説明

情報処理装置および情報伝送方法

【課題】 別個の筐体からなる複数のユニットを含む情報処理装置において、複数のユニット間でのデータ通信を適切に行うこと。
【解決手段】 携帯電話1は、操作ユニット2と表示ユニット3との間でデータが送受信される場合、そのデータに対してBCH符号化を行い、生成したデータ列において、情報ビットの部分を無線通信で送信し、情報ビットの部分を有線通信で送信する。したがって、本発明によれば、別個の筐体からなる複数のユニットを含む情報処理装置において、複数のユニット間でのデータ通信を適切に行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、別個の筐体からなるユニットが複数接続されて一体の装置が構成された情報処理装置およびその情報伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯情報端末において、操作性や携帯性の向上等の要求から、別個の筐体からなる複数のユニットで装置を構成し、それらのユニットが多様な接続形態で接続されるようになりつつある。
例えば、携帯電話の場合、操作ボタンを備えるユニットと、液晶表示画面やデジタルカメラの撮像装置を備えるユニットとを別個の筐体として構成し、それらをリボルバー形式(対向する両ユニットを対向面に直交する軸で接続し、両ユニットが、その軸の周りに回転可能な接続形式)で接続したり、回転2軸ヒンジ形式(両ユニットを異なる2軸のヒンジを介して接続し、それぞれの軸の周りに回転可能な形式)で接続したりしたものが知られている。
【0003】
このような携帯情報端末においては、両ユニットの接続部分が複雑に動作することから、従来のフレキシブル基板による接続等では不具合が多く、両ユニットの電気回路間を如何に接続してデータ通信を行うかが問題となる。
このような問題に対する解決策として、両ユニットの電気回路間を有線通信で接続するのではなく、無線通信で接続することが考えられている。
【0004】
なお、携帯電話の分離可能なユニット間を無線通信によって接続する技術に関しては、例えば特開2004−120056号公報に開示されている。
【特許文献1】特開2004−120056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように、複数のユニット間において無線によるデータ通信を行った場合、ノイズに起因する伝送効率の低下が発生したり、通信速度を高める必要から回路を高周波化する必要が生じたり使用帯域幅が広がったりするといった問題が生ずることとなる。
即ち、上述のような複数のユニットを含む携帯情報端末において、複数のユニット間でのデータ通信を適切に行うことは困難であった。
なお、このような問題は、別個の筐体からなる複数のユニットを備えた情報処理装置において共通する問題である。
本発明の課題は、別個の筐体からなる複数のユニットを含む情報処理装置において、複数のユニット間でのデータ通信を適切に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明は、
装置の部分を構成する複数のユニットが接続されて1つの装置が構成される情報処理装置であって、送信側となる前記ユニット(例えば、図1の操作ユニット2)が、前記ユニット間において有線通信によりデータを送信するための有線通信手段(例えば、図2の有線送信機17d)と、前記ユニット間において無線通信によりデータを送信するための無線通信手段(例えば、図2の無線送信機17b)とを備え、受信側となる前記ユニットが、前記有線通信手段によって伝送されたデータと、前記無線通信手段によって伝送されたデータとを受信して合成するデータ合成手段(例えば、図2の無線受信機18a、有線受信機18bおよびビット合成部18d)を備えることを特徴としている。
【0007】
このような構成により、送信側となるユニットから受信側となるユニットに有線および無線でデータを送信し、受信側となるユニットにおいて、有線および無線によって送信されたデータを合成して使用することが可能となる。
したがって、ノイズの影響を受け難いと共に、有線および無線通信それぞれの通信速度を比較的低速なものとすることができることから、回路を高周波化する必要がなく、また、使用帯域幅を狭めることが可能となる。
【0008】
即ち、複数のユニットを含む情報処理装置において、複数のユニット間でのデータ通信を適切に行うことが可能となる。
また、前記送信側のユニットは、前記受信側のユニットに送信するデータの一部である第1のデータ列を前記有線通信手段によって送信し、残りの部分である第2のデータ列を前記無線通信手段によって送信することを特徴としている。
【0009】
このような構成により、ユニット間において、例えば1組の冗長ビットと情報ビット等、一定のまとまりのあるデータを並行して送信することができるため、処理を高速化することが可能となる。
また、前記送信側のユニットは、前記受信側のユニットに送信するデータを、該データの意義的な構成(例えば、“冗長ビット”と“情報ビット”等)に基づいて区分し、区分した一方のデータ列を前記有線通信手段によって送信し、他方のデータ列を前記無線通信手段によって送信することを特徴としている。
【0010】
このような構成により、送信側のユニットは、通信データとして区分し易いデータ列に分割して送信することができ、受信側のユニットにおいても、データの合成を容易に行うことが可能となる。
また、前記送信側のユニットは、前記受信側のユニットに送信するデータを冗長ビット部分(例えば、誤り訂正や誤り検出のために挿入されたデータ列)と情報ビット部分とに区分し、該冗長ビットおよび情報ビットの一方を前記有線通信手段によって送信し、他方を前記無線通信手段によって送信することを特徴としている。
【0011】
このような構成により、送信側のユニットは、データの送信にあたって生成される冗長ビットと、それに対応する情報ビットとを異なる系統の回路で効率的に処理できる。また、情報ビットと冗長ビットは単純に分離できるため、受信側のユニットにおいて、データの合成を容易に行うことが可能となる。
また、前記送信側のユニットは、前記受信側のユニットに送信するデータを所定の基準に基づいて区分し、区分したデータ列のうち、情報量の多い方のデータ列を前記無線通信手段によって送信し、情報量の少ない方のデータ列を前記有線通信手段によって送信することを特徴としている。
【0012】
このような構成により、ユニット間において、有線通信および無線通信の特性に適合したデータを送受信することが可能となる。
また、前記無線通信手段は、UWBに基づく通信を行うことを特徴としている。
このような構成により、高速、低消費電力かつ干渉の少ない通信を行うことができ、特に、携帯電話等、他の通信を行う機器に適したユニット間の通信を行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明は、
装置の部分を構成する複数のユニットが接続されて1つの装置が構成される情報処理装置における情報伝送方法であって、送信側となる前記ユニットから受信側となる前記ユニットに有線通信によりデータを送信する有線通信ステップと、送信側となる前記ユニットから受信側となる前記ユニットに無線通信によりデータを送信する無線通信ステップと、
受信側となる前記ユニットにおいて、前記有線通信ステップによって伝送されたデータと、前記無線通信ステップによって伝送されたデータとを受信して合成するデータ合成ステップとを含むことを特徴としている。
このように、本発明によれば、別個の筐体からなる複数のユニットを含む情報処理装置において、複数のユニット間でのデータ通信を適切に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、本発明を適用した携帯電話1の外観構成を示す図であり、図1(a)は使用状態の一例、図1(b)は収納状態を示す図である。
図1において、携帯電話1は、操作ユニット2と、表示ユニット3と、回転2軸ヒンジ部4と、アンテナ5とを含んで構成される。
【0015】
操作ユニット2は、その外観において、使用者が携帯電話1に対する指示入力を行う各種ボタンを含む指示入力部11を備えている。また、操作ユニット2は、その筐体内部に、後述する音声入出力のためのマイクやスピーカを含む音声入出力部12、CPU(Central Processing Unit)13、携帯電話通信部14、RAM(Random Access Memory)15、記憶部16、ユニット間データ送信部17を備えている。
【0016】
表示ユニット3は、その外観において、メニュー画面やメールの内容表示等を行うメインディスプレイ20、メインディスプレイ20の補完的な役割を担い、時刻や電池残量あるいは着信の有無等を表示するサブディスプレイ21を備えている。また、表示ユニット3は、その筐体内部に、後述するユニット間データ受信部18、ディスプレイコントローラ19を備えている。
【0017】
回転2軸ヒンジ部4は、操作ユニット2の一端(図1における左側短辺部分)に備えられ、操作ユニット2の幅方向に渡る軸を中心に回転する第1のヒンジと、第1のヒンジにおいて軸の周りに回転する部材に備えられ、第1のヒンジにおける軸と直交する軸を中心に回転する第2のヒンジとを含んでおり、第2のヒンジにおいて軸の周りに回転する部材と表示ユニット3とが固着されている。
【0018】
回転2軸ヒンジ部4がこのような構成であることにより、操作ユニット2に対して、表示ユニット3が雲台のように複雑な動きをすることが可能となる。
また、回転2軸ヒンジ部4の内部には、操作ユニット2に収納されているバッテリ(不図示)からの電源を表示ユニット3に伝達する給電ラインと、操作ユニット2と表示ユニット3との間で有線通信を行うための有線信号線とが配設されている。
アンテナ5は、操作ユニット2に収容された状態と、そこから引き出された状態とに伸縮可能なアンテナであり、携帯電話システムの基地局と通信を行うためのアンテナである。
【0019】
次に、携帯電話1の機能構成について説明する。
図2は、携帯電話1の機能構成を示すブロック図である。
なお、図2においては、本発明の説明に必要となる部分を中心に図示し、他の部分は簡略化している。
図2において、携帯電話1は、指示入力部11と、音声入出力部12と、CPU13と、携帯電話通信部14と、RAM15と、記憶部16と、ユニット間データ送信部17と、ユニット間データ受信部18と、ディスプレイコントローラ19と、メインディスプレイ20と、サブディスプレイ21とを含んで構成される。
【0020】
指示入力部11は、文字キーやカーソルの移動ボタン等、携帯電話1に対する指示入力を行う各種ボタンを含んで構成され、各種ボタンの押下信号がCPU13に入力される。
音声入出力部12は、携帯電話1において通話が行われる際に、受話音を発するスピーカ(不図示)と、送話者の声を電気信号に変換するマイク(不図示)とを含んで構成される。
【0021】
CPU13は、携帯電話1全体を制御するものであり、指示入力部11によって入力された各種の指示信号に従って、記憶部16に記憶された各種処理に関するプログラムを読み出して実行する。例えば、CPU13は、携帯電話1の電源が投入されると、記憶部16に記憶された携帯電話1の制御プログラムを読み出して、携帯電話1に備えられた各種機能を実現するための処理を実行する。
【0022】
そして、CPU13は、各種処理結果をRAM15や記憶部16の所定の領域に格納したり、携帯電話通信部14あるいはユニット間データ送信部17に出力したりする。
携帯電話通信部14は、アンテナ5を介して基地局から受信した信号を携帯電話システムの変調方式に応じて復調し、復調信号をCPU13に出力する。また、携帯電話通信部14は、CPU13から入力された送話者の音声を示す電気信号を携帯電話システムの変調方式に応じて変調し、変調信号をアンテナ5を介して基地局に送信する。
【0023】
RAM15は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリによって構成され、CPU13により実行される各種処理において生成された各種データを一時的に格納する。
記憶部16は、フラッシュROM等の不揮発性の記憶装置によって構成され、携帯電話1の制御プログラムや種々のアプリケーションプログラムあるいはデータファイルといったデータを記憶している。
【0024】
ユニット間データ送信部17は、バッファ17aと、無線送信機17bと、符号化器17cと、有線送信機17dとをさらに含んで構成される。
バッファ17aは、CPU13によってユニット間データ送信部17に入力されたデータ(以下、「オリジナルデータ」と言う。)を一時的に保持し、後述する符号化器17cが冗長ビットを出力するタイミングに合わせて、保持しているオリジナルデータを所定ビット(ここでは21ビット)ずつのデータ(情報ビット)として無線送信機17bに出力する。
【0025】
無線送信機17bは、バッファ17aから入力された情報ビットを、所定の無線通信方式(例えばUWB(Ultra Wide Band)等)に基づく変調信号に変換して送信する。
符号化器17cは、ユニット間データ送信部17に入力されたデータ(情報ビット)に対して、BCH(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem code)符号化に基づく冗長ビットを生成し、有線送信機17dに出力する。
【0026】
図3は、情報ビットがBCH符号化された状態のデータ列を示す図である。
ただし、ここではBCH(31,21)に基づく冗長ビットが生成されるものとする。
図3においては、21ビットの情報ビット(i〜i20)に対し、その情報ビットを基にBCH符号化によって生成された10ビットの冗長ビット(b〜b)が付加されている。
【0027】
符号化器17cは、図3に示すデータ列のうち、冗長ビットである10ビットを分離して有線送信機17dに出力する。
なお、ここで用いる符号化方式としては、BCH符号化以外の方式を用いることも可能であり、例えばCRC(Cyclic redundancy Check code)等を用いても良い。
有線送信機17dは、符号化器17cから入力された冗長ビットを、操作ユニット2と表示ユニット3とを接続する有線信号線を介して表示ユニット3に送信する。
【0028】
また、ユニット間データ受信部18は、無線受信機18aと、有線受信機18bと、バッファ18cと、ビット合成部18d、復号化器18eとをさらに含んで構成される。
無線受信機18aは、無線送信機17bから送信された変調信号を受信し、所定の無線通信方式に基づく復調処理を行う。そして、無線受信機18aは、復調処理によって取得されたデータ(情報ビット)をビット合成部18dに出力する。
【0029】
有線受信機18bは、有線信号線を介して有線送信機17dから送信された冗長ビットを受信し、バッファ18cに出力する。
バッファ18cは、有線受信機18bから入力された冗長ビットを一時的に保持し、無線受信機18aがビット合成部18dに情報ビットを出力するタイミングに合わせて、保持しているデータ(冗長ビット)をビット合成部18dに出力する。
【0030】
ビット合成部18dは、無線受信機18aから入力された情報ビットと、バッファ18cから入力された冗長ビットを合成し、BCH符号化に基づくデータ列(図3参照)に再構成する。そして、ビット合成部18dは、再構成したデータ列をユニット間データ受信部18の出力として復号化器18eに出力する。
復号化器18eは、ビット合成部18dから入力されたデータ列をBCH復号し、オリジナルデータを生成する。そして、復号化器18eは、BCH復号により得られたオリジナルデータをディスプレイコントローラ19に出力する。
【0031】
ディスプレイコントローラ19は、復号化器18eによって入力されたオリジナルデータ、即ち、CPU13によって出力された命令あるいは表示データに基づいて、メインディスプレイ20あるいはサブディスプレイ21に表示させるラスタデータを生成し、それぞれのディスプレイに出力する。
メインディスプレイ20は、ディスプレイコントローラ19によって入力されたラスタデータに基づいて、メニュー画面やメールの内容等、所定の画像を表示する。
【0032】
サブディスプレイ21は、ディスプレイコントローラ19によって入力されたラスタデータに基づいて、時刻や電池残量あるいは着信の有無といった内容の画像を表示する。
なお、ここでは表示ユニット3に備えられる機能部がディスプレイコントローラ19、メインディスプレイ20およびサブディスプレイ21である場合を例に挙げて説明したが、メモリカードコントローラ等、一般の携帯電話に備えられる他の各種機能部を備えることとしても良い。
【0033】
次に、動作を説明する。
本実施の形態における携帯電話1は、上述の構成の下、操作ユニット2と表示ユニット3との間でデータが送受信される場合、そのデータに対してBCH符号化を行い、生成したデータ列において、情報ビットの部分を無線通信で送信し、情報ビットの部分を有線通信で送信する。
したがって、回転2軸ヒンジ部4のように複雑な接続形態で接続されているユニット間において、無線通信のみによってデータの送受信を行う場合に比べ、無線通信に関わる通信回路をより低周波のものとすることができると共に、使用帯域幅を狭めることができる。また、有線通信に関わる部分については、ほぼノイズの影響を考慮する必要がないため、情報の伝送効率を高めることができる。
【0034】
以下、CPU12がメインディスプレイ20に画像を表示させる場合を想定し、この場合における携帯電話1の具体的動作例を説明する。
図2において、CPU13が、RAM15に記憶された所定データをメインディスプレイ20に表示させるための処理を実行すると、CPU13によって、RAM15に記憶された表示データおよびそれを表示させる命令を示すオリジナルデータがユニット間データ送信部17に入力される。
【0035】
すると、ユニット間データ送信部17において、オリジナルデータがバッファ17aおよび符号化器17cに入力される。
そして、符号化器17cがオリジナルデータにおける21ビットずつの情報ビットを対象としてBCH符号化を行い、それによって生成した10ビットの冗長ビットを有線送信機17dに出力する。また、この出力のタイミングに合わせて、バッファ17aが無線送信機17bに情報ビットを出力する。
【0036】
続いて、無線送信機17bが情報ビットを無線通信によって表示ユニット3に送信し、有線送信機17dが冗長ビットを有線通信によって表示ユニット3に送信する。
すると、表示ユニット3においては、無線受信機18aが情報ビットを受信し、有線受信機18bが冗長ビットを受信する。
そして、有線受信機18bからバッファ18cに冗長ビットが出力され、無線受信機18aからビット合成部18dに情報ビットが出力されるタイミングに合わせて、バッファ18cからビット合成部18dに冗長ビットが出力される。
【0037】
ビット合成部18dは、これら情報ビットおよび冗長ビットを合成してBCH符号化されたデータ列(図3参照)を生成し、復号化器18eに出力する。
そして、復号化器18eがBCH復号を行うことによってオリジナルデータを生成し、生成したオリジナルデータをディスプレイコントローラ19に出力する。
すると、ディスプレイコントローラ19が、オリジナルデータに含まれる表示データおよび表示命令に基づいて、所定の文字あるいは画像を示すラスタデータを生成し、そのラスタデータをメインディスプレイ20に出力する。
【0038】
その後、メインディスプレイ20が、ディスプレイコントローラ19から入力されたラスタデータを描画することにより、CPU13の命令による画像が表示される。
以上のように、本実施の形態に係る携帯電話1は、操作ユニット2と表示ユニット3との間でデータが送受信される場合、そのデータに対してBCH符号化を行い、生成したデータ列において、情報ビットの部分を無線通信で送信し、情報ビットの部分を有線通信で送信する。
【0039】
したがって、回転2軸ヒンジ部4のように複雑な接続形態で接続されているユニット間において、無線通信のみによってデータの送受信を行う場合に比べ、無線通信に関わる通信回路をより低周波のものとすることができると共に、使用帯域幅を狭めることができる。
また、有線通信に関わる通信回路についても、通信速度を比較的低いものとすることができるため、有線通信路の伝送特性を高くする必要がなくなり、製造コストを低下させることが可能となる。
さらに、有線通信に関わる部分については、ほぼノイズの影響を考慮する必要がないため、情報の伝送効率を高めることができる。
【0040】
図4は、本発明の場合におけるユニット間通信のビット誤り率とCN(Carrier to Noise ratio)との関係を示す図であり、誤り訂正前の場合および無線通信単独の場合を比較例として併せて示している。
図4によれば、無線通信のみを用いてBCH(31,21)符号化データ列を送信した場合に比べ、本発明の場合の方がよりビット誤り率が低下していることがわかる。
【0041】
このように、本発明によれば、別個の筐体からなる複数のユニットを含む情報処理装置において、複数のユニット間でのデータ通信を適切に行うことが可能となる。
なお、本実施の形態においては、有線通信および無線通信によって送信するデータの区分方法として、情報ビットと、それを基にBCH符号化において生成された冗長ビットとに区分する場合の例について説明したが、データの意義的な構成上、区分できる分け方であれば、他の基準によって区分することも可能である。
【0042】
例えば、操作ユニット2から表示ユニット3に送信されるデータ列において、パリティビットが付加される場合であれば、情報ビットと、それに付加されたパリティビットとからなる部分ごとにデータ列を区分し、情報ビットを無線通信、パリティビットを有線通信によって送信することが可能である。
また、冗長ビットを有線通信によって送信し、情報ビットを無線通信によって送信する場合の他、区分されたデータにおいて、情報量の多い区分のデータを無線通信、情報量の少ない区分のデータを有線通信によって送信することとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を適用した携帯電話1の外観構成を示す図である。
【図2】携帯電話1の機能構成を示すブロック図である。
【図3】情報ビットがBCH符号化された状態のデータ列を示す図である。
【図4】本発明の場合におけるユニット間通信のビット誤り率とCNとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 携帯電話、2 操作ユニット、3 表示ユニット、4 回転2軸ヒンジ部、5 アンテナ、11 指示入力部、12 音声入出力部、13 CPU、14 携帯電話通信部、
15 RAM、16 記憶部、17 ユニット間データ送信部、17a バッファ、17b 無線送信機、17c 符号化器、17d 有線送信機、18 ユニット間データ受信部、18a 無線受信機、18b 有線受信機、18c バッファ、18d ビット合成部、18e 復号化器、19 ディスプレイコントローラ、20 メインディスプレイ、21 サブディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の部分を構成する複数のユニットが接続されて1つの装置が構成される情報処理装置であって、
送信側となる前記ユニットが、
前記ユニット間において有線通信によりデータを送信するための有線通信手段と、
前記ユニット間において無線通信によりデータを送信するための無線通信手段とを備え、
受信側となる前記ユニットが、
前記有線通信手段によって伝送されたデータと、前記無線通信手段によって伝送されたデータとを受信して合成するデータ合成手段を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記送信側のユニットは、前記受信側のユニットに送信するデータの一部である第1のデータ列を前記有線通信手段によって送信し、残りの部分である第2のデータ列を前記無線通信手段によって送信することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記送信側のユニットは、前記受信側のユニットに送信するデータを、該データの意義的な構成に基づいて区分し、区分した一方のデータ列を前記有線通信手段によって送信し、他方のデータ列を前記無線通信手段によって送信することを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記送信側のユニットは、前記受信側のユニットに送信するデータを冗長ビット部分と情報ビット部分とに区分し、該冗長ビットおよび情報ビットの一方を前記有線通信手段によって送信し、他方を前記無線通信手段によって送信することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記送信側のユニットは、前記受信側のユニットに送信するデータを所定の基準に基づいて区分し、区分したデータ列のうち、情報量の多い方のデータ列を前記無線通信手段によって送信し、情報量の少ない方のデータ列を前記有線通信手段によって送信することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記無線通信手段は、UWBに基づく通信を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
装置の部分を構成する複数のユニットが接続されて1つの装置が構成される情報処理装置における情報伝送方法であって、
送信側となる前記ユニットから受信側となる前記ユニットに有線通信によりデータを送信する有線通信ステップと、
送信側となる前記ユニットから受信側となる前記ユニットに無線通信によりデータを送信する無線通信ステップと、
受信側となる前記ユニットにおいて、前記有線通信ステップによって伝送されたデータと、前記無線通信ステップによって伝送されたデータとを受信して合成するデータ合成ステップと、
を含むことを特徴とする情報伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−65544(P2006−65544A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−246360(P2004−246360)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】