説明

情報処理装置、情報処理方法

【課題】 ユーザが比較的覚えやすい情報をパスワードとして用いるだけでなく、横から他人に見られてもパスワードの推測が困難となるような認証を実現するための技術を提供すること。
【解決手段】 認証時にパス画像を含む複数の画像を画面上に表示した場合にユーザがこの画面上で指示すべき指示位置と、パス画像の表示位置と、の位置関係を示す位置関係情報を設定する(S208)。そして、パス画像の画像情報と、設定した位置関係情報と、を含む認証情報を作成し(S210)、メモリに登録する(S211)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証に係る技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な個人認証方法が提案されているが、画像を使用した個人認証方法である画像認証方法が注目を集めている。これは、アカウント、パスワードを用いた認証方法の問題点である「(意味の無い)文字列を記憶し、認証時にはそれを間違いなく完全に思い出さなければならない」という問題点を解消するためのものである。具体的には、人間の得意な長期視覚記憶を活用し、パスワードの代わりに画像(パス画像)を記憶し、認証時には表示された画像の中からパス画像を指定する、というものである。
【0003】
しかし、画像認証方式は上述のように利便性は高いが、安全性、つまりセキュリティの面では、総当たり攻撃等によってパス画像が容易に推測できるという問題がある。
【0004】
非特許文献1では、認証時に複数回、画像群を表示するシステムにおいて、画像群にパス画像を含まない回を混ぜることで、推測を困難にする手法が提案されている。
【0005】
また、画像認証方式ではないが、パスワード入力操作を他人に見られた場合でも推測を困難にする、という目的では特許文献1に提案がある。これはまず、表示部に1から9の数字を表示するが、毎回異なったランダムなグラフィックパターン(各数字が黒もしくは白抜け反転表示されている)を表示する。例えばユーザが登録したパスワードが、2黒、4黒、5黒、9黒(つまり数字として2,4,5,9が黒表示、それ以外の数字は白抜け反転表示)であったとする。認証時の表示が1黒、2白、3黒、4黒、5黒、6白、7白、8黒、9白であったとすると、自分のパスワードと異なる表示が成されている番号すべてが入力すべき番号であり、1,2,3,8,9が入力できれば認証が成功する。これにより、従来の数字のみのパスワードに加えて、白黒表示という要素を用いることになる。即ち、パスワード以外の数字も入力させることで他人の推測を困難にしている。
【非特許文献1】情報処理学会論文誌, Vol.44, No.8 「あわせ絵:画像登録と利用通知を用いた正候補選択方式による画像認証方式の強化方法」
【特許文献1】特開平6−214954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら非特許文献1に係る技術では、認証時に思い出しやすいパス画像を使うために利便性は高いが、パス画像を指定している操作を横から他人に見られた場合には容易にパス画像が判明してしまうという欠点を有しており、依然安全性の面で問題がある。
【0007】
特許文献1に係る技術では、パスワード入力操作を横から他人に見られた場合でもパスワードの推測が困難で、安全性に配慮がなされているものの、意味の無い文字列であるパスワードを覚えておく必要があり、また入力も毎回考える必要があり、利便性は低い。
【0008】
本発明は以上の問題に鑑みて成されたものであり、ユーザが比較的覚えやすい情報をパスワードとして用いるだけでなく、横から他人に見られてもパスワードの推測が困難となるような認証を実現するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の情報処理装置は以下の構成を備える。
【0010】
即ち、認証時に用いるパス画像の画像情報を取得する取得手段と、
認証時に前記パス画像を含む複数の画像を画面上に表示した場合にユーザが当該画面上で指示すべき指示位置と、前記パス画像の表示位置と、の位置関係を示す位置関係情報を設定する設定手段と、
前記取得手段が取得した画像情報と、前記設定手段が設定した設定した位置関係情報と、を含む認証情報を作成し、メモリに登録する登録手段と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成によれば、ユーザが比較的覚えやすい情報をパスワードとして用いるだけでなく、横から他人に見られてもパスワードの推測が困難となるような認証を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載の構成の具体的な実施例の1つである。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。図1に示す如く、本実施形態に係る情報処理装置は、画像入力部105、画像メモリ部104、認証用データ保存部110、判定部108、画像選択部103、表示制御部102、表示部101、操作部109、により構成されている。
【0014】
表示部101は、CRTや液晶画面などにより構成されており、表示制御部102による制御に従って画像や文字などを表示する。
【0015】
表示制御部102は、表示部101における表示に係る制御全般を行う。例えば、画像選択部103から表示用の画像として受けた画像群を一覧表示するための画面を生成し、係る画面を表示部101に表示する為の制御処理を行う。
【0016】
画像選択部103は、表示部101に表示するための画像群を画像メモリ部104から読み出し、読み出した画像群を表示制御部102に送出する。
【0017】
画像メモリ部104には複数の画像が登録されている。登録画像は、写真画像、イラスト画像、単色画像、数字などの文字を示す画像等、ユーザが比較的長期的に視覚記憶しやすい画像であれば如何なる画像であっても良い。
【0018】
画像入力部105は、画像メモリ部104に登録する画像を入力するためのもので、例えば、ディジタルカメラや、ディジタルカメラを接続する為のインターフェース等により構成されている。即ち、画像の取得形態については特に限定するものではなく、本装置に画像を入力することができるのであれば、如何なる入力形態を採用しても良い。
【0019】
判定部108は、認証用データ保存部110に保存されている認証用データを用いて、認証に係る様々な判定処理を行う。
【0020】
認証用データ保存部110には、ユーザ毎の認証用データ(認証情報)が登録されている。
【0021】
操作部109は、ユーザが様々な指示を本装置に対して入力するために操作するものであり、ハードキー群により構成されている。なお、表示部101と操作部109とを一体化し、タッチパネル画面としても良い。
【0022】
次に、本実施形態に係る情報処理装置が行う処理について詳細に説明する。本実施形態に係る情報処理装置が行う処理は2つに大別される。即ち、ユーザの認証用データの登録処理と、認証処理、の2つである。
【0023】
先ず、ユーザの認証用データの登録処理について説明する。
【0024】
<ユーザの認証用データの登録処理>
図2は、ユーザの認証用データの登録処理のフローチャートである。
【0025】
先ず、ステップS201において、表示制御部102は表示部101に、ユーザのIDを入力させる為の画面を表示する。ユーザは係る画面上で、自身に固有のIDを操作部109を用いて入力する。例えば、ユーザは自身の苗字である「tanaka」をIDとして操作部109を用いて入力することができる。
【0026】
ステップS202では、判定部108は、ユーザが操作部109を用いて入力したIDを取得し、これを一時記憶する。
【0027】
次に、ステップS203では、認証時に最初に使われる画像であるID画像の登録を行うべく、画像選択部103は、画像メモリ部104から表示部101に一度に表示する分の数の画像群を読み出し、読み出した画像群を表示制御部102に送出する。表示制御部102は、この画像群を表示部101の画面上に一覧表示する。この一覧表示された画像群は、ID画像の候補となるものであり、ユーザはこの画像群の中から1つをID画像として、操作部109を用いて選択する。なお、この一覧表示した画像群の中にユーザがID画像として用いたい画像がなかった場合には、操作部109を用いて次の画像群を表示する旨の指示を入力する。これにより、画像選択部103はまた新たな画像群を画像メモリ部104から読み出し、読み出した画像群を表示制御部102に送出する。表示制御部102は、この画像群を表示部101の画面上に一覧表示する。
【0028】
ステップS204では、判定部108は、ユーザにより選択指示されたID画像の画像情報(例えばファイル名)を取得し、これを一時記憶する。
【0029】
なお、ID画像を本装置に登録するための方法についてはこれに限定するものではなく、他の方法も考えられる。例えば、ユーザが予めID画像として用意した画像を画像入力部105を用いて判定部108に送出しても良い。一例としては、画像入力部105が撮像装置の場合、ユーザは自身の顔を係る撮像装置を用いて撮像する。撮像に係る操作は操作部109を用いて行う。そして画像入力部105は、係る撮像により得られる撮像画像をID画像として、判定部108に送出する。判定部108は、このID画像の画像情報(例えばファイル名)を取得し、これを一時記憶する。
【0030】
次に、ステップS205では、パスワードとして機能するパス画像の種類の登録を行うべく、表示制御部102は、パス画像の種類を入力させるための画面を表示部101に表示させる。パス画像の種類の例としては、写真、イラスト、単色塗り潰し、数字などの文字、が挙げられる。従って、この場合、「写真、イラスト、単色塗り潰し、数字などの文字」のそれぞれと共にチェックボックスを表示し、ユーザは操作部109を用いて何れか1つのチェックボックスをチェックする。これにより、チェックしたチェックボックスに対応する種類を選択することができる。
【0031】
次に、ステップS206では、判定部108は、ユーザが操作部109を用いて選択したパス画像の種類を取得し、これを一時記憶する。
【0032】
ここで認証時には、パス画像を含む画像群(パス画像以外の画像は表示の度に変わっても良い)を表示するのであるが、このときユーザはこのパス画像を指示するのではなく、「以降の処理で設定するオフセットの分だけパス画像から離間した画像」を指示する。これにより、例え認証時の操作を他人からのぞき見されたとしても、ユーザはパス画像以外の表示毎に変わる画像(パス画像とは規定の位置関係にある画像)を指示するので、この他人は係る操作からパス画像を類推することは困難である。
【0033】
従って、ステップS207では、表示制御部102は、このオフセットを設定する為の画面を表示部に表示する。
【0034】
図3は、ステップS207において表示する画面の一例を示す図である。認証時には、パス画像を含む画像群を整列させた画面を表示するのであるが、係る画面におけるそれぞれの画像を矩形領域として示したものが図3に示した画面である。図3において302は、認証時に表示する「パス画像を含む画像群」のそれぞれの画像の表示位置を示す矩形領域の集合を示している。係る画面を用いて、認証時に矩形領域群302のそれぞれの内部に画像を表示すると共にパス画像を矩形領域301内に表示した場合に、ユーザが矩形領域301からどれだけ離間した位置の画像を指し示すべきであるのかを設定する。
【0035】
例えば、ユーザが操作部109を用いて矩形領域303を指示した場合、判定部108は、矩形領域301と矩形領域303との位置関係を求める。この場合は「左に2,下に2」が係る位置関係となる。従ってこの場合、判定部108は、「左に2、下に2」を示す位置関係情報を作成し、一時記憶する。係る位置関係情報の使用方法については、認証時の処理を説明する際に触れることにする。
【0036】
従って、上述の通り、ステップS207において表示した画面において、ユーザが操作部109を用いて1つの矩形領域を指示すると、ステップS208では、判定部108は、係る指示を受け付ける。そして、判定部108は、指示した矩形領域と矩形領域301との位置関係を示す位置関係情報を求める。そして、求めた位置関係情報を一時記憶する。なお、図3の画面では、パス画像の表示位置は矩形領域301の位置としている。しかし、そもそも係る画面の使用目的は、認証時にパス画像を含む画像群を表示した場合にユーザが指示すべき画像の位置とこのパス画像の位置との位置関係を登録することにあるので、矩形領域301の位置はあくまで係る位置関係を求める為の基準でしかない。従って、矩形領域301の位置は、矩形領域群302のうちの何れの矩形領域の位置であっても良い。また、係る理由により、位置関係を登録するための方法は係る方法に限定するものではなく、同様の目的を達成することができるのであれば、如何なる方法を採用しても良い。係る点については別の実施形態を設け、そこで説明する。
【0037】
次に、ステップS209では、パス画像の登録を行うべく、画像選択部103は、画像メモリ部104から表示部101に一度に表示する分の数の画像群を読み出し、読み出した画像群を表示制御部102に送出する。この画像群は、ステップS205でユーザが選択したパス画像の種類に対応したものである。表示制御部102は、この画像群を表示部101の画面上に一覧表示する。この一覧表示された画像群は、パス画像の候補となるものであり、ユーザはこの画像群の中から1つをパス画像として、操作部109を用いて選択する。なお、この一覧表示した画像群の中にユーザがパス画像として用いたい画像がなかった場合には、操作部109を用いて次の画像群を表示する旨の指示を入力する。これにより、画像選択部103はまた新たな画像群を画像メモリ部104から読み出し、読み出した画像群を表示制御部102に送出する。表示制御部102は、この画像群を表示部101の画面上に一覧表示する。
【0038】
そして判定部108は、ユーザにより選択指示されたパス画像の画像情報(例えばファイル名)を取得し、これを一時記憶する。
【0039】
なお、パス画像を本装置に登録するための方法についてはこれに限定するものではなく、他の方法も考えられる。例えば、ユーザが予めパス画像として用意した画像を画像入力部105を用いて判定部108に送出しても良い。一例としては、画像入力部105が記憶媒体を接続する為のコネクタである場合、ユーザはパス画像として用いるための画像を記録した記憶媒体をこの画像入力部105に接続し、このパス画像を本装置に転送する指示を操作部109を用いて行う。係る指示が入力されると、画像入力部105は、このパス画像を記憶媒体から読み出し、判定部108に送出する。
【0040】
そしてステップS210では、判定部108は、以上の処理により取得し、一時記憶しているそれぞれの情報を含む認証用データを作成する。係る認証用データには、ID、ID画像の画像情報、パス画像の種類、位置関係情報、パス画像の画像情報、が含まれていることになる。
【0041】
そしてステップS211では、判定部108は、ステップS210において作成した認証用データを、メモリとしての認証用データ保存部110に格納する。
【0042】
以上の処理により、一人のユーザに対する認証用データを作成し、認証用データ保存部110に登録することができる。
【0043】
次に、認証時における処理について説明する。
【0044】
<認証時における処理>
図4は、認証時における処理のフローチャートである。なお、図4のフローチャートに従った処理を開始する前に、ユーザは自身のIDを入力する。判定部108はこの入力されたIDを含む認証用データを認証用データ保存部110から検索する。係る検索の結果、入力されたIDを含む認証用データが認証用データ保存部110内に見つかった場合には、この見つかった認証用データを、注目認証用データ(注目認証情報)として取得する。一方、見つからなかった場合には、表示制御部102は、認証が失敗した旨を示すメッセージを表示部101に表示させると共に、認証処理の後に行うものとして設定されている処理の実行を禁止する。
【0045】
先ず、ステップS401では、画像選択部103は、画像メモリ部104から表示部101に一度に表示する分の数の画像群を読み出し、読み出した画像群を表示制御部102に送出する。表示制御部102は、この画像群を表示部101の画面上に一覧表示する。ユーザはこの画像群の中に自身がID画像として設定した画像があれば、その画像を操作部109を用いて選択する。なお、この一覧表示した画像群の中にユーザが登録したID画像がなかった場合には、操作部109を用いて次の画像群を表示する旨の指示を入力する。これにより、画像選択部103はまた新たな画像群(前回とは異なる画像群)を画像メモリ部104から読み出し、読み出した画像群を表示制御部102に送出する。表示制御部102は、この画像群を表示部101の画面上に一覧表示する。従って、何れかの一覧表示の中では必ず、ユーザが登録したID画像は表示されるべきである。
【0046】
ステップS402では、判定部108は、ユーザにより選択指示された画像の画像情報(例えばファイル名)を取得し、これを一時記憶する。
【0047】
次に、ステップS403では、表示制御部102は、パス画像の種類を入力させるための画面を表示部101に表示させる。例えば、「写真、イラスト、単色塗り潰し、数字などの文字」のそれぞれと共にチェックボックスを表示する。ユーザは操作部109を用いて、自身が登録したパス画像の種類に対応するチェックボックスをチェックすることで、チェックしたチェックボックスに対応する種類を選択指示することができる。従って、ステップS403では、係る画面を表示した後、ユーザが操作部109を用いて選択指示した種類を受け付ける。
【0048】
次に、ステップS404では、判定部108は、注目認証用データ中の「パス画像の種類」と、ステップS403においてユーザから受け付けた種類とが一致しているか否かを判断する。係る判断の結果、一致していない場合には処理をステップS406に進める。
【0049】
ステップS406では、表示制御部102は、認証が失敗した旨を示すメッセージを表示部101に表示させると共に、認証処理の後に行うものとして設定されている処理の実行を禁止する。なお、ステップS406では、認証失敗の旨を示すメッセージを表示するだけでなく、管理者に通知する処理や、警告音を発する処理などを行うようにしても良い。
【0050】
一方、ステップS404における判断の結果、一致している場合には、処理をステップS405に進める。
【0051】
ステップS405では、画像選択部103は、画像メモリ部104から表示部101に一度に表示する分の数の画像群を読み出し、読み出した画像群を表示制御部102に送出する。表示制御部102は、この画像群を表示部101の画面上に一覧表示する。ユーザはこの画像群の中に、自身が登録したパス画像がなかった場合には、操作部109を用いて次の画像群を表示する旨の指示を入力する。これにより、画像選択部103はまた新たな画像群を画像メモリ部104から読み出し、読み出した画像群を表示制御部102に送出する。表示制御部102は、この画像群を表示部101の画面上に一覧表示する。
【0052】
ユーザは、自身が登録したパス画像を見つけると、このパス画像を選択指示するのではなく、このパス画像から、自身が登録した位置関係情報が示す位置関係にある画像を選択指示する。
【0053】
次に、ステップS407では、判定部108は、ユーザが選択指示した画像の位置(指示位置)と、注目認証用データ中の「位置関係情報」が示す位置関係が示す位置関係にある画像を特定し、特定した画像の画像情報を取得する。例えば、位置関係情報が示す位置関係が「左2,上2」である場合、判定部108は、ユーザが選択指示した画像の位置から「右方向に2,下方向に2」だけ移動した位置にある画像を特定し、特定した画像の画像情報を取得する。
【0054】
なお、位置関係情報が「左に5」を示すのに、選択指示した画像が左から2番目の位置にある場合には、右から3番目の位置が「左に5」に該当するものとする。これは上下についても同様で、一旦側にはみ出た分を他端側から一方側に移動させた位置を求める。そして取得した画像情報が、注目認証用データ中の「パス画像の画像情報」に一致しているか否かを判断する。
【0055】
係る判断の結果、一致してない場合には処理をステップS406に進める。一方、一致している場合には処理をステップS408に進める。
【0056】
ステップS408では、表示制御部102は、認証が成功(認証成功)した旨を示すメッセージを表示部101に表示させると共に、認証処理の後に行うものとして設定されている処理(後続の処理)の実行を許可する。
【0057】
このように、横から他人に見られた場合でも、実際はパス画像を指定していないので、係る認証のセキュリティレベルは非常に高い。さらにセキュリティレベルを上げるために、複数枚のパス画像を登録して認証する方法や、複数枚のパス画像毎に位置関係情報を登録して認証する方法も考えられる。
【0058】
また小規模システムなど、限られた人数で使う場合で、パス画像の重複がないのであれば、ID登録等を省き、パス画像の登録及び位置関係情報の登録だけを行うようにしてもよい。もちろん、認証側もこれに対応するものとする。
【0059】
なお、本実施形態では、操作部109を用いて各種の指示入力を行ったが、音声によって指示入力を行うようにしても良い。この場合、本装置には音声を入力するためのマイクなどの音声入力部と、音声入力部を介して入力された音声信号に基づいて音声認識処理を行う音声認識部とを加える必要がある。そして、係る音声認識の結果に基づいて、各種の指示を入力することになる。
【0060】
また、本実施形態では、画面上には複数枚の画像を表示するようにしているが、表示部101の画面サイズが小さかったり、情報処理装置の情報処理能力が低い場合には、一枚ずつ画像を表示するようにしても良い。
【0061】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、認証用データの登録処理と認証処理とを同じ装置で行う例を示しているが、それぞれの処理を別個の装置で行うようにしても良い。本実施形態では、認証用データの登録処理を自宅のコンピュータなどを用いて行う。そして、認証処理は、公共の場所に設置されている端末装置において行う。
【0062】
図5は、本実施形態に係るシステムの構成例を示す図である。
【0063】
図5において501は、ユーザの自宅等にあるPC(パーソナルコンピュータ)であり、その機能構成は図1に示した構成から認証用データ保存部110を省いたものとなる。ユーザは自宅にて認証用データの登録作業を行うので、係るPC501は、図2に示したフローチャートに従った処理を行うことになる。そして係る処理によって生成された認証用データは、ネットワーク502を介して管理装置503に送信される。管理装置503は、認証用データ保存部110として機能するものであり、ネットワーク502を介してPC501から送信された認証用データを保存する。管理装置503が管理している各ユーザの認証用データは、端末装置504からの要求に応じて適宜、ネットワーク502を介して端末装置504に送信する。
【0064】
端末装置504は、図1に示した機能構成から認証用データ保存部110を省いた構成を有するもので、認証処理が必要な処理、例えば、銀行のATMと同様の処理を行う装置である。
【0065】
ユーザが端末装置504を用いて認証が必要な作業を行う場合には、この端末装置504は、図4に示したフローチャートに従った処理を行う。このとき、端末装置504はこのユーザの認証用データをネットワーク502を介して管理装置503から取得する。
【0066】
なお、認証処理が必要なシステムには様々な応用が考えられるが、本実施形態に係るシステムは、その様々な応用に適用することができるものである。
【0067】
[第3の実施形態]
第1の実施形態では、認証時にパス画像からどれだけ離間した位置を指示するのかを設定するために(位置関係情報を設定するために)、パス画像の表示位置を画面上の規定の位置に設け、ユーザに何れか1つの矩形領域を選択させるための画面を表示した。しかし、上述の通り、位置関係情報を設定するための方法はこれに限定するものではない。上述の通り、音声入力によって設定する場合には、「左2,上2」と発声することで、「左2,上2」を示す位置関係情報を直接入力するようにしても良い。この場合、判定部108は、位置関係情報を求める計算を行うことなく、この音声入力された位置関係情報をそのまま一時記憶する。
【0068】
[第4の実施形態]
第2の実施形態を除く各実施形態では、図1に示した各部は全てハードウェアでもって構成されているものとして説明しているが、画像選択部103、判定部108をソフトウェアで実装し、それ以外の各部をハードウェアとして実装しても良い。この場合、画像選択部103、判定部108以外の各部をハードウェアとして有し、画像選択部103、判定部108の各部に対応するソフトウェアを実行するコンピュータは、上記情報処理装置に適用することができる。
【0069】
図6は、上記情報処理装置に適用可能なコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0070】
CPU701は、RAM702やROM703に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いてコンピュータ全体の制御を行うと共に、上記情報処理装置が行うものとして説明した上述の各処理を実行する。
【0071】
RAM702は、外部記憶装置708からロードされたコンピュータプログラムやデータ、スキャナ712によって読み取られた画像のデータ、他のコンピュータシステム714から送信されたデータ等を一時的に記憶する為のエリアを有する。更に、RAM702は、CPU701が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアも有する。即ち、RAM702は、各種のエリアを適宜提供することができる。
【0072】
ROM703には、本コンピュータの設定データやブートプログラムなどが格納されている。
【0073】
I/O713には、スキャナ712が接続されており、スキャナ712が読み取った結果は画像データとして、このI/O713を介してRAM702や外部記憶装置708に送出される。係る画像データは、例えば、ID画像やパス画像として用いることができる。
【0074】
ディスプレイ705は、CRTや液晶画面などにより構成されており、CPU701による処理結果を画像や文字などでもって表示することができる。例えば、第1の実施形態で説明した様々な画面はこのディスプレイ705に表示されることになる。即ち、ディスプレイ705は、図1に示した表示部101として機能することになる。なお、このディスプレイ705は、ディスプレイ制御装置704によってその動作が制御されている。即ち、ディスプレイ制御装置704は、図1に示した表示制御部102として機能することになる。
【0075】
外部記憶装置708は、ハードディスクドライブ装置に代表される大容量情報記憶装置である。外部記憶装置708には、OS(オペレーティングシステム)や、情報処理装置が行うものとして上述した各処理をCPU701に実行させるためのコンピュータプログラムやデータが保存されている。係るコンピュータプログラムには、画像選択部103、判定部108のそれぞれが行うものとして上述した各処理をCPU701に実行させるためのコンピュータプログラムが含まれている。また、係るデータには、ID画像やパス画像の候補としての画像群のデータが含まれている。
【0076】
外部記憶装置708に保存されているコンピュータプログラムやデータは、CPU701による制御に従って適宜、I/O709を介してRAM702にロードされ、CPU701による処理対象となる。
【0077】
操作入力デバイス706は、キーボードやマウスなどにより構成されており、本コンピュータのユーザが操作することで、各種の指示をI/O707を介してCPU701に対して入力することができる。即ち、操作入力デバイス706は、図1に示した操作部109として機能することになる。
【0078】
他のコンピュータシステム714は、I/F(インターフェース)715を介して本コンピュータに接続されている。
【0079】
716は、I/O707、I/O709、I/O713、CPU701、ROM703、RAM702、ディスプレイ制御装置704、I/F715を繋ぐバスであり、それぞれは、このバス716を介して互いにデータ通信が可能となる。
【0080】
なお、以上説明した各実施形態は適宜組み合わせて用いても良い。
【0081】
[その他の実施形態]
また、本発明の目的は、以下のようにすることによって達成されることはいうまでもない。即ち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコード(コンピュータプログラム)を記録した記録媒体(または記憶媒体)を、システムあるいは装置に供給する。係る記憶媒体は言うまでもなく、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0082】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行う。その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0083】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれたとする。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0084】
本発明を上記記録媒体に適用する場合、その記録媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図2】ユーザの認証用データの登録処理のフローチャートである。
【図3】ステップS207において表示する画面の一例を示す図である。
【図4】認証時における処理のフローチャートである。
【図5】本実施形態に係るシステムの構成例を示す図である。
【図6】情報処理装置に適用可能なコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証時に用いるパス画像の画像情報を取得する取得手段と、
認証時に前記パス画像を含む複数の画像を画面上に表示した場合にユーザが当該画面上で指示すべき指示位置と、前記パス画像の表示位置と、の位置関係を示す位置関係情報を設定する設定手段と、
前記取得手段が取得した画像情報と、前記設定手段が設定した設定した位置関係情報と、を含む認証情報を作成し、メモリに登録する登録手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記設定手段は、
パス画像の表示位置を示す矩形領域を含む矩形領域群を表示する表示手段と、
前記矩形領域群のうちユーザによって指定された矩形領域と、パス画像の表示位置を示す矩形領域と、の位置関係を求め、求めた位置関係を示す位置関係情報を設定する手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定手段は、音声認識を行う認識手段を備え、
前記位置関係を音声入力した場合、前記認識手段は、入力された音声に対する音声認識の結果を前記位置関係情報として取得し、設定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置が作成した認証情報に基づいて認証処理を行う情報処理装置であって、
画像群を一覧表示する表示手段と、
前記表示手段が表示した画像群のうちユーザによって指示された画像との位置関係が、前記ユーザに対応する注目認証情報に含まれている位置関係情報が示す位置関係となるような位置に表示されている画像を特定し、特定した画像の画像情報が、前記注目認証情報に含まれているパス画像の画像情報と一致するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が一致すると判断した場合には認証成功と判断し、前記判断手段が一致していないと判断した場合には認証失敗と判断することで、後続する処理を制御する手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
前記表示手段は、ほかの画像群を表示する旨の指示を受ける毎に異なる画像群を一覧表示し、表示する何れかの画像群には前記パス画像が含まれていることを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
認証時に用いるパス画像の画像情報を取得する取得工程と、
認証時に前記パス画像を含む複数の画像を画面上に表示した場合にユーザが当該画面上で指示すべき指示位置と、前記パス画像の表示位置と、の位置関係を示す位置関係情報を設定する設定工程と、
前記取得工程で取得した画像情報と、前記設定工程で設定した設定した位置関係情報と、を含む認証情報を作成し、メモリに登録する登録工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置が作成した認証情報に基づいて認証処理を行う情報処理装置が行う情報処理方法であって、
画像群を一覧表示する表示工程と、
前記表示工程で表示した画像群のうちユーザによって指示された画像との位置関係が、前記ユーザに対応する注目認証情報に含まれている位置関係情報が示す位置関係となるような位置に表示されている画像を特定し、特定した画像の画像情報が、前記注目認証情報に含まれているパス画像の画像情報と一致するか否かを判断する判断工程と、
前記判断工程で一致すると判断した場合には認証成功と判断し、前記判断工程で一致していないと判断した場合には認証失敗と判断することで、後続する処理を制御する工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置が有する各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータプログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−3259(P2010−3259A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163704(P2008−163704)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】