説明

情報処理装置、画像処理装置、印刷制御方法、及び印刷制御プログラム

【課題】印刷システムにおいて、データサイズが大きい印刷対象データを印刷するときの通信処理にかかる負荷を軽減することができる情報処理装置、画像処理装置、印刷制御方法、及び印刷制御プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置11は、印刷対象データDを分割し、分割データSDnを複数回に分けて画像処理装置10に送信するとともに、その間のデータ処理をSOAPに従ったメッセージ交換により制御し、印刷対象データDの全てが送信された旨を画像処理装置10へ通知する。一方、画像処理装置10は、複数の分割データSDnを情報処理装置11から受信するとともに、その間のデータ処理をSOAPに従ったメッセージ交換により制御し、印刷対象データDの全てが送信された旨の通知を受けて、複数の分割データSDnを基に印刷対象データDを復元し、復元データを基に生成した印刷可能データPDを画像形成装置12へ送信し、印刷処理を指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを送信する情報処理装置と受信した画像データに所定の画像処理を行う画像処理装置とがネットワークを介して接続されたシステムに関し、特に、分割した画像データを、所定のプロトコルを介して情報処理装置から画像処理装置へ送信する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、米国IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:電気電子技術者協会)関連の非営利団体であるIEEE−ISTO(IEEE Industry Standards and Technology Organization)のPWG(Printer Working Group)により標準化された印刷に関するWebサービスであるPSI(Print Service Interface:詳細仕様は非特許文献1を参照)を利用した印刷システムが提供されるようになった。
【0003】
例えば、クライアントPC(Personal Computer)、プリントサーバ、及びプリンタから構成される上記印刷システムでは、以下に示す印刷処理が行われる。
【0004】
(1)まず、クライアントPCは、印刷条件や書誌情報を含む印刷ジョブ開始通知をcreateJobメソッドのSOAPリクエストとしてプリントサーバへ送信し、プリントサーバは、SOAPリクエストを受けて、印刷ジョブが生成可能な否かの判定結果をSOAPレスポンスとしてクライアントPCへ返す。
【0005】
(2)クライアントPCは、上記(1)によるSOAPレスポンスを受けて、文書データを含むaddDocumentByValueメソッドのSOAPリクエストをプリントサーバへ送信し、プリントサーバは、SOAPリクエストを受けて、正常にデータを受信できたか否かの判定結果をSOAPレスポンスとしてクライアントPCへ返す。
【0006】
(3)クライアントPCは、上記(2)によるSOAPレスポンスを受けて、印刷ジョブ終了通知をcloseJobメソッドのSOAPリクエストとしてプリントサーバへ送信し、プリントサーバは、SOAPリクエストを受けて、印刷ジョブ終了通知の受信完了を、SOAPレスポンスとしてクライアントPCへ返す。
【0007】
(4)プリントサーバは、上記(3)によるSOAPレスポンスを返すと、受信した文書データに対して所定の画像処理(レンダリング)を行い、印字可能データへ変換し、印字可能データをプリンタへ送信する。結果、プリンタから印刷要求を行った文書が印刷される。
【0008】
このように、PSIを利用した印刷システムでは、印刷対象データ(例えば「文書データ」)を送信する送信元の機器(例えば「クライアントPC」)と、印刷対象データを受信する送信先の機器(例えば「プリントサーバ」)との間で、SOAP(Simple Object Access Protocol)に従ったメッセージ交換が行われる(SOAPリクエスト・レスポンスがやり取りされる)ことにより印刷処理される。
【非特許文献1】Print Server Interface Version 1.0(PWG Candidate Standard 5104.2-2005)入手先情報:ftp://ftp.pwg.org/pub/pwg/candidates/cs-psi10-20050225-5104.2.pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したような従来のPSIを利用した印刷システムでは、印刷対象データのデータサイズが大きいため、送信先の機器において正常にデータを受信できない場合に、正常に受信されるまでデータの送信が繰り返されることになる。このとき、その間に受信されたデータは送信先の機器に保持されないため、エラー原因が解消されるまで同じデータ送信が無駄に繰り返される。
【0010】
このように、従来のPSIを利用した印刷システムでは、送信先の機器において、何らかの原因で受信データを一時保持しておく記憶領域を確保できなかった場合に、通信処理に係るリソースが無駄に消費されてしまい、結果、システム全体への負荷が増大すると言う問題があった。
【0011】
上記問題点を解決するためには、送信元の機器が、送信先の機器で発生しているエラー原因がいつ解消されるのか把握できれば、データの再送信を適切なタイミングで行うように制御することができる。
【0012】
そこで、送信元の機器が、印刷対象データを送信する前に、送信先の機器状態の通知を要求するメソッドを送信する方法が考えられるが、PSIでは、そのようなメソッドは定義されていない。仮に、上記目的のために専用メソッドを定義してもよいが、これでは、専用メソッドを解釈可能な送信先の機器としか通信を行うことができず、汎用性に欠ける。
【0013】
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、印刷システムにおいて、データサイズが大きい印刷対象データを印刷するときの通信処理にかかる負荷を軽減することができる情報処理装置、画像処理装置、印刷制御方法、及び印刷制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明にあっては、SOAPメッセージを用いて画像データの印刷を画像処理装置に要求する情報処理装置であって、画像データを前記画像処理装置に送信する画像データ送信手段と、送信された前記画像データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを前記画像処理装置から受信するレスポンス受信手段と、前記SOAPレスポンスを受信した場合に、前記画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを前記画像処理装置に送信するメッセージ送信手段と、を備え、前記画像データ送信手段は、印刷すべき画像データを分割した分割データを送信することにより、前記画像データを複数回に分けて送信し、前記メッセージ送信手段は、送信された前記分割データ夫々に対する前記SOAPレスポンスを全て受信した場合に、前記SOAPメッセージを送信することを要旨としている。
【0015】
このような構成によって、本発明に係る情報処理装置は、印刷対象データを分割し、得られた分割データを複数回に分けて画像処理装置に送信するとともに、その間のデータ処理を、SOAPに従ったメッセージ交換により制御し、印刷対象データの全てが送信された旨を画像処理装置へ通知する。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置は、前記画像データ送信手段が、前記レスポンス受信手段により、第1の分割データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを受信したときに、第2の分割データを送信する。
【0017】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置は、前記画像データ送信手段が、前記レスポンス受信手段による、第1の分割データを受信した旨を示すSOAPレスポンスの受信可否に応じて、他の分割データのデータサイズを変更する。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明にあっては、SOAPメッセージを用いた画像データの印刷要求を情報処理装置から受け付ける画像処理装置であって、前記情報処理装置から画像データを受信する画像データ受信手段と、受信された前記画像データを格納する格納手段と、前記画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを前記情報処理装置から受信するメッセージ受信手段と、前記画像データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを前記情報処理装置に送信するレスポンス送信手段と、前記格納手段に格納されている画像データの印刷処理を実行する画像処理手段と、を備え、前記画像データ受信手段は、前記情報処理装置から、印刷する画像データを分割した分割データを受信することにより、前記画像データを複数回に分けて受信し、前記格納手段は、複数回に分けて受信した分割データを前記画像データとして格納し、前記画像処理手段は、前記メッセージ受信手段により、前記情報処理装置から画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを受信した場合に、前記格納手段に格納されている複数の分割データを合成し、合成して得た画像データの印刷処理を実行することを要旨としている。
【0019】
このような構成によって、本発明に係る画像処理装置は、印刷対象データを分割して得られた複数の分割データを情報処理装置から受信するとともに、その間のデータ処理を、SOAPに従ったメッセージ交換により制御し、印刷対象データの全てが送信された旨の通知を受け付けると、受信時に保持しておいた複数の分割データを基に印刷対象データを復元し、復元したデータを基に生成した印刷可能データを印刷機器(画像形成装置)へ送信し、印刷処理を指示する。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置における印刷制御方法は、SOAPメッセージを用いて画像データの印刷を画像処理装置に要求する情報処理装置における印刷制御方法であって、画像データを前記画像処理装置に送信する画像データ送信手順と、前記画像データ送信手順により送信された前記画像データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを前記画像処理装置から受信するレスポンス受信手順と、前記レスポンス受信手順により前記SOAPレスポンスを受信した場合に、前記画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを前記画像処理装置に送信するメッセージ送信手順と、を有し、前記画像データ送信手順は、印刷すべき画像データを分割した分割データを送信することにより、前記画像データを複数回に分けて送信し、前記メッセージ送信手順は、送信された前記分割データ夫々に対する前記SOAPレスポンスを全て受信した場合に、前記SOAPメッセージを送信することを特徴とする。
【0021】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置における印刷制御方法は、前記画像データ送信手順が、前記レスポンス受信手順により、第1の分割データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを受信したときに、第2の分割データを送信する。
【0022】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置における印刷制御方法は、前記画像データ送信手順が、前記レスポンス受信手順による、第1の分割データを受信した旨を示すSOAPレスポンスの受信可否に応じて、他の分割データのデータサイズを変更する。
【0023】
このような手順によって、本発明に係る情報処理装置における印刷制御方法は、印刷対象データを分割し、得られた分割データを複数回に分けて画像処理装置に送信するとともに、その間のデータ処理を、SOAPに従ったメッセージ交換により制御し、印刷対象データの全てが送信された旨を画像処理装置へ通知する動作を実現する。
【0024】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置における印刷制御方法は、SOAPメッセージを用いた画像データの印刷要求を情報処理装置から受け付ける画像処理装置における印刷制御方法であって、前記情報処理装置から画像データを受信する画像データ受信手順と、前記画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを前記情報処理装置から受信するメッセージ受信手順と、前記画像データ受信手順により前記画像データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを前記情報処理装置に送信するレスポンス送信手順と、前記情報処理装置から受信した前記画像データを格納する格納手段の画像データの印刷処理を実行する画像処理手順と、を有し、前記画像データ受信手順は、前記情報処理装置から、印刷する画像データを分割した分割データを受信することにより、前記画像データを複数回に分けて受信し、前記画像処理手順は、前記メッセージ受信手順により、前記外部装置から画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを受信した場合に、前記格納手段に格納されている複数回に分けて受信した分割データを合成し、合成した画像データの印刷処理を実行することを特徴とする。
【0025】
このような手順によって、本発明に係る画像処理装置における印刷制御方法は、印刷対象データを分割して得られた複数の分割データを情報処理装置から受信するとともに、その間のデータ処理を、SOAPに従ったメッセージ交換により制御し、印刷対象データの全てが送信された旨の通知を受け付けると、受信時に保持しておいた複数の分割データを基に印刷対象データを復元し、復元したデータを基に生成した印刷可能データを印刷機器(画像形成装置)へ送信し、印刷処理を指示する動作を実現する。
【0026】
これによって、本発明に係る情報処理装置及び画像処理装置とが接続される印刷システムでは、印刷システムにおいて、データサイズが大きい印刷対象データを印刷するときの通信処理にかかる負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、送信元の機器(情報処理装置)が、印刷対象データを分割し、得られた分割データを複数回に分けて送信先の機器(画像処理装置)へ送信し、送信先の機器が、受信時に保持しておいた複数の分割データを基に印刷対象データを復元し、復元したデータを基に生成した印刷可能データを印刷機器(画像形成装置)へ送信し、印刷処理を指示することにより、印刷システムにおいて、データサイズが大きい印刷対象データを印刷するときの通信処理にかかる負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、「実施形態」という。)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
[第1の実施形態]
<システム構成>
まず、本実施形態に係る印刷システムの構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る印刷システムは、クライアントPC(以下、「情報処理装置」という。)11と、プリントサーバ(以下、「画像処理装置」という。)10と、プリンタ(以下、「画像形成装置」という。)12から構成されている。
【0030】
各機器間は、ネットワークなどの所定のデータ伝送路及び/又はインターネットなどの電気通信回線を介して接続されており、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やSOAPなどの所定の通信プロトコルにより双方向のデータ通信を行うことができる。
【0031】
また、情報処理装置11と画像処理装置10には、PSIに基づいたWebサービス(以下、「PSIWebサービス」という。)31と32が実装されている。PSIWebサービス31と32は、SOAPに従って相互にメッセージ交換を行い、それぞれの機能を利用することができる。
【0032】
このようなシステム構成において、印刷制御は次のように行われる。まず、情報処理装置11が、ユーザ指示に従って、文書データなどの印刷対象データDを画像処理装置10へ送信する。次に、画像処理装置10が、印刷対象データDを受信し、印刷要求を受け付けると、印刷対象データDに対してレンダリングなどの所定の画像処理により、PDL(Page Description Language)データなどの印刷可能データPDに変換し、印刷可能データPDを、要求時に指定された画像形成装置12へと送信する。これにより、ユーザが所望する印刷処理が行われる。
【0033】
なお、上記システムでは、画像形成装置12としてプリンタを例に説明を行ったが、ファクシミリでもよく、その場合、画像処理装置10はファクシミリサーバとなる。ファクシミリサーバとファクシミリを用いる構成の場合、各機器間は、電話回線やISDN(Integrated Services Digital Network)のデジタル回線網などを介して接続される。
【0034】
また、通信プロトコルについては、HTTPに限定されない。例えばFTP(File Transfer Protocol)など、他の通信プロトコルを利用してもよい。
【0035】
《ハードウェア》
次に、上記印刷システムの構成要素である情報処理装置11と画像処理装置10のハードウェア構成について説明する。なお、両機器は、同一のハードウェア構成であることから、以下に、情報処理装置11のハードウェア構成を代表して説明する。
【0036】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置11及び画像処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。図2に示すように、情報処理装置11は、バスを介して相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)101と、インタフェース装置102と、HDD(Hard Disk Drive)103と、入力装置104と、表示装置105と、外部記録装置106と、ROM(Read Only Memory)108と、RAM(Random Access Memory)109とから構成されている。
【0037】
入力装置104は、キーボード及びマウスなどであり、情報処理装置11に各種操作信号を入力するために用いられる。表示装置105は、ディスプレイなどであり、各種情報を表示する。インターフェース装置102は、情報処理装置11や画像処理装置10をネットワークに接続するインターフェースである。
【0038】
HDD103は、大容量の不揮発性記憶装置で、例えばOS(Operating System)やアプリケーションなどの各種プログラムや関連データが格納される。ROM108とRAM109は、半導体メモリであり、ROM108には、例えばBIOS(Basic Input/Output System)などの電源投入後に実行される起動システムに関する各種プログラムや関連データなどが格納される。また、RAM109には、プログラムやデータが一時記憶される。
【0039】
CPU101は、ROM108やHDD103などに格納された各種プログラムや関連データをRAM109に読み出し、処理を実行する。外部記録装置106は、フロッピー(登録商標)ディスクなどの磁気ディスク、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、SDメモリカードなどの着脱可能な半導体メモリと言った各種記録媒体107に、プログラムやデータなどの読み出し/書き込みを行う。
【0040】
このようなハードウェア構成により、情報処理装置11と画像処理装置10では、以降に説明を行うPSIを利用した印刷制御処理が行われる。
【0041】
なお、画像処理装置10がファクシミリサーバである場合には、画像処理装置10が、電話回線やISDNのデジタル回線網に接続するインターフェースを備えている。
【0042】
《ソフトウェア》
次に、上記ハードウェア構成を備える情報処理装置11と画像処理装置10との各機器において動作するソフトウェア構成(実装されるソフトウェア構成)について説明する。
【0043】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置11及び画像処理装置10のソフトウェア構成例を示す図である。なお、図中の(A)に情報処理装置11、また(B)に画像処理装置10のソフトウェア構成が示されている。
【0044】
(情報処理装置:クライアントPC)
図3(A)に示すように、情報処理装置11で動作するソフトウェアは、OS201と、複数のアプリケーション202から構成されている。
【0045】
OS201は、UNIX(登録商標)やWindows(登録商標)などの情報処理装置11が備えるハードウェアなどを制御し、情報処理システムを実現する基本ソフトウェアである。アプリケーション202は、上記情報処理システム上(動作環境)においてプログラムが実行されることで各種機能(サービス)を提供するソフトウェアである。アプリケーション202の各ソフトウェアは、それぞれプロセスとしてOS201上で並列実行される。
【0046】
OS201とアプリケーション202は、API(Application Programming Interface)と言うソフトウェアインターフェースで接続されており、アプリケーション202は、APIを介してOS201が提供する情報処理機能(例えばI/O機能)を利用することができる。
【0047】
また、アプリケーション202には、PSI標準のメソッド処理を行うPSIアプリ203や、印刷対象データDを送信するために、データの一部分を切り出したり、データを分割したりする分割データ生成アプリ204、またHTTPによる双方向データ通信を制御するHTTP処理部などが含まれる。
【0048】
また、PSIアプリ203は、XML(Extensible Markup Language)で記述されたメッセージを処理するXML処理部と、SOAPに従ってメッセージ交換を行うSOAP処理部と、PSI標準のメソッド処理を行うPSIメソッド処理部とを有している。なお、図1に示したPSIWebサービス31は、PSIアプリ203に含まれる。
【0049】
分割データ生成アプリ204は、印刷対象データDの一部分を切り出したり分割したりするデータ切り出し/分割部と、分割データのデータサイズを示す情報(以下、「分割データサイズ情報」という。)や分割データの送信順番を示す情報(以下、「送信順情報」という。)などの各種情報を、分割データに付加して通信データを生成する通信データ作成部と、これらの各機能部による連携処理を制御する制御部とを有している。
【0050】
(画像処理装置:プリントサーバ)
図3(B)に示すように、画像処理装置10で動作するソフトウェアも、上記情報処理装置11と同様に、OS211と、アプリケーション212から構成されており、それぞれAPIを介して接続されている。
【0051】
また、アプリケーション212には、PSIアプリ213と、クライアントPCである情報処理装置11から受信した分割データを合成し、印刷対象データD(分割前の元データ)に復元にする分割データ合成アプリ214と、復元した印刷対象データDを基に画像形成装置12で印刷可能なPDLデータ(印刷可能データPD)を生成するレンダリングアプリ215と、印刷可能データPDを画像形成装置12に送信し、印刷処理を指示する印刷制御アプリ216、またHTTP処理部などが含まれる。
【0052】
ここで、画像形成装置12がファクシミリの場合には、画像処理装置10がファクシミリサーバとなり、印刷制御アプリ216に代わりに、電話回線やISDNのデジタル回線網を介してデータ送信を行うファクシミリ制御アプリとなる。
【0053】
また、PSIアプリ213は、上記情報処理装置11と同様に、XML処理部と、SOAP処理部と、PSIメソッド処理部とを有している。なお、図1に示したPSIWebサービス32は、PSIアプリ213に含まれる。
【0054】
分割データ合成アプリ214は、分割データを合成し、印刷対象データDに復元する分割データ合成部と、受信した通信データを解析し、データ内に含まれる分割データ、分割データサイズ情報、及び送信順情報などを取り出す通信データ解析部と、これらの各機能部による連携処理を制御する制御部とを有している。
【0055】
レンダリングアプリ215は、分割データ合成アプリ214によって復元された印刷対象データDに対応するアプリケーションソフトを起動し、印刷を実行する画像形成装置12に対応するプリンタドライバを介して印刷可能データPDに変換するレンダリング処理部を有している。ここで、印刷対象データDに対応するアプリケーションソフトや画像形成装置12に対応するプリンタドライバを用いてレンダリング処理(印刷可能データPDへの変換)を行う方法について説明したが、これに限らず、復元後の印刷対象データDを印刷可能データPDに変換可能であれば、他の方法であってもよい。また、前述したレンダリング処理は、特に、画像処理装置10において動作する必要はなく、例えばデータ変換サーバなどのような専用機器にレンダリング処理を行わせ、変換後の印刷可能データPDを受け取る構成としてもよい。
【0056】
また、画像処理装置10がファクシミリサーバの場合、レンダリング処理部では、復元後の印刷対象データDを、ファクシミリに対応する印刷可能データPDに変換する。
【0057】
印刷制御アプリ216は、レンダリングアプリ215により生成された印刷可能データPDを画像形成装置12に送信し、印刷処理を指示する印刷制御部を有している。
【0058】
<PSIを利用した印刷制御>
ここからは、上記ソフトウェア構成により情報処理装置11と画像処理装置10との各機器において実現される機能構成及びその連係動作について説明する。
【0059】
《機能構成》
図4は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置11及び画像処理装置10が有する機能構成例を示す図である。
【0060】
[情報処理装置]
図4に示すように、まず情報処理装置11が有する印刷制御機能には、画像処理装置10へSOAPメッセージを送信するメッセージ送信手段41と、画像処理装置10からのSOAPメッセージによる応答を受信するレスポンス受信手段42と、画像処理装置10へ画像データを送信する画像データ送信手段43とがある。
【0061】
なお、以下には、画像データを印刷対象データDの一例として説明するが、この限りでなく、文書データなどのアプリケーションデータであってもよい。
【0062】
画像データ送信手段43は、画像データを分割した分割データSDnを送信することにより、印刷対象データDである画像データを複数回に分けて画像処理装置10へ送信する。また、画像データ送信手段43は、レスポンス受信手段42により、分割データSDnを受信した旨を示すSOAPレスポンスを受信したことを受けて、次の分割データSDn+1を送信する。
【0063】
レスポンス受信手段42は、画像データ送信手段43により送信された画像データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを画像処理装置10から受信し、メッセージ送信手段41は、画像処理装置10からSOAPレスポンスを受信した場合、画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを画像処理装置10に送信する。
【0064】
メッセージ送信手段41は、送信された分割データSDn夫々に対するSOAPレスポンスを全て受信した場合に、SOAPメッセージを画像処理装置10へ送信する。
【0065】
(メッセージ送信手段及びレスポンス受信手段)
本実施形態に係る情報処理装置11では、ユーザからの印刷指示を受け付けると、メッセージ送信手段41により、画像処理装置10に対して印刷ジョブの生成を指示する。具体的には、creatJobメソッドのSOAPメッセージが、メッセージ送信手段41から画像処理装置10へ送信されることにより指示される。
【0066】
createJobメソッドは、PSIアプリ203のPSIメソッド処理部により生成され、XML処理部、SOAP処理部、及びHTTP処理部などを介して、SOAPメッセージとして、画像処理装置10へ送信される。その結果、画像処理装置10からは、creatJobメソッドのSOAPメッセージに対しての応答メッセージが送信される。情報処理装置11では、レスポンス受信手段42により応答メッセージを受信し、その内容が解析される。このとき、応答メッセージは、PSIメソッド処理部に渡され、解析される。
【0067】
また、情報処理装置11では、メッセージ送信手段41により、画像処理装置10に対して印刷ジョブの完了を通知する。具体的には、closeJobメソッドのSOAPメッセージが、メッセージ送信手段41から画像処理装置10へ送信されることにより通知される。
【0068】
closeJobメソッドは、creatJobメソッドと同様に、PSIアプリ203のPSIメソッド処理部により生成され、XML処理部、SOAP処理部、及びHTTP処理部などを介して、SOAPメッセージとして、画像処理装置10へ送信される。その結果、画像処理装置10からは、closeJobメソッドのSOAPメッセージに対して応答メッセージが送信される。情報処理装置11における応答メッセージの解析は、PSIメソッド処理部により行われる。
【0069】
(画像データ送信手段)
情報処理装置11は、レスポンス受信手段42により受信・解析を行った応答メッセージを受けて、印刷対象データDである画像データの分割データを画像処理装置10へ送信する。
【0070】
・分割データの生成
画像データ送信手段43は、画像データの分割を、分割データ生成アプリ204により行う。また、このときの分割処理は、分割データ生成アプリ204の制御部により次のように制御される。
【0071】
画像データ送信手段43は、まず、分割データ生成アプリ204のデータ切り出し/分割部により、予め設定しておいた画像データの切り出しサイズ(所定の分割データサイズ)に基づき、HDD103などの記憶装置に格納されている画像データを参照し、データの切り出し(分割データSDnの生成)を行う。データの切りだしが終了すると、生成された分割データSDnを通信データ作成部に渡す。
【0072】
また、通信データ作成部には、分割データサイズを示す情報と分割を行った順番(1〜n)を示す情報とが渡される。ここで言う、「分割データサイズを示す情報」が分割データサイズ情報にあたり、「分割を行った順番を示す情報」が送信順情報にあたる。その結果、通信データ作成部は、これらの情報と分割データSDnとから、画像処理装置10に送信する通信データを生成する。
【0073】
画像データ送信手段43では、通信データ生成部による通信データの生成が終わると、生成後の通信データが、分割データ生成アプリ204からPSIアプリ203へ渡される。また、このとき分割データ生成アプリ204の制御部では、画像データの切り出し回数(分割回数)をインクリメントし、その値を、分割を行った順番を示す情報として記憶しておく。これにより、次回の分割データ送信時に、記憶しておいた値を送信順情報として画像処理装置10に渡す。
【0074】
・分割データの送信
次に、画像データ送信手段43では、分割データSDnの送信が、PSIアプリ203により行われる。また、このときの送信処理は、PSIアプリ203の制御部により次のように制御される。
【0075】
画像データ送信手段43は、PSIアプリ203のPSIメソッド処理部により、まず、生成後の通信データを、データ送信用のaddDocumentByValueメソッドのパラメータとして設定する。その後、addDocumentByValueメソッドは、XML処理部、SOAP処理部、及びHTTP処理部などを介して、SOAPメッセージとして、画像処理装置10へ送信される。その結果、画像処理装置10からは、addDocumentByValueメソッドのSOAPメッセージに対しての応答メッセージが送信される。情報処理装置11における応答メッセージの解析は、PSIメソッド処理部により行われる。
【0076】
画像データ送信手段43では、上記分割データSDnの送信処理を、分割個数分の分割データSD〜SDn、つまり画像データの全てを画像処理装置10に送信するまで繰り返し行う。
【0077】
なお、上記画像データ送信手段43の説明では、分割データサイズ情報が通信データに含まれる場合を例に挙げたが、例えば情報処理装置11と画像処理装置10との間で行うデータ通信にHTTPを用いる場合、次のようなことが考えられる。
【0078】
メッセージのヘッダフィールドにおいて、HTTPメッセージボディの大きさ(データサイズ)を記述するためのContent−Lengthフィールドに送信データのサイズ情報が含まれる場合には、前述したように、分割データサイズ情報を通信データに含ませる必要がない。ただし、Content−Lengthは、ボディメッセージの大きさを表すため、送信順情報など、ボディメッセージに分割データSDn以外の付加情報が存在する場合には、付加情報のデータサイズも含まれてしまい、分割データSDnのデータサイズのみを示す値ではない。よって、分割データSDnの送信先である画像処理装置10で、正常に分割データSDnを受信したか否かの判定処理や、受信した分割データSDnを基にした画像データの復元処理において利用する場合には、分割データSDnの正確なサイズ情報が必要となる。
【0079】
そこで、画像データ送信手段43では、正確なサイズ情報を取得するために、分割データサイズ情報を通信データに含める方法を用いている。
【0080】
[画像処理装置]
次に、画像処理装置10が有する機能には、情報処理装置11からのSOAPメッセージを受信するメッセージ受信手段51と、情報処理装置11から送信されたSOAPメッセージへの応答を送信するレスポンス送信手段52と、情報処理装置11から送信された画像データを受信する画像データ受信手段53とがある。また、画像データ受信手段53により受信した画像データを格納する格納手段61と、格納手段61に格納された画像データに対して印刷処理を実行する画像処理手段71とを有している。
【0081】
画像データ受信手段53は、情報処理装置11から、印刷する画像データを分割した分割データSDnを受信することにより、画像データを複数回に分けて受信する。このとき、複数回に分けて受信した分割データSDnは、格納手段61により格納される。
【0082】
画像処理手段71は、メッセージ受信手段51により情報処理装置11から画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを受信した場合に、格納手段61に格納されている複数の分割データSDnを合成し、復元した画像データの印刷処理を実行する。
【0083】
(画像データ受信手段、レスポンス送信手段、及び格納手段)
画像処理装置10は、画像データ受信手段53により通信データを受信し、その受信結果を、応答メッセージとして送信する。また、このときの画像データの受信・応答処理は、PSIアプリ213と分割データ合成アプリ214それぞれの制御部により次のように制御される。
【0084】
画像データ受信手段53は、情報処理装置11から送信されたaddDocumentByValueメソッドのSOAPメッセージを、HTTP処理部、PSIアプリ213のSOAP処理部、及びXML処理部を介して受信する。受信したSOAPメッセージは、PSIメソッド処理部に渡され、PSIメソッド処理部が、addDocumentByValueメソッドに設定されたパラメータから、通信データを取り出す。取り出された通信データは、分割データ合成アプリ214に渡される。
【0085】
続いて、画像データ受信手段53は、受け取った通信データを、分割データ合成アプリ214の通信データ解析部により解析し、通信データに含まれる分割データSDn、分割データサイズ情報、及び送信順情報の各種情報を取り出す。また、取り出した分割データSDnの実際のデータサイズ値と、取り出した分割データサイズ情報の値とを比較し、互いの値が一致しているか否か判定する。
【0086】
画像データ受信手段53では、上記判定結果(「一致」/「不一致」)を、分割データ合成アプリ214からPSIアプリ213に渡す。
【0087】
なお、上記判定は、SOAPリクエストに分割データSDnが付加されている場合に行う処理である。
【0088】
レスポンス送信手段52は、PSIアプリ213のSOAP処理部により、判定結果を表す情報(結果情報:リザルトコード)を付加した応答メッセージを生成し、SOAPレスポンスとして情報処理装置11に送信(返信)する。つまり、上記判定結果が「不一致」の場合には、レスポンス送信手段52により、情報処理装置11へ再送信を要求することになる。
【0089】
また、画像データ受信手段53では、上記判定結果が「一致」の場合に、取り出した送信順番情報と分割データSDnとを格納手段61に渡す。その結果、格納手段61が、受け取った送信順番情報と分割データSDnとを、所定の記憶領域に格納する(一時保持する)。つまり、格納手段61は、HDD103などの記憶装置にあたる。
【0090】
画像データ受信手段53では、上記画像データの受信・応答処理を、分割個数分の分割データSD〜SDn、つまり画像データの全てを、画像処理装置10が受信するまで繰り返し行う。
【0091】
(メッセージ受信手段及び画像処理手段)
画像処理装置10は、メッセージ受信手段51により、情報処理装置11から印刷ジョブの要求完了通知を受信し、画像処理手段71により、一時保持しておいた分割データSDnと送信順情報とを基に印刷対象データDである画像データ(分割前の元データ)に復元する。その後、復元された画像データに対して印刷処理を行う。また、このときの印刷ジョブ要求完了通知の受信・画像データ復元処理は、PSIアプリ213と分割データ合成アプリ214それぞれの制御部により次のように制御される。
【0092】
メッセージ受信手段51は、情報処理装置11から印刷ジョブ完了通知のSOAPメッセージとしてcloseJobメソッドを、HTTP処理部、PSIアプリ213のSOAP処理部、及びXML処理部を介して受信すると、画像データの送信が終了し印刷ジョブが完了したものと判断して、その旨を分割データ合成アプリ214に通知する。
【0093】
また、メッセージ受信手段51では、SOAPリクエストに分割データSDnが付加されていない場合、画像データ受信手段53において前述した判定処理を行う。
【0094】
・印刷対象データの復元(分割データの連結・合成)
画像処理手段71は、分割データ合成アプリ214の分割データ合成部により、格納手段61により一時保持されている(HDD103などの記憶装置に格納されている)複数の分割データSDnと、各分割データSDnに対応する送信順情報とを全て読み出す。その結果、分割データ合成部が、読み出した各分割データSDnを、送信順情報の順番(1〜n)に従って連結し、合成する。このとき、画像処理手段71では、合成後の画像データ(復元データ)を、HDD103などの記憶装置に格納する。また、格納手段61には、各分割データSDnの消去が指示される。
【0095】
・印刷可能データの生成(データ変換)
次に、画像処理手段71は、レンダリングアプリ215のレンダリング処理部により、記憶装置に格納された合成後の画像データを読み出す。続いて、読み出した画像データに対応するアプリケーションを立ち上げ、印刷する画像形成装置12に対応するプリンタドライバを介して、印刷可能データPD(例えば「PDLデータ」)を生成する。つまり画像データを印刷可能データPDに変換する。
【0096】
画像処理手段71は、印刷制御アプリ216の印刷制御部により、印刷可能データPDを画像形成装置12に送信し、印刷処理を指示する(印刷処理を実行させる)。
【0097】
《機能動作》
以下に、上記各手段により実現される印刷制御の処理手順について説明する。なお、この印刷制御の中で、印刷対象データDの分割データSDnを、情報処理装置11から画像処理装置10へ送信するが、その分割データ送信に関する処理には、2通りの方法がある。具体的には、送信要求と分割データ送信とを同時に行う方法と、送信要求と分割データ送信とを別々に行う方法である。よって、以下の説明では、上記2つの方法に対応する各処理手順について順に説明する。
【0098】
(送信要求と分割データ送信とを同時に行う場合)
図5は、本発明の第1の実施形態に係るPSIを利用した印刷制御の処理手順の一例(その1)を示すシーケンス図である。
【0099】
図5に示すように、まず、クライアントPCである情報処理装置11は、プリントサーバである画像処理装置10へ印刷命令をユーザから受け付ける。このとき、情報処理装置11では、メッセージ送信手段41により、creatJobメソッドのSOAPメッセージを画像処理装置10へ送信する(ステップS101)。このとき、メッセージ送信手段41は、上記SOAPメッセージ(SOAPリクエスト)を送信することにより、印刷ジョブの生成を要求し、かつ、印刷先のプリンタである画像形成装置12に関するプリンタ情報、印刷条件情報、及び送信する印刷対象データDに関する情報(例えば文書データの場合には書誌情報)などを含む、印刷を行うための各種データを画像処理装置10へ送信する。
【0100】
画像処理装置10は、情報処理装置11からの各種データを受信し、印刷ジョブが生成可能であれば、その旨をレスポンス送信手段52により要求元の情報処理装置11へ応答する(ステップS102)。
【0101】
情報処理装置11は、レスポンス受信手段42により、画像処理装置10からの印刷ジョブ生成が可能である旨の応答(SOAPレスポンス)を受け付けると、画像データ送信手段43により、所定のデータサイズに分割された分割データSDnを含む通信データを、addDocumentByValueメソッドのSOAPメッセージとして画像処理装置10に送信する(ステップS103)。このとき、送信されるaddDocumentByValueメソッドには、分割データサイズ情報や送信順情報がDocumentDescriptionメンバーとして設定されている。DocumentDescriptionメンバーは、PSIで参照されるSemantic Model標準(PWG Candidate Standard 5105.1-2004)において、メンバー拡張が認められており、上記情報を付加することが可能である。
【0102】
図6は、本発明の第1の実施形態に係るaddDocumentByValueメソッドの拡張メンバーを含むデータ構成例を示す図である。図6に示すデータでは、DocumentOrderメンバーが、分割データSDnの送信順番を表し(図中の'5')、DocumentSizeメンバーが、分割データSDnのデータサイズを表す(図中の'12368')。データサイズを表すKoctetsパラメータがSemantic Model標準で決められているが、1024オクテット単位でしかデータサイズを表すことができないため、DocumentSizeメンバーを用いた方がよい。
【0103】
画像処理装置10は、画像データ受信手段53により、情報処理装置11からのaddDocumentByValueメソッドのSOAPメッセージ(SOAPリクエスト)を受信すると、SOAPメッセージを正常に受信できたか否かを、メッセージに含まれる分割データSDnのデータサイズ値と、分割データサイズ情報の値との比較結果を基に判定する。この判定結果は、レスポンス送信手段52により、SOAPレスポンスとして、情報処理装置11に応答される(ステップS104)。
【0104】
また、画像データ受信手段53は、addDocumentByValueメソッドのSOAPメッセージを受信すると、受信したSOAPメッセージから、メッセージ内の分割データSDn、分割データサイズ情報、及び送信順情報などを取り出す。取り出した分割データサイズ情報は、前述した比較判定に用いられ、また、取り出した分割データSDnと送信順情報とは、格納手段61により一時保持される。
【0105】
上記ステップS103とS104に示す情報処理装置11(画像データ送信手段43)と画像処理装置10(画像データ受信手段53)との間で行われる処理手順は、分割された画像データの全てが送信されるまで(全ての分割データSDnが送信されるまで)繰り返し行われる(ステップS105〜S108)。
【0106】
情報処理装置11は、画像データ送信手段43により、全ての分割データSDnを送信すると、メッセージ送信手段41により、closeJobメソッドのSOAPメッセージを画像処理装置10に送信する(ステップS109)。このとき、メッセージ送信手段41は、上記SOAPメッセージ(SOAPリクエスト)を送信することにより、印刷ジョブの完了を通知することとなる。
【0107】
画像処理装置10は、メッセージ受信手段51により、closeJobメソッドのSOAPメッセージを受信し、印刷ジョブの完了が通知されると、完了通知を受信した旨をレスポンス送信手段52により通知元の情報処理装置11に応答する(ステップS110)。
【0108】
また、画像処理装置10は、印刷ジョブ完了通知を受け取ると、画像処理手段71により、格納手段61が保持している各分割データSDnに対応した送信順情報の順番(1〜n)に従って、各分割データSDnを連結・合成し、印刷対象データDである画像データを復元する。(ステップS111)。
【0109】
さらに、画像処理装置10では、画像処理手段71により、合成後の画像データに対してレンダリング処理を行い、印刷する画像形成装置12の印刷可能データPDを生成する(ステップS112)。つまり、印刷対象データDを印刷可能データPDに変換する。
【0110】
画像処理装置10は、画像処理手段71により、印刷可能データPDを、画像形成装置12に送信し、画像形成装置12に印刷処理を指示する(ステップS113)。その結果、画像形成装置12は、受信した印刷可能データPDの印刷を実行する(ステップS114)。
【0111】
(送信要求と分割データ送信とを別々に行う場合)
図7は、本発明の第1の実施形態に係るPSIを利用した印刷制御の処理手順の一例(その2)を示すシーケンス図である。
【0112】
「送信要求と分割データ送信とを同時に行う場合」との処理手順の違いは、図7に示すステップS203からS212である。以下の説明では、この点についてのみ説明を行い、同様の点についての説明は省略する。
【0113】
情報処理装置11は、レスポンス受信手段42により、画像処理装置10からの印刷ジョブ生成が可能である旨の応答(SOAPレスポンス)を受け付けると、画像データ送信手段43により、所定のデータサイズに分割された複数の分割データSDnの格納先を示す情報(以下、「格納先情報」と言う。)を含む通信データを、addDocumentByPushメソッドのSOAPメッセージとして画像処理装置10に送信する(ステップS203)。このaddDocumentByPushメソッドは、前述したように、格納手段61における分割データSDnの格納先情報が含まれており、上記SOAPメッセージ(SOAPリクエスト)が送信されることで、分割データSDnへの参照先が画像処理装置10に通知されたこととなる。
【0114】
画像処理装置10は、メッセージ受信手段51により、情報処理装置11からのaddDocumentByPushメソッドのSOAPメッセージを受信すると、SOAPメッセージを正常に受信できたか否かを判定する。この判定結果は、レスポンス送信手段52により、SOAPレスポンスとして、情報処理装置11に応答される(ステップS204)。
【0115】
情報処理装置11は、レスポンス受信手段42により、画像処理装置10からのSOAPメッセージが正常に受信された旨の応答(SOAPレスポンス)を受け付けると、画像データ送信手段43により、所定のデータサイズに分割された分割データSDnを含む通信データを画像処理装置10に送信する(ステップS205)。このとき、画像データ送信手段43は、分割データSDnを送信するときの通信データに、分割データサイズ情報や送信順情報を付加して送信する。
【0116】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る分割データ送信時のデータ構成例を示す図である。図8に示すデータは、XML構造をしており、"<Document>"タグに囲まれたDocument要素には、送信する分割データSDnに関する各種情報が定義可能となっている。例えば、Number要素には、複数の印刷ジョブを送信する場合に対応した各印刷ジョブの識別情報(以下、「印刷ジョブ識別情報」と言う。)(図中の'2')、Order要素には、分割データSDnの送信順情報(図中の'5')、Size要素には、分割データSDnの分割データサイズ情報(図中の'12368')が定義可能である。また、Data要素には、分割データSDnが定義可能である(図中の分割データSDに示す埋め込みデータ)。
【0117】
画像処理装置10は、画像データ受信手段53により、情報処理装置11からの分割データSDnを含む通信データ(例えば図8に示すXMLデータ)を受信すると、通信データを正常に受信できたか否かを判定する。この判定結果は、レスポンス送信手段52により、SOAPレスポンスとして、情報処理装置11に応答される(ステップS206)。
【0118】
また、画像データ受信手段53は、分割データSDnを含む通信データを受信すると、受信した通信データから、データ内の分割データSDn、印刷ジョブ識別情報、分割データサイズ情報、及び送信順情報などを取り出す。取り出した各種情報は、格納手段61により一時保持される。
【0119】
上記ステップS205及びS206に示す情報処理装置11(画像データ送信手段43)と画像処理装置10(画像データ受信手段53)との間で行われる処理手順は、分割された画像データの全てが送信されるまで(全ての分割データSDnが送信されるまで)繰り返し行われる(ステップS207〜S210)。
【0120】
情報処理装置11は、画像データ送信手段43により、全ての分割データSDnを送信すると、メッセージ送信手段41により、pushDocumentDataDeliveredメソッドのSOAPメッセージを画像処理装置10に送信する(ステップS211)。このとき、メッセージ送信手段41は、上記SOAPメッセージ(SOAPリクエスト)が送信されることで、画像データの全てが送信された旨(分割データ送信終了)を通知することとなる。
【0121】
画像処理装置10は、メッセージ受信手段51により、pushDocumentDataDeliveredメソッドのSOAPメッセージを受信し、分割データSDnの送信終了が通知されると、終了通知を受信した旨をレスポンス送信手段52により通知元の情報処理装置11に応答する(ステップS212)。
【0122】
<まとめ>
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、本実施形態に係る印刷システムは、クライアントPCである情報処理装置11において、印刷対象データDを分割し、得られた分割データSDnを複数回に分けてプリントサーバである画像処理装置10に送信するとともに、その間のデータ処理を、SOAPに従ったメッセージ交換(リクエスト送信/レスポンス受信)により制御し、印刷対象データDの全てが送信された旨を画像処理装置10へ通知する。
【0123】
一方、画像処理装置10は、印刷対象データDを分割して得られた複数の分割データSDnを情報処理装置11から受信するとともに、その間のデータ処理を、SOAPに従ったメッセージ交換により制御し、印刷対象データDの全てが送信された旨の通知を受け付けると、受信時に保持しておいた複数の分割データSDnを基に印刷対象データDを復元し、復元したデータを基に生成した印刷可能データPDをプリンタである画像形成装置12へ送信し、印刷処理を指示する。
【0124】
これにより、本実施形態では、印刷システムにおいて、データサイズが大きい印刷対象データDを印刷するときの情報処理装置11から画像処理装置10へのデータ送信を、画像処理装置10が受信可能な範囲内のデータ量で行うことにより、受信エラーによる再送信の回数を軽減し、各機器間のデータ処理が効率よく行われる。その結果、通信処理にかかる負荷を軽減することができる。
【0125】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、予め設定しておいた所定のデータサイズ(一定の分割量)に分割された分割データ送信を行う場合の例を示した。そこで、本実施形態では、可変分割量に従って分割された分割データ送信を行う場合の例を示す。
【0126】
以下に、本実施形態について説明するが、本実施形態と第1の実施形態との違いは、前述したように、分割量を可変させる点のみであることから、それ以外の技術的事項については、第1の実施形態と同一図面及び同一符号を参照し説明を省略する。
【0127】
<PSIを利用した印刷制御>
では、本実施形態に係る情報処理装置11と画像処理装置10との各機器において実現される機能構成及びその連係動作について説明する。
【0128】
《機能構成》
本実施形態に係る情報処理装置11及び画像処理装置10それぞれが有する機能は、第1の実施形態と同様の構成である。ただし、画像データ送信手段43において以下の点で異なる。
【0129】
画像データ送信手段43は、レスポンス受信手段42により、画像処理装置10から分割データSDnを受信した旨を示すSOAPレスポンスを受け付けたか否かを判定し、判定結果(受信可否)に応じて、分割データSDnの分割データサイズを変更する。
【0130】
《機能動作》
以下に、本実施形態に係る各手段により実現される印刷制御の処理手順について説明する。なお、以下の説明では、分割データ送信に関する2通りの処理のうち、送信要求と分割データ送信とを同時に行う場合を例に説明する。
【0131】
(送信要求と分割データ送信とを同時に行う場合)
図9は、本発明の第2の実施形態に係るPSIを利用した印刷制御の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【0132】
図5に示す第1の実施形態に係る印刷制御との処理手順の違いは、図9に示すステップS303からS310である。以下の説明では、この点についてのみ説明を行い、同様の点についての説明は省略する。
【0133】
情報処理装置11は、レスポンス受信手段42により、画像処理装置10からの印刷ジョブ生成が可能である旨の応答(SOAPレスポンス)を受け付けると、画像データ送信手段43により、所定のデータサイズ(初期値)に分割された分割データSDn、分割データサイズ情報、及び送信順情報を含む通信データを、addDocumentByValueメソッドのSOAPメッセージとして画像処理装置10に送信する(ステップS303)。
【0134】
画像処理装置10は、画像データ受信手段53により、情報処理装置11からのaddDocumentByValueメソッドのSOAPメッセージ(SOAPリクエスト)を受信すると、SOAPメッセージを正常に受信できたか否かを、メッセージに含まれる分割データSDnのデータサイズ値と、分割データサイズ情報の値との比較結果を基に判定する。この判定結果は、レスポンス送信手段52により、SOAPレスポンスとして、情報処理装置11に応答される(ステップS304)。
【0135】
ステップS304の判定処理において、例えば、分割データSDnのデータサイズが大きいために、分割データSDnを正常に受信できなかったと判定された場合、レスポンス送信手段52により、正常に受信できなかった旨が情報処理装置11に応答される。
【0136】
このような場合、情報処理装置11は、レスポンス受信手段42により、画像処理装置10からの正常に受信できなかった旨の応答(SOAPレスポンス)を受け付ける。
【0137】
そのため、情報処理装置11は、画像データ送信手段43により、分割データサイズを所定量だけ小さくし、新たな分割データサイズに再分割された分割データSDnを含む通信データを、addDocumentByValueメソッドのSOAPメッセージとして画像処理装置10に送信する(ステップS305)。つまり、分割データサイズを調整し、調整後のサイズに分割された分割データSDnを再送する。
【0138】
画像処理装置10は、画像データ受信手段53により、情報処理装置11からのaddDocumentByValueメソッドのSOAPメッセージ(SOAPリクエスト)を受信すると、SOAPメッセージを正常に受信できたか否かの判定を再び行い、判定結果を、レスポンス送信手段52により、SOAPレスポンスとして、情報処理装置11に応答する(ステップS306)。
【0139】
ステップS306の判定処理において、例えば、分割データSDnのデータサイズが小さいために、分割データSDnを正常に受信できたと判定された場合、レスポンス送信手段52により、正常に受信できた旨が情報処理装置11に応答される。
【0140】
このような場合、情報処理装置11は、レスポンス受信手段42により、画像処理装置10からの正常に受信できた旨の応答(SOAPレスポンス)を受け付ける。
【0141】
そのため、情報処理装置11は、画像データ送信手段43により、分割データサイズを所定量だけ大きくし、新たな分割データサイズに再分割された分割データSDnを含む通信データを、addDocumentByValueメソッドのSOAPメッセージとして画像処理装置10に送信する(ステップS307)。
【0142】
画像処理装置10は、画像データ受信手段53により、情報処理装置11からのaddDocumentByValueメソッドのSOAPメッセージ(SOAPリクエスト)を受信すると、SOAPメッセージを正常に受信できたか否かの判定を再び行い、判定結果を、レスポンス送信手段52により、SOAPレスポンスとして、情報処理装置11に応答する(ステップS308)。
【0143】
このように、分割データSDnの送信先である画像処理装置10において、上記データサイズに起因する受信エラーの問題が発生し、分割データSDnが正常に受信されなかった場合には、その旨が通知された分割データSDnの送信元である情報処理装置11において、分割データSDnのデータサイズが小さくなるように分割データサイズを調整し、分割データSDnを再送する。その後、受信エラーの問題が解消され、分割データSDnが正常に受信された場合には、情報処理装置11において、送信効率を考慮し、分割データSDnのデータサイズが大きくなるように分割データサイズを再調整し、他の分割データSDnを送信する。
【0144】
すなわち、データ送信先の受信状態(受信可否)に応じて、送信する分割データSDnの分割データサイズを可変している。
【0145】
上記ステップS303からS308に示す情報処理装置11(画像データ送信手段43)と画像処理装置10(画像データ受信手段53)との間で行われる処理手順は、分割された画像データの全てが送信されるまで(全ての分割データSDnが送信されるまで)繰り返し行われる(ステップS309〜S310)。
【0146】
上記に説明を行った分割データサイズの可変処理は、画像データ受信手段53を実現する機能の1つである分割データ生成アプリ204により行われる。
【0147】
(分割データサイズの可変処理)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る分割データ送信時のデータサイズを可変させる処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図10には、情報処理装置11で動作する分割データ生成アプリ204による処理が示されている。
【0148】
まず、起動した分割データ生成アプリ204は、まず印刷対象データDである画像データの切り出しサイズ(分割データサイズ)などの初期値を、HDD103などの記憶装置から読み出す(ステップS11)。
【0149】
次に、読み出した値に基づき、画像データから分割データSDnを切り出し、画像データを分割する(ステップS12)。
【0150】
続いて、分割データSDnの送信を行う(ステップS13)。ここで、前述したように、画像処理装置10からの受信可否通知であるSOAPレスポンスを基に、分割データSDnの送信が成功したか否か(正常に行えたか否か)を判定(ステップS14)する。
【0151】
ステップS14において、成功(正常に行えた)と判定された場合(ステップS14がYESの場合)、さらに、画像データの全て(全ての分割データSDn)を送信し終えたか否かを判定する(ステップS15)。
【0152】
ステップS15において、全ての送信が終了していないと判定された場合(ステップS15がNOの場合)、切り出すデータサイズ量を大きくするために、分割データサイズの設定値を大きくする(ステップS16)。その後、ステップS12へ移行し、再分割及び再送信を行う。また、ステップS12からS16の処理手順を繰り返して、分割データサイズを調整し、一回のデータ送信量を多くして送信効率を向上させる。
【0153】
一方、ステップS15において、全ての送信が終了したと判定された場合(ステップS15がYESの場合)、分割データサイズの可変処理を終了する。
【0154】
また、ステップS14において、失敗(正常に行えなかった)と判定された場合(ステップS14がNOの場合)、分割データSDnの送信先である画像処理装置10に受信エラーとなる何らかの問題が発生しているとして、切り出すデータサイズ量を小さくするために、分割データサイズの設定値を小さくする(ステップS17)。その後、ステップS12へ移行し、再分割及び再送信を行う。また、ステップS12からS17(ただしステップS15及びS16を除く)の処理手順を繰り返して、分割データサイズを調整し、発生した問題が解決されるまでの間、受信エラーを回避するデータ送信量で分割データSDnを送信する。
【0155】
<まとめ>
以上のように、本発明の第2の実施形態によれば、本実施形態に係る印刷システムは、クライアントPCである情報処理装置11において、印刷対象データDを分割し、得られた分割データSDnを複数回に分けてプリントサーバである画像処理装置10に送信するとともに、その間のデータ処理を、SOAPに従ったメッセージ交換(リクエスト送信/レスポンス受信)により制御し、印刷対象データDの全てが送信された旨を画像処理装置10へ通知する。
【0156】
さらに、画像処理装置10に分割データSDnを送信するときに、分割データSDnを受信した旨を示すSOAPレスポンスを受け付けたか否かの判定結果(受信可否)に応じて、分割データSDnの分割データサイズ(分割量)を変更し、画像処理装置10に適切なデータサイズで印刷対象データDを分割する。
【0157】
一方、画像処理装置10は、印刷対象データDを分割して得られた複数の分割データSDnを情報処理装置11から受信するとともに、その間のデータ処理を、SOAPに従ったメッセージ交換により制御し、印刷対象データDの全てが送信された旨の通知を受け付けると、受信時に保持しておいた複数の分割データSDnを基に印刷対象データDを復元し、復元したデータを基に生成した印刷可能データPDをプリンタである画像形成装置12へ送信し、印刷処理を指示する。
【0158】
これにより、本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらには、画像処理装置10の利用状況により受信可能なデータ量が変化する場合であっても、その変化に応じた適切なデータ量の通信データにより送信処理を行うことができる。
【0159】
[第3の実施形態]
印刷対象データDの中には、機密文書などもあり、情報処理装置11から画像処理装置10へデータ送信を行う場合、不正アクセスによる情報漏洩やデータ改竄などを防ぐ必要がある。
【0160】
上記各実施形態に係る印刷システムでは、印刷対象データDを所定のデータサイズに分割して得た複数の分割データSDnを、情報処理装置11から画像処理装置10へ送信する構成となっている。印刷対象データDが分割されていることから、多少の機密性は保たれているが、通信データに含まれる送信順情報が分かれば、複数の分割データSDnから印刷対象データDを復元できてしまう。
【0161】
通信データの機密性を保つため有効な方法には、暗号化処理を行う方法が考えられるが、通信データそのものを暗号化処理した場合、通信データのデータサイズに比例して暗号化・復号にかかる処理時間も長くなる。そのため、印刷制御にかかる処理時間も長くなることになり、結果、印刷システムの使用感に悪影響を及ぼすことになる。
【0162】
そこで、本実施形態では、暗号化処理が及ぼす印刷制御にかかる処理時間への影響を軽減し、かつ機密性の高い分割データ送信を行う構成について説明する。
【0163】
以下に、本実施形態について説明するが、本実施形態と上記各実施形態との違いは、送信時のデータを暗号化する点のみであることから、それ以外の技術的事項については、上記各実施形態と同じ図面と符号を参照し説明を省略する。
【0164】
<ソフトウェア構成>
本実施形態では、以下の点で上記各実施形態に係る情報処理装置11及び画像処理装置10のソフトウェア構成と異なる。
【0165】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置11及び画像処理装置10のソフトウェア構成例を示す図である。なお、図中の(A)に情報処理装置11、また(B)に画像処理装置10のソフトウェア構成が示されている。
【0166】
図11に示すように、情報処理装置11で動作するアプリケーション202及び画像処理装置10で動作するアプリケーション212には、それぞれ暗号アプリ205及び217が含まれている。
【0167】
情報処理装置11で動作する暗号アプリ205は、分割データSDnの送信順情報を暗号化する暗号化処理部を有しており、一方、画像処理装置10で動作する暗号アプリ217は、暗号化された分割データSDnの送信順情報を復号する復号処理部を有している。
【0168】
<PSIを利用した印刷制御>
では、本実施形態に係る情報処理装置11と画像処理装置10との各機器において実現される機能構成及びその連係動作について説明する。
【0169】
《機能構成》
本実施形態に係る情報処理装置11及び画像処理装置10それぞれが有する機能は、上記各実施形態と同様の構成である。ただし、以下の点で異なる。
【0170】
(情報処理装置で動作する暗号アプリによる機能)
分割データSDn、分割データサイズ情報、及び送信順情報を含む通信データ(例えばSOAPメッセージやXMLデータなど)は、情報処理装置11が有する画像データ送信手段43により生成される。このことから、送信順情報の暗号化処理は、画像データ送信手段43が暗号アプリ205の暗号化処理部により行う。
【0171】
画像データ送信手段43は、分割データ生成アプリ204から得られた送信順情報を、暗号化処理部により暗号化し、分割データ生成アプリ204の通信データ作成部へと渡す。
【0172】
これにより、情報処理装置11は、暗号化された送信順情報を含む通信データを、画像処理装置10へ送信することができる。
【0173】
(画像処理装置で動作する暗号アプリによる機能)
一方、情報処理装置11から送信された通信データは、画像処理装置10が有する画像データ受信手段53により受信される。このことから、暗号化された送信順情報の復号処理は、画像データ受信手段53が暗号アプリ217の復号処理部により行う。
【0174】
画像データ受信手段53は、分割データ合成アプリ214の通信データ解析部により取り出された(受信した通信データから得られた)送信順情報を、復号処理部により復号し、分割データ合成アプリ214の分割データ合成部へと渡す。
【0175】
これにより、画像処理装置10は、復号し取り出された送信順情報に基づき、分割データSDnの結合・合成を行い、印刷対象データDである画像データの復元を行うことができる。
【0176】
(暗号化されたデータの具体例)
図12は、本発明の第3の実施形態に係るaddDocumentByValueメソッドの拡張メンバーを含むデータ構成例を示す図である。図12には、画像データ送信手段43が、図6に示した分割データSDnの送信順情報であるDocumentOrderメンバーの値'5'を暗号化した場合のデータ構成例が示されている。
【0177】
図13は、本発明の第3の実施形態に係る分割データ送信時のデータ構成例を示す図である。図13には、画像データ送信手段43が、図8に示した分割データSDnの送信順情報であるOrder要素の値'5'を暗号化した場合のデータ構成例が示されている。
【0178】
送信順情報は、数値やコードと言ったデータであり、比較的情報量が少ない。また、送信順情報が読み取れなければ、分割データSDnから印刷対象データDを復元することはできない。
【0179】
このことから、本実施形態では、暗号化する情報を、分割されたデータを復元するときに用いる情報のみと限定し、暗号化処理が及ぼす印刷制御にかかる処理時間への影響を軽減するとともに、機密性の高い通信データにより分割データ送信を行う。
【0180】
<まとめ>
以上のように、本発明の第3の実施形態によれば、本実施形態に係る印刷システムは、クライアントPCである情報処理装置11において、印刷対象データDを分割し、得られた分割データSDnを複数回に分けてプリントサーバである画像処理装置10に送信するとともに、その間のデータ処理を、SOAPに従ったメッセージ交換(リクエスト送信/レスポンス受信)により制御し、印刷対象データDの全てが送信された旨を画像処理装置10へ通知する。
【0181】
さらに、画像処理装置10に送信する分割データSDnは、分割データSDnを基に元データに復元するときに用いる送信順情報を暗号化し、データ送信時に不正に取得されても復元が不可能な通信データとしている。
【0182】
一方、画像処理装置10は、印刷対象データDを分割して得られた複数の分割データSDnを情報処理装置11から受信するとともに、その間のデータ処理を、SOAPに従ったメッセージ交換により制御し、印刷対象データDの全てが送信された旨の通知を受け付けると、受信時に保持しておいた複数の分割データSDnを基に印刷対象データDを復元し、復元したデータを基に生成した印刷可能データPDをプリンタである画像形成装置12へ送信し、印刷処理を指示する。
【0183】
さらに、印刷対象データDを復元するときには、暗号化された送信順情報を復号し、得られた送信順番に従って分割データSDnを合成し、元データを復元する。
【0184】
これにより、本実施形態では、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。さらには、データ送信時の機密性を向上させることができる。
【0185】
ここまで、上記各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記各実施形態に係るPSIを利用した印刷制御に関する処理は、図を用いて説明を行った各処理手順を、各機器の動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムをコンピュータで実行することで実現することができる。よって、上記各実施形態に係るプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体107に格納することができる。
【0186】
よって、上記プログラムは、記録媒体107に記憶させることによって、これらの記録媒体107を読み取り可能な外部記録装置106を介して、各機器にインストールすることができる。また、各機器には、ネットワークなどのデータ伝送路に接続可能なインタフェース装置102が備わることから、インターネットなどの電気通信回線を用いてプログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0187】
最後に、上記各実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置及び画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置及び画像処理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置及び画像処理装置が有する機能構成例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るPSIを利用した印刷制御の処理手順の一例(その1)を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るaddDocumentByValueメソッドの拡張メンバーを含むデータ構成例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るPSIを利用した印刷制御の処理手順の一例(その2)を示すシーケンス図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る分割データ送信時のデータ構成例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るPSIを利用した印刷制御の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る分割データ送信時のデータサイズを可変させる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置及び画像処理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るaddDocumentByValueメソッドの拡張メンバーを含むデータ構成例を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る分割データ送信時のデータ構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0189】
10 画像処理装置(プリントサーバ)
11 情報処理装置(クライアントPC)
12 画像形成装置(プリンタ)
31,32 PSIWebサービス
41 メッセージ送信手段
42 レスポンス受信手段
43 画像データ送信手段
51 メッセージ受信手段
52 レスポンス送信手段
53 画像データ受信手段
61 格納手段
71 画像処理手段
101 CPU
102 インタフェース装置
103 HDD
104 入力装置
105 表示装置
106 外部記録装置
107 記録媒体
108 ROM
109 RAM
201,211 OS
202,212 アプリケーション
203,213 PSIアプリ
204 分割データ生成アプリ
205,217 暗号アプリ
214 分割データ合成アプリ
215 レンダリングアプリ
216 印刷制御アプリ
D 印刷対象データ
SD 分割データ
PD 印刷可能データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SOAPメッセージを用いて画像データの印刷を画像処理装置に要求する情報処理装置であって、
画像データを前記画像処理装置に送信する画像データ送信手段と、
送信された前記画像データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを前記画像処理装置から受信するレスポンス受信手段と、
前記SOAPレスポンスを受信した場合に、前記画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを前記画像処理装置に送信するメッセージ送信手段と、
を備え、
前記画像データ送信手段は、
印刷すべき画像データを分割した分割データを送信することにより、前記画像データを複数回に分けて送信し、
前記メッセージ送信手段は、
送信された前記分割データ夫々に対する前記SOAPレスポンスを全て受信した場合に、前記SOAPメッセージを送信することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記画像データ送信手段は、
前記レスポンス受信手段により、第1の分割データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを受信したときに、第2の分割データを送信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画像データ送信手段は、
前記レスポンス受信手段による、第1の分割データを受信した旨を示すSOAPレスポンスの受信可否に応じて、他の分割データのデータサイズを変更することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
SOAPメッセージを用いた画像データの印刷要求を情報処理装置から受け付ける画像処理装置であって、
前記情報処理装置から画像データを受信する画像データ受信手段と、
受信された前記画像データを格納する格納手段と、
前記画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを前記情報処理装置から受信するメッセージ受信手段と、
前記画像データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを前記情報処理装置に送信するレスポンス送信手段と、
前記格納手段に格納されている画像データの印刷処理を実行する画像処理手段と、
を備え、
前記画像データ受信手段は、
前記情報処理装置から、印刷する画像データを分割した分割データを受信することにより、前記画像データを複数回に分けて受信し、
前記格納手段は、複数回に分けて受信した分割データを前記画像データとして格納し、
前記画像処理手段は、
前記メッセージ受信手段により、前記情報処理装置から画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを受信した場合に、前記格納手段に格納されている複数の分割データを合成し、合成して得た画像データの印刷処理を実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
SOAPメッセージを用いて画像データの印刷を画像処理装置に要求する情報処理装置における印刷制御方法であって、
画像データを前記画像処理装置に送信する画像データ送信手順と、
前記画像データ送信手順により送信された前記画像データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを前記画像処理装置から受信するレスポンス受信手順と、
前記レスポンス受信手順により前記SOAPレスポンスを受信した場合に、前記画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを前記画像処理装置に送信するメッセージ送信手順と、
を有し、
前記画像データ送信手順は、
印刷すべき画像データを分割した分割データを送信することにより、前記画像データを複数回に分けて送信し、
前記メッセージ送信手順は、
送信された前記分割データ夫々に対する前記SOAPレスポンスを全て受信した場合に、前記SOAPメッセージを送信することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項6】
前記画像データ送信手順は、
前記レスポンス受信手順により、第1の分割データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを受信したときに、第2の分割データを送信することを特徴とする請求項5に記載の印刷制御方法。
【請求項7】
前記画像データ送信手順は、
前記レスポンス受信手順による、第1の分割データを受信した旨を示すSOAPレスポンスの受信可否に応じて、他の分割データのデータサイズを変更することを特徴とする請求項5または6に記載の印刷制御方法。
【請求項8】
SOAPメッセージを用いた画像データの印刷要求を情報処理装置から受け付ける画像処理装置における印刷制御方法であって、
前記情報処理装置から画像データを受信する画像データ受信手順と、
前記画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを前記情報処理装置から受信するメッセージ受信手順と、
前記画像データ受信手順により前記画像データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを前記情報処理装置に送信するレスポンス送信手順と、
前記情報処理装置から受信した前記画像データを格納する格納手段の画像データの印刷処理を実行する画像処理手順と、
を有し、
前記画像データ受信手順は、
前記情報処理装置から、印刷する画像データを分割した分割データを受信することにより、前記画像データを複数回に分けて受信し、
前記画像処理手順は、
前記メッセージ受信手順により、前記外部装置から画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを受信した場合に、前記格納手段に格納されている複数回に分けて受信した分割データを合成し、合成した画像データの印刷処理を実行することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項9】
SOAPメッセージを用いて画像データの印刷を画像処理装置に要求する情報処理装置における印刷制御プログラムであって、
印刷すべき画像データを分割した分割データを前記画像処理装置に送信することにより、前記画像データを複数回に分けて送信する画像データ送信手順と、
前記画像データ送信手順により送信された前記画像データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを前記画像処理装置から受信するレスポンス受信手順と、
前記レスポンス受信手順により、送信された前記分割データ夫々に対する前記SOAPレスポンスを全て受信した場合に、前記画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを前記画像処理装置に送信するメッセージ送信手順と、をコンピュータに実行させる印刷制御プログラム。
【請求項10】
SOAPメッセージを用いた画像データの印刷要求を情報処理装置から受け付ける画像処理装置における印刷制御プログラムであって、
前記情報処理装置から、印刷する画像データを分割した分割データを受信することにより、前記画像データを複数回に分けて受信する画像データ受信手順と、
前記画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを前記情報処理装置から受信するメッセージ受信手順と、
前記画像データ受信手順により前記画像データを受信した旨を示すSOAPレスポンスを前記情報処理装置に送信するレスポンス送信手順と、
前記メッセージ受信手順により、前記情報処理装置から画像データの送信が完了した旨を示すSOAPメッセージを受信した場合に、前記情報処理装置から複数回に分けて受信した前記分割データを前記画像データとして格納する格納手段の複数の分割データを合成し、合成して得た画像データの印刷処理を実行する画像処理手順と、をコンピュータに実行させる印刷制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−128596(P2010−128596A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299962(P2008−299962)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】