説明

情報処理装置および通信方法

【課題】容易に通信可否を設定することができ、安心な通信を確立することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、複数の通信手段によって通信可能に接続された他の情報処理装置から接続要求を受ける通信部110と、ユーザごとに複数の通信手段についてそれぞれ通信の可否が設定されたパーミッションリストを参照し、接続要求を送信した他の情報処理装置のユーザを特定するユーザIDおよび接続を要求する通信手段に基づいて、他の情報処理装置からの通信手段による接続可否を判定する判定部130と、他の情報処理装置との通信手段ごとの通信可否状況に応じて、パーミッションリストを自動更新する更新部170と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器や通信ソフトウェアの通信形態は、以下の2つに大別される。第1の通信形態は、不特定多数のユーザ対不特定多数のユーザの通信である。第1の通信形態の通信手段には例えば電話があり、発信側が電話番号を指定すると着信側に必ず接続される。第2の通信形態は、特定のユーザ同士で通信を行うことを前提とするものである。第2の通信形態の通信手段には例えばメッセンジャーがあり、予めユーザ同士で相互に信頼関係、すなわちバディ関係を成立させた上で通信を行う。
【0003】
第1の通信形態の課題としては、例えば迷惑電話などのように望まない相手からの着信があった場合にもこれを拒否することができないということがある。特に、テレビ電話の場合には、信頼のおける相手以外にも自己の映像を発信してしまったり、望まない映像をいきなり送りつけられたりすることがあり得る。このように、第1の通信形態においてはユーザが安心して通話を行うことができない事態が生ずる可能性があった。
【0004】
このような問題に対して、明示的に着信拒否する相手を指定してその相手からの着信を拒否する方法や、アドレス帳に登録されている相手と未登録の相手とを呼び出し音で判別可能とし、ユーザに注意を促す方法が提案されている(例えば、特許文献1〜5)。また、テレビ電話の着信時に、アドレス帳に登録されている相手からの着信があった場合にのみ自己の映像を相手に送信し、それ以外の場合には音声のみを送信する方法も提案されている(例えば、特許文献6)。
【0005】
一方、第2の通信形態においては、バディ関係の樹立が正しく行われていれば望まない相手から着信を受けることはないので、上述の第1の通信形態における課題は存在しない。バディ関係の樹立を誤ってしまった場合には、バディの削除を行えばよい。また、自己の映像を送信したくない場合には、信頼のおける相手か否かに関わらず、自己の装置の映像送信機能をオフにしておけばよい。
【0006】
【特許文献1】特開2000−124987号公報
【特許文献2】特開2001−245019号公報
【特許文献3】特開2001−333142号公報
【特許文献4】特開2003−289345号公報
【特許文献5】特開平11−041327号公報
【特許文献6】特開平07−038863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した着信拒否する相手のIDを指定する方法の場合には、少なくとも一度は着信を受けなければならず、事前に着信を拒否することができないという問題があった。また、アドレス帳への登録の有無により呼び出し音を切り替える方法の場合には、ユーザがうっかり着信を受けてしまい、見たくない映像をみてしまう可能性があるという問題があった。
【0008】
一方、第2の通信形態においては、バディ関係が成立したもの同士のみの通信が行われるため、着信を拒否したい相手から見たくない映像をいきなり送りつけられたり、自己の映像を送信されたりすることはない。しかし、通信を開始する前に一度バディ関係の樹立をしなくてはならず、通常の電話機のようにすぐに誰にでも電話番号を入力するだけで相手に発信したり着信したりできるという利便性が低下する。また、ITリテラシーが低く、バディ関係という概念を理解していないユーザにとっては分かりにくく使いづらいという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、容易に通信可否を設定することができ、安心な通信を確立することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置および通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の通信手段によって通信可能に接続された他の情報処理装置から接続要求を受ける通信部と、ユーザごとに複数の通信手段についてそれぞれ通信の可否が設定されたパーミッションリストを参照し、接続要求を送信した他の情報処理装置のユーザを特定するユーザIDおよび接続を要求する通信手段に基づいて、他の情報処理装置からの通信手段による接続可否を判定する判定部と、他の情報処理装置との通信手段ごとの通信可否状況に応じて、パーミッションリストを自動更新する更新部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0011】
本発明によれば、他の情報処理装置から接続要求を受けた際に、ユーザごとに複数の通信手段についてそれぞれ通信の可否が設定されたパーミッションリストを参照して、接続要求を受け入れるか否かを判定する。そして、接続要求を受けたユーザが接続要求をした他の情報処理装置のユーザに対する通信の可否を通信手段ごとに設定すると、更新部は、その通信可否情報に応じてパーミッションリストを更新する。このようなパーミッションリストを用いることにより、容易に各通信手段による通信の可否をユーザごとに詳細に設定することができ、安心な通信を実現することができる。
【0012】
ここで、パーミッションリストは、特定のユーザに対する通信手段ごとの通信の可否が設定されたユーザリストと、ユーザリストが設定されていない不特定多数のユーザに対する通信手段ごとの通信の可否が設定されたデフォルトユーザリストと、を備える。そして、デフォルトユーザリストは、少なくとも1つの通信手段による通信を許可し、他の通信手段による通信の可否は未定に設定される。このとき、デフォルトユーザリストは、少なくとも音声通話機能による通信を許可するように設定してもよい。
【0013】
また、判定部は、接続要求をした他の情報処理装置のユーザを特定するユーザIDがパーミッションリストに登録されていない場合、デフォルトユーザリストの設定に基づいて、他の情報処理装置からの通信手段による接続可否を判定することもできる。
【0014】
さらに、本発明の情報処理装置は、接続要求を受けたユーザに対して、通信相手となるユーザとの複数の通信手段による通信の可否を確認する確認部を備えることもできる。このとき、確認部は、パーミッションリストに未登録のユーザからデフォルトユーザリストでは通信許可されていない通信手段による接続要求を受けた場合、接続要求を受けたユーザに対して、通信手段による通信を許可するか否かを確認してもよい。
【0015】
また、更新部は、接続要求を受けたユーザがデフォルトユーザリストの設定と異なる通信の可否を選択したとき、接続要求をしたユーザのユーザリストをパーミッションリストに登録することもできる。
【0016】
本発明の情報処理装置は、情報を出力可能な出力部と、ユーザから入力情報が入力される入力部と、をさらに備えてもよい。ここで、確認部は、接続要求を受けたユーザに対して通信手段による通信を許可するか否かを確認する確認情報を出力部に出力させ、入力部から入力された確認情報に対する接続要求を受けたユーザの応答を受信する。
【0017】
また、更新部は、入力部から入力された前記パーミッションリストの更新情報に基づいて、パーミッションリストを更新することもできる。
【0018】
さらに、確認部は、接続要求をしたユーザとのすべての通信が終了したときに、接続要求を受けたユーザに対して、複数の通信手段による通信を許可するか否かを確認するようにしてもよい。
【0019】
また、判定部は、接続要求をした他の情報処理装置のユーザを特定するユーザIDがパーミッションリストに登録されている場合、接続要求をした他の情報処理装置のユーザのユーザリストの設定に基づいて、他の情報処理装置からの通信手段による接続可否を判定することもできる。
【0020】
さらに、通信相手となるユーザとの前記複数の通信手段による通信の可否を確認する確認部を備えるようにしてもよい。このとき、確認部は、パーミッションリストに登録されているユーザリストでは通信拒否するように設定された通信手段による接続要求を受けた場合、接続要求を受けたユーザに対して、通信手段による通信を許可するか否かを確認する。そして、更新部は、ユーザリストの設定と異なる設定がなされたとき、ユーザのユーザリストを更新する。
【0021】
また、パーミッションリストに設定される各ユーザに対する通信手段ごとの通信の可否は、所定の通信手段による通信を許可する許可ステータスと、所定の通信手段による通信を許可する拒否ステータスと、所定の通信手段による通信の可否が未設定である未定ステータスと、により表すこともできる。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の通信手段によって通信可能に接続された他の情報処理装置から接続要求を受ける接続要求受信ステップと、ユーザごとに複数の通信手段についてそれぞれ通信の可否が設定されたパーミッションリストを参照し、接続要求を送信した他の情報処理装置のユーザを特定するユーザIDおよび接続を要求する通信手段に基づいて、他の情報処理装置からの通信手段による接続可否を判定する判定ステップと、他の情報処理装置との通信手段ごとの通信可否状況に応じて、パーミッションリストを自動更新する更新ステップと、を含む、通信方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、容易に通信可否を設定することができ、安心な通信を確立することが可能な情報処理装置および通信方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
<通信システムの概略構成>
まず、図1に基づいて、本発明の実施形態にかかる通信システム1の構成について説明する。なお、図1は、本実施形態にかかる通信システム1の概略構成を示す概略説明図である。
【0026】
本実施形態にかかる通信システム1は、例えばIP(Internet Protocol)を利用して電話サービスを提供するシステムである。かかる通信システム1は、図1に示すように、複数の通信端末100と呼制御を行う呼制御サーバ200とがネットワーク10を介して接続されて構成される。通信端末100は、例えばテレビ電話機やパーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。通信端末100は、例えば通信端末100を利用するユーザを撮像する撮像部100aと、受話器100bと、相手側の通信端末100のユーザの映像を表示する表示部100cとを備える。
【0027】
本実施形態にかかる通信端末100は、音声通話機能やテレビ電話機能に加えて、相互にテキストメッセージや写真データを送信することができる、多機能の通信端末である。また、通信端末100は、通話中でなくともネットワーク10を介して接続された他の通信端末100の状態(例えば、通信端末100の電源がオンとなっているか否か等)を把握可能な、いわゆるメッセンジャーソフトと同様の機能を有している。また、呼制御サーバ200は、例えばIPアドレスの解決や通信の開始・切断等を制御するサーバである。
【0028】
各通信端末100は、相手側通信端末100から受信した画像データやテキストデータを表示部100cに表示させることができる。例えば、撮像部100aにより撮像された相手側通信端末100のユーザの画像を受信した場合には、その画像データを表示部100cに表示させることで、あたかも対面して会話している状況を実現することができる。また、相手側通信端末100からデジタルスチルカメラ等により撮像した画像データが送信された場合には、その画像データを表示部100cに表示させることで、各ユーザが当該画像を鑑賞しながら通話することができる。
【0029】
このように、本実施形態にかかる通信システム1では、通信端末100間で複数の通信手段を実行することができるが、各通信端末100は、通話相手ごとに各通信手段による通信可否を設定したパーミッションリストを備えている。かかる通信システム1では、各通信端末100がパーミッションリストの設定にしたがって他の通信端末100と通信を行うことにより、安心した通信を実現することができる。以下、かかる機能を実現するための通信端末100の構成と、パーミッションリストの設定について詳細に説明する。
【0030】
<通信端末のハードウェア構成>
まず、図2に基づいて、本実施形態にかかる通信端末100のハードウェア構成について説明する。なお、図2は、本実施形態にかかる通信端末100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0031】
通信端末100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ホストバス104aとを備える。また、通信端末100は、ブリッジ104と、外部バス104bと、インタフェース105と、入力装置106と、出力装置107と、ストレージ装置(HDD)108と、ドライブ109と、接続ポート111と、通信装置112とを備える。
【0032】
CPU101は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って通信端末100内の動作全般を制御する。また、CPU101は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM102は、CPU101が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM103は、CPU101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス104aにより相互に接続されている。
【0033】
ホストバス104aは、ブリッジ104を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス104bに接続されている。なお、必ずしもホストバス104a、ブリッジ104および外部バス104bを分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0034】
入力装置106は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU101に出力する入力制御回路などから構成されている。通信端末100のユーザは、該入力装置106を操作することにより、通信端末100に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0035】
出力装置107は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。さらに、出力装置107は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。出力装置107は、例えば、通話時の音声データやテキストデータ、通話相手の画像、デジタルスチルカメラ等で撮影された共有画像等を出力する。具体的には、表示装置は画像データや操作内容等のメッセージ情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は、通話時の音声データ等を音声に変換して出力する。
【0036】
ストレージ装置108は、本実施形態にかかる通信端末100の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置108は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置108は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置108は、ハードディスクを駆動し、CPU101が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0037】
ドライブ109は、記憶媒体用リーダライタであり、通信端末100に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ109は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM103に出力する。
【0038】
接続ポート111は、外部機器と接続されるインタフェースであって、例えばUSB(Universal Serial Bus)などによりデータ伝送可能な外部機器との接続口である。また、通信装置112は、例えば、通信網10に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置112は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。この通信装置112は、呼制御サーバ200との間で、通信網10を介して音声データや画像データなどの各種データを送受信する。
【0039】
以上、本実施形態にかかる通信端末100のハードウェア構成について説明した。次に、図3および図4に基づいて、本実施形態にかかる通信端末100の機能構成について説明する。なお、図3は、本実施形態にかかる通信端末100の機能構成を示す機能ブロック図である。図4は、本実施形態にかかるパーミッションリストの構成例を示す説明図である。
【0040】
<通信端末の機能構成>
本実施形態にかかる通信端末100は、図3に示すように、通信部110と、通信制御部120と、判定部130と、更新部140と、出力部150と、入力部160と、リスト記憶部170と、を備える。
【0041】
通信部110は、ネットワーク10を介して他の通信端末100との間でデータ等を送受信する機能部である。通信部110は、他の通信端末100から受信したデータ等を通信制御部120へ出力する。また、通信部110は、通信制御部120から入力されたデータ等を他の通信端末100へ送信する。
【0042】
通信制御部120は、他の通信端末100との通信を制御する機能部である。通信制御部120は、通信部110を介して他の通信端末100からの着信を受けると、後述するパーミッションリストの設定にしたがって、他の通信端末100との通信の可否を制御する。このとき、通信制御部120は、他の通信端末100を特定する特定情報を判定部130へ出力し、判定部130から通信可否についての判定結果を受け取る。また、通信制御部120は、他の通信端末100との通信を許可した場合、許可された通信手段を機能させるために、他の通信端末100から受信したデータを出力部150から出力したり、入力部160から入力されたデータを通信部110を介して送信したりする。さらに、通信制御部120は、パーミッションリストの設定を変更する場合、更新情報を更新部140へ出力する。
【0043】
判定部130は、他の通信端末100との通信可否を判定する機能部である。判定部130は、接続要求のあった他の通信端末100のユーザを特定する特定情報およびその通信手段を通信制御部120から受信する。判定部130は、パーミッションリストを記憶するリスト記憶部170を参照し、接続要求をした通信端末100のユーザについてその通信手段による通信を許可しているか否かを判定する。そして、判定部130は、判定結果を通信制御部120へ送信する。
【0044】
更新部140は、リスト記憶部170に記憶されたパーミッションリストを更新する機能部である。更新部140は、ユーザから入力部160を介して入力されたパーミッションリストの更新情報を通信制御部120から受信し、パーミッションリストを更新する。なお、更新部140によるパーミッションリストの更新処理には、すでに登録されたユーザの登録内容の変更処理や、ユーザの新規登録処理が含まれる。
【0045】
出力部150は、データを出力する機能部であって、例えば、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、OLED装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置などから構成される。出力部150は、他の通信端末100との通信により受信した音声データや画像データ、テキストデータ等を出力する。また、出力部150は、ユーザに対して通信端末100の操作情報等を表示することもできる。
【0046】
入力部160は、データが入力される機能部である。入力部160は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成する入力制御回路などから構成される。入力部160は、入力信号を入力情報として通信制御部120へ送信する。
【0047】
リスト記憶部170は、各ユーザについて、通信手段ごとに通信可否情報が設定されたパーミッションリストを記憶する記憶部であって、例えばフラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶領域である。パーミッションリストは、例えば、図4に示すように構成することができる。すなわち、パーミッションリストは、ユーザを特定するユーザID171と、複数の通信手段により実現可能な機能による通信可否情報とを関連付けて構成される。複数の通信手段により実現可能な機能としては、例えば、音声通話機能172、プレゼンス機能173、テレビ電話機能174、テキスト受信機能175、そして写真受信機能176等がある。パーミッションリストにより、ユーザID171ごとに、各通信手段による通信が許可されているか否か、あるいは未設定であるかの情報を保持することができるので、ユーザごとに詳細に通信の可否を設定することができる。
【0048】
以上、本実施形態にかかる通信端末100の機能構成について説明した。かかる通信端末100は、通常のメッセジャーソフトと同等の機能、例えば、音声通話機能やテレビ電話機能、プレゼンス機能、テキスト受信機能、写真受信機能などの機能を実現可能な複数の通信手段を有する。本実施形態にかかる通信端末100は、パーミッションリストに基づいて、各ユーザについて通信手段ごとに通信可否を判定することで、安心な通信を確立する。そこで、以下、図4〜図5Bに基づいて、パーミッションリストの内容と、パーミッションリストの設定処理および更新処理とについて説明する。なお、図5Aは、本実施形態にかかるパーミッションリストに対するユーザ新規登録処理を示すフローチャートである。図5Bは、本実施形態にかかるパーミッションリストに対する情報更新処理を示すフローチャートである。
【0049】
<パーミッションリストの内容>
パーミッションリストは、上述したように、各ユーザについて、通信手段ごとに設定された通信可否情報を保持するリストである。ここで、従来のバディ関係を記憶するバディリストと対比すると、バディリストには、今後通信を行いたい、すなわち信頼関係を樹立したユーザが登録される。したがって、バディリストに登録されていないユーザとの通信は一切することができない。一方、本実施形態にかかるパーミッションリストは、バディリストに登録される信頼関係を樹立したユーザの他に、今後一切の通信を拒否するユーザや、一部の通信のみを許可するユーザ、これ以外の不特定多数の者が属するデフォルトユーザのすべてが登録される。
【0050】
パーミッションリストをより詳細にみると、図4に示すように、まず、ユーザID171には、不特定多数の者が属するデフォルトユーザ177と、個別に設定がされたユーザ178とが登録されている。デフォルトユーザ177のリスト(デフォルトユーザリスト)には、初めて通信要求を行ったユーザや、個別の設定がなされなかったユーザについての通信可否情報が設定されており、複数の通信手段のうち少なくとも1つの通信手段が許可されている。一方、個別に設定がされたユーザ178のリスト(ユーザリスト)には、それぞれのユーザについて各通信手段の可否が設定されており、そのユーザから接続要求があった場合には、各ユーザの登録内容に基づいて通信手段の可否が決定される。
【0051】
ここで、パーミッションリストにおいて、「許可」とはその通信手段による通信の許可を意味し、「拒否」とはその通信手段による通信の拒否を意味し、「未定」とはその通信手段による通信の可否は未設定であることを意味する。「未定」の場合には、例えばその通信手段による接続要求があった際に、ユーザに対して通信の可否を決定させてもよい。
【0052】
<パーミッションリストに対するユーザ新規登録処理>
次に、図5Aに基づいて、パーミッションリストに対するユーザの新規登録処理について説明する。図5Aに示すように、まず、通信端末100が他の通信端末100からの着信を受ける(ステップS110)。通信端末100は、他の通信端末100からの着信を受けると、パーミッションリストに接続要求をしたユーザの登録があるか否かを確認する(ステップS120)。通信端末100は、パーミッションリストにユーザIDが存在しなかった場合には、デフォルトユーザの設定に従って通信の可否を判定する(ステップS130)。なお、パーミッションリストにユーザIDが存在する場合には、図5Bに示す処理Aに進む。かかる処理Aについての説明は後述する。
【0053】
接続要求のあったユーザに適用するデータ(リスト)が決定されると、当該データに基づいて、接続要求をした通信手段が許可されるか否かを判定する(ステップS140)。接続要求をした通信手段が許可されていない場合には、通信接続を確立せずに処理を終了する。このとき、他の通信端末100に対して接続を拒否した旨のメッセージを送信するようにしてもよい。一方、接続要求をした通信手段が許可されている場合には、当該接続を確立して通信を開始する(ステップS150)。なお、当該通信手段の許可の可否が未定である場合には、例えば、ポップアップメニューを表示して、当該通信手段による通信を許可するか否かについてユーザに確認してもよい。
【0054】
その後、通信端末100は、他の通信端末100との通信を終了すると(ステップS160)、ユーザに対して他の通信手段による接続も許可するかどうかを確認する(ステップS170)。ステップS170での確認は、例えば音声データやテキストデータ等を出力部150から出力して、ユーザに確認を求めることができる。具体的には、例えば、ポップアップメニューを表示して、ユーザに対して他の通信手段による接続も許可するかどうかを確認してもよい。
【0055】
他の通信手段を許可した場合には、パーミッションリストに当該ユーザを新規に登録して、今回の通信手段以外の通信手段による通信も「許可」としたユーザリストを生成する(ステップS180)。一方、他の通信手段による通信を拒否した場合には、パーミッションリストに当該ユーザを登録せずに処理を終了する。この場合、かかるユーザが次に接続要求をしたときには、今回と同様にデフォルトユーザのユーザリストにしたがって、通信の可否が判定される。
【0056】
以上、パーミッションリストへのユーザ新規登録処理について説明した。次に、図5Bに基づいて、パーミッションリストに対する情報更新処理について説明する。
【0057】
<パーミッションリストに対する情報更新処理>
図5Bに示す処理Aは、パーミッションリストにユーザ登録がされている場合の通信可否の制御およびユーザリストの更新処理を示している。図5AのステップS120において、接続要求をしてきたユーザがパーミッションリストに登録されていると判定された場合、通信端末100はリスト記憶部170に記憶されているパーミッションリストの当該ユーザリストを参照する(ステップS210)。そして、判定部130は、接続要求をした通信手段が許可されているか否かを判定する(ステップS220)。
【0058】
ステップS220において、接続要求をした通信手段が許可されている場合には、通信を開始する(ステップS230)。一方、接続要求をした通信手段が拒否されている場合には、通信接続を確立せずに処理を終了する。このとき、他の通信端末100に対して接続を拒否した旨のメッセージを送信するようにしてもよい。また、接続要求をした通信手段による通信の可否が未定である場合には、例えばユーザに対して着信を許可するか否かを確認してもよい。かかる確認は、例えば、出力部150を用いて着信の可否を選択させる旨の音声メッセージやテキストメッセージ等を出力して、ユーザに入力部160から選択結果を入力させることにより行うことができる。具体的には、例えば、ポップアップメニューを表示して、ユーザに対して着信を許可するかどうかを確認してもよい。
【0059】
ステップS230にて通信が開始し、その後通信が終了すると(ステップS240)、通信端末100は、通信相手であったユーザのパーミッションリストの登録内容を変更するか否かを確認する(ステップS250)。かかる確認は、例えば、出力部150を用いてパーミッションリストの登録内容を変更するか否かを確認する音声メッセージやテキストメッセージ等を出力して、ユーザに入力部160から変更の有無を入力させることにより行うことができる。具体的には、例えば、ポップアップメニューを表示して、ユーザに対してパーミッションリストの登録内容を変更するかどうかを確認してもよい。
【0060】
ステップS250において、ユーザがパーミッションリストの変更を希望する場合には、通信端末100は変更内容をユーザに入力させて、変更内容をパーミッションリストのユーザリストに反映させて更新する(ステップS260)。変更内容は、例えば各通信手段について「許可」、「拒否」、「未定」を設定する設定画面を出力部150に表示させて、変更内容を入力部160から入力させるようにしてもよい。あるいは、すべての通信手段を「許可」(または「拒否」)するか否かを確認して、一括して変更するようにしてもよい。一方、ステップS250において、パーミッションリストの変更がない場合には、パーミッションリストの内容を変更することなく処理を終了する。
【0061】
以上、本実施形態にかかるパーミッションリストに対する情報更新処理について説明した。このようなパーミッションリストを設けることにより、まず、ユーザ登録されていないユーザについては、少なくとも1つの通信手段による通信が許可されているデフォルトユーザの登録内容にしたがって通信を行う。このとき、デフォルトユーザに許可する通信手段を、信頼関係の成立していない相手とのコミュニケーションにおいてユーザが許容できる通信手段(例えば、音声通話)に限定する。これにより、信頼関係の成立していない相手とのコミュニケーションにおけるユーザの不安やストレスを解消することができる。また、パーミッションリストに不特定多数のユーザに対するデフォルトユーザリストを設けることにより、パーミッションリストに未登録のユーザからの接続要求を完全に拒否しないようにすることができる。
【0062】
その後、ユーザは、通信相手であったユーザについて各通信手段による通信を許可するか否かを設定することができる。このとき、ユーザは、当該通信相手であったユーザとの最初の通信手段において、今後、すべての通信手段による通信を許可するか、一部の通信手段による通信を許可するか、すべての通信手段による通信を拒否するかを判断することができる。また、一度の通信では判断できない場合には、現時点での設定を保留し、「未定」を設定すればよい。
【0063】
本実施形態にかかる通信端末100は、ユーザ登録されていないユーザからの接続要求を受けて一度通信を確立した場合には、ユーザ登録するか否かを自動的にユーザに確認する。このため、ユーザは、従来のバディリストのようにバディ関係の成立したユーザを登録して初めて通信可能となるような煩わしい設定をしなくともよい。また、各通信手段に対して通信可否を設定することができるので、各ユーザについて通信可否を詳細に設定することができる。したがって、本実施形態にかかる通信端末100は、このようなパーミッションリストを備えることにより、ユーザに安心な通信を提供することができる。
【0064】
なお、パーミッションリストにて通信手段に対して設定される「許可」、「拒否」、「未定」の運用は、上述の例に限定されるものではない。例えば、あまり信用できない相手との通信においては、一度その通信手段を許可した場合であっても、必ずしもその通信手段を許可しない方がよいこともある。このため、パーミッションリストを自動的に変更せず、ユーザに変更の確認をしてから変更するようにしてもよい。このとき、デフォルトユーザに許可されている通信手段以外の通信手段が許可される度にパーミッションリストの変更を確認してもよく、所定の回数以上許可された場合に変更をパーミッションリストの変更を確認するようにしてもよい。
【0065】
また、パーミッションリストのステータスを「許可」および「未定」のみにしてもよい。例えば、一度テレビ電話機能による通信が許可されなかった相手からテレビ電話機能による接続要求があった場合、それ以降強制的にテレビ電話機能による通信を拒否する可能性がある。したがって、一度拒否した通信手段についてはパーミッションリストに「未定」を設定し、毎回接続要求を受け入れるか否かを確認するようにしてもよい。このように、パーミッションリストの運用は柔軟に変更することができるものである。
【0066】
<パーミッションリストを利用した通信>
以下、図4〜図5Bに基づいて、本実施形態にかかるパーミッションリストを利用した通信の一例を説明する。以下では、説明の便宜上、パーミッションリストを備える通信端末100にて通信相手から接続要求を受けるユーザを「ユーザA」とする。また、ユーザAに対して接続要求するユーザとして、「Taro」、「Hanako」、「Sales_A」、「Sales_B」のユーザIDを有するユーザをとする。なお、説明を簡略化するため、通信端末100は、相手に発信する場合には必ず音声通話で行うこととし、テキストメッセージ送信や写真の送信、テレビ電話機能の利用は音声通話開始後に自由に使用できるものとする。
【0067】
通信端末100の初期状態(例えば、通信端末100の購入直後で未設定の状態)では、パーミッションリストは、図4に示すデフォルトユーザ177のみが登録されている。デフォルトユーザ177の各通信手段の設定は、少なくとも1つの通信手段による通信が許可されている状態であって、例えば音声通話機能のみが許可されている。なお、デフォルトユーザ177の各通信手段の設定は、ユーザAにより変更可能である。
【0068】
まず、ユーザAの通信端末100にTaroからの音声通話による接続要求があったとする。このとき、通信端末100は、接続要求とともに受信した接続を要求しているユーザのユーザID「Taro」がパーミッションリストに登録されているか否かを確認する。この時点でパーミッションリストにはデフォルトユーザの登録しかないため、通信端末100は、デフォルトユーザの登録内容にしたがってTaroとの通信の可否を判定する。Taroは音声通話による接続を要求しており、デフォルトユーザには音声通話による接続を許可しているので、通信端末100は、Taroとの音声通話を許可して呼び出し音を鳴動させてユーザAに音声通話の開始を促す。ユーザAがオフフックすることにより、Taroとの音声通話が開始される。
【0069】
Taroとの音声通話が開始された後、例えばTaroの通信端末100からユーザAの通信端末100に対してテレビ電話機能による通信開始の要求があったとする。このとき、ユーザAの通信端末100は、パーミッションリストを参照して、デフォルトユーザにテレビ電話機能による通信が許可されているか否かを確認する。例えば、図4に示すように、デフォルトユーザにはテレビ電話機能による通信は許可されていない。したがって、ユーザAの通信端末100は、Taroの通信端末100に対してテレビ電話機能による通信を拒否する旨のメッセージを送信する。
【0070】
あるいは、ユーザAの通信端末100は、ユーザAに対してTaroからのテレビ電話機能による通信開始の要求がある旨のメッセージを伝達し、ユーザAにその可否の判断をゆだねるようにしてもよい。ユーザAがTaroからのテレビ電話機能による通信開始の要求を許可した場合には、ユーザAの通信端末100にTaroからのテレビ電話映像が送信され、出力部150に表示される。また、ユーザAがTaroからのテレビ電話機能による通信開始の要求を許可したことから、ユーザAはTaroとのテレビ電話機能による通信は許可する意思があると判断できる。したがって、ユーザAの通信端末100は、パーミッションリストに「Taro」のユーザリストを新規に作成する。このとき、「Taro」のユーザリストは、図4に示すように、デフォルトユーザと同一の登録内容に対してテレビ電話機能について許可した内容となる。
【0071】
ユーザAおよびTaroは、通信開始前にパーミッションリストという概念を理解してバディ関係を樹立させるような操作は行っていない。Taroは従来と同様音声通話を発信し、その後テレビ電話による通信に移行しただけであり、ユーザAもTaroからの着信を受けて、さらにテレビ電話による通信を許可しただけである。このように、本実施形態にかかるパーミッションリストに対して、ユーザが改めて特別な操作をすることなく、ユーザを登録させることができる。
【0072】
次に、Hanakoの通信端末100からユーザAの通信端末100に対して音声通話による接続要求があったとする。このとき、上述のTaroの場合と同様、Hanakoはユーザ登録されていないため、デフォルトユーザのユーザリストの内容にしたがって通信の可否が判定される。デフォルトユーザに対しては音声通話は許可されているので、HanakoとユーザAとの音声通話が開始される。
【0073】
その後音声通話が終了したとき、例えば、ユーザAの通信端末100は、ユーザAに対して、Hanakoとの通信は、今後音声通話だけでなく他の通信手段による通信も許可するか否かを確認するようにしてもよい。例えば、ユーザAの通信端末100は、出力部150に「Hanakoとの通信時は、今後音声通話だけでなく、テレビ電話や写真受信、テキストメッセージ受信も許可しますか?」というメッセージを表示させてもよい。これに対して、ユーザAが「YES」と回答することで、ユーザAの通信端末100のパーミッションリストにはすべての通信手段による通信を許可とするHanakoのユーザリストが生成される。一方、ユーザAが「NO」と回答した場合には、例えばHanakoのユーザリストを生成せずに、処理を終了してもよい。
【0074】
さらに、Sales_Aの通信端末100からユーザAの通信端末100に対して音声通話による接続要求があったとする。このとき、上述のTaroの場合と同様、Sales_Aはユーザ登録されていないため、デフォルトユーザのユーザリストの内容にしたがって通信の可否が判定される。デフォルトユーザに対しては音声通話は許可されているので、Sales_AとユーザAとの音声通話が開始される。
【0075】
その後、Sales_Aが音声通話で口頭にて写真データを送信したい旨を伝えて、Sales_Aの通信端末100からユーザAの通信端末100へ写真データの送信の要求があったとする。このとき、ユーザAの通信端末100は、ユーザAに対して、Sales_Aから写真データが送信されようとしているメッセージを出力部150から出力して伝達し、ユーザAにSales_Aの通信端末100からの写真データの送信の可否をゆだねる。これに対して、写真データの受信の拒否を希望する場合には、ユーザAはその旨を入力部160から入力し、Sales_Aからの写真データを出力部150に表示させないようにする。このとき、ユーザAの通信端末100は、Sales_Aの通信端末100に対して写真データの受信を拒否した旨を通知する。
【0076】
その後音声通話が終了したとき、例えば、ユーザAの通信端末100は、ユーザAに対して、Sales_Aとの通信は、今後音声通話だけでなく他の通信手段による通信も拒否するか否かを確認するようにしてもよい。例えば、ユーザAの通信端末100は、出力部150に「Sales_Aとの通信時は、今後音声通話だけでなく、テレビ電話や写真受信、テキストメッセージ受信も拒否しますか?」というメッセージを表示させてもよい。これに対して、ユーザAが「YES」と回答することで、ユーザAの通信端末100のパーミッションリストにはすべての通信手段による通信を許可とするSales_Aのユーザリストが生成される。一方、ユーザAが「NO」と回答した場合には、例えばSales_Aのユーザリストを生成せずに、処理を終了してもよい。
【0077】
なお、Sales_Aの通信端末100からユーザAの通信端末100へ写真データの送信の要求があった際に、ユーザAが写真データの受信を希望する場合には、ユーザAはその旨を入力部160から入力する。そして、ユーザAの通信端末100はSales_Aからの写真データを出力部150に表示すればよい。その後音声通話が終了したときには、上述のHanakoの場合と同様に、ユーザAの通信端末100は、ユーザAに対して、Sales_Aとの通信は、今後音声通話だけでなく他の通信手段による通信も許可するか否かを確認するようにしてもよい。
【0078】
最後に、Sales_Bの通信端末100からユーザAの通信端末100に対して音声通話による接続要求があったとする。このとき、上述のTaroの場合と同様、Sales_Bはユーザ登録されていないため、デフォルトユーザのユーザリストの内容にしたがって通信の可否が判定される。デフォルトユーザに対しては音声通話は許可されているので、Sales_BとユーザAとの音声通話が開始される。
【0079】
その後、Sales_Bとの音声通話が終了し、パーミッションリストにSales_Bが登録されることなく通信が終了したとする。その後、ユーザAがSales_Bとは音声通話を含む一切の通信を拒否したいと考えた場合、ユーザAは、通信端末100を捜査して、パーミッションリストにすべての通信手段による通信を拒否するSales_Bのユーザリストを追加することができる。ユーザAによるパーミッションリストへのユーザ登録は、例えば、通信端末100の出力部150に設定メニューを表示させて、Sales_Bのユーザ登録およびすべての通信手段による通信の拒否の設定を入力部160から入力することにより行うことができる。このようなユーザリストがパーミッションリストに登録されると、その後Sales_Bから音声通話による接続要求があったとしても、ユーザAの通信端末100は、これを拒否するようになる。
【0080】
以上、パーミッションリストを利用した通信の一例を説明した。本実施形態にかかる通信端末100を用いることにより、ユーザがパーミッションリストや信頼関係の樹立といった概念を理解せずとも、通信相手との通信を行う過程で自動的にユーザリストが生成される。また、パーミッションリストの登録内容はユーザ自ら変更することも可能であり、ユーザ登録後に状況に応じて通信手段の一部については通信を許可したり、あるいは拒否したり変更することができる。さらに、パーミッションリストへ登録されたユーザとの通信において、パーミッションリストの登録内容の確認処理は基本的にスキップすることにより、スムーズな通信を実現することもできる。
【0081】
以上、本発明の実施形態にかかる通信端末100とそれによるパーミッションリストを用いた通信方法について説明した。このようなパーミッションリストを用いることにより、容易に各通信手段による通信の可否をユーザごとに詳細に設定することができ、安心な通信を実現することができる。また、本実施形態のパーミッションリストを用いた通信方法を、例えばテレビ電話機能のように映像通信と音声通信という2つの通信手段から実現できるテレビ電話機において、デフォルトユーザのパーミッションリストを本実施形態のように運用したとする。デフォルトユーザに音声通話を「許可」とすることにより、通常の音声通話と同じような使い勝手を受信者であるユーザに提供することができる。同時に、他の通信手段を「未定」とすることにより、不用意にテレビ電話機の表示部に受信者であるユーザの映像を送信してしまったり、相手の映像を見せつけられてしまったりせず、セキュリティが保たれた状態となる。すなわち、ユーザは、面倒な設定などを一切行うことなく、買った当初から通常の音声電話と同様に使用でき、かつ映像送受信に関するセキュリティを保つことができる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
例えば、上記実施形態では、デフォルトユーザに対して音声通話のみを許可としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、音声通話以外の他の通信手段を許可してもよい。例えば、デフォルトユーザに対してテキストメッセージの受信のみを許可してもよく、音声通話とテキストメッセージの受信の両方を許可するようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、相手から接続要求があった場合に利用する情報のみをパーミッションリストに登録したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、パーミッションリストに登録されたかかる情報を、相手に対して接続要求をする場合に利用する情報として利用してもよい。例えば、通信端末100がテレビ通話から通信を開始する仕様の情報処理装置とする。このとき、図4に示す、テレビ電話機能による通信が許可されたユーザ「Taro」との通信時には、自己(ユーザA)の通信端末100のカメラを初めからオンにするようにする。一方、テレビ電話機能による通信が拒否されたユーザ「Sales_A」との通信時には、自己(ユーザA)の通信端末100のカメラをオフにして音声通話により通信を開始するようにしてもよい。さらに、パーミッションリストに、受信用および送信用のユーザリストを登録することもできる。
【0085】
さらに、上記実施形態では、各通信端末100がパーミッションリストを備えていたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ネットワーク10を介して通信端末100と接続されたサーバに保持させるようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、最初に接続要求した通信手段がパーミッションリストで拒否されていた場合、通信自体を拒否したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ユーザBの通信端末100のパーミッションリストに、音声通話機能による通信は許可し、テレビ電話機能による通信は拒否すると設定されたユーザAのユーザリストが登録されていたとする。このとき、ユーザAの通信端末100からユーザBの通信端末100へテレビ電話による通信の接続要求が最初にされると、ユーザBの通信端末100は通信自体を拒否するのではなく、通信が許可されている音声通話により通信を確立する。これにより、通信自体が確立しない状況が生じるのを防止することができる。なお、かかる例は、例えばテレビ電話機能のように映像通信と音声通信という2つの機能から実現されるものであって、これらの機能のうち通信が許可されている機能がある場合に、当該許可されている機能により通信を確立するものである。したがって、ユーザAから写真送信の要求があったとしても、音声通話が確立されてしまうことはない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態にかかる通信システムの概略構成を示す概略説明図である。
【図2】同実施形態にかかる通信端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態にかかる通信端末の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】同実施形態にかかるパーミッションリストの構成例を示す説明図である。
【図5A】同実施形態にかかるパーミッションリストに対するユーザ新規登録処理を示すフローチャートである。
【図5B】同実施形態にかかるパーミッションリストに対する情報更新処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
100 通信端末
110 通信部
120 通信制御部
130 判定部
140 更新部
150 出力部
160 入力部
170 リスト記憶部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信手段によって通信可能に接続された他の情報処理装置から接続要求を受ける通信部と、
ユーザごとに前記複数の通信手段についてそれぞれ通信の可否が設定されたパーミッションリストを参照し、前記接続要求を送信した他の情報処理装置のユーザを特定するユーザIDおよび接続を要求する通信手段に基づいて、前記他の情報処理装置からの前記通信手段による接続可否を判定する判定部と、
前記他の情報処理装置との前記通信手段ごとの通信可否状況に応じて、前記パーミッションリストを自動更新する更新部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記パーミッションリストは、
特定のユーザに対する前記通信手段ごとの通信の可否が設定されたユーザリストと、
前記ユーザリストが設定されていない不特定多数のユーザに対する前記通信手段ごとの通信の可否が設定されたデフォルトユーザリストと、
を備え、
前記デフォルトユーザリストは、少なくとも1つの通信手段による通信を許可し、他の通信手段による通信の可否は未定に設定される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記デフォルトユーザリストは、少なくとも音声通話機能による通信を許可するように設定される、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記接続要求をした他の情報処理装置のユーザを特定するユーザIDが前記パーミッションリストに登録されていない場合、前記デフォルトユーザリストの設定に基づいて、前記他の情報処理装置からの前記通信手段による接続可否を判定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
接続要求を受けたユーザに対して、通信相手となるユーザとの前記複数の通信手段による通信の可否を確認する確認部をさらに備え、
前記確認部は、前記パーミッションリストに未登録のユーザから前記デフォルトユーザリストでは通信許可されていない通信手段による接続要求を受けた場合、接続要求を受けたユーザに対して、前記通信手段による通信を許可するか否かを確認する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記更新部は、前記接続要求を受けたユーザが前記デフォルトユーザリストの設定と異なる通信の可否を選択したとき、前記接続要求をしたユーザのユーザリストを前記パーミッションリストに登録する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報を出力可能な出力部と、
ユーザから入力情報が入力される入力部と、
をさらに備え、
前記確認部は、前記接続要求を受けたユーザに対して前記通信手段による通信を許可するか否かを確認する確認情報を前記出力部に出力させ、前記入力部から入力された前記確認情報に対する前記接続要求を受けたユーザの応答を受信する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記更新部は、前記入力部から入力された前記パーミッションリストの更新情報に基づいて、前記パーミッションリストを更新する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記確認部は、前記接続要求をしたユーザとのすべての通信が終了したときに、接続要求を受けたユーザに対して、前記複数の通信手段による通信を許可するか否かを確認する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記接続要求をした他の情報処理装置のユーザを特定するユーザIDが前記パーミッションリストに登録されている場合、前記接続要求をした他の情報処理装置のユーザのユーザリストの設定に基づいて、前記他の情報処理装置からの前記通信手段による接続可否を判定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
通信相手となるユーザとの前記複数の通信手段による通信の可否を確認する確認部をさらに備え、
前記確認部は、前記パーミッションリストに登録されている前記ユーザリストでは通信拒否するように設定された通信手段による接続要求を受けた場合、接続要求を受けたユーザに対して、前記通信手段による通信を許可するか否かを確認し、
前記更新部は、前記ユーザリストの設定と異なる設定がなされたとき、前記ユーザのユーザリストを更新する、請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記パーミッションリストに設定される各ユーザに対する前記通信手段ごとの通信の可否は、所定の通信手段による通信を許可する許可ステータスと、所定の通信手段による通信を許可する拒否ステータスと、所定の通信手段による通信の可否が未設定である未定ステータスと、により表される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
複数の通信手段によって通信可能に接続された他の情報処理装置から接続要求を受ける接続要求受信ステップと、
ユーザごとに前記複数の通信手段についてそれぞれ通信の可否が設定されたパーミッションリストを参照し、前記接続要求を送信した他の情報処理装置のユーザを特定するユーザIDおよび接続を要求する通信手段に基づいて、前記他の情報処理装置からの前記通信手段による接続可否を判定する判定ステップと、
前記他の情報処理装置との前記通信手段ごとの通信可否状況に応じて、前記パーミッションリストを自動更新する更新ステップと、
を含む、通信方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2010−124426(P2010−124426A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298566(P2008−298566)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】