説明

情報処理装置

【課題】より簡単で、且つ直感的に理解しやすい無線近距離通信技術を用いた情報処理装置を提供する。
【解決手段】複合機1は、無線近距離通信用の複数のアンテナ11〜15を備え、複数のアンテナ11〜15のそれぞれが、通信相手となる端末装置を検出すると、検出した端末装置と協働して、端末装置を検出したアンテナ11〜15に予め対応付けられている処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線近距離通信用の複数のアンテナを備えた情報処理装置に関し、特にいずれかのアンテナが通信相手となる端末装置を検出して、自動的に処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ICを用いた定期券とその読み取り装置を備えた自動改札機による自動改札システムに代表されるように、近年、近距離無線通信を用いた種々の製品が実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−59098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、個人向けまたはオフィス向けの情報処理装置と端末装置との組み合わせにおいても、無線近距離通信技術が広く応用されることが期待されている。この技術を広く普及させるためには、より簡単で、且つ直感的に理解しやすい使用方法であることが重要である。
【0005】
そこで、本発明の目的は、より簡単で、且つ直感的に理解しやすい無線近距離通信技術を用いた情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施態様に従う情報処理装置は、無線近距離通信用の複数のアンテナを備え、前記複数のアンテナのそれぞれが、通信相手となる端末装置を検出すると、前記検出した端末装置と協働して、前記端末装置を検出したアンテナに予め対応付けられている処理を実行する。
【0007】
好適な実施形態では、スキャナーをさらに備える。そして、前記複数のアンテナのうちの第1のアンテナが第1の端末装置を検出すると、前記スキャナーが読み込んだ画像データを、前記第1のアンテナを介して前記第1の端末装置へ送り、前記第1の端末装置に前記画像データを保存させるようにしてもよい。
【0008】
好適な実施形態では、前記スキャナーは、原稿台と、スキャナーヘッドを搭載したキャリッジと、を備える。そして、前記複数のアンテナのうちの第2のアンテナは前記キャリッジに搭載されていて、前記情報処理装置は、前記第2のアンテナが前記キャリッジとともに移動しながら、前記原稿台に置かれた複数の端末装置を順次検出するごとに、前記複数の端末装置とそれぞれ協働して、前記第2のアンテナに予め対応付けられている処理を実行するようにしてもよい。
【0009】
好適な実施形態では、プリンターをさらに備える。そして、前記情報処理装置は、前記第2のアンテナを介して、前記複数の端末装置のそれぞれから、各端末装置の画像表示部に表示されている画像の画像データを取得し、前記プリンターを用いて、前記取得した画像データに基づく印刷を行ってもよい。
【0010】
好適な実施形態では、プリンターをさらに備える。そして、前記情報処理装置は、前記複数のアンテナのうちの第3のアンテナが第3の端末装置を検出すると、前記第3のアンテナを介して前記第3の端末装置の画像表示部に表示されている画像の画像データを取得し、前記プリンターを用いて、前記取得した画像データに基づく印刷を行ってもよい。
【0011】
好適な実施形態では、記憶手段をさらに備える。そして、前記情報処理装置は、前記複数のアンテナのうちの第4のアンテナが第4の端末装置を検出すると、前記第4の端末装置に保存されている画像データを、前記第4のアンテナを介して取得して前記記憶手段に格納するようにしてもよい。
【0012】
好適な実施形態では、前記無線近距離通信用の複数のアンテナは、Transfer Jet用の複数のカプラーであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンター及びスキャナーを備えた情報処理装置である複合機1の外観図である。
【図2】本実施形態に係る複合機1の構成図である。
【図3】本実施形態に係る端末装置6〜9の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る情報処理装置について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るプリンター及びスキャナーを備えた情報処理装置である複合機1の外観図である。
【0016】
同図に示すように、複合機1は略直方体の筐体10を有している。筐体10の上面には原稿台20が設けられていて、複合機1は、筐体10内部に収納されているキャリッジ41に搭載されている読み取りヘッド43(図2参照)が、原稿台20に置かれた原稿を読み込むことによりスキャナーとして機能する。また、筐体10の背面には給紙トレイ30、正面には排紙トレイ40がそれぞれ設けられている。そして、複合機1は、筐体10内部に収容されているプリントエンジン31(図2参照)が、給紙トレイ30から給紙された印刷用紙5に印刷を行って、排紙トレイ40に排紙するプリンターとして機能する。
【0017】
また、複合機1は、無線近距離通信用の複数のアンテナ11,12,13,14,15を備える。本実施形態では、無線近距離通信の一例としてTransfer Jetを用いた場合を例にとって説明する。そこで、以下の説明では、アンテナをカプラー11,12,13,14,15と呼ぶ。
【0018】
カプラー11は筐体10の正面左端下部に、カプラー12は筐体10の右側面下端手前側に、カプラー13は筐体10上面右端奥に、カプラー14は筐体10の正面右端上部に、カプラー15はスキャナー4のキャリッジ41(図2参照)上に、それぞれ設けられている。
【0019】
以下、この複合機1について、詳細に説明する。
【0020】
図2は、複合機1の構成図である。
【0021】
同図に示すように、複合機1は、制御部2と、プリンター3と、スキャナー4とを備える。制御部2は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、大容量の記憶装置としてのHD(ハードディスク)装置24と、カプラー11〜14とを備える。カプラー11〜14は、それぞれ、図1で説明した位置において、筐体10から露出するように配置されている。
【0022】
CPU21は、RAM23を利用しながら、ROM22またはHD装置24に格納されている所定のプログラムを実行することによって、以下に説明する複合機1の各機能を実現する。
【0023】
プリンター3は、印刷を実行するプリントエンジン31及び図示しない紙送り機構などを有している。
【0024】
スキャナー4は、光源42及び読み取りヘッド43を搭載したキャリッジ41を有する。カプラー15はキャリッジ41に搭載されていて、キャリッジ41と一体となって移動する。
【0025】
図3は、カプラー11〜15の通信相手となる端末装置の一例を示す。本実施形態でカプラー11〜15の通信相手となる端末装置6〜9は、例えば、可搬型の情報処理装置であって、デジタルカメラ6、フォトビューワー7、携帯電話機8、及びストレージ装置9などでよい。デジタルカメラ6、フォトビューワー7、携帯電話機8、及びストレージ装置9は、それぞれ、内部にハードディスク、あるいはフラッシュメモリなどの記憶装置62,72,82,92と、複合機1のいずれからのカプラー11〜15と通信を行うためのカプラー61,71,81,91とを備える。デジタルカメラ6、フォトビューワー7及び携帯電話機8は、さらに、液晶パネルなどの表示装置63,73,83を備える。以下の説明において、デジタルカメラ6、フォトビューワー7、携帯電話機8、及びストレージ装置9に共通する機能ないし構成について説明する際は、端末装置6〜9と記載し、個別の端末装置に固有の機能ないし構成について説明する際は、それぞれの名称を記載する。
【0026】
再び図2を参照すると、本実施形態では、複合機1の各カプラー11〜15が通信相手となる端末装置6〜9を検出すると、検出した端末装置6〜9と協働して、端末装置6〜9を検出したカプラー11〜15に予め対応付けられている処理を実行する。例えば、各カプラー11〜15には、それぞれ特定の機能が割り当てられていて、各カプラー11〜15が端末装置6〜9に搭載されたカプラー61〜91のいずれかを検出すると、検出されたカプラー61〜91を搭載した端末装置6〜9と複合機1とが、互いのカプラー11〜15、61〜91を用いて通信を行って、端末装置6〜9を検出した複合機1のカプラー11〜15に割り当てられた機能を実現する。
【0027】
これにより、ユーザは、所望の機能を実行するために、面倒な操作を行わなくても、その機能に対応するカプラーに端末装置を近づけるだけで行うことができる。以下、実行される機能の具体例を挙げて説明する。
【0028】
例えば、カプラー11には、端末装置6〜9からのデータ読み込み機能が対応付けられている。すなわち、カプラー11(第4のアンテナ)が通信相手となる端末装置6〜9(第4の端末装置)を検出すると、複合機1は、その端末装置6〜9に保存されている画像データを、カプラー11を介して取得して、HD装置24に格納する。これにより、端末装置6〜9のカプラー61〜91をカプラー11に近づけるだけ、端末装置6〜9の記憶装置62〜92に格納されているデータを複合機1にバックアップすることができる。
【0029】
カプラー12には、これとは逆に、端末装置6〜9に対してデータを出力する機能が対応付けられている。すなわち、カプラー12が通信相手となる端末装置6〜9を検出すると、複合機1は、HD装置24に格納されているデータを、カプラー12を介して端末装置6〜9に対して出力し、それぞれの記憶装置62〜92に保存させる。端末装置6〜9に対して出力するデータは、例えば、HD装置24内の特定のフォルダに格納されているデータを対象としても良いし、特定の日付のデータを対象としても良い。
【0030】
これにより、カプラー12に端末装置のカプラー61〜91を近づけるだけで、複合機1に格納されているデータを端末装置6〜9にバックアップすることができる。
【0031】
カプラー13には、スキャナー4が読み込んだ画像データを端末装置6〜9へ出力する機能が対応付けられている。すなわち、カプラー13(第1のアンテナ)が通信相手となる端末装置6〜9(第1の端末装置)を検出すると、複合機1は、スキャナー4が読み込んだ画像データを、カプラー13を介して端末装置6〜9へ送り、端末装置6〜9に画像データを保存させる。
【0032】
これにより、スキャナー4がスキャンを実行する際に、端末装置6〜9のカプラー61〜91をカプラー13に近づけるだけ、スキャンした画像データを端末装置6〜9の記憶装置62〜92に格納することができる。
【0033】
カプラー14には、端末装置6〜9に格納されている画像データの印刷機能が対応付けられている。すなわち、カプラー14(第3のアンテナ)が通信相手となる端末装置6〜9(第3の端末装置)を検出すると、複合機1は、その端末装置6〜9の記憶装置62〜92に保存されている画像データを、カプラー14を介して取得して、一旦、HD装置24に格納する。そして、読み込んだ画像データに基づいて、プリンター3が画像の印刷を実行する。特に、端末装置がデジタルカメラ6、フォトビューワー7、及び携帯電話機8である場合には、表示装置63〜83に表示中の画像の画像データを読み出して、印刷を行うようにしても良い。
【0034】
これにより、カプラー14に端末装置6〜8のカプラー61〜81を近づけるだけで、複合機1に格納されている画像データ、特に表示装置63〜83に表示中の画像の画像を端末装置6〜8から取得して、これを印刷することができる。これは、ユーザにとっても、直感的でわかりやすい。
【0035】
カプラー15(第2のアンテナ)は、キャリッジ41に搭載されていて、カプラー15がキャリッジ41とともに移動しながら、原稿台20に置かれた複数の端末装置6〜9を順次検出するごとに、複数の端末装置6〜9とそれぞれ協働して、前記第2のアンテナに予め対応付けられている処理を実行する。
【0036】
例えば、カプラー15には、カプラー13と同様に、端末装置6〜9に格納されている画像データの印刷機能を対応付けてもよい。そして、例えば、原稿台20に予め一台以上の端末装置6〜9を置いておく。その際、それぞれのカプラー61〜91は、下に向けておくと良い。そして、カプラー15がキャリッジ41とともに移動しながら、順次カプラー61〜91を検出し、端末装置6〜9から画像データを読み出す。読み出した画像データは、HD装置24に一時格納された後、プリンター3によって印刷される。特に、端末装置がデジタルカメラ6、フォトビューワー7、及び携帯電話機8である場合には、表示装置63〜83に表示中の画像の画像データを読み出して、印刷を行うようにしても良い。
【0037】
これにより、複数の端末装置から連続的にデータを読み出して印刷を実行することができる。
【0038】
以上説明した実施形態に係る複合機1によれば、無線近距離通信技術を用いて、より簡単で、且つ直感的に理解しやすい機能を実現することができる。
【0039】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0040】
例えば、上述の実施形態では、無線近距離通信としてTransfer Jetを用いた例について説明したが、本発明は、例えば、赤外線通信などTransfer Jet以外の無線近距離通信を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 複合機
2 制御部
3 プリンター
4 スキャナー
5 印刷用紙
6 デジタルカメラ
7 フォトビューワー
8 携帯電話機
9 ストレージ装置
10 筐体
11,12,13,14,15 カプラー
20 原稿台
41 キャリッジ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線近距離通信用の複数のアンテナを備え、
前記複数のアンテナのそれぞれが、通信相手となる端末装置を検出すると、前記検出した端末装置と協働して、前記端末装置を検出したアンテナに予め対応付けられている処理を実行する情報処理装置。
【請求項2】
スキャナーをさらに備え、
前記複数のアンテナのうちの第1のアンテナが第1の端末装置を検出すると、前記スキャナーが読み込んだ画像データを、前記第1のアンテナを介して前記第1の端末装置へ送り、前記第1の端末装置に前記画像データを保存させる、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記スキャナーは、
原稿台と、
スキャナーヘッドを搭載したキャリッジと、を備え、
前記複数のアンテナのうちの第2のアンテナは前記キャリッジに搭載されていて、
前記情報処理装置は、前記第2のアンテナが前記キャリッジとともに移動しながら、前記原稿台に置かれた複数の端末装置を順次検出するごとに、前記複数の端末装置とそれぞれ協働して、前記第2のアンテナに予め対応付けられている処理を実行する、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
プリンターをさらに備え、
前記情報処理装置は、前記第2のアンテナを介して、前記複数の端末装置のそれぞれから、各端末装置の画像表示部に表示されている画像の画像データを取得し、前記プリンターを用いて、前記取得した画像データに基づく印刷を行う、請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
プリンターをさらに備え、
前記情報処理装置は、前記複数のアンテナのうちの第3のアンテナが第3の端末装置を検出すると、前記第3のアンテナを介して前記第3の端末装置の画像表示部に表示されている画像の画像データを取得し、前記プリンターを用いて、前記取得した画像データに基づく印刷を行う、請求項1〜3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
記憶手段をさらに備え、
前記情報処理装置は、前記複数のアンテナのうちの第4のアンテナが第4の端末装置を検出すると、前記第4の端末装置に保存されている画像データを、前記第4のアンテナを介して取得して前記記憶手段に格納する、請求項1〜5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記無線近距離通信用の複数のアンテナは、Transfer Jet用の複数のカプラーである、請求項1〜6のいずれかに記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−177938(P2010−177938A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17143(P2009−17143)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】