図19のグレースケールプリントからの1つのラスタラインを示し、図21は、図19のプリント出力からの複数のラスタラインを示すが、真の黒色の情報を除去している。
【0023】
図22は、本発明の第2の代替実施形態からの結果を示す拡大したプリント出力である。本実施形態では、第2の情報をラスタ化し、第1の情報と組み合わせて、これは実際、第1の情報の完全に統合した構成要素である。具体的に、第1の情報のテキスト情報を、第2の情報から構成する。通常サイズのプリント出力を図23に示す。走査装置がこの第2の実施形態のラスタラインを走査する場合には、除去すべき第1の情報がないことを観察されたい。空白は無視される。低い第2の情報を許容可能である場合には、例えばテキストのピリオド記号のみにおいて、第2の情報を第1の情報の予め選択した部分としてプリントできる。
【0024】
第3の代替実施形態からの結果であるプリント出力を図24に示す。本例において、カラースーパーピクセルのラスタラインとして符号化される第2の情報を、プリント媒体上の、第1の情報をプリントしていない位置に配置する。この第2の情報の位置は、行間や余白等の所定の位置にあってもよく、または、予測不可能な第1の情報を配置していない場所に配置してもよい。
【0025】
スーパーピクセルによりカラー量子化スーパーピクセルを検出し、ラスタスキャンラインを精度よく検出しなければならない走査装置の援助として、カラー勾配較正(color gradient calibration)をプリント媒体に配置できる。このような較正を、図25の上部にプリントして示す。さらに、プリントした第1および第2の情報を、走査装置に向きに関する基準を提供する真の黒色の実線により包囲する。同等なグレースケール較正および実線参照を、図26のプリント出力に示す。
【0026】
したがって、第1および第2の情報が干渉しないように、第1の情報を保持しながら、第2の情報を記録するプロセスおよび装置を示して説明した。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を使用可能なプリント装置の等角図である。
【図2】図1のプリント装置に使用可能な2個のインクジェットプリントカートリッジを搭載したインクジェットプリンタキャリッジの等角図である。
【図3】図1のプリント装置等のプリント装置の重要部分のブロック図である。
【図4】図1のプリント装置に使用可能な文書プリントプロセスのフローチャートである。
【図5】プリント前に、第2の情報データを第1の情報データと結合するために、本発明に使用可能な方法を示すフローチャートである。
【図6】図5のラスタデータ結合プロセスを示すフローチャートである。
【図7】ラスタ化され、本発明に従って使用可能な第2の情報データのプリントを示す概略図である。
【図8】図7のある領域のプリントを拡大した拡大図である。
【図9】図8のある領域のプリントを拡大した拡大図である。
【図10】第1の情報黒色テキストのラスタデータと、本発明によりカラーラスタ化データに変換された第2の情報データのラスタデータとを結合した、結合ラスタデータをプリントしたものを示す概略図である。
【図11】図10のある領域のプリントを拡大した拡大図である。
【図12】図10のプリントされたあるラスタラインの一部を拡大した拡大図である。
【図13】黒色テキスト(第1のデータ)情報を除去した、図10のプリントされた2つのラスタラインの一部を拡大した拡大図である。
【図14】第1の情報黒色テキストデータを除去し、ラスタ化された第2の情報データのみを残したプリントされた完全なページを示す概略図。
【図15】図14のある領域のプリントを拡大した拡大図である。
【図16】第1の情報データの黒色グラフィック画像のラスタデータと、本発明によりカラーラスタ化データに変換された第2の情報データのラスタデータとを結合した、結合ラスタデータをプリントした概略図である。
【図17】第1の情報データの黒色グラフィック画像を除去して、図16をプリントした概略図である。
【図18】図17の一部のプリントを拡大した拡大図である。
【図19】第1の情報の黒色テキストのラスタデータと、本発明によりグレースケールラスタデータに変換された第2の情報データのラスタデータとを結合した、結合ラスタデータをプリントした概略図である。
【図20】図18のプリントされた1つのラスタラインの一部を拡大した拡大図である。
【図21】黒色テキスト(第1のデータ)情報を除去した、図18のある領域のプリントを拡大した拡大図である。
【図22】第1の情報データであるテキストのデータと、本発明の代替実施形態によりカラーラスタ化データに変換された第2の情報データのラスタデータとを結合した、結合ラスタデータをプリントした概略図である。
【図23】本発明の代替実施形態により生成可能なハードコピー媒体上のプリント出力を示すプリントページの概略図である。
【図24】第1の情報データである黒色テキストのラスタデータと、本発明の代替実施形態によりカラーラスタ化データに変換され、第1の情報ラスタデータを含まないページの限られた領域にプリントされる第2の情報データのラスタデータとを結合した、結合ラスタデータをプリントした概略図である。
【図25】走査プロセスを較正し、かつ位置合わせできるように、カラー勾配およびバウンディングボックスを含む完全な出力ページを示すプリントされたハードコピー出力を示す概略図である。
【図26】走査プロセスを較正し、かつ位置合わせできるように、グレースケール勾配およびバウンディングボックスを含む完全な出力ページを示すプリントされたハードコピー出力を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報を表す第1のデータを受け入れるステップと、
前記第1の情報にわたる情報値を追加する第2の情報を表す第2のデータを受け入れるステップと、
前記第1のデータに従って第1色のマークを置くステップと、
前記第1の情報および前記第2の情報を前記媒体上にプリントし、別個の前記第1の情報および前記第2の情報として前記プリント媒体から検出できるように、前記第2のデータに従って少なくとも1つの第2色のマークを置くステップと
を含んでなる、媒体上に情報をプリントする方法。
【請求項2】
前記第1色のマークを置くステップおよび前記少なくとも1つの第2色のマークを置くステップは、
前記第2色のマークに適合するように前記第1色のマークを置くステップと、
前記第1色のマークに適合するように前記第2色のマークを置くステップと
をさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1色の前記マークに適合するように前記少なくとも第2色の前記マークを置くステップは、前記媒体上において前記第1色のマークがない場所に、少なくとも1つの前記第2色のマークを置くステップをさらに含んでいる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2色のマークを置くステップは、スーパーピクセルを生成するために前記第2色のマークと調和する第3色のマークを付着するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2色のマークを置くステップは、人間が知覚可能な第2色のマークを置くステップをさらに含み、前記第1色のマークを置くステップは、人間が知覚不可能な第1色のマークを置くステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1色のマークを置くステップは、第1のカラーインクの滴を吐出するステップをさらに含み、前記少なくとも1つの第2色のマークを置くステップは、第2のカラーインクの滴を吐出するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
表面を有する媒体と、
該表面上に置かれた少なくとも第1色および第2色のマークであって、あるパターンに配置されて第1の情報を伝達すると共に、該パターンの少なくとも一部内において、前記少なくとも第1色と第2色の順に配置されて第2の情報を伝達する少なくとも第1色および第2色のマークと
を含んでいる、カラープリント装置によりプリントされた情報を有するハードコピー出力。
【請求項8】
前記少なくとも第1色および第2色のマークは、前記少なくとも第1色および第2色のマークを含むスーパーピクセルコーディネーションをさらに含んでいる請求項7に記載のハードコピー出力。
【請求項9】
前記第1色のマークは、第1のカラーインクのドットをさらに含み、前記第2色のマークは、第2のカラーインクのドットをさらに含んでいる請求項7に記載のハードコピー出力。
【請求項10】
前記第1色のマークは、第1のカラーインクのスーパーピクセルをさらに含み、前記第2色のマークは、第2のカラーインクのスーパーピクセルをさらに含んでいる請求項7に記載のハードコピー出力。
【請求項11】
第1の情報を表す第1のデータを受け入れる第1の入力と、
前記第1の情報とは独立して情報値を追加する第2の情報を表す第2のデータを受け入れる第2の入力と、
前記第1のデータに従って、第1色のマークを置く第1のカラーマーキング部と、
前記第1の情報および前記第2の情報を前記媒体上にプリントし、別個の前記第1の情報および前記第2の情報として前記プリント媒体から検出できるように、前記第2のデータに従って少なくとも1つの第2色のマークを置く第2のカラーマーキング部と
を含んでなる、媒体上にマークを配置するプリント装置。
【請求項12】
前記第1のカラーマーキング部は、第1のカラーインクの滴を吐出するインク排出器をさらに備え、前記第2のカラーマーキング部は、第2のカラーインクの滴を吐出するインク排出器をさらに含んでいる請求項11に記載のプリント装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報を表す第1のデータを受け入れるステップと、
前記第1の情報に対して情報値を追加するものである第2の情報を表す第2のデータを受け入れるステップと、
前記第1のデータに従って、第1色のマークを置くステップと、
前記第1の情報および前記第2の情報を媒体上にプリントし、別個の前記第1の情報および前記第2の情報として前記プリント媒体から検出できるように、前記第2のデータに従って、前記第1色のマークと干渉しないように、少なくとも1色の第2色のマークを置くステップと
を含んでなり、前記第1色のマークを置くことは、前記第2色のマークに重ならないように前記第1色のマークを置くものであり、前記少なくとも1色の第2色のマークを置くことは、前記第1色のマークと重ならないように、前記第1色とは色または輝度が異なる前記第2色のマークを置くものである、媒体上に情報をプリントする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1色の第2色の前記マークを置くステップは、前記媒体上において前記第1色のマークがない場所に、少なくとも1色の前記第2色のマークを置くステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1色の第2色のマークを置くステップは、スーパーピクセルを生成するために前記第2色のマークと調和する第3色のマークを付着するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1色の第2色のマークを置くステップは、人間が知覚可能な第2色のマークを置くステップをさらに含み、前記第1色のマークを置くステップは、人間が知覚不可能な第1色のマークを置くステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1色のマークを置くステップは、第1のカラーインクの滴を吐出するステップをさらに含み、前記少なくとも1色の第2色のマークを置くステップは、第2のカラーインクの滴を吐出するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
表面を有する媒体と、
該表面上に置かれ、あるパターンに配置されて第1の情報を伝達するために配置された少なくとも第1色のマークと、
前記第1の情報とは独立に第2の情報を伝達するために、前記表面上に置かれた少なくとも第2色のマークと
を含んでなり、前記第1色のマークは前記第2色のマークに重ならないように置かれ、前記少なくとも1色の第2色のマークは、前記第1色とは色または輝度が異なるものであり、前記第1色のマークに重ならないように置かれたものである、カラープリント装置によりプリントされた情報を有するハードコピー出力。
【請求項7】
前記少なくとも第1色および第2色のマークは、前記少なくとも第1色および第2色のマークを含むスーパーピクセルコーディネーションをさらに含んでいる請求項6に記載のハードコピー出力。
【請求項8】
前記第1色のマークは、第1のカラーインクのドットをさらに含み、前記第2色のマークは、第2のカラーインクのドットをさらに含んでいる請求項6に記載のハードコピー出力。
【請求項9】
前記第1色のマークは、第1のカラーインクのスーパーピクセルをさらに含み、前記第2色のマークは、第2のカラーインクのスーパーピクセルをさらに含んでいる請求項6に記載のハードコピー出力。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−333518(P2006−333518A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218215(P2006−218215)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【分割の表示】特願2001−123338(P2001−123338)の分割
【原出願日】平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願人】(398038580)ヒューレット・パッカード・カンパニー (91)
【氏名又は名称原語表記】HEWLETT−PACKARD COMPANY
【Fターム(参考)】