説明

情報処理装置及び機器登録方法

【課題】 機器の使用位置に対応づけて機器の登録を行うことで、登録情報の上限に達し
た場合にも機器の登録情報について意図しない削除を抑制することを実現する。
【解決手段】
メディアプレーヤ1は無線通信部10と、記憶部30と、無線通信アプリケーション4
0と、位置情報検出部50とを備える。無線通信アプリケーション40を構成する登録情
報制御部42は、位置情報検出部50にて検出されるメディアプレーヤ1の位置情報に応
じて、通信相手の機器情報を恒久的機器登録情報45と一時的機器登録情報46の何れに
記憶するか決定する。恒久的機器登録情報45に記憶された機器情報は無線通信終了後も
恒久的に記憶され、一時的機器登録情報46に記憶された機器情報は無線通信終了後削除
される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置及び機器登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信によって情報を送受信する需要の高まりに伴い、Bluetooth(
登録商標)に代表されるような近距離無線通信を行うシステムが広まりつつある。例えば
音楽再生装置で音声データを再生し、その音声データをBluetooth等の無線通信
で伝送して、ワイヤレスヘッドフォンやワイヤレススピーカ等で視聴するシステムや、携
帯電話とハンズフリー機器とを無線接続するハンズフリーシステムが挙げられる。
【0003】
Bluetoothに代表される近距離無線通信は、機器の使用場所は固定されずに、
任意の使用場所において、自装置の近傍に存在する機器と接続するアドホック通信を行う
ことができる点が大きな特徴である。一方で、セキュリティの観点から接続に際して機器
間で認証を行うことが一般的となっている。また、一旦接続や認証が成功した後は、次回
以降のために接続先のアドレスや認証情報をシステム内に保持しておく構成(機器登録動
作と呼ばれる)が一般的となっている。機器間の認証動作に関しては、例えば、Blue
toothの場合は、Version 2.1から導入されたSecure Simpl
e Pairingの仕組みのように、認証動作をよりユーザにとって簡素な操作で実行
できるような改良がなされ、よりアドホック通信がより簡単に/気軽に利用できるように
なってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−65850
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Bluetoothに代表されるような近距離無線通信を備える機器は、一般的に組み込
み型の機器が多く、記憶領域のサイズなどのシステムリソースが限られていることが多い
。このため、システムの登録機器数の上限を超えて新たな機器を登録する場合には、保存
済みの登録機器情報の中から登録順序の一番古い情報を削除して、新たな機器の情報を登
録することが行われている(例えば特許文献1)。
【0006】
しかし、普段は自宅に存在する複数の機器を登録して自宅にて使用する一方で、気軽な
アドホック通信の利便性を活かして複数のユーザが機器を持ち寄り互いの機器を接続して
利用したり、外出先で一時的にその場に存在する機器を接続して利用したりするような使
用方法が考えられる。従って、上述の技術を用いて、登録順序の一番古い機器情報を削除
すると、自宅で使用するために登録していた機器情報が削除されてしまうおそれがあり、
必ずしもユーザの意図に即した制御とは言えない。
【0007】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、機器の使用位置に対応づけて機器
の登録を行うことで、登録情報の上限に達した場合にも機器の登録情報について意図しな
い削除を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、無線通信を行うために認証
処理を要する無線通信機器であって、他の機器と無線通信を行う無線通信部と、前記無線
通信に要する認証処理により生成される前記他の機器の有する機器情報を記憶する記憶部
と、前記無線通信機器の位置情報を取得する位置検出部と、前記位置検出部により取得す
る位置情報を、前記他の機器との無線通信終了後も前記機器情報を保持する位置とする第
1の位置情報と、前記無線通信終了後には前記機器情報を保持しない位置とする第2の位
置情報との何れかとして登録する登録情報制御部と、前記無線通信実行時の前記無線通信
機器の位置情報を取得し、その位置情報が前記第1の位置情報と一致するか否かを判別し
、取得された前記位置情報が前記第1の位置情報と一致する場合、保持されている前記機
器情報を用いて前記認証処理を行って無線通信を行う無線通信制御部とを備えることを特
徴としている。
【0009】
また、本発明に係る機器登録方法は、認証処理を要する無線通信を行う無線通信機器の
機器登録方法であって、他の機器と無線通信を行い、前記無線通信に要する認証処理によ
り生成する機器情報を記憶し、前記無線通信機器が存在する位置の位置情報を検出し、前
記位置情報を前記無線通信終了後も前記機器情報を恒久的に保持するとする第1の位置情
報と、前記無線通信終了後には前記機器情報を保持しないとする第2の位置情報の何れか
として登録し、前記無線通信実行時の前記無線通信機器の位置情報である第3の位置情報
が、前記第1の位置情報であるか否かを判別し、前記無線通信実行時に取得した位置情報
が第1の位置情報である場合、前記機器情報を用いて前記認証処理を行って無線通信を行
うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機器の使用位置に対応づけて機器の登録を行うことで、登録情報の上
限に達した場合にも機器の登録情報について意図しない削除を抑制することが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態におけるメディアプレーヤの使用状況の概略図。
【図2】本実施の形態におけるメディアプレーヤの機能ブロック図。
【図3】本実施の形態における登録位置情報の記憶状態の概念図。
【図4】本実施の形態における恒久的機器登録情報の記憶状態の概念図。
【図5】本実施の形態における一時的機器登録情報の記憶状態の概念図。
【図6】本実施の形態における第1の実施の形態におけるペアリングの手順を示すフローチャート。
【図7】本実施の形態における第1の実施の形態におけるBluetooth通信切断時の手順を示すフローチャート。
【図8】本実施の形態における第2の実施の形態におけるペアリングの手順を示すフローチャート。
【図9】本実施の形態における第3の実施の形態におけるBluetooth通信切断時の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1〜図9を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
本発明に係る電子機器として、メディアプレーヤ1を例に説明をする。まず、図1を用
いて、本願発明に係る無線通信機器の使用状況について説明する。図1は、本実施の形態
におけるメディアプレーヤ1の使用状況の概略図である。
【0014】
本実施の形態においては、ユーザが無線通信を実行する位置として、位置A(自宅)、
位置B(外出先)、位置C(職場)の3箇所を想定する。位置Aにはスピーカ200、位
置Bにはステレオ300、位置Cにはプリンタ400とパーソナルコンピュータ500と
がそれぞれ存在している。この状況下で、ユーザがメディアプレーヤ1とヘッドフォン1
00とを携帯して位置Aから、位置B及び位置Cへ移動して、各位置に存在する他の機器
と無線通信を行う。例えば、メディアプレーヤ1から音声ストリーミングデータを無線送
信し、スピーカ200やステレオ300等で出力したり、メディアプレーヤ1から映像デ
ータを無線送信し、プリンタ400やパーソナルコンピュータ500にて出力したりする
。本実施の形態において、無線通信とは、Bluetooth規格に準じた通信(以下「
Bluetooth通信」という)を指すこととする。
【0015】
次に、メディアプレーヤ1が他の機器(スピーカ200・ステレオ300・プリンタ4
00・パーソナルコンピュータ500)とBluetooth通信を行う場合のペアリン
グ動作について説明する。ペアリング動作とは、メディアプレーヤ1が無線通信の実行に
先立って行う、無線接続先機器の認証及び登録処理をいう。本実施の形態においては、B
luetooth通信のGAP(Generic Access Profile)で定
められた認証及び登録処理を行うとする。
【0016】
このペアリング動作の流れは、まず周辺に存在するBluetooth通信機能を備え
る機器の検出を行い、検出された機器の中からBluetooth通信を行う通信相手を
選択する。そして、PIN(Personal Identification Num
ber)コードと呼ばれるパスワードを入力することで認証を行う。一旦、認証が成立す
ると、認証済みキーが生成されて通信相手の識別子と共に記憶されるので、再度その通信
相手とBluetooth通信を行う際にはPINコードの入力等が不要となる。
【0017】
次に、ペアリング動作の後、Bluetooth通信を開始するまでの流れを説明する
。まず、メディアプレーヤ1若しくは通信相手(スピーカ200・ステレオ300・プリ
ンタ400・パーソナルコンピュータ500)の側からBluetooth通信の実行が
指示される、若しくはユーザの指示無しに自動的にBluetooth通信の接続が実行
される。すると、BluetoothのAVRCP(Audio/Video Remo
te Control Profile)やA2DP(Advanced Audio
Distribution Profile)、BIP(Basic Imaging
Profile)、OPP(Object Push Profile)、SPP(Se
rial Port Profile)等に定められた方法で接続処理がなされ、各々の
方法で定められたデータが双方向でBluetooth通信可能な状態となる。例えば、
音声ストリーミング送信の場合、メディアプレーヤ1とヘッドフォン100は、A2DP
により定められた方法で接続し、符号化されたストリーミングデータがヘッドフォン10
0に送信される。ヘッドフォン100の側では、受信したデータを復号化手段により復号
して音声として再生される。これにより、メディアプレーヤ1とヘッドフォン100の間
で音声データの再生が可能な状態となる。
【0018】
本実施の形態においてメディアプレーヤ1の記憶容量は有限なものであり、ペアリング
動作を行い自装置内に識別子や認証済みキーを記憶することができる件数には限りがある
。従って、登録件数が上限に達した場合は、何れかの機器情報を削除しなければ、新たな
通信相手の機器情報の登録を行うことができない。例えば、削除を行う機器情報をペアリ
ングを行った時が最も古いもの若しくは使用頻度の低いものから選択するとする。この場
合に、位置B(外出先)や位置C(職場)に存在する通信相手(ステレオ300、プリン
タ400、パーソナルコンピュータ500)とBluetooth通信を行うこと、また
は複数のユーザが機器を持ち寄りアドホック通信により他のユーザの持つ機器と数多くB
luetooth通信を行うことにより、メディアプレーヤ1における機器情報の登録件
数の上限に達することが考えられる。すると、位置B(外出先)や位置C(職場)にて数
多く通信を行う以前に登録していた、位置A(自宅)に存在するスピーカ200の機器情
報が削除されてしまう。従って、位置A(自宅)に戻って、スピーカ200とBluet
ooth通信を行うためには、再度PINコードの入力を含むペアリング動作を行わなけ
ればならず、手間を要することとなる。
【0019】
このように、ユーザにはメディアプレーヤ1を使用する位置に応じて、それぞれの位置
に存在する機器の扱いに優先度を設けたいという要求がある。即ち、恒久的に用いること
が想定される自宅等に存在する機器の機器情報については、メディアプレーヤ1の登録件
数の上限に達している場合であっても、削除の対象とするのは不適切である。そこで、本
実施の形態においては、位置A(自宅)は恒久的に機器情報を記憶する位置、位置B(外
出先)及び位置C(職場)は、一時的に機器情報を記憶する位置として、それぞれの位置
情報を登録する。即ち、位置Aにてメディアプレーヤ1とペアリングしたヘッドフォン1
00及びスピーカ200の機器情報は、メディアプレーヤ1にて恒久的に機器情報を記憶
する。一方、位置B及び位置Cにてメディアプレーヤ1とペアリングしたステレオ300
、プリンタ400及びパーソナルコンピュータ500は、メディアプレーヤ1にて一時的
に記憶し、Bluetooth通信切断後に機器データを削除する。このように、機器情
報を位置に応じて記憶する仕方を分けることで、ユーザが恒久的にメディアプレーヤ1を
使用する位置においては、その位置に存在する機器についての機器情報が削除されること
がなくなる。
【0020】
次に、図2を用いてメディアプレーヤ1の機能について説明する。図2は、本実施の形
態におけるメディアプレーヤの機能ブロック図である。
【0021】
メディアプレーヤ1は、無線通信部10と、制御部20と、記憶部30と、無線通信ア
プリケーション40と、位置情報検出部50と、操作部60と、電源部70と、表示部8
0とを備える。
【0022】
無線通信部10は、アンテナを介して外部の通信機器とBluetooth通信を行う
ハードウェアである。
【0023】
制御部20は、本メディアプレーヤ1の動作を制御するために設けられたプロセッサで
あり、記憶部30に格納されている各種アプリケーションプログラムを実行する。例えば
、記憶部30に記憶された無線通信アプリケーション40を、操作部60からの操作信号
に基づいて実行する。
【0024】
記憶部30は、音声データの再生等を行うアプリケーションを含む各種アプリケーショ
ンを記憶している記憶装置である。記憶部30は、外部から与えられた各種のデータを記
憶し、再生アプリケーションに従って再生する。本実施の形態において、記憶部30には
、無線通信アプリケーション40が記憶されている。この無線通信アプリケーション40
については、後述する。
【0025】
位置情報検出部50は、メディアプレーヤ1の位置情報を検出するハードウェアである
。例えば、GPS(Global Positioning System)が挙げられ
る。
【0026】
操作部60は、ユーザによる操作を受けてメディアプレーヤ1に対する操作信号を受信
し、操作信号を制御部20に送出する。
【0027】
電源部70は、外部電源若しくはメディアプレーヤ1に備えられるバッテリから、メデ
ィアプレーヤ1に供給すべきシステム電源を生成する。
【0028】
表示部80は、再生している音楽データの曲名、プレイリスト、及びコンテンツに応じ
た動画を表示し、例えば液晶画面等である。
【0029】
出力部90は、スピーカ等の外部装置に記憶部30にて再生される各種のデータを出力
するインターフェースである。
【0030】
無線通信アプリケーション40は、動作制御部41と、登録情報制御部42と、無線通
信制御部43と、登録位置情報44と、恒久的機器登録情報45と、一時的機器登録情報
46とから構成される。
【0031】
動作制御部41は、操作部60からの操作信号に基づいて、無線通信アプリケーション
40を実行するにあたり、位置情報検出部50等の無線通信アプリケーション40以外の
機能部の動作を制御する。
【0032】
登録情報制御部42は、登録位置情報44、恒久的機器登録情報45、一時的機器登録
情報46の管理を行う。例えば、無線通信部10から取得した通信相手の識別子や、ペア
リング動作によって生成した認証済みキーを恒久的機器登録情報45若しくは一時的機器
登録情報46の何れかに記憶するかを決定する。また、位置情報検出部50にて検出した
位置情報を、機器情報を恒久的に記憶する位置として記憶するか否かを決定する。
【0033】
無線通信制御部43は、無線通信部10の制御を行い、Bluetooth通信の開始
や切断を指示する。また、ペアリング動作を行う場合に、通信相手の機器から通信相手の
機器に固有の識別子を取得する。
【0034】
登録位置情報44は、位置情報検出部50から検出される位置情報と、各位置において
機器情報を恒久的に記憶するか否かを決定する値とを格納したものである。図3は、本実
施の形態における登録位置情報の記憶状態の概念図である。図3に示すように、位置情報
検出部50から検出された位置情報と、その位置にてペアリングした機器情報を恒久的に
記憶するとするか否かを対応づけて記憶している。図3の例においては、「位置A(自宅
)」にてペアリングした外部の通信機器についての機器情報は恒久的に記憶し、「位置B
(外出先)」及び「位置C(職場)」にてペアリングした外部の通信機器についての機器
情報は一時的に記憶する設定になっている。また、「その他」の項目は、登録されていな
い新たな位置が検出された場合の、位置情報の設定を示すものである。各位置について、
接続した機器情報を恒久的に記憶するか否かの設定は、操作部60からの操作信号に基づ
いて、機器登録情報制御部42が行う。
【0035】
恒久的機器登録情報45は、外部の通信機器から取得した機器情報のうち、登録情報制
御部42によって、恒久的に登録すると決定されたものを格納したものである。図4は、
本実施の形態における恒久的機器登録情報の記憶状態の概念図である。図4に示すように
、機器名と機器を識別するための識別子と認証済みキーとを対応づけて記憶する。本実施
の形態において、機器を識別するための識別子とは、Bluetooth通信機能を備え
る機器に付与されているBD(Bluetooth Device)アドレスが挙げられ
る。また、認証済みキーとは、メディアプレーヤ1が外部の通信機器とペアリング動作を
行った際に生成される鍵である。
【0036】
一時的機器登録情報46は、外部の通信機器から取得した機器情報のうち、登録情報制
御部42によって、一時的に登録すると決定されたものを格納したものである。即ち、無
線通信を切断する際に、一時的機器登録情報46に格納された位置情報は消去される。図
5は、本実施の形態における一時的機器登録情報の記憶状態の概念図である。図5に示す
ように、機器名とBDアドレスと認証済みキーとを対応づけて記憶する。
【0037】
次に、図6を用いて、本発明の第1の実施の形態に係るペアリング動作について説明す
る。図6は、本実施の形態における第1の実施の形態におけるペアリングの手順を示すフ
ローチャートである。
【0038】
まず、制御部20が操作部60から、機器登録実行を示す操作信号を受信したか否かを
判別する(ステップS11)。その結果、制御部20が機器登録実行の操作信号を受信し
ていないと判別した場合(ステップS11のNo)、受信したと判別するまで引き続きス
テップS11を繰り返す。一方、機器登録実行を示す操作信号を受信したと判別した場合
(ステップS11のYes)、制御部20は無線通信アプリケーション40を実行し、登
録情報制御部42により登録位置情報44を読み込む(ステップS12)。
【0039】
次に、動作制御部41が、位置情報検出部50が検出した現在のメディアプレーヤ1の
位置情報を取得する(ステップS13)。次に、動作制御部41は、ステップS12で読
み込んだ登録位置情報44と、ステップS13で取得した現在の位置情報とを用いて、現
在の位置が登録位置情報44にて恒久的に機器情報を記憶する位置として登録されている
か否かを判別する(ステップS14)。
【0040】
その結果、現在の位置が登録位置情報44にて恒久的に機器情報を記憶するとして登録
されていると判別した場合(ステップS14のYes)、登録情報制御部42は、機器情
報の登録先を恒久的機器登録情報45として決定する。一方、現在の位置が登録位置情報
44にて恒久的に機器情報を記憶するとして登録されてないと判別した場合(ステップS
14のNo)、登録情報制御部42は、機器情報の登録先を一時的機器登録情報46とし
て決定する。
【0041】
以上の手順により、機器の登録が完了する。次に、実際のBluetooth通信を開
始する手順に進む。即ち、無線通信制御部43が、無線通信部10から周辺に無線通信可
能な機器が存在するか否かの検索を行う(ステップS17)。Bluetooth通信の
場合には、inquiry動作として定められた方法にて問い合わせパケットを送出する
ことで検索を行い、応答パケットを受信することで通信相手の候補を検出する。
【0042】
次に、無線通信制御部43は、操作部60から通信を行う機器を選択する操作信号及び
PINコードを受信して接続および認証処理を実行する(ステップS18)。次に、無線
通信制御部43は、認証が成功したか否かを判別する(ステップS19)。その結果、認
証が失敗したと判別した場合(ステップS19のNo)、無線通信制御部43は認証失敗
時処理を実行する(ステップS20)。認証失敗時処理とは、例えば、認証に伴って接続
された下位層の無線接続の切断処理をいう。即ち、無線通信部10にてBluetoot
h通信を継続せず、認証が失敗した旨を表示部80に表示させる。一方、認証に成功した
と判別した場合(ステップS19のYes)、ステップS15若しくはステップS16で
決定した登録先に機器登録を登録する(ステップS21)。そして、無線通信部10にて
外部の通信機器とBluetooth通信を開始する。以後の手順はステップS31に続
く。
【0043】
次に、図7を用いて、メディアプレーヤ1のBluetooth通信の切断時における
動作を説明する。図7は、本実施の形態における第1の実施の形態におけるBlueto
oth通信切断時の手順を示すフローチャートである。
【0044】
まず、メディアプレーヤ1は無線通信部10にて外部の通信機器との間でBlueto
oth通信を実行している(ステップS31)。次に、無線通信制御部43が、Blue
tooth通信切断を示す操作信号を、操作部60若しくは通信相手の機器から受信した
か否かを判別する(ステップS32)。
【0045】
その結果、Bluetooth通信の切断を示す操作信号を受信していないとは判別し
た場合(ステップS32のNo)、受信したと判別するまで引き続きステップS32を繰
り返す。即ち、Bluetooth通信を続行する。一方、Bluetooth通信の切
断を示す操作信号を受信したと判別した場合(ステップS32のYes)、次に登録情報
制御部42が、Bluetooth通信を実行している通信相手の機器情報を一時的機器
登録情報46に登録したか否かを判別する(ステップS33)。
【0046】
その結果、一時的機器登録情報46に登録していないと判別した場合(ステップS33
のNo)、後述するステップS35に遷移する。一方、一時的機器登録情報46に登録し
ていたと判別した場合(ステップS33のYes)、登録情報制御部42は一時的機器登
録情報46から通信相手の機器情報を削除する(ステップS34)。
【0047】
次に、無線通信制御部43は、無線通信部10にて実行しているBluetooth通
信を切断する(ステップS35)。以上で、メディアプレーヤ1における無線通信の切断
手順は終了する。
【0048】
以上のように構成される第1の実施の形態によれば、メディアプレーヤ1の使用する位
置に対応付けてBluetooth通信を行う相手の機器の機器情報を記憶することで、
登録情報の上限に達した場合にも機器の登録情報について意図しない削除を抑制すること
ができる。
【0049】
次に本発明の第2の実施の形態について図8を用いて説明する。第2の実施の形態にお
いては、登録されている位置以外ではBluetooth通信を実行できない。図8は、
本実施の形態における第2の実施の形態におけるペアリングの手順を示すフローチャート
である。
【0050】
図8において、図6と同様の手順は同じ符号で示し説明は省略する。第2の実施の形態
においては、動作制御部41が現在の位置が登録位置情報44にて恒久的に機器情報を記
憶するとして登録されてないと判別した場合(ステップS14のNo)、無線通信制御部
43が機器登録失敗動作を行う(ステップS26)。機器登録失敗動作とは、無線通信制
御部43が無線通信部10にてBluetooth通信を実行しないように制御し、動作
制御部41が表示部80にて現在の位置が登録されていないためにBluetooth通
信が不可能である旨の表示を行うことである。以上で、第2の実施の形態に係るペアリン
グ動作の手順は終了する。
【0051】
以上のように構成される第2の実施の形態によれば、ユーザによって登録されている位
置以外ではBluetooth通信を実行しないので、登録されていない位置でBlue
tooth通信の通信相手の機器情報を記憶することがない。従って、登録した位置の機
器情報のみが記憶され、恒久的に使用する機器の機器情報が誤って削除されることが抑制
される。
【0052】
次に本発明の第3の実施の形態について、図9を用いて説明する。第3の実施の形態に
おいては、登録されている位置以外ではBluetooth通信を開始しようとする場合
、ユーザに通信相手の機器の機器情報及びその位置情報を恒久的機器登録情報45に保存
するか否かを選択可能にする。図9は、本実施の形態における第3の実施の形態における
Bluetooth通信切断時の手順を示すフローチャートである。
【0053】
図9において、図7と同様の手順は同じ符号で示し、説明は省略する。第3の実施の形
態においては、登録情報制御部42が、Bluetooth通信を実行している相手機器
の機器情報を一時的機器登録情報46に登録したと判別した場合(ステップS33のYe
s)、動作制御部41は、表示部80に通信相手の機器の機器情報を保存するか否かを指
示するための表示を出力する(ステップS44)。次に、登録情報制御部42は、通信相
手の機器情報を保存することが指示されたか否かを判別する(ステップS45)。
【0054】
その結果、機器情報を保存することを指示されたと判別した場合(ステップS45のY
es)、登録情報制御部42は、機器情報を一時的機器登録情報46から恒久的機器登録
情報45へ移して保存する(ステップS46)。一方、機器情報を保存しないことを指示
されたと判別した場合(ステップS45のNo)、登録情報制御部42は一時的機器登録
情報46から機器情報を削除する(ステップS47)。
【0055】
次に、動作制御部41は、位置情報検出部50にて検出された現在の位置情報を、機器
情報を恒久的に保存する位置として登録位置情報44に登録するか否かを指示するための
表示を表示部80に出力する(ステップS48)。
【0056】
次に、現在の位置情報を、機器情報を恒久的に保存する位置として登録位置情報44に
登録することが指示されたか否かを判別する(ステップS49)。その結果、現在の位置
情報を、機器情報を恒久的に保存する位置として登録すると指示されていないと判別した
場合(ステップS49のNo)、上述したステップS35に遷移する。即ち、位置情報を
登録位置情報44に登録せず、Bluetooth通信を切断する。
【0057】
一方、現在の位置情報を、機器情報を恒久的に保存する位置として登録すると指示され
たと判別した場合(ステップS49のYes)、登録情報制御部42は現在の位置情報を
、機器情報を恒久的に保存する位置として登録位置情報44に登録する(ステップS50
)。その後は上述したステップS35に遷移する。
【0058】
以上のように構成される第3の実施の形態によれば、機器情報及び位置情報を恒久的に
記憶するか否かをユーザ自身で決定できるので、メディアプレーヤ1の利便性が向上する

【0059】
尚、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要
旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施の形態に開示さ
れている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、
実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に異なる実
施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 メディアプレーヤ
10 無線通信部
20 制御部
30 記憶部
40 無線通信アプリケーション
41 動作制御部
42 登録情報制御部
43 無線通信制御部
44 登録位置情報
45 恒久的機器登録情報
46 一時的機器登録情報
50 位置情報検出部
60 操作部
70 電源部
80 表示部
100 ヘッドフォン
200 スピーカ
300 ステレオ
400 プリンタ
500 パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行うために認証処理を要する無線通信機器であって、
他の機器と無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信に要する認証処理により生成される前記他の機器の有する機器情報を記憶
する記憶部と、
前記無線通信機器の位置情報を取得する位置検出部と、
前記位置検出部により取得する位置情報を、前記他の機器との無線通信終了後も前記機
器情報を保持する位置とする第1の位置情報と、前記無線通信終了後には前記機器情報を
保持しない位置とする第2の位置情報との何れかとして登録する登録情報制御部と、
前記無線通信実行時の前記無線通信機器の位置情報を取得し、その位置情報が前記第1
の位置情報と一致するか否かを判別し、取得された前記位置情報が前記第1の位置情報と
一致する場合、保持されている前記機器情報を用いて前記認証処理を行って無線通信を行
う無線通信制御部と、
を備えることを特徴とする無線通信機器。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第1の位置情報である場合、前記無線通
信部にて無線通信を行う通信相手の機器の機器情報を記憶する第1の記憶部と、
前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第2の位置情報である場合、前記無線通
信部にて無線通信を行う通信相手の機器の機器情報を記憶する第2の記憶部と、
を備え、
前記登録情報制御部は、前記無線通信部にて無線通信終了時に前記第2の記憶部に記憶
した前記機器情報を削除することを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項3】
前記無線通信部は、前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第2の位置情報であ
る場合、前記無線通信部にて無線通信を行わないように制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項4】
前記記憶部は、
前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第1の位置情報である場合、前記無線通
信部にて無線通信を行う通信相手の機器の機器情報を記憶する第1の記憶部と、
前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第2の位置情報である場合、前記無線通
信部にて無線通信を行う通信相手の機器の機器情報を記憶する第2の記憶部と、
を備え、
前記登録情報制御部に操作信号を送出する操作部と、
を更に備え、
前記登録情報制御部は、前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第2の位置情報
である場合であって、前記操作信号が前記無線通信の通信相手の機器情報を恒久的に保持
することを指示するものであるとき、前記機器情報を前記第2の記憶部から前記第1の記
憶部に移して恒久的に保持することを特徴とする請求項1に記載の無線通信機器。
【請求項5】
前記無線通信実行時に取得した位置情報が、前記第2の位置情報である場合、若しくは
前記第1の位置情報及び前記第2の位置情報に該当しない新たに検出された位置情報であ
る場合であって、前記操作信号が前記無線通信実行時に取得した位置情報を前記第1の位
置情報と設定することを示すものである場合、
前記登録情報制御部は、前記無線通信実行時に取得した位置情報を前記第1の位置情報
として記憶することを特徴とする請求項4に記載の無線通信機器。
【請求項6】
認証処理を要する無線通信を行う無線通信機器の機器登録方法であって、
他の機器と無線通信を行い、
前記無線通信に要する認証処理により生成する機器情報を記憶し、
前記無線通信機器が存在する位置の位置情報を検出し、
前記位置情報を前記無線通信終了後も前記機器情報を恒久的に保持するとする第1の位
置情報と、前記無線通信終了後には前記機器情報を保持しないとする第2の位置情報の何
れかとして登録し、
前記無線通信実行時の前記無線通信機器の位置情報である第3の位置情報が、前記第1
の位置情報であるか否かを判別し、
前記無線通信実行時に取得した位置情報が第1の位置情報である場合、前記機器情報を
用いて前記認証処理を行って無線通信を行うことを特徴とする機器登録方法。
【請求項7】
前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第1の位置情報である場合、前記無線通
信を行う通信相手の機器の機器情報を第1の記憶部に記憶し、
前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第2の位置情報である場合、前記無線通
信を行う通信相手の機器の機器情報を第2の記憶部に記憶し、
前記無線通信を終了した際に前記第2の記憶部に記憶した前記機器情報を削除する
ことを特徴とする請求項6に記載の機器登録方法。
【請求項8】
前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第1の位置情報である場合、前記無線通
信部にて無線通信を行う通信相手の機器の機器情報を記憶し、
前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第2の位置情報である場合、前記無線通
信部にて無線通信を行わないように制御を行う
ことを特徴とする請求項6に記載の機器登録方法。
【請求項9】
前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第1の位置情報である場合、前記無線通
信を行う通信相手の機器の機器情報を第1の記憶部に記憶し、
前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第2の位置情報である場合、前記無線通
信を行う通信相手の機器の機器情報を第2の記憶部に記憶し、
前記無線通信実行時に取得した位置情報が前記第2の位置情報である場合、前記機器情
報を恒久的に保持するか否かを選択する問い合わせを行い、
前記機器情報を恒久的に保持することが選択された場合、前記機器情報を前記第2の記
憶部から前記第1の記憶部に移して恒久的に保持する
ことを特徴とする請求項6に記載の機器登録方法。
【請求項10】
前記無線通信実行時に取得した位置情報が、前記第2の位置情報である場合、若しくは
前記第1の位置情報及び前記第2の位置情報に該当しない新たに検出された位置情報であ
る場合、前記無線通信実行時に取得した位置情報を前記第1の位置情報として登録するか
否かを選択する問い合わせを行い、
前記無線通信実行時に取得した位置情報を前記第1の位置情報として登録することが選
択された場合、前記無線通信実行時に取得した位置情報を前記第1の位置情報として登録
することを特徴とする請求項9に記載の機器登録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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