情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
【課題】サーバに提供したデータのうち、特定のオブジェクトのみの再編集を第三者に対して許可し、しかもデータ作成者の意図を超えた変更や改竄を防止することを可能とする。
【解決手段】データを構成するオブジェクトのうちで再編集を許可する許可オブジェクトを指定し、許可オブジェクトに対する再編集の内容を指定し、再編集を許可する許可注文者を指定し、データの改竄を防止するために前記データ中に改竄防止データを埋め込みこれらの指定情報をデータと共に保存し、第三者に提供する。
【解決手段】データを構成するオブジェクトのうちで再編集を許可する許可オブジェクトを指定し、許可オブジェクトに対する再編集の内容を指定し、再編集を許可する許可注文者を指定し、データの改竄を防止するために前記データ中に改竄防止データを埋め込みこれらの指定情報をデータと共に保存し、第三者に提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを通じてサーバ上のオブジェクトをクライアントに対して編集可能とする情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信システムの整備及び情報通信技術の発展により、インターネットを利用した各種の情報提供サービスが展開されている。インターネットを利用した情報提供サービスでは、文字による情報提供だけではなく画像や音声等をも含む、所謂マルチメディア情報を提供する事が可能である。このような背景のもとで、最近では、インターネットを介してマルチメディア情報に関連させたサービスの提供や通信販売なども一般化し、また、それらの利用者も増えている。
【0003】
又、デジタルカメラなどの普及により、インターネットを通してデジタルカメラで撮影した画像の印刷物の注文を行うサービスも定着しつつある。このサービスにはデジタル画像データを、単にそのまま印刷するだけのものもあるが、画像データを加工したり、画像データを素材の一つとして利用して編集し、新たな印刷データを作るものもある。前者の例としてはデジタルカメラによって撮影した画像データの印画紙などへのプリントがあり、後者の例としては、例えば、画像データを利用した年賀状の印刷が代表的な例である。
【0004】
画像データを加工したり、画像データを素材の一つとして利用して編集し、新たな印刷データを作成するためには、画像、文字、線画等(以下ではオブジェクトという)の配置場所、文字のフォントの種類や大きさなどを指定する必要がある。(たとえば特許文献1参照。)
しかしながら、Webブラウザ上での編集の操作は限られるし、ネットワークを介してのデータのやり取りを行う必要が生じるので、Webブラウザ上でユーザの利用感を良好に保ったまま各種の編集の指定を行うことは困難であった。
【0005】
この1つの方法として、ネットワークに接続されたクライアント側の端末装置のアプリケーションにおいてオブジェクトの配置場所、文字の表記に利用するフォントの種類・大きさなどの指定を行うことが考えられた。そして、クライアント側の端末装置のアプリケーションで完成した編集後データをネットワークを通じて情報処理装置であるサーバにアップロードし、サーバ側で印刷を行うということが行われている。
【0006】
この場合、編集後データの作成者以外が、サーバに対して印刷を依頼する時も、編集後データの作成者と同様に、自分の端末を使用してサーバにアクセスし、印刷を依頼することになる。しかしながら、この時は注文されるデータはすべて、編集後データの作成者が作成した同一の編集後データしか注文することができなかった。
【特許文献1】特開2006−072850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、注文されるデータがすべて同一となる場合は、適切なサービスとはいえない場合もある。例えば卒業アルバムにおいては、自らの子弟が含まれていないアルバムは父兄にとっては、あまり価値はない。しかしながら、すべての人が作成者が作成したデータをダウンロードしてクライアント側のアプリケーションによって編集することが可能にさせると、データ作成者の意図を超えた編集がされる可能性があり、またこれも適切ではない。またデータ作成者以外が直接データに触れる機会をもつので、改竄などの可能性が生じるという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、サーバに提供したデータのうち、特定のオブジェクトのみの再編集を第三者に対して許可し、しかもデータ作成者の意図を超えた変更や改竄を防止することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本願の実施形態に係る情報処理装置は、
データを構成する複数のオブジェクトから再編集を許可する許可オブジェクトを指定するオブジェクト指定手段と、
前記許可オブジェクトに対する再編集の内容を指定する再編集内容の指定手段と、
前記再編集を許可する注文者を指定する許可注文者の指定手段と、
前記データ中に改竄防止データを埋め込む埋め込み手段と、
前記許可オブジェクト、前記再編集内容、及び前記許可注文者を前記データと共に保存する保存手段とを備える。
【0010】
上記の目的を達成するため、本願の他の実施形態に係る情報処理装置の制御方法は、
データを構成する複数のオブジェクトから再編集を許可する許可オブジェクトを指定するオブジェクト指定工程と、
前記許可オブジェクトに対する再編集の内容を指定する再編集内容の指定工程と、
前記再編集を許可する注文者を指定する許可注文者の指定工程と、
前記データ中に改竄防止データを埋め込む埋め込み工程と、
前記許可オブジェクト、前記再編集内容、及び前記許可注文者を前記データと共に保存する保存工程とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サーバに提供したデータのうち、特定のオブジェクトのみの再編集を第三者に対して許可し、しかもデータ作成者の意図を超えた変更や改竄を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態に係る情報処理装置を説明する。
【0013】
<構成例>
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態に係る情報処理装置が適用される情報処理システムを説明する。図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の基本的構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示す情報処理装置は、サーバ装置(以下サーバ)側及びクライアント端末装置(以下クライアント)側で使用される、本発明の実施形態のアプリケーションを実行するコンピュータ装置である。
【0015】
図1において、ディスプレイ101はアプリケーションプログラムによって処理中のデータの情報、各種メッセージメニューなどを表示する。ディスプレイ101は、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)等から構成される。ビデオRAM(VRAM)ディスプレイコントローラとしてのDISPC102は、ディスプレイ101への画面表示制御を行う。キーボード103及びポインティングデバイス104は、文字などを入力したりする。さらにGUI(Graphical User Interface)におけるアイコンやボタンなどを指し示すためなどに用いられる。CPU105は、図1のコンピュータ装置全体の制御を司る。
【0016】
ROM106(Read Only Memory)は、CPU105が実行するプログラムやパラメータ等を記憶している。RAM(Random Access Memory)107は、各種プログラムをCPU105が実行する時のワークエリア、エラー処理時の一時退避エリア等として用いられる。
【0017】
ハードディスクドライプ(HDD)108、リムーバブルメディアドライブ(RMD)109は、外部記憶装置として機能する。リムーバブルメディアドライブ109は、着脱可能な記録媒体の読み書き又は読み出しを行う装置である。リムーバブルメディアドライブ109は、フレキシブルディスクドライブ、光ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、メモリカードリーダはもとより、着脱式のHDDなどであってもよい。
【0018】
なお、本実施形態において説明するサーバ及びクライアントの各種機能を実現するプログラムを始め、OS、Webブラウザ等のアプリケーションプログラム、データ、ライプラリなどは、その用途に応じて上記した記憶媒体の少なくとも1つに記憶されている。
【0019】
拡張スロット110は、例えばPCI(Peripheral Component Interconnect)バス規格に準拠した拡張カード装着用スロットである。ここには、ビデオキャプチャボードや、サウンドボード、GPIBボード等、様々な拡張ボードを装着することが可能である。
【0020】
ネットワークインタフェース111は、コンピュータ装置をコンピュータネットワークに接続するためのインタフェースである。バス112は、アドレスバス、データバス及び制御バスからなり、上述した各ユニット間を接続する。また、ネットワークインタフェース111の他に、RS−232C、RS−422、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394等のシリアルインタフェースを有する。さらに、IEEE1284等のパラレルインタフェースをも有し、モデムやプリンタ等の外部機器との接続を可能にしている。
【0021】
<システム概要>
図2は、本発明の実施形態に係る情報処理装置が適用される情報処理システムの全体図である。図2から理解されるように、印刷の工程は、ここで説明する情報処理システムの外側に存在していてもよい。また、本実施形態で作成されるデータは印刷データに限るものではない。本実施形態が適用される情報処理システムと同様の方法で図画などを作成した時も同様であるが、ただデータと書くのは曖昧である。従って、本明細書では、本実施形態が適用される情報処理システムの目的を印刷とし、作成されるデータを印刷データとする。ただし、これは本発明が印刷データの作成過程に限定されるものではなく、本発明の実施形態が適用される情報処理システムの理解をしてもらうために、印刷データを1つの例として説明に使用するものである。
【0022】
まず図2を用いて本発明の実施形態に係る情報処理装置が適用される情報処理システム全体の動作の流れについて説明する。
【0023】
図2の工程(1)に示すように、まず印刷のデータ作成者がクライアント側のパーソナルコンピュータ121(以下PC121とする)にインストールしたアプリケーションを使用して印刷データの作成を行う。この場合、印刷データ作成者は、自分の所有する各種のデータを、このアプリケーションを使用して編集し、印刷データを作成する。次に、工程(2)に示すように、印刷データ作成者がPC121を使用して、印刷データである編集後データを構成するオブジェクトの一つを選択し、再編集を許可する許可オブジェクトを設定する。許可する再編集の種類が存在する場合は、再編集内容の種類についても選択する。再編集の許可の設定をしたいオブジェクトが他にもある場合、同様にそれらのオブジェクトについても許可オブジクトとして設定する。
【0024】
次に、工程(3)に示すように、印刷データ作成者がアプリケーションのアップロードボタンをクリックすると再編集情報とともに、編集後データである印刷データがサーバ122にアップロードされる。サーバ122は、工程(4)で示すように、アップロードされた印刷データをデータ保存装置124に保存する。
【0025】
印刷データのデータ保存装置124への保存が終了したら、工程(5)で示すように、サーバ122からPC121のアプリケーションに対し、クライアント側で表示するURLをPC121に通知する。PC121に組み込まれたアプリケーションはWebブラウザを立ち上げ、通知されたURLを表示する。
【0026】
次に工程(6)で示すように、印刷データ作成者は、Webブラウザで印刷データを閲覧し、再編集し、注文を許可する所謂許可注文者のメールアドレスを入力し、OKボタンをクリックする。以下では、実際に注文を行った者も含め許可注文者と呼ぶ。図2の工程(7)では、サーバ122は、印刷データ作成者の指定した許可注文者のメールアドレスに、アップロードされた印刷データの内容が確認できるWebページのURLを記述したメールを送付する。
【0027】
メールを受けた許可注文者は、工程(8)に示すように、パーソナルコンピュータ123(以下PC123とする)を使用して、メールに書かれたURLをブラウザ上で入力し、印刷データの内容を確認する。そして、工程(9)で、許可注文者が再編集が許可として設定された再編集内容に従ったオブジェクトの再編集を行う。再編集内容においては、文字の場合は文字の指定、フォントの大きさやフォント名の変更の場合はメニューからの選択などを行い、画像の差し替えの場合は新たな画像データをアップロードすることになる。
【0028】
許可注文者がPC123を使用してオブジェクトの再編集の完了後OKボタンをクリックする。すると、工程(10)に示すように、サーバ122は再編集の結果を反映した再編集後の印刷データを作成する。次に、許可注文者のPC123のWebブラウザに冊数入力画面が表示される。
【0029】
ここで、許可注文者が冊数を入力し、OKボタンをクリックすると、許可注文者及び配送先入力画面が表示される。許可注文者が、PC123のWebブラウザに許可注文者の名前及び配送先情報を入力し、OKボタンをクリックすると、見積り画面が表示される。
【0030】
ここで、工程(11)に示すように、許可注文者がOKボタンをクリックすると、サーバ122は課金に必要な処理を行う。そして、工程(12)のように、オーダ番号や課金に関する情報を許可注文者に提示する。さらにサーバ122は、入金が確認又は代金引換など入金が確実な場合に、工程(13)で、再編集後の印刷データを印刷装置125に廻す。次に図2の各工程の詳細について述べる。
【0031】
<印刷データ作成者の操作及び対応する処理(1)>
図2の工程(1)における印刷データの作成は、Adobe Illustratorや(登録商標)Quark XPress(登録商標)等のように画像、線画、文字等のオブジェクトをGUIを使用して配置し、描画するものである。そして、この種のアプリケーションが有するインタフェースと同様なインタフェースをもつ。どのように画像の配置、線画の描画及び配置、文字の入力及び配置、フォントの指定などを行うかは、本発明において本質的なものではない。
【0032】
図2の工程(2)で再編集の許可を設定するために各画像、線画、文字等のオブジェクトを選択できる必要はあるが、制約はこれだけであり、またこの制約はGUIによる配置及び描画の前提をなすので、一般的なものである。なおこのアプリケーションは、例えば、サーバ122へのアクセス権限を所有する人を対象に配布される。そして、配布された人は自分のPCにインストールする。そしてインストールした人が印刷データ作成者となるが、これもアプリケーションについて何ら制約をもたらすものではない。
【0033】
一方、図2の工程(7)でのメールが送られた人、即ち再編集が許可された許可注文者は、メール中に指定された印刷データの内容が確認できるWebページからのリンク、又はメール中の別のURLよりアプリケーションをダウンロードすることもできる。許可注文者が印刷データの作成を最初から行うことができないよう(許可注文者が印刷データ作成者になれないよう)に、このアプリケーションを印刷データ作成者が使用するものより機能が限定されたものとしても良い。さらに、同一の機能をもつアプリケーションであるが、サーバ122側での認証を得た時だけ、最初からの印刷データの作成が可能となるようにしても良い。またサーバ122へのアスセスを制限せず、だれでもアプリケーションをダウンロードできるようにしても良い。
【0034】
図2の工程(2)において、印刷データ作成者は特定のオブジェクトを選択し、マウスのクリックによるメニュー表示(図3の(a))又はメニューバーからのメニュー表示(図3の(b))などによりメニューを表示する。
【0035】
いま、印刷データ作成者が、図3の(a)又は(b)において「再編集...」(P301又はP311)を選択したとする。すると再編集可能な再編集内容を選択するためのウィンドウが表示される。図4は、選択されたオブジェクトが文字の場合の一例のGUI(Graphic User Interface)画面であるGUI4である。ここでは、文字の内容の修正(P401)、フォントの種類の修正(P402)、フォントの大きさの修正(P403)のいずれかのチェックボックスにチェックをすることが可能である。チェック後、OKボタンP411をクリックすると、選択されたオブジェクトが許可オブジェクトとして再編集可能となり、再編集時に設定可能な再編集内容が指定される。キャンセルボタンP412がクリックされたときは、選択されたオブジェクトに対する再編集の設定が変更されない。なお選択されたオブジェクトが既に再編集が可能となっており、再編集をできないように設定を変えたい時は、図3で、メニューP302及びP312を選択することにより変更することが可能である。
【0036】
<データ構成例>
アプリケーションが作成する印刷データのフォーマットは画像、文字、線画等が表現可能なものであればどのようなフォーマットや言語でも差し支えない。本実施形態ではアプリケーションが作成する印刷データのフォーマットをPDF(Adobe Portable Document Format(登録商標))とする。PDFは画像、文字、線画等のいずれも表現可能な汎用性の高いフォーマットである。これを用いて説明することは本発明において必須用件ではなく、単に説明を行う上での便宜であるから、発明の制約を示すものではない。
【0037】
例えば線画については、許可注文者による自由な再編集が必要ない場合やそもそも線画が必要ない場合もあるが、このような場合はPDFのような汎用フォーマットである必要はない。したがって、HTML(Hyper Text Markup Language)のようなマークアップ言語でも構わない。また他の汎用なフォーマットや言語、例えば、Adobe PostScript(登録商標)やScalable Vector GraphicsのようなPDL(Page Description Language)であっても差し支えない。さらにこれら使用の公開されているフォーマットや言語でなく独自のフォーマットや言語を使用しても構わないのは言うまでもない。
【0038】
アプリケーションを使用して印刷データを作成するとき、画像は図5の(a1)、文字は図5の(b1)、線画は図5の(c1)のように表現される。そして、印刷データ作成者がこれら画像、文字、線画等に対し再編集可能を設定した時は、それぞれの辞書に/Editableキーを追加することにより再編集可能である旨を示す。
【0039】
図5の(a2)、図5の(b2)、図5の(c2)は、図5の(a1)、図5の(b1)、図5の(c1)に対し再編集可能を設定した場合である。/Editableキーに対応する値としては辞書が指定され、その辞書は/Typeキー、/Iconキー、/Idキー、およびそれぞれに対応する値が含まれている。/Typeに対応する値は、許可された再編集の種類を意味し、複数の種類の指定が可能なように配列として表される。そして画像の場合は/Typeが1の時画像の差し替えを、/Typeが2の時画像位置の変更を、/Typeが3の時画像倍率の変更を、文字の場合は/Typeが1の時文字の指定を意味する。さらに、/Typeが2の時フォントの大きさの変更を、/Typeが3の時フォントの変更を、線画の場合は/Typeが1の時位置の修正を、それぞれ許可注文者に許可する再編集内容を設定をすることを意味する。つまり図5の(a2)の場合は画像の差し替え、画像位置の変更、画像倍率の変更、図5の(b2)の場合は文字の指定、フォントの大きさの変更、フォントの変更、図5の(c2)の場合は線画の位置の修正を許可している。
【0040】
なお許可注文者による再編集(図2の工程(9))で可能な編集方法が他にある場合や上記より少ない場合は、/Typeに設定可能な値を多くしたり少なくしたりできることは当然である。なお図5の(a1)及び図5の(a2)は外部で定義したイメージXObjectを使用しているので念のため図5の(a3)として挙げたが、これは通常の場合と何ら変わらない。
【0041】
さらに/Idキーに対応する値には、再編集を許可する許可オブジェクトを特定するために必要な数字もしくは文字列を用いる。例えば、PDFのオブジェクトのバイト数とオブジェクト番号などから一意に決まる値を用いる。この値は、例えば、オブジェクトのサイズとオブジェクト番号を足したものに対し特定の数字を掛けた結果や特定の数値で割った余りなどで決める。このように/Idキーとそれに対応する値を付加することにより、許可注文者が再編集する際に、アプリケーションは/Idキーに対応する値が正しいものかを容易に調べることができる。これにより、許可注文者が任意の箇所を再編集することを防ぐことができる。このようにファイルを書き換えることができないような配慮が必要なのは、PDF自体がダウンロードされるからである。
【0042】
一方、PDFのカタログオブジェクトにも/Editableキーを追加する。そして/Editableキーに対応する値としては辞書が指定される。その辞書は、/Typeキー、/Idキー、及びそれぞれに対応する値が含まれている(図5の(d1))。/Typeキーに対応する値は、/All、/Specified、/Completeのいずれかであり、/Allはすべてのオブジェクトについて修正が可能であることを示す。さらに、/Specifiedは/Editableキーが含まれるオブジェクトについてのみ修正が可能であること、/Completeについては修正が不可能であることを示す。また/Idキーについてはオブジェクト中のそれと同じで、許可注文者が再編集する際にアプリケーションが/Idキーに対応する値が正しいものかを調べ、許可注文者が任意の箇所を再編集することを防ぐものである。
【0043】
また印刷データ作成者がアプリケーションを使用し、編集後データである印刷データを作成し、作成した印刷データのアップロードを行う前に、サーバ122に対しての会員登録が事前に必要であるとする。この場合は、必須ではないがカタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値として/Userキー、/Fileキーとそれぞれに対する値を含めても良い(図5の(d2))。/Userキーに対応する値としては、サーバ122が個々の印刷データ作成者に対して付けた番号(以下では印刷データ作成者IDと呼ぶ)を何らかの方法で暗号化したものである。一方、/Fileキーに対応する値としては、印刷データ作成者が印刷データをアップロードする。そして、サーバ122がデータ保存領域に印刷データを保存する際に、個々の印刷データに付けた番号(以下では印刷データIDと呼ぶ)を何らかの方法で暗号化したものである。
【0044】
サーバ122は、アップロードされた印刷データに含まれる/Userキー、/Fileキーそれぞれに対応する値を適切な方法で復号化する。そして、/Fileキーに対応する値から求められた印刷データIDで特定される印刷データ作成者が、/Userキーに対応する値から求められた印刷データ作成者IDで特定される印刷データ作成者であるかどうかを判定する。それにより、許可注文者が編集を行った印刷データが正規に登録された印刷データ作成者によって正規にアップロードされた印刷データであるかを知ることができる。もし正規に登録された印刷データ作成者によって正規にアップロードされた印刷データでない場合、又は/Userキー、/Fileキーそれぞれに対応する値を適切な方法で復号化できなかった場合は、以下のようになる。すなわち、許可注文者によるアップロードを拒絶しそれ以後の処理を行わなければ良い。なお、このチェックを行うためには、以下の三点を前提とする。
【0045】
α1:印刷データ作成者が事前に会員登録を行う際には、個々の印刷データ作成者に対し印刷データ作成者IDの番号付けがなされ、データベースに格納される。印刷データ作成者が印刷データのアップロードを行うに際してログイン認証処理が行われる。その際に、この印刷データ作成者ID又は印刷データ作成者IDに紐付けられた情報、および印刷データ作成者IDに付加さられたパスワードなどが利用されること。
【0046】
α2:印刷データ作成者が印刷データをアップロードし、サーバ122が個々の印刷データに対し印刷データIDの番号付けがなされる。データ保存領域であるデータベース又はファイルシステムに印刷データを保存する際に、実際の保存場所と、この印刷データIDと関連付ける情報をデータベースにもつ。実際の保存場所は、データベースの場合は保存されるテーブルのレコードの主キー、ファイルシステムの場合はファイルのパスとなる。
【0047】
α3:印刷データIDと印刷データ作成者IDを関連付ける情報についてもデータベースにもつ。
【0048】
また/Userキーおよびそれに対応する値、/Fileキーおよびそれに対応する値のいずれかのみであっても、正規な印刷データであるかどうかを判断する上では有効である。/Userキーに対応する値から求められた印刷データ作成者IDで特定される印刷データ作成者がデータベースに登録されていない。又は/Fileキーに対応する値から求められた印刷データIDで特定される印刷データがデータベース上に登録されていないことが判断し得るからである。/Userキーおよびそれに対応する値しか含まれない時は、α1のみが前提となる。一方、/Fileキーおよびそれに対応する値しか含まれない時は、α2のみが前提となる。
【0049】
<印刷データ作成者の操作及び対応する処理(2)>
印刷データの作成と再編集の設定を終えた印刷データ作成者は、印刷データの確認を行った後、印刷データのサーバ122へのアップロードを行う(図2の工程(3))。図6にアプリケーションにおける確認画面の一例のGUI6を示す。印刷データ作成者はPC121で印刷データの確認を行う。そして問題がないと判断したら、アップロードボタンP612のクリック又はインターネットメニューP603からのアップロードメニューの選択を行う。するとアプリケーションは印刷データのサーバ122へのアップロードを行う。
【0050】
印刷データをサーバ122にアップロードした際に、アプリケーションはカタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Typeキーに対応する値を/Specifiedとする。そして、それに応じて/Idキーに対応する値も変更する。つまり/Editableキーが含まれる許可オブジェクトについてのみ修正が可能であるようにする。なお印刷データ作成者がアプリケーションによって作成した印刷データをローカルディスクに保存する時点では、/Typeキーに対応する値は/Allである。つまりすべてのオブジェクトが許可オブジェクトとして修正可能である。
【0051】
この時アップロードされるURLは印刷データ作成者がアップロードを行うためのURLであり、アプリケーションの中に定数として埋め込んでおいてもよいし、アップロードの前にサーバ122の特定のURLに対し問い合わせることで取得してもよい。
【0052】
そしてサーバ122は、印刷データのデータ保存装置124への保存を行う(図2の工程(4))。サーバ122を利用するには会員登録が必要な場合は、事前の会員登録と、アップロード時の会員認証処理が必要となるが、本実施形態において必須のものではないので説明を省略する。
【0053】
サーバ122は、印刷データのデータ保存装置124への保存に成功すると、許可注文者の指定に使用するWebページであるGUI画面のURLをPC121のアプリケーションに対して通知する(図2の工程(5))。アプリケーションはデフォルトのWebブラウザを立ち上げ、通知されたURLを表示する(図2の工程(6)、図7)。
【0054】
図7のGUII7を使用して、印刷データ作成者は許可注文者のメールアドレスをテキストフィールドP702に入力し、OKボタンP703をクリックする。アップロードされた印刷データの内容を確認したい場合は、リンクP704をクリックすることで、印刷データを確認するための画面のGUI8遷移する(図8)。GUI8画面では印刷データをJPEGなどに変換して表示する(P801)ことによって、印刷データの内容の確認を行うことができる。またGUI8にはGUI7への遷移を行うリンクP802が設けられているので、印刷データの内容を確認の上、許可注文者のメールアドレスを設定することが可能となる。
【0055】
また印刷データ作成者も、ボタンP803をクリックすることにより許可注文者として再編集を行うことができるし、ボタンP804をクリックすることにより許可注文者として注文することができる。これらの場合の処理は、印刷データ作成者からの通知を受けた許可注文者に対する処理と比べ、再編集や注文の作業が終わった後やキャンセルボタンがクリックされた時などに遷移する画面が、図9に示すGUI9ではなくGUI8である点で異なる。しかし、他は何ら変わらないので、まとめて後述する。
【0056】
図7において、OKボタンP703をクリックしたことによって、サーバ122に対しリクエストが発生する。リクエストを受けたサーバ122は、印刷データ作成者が入力した許可注文者のメールアドレスに対し、許可注文者が印刷データの内容を確認するためのWebページであるGUI9のURLを送信する(図2の工程(7))。
【0057】
<許可注文者の操作及び対応する処理>
許可注文者はこのURLをWebブラウザで表示することによって、印刷データの内容を確認し、アプリケーションおよび印刷データをダウンロードするためのGUI9を閲覧することができる(図2の工程(8)、図8)。許可注文者がメールで通知されたURLをWebブラウザ上で表示しようとした際に、サーバ122は、印刷データからJPEGを生成、又は印刷データのアップロード時に作成したJPEGをプレビュー用画像として表示する(P901)。そしてJPEG画像を作成するに先立ちページ内のオブジェクトが再編集可能に設定されているかを上記/Editableキーを探すことによって判断し、存在する場合はGUI9上にリンクP902、P904を表示する。
【0058】
許可注文者はプレビュー用画像を見て、そのまま注文する時はリンクP903をクリックすることにより注文することができる。これらの場合の処理は、ダウンロード後、再編集しアップロードした印刷データ作成者に対する処理と比べ、注文の作業が終わった後やキャンセルボタンがクリックされた時などに遷移する画面がGUI10ではなくGUI9である点で異なる。しかし、他は何ら変わらないので、まとめて後述する。
【0059】
印刷データ作成者が許可注文者に再編集を許可した部分があり、リンクP902が表示されているが、許可注文者がまだアプリケーションをダウンロードしておらず自らのPC123にインストールしていないとする。その場合、リンクP902をクリックすることによりアプリケーションをダウンロードし、インストールする。そして、許可注文者はリンクP904をクリックすることで印刷データをダウンロードし、ダウンロードしたファイルをアプリケーションで開く。
【0060】
なお、アプリケーション上でメールで通知を受けたURLを入力するための入力領域を用意し、許可注文者が入力することによって、アプリケーションが印刷データをダウンロードし、ダウンロードしたファイルを開くようにしてもよい。
【0061】
アプリケーションで印刷データを開く際に、カタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Typeキーに対応する値が/All又は/Specifiedであることを確認する。そして、それ以外の値である時はエラーを表示し処理を止める。カタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Idキーに対応する値が正しいものかを判断し、正しくない時はエラーを表示し処理を止める。
【0062】
さらに再編集が許可されているかどうかは、/Editableキーおよびそれに対応する値がオブジェクト内に存在するかどうかで判断する。その際に/Editableキーに対応する辞書に含まれる/Idキーに対応する値が正しいものであるかも判断する。/Idキーに対応する値が正しくない時はエラーを表示して処理を中止する。/Typeキーに対応する値が/All又は/Specifiedであった時でかつ、カタログオブジェクトおよび個々のオブジェクトの/Idキーに対応する値が正しいとする。この場合は、アプリケーションは印刷データを開き、許可注文者は印刷データ作成者が再編集を許した部分について再編集ができるようになる(図2の工程(9))。
【0063】
なおカタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Typeキーに対応する値が/Specifiedとする。また、すべてのオブジェクトに/Editableキーとそれに対応する値がありそこに含まれる/Idキーに対応する値も正しいとする。この場合、再編集可能な範囲については/Typeキーに対応する値が/Allである場合と何ら変わりがない。しかし、/Typeキーに対応する値が/Specifiedの時は再編集の許可の設定をさらに行うことはできない。
【0064】
また印刷データ作成者と許可注文者が使用するアプリケーションが同一のものであるとする。この場合は、カタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Typeキーに対応する値によって、アプリケーションの使用者が印刷データ作成者なのか許可注文者なのかを判断する。つまり/Typeキーに対応する値が/Allである場合はアプリケーションの使用者が印刷データ作成者であると判断し、/Typeキーに対応する値が/Specifiedの時は許可注文者であると判断する。そしてアプリケーションの使用者が印刷データ作成者の場合アプリケーションからアップロードされるURLは前述した印刷データ作成者がアップロードを行うためのURLとなる。そして許可注文者の場合は後述する再編集後、許可注文者がアップロードを行うためのURLとなる。
【0065】
印刷データ作成者による印刷データの作成で説明したように、印刷データの再編集は、Adobe Illustrator(登録商標)やQuark XPress(登録商標)などの画像、線画、文字といったオブジェクトをGUIを使用して配置する。そして、この種のアプリケーションと同じようなインタフェースを使用する。どのように画像の配置、線画の描画、及び配置、文字の入力、配置、フォントの指定などを行うかは、本発明において本質的なものではないのでこれ以上の説明はしない。
【0066】
印刷データの再編集を終えた許可注文者は、印刷データの確認を行った後、印刷データのサーバ122へのアップロードを行う。図6にアプリケーションにおける確認画面の一例を示す。印刷データ作成者は印刷データの確認を行う。そして、問題がないと判断したら、アップロードボタンP612のクリック又はインターネットメニューP603からのアップロードメニューの選択を行う。するとアプリケーションは再編集結果を反映した印刷データを作成する。その際アプリケーションはカタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Typeキーに対応する値を/Completeとし、それに応じて/Idキーに対応する値も変更する。そして印刷データをサーバ122にアップロードする。
【0067】
この時アップロードされるURLは、再編集後の許可注文者がアップロードを行うためのURLであり、アプリケーションの中に定数として埋め込んでおいてもよい。また、アップロードの前にサーバ122の特定のURLに対し問い合わせることで取得してもよい。さらに印刷データ作成者がアップロードを行うためのURLと編集後の許可注文者がアップロードを行うためのURLを同一のものとすることも出来る。この場合、アップロードされる印刷データのカタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Typeキーに対応する値が/Specifiedであるとする。この時は印刷データ作成者からのアップロードと判断しWebページのGUI7を表示する。また、/Completeである時は、編集後の許可注文者からアップロードと判断し後述するWebページのGUI10を表示してもよい。なおこのURLにリクエストを発するごとにセッションIDが発行され、このセッションIDは以後の画面遷移においても保持される。
【0068】
サーバ122はアップロードされたカタログオブジェクトおよび個々のオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Idキーに対応する値が正しいかどうかを判断する。そして、/Idキーに対応する値が正しくない時はエラーを表示して処理を止める。さらにカタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値として/Userキー、/Fileキーとそれぞれに対する値を必要とする。もし前述したα1乃至α3の前提を充たす場合は、前述したように正常に復号化できるか、印刷データ作成者IDおよび印刷データIDがデータベース中に存在するか、印刷データ作成者IDと印刷データIDが関連付けられているかをチェックする。これらのチェックによって異常と判断された時は、エラーを表示して処理を中止する。
【0069】
これらのチェックによって正常と判断された時、サーバ122はアップロードされた印刷データを、セッションIDと関連付けられた印刷データとして、印刷データ作成者が作成した印刷データとは別に保存する。そしてこの印刷データの該当ページをレンダリングすることによりJPEGデータを作成し、WebページのGUI10を表示することによって許可注文者は内容の確認を行うことができる。許可注文者はリンクP1010、P1011を使用するとその場でJPEGデータを作成するか、事前に作成しておいたJPEGデータをプレビュー用画像として使用してWebページのGUI10が表示されるので、内容の確認を行うことができる。
【0070】
なお本実施形態では、セッションIDと関連付けられた印刷データとして、印刷データ作成者が作成した印刷データとは別に保存している。これは許可注文者が複数存在する時に、個々の許可注文者がアプリケーションによって編集した印刷データをそれぞれアップロードすることを可能ならしめるためである。したがってセッションIDと関連付けて保存するとセッションが存続する間しか印刷データも参照されないので、セッションが存続しなくなった後は、データの削除を行う必要がある。
【0071】
またセッションIDのように短い期間しか存続しないIDではなく、長期存続し再利用されないIDを発行することもある。この場合、Cookie情報として個々の許可注文者のPC123に保存したり、IDを明示的に個々の許可注文者に提示し、そのIDと編集後の印刷データを関連付けることによって、編集後の印刷データによる再注文を可能にすることもできる。
【0072】
さらに許可注文者に通知されるURLをメールアドレスに応じて変え(それに加えて別メールでパスワードも送付し)、許可注文者が印刷データの内容を確認する前にメールアドレス(と別便で送付したパスワード)の入力を求める。これにより認証処理を行うことや、アップロードする際にメールアドレスの入力を求め登録されているメールアドレスに応じて編集結果である印刷データを保存するといったことも可能である。
【0073】
またカタログオブジェクトおよび個々のオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に許可注文者のメールアドレスを暗号化したものを/Mailというキーに対する値として含めることもある。そして、アップロードする際にメールアドレスの入力を求めることで認証処理を行うことも可能である(許可注文者の事前の登録の場合はメールアドレスの代わりに許可注文者を特定するIDやIDを暗号化した文字列を使用することも可能であろう)。このような方法をとることによって、認証処理を行ったものだけに編集を許し、許可注文者ごとに編集結果である印刷データを保存し、再注文を可能にすることもできる。
【0074】
許可注文者がプレビューを確認の上で注文を行うためにリンクP1003をクリックすると、サーバ122はWebページのGUI11を表示する(図10、図2の工程(11))。
【0075】
許可注文者は、注文数量をテキストフィールドP1101に入力しボタンP1110をクリックすると、WebページのGUI12が表示される(図11、図2の工程(11))。許可注文者は、テキストフィールドP1201とP1202それぞれに許可注文者の住所と氏名を、テキストフィールドP1203とP1204それぞれに配送先の住所と氏名を入力する。そして、ボタンP1210をクリックすると、サーバ122は、WebページのGUI13を表示する(図12、図2の工程(11))。
【0076】
図13において、許可注文者は、P1301に書かれた注文内訳を確認しボタンP1310をクリックすると、サーバ122は、WebページのGUI14を表示する(図14、図2の工程(12))。P1401には問い合わせなどに使用する注文番号が書かれているので、許可注文者はこれを控えることで、注文は完了する。再度注文を行う場合は、リンクP1402をクリックすることでWebページのGUI10に遷移してから行う。なおWebページのGUI11、12及び13において、キャンセルボタンP1111、P1211、P1311をクリックした場合は、WebページのGUI10に遷移する。
【0077】
本実施形態では代金引換での料金支払を仮定しているので、GUI14において課金に関する説明を要しないが、GUI14において入金すべき銀行口座番号について記述しそこに入金するよう指示する文言を付加しても良い。またGUI13とGUI14の間で、クレジットカード番号を入力する画面を用意するなど、他の決済方法を使用しても良いが、決済方法は本実施形態での説明において本質的でないので省略する。
【0078】
サーバ122は入金が確認又は代金引換など入金が確実な場合、印刷データを印刷工程にまわす(図2の工程(13))。この時点で入金の確認がされていない場合は、決済が完了したタイミングに(決済システムからの通知や運用ツールなどによる明示的な指示をきっかけにして)印刷データを印刷工程にまわす。印刷工程において印刷されたものは郵送手段によって、許可注文者がP1203およびP1204で指定した配送先に送付される。
【0079】
本発明の実施形態に係る情報処理装置の再編集の動作について、さらに、図15及び16のフローチャートを使用して説明する。図15のステップS1501において、印刷データ作成者はPC121を使用して、編集データを作成する。さらに第三者へ再編集を許可する許可オブジェクト及び再編集内容を指定する。後の改竄検査のために、さらに編集データに改竄防止データを埋め込む。そしてステップS1502で、サーバ122にアップロードする。
【0080】
サーバ122は、ステップS1503においてアップロードされたデータの認証処理を行い、確認できたならば、アップロードされたデータをデータ保存装置124に保存する。そして、ステップS1504で、許可注文者(再編集を許可する)の指定をPC121に要求する。
【0081】
PC121では、ステップS1505で許可注文者を指定し、ステップS1506でサーバ122にアップロードする。それを受けて、サーバ122は、認証処理の確認後、許可注文者に関する情報データをデータ保存装置124に保存する。
【0082】
次に、図16に移り、サーバ122は、ステップS1601で指定された許可注文者にメールを発行する。メールを受けた許可注文者は、ステップS1602で編集データを選択し、ステップS1603で、サーバ122に対して自分のPC123を使用して編集データのダウンロードを要求する。
【0083】
これを受けてサーバ122はステップS1604において、まず認証処理動作を行った後に、データ保存装置124から該当するデータを読出し、ステップS1605でPC123にダウンロードする。
【0084】
許可注文者は、ステップS1606で、ダウンロードされたデータに従って、編集データの再編集を必要に応じて行う。そして、ステップS1607で、サーバ122にアップロードする。
【0085】
サーバ122は、認証処理後、送られてきた再編集データをデータ保存装置124に保存したのち、ステップS1609で不当な編集、即ち改竄がなされたかを検査する改竄検査を実行する。これは、先にステップS1501で、編集データ作成者が指定して許可した範囲を越えた再編集がなされたか否かを検査する。不当な編集、即ち改竄がなされたならば、ステップS1610のように、許可注文者のPC123に処理の停止を通知して処理を終了する。
【0086】
しかし、不当な編集、即ち改竄がなければ、ステップS1611で、許可注文者に注文内容を要求する。許可注文者は、ステップS1612で、PC123を使用して注文内容を記入し、ステップS1613で、サーバ122にアップロードする。
【0087】
それを受けたサーバ122は、ステップS1614で、認証処理後に再編集データを注文内容に応じて印刷処理する。そして、課金処理も行うことになる。この印刷処理は、このシステム外の印刷所等に依頼することもあり得る。かくして、再編集データに基ずく印刷物がPC123を所有する許可注文者のもとへ郵送されて処理は終了する。
【0088】
上記した、本発明の実施形態に係る情報処理装置によれば、サーバに提供したデータのうち、特定のオブジェクトのみの再編集を第三者に対して許可し、しかも印刷データ作成者の意図を超えた変更や改竄を防止することが可能となる。
【0089】
<他の実施形態>
尚、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いて当該プログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給する場合もありうる。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムを実行することによって同等の機能が達成される場合も本発明に含む。
【0090】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。
【0091】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、Webサーバ及びクライアントとして利用可能なコンピュータ装置のブロック構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る情報処理装置のシステム及びその処理の動作手順を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態に係る情報処理装置において使用されるアプリケーション上の再編集設定メニューを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る情報処理装置において使用されるアプリケーション上の再編集の内容を指定するインタフェースを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る情報処理装置において使用されるアプリケーション上の再編集情報の埋め込み方法を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、印刷データ作成者が使用するアプリケーションからサーバへのアップロードの際に使用されるWebページを示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、印刷データ作成者がアップロード後、許可注文者のメールアドレスを指定するWebページを示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、印刷データ作成者がアップロード後、印刷データの確認を行うWebページを示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る情報処理装置において許可注文者が印刷データのダウンロードを行うWebページを示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る情報処理装置において許可注文者が印刷データの確認を行うWebページを示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、許可注文者が注文数量を入力するためのWebページを示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、許可注文者が許可注文者住所氏名、配送先住所氏名を入力するためのWebページを示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、許可注文者が注文内容を確認するためのWebページを示す図である。
【図14】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、許可注文者が注文完了を確認するWebページを示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係る情報処理装置における再編集の動作を説明するフローチャート図である。
【図16】本発明の実施形態に係る情報処理装置における再編集の動作を説明するフローチャート図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを通じてサーバ上のオブジェクトをクライアントに対して編集可能とする情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信システムの整備及び情報通信技術の発展により、インターネットを利用した各種の情報提供サービスが展開されている。インターネットを利用した情報提供サービスでは、文字による情報提供だけではなく画像や音声等をも含む、所謂マルチメディア情報を提供する事が可能である。このような背景のもとで、最近では、インターネットを介してマルチメディア情報に関連させたサービスの提供や通信販売なども一般化し、また、それらの利用者も増えている。
【0003】
又、デジタルカメラなどの普及により、インターネットを通してデジタルカメラで撮影した画像の印刷物の注文を行うサービスも定着しつつある。このサービスにはデジタル画像データを、単にそのまま印刷するだけのものもあるが、画像データを加工したり、画像データを素材の一つとして利用して編集し、新たな印刷データを作るものもある。前者の例としてはデジタルカメラによって撮影した画像データの印画紙などへのプリントがあり、後者の例としては、例えば、画像データを利用した年賀状の印刷が代表的な例である。
【0004】
画像データを加工したり、画像データを素材の一つとして利用して編集し、新たな印刷データを作成するためには、画像、文字、線画等(以下ではオブジェクトという)の配置場所、文字のフォントの種類や大きさなどを指定する必要がある。(たとえば特許文献1参照。)
しかしながら、Webブラウザ上での編集の操作は限られるし、ネットワークを介してのデータのやり取りを行う必要が生じるので、Webブラウザ上でユーザの利用感を良好に保ったまま各種の編集の指定を行うことは困難であった。
【0005】
この1つの方法として、ネットワークに接続されたクライアント側の端末装置のアプリケーションにおいてオブジェクトの配置場所、文字の表記に利用するフォントの種類・大きさなどの指定を行うことが考えられた。そして、クライアント側の端末装置のアプリケーションで完成した編集後データをネットワークを通じて情報処理装置であるサーバにアップロードし、サーバ側で印刷を行うということが行われている。
【0006】
この場合、編集後データの作成者以外が、サーバに対して印刷を依頼する時も、編集後データの作成者と同様に、自分の端末を使用してサーバにアクセスし、印刷を依頼することになる。しかしながら、この時は注文されるデータはすべて、編集後データの作成者が作成した同一の編集後データしか注文することができなかった。
【特許文献1】特開2006−072850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、注文されるデータがすべて同一となる場合は、適切なサービスとはいえない場合もある。例えば卒業アルバムにおいては、自らの子弟が含まれていないアルバムは父兄にとっては、あまり価値はない。しかしながら、すべての人が作成者が作成したデータをダウンロードしてクライアント側のアプリケーションによって編集することが可能にさせると、データ作成者の意図を超えた編集がされる可能性があり、またこれも適切ではない。またデータ作成者以外が直接データに触れる機会をもつので、改竄などの可能性が生じるという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、サーバに提供したデータのうち、特定のオブジェクトのみの再編集を第三者に対して許可し、しかもデータ作成者の意図を超えた変更や改竄を防止することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本願の実施形態に係る情報処理装置は、
データを構成する複数のオブジェクトから再編集を許可する許可オブジェクトを指定するオブジェクト指定手段と、
前記許可オブジェクトに対する再編集の内容を指定する再編集内容の指定手段と、
前記再編集を許可する注文者を指定する許可注文者の指定手段と、
前記データ中に改竄防止データを埋め込む埋め込み手段と、
前記許可オブジェクト、前記再編集内容、及び前記許可注文者を前記データと共に保存する保存手段とを備える。
【0010】
上記の目的を達成するため、本願の他の実施形態に係る情報処理装置の制御方法は、
データを構成する複数のオブジェクトから再編集を許可する許可オブジェクトを指定するオブジェクト指定工程と、
前記許可オブジェクトに対する再編集の内容を指定する再編集内容の指定工程と、
前記再編集を許可する注文者を指定する許可注文者の指定工程と、
前記データ中に改竄防止データを埋め込む埋め込み工程と、
前記許可オブジェクト、前記再編集内容、及び前記許可注文者を前記データと共に保存する保存工程とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サーバに提供したデータのうち、特定のオブジェクトのみの再編集を第三者に対して許可し、しかもデータ作成者の意図を超えた変更や改竄を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態に係る情報処理装置を説明する。
【0013】
<構成例>
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態に係る情報処理装置が適用される情報処理システムを説明する。図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の基本的構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示す情報処理装置は、サーバ装置(以下サーバ)側及びクライアント端末装置(以下クライアント)側で使用される、本発明の実施形態のアプリケーションを実行するコンピュータ装置である。
【0015】
図1において、ディスプレイ101はアプリケーションプログラムによって処理中のデータの情報、各種メッセージメニューなどを表示する。ディスプレイ101は、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)等から構成される。ビデオRAM(VRAM)ディスプレイコントローラとしてのDISPC102は、ディスプレイ101への画面表示制御を行う。キーボード103及びポインティングデバイス104は、文字などを入力したりする。さらにGUI(Graphical User Interface)におけるアイコンやボタンなどを指し示すためなどに用いられる。CPU105は、図1のコンピュータ装置全体の制御を司る。
【0016】
ROM106(Read Only Memory)は、CPU105が実行するプログラムやパラメータ等を記憶している。RAM(Random Access Memory)107は、各種プログラムをCPU105が実行する時のワークエリア、エラー処理時の一時退避エリア等として用いられる。
【0017】
ハードディスクドライプ(HDD)108、リムーバブルメディアドライブ(RMD)109は、外部記憶装置として機能する。リムーバブルメディアドライブ109は、着脱可能な記録媒体の読み書き又は読み出しを行う装置である。リムーバブルメディアドライブ109は、フレキシブルディスクドライブ、光ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、メモリカードリーダはもとより、着脱式のHDDなどであってもよい。
【0018】
なお、本実施形態において説明するサーバ及びクライアントの各種機能を実現するプログラムを始め、OS、Webブラウザ等のアプリケーションプログラム、データ、ライプラリなどは、その用途に応じて上記した記憶媒体の少なくとも1つに記憶されている。
【0019】
拡張スロット110は、例えばPCI(Peripheral Component Interconnect)バス規格に準拠した拡張カード装着用スロットである。ここには、ビデオキャプチャボードや、サウンドボード、GPIBボード等、様々な拡張ボードを装着することが可能である。
【0020】
ネットワークインタフェース111は、コンピュータ装置をコンピュータネットワークに接続するためのインタフェースである。バス112は、アドレスバス、データバス及び制御バスからなり、上述した各ユニット間を接続する。また、ネットワークインタフェース111の他に、RS−232C、RS−422、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394等のシリアルインタフェースを有する。さらに、IEEE1284等のパラレルインタフェースをも有し、モデムやプリンタ等の外部機器との接続を可能にしている。
【0021】
<システム概要>
図2は、本発明の実施形態に係る情報処理装置が適用される情報処理システムの全体図である。図2から理解されるように、印刷の工程は、ここで説明する情報処理システムの外側に存在していてもよい。また、本実施形態で作成されるデータは印刷データに限るものではない。本実施形態が適用される情報処理システムと同様の方法で図画などを作成した時も同様であるが、ただデータと書くのは曖昧である。従って、本明細書では、本実施形態が適用される情報処理システムの目的を印刷とし、作成されるデータを印刷データとする。ただし、これは本発明が印刷データの作成過程に限定されるものではなく、本発明の実施形態が適用される情報処理システムの理解をしてもらうために、印刷データを1つの例として説明に使用するものである。
【0022】
まず図2を用いて本発明の実施形態に係る情報処理装置が適用される情報処理システム全体の動作の流れについて説明する。
【0023】
図2の工程(1)に示すように、まず印刷のデータ作成者がクライアント側のパーソナルコンピュータ121(以下PC121とする)にインストールしたアプリケーションを使用して印刷データの作成を行う。この場合、印刷データ作成者は、自分の所有する各種のデータを、このアプリケーションを使用して編集し、印刷データを作成する。次に、工程(2)に示すように、印刷データ作成者がPC121を使用して、印刷データである編集後データを構成するオブジェクトの一つを選択し、再編集を許可する許可オブジェクトを設定する。許可する再編集の種類が存在する場合は、再編集内容の種類についても選択する。再編集の許可の設定をしたいオブジェクトが他にもある場合、同様にそれらのオブジェクトについても許可オブジクトとして設定する。
【0024】
次に、工程(3)に示すように、印刷データ作成者がアプリケーションのアップロードボタンをクリックすると再編集情報とともに、編集後データである印刷データがサーバ122にアップロードされる。サーバ122は、工程(4)で示すように、アップロードされた印刷データをデータ保存装置124に保存する。
【0025】
印刷データのデータ保存装置124への保存が終了したら、工程(5)で示すように、サーバ122からPC121のアプリケーションに対し、クライアント側で表示するURLをPC121に通知する。PC121に組み込まれたアプリケーションはWebブラウザを立ち上げ、通知されたURLを表示する。
【0026】
次に工程(6)で示すように、印刷データ作成者は、Webブラウザで印刷データを閲覧し、再編集し、注文を許可する所謂許可注文者のメールアドレスを入力し、OKボタンをクリックする。以下では、実際に注文を行った者も含め許可注文者と呼ぶ。図2の工程(7)では、サーバ122は、印刷データ作成者の指定した許可注文者のメールアドレスに、アップロードされた印刷データの内容が確認できるWebページのURLを記述したメールを送付する。
【0027】
メールを受けた許可注文者は、工程(8)に示すように、パーソナルコンピュータ123(以下PC123とする)を使用して、メールに書かれたURLをブラウザ上で入力し、印刷データの内容を確認する。そして、工程(9)で、許可注文者が再編集が許可として設定された再編集内容に従ったオブジェクトの再編集を行う。再編集内容においては、文字の場合は文字の指定、フォントの大きさやフォント名の変更の場合はメニューからの選択などを行い、画像の差し替えの場合は新たな画像データをアップロードすることになる。
【0028】
許可注文者がPC123を使用してオブジェクトの再編集の完了後OKボタンをクリックする。すると、工程(10)に示すように、サーバ122は再編集の結果を反映した再編集後の印刷データを作成する。次に、許可注文者のPC123のWebブラウザに冊数入力画面が表示される。
【0029】
ここで、許可注文者が冊数を入力し、OKボタンをクリックすると、許可注文者及び配送先入力画面が表示される。許可注文者が、PC123のWebブラウザに許可注文者の名前及び配送先情報を入力し、OKボタンをクリックすると、見積り画面が表示される。
【0030】
ここで、工程(11)に示すように、許可注文者がOKボタンをクリックすると、サーバ122は課金に必要な処理を行う。そして、工程(12)のように、オーダ番号や課金に関する情報を許可注文者に提示する。さらにサーバ122は、入金が確認又は代金引換など入金が確実な場合に、工程(13)で、再編集後の印刷データを印刷装置125に廻す。次に図2の各工程の詳細について述べる。
【0031】
<印刷データ作成者の操作及び対応する処理(1)>
図2の工程(1)における印刷データの作成は、Adobe Illustratorや(登録商標)Quark XPress(登録商標)等のように画像、線画、文字等のオブジェクトをGUIを使用して配置し、描画するものである。そして、この種のアプリケーションが有するインタフェースと同様なインタフェースをもつ。どのように画像の配置、線画の描画及び配置、文字の入力及び配置、フォントの指定などを行うかは、本発明において本質的なものではない。
【0032】
図2の工程(2)で再編集の許可を設定するために各画像、線画、文字等のオブジェクトを選択できる必要はあるが、制約はこれだけであり、またこの制約はGUIによる配置及び描画の前提をなすので、一般的なものである。なおこのアプリケーションは、例えば、サーバ122へのアクセス権限を所有する人を対象に配布される。そして、配布された人は自分のPCにインストールする。そしてインストールした人が印刷データ作成者となるが、これもアプリケーションについて何ら制約をもたらすものではない。
【0033】
一方、図2の工程(7)でのメールが送られた人、即ち再編集が許可された許可注文者は、メール中に指定された印刷データの内容が確認できるWebページからのリンク、又はメール中の別のURLよりアプリケーションをダウンロードすることもできる。許可注文者が印刷データの作成を最初から行うことができないよう(許可注文者が印刷データ作成者になれないよう)に、このアプリケーションを印刷データ作成者が使用するものより機能が限定されたものとしても良い。さらに、同一の機能をもつアプリケーションであるが、サーバ122側での認証を得た時だけ、最初からの印刷データの作成が可能となるようにしても良い。またサーバ122へのアスセスを制限せず、だれでもアプリケーションをダウンロードできるようにしても良い。
【0034】
図2の工程(2)において、印刷データ作成者は特定のオブジェクトを選択し、マウスのクリックによるメニュー表示(図3の(a))又はメニューバーからのメニュー表示(図3の(b))などによりメニューを表示する。
【0035】
いま、印刷データ作成者が、図3の(a)又は(b)において「再編集...」(P301又はP311)を選択したとする。すると再編集可能な再編集内容を選択するためのウィンドウが表示される。図4は、選択されたオブジェクトが文字の場合の一例のGUI(Graphic User Interface)画面であるGUI4である。ここでは、文字の内容の修正(P401)、フォントの種類の修正(P402)、フォントの大きさの修正(P403)のいずれかのチェックボックスにチェックをすることが可能である。チェック後、OKボタンP411をクリックすると、選択されたオブジェクトが許可オブジェクトとして再編集可能となり、再編集時に設定可能な再編集内容が指定される。キャンセルボタンP412がクリックされたときは、選択されたオブジェクトに対する再編集の設定が変更されない。なお選択されたオブジェクトが既に再編集が可能となっており、再編集をできないように設定を変えたい時は、図3で、メニューP302及びP312を選択することにより変更することが可能である。
【0036】
<データ構成例>
アプリケーションが作成する印刷データのフォーマットは画像、文字、線画等が表現可能なものであればどのようなフォーマットや言語でも差し支えない。本実施形態ではアプリケーションが作成する印刷データのフォーマットをPDF(Adobe Portable Document Format(登録商標))とする。PDFは画像、文字、線画等のいずれも表現可能な汎用性の高いフォーマットである。これを用いて説明することは本発明において必須用件ではなく、単に説明を行う上での便宜であるから、発明の制約を示すものではない。
【0037】
例えば線画については、許可注文者による自由な再編集が必要ない場合やそもそも線画が必要ない場合もあるが、このような場合はPDFのような汎用フォーマットである必要はない。したがって、HTML(Hyper Text Markup Language)のようなマークアップ言語でも構わない。また他の汎用なフォーマットや言語、例えば、Adobe PostScript(登録商標)やScalable Vector GraphicsのようなPDL(Page Description Language)であっても差し支えない。さらにこれら使用の公開されているフォーマットや言語でなく独自のフォーマットや言語を使用しても構わないのは言うまでもない。
【0038】
アプリケーションを使用して印刷データを作成するとき、画像は図5の(a1)、文字は図5の(b1)、線画は図5の(c1)のように表現される。そして、印刷データ作成者がこれら画像、文字、線画等に対し再編集可能を設定した時は、それぞれの辞書に/Editableキーを追加することにより再編集可能である旨を示す。
【0039】
図5の(a2)、図5の(b2)、図5の(c2)は、図5の(a1)、図5の(b1)、図5の(c1)に対し再編集可能を設定した場合である。/Editableキーに対応する値としては辞書が指定され、その辞書は/Typeキー、/Iconキー、/Idキー、およびそれぞれに対応する値が含まれている。/Typeに対応する値は、許可された再編集の種類を意味し、複数の種類の指定が可能なように配列として表される。そして画像の場合は/Typeが1の時画像の差し替えを、/Typeが2の時画像位置の変更を、/Typeが3の時画像倍率の変更を、文字の場合は/Typeが1の時文字の指定を意味する。さらに、/Typeが2の時フォントの大きさの変更を、/Typeが3の時フォントの変更を、線画の場合は/Typeが1の時位置の修正を、それぞれ許可注文者に許可する再編集内容を設定をすることを意味する。つまり図5の(a2)の場合は画像の差し替え、画像位置の変更、画像倍率の変更、図5の(b2)の場合は文字の指定、フォントの大きさの変更、フォントの変更、図5の(c2)の場合は線画の位置の修正を許可している。
【0040】
なお許可注文者による再編集(図2の工程(9))で可能な編集方法が他にある場合や上記より少ない場合は、/Typeに設定可能な値を多くしたり少なくしたりできることは当然である。なお図5の(a1)及び図5の(a2)は外部で定義したイメージXObjectを使用しているので念のため図5の(a3)として挙げたが、これは通常の場合と何ら変わらない。
【0041】
さらに/Idキーに対応する値には、再編集を許可する許可オブジェクトを特定するために必要な数字もしくは文字列を用いる。例えば、PDFのオブジェクトのバイト数とオブジェクト番号などから一意に決まる値を用いる。この値は、例えば、オブジェクトのサイズとオブジェクト番号を足したものに対し特定の数字を掛けた結果や特定の数値で割った余りなどで決める。このように/Idキーとそれに対応する値を付加することにより、許可注文者が再編集する際に、アプリケーションは/Idキーに対応する値が正しいものかを容易に調べることができる。これにより、許可注文者が任意の箇所を再編集することを防ぐことができる。このようにファイルを書き換えることができないような配慮が必要なのは、PDF自体がダウンロードされるからである。
【0042】
一方、PDFのカタログオブジェクトにも/Editableキーを追加する。そして/Editableキーに対応する値としては辞書が指定される。その辞書は、/Typeキー、/Idキー、及びそれぞれに対応する値が含まれている(図5の(d1))。/Typeキーに対応する値は、/All、/Specified、/Completeのいずれかであり、/Allはすべてのオブジェクトについて修正が可能であることを示す。さらに、/Specifiedは/Editableキーが含まれるオブジェクトについてのみ修正が可能であること、/Completeについては修正が不可能であることを示す。また/Idキーについてはオブジェクト中のそれと同じで、許可注文者が再編集する際にアプリケーションが/Idキーに対応する値が正しいものかを調べ、許可注文者が任意の箇所を再編集することを防ぐものである。
【0043】
また印刷データ作成者がアプリケーションを使用し、編集後データである印刷データを作成し、作成した印刷データのアップロードを行う前に、サーバ122に対しての会員登録が事前に必要であるとする。この場合は、必須ではないがカタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値として/Userキー、/Fileキーとそれぞれに対する値を含めても良い(図5の(d2))。/Userキーに対応する値としては、サーバ122が個々の印刷データ作成者に対して付けた番号(以下では印刷データ作成者IDと呼ぶ)を何らかの方法で暗号化したものである。一方、/Fileキーに対応する値としては、印刷データ作成者が印刷データをアップロードする。そして、サーバ122がデータ保存領域に印刷データを保存する際に、個々の印刷データに付けた番号(以下では印刷データIDと呼ぶ)を何らかの方法で暗号化したものである。
【0044】
サーバ122は、アップロードされた印刷データに含まれる/Userキー、/Fileキーそれぞれに対応する値を適切な方法で復号化する。そして、/Fileキーに対応する値から求められた印刷データIDで特定される印刷データ作成者が、/Userキーに対応する値から求められた印刷データ作成者IDで特定される印刷データ作成者であるかどうかを判定する。それにより、許可注文者が編集を行った印刷データが正規に登録された印刷データ作成者によって正規にアップロードされた印刷データであるかを知ることができる。もし正規に登録された印刷データ作成者によって正規にアップロードされた印刷データでない場合、又は/Userキー、/Fileキーそれぞれに対応する値を適切な方法で復号化できなかった場合は、以下のようになる。すなわち、許可注文者によるアップロードを拒絶しそれ以後の処理を行わなければ良い。なお、このチェックを行うためには、以下の三点を前提とする。
【0045】
α1:印刷データ作成者が事前に会員登録を行う際には、個々の印刷データ作成者に対し印刷データ作成者IDの番号付けがなされ、データベースに格納される。印刷データ作成者が印刷データのアップロードを行うに際してログイン認証処理が行われる。その際に、この印刷データ作成者ID又は印刷データ作成者IDに紐付けられた情報、および印刷データ作成者IDに付加さられたパスワードなどが利用されること。
【0046】
α2:印刷データ作成者が印刷データをアップロードし、サーバ122が個々の印刷データに対し印刷データIDの番号付けがなされる。データ保存領域であるデータベース又はファイルシステムに印刷データを保存する際に、実際の保存場所と、この印刷データIDと関連付ける情報をデータベースにもつ。実際の保存場所は、データベースの場合は保存されるテーブルのレコードの主キー、ファイルシステムの場合はファイルのパスとなる。
【0047】
α3:印刷データIDと印刷データ作成者IDを関連付ける情報についてもデータベースにもつ。
【0048】
また/Userキーおよびそれに対応する値、/Fileキーおよびそれに対応する値のいずれかのみであっても、正規な印刷データであるかどうかを判断する上では有効である。/Userキーに対応する値から求められた印刷データ作成者IDで特定される印刷データ作成者がデータベースに登録されていない。又は/Fileキーに対応する値から求められた印刷データIDで特定される印刷データがデータベース上に登録されていないことが判断し得るからである。/Userキーおよびそれに対応する値しか含まれない時は、α1のみが前提となる。一方、/Fileキーおよびそれに対応する値しか含まれない時は、α2のみが前提となる。
【0049】
<印刷データ作成者の操作及び対応する処理(2)>
印刷データの作成と再編集の設定を終えた印刷データ作成者は、印刷データの確認を行った後、印刷データのサーバ122へのアップロードを行う(図2の工程(3))。図6にアプリケーションにおける確認画面の一例のGUI6を示す。印刷データ作成者はPC121で印刷データの確認を行う。そして問題がないと判断したら、アップロードボタンP612のクリック又はインターネットメニューP603からのアップロードメニューの選択を行う。するとアプリケーションは印刷データのサーバ122へのアップロードを行う。
【0050】
印刷データをサーバ122にアップロードした際に、アプリケーションはカタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Typeキーに対応する値を/Specifiedとする。そして、それに応じて/Idキーに対応する値も変更する。つまり/Editableキーが含まれる許可オブジェクトについてのみ修正が可能であるようにする。なお印刷データ作成者がアプリケーションによって作成した印刷データをローカルディスクに保存する時点では、/Typeキーに対応する値は/Allである。つまりすべてのオブジェクトが許可オブジェクトとして修正可能である。
【0051】
この時アップロードされるURLは印刷データ作成者がアップロードを行うためのURLであり、アプリケーションの中に定数として埋め込んでおいてもよいし、アップロードの前にサーバ122の特定のURLに対し問い合わせることで取得してもよい。
【0052】
そしてサーバ122は、印刷データのデータ保存装置124への保存を行う(図2の工程(4))。サーバ122を利用するには会員登録が必要な場合は、事前の会員登録と、アップロード時の会員認証処理が必要となるが、本実施形態において必須のものではないので説明を省略する。
【0053】
サーバ122は、印刷データのデータ保存装置124への保存に成功すると、許可注文者の指定に使用するWebページであるGUI画面のURLをPC121のアプリケーションに対して通知する(図2の工程(5))。アプリケーションはデフォルトのWebブラウザを立ち上げ、通知されたURLを表示する(図2の工程(6)、図7)。
【0054】
図7のGUII7を使用して、印刷データ作成者は許可注文者のメールアドレスをテキストフィールドP702に入力し、OKボタンP703をクリックする。アップロードされた印刷データの内容を確認したい場合は、リンクP704をクリックすることで、印刷データを確認するための画面のGUI8遷移する(図8)。GUI8画面では印刷データをJPEGなどに変換して表示する(P801)ことによって、印刷データの内容の確認を行うことができる。またGUI8にはGUI7への遷移を行うリンクP802が設けられているので、印刷データの内容を確認の上、許可注文者のメールアドレスを設定することが可能となる。
【0055】
また印刷データ作成者も、ボタンP803をクリックすることにより許可注文者として再編集を行うことができるし、ボタンP804をクリックすることにより許可注文者として注文することができる。これらの場合の処理は、印刷データ作成者からの通知を受けた許可注文者に対する処理と比べ、再編集や注文の作業が終わった後やキャンセルボタンがクリックされた時などに遷移する画面が、図9に示すGUI9ではなくGUI8である点で異なる。しかし、他は何ら変わらないので、まとめて後述する。
【0056】
図7において、OKボタンP703をクリックしたことによって、サーバ122に対しリクエストが発生する。リクエストを受けたサーバ122は、印刷データ作成者が入力した許可注文者のメールアドレスに対し、許可注文者が印刷データの内容を確認するためのWebページであるGUI9のURLを送信する(図2の工程(7))。
【0057】
<許可注文者の操作及び対応する処理>
許可注文者はこのURLをWebブラウザで表示することによって、印刷データの内容を確認し、アプリケーションおよび印刷データをダウンロードするためのGUI9を閲覧することができる(図2の工程(8)、図8)。許可注文者がメールで通知されたURLをWebブラウザ上で表示しようとした際に、サーバ122は、印刷データからJPEGを生成、又は印刷データのアップロード時に作成したJPEGをプレビュー用画像として表示する(P901)。そしてJPEG画像を作成するに先立ちページ内のオブジェクトが再編集可能に設定されているかを上記/Editableキーを探すことによって判断し、存在する場合はGUI9上にリンクP902、P904を表示する。
【0058】
許可注文者はプレビュー用画像を見て、そのまま注文する時はリンクP903をクリックすることにより注文することができる。これらの場合の処理は、ダウンロード後、再編集しアップロードした印刷データ作成者に対する処理と比べ、注文の作業が終わった後やキャンセルボタンがクリックされた時などに遷移する画面がGUI10ではなくGUI9である点で異なる。しかし、他は何ら変わらないので、まとめて後述する。
【0059】
印刷データ作成者が許可注文者に再編集を許可した部分があり、リンクP902が表示されているが、許可注文者がまだアプリケーションをダウンロードしておらず自らのPC123にインストールしていないとする。その場合、リンクP902をクリックすることによりアプリケーションをダウンロードし、インストールする。そして、許可注文者はリンクP904をクリックすることで印刷データをダウンロードし、ダウンロードしたファイルをアプリケーションで開く。
【0060】
なお、アプリケーション上でメールで通知を受けたURLを入力するための入力領域を用意し、許可注文者が入力することによって、アプリケーションが印刷データをダウンロードし、ダウンロードしたファイルを開くようにしてもよい。
【0061】
アプリケーションで印刷データを開く際に、カタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Typeキーに対応する値が/All又は/Specifiedであることを確認する。そして、それ以外の値である時はエラーを表示し処理を止める。カタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Idキーに対応する値が正しいものかを判断し、正しくない時はエラーを表示し処理を止める。
【0062】
さらに再編集が許可されているかどうかは、/Editableキーおよびそれに対応する値がオブジェクト内に存在するかどうかで判断する。その際に/Editableキーに対応する辞書に含まれる/Idキーに対応する値が正しいものであるかも判断する。/Idキーに対応する値が正しくない時はエラーを表示して処理を中止する。/Typeキーに対応する値が/All又は/Specifiedであった時でかつ、カタログオブジェクトおよび個々のオブジェクトの/Idキーに対応する値が正しいとする。この場合は、アプリケーションは印刷データを開き、許可注文者は印刷データ作成者が再編集を許した部分について再編集ができるようになる(図2の工程(9))。
【0063】
なおカタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Typeキーに対応する値が/Specifiedとする。また、すべてのオブジェクトに/Editableキーとそれに対応する値がありそこに含まれる/Idキーに対応する値も正しいとする。この場合、再編集可能な範囲については/Typeキーに対応する値が/Allである場合と何ら変わりがない。しかし、/Typeキーに対応する値が/Specifiedの時は再編集の許可の設定をさらに行うことはできない。
【0064】
また印刷データ作成者と許可注文者が使用するアプリケーションが同一のものであるとする。この場合は、カタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Typeキーに対応する値によって、アプリケーションの使用者が印刷データ作成者なのか許可注文者なのかを判断する。つまり/Typeキーに対応する値が/Allである場合はアプリケーションの使用者が印刷データ作成者であると判断し、/Typeキーに対応する値が/Specifiedの時は許可注文者であると判断する。そしてアプリケーションの使用者が印刷データ作成者の場合アプリケーションからアップロードされるURLは前述した印刷データ作成者がアップロードを行うためのURLとなる。そして許可注文者の場合は後述する再編集後、許可注文者がアップロードを行うためのURLとなる。
【0065】
印刷データ作成者による印刷データの作成で説明したように、印刷データの再編集は、Adobe Illustrator(登録商標)やQuark XPress(登録商標)などの画像、線画、文字といったオブジェクトをGUIを使用して配置する。そして、この種のアプリケーションと同じようなインタフェースを使用する。どのように画像の配置、線画の描画、及び配置、文字の入力、配置、フォントの指定などを行うかは、本発明において本質的なものではないのでこれ以上の説明はしない。
【0066】
印刷データの再編集を終えた許可注文者は、印刷データの確認を行った後、印刷データのサーバ122へのアップロードを行う。図6にアプリケーションにおける確認画面の一例を示す。印刷データ作成者は印刷データの確認を行う。そして、問題がないと判断したら、アップロードボタンP612のクリック又はインターネットメニューP603からのアップロードメニューの選択を行う。するとアプリケーションは再編集結果を反映した印刷データを作成する。その際アプリケーションはカタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Typeキーに対応する値を/Completeとし、それに応じて/Idキーに対応する値も変更する。そして印刷データをサーバ122にアップロードする。
【0067】
この時アップロードされるURLは、再編集後の許可注文者がアップロードを行うためのURLであり、アプリケーションの中に定数として埋め込んでおいてもよい。また、アップロードの前にサーバ122の特定のURLに対し問い合わせることで取得してもよい。さらに印刷データ作成者がアップロードを行うためのURLと編集後の許可注文者がアップロードを行うためのURLを同一のものとすることも出来る。この場合、アップロードされる印刷データのカタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Typeキーに対応する値が/Specifiedであるとする。この時は印刷データ作成者からのアップロードと判断しWebページのGUI7を表示する。また、/Completeである時は、編集後の許可注文者からアップロードと判断し後述するWebページのGUI10を表示してもよい。なおこのURLにリクエストを発するごとにセッションIDが発行され、このセッションIDは以後の画面遷移においても保持される。
【0068】
サーバ122はアップロードされたカタログオブジェクトおよび個々のオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に含まれる/Idキーに対応する値が正しいかどうかを判断する。そして、/Idキーに対応する値が正しくない時はエラーを表示して処理を止める。さらにカタログオブジェクトの/Editableキーに対応する値として/Userキー、/Fileキーとそれぞれに対する値を必要とする。もし前述したα1乃至α3の前提を充たす場合は、前述したように正常に復号化できるか、印刷データ作成者IDおよび印刷データIDがデータベース中に存在するか、印刷データ作成者IDと印刷データIDが関連付けられているかをチェックする。これらのチェックによって異常と判断された時は、エラーを表示して処理を中止する。
【0069】
これらのチェックによって正常と判断された時、サーバ122はアップロードされた印刷データを、セッションIDと関連付けられた印刷データとして、印刷データ作成者が作成した印刷データとは別に保存する。そしてこの印刷データの該当ページをレンダリングすることによりJPEGデータを作成し、WebページのGUI10を表示することによって許可注文者は内容の確認を行うことができる。許可注文者はリンクP1010、P1011を使用するとその場でJPEGデータを作成するか、事前に作成しておいたJPEGデータをプレビュー用画像として使用してWebページのGUI10が表示されるので、内容の確認を行うことができる。
【0070】
なお本実施形態では、セッションIDと関連付けられた印刷データとして、印刷データ作成者が作成した印刷データとは別に保存している。これは許可注文者が複数存在する時に、個々の許可注文者がアプリケーションによって編集した印刷データをそれぞれアップロードすることを可能ならしめるためである。したがってセッションIDと関連付けて保存するとセッションが存続する間しか印刷データも参照されないので、セッションが存続しなくなった後は、データの削除を行う必要がある。
【0071】
またセッションIDのように短い期間しか存続しないIDではなく、長期存続し再利用されないIDを発行することもある。この場合、Cookie情報として個々の許可注文者のPC123に保存したり、IDを明示的に個々の許可注文者に提示し、そのIDと編集後の印刷データを関連付けることによって、編集後の印刷データによる再注文を可能にすることもできる。
【0072】
さらに許可注文者に通知されるURLをメールアドレスに応じて変え(それに加えて別メールでパスワードも送付し)、許可注文者が印刷データの内容を確認する前にメールアドレス(と別便で送付したパスワード)の入力を求める。これにより認証処理を行うことや、アップロードする際にメールアドレスの入力を求め登録されているメールアドレスに応じて編集結果である印刷データを保存するといったことも可能である。
【0073】
またカタログオブジェクトおよび個々のオブジェクトの/Editableキーに対応する値である辞書に許可注文者のメールアドレスを暗号化したものを/Mailというキーに対する値として含めることもある。そして、アップロードする際にメールアドレスの入力を求めることで認証処理を行うことも可能である(許可注文者の事前の登録の場合はメールアドレスの代わりに許可注文者を特定するIDやIDを暗号化した文字列を使用することも可能であろう)。このような方法をとることによって、認証処理を行ったものだけに編集を許し、許可注文者ごとに編集結果である印刷データを保存し、再注文を可能にすることもできる。
【0074】
許可注文者がプレビューを確認の上で注文を行うためにリンクP1003をクリックすると、サーバ122はWebページのGUI11を表示する(図10、図2の工程(11))。
【0075】
許可注文者は、注文数量をテキストフィールドP1101に入力しボタンP1110をクリックすると、WebページのGUI12が表示される(図11、図2の工程(11))。許可注文者は、テキストフィールドP1201とP1202それぞれに許可注文者の住所と氏名を、テキストフィールドP1203とP1204それぞれに配送先の住所と氏名を入力する。そして、ボタンP1210をクリックすると、サーバ122は、WebページのGUI13を表示する(図12、図2の工程(11))。
【0076】
図13において、許可注文者は、P1301に書かれた注文内訳を確認しボタンP1310をクリックすると、サーバ122は、WebページのGUI14を表示する(図14、図2の工程(12))。P1401には問い合わせなどに使用する注文番号が書かれているので、許可注文者はこれを控えることで、注文は完了する。再度注文を行う場合は、リンクP1402をクリックすることでWebページのGUI10に遷移してから行う。なおWebページのGUI11、12及び13において、キャンセルボタンP1111、P1211、P1311をクリックした場合は、WebページのGUI10に遷移する。
【0077】
本実施形態では代金引換での料金支払を仮定しているので、GUI14において課金に関する説明を要しないが、GUI14において入金すべき銀行口座番号について記述しそこに入金するよう指示する文言を付加しても良い。またGUI13とGUI14の間で、クレジットカード番号を入力する画面を用意するなど、他の決済方法を使用しても良いが、決済方法は本実施形態での説明において本質的でないので省略する。
【0078】
サーバ122は入金が確認又は代金引換など入金が確実な場合、印刷データを印刷工程にまわす(図2の工程(13))。この時点で入金の確認がされていない場合は、決済が完了したタイミングに(決済システムからの通知や運用ツールなどによる明示的な指示をきっかけにして)印刷データを印刷工程にまわす。印刷工程において印刷されたものは郵送手段によって、許可注文者がP1203およびP1204で指定した配送先に送付される。
【0079】
本発明の実施形態に係る情報処理装置の再編集の動作について、さらに、図15及び16のフローチャートを使用して説明する。図15のステップS1501において、印刷データ作成者はPC121を使用して、編集データを作成する。さらに第三者へ再編集を許可する許可オブジェクト及び再編集内容を指定する。後の改竄検査のために、さらに編集データに改竄防止データを埋め込む。そしてステップS1502で、サーバ122にアップロードする。
【0080】
サーバ122は、ステップS1503においてアップロードされたデータの認証処理を行い、確認できたならば、アップロードされたデータをデータ保存装置124に保存する。そして、ステップS1504で、許可注文者(再編集を許可する)の指定をPC121に要求する。
【0081】
PC121では、ステップS1505で許可注文者を指定し、ステップS1506でサーバ122にアップロードする。それを受けて、サーバ122は、認証処理の確認後、許可注文者に関する情報データをデータ保存装置124に保存する。
【0082】
次に、図16に移り、サーバ122は、ステップS1601で指定された許可注文者にメールを発行する。メールを受けた許可注文者は、ステップS1602で編集データを選択し、ステップS1603で、サーバ122に対して自分のPC123を使用して編集データのダウンロードを要求する。
【0083】
これを受けてサーバ122はステップS1604において、まず認証処理動作を行った後に、データ保存装置124から該当するデータを読出し、ステップS1605でPC123にダウンロードする。
【0084】
許可注文者は、ステップS1606で、ダウンロードされたデータに従って、編集データの再編集を必要に応じて行う。そして、ステップS1607で、サーバ122にアップロードする。
【0085】
サーバ122は、認証処理後、送られてきた再編集データをデータ保存装置124に保存したのち、ステップS1609で不当な編集、即ち改竄がなされたかを検査する改竄検査を実行する。これは、先にステップS1501で、編集データ作成者が指定して許可した範囲を越えた再編集がなされたか否かを検査する。不当な編集、即ち改竄がなされたならば、ステップS1610のように、許可注文者のPC123に処理の停止を通知して処理を終了する。
【0086】
しかし、不当な編集、即ち改竄がなければ、ステップS1611で、許可注文者に注文内容を要求する。許可注文者は、ステップS1612で、PC123を使用して注文内容を記入し、ステップS1613で、サーバ122にアップロードする。
【0087】
それを受けたサーバ122は、ステップS1614で、認証処理後に再編集データを注文内容に応じて印刷処理する。そして、課金処理も行うことになる。この印刷処理は、このシステム外の印刷所等に依頼することもあり得る。かくして、再編集データに基ずく印刷物がPC123を所有する許可注文者のもとへ郵送されて処理は終了する。
【0088】
上記した、本発明の実施形態に係る情報処理装置によれば、サーバに提供したデータのうち、特定のオブジェクトのみの再編集を第三者に対して許可し、しかも印刷データ作成者の意図を超えた変更や改竄を防止することが可能となる。
【0089】
<他の実施形態>
尚、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いて当該プログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給する場合もありうる。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムを実行することによって同等の機能が達成される場合も本発明に含む。
【0090】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。
【0091】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、Webサーバ及びクライアントとして利用可能なコンピュータ装置のブロック構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る情報処理装置のシステム及びその処理の動作手順を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態に係る情報処理装置において使用されるアプリケーション上の再編集設定メニューを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る情報処理装置において使用されるアプリケーション上の再編集の内容を指定するインタフェースを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る情報処理装置において使用されるアプリケーション上の再編集情報の埋め込み方法を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、印刷データ作成者が使用するアプリケーションからサーバへのアップロードの際に使用されるWebページを示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、印刷データ作成者がアップロード後、許可注文者のメールアドレスを指定するWebページを示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、印刷データ作成者がアップロード後、印刷データの確認を行うWebページを示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る情報処理装置において許可注文者が印刷データのダウンロードを行うWebページを示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る情報処理装置において許可注文者が印刷データの確認を行うWebページを示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、許可注文者が注文数量を入力するためのWebページを示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、許可注文者が許可注文者住所氏名、配送先住所氏名を入力するためのWebページを示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、許可注文者が注文内容を確認するためのWebページを示す図である。
【図14】本発明の実施形態に係る情報処理装置において、許可注文者が注文完了を確認するWebページを示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係る情報処理装置における再編集の動作を説明するフローチャート図である。
【図16】本発明の実施形態に係る情報処理装置における再編集の動作を説明するフローチャート図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを構成する複数のオブジェクトから再編集を許可する許可オブジェクトを指定するオブジェクト指定手段と、
前記許可オブジェクトに対する再編集の内容を指定する再編集内容の指定手段と、
前記再編集を許可する注文者を指定する許可注文者の指定手段と、
前記データ中に改竄防止データを埋め込む埋め込み手段と、
前記許可オブジェクト、前記再編集内容、及び前記許可注文者を前記データと共に保存する保存手段と、を備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記許可注文者に対し、前記許可オブジェクト、前記再編集内容および前記データをダウンロードするダウンロード手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記保存手段は、前記許可注文者により再編集された再編集データを保存する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記許可注文者の指定手段は、メールアドレスにより前記許可注文者を指定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記許可注文者からアクセスが発生するときに認証処理を実行する認証手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記許可注文者から前記再編集データの印刷の注文を受け付ける受付手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記改竄防止データを使用して前記再編集データの改竄を検査する改竄の検査手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
データを構成する複数のオブジェクトから再編集を許可する許可オブジェクトを指定するオブジェクト指定工程と、
前記許可オブジェクトに対する再編集の内容を指定する再編集内容の指定工程と、
前記再編集を許可する注文者を指定する許可注文者の指定工程と、
前記データ中に改竄防止データを埋め込む埋め込み工程と、
前記許可オブジェクト、前記再編集内容、及び前記許可注文者を前記データと共に保存する保存工程と、を備える、
ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置の制御方法の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
データを構成する複数のオブジェクトから再編集を許可する許可オブジェクトを指定するオブジェクト指定手段と、
前記許可オブジェクトに対する再編集の内容を指定する再編集内容の指定手段と、
前記再編集を許可する注文者を指定する許可注文者の指定手段と、
前記データ中に改竄防止データを埋め込む埋め込み手段と、
前記許可オブジェクト、前記再編集内容、及び前記許可注文者を前記データと共に保存する保存手段と、を備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記許可注文者に対し、前記許可オブジェクト、前記再編集内容および前記データをダウンロードするダウンロード手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記保存手段は、前記許可注文者により再編集された再編集データを保存する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記許可注文者の指定手段は、メールアドレスにより前記許可注文者を指定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記許可注文者からアクセスが発生するときに認証処理を実行する認証手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記許可注文者から前記再編集データの印刷の注文を受け付ける受付手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記改竄防止データを使用して前記再編集データの改竄を検査する改竄の検査手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
データを構成する複数のオブジェクトから再編集を許可する許可オブジェクトを指定するオブジェクト指定工程と、
前記許可オブジェクトに対する再編集の内容を指定する再編集内容の指定工程と、
前記再編集を許可する注文者を指定する許可注文者の指定工程と、
前記データ中に改竄防止データを埋め込む埋め込み工程と、
前記許可オブジェクト、前記再編集内容、及び前記許可注文者を前記データと共に保存する保存工程と、を備える、
ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置の制御方法の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−146261(P2008−146261A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331139(P2006−331139)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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