説明

情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラム

【課題】暗号化されたジョブに対する代理応答処理を、より速く実行する。
【解決手段】MFPが省電力モードで動作している状態で、暗号化されたジョブが入力された際に、NICは、暗号化されたジョブの本体を復号化せずヘッダのみを復号化し、復号化されたジョブのヘッダに基づいて代理応答処理を実行すべきであるか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置には、電力モードとして通常モードと省電力モードを有し、状況に応じて何れかの電力モードで動作するものがある。
このような情報処理装置において、消費電力を低く抑えるためには、情報処理装置が省電力モードで動作できる期間をいかに長くするかが重要となる。
【0003】
特許文献1には、装置本体とNICにより構成され、通常モードでは装置本体とNICに電力供給し、省電力モードではNICにのみ電力供給し装置本体には電力供給しないようにした情報処理装置に関する発明が記載されている。この情報処理装置では、省電力モードでジョブを入力した際に、NICが代理応答処理を実行することによって、情報処理装置をできるだけ省電力モードに保つようにすることが記載されている。ここで、代理応答処理とは、省電力モードでジョブを入力した際、装置本体がジョブを直接処理する必要がない場合に、情報処理装置を省電力モードとしたまま、NICが装置本体に代わってジョブを処理することである。省電力モードでジョブを入力した際、装置本体がジョブを直接処理する必要がある場合には、情報処理装置を省電力モードから通常モードに遷移させて、装置本体が直接ジョブを処理することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−270538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、セキュリティー上の観点から、複数の装置間でジョブを送受信する際に、ジョブを暗号化することが多くなってきた。
特許文献1に記載されている発明において、情報処理装置が暗号化されたジョブを入力して処理する場合を想定すると、以下のような課題がある。
すなわち、暗号化されたジョブに対して代理応答処理を行うためには、NIC側でジョブの復号化を行ってから代理応答処理を実行することになるが、この場合、ジョブ全体を復号化するには時間がかかるため、代理応答処理を実行するのが遅くなってしまう。この課題は、NIC側の復号化能力が本体装置側の復号化能力より低い場合に、より顕著となる。本発明は、暗号化されたジョブに対する代理応答処理を、より速く実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理装置は、第1の処理手段と、第2の処理手段とを有し、前記第1の処理手段と前記第2の処理手段に電力が供給される第1の電力モード又は前記第1の処理手段に電力が供給されず前記第2の処理手段に電力が供給される第2の電力モードで動作する情報処理装置であって、前記情報処理装置が前記第2の電力モードで動作している際に、ジョブを入力する入力手段と、前記入力手段が暗号化されたジョブを入力した場合に、当該暗号化されたジョブの本体を復号化せずヘッダを復号化する復号化手段と、前記復号化手段により復号化されたジョブのヘッダに基づいて、前記第2の処理手段が代理応答処理を実行すべきであるか否か判断する判断手段と、前記第2の処理手段が代理応答を実行すべきであると前記判断手段が判断した場合に、前記情報処理装置を前記第2の電力モードから前記第1の電力モードに遷移させずに、前記第2の処理手段が前記入力手段により入力されたジョブを処理するよう制御し、前記第2の処理手段が代理応答を実行すべきでないと前記判断手段が判断した場合に、前記情報処理装置を前記第2の電力モードから前記第1の電力モードに遷移させてから、前記第1の処理手段が前記入力手段により入力されたジョブを処理するよう制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、暗号化されたジョブに対する代理応答処理を、より速く実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】システムの構成を示す図
【図2】MFP2の構成を示すブロック図
【図3】MFP2が実行する処理を示すフローチャート
【図4】第1の実施形態に係る代理応答処理の詳細を示すフローチャート
【図5】ジョブのデータ構造を示す図
【図6】ジョブの種類と代理応答の可否の対応関係を示す表
【図7】第2の実施形態に係る代理応答処理の詳細を示すフローチャート
【図8】第3の実施形態に係る代理応答処理の詳細を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
【0010】
なお、以下の説明において、情報処理としてMFPを例にとって説明するが、情報処理装置はMFP以外の装置であってもよい。また、NICはMFPの内部に存在するものとしたが、NICはMFPの外部に存在するものとしてもよい。
【0011】
〔第1の実施形態〕
図1は、システムの構成を示す図である。
【0012】
システムは、PC1、MFP2、LAN3によって構成される。
PC1は、ジョブを生成してMFP2に出力する。
MFP2は、ジョブをPC1から入力して処理する。
LAN3は、PC1とMFP2を互いに通信可能に接続する。
【0013】
図2は、MFP2の構成を示すブロック図である。図2において、実線はデータの流れを示し、破線は電力の流れを示している。
【0014】
MFP2は、NIC100、装置本体200、電源300によって構成される。
NIC100は、LANインターフェース101〜システムバス107を有する。
LANインターフェース101は、LAN3に対してデータの入出力を行う。
CPU102(第2の処理手段)は、NIC100全体の制御を司る。このために、CPU102は、ROM106に記憶されたプログラムをRAM103に読み出して実行する。
RAM103は、CPU102がジョブを処理する際のワークエリア等として機能する。
I/Oインターフェース104は、装置本体200に対してデータの入出力を行う。
Mini IP−Sec105は、IP−SEC方式により、データの暗号化処理及び復号化処理を行う。なお、本実施形態において、Mini IP−Sec105は、ハードウェアとして説明するが、これは、ソフトウェアで記載されたプログラムであり、CPU102によってプログラムを実行することにより実現されるものであってもよい。
ROM106は、CPU102が実行するプログラム等を記憶する。
システムバス107は、NIC100の各構成を相互に接続する。
装置本体200は、I/Oインターフェース201〜システムバス210を有する。
I/Oインターフェース201は、NIC100に対してデータの入出力を行う。
CPU202(第1の処理手段)は、装置本体200全体の制御を行う。このために、CPU202は、ROM207やHDD204に記憶されたプログラムをRAM203に読み出して実行する。
RAM203は、CPU202がジョブを処理する際のワークエリア等として機能する。
HDD204は、CPU202 が実行するOSやアプリケーションプログラム等を記憶する。また、HDD204は、LANインターフェース101や読取部208によって入力された画像データを暫く保持しておくこともでき、これらの画像データは、ユーザーの指示に応じて出力することができる。HDD204の記憶領域のうち、画像データを暫く保持しておく領域を、BOXを呼ぶ。また、BOXに画像データを記憶させたり、BOXに記憶された画像データの中からユーザーによって選択された画像データを出力したりする機能のことを、BOX機能と呼ぶ。
操作部205は、表示部と入力部とを有し、表示部によってユーザーにMFP2の操作画面を提供すると共に、入力部によってユーザーからMFP2に対する各種操作を受け付ける。
Full IP−sec206は、IP−sec方式により、暗号化処理及び復号化処理を行う。Full IP−Sec206は、Mini IP−Sec105に比べて、暗号化処理及び復号化処理の速度が速い。また、Full IP−Sec206は、Mini IP−Sec105に比べて、消費電力が大きい。また、Full IP−Sec206は、Mini IP−Sec105に比べて、対応可能な暗号化処理及び復号化処理の種類が多い。なお、本実施形態において、Full IP−sec206は、ハードウェアとして説明するが、これは、ソフトウェアで記載されたプログラムであり、CPU202によってプログラムを実行することにより実現されるものであってもよい。
ROM207は、CPU202が実行するブートプログラム等を記憶する。
読取部208は、原稿を読み取って画像データを入力し、RAM203に記憶する。
印刷部209は、RAM203に記憶された画像データに基づいて、シートに印刷を実行する。
システムバス210は、装置本体200の各構成を相互に接続する。
電源300は、NIC100と装置本体200に対して、電力供給を行う。なお、電源300は、CPU102やCPU202の制御に従って、MFP2の動作モードを通常モードと省電力モードの何れかに切り替える。
【0015】
図3は、MFP2が実行する処理を示すフローチャートである。なお、図3の処理は、主にMFP2が通常モードで動作している際にCPU202が実行するものである。また、図3の処理は、主にCPU202がHDD204に記憶されたプログラムをRAM203に読み出し実行することによって実現される。
【0016】
まず、CPU202は、操作部205を介してユーザーから電源オンの指示を受け付けたことに応じて、MFP2を起動させる(S101)。
起動が完了すると、MFP2は、通常モードで動作を開始する。
本発明において、MFP2は、複数の電力モードの何れかで動作する。複数の電力モードには、通常モード(第1の電力モード)、省電力モード(第2の電力モード)等が含まれる。通常モードとは、NIC100と装置本体200に電力が供給される電力モードである。省電力モードとは、通常モードより消費電力が少ない電力モードであり、NIC100に電力が供給され、装置本体200には電力が供給されない電力モードである。なお、省電力モードとして、装置本体200の一部(操作部205、読取部208、印刷部209)のみに電力が供給されず、その他の部分には電力が供給される電力モードがあってもよい。なお、本発明において、電力が供給されないとは、供給される電力が0であるときだけでなく、供給される電力が通常の動作を行えない程度に少量の電力であることも含む、広い意味を持つ。
【0017】
次に、CPU202は、I/Oインターフェース201を介してジョブが入力されたか否か判断する(S102)。S102でYESだった場合、すなわちジョブが入力された場合、S103に移行する。S102でNOだった場合、すなわちジョブが入力されていない場合、S107に移行する。
S102でYESだった場合、CPU202は、S102で入力されたジョブが暗号化されているか否か判断する(S103)。S103でYESだった場合、すなわち入力されたジョブが暗号化されていた場合、S104に移行する。S103でNOだった場合、すなわち入力されたジョブが暗号化されていなかった場合、S105に移行する。
【0018】
次に、CPU202は、Full IP−sec206を制御して、S102で入力されたジョブを復号化する(S104)。なお、Full IP−sec206は、入力されたジョブの全体が暗号化されていれば入力されたジョブの全体を復号化し、入力されたジョブの一部が暗号化されていれば入力されたジョブの一部を復号化する。
【0019】
次に、CPU202は、S102で入力されたジョブを処理する(S105)。このとき、CPU202は、入力されたジョブの種類に応じた処理を実行する。
【0020】
次に、CPU202は、操作部205を介してユーザーから電源オフの指示を受け付けたか否か判断する(S106)。S106でYESだった場合、すなわちユーザーから電源オフの指示を受け付けた場合、処理を終了する。S106でNOだった場合、すなわちユーザーから電源オフの指示を受け付けていない場合、S102に移行する。
S102でNOだった場合、CPU202は、LANインターフェース101を介してジョブが入力されない状態で所定の時間が経過したか否か判断する(S107)。なお、S107では、上記の判断を行う代わりとして、操作部205を介してユーザーからMFP2を省電力モードに遷移させる指示を受け付けたか否か判断することとしてもよい。S107でYESだった場合、すなわちジョブが入力されない状態で所定の時間が経過した場合、S108に移行する。S107でNOだった場合、すなわちジョブが入力されない状態で所定の時間が経過していない場合、S102に移行する。
【0021】
次に、CPU202は、電源300を制御して、MFP2を通常モードから省電力モードへ遷移させる(S108)。
省電力モード中は、NIC100が代理応答処理を実行する(S109)。代理応答処理とは、MFP2が省電力モードで動作している際に、CPU102がCPU202の代わりにジョブに対して応答することである。S109の詳細は、図4を用いて後述する。
【0022】
次に、CPU202は、I/Oインターフェース201を介してCPU102から起動信号を受信したか否かを判断する(S110)。起動信号とは、CPU102からCPU202に送信される信号であり、MFP2を省電力モードから通常モードへと遷移させるための信号である。なお、CPU202が起動信号を受信する直前において、CPU102が電源300を制御することにより、少なくともCPU202には電力が供給されるようになることとする。また、S110では、上記の判断を行う代わりとして、操作部205を介してユーザーからMFP2を通常モードに遷移させる指示を受け付けたか否か判断することとしてもよい。S110でYESだった場合、すなわちCPU102から起動信号を受信した場合、S111に移行する。S110でNOだった場合、すなわちCPU102から起動信号を受信していない場合、S109に移行する。
【0023】
次に、CPU202は、電源300を制御して、MFP2を省電力モードから通常モードへ遷移させる(S111)。MFP2を省電力モードから通常モードへ遷移させる処理には、CPU202が装置本体200の各構成の起動等を実行する処理が含まれる。
【0024】
図4は、第1の実施形態に係る代理応答処理の詳細を示すフローチャートである。なお、図4の処理は、主にMFP2が省電力モードで動作している際にCPU102が実行するものである。また、図4の処理は、主にCPU102がROM106に記憶されたプログラムをRAM103に読み出し実行することによって実現される。
【0025】
まず、CPU102は、LANインターフェース101を介してジョブが入力されたか否か判断する(S201)。S201でYESだった場合、すなわちジョブが入力された場合、S202に移行する。S201でNOだった場合、すなわちジョブが入力されていない場合、ジョブが入力されるまで待機する。
【0026】
次に、CPU102は、S201で入力されたジョブが暗号化されているか否か判断する(S202)。S202でYESだった場合、すなわち入力されたジョブが暗号化されていた場合、S203に移行する。S202でNOだった場合、すなわち入力されたジョブが暗号化されていなかった場合、S209に移行する。
S202でYESだった場合、CPU102は、Mini IP−Sec105を制御して、S201で入力されたジョブのヘッダを復号化する(S203)。このとき、ジョブの本体は復号化しない。また、このとき、ジョブのヘッダはMini IP−Sec105にコピーして復号化を行うため、もとのジョブのヘッダは暗号化されたままとなっている。
【0027】
図5は、ジョブのデータ構造を示す図である。ジョブは、ヘッダと本体によって構成される。ヘッダはジョブの種類を示す情報等を含み、本体はジョブを実行する際に必要な画像データ等を含む。ヘッダのデータ長は固定であり、本体のデータ長は可変である。S203では、ジョブの先頭から所定のデータ長までデータを復号化することによって、ジョブのヘッダを復号化する。
【0028】
次に、CPU102は、S203で復号化したジョブのヘッダに含まれるジョブの種類を示す情報に基づいて、S201で入力されたジョブが代理応答できるジョブであるか否か判断する(S204)。S204でYESだった場合、すなわち入力されたジョブが代理応答できるジョブであった場合、S205に移行する。S204でNOだった場合、すなわち入力されたジョブが代理応答できるジョブでなかった場合、S207に移行する。
本実施形態において、MFP2は、複数の種類のジョブを処理することが可能である。複数の種類のジョブには、特にPC1からMFP2に入力されるジョブとして、装置のステータスチェック、ネットワークへの接続応答、PDLプリント、BOXへのリモートアクセス等が含まれる。装置のステータスチェックとは、PC1からの要求に応じて、MFP2が、自分の現在のステータス(例えば、エラー発生の有無、トナー残量、用紙残量等)をPC1に返答するジョブのことである。ネットワークへの接続応答とは、PC1からの要求に応じて、MFP2が、その時に自分がLAN3に接続されていることをPC1に返答するジョブのことである。PDLプリントとは、PC1から入力されたPDL形式の印刷データに基づいて、印刷部209を制御して印刷処理を実行するジョブのことである。BOXへのリモートアクセスとは、PC1からのリモート操作によってBOXにアクセスするジョブのことである。BOXへのリモートアクセスとしては、例えば、PC1からのリモート操作に従ってBOXに画像データを格納するジョブや、PC1からのリモート操作に従ってBOXに格納された画像データに基づく印刷を実行するジョブ等が該当する。
【0029】
図6は、ジョブの種類と代理応答の可否の対応関係を示す表である。この表は、ROM106に記憶されており、CPU102により利用可能となっている。例えば、装置のステータスチェックやネットワークへの接続応答等は、装置本体200の構成を使用しなくてもジョブを処理できるため、NIC100が代理応答できるものとする。また、例えば、PDLプリントやBOXへのリモートアクセス等は、装置本体200の構成を使用しなければジョブを処理できないため、NIC100が代理応答できないものとする。S204では、図6の表を用いてジョブの種類から代理応答の可否を特定することによって、入力されたジョブが代理応答できるジョブであるか否か判断する。
S204でYESだった場合、CPU102は、Mini IP−Sec105を制御して、S201で入力されたジョブの本体を復号化する(S205)。このとき、入力されたジョブのヘッダは復号化しない。
【0030】
次に、CPU102は、S201で入力されたジョブを処理する(S206)。このとき、CPU102は、S203で復号化したジョブのヘッダに含まれるジョブの種類を示す情報に基づいて、入力されたジョブの種類に応じた処理を実行する。また、このとき、CPU102は、S205で復号化したジョブの本体に含まれるデータを用いて、入力されたジョブの処理を実行する。
S204でNOだった場合、CPU102は、I/Oインターフェース104を介して、CPU202に起動信号を送信する(S207)。
【0031】
次に、CPU102は、I/Oインターフェース104を介して、S201で入力されたジョブを装置本体200に送信する(S208)。本実施形態において、S208では、ジョブのヘッダと本体を複合化したデータで上書きしないので、装置本体200に送信するジョブのヘッダと本体は共に暗号化されたデータのままとなっている。
S202でNOだった場合、CPU102は、S201で入力されたジョブのヘッダに含まれるジョブの種類を示す情報に基づいて、S201で入力されたジョブが代理応答できるジョブであるか否か判断する(S209)。S204でも、図6の表を用いてジョブの種類から代理応答の可否を特定することによって、入力されたジョブが代理応答できるジョブであるか否か判断する。S209でYESだった場合、すなわち入力されたジョブが代理応答できるジョブであった場合、S210に移行する。S209でNOだった場合、すなわち入力されたジョブが代理応答できるジョブでなかった場合、S211に移行する。
【0032】
S209でYESだった場合、CPU102は、S201で入力されたジョブを処理する(S210)。このとき、CPU102は、S201で入力されたジョブのヘッダに含まれるジョブの種類を示す情報に基づいて、入力されたジョブの種類に応じた処理を実行する。また、このとき、CPU102は、S201で入力されたジョブの本体に含まれるデータを用いて、入力されたジョブの処理を実行する。
S209でNOだった場合、CPU102は、I/Oインターフェース104を介して、CPU202に起動信号を送信する(S211)。
【0033】
次に、CPU102は、I/Oインターフェース104を介して、S201で入力されたジョブを装置本体200に送信する(S212)。なお、S212は、CPU202が起動信号を受けて起動が完了した後に行う。また、S212では、装置本体200に送信するジョブにおいて、ヘッダと本体は両方とも暗号化されていないデータである。
本実施形態によれば、MFP2が省電力モードで動作している状態で暗号化されたジョブが入力された際に、ジョブのヘッダのみを復号化して代理応答の可否を判断する。これにより、暗号化されたジョブに対する代理応答処理を、ジョブ全体を復号化して代理応答の可否を判断するよりも、より早く、少ない処理負荷で実行することが可能となる。
【0034】
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態では、S208において、NIC100から装置本体200に送信するジョブは、ヘッダと本体が両方とも暗号化されたデータだった。
【0035】
これに対して、第2の実施形態では、S208において、NIC100から装置本体200に送信するジョブは、ヘッダを復号化されたデータとし、本体を暗号化されたデータとする。
本実施形態の基本的な構成は、図1〜6を用いて説明した第1の実施形態のものと同様であるため、説明を省略する。
【0036】
図7は、第2の実施形態に係る代理応答処理の詳細を示すフローチャートである。図7において、図4と同様のステップは、同一の番号を付して、説明を省略する。図7において、図4と異なる点は、S207とS208の間にS301が入ることである。
CPU102は、S201で入力されたジョブのヘッダを、S203で復号化したデータで上書きする(S301)。S301により、S208で出力されるジョブは、ヘッダのみが復号化されたデータとなる。また、S104では、ジョブの本体のみを復号化すればよいことになる。
【0037】
なお、ジョブのヘッダの上書きは、MFP2が省電力モードから通常モードに遷移するのに要する時間が、ジョブのヘッダの上書きに要する時間より長くなる場合に限って実行することとしてもよい。この場合、MFP2が省電力モードから通常モードに遷移するのに要する時間と、ジョブのヘッダの上書きに要する時間は、予め記憶又はその都度予測することとなる。
【0038】
本実施形態によれば、MFP2が省電力モードで動作している状態で暗号化されたジョブが入力され、MFP2を通常モードに遷移させた場合において、NIC100から装置本体200に送信されたジョブのヘッダは、復号化されたデータとなる。これにより、本実施形態では、MFP2が通常モードに遷移した後にCPU202がジョブのヘッダを復号化する必要が無くなるので、第1の実施形態と比較して、CPU202が行うジョブの処理を、より早く、少ない処理負荷で実行することが可能となる。
【0039】
〔第3の実施形態〕
第1の実施形態では、S208において、NIC100から装置本体200に送信するジョブは、ヘッダと本体が両方とも暗号化されたデータだった。
【0040】
これに対して、第3の実施形態では、S208において、NIC100から装置本体200に送信するジョブは、ヘッダと本体を両方とも復号化されたデータとする。
本実施形態の基本的な構成は、図1〜6を用いて説明した第1の実施形態のものと同様であるため、説明を省略する。
【0041】
図8は、第3の実施形態に係る代理応答処理の詳細を示すフローチャートである。
図8において、図4と同様のステップは、同一の番号を付して、説明を省略する。図8において、図4と異なる点は、S207とS208の間にS401とS402が入ることである。
【0042】
まず、CPU102は、Mini IP−Sec105を制御して、S201で入力されたジョブの本体を復号化する(S401)。このとき、ジョブの本体はMini IP−Sec105にコピーして復号化を行うため、もとのジョブの本体は暗号化されたままとなっている。
【0043】
次に、CPU102は、S201で入力されたジョブのヘッダを、S203で復号化したデータで上書きし、S201で入力されたジョブの本体を、S401で復号化したデータで上書きする(S402)。S402により、S208で出力されるジョブは、ヘッダと本体両方とも復号化されたデータとなる。また、S104で、ジョブを復号化する必要がなくなる。
【0044】
なお、ジョブの本体の復号化及び上書きは、MFP2が省電力モードから通常モードに遷移するのに要する時間が、ジョブの本体の復号化及び上書きに要する時間より長くなる場合に限って実行することとしてもよい。この場合、MFP2が省電力モードから通常モードに遷移するのに要する時間と、ジョブの本体の復号化及び上書きに要する時間は、予め記憶又はその都度予測することとなる。
【0045】
本実施形態によれば、MFP2が省電力モードで動作している状態で暗号化されたジョブが入力され、MFP2を通常モードに遷移させた場合において、NIC100から装置本体200に送信されたジョブのヘッダと本体は、復号化されたデータとなる。これにより、本実施形態では、MFP2が通常モードに遷移した後にCPU202がジョブのヘッダと本体を復号化する必要が無くなるので、第1の実施形態と比較して、CPU202が行うジョブの処理を、より早く、少ない処理負荷で実行することが可能となる。
【0046】
〔他の実施形態〕
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。
即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために以下の請求項を添付する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の処理手段と、
第2の処理手段とを有し、
前記第1の処理手段と前記第2の処理手段に電力が供給される第1の電力モード又は前記第1の処理手段に電力が供給されず前記第2の処理手段に電力が供給される第2の電力モードで動作する情報処理装置であって、
前記情報処理装置が前記第2の電力モードで動作している際に、ジョブを入力する入力手段と、
前記入力手段が暗号化されたジョブを入力した場合に、当該暗号化されたジョブの本体を復号化せずヘッダを復号化する復号化手段と、
前記復号化手段により復号化されたジョブのヘッダに基づいて、前記第2の処理手段が代理応答処理を実行すべきであるか否か判断する判断手段と、
前記第2の処理手段が代理応答を実行すべきであると前記判断手段が判断した場合に、前記情報処理装置を前記第2の電力モードから前記第1の電力モードに遷移させずに、前記第2の処理手段が前記入力手段により入力されたジョブを処理するよう制御し、前記第2の処理手段が代理応答を実行すべきでないと前記判断手段が判断した場合に、前記情報処理装置を前記第2の電力モードから前記第1の電力モードに遷移させてから、前記第1の処理手段が前記入力手段により入力されたジョブを処理するよう制御する制御手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2の処理手段が代理応答を実行すべきでないと前記判断手段が判断した場合に、前記入力手段により入力されたジョブを前記第1の処理手段に送信し、
前記第1の処理手段は、前記制御手段により送信されたジョブを処理することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、ヘッダ及び本体が暗号化されているジョブを前記第1の処理手段に送信し、
前記第1の処理手段は、前記制御手段により送信されたジョブのヘッダ及び本体を復号化して、当該ジョブを処理することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、ヘッダが復号化され本体が暗号化されているジョブを前記第1の処理手段に送信し、
前記第1の処理手段は、前記制御手段により送信されたジョブのヘッダを復号化せず本体を復号化して、当該ジョブを処理することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、ヘッダ及び本体が復号化されているジョブを前記第1の処理手段に送信し、
前記第1の処理手段は、前記制御手段により送信されたジョブのヘッダ及び本体を復号化せずに、当該ジョブを処理することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
第1の処理手段と、
第2の処理手段とを有し、
前記第1の処理手段と前記第2の処理手段に電力が供給される第1の電力モード又は前記第1の処理手段に電力が供給されず前記第2の処理手段に電力が供給される第2の電力モードで動作する情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置が前記第2の電力モードで動作している際に、ジョブを入力する入力工程と、
前記入力工程で暗号化されたジョブを入力した場合に、当該暗号化されたジョブの本体を復号化せずヘッダを復号化する復号化工程と、
前記復号化工程により復号化されたジョブのヘッダに基づいて、前記第2の処理手段が代理応答処理を実行すべきであるか否か判断する判断工程と、
前記第2の処理手段が代理応答を実行すべきであると前記判断工程で判断した場合に、前記情報処理装置を前記第2の電力モードから前記第1の電力モードに遷移させずに、前記第2の処理手段が前記入力工程により入力されたジョブを処理するよう制御し、前記第2の処理手段が代理応答を実行すべきでないと前記判断工程で判断した場合に、前記情報処理装置を前記第2の電力モードから前記第1の電力モードに遷移させてから、前記第1の処理手段が前記入力工程により入力されたジョブを処理するよう制御する制御工程とを有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
第1の処理手段と、
第2の処理手段とを有し、
前記第1の処理手段と前記第2の処理手段に電力が供給される第1の電力モード又は前記第1の処理手段に電力が供給されず前記第2の処理手段に電力が供給される第2の電力モードで動作する情報処理装置に、
前記情報処理装置が前記第2の電力モードで動作している際に、ジョブを入力する入力工程と、
前記入力工程で暗号化されたジョブを入力した場合に、当該暗号化されたジョブの本体を復号化せずヘッダを復号化する復号化工程と、
前記復号化工程により復号化されたジョブのヘッダに基づいて、前記第2の処理手段が代理応答処理を実行すべきであるか否か判断する判断工程と、
前記第2の処理手段が代理応答を実行すべきであると前記判断工程で判断した場合に、前記情報処理装置を前記第2の電力モードから前記第1の電力モードに遷移させずに、前記第2の処理手段が前記入力工程により入力されたジョブを処理するよう制御し、前記第2の処理手段が代理応答を実行すべきでないと前記判断工程で判断した場合に、前記情報処理装置を前記第2の電力モードから前記第1の電力モードに遷移させてから、前記第1の処理手段が前記入力工程により入力されたジョブを処理するよう制御する制御工程とを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−192554(P2012−192554A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56603(P2011−56603)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】