説明

情報処理装置

【課題】あるファイルを、別の複数の記録媒体に分割してファイルの書き出しを行うときに、どの記録媒体の続きがどの記録媒体に格納されているか、を含む適正なファイル管理情報を記録媒体に書き出し、ユーザの作業負荷を軽減できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、第1の記録媒体に格納されているファイルの容量、および当該ファイルを書き出すための第2の記録媒体の空き容量を取得、その結果に基づいて、前記第2の記録媒体に収まる範囲で、書き出す対象ファイルを決定する。前記対象ファイルについて、その前後に書き出される第2の記録媒体との関係を含むファイル管理情報を作成し、前記対象ファイルと、前記ファイル管理情報とを、前記第2の記録媒体に書き出す。以上の処理を前記第1の記録媒体に書き出していないファイルがなくなるまで繰り返して、複数の第2の記録媒体に分割してファイルを書き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関し、特に、ある記録媒体から別の記録媒体にファイルの書き出し処理を行うことができる情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年、デジタルカメラやデジタル音楽配信等の普及により、個人レベルで様々なコンテンツのファイル管理を行う機会が増えている。また、CD−RやDVDをはじめとした大容量のリムーバブル記録媒体も増加し、一般のユーザでも、非常に多数のファイルを気軽に取り扱うようになっている。そこで、コンテンツファイルを扱う様々な情報処理装置の間で互換性を高め、且つ、管理がしやすいようなファイル管理情報のフォーマットの規格も制定されている。このような規格の代表的な例として、OSTA(Optical Storage Technology Association)が提唱した規格であるMPV(Music Photo/Video(登録商標))がある。
【0003】
こういった規格を用いてファイル管理を効率的に行い、利便性を向上させることが、例えば、特開2005−327257号公報(特許文献1)に開示されている。
【0004】
一方、ある記録媒体に多くのファイルを記録した結果、この記録媒体の空き容量が不十分になった場合には、この記録媒体に記録されているファイルを、別の記録媒体に書き出す必要が生じることがある。例えば、デジタルカメラにメモリカードを挿入して、撮像した画像をメモリカードに順次記録していったような場合には、ある程度の枚数の画像を撮像すると、このメモリカードの空き容量が少なくなるため、ユーザは、このメモリカードに記録された画像のファイルを、CD−Rのような別の記録媒体に書き出し、メモリカードを再利用できるようにする必要がある。この書き出しの際に、特許文献1にも開示されているMPV等のファイル管理情報を用いて、CR−R等に書き出した画像のファイルが効率的に管理できれば、ユーザ利便性がより向上する。
【0005】
しかし、この書き出しの際に、書き出し元の記録媒体に格納されいてるファイルの総容量の方が、書き出し先の記録媒体の空き容量よりも大きく、1つの記録媒体には収まりきれない場合もある。このような場合には、書き出し先の記録媒体を複数にして、ファイルの書き出し処理を行うことにより、書き出し処理を実現することも可能である。このように複数の記録媒体に分割してファイルの書き出しを行った場合にも、MPVなどのファイル管理情報が自動的に作成されて、それぞれの記録媒体に格納されていれば、効率的なファイル管理を容易に実現することができるので、ユーザの利便性は向上する。
【0006】
また、これまでは、複数の記録媒体に分割してファイルの書き出しを行った場合には、ユーザは、どの記録媒体の続きのファイルが、どの記録媒体に格納されているのか分かるように、記録媒体のタイトルにNo.1、No.2などという識別情報をわざわざ付加して、事後的な識別しやすいようにしていた。しかし、このような場合でも、MPVなどで記述されたファイル管理情報に基づいて、複数に亘る記録媒体の連続性が容易に分かるようになれば、ユーザの書き出し処理の際の作業負荷が軽減される。
【特許文献1】特開2005−327257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、ある記録媒体に格納されているファイルを、別の複数の記録媒体に分割してファイルの書き出しを行った場合にも、適正なファイル管理情報もこれら別の複数の記録媒体に書き出すことのできる、情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、
第1の記録媒体から、この第1の記録媒体に格納されているファイルの容量を取得する、ファイル容量取得手段と、
前記第1の記録媒体に格納されているファイルを書き出すための第2の記録媒体の空き容量を取得する、空き容量取得手段と、
前記ファイル容量取得手段で取得したファイルの容量と、前記空き容量取得手段で取得した前記第2の記録媒体の空き容量とに基づいて、前記第2の記録媒体に収まる範囲で、書き出すファイルを決定する、書き出しファイル決定手段と、
前記書き出しファイル決定手段で書き出すファイルとして決定されたファイルについて、ファイル管理情報を作成する、ファイル管理情報作成手段と、
前記書き出しファイル決定手段で書き出すファイルとして決定されたファイルと、前記ファイル管理情報作成手段で作成されたファイル管理情報とを、前記第2の記録媒体に書き出す、書き出し実行手段と、
前記第2の記録媒体へ書き出していないファイルが前記第1の記録媒体に残っている場合には、前記書き出しファイル決定手段による書き出すファイルの決定と、前記ファイル管理情報作成手段によるファイル管理情報の作成と、前記書き出し実行手段による書き出しとを、前記第1の記録媒体に書き出していないファイルがなくなるまで繰り返して、複数の第2の記録媒体に分割してファイルを書き出す、繰り返し実行手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
この場合、情報処理装置は、
前記第2の記録媒体がリムーバブルな記録媒体であるかどうかを判断する、記録媒体判断手段と、
前記記録媒体判断手段が、前記第2の記録媒体がリムーバブルな記録媒体でないと判断した場合には、複数の第2の記録媒体に分割したファイルの書き出しは行わない通常の書き出しを行う、非分割書き出し手段と、
をさらに備えるようにしてもよい。
【0010】
また、前記ファイル管理情報作成手段は、前記第2の記録媒体が複数に亘る場合には、前記第2の記録媒体のそれぞれのファイル管理情報に、複数に分割してファイルを書き出した第2の記録媒体のうちの一部であることをユーザが識別できる分割識別情報を付加するようにしてもよい。
【0011】
この場合、前記ファイル管理情報作成手段は、前記分割識別情報として、前記第2の記録媒体のそれぞれに連続番号を付加するようにしてもよい。
【0012】
また、情報処理装置は、前記ファイル管理情報作成手段でファイル管理情報を作成する際に必要となる情報をユーザに入力させる、ユーザ入力手段をさらに備えており、
前記ファイル管理情報作成手段は、1枚目の第2の記録媒体に対して前記ユーザ入力手段で入力された情報を用いて、2枚目以降の第2の記録媒体のファイル管理情報を作成するようにしてもよい。
【0013】
また、前記ファイル管理情報は、MPV(Music Photo/Video)形式で記述されているようにしてもよい。
【0014】
また、前記ファイル容量取得手段は、前記第1の記録媒体からファイルの容量を順番に取得し、前記書き出しファイル決定手段は、前記第1の記録媒体から取得したファイルの容量では、前記第2の記録媒体に収まりきらない場合には、このファイルの前の順番までのファイルを、書き出すファイルとして決定するようにしてもよい。
【0015】
本発明に係る情報処理装置は、
第1の記録媒体から、この第1の記録媒体に格納されているファイルの容量を取得するステップと、
前記第1の記録媒体に格納されているファイルを書き出すための第2の記録媒体の空き容量を取得するステップと、
前記取得したファイルの容量と、前記取得した前記第2の記録媒体の空き容量とに基づいて、前記第2の記録媒体に収まる範囲で、書き出すファイルを決定するステップと、
前記書き出すファイルとして決定されたファイルについて、ファイル管理情報を作成するステップと、
前記書き出すファイルとして決定されたファイルと、前記作成されたファイル管理情報とを、前記第2の記録媒体に書き出すステップと、
前記第2の記録媒体へ書き出していないファイルが前記第1の記録媒体に残っている場合には、前記書き出すファイルを決定するステップと、前記ファイル管理情報を作成するステップと、前記書き出すファイルとして決定されたファイルと前記ファイル管理情報とを前記第2の記録媒体に書き出すステップとを、前記第1の記録媒体に書き出していないファイルがなくなるまで繰り返すステップと、
を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置10の内部構成の一例を説明するブロック図である。この図1に示すように、本実施形態に係る情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)20と、RAM(Random Access Memory)22と、ROM(Read Only Memory)24と、メモリカードインターフェース26と、外部ストレージ28と、CDドライブ30と、印刷実行部32と、表示画面34と、入力部36とを備えて構成されており、これらは互いに内部バスを介して接続されている。本実施形態においては、この情報処理装置10は、例えば、インクジェットプリンタやレーザプリンタなどのプリンタにより構成されている。
【0018】
CPU20は、この情報処理装置10の制御部を構成しており、例えば、ROM24に格納されている各種のプログラムを読み出して実行することにより、この情報処理装置10の全体的な制御を行う。RAM22は、CPU20が各種の処理をする場合のデータが揮発的に格納されるメモリである。
【0019】
メモリカードインターフェース26は、この情報処理装置10のメモリカードスロットにメモリカード40が挿入された場合に、メモリカード40と情報処理装置10との間でデータをやり取りするためのインターフェースである。外部ストレージ28は、例えば、大容量のハードディスクドライブなどにより構成されている。CDドライブ30は、例えばCD−R42が装着された場合に、CD−R42に格納されているデータを読み出したり、CD−R42にデータを書き込んだりするためドライブである。メモリカード40やCD−R42は、いずれも、本実施形態における記録媒体の一例である。
【0020】
表示画面34は、例えば、小型の液晶表示画面により構成されている。入力部36は、例えば、カーソルボタンや決定ボタンを有する操作パネルにより構成されていてもよいし、或いは、表示画面34がタッチパネルにより構成されている場合には、表示画面34と一体に構成されていてもよい。印刷実行部32は、インクジェット式やレーザー式などのプリントエンジンにより構成されており、CPU20の制御に従って印刷媒体に印刷を行う。
【0021】
本実施形態では、図2に示すように、メモリカード42に格納されているファイルをCD−R42に書き出そうとした際に、1枚のCD−R42には格納しきれずに、複数のCD−R42に分割して格納する必要性が生じる場合を想定してる。すなわち、図2の例では、メモリカード40に、「001.JPG」、「002.JPG」、「003.JPG」という3つのファイルが格納されており、この3つのファイルをCD−R42に書き出そうとすると、1枚目のCD1には「001.JPG」は格納できるが、「002.JPG」は収まりきれないと仮定する。そこで、2つのファイル「002.JPG」、「003.JPG」は、2枚目のCD2に格納する。ここでは、ファイルの順番にも意味があるものとして考えており、例えば、1枚目のCD1に、「001.JPG」に加えて「003.JPG」も収まるとしても、「003.JPG」は1枚目のCD1には格納しないものとしている。
【0022】
また、図2から分かるように、本実施形態に係る情報処理装置10では、ファイル書き出しの際に、MPV形式のファイル管理情報も作成して、CD1、CD2のそれぞれに書き込んでいる。すなわち、CD1のファイル管理情報では、アルバムのタイトルとして「夏休み001」と定義し、キーワードを「ファミリー」と定義している。CD2では、アルバムのタイトルとして「夏休み002」と定義し、キーワードを「ファミリー」と定義している。タイトルにおける「001」、「002」は、情報処理装置10により自動的に付与される連続番号の枝番であり、これによりユーザは、CD1、CD2が分割してアルバムが作成された記録媒体の一部であると認識することができる。
【0023】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置10で実行される書き出し処理の内容を説明するフローチャートを示す図であり、メモリカード40に格納されているファイルをCD−R42に書き出す場合を想定している。この書き出し処理は、ROM24に格納されている書き出し処理プログラムをCPU20が読み込んで実行することにより、実現される処理である。また、この書き出し処理は、例えば、ユーザが情報処理装置10に、メモリカード40からファイルのデータを読み込んで、CD−R42に書き出すように指示をした場合に起動される処理である。
【0024】
図3に示すように、まず、情報処理装置10は、書き出し先の記録媒体が、分割して記録できる記録媒体であるかどうかを判断する(ステップS10)。すなわち、ハードディスクドライブのような固定型の記録媒体ではなく、CD−RやCD−RWのようなリムーバブルな記録媒体であるかどうかを判断する。具体的には、本実施形態では、SCSIコマンドであるInquirydataというコマンドを記録媒体のドライブ装置に発行し、ドライブ装置から戻ってきたRMBビットの値により判断することとしている。
【0025】
書き出し先の記録媒体が分割できる記録媒体である場合(ステップS10:YES)には、情報処理装置10は、複数に亘る記録媒体に連続番号を付加するための回数カウンタを1に設定する(ステップS11)。
【0026】
次に、情報処理装置10は、書き出し先の記録媒体の容量を取得する(ステップS12)。すなわち、本実施形態では、CDドライブ30に装着されているCD−R42の空き容量を取得する。
【0027】
次に、情報処理装置10は、書き出し元の記録媒体から書き出し先の記録媒体に書き出しを行っていない残りのファイルがあるかどうかを判断する(ステップS14)。すなわち、メモリカード40からCD−R42に書き出しをしていないファイルが残っているかどうかを判断する。
【0028】
残りのファイルがある場合(ステップS14:YES)には、情報処理装置10は、書き出し元の記録媒体であるメモリカード40からファイルの容量を取得する(ステップS16)。すなわち、メモリカード40に残っているファイルの容量を、ファイルの順番に従って1つ取得する。ファイルの容量は、例えば、書き出し元の記録媒体のファイル管理システムで管理されているファイル容量を取得すればよい。或いは、書き出し元の記録媒体にMPV形式のファイル管理情報がある場合には、このファイル管理情報で管理されているファイル(アセット)の容量に関する情報を取得すればよい。
【0029】
次に、情報処理装置10は、その容量のファイルを書き出し先の記録媒体であるCD−R42に書き出した場合に、収まるかどうかを判断する(ステップS18)。
【0030】
CD−R42に収まると判断した場合(ステップS18:YES)には、情報処理装置10は、そのファイルを書き出すファイルのリストに追加し(ステップS20)、上述したステップS14に戻り、さらに残っているファイルがあるかどうかを判断する。
【0031】
一方、ステップS18において、CD−R42に収まらないと判断した場合(ステップS18:NO)には、情報処理装置10は、これまでにステップS20で作成された書き出すファイルのリストに基づいて、マニフェストを作成する(ステップS22)。すなわち、直前に取得したファイル容量のファイルは、CD−R42に収まらないので、その前の順番までのファイルについて、マニフェストを作成する。
【0032】
マニフェストを作成するにあたって必要となるアルバム名とアルバム検索用のキーワードは、例えば、ユーザに、入力部36から入力させるようにすることができる。入力操作の具体例としては、入力部36に設けられたカーソルボタンと決定ボタンとを操作して、表示画面34に表示された仮想キーボートを用いてアルバム名とキーワードとを入力するようにすればよい。このユーザの入力は、複数枚の記録媒体に分割してファイルの書き出しを行う場合でも、最初の1枚目に対して入力すれば、2枚目以降の記録媒体に対しては入力不要である。
【0033】
また、書き出し元の記録媒体にMPV形式のマニフェストが存在する場合には、このマニフェストの情報に基づいて、アルバム名と検索用のキーワードとを自動的に取得するようにしてもよい。
【0034】
このように、本実施形態では、これらアルバム名と検索用のキーワードとに基づいて、マニフェストが自動的に作成されるが、複数枚の記録媒体に分割してファイルの書き出しが行われる場合には、複数の記録媒体に分割されて書き出しの行われた記録媒体の一部であることが、ユーザに識別できるような情報がマニフェストに付加される。例えば、ユーザがアルバム名として「夏休み」と入力したと仮定すると、情報処理装置10は、このアルバム名に枚数カウンタの値を付加して、「夏休み001」というようなアルバム名を自動的に作成する。但し、1枚の記録媒体に書き出しが可能である場合には、枚数カウンタの値をアルバム名に付加する必要はない。
【0035】
次に、情報処理装置10は、CD−R42に書き込みを実行する(ステップS24)。すなわち、作成された書き出すファイルのリストに基づいて、書き出し元の記録媒体であるメモリカード40からファイルを読み出して、書き出し先の記録媒体であるCD−R42に書き込む。また、ステップS22で作成されたマニフェストを、書き出し先の記録媒体であるCD−R42に書き込む。
【0036】
次に、情報処理装置10は、枚数カウンタの値を1つインクリメントする(ステップS26)。続いて、情報処理装置10は、ユーザに、書き込み先の記録媒体であるCD−R42を交換するように指示をする(ステップS28)。この指示に基づいて、ユーザは、新しいCD−R42をCDドライブ30に装着する。そして、情報処理装置10は、上述したステップS14の処理からを繰り返す。これにより、メモリカード40に格納されているファイルが1枚のCD−R42に収まらない場合でも、複数のCD−R42に分割して、書き出し処理を行うことができる。
【0037】
これに対して、上述したステップS14で、書き出し元の記録媒体から書き出していない残りのファイルがないと判断した場合(ステップS14:NO)には、情報処理装置10は、書き出すファイルのリストにあるファイルの数が、ゼロであるかどうかを判断する(ステップS30)。書き出すファイルのリストにあるファイルの数がゼロでない場合(ステップS30:NO)には、書き出すファイルのリストにあるファイルについてのマニフェストを作成し(ステップS32)、書き出し先の記録媒体であるCD−R42への書き込みを実行する(ステップS34)。これらステップS32、ステップS34の処理内容は、上述したステップS22、ステップS24の処理内容と同様である。これにより、書き出し元の記録媒体から書き出し先の記録媒体にすべてのファイルを書き出したことになるので、この書き出し処理は終了する。
【0038】
一方、書き出すファイルのリストにあるファイルの数がゼロであると判断した場合(ステップS30:YES)には、書き出し元の記録媒体には書き出すファイルがそもそもなかったことを意味しているので、この書き出し処理を終了する。
【0039】
これに対して、上述したステップS10において、書き出し先の記録媒体が分割して記録できる記録媒体ではないと判断した場合(ステップS10:NO)には、分割することのない書き出し処理を実行する(ステップS40)。この分割することのない書き出し処理は、通常の既存処理であるので、ここでは説明を省略する。
【0040】
図4は、この書き出し処理でCD1に作成されたマニフェストの要部の一例を説明するための図であり、図5は、CD2に作成されたマニフェストの要部の一例を説明するための図である。これら図4及び図5は、いずれも、図2で例示した2枚のCD1、CD2のマニフェストに対応している。
【0041】
図4に示すように、CD1には、ファイル「001.JPG」だけが格納されているので、アセットリストには、「001.JPG」だけが登録されている。また、アルバム名としては、「夏休み」という名称に「001」という枝番が自動的に付与されている。このアルバム「夏休み001」には、ファイル「001.JPG」を参照するIDが登録されている。
【0042】
同様に、図5に示すように、CD2には、ファイル「002.JPG」、「003.JPG」が格納されているので、アセットリストには、「002.JPG」、「003.JPG」が登録されている。また、アルバム名としては、「夏休み」という名称に「002」という枝番が自動的に付与されている。このアルバム「夏休み002」には、ファイル「002.JPG」、「003.JPG」を参照するIDが登録されている。
【0043】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、書き出し元の記録媒体に格納されているファイルが1枚の書き出し先の記録媒体に収まりきれない場合には、複数の記録媒体に分割して書き出すこととした。このため、書き出し先の記録媒体の空き容量が、書き出すファイルの総容量よりも小さい場合でも、書き出し処理を行うことができる。
【0044】
また、分割して複数の記録媒体に書き出す場合には、記録媒体毎にファイル管理情報であるMPV形式のマニフェストを作成し、このマニフェストも記録媒体に書き出すこととした。このため、ユーザは、各記録媒体におけるファイル管理をこのファイル管理情報に基づいて効率的に行うことができる。
【0045】
さらに、アルバム名を見て、この記録媒体が分割してファイルを書き出した複数の記録媒体の一部であることが分かるように、アルバム名に枝番を自動的に付加することとした。このため、事後的なファイルや記録媒体の管理が容易になり、ユーザの利便性が向上する。
【0046】
また、分割して複数の記録媒体に書き出す場合でも、最初の1枚目の記録媒体に対しては、ユーザがファイル名や検索用キーワードを入力する必要があるが、2枚目以降の記録媒体についてはこれらを再入力する必要がなくなるので、ユーザの書き出し作業時の負担を軽減することができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず種々に変形可能である。例えば、上述した実施形態では、情報処理装置10をプリンタで実現した場合を例に説明したが、この情報処理装置10は、パーソナルコンピュータや携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)などで実現することもできる。
【0048】
また、上述した実施形態では、情報処理装置10がプリンタであるため、書き出すファイルが画像ファイルである場合を例に本発明を説明したが、情報処理装置10が扱うデータに応じて、様々な種類のファイルに対して本発明を適用することができる。
【0049】
また、上述した実施形態では、ファイル管理情報の記述形式としてMPVを用いた場合を例に、本発明の実施形態を説明したが、他の記述形式を用いてファイル管理情報を作成する場合でも、本発明は同様に適用することができる。
【0050】
また、上述した実施形態では、CD−R42に書き出すファイルを決定する際に、メモリカード40から順番に1つずつファイルの容量を読み出して、CD−R42の空き容量に収まる範囲で書き出すファイルを決定することとしたが、書き出すファイルの決定手法は、これに限られるものではない。例えば、メモリカード40から、このメモリカード40に格納されているファイルの容量を一括して取得して、この一括取得したファイルの容量に基づいて、CD−R42の空き容量に収まる範囲で書き出すことのできるファイルを決定するようにしてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、書き込み元の記録媒体がメモリカード40であり、書き出し先の記録媒体がCD−R42である場合を例に本発明を説明したが、書き込み元の記録媒体や書き込み先の記録媒体は、これらの記録媒体に限定されるものではなく、様々なものが考えられる。
【0052】
また、上述した実施形態では、分割して書き出しの行われた複数の記録媒体は、相互に独立しており、ファイル管理情報自体に関連性についての情報は含まれていない。しかし、分割した複数の記録媒体のファイル管理情報に、相互に関連性を持たせるための情報を付加するようにしてもよい。例えば、1枚目の記録媒体の最後のファイルの次に、2枚目の記録媒体の先頭のファイルを参照するようなリンクを設けておき、ユーザに2枚目の記録媒体をドライブに装着するように指示するようにしてもよい。
【0053】
さらに、上述の実施形態で説明した書き出し処理については、この書き出し処理を実行するためのプログラムをCD−ROM、CR−R、DVD、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリカード等の記録媒体に記録して、記録媒体の形で頒布することが可能である。この場合、この記録媒体に記録されたプログラムを情報処理装置10に読み込ませ、実行させることにより、上述した実施形態を実現することができる。
【0054】
また、情報処理装置10は、オペレーティングシステムや別のアプリケーションプログラム等の他のプログラムを備える場合がある。この場合、情報処理装置10の備える他のプログラムを活用するために、その情報処理装置10が備えるプログラムの中から、上述した実施形態と同等の処理を実現するプログラムを呼び出すような命令を含むプログラムを、記録媒体に記録するようにしてもよい。
【0055】
さらに、このようなプログラムは、記録媒体の形ではなく、ネットワークを通じて搬送波として頒布することも可能である。ネットワーク上を搬送波の形で伝送されたプログラムは、情報処理装置10に取り込まれて、このプログラムを実行することにより上述した実施形態を実現することができる。
【0056】
また、記録媒体にプログラムを記録する際や、ネットワーク上を搬送波として伝送される際に、プログラムの暗号化や圧縮化がなされている場合がある。この場合には、これら記録媒体や搬送波からプログラムを読み込んだ情報処理装置10は、そのプログラムの復号や伸張を行った上で、実行する必要がある。
【0057】
また、上述した実施形態では、各処理をソフトウェアにより実現する場合を例に説明したが、これらの各処理をASIC(Application Specific IC)などのハードウェアにより実現するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態に係る情報処理装置の内部構成の一例を説明するためのブロック図。
【図2】メモリカードに格納されているファイルを、複数のCD−Rに分けて書き出す際のファイル構成の一例を示す図。
【図3】本実施形態に係る情報処理装置で実行される書き出し処理の一例を説明するためのフローチャートを示す図。
【図4】図2におけるCD1のマニフェストの要部の一例を示す図。
【図5】図2におけるCD2のマニフェストの要部の一例を示す図。
【符号の説明】
【0059】
10 情報処理装置
20 CPU
22 RAM
24 ROM
26 メモリカードインターフェース
28 外部ストレージ
30 CDドライブ
32 印刷実行部
34 表示画面
36 入力部
40 メモリカード
42 CD−R

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記録媒体から、この第1の記録媒体に格納されているファイルの容量を取得する、ファイル容量取得手段と、
前記第1の記録媒体に格納されているファイルを書き出すための第2の記録媒体の空き容量を取得する、空き容量取得手段と、
前記ファイル容量取得手段で取得したファイルの容量と、前記空き容量取得手段で取得した前記第2の記録媒体の空き容量とに基づいて、前記第2の記録媒体に収まる範囲で、書き出すファイルを決定する、書き出しファイル決定手段と、
前記書き出しファイル決定手段で書き出すファイルとして決定されたファイルについて、ファイル管理情報を作成する、ファイル管理情報作成手段と、
前記書き出しファイル決定手段で書き出すファイルとして決定されたファイルと、前記ファイル管理情報作成手段で作成されたファイル管理情報とを、前記第2の記録媒体に書き出す、書き出し実行手段と、
前記第2の記録媒体へ書き出していないファイルが前記第1の記録媒体に残っている場合には、前記書き出しファイル決定手段による書き出すファイルの決定と、前記ファイル管理情報作成手段によるファイル管理情報の作成と、前記書き出し実行手段による書き出しとを、前記第1の記録媒体に書き出していないファイルがなくなるまで繰り返して、複数の第2の記録媒体に分割してファイルを書き出す、繰り返し実行手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第2の記録媒体がリムーバブルな記録媒体であるかどうかを判断する、記録媒体判断手段と、
前記記録媒体判断手段が、前記第2の記録媒体がリムーバブルな記録媒体でないと判断した場合には、複数の第2の記録媒体に分割したファイルの書き出しは行わない通常の書き出しを行う、非分割書き出し手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ファイル管理情報作成手段は、前記第2の記録媒体が複数に亘る場合には、前記第2の記録媒体のそれぞれのファイル管理情報に、複数に分割してファイルを書き出した第2の記録媒体のうちの一部であることをユーザが識別できる分割識別情報を付加する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ファイル管理情報作成手段は、前記分割識別情報として、前記第2の記録媒体のそれぞれに連続番号を付加する、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ファイル管理情報作成手段でファイル管理情報を作成する際に必要となる情報をユーザに入力させる、ユーザ入力手段をさらに備えており、
前記ファイル管理情報作成手段は、1枚目の第2の記録媒体に対して前記ユーザ入力手段で入力された情報を用いて、2枚目以降の第2の記録媒体のファイル管理情報を作成する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ファイル管理情報は、MPV(Music Photo/Video)形式で記述されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ファイル容量取得手段は、前記第1の記録媒体からファイルの容量を順番に取得し、前記書き出しファイル決定手段は、前記第1の記録媒体から取得したファイルの容量では、前記第2の記録媒体に収まりきらない場合には、このファイルの前の順番までのファイルを、書き出すファイルとして決定する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
第1の記録媒体から、この第1の記録媒体に格納されているファイルの容量を取得するステップと、
前記第1の記録媒体に格納されているファイルを書き出すための第2の記録媒体の空き容量を取得するステップと、
前記取得したファイルの容量と、前記取得した前記第2の記録媒体の空き容量とに基づいて、前記第2の記録媒体に収まる範囲で、書き出すファイルを決定するステップと、
前記書き出すファイルとして決定されたファイルについて、ファイル管理情報を作成するステップと、
前記書き出すファイルとして決定されたファイルと、前記作成されたファイル管理情報とを、前記第2の記録媒体に書き出すステップと、
前記第2の記録媒体へ書き出していないファイルが前記第1の記録媒体に残っている場合には、前記書き出すファイルを決定するステップと、前記ファイル管理情報を作成するステップと、前記書き出すファイルとして決定されたファイルと前記ファイル管理情報とを前記第2の記録媒体に書き出すステップとを、前記第1の記録媒体に書き出していないファイルがなくなるまで繰り返すステップと、
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−60835(P2008−60835A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234294(P2006−234294)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】