説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】公共交通機関等を利用する利用者の利便性を向上させることが可能な情報処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置110は、ワイヤレス通信により外部との通信を行うための通信手段111と、利用者が入力を行うための入力手段112とを備え、前記入力手段112によって入力される利用者の指示に応答して、前記通信手段111は、当該利用者が利用している場所に空きが発生することを示す空き発生情報を外部に送信し、座席等の空き情報を、空きを待っているユーザに対して効率的に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共交通機関等を利用する利用者の利便性を向上させることが可能な情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車やバス等の公共交通機関の座席は、そのすべてが指定席の場合もあるが、通常は、その一部又は全部が、座席予約することができない自由席である。この場合、利用者は、空いている席を自由に選択して座ることになる一方で、空いている席がない場合は、席が空くまで立っていることになる。そして、通常は、この状態が常に(例えば、出発点から終着点まで)継続するのではなく、座席に着いている利用者が、途中の駅や停留所で降車すると空席ができ、できた空席にそれまで立っていた利用者が座ることになる。
【0003】
ところで、現在、座っている利用者がどこで降車するかは、通常は、他の利用者にはわからず、他の利用者は、例えば、駅に停車する直前に利用者が席を立った段階で初めて席が空くことがわかることになる。そのため、例えば、立っている利用者からやや離れた位置で空席が発生した場合等には、立っている利用者が席が空いたことに気づかず、空席があっても利用されないという事態が生じることにもなっていた。また、空席が発生したら着席したいと思っている利用者は、例えば、駅に停車するたびに、必ずしも発生するとは限らない空席を探し回ることにもなっていた。
【0004】
なお、特開平7−319981号公報には、中央局に特定車輌の空席状況を問い合わせ、前記中央局から送信された座席状況の情報を受信して表示する表示入力装置を駅内に設けた座席状況管理システムが開示されている。また、特開平7−6272号公報には、複数の客席の位置と対応させて配置した複数のランプを備え、客席に客が着席すると、客が着席した各客席の位置と対応するランプのみを点灯させてその数と位置を表示する表示部を備えた客席管理装置が開示されている。
【特許文献1】特開平7−319981号公報
【特許文献2】特開平7−6272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、公共交通機関等を利用する利用者の利便性を向上させることが可能な情報処理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、利用者が利用している場所(例えば、座席)に間もなく空きが発生することを示す空き発生情報を他の利用者に送信することにより、他の利用者に、間もなく空きが発生することを通知できるようにする。
【0007】
すなわち、本発明によれば、
ワイヤレス通信により外部との通信を行うための通信手段と、
利用者が入力を行うための入力手段と
を備え、
前記入力手段によって入力される利用者の指示に応答して、前記通信手段は、当該利用者が利用している場所に空きが発生することを示す空き発生情報を外部に送信する
情報処理装置が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、
ワイヤレス通信により外部との通信を行うための通信手段と、
利用者が入力を行うための入力手段と、
現在位置を検出する位置検出手段と
を備え、
前記位置検出手段によって検出された現在位置と、前記入力手段によって予め入力された空き発生予定位置とを比較して、両者の距離が予め定めた値以下になると、前記通信手段は、利用者が利用している場所に空きが発生することを示す空き発生情報を外部に送信する
情報処理装置が提供される。
【0009】
この場合、前記通信手段は、前記空き発生情報と共に、前記現在位置を示す空き位置情報を外部に送信することができる。更に、前記通信手段は、前記空き位置情報を外部から受信し、前記位置検出手段は、外部から受信した前記空き位置情報と、自己が検出した現在位置情報とから、前記空き発生情報及び空き位置情報を発信した情報処理装置の位置を検出することができる。
【0010】
また、本発明によれば、
ワイヤレス通信により外部との通信を行うための通信手段と、
利用者が入力を行うための入力手段と、
現在時刻を検出する時刻検出手段と
を備え、
前記時刻検出手段によって検出された現在時刻と、前記入力手段によって予め入力された空き発生予定時刻とを比較して、両者の差が予め定めた値以下になると、前記通信手段は、利用者が利用している場所に空きが発生することを示す空き発生情報を外部に送信する
情報処理装置が提供される。
【0011】
以上の情報処理装置は、前記通信手段による前記空き発生情報の通知履歴を管理する通知履歴管理手段を更に備えることができ、前記通信手段は、利用者からの指示に応答して、前記通知履歴手段が管理する通知履歴を外部に送信することができる。
【0012】
また、以上の情報処理装置は、前記空き発生情報の通知先を決定する通知先決定手段を更に備えることができ、前記通信手段は、通知履歴情報を外部から受信し、前記通知先決定手段は、外部から受信した通知履歴情報に応答して、前記通知先を決定することができる。
【0013】
また、本発明によれば、
情報処理装置に対し、前記各機能手段を実現させる装置実行可能なプログラムが提供される。当該プログラムは、例えば、各種可搬記録媒体に記録して頒布したり、各種ネットワークを介して頒布したりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示した実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるわけではない。
【0015】
《第一実施形態》
図1は、本発明の一実施形態が利用される空席発生情報通知システムの構成例を示す図である。当該空席発生情報通知システムは、ある公共交通機関(ここでは、列車とする)を利用するある利用者(乗客)が間もなく降車し、空席が発生することを、同じ列車に乗車する他の利用者(乗客)に通知することが可能なシステムである。
【0016】
図1に示すように、空席発生情報通知システム100は、複数(同図の例では2台)の携帯端末110によって構成される。
【0017】
携帯端末110は、空席発生情報通知システム100を利用する利用者によって携帯される情報処理装置であって、例えば、CPU、ROM、RAM、無線インタフェース部等を備え、携帯電話や携帯情報端末(PDA)として実装される。また、携帯端末110は、図1に示すように、その機能構成として、通信部111と、ユーザインタフェース(UI)部112とを備える。
【0018】
通信部111は、他の携帯端末110との通信を可能とするものであり、例えば、当該通信部111を介して、当該携帯端末110を携帯する利用者が間もなく降車し、空席が発生することが、他の携帯端末110に通知される。通信部111が利用する通信インタフェースとしては、例えば、Bluetooth(登録商標)等のワイヤレス通信インタフェースが挙げられる。ワイヤレス通信インタフェースとしては、Bluetooth(登録商標)の他、IEEE802.11a〜IEEE802.11n、IEEE802.15等に規定されるUWB、IrDA等を使用することができる。
【0019】
ユーザインタフェース部112は、利用者からの指示等を入力したり、利用者に対して各種情報を提示したりするものであり、入力キー等の入力装置及び液晶ディスプレイ等の表示装置によって構成される。
【0020】
次に、以上のような構成を有する空席発生情報通知システム100の動作について説明する。
【0021】
図2は、空席発生情報通知システム100の動作を説明するための図である。
【0022】
図2に示すように、席に座っている利用者201は、携帯端末110aを携帯し、立っている利用者202は、携帯端末110bを携帯している。携帯端末110a,110bは、それぞれ、図1に示した携帯端末110と同様の構成を有するものである。
【0023】
現在、座席に座っている利用者201が、例えば、車内アナウンス等によって自分が降車する駅が近づいたことを認識すると、間もなく空席が発生することを他の利用者に通知するよう、ユーザインタフェース部112を介して自分が携帯する携帯端末110aに指示する。当該指示を受けると、携帯端末110aは、通信部111を介して、間もなく空席が発生することを他の利用者に通知するための情報(空席発生情報)を他の携帯端末110bに対して送信する。空席発生情報の通知は、例えば、一定期間、定期的に行われる。
【0024】
一方、現在、席に座っていない利用者202が、例えば、車内アナウンス等によって停車駅が近づいたことを認識すると、間もなく発生する空席が存在するか否かを調べるよう、ユーザインタフェース部112を介して自分が携帯する携帯端末110bに指示する。当該指示を受けた携帯端末110bは、通信部111を介して、他の携帯端末110aから発信された空席発生情報を受信すると、間もなく空席が発生することを、ユーザインタフェース部112を介して、利用者202に通知する。当該通知は、例えば、ユーザインタフェース部112の表示画面に、間もなく空席が発生する旨のメッセージを表示させることで行われる。当該通知を受けた利用者202は、間もなく空席が発生することを認識することができ、荷物をまとめるなど空席の発生に対して予め準備をすることが可能となる。
【0025】
《第二実施形態》
図3は、空席発生情報通知システムの別の実施形態の構成を示す図である。当該空席発生情報通知システムは、ある利用者(乗客)が予め登録した降車予定駅に近づくと、当該利用者が間もなく降車し、空席が発生することが他の利用者(乗客)に通知されるシステムである。
【0026】
図3に示すように、空席発生情報通知システム300は、複数(同図の例では2台)の携帯端末310によって構成される。
【0027】
携帯端末310は、空席発生情報通知システム300を利用する利用者によって携帯される情報処理装置であって、例えば、CPU、ROM、RAM、無線インタフェース部等を備え、携帯電話やPDAとして実装される。また、携帯端末310は、図3に示すように、その機能構成として、通信部311と、ユーザインタフェース(UI)部312と、位置検出部313とを備える。
【0028】
通信部311は、他の携帯端末310との通信を可能とするものであり、例えば、当該通信部311を介して、当該携帯端末310を携帯する利用者が間もなく降車し、空席が発生することが、他の携帯端末310に通知される。通信部311が利用する通信インタフェースとしては、例えば、Bluetooth(登録商標)等のワイヤレス通信インタフェースが挙げられる。
【0029】
ユーザインタフェース部312は、利用者からの指示等を入力したり、利用者に対して各種情報を提示したりするものであり、入力キー等の入力装置及び液晶ディスプレイ等の表示装置によって構成される。
【0030】
位置検出部313は、携帯端末310の現在位置を検出するものであり、例えば、GPS(Global Positioning
System:全地球測位システム)を利用して、現在位置を検出する。更に、位置検出部313は、利用者がユーザインタフェース部312を介して予め登録した降車予定位置と、現在位置とを比較し、降車予定位置に近づいていると判断すると(例えば、両者の距離が予め定められた値以下になると)、間もなく空席が発生することを他の利用者に通知するための空席発生情報を他の携帯端末310に対して送信するよう、通信部311に指示する。
【0031】
次に、以上のような構成を有する空席発生情報通知システム300の動作について説明する。
【0032】
図4は、空席発生情報通知システム300の動作を説明するための図である。
【0033】
図4に示すように、席に座っている利用者401は、携帯端末310aを携帯し、立っている利用者402は、携帯端末310bを携帯している。携帯端末310a,310bは、それぞれ、図3に示した携帯端末310と同様の構成を有するものである。
【0034】
まず、現在、座席に座っている利用者401が、ユーザインタフェース部312を介して自分が降車する駅の位置(降車予定位置)を携帯端末310aに登録する。降車予定位置の登録がされると、携帯端末310aは,位置検出部313によって、例えば、GPS衛星410から受信した信号(電波)に基づいて現在位置を検出すると共に、検出された現在位置と登録された降車予定位置とを比較して、降車予定位置が近づいているか否か、すなわち、両者の距離が予め定められた値以下になっているか否かを調べる。当該処理は定期的に行われ、現在位置と降車予定位置との距離が予め定められた値以下になると、携帯端末310aは、通信部311を介して、空席発生情報を他の携帯端末310bに対して送信する。空席発生情報の通知は、例えば、一定期間、定期的に行われる。
【0035】
一方、現在、席に座っていない利用者402が、例えば、車内アナウンス等によって停車駅が近づいたことを認識すると、間もなく発生する空席が存在するか否かを調べるよう、ユーザインタフェース部312を介して自分が携帯する携帯端末310bに指示する。当該指示を受けた携帯端末310bは、通信部311を介して、他の携帯端末310aから発信された空席発生情報を受信すると、間もなく空席が発生することを、ユーザインタフェース部312を介して、利用者402に通知する。例えば、ユーザインタフェース部312の表示画面に、間もなく空席が発生する旨のメッセージが表示される。当該通知を受けた利用者402は、間もなく空席が発生することを認識することができ、荷物をまとめるなど空席の発生に対して予め準備をすることが可能となる。
《第三実施形態》
図5は、空席発生情報通知システムの別の実施形態の構成を示す図である。当該空席発生情報通知システムは、ある利用者(乗客)が予め登録した降車予定時刻が近づくと、当該利用者が間もなく降車し、空席が発生することが他の利用者(乗客)に通知されるシステムである。
【0036】
図5に示すように、空席発生情報通知システム500は、複数(同図の例では2台)の携帯端末510によって構成される。
【0037】
携帯端末510は、空席発生情報通知システム500を利用する利用者によって携帯される情報処理装置であって、例えば、CPU、ROM、RAM、無線インタフェース部等を備え、携帯電話やPDAとして実装される。また、携帯端末510は、図5に示すように、その機能構成として、通信部511と、ユーザインタフェース(UI)部512と、時刻検出部513とを備える。
【0038】
通信部511は、他の携帯端末510との通信を可能とするものであり、例えば、当該通信部511を介して、当該携帯端末510を携帯する利用者が間もなく降車し、空席が発生することが、他の携帯端末510に通知される。通信部511が利用する通信インタフェースとしては、例えば、Bluetooth(登録商標)等のワイヤレス通信インタフェースが挙げられる。
【0039】
ユーザインタフェース部512は、利用者からの指示等を入力したり、利用者に対して各種情報を提示したりするものであり、入力キー等の入力装置及び液晶ディスプレイ等の表示装置によって構成される。
【0040】
時刻検出部513は、現在の時刻を検出するものであり、例えば、現在の日時を管理するRTC(Real Time
Clock)によって構成される。更に、時刻検出部513は、利用者がユーザインタフェース部512を介して予め登録した降車予定時刻と、現在の時刻とを比較し、降車予定時刻が近づいていると判断すると(例えば、両者の差が予め定められた値以下になると)、間もなく空席が発生することを他の利用者に通知するための空席発生情報を他の携帯端末510に対して送信するよう、通信部511に指示する。
【0041】
次に、以上のような構成を有する空席発生情報通知システム500の動作について説明する。
【0042】
図6は、空席発生情報通知システム500の動作を説明するための図である。
【0043】
図6に示すように、席に座っている利用者601は、携帯端末510aを携帯し、立っている利用者602は、携帯端末510bを携帯している。携帯端末510a,510bは、それぞれ、図5に示した携帯端末510と同様の構成を有するものである。
【0044】
まず、現在、座席に座っている利用者601が、ユーザインタフェース部512を介して自分が降車する時刻(降車予定時刻)を携帯端末510aに登録する。降車予定時刻の登録がされると、携帯端末510aは,時刻検出部513によって、現在時刻を検出すると共に、検出された現在時刻と登録された降車予定時刻とを比較して、降車予定時刻が近づいているか否か、すなわち、両者の差が予め定められた値以下になっているか否かを調べる。当該処理は定期的に行われ、現在時刻と降車予定時刻との差が予め定められた値以下になると、携帯端末510aは、通信部511を介して、空席発生情報を他の携帯端末510bに対して送信する。空席発生情報の通知は、例えば、一定時間、定期的に行われる。
【0045】
一方、現在、席に座っていない利用者602が、例えば、車内アナウンス等によって停車駅が近づいたことを認識すると、間もなく発生する空席が存在するか否かを調べるよう、ユーザインタフェース部512を介して自分が携帯する携帯端末510bに指示する。当該指示を受けた携帯端末510bは、通信部511を介して、他の携帯端末510aから発信された空席発生情報を受信すると、間もなく空席が発生することを、ユーザインタフェース部512を介して、利用者602に通知する。例えば、ユーザインタフェース部512の表示画面に、間もなく空席が発生する旨のメッセージが表示される。当該通知を受けた利用者602は、間もなく空席が発生することを認識することができ、荷物をまとめるなど空席の発生に対して予め準備をすることが可能となる。
【0046】
《第四実施形態》
図7は、空席発生情報通知システムの別の実施形態の構成を示す図である。当該空席発生情報通知システムは、ある利用者(乗客)が間もなく降車し、空席が発生すること、及び、当該利用者の位置情報を他の利用者(乗客)に通知することが可能なシステムである。
【0047】
図7に示すように、空席発生情報通知システム700は、複数(同図の例では2台)の携帯端末710によって構成される。
【0048】
携帯端末710は、空席発生情報通知システム700を利用する利用者によって携帯される情報処理装置であって、例えば、CPU、ROM、RAM、無線インタフェース部等を備え、携帯電話やPDAとして実装される。また、携帯端末710は、図7に示すように、その機能構成として、通信部711と、ユーザインタフェース(UI)部712と、位置検出部713とを備える。
【0049】
通信部711は、他の携帯端末710との通信を可能とするものであり、例えば、当該通信部711を介して、当該携帯端末710を携帯する利用者が間もなく降車し、空席が発生することが、他の携帯端末710に通知される。通信部711が利用する通信インタフェースとしては、例えば、Bluetooth(登録商標)等のワイヤレス通信インタフェースが挙げられる。
【0050】
ユーザインタフェース部712は、利用者からの指示等を入力したり、利用者に対して各種情報を提示したりするものであり、入力キー等の入力装置及び液晶ディスプレイ等の表示装置によって構成される。
【0051】
位置検出部713は、携帯端末710の現在位置を検出するものであり、例えば、GPSを利用して、現在位置を検出する。更に、位置検出部713は、利用者がユーザインタフェース部712を介して予め登録した降車予定位置と、現在位置とを比較し、降車予定位置が近づいていると判断すると(例えば、両者の距離が予め定められた値以下になると)、間もなく空席が発生することを他の利用者に通知するための空席発生情報、及び、当該携帯端末の現在位置(すなわち、空席が発生する位置)を示す情報(空席位置情報)を他の携帯端末710に対して送信するよう、通信部711に指示する。更に、位置検出部713は、他の携帯端末710から受信した空席位置情報に基づいて、空席発生情報及び空席位置情報を発信した携帯端末710の位置を検出(特定)する。例えば、他の携帯端末710から受信した空席位置情報と、自己が検出した現在位置情報とから、空席発生情報及び空席位置情報を発信した携帯端末710の位置(相対位置)を検出(特定)する。
【0052】
次に、以上のような構成を有する空席発生情報通知システム700の動作について説明する。
【0053】
図8は、空席発生情報通知システム700の動作を説明するための図である。
【0054】
図8に示すように、席に座っている利用者801は、携帯端末710aを携帯し、立っている利用者802は、携帯端末710bを携帯している。携帯端末710a,710bは、それぞれ、図7に示した携帯端末710と同様の構成を有するものである。
【0055】
まず、現在、座席に座っている利用者801が、ユーザインタフェース部712を介して自分が降車する駅の位置(降車予定位置)を携帯端末710aに登録する。降車予定位置の登録がされると、携帯端末710aは,位置検出部713によって、例えば、GPS衛星810から受信した信号(電波)に基づいて現在位置を検出すると共に、検出された現在位置と登録された降車予定位置とを比較して、降車予定位置が近づいているか否か、すなわち、両者の距離が予め定められた値以下になっているか否かを調べる。当該処理は定期的に行われ、現在位置と降車予定位置との距離が予め定められた値以下になると、携帯端末710aは、通信部711を介して、空席発生情報及び空席位置情報を他の携帯端末710bに対して送信する。空席発生情報及び空席位置情報の通知は、例えば、一定時間、定期的に行われる。
【0056】
一方、現在、席に座っていない利用者802が、例えば、車内アナウンス等によって停車駅が近づいたことを認識すると、間もなく発生する空席が存在するか否かを調べるよう、ユーザインタフェース部712を介して自分が携帯する携帯端末710bに指示する。当該指示を受けた携帯端末710bは、通信部711を介して、他の携帯端末710aから発信された空席発生情報及び空席位置情報を受信すると、まず、位置検出部713によって、携帯端末710aの位置(携帯端末710bからの相対位置)を検出(特定)し、次に、間もなく空席が発生すること、及び、その位置を、ユーザインタフェース部712を介して、利用者802に通知する。例えば、ユーザインタフェース部712の表示画面に、空席が発生する旨及びその位置が表示される。当該通知を受けた利用者802は、間もなく空席が発生することと、その位置を認識することができ、荷物をまとめたり、空席となる席の近くに移動するなど空席の発生に対して予め準備をすることが可能となる。
【0057】
《第五実施形態》
図9は、空席発生情報通知システムの別の実施形態の構成を示す図である。当該空席発生情報通知システムは、ある利用者(乗客)が間もなく降車し、空席が発生すること等を他の特定の利用者(乗客)に通知することが可能なシステムである。
【0058】
図9に示すように、空席発生情報通知システム900は、複数(同図の例では2台)の携帯端末910によって構成される。
【0059】
携帯端末910は、空席発生情報通知システム900を利用する利用者によって携帯される情報処理装置であって、例えば、CPU、ROM、RAM、無線インタフェース部等を備え、携帯電話やPDAとして実装される。また、携帯端末910は、図9に示すように、その機能構成として、通信部911と、ユーザインタフェース(UI)部912と、位置検出部913と、通知履歴管理部914と、通知先決定部915とを備える。
【0060】
通信部911は、他の携帯端末910との通信を可能とするものであり、例えば、当該通信部911を介して、当該携帯端末910を携帯する利用者が間もなく降車し、空席が発生することが、他の携帯端末910に通知される。通信部911が利用する通信インタフェースとしては、例えば、Bluetooth(登録商標)等のワイヤレス通信インタフェースが挙げられる。
【0061】
ユーザインタフェース部912は、利用者からの指示等を入力したり、利用者に対して各種情報を提示したりするものであり、入力キー等の入力装置及び液晶ディスプレイ等の表示装置によって構成される。
【0062】
位置検出部913は、携帯端末910の現在位置を検出するものであり、例えば、GPSを利用して、現在位置を検出する。更に、位置検出部913は、利用者がユーザインタフェース部912を介して予め登録した降車予定位置と、現在位置とを比較し、降車予定位置が近づいていると判断すると(例えば、両者の距離が予め定められた値以下になると)、間もなく空席が発生することを他の利用者に通知するための空席発生情報、及び、当該携帯端末の現在位置を示す情報(空席位置情報)を他の携帯端末910に対して送信するよう、通信部911に指示する。更に、位置検出部913は、他の携帯端末910から受信した空席位置情報に基づいて、空席発生情報及び空席位置情報を発信した携帯端末910の位置を検出(特定)する。例えば、他の携帯端末910から受信した空席位置情報と、自己が検出した現在位置情報とから、空席発生情報及び空席位置情報を発信した携帯端末910の位置(相対位置)を検出(特定)する。
【0063】
通知履歴管理部914は、これまで、他の携帯端末910に対して、空席発生情報等を通知した履歴情報(通知回数等)を管理するものである。通知履歴管理部914によって管理される通知履歴情報は、間もなく発生する空席が存在するか否かを調べる際に、通信部911を介して、他の携帯端末910に送信される。例えば、当該履歴情報は、利用者が、シルバー・シートや優先席を譲った回数などとしてユーザが手入力することができるし、シルバー・シートや優先席付近にICタグ、バーコード、QRコードなどのカウントアップ装置を設置しておき、利用者が過去にシルバー・シートや優先席を譲った場合に、カウントアップ装置を介して通知履歴管理部914に登録された履歴情報をインクリメントさせることができる。
【0064】
通知先決定部915は、空席発生情報及び空席位置情報の送信を行う前に、他の携帯端末910から通知される通知履歴情報に基づいて、空席発生情報及び空席位置情報の送信を行う特定の携帯端末910の決定を行うものである。例えば、同種の機能を有する複数の携帯端末910から応答があった場合、通知先決定部は、応答回収時間だけ通知履歴情報および携帯端末識別値を含む応答を回収し、最も高い通知履歴情報を有する携帯端末910を識別する。その後、受信した通知履歴情報を含むセッション確立通知を送付する。携帯端末910は、当該通知履歴情報を含むセッション確立通知を受領し、自己の通知履歴情報と比較を行い、自己がセッションを確立したものと判断し、その後の処理を実行する。なお、他の携帯端末910は、当該通知履歴情報が自己のものではないと判断し、セッション確立を失敗したものと判断して、応答セッションを終了させる。なお、他の実施形態では、端末識別値を使用して、通知履歴情報を使用するセッション確立の処理を行うことができる。この他、通知については、ワイヤレス通信ではなく、電子メールなどを使用することもできる。この場合、応答するためのパケットには、携帯端末910の電子メール・アドレスを含ませておけばよい。
【0065】
すなわち、通知先決定部915は、ワイヤレス通信のセッション確立プロトコルを、(1)プローブ要求およびプローブ応答により開始させ、次いで(2)通知履歴情報によりセッションを確立する携帯端末を識別し、(3)セッションを確立するべき携帯端末が、自己が選択されたことを識別可能な情報を含ませて通信するセッション確立プロトコルを採用し、通知履歴情報を使用した先着順ではないセッション確立を可能とする。
【0066】
次に、以上のような構成を有する空席発生情報通知システム900の動作について説明する。
【0067】
図10は、空席発生情報通知システム900の動作を説明するための図である。
【0068】
図10に示すように、席に座っている利用者1001は、携帯端末910aを携帯し、立っている利用者1002,1003は、携帯端末910b,910cを携帯している。携帯端末910a,910b,910cは、それぞれ、図9に示した携帯端末910と同様の構成を有するものである。
【0069】
まず、現在、座席に座っている利用者1001が、ユーザインタフェース部912を介して自分が降車する駅の位置(降車予定位置)を携帯端末910aに登録する。降車予定位置の登録がされると、携帯端末910aは,位置検出部913によって、例えば、GPS衛星(不図示)から受信した信号(電波)に基づいて現在位置を検出すると共に、検出された現在位置と登録された降車予定位置とを比較して、降車予定位置が近づいているか否か、すなわち、両者の距離が予め定められた値以下になっているか否かを調べる。当該処理は定期的に行われ、現在位置と降車予定位置との距離が予め定められた値以下になると、携帯端末910aは、通知先決定部915に対して、空席発生情報及び空席位置情報の通知先を決定するよう指示し、他の携帯端末910b,910cから、通知履歴情報が送信されてくるのを待つ。
【0070】
一方、現在、席に座っていない利用者1002,1003が、例えば、車内アナウンス等によって停車駅が近づいたことを認識すると、間もなく発生する空席が存在するか否かを調べるよう、ユーザインタフェース部912を介して自分が携帯する携帯端末910b,910cに指示する。当該指示を受けた携帯端末910b,910cは、通信部911を介して、通知履歴管理部914が管理する通知履歴情報を他の携帯端末910aに送信する。
【0071】
携帯端末910aは、携帯端末910b,910cから通知履歴情報を受信すると、通知先決定部915によって、空席発生情報及び空席位置情報を通知する通知先を決定する。通知先決定部915は、例えば、携帯端末910b,910cから受信した通知履歴情報を比較して、これまでに他の携帯端末に空席発生情報等を通知した回数が一番多い携帯端末(ここでは、携帯端末910bとする)を、通知先として決定する。通知先決定部915によって通知先が決定されると、携帯端末910aは、通信部911を介して、通知先として決定された携帯端末910bに対して、空席発生情報及び空席位置情報を送信する。当該送信に伴い、携帯端末910aの通知履歴管理部914は、自己が管理する通知履歴情報を更新する。
【0072】
携帯端末910bは、通信部911を介して、他の携帯端末910aから発信された空席発生情報及び空席位置情報を受信すると、まず、位置検出部913によって、携帯端末910aの位置(携帯端末910bからの相対位置)を検出(特定)し、次に、間もなく空席が発生すること、及び、その位置を、ユーザインタフェース部912を介して、利用者1002に通知する。例えば、ユーザインタフェース部912の表示画面に、空席が発生する旨及びその位置が表示される。当該通知を受けた利用者1002は、間もなく空席が発生することと、その位置を認識することができ、荷物をまとめたり、空席となる席の近くに移動するなど空席の発生に対して予め準備をすることが可能となる。
【0073】
また、第五実施形態では、例えば、これまでの通知回数が多い利用者に優先的に空席発生情報等を通知することにより、通知回数が多い方が空席発生情報等の通知を受けやすくすることができるので、空席発生情報等を他の利用者に通知しようとする利用者の数の増大が期待できるようになる。更に、通知履歴情報を、いわゆるポイントとして管理し(例えば、一回通知する毎に1ポイント発生)、溜まったポイントに応じて利用者に様々なサービスを提供するようにすることも考えられる。
【0074】
以上説明したように、上述した実施形態によれば、ある利用者が間もなく降車して、空席が発生することを、他の利用者が予め知ることができるようになるので、空席を効率よく利用できるようになり、利用者の利便性が向上する。
【0075】
なお、上述した実施形態では、列車の空席発生情報等の通知について説明しているが、勿論、路線バス等の他の公共交通機関の空席発生情報等の通知に利用することもできる。また、例えば、時間貸し駐車場の空き発生情報等の通知に、本発明を利用することも考えられる。この場合、例えば、利用者が予め登録した駐車場を出る時刻(出場予定時刻)が近づくと、当該利用者が駐車していた駐車スペースが間もなく空くことを示す空き発生情報等が、当該利用者の携帯する携帯端末や自動車に装着された専用装置から、他の利用者に通知されることになる。
【0076】
また、上述した実施形態の各機能は、C、Visual C、C++、Visual C++、Java(登録商標)、Java(登録商標)Beans、Java(登録商標)Applet、Java(登録商標)Script、Perl、Rubyなど、レガシーブログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、装置可読な記録媒体またはウェブページからのHTMLまたはFTPなどのファイルダウンロード・プロトコルを使用した伝送媒体として頒布することができる。
【0077】
これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態が利用される空席発生情報通知システムの構成例を示す図。
【図2】空席発生情報通知システムの動作を説明するための図。
【図3】空席発生情報通知システムの別の実施形態の構成を示す図。
【図4】空席発生情報通知システムの動作を説明するための図。
【図5】空席発生情報通知システムの別の実施形態の構成を示す図。
【図6】空席発生情報通知システムの動作を説明するための図。
【図7】空席発生情報通知システムの別の実施形態の構成を示す図。
【図8】空席発生情報通知システムの動作を説明するための図。
【図9】空席発生情報通知システムの別の実施形態の構成を示す図。
【図10】空席発生情報通知システムの動作を説明するための図。
【符号の説明】
【0079】
100…空席発生情報通知システム、110,110a,110b…携帯端末、111…通信部、112…ユーザインタフェース部、201,202…利用者(乗客)、300…空席発生情報通知システム、310,310a,310b…携帯端末、311…通信部、312…ユーザインタフェース部、313…位置検出部、401,402…利用者(乗客)、410…GPS衛星、500…空席発生情報通知システム、510,510a,510b…携帯端末、511…通信部、512…ユーザインタフェース部、513…時刻検出部、601,602…利用者(乗客)、700…空席発生情報通知システム、710,710a,710b…携帯端末、711…通信部、712…ユーザインタフェース部、713…位置検出部、801,802…利用者(乗客)、810…GPS衛星、900…空席発生情報通知システム、910,910a,910b,910c…携帯端末、911…通信部、912…ユーザインタフェース部、913…位置検出部、914…通知履歴管理部、915…通知先決定部、1001,1002,1003…利用者(乗客)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信により外部との通信を行うための通信手段と、
利用者が入力を行うための入力手段と
を備え、
前記入力手段によって入力される利用者の指示に応答して、前記通信手段は、当該利用者が利用している場所に空きが発生することを示す空き発生情報を外部に送信する、情報処理装置。
【請求項2】
ワイヤレス通信により外部との通信を行うための通信手段と、
利用者が入力を行うための入力手段と、
現在位置を検出する位置検出手段と
を備え、
前記位置検出手段によって検出された現在位置と、前記入力手段によって予め入力された空き発生予定位置とを比較して、両者の距離が予め定めた値以下になると、前記通信手段は、利用者が利用している場所に空きが発生することを示す空き発生情報を外部に送信する
情報処理装置。
【請求項3】
前記通信手段は、前記空き発生情報と共に、前記現在位置を示す空き位置情報を外部に送信する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通信手段は、前記空き位置情報を外部から受信し、
前記位置検出手段は、外部から受信した前記空き位置情報と、自己が検出した現在位置情報とから、前記空き発生情報及び空き位置情報を発信した情報処理装置の位置を検出する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ワイヤレス通信により外部との通信を行うための通信手段と、
利用者が入力を行うための入力手段と、
現在時刻を検出する時刻検出手段と
を備え、
前記時刻検出手段によって検出された現在時刻と、前記入力手段によって予め入力された空き発生予定時刻とを比較して、両者の差が予め定めた値以下になると、前記通信手段は、利用者が利用している場所に空きが発生することを示す空き発生情報を外部に送信する、情報処理装置。
【請求項6】
前記通信手段による前記空き発生情報の通知履歴を管理する通知履歴管理手段を更に備え、
前記通信手段は、利用者からの指示に応答して、前記通知履歴手段が管理する通知履歴を外部に送信する
請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記空き発生情報の通知先を決定する通知先決定手段を更に備え、
前記通信手段は、通知履歴情報を外部から受信し、
前記通知先決定手段は、外部から受信した通知履歴情報に応答して、前記通知先を決定する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置に対し、前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の機能手段を実現させる、装置実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−233945(P2008−233945A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67964(P2007−67964)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】