説明

情報処理装置及び復帰制御方法

【課題】より多様な電源状態から復帰することができるデバイスを有する情報処理装置及びその復帰管理方法を提供すること。
【解決手段】情報処理装置は、スタンバイ状態、休止状態、あるいは電源オフ状態からオペレーティングシステム(OS)を起動する復帰処理を指示する入力を受け取るデバイスを備える。第1のコントローラは、デバイスに接続され、スタンバイ状態、休止状態、及び電源オフ状態において電源が供給される。第2のコントローラは、第1のコントローラに接続され、スタンバイ状態において電源が供給される。前記休止状態又は電源オフ状態では、デバイスが受け取った入力に応答して、第1のコントローラ及び第2のコントローラを介して復帰処理が行われる。スタンバイ状態では、デバイスが受け取った入力に応答して、第2のコントローラを介して復帰処理が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリープ状態及び電源オフ状態から復帰することができる情報処理装置及びその復帰制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置では、その動作状態を稼動状態からスリープ状態に切り替えることにより、消費電力を低減させることができる。特に、ノート型パーソナルコンピュータ等、バッテリ駆動される携帯型の情報処理装置では、スリープ状態に切り替えて消費電力を低減させることで、その駆動時間を長くすることができる。このスリープ状態の例としては、スタンバイ状態(サスペンド状態)及び休止状態(ハイバネーション状態)がある。
【0003】
スリープ状態の種類によっては、パーソナルコンピュータの電源を完全にオフにするのではなく、外部デバイス等の一部のコンポーネントには電源を供給する必要がある場合がある。一例として、USBデバイスでは、パーソナルコンピュータがスリープ状態にあっても、電源供給が必要とされることがある。例えば、USBデバイスとしての外部キーボードを操作することによって、スリープ状態にあるパーソナルコンピュータを稼動状態に復帰させる場合は、パーソナルコンピュータがスリープ状態にあっても外部キーボードには電源を供給しておく必要がある。
【0004】
特許文献1には、コンピュータ装置の電源状態に応じた電源供給を行なうことができる電源管理方法が開示されている。通常、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ装置では、オペレーティングシステム(OS)の管理下において外部拡張デバイスの電源コントロールがなされている。しかし、特許文献1に開示される電源管理方法においては、コンピュータ装置が休止状態にあるときに外部拡張デバイスに対する電源供給を制御することによって、休止状態中にOSが動作することなく、外部拡張デバイスを機能させている。例えば、コンピュータ装置がオン・モードであるときには、OS及びBIOSによる電源コントロールが行われ、コンピュータ装置がスリープ・モード及びオフ・モードであるときには、エンベデッドコントローラによる電源コントロールが行なわれる。
【特許文献1】特開2003−44177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、スリープ状態にある情報処理装置の使用を再開する場合、当該情報処理装置を稼動状態に復帰させる必要がある。しかし、従来は、設計又は仕様上の制限から、所定のスリープ状態からしか復帰を行えないデバイスがあった。例えば、USBデバイスは、スタンバイ状態からの復帰処理は行えるが、休止状態及び電源オフ状態からの復帰処理は行うことができない。
【0006】
そこで、本発明は、より多様な電源状態から復帰することができるデバイスを有する情報処理装置及びその復帰制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一つの面によれば、動作状態を、スタンバイ状態、休止状態、及び電源オフ状態に切り替えることができる情報処理装置であって、前記スタンバイ状態、前記休止状態、あるいは前記電源オフ状態からオペレーティングシステムを起動する復帰処理を指示する入力を受け取るデバイスと、前記デバイスに接続され、前記スタンバイ状態、前記休止状態、及び前記電源オフ状態において電源が供給される第1のコントローラと、前記第1のコントローラに接続され、前記スタンバイ状態において電源が供給される第2のコントローラとを具備し、前記情報処理装置が前記休止状態及び電源オフ状態のいずれか一方である場合、前記デバイスが受け取った前記入力に応答して、前記第1のコントローラ及び前記第2のコントローラを介して前記復帰処理が行われ、前記情報処理装置が前記スタンバイ状態である場合、前記デバイスが受け取った前記入力に応答して、前記第2のコントローラを介して前記復帰処理が行われる情報処理装置が提供される。
【0008】
また、本発明の別の面によれば、動作状態を、スタンバイ状態、休止状態、及び電源オフ状態に切り替えることができる情報処理装置であって、前記スタンバイ状態、前記休止状態、あるいは前記電源オフ状態からオペレーティングシステムを起動する復帰処理を指示する入力を受け取る第1のデバイスと、前記復帰処理を指示する前記入力を受け取る第2のデバイスと、前記第1のデバイスに接続され、前記スタンバイ状態、前記休止状態、及び前記電源オフ状態において電源が供給される第1のコントローラと、前記第1のコントローラと前記第2のデバイスとに接続され、前記スタンバイ状態において電源が供給される第2のコントローラとを具備し、前記情報処理装置が前記休止状態及び電源オフ状態のいずれか一方である場合、前記第1のデバイスが受け取った前記入力に応答して、前記第1のコントローラ及び前記第2のコントローラを介して前記復帰処理が行われ、前記情報処理装置が前記スタンバイ状態である場合、前記第2のデバイスが受け取った前記入力に応答して、前記第2のコントローラを介して前記復帰処理が行われる情報処理装置が提供される。
【0009】
さらに、本発明のまた別の面によれば、スタンバイ状態、休止状態、あるいは電源オフ状態からオペレーティングシステムを起動する復帰処理を指示する入力を受け取るデバイスと、前記デバイスに接続され、前記スタンバイ状態、前記休止状態、及び前記電源オフ状態において電源が供給される第1のコントローラと、前記第1のコントローラに接続され、前記スタンバイ状態において電源が供給される第2のコントローラとを具備する情報処理装置の復帰制御方法であって、前記デバイスで前記入力を受け取るステップと、前記入力が、前記スタンバイ状態、前記休止状態、及び前記電源オフ状態のうちのいずれからの前記復帰処理を指示するのかを判定するステップと、前記入力が、前記休止状態及び前記電源オフ状態のいずれか一方からの前記復帰処理を指示する場合、前記第1のコントローラ及び前記第2のコントローラを介して前記復帰処理を行うステップと、前記入力が、前記スタンバイ状態からの前記復帰処理を指示する場合、前記第2のコントローラを介して前記復帰処理を行うステップとを具備する復帰制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より多様な電源状態から復帰することができるデバイスを有する情報処理装置及び復帰制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
まず、図1を参照しつつ、本発明の一実施形態による情報処理装置100について説明する。
【0013】
図1は、情報処理装置100のシステム構成を示すブロック図である。情報処理装置100は、例えばパーソナルコンピュータ、又はノート型パーソナルコンピュータである。図1に示されるように、情報処理装置100は、液晶ディスプレイ(LCD)110、CPU111、主メモリ112、ノースブリッジ113、グラフィックスコントローラ114、ビデオメモリ(VRAM)115、サウスブリッジ116、ハードディスクドライブ(HDD)117、光ディスクドライブ(ODD)118、BIOS−ROM119、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)120、電源回路121、バッテリ122、ACアダプタ123、受光部124、第1の赤外線(IR)レシーバコントローラ125、USBデバイス(第2の赤外線(IR)レシーバコントローラ)126等を備える。
【0014】
CPU111は、情報処理装置100の動作を制御するプロセッサである。CPU111は、ハードディスクドライブ(HDD)117から主メモリ112にロードされる、オペレーティングシステム(OS)及び各種のアプリケーションプログラムを実行する。また、CPU111は、BIOS−ROM119に格納されたBIOS(Basic Input/Output System)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0015】
ノースブリッジ113は、CPU111のローカルバスとサウスブリッジ116との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ113は、主メモリ112をアクセス制御するメモリコントローラを備えている。また、ノースブリッジ113は、AGP(Accelerated Graphics Port)バスなどを介してグラフィクスコントローラ114との通信を実行する機能も有している。
【0016】
グラフィクスコントローラ114は、情報処理装置100のディスプレイモニタとして使用されるLCD110を制御する表示コントローラである。このグラフィクスコントローラ114は、OS又はアプリケーションプログラムによってVRAM115に書き込まれた表示データに対応する映像信号をLCD110に出力する。
【0017】
サウスブリッジ116は、LPC(Low Pin Count)バス上の各デバイス、およびPCI(Peripheral Component Interconnect)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ116は、HDD117及びODD118を制御するための、IDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。サウスブリッジ116は、I/Oコントローラハブ(ICH)とも称される。
【0018】
HDD117は、各種ソフトウェア及びデータを格納するストレージデバイスである。光ディスクドライブ(ODD)118は、DVDタイトルのようなビデオコンテンツが格納されたDVDメディア、音楽データが格納されたCDメディア等を駆動するためのドライブユニットである。
【0019】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)120は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(図示せず)及びタッチパッド(図示せず)を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。情報処理装置100の電源がオンされているかオフされているかに関わらず、EC/KBC120は、電源回路121からの電力によって常時電源がオンされている。このEC/KBC120は、電源回路121と共同して、ユーザによる電源ボタン(図示せず)の操作に応答して情報処理装置100の電源をオン/オフする処理を実行する。
【0020】
電源回路121は、情報処理装置100に内蔵されたバッテリ122からの電力、又はACアダプタ123を介して外部から供給される電力を用いて、情報処理装置100内の各コンポーネントに供給すべき電力を生成する。
【0021】
受光部124は、リモコンユニット(図示せず)から情報処理装置100に送信される赤外線信号を受信する。受信された赤外線信号は、第1のIRレシーバコントローラ125及び第2のIRレシーバコントローラ126に供給される。
【0022】
第1のIRレシーバコントローラ125は、EC/KBC120に接続されており、常時電源がオンされている。EC/KBC120は、スタンバイ状態、休止状態、及び電源オフ状態を区別することができる。第1のIRレシーバコントローラ125は、受光部124から供給された赤外線信号からリモコンコードを抽出する。
【0023】
第2のIRレシーバコントローラ126は、サウスブリッジ116に接続されている。なお、図1には、USBデバイスの例として、第2のIRレシーバコントローラ126が示されている。情報処理装置100が休止状態又は電源オフ状態にある場合、第2のIRレシーバコントローラ126の電源はオフされている。第2のIRレシーバコントローラ126は、受光部124から供給された赤外線信号からリモコンコードを抽出する。
【0024】
図1に示すように、情報処理装置100が2つのIRレシーバコントローラ(125、126)を備える場合、2つのIRレシーバコントローラの各々に異なる機能を割り当てることができる。例えば、情報処理装置100が2種類のオペレーティングシステムに対応する場合、一方のIRレシーバコントローラで第1のオペレーティングシステム関連の機能をサポートし、他方のIRレシーバコントローラで第2のオペレーティングシステム関連の機能をサポートすることができる。また、情報処理装置100がテレビ受信機としての機能を有する場合、一方のIRレシーバコントローラでテレビ関連機能をサポートし、他方のIRレシーバコントローラでオペレーティングシステム関連の機能をサポートしてもよい。
【0025】
なお、情報処理装置100は、第2のIRレシーバコントローラ126を備えず、EC/KBC120とサウスブリッジの双方に直接接続される、第1のIRレシーバコントローラ125’のみを備える構成としてもよい。この場合における、第1のIRレシーバコントローラ125’、サウスブリッジ116、及びEC/KBC120の間の接続関係は、図1において点線で表されている。
【0026】
ここで、図2を参照しつつ、情報処理装置100が取り得る各種の電源状態について説明する。
【0027】
図2は、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)規格で定義される電源状態の一部を説明するための概略図である。図2中、「S0」はOS起動状態(電源オン状態)を表す。「S3」は、スタンバイ状態(サスペンド状態)を表す。スタンバイ状態とは、情報処理装置100の電源をオフにする直前の状態を主メモリ112に保存し、情報処理装置100を再起動した際に直前の状態から作業を再開できる状態をいう。S3の状態では、図1に示す第1のIRレシーバコントローラ125と第2のIRレシーバコントローラ126の双方の電源がオンになっている。「S4」は、休止状態(ハイバネーション状態)を表す。休止状態とは、情報処理装置100の電源をオフにする直前の状態をHDD117に保存し、情報処理装置100を再起動した際に直前の状態から作業を再開できる状態をいう。「S5」は、電源オフ状態を表す。電源オフ状態とは、情報処理装置100の電源をオフした状態をいう。S4及びS5の状態では、第1のIRレシーバコントローラ125の電源はオンになっているが、第2のIRレシーバコントローラ126の電源はオフになっている。S3、S4及びS5に加えて、S1及びS2も定義されているが、本明細書では説明を省略する。
【0028】
図2中の矢印で示されるように、S0にある情報処理装置100は、S3、S4又はS5に移行することができる。一方、S3、S4又はS5にある情報処理装置100は、S0に移行すること(復帰処理)ができる。
【0029】
次に、図3を参照しつつ、情報処理装置100のS0(電源オン状態)からS3、S4又はS5の状態への移行処理について説明する。
【0030】
図3は、情報処理装置100の、電源オンの状態からS3、S4又はS5の状態への移行処理について説明するためのフローチャートである。情報処理装置100の電源がオンのときに、ユーザがリモートコントローラ(図示せず)を操作して、情報処理装置100のS3、S4又はS5の状態への移行を指示した場合、リモートコントローラから所定の赤外線信号が送信される(ステップS300)。送信された赤外線信号は、情報処理装置100の受光部124で受信され、受光部124から第1のIRレシーバコントローラ125及び第2のIRレシーバコントローラ126に供給される(ステップS302)。この場合、第1のIRレシーバコントローラ125からEC/KBC120を介してOSに所定の信号が供給され、OSはユーザの指示に応じた所定の信号(スリープ信号、電源オフ信号等)を発行する(ステップS304)。また、情報処理装置100の電源がオンになっている状態で、例えば所定の時間に渡って情報処理装置100への入力が無い場合に、OSからスリープ信号が発行される構成としてもよい。発行された信号はS3(スタンバイ状態)を指定するものか否かが判定される(ステップS306)。
【0031】
発行された信号がS3を指定する場合(ステップS306でYES)、EC/KBC120を介した復帰処理の機能(復帰機能)が停止される(ステップS308)。また、EC/KBC120は、第2のIRレシーバコントローラ126の電源をオンに維持する(ステップS310)。つまり、第2のIRレシーバコントローラ126は、情報処理装置100の復帰処理に関与する。
【0032】
発行された信号がS3を指定しない場合、即ち、発行された信号がS4又はS5を指定する場合(ステップS306でNO)、EC/KBC120を介した復帰機能が保持される(ステップS312)。また、EC/KBC120は、第2のIRレシーバコントローラ126の電源をオフにする(ステップS314)。即ち、第2のIRレシーバコントローラ126は情報処理装置100の復帰処理に関与しない。
【0033】
次に、図4を参照しつつ、情報処理装置100のS3、S4又はS5の状態からS0の状態への復帰処理について説明する。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態に係る復帰制御方法を説明するためのフローチャートである。この復帰制御方法は、例えば、図1に示す情報処理装置100に適用することができる。以下、本実施形態に係る復帰制御方法を情報処理装置100に適用した場合を例に説明する。
【0035】
ユーザがリモートコントローラを操作して情報処理装置100に復帰処理を指示すると、所定の赤外線信号がリモートコントローラから送信される(ステップS400)。情報処理装置100の復帰処理は、情報処理装置100がS3の状態にある場合と、情報処理装置100がS4又はS5の状態にある場合とで、異なる復帰処理に分岐する(ステップS402)。
【0036】
情報処理装置100がS3の状態にある場合(ステップS402でYES)、送信された赤外線信号は情報処理装置100の受光部124で受信され、受信された信号は受光部124から第1のIRレシーバコントローラ125及び第2のIRレシーバコントローラ126に供給される(ステップS404)。第1のIRレシーバコントローラ125は、赤外線信号から抽出したリモコンコードをEC/KBC120に出力する。しかし、この場合、EC/KBC120はウェイクアップ信号を出力しない。一方、第2のIRレシーバコントローラ126は、USBウェイクアップ信号をサウスブリッジ116に供給する(ステップS406)。このUSBウェイクアップ信号に応答して、情報処理装置100はS3の状態からの復帰処理を行う(ステップS408)。より具体的には、サウスブリッジ116は、ウェイクアップ信号又はUSBウェイクアップ信号を受け取るとOSを起動し、OSはS3の状態からの復帰処理を行う。なお、情報処理装置100が1つのIRレシーバコントローラ、即ち、第1のIRレシーバコントローラ125’のみを備える場合、ステップS406では、第1のIRレシーバコントローラ125’からサウスブリッジ116にウェイクアップ信号が供給される。
【0037】
情報処理装置100がS4の状態にある場合(ステップS402でNO)、送信された赤外線信号は、情報処理装置100の受光部124で受信され、受信された信号は受光部124から第1のIRレシーバコントローラ125及び第2のIRレシーバコントローラ126に供給される(ステップS410)。第1のIRレシーバコントローラ125は、赤外線信号から抽出したリモコンコードをEC/KBC120に供給する(ステップS412)。EC/KBC120は、自己の状態がS4であることを確認し、サウスブリッジ116にウェイクアップ信号を出力する。サウスブリッジ116はウェイクアップ信号を受け取るとOSを起動し、OSはS4の状態からの復帰処理を行う(ステップS414)。一方、情報処理装置100がS4の状態にある場合、第2のIRレシーバコントローラ126の電源はオフになっている。このため、第2のIRレシーバコントローラ126は、USBウェイクアップ信号を出力しない。なお、情報処理装置100が1つのIRレシーバコントローラ、即ち、第1のIRレシーバコントローラ125’のみを備える場合、ステップS410において、受信された信号は第1のIRレシーバコントローラ125’に供給される。その後のステップS412及びS414の処理は上記と同様である。
【0038】
情報処理装置100がS5の状態にあるときに(ステップS402でNO)、ユーザがリモートコントローラを操作して復帰を指示した場合、上述したS4の状態からの復帰処理と同様の復帰処理が行われる。以下、上述した図4に示す復帰処理を「復帰処理A」と称する。
【0039】
上述した実施形態によれば、より多様な電源状態から復帰することができる、情報処理装置の復帰制御方法を実現することができる。
【0040】
なお、上述した実施形態では、情報処理装置100が2つのIRレシーバコントローラ、即ち、第1のIRレシーバコントローラ125及び第2のIRレシーバコントローラ126を備えている。しかし、情報処理装置100は、1つのIRレシーバコントローラのみを備える構成、即ち、第1のIRレシーバコントローラ125のみを備える構成としてもよい。この場合、S3、S4及びS5の状態からの復帰処理は全て、第1のIRレシーバコントローラ125を介してEC/KBC120によって行われる。
【0041】
図5を参照しつつ、情報処理装置100が第1のIRレシーバコントローラ125のみを備える場合の復帰処理について説明する。
【0042】
図5は、情報処理装置100が第1のIRレシーバコントローラ125のみを備える場合の復帰処理について説明するためのフローチャートである。ユーザがリモートコントローラを操作して情報処理装置100にS3、S4又はS5の状態からの復帰処理を指示すると、所定の赤外線信号がリモートコントローラから送信される(ステップS500)。送信された赤外線信号は情報処理装置100の受光部124で受信され、受信された信号は受光部124から第1のIRレシーバコントローラ125に供給される(ステップS502)。第1のIRレシーバコントローラ125は、所定の信号をEC/KBC120に出力し(ステップS504)、S3、S4又はS5の状態からの復帰処理が行われる(ステップS506)。以下、図5に示す復帰処理を「復帰処理B」と称する。
【0043】
さらに、情報処理装置100が、第1のIRレシーバコントローラ125のみを備えるのか、第1のIRレシーバコントローラ125及び第2のIRレシーバコントローラ126を備えるのかに応じて、上述した2種類の復帰処理(復帰処理A及び復帰処理B)を切り替えることができる。
【0044】
図6を参照しつつ、情報処理装置100の構成に応じて、上記2種類の復帰処理を切り替える方法について説明する。
【0045】
図6は、情報処理装置100の構成に応じて、2種類の復帰処理を切り替える方法を説明するためのフローチャートである。まず、BIOSがDMI(Desktop Management Interface)情報を取得する(ステップS600)。取得したDMI情報に基づいて、例えば情報処理装置100の仕向け地(国内モデル、海外モデル等)を判定する(ステップS602)。ステップS602では、仕向け地に加えて、機種を判定してもよい。さらに、仕向け地、機種及びOSを判定してもよい。以下、説明の都合上、仕向け地のみを判定する場合について説明する。また、第1のIRレシーバコントローラ125及び第2のIRレシーバコントローラ126を備える情報処理装置100を海外モデル、第1のIRレシーバコントローラ125のみを備える情報処理装置を国内モデルとする。
【0046】
ステップS602の判定結果に応じて、復帰処理を切り替える。例えば、ステップS602で、情報処理装置100は海外モデルである、即ち、情報処理装置100は第1のIRレシーバコントローラ125及び第2のIRレシーバコントローラ126を備えると判定された場合、図4に示した復帰処理Aが行われる(ステップS604)。復帰処理Aでは、S3からの復帰処理は第2のIRレシーバコントローラ126によって行われ、S4及びS5からの復帰処理は第1のIRレシーバコントローラ125によって行われる。
【0047】
一方、ステップS602で、情報処理装置100は国内モデルである、即ち、情報処理装置100は第1のIRレシーバコントローラ125のみを備えると判定された場合、図5に示した復帰処理Bが行われる(ステップS606)。復帰処理Bでは、S3、S4及びS5の全ての状態からの復帰処理がEC/KBC120によって行われる。
【0048】
上述した方法によれば、情報処理装置100の構成に応じて、2種類の復帰処理を切り替えることができる。
【0049】
なお、上記の説明では、BIOSがDMI情報を取得し、取得した情報に基づいて2種類の復帰処理を切り替えている。DMI情報は、情報処理装置100が起動される度に取得してもよい。また、DMI情報は、情報処理装置100が最初に起動されたときのみ取得してもよい。さらに、情報処理装置100が第1のIRレシーバコントローラ125に加えて第2のIRレシーバコントローラ126を備えるか否かをBIOSが判定し、その判定結果に応じて2種類の復帰処理を切り替えてもよい。
【0050】
図7、図8及び図9を参照しつつ、本発明の別の実施形態に係る情報処理装置について説明する。
【0051】
図7は、本発明の別の実施形態に係る情報処理装置200のシステム構成を示すブロック図である。図7においては、サウスブリッジ116、EC/KBC120、受光部124、及び第2のIRレシーバコントローラ126のみが示され、その他の部分については図1と同様であるので省略されている。
【0052】
図1に示す情報処理装置100においては、第1のIRレシーバコントローラ125とEC/KBC120とが別個に設けられている。しかし、第1のIRレシーバコントローラ125は、リモコンコードをEC/KBC120が認識できるようにデコードしているにすぎない。従って、図7に示すように、EC/KBC120を、第1のIRレシーバコントローラ125の機能を有するように構成することもできる。例えば、図7に示すEC/KBC120においては、斜線部分Xに第1のIRレシーバコントローラ125の機能が実装されている。この場合、情報処理装置100のS3の状態からの復帰処理は、第2のIRレシーバコントローラ126が、USBウェイクアップ信号をサウスブリッジ116に供給して、OSを起動させることでなされる。また、情報処理装置100のS4又はS5の状態からの復帰処理は、EC/KBC120が、サウスブリッジ116を介してOSを起動させることによって行われる。
【0053】
図8は、本発明の別の実施形態に係る情報処理装置300のシステム構成を説明するためのブロック図である。図8においては、サウスブリッジ116、EC/KBC120、電源スイッチ127、及びUSBデバイス128のみが示され、その他の部分については図1と同様であるので省略されている。
【0054】
図1に示す実施形態では、情報処理装置100が、復帰指示あるいは電源オフ指示を入力する1つのIRレシーバコントローラ(第1のIRレシーバコントローラ125’)、又は2つのIRレシーバコントローラ(第1のIRレシーバコントローラ125及び第2のIRレシーバコントローラ126)を備えている。しかし、情報処理装置300は、指示入力部としてはIRレシーバコントローラ以外の、USBデバイスも備え得る。
【0055】
USBデバイス128が情報処理装置300の電源オンに関与するデバイスである場合、S3の状態からの復帰処理はUSBデバイス128を介して行われる。この場合における復帰処理は、図4に示すステップS404、S406及びS408の処理と同様である。即ち、ステップS404、S406及びS408における第2のIRレシーバコントローラ126の処理を、USBデバイス128が行う。一方、S4又はS5の状態からの復帰処理は、EC/KBC120を介して行われる。この場合の復帰処理は、図4に示すステップS410、S412及びS414の処理と同様である。
【0056】
図9は、本発明の別の実施形態に係る情報処理装置400のシステム構成を示すブロック図である。図9においては、サウスブリッジ116、EC/KBC120、電源スイッチ127、及びUSBデバイス128のみが示され、その他の部分については図1と同様であるので省略されている。USBデバイス128は、外部要因の入力(例えば、赤外線信号、無線信号、USBキーボードの特定のキー入力等)に基づいて、サウスブリッジ116に復帰(S3からの復帰)の通知、及び電源オフの通知ができるUSBデバイスである。例えば、USBデバイス128は、無線信号を受信可能なBluetooth(登録商標)モジュールであってよい。
【0057】
図9に示す情報処理装置400において、USBデバイス128が、S3の状態からの復帰処理の指示(外部要因の入力)を受け取った場合、復帰処理はUSBデバイス128を介して行われる。この場合における復帰処理は、図4に示すステップS404、S406及びS408の処理と同様である。即ち、ステップS404、S406及びS408における第2のIRレシーバコントローラ126の処理を、USBデバイス128が行う。一方、ユーザが電源スイッチ127を操作するなどして、S4又はS5の状態からの復帰処理が指示された場合、復帰処理はEC/KBC120を介して行われる。この場合の復帰処理は、図4に示すステップS410、S412及びS414の処理と同様である。
【0058】
上述したような実施形態によれば、より多様な電源状態から復帰することができるデバイスを有する情報処理装置及びその復帰管理方法を提供することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではない。本発明は、実施段階では、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変更して具現化できる。例えば、第1のIRレシーバコントローラ125及び第2のIRレシーバコントローラ126は、赤外線信号ではなく、無線信号を受信するレシーバコントローラであって、そのうち一方がサウスブリッジ116にUSB接続されていてもよい。
【0060】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることで、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す情報処理装置の状態遷移図である。
【図3】図1に示す情報処理装置の、S0の状態からS3、S4又はS5の状態への移行処理について説明するためのフローチャートである。
【図4】図1に示す情報処理装置の復帰制御方法について説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示す情報処理装置が、1つのIRレシーバコントローラのみを備える場合の復帰制御方法について説明するためのフローチャートである。
【図6】図1に示す情報処理装置の構成に応じて、2種類の復帰処理を切り替える方法について説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の別の実施形態に係る情報処理装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の別の実施形態に係る情報処理装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の別の実施形態に係る情報処理装置のシステム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
100…情報処理装置、110…液晶ディスプレイ(LCD)、111…CPU、112…主メモリ、113…ノースブリッジ、114…グラフィックスコントローラ、115…ビデオメモリ(VRAM)、116…サウスブリッジ、117…ハードディスクドライブ(HDD)、118…光ディスクドライブ(ODD)、119…BIOS−ROM、120…エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)、121…電源回路、122…バッテリ、123…ACアダプタ、124…受光部、125…第1の赤外線(IR)レシーバコントローラ、125’…第1の赤外線(IR)レシーバコントローラ、126…第2の赤外線(IR)レシーバコントローラ、127…電源スイッチ、128…USBデバイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作状態を、スタンバイ状態、休止状態、及び電源オフ状態に切り替えることができる情報処理装置であって、
前記スタンバイ状態、前記休止状態、あるいは前記電源オフ状態からオペレーティングシステムを起動する復帰処理を指示する入力を受け取るデバイスと、
前記デバイスに接続され、前記スタンバイ状態、前記休止状態、及び前記電源オフ状態において電源が供給される第1のコントローラと、
前記第1のコントローラに接続され、前記スタンバイ状態において電源が供給される第2のコントローラとを具備し、
前記情報処理装置が前記休止状態及び電源オフ状態のいずれか一方である場合、前記デバイスが受け取った前記入力に応答して、前記第1のコントローラ及び前記第2のコントローラを介して前記復帰処理が行われ、
前記情報処理装置が前記スタンバイ状態である場合、前記デバイスが受け取った前記入力に応答して、前記第2のコントローラを介して前記復帰処理が行われることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記デバイスはUSBデバイスであることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記入力は、赤外線信号、無線信号、及びUSBキーボードの特定のキー入力から成る組から選択される1つであることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
動作状態を、スタンバイ状態、休止状態、及び電源オフ状態に切り替えることができる情報処理装置であって、
前記スタンバイ状態、前記休止状態、あるいは前記電源オフ状態からオペレーティングシステムを起動する復帰処理を指示する入力を受け取る第1のデバイスと、
前記復帰処理を指示する前記入力を受け取る第2のデバイスと、
前記第1のデバイスに接続され、前記スタンバイ状態、前記休止状態、及び前記電源オフ状態において電源が供給される第1のコントローラと、
前記第1のコントローラと前記第2のデバイスとに接続され、前記スタンバイ状態において電源が供給される第2のコントローラとを具備し、
前記情報処理装置が前記休止状態及び電源オフ状態のいずれか一方である場合、前記第1のデバイスが受け取った前記入力に応答して、前記第1のコントローラ及び前記第2のコントローラを介して前記復帰処理が行われ、
前記情報処理装置が前記スタンバイ状態である場合、前記第2のデバイスが受け取った前記入力に応答して、前記第2のコントローラを介して前記復帰処理が行われることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
前記第2のデバイスは、USBデバイスであることを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記入力は、赤外線信号、無線信号、及びUSBキーボードの特定のキー入力から成る組から選択される1つであることを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項7】
スタンバイ状態、休止状態、あるいは電源オフ状態からオペレーティングシステムを起動する復帰処理を指示する入力を受け取るデバイスと、前記デバイスに接続され、前記スタンバイ状態、前記休止状態、及び前記電源オフ状態において電源が供給される第1のコントローラと、前記第1のコントローラに接続され、前記スタンバイ状態において電源が供給される第2のコントローラとを具備する情報処理装置の復帰制御方法であって、
前記デバイスで前記入力を受け取るステップと、
前記入力が、前記スタンバイ状態、前記休止状態、及び前記電源オフ状態のうちのいずれからの前記復帰処理を指示するのかを判定するステップと、
前記入力が、前記休止状態及び前記電源オフ状態のいずれか一方からの前記復帰処理を指示する場合、前記第1のコントローラ及び前記第2のコントローラを介して前記復帰処理を行うステップと、
前記入力が、前記スタンバイ状態からの前記復帰処理を指示する場合、前記第2のコントローラを介して前記復帰処理を行うステップと、
を具備することを特徴とする復帰制御方法。
【請求項8】
前記デバイスはUSBデバイスであることを特徴とする請求項7記載の復帰制御方法。
【請求項9】
前記入力は、赤外線信号、無線信号、及びUSBキーボードの特定のキー入力から成る組から選択される1つであることを特徴とする請求項7記載の復帰制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−71066(P2008−71066A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248378(P2006−248378)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】