説明

情報処理装置及び装置パス診断方法

【課題】装置パス障害を確実に検知・診断することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、記憶手段2と装置パス診断手段3とを備える。記憶手段2は、システム全体を制御する中央処理装置10と周辺装置50との間を接続する複数の装置パスにおけるシステム起動時での接続状態を周辺装置50に関連付けて装置構成状態情報21として記憶する。装置パス診断手段3は、システム起動時に起動し、記憶手段2から装置構成状態情報21を読み出して、複数の装置パスの少なくとも一つの接続状態が異常である場合、接続異常と診断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び装置パス診断方法に関し、特に中央処理装置と周辺装置との間の装置パス診断を実行する情報処理装置及び装置パス診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムの立ち上げ後、接続されている周辺装置が装置パス障害により利用できない場合がある。また、周辺装置が利用できていても、コンピュータシステムがその本来の能力を十分に発揮できていない状態で使用されている場合がある。この場合、コンピュータシステムの処理能力低下となるため、お客さま用のコンピュータシステムとしては影響が非常に大きい。この十分な能力を発揮できていない状況は、片パス障害と呼ばれるものである。片パス障害は、コンピュータシステムの中央処理装置と周辺装置との間の複数の装置パスの一部が障害により利用できない状態になっていることに起因する。これら装置パス障害を事前に診断可能な技術が望まれる。
【0003】
装置パスを診断する方法のシステムの一例が、特開平03−151749号公報に記載されている。この装置パスの診断方法(ディジタル交換システムの自己診断方法)のシステムは、共通線信号装置(SGC)と、ラインスイツチ(LSW)と、デイジタルターミナル装置(DT)と、ブートプログラムから構成されている。このシステムは、システム立ち上げ時のブートプログラム起動時に、イニシャルプログラムロードにおいて装置パスの診断を実施している。すなわち、オペレーティングシステム(OS)がレディ状態になる前のイニシャルプログラムロード段階で装置パスの診断を実施している。
【0004】
関連する技術として特開昭62−192821号公報に、外部記憶装置の接続確認方式が開示されている。この接続確認方式は、交換パスを使用して外部記憶装置と中央処理装置とを接続しているシステムの初期設定時に、外部記憶装置に対してデータ記録様式を指定して書込み、且つシステム定義事項を格納する記憶装置に前記外部記憶装置のデータ記憶様式と交換パス事項とを書き込み、情報処理動作の開始前に前記書込み事項を両者読み出して参照することを特徴とする。
【0005】
関連する技術として特開昭61−256449号公報に、パス診断方式が開示されている。このパス診断方式は、マイクロディスク装置のデータ領域に予め書き込まれたチェックデータを、システムの電源投入したとき読み取り、読み取られたチェックデータと書き込み時の当該データの差異を調べることによりパスのチェックを行うことを特徴とする。
【0006】
関連する技術として特開平3−78849号公報に、診断機能を有するキャッシュ装置が開示されている。このキャッシュ装置は、プロセッサとメインメモリの間に結合され、該メインメモリに格納され該プロセッサによって処理される命令及びデータを一時的に記憶し、以下の構成要素を持つことを特徴とする。その構成要素は、所定の特徴を有するアドレスアレイ、データアレイ、アドレス系エラーチェックビット生成回路、データ系エラーチェックビット生成回路。アドレス系エラー検出回路、データ系エラー検出回路、動作モードレジスタ、及びキャッシュ制御回路である。
【0007】
【特許文献1】特開平03−151749号公報
【特許文献2】特開昭62−192821号公報
【特許文献3】特開昭61−256449号公報
【特許文献4】特開平03−078849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特開平03−151749号公報に記載された装置パスの診断方法の場合、イニシャルプログラムロード時にのみ装置パスの診断が実施されている。そのため、イニシャルプログラムロードの診断タイミングと周辺装置の立ち上がりタイミングとの間にズレがあった場合や、イニシャルプログラムロードでの診断完了後に装置パス障害が発生したりした場合、障害を見過ごしてしまう。
【0009】
特に、イニシャルプログラムロード時の診断完了後、オペレーティングシステムがレディ状態に遷移するごくわずかな時間帯では、周辺装置側で異常を検出した場合、障害アテンションをオペレーティングシステムに対して通知しようとしても、オペレーティングシステムがレディ状態になっていないので、オペレーティングシステム自身が検知することが不可能である。そのとき発生している障害が片パス障害の場合、周辺装置が利用できていているので障害が発生していることを認識し難く、コンピュータシステムがその本来の能力を十分に発揮できていない状態で使用されている状態が発生してしまう。また、オペレーティングシステムが稼働状態にあって、装置パス障害が何らかの要因により検知できない場合も極めて稀に発生する。周辺装置との間で複数パスにより接続されている場合、片パスが正常であれば(片パス障害であれば)、装置異常とは認識されず、コンピュータシステムの処理能力が低下したままの状態で利用され続けることになってしまう。
【0010】
従って、本発明の目的は、装置パス障害を確実に検知・診断することが可能な情報処理装置及び装置パスの診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の情報処理装置は、記憶手段と装置パス診断手段とを備える。記憶手段は、システム全体を制御する中央処理装置と周辺装置との間を接続する複数の装置パスにおけるシステム起動時での接続状態を周辺装置に関連付けて装置構成状態情報として記憶する。装置パス診断手段は、システム起動時に起動し、記憶手段から装置構成状態情報を読み出して、複数の装置パスの少なくとも一つの接続状態が異常である場合、接続異常と診断する。
【0012】
また、本発明の装置パス診断方法は、(a)システム全体を制御する中央処理装置と周辺装置との間を接続する複数の装置パスにおけるシステム起動時での接続状態を周辺装置と関連付けて装置構成状態情報として記憶するステップと、(b)システム起動時に起動し、装置構成状態情報を読み出して、複数の装置パスの少なくとも一つの接続状態が異常である場合、接続異常と診断するステップとを備える。
【0013】
更に、本発明のプログラムは、記憶手段と装置パス診断手段とを備える情報処理装置における装置パス診断方法を実行する。すなわち、そのプログラムは、(a)記憶手段が、システム全体を制御する中央処理装置と周辺装置との間を接続する複数の装置パスにおけるシステム起動時での接続状態を周辺装置に関連付けて装置構成状態情報として記憶するステップと、(b)装置パス診断手段が、システム起動時に起動し、記憶手段から装置構成状態情報を読み出して、複数の装置パスの少なくとも一つの接続状態が異常である場合、接続異常と診断するステップとを備える装置パス診断方法を実行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、情報処理装置において装置パス障害を確実に検知・診断することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の情報処理装置及び装置パス診断方法の実施例に関して、添付図面を参照して説明する。
【0016】
まず、本発明の特徴について説明する。
図1は、本発明の情報処理装置の実施例を示す構成図である。本発明の情報処理装置1は、記憶手段2と装置パス診断手段3とを備える。記憶手段2は、システム全体を制御する中央処理装置10と周辺装置50との間を接続する複数の装置パスの接続状態を周辺装置50に関連付けて装置構成状態情報21として記憶する。装置パス診断手段3は、システム起動時に起動され、装置構成状態情報21を参照して、複数の装置パスの少なくとも一つの接続状態が異常である場合、接続異常と診断する。
【0017】
図2は、本発明の装置パス診断方法の実施例を示すフロー図である。本発明の装置パス診断方法及びその診断方法を実行するプログラムは、図1の構成を有する情報処理装置1における装置パス診断方法を実行する。すなわち、(a)記憶手段2が、システム全体を制御する中央処理装置10と周辺装置50との間を接続する複数の装置パスの接続状態を周辺装置50に関連付けて装置構成状態情報21として記憶するステップ(S01)と、(b)装置パス診断手段3が、システム起動時に起動され、装置構成状態情報21を参照して、複数の装置パスの少なくとも一つの接続状態が異常である場合、接続異常と診断するステップと(S02)を備える装置パス診断方法を実行する。
【0018】
すなわち、本発明の情報処理装置1では、オペレーティングシステム(以下、「OS」とも記す)が、OS起動時に、本発明の装置パス診断方法を実行するプログラムの実行を中央処理装置10に指示する。装置パス診断手段3は、システム起動後に、周辺装置制御部40に対して、周辺装置制御部40と周辺装置50の間で接続される全ての装置パスにおける接続状態を確認することを指示する。周辺装置50が複数ある場合には、その各々について確認する。周辺装置制御部40が確認した接続状態は、周辺装置制御部40により記憶手段2内に存在するOSの一機能である装置構成状態情報21に書き込まれる。すなわち、記憶手段2は、各装置パスの接続状態と周辺装置50とを関連付けた装置構成状態情報21を記憶する(S01)。その後、装置パス診断手段3は、装置構成状態情報21を参照して、装置パスの接続状態を確認する(S02)。
【0019】
このように、本発明では、OSがOS起動時に装置パス診断方法を実行するプログラムの実行を中央処理装置10に指示するので、OSがレディ直後の状態で装置パス診断を実施することができる。加えて、OSがレディ後であれば、OS自身に装置パス診断の機能を持たせることができる。OSがレディになった直後の状態で装置パス診断を実施することで、OSは、イニシャルプログラムロード診断完了後、オペレーティングシステムがレディ状態に遷移するごくわずかな時間帯を含めて、片パス障害を含む周辺装置の装置パス障害問題を検知することが可能となる。
【0020】
更に、OSが周辺装置の装置パス障害問題を検知することができれば、その障害に関する情報をログ(図示されず)に書き込むことや、情報処理装置1の入出力装置(図示されず)やネットワークを介した他の情報端末(図示されず)へ出力(表示)させることができる。それにより、装置パス障害をオペレータに通知したり、自動通報サービスと連動させて保守会社に連絡したりすることができる。そして、その通知や連絡を受け、オペレータや保守会社職員が装置パス障害を取り除くことで、装置パス障害により利用できない周辺装置や、片パス障害で本来持つ十分な能力を発揮していないまま気が付かずにコンピュータシステムを使用し続けることを回避することができる。
【0021】
装置パス診断手段31は、OS起動直後から常時動作可能な状態となる。例えば、装置パス診断手段31は、OS起動時に実行し、OS起動後に一定期間ごとに実行することを可能とする常駐プログラムとすることが好ましい。このように、装置パス診断方法を実行するプログラムをシステムの常駐プログラムとすることで、イニシャルプログラムロード時、及び、OS自身の診断機能以外のいかなる契機においても装置パス診断を実施することが可能となる。それにより、複数パスにて接続されているコンピュータシステムの周辺装置に対して片パス障害による処理能力低下を防ぐための手段として有効である。
【0022】
次に、本発明の情報処理装置及び装置パス診断方法の実施例について詳細に説明する。図3は、本発明の情報処理装置の実施例を示す構成図である。情報処理装置1は、情報処理を行う装置であり、コンピュータやコンピュータシステムに例示される。情報処理装置1は、情報処理装置本体5と、周辺装置(群)50と、システム操作卓60と、通信インターフェース90とを具備する。
【0023】
システム操作卓60は、入出力装置であり、ディスプレイのような表示装置及びキーボートのような入力装置に例示される。システム操作卓60は、装置パス診断方法を実行するプログラムの実行結果を示すメッセージを表示する機能を有する。それにより、装置パス障害をオペレータに通知することができる。システム操作卓60は、また、装置パス診断方法を実行するプログラムを一定間隔や所定時刻のような任意のタイミングで実行する場合の条件設定時にパラメータを入力する機能を有する。システム操作卓60は、情報処理装置本体5と双方向通信可能に接続されている。
【0024】
周辺装置(群)50は、少なくとも一つの周辺装置(機器)であり、ディスク装置51、テープ装置52、プリンタ装置53に例示される。例えば、ディスク装置51は、OS31のような情報処理装置1の情報処理に必要なプログラムやデータを格納している。周辺装置(群)50は、情報処理装置本体5と双方向通信可能に接続されている。なお、周辺装置(群)50は、情報処理装置本体5と双方向通信可能に接続され、中央処理装置10により制御されるならば情報処理装置1に外付けされた装置であっても良い。
【0025】
通信インターフェース90は、情報処理装置1と外部の情報処理装置100とを双方向通信可能に媒介するインターフェースである。情報処理装置1と情報処理装置100との間はネットワーク200で接続されている。情報処理装置100は、例えば、保守会社や外部の関係者の有する情報端末や携帯端末である。それにより、装置パス障害を保守会社や外部の関係者に早期に連絡することができる。
【0026】
情報処理装置本体5は、中央処理装置10と、第1メモリ70と、第2メモリ80とを備える。第1メモリ70は、中央処理装置10の情報処理のときに利用される主記憶装置であり、RAM(Random Access Memory)に例示される。第2メモリ80は、ファームウェアであるイニシャルプログラム81が格納され、ROM(Read Only Memory)に例示される。中央処理装置10は、情報処理装置1全体を制御する装置であり、CPU(Central Processing Unit)に例示される。中央処理装置10は、記憶部20と、演算処理部30と、周辺装置制御部40とを含む。
【0027】
記憶部20は、データを記憶する記憶素子領域であり、チップ内に形成されたRAM(Random Access Memory)に例示される。記憶部20は、装置構成状態情報21を記憶している。
装置構成状態情報21は、システムに接続されている装置の状態を、OS31の一機能として記録しているテーブルである。図4は、その装置構成状態情報21の構成を示す表である。図4に示す通り、装置構成状態情報21は、周辺装置50に関する情報としての装置名22及び上位/下位接続装置名23と、接続状態に関する情報としてのパス状態24とを関連付けて格納している。ただし、パス状態24は、正常状態が「S」で、異常状態が「U」でそれぞれ表されている。
【0028】
演算処理部30は、演算処理を実行する演算処理素子領域である。演算処理部30は、イニシャルプログラム81や、OS31及びそれに含まれる装置パス診断部32や自動通報処理部33に関する演算処理を実行する。演算処理部30は、記憶部20及び周辺装置制御部40に双方向通信可能に接続されている。
【0029】
OS31は、情報処理装置1の動作を制御するオペレーティングシステム(プログラム)である。OS31は、例えば、周辺装置群50のうちのハードディスクドライブ51に格納され、OS31の起動時に第1メモリ70に展開され、演算処理部30に読み出されて実行される。OS31は、装置パス診断部32と自動通報処理部33とを含んでいる。
【0030】
装置パス診断部32は、装置パス診断の実施を制御する機能を有する。OS起動時に動作するほか、OS起動後に一定間隔または所定の時刻等の任意に実行することも可能とする常駐プログラムであることが好ましい。装置パス診断部32の実行時には、周辺装置制御部40に指示を出し、接続される配下の周辺装置群50の各々に対して、接続されている全装置パスの接続状態を検査(確認)させる。そして、その結果を、記憶部20の装置構成状態情報21に格納させる。装置パス診断部32は、結果報告が終わった時点で、装置構成状態情報21を参照し、障害のある異常状態「U」の装置パスを示す診断結果の情報をシステム操作卓30に表示させる。また、装置パス診断部32は、自動通報処理部33へも診断結果の情報を送り、自動通報処理部33を起動させる。
【0031】
自動通報処理部33は、診断結果の情報の自動通報を行う機能を有する。すなわち、自動通報処理部33は、装置パス診断部32から診断結果の情報を受信する。そして、装置パス診断部32の指示により自動通報を実行して、診断結果の情報を通信インターフェース90とネットワーク200を介して所定の情報処理装置100へ送信する。その具体的な動作は、既存の自動通報システムと連携をする形とする。
【0032】
周辺装置制御部40は、周辺装置(群)50や第1メモリ70、第2メモリ80と中央処理装置10との間の入出力を制御する機能と、中央処理装置10に接続される配下の周辺装置(群)50に対して、接続されている全装置パスの接続状態をチェックする機能とを有する。周辺装置制御部40は、記憶部20や演算処理部30、周辺装置(群)50や第1メモリ70、第2メモリ80と双方向通信可能に接続されている。
【0033】
ここで、記憶手段2は、例えば、記憶部20とすることができる。装置パス診断手段3は、例えば、OS31の装置パス診断部32及びその動作に関与する演算処理部30とすることができる。ただし、ハードウェアやソフトウェアのいずれか一方だけで構成しても良い。自動通報処理手段(図示されず)は、例えば、自動通報処理部33及びその動作に関与する演算処理部30とすることができる。ただし、ハードウェアやソフトウェアのいずれか一方だけで構成しても良い。
【0034】
次に、本発明の装置パス診断方法の実施例について詳細に説明する。 図5は、本発明の装置パス診断方法の実施例を示すフロー図である。
【0035】
まず、前段として、情報処理装置1(コンピュータシステム)の電源が投入されると、システムイニシャルプログラム81が演算処理部30により実行される。そのとき、イニシャルプログラム81は、情報処理装置本体5に接続される全周辺装置50に対して装置パス診断を実施し、その結果をシステム操作卓60に表示させる。イニシャルプログラム81は、それと共に、記憶部20の装置構成状態情報21に、その結果をパス状態24として、周辺装置50に関する情報に対応付けて格納する。
【0036】
そして、イニシャルプログラムロード後、様々な処理が実行されると共に、OS31が起動されてレディ状態となる。OS31がレディとなったと同時に、常駐プログラムである装置パス診断部32の実行をOS31が指示する(ステップA1)。
【0037】
OS31からの指示を受け、装置パス診断部32は、周辺装置制御部40に対し、周辺装置制御部40の配下に接続されている周辺装置群50の各々における各装置パスに関して接続状態の確認を指示する。周辺装置制御部40は、周辺装置制御部40に接続される周辺装置群50の各々について、全ての装置パスに対して接続状態を検査する。その後、接続状態の検査結果を記憶部20内にある装置構成状態情報21に記憶する(更新する)(ステップA2)。
【0038】
装置パス診断部32は、診断を行うために、周辺装置制御部40による装置パス診断が終了した後、記憶部20内にある装置構成状態情報21を参照する(ステップA3)。そして、装置構成状態情報21においてパス状態24が「U」の状態(装置パス障害を検出)がある場合(ステップA4:YES)、装置パス診断部32は、その診断結果を、対応する周辺装置50に関する情報に関連付けて自動通報処理部33へ出力する(ステップA5)。自動通報処理部33は、その診断結果と周辺装置50に関する情報とを、遠隔地へ障害を通知するために送信する。一方、装置構成状態情報21においてパス状態24が「U」の状態を有さない場合(ステップA4:NO)、そのまま処理を終了する。
【0039】
また、装置パス診断部32は、その診断結果をシステム操作卓60に表示させるために、その診断結果と周辺装置50に関する情報とを関連付けてシステム操作卓60へ出力する。システム操作卓60は、その診断結果と周辺装置50に関する情報とを関連付けて表示する(ステップA6)。
上記のようにして、装置パス診断方法が実施される。
【0040】
図6は、ステップA2における周辺装置制御部の動作の詳細を示すフロー図である。
装置パス診断においては、周辺装置制御部40は、周辺装置制御部40に接続される配下の周辺装置群50の各々に対して、接続される装置パス全てに対して、装置パス毎に接続状態を検査する(ステップB1)。その後、装置パス毎の接続状態の検査結果(例示:正常又は異常状態の表す記号)を、周辺装置50に関連付けて、記憶部20内にあるオペレーティングシステムの一機能である装置構成状態情報21に書き込む(ステップB2)。
上記のようにして、ステップA2における周辺装置制御部の動作が実施される。
【0041】
図7は、ステップA5における自動通報処理部の動作の詳細を示すフロー図である。
従来技術の自動通報手段を組み合わせて利用することで、システム操作卓60に診断結果を表示させるだけでなく、遠隔地においても装置パス障害を検知することが可能である。この場合、装置パス診断部32は、自動通報処理部33を起動し、診断結果を自動通報処理部33へ出力する。自動通報処理部33は、装置パス診断部32から診断結果を受け取る(ステップC1)。そして、自動通報処理部33は、自動通報処理を予め設定された遠隔地(例示:情報処理装置100)に対して実施し(ステップC2)、処理を終了する。予め設定された遠隔地(例示:情報処理装置100)に関する情報(例示:メールアドレス)は、自動通報処理部33に予め入力されている。
上記のようにして、ステップA5における自動通報処理部の動作が実施される。
【0042】
本実施例において、装置パス診断方法は、OS起動直後から常時動作可能な状態となるOSの常駐プログラムで実行されることが好ましい。そして、システム起動時に装置パス診断方法の実行をOSにより当該常駐プログラムが指示される、というように構成されることが好ましい。それによりイニシャルプログラムロードにて装置パス診断が完了した後から、オペレーティングシステムがレディ状態となるまでの間で装置パス障害が発生した場合においても装置パス障害を検出することができる。これにより、装置パス障害が発生した如何なる場合においても装置パス障害の検知が可能となる。
【0043】
装置パス診断方法がOSの常駐プログラムで実行される場合、装置パス障害のより早期の発見が可能となる。その理由は、装置パスの接続状態を常駐プログラム内で判断することで、装置パスの接続状態が異常となった時に即時に対応できるためである。この結果、イニシャルプログラムロードにて診断完了した後から、オペレーティングシステムがレディ状態となるまでのわずかな間で装置パス障害が発生した場合においても装置パス障害を検出することができる。
【0044】
次に、図3を参照して、本発明の装置パス診断方法の他の実施例について詳細に説明する。
上記実施例では、イニシャルプログラムロード完了からオペレーティングシステムがレディ状態になる間にパス障害が発生した時のために、システム起動時に装置パス診断方法を実行するプログラムを実施している。これは、オペレーティングシステムがレディ状態となることでプログラムを実行することが可能となるため、いち早くパス状態の確認をするために実施している。
【0045】
それに対して、この他の実施例では、一定間隔ごと又は所定の時刻ごとに装置パス診断方法を実行するプログラムが実行されるように、システム操作卓60でパラメータ(例示:時間間隔、定時)を入力設定する。設定値は、例えば、OSに書き込まれる。そして、OSは設定値と情報処理装置本体5の有する時計とを比較し、設定値の条件が満たされたとき、装置パス診断部32の実行を指示する。その指示に基づいて、装置パス診断部32は、上述の装置パス診断を実行する。それにより、装置パス診断方法を実行するプログラムをその一定間隔ごと又は所定の時刻ごとに実行することができる。そうすることで、常に複数パス接続の装置に対して、装置パスの接続状態を確認することができる。
【0046】
なお、設定値は、例えば、装置パス診断部32に書き込まれても良い。その場合、装置パス診断部32は設定値と情報処理装置本体5の有するクロックとを比較し、設定値の条件が満たされたとき、装置パス診断を実行する。
【0047】
このような他の実施例は、装置パス診断方法を実行するプログラムの実行を、任意の時刻又は時間間隔でOSにより指示されるというように構成されている。そのため、システム稼働中において、何らかの原因(例示:OSや周辺装置のバグ)にてOS自身が障害検知出来なかった場合においても装置パス障害を検出することができる。
【0048】
本発明のプログラムは、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録され、その記憶媒体から情報処理装置に読み込まれても良い。
【0049】
本発明は上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明の情報処理装置の実施例を示す構成図である。
【図2】図2は、本発明の装置パス診断方法の実施例を示すフロー図である。
【図3】図3は、本発明の情報処理装置の実施例を示す構成図である。
【図4】図4は、装置構成状態情報21の構成を示す表である。
【図5】図5は、本発明の装置パス診断方法の実施例を示すフロー図である。
【図6】図6は、ステップA2における周辺装置制御部の動作の詳細を示すフロー図である。
【図7】図7は、ステップA5における自動通報処理部の動作の詳細を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0051】
1 情報処理装置
2 記憶手段
3 装置パス診断手段
10 中央処理装置
20 記憶部
21 装置構成状態情報
22 装置名
23 上位/下位接続装置名
24 パス状態
30 演算処理部
31 OS
32 装置パス診断部
33 自動通報処理部
40 周辺処理制御部
50 周辺装置(群)
60 システム操作卓
70 第1メモリ
80 第2メモリ
81 イニシャルプログラム
90 通信インターフェース
100 情報処理装置
200 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム全体を制御する中央処理装置と周辺装置との間を接続する複数の装置パスにおける前記システム起動時での接続状態を前記周辺装置に関連付けて装置構成状態情報として記憶する記憶手段と、
前記システム起動時に起動し、前記記憶手段から前記装置構成状態情報を読み出して、前記複数の装置パスの少なくとも一つの接続状態が異常である場合、接続異常と診断する装置パス診断手段とを備える
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記装置パス診断手段は、前記中央処理装置に含まれ前記周辺装置との入出力処理を行う周辺処理制御部に、前記接続状態の検査を、前記システム起動時に指示し、
前記記憶手段は、前記周辺処理制御部による前記検査の結果を前記周辺装置に関連付けて前記装置構成状態情報として記憶する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記装置パス診断手段は、前記中央処理装置に接続された入出力装置に前記診断の結果の出力を指示する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記装置パス診断手段は、前記システム起動後に常時動作可能な状態である
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記診断の結果を、ネットワークを介して接続された他の情報処理装置へ自動通報する自動通報処理手段を更に備え、
前記装置パス診断手段は、前記他の情報処理装置への前記診断の結果の自動通報を前記自動通報処理手段に指示する
情報処理装置。
【請求項6】
システム全体を制御する中央処理装置と周辺装置との間を接続する複数の装置パスにおける前記システム起動時での接続状態を前記周辺装置と関連付けて装置構成状態情報として記憶するステップと、
前記システム起動時に起動し、前記装置構成状態情報を読み出して、前記複数の装置パスの少なくとも一つの接続状態が異常である場合、接続異常と診断するステップとを備える
装置パス診断方法。
【請求項7】
請求項6に記載の装置パス診断方法において、
前記中央処理装置に含まれ前記周辺装置との入出力処理を行う周辺処理制御部に、前記接続状態の検査を、前記システム起動時に指示するステップを更に備え、
前記記憶するステップは、
前記周辺処理制御部による前記検査の結果を前記周辺装置に関連付けて前記装置構成状態情報として記憶するステップを含む
装置パス診断方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の装置パス診断方法において、
前前記中央処理装置に接続された入出力装置に前記診断の結果の出力するステップを更に備える
装置パス診断方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一項に記載の装置パス診断方法において、
ネットワークを介して接続された他の情報処理装置に前記診断の結果を自動通報するステップを更に備える
装置パス診断方法。
【請求項10】
装置パス診断手段と記憶手段とを備える情報処理装置における装置パス診断方法を実行するためのプログラムであって、
前記記憶手段が、システム全体を制御する中央処理装置と周辺装置との間を接続する複数の装置パスにおける前記システム起動時での接続状態を前記周辺装置に関連付けて装置構成状態情報として記憶するステップと、
前記装置パス診断手段が、前記システム起動時に起動し、前記記憶手段から前記装置構成状態情報を読み出して、前記複数の装置パスの少なくとも一つの接続状態が異常である場合、接続異常と診断するステップとを備える
装置パス診断方法を実行するためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムにおいて、
前記装置パス診断手段が、前記中央処理装置に含まれ前記周辺装置との入出力処理を行う周辺処理制御部に、前記接続状態の検査を、前記システム起動時に指示するステップを更に備え、
前記記憶するステップは、
前記記憶手段が、前記周辺処理制御部による前記検査の結果を前記周辺装置に関連付けて前記装置構成状態情報として記憶するステップを含む
プログラム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のプログラムにおいて、
前記装置パス診断手段が、前記中央処理装置に接続された入出力装置に前記診断の結果の出力を指示するステップを更に備える
プログラム。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記装置パス診断部が、前記システム起動後に常時動作可能な状態である
プログラム。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記情報処理装置が自動通報処理手段を更に備え、
前記装置パス診断手段が、ネットワークを介して接続された他の情報処理装置への前記診断の結果の自動通報を、前記自動通報処理手段に指示するステップと、
前記自動通報処理手段が、前記他の情報処理装置に前記診断の結果を自動通報するステップとを更に備える
プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−110410(P2009−110410A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283772(P2007−283772)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】