説明

情報処理装置、情報処理方法および情報処理システム

【課題】簡単な操作で被制御機器の入力デバイスとして制御機器を用いることが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、被制御機器との通信を行う通信部と、被制御機器との接続処理を行う接続処理部と、ユーザの操作入力が行われる入力部と、を備える。接続処理部は、ユーザが入力部より入力した接続開始指示に基づいて、被制御機器に対して通知メッセージを送信し、通知メッセージを受信した被制御機器から通知返答メッセージを受信し、通知メッセージを受信した被制御機器に表示された機器識別情報を参照したユーザが操作対象とする操作対象機器を選択する操作入力を入力部より入力したとき、操作入力に基づいて、操作対象機器へ接続メッセージを送信し、接続メッセージに対する接続返答メッセージを操作対象機器から受信したとき、当該操作対象機器との接続を確立し、操作対象機器の操作を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理システムに関し、より詳細には、操作対象となる被制御機器を操作可能とするための情報処理装置、情報処理方法および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ等の被制御機器(以下、単に「機器」とも称する。)は、通常、例えばリモートコントローラ等のように操作方法の限られた行う入力デバイスによって操作される。しかし、マウスやキーボードが必要となる複雑な入力、例えば文字入力を行う場合は、このような入力デバイスは不便であった。そこで、より便利な入力デバイスとして、例えば携帯端末をテレビ等の機器の操作制御に用いることが行われている。携帯端末は、文字入力やオブジェクトの選択等の操作においても、高い操作性を有している。携帯端末を入力デバイスとして利用する一例としては、リモートデスクトップもある。
【0003】
被制御機器を遠隔操作可能とするための技術として、例えば、特許文献1のように、通信カードを用いてユーザの操作情報を被制御装置に送信して、被制御装置の遠隔操作を情報処理装置によって容易に行うことができるようにするものがある。また、例えば、特許文献2には、ネットワーク接続されたサーバとクライアントとの関係において、クライアントからのリモート操作を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−17404号公報
【特許文献2】特開2009−76011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、携帯端末を被制御機器の入力デバイスとして用いるためには、機器側に事前に携帯端末を登録する必要があるものが多く、機器の名称等を携帯端末に正確に入力、あるいは選択しておく必要があった。このため、事前にある程度の設定操作を行うことができるだけの知識をユーザが備えていなければならず、誰でも簡単に携帯端末を機器の入力デバイスとして利用できる状況ではなかった。
【0006】
また、単純に携帯端末を入力デバイスとして用いる場合には、携帯端末を操作しているのか、機器を操作しているのかが曖昧となり、誤動作を招く危険性もあった。リモートデスクトップにおいては、被制御機器の画面構成をそのまま携帯端末に転送する、いわゆるミラーリングを行っているため、動作が重いという問題がある。さらに、リモートデスクトップでは、携帯端末に機器の画面のすべてが表示されるので、障害発生時には操作をすべてのっとられてしまうというセキュリティ上の問題もある。
【0007】
そして、上記特許文献1では、ユーザにとって通信カードと被制御装置とを結びつける情報がないために、初期設定時の操作は必ずしも容易ではない。また、上記特許文献2では、クライアントから操作するサーバが事前に決定しているため、操作するサーバを選択する手段がない。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、簡単な操作で被制御機器の入力デバイスとして制御機器を用いることが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法および情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、操作対象候補となる、1または複数の被制御機器との通信を行う通信部と、被制御機器との接続処理を行う接続処理部と、ユーザの操作入力が行われる入力部と、を備え、接続処理部は、ユーザが入力部より入力した接続開始指示に基づいて、被制御機器に対して通知メッセージを送信し、通知メッセージを受信した被制御機器から通知返答メッセージを受信し、通知メッセージを受信した被制御機器に表示された機器識別情報を参照したユーザが操作対象とする操作対象機器を選択する操作入力を入力部より入力したとき、操作入力に基づいて、操作対象機器へ接続メッセージを送信し、接続メッセージに対する接続返答メッセージを操作対象機器から受信したとき、当該操作対象機器との接続を確立し、操作対象機器の操作を可能とする、情報処理装置が提供される。
【0010】
本発明の情報処理装置は、情報を表示する表示部をさらに備えてもよい。接続処理部は、通知メッセージを受信した被制御機器から通知返答メッセージを受信したとき、通知メッセージを受信した被制御機器に表示された機器識別情報を表示部に表示してユーザに通知し、表示部に表示された機器識別情報および被制御機器に表示された機器識別情報を参照したユーザが入力部より入力した、操作対象とする操作対象機器を選択する操作入力に基づいて、操作対象機器へ接続メッセージを送信する。
【0011】
接続処理部は、情報処理装置と操作対象機器との接続が確立されているとき、表示部に、操作対象機器の機器識別情報を表示させてもよい。
【0012】
入力部は、表示部に対する操作入力を検出可能に設けてもよい。このとき、ユーザが表示部に表示された機器識別情報を押下することにより、操作対象機器を選択する操作入力が行われるようにすることができる。
【0013】
本発明の情報処理装置は、操作入力に応じて操作対象機器を制御する操作処理部をさらに備えてもよい。情報処理装置と操作対象機器との接続が確立すると、表示部の表示領域は、少なくとも、操作対象機器に対する操作入力を受け付ける第1の操作領域と、情報処理装置自身の操作入力を受け付ける第2の操作領域とに区分され、操作処理部は、第1の操作領域で操作入力が行われているとき、当該操作入力を操作対象機器へ送信して、操作対象機器の操作を可能にし、第2の操作領域にて操作対象機器との接続を解除する操作入力が行われたとき、操作対象機器との接続を切断するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の情報処理装置は、被制御機器に対して情報を送信する電波の到達範囲を調整する調整部をさらに備えてもよい。調整部は、ユーザから入力された調整情報に基づいて、情報を送信する送信電力の強度を変更することができる。
【0015】
調整部は、調整情報を入力するスライドバーを有し、スライドバーの移動距離に基づいて、情報を送信する送信電力の強度を変更するようにしてもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、制御機器との通信を行う通信部と、制御機器との接続処理を行う接続処理部と、機器識別情報を表示する視覚表示部と、を備え、制御機器から接続開始指示に基づく通知メッセージを通信部により受信したとき、接続処理部は、制御機器に対して通知返答メッセージを送信し、視覚表示部は、ユーザが視認できるように、自身の機器識別情報を表示する。
【0017】
視覚表示部は、自身の機器識別情報を表示可能なディスプレイであってもよく、自身の機器識別情報を色彩により表す発光手段であってもよい。
【0018】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ユーザの操作入力が行われる入力部により入力された接続開始指示に基づいて、制御機器から、操作対象候補となる1または複数の被制御機器へ通知メッセージを送信するステップと、通知メッセージを受信した被制御機器が、制御機器に対して通知返答メッセージを送信するとともに、視覚表示部に機器識別情報を表示するステップと、被制御機器が送信した通知返答メッセージを制御機器が受信するステップと、被制御機器に表示された機器識別情報を参照したユーザが入力した、操作対象とする操作対象機器を選択する操作入力に基づいて、制御機器から操作対象機器へ接続メッセージを送信するステップと、接続メッセージを受信した操作対象機器が、制御機器に対して接続返答メッセージを送信するステップと、を含む、情報処理方法が提供される。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、通信可能に接続された制御機器と、制御機器により制御される被制御機器とからなる情報処理システムであって、制御機器は、操作対象候補となる、1または複数の被制御機器との通信を行う通信部と、被制御機器との接続処理を行う接続処理部と、ユーザの操作入力が行われる入力部と、を備え、被制御機器は、制御機器との通信を行う通信部と、制御機器との接続処理を行う接続処理部と、機器識別情報を表示する視覚表示部と、を備え、制御機器の入力部に入力された接続開始指示に基づいて、制御機器の接続処理部は、1または複数の被制御機器に対して通知メッセージを送信し、通知メッセージを受信した被制御機器は、被制御機器の接続処理部により制御機器に対して通知返答メッセージを送信するとともに、視覚表示部に機器識別情報を表示し、制御機器は、通知返答メッセージを受信し、被制御機器に表示された機器識別情報を参照したユーザが入力した、操作対象とする操作対象機器を選択する操作入力に基づいて、操作対象の接続処理部は、操作対象機器へ接続メッセージを送信し、接続メッセージを受信した操作対象機器は、制御機器に対して接続返答メッセージを送信する、情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、簡単な操作で被制御機器の入力デバイスとして制御機器を用いることが可能な情報処理装置、情報処理方法および情報処理システムを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの処理概要を示す説明図である。
【図2】同実施形態に係る情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【図3】情報処理システムによる携帯端末‐機器間の操作確立処理の全体の流れを示すタイミングチャートである。
【図4】携帯端末側における接続ボタン押下から接続情報表示までの処理を示すフローチャートである。
【図5】メッセージのフォーマット例を示す説明図である。
【図6】テレビと携帯端末とに識別子が表示された状態の一例を示す説明図である。
【図7】テレビと携帯端末とが接続した後、携帯端末へのユーザ入力とテレビの操作とが同期している状態を示す説明図である。
【図8】携帯端末の画面構成例を示す概念図である。
【図9】同実施形態に係る同期モード時の携帯端末の処理を示すフローチャートである。
【図10】携帯端末の他の画面構成例を示す説明図である。
【図11】携帯端末の電波到達範囲を示す説明図である。
【図12】携帯端末における電波到達範囲の変更処理を示すフローチャートである。
【図13】同実施形態に係る携帯端末の一ハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.情報処理システムの処理概要
2.情報処理システムの構成
3.情報処理システムによる携帯端末‐機器間の操作確立処理
3−1.接続ボタン押下から接続情報表示までの処理
3−2.接続情報表示からユーザ入力同期/解除までの処理
4.変形例
5.ハードウェア構成例
【0024】
<1.情報処理システムの処理概要>
まず、図1に基づいて、本発明の実施形態に係る情報処理装置を備える制御機器である携帯端末100と、被制御機器であるテレビ200とにおける情報処理システムの処理概要について説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システムの処理概要を示す説明図である。
【0025】
本実施形態に係る情報処理システムは、被制御機器と、当該被制御機器を操作するための制御機器とからなる。本実施形態では、被制御機器をテレビ200、制御機器である携帯端末100を、例えばノート型パーソナルコンピュータや携帯電話機、タブレット型端末等として説明するが、本発明は係る例に限定されない。例えば、被制御機器は情報を視覚的に表示可能な視覚表示部を備えていればよく、制御機器は持ち運び可能な端末であればよい。
【0026】
本実施形態に係る情報処理システムは、通常キーボードやマウス等を必要とするテレビ200上での煩雑な入力動作を、入力デバイスとして携帯端末100を用いて行うことを目的とする。この際、携帯端末100とテレビ200とのマッピングを行うことで、携帯端末100をテレビ200の入力デバイスとして用いることが可能となる。
【0027】
本実施形態の情報処理システムでは、図1に示すように、まず、携帯端末100において、当該携帯端末100により操作可能な機器を認識する処理が行われる。例えば、ユーザは、携帯端末100の表示部130に表示された接続ボタン132を押下して、近隣の機器に対して無線通信により通知メッセージを送信する(通知処理)。通知メッセージを受信した2台のテレビ200A、200Bは、通知部230(ここでは、表示部と兼用されている)の画面上に、それぞれの機器に固有の機器識別情報をオブジェクト232A、232Bのように表示する。これと同時に、携帯端末100の表示部130にも、各テレビ200A、200Bの機器識別情報に対応するオブジェクト134A、134Bが表示される。
【0028】
ユーザは、表示部130に表示されたオブジェクト134A、134Bのいずれかを選択して、携帯端末100にて操作する機器を選択する。例えば、テレビ200Bを選択するオブジェクト134Bが選択されると、オブジェクト134Bが選択されたことを示す選択マーク135が表示される。そして、携帯端末100は、テレビ200Bに対して、接続メッセージを送信して操作対象として選択したことを通知する(指定処理)。接続メッセージをテレビ200Bが受信することで、テレビ200Bと携帯端末100との接続が確立し、携帯端末100によるテレビ200Bへのユーザ入力(例えばカーソル操作やクリック等)が同期することとなる。
【0029】
以下、このような情報処理システムの構成とこれによる処理について、より詳細に説明していく。
【0030】
<2.情報処理システムの構成>
まず、図2に基づいて、本実施形態に係る情報処理システムの機能構成について説明する。なお、図2は、本実施形態に係る情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。図2には、携帯端末100により操作対象の機器を操作可能とするために必要な機能部のみを記載している。したがって、携帯端末100本来の機能を行うための処理部や、テレビ200A、200Bに番組等を表示させるための処理部については記載を省略しているが、これらは既存の手法により行われるものとする。
【0031】
情報処理システムは、図1において説明したように、被制御機器であるテレビ200A、200Bと、テレビ200A、200Bを操作するための制御機器である携帯端末100とからなる。
【0032】
携帯端末100は、通信部110と、接続処理部120と、表示部130と、入力部140と、操作処理部150と、記憶部160とからなる。
【0033】
通信部110は、被制御機器との間で情報の送受信を行う。通信部110による通信は、無線通信により行われる。無線通信の方式は、例えばWiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)等を用いることができるが、かかる例に限定されるものではない。通信部110は、接続処理部120の指示に基づき、テレビ200A、200Bへ情報を送信し、また、テレビ200A、200Bから送信された情報を受信する。
【0034】
接続処理部120は、携帯端末100とテレビ200A、200Bとの接続を確立するために機能する処理部である。接続処理部120は、ユーザから入力された接続指示に基づいて、通信部110を介してテレビ200A、200Bに対して通知メッセージを送信し、その応答結果から携帯端末100と接続可能か否かを判断する。そして、接続処理部120は、携帯端末100と接続可能と判断した機器を表示部130に表示させる。また、接続処理部120は、入力部140よりユーザが操作対象とする機器の選択情報を入力すると、通信部110を介して操作対象の機器へ接続メッセージを送信する。そして、接続処理部120は、接続メッセージに対する接続返答メッセージを操作対象の機器から受信することで、携帯端末100と接続対象の機器との接続を確立させる。
【0035】
表示部130は、例えば電話番号やメール、コンテンツ等の、携帯端末100本来の機能に基づく情報や、操作対象候補(あるいは操作対象)の機器を示すオブジェクト等を表示する。表示部130には、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を用いることができる。
【0036】
また、入力部140は、ユーザが操作情報を入力するための入力手段であって、例えば、ボタンやスイッチ、レバー等を用いることができる。また、入力部140としてタッチパッドを用いることもでき、表示部130と積層して設けてタッチパネルを構成してもよい。本実施形態では、入力部140としてタッチパッドを用いており、表示部130に表示された情報を指などにより操作して操作情報を入力可能に設けられている。
【0037】
操作処理部150は、携帯端末100と操作対象の機器との接続が確立された後、携帯端末100による操作対象の機器の操作処理を行う。操作処理部150は、入力部140から入力された操作情報に基づいて、通信部110を介して操作対象の機器へ操作指示を行う。また、操作対象の機器から操作指示に対するレスポンスがある場合には、操作処理部150を当該レスポンスに応じた処理を行い、必要に応じて表示部130にレスポンスに関する情報を表示させる。
【0038】
記憶部160は、携帯端末100と被制御機器との接続を確立するために用いる情報を記憶する。例えば、記憶部160には、携帯端末100により操作可能な機器のアドレスリストが記憶されている。記憶部160に記憶される情報は、予め設定されていてもよく、必要に応じて随時更新されるものであってもよい。
【0039】
一方、テレビ200A、200Bは、通信部210と、接続処理部220と、視覚表示部230と、制御部240とを備える。なお、テレビ200A、200Bの機能構成は同一であるため、以下ではテレビ200Aについてのみ説明する。
【0040】
通信部210は、制御機器との間で情報の送受信を行う。通信部210による通信は、上述したような無線通信により行われる。通信部210は、携帯端末100が送信した情報を受信し、また、接続処理部220または制御部240の指示に基づき情報を携帯端末100へ送信する。
【0041】
接続処理部220は、携帯端末100との接続を確立するために機能する処理部である。接続処理部220は、携帯端末100から送信された通知メッセージを受信すると、通信部210を介して通知返答メッセージを携帯端末100へ送信する。この際、接続処理部220は、視覚表示部230に、被制御機器であるテレビ200Aの機器識別情報を表示する。また、接続処理部220は、携帯端末100から送信された接続メッセージを受信すると、通信部210を介して接続返答メッセージを携帯端末100へ送信する。
【0042】
視覚表示部230は、被制御機器の機器識別情報を視覚的にユーザに通知する。視覚表示部230としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの表示手段等や、LED等の発光手段等を用いることができる。視覚表示部230が表示手段である場合、番組等を表示するディスプレイを兼用して用いてもよく、これとは別途に設けられたディスプレイであってもよい。
【0043】
制御部240は、携帯端末100と操作対象の機器との接続が確立された後、携帯端末100から送信された操作情報に基づき、機器を制御する。制御部240は、例えば、操作情報に基づき、表示番組の変更や、音量、表示設定情報の変更処理を行う。制御部240は、必要に応じて、操作制御における情報を携帯端末100へ通知することもできる。
【0044】
<3.情報処理システムによる携帯端末‐機器間の操作確立処理>
次に、図3〜図9に基づいて、本実施形態に係る情報処理システムによる携帯端末‐機器間の操作確立処理について説明する。情報処理システムによる携帯端末‐機器間の操作確立処理の全体の流れを、図3に示す。図3では、図1の携帯端末100を携帯端末M、図1のテレビ200Aを機器A、テレビ200Bを機器Bとして示している。また、以下では、携帯端末100、テレビ200A、テレビ200Bのアドレスを、それぞれアドレスM、アドレスA、アドレスBとし、テレビ200A、テレビ200Bの識別子を、それぞれ識別子1、識別子2とする。
【0045】
[3−1.接続ボタン押下から接続情報表示までの処理]
まず、図3および図4、5に基づいて、接続ボタン押下から接続情報表示までの処理を説明する。なお、図4は、携帯端末100側における接続ボタン押下から接続情報表示までの処理を示すフローチャートである。図5は、メッセージのフォーマット例を示す説明図である。
【0046】
本実施形態では、図1に示した携帯端末100に表示された接続ボタン132が押下されることにより、各被制御機器へ通知メッセージが送信され、情報処理システムによる携帯端末‐機器間の操作確立処理が開始される。その前に、携帯端末100は、図4に示すように、通知メッセージを送信する機器のアドレスを予め取得し、アドレスリストを作成しておく(S100)。機器のアドレスリストは、例えばSSDP(Simple Service Discovery Protocol)を用いて作成することができる。なお、携帯端末100のアドレスM、被制御機器のアドレスA、アドレスBは、これらを一意に判別できる情報であり、例えば、IPアドレスやMACアドレス、携帯端末100および各機器200A、200Bに付与された上位層のアドレス等を用いることができる。
【0047】
ユーザが接続ボタン132を押下すると(S110)、携帯端末100は、接続可能な被制御機器を探索するために、無線通信により近隣端末へ通知メッセージを送信する(S120)。通知メッセージは、ユニキャストで被制御機器へ送信される。通知メッセージには、メッセージの送信元である携帯端末100のアドレスMと、送信先の機器の識別情報である識別子とが少なくとも含まれている。
【0048】
図5に、通知メッセージや返答メッセージ等で用いる典型的なメッセージフォーマットを示す。図5に示すように、メッセージには、メッセージタイプ、制御機器アドレス、被制御機器アドレス、識別子、通信状態等が含まれる。メッセージタイプは、メッセージの種別を表す情報であり、例えば、図3に示す[通知]、[返答]、[確認]、[切断]といった情報である。また、本実施形態において、制御機器アドレスは携帯端末100のアドレスMであり、被制御機器アドレスは機器200A、200BのアドレスA、アドレスBである。
【0049】
識別子は、各被制御機器200A、200Bの視覚表示部230に表示される情報であり、本実施形態では数字を用いている。携帯端末100は、例えば、通知メッセージが送信される順に1ずつ増加された数を識別子として各機器に付与することで、各機器に異なる識別子を付与することができる。このように、識別子は、被制御機器200A、200B毎に異なる情報であればよい。本実施形態では、図1に示すように、簡単のため数字を用いているが、本発明はかかる例に限定されず、文字列やアイコン、またはこれらを組み合わせたもの等、ユーザが認識し易い情報を用いることができる。そして、通信状態には、例えば、メッセージの送受信が成功したか否か等の情報が記録されている。
【0050】
携帯端末100の接続処理部120は、操作対象候補であるすべての機器へ通知メッセージを送信したか否かを確認し(S130)、まだ送信されていない機器がある場合には、識別子を1増加して(S140)、次の機器へメッセージを送信する。すなわち、すべての機器へ通知メッセージが送信されるまでステップS120〜S140の処理が繰り返される。そして、すべての機器へ通知メッセージが送信されると、各機器からの返答メッセージを待つ。
【0051】
一方、携帯端末100からの通知メッセージを受信した機器200A、200Bは、携帯端末100へ返答メッセージを送信する。この際、各機器200A、200Bは、視覚表示部230に識別子を表示する。例えば、図1に示すように、機器200Aの視覚表示部230には識別子「1」が表示され、機器200Bの視覚表示部230には識別子「2」がオブジェクト表示される。そして、各機器200A、200Bは、携帯端末100に対して、返答メッセージを送信する。返答メッセージには、自身のアドレスおよび識別子(すなわち、機器200AはアドレスAおよび識別子1、機器200BはアドレスBおよび識別子2)が含まれる。
【0052】
携帯端末100は、各機器200A、200Bからの返答メッセージを受信すると(S150)、返答メッセージに含まれる各機器の識別子を表示部130に表示させる(S160)。携帯端末100の表示部130には、例えば図1の下側中央に示すように、機器200Aの識別子「1」と、機器200Bの識別子「2」とがオブジェクト表示される。なお、識別子の表示には、様々なオペレーティングシステムで用いられているグローバル通知システムを利用することができる。
【0053】
そして、携帯端末100は、すべての返答メッセージを受信したか否かを確認し(S170)、未受信の返答メッセージがある場合には、ステップS150からの処理を繰り返す。一方、ステップS170にてすべてのメッセージを受信したと判定した場合には、ユーザからの入力操作の受付を待つ。以上で接続ボタン押下から接続情報表示までの処理が終了する。ステップS170の処理が終了した段階では、携帯端末100により操作可能な機器の識別子が表示部130に表示された状態となる。
【0054】
図1の下側中央に示す例では、2つの機器200A、200Bを携帯端末100によって操作可能であることがわかる。このとき、各機器200A、200Bの視覚表示部230にも自身の識別子が表示されているので、ユーザは、各機器の識別子を視覚的に認識することができる。携帯端末100の表示部130に表示された識別子のオブジェクト134A、134Bは、例えば操作対象を選択するための選択ボタンとして機能させることもできる。この場合、ユーザは、表示部130の識別子のオブジェクト134A、134Bのうちいずれか1つを押下することで、携帯端末100で操作する機器を決定することができる。
【0055】
[3−2.接続情報表示からユーザ入力同期/解除までの処理]
ユーザが操作対象とする機器を決定すると、携帯端末100は、決定された機器に対して接続メッセージを送信する。例えば、図3に示すように、携帯端末100に表示された識別子「2」のボタン(オブジェクト134B)が押下されたとする。そうすると、携帯端末100の接続処理部120は、機器200Bに対して接続を要請するために、通信部110を介して、図5に示したフォーマットの接続メッセージを機器200Bへ送信する。接続メッセージには、携帯端末100のアドレスMが含まれる。
【0056】
接続メッセージを受信した機器200Bは、携帯端末100に対して接続返答メッセージを送信する。接続返答メッセージには、機器200Bのアドレスが含まれる。接続返答メッセージを携帯端末100が受信すると、実際の接続が開始され、携帯端末100から入力されたユーザ入力が機器200Bと同期するようになる(ユーザ同期区間、「同期モード」ともいう。)。
【0057】
図6は、テレビ200Bと携帯端末100とに識別子が表示された状態の一例を示す説明図である。例えば、携帯端末100とテレビ200Bとの接続が確立された状態では、図6に示すように、携帯端末100の表示部130にはテレビ200Bの識別子「2」のオブヘクト134Bが表示される。これとともに、テレビ200Bの視覚表示部230には当該テレビ200Bの識別子「B」のオブジェクト232Bが表示される。これにより、ユーザは携帯端末100によって操作可能となった機器を認識することができる。
【0058】
図7に、テレビ200Bと携帯端末100とが接続した後、携帯端末100へのユーザ入力とテレビ200Bの操作とが同期している状態を示す。図7の携帯端末100では、テレビ200Bを操作可能な機器操作領域130bが設定されている。機器操作領域130bは、図7の破線内で示すように表示部130に設定された所定の領域であり、機器操作領域130b内での操作はすべてテレビ200Bへ送信される。
【0059】
例えば、同期モードにおいて、図7の携帯端末100の表示部130に、テレビ200Bのディスプレイ(本実施形態では視覚表示部230と兼用)に表示されたカーソル234に対応するカーソル136が表示されたとする。このとき、ユーザは、携帯端末100の表示部130に表示されたカーソル136を指で移動させると、この操作入力がテレビ200Bにも送信される。携帯端末100への操作入力を受信したテレビ200Bの制御部240は、操作入力に基づき、ディスプレイに表示されたカーソル234を移動させる。このように、携帯端末100にて操作入力を行うことで、テレビ200Bの操作を行うことができる。
【0060】
一方、機器操作領域130b以外の領域、すなわち、携帯端末操作領域130aで操作が行われた場合には、携帯端末100が操作される。つまり、携帯端末100の画面構成は、図8に示すように、携帯端末100の通常の操作領域(携帯端末操作領域130a)と、テレビ200Bの操作領域(機器操作領域130b)とからなり、操作入力を行う領域を変えることで、ユーザは操作対象を変更することができる。なお、図7に示すように、携帯端末100のEscボタン137が押下された場合にも、テレビ200Bへの操作入力を終了するようにしてもよい。
【0061】
この同期モード時の処理を、図9に基づき、より詳細に説明する。図9は、本実施形態に係る同期モード時の携帯端末100の処理を示すフローチャートである。同期モードとなると、携帯端末100は、入力部140からのユーザ入力を常に受け付けている状態となる(S200)。入力部140からユーザ入力がなされると、操作処理部150は、操作入力が機器操作領域130bで入力されたものであるか否か判定する(S210)。上述したように、本実施形態では図7、図8に示すように、携帯端末100の画面は、携帯端末操作領域130aと機器操作領域130bとからなる。ステップS210では、いずれの領域で操作入力が行われたかを判定することにより、どの機器を操作するためかの入力であるかを判定している。
【0062】
機器操作領域130b内で入力操作が行われたと判定した場合、操作処理部150は、Escボタン137が押下されたか否かを確認する(S220)。なお、Escボタン137は、機器操作領域130b内に設けられているとする。ステップS220にてEscボタン137が押下されたと判定された場合、携帯端末100は、当該携帯端末100およびテレビ200Bのいずれも操作することなく処理を終了する。例えば、図3に示すように、Escボタン137が押下されると、携帯端末100は、携帯端末100のアドレスMを含む切断メッセージをテレビ200Bへ送信し、同期モードを終了する。
【0063】
一方、ステップS220にてEscボタン137は押下されていないと判定された場合には、操作処理部150は、通信部110を介して、テレビ200Bへ入力操作の情報を送信する(S230)。携帯端末100で行われた入力操作の情報を受信したテレビ200Bは、かかる情報に基づいて、テレビ200Bの操作処理を実行する。これにより、携帯端末100によるテレビ200Bの操作が実現される。
【0064】
その後、携帯端末100の操作処理部150は、入力部140に対して行われる一連の入力操作が終了したか否かを判定する(S240)。一連の入力操作としては、例えば、表示部130に表示されたカーソル136をユーザが指で移動させた後、その指を表示部130から離隔させてカーソル136の移動を完了させる、といった操作等がある。ステップS240にて一連の入力操作が終了したと判定したとき、例えばカーソル136を移動させる指が表示部130から離隔されたとき、操作処理部150は、テレビ200Bへ入力操作の情報の送信を一度中断し、ステップS200へ戻る。そして、次の入力操作の受け付ける状態に戻り、ステップS200以降の処理を繰り返す。かかる処理は、同期モードが終了するまで繰り返される。
【0065】
一方、ステップS240にて一連の入力操作がまだ終了していないと判定したとき、操作処理部150は、入力操作の情報を続けてテレビ200Bへ送信し、ステップS230、S240の処理を繰り返し行う。
【0066】
ステップS210の説明に戻り、操作入力が機器操作領域130b外で入力されたと判定された場合、操作処理部150は、機器操作領域130b外でクリック操作が行われたか否かを判定する(S250)。ステップS250の処理は、本実施形態では、携帯端末操作領域130aにおいてテレビ200Bの操作を終了するための入力操作が行われたか否かを判定するものである。テレビ200Bの操作を終了するための処理は、上述したクリック操作であってもよく、その他の操作であってもよい。機器操作領域130b外でクリック操作が行われたと判定した場合、操作処理部150は、ステップS220でWscボタン137が押下されたときと同様、切断メッセージをテレビ200Bへ送信し、同期モードを終了する。
【0067】
一方、機器操作領域130b外でテレビ200Bの操作を終了するための入力操作、例えばクリック操作が行われていないと判定した場合、操作処理部150は、入力部140から入力された入力操作に基づいて、携帯端末100の入力処理を実行する(S260)。その後、携帯端末100は、再び入力操作を受け付ける状態(S200)となる。
【0068】
以上、同期モードにおける携帯端末100の処理について説明した。このように、図3〜図9に基づいて説明した接続ボタン押下から接続情報表示までの処理、および接続情報表示からユーザ入力同期/解除までの処理が行われることで、携帯端末100を操作対象の機器の入力デバイスとして用いるための設定を行うことができる。
【0069】
従来は、携帯端末100を操作対象の機器の入力デバイスとして用いるためには、機器に対してデバイス登録を事前に行ったり、機器の名称をユーザが把握しておき接続対象をリストから選択したりすることが必要であった。しかし、本実施形態の情報処理システムによれば、予めデバイス登録を行う必要はなく、携帯端末100上での、接続開始操作および機器選択操作の2つの操作をすることで、携帯端末100と操作対象の機器との同期をとることができる。
【0070】
<4.変形例>
(4−1.携帯端末の画面構成)
図7、図8に示した携帯端末100の画面は、表示部130の周囲部分を除き、大半の領域が機器操作領域130bとして設定されていた。しかし、機器操作領域130bを小さくすることで、本来の携帯端末100の操作とテレビ200の操作とをシームレスに切り替えることが可能となる。例えば、図10に示すように、表示部130の右上隅に機器操作領域130bを表示することで、携帯端末操作領域130aと機器操作領域130bとでの操作を、表示部130内で容易に切り替えることができる。このように、機器の入力デバイスとなる携帯端末100の画面は、操作性を考慮して、適宜設定することができる。
【0071】
(4−2.電波到達範囲の設定)
本実施形態に係る携帯端末100は、携帯端末100から出力される電波の到達範囲を変更可能に構成することもできる。図11は、携帯端末100の電波到達範囲を示す説明図である。図12は、携帯端末100における電波到達範囲の変更処理を示すフローチャートである。
【0072】
図11の上図に示すように、携帯端末100からの電波到達範囲内に存在しない機器200は、携帯端末100からの通知メッセージを受信することができない。このため、機器200の識別子は視覚表示部230には表示されない。一方、電波到達範囲が広くなり、当該範囲内に機器200が入るようになると、機器200は携帯端末100からの通知メッセージを受信することができるようになる。通知メッセージを受信した機器200の視覚表示部230には、図11の下図に示すように、機器200の識別子を示すオブジェクト232が表示される。
【0073】
このように、携帯端末100の電波到達範囲が相違すると、携帯端末100に対する被制御対象の機器200の位置に応じて、検出される機器の数が異なってくる。電波到達範囲内に多数の機器が存在していると、ユーザは操作対象の機器を多数の機器から選択しなければならず、選択に手間が掛かり、誤選択する可能性もある。そこで、携帯端末100の電波到達範囲を変更可能とすることで、操作対象候補となる近隣の機器を容易に発見できるようになる。また、例えば携帯端末100から視認できない機器を発見してしまうことも防止することができる。
【0074】
携帯端末100の電波到達範囲の変更は、例えば図11に示すように、携帯端末100の表示部130に表示されたスライドバー138によって行うことができる。例えば、スライドバー138の左側にスイッチ138aがあるときの送信電力を0%、スライドバー138の右側にスイッチ138aがあるときの送信電力を100%とする。すなわち、スイッチ138aが左側にあるほど電波到達範囲が狭く、右側に移動させるにつれて電波到達範囲が広くなる。送信電力の大きさは、スライドバー130における基準位置からのスイッチ138aの移動距離に応じて変化する。また、図11に示すように、スライドバー138のスイッチ138aを、通知メッセージの送信を開始する接続ボタンとして用いてもよい。
【0075】
このような携帯端末100での電波到達範囲の変更は、例えば図12に示すように行うことができる。まず、携帯端末100は、接続ボタンが押下されるまで通知メッセージの送信の実行を待機する(S300)。接続処理部120は、接続ボタンが押下されたか否かを所定のタイミングで確認し(S310)、押下されるまでステップS300、S310の処理を繰り返す。
【0076】
接続ボタンが押下されると、接続処理部120は、スライドバー138における接続ボタンの位置を確認し、その位置に応じて通知メッセージを送信する送信電力の大きさを決定する。本例では、送信電力を3段階に変化させる。上述したように、スライドバー138の左端を基準位置として、スライドバー138の全長に対する、基準位置からの接続ボタン(スイッチ138a)の移動距離の割合に応じて、送信電力の大きさは決定される。携帯端末100は、その割合が25%以内のとき、第1の送信電力で通知メッセージを送信し、25%以上50%以内のとき、第1の送信電力より大きい第2の送信電力で通知メッセージを送信する。そして、携帯端末100は、その割合が50%以上のとき、第2の送信電力より大きい第3の送信電力で通知メッセージを送信する。これにより、小域、中域、広域の3つの電波到達範囲を設定することが可能となる。
【0077】
そこで、携帯端末100の接続処理部120は、図12に信施羽陽に、接続ボタンの移動距離がスライドバー138全長の25%以内であるか否かを判定する(S320)。25%以内であれば、接続処理部120は、最も弱い、第1の送信電力で通知メッセージを機器200へ送信する(S330)。そして、ステップS310に戻り、接続ボタンの移動操作が続けて行われているか否かを確認し、接続ボタンが移動されている間は通知メッセージを送信する送信電力の大きさの設定を行う。
【0078】
ステップS320で、スライドバー138全長に対する接続ボタンの移動距離の割合が25%以上であった場合、接続処理部120は、次に、その割合が50%以内であるか否かを判定する(S340)。50%以内であれば、接続処理部120は、中程度の、第2の送信電力で通知メッセージを機器200へ送信する(S350)。そして、ステップS310に戻り、接続ボタンの移動操作が続けて行われているか否かを確認し、接続ボタンが移動されている間は通知メッセージを送信する送信電力の大きさの設定を行う。
【0079】
ステップS340で、スライドバー138全長に対する接続ボタンの移動距離の割合が50%以上であった場合、接続処理部120は、最も強い、第3の送信電力で通知メッセージを機器200へ送信する(S360)。そして、接続処理部120は、接続ボタンの押下が停止されたか否かを確認し(S370)、継続して押下されている場合にはステップS310へ戻り、ステップS310からの処理を繰り返す。一方、ステップS370にて接続ボタンの押下が停止されたと判定した場合、接続処理部120は、電波到達範囲の変更処理を終了する。
【0080】
このように、電波到達範囲を変更することで、操作対象の機器を発見しやすくすることができる。
【0081】
<5.ハードウェア構成例>
本実施形態にかかる携帯端末100による処理は、ハードウェアにより実行させることもでき、ソフトウェアによって実行させることもできる。この場合、携帯端末100は、図13に示すようなコンピュータとして構成することもできる。以下、図13に基づいて、本実施形態に係る携帯端末100の一ハードウェア構成例について説明する。
【0082】
本実施形態に係る携帯端末100は、上述したように、コンピュータ等の処理装置により実現することができる。携帯端末100は、図13に示すように、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ホストバス104aとを備える。また、携帯端末100は、ブリッジ104と、外部バス104bと、インタフェース105と、入力装置106と、出力装置107と、ストレージ装置(HDD)108と、ドライブ109と、接続ポート111と、通信装置113とを備える。
【0083】
CPU101は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って携帯端末100内の動作全般を制御する。また、CPU101は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM102は、CPU101が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM103は、CPU101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス104aにより相互に接続されている。
【0084】
ホストバス104aは、ブリッジ104を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス104bに接続されている。なお、必ずしもホストバス104a、ブリッジ104および外部バス104bを分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0085】
入力装置106は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU101に出力する入力制御回路などから構成されている。出力装置107は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置や、スピーカなどの音声出力装置を含む。
【0086】
ストレージ装置108は、携帯端末100の記憶部の一例であり、データ格納用の装置である。ストレージ装置108は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置108は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置108は、ハードディスクを駆動し、CPU101が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0087】
ドライブ109は、記憶媒体用リーダライタであり、携帯端末100に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ109は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM103に出力する。
【0088】
接続ポート111は、外部機器と接続されるインタフェースであって、例えばUSB(Universal Serial Bus)などによりデータ伝送可能な外部機器との接続口である。また、通信装置113は、例えば、通信網10に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置112は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0089】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0090】
例えば、上記実施形態では、操作対象とする機器の決定は、押下可能な選択ボタンを兼ねて表示部130に表示された、接続可能な機器の識別子を押下することで行われたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、携帯端末100に既存のボタンを示す表示を操作対象候補の機器の視覚表示部230に表示して、操作対象とする機器の選択方法を提示するようにしてもよい。すなわち、機器の視覚表示部230に表示された情報と同一の情報が携帯端末100に存在することで、ユーザは、所望の機器を容易に選択することができる。この場合、制御機器である携帯端末100に、必ずしも表示部130が設けられていなくともよい。
【0091】
また、上記実施形態では、被制御機器であるテレビ200のディスプレイを、自身の識別子を表示させる視覚表示部230として用いたが、本発明は係る例に限定されない。例えば、視覚表示部230は、被制御機器に設けられた、ユーザに対して視覚的に自身を識別させるものであればよく、LED等の発光手段等を用いることができる。この場合、例えば、各被制御機器に異なる色のLEDをそれぞれ設けておく。携帯端末100から通知メッセージを受信した機器は、視覚表示部230であるLEDを発光させ、携帯端末100に対して返答メッセージを送信する。
【0092】
返答メッセージを受信した携帯端末100の表示部130には、返答メッセージを送信した機器のLEDの色が、文字あるいは色彩によって表示される。これにより、ユーザは、携帯端末100に表示された情報と被制御機器のLEDとを対比して、操作対象の機器を特定することができる。
【0093】
さらに、上記実施形態では、携帯端末100によりテレビ200の操作を行う場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、本発明の情報処理システムは、携帯端末100と被制御機器とがウェブブラウザベースのシステムである場合にも適用可能である。この場合、同期モードに入るためのメッセージの送受信はHTTPに準拠したものを用いて行えばよい。
【符号の説明】
【0094】
100 携帯端末(制御機器)
110 通信部
120 接続処理部
130 表示部
130a 携帯端末操作領域
130b 機器操作領域
132 接続ボタン
134A、134B オブジェクト
136 カーソル
137 Escボタン
140 入力部
150 操作処理部
200、200A、200B 機器(被制御機器、テレビ)
210 通信部
220 接続処理部
230 視覚表示部
232、232A、232B オブジェクト
234 カーソル
240 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象候補となる、1または複数の被制御機器との通信を行う通信部と、
前記被制御機器との接続処理を行う接続処理部と、
ユーザの操作入力が行われる入力部と、
を備え、
前記接続処理部は、
ユーザが前記入力部より入力した接続開始指示に基づいて、前記被制御機器に対して通知メッセージを送信し、
前記通知メッセージを受信した前記被制御機器から通知返答メッセージを受信し、前記通知メッセージを受信した前記被制御機器に表示された機器識別情報を参照したユーザが操作対象とする操作対象機器を選択する操作入力を前記入力部より入力したとき、前記操作入力に基づいて、前記操作対象機器へ接続メッセージを送信し、
前記接続メッセージに対する接続返答メッセージを前記操作対象機器から受信したとき、当該操作対象機器との接続を確立し、前記操作対象機器の操作を可能とする、情報処理装置。
【請求項2】
情報を表示する表示部をさらに備え、
前記接続処理部は、
前記通知メッセージを受信した前記被制御機器から通知返答メッセージを受信したとき、前記通知メッセージを受信した前記被制御機器に表示された機器識別情報を前記表示部に表示してユーザに通知し、
前記表示部に表示された機器識別情報および前記被制御機器に表示された機器識別情報を参照したユーザが前記入力部より入力した、操作対象とする操作対象機器を選択する操作入力に基づいて、前記操作対象機器へ接続メッセージを送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記接続処理部は、前記情報処理装置と前記操作対象機器との接続が確立されているとき、前記表示部に、前記操作対象機器の機器識別情報を表示させる、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記入力部は、前記表示部に対する操作入力を検出可能に設けられ、
ユーザが前記表示部に表示された機器識別情報を押下することにより、前記操作対象機器を選択する操作入力が行われる、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
操作入力に応じて前記操作対象機器を制御する操作処理部をさらに備え、
前記情報処理装置と前記操作対象機器との接続が確立すると、前記表示部の表示領域は、少なくとも、前記操作対象機器に対する操作入力を受け付ける第1の操作領域と、前記情報処理装置自身の操作入力を受け付ける第2の操作領域とに区分され、
前記操作処理部は、
前記第1の操作領域で操作入力が行われているとき、当該操作入力を前記操作対象機器へ送信して、前記操作対象機器の操作を可能にし、
前記第2の操作領域にて前記操作対象機器との接続を解除する操作入力が行われたとき、前記操作対象機器との接続を切断する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記被制御機器に対して情報を送信する電波の到達範囲を調整する調整部をさらに備え、
前記調整部は、ユーザから入力された調整情報に基づいて、前記情報を送信する送信電力の強度を変更する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記調整部は、調整情報を入力するスライドバーを有し、
前記スライドバーの移動距離に基づいて、前記情報を送信する送信電力の強度を変更する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
制御機器との通信を行う通信部と、
前記制御機器との接続処理を行う接続処理部と、
機器識別情報を表示する視覚表示部と、
を備え、
前記制御機器から接続開始指示に基づく通知メッセージを前記通信部により受信したとき、
前記接続処理部は、前記制御機器に対して通知返答メッセージを送信し、
前記視覚表示部は、ユーザが視認できるように、自身の機器識別情報を表示する、情報処理装置。
【請求項9】
前記視覚表示部は、自身の機器識別情報を表示可能なディスプレイである、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記視覚表示部は、自身の機器識別情報を色彩により表す発光手段である、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
ユーザの操作入力が行われる入力部により入力された接続開始指示に基づいて、制御機器から、操作対象候補となる1または複数の被制御機器へ通知メッセージを送信するステップと、
前記通知メッセージを受信した前記被制御機器が、前記制御機器に対して通知返答メッセージを送信するとともに、視覚表示部に機器識別情報を表示するステップと、
前記被制御機器が送信した通知返答メッセージを前記制御機器が受信するステップと、
前記被制御機器に表示された機器識別情報を参照したユーザが入力した、操作対象とする操作対象機器を選択する操作入力に基づいて、前記制御機器から前記操作対象機器へ接続メッセージを送信するステップと、
前記接続メッセージを受信した前記操作対象機器が、前記制御機器に対して接続返答メッセージを送信するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項12】
通信可能に接続された制御機器と、前記制御機器により制御される被制御機器とからなる情報処理システムであって、
前記制御機器は、
操作対象候補となる、1または複数の前記被制御機器との通信を行う通信部と、
前記被制御機器との接続処理を行う接続処理部と、
ユーザの操作入力が行われる入力部と、
を備え、
前記被制御機器は、
制御機器との通信を行う通信部と、
前記制御機器との接続処理を行う接続処理部と、
機器識別情報を表示する視覚表示部と、
を備え、
前記制御機器の入力部に入力された接続開始指示に基づいて、前記制御機器の接続処理部は、1または複数の被制御機器に対して通知メッセージを送信し、
前記通知メッセージを受信した前記被制御機器は、前記被制御機器の接続処理部により前記制御機器に対して通知返答メッセージを送信するとともに、前記視覚表示部に機器識別情報を表示し、
前記制御機器は、前記通知返答メッセージを受信し、
前記被制御機器に表示された機器識別情報を参照したユーザが入力した、操作対象とする操作対象機器を選択する操作入力に基づいて、前記操作対象の接続処理部は、前記操作対象機器へ接続メッセージを送信し、
前記接続メッセージを受信した前記操作対象機器は、前記制御機器に対して接続返答メッセージを送信する、情報処理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−254238(P2011−254238A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126018(P2010−126018)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】