説明

情報処理装置、アプリケーション提供システム、アプリケーション提供サーバ、アプリケーション提供方法、および情報処理方法

【課題】汎用的な入力デバイスを用いて、専用コントローラによる操作を前提としたアプリケーションを操作可能とする技術を提供する。
【解決手段】情報処理装置100において、移動ベクトル取得部60は、ポインティングデバイスのカーソルの移動を移動ベクトルとして取得する。表示部50は、アプリケーションの実行画面を表示する。また表示部50は、表示画面において前記実行画面を表示する領域とは異なる領域に、前記アプリケーション内の操作対象を操作するための操作領域を表示する。変換部70は、移動ベクトル取得部60が取得した前記操作領域内におけるポインティングデバイスのカーソルの移動ベクトルをもとに、前記操作対象の表示位置の移動方向および移動量を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置、アプリケーション提供システム、アプリケーション提供サーバ、およびそれらで用いられるアプリケーション提供方法、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のコンピュータ技術の進化は著しいものがある。例えば、ゲームアプリケーションのような計算コストのかかるアプリケーションは、過去においては実行のために専用のハードウェアを必要としたが、近年ではソフトウェアでそのハードウェアを模倣してゲームアプリケーションを実行する、いわゆるゲームエミュレータが実用に耐えるようになってきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
専用のハードウェアで実行されることを前提として開発されたゲームは、専用のゲームコントローラを用いて操作することが前提となっていることが多い。一方、汎用的なPC(Personal Computer)やサーバ上で動作するゲームエミュレータを用いてゲームを実行する場合、入力デバイスとしてゲームコントローラが用意されることは保証できない。したがって、マウスを代表とするポインティングデバイス等の汎用的な入力デバイスを用いて、様々なゲームを操作できるようにする技術が求められている。
【0004】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、汎用的な入力デバイスを用いて、専用コントローラによる操作を前提としたアプリケーションを操作可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は情報処理装置である。この装置は、ポインティングデバイスのカーソルの動きを移動ベクトルとして取得する移動ベクトル取得部と、アプリケーションの実行画面を表示する表示部であって、当該表示部の表示画面において前記実行画面を表示する領域とは異なる領域に、前記アプリケーション内の操作対象を操作するための操作領域を表示する表示部と、前記移動ベクトル取得部が取得した前記操作領域内におけるポインティングデバイスのカーソルの移動ベクトルを前記操作対象の表示位置の移動に対応づける変換部とを含む。
【0006】
本発明の別の態様は、情報処理装置と、ネットワークを介して前記情報処理装置にアプリケーションを提供するサーバとを含むアプリケーション提供システムである。このシステムは、アプリケーションを実現するためのプログラムを格納した記録部と、アプリケーションを提供するアプリケーション提供部と、アプリケーションの実行画面を表示する表示部と、前記情報処理装置におけるポインティングデバイスのカーソルの動きを移動ベクトルとして取得する移動ベクトル取得部と、前記移動ベクトルを、アプリケーション内の操作対象の現在位置の移動に対応づける変換部とを含む。ここで前記表示部は、表示画面においてアプリケーションの実行画面を表示する領域と、前記移動ベクトルを取得するための操作領域とを異なる領域に表示する。前記情報処理装置は、前記表示部と前記移動ベクトル取得部とを含み、前記サーバは、前記記録部を含む。前記アプリケーション提供部と前記変換部とは、前記情報処理装置または前記サーバの少なくともいずれか一方に含まれる。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、情報処理装置と、ネットワークを介して前記情報処理装置にアプリケーションを提供するサーバとを含むシステムで実行されるアプリケーション提供方法である。この方法は、アプリケーションを実現するためのプログラムを格納した記録部からプログラムを取得するプログラム取得ステップと、アプリケーションを提供するアプリケーション提供ステップと、前記情報処理装置におけるポインティングデバイスのカーソルの動きを移動ベクトルとして取得する移動ベクトル取得ステップと、表示画面においてアプリケーションの実行画面を表示する領域と、前記移動ベクトルを取得するための操作領域とを異なる領域に表示する表示ステップと、前記移動ベクトルを、アプリケーション内の操作対象の現在位置の移動に対応づける変換ステップとを含む。ここで前記サーバは、前記プログラム取得ステップを実行し、前記情報処理装置は、前記表示ステップと前記移動ベクトル取得ステップとを実行する。前記アプリケーション提供ステップと前記変換ステップとは、前記情報処理装置または前記サーバの少なくともいずれか一方に実行される。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、サーバと情報処理装置とを含むアプリケーション提供システムにおいて、ネットワークを介して情報処理装置にアプリケーションを提供するサーバである。このサーバは、アプリケーションを実現するためのプログラムを格納した記録部を少なくとも含む。ここで前記アプリケーション提供システムは、アプリケーションを提供するアプリケーション提供部と、アプリケーションの実行画面を前記情報処理装置に表示させる表示部であって、表示画面においてアプリケーションの実行画面を表示する領域と、前記移動ベクトルを取得するための操作領域とを異なる領域に表示させる表示部と、前記情報処理装置におけるポインティングデバイスのカーソルの動きを移動ベクトルとして取得する移動ベクトル取得部と、前記移動ベクトルを、アプリケーション内の操作対象の現在位置の移動に対応づける変換部とを含む。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、情報処理方法である。この方法は、ゲームの実行画面を表示する表示画面上において、前記実行画面を表示する領域とは異なる領域に設けられた操作領域におけるポインティングデバイスのカーソルの移動を、前記ゲーム内の操作対象の現在位置の移動に対応づけることをプロセッサに実行させる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、汎用的な入力デバイスを用いて、専用コントローラによる操作を前提としたアプリケーションを操作可能とする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係る情報処理装置の機能構成を模式的に示す図である。
【図2】実施の形態に係る表示部が表示する画面の一例を示す図である。
【図3】図3(a)は、実施の形態に係る操作領域の別の例を示す図である。図3(b)は、実施の形態に係る操作領域のさらに別の例を示す図である。
【図4】実施の形態に係る移動ベクトル取得部の内部構成を模式的に示す図である。
【図5】実施の形態に係る情報処理装置の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】実施の形態に係るアプリケーション提供システムの機能構成を模式的に示す図である。
【図7】図7(a)は、実施の形態に係る操作領域のさらに別の例を示す図である。図7(b)は、実施の形態に係る操作領域のさらに別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態の概要を述べる。実施の形態に係る情報処理装置100は、アプリケーションの実行画面を表示する領域とは異なる領域である操作領域中におけるポインティングデバイスのカーソルの動きを、アプリケーショ内の操作対象の動きに対応づける。
【0014】
以下、情報処理装置100において、専用のハードウェアで実行されることを前提として開発されたゲームアプリケーションをゲームエミュレータを用いて実行する場合について説明するが、ゲームアプリケーションの実行手段としてはゲームエミュレータを用いることに限られず、ゲームエミュレータを介さずにPC(Personal Computer)のプロセッサが直接実行する場合なども本実施の形態に含まれることは当業者には理解されることである。また説明の便宜上、ゲームアプリケーションを実行する場合を例に説明するが、実行するアプリケーションはゲームに限られず、例えば画像編集ソフト等、ゲーム以外のジャンルのアプリケーションを実行する場合も本実施の形態に含まれる。
【0015】
図1は、実施の形態に係る情報処理装置100の機能構成を模式的に示す図である。情報処理装置100は、操作部10、検索部20、記録部30、アプリケーション提供部40、表示部50、移動ベクトル取得部60、および変換部70を含む。
【0016】
図1は、実施の形態に係る情報処理装置100を提供するための機能構成を示しており、その他の構成は省略している。図1において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メインメモリ、その他のLSI(Large Scale Integration)で構成することができ、ソフトウェア的には、メインメモリにロードされたプログラム等によって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。後述する図4および図6についても同様である。
【0017】
操作部10は情報処理装置100のユーザインタフェースのひとつであり、具体的にはマウスやタッチパッド等を代表とするポインティングデバイスである。ユーザはポインティングデバイスを操作することにより、表示部50の表示画面に表示されるカーソルを自由に動かすことができる。
【0018】
検索部20は、記録部30に格納された複数のゲームアプリケーションの中から、情報処理装置100を利用するユーザが所望するゲームアプリケーションを検索する。図示はしないが、検索部20は、アプリケーションを検索するための検索インタフェースを提供している。ユーザは、表示部50に表示された検索インタフェースから、ゲームのタイトル名、発売元の名称、発売年月日、ジャンル等を検索キーとしてアプリケーションを検索することができる。
【0019】
記録部30は、ゲームアプリケーションを実現するためのプログラムを格納する。アプリケーション提供部40は、検索部20を介してユーザが指定したゲームアプリケーションを実現するためのプログラムを記録部30から取得して実行する。
【0020】
表示部50は、例えば液晶モニタや有機EL(ElectroLuminescence)モニタ等の表示デバイスである。表示部50は、ゲームアプリケーションの実行画面であるゲーム実行領域52と、ゲームアプリケーション内の操作対象を操作するための操作領域54とを表示する。ここで表示部50は、ゲーム実行領域52と操作領域54とを、表示部50の表示画面中の異なる領域に表示する。
【0021】
移動ベクトル取得部60は、操作部10であるポインティングデバイスのカーソルの動きを移動ベクトルとして取得する。移動ベクトル取得部60の詳細は後述する。
【0022】
変換部70は、移動ベクトル取得部60が取得した操作領域54内におけるポインティングデバイスのカーソルの移動ベクトルを、ゲームアプリケーション内の操作対象の表示位置の移動に対応づける。専用のハードウェアで実行されることを前提として開発されたゲームは、専用のゲームコントローラを用いて操作することが前提となっていることが多い。そこで、変換部70は、ポインティングデバイスのカーソルの動きを、ゲームが前提としているゲームコントローラの入力信号に変換し、その信号をアプリケーション提供部40に入力する。アプリケーション提供部40は、入力された信号をもとに操作対象を移動して、その結果を表示部50がゲーム実行領域52の表示に反映する。
【0023】
なお、例えばシューティングゲームにおける攻撃操作のように、ユーザが継続的に操作ボタンを連打する操作が要求されるゲームもある。このような場合、変換部70は、ユーザが操作ボタンを連射しなくても、操作ボタンが連射された場合の入力信号を自動で生成してアプリケーション提供部40に入力してもよい。マウスのように継続的にボタンが連射されることが想定されていないような入力デバイスを用いる場合に、ユーザの操作負担を軽減し、入力デバイスを保護できる点で有利である。
【0024】
図2は、実施の形態に係る表示部50が表示する画面の一例を示す図である。図2に示す例では、ユーザはゲーム実行領域52中に表示されている操作対象56を、ゲームの進行に応じて適宜左右に動かすことが求められる。操作領域54内にはポインティングデバイスのカーソル58が表示されている。操作領域54内において、例えばユーザがカーソル58を現在表示されている位置よりも右側に動かすと、変換部70は、ゲームコントローラの方向キーの右ボタン(図示せず)が押下されたときの信号を生成し、アプリケーション提供部40に入力する。その結果、ゲーム実行領域52中の操作対象56は、右側に移動して表示される。同様に、ユーザがカーソル58を現在位置よりも左側に動かすと、それに応じて操作対象56は左側に移動して表示される。
【0025】
図3は、実施の形態に係る操作領域54の別の例を示す図である。図3(a)に示す例では、操作領域54中に操作対象56の移動方向を決定するための起点位置80が表示されている。詳細は後述するが、変換部70は、起点位置80とカーソル58との位置関係をもとに、ゲームコントローラの入力信号を生成する。この結果、起点位置80とカーソル58との位置関係が、操作対象56の動きと対応づけられてゲーム実行領域52に表示される。
【0026】
図3(b)に示す例では、操作領域54中にスライダーバー82が表示されている。ユーザがカーソル58でスライダーバー82をドラッグすると、スライダーバーの中心84とカーソル58との位置関係に応じて、操作対象56が移動する。スライダーバー82は左右方向に一次元的にのみ動くため、例えば図2に示すゲームのように、一次元的に動く操作対象56を操作するのに適する。
【0027】
図4は、実施の形態に係る移動ベクトル取得部60の内部構成を模式的に示す図である。移動ベクトル取得部60は、第1ベクトル取得部62、第2ベクトル取得部64、移動速度取得部66、および移動ベクトル選択部68を含む。
【0028】
第1ベクトル取得部62は、図3(a)に例示した起点位置80を始点とし、ポインティングデバイスのカーソル58の位置を終点とするベクトルを求める。より具体的には、第1ベクトル取得部62は、ベクトルを取得するために定められた所定のサンプリング間隔毎にカーソル58の位置座標を取得して起点位置80を原点とした場合のベクトルを求める。したがって、第1ベクトル取得部62が求めるベクトルは、ベクトルの始点位置を固定した場合のカーソル58の動きベクトルである。サンプリング間隔は操作対象56に求められる操作性と計算コストとを勘案して、ゲームアプリケーション毎に実験によって定めればよいが、例えば0.1[秒]である。第1ベクトル取得部62が求める動きベクトルは、サンプリング間隔毎に更新される。
【0029】
第2ベクトル取得部64は、サンプリング間隔毎にポインティングデバイスのカーソル58の位置をサンプリングし、最も新しくサンプリングしたカーソル58の位置を終点とし、ひとつ前にサンプリングしたカーソル58の位置を始点とするベクトルを求める。したがって、第2ベクトル取得部64が求めるベクトルは、カーソル58の瞬間的な動きベクトルである。第2ベクトル取得部64が求める動きベクトルも、サンプリング間隔毎に更新される。
【0030】
移動速度取得部66は、第2ベクトル取得部64が求めた移動ベクトルの長さとサンプリング間隔とをもとにカーソル58の移動速度を求める。例えば第2ベクトル取得部64が求めた移動ベクトルの長さが、表示部50の画素ピクセルを単位として10[ピクセル]であり、サンプリング間隔が0.1[秒]の場合、カーソル58の移動速度は10[ピクセル]/0.1[秒]=100[ピクセル/秒]となる。
【0031】
移動ベクトル選択部68は、図3(a)に例示した起点位置80が表示されるタイプの操作領域54が用いられる場合に、第1ベクトル取得部62が求めたベクトルと第2ベクトル取得部が求めたベクトルとのいずれか一方を選択し、移動ベクトルとする。具体的に、移動ベクトル選択部68は、まず移動速度取得部66からカーソル58の移動速度を取得する。続いて移動ベクトル選択部68は、カーソル58の移動速度と、移動ベクトルを選択する基準として定められた所定のベクトル選択基準速度との大小関係を比較する。
【0032】
ここでベクトル選択基準速度は、ユーザがカーソル58を素早く動かしているか、あるいはゆっくりと動かしているかを判断するための基準となる速度である。カーソル58の移動速度がベクトル選択基準速度以下の場合、移動ベクトル選択部68は、ユーザがカーソル58をゆっくり動かしていると判断する。反対に、移動速度がベクトル選択基準速度を超えた場合、移動ベクトル選択部68は、ユーザがカーソル58を素早く動かしていると判断する。ベクトル選択基準速度は、操作対象となるゲームアプリケーション毎に実験により定めればよい。
【0033】
図3(a)に例示した起点位置80が表示されるタイプの操作領域54は、操作対象56を操作する際の中心位置が固定されているため、ユーザにとって操作対象56の操作方向を認識しやすいという利点がある。一方で、例えばシューティングゲームのように動きの速いゲームをプレイする場合、ユーザはとっさの判断で操作対象56を操作しようとすることも起こりうる。このような場合、ユーザは起点位置80とカーソル58との位置関係を考慮に入れず、操作対象56を動かそうとする方向にカーソル58を動かす傾向がある。また、カーソル58の移動速度も大きくなる傾向がある。したがって、カーソル58の移動速度は、ユーザがとっさの判断でカーソル58を動かした否かの判断指標となる。
【0034】
そこで移動ベクトル選択部68は、カーソル58の移動速度がベクトル選択基準速度以下の場合、第1ベクトル取得部62が求めたベクトルを移動ベクトルとして選択する。カーソル58の動きがゆっくりの場合、ユーザは起点位置80とカーソル58との位置関係を意識して操作対象56を操作していると考えられるからである。
【0035】
一方、カーソル58の移動速度がベクトル選択基準速度超えた場合、移動ベクトル選択部68は、第2ベクトル取得部64が求めたベクトルを移動ベクトルとして選択する。カーソル58の動きが速い場合、ユーザがとっさの判断で、操作対象56を動かそうとする方向にカーソル58を動かしたと考えられるからである。このように、カーソル58の移動速度の大小に応じて移動ベクトルの取得方法を変更することにより、操作対象56を動かそうとするユーザの意思をより適切に反映することができる。
【0036】
図5は、実施の形態に係る情報処理装置100の処理の流れを説明するフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、例えばユーザが情報処理装置100の電源を投入したときに開始する。
【0037】
検索部20は、操作部10を介してユーザから指定されたゲームアプリケーションを、記録部30の中から検索する(S2)。アプリケーション提供部40は、検索部20が検索したゲームアプリケーションを実現するためのプログラムを記録部30から取得して実行することにより、ユーザにゲームアプリケーションを提供する(S4)。
【0038】
移動ベクトル取得部60は、操作領域54内のポインティングデバイスのカーソル58の動きを検出してその移動ベクトルを取得する(S6)。変換部70は、移動ベクトル取得部60が取得した移動ベクトルを、ゲームコントローラの入力信号に変換する(S8)。
【0039】
アプリケーション提供部40は、変換部70から取得した入力信号を提供中のゲームアプリケーション内の操作対象56の動きに反映する(S10)。ゲームが終了していない場合(S12のN)、上述のステップS6からステップS10までの処理を繰り返すことで、情報処理装置100は、ユーザによるポインティングデバイスの操作をゲームアプリケーションの操作対象56の動きに対応付ける。
【0040】
ゲームが終了した場合(S12のY)、本フローチャートにおける処理は終了する。
【0041】
以上の構成による動作は以下のとおりである。ユーザが情報処理装置100でゲームアプリケーションの提供を受けるとき、移動ベクトル取得部60は操作領域54内でのポインティングデバイスのカーソル58の動きを移動ベクトルとして検出する。検出された移動ベクトルは、変換部70がゲームアプリケーションが前提としているゲームコントローラの入力信号に変換する。変換された入力信号はゲームアプリケーションを実現するためのプログラムを実行するアプリケーション提供部40に入力され、結果としてカーソル58の動きの動きがゲームアプリケーソン内の操作対象56の動きに対応づけられる
【0042】
また、ゲームアプリケーションの実行画面を表示するゲーム実行領域52と、ゲームアプリケーション中の操作対象56を操作するための操作領域54とを別の領域として設けることにより、ポインティングデバイスのカーソル58がゲーム実行領域52の一部を隠してしまうことを防止できる。
【0043】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、汎用的な入力デバイスを用いてゲームを操作可能とする技術を提供することができる。
【0044】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0045】
[変形例1]
上記で説明した実施の形態では、情報処理装置100は他の装置から独立したひとつの装置であることを前提に説明したが、実施の形態は他の装置から独立している場合には限定されない。例えば、情報処理装置100がネットワークを介してアプリケーション提供サーバと接続し、そのサーバからアプリケーションの提供を受けるサーバ・クライアント型のシステムであってもよい。以下、この場合の変形例について説明するが、上述した実施の形態と重複する説明については適宜省略または簡略化して説明する。
【0046】
図6は、実施の形態に係るアプリケーション提供システム300の機能構成を模式的に示す図である。アプリケーション提供システム300は、情報処理装置102と、情報処理装置102とネットワークを介して通信可能な状態で接続するアプリケーション提供サーバ200とを含む。
【0047】
情報処理装置102は、アプリケーション提供システム300を利用するユーザが使用するクライアント端末である。情報処理装置102は、操作部10、表示部50、移動ベクトル取得部60、および変換部70を含む。情報処理装置102内の各部の動作は、上述した情報処理装置100の対応する部と同様である。ただし、ユーザが操作部10を介して所望のアプリケーションを指定すると、その情報はネットワークを介して後述するアプリケーション提供サーバ200の検索部20に送信される。また、ゲーム実行領域52に表示される実行画面は、アプリケーション提供サーバ200のアプリケーション提供部40から、ネットワークを介して送信される。
【0048】
アプリケーション提供サーバ200は、検索部20、記録部30、およびアプリケーション提供部40を含む。アプリケーション提供サーバ200の各部の動作は、上述した情報処理装置100の対応する部と同様である。
【0049】
図6に示すように、ゲームアプリケーションを実現するプログラムを格納する記録部30がアプリケーション提供サーバ200内に存在する場合、情報処理装置102を利用するユーザはそのプログラムを所持していなくてもゲームアプリケーションの提供を受けることができる。
【0050】
前述したように、近年のコンピュータ技術の進化は著しいものがある。例えばゲームアプリケーションのような計算コストのかかるアプリケーションは、過去においては実行のために専用のハードウェアを必要としたが、近年ではソフトウェアでそのハードウェアを模倣してゲームアプリケーションを実行する、いわゆるゲームエミュレータであっても実用に耐えるようになってきた。アプリケーション提供サーバ200でエミュレータを実行し、その上でゲームを動作するようにすれば、ユーザの利用する情報処理装置102がエミュレータを搭載していなくても、ユーザはゲームアプリケーションの提供を受けることができる。
【0051】
特に、過去に開発されたゲームアプリケーションの数は膨大であるため、それらのプログラムは専用のサーバで管理するのが適切である。ユーザにとっては、多くの選択肢から所望のゲームアプリケーションの提供を受けることができる点で有利である。アプリケーション提供サーバ200の運営管理者にとっては、過去に開発したゲームアプリケーションを再利用して新たなビジネスを生み出すことができる点で有利である。
【0052】
ところで、上述した操作部10や表示部50は、ユーザが利用するものである。したがって、情報処理装置102に含まれていなければ意味がない。移動ベクトル取得部60も、表示部50中の操作領域54と密接に関わるので、情報処理装置102に含まれていることが好ましい。また、記録部30は、膨大な数のプログラムを管理するために、専用サーバであるアプリケーション提供サーバ200に含まれるのが適当である。
【0053】
一方で、変換部70、検索部20、およびアプリケーション提供部40は、情報処理装置102とアプリケーション提供サーバ200とのいずれに含まれていても動作に支障はない。図6は、変換部70、検索部20、およびアプリケーション提供部40のアプリケーション提供システム300における配置の一例を示すものであり、必ずしも図6に示す配置に限定されない。例えば、変換部70、検索部20、およびアプリケーション提供部40が全てアプリケーション提供サーバ200に含まれていてもよいし、アプリケーション提供部40が情報処理装置102とアプリケーション提供サーバ200との両者に含まれていてもよい。
【0054】
アプリケーション提供部40は、記録部30に格納されているプログラムを実行することでアプリケーションの提供を実現するものである。したがって、情報処理装置102のプロセッサ(図示せず)とアプリケーション提供サーバ200のプロセッサ(図示せず)との少なくともいずれか一方がそのプログラムを実行すればよい。
【0055】
このように、アプリケーション提供システム300には各部の構成や処理の主体に自由度がある。全ての場合分けを記載することは重複が多く煩雑となり、かえって本発明のポイントが不明りょうとなるため省略するが、いずれの場合も本実施の形態に含まれることは当業者には理解されるところである。
【0056】
[変形例2]
図7は、実施の形態に係る操作領域54のさらに別の例を示す図である。図7(a)は、一般的なゲームコントローラの操作ボタンを全て表示した操作領域54の例を示している。ユーザが例えばマウスを操作してカーソル58を動かし、操作ボタンに対応するアイコンをクリックすると、変換部70がその操作ボタンが押下された場合の入力信号を生成する。
【0057】
ところで、アプリケーション提供部40が提供するアプリケーションは、アプリケーションを丸ごと全てではなく、アプリケーションを分割してできる小さな単位としてもよい。例えば、ゲーム中に単位となるステージが存在するのであれば、そのステージを単位とする。あるいは、ゲーム中にいわゆる「ボス戦」が存在するのであれば、ボス戦のみを単位とする。
【0058】
近年のマイクロプロセッサおよび携帯情報端末の発達により、場所と時間とを気にせず手軽にゲームを楽しむ環境が実現し、ちょっとした空き時間にゲームを楽しむユーザも増えてきた。これにより、小さな単位で短時間だけ楽しむというゲームの利用形態の需要も増加している。そこで、前述のように小さな単位で短時間で終了するアプリケーションを提供することにより、アプリケーション提供システム300が提供するサービスを利用して、ちょっとした空き時間を利用して気軽にゲームを楽しもうとするユーザの需要に応えることができる。
【0059】
このように、アプリケーション提供部40がゲームアプリケーションを小さな単位で提供する場合、その単位をプレイするためにはゲームコントローラの一部の操作ボタンで足りる場合がある。図7(b)は、一般的なゲームコントローラの操作ボタンの一部のみを表示した操作領域54の例を示している。図7(b)に示すように、ゲームアプリケーションの操作対象56を操作するために必要最小限の操作ボタンを操作領域54に設けることにより、操作領域54の構成を単純化して操作性を向上することができる。
【0060】
ゲームアプリケーションの操作対象56を操作するために必要な操作ボタンの種類は、ゲームアプリケーション、および提供される単位毎に異なる。そこで、記録部30はゲームアプリケーションの提供単位毎に必要な操作ボタンの種類を、その提供単位と紐付けて格納してもよい。表示部50は、アプリケーション提供部40を介して記録部30から必要な操作ボタンの種類を取得し、そのボタンのみを操作領域54に表示する。これにより、ゲームアプリケーションの提供単位毎に適切な操作領域54をユーザに提供することができ、操作領域54の操作性をさらに向上することができる。
【0061】
[変形例3]
上記の説明では、移動ベクトル選択部68が、第1ベクトル取得部62が求めたベクトルと第2ベクトル取得部64が求めたベクトルとのいずれか一方を選択して移動ベクトルとする場合について説明したが、移動ベクトルを二者択一で求めることには限られない。例えば、カーソル58の移動速度がベクトル選択基準速度を超えた場合、移動ベクトル選択部68が、第1ベクトル取得部62が求めたベクトルと第2ベクトル取得部64が求めたベクトルとを合成して新たなベクトルを生成し、そのベクトルを移動ベクトルとしてもよい。図示はしないが、移動ベクトル選択部68中にベクトル合成部を設けることで実現できる。あるいは移動ベクトル選択部68と並列にベクトル合成部を設けてもよい。これにより、起点位置80を移動ベクトルの起点とするという原則を守りつつ、かつ、ユーザのとっさの判断を操作対象56の操作に反映することができる。なお、カーソル58の移動速度がベクトル選択基準速度以下の場合、移動ベクトル選択部68は第1ベクトル取得部62が求めたベクトル移動ベクトルとすればよい。
【符号の説明】
【0062】
10 操作部、 20 検索部、 30 記録部、 40 アプリケーション提供部、 50 表示部、 52 ゲーム実行領域、 54 操作領域、 56 操作対象、 58 カーソル、 60 移動ベクトル取得部、 62 第1ベクトル取得部、 64 第2ベクトル取得部、 66 移動速度取得部、 68 移動ベクトル選択部、 70 変換部、 80 起点位置、 82 スライダーバー、 84 中心、 100,102 情報処理装置、 200 アプリケーション提供サーバ、 300 アプリケーション提供システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポインティングデバイスのカーソルの動きを移動ベクトルとして取得する移動ベクトル取得部と、
アプリケーションの実行画面を表示する表示部であって、当該表示部の表示画面において前記実行画面を表示する領域とは異なる領域に、前記アプリケーション内の操作対象を操作するための操作領域を表示する表示部と、
前記移動ベクトル取得部が取得した前記操作領域内におけるポインティングデバイスのカーソルの移動ベクトルを前記操作対象の表示位置の移動に対応づける変換部とを含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記移動ベクトルを算出するための起点となる始点位置を前記操作領域内に表示し、
前記移動ベクトル取得部は、始点位置を始点とし、ポインティングデバイスのカーソル位置を終点とするベクトルを、前記移動ベクトルとして取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移動ベクトル取得部は、
前記始点位置を始点とし、ポインティングデバイスのカーソル位置を終点とするベクトルを求める第1ベクトル取得部と、
所定のサンプリング間隔で前記ポインティングデバイスのカーソル位置をサンプリングし、最も新しくサンプリングしたカーソル位置を終点とし、ひとつ前にサンプリングしたカーソル位置を始点とするベクトルを求める第2ベクトル取得部と、
前記第2ベクトル取得部が求めた移動ベクトルの長さと前記サンプリング間隔とをもとにカーソルの移動速度を求める移動速度取得部と、
前記移動速度取得部が求めた移動速度が所定のベクトル選択基準速度以下の場合、前記第1ベクトル取得部が求めたベクトルを前記移動ベクトルとして選択し、前記移動速度取得部が求めた移動速度がベクトル選択基準速度を超えた場合、前記第2ベクトル取得部が求めたベクトルを前記移動ベクトルとして選択する移動ベクトル選択部とを含むことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置と、ネットワークを介して前記情報処理装置にアプリケーションを提供するサーバとを含むアプリケーション提供システムであって、
アプリケーションを実現するためのプログラムを格納した記録部と、
アプリケーションを提供するアプリケーション提供部と、
アプリケーションの実行画面を表示する表示部と、
前記情報処理装置におけるポインティングデバイスのカーソルの動きを移動ベクトルとして取得する移動ベクトル取得部と、
前記移動ベクトルを、アプリケーション内の操作対象の現在位置の移動に対応づける変換部とを含み、
前記表示部は、表示画面においてアプリケーションの実行画面を表示する領域と、前記移動ベクトルを取得するための操作領域とを異なる領域に表示し、
前記情報処理装置は、前記表示部と前記移動ベクトル取得部とを含み、
前記サーバは、前記記録部を含み、
前記アプリケーション提供部と前記変換部とは、前記情報処理装置または前記サーバの少なくともいずれか一方に含まれることを特徴とするアプリケーション提供システム。
【請求項5】
前記アプリケーション提供部は、前記記録部に格納されているプログラムを実行することでアプリケーションの提供を実現するものであり、
前記情報処理装置のプロセッサと前記サーバのプロセッサとの少なくともいずれか一方が、前記プログラムを実行することを特徴とする請求項4に記載のアプリケーション提供システム。
【請求項6】
情報処理装置と、ネットワークを介して前記情報処理装置にアプリケーションを提供するサーバとを含むシステムで実行されるアプリケーション提供方法であって、
アプリケーションを実現するためのプログラムを格納した記録部からプログラムを取得するプログラム取得ステップと、
アプリケーションを提供するアプリケーション提供ステップと、
前記情報処理装置におけるポインティングデバイスのカーソルの動きを移動ベクトルとして取得する移動ベクトル取得ステップと、
表示画面においてアプリケーションの実行画面を表示する領域と、前記移動ベクトルを取得するための操作領域とを異なる領域に表示する表示ステップと、
前記移動ベクトルを、アプリケーション内の操作対象の現在位置の移動に対応づける変換ステップとを含み、
前記サーバは、前記プログラム取得ステップを実行し、
前記情報処理装置は、前記表示ステップと前記移動ベクトル取得ステップとを実行し、
前記アプリケーション提供ステップと前記変換ステップとは、前記情報処理装置または前記サーバの少なくともいずれか一方に実行されることを特徴とするアプリケーション提供方法。
【請求項7】
サーバと情報処理装置とを含むアプリケーション提供システムにおいて、ネットワークを介して情報処理装置にアプリケーションを提供するサーバであって、
アプリケーションを実現するためのプログラムを格納した記録部を含み、
前記アプリケーション提供システムは、
アプリケーションを提供するアプリケーション提供部と、
前記情報処理装置におけるポインティングデバイスのカーソルの動きを移動ベクトルとして取得する移動ベクトル取得部と、
アプリケーションの実行画面を前記情報処理装置に表示させる表示部であって、表示画面においてアプリケーションの実行画面を表示する領域と、前記移動ベクトルを取得するための操作領域とを異なる領域に表示させる表示部と、
前記移動ベクトルを、アプリケーション内の操作対象の現在位置の移動に対応づける変換部とを含むことを特徴とする、アプリケーション提供システムにおけるサーバ。
【請求項8】
アプリケーションの実行画面を表示する表示画面上において、前記実行画面を表示する領域とは異なる領域に設けられた操作領域におけるポインティングデバイスのカーソルの移動を、前記アプリケーション内の操作対象の現在位置の移動に対応づけることをプロセッサに実行させることを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
前記アプリケーションは、前記ポインティングデバイスとは異なる専用のコントローラで操作することを前提に開発されたアプリケーションであり、前記ポインティングデバイスのカーソルの移動ベクトルを、前記コントローラの入力信号に変換することによって前記アプリケーション内の操作対象の現在位置の移動に対応づけることを特徴とする請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
アプリケーションの実行画面を表示する表示画面上の、前記実行画面を表示する領域とは異なる領域にポインティングデバイスによるアプリケーションの操作領域を表示させる機能と、
前記操作領域におけるポインティングデバイスのカーソルの移動を、前記アプリケーション内の操作対象の現在位置の移動に対応づける機能とをコンピュータに実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−69002(P2013−69002A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205313(P2011−205313)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】