説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】会議において利用された文書情報に対するアクセス権の設定を、予め定めた条件に従って機械的に行うこと。
【解決手段】会議ごとに、会議で使用されている機器の一覧と、その機器のいずれかを利用した利用者を特定する利用者識別情報とを、当該利用した機器が使用されている会議を特定する情報に関連づけて記録する。当該機器一覧に含まれる機器にて、予め定めた処理がなされた文書情報を、当該機器が使用されている会議を特定する情報に関連づけて保持し、当該保持された文書情報の要求を、要求者から受けて、当該文書情報に関連づけられた情報で特定される会議における機器を利用した利用者として、当該要求者が記録されている場合に、当該要求者に対して文書情報の取得を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
協調作業に使用するデータへの柔軟なアクセス制御を可能にした協調作業支援方法及びその装置を提供するため、セッション(協調作業#205)にアクセス制御を要する操作があるか否かを判断し、あればセッション情報など制御オブジェクトの操作の中からアクセス制御を要する操作に、ガーディアンへの問い合わせを行なう処理を組込み、また、その操作が、制御オブジェクトの生成指示かどうかを判断し、そうであれば、そのセッション(協調作業#205)にガーディアン(guardian#55)を割り当て、また要求オブジェクトの生成処理のときは、割り当てプログラムにより、その要求オブジェクト(user#14)から特定できるガーディアン(guardian#24)を割り当てる技術が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−153076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
会議において利用された文書情報に対するアクセス権の設定を、予め定めた条件に従って機械的に行うこと。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、情報処理装置であって、会議ごとに、会議で使用されている機器の一覧を記録する第1記録手段と、前記機器の一覧に含まれる機器のいずれかを利用した利用者を特定する利用者識別情報を、当該利用した機器が使用されている会議を特定する情報に関連づけて記録する第2記録手段と、前記機器一覧に含まれる機器にて、予め定めた処理がなされた文書情報を、当該機器が使用されている会議を特定する情報に関連づけて保持する文書情報保持手段と、前記文書情報保持手段に保持された文書情報の要求を、要求者となる利用者から受けて、前記要求された文書情報に関連づけられた情報で特定される会議における機器を利用した利用者として、当該要求者が記録されている場合に、当該要求者に対して文書情報の取得を許可する許可手段と、を含むこととしたものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の情報処理装置であって、前記第2記録手段は、利用者識別情報を記録する際に、当該利用者識別情報に記録の時点を表す情報を関連づけて記録し、前記許可手段は、前記要求された文書情報に関連づけられた会議を特定する情報を参照し、当該会議を特定する情報に関連づけられた利用者の記録のうち、記録の時点を表す情報が最も早い記録を取得し、機器を利用した利用者として、当該要求者が記録されており、かつ、要求の時点が、前記取得した記録に含まれる情報で表される記録の時点から、予め定めた時間以内である場合に、前記要求者に対して文書情報の取得を許可することとしたものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、プログラムであって、コンピュータを、会議ごとに、会議で使用されている機器の一覧を記録する第1記録手段と、前記機器の一覧に含まれる機器のいずれかを利用した利用者を特定する利用者識別情報を、当該利用した機器が使用されている会議を特定する情報に関連づけて記録する第2記録手段と、前記機器一覧に含まれる機器にて、予め定めた処理がなされた文書情報を、当該機器が使用されている会議を特定する情報に関連づけて保持する文書情報保持手段と、前記文書情報保持手段に保持された文書情報の要求を、要求者となる利用者から受けて、前記要求された文書情報に関連づけられた情報で特定される会議における機器を利用した利用者として、当該要求者が記録されている場合に、当該要求者に対して文書情報の取得を許可する許可手段と、として機能させることとしたものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1,3記載の発明によると、会議において利用された文書情報に対するアクセス権の設定が、予め定めた条件に従って機械的に行なわれる。
【0009】
請求項2記載の発明によると、会議開催の時点との関係で定められる条件に従って、会議において利用された文書情報に対するアクセス権の設定が機械的に行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置とその接続例を表すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が用いる会議データベースの内容例を表す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る情報処理装置に接続される機器の構成例を表すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る情報処理装置における処理の例を表すフローチャート図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が用いる参加者一覧記録の例を表す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が用いる機器一覧記録の例を表す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る情報処理装置における文書の記録の処理の例を表すフローチャート図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る情報処理装置における文書一覧記録の例を表す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る情報処理装置における文書のアクセス権設定の処理の例を表すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る情報処理装置1は、図1に例示するように、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを含んで構成されている。また、本実施の形態の情報処理装置1は、会議室などの設備に配された種々の装置(会議で使用される機器)2と、文書サーバ3とに接続される。ここで機器2は、会議室に予め配備された電子ボードなどのほか、会議参加者が会議の場に持ち込んだパーソナルコンピュータなどを含む。
【0012】
本実施の形態の情報処理装置1の制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等のプログラム制御デバイスであり、記憶部12に格納されたプログラムに従って動作する。この制御部11は、会議ごとに、会議で使用されている機器の一覧を記録する処理、この機器の一覧に含まれる機器のいずれかを利用した利用者を特定する利用者識別情報を、当該利用した機器が使用されている会議を特定する情報に関連づけて記録する処理、並びに、機器一覧に含まれる機器にて、予め定めた処理がなされた文書情報を、当該機器が使用されている会議を特定する情報に関連づけて保持する処理を実行する。また、保持されている文書情報の要求を、利用者(以下、要求者として区別する)から受けて、当該要求された文書情報に関連づけられた情報で特定される会議における機器を利用した利用者として、要求者が記録されている場合に、当該要求者に対して文書情報の取得を許可する。これら制御部11の具体的な処理の内容については後述する。
【0013】
記憶部12は、メモリデバイスなどであり制御部11によって実行されるプログラムを格納している。このプログラムは、DVD−ROM(Digital Versatile Disc-Read Only Memory)等のコンピュータ可読な記録媒体に格納された状態で提供され、この記憶部12に複写されたものであってもよい。また、この記憶部12は、制御部11のワークメモリとしても動作する。さらに本実施の形態では、この記憶部12には、図2に例示するように、会議ごとに設定された会議識別情報と、当該会議の参加予定者である利用者の利用者識別情報の一覧とを関連づけたエントリーを少なくとも一つ含む、会議データベースが予め格納されている。通信部13は、ネットワークインタフェース等であり、ネットワーク等の通信手段を介して、会議で使用される機器2との間で情報を送受する。
【0014】
各機器2は、図3に例示するように、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、認証部24と、機能部25とを少なくとも含む。ここで制御部21は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部22に格納されたプログラムに従って動作する。また記憶部22はメモリデバイスなどであり、制御部21によって実行されるプログラムを保持する。このプログラムも、DVD−ROM等のコンピュータ可読な記録媒体に格納された状態で提供され、この記憶部12に複写されたものであってもよい。
【0015】
通信部23は、ネットワークインタフェースなどであり、ネットワークなどの通信手段を介して情報処理装置1と通信可能に接続される。認証部24は、利用者を認証する手段であり、一例として電気的接点を接続せずにカードから情報を読み取る、非接触式のカードリーダーであってもよい。機器2がこのようなカードリーダーを備える場合、利用者はそれぞれ自らを特定する利用者識別情報を記録したカードを所持し、利用者は当該カードを機器2に備えられたカードリーダーにかざして認証を受ける。また認証部24の別の例はキーボードなどであり、利用者から利用者識別情報とパスワードなどとの入力を受け入れ、予め利用者識別情報とパスワードとを関連づけて記憶したパスワードデータベースを参照して、パスワードデータベースに関連づけて登録されている利用者識別情報とパスワードとに、入力された利用者識別情報とパスワードとが一致する場合に、認証が成功したものとしてもよい。
【0016】
機能部25は、機器2ごとの機能を提供するものであり、電子ボードであればタッチパネルなどであり、パーソナルコンピュータであればキーボードやディスプレイなどである。
【0017】
この機器2の制御部21は、認証部24で認証した利用者の利用者識別情報と、自らに固有な情報として予め設定されている機器識別情報とを情報処理装置1へ送信する。また制御部21は、情報処理装置1から会議識別情報の一覧を受信すると、当該一覧を図示しないディスプレイなどの表示部に出力するなどして、利用者に提示する。そして利用者が当該一覧から会議識別情報の一つを選択すると、当該選択された会議識別情報を情報処理装置1へ送信する。
【0018】
さらに会議で使用される機器2の少なくとも一つは、会議が終了したことを表す指示の入力を受け入れて、会議が終了したことを表す情報を情報処理装置1へ送信する。
【0019】
また機器2の制御部21は、機能部25において表示等、予め定めた処理がなされた文書情報について、当該文書情報を特定する情報(文書特定情報)と、自己を特定する機器識別情報とを情報処理装置1へ送信する。この文書特定情報は例えば文書情報の格納先を表すURL(Uniform Resource Locator)等でよい。一例として制御部21は、この文書情報を予め定めた文書サーバ3に蓄積させ、その格納先を表すURLを取得して、当該取得したURLを文書特定情報として、機器識別情報とともに情報処理装置1に送信することとすればよい。
【0020】
文書サーバ3は、CPU等の制御部と、記憶部と、ネットワークインタフェース等の通信部とを含んで構成される一般的なサーバ装置で構わない。この文書サーバ3の制御部は、文書情報を蓄積するべき旨の指示を受けて、文書情報を蓄積して保持する。またこの文書サーバ3は文書情報ごとの利用権限を表すアクセスコントロールリスト(ACL:Access Control List)を保持しており、文書情報が要求されると、要求元に利用権限があるか否かをこのアクセスコントロールリストを参照して判断する。そして利用権限があるとされた要求元に対しては文書情報を提供する。さらにこの文書サーバ3は後に述べるように、情報処理装置1からアクセスコントロールリストの書き換え指示を受けると、当該指示に従ってアクセスコントロールリストを書き換える。
【0021】
次に、情報処理装置1の制御部11の具体的処理について説明する。制御部11は、機器2から当該機器にて認証された利用者を特定する利用者識別情報と、機器識別情報とを受信して、図4に示す処理(参加処理)を開始する。すなわち制御部11は、受信した利用者識別情報を一覧に含むエントリーを、会議データベースから検索する(S1)。ここで会議のエントリーが複数見いだされたか否か(利用者識別情報で識別される利用者が複数の会議に参加予定であるか否か)を調べ(S2)、複数見いだされた場合はエントリーの会議識別情報を読み出して、利用者識別情報の受信元である機器2へその一覧を送信する(S3)。そして制御部11は、機器2から利用者が選択した会議識別情報を受信するまで待機する(S4)。
【0022】
制御部11は、処理S1にて見いだした会議のエントリーが単数である場合は当該エントリーを注目エントリーとし、また、処理S1にて見いだした会議のエントリーが複数である場合は処理S4で受信した会議識別情報を含むエントリーを注目エントリーとして、注目エントリーに係る会議が開始されているか否かを調べる(S5)。
【0023】
ここで会議の開始があったか否かは、開始されている会議の会議識別情報を保持するセッションデータベースを検索することで調べる。具体的にこの制御部11は、開始した会議の会議識別情報の一覧をセッションデータベースとして記憶部12に蓄積し、また会議の終了を検出したときには、当該終了した会議の会議識別情報をセッションデータベースから除く。
【0024】
処理S5において、注目エントリーに係る会議が開始されていなかった場合(注目エントリーに含まれる会議識別情報がセッションデータベースに格納されていなかった場合)は、制御部11は、会議の開始があったものと判断して、注目エントリーに含まれる会議識別情報をセッションデータベースに追加する(S6)。
【0025】
そして制御部11は、受信した利用者識別情報(後に述べる機器の一覧に含まれる機器のいずれかを利用した利用者を特定する情報)と、注目エントリーに含まれる会議識別情報(利用した機器が使用されている会議を表す情報)と、を関連づけて参加者一覧記録として記憶部12に格納する(S7)。なお処理S5において、注目エントリーに係る会議が開始されていた場合(注目エントリーに含まれる会議識別情報がセッションデータベースに格納されていた場合)は、制御部11はこの処理S7へ移行して処理を続ける。これにより、記憶部12には図5に例示するような参加者一覧記録が格納された状態となる。
【0026】
さらに制御部11は、注目エントリーに含まれる会議識別情報と、機器2から受信した機器識別情報とを関連づけて、機器一覧記録として記憶部12に格納し(S8)、処理を終了する。これにより、記憶部12には図6に例示するような機器一覧記録が格納された状態となる。
【0027】
なお処理S7,S8において、制御部11は、受信した利用者識別情報、または機器識別情報が既に参加者一覧記録、または機器一覧記録に格納されていた場合は、重複して格納しないよう制御してもよい。
【0028】
さらに制御部11は、機器2側から文書特定情報と機器識別情報とが受信されると、図7に示す処理(文書保持処理)を開始する。すなわち制御部11は、機器一覧記録を参照し、受信した機器識別情報に関連づけられた会議識別情報を検索する(S11)。ここで会議識別情報が見いだされたときには、当該見いだした会議識別情報と、受信した文書特定情報とを関連づけて、文書一覧記録として記憶部12に格納する(S12)。ここにおいても制御部11は、受信した文書特定情報が既に文書一覧記録に格納されていた場合は、重複して格納しないよう制御してもよい。なお、処理S11において受信した機器識別情報が機器一覧記録から見いだせなかった場合は、受信元の機器2にエラーを報知してもよいし、機器2に対して現在開催中の会議の一覧(例えばセッションデータベースに格納されている会議識別情報の一覧)を提供して、機器2の利用者に会議識別情報を選択させ、当該選択の結果を受けて、選択された会議識別情報と、受信元の機器2を表す機器識別情報とを関連づけて機器一覧記録に追記して、処理S12を実行してもよい。
【0029】
また制御部11は、処理S11で見いだした(機器2の利用者に選択させた場合、選択された)会議識別情報に関連づけて参加者一覧記録に格納されているいずれかの利用者識別情報を取得し(S13)、当該取得した利用者識別情報の利用者に対して、受信した情報で特定される文書情報の利用を許可する旨のアクセスコントロールリストを生成するよう文書サーバ3に指示する(S14)。
【0030】
文書サーバ3ではここで受信した指示に従って、受信した利用者識別情報で表される利用者を、受信した文書特定情報で特定される文書のオーナーとし、また当該利用者識別情報を利用許可者の一覧に含んだアクセスコントロールリストを生成して保持する(図8)。以降、文書サーバ3は、文書情報の要求を受けると、当該要求に係る文書情報のアクセスコントロールリストを参照し、要求を行った利用者の利用者識別情報が、利用許可者の一覧に含まれる場合にのみ、要求元に対して文書情報の実体情報を送信する。
【0031】
なお上記処理S13において制御部11が取得する利用者識別情報は、会議識別情報に関連づけて参加者一覧記録に格納されているものからランダムに選択して取得してもよいし、また通常、会議の主催者が最初に認証を受けるものと考えれば、処理S11で見いだした(機器2の利用者に選択させた場合、選択された)会議識別情報に関連づけられている最初に参加者一覧記録に記録された利用者識別情報を取得することとしてもよい。後者のように最先の参加者の利用者識別情報を用いる場合、会議主催者が文書のオーナーとして記録される。さらに、処理S13において制御部11が取得する利用者識別情報を、会議の参加者が選択できるようにしても構わない。この場合、文書情報のオーナーを参加者が変更できることとなる。
【0032】
制御部11は、さらに、通信部13を介して文書情報の取得要求を受信する。この取得要求は、機器一覧に記録されている機器2からであってもよいが、それに限られず、会議の場で使用されていなかったパーソナルコンピュータ(会議の際にはオフライン(通信可能に接続されていない)であってもよい)等からなされたものでもよい。
【0033】
この取得要求には、利用者を識別する利用者特定情報と、要求の対象となる文書情報を表す文書特定情報とが含まれる。すなわち、文書情報の取得要求を行う機器2はその利用者(要求者)を認証し、当該認証した要求者としての利用者を識別する利用者特定情報を情報処理装置1へ送信する。
【0034】
情報処理装置1の制御部11は、この取得要求を受けて図9に例示する処理を開始する。すなわち制御部11は、要求の対象となった文書情報を表す文書特定情報を、文書一覧記録から検索する(S21)。ここで文書一覧記録から文書特定情報が見いだされると、当該文書特定情報に関連づけられている会議識別情報を取得する(S22)。ここで取得される会議識別情報は必ずしも一つでなくてもよい。
【0035】
さらに制御部11は、処理S22で取得した会議識別情報に係る参加者一覧記録を参照して、参照した参加者一覧記録に、要求者の利用者特定情報が含まれているか否かを調べる(S23)。なお処理S22で取得した会議識別情報が複数である場合は、いずれかの会議識別情報に係る参加一覧記録に要求者の利用者特定情報が含まれていればよい。
【0036】
制御部11は、処理S23にて、参照した参加者一覧記録に、要求者の利用者特定情報が含まれていると判断すると、文書サーバ3に対し、取得要求に係る文書特定情報と要求者の利用者特定情報とを送信して、当該文書特定情報で特定される文書情報に関するアクセスコントロールリストの利用可能者に要求者を加えるよう指示して(要求者にアクセス権を付与:S24)、処理を終了する。
【0037】
なお制御部11は、処理S21にて文書特定情報を見いだせなかった場合、及び処理S23にて参照した参加者一覧記録に要求者の利用者特定情報が含まれていなかった場合には、要求者の機器2に対してエラーを報知する等して処理を終了する。
【0038】
さらに、本実施の形態の情報処理装置1の制御部11は、いずれかの機器2から会議を終了する旨の指示を受けると、当該指示の送信元の機器2に係る機器識別情報に関連づけられた会議識別情報を、機器一覧記録を参照して取得する。そして制御部11は、取得した会議識別情報をセッションデータベースから除去する。
【0039】
本実施の形態は、以上の構成を備えてなり、次のように動作する。以下の説明において、情報処理装置には予め、会議ごとに固有に設定された会議識別情報と、当該情報で特定される会議へ参加予定の利用者に係る利用者識別情報の一覧とが会議データベースとして保持されているものとする。一例として、ここでは会議識別情報「会議1」に対して参加予定者「A,B,C」が関連づけられ、会議識別情報「会議2」に対して参加予定者「A,D,E」が関連づけられているものとする。
【0040】
会議参加者は、それぞれ会議の場(必ずしも一箇所である必要はなく、複数拠点に分かれていても構わない)に来集し、それぞれ利用する機器2において認証の作業を行う。この認証の作業は既に述べたように、カードリーダーに利用者識別情報を記録したカードを読み込ませることで行ってもよい。
【0041】
各機器2では、認証した利用者の利用者識別情報と、自己に固有に設定されている機器識別情報とを情報処理装置1に送信する。一例として利用者「B」(以下「利用者B」のように略記する)が、機器(機器識別情報「X」、以下「機器X」のように略記する)にて利用者の認証を受けたとすると、機器Xが、利用者識別情報Bと、機器識別情報Xとを情報処理装置1へ送信する。
【0042】
情報処理装置1では、利用者識別情報Bと機器識別情報Xとを受信すると、利用者識別情報Bを含む会議のエントリーを会議データベースから検索する。ここでは会議識別情報「会議1」のエントリーが見いだされる。情報処理装置1では見いだされたエントリーが一つだけであるので、「会議1」のエントリーを注目エントリーとして、この会議識別情報「会議1」がセッションデータベースに格納されているか否かを調べる。ここでセッションデータベースに会議識別情報「会議1」が格納されていないと、情報処理装置1は、「会議1」が開始されたものとして、会議識別情報「会議1」をセッションデータベースに記録する。
【0043】
また情報処理装置1は、利用者Bの利用者識別情報「B」と、会議識別情報「会議1」とを関連づけて参加者一覧記録に記録し、機器Xの機器識別情報「X」を会議識別情報「会議1」に関連づけて機器一覧記録に記録する。
【0044】
さらに利用者Aが、機器Yにて利用者の認証を受けたとすると、機器Yが、利用者識別情報Aと、機器識別情報Yとを情報処理装置1へ送信する。情報処理装置1では利用者識別情報Aと機器識別情報Yとを受信し、利用者識別情報Aを含む会議のエントリーを会議データベースから検索する。ここでは会議識別情報「会議1」と「会議2」との複数のエントリーが見いだされる。そこで情報処理装置1では見いだされた複数のエントリーに係る会議識別情報の一覧を、利用者識別情報の受信元である機器Yへ送信する。
【0045】
機器Yでは、受信した一覧を利用者Aに提示して、いずれかを選択させる。ここで利用者Aが「会議1」を選択すると、機器Yは選択の結果である「会議1」を情報処理装置1に返信する。
【0046】
情報処理装置1では、利用者Aが選択した「会議1」の情報を受け入れ、セッションデータベースに会議識別情報「会議1」が格納されているか否かを調べる。ここではセッションデータベースに会議識別情報「会議1」が格納されていることとなっているので、情報処理装置1は、利用者Aの利用者識別情報「A」と、会議識別情報「会議1」とを関連づけて参加者一覧記録に記録し、機器Yの機器識別情報「Y」を会議識別情報「会議1」に関連づけて機器一覧記録に記録する。
【0047】
以下、参加予定であった利用者Cが参加しないまま会議が進行したとし、例えば利用者Bが文書情報αを機器Xを用いて表示させたとする。ここで「表示」が予め設定された処理に含まれているとすると、機器Xは文書情報αを文書サーバ3に格納させ、その格納場所を表すURL(「URL(α)」と記すこととする)を取得する。そして情報処理装置1に対して、機器識別情報Xとともに、文書特定情報としてのURL(α)を送信する。
【0048】
情報処理装置1では、機器一覧記録を参照し、受信した機器識別情報Xに関連づけられた会議識別情報を検索する。ここでは機器識別情報Xに対して会議識別情報「会議1」が関連づけられているので、「会議1」が見いだされる。情報処理装置1は、見いだした会議識別情報「会議1」と、受信した文書特定情報URL(α)とを関連づけて、文書一覧記録として記録しておく。さらに、情報処理装置1は、見いだした会議識別情報「会議1」に関連づけて、参加者一覧記録に格納されている、利用者識別情報のいずれかを取得する。ここでは最先に記録された利用者Bが取得されるものとする。
【0049】
情報処理装置1は、当該取得した利用者識別情報Bと文書情報特定情報URL(α)とを文書サーバ3に送信しアクセスコントロールリストを生成するよう文書サーバ3に指示する。文書サーバ3では当該指示に従い、利用者識別情報Bで表される利用者Bを、受信した文書特定情報URL(α)で特定される文書情報αのオーナーとする。また文書サーバ3では当該利用者識別情報Bを利用許可者の一覧に含めてアクセスコントロールリストを生成する。
【0050】
この段階で、利用者AまたはCが文書サーバ3に対して文書情報αを要求すると、文書サーバ3は、要求者の利用者識別情報AまたはCを参照し、これが文書情報αに対するアクセスコントロールリストの利用許可者の一覧に含まれていないので、文書情報αを利用者A,Cに提供しない。
【0051】
一方、利用者Aが任意の機器2を用いて文書情報αの取得要求を情報処理装置1へ送信すると、情報処理装置1は、要求の対象となった文書情報αを表す文書特定情報URL(α)を、文書一覧記録から検索する。ここでは文書一覧記録から「会議1」に関連づけられた文書特定情報URL(α)が見いだされるので、当該会議識別情報「会議1」を取得する。
【0052】
さらに情報処理装置1は、会議識別情報「会議1」に係る参加者一覧記録を参照して、参照した参加者一覧記録に、要求者である利用者Aの利用者特定情報が含まれているか否かを調べる。ここでは「会議1」に係る参加者一覧記録に、要求者である利用者Aの利用者特定情報Aが含まれているので、文書サーバ3に対し、取得要求に係る文書特定情報URL(α)と要求者の利用者特定情報Aとを送信して、要求者にアクセス権を付与させる。文書サーバ3は、文書情報αのアクセスコントロールリストの利用許可者一覧に利用者特定情報Aを追記する。
【0053】
この段階で利用者AまたはCが文書サーバ3に対して文書情報αを要求すると、文書サーバ3は、要求者の利用者識別情報AまたはCを参照する。すると、利用者Aは文書情報αに対するアクセスコントロールリストの利用許可者の一覧に含まれているので、利用者Aに対しては文書情報αを提供する。一方、利用者Cは文書情報αに対するアクセスコントロールリストの利用許可者の一覧に含まれているので、利用者Cに対しては文書情報αを提供しない。
【0054】
さらに、利用者Cが任意の機器2を用いて文書情報αの取得要求を情報処理装置1へ送信すると、情報処理装置1は、要求の対象となった文書情報αを表す文書特定情報URL(α)を、文書一覧記録から検索する。ここでは文書一覧記録から「会議1」に関連づけられた文書特定情報URL(α)が見いだされるので、当該会議識別情報「会議1」を取得する。
【0055】
さらに情報処理装置1は、会議識別情報「会議1」に係る参加者一覧記録を参照して、参照した参加者一覧記録に、要求者である利用者Cの利用者特定情報が含まれているか否かを調べる。ここでは「会議1」に係る参加者一覧記録に、要求者である利用者Cの利用者特定情報Cは含まれていないので、エラーを報知するなどして処理を終了する。従って、会議に参加していない利用者Cに対して文書情報αに対するアクセス権は与えられない。同様に、「会議1」で特定される会議に参加する予定のない、利用者A,B,C以外の利用者が文書情報を要求しても、情報処理装置1はその利用者に対するアクセス権を設定させない。
【0056】
このように会議に参加した利用者に対しては、当該会議で用いられた文書情報に対するアクセス権が設定されるが、会議に参加していない利用者に対しては、当該会議で用いられた文書情報に対するアクセス権が設定されないよう、情報処理装置1が制御することとなる。
【0057】
また、本実施の形態はここまでに説明した例に限られるものではない。例えば、ある会議について、その開催から予め定めた時間を経過した後、当該会議で使用された文書情報の取得要求があった場合は、当該取得要求に基づくアクセス権の設定を行わないよう制御してもよい。この場合の処理の一例は、次のようになる。
【0058】
すなわち情報処理装置1の制御部11は、参加処理の処理S7において、当該処理の時点を表す日時の情報を、図示しない時計部(現在日時を計時する手段、例えばバッテリーなどでバックアップされたカレンダーIC(Integrated Circuit)等)から取得して、受信した利用者識別情報と、注目エントリーに含まれる会議識別情報とともに、当該取得した日時の情報を関連づけて参加者一覧記録として記憶部12に格納することとする。
【0059】
そして、情報処理装置1の制御部11は、文書情報の取得要求を受けたときに図9に例示した処理を開始し、その処理S23において、参照した参加者一覧記録に、要求者の利用者特定情報が含まれていると判断したときには、さらに処理S22で取得した会議識別情報に関連づけて参加者一覧記録に含まれている利用者識別情報と記録の時点を表す日時情報とを参照し、当該日時情報の最も過去のもの(最先の記録に係る日時情報)を読み出す。そして制御部11は、図示しない時計部から日時情報を取得し(要求の時点の日時情報を取得し)、取得した記録に含まれる日時情報と、要求の時点の日時情報との差を演算する。そしてこの差が予め定めた時間以内である場合、制御部11は、文書サーバ3に対して、取得要求に係る文書特定情報と要求者の利用者特定情報とを送信して、当該文書特定情報で特定される文書情報に関するアクセスコントロールリストの利用可能者に要求者を加えるよう指示する。
【0060】
また制御部11は、処理S21にて文書特定情報を見いだせなかった場合、及び処理S23にて参照した参加者一覧記録に要求者の利用者特定情報が含まれていなかった場合、または上記日時情報の差が予め定めた時間以内でなかった場合には、要求者の機器2に対してエラーを報知する等して処理を終了する。
【0061】
この場合、会議開始から予め定めた時間が経過した後における文書情報の取得要求については、情報処理装置1が、要求者に対してアクセス権を付与しないことになる。なお、ここでは会議開始から予め定めた時間を経過した場合について述べたが、上記記録の日時の情報として、文書識別情報が記録された日時を記録し、要求された文書情報の文書識別情報の記録日時と、要求の時点の日時情報との差が予め定めた時間以内でなければ、上記処理S23にて参照した参加者一覧記録に、要求者の利用者特定情報が含まれていると判断したときでも要求者にアクセス権を付与しないようにしてもよい。さらに、会議の終了指示があった時点の日時情報を記録し、この日時情報と、要求の時点の日時情報との差が予め定めた時間以内でなければ、上記処理S23にて参照した参加者一覧記録に、要求者の利用者特定情報が含まれていると判断したときでも要求者にアクセス権を付与しないようにしてもよい。これらによると、対象となる文書情報が利用された日時からの経過時間、または会議の終了からの経過時間により、文書情報に対するアクセス権の設定を制御することになる。
【0062】
また、ここまでの説明においては、情報処理装置1が文書情報の要求者に対して、当該要求者が参加していた会議で利用された文書情報へのアクセス権を設定するよう指示することとしていた。しかし、本実施の形態はこの例に限られない。例えば情報処理装置1の制御部11は、図9に示した処理を行う代わりに、会議の終了指示が為されたときに次の処理を行ってもよい。すなわち制御部11は、当該終了の指示があった会議の会議識別情報を参照し、参照して得られた会議識別情報に関連づけて文書一覧記録に格納されている文書識別情報を取得するとともに、当該参照して得られた会議識別情報に関連づけて会議データベースに格納されている参加予定者である利用者識別情報の一覧を読み出す。
【0063】
そして制御部11は、文書サーバ3に対して、当該取得した文書識別情報によって特定される各文書情報のアクセスコントロールリストに、読み出した一覧に含まれるすべての利用者識別情報を利用可能者一覧に含めるよう指示する。
【0064】
この場合、情報処理装置1は、個々の利用者の文書情報の要求に応答することなく、会議に参加する予定のあったすべての利用者に対して、当該会議で利用された文書情報へのアクセス権を付与することになる。
【符号の説明】
【0065】
1 情報処理装置、2 機器、3 文書サーバ、11,22 制御部、12 記憶部、22 記憶部、13,23 通信部、24 認証部、25 機能部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会議ごとに、会議で使用されている機器の一覧を記録する第1記録手段と、
前記機器の一覧に含まれる機器のいずれかを利用した利用者を特定する利用者識別情報を、当該利用した機器が使用されている会議を特定する情報に関連づけて記録する第2記録手段と、
前記機器一覧に含まれる機器にて、予め定めた処理がなされた文書情報を、当該機器が使用されている会議を特定する情報に関連づけて保持する文書情報保持手段と、
前記文書情報保持手段に保持された文書情報の要求を、要求者となる利用者から受けて、前記要求された文書情報に関連づけられた情報で特定される会議における機器を利用した利用者として、当該要求者が記録されている場合に、当該要求者に対して文書情報の取得を許可する許可手段と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記第2記録手段は、利用者識別情報を記録する際に、当該利用者識別情報に記録の時点を表す情報を関連づけて記録し、
前記許可手段は、前記要求された文書情報に関連づけられた会議を特定する情報を参照し、当該会議を特定する情報に関連づけられた利用者の記録のうち、記録の時点を表す情報が最も早い記録を取得し、
機器を利用した利用者として、当該要求者が記録されており、かつ、要求の時点が、前記取得した記録に含まれる情報で表される記録の時点から、予め定めた時間以内である場合に、前記要求者に対して文書情報の取得を許可する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
コンピュータを、
会議ごとに、会議で使用されている機器の一覧を記録する第1記録手段と、
前記機器の一覧に含まれる機器のいずれかを利用した利用者を特定する利用者識別情報を、当該利用した機器が使用されている会議を特定する情報に関連づけて記録する第2記録手段と、
前記機器一覧に含まれる機器にて、予め定めた処理がなされた文書情報を、当該機器が使用されている会議を特定する情報に関連づけて保持する文書情報保持手段と、
前記文書情報保持手段に保持された文書情報の要求を、要求者となる利用者から受けて、前記要求された文書情報に関連づけられた情報で特定される会議における機器を利用した利用者として、当該要求者が記録されている場合に、当該要求者に対して文書情報の取得を許可する許可手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−224915(P2010−224915A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72075(P2009−72075)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】