説明

情報処理装置、情報処理装置のリソース管理方法およびプログラム

【課題】 ネットワークに接続された複数の画像形成装置のリソースを管理することを可能とする画像形成装置、リソース管理方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】 電源オン時に、画像形成装置が帰属されるネットワーク内における局在化したドメイン内で同報通信され、かつ電源オンされた画像形成装置のデータ・リストを含む通信データを作成する通信データ作成手段501と、通信データを受信して前記データ・リストを取得し、リソース評価リストとデータ・リストとを照合してスコアを計算し、スコアに応答してリソース処理のステータスを判断するステータス判断手段502と、ステータス判断手段の判断結果に応答して、判断されたステータスを指令するステータス指令データを含むレスポンス・データを作成し、通信データの送信元に返信するステータス指令手段504と、を含んでいて、ステータス識別データを使用してリソース管理の権限を制御し、所定のドメイン内での同報通信によるリソース管理を行っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関し、より詳細には、ネットワークに接続された複数の情報処理装置のリソースを管理する、情報処理装置、リソース管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、多くのネットワークを介した情報処理装置の管理システムが提案されている。例えば、特開2002−305619号公報(特許文献1)では、情報処理装置それぞれを、ネットワークを介して集中管理する集中管理装置を設けた情報処理装置総合管理システムを開示している。特許文献1で開示されたシステムは、遠隔設定された日時に情報処理装置システムの稼働状況またはシステム運用状況に関連するデータを集中管理装置に送信し、集中管理装置は、ネットワークを介して各画像処理装置のファームウェアや、データベースなどのリソース管理を行う点を開示している。
【0003】
特許文献1では、ネットワークに接続された画像処理装置が増加するにつれて、集中管理装置へとレスポンスする情報処理装置からのトランザクションが増大し、この結果、集中管理装置に対するオーバーヘッドが過大となり管理処理のスケーラビリティが予測できない状況に立ち至る場合も想定される。この結果、例えば所定のネットワーク・ドメイン内で、複合機、複写機、ファクシミリ、プリンタなどに適用されるリソースを共有しようとする場合、ドメインに帰属される情報処理装置に対して個別にリソース管理を行っていたのでは、ドメイン内の1つの情報処理装置についてはリソースの更新は終了したものの、他の情報処理装置については終了していないなどの場合も想定できる。また、サーバは、ユニキャストにより個々の情報処理装置にデータを伝送するので、情報処理装置の台数が増加するにつれ、比例して処理が増加し、またネットワーク・トラフィックの帯域幅を情報処理装置の台数分だけ消費してしまう。
【0004】
すなわち、特許文献1に記載された技術は、ネットワーク・トラフィックまたはサーバに負担をかけずにリソース管理を行うには充分というわけではない。また、所定のネットワーク・ドメイン単位でリソース管理およびリソース共通化を行うという点では充分なものではなく、情報処理装置のネットワーク接続の拡大およびそれに伴うトランザクションの増加などネットワーク経済的に考えれば効率的なシステムとはいえなかった。
【特許文献1】特開2002−305619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来技術に鑑みてなされたものであり、所定のネットワーク・ドメインにおけるリソース管理を効率的に行うことを可能とし、さらには、ネットワーク・トラフィックに対して過大な負荷を与えることがなく、ネットワークに接続された情報処理装置などの台数に直接サーバ側の負担が直接反映されることがないリソース管理が可能な情報処理装置を含む情報処理装置、そのリソース管理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、情報処理装置が帰属される所定のターゲット・ドメインを定義し、ターゲット・ドメインごとにリソース管理を行うことができれば、特定の情報処理装置のオーバーヘッドおよびネットワーク・トラフィック量を低減させながら、適切に情報処理装置のリソース管理を行うことができるという着想に基づいてなされたものである。
【0007】
すなわち、本発明では、リソース管理情報処理装置ごとにリソースを管理するドメインが割当てられ、リソース管理情報処理装置は、新たな情報処理装置がドメインに参加する時点で、当該ドメイン内で最も適切であるか否かを判断することにより動的に選択される。また、動的にリソース管理情報処理装置に決定された情報処理装置は、サーバからリソース管理情報のダウンロードを行い、担当するドメイン内に配布して、当該ドメイン内におけるリソースの共有化を達成している。
【0008】
本発明の第1の構成では、ネットワークに接続された情報処理装置であって、前記情報処理装置は、
電源オン時に、前記情報処理装置が帰属される前記ネットワーク内における局在化したドメイン内で同報通信され、かつ電源オンされた前記情報処理装置のデータ・リストを含む通信データを作成する通信データ作成手段と、
前記通信データを受信して前記データ・リストを取得し、リソース管理データとして提供されるリソース評価リストと前記データ・リストとを照合してスコアを計算し、前記スコアに応答してリソース処理のステータスを判断するステータス判断手段と、
前記ステータス判断手段の判断結果に応答して、ステータス指令データを含むレスポンス・データを作成し、前記通信データの送信元に返信するステータス指令手段と
を備える情報処理装置が提供される。
【0009】
本発明の第1の構成では、さらに、前記ドメイン外で前記ネットワークに接続されたサーバにアクセスして前記情報処理装置の前記リソース管理データの更新を判断し、前記リソース管理データが更新されたと判断した場合に前記サーバから更新された前記リソース管理データを取得するリソース取得手段を含むことができる。本発明の前記情報処理装置は、更新された前記リソース管理データを少なくとも局在化した前記ドメイン内の少なくとも1台の他の情報処理装置に配布するリソース更新手段を備えることができる。本発明の前記情報処理装置は、前記リソース管理データに対応したリソース評価リストとデータ・リストとを格納する記憶装置を含むことができる。
【0010】
本発明の第2の構成では、
ネットワークに接続された情報処理装置のリソース管理を行うリソース管理方法であって、前記リソース管理方法は、
電源オン時に、前記情報処理装置が帰属される前記ネットワーク内における局在化したドメイン内で同報通信され、かつ電源オンされた前記情報処理装置のデータ・リストを含む通信データを作成するステップと、
前記通信データに含まれる前記データ・リストとリソース管理データとして提供されるリソース評価リストとを照合して計算されたスコアに応答して決定されるステータス指令データを含むレスポンス・データを受信するステップと、
前記ステータス指令データに対応してリソース管理処理を切換えるステップと、
を含む情報処理装置のリソース管理方法が提供できる。
【0011】
本発明の第3の構成では、ネットワークに接続された情報処理装置のリソース管理を行うリソース管理方法であって、前記リソース管理方法は、
局在化したドメイン内で同報通信され、かつ前記情報処理装置のデータ・リストを含む通信データを情報処理装置が受信するステップと、
前記通信データを受信して前記データ・リストを取得し、リソース管理データとして提供されるリソース評価リストと前記データ・リストとを照合してスコアを計算し、前記スコアに応答してステータスを判断するステップと、
前記判断の結果に応答して、ステータス指令データを含むレスポンス・データを作成し、前記通信データの送信元に返信するステップと
を含む、情報処理装置のリソース管理方法が提供できる。
【0012】
本発明の第4の構成では、ネットワークに接続された情報処理装置のリソース管理を行うリソース管理方法を情報処理装置に対して実行させるための装置実行可能なプログラムであって、前記プログラムは、前記情報処理装置に対して、
電源オン時に、前記情報処理装置が帰属される前記ネットワーク内における局在化したドメイン内で同報通信され、かつ電源オンされた前記情報処理装置のデータ・リストを含む通信データを作成する機能と、
前記通信データを受信して前記データ・リストを取得し、リソース管理データとして提供されるリソース評価リストと前記データ・リストとを照合してスコアを計算し、前記スコアに応答してステータスを判断する機能と、
前記判断に応答してステータス指令データを含むレスポンス・データを作成する機能と、
前記ステータス指令データに応答してステータス管理データを保持または更新し、記憶装置に格納する機能と
を実現させる、装置実行可能なプログラムが提供できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所定のネットワーク・ドメインにおけるリソース管理を効率的に行うことが可能となる。また、さらには、ネットワーク・トラフィックの帯域幅を不必要に占有することなく、情報処理装置のリソース管理を行うことができる。また、リソース管理用のサーバに対しても、膨大な量のユニキャストを作成させるというような過大な負荷を与えることがなく、ネットワークに接続された情報処理装置の台数に直接サーバ側の負担が直接反映されることがないリソース管理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明の情報処理装置の一例としての画像形成装置が接続されるネットワーク環境を示した概略図である。本発明では、ネットワーク環境10は、オフィス・フロア内に複数の機能を備えた複合機である画像形成装置12、複写機能を備える複写機14、ファクシミリ16、レーザプリンタなどのプリンタ18などを含んで構成されている。それぞれの画像形成装置は、イーサネット(登録商標)などによってネットワーク化されたLANを構成しており、ネットワーク環境10を形成するLANは、スイッチ20を通してルータ22へと接続され、他のスイッチ28を介してさらに下流側に別のLAN30またはVLAN32などが形成されている。
【0016】
ルータ22は、OSI参照モデルなどにおいて参照されるネットワーク層/トランスポート層レベルでのネットワーク制御を行っており、ワイドエリア・ネットワーク(WAN)またはインターネットといった別のネットワーク(インターネット)24にLAN環境を、TCP/IPまたはUDP(User Datagram Protocol)/IPなどの適切なトランスポート層のプロトコルを使用して、接続させている。サーバ26は、本発明では、画像形成装置のリソースを管理するために必要なデータを、要求元の画像形成装置との間で送受信している。
【0017】
ネットワーク環境10は、本発明の説明している第1の実施の形態では、データリンク層レベルでのアクセスリンクを形成することができるドメインを構成している。より具体的には、ネットワーク環境10は、スイッチ20により物理アドレス・レベルでのブロードキャストにアクセスできるドメインとすることができる。また、本発明の他の実施の形態では、画像形成装置にIPアドレスが割当てられる場合には、割当てられたプライベート・アドレス、またはサブネットマスクごとに同報通信アドレスが定義されるドメインとされていてもよい。
【0018】
図2は、本発明で複数の機能を含む画像形成装置12のハードウェアおよびソフトウェア構成を示した概略図である。画像形成装置12は、タッチパネルといった操作パネルまたはディスプレイ装置と、入力キーなどを備えたユーザI/F34を備えている。ユーザI/F34は、ユーザ指令に応答して、画像形成装置に対してコピー、ファクシミリ、モノクロコピー、フルカラーコピーなどの機能をユーザに提供している。また、画像形成装置12は、または外部コンピュータからの入力に応答してプリンタやファクシミリとしても機能する。図2に示した画像形成装置12は、プリンタ機能を提供するためのプリンタ・アプリケーションPAと、コピー機能を提供するコピー・アプリケーションCAなどの複数の機能を提供するための各種アプリケーション・レイヤ36と、エンジン制御システムECS、メモリ制御システムMCS、オペレーション制御システムOCS、ファクシミリ制御システムFCS、ネットワーク制御システムNCS、サービス制御システムSCSなどを含むミドルウェア・レイヤ38と、汎用OSレイヤ40とを含んでいる。
【0019】
ミドルウェア・レイヤ38は、汎用OSレイヤ40と通信して、外部入力されたデータをアプリケーション・レイヤ36へと渡し、また、各種機能のエンジンおよびデバイスの入出力を管理しており、エンジンおよび各デバイスを制御して画像形成装置の処理結果を外部出力させている。また、ミドルウェア・レイヤ38とアプリケーション・レイヤ36との間には、アプリケーション・プログラム・インタフェース(API)レイヤ42が設けられていて、ミドルウェア・レイヤ38が各種のアプリケーションを機能させている。
【0020】
図2に示した画像形成装置12は、さらにモノクロプリンタ・デバイス46、フルカラープリンタ・デバイス48、ネットワーク・インタフェース・カード(NIC)などのネットワーク・デバイス50、RAM44およびNVRAM、ROM、EEPROM、EPROM、ハードディスクなどの記憶装置52を備えている。各デバイス46〜52は、それぞれ対応するデバイスI/Fを介して画像処理装置の入出力を可能としている。ネットワーク・デバイス50には、固有の物理アドレス(MACアドレス)が付されていて、LAN内においてアクセスリンク単位の同報通信を受信することができる。この他、図2に示した画像形成装置12は、DHCPサーバ(Dynamic Host Configuration Protocol Server)などによりIPアドレスが割当てられており、TCP/IPまたはUDP/IPなどのトランスポート層プロトコルを使用したトランザクション制御が可能とされている。
【0021】
図3は、本発明の画像形成装置12の適切な記憶領域、例えばNVRAMに格納された、画像形成装置12が自機種のリソース管理を行うためのデータ・リストおよびリソース評価リストを示した図である。図3(a)は、画像形成装置12がどのようなリソース環境にあるかをリストしたデータ・リスト54であり、図3(b)は、本発明においてリソース管理を担当するかどうかを、ネットワーク環境に接続された他の画像形成装置との関係から判断するために使用されるリソース評価リスト56を示す。図3に示した各リストは、リソース管理データとしてメーカ側から随時または定期的に提供されており、リソース管理画像形成装置がサーバから取得して、ドメイン内に配布して、リソースの共有を行っている。その処理についてはより詳細に後述する。
【0022】
図3(a)に示すデータ・リスト54は、所定の製品識別値と、機種識別値とが割当てられており、画像形成装置の特定の仕様に応じて、拡張メモリ、オートフィーダなどのオプションデバイスに対する制御データまたは識別子が登録されている。これらのデータは、画像形成装置の製品識別値や機種識別値が同一であっても画像形成装置ごとに異なる場合があるため、個別的に指定される必要がある。画像形成装置は、リソース管理画像形成装置から送られたリソース管理データのうち、自己の保有しているデータ・リストに対応するデータを照合し、一致する設定条件またはドライバまたはユーティリティ・ソフトウェアを取得してその設定を更新する。
【0023】
図3(b)に示すリソース評価リスト56は、バージョンを示すレコードと、製品、機種、オプションデバイス1〜n(nは、メーカ側で用意できるオプションデバイスの総数であり、オプションデバイス番号で同一の拡張メモリなどが指定できる。)それぞれに対する評価する評価ポイントが登録されている。図3(b)に示したリソース評価リスト56は、画像形成装置がリソース管理画像形成装置である場合に呼出される管理処理ブロックによりルックアップされ、スコア計算により、動的にネットワーク環境内でリソース管理画像形成装置を指定するために用いられる。また、図3(b)に示したリソース評価リストは、リソース管理画像形成装置がサーバから取得し、その後、ドメインに接続されたすべての画像形成装置に共有させることにより、統一した管理/スレーブ判断処理が可能とされる。
【0024】
図4は、本発明において使用するリソース・データ58のデータ構造を示した図である。リソース・データ58は、メーカによる作成または更新に応答してアップデートされ、更新の日付など最新のデータであることを判断できるバージョン・データと共に、サーバのデータベース内に格納されている。本発明の特定の実施の形態では、リソース管理画像形成装置は、定期的にFTPまたはSNMPなどのプロトコルを使用してサーバにアクセスし、リソース・データおよび対応するリソース評価リストを含む形式でデータベースに格納されているリソース管理データをダウンロードして、リソース・データ58を取得する。
【0025】
また、本発明の別の実施の形態では、画像形成装置は、電源オン後に伝送される電源オン通知に対し、所定のタイムアウト時間の間にリソース管理画像形成装置からのレスポンスが無い場合に、当該画像形成装置をリソース管理画像形成装置として設定し、その後サーバにアクセスすることで必要なデータを取得することができる。
【0026】
本発明では、リソース・データ58は、リソース管理画像形成装置が不揮発性のNVRAMなどの不揮発性メモリまたはハードディスクなどの記憶装置に格納しておき、最新版のリソース・データをそれ以外のスレーブ画像形成装置へと、リソース評価リストと共に送信することで、ネットワーク環境内において個別の画像形成装置に適用される最新のリソースを提供することができる。また、リソース・データ58が記憶装置に格納されていない場合でも、リソース管理画像形成装置として設定した後サーバにアクセスさせることにより、適宜サーバから取得させることもでき、取得されたリソース・データをRAMなどに一時的に格納させておくこともできる。
【0027】
図5は、本発明の画像形成装置が含む制御プログラムのブロック構造およびステータス管理データを示した図である。図5に示すように、本発明の画像形成装置の制御プログラムは、概ね、画像形成装置制御ブロック501と、管理/スレーブ判断ブロック502と、スレーブ処理ブロック503と、管理処理ブロック504とを含んでいる。画像形成装置12は、CPU(図示せず)を含んでおり、画像形成装置が、電源がオンされると、まず画像形成装置制御ブロック501が起動され、ROMなどに格納された入出力デバイス管理データを使用して初期チェックおよび設定などを行なう。また、画像形成装置制御ブロック501は、本発明によるリソース管理を実行するため、電源オン設定の一つとして、ネットワーク・インタフェース・カード50を通してネットワークに送信される電源オン通知を作成して送出する処理を実行する。
【0028】
管理/スレーブ判断ブロック502は、ネットワーク内に接続された画像形成装置の稼働している装置のうち、当該装置のネットワーク上での位置づけを判断する処理を実行するプログラムから構成されていて、管理/スレーブ判断ブロック502の判断に応答して、電源オン以後の当該画像形成装置のドメイン内でのステータスを設定し、ステータス識別データに対応してスレーブ処理ブロック503および管理処理ブロック504を機能させる。なお、本発明では、各ブロックは、オブジェクト指向プログラミングまたは非オブジェクト指向プログラミングのいずれのプログラミング言語で記述することができる。
【0029】
本発明のスレーブ処理ブロック503は、概ねネットワークを介して他の画像形成装置から電源オン応答を受けたときに、自己のステータスを明示的に、または非明示的に示すレスポンス・データを作成し、返信する処理を実行する。また、リソース管理画像形成装置からリソース管理データの送付を受けて、格納したそれぞれのデータを更新する処理を実行する。管理処理ブロックは、電源オン通知を受取って、リソース管理を継続するか否かの判断を行い、リソース管理権限の移転およびリソース管理のために必要なリソース管理データの更新処理を実行する。また、本発明では、管理ブロックは、電源オン通知に対して他のリソース管理画像形成装置からの電源オン応答がなかった場合に自己にリソース管理権限を割当てて、サーバにアクセスし、その時点で最新のリソース・データをダウンロードして、スレーブ装置に配布する処理を実行することができる。
【0030】
図5(b)は、本発明の管理/スレーブ判断ブロックが使用するステータス管理データの実施の形態を示した図である。本発明において、画像形成装置は、自己がスレーブか、またはリソース管理の権限を有しているのかを確定した後、その結果を登録し、スレーブ処理ブロックおよびお管理処理ブロックの呼び出しまたは処理選択ルーチンの選択のために使用する。図5(b)に示したステータス管理データは、フラグ設定により当該ステータスを示すこともできるし、管理のために使用する変数、例えばstatusをプログラムにおいて設定し、判断に応答して、status==slaveまたはstatus==masterなどの値の両方またはいずれか一方をRAMなどの適切な領域に記入することによっても作成することができる。なお、図5(b)に示したステータス管理データは、不揮発性メモリなどに形成されるログ履歴に登録され、後述するパトロール処理において使用することができる。
【0031】
図6は、本発明の画像形成装置のリソース管理方法の処理を示したフローチャートである。本発明のリソース管理方法は、ステップ601において画像形成装置が電源オンにより起動された段階から開始され、ステップ602では、起動されたことをネットワークに対して同報通信する。この場合の同報通信は、本発明の第1の実施の形態においてデータリンク層レベルでの同報通信を行う場合には、フレーム内の宛先アドレスに、FF.FF.FF.FF.FF.FFを記入して、ドメイン内に伝送される。
【0032】
また、本発明の第2の実施の形態においてプライベート・アドレス内でドメインを形成する場合には、パケットの宛先アドレスに内に所定のドメイン内で使用される、例えば10.0.0.0〜10.255.255.255(クラスA)、172.16.0.0〜172.31.255.255(クラスB)、192.168.0.0〜192.168.255.255(クラスC)などで与えられるプライベート・アドレス、プライベート・アドレスやグローバルIPアドレスに対してサブネットマスクをかけて定義される、ドメインに対応した同報通信アドレスを記述することにより行われる。
【0033】
ステップ603では、すでに起動された画像形成装置からの同報通信に対するレスポンス・パケットの受信を待機し、レスポンス・パケットを受信した場合(yes)には、ステップ606へと進む。また、レスポンス・パケットを受信しない場合(no)には、ステップ604へと進み、設定されたタイムアウト値と比較しタイムアウトが終了するまでステップ603の処理を繰り返させる。ステップ604で、タイムアウトが終了するまで電源オン応答が受信できない場合には、ステップ605において、当該画像形成装置がリソース管理画像形成装置であると判断し、ステータス識別データをリソース管理に設定し、管理処理ブロックを呼出す。
【0034】
タイムアウト経過前に電源オン応答を受信した場合には、ステップ606へと進んで、受取ったレスポンス・パケットのデータ・フィールドからステータス指令データを読出して、当該レスポンス・パケットがすでにリソース管理画像形成装置として機能している画像形成装置からのものかどうかを判断する。レスポンス・パケットがリソース管理画像形成装置からのものであると判断された場合(yes)には、ステップ608に進んでさらに処理を進める。また、電源オン応答が返された場合であっても、ステータス指令データが検出できない場合(no)には、スレーブ画像形成装置からのみの応答であると判断し、リソース管理画像形成装置が、何らかの理由で処理過多になっているか、または点検などにより動作できない状態になっていると判断し、ステップ607で設定されたタイムアウトを経過した後、ステップ605でテータス識別データをリソース管理に設定して自己をリソース管理画像形成装置とし、リソース管理のための管理処理ブロックを呼出す。
【0035】
ステップ608では、レスポンス・パケットのデータ・フィールドに記入されたステータス指令データを解析し、リソース管理画像処理装置を承継するか否かを判断する。ステータス指令データが承継要求を要求している場合(yes)には、ステップ609でリソース管理画像装置からのリソース・データおよびリソース評価リストを取得して、ステップ612で各データを更新し、新たにリソース管理画像形成装置として処理を開始する。ステップ608の判断においてリソース管理画像形成装置を承継する必要がないと判断した場合(no)には、ステータス識別データをスレーブとなるように処理し、ステップ610で最新のリソース管理データをリソース管理画像形成装置から受取り、ステップ611でスレーブ処理ブロックとしてのネットワーク処理プログラムを呼出してスレーブとして機能を開始する。
【0036】
図7は、本発明の電源オン通知としてステップ602の同報通信において送信される各データを示した図である。図7(a)が同報通信データ60であり、図7(b)がレスポンス・データの実施の形態を示した図である。図7(a)に示すように電源オン通知として同報される同報通信データ60には、プレアンブルと、データリンク層レベルにおける同報通信アドレスFF.FF.FF.FF.FF.FFが記入されており、また送信元の画像形成装置の物理アドレスであるMACアドレスが記述されている。また、同報通信データのデータ・フィールドには、電源オンされた装置のデータ・リストが記入され、その後にチェックサムが記入されている。
【0037】
図7(a)に示したフレーム・データは、スイッチにより定義されるLANまたはVLAN内で同報通信され、他の画像形成装置に受信される。リソース管理画像形成装置を含む他の画像形成装置は、図7(a)のフレーム・データを受取るとフレーム・データを解析し、フレームが自動アドレス解決プロトコル(ARP)などや他のコンピュータなどにより送信されたものではなく、画像形成装置から送信されたものであることを判断し、図7(b)に示すようなフレームとしてレスポンス・データ62(電源オン応答)を作成する。
【0038】
図7に示した実施の形態に沿ってレスポンス・データ62を説明すると、レスポンス・データ62のデータ・フィールドは、本発明の特定の実施の形態では、リソース管理画像形成装置からのレスポンス・データだけにステータス指令データが記述された構造とされ、同報通信データを発行した画像形成装置がリソース管理画像形成装置からのレスポンスであることを識別して、ステータスの選択を行うことが可能とされる。
【0039】
図8は、本発明の電源オンおよび電源オン応答を、IPパケットを使用して作成した場合の実施の形態を示す。同報通信パケット64が電源オン通知に対応し、レスポンス・パケット66が電源オン応答とされている。図8で示した実施の形態は、特に企業などにおいてプライベート・アドレスまたはサブネットマスクでドメインを形成してルーティングおよびスイッチングが行われる場合、図7に示した実施の形態よりも大きなドメインに対してリソース管理を行う場合に好ましく使用することができる。図8では、同報通信を行うフォーマットがフレームまたはインターネット・プロトコルによるパケットである点が図7のフレーム・データとは相違し、その他のデータは同様なので、相違する点のみを詳細に説明する。
【0040】
図8(a)に示した同報通信パケット64には、宛先IPアドレスとしてプライベート・アドレスなどに対してサブネットマスクで規定されるドメインに対応する同報通信アドレス(abc.def.ghi.199)が記述されていて、該当するアドレス範囲に含まれる情報処理装置や、画像形成装置へと送られる。この同報通信アドレスは、各ドメインに対応して規定されている。また、データ・フィールドには、データ・リストが図7に説明したと同様のフォーマットで記述されており、同報通信パケット64を受け取った画像形成装置は、同報通信パケットを解析してインターネット・プロトコルを用いて、図8(b)に示したレスポンス・パケット66を返すことにより、ハンドシェイクを確立させることができる。
【0041】
また、図8(b)は、レスポンス・データをIPパケットとして形成する場合の実施の形態であり、宛先IPアドレスが同報通信の送信元IPアドレスとされる以外は、ヘッダ構造は図8(a)で示したと同様の構成とされている。また、データ・フィールドは、ステータス指令データが記入されていて、レスポンス・データを受取った画像形成装置が、以後の処理のための処理ブロックの選択を可能としている。また、図8(b)に示した実施の形態では、レスポンス・パケット66には、データ・フィールド内にリソース・データに対応する情報およびリソース評価リストに対応するデータが記述されていて、リソース管理のハンドシェイクを効率化させる。
【0042】
図9は、本発明において、リソース管理の判断を行った後にリソース管理画像形成装置からドメイン内に送信される、リソース・データ伝送パケット68の実施の形態を示した図である。図9に示されるように、リソース管理画像形成装置の送信元IPアドレスとリソースを通知する画像形成装置のIPアドレスとがIPヘッダに記述され、データ・フィールドには、リソース管理画像形成装置がサーバから取得したリソース・データ58や、リソース評価リストなどがそのバージョンと共に記述されている。スレーブ画像形成装置は、リソース・データ伝送パケット68に記述されたデータを自己のデータ・リストと照会し、一致するデータを取得して更新する処理を行うことでリソースの共有を行っている。
【0043】
本発明では、所定の画像形成装置がリソース管理の権限を取得した直後にリソース・データ伝送パケット68を送信してリソースの更新を他の画像形成装置に実行させることができる。また、本発明の他の実施の形態では、リソース管理画像形成装置が定期的にスレーブ画像形成装置に対してリソースのバージョンを送信するようにしておき、これを受取ったリソース管理画像形成装置が自己の保有するリソース・データのバージョンと比較して、スレーブ側が古いバージョンしか保有しない場合にリソース・データおよびリソース評価リストを当該スレーブ画像形成装置に送信させることもできる。
【0044】
さらに本発明の別の実施の形態では、リソース管理画像形成装置が、定期的またはサーバのからの通知に基づいてサーバから新たなリソース・データを取得すると、スレーブ画像形成装置へとリソース・データおよび対応するリソース評価リストを送信し、新たなリソース・リストを受取ったスレーブ画像形成装置は、データ・フィールドに記述された自己の機種およびオプションデバイスに対応するデータを取得してそのリソースを最新のものにアップデートさせてもよい。
【0045】
また、図9に示したパケット68の別の実施の形態では、宛先IPアドレスとして同報通信アドレスを記述することで、リソース共有化を効率的に行うことができる。なお、図9に示した実施の形態では、データ・フィールドの最後にリソース管理装置であることを示すステータス識別子を記述して、仮に複数のリソース管理画像形成装置がネットワーク環境内に共存してしまったような場合にでも、相互にステータス判断処理を行うことで、リソース管理権限を調停することもできる。
【0046】
図10は、本発明の画像形成装置のリソース管理方法の制御シーケンスを示した図である。図10に示した実施の形態では、同報通信を受け取ったリソース管理画像形成装置が、リソース管理を継続する場合の実施の形態を示す。図10に示すように、電源オンされた画像形成装置は、まず既動作画像形成装置およびリソース管理画像形成装置に対して電源オン通知を同報通信する。同報通信を受け取ったリソース管理画像形成装置は、同報通信に含まれる電源オン装置のデータ・リストを読出して、リソース管理画像形成装置が保有するリソース評価リストを使用してスコア付けし、当該リソース管理画像形成装置がリソース管理を継続するか否かを判断し、その結果、リソース管理を継続すると判断したものとする。
【0047】
また、既動作装置であって、リソース管理装置ではない画像形成装置は、電源オンに対応する同報通信であることを識別して、データ・フィールドに何も記入せずにレスポンス・パケットを生成するか、またはスレーブであることを示すステータス識別子を記入してレスポンス・パケットを作成して、電源オン装置へと送信する。
【0048】
リソース管理画像形成装置は、電源オン応答として電源オン装置に対してリソース管理を継続することを通知するステータス識別子を含むレスポンス・パケットを作成し、電源オン装置のIPアドレスに宛ててレスポンス・パケットを返す。その後、リソース管理画像形成装置は、シーケンシャルにリソース・データの送信と、リソース評価リストの送信を行っている。これらのトランザクションがすべて完了した段階で、電源オン装置は受信したリソース・データおよびリソース評価リストを自己の制御データとして反映させ、スレーブ画像形成装置として処理を開始させる。なお、本発明の別の実施の形態では、図8のレスポンス・パケットのように、レスポンス・パケットにリソース・データおよびリソース評価リストを含ませて、ハンドシェイク・プロセスを、同報通信−レスポンス・パケット送信の2段階で終了させることもできる。
【0049】
図11は、リソース管理画像形成装置がリソース管理を電源オン装置に承継させる場合の実施の形態を示した制御シーケンスを示す。図11に示した実施の形態では、リソース管理画像形成装置は、電源オン通知に含まれる自機種リソース・データを読出して、リソース管理画像形成装置が保有するリソース評価リストを使用してスコア付けし、当該リソース管理画像形成装置がリソース管理を継続するか否かを判断する。その結果、リソース管理を電源音素うちに承継させると判断し、その後、リソース管理画像形成装置は、電源オン応答にリソース管理承継を指令するステータス識別子を記入して電源オン装置へと送信し、電源オン応答と同時に、または電源オン応答の後にシーケンシャルにリソース・データおよびリソース評価リストを送信する。
【0050】
リソース管理画像形成装置からリソース管理承継を指令された電源オン装置は、リソース・データおよびリソース評価リストを受信して自己のデータを更新し、新たにリソース管理画像形成装置の管理処理ブロックを起動させてリソース管理画像形成装置の処理を開始し、設定が終了した通知を、既動作装置および直前までリソース管理画像形成装置であった画像形成装置へと、データリンク層レベルまたはネットワーク層レベルの適切なアドレスを使用して送信する。この通知を受取った直前までリソース管理画像形成装置であった画像形成装置は、自己のステータス識別データを、スレーブとして登録し、スレーブ処理ブロックを呼出して、以後スレーブ画像形成装置として機能する。
【0051】
図12は、本発明のリソース管理画像形成装置の実行するスレーブ/管理判断処理のフローチャート(図12(a))およびスレーブ画像形成装置の実行する処理を示したフローチャート(図12(b))である。図12(a)に示した本発明のリソース管理画像形成装置は、ステップ1201で電源オン通知のフレームまたはパケットから電源オン装置のデータ・リストを取得する。ステップ1202で取得したデータ・リストに記載されたデータで、リソース評価リストの対応するフィールドを検索し、対応するポイントを取得し、例えば下記式(1)を使用して、電源オン装置のスコアを計算する。
【0052】
【数1】

上記式(1)中、Pは、ポイントであり、Pidは、製品識別子であり、Midは、機種識別子であり、Opidは、オプションデバイス識別子である。本発明では、各データに対して適切な重み付け計数を付してスコアを計算することもでき、また上記式(1)とは異なる線形関数または非線型関数を含むスコアリング関数を使用してスコアを計算することもできる。
【0053】
ステップ1202のスコア計算の結果を、ステップ1203でリソース管理画像形成装置が予め計算しておいたスコアと比較し、特定の実施の形態では、リソース管理画像形成装置のスコアよりも高いか否かを判断する。その結果、計算したスコアがリソース管理画像形成装置のスコアよりも高い場合(yes)には、ステップ1205でステータス識別子として承継要求を記入したレスポンス・パケットを作成し、電源オン装置に送信する。また、計算したスコアがリソース管理画像形成装置のスコアよりも低い場合(no)には、ステータス識別子としてリソース管理を継続する値を記入したレスポンス・パケットを作成し、電源オン装置へと送信して、リソース管理のステータス判断を実行する。
【0054】
一方、スレーブ画像形成装置は、ステップ1210で電源オン装置の同報通信を受信すると、ステップ1211で、データ・フィールドがからのレスポンスを返し、電源オン装置に対してリソース管理画像形成装置ではないことを通知する。通常では、ドメイン内に接続された最もハイパフォーマンスの画像処理装置がリソース管理を担当することになるものの、メンテナンスや、消耗品の交換などによりドメインへの接続が解除される場合がある。
【0055】
このため、さらに、本発明のスレーブ画像形成装置では、ステップ1211の後に、定期的に、例えばリソース管理画像形成装置に対してPing/ICMPプロトコルを送信して、リソース管理画像形成装置がネットワーク上で機能しているかどうかをパトロールすることができる。この処理を用いる場合には、ICMPレスポンスがコネクション失敗を通知する場合には、各スレーブ画像形成装置は例えば自己のログ履歴を調査して、以前にリソース管理を実行していた画像形成装置であって、直前にリソース管理を実行していた画像形成装置がリソース管理のステータスを登録して、新たにリソース管理を継続させることもできる。
【0056】
図13は、本発明においてリソース管理画像形成装置が外部サーバからリソース管理データを取得する処理のフローチャートを示す。図13に示すように、リソース管理画像形成装置は、ステップ1301でサーバに対してFTPプロトコルなどを使用して最新のリソース管理データのバージョンを、リソース・データおよびリソース評価リストまたはそれらのいずれか一方を検索キーとして問い合わせ、最新のリソース管理データのバージョンを取得する。ステップ1302では、取得したバージョン・データをすでに自己が取得済みのバージョン・データと比較する。ステップ1303では、リソース管理画像形成装置は、自己の保有しているバージョン・データが古いか否かを判断し、同一であると判断した場合(no)は、ステップ1304でトランザクションを終了させる。
【0057】
また、ステップ1303で、自己の保有するバージョンが古いと判断した場合(yes)には、ステップ1305で、FTPプロトコル、SNMPプロトコル、またはサーバがhttp:プロトルを使用している場合には、htmlなどの構造化言語を用いてサーバにリソース・データおよびリソース評価リストの同時ダウンロートまたはいずれか一方のダウンロードを依頼する。
【0058】
その後、リソース管理画像形成装置は、ステップ1306でサーバから、要求したリソース管理データを受信して、ステップ1306で自己のリソース・データおよびリソース評価リストの対応するデータまたは両方を更新する。上述したように、ステップ1307の後にリソース管理画像形成装置は、スレーブ画像形成装置へとリソース管理情報が更新されたことを通知して、更新されたリソース・データを送信することができる。
【0059】
図14は、本発明のリソース管理方法によるトランザクションを示した図である。本発明では、サーバ26は、画像形成装置を提供するメーカの管理するサイトに設置されたサーバであり、製品サポートを行なっている。サーバ26には、ハードディスク70が接続されていて、内部に例えば製品データベースが格納されている。また、画像形成装置は、ユーザが形成する所定のドメインに設置されており、ルータ22の下流側に適切なプライベート・アドレスで構成されるドメイン74またはその下流側に、スイッチ20などによりアクセスリンクが設定されるLAN72としてサブドメインが形成されている。ここで、ドメイン74に設置されたリソース管理画像形成装置(RMA)76がリソース・リクエストを、例えばFTP、SNMP、またはhttpプロトコルを使用してサーバ26に対して発行するものとする。
【0060】
ドメイン74およびサブドメイン72には、画像形成装置の他、多数のパーソナル・コンピュータなどの情報処理装置が接続されていて、LAN内でのARPプロトコルを使用したデータリンク層レベルでのトランザクションや、SNMPプロトコルを使用した多数のトランザクションが行われ、外部に対して、メール、httpリクエストなどを行っている。本発明では、本発明では、所定のドメインから制限された台数の画像形成装置が代表してサーバにアクセスすることができるので、画像形成装置とサーバとの間のトランザクションが、特にドメインの出口におけるトラフィックに対して過大な負担をかけることを防止することができる。
【0061】
また、サーバ26におけるトラフィックについても、管理しなければならないすべての画像形成装置からの同報通信を受けることがなく、管理しなければならない画像形成装置が増加した場合でも、それに比例して処理を増加させることなく、またネットワーク(インターネット)24間でのトランザクションによるネットワーク帯域幅の占有量を低下させることができる。
【0062】
本発明によれば、ユーザの所定の属性を有する単位ごとにリソース管理を行うことができるので、所定のフォーマットでのジョブが要求されることの多い画像形成装置に適したリソース管理を提供することができる。
【0063】
図15は、本発明において、サーバ26から提供されるリソース管理データのデータ・パケットの構造を示した図である。図15に示すように、本発明においてサーバ26からダウンロードされるリソース管理データは、少なくともリソース評価リストとリソース・データとを含んでおり、図15(a)に示した実施の形態では、リソース管理画像形成装置は、リソース評価リストだけがアップデートされたと判断して、リソース評価リストだけのダウンロードをサーバに依頼している。
【0064】
これに対応してサーバから送信されるデータ・パケット78は、IPヘッダとリソース評価リスト80とを含んでいて、IPヘッダには、サーバのIPアドレスと宛先IPアドレスとが記入されており、また、データ・パケットのプロトコル・タイプ(TCP/IPまたはUDP/IP)の種別が記述されている。さらに、データ・パケット80のデータ・フィールドには、リソース評価リスト80がそのバージョンと共に記入されていて、リソース管理画像形成装置のリソース評価リストだけがアップデートされている。
【0065】
また、図15(b)は、データ・パケットの別の実施の形態を示した図であり、データ・パケット82には、リソース・データ84がそのバージョンと共に記入されていて、リソース管理画像形成装置に対して、要求されたリソース・データのみを送信している。図15(b)に示したデータ・パケット82は、リソース管理画像形成装置が、リソース・データ84のみのダウンロードを依頼した場合にサーバから送信される。
【0066】
また、図15(c)の実施の形態では、データ・パケット86は、リソース・データおよびリソース評価リストの両方が含まれており、リソース管理画像形成装置は、リソース管理データとしてリソース・データおよびリソース評価リストの両方をダウンロードしている。図15(c)に説明する実施の形態では、リソース管理画像形成装置は、リソース・データとリソース評価リストと同時に更新して、ドメイン内に配布して、リソースの共有化を行っている。
【0067】
上述したサーバ−リソース管理装置間のトランザクション・プロトコルは、TCP/IPとすることもできるし、UDP/IPとすることもでき、データ・フィールドに記述される各データのフォーマットも特に限定されないが、復号後に、例えば、カンマ区切りまたはスペース区切りのテキストまたはCSVフォーマットを与える形式で記述することが、画像処理装置側でのデータ汎用性を与える点から好ましい。
【0068】
また、本発明の特定の実施の形態では、ネットワーク基盤として、イーサネット(登録商標)を使用するネットワークを用いて説明してきたが、本発明は、無線通信または赤外線通信を使用するネットワークであっても適用できる。また、通信プロトコルについてもインターネット・プロトコルを使用する他、セル・リレーを使用するATM(Asymmetric Transfer Mode)や、CSMA/CD、HDLCやトークンリングのプロトコルに基づく通信ネットワークであっても適用できる。また、本発明の上記機能は、C、C++、Java(登録商標)、Java(登録商標)Beans、Java(登録商標)Applet、Java(登録商標)Scriptなどの手続処理型プログラミング言語またはオブジェクト指向ブログラミング言語などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現できる。
【0069】
また、本発明において、画像形成装置自体が上述したプログラミング言語を実行可能な情報処理機能を含んでいてもよく、また、画像形成装置に対して外付けの情報処理端末を配置して、情報処理端末が画像形成装置のネットワーク・ドライバを使用してサーバに通信することもできるし、情報処理端末がサーバとデータ送受信を行い、画像形成装置に対してリソース管理データを渡すこともできる。
【0070】
これまで本発明の情報処理装置を画像形成装置とした場合の特定の実施の形態とし、図面に示した実施の形態をもって詳細に説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の画像形成装置が接続されるネットワーク環境を示した概略図。
【図2】本発明における複数の機能を含む画像形成装置のハードウェアおよびソフトウェア構成を示した概略図。
【図3】本発明の画像形成装置が含むデータの実施の形態を示した図。
【図4】本発明のリソース管理画像形成装置が含むリソース・データの構成を示した図。
【図5】本発明の画像形成装置を含む制御プログラムの構造およびステータス管理データを示したブロック図。
【図6】電源オン装置が実行する処理のフローチャート。
【図7】電源オン装置が伝送するフレームの実施の形態を示した図。
【図8】電源オン装置が伝送するIPパケットの実施の形態を示した図。
【図9】リソース管理画像形成装置が伝送するリソース・データ伝送パケットの実施の形態を示した図。
【図10】本発明のリソース管理方法の制御シーケンスを示した図。
【図11】本発明のリソース管理方法の他の制御シーケンスを示した図。
【図12】リソース管理画像形成装置およびネットワークにすでに接続された既動作装置の実行する処理を示した図。
【図13】リソース管理画像形成装置が実行するリソース管理データのアップデート処理を示した図。
【図14】本発明のリソース管理方法によるトランザクションを示した図。
【図15】サーバとリソース管理画像形成装置との間においてダウンロードされるデータ・パケットの実施の形態を示した図。
【符号の説明】
【0072】
10…ネットワーク環境、12…画像形成装置、14…複写機、16…ファクシミリ、18…プリンタ、20…スイッチ、22…ルータ、24…ネットワーク(インターネット)、26…サーバ、28…スイッチ、30…LAN、32…LAN、34…ユーザI/F、36…アプリケーション・レイヤ、38…ミドルウェア・レイヤ、40…汎用OSレイヤ、42…API、44…RAM、46…モノクロプリンタ・デバイス、48…フルカラープリンタ・デバイス、50…ネットワーク・デバイス、52…記憶装置、54…データ・リスト、56…リソース評価リスト、58…リソース・データ、60…同報通信データ(電源オン通知)、62…レスポンス・データ(電源オン応答)、64…同報通信パケット(電源ON通知)、66…レスポンス・パケット(電源オン応答)、68…リソース・データ伝送パケット、70…ハードディスク、72…サブドメイン(LAN)、74…ドメイン、76…リソース管理画像形成装置(RMA)、78…データ・パケット、80…リソース評価リスト、82…データ・パケット、84…リソース・データ、86…データ・パケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された情報処理装置であって、前記情報処理装置は、
電源オン時に、前記情報処理装置が帰属される前記ネットワーク内における局在化したドメイン内で同報通信され、かつ電源オンされた前記情報処理装置のデータ・リストを含む通信データを作成する通信データ作成手段と、
前記通信データを受信して前記データ・リストを取得し、リソース管理データとして提供されるリソース評価リストと前記データ・リストとを照合してスコアを計算し、前記スコアに応答してリソース処理のステータスを判断するステータス判断手段と、
前記ステータス判断手段の判断結果に応答して、ステータス指令データを含むレスポンス・データを作成し、前記通信データの送信元に返信するステータス指令手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
さらに、前記ドメイン外で前記ネットワークに接続されたサーバにアクセスして前記情報処理装置の前記リソース管理データの更新を判断し、前記リソース管理データが更新されたと判断した場合に前記サーバから更新された前記リソース管理データを取得するリソース取得手段を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、更新された前記リソース管理データを、少なくとも局在化した前記ドメイン内の少なくとも1台の他の情報処理装置に配布するリソース更新手段を備える、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記リソース管理データに対応したリソース評価リストとデータ・リストとを格納する記憶装置を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ネットワークに接続された情報処理装置のリソース管理を行うリソース管理方法であって、前記リソース管理方法は、
電源オン時に、前記情報処理装置が帰属される前記ネットワーク内における局在化したドメイン内で同報通信され、かつ電源オンされた前記情報処理装置のデータ・リストを含む通信データを作成するステップと、
前記通信データに含まれる前記データ・リストとリソース管理データとして提供されるリソース評価リストとを照合して計算されたスコアに応答して決定されるステータス指令データを含むレスポンス・データを受信するステップと、
前記ステータス指令データに対応してリソース管理処理を切換えるステップと、
を含む情報処理装置のリソース管理方法。
【請求項6】
ネットワークに接続された情報処理装置のリソース管理を行うリソース管理方法であって、前記リソース管理方法は、
局在化したドメイン内で同報通信され、かつ前記情報処理装置のデータ・リストを含む通信データを情報処理装置が受信するステップと、
前記通信データを受信して前記データ・リストを取得し、リソース管理データとして提供されるリソース評価リストと前記データ・リストとを照合してスコアを計算し、前記スコアに応答してステータスを判断するステップと、
前記判断の結果に応答して、ステータス指令データを含むレスポンス・データを作成し、前記通信データの送信元に返信するステップと
を含む、情報処理装置のリソース管理方法。
【請求項7】
ネットワークに接続された情報処理装置のリソース管理を行うリソース管理方法を情報処理装置に対して実行させるための装置実行可能なプログラムであって、前記プログラムは、前記情報処理装置に対して、
電源オン時に、前記情報処理装置が帰属される前記ネットワーク内における局在化したドメイン内で同報通信され、かつ電源オンされた前記情報処理装置のデータ・リストを含む通信データを作成する機能と、
前記通信データを受信して前記データ・リストを取得し、リソース管理データとして提供されるリソース評価リストと前記データ・リストとを照合してスコアを計算し、前記スコアに応答してステータスを判断する機能と、
前記判断に応答してステータス指令データを含むレスポンス・データを作成する機能と、
前記ステータス指令データに応答してステータス管理データを保持または更新し、記憶装置に格納する機能と
を実現させる、装置実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−343950(P2006−343950A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168358(P2005−168358)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】