説明

情報処理装置

【課題】スタイラスペン等の入力デバイスを装置本体に収納する際に、入力デバイスを収納する動作と別の動作を行うことなく、装置に対して多様な動作モードを設定可能な情報処理装置の提供。
【解決手段】スタイラスペンが装置に固定(収納)されたことを検出し(S10)、収納場所(S20)とペンの向きに応じて(S30,S40)、省電力モードの深さの設定、あるいはデジタイザ入力を一時的にOFFにする等、装置の動作モードを切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の情報処理装置として、スタイラスペン(以下、単に「ペン」と適宜称する)によって装置本体に情報を入力するものが知られている(例えば特許文献1から3参照)。
【0003】
例えば特許文献1には、ペンが装置本体であるコンピューターの一部に格納されると、コンピューターの電源を切りの状態とし、ペンが取り外されると、コンピューターの電源を入りの状態とする技術が開示されている。例えば特許文献2には、装置本体に設けられたペン収納部にペンが収納された際のペンの回転状態に基づいて電源の制御を行う技術が開示されている。例えば特許文献3には、装置本体に、ペンを格納するためのペンホルダーを複数設け、ペンが複数のペンホルダー(収納場所)のいずれに格納されたか(或いは、いずれから抜き去られたか)に応じて電力供給状態を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−59797号公報
【特許文献2】特開平11−66011号公報
【特許文献3】特開2002−23953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された技術によれば、ペンが装置本体に収納されると、装置本体の電源が切れてしまうため、ユーザー(使用者)は装置本体の電源を切りたくないときには、ペンを装置本体に収納することができないという技術的問題点がある。また、上述した特許文献2に開示された技術によれば、ユーザーは、ペンを装置本体に収納する際、電源の制御を行うためにペンを回転させる必要があり、ユーザーの手間が増大してしまうという技術的問題点がある。また、上述した特許文献3に開示された技術によれば、制御する電力供給状態の数を増やすためには、その数に応じてペンホルダーの数を増やす必要があるため、装置本体の小型化が困難になったり、装置本体のデザイン性に悪影響を及ぼしてしまうおそれがあるという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、例えば、ユーザーが、例えばスタイラスペン等の入力デバイスを装置本体に固定する際に、入力デバイスを固定する動作とは別の動作を行うことなく、装置本体の動作モードを選択でき、且つ、多様な動作モードを設定可能な情報処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は上記課題を解決するために、装置本体及び該装置本体に情報を入力するための入力デバイスを備えた情報処理装置であって、前記装置本体は、前記入力デバイスを保持可能な第1の保持部と、該第1の保持部によって前記入力デバイスが保持された保持状態を検出する第1の検出手段と、該第1の検出手段によって検出された保持状態に応じて、前記装置本体の動作モードを選択する動作モード選択手段とを備える。
【0008】
本発明の情報処理装置によれば、例えば表示部及び該表示部における例えばスタイラスペン等である入力デバイスの位置を検出可能な例えばデジタイザー等の位置検出手段を有する装置本体に、入力デバイスによって情報を入力することができる。
【0009】
装置本体は、ユーザーが入力デバイスを使用しないときに、入力デバイスを保持するための第1の保持部を備えている。第1の保持部は、例えば装置本体の筐体に設けられ、入力デバイスを保持することが可能に構成される。
【0010】
本発明では特に、第1の保持部による入力デバイスの保持状態が第1の検出手段によって検出される。ここで、第1の検出手段は、入力デバイスの保持状態として、例えば、入力デバイスが第1の保持部によって保持された際の、入力デバイスの向きや回転状態を検出する。更に、第1の検出手段によって検出された保持状態に応じて、装置本体の動作モードが動作モード選択手段によって選択される。動作モード選択手段によって選択される動作モードとしては、例えば、装置本体の現在の状態を維持する動作モード、デジタイザーの電源を遮断する動作モード、デジタイザー及び表示部の電源を遮断する動作モード、デジタイザー及び表示部の電源を遮断すると共に、装置本体のメインCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)をスリープ状態にする動作モードなどが設定されてもよい。
【0011】
尚、入力デバイスがユーザーによって第1の保持部から取り上げられ、入力デバイスが第1の保持部によって保持されない状態となった場合には、動作モード選択手段によって選択された動作モードが解除され、装置本体は予め定められた通常の状態に戻ってもよい。また、動作モード選択手段によって選択される動作モードは、先に例示した動作モードに限定されず、他の動作モードが設定されてもよい。
【0012】
よって、入力デバイスの保持状態に対して装置本体の動作モードを割り当てることができる。即ち、入力デバイスの複数の保持状態の各々に対して装置本体の動作モードを1つずつ割り当てることができる。従って、ユーザーが入力デバイスを装置本体に固定する際に(言い換えれば、入力デバイスが第1の保持部によって保持される際に)、ユーザーは入力デバイスを装置本体に固定する動作とは別の動作を行うことなく、装置本体の動作モードを選択することができる。更に、第1の検出手段によって検出可能な入力デバイスの保持状態を増やすことにより、該保持状態に応じて、装置本体の動作モードとして多様な動作モードを設定することができる。
【0013】
以上説明したように、本発明の情報処理装置によれば、例えば、ユーザーが、例えばスタイラスペン等の入力デバイスを装置本体に固定する際に、入力デバイスを固定する動作とは別の動作を行うことなく、装置本体の動作モードを選択でき、且つ、多様な動作モードを設定することができる。
【0014】
本発明の情報処理装置の一態様では、前記装置本体は、前記入力デバイスを保持可能な第2の保持部と、該第2の保持部によって前記入力デバイスが保持された保持状態を検出する第2の検出手段とを更に備え、前記動作モード選択手段は、前記入力デバイスが前記第1の保持部によって保持されていることが前記第1の検出手段によって検出された場合と、前記入力デバイスが前記第2の保持部によって保持されていることが前記第2の検出手段によって検出された場合とで異なる動作モードを前記装置本体の動作モードとして選択する。
【0015】
この態様によれば、入力デバイスが第1の保持部によって保持されている場合と、入力デバイスが第2の保持部によって保持されている場合とで異なる動作モードが動作モード選択手段よって選択される。よって、装置本体の動作モードとして、より多様な動作モードを設定することができる。
【0016】
本発明の情報処理装置の他の態様では、前記装置本体は、前記動作モード選択手段が前記装置本体の動作モードとして選択可能な動作モードを設定する選択用動作モード設定手段を更に備える。
【0017】
この態様によれば、ユーザーは、選択用動作モード設定手段によって、入力デバイスの保持状態に応じて選択可能な動作モードを割り当てることができる。即ち、入力デバイスがどのような保持状態である場合に、装置本体の動作モードとしてどのような動作モードが選択されるべきかをユーザーが設定することができる。従って、ユーザーの利便性を向上させることができ、実践上大変便利である。
【0018】
本発明の情報処理装置の他の態様では、前記装置本体は、前記入力デバイスが前記装置本体に対応するものであるか否かを判定する判定手段を更に備え、前記動作モード選択手段は、前記判定手段によって前記入力デバイスが前記装置本体に対応するものであると判定された場合のみに、前記装置本体の動作モードを選択する。
【0019】
この態様によれば、動作モード選択手段は、入力デバイスが装置本体に対応するものであると判定手段が例えばRFID(Radio Frequency Identification)技術により判定した場合のみに、装置本体の動作モードを選択する。よって、例えば、装置本体に対応しない他の入力デバイスなどが第1の保持部によって保持されることにより装置本体の動作モードが誤って切り替わってしまうことを低減或いは防止できる。
【0020】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る情報処理装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】スタイラスペンが保持部によって保持された状態の情報処理装置を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】保持部によってスタイラスペンが保持された保持状態の一例を示す断面図である。
【図5】保持部によってスタイラスペンが保持された保持状態の他の例を示す断面図である。
【図6】スタイラスペンの保持状態に応じた動作モード選択部による動作モードの選択を説明するためのフローチャートである。
【図7】第2実施形態における、保持部によってスタイラスペンが保持された保持状態の一例を示す断面図である。
【図8】第2実施形態における、保持部によってスタイラスペンが保持された保持状態の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0023】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る情報処理装置について、図1から図6を参照して説明する。尚、以下では、本実施形態に係る情報処理装置の構成及び動作を、方向を用いて適宜説明するが、この方向は、特に説明しない限り、本実施形態に係る情報処理装置を使用するユーザーの視点から見た場合の方向である。
【0024】
先ず、本実施形態に係る情報処理装置の全体構成について、図1を参照して説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の全体構成を示す斜視図である。
【0026】
図1において、本実施形態に係る情報処理装置1は、本発明に係る「入力デバイス」の一例としてのスタイラスペン220によって装置本体100に情報を入力することが可能な携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)である。尚、情報処理装置1は、携帯電話、携帯音楽再生装置、携帯動画再生装置、携帯ナビゲーション装置などであってもよい。
【0027】
図1において、情報処理装置1は、表示部110及び筐体120を有する装置本体100と、スタイラスペン220とを備えている。
【0028】
表示部110は、例えば電気泳動表示装置等の表示装置によって構成され、例えば文字や文章などのテキストデータや図形などのイメージデータなど、各種データを表示する。尚、表示部110は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ或いは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどによって構成されてもよい。
【0029】
図1では図示を省略するが、スタイラスペン220の位置や軌跡を検出するデジタイザー本体210(図3参照)が表示部110に重なるように設けられている。デジタイザー本体210が表示部110におけるスタイラスペン220の位置や軌跡を検出することで、スタイラスペン220から装置本体100に情報を入力することが可能となる。
【0030】
筐体120は、例えば図3を参照して後述するメインCPU150、サブCPU160、電源170、外部記憶装置190、RAM(Random Access Memory)320など、情報処理装置1を動作させるための各種ハードウェアを収容する筐体である。筐体120は、表示部110を外縁側から保持するように設けられている。
【0031】
スタイラスペン220は、デジタイザー本体210に対して情報を入力する棒状或いはペン状の入力デバイスである。スタイラスペン220は、装置本体100とは別体で設けられている。情報処理装置1は、スタイラスペン220によって入力される情報をデジタイザー本体210によって特定し、この特定した情報を、表示部110によって表示したり、外部記憶装置190に記憶したりする。
【0032】
筐体120の表面には、スタイラスペン220を保持するための保持部130(即ち、保持部130a及び保持部130b)が設けられている。保持部130は、当該保持部130上に載置されたスタイラスペン220を着脱可能に保持する。尚、保持部130aは本発明に係る「第1の保持部」の一例であり、保持部130bは本発明に係る「第2の保持部」の一例である。
【0033】
保持部130aは、筐体120の表面において第1の方向(即ち、情報処理装置1の左右方向或いは短手方向)に延びる形状を有している。
【0034】
図2は、スタイラスペン220が保持部130aによって保持された状態の情報処理装置1を示す斜視図である。
【0035】
図2に示すように、保持部130aは、筐体120の表面においてスタイラスペン220の軸方向が上述した第1の方向に沿う状態で、スタイラスペン220を保持することができる。
【0036】
図1において、保持部130bは、筐体120の表面において第1の方向に交わる第2の方向(即ち、情報処理装置1の上下方向或いは長手方向)に延びる形状を有している。保持部130bは、筐体120の表面においてスタイラスペン220の軸方向が前記第2の方向に沿う状態で、スタイラスペン220を保持することができる。
【0037】
尚、保持部130の構成については、図4及び図5を参照して後に詳細に説明する。
【0038】
図1において、筐体120には、キースイッチ140が複数設けられている。キースイッチ140は、情報処理装置1の電源の入切やページ送りなどの指示を入力するために用いられる。
【0039】
次に、本実施形態に係る情報処理装置の構成について、図3を参照して説明を加える。
【0040】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【0041】
図3において、情報処理装置1は、メインCPU150、サブCPU160、ROM(Read Only Memory)310、RAM320、電源170、バッテリー180、キースイッチ140、外部記憶装置190、デジタイザー200及び表示部110を備えている。これらの構成要素はバス900を介して互いに電気的に接続されている。
【0042】
メインCPU150は、表示部110、デジタイザー本体210、ROM310、RAM320及び外部記憶装置190を制御する。
【0043】
サブCPU160は、電源170、バッテリー180及びキースイッチ140を制御する。
【0044】
電源170は、デジタイザー本体210や表示部110などの装置本体100を構成する各構成要素に電力を供給する。
【0045】
バッテリー180は、例えばニッケル−カドミウム系電池やリチウムイオン系電池などの、充電可能な2次電池である。
【0046】
ROM310には、メインCPU150やサブCPU160において動作させる各種動作プログラムが記憶されている。
【0047】
RAM320は、メインCPU150やサブCPU160においてプログラムが動作される際にデータを一時的に記憶するワークエリアとなる。また、RAM320は、表示部110において表示させる表示データを一時的に記憶する。
【0048】
外部記憶装置190は、例えばハードディスクであり、表示部110において表示させる表示データを記憶する。
【0049】
デジタイザー200は、上述したデジタイザー本体210及びスタイラスペン220からなる。デジタイザー本体210が表示部110におけるスタイラスペン220の位置や軌跡を検出することで、スタイラスペン220から装置本体100に情報を入力することが可能となる。
【0050】
表示部110は、上述したように例えば電気泳動表示装置等の表示装置によって構成されている。表示部110は、表示データを表示するディスプレイ111と、このディスプレイ111を制御するディスプレイコントローラー112とを有している。
【0051】
図3において、本実施形態では特に、情報処理装置1は、本発明に係る「第1の検出手段」の一例としての第1ペン保持状態検出部331と、本発明に係る「第2の検出手段」の一例としての第2ペン保持状態検出部332と、本発明に係る「動作モード選択手段」の一例としての動作モード選択部340とを備えている。
【0052】
第1ペン保持状態検出部331は、保持部130aによってスタイラスペン220が保持された保持状態を検出する。
【0053】
第2ペン保持状態検出部332は、保持部130bによってスタイラスペン220が保持された保持状態を検出する。
【0054】
動作モード選択部340は、第1ペン保持状態検出部331及び第2ペン保持状態検出部332の各々によって検出されたスタイラスペン220の保持状態に応じて、装置本体100の動作モードを選択する。尚、第1ペン保持状態検出部331或いは第2ペン保持状態検出部332によって検出されるスタイラスペン220の保持状態には、スタイラスペン220が保持部130によって保持されていない状態も含まれる。
【0055】
ここで、保持部130a及び第1ペン保持状態検出部331の構成について、図4及び図5を参照して説明する。
【0056】
尚、保持部130bは、筐体120の表面において第2の方向に延びる形状を有する点で、筐体120の表面において第1の方向に延びる形状を有する保持部130aと異なり、その他の点については保持部130aと概ね同様に構成されている。第2ペン保持状態検出部332は、保持部130bに対して設けられている点で、保持部130aに対して設けられている第1ペン保持状態検出部331と異なり、その他の点については第1ペン保持状態検出部331と概ね同様に構成されている。よって、以下では、保持部130a及び第1ペン保持状態検出部331の構成について主に説明し、保持部130b及び第2ペン保持状態検出部332の構成については説明を適宜省略する。
【0057】
図4は、保持部130aによってスタイラスペン220が保持された保持状態の一例を示す断面図であり、図2のA−A’線での断面図である。図5は、保持部130aによってスタイラスペン220が保持された保持状態の他の例を示す断面図であり、図4に対応して示されている。
【0058】
図4において、保持部130aは、筐体120の表面の一部が窪んだ凹部131aとして、筐体120に設けられている。凹部131aは、筐体120の表面において第1の方向(即ち、情報処理装置1の左右方向或いは短手方向)に延びる形状を有している。凹部131aは、スタイラスペン220の外形よりも大きい外形を有している。これにより、ユーザーは、保持部130aの凹部131a内に、スタイラスペン220を容易に載置することができる。スタイラスペン220が保持部130aに載置された際、スタイラスペン220の滑り移動及び転がり移動が、凹部131aの段差によって凹部131a内に制限される。
【0059】
スタイラスペン220は、磁石221及び磁石222を有している。磁石221は、スタイラスペン220の軸方向におけるほぼ中央に設けられている。磁石222は、スタイラスペン220の軸方向の両端のうち第1の端部に設けられている。磁石221及び磁石222は、永久磁石であってもよいし、電磁石であってもよい。
【0060】
保持部130aの凹部131aには、磁性体132が設けられている。磁性体132は、凹部131aの表面に設けられている。スタイラスペン220に設けられた磁石221及び磁石222と凹部131aに設けられた磁性体132との間に働く磁力によって、磁石221及び磁石222が磁性体132に吸着される。このようにして、保持部130aはスタイラスペン220を保持することができる。このように、保持部130aが磁性体132を有しており、磁性体132はスタイラスペン220に設けられた磁石221及び磁石222を吸着するので、保持部130aはスタイラスペン220を安定的に保持することができる。
【0061】
第1ペン保持状態検出部331を構成する磁気センサー331a及び磁気センサー331bが筐体120の内部に設けられている。磁気センサー331aは、凹部131aの第1の方向におけるほぼ中央に設けられている。磁気センサー331bは、凹部131aの第1の方向の両端のうち第1の端部に設けられている。スタイラスペン220が保持部130aに保持されると、磁気センサー331aがスタイラスペン220に設けられた磁石221による磁場を検出し、磁気センサー331bが、スタイラスペン220に設けられた磁石222による磁場を検出することができるため、第1ペン保持状態検出部331は、保持部130aによるスタイラスペン220の保持状態(より具体的には、スタイラスペン220の凹部131a内における向き、即ち、スタイラスペン220の第1の端部が、凹部131aの両端のうちいずれの端側に位置するか)を検出することができる。
【0062】
具体的には、図4に示す例では、磁石221による磁場が磁気センサー331aによって検出され、磁石222による磁場が磁気センサー331bによって検出されることにより、第1ペン保持状態検出部331は、スタイラスペン220の第1の端部が、凹部131aの第1の端部側(即ち、図4における右側)になるように、スタイラスペン220が保持部130aによって保持されている保持状態を検出する。尚、以下では、図4に示すようなスタイラスペン220の第2の端部である先端が凹部131aの左端側に位置する保持状態を「スタイラスペン220の向きが左向きである」と適宜称する。即ち、第1ペン保持状態検出部331は、磁石221による磁場が磁気センサー331aによって検出され、かつ磁石222による磁場が磁気センサー331bによって検出される場合には、保持状態として、スタイラスペン220の向きが左向きであることを検出する。
【0063】
一方、図5に示す例では、磁石221による磁場が磁気センサー331aによって検出されるが、磁石222による磁場は磁気センサー331bによって検出されないことにより、第1ペン保持状態検出部331は、スタイラスペン220の第1の端部が、凹部131aの第2の端部側(即ち、図5における左側)になるように、スタイラスペン220が保持部130aによって保持されている保持状態を検出する。尚、以下では、図5に示すようなスタイラスペン220の先端が凹部131aの右端側に位置するスタイラスペン220の保持状態を「スタイラスペン220の向きが右向きである」と適宜称する。即ち、第1ペン保持状態検出部331は、磁石221による磁場が磁気センサー331aによって検出されるが、磁石222による磁場は磁気センサー331bによって検出されない場合には、保持状態として、スタイラスペン220の向きが右向きであることを検出する。
【0064】
尚、スタイラスペン220が凹部131bに保持され、スタイラスペン220の先端が凹部131bの図1における上端側となる保持状態を「スタイラスペン220の向きが上向きである」と適宜称し、スタイラスペン220の先端が凹部131bの図1における下端側となる保持状態を「スタイラスペン220の向きが下向きである」と適宜称する。第2ペン保持状態検出部332は、第1ペン保持状態検出部331と概ね同様に構成されており、保持状態として、スタイラスペン220の向きが上向きであることやスタイラスペン220の向きが下向きであることを検出することができる。また、第1ペン保持状態検出部331は、磁石221による磁場が磁気センサー331aによって検出されず、磁石222による磁場が磁気センサー331bによって検出されない場合には、保持状態として、スタイラスペン220が保持部130aによって保持されていないことを検出する。
【0065】
図4及び図5において、動作モード選択部340は、筐体120の内部に電子回路として設けられている。動作モード選択部340は、上述したように、第1ペン保持状態検出部331及び第2ペン保持状態検出部332の各々によって検出されたスタイラスペン220の保持状態に応じて、装置本体100の動作モードを選択する。
【0066】
次に、スタイラスペン220の保持状態に応じた動作モード選択部340による動作モードの選択について、図6を参照して説明する。
【0067】
図6は、スタイラスペン220の保持状態に応じた動作モード選択部340による動作モードの選択を説明するためのフローチャートである。
【0068】
ここでは、動作モード選択部340によって選択される動作モードとして、装置本体100(図1参照)の現在の状態を維持する第1の動作モード、デジタイザー本体210(図3参照)の電源を遮断する第2の動作モード、デジタイザー本体210及び表示部110の電源を遮断する第3の動作モード、デジタイザー本体210及び表示部110の電源を遮断すると共に、メインCPU150をスリープ状態にする第4の動作モードが設定されている場合を例にとる。尚、動作モード選択部340によって選択される動作モードは、ここで例にとる第1から第4の動作モードに限定されず、他の動作モードが設定されてもよい。
【0069】
尚、上述した第1の動作モードは、例えば、ユーザーが表示部110における表示を見ながら、スタイラスペン220によって情報を入力したり、キースイッチ140によってページを変更したりする場合に適している。上述した第2の動作モードは、例えば、ユーザーが、スタイラスペン220による情報の入力を行わずに、表示部110における表示を見ながら、キースイッチ140によってページを変更する場合に適している。上述した第3の動作モードは、例えば、ユーザーが、スタイラスペン220による情報の入力もキースイッチ140によるページの変更も行わずに、現在の表示部110における表示を見続ける場合に適している。上述した第4の動作モードは、例えば、ユーザーが、情報処理装置1をしばらく使用しない場合に適している。
【0070】
図6において、先ず、スタイラスペン220が保持部130a及び保持部130bのいずれかによって保持されたか否かが動作モード選択部340によって判定される(ステップS10)。即ち、動作モード選択部340は、第1ペン保持状態検出部331によって検出された保持状態と第2ペン保持状態検出部332によって検出された保持状態とに基づいて、スタイラスペン220が保持部130a及び保持部130bのいずれかに保持されたか否かを判定する。
【0071】
スタイラスペン220が保持部130a及び保持部130bのいずれによっても保持されていないと判定された場合には(ステップS10:No)、再びステップS10に係る処理が行われる。
【0072】
スタイラスペン220が保持部130a及び保持部130bのいずれかによって保持されたと判定された場合には(ステップS10:Yes)、スタイラスペン220が保持部130aによって保持されているか否かが動作モード選択部340によって判定される(ステップS20)。
【0073】
スタイラスペン220が保持部130aによって保持されていると判定された場合には(ステップS20:Yes)、スタイラスペン220の向きが右向きであるか否かが動作モード選択部340によって判定される(ステップS30)。即ち、この場合には(ステップS20:Yes)、動作モード選択部340は、保持状態としてスタイラスペン220が右向きであることが第1ペン保持状態検出部331によって検出されたか否かを判定する。
【0074】
スタイラスペン220が右向きであると判定された場合には(ステップS30:Yes)、動作モード選択部340によって装置本体100の動作モードとして上述した第4の動作モードが選択され、装置本体100では、後述するステップS111からS114に係る処理が行われる。
【0075】
即ち、この場合には(ステップS30:Yes)、先ず、表示部110での表示が消去される(ステップS111)。次に、デジタイザー本体210の電源が遮断される(ステップS112)。次に、表示部110の電源が遮断される(ステップS113)。次に、メインCPUがスリープ状態にされる(ステップS114)。
【0076】
このように、スタイラスペン220が右向きであると判定された場合には(ステップS30:Yes)、装置本体100では上述した第4の動作モードが実行される。
【0077】
スタイラスペン220が右向きでない(即ち、スタイラスペン220が左向きである)と判定された場合には(ステップS30:No)、動作モード選択部340によって装置本体100の動作モードとして上述した第3の動作モードが選択され、装置本体100では、後述するステップS121及びS122に係る処理が行われる。
【0078】
即ち、この場合には(ステップS30:No)、先ず、デジタイザー本体210の電源が遮断される(ステップS121)。次に、表示部110の電源が遮断される(ステップS122)。
【0079】
このように、スタイラスペン220が左向きであると判定された場合には(ステップS30:No)、装置本体100では上述した第3の動作モードが実行される。
【0080】
スタイラスペン220が保持部130aによって保持されていない(即ち、スタイラスペン220が保持部130bによって保持されている)と判定された場合には(ステップS20:No)、スタイラスペン220の向きが下向きであるか否かが動作モード選択部340によって判定される(ステップS40)。即ち、この場合には(ステップS20:No)、動作モード選択部340は、保持状態としてスタイラスペン220が下向きであることが第2ペン保持状態検出部332によって検出されたか否かを判定する。
【0081】
スタイラスペン220が下向きであると判定された場合には(ステップS40:Yes)、動作モード選択部340によって装置本体100の動作モードとして上述した第2の動作モードが選択され、装置本体100では、デジタイザー本体210の電源が遮断される(ステップS131)。
【0082】
このように、スタイラスペン220が下向きであると判定された場合には(ステップS40:Yes)、装置本体100では上述した第2の動作モードが実行される。
【0083】
スタイラスペン220が下向きでない(即ち、スタイラスペン220が上向きである)と判定された場合には(ステップS40:No)、動作モード選択部340によって装置本体100の動作モードとして上述した第1の動作モードが選択され、装置本体100では、現在の状態が維持される。
【0084】
このように、スタイラスペン220が上向きであると判定された場合には(ステップS40:No)、装置本体100では上述した第1の動作モードが実行される。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置1によれば、スタイラスペン220の保持状態(即ち、スタイラスペン220が保持部130a及び保持部130bのいずれによって保持されたか及びスタイラスペン220の向き)に応じて、装置本体100の動作モードが選択される。よって、スタイラスペン220の保持状態に対して装置本体100の4種類の動作モードを割り当てることができる。即ち、スタイラスペン220の複数の保持状態の各々に対して装置本体100の動作モードを1つずつ割り当てることができる。従って、ユーザーがスタイラスペン220を装置本体100に固定する際に(言い換えれば、スタイラスペン220が保持部130a又は保持部130bによって保持される際に)、ユーザーはスタイラスペン220を装置本体100に固定する動作とは別の動作を行うことなく、装置本体100の動作モードを選択することができる。更に、第1ペン保持状態検出部331及び第2ペン保持状態検出部332によって検出されるスタイラスペン220の保持状態に応じて、装置本体100の動作モードとして多様な動作モードを設定することができる。
【0086】
図3において、本実施形態では特に、情報処理装置1は、本発明に係る「選択用動作モード設定手段」の一例としての選択用動作モード設定部350を備えている。選択用動作モード設定部350は、動作モード選択部340が装置本体100の動作モードとして選択可能な動作モードを、ユーザーから入力される指示に応じて設定する。よって、ユーザーは、選択用動作モード設定部350によって、スタイラスペン220の保持状態に応じて選択可能な動作モードを割り当てることができる。即ち、スタイラスペン220がどのような保持状態である場合に、装置本体100の動作モードとしてどのような動作モードが選択されるべきかをユーザーが設定することができる。従って、ユーザーの利便性を向上させることができ、実践上大変便利である。
【0087】
図3において、本実施形態では特に、情報処理装置1は、本発明に係る「判定手段」の一例としてのペン判定部360を備えている。ペン判定部360は、スタイラスペン220が装置本体100に対応するものであるか否かをRFID技術により判定する。尚、スタイラスペン220には、識別情報を示すIC(integrated circuit)タグが設けられている。動作モード選択部340は、ペン判定部360によってスタイラスペン220が装置本体100に対応するものであると判定された場合のみに、装置本体100の動作モードを選択する。よって、例えば、装置本体100に対応しない他のスタイラスペンなどが保持部130a或いは130bによって保持されることにより装置本体100の動作モードが誤って切り替わってしまうことを低減或いは防止できる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置1によれば、例えば、ユーザーが、スタイラスペン220を装置本体100に固定する際に、スタイラスペン220を固定する動作とは別の動作を行うことなく、装置本体100の動作モードを選択でき、且つ、多様な動作モードを設定することができる。
【0089】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る情報処理装置について、図7及び図8を参照して説明する。
【0090】
図7は、第2実施形態における、保持部によってスタイラスペンが保持された保持状態の一例を示す断面図であり、図8は、第2実施形態における、保持部によってスタイラスペンが保持された保持状態の他の例を示す断面図である。尚、図7及び図8は、図4に対応して示されている。また、図7及び図8において、図1から図5に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0091】
第2実施形態に係る情報処理装置は、保持部130a及び保持部130b並びに第1ペン保持状態検出部331及び第2ペン保持状態検出部332の構成が上述した第1実施形態に係る情報処理装置と異なる。
【0092】
図7及び図8において、保持部130aは、凹部131a内に、スタイラスペン220が有するクリップ225に対応する形状の切欠部135を有している。切欠部135の底部には開口部が形成されている。筐体120の内部には、第1ペン保持状態検出部331を構成するスイッチ331cが設けられている。スイッチ331cは、ボタン331cbを有している。ボタン331cbは、切欠部135の底部に形成された開口部から切欠部135の内部に突出するように設けられている。
【0093】
図7に示すように、スタイラスペン220のクリップ225が切欠部135に嵌め合わされた状態で、スタイラスペン220が保持部130aによって保持された場合には、第1ペン保持状態検出部331は、スイッチ331cのボタン331cbがクリップ225によって押下されていることを検出することで、スタイラスペン220の第1の保持状態を検出する。
【0094】
一方、図8に示すように、スタイラスペン220のクリップ225が切欠部135に嵌め合わされない状態で、スタイラスペン220が保持された場合には、第1ペン保持状態検出部331は、スイッチ331cのボタン331cbがクリップ225によって押下されていないことを検出することで、スタイラスペン220の第2の保持状態を検出する。
【0095】
即ち、第1ペン保持状態検出部331は、第1の保持状態として、スタイラスペン220の軸周り回転状態が一の回転状態であることを検出し、第2の保持状態として、スタイラスペン220の軸周り回転状態が一の回転状態とは異なる他の回転状態であることを検出する。つまり、第1ペン保持状態検出部331は、スイッチ331cのボタン331cbがクリップ225によって押下されているか否かに応じて異なる保持状態を検出することができる。
【0096】
動作モード選択部340は、第1ペン保持状態検出部331及び第2ペン保持状態検出部332の各々によって検出されたスタイラスペン220の保持状態に応じて、装置本体100の動作モードを選択する。
【0097】
このように構成された第2実施形態に係る情報処理装置によれば、上述した第1実施形態に係る情報処理装置と同様に、ユーザーが、スタイラスペン220を装置本体100に固定する際に、スタイラスペン220を固定する動作とは別の動作を行うことなく、装置本体100の動作モードを選択でき、且つ、多様な動作モードを設定することができる。
【0098】
また、第2実施形態に係る情報処理装置においては、スイッチ331cを凹部131aの第1の端部側(即ち、図7における右側)にのみ設けたが、スイッチ331cをさらに凹部131aの第2の端部側(即ち、図7における左側)にも設ければ、スタイラスペン220の回転状態だけでなく保持される向き(上下左右)も利用して、さらに多様な動作モードを設定することができる。
【0099】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報処理装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
100…装置本体、110…表示部、120…筐体、130、130a、130b…保持部、132…磁性体、135…切欠部、140…キースイッチ、150…メインCPU、160…サブCPU、170…電源、180…バッテリー、210…デジタイザー本体、220…スタイラスペン、221、222…磁石、225…クリップ、331…第1ペン保持状態検出部、331a、331b…磁気センサー、331c…スイッチ、331cb…ボタン、332…第2ペン保持状態検出部、340…動作モード選択部、350…選択用動作モード設定部、360…ペン判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体及び該装置本体に情報を入力するための入力デバイスを備えた情報処理装置であって、
前記装置本体は、
前記入力デバイスを保持可能な第1の保持部と、
該第1の保持部によって前記入力デバイスが保持された保持状態を検出する第1の検出手段と、
該第1の検出手段によって検出された保持状態に応じて、前記装置本体の動作モードを選択する動作モード選択手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記装置本体は、
前記入力デバイスを保持可能な第2の保持部と、
該第2の保持部によって前記入力デバイスが保持された保持状態を検出する第2の検出手段と
を更に備え、
前記動作モード選択手段は、前記入力デバイスが前記第1の保持部によって保持されていることが前記第1の検出手段によって検出された場合と、前記入力デバイスが前記第2の保持部によって保持されていることが前記第2の検出手段によって検出された場合とで異なる動作モードを前記装置本体の動作モードとして選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記装置本体は、
前記動作モード選択手段が前記装置本体の動作モードとして選択可能な動作モードを設定する選択用動作モード設定手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記装置本体は、
前記入力デバイスが前記装置本体に対応するものであるか否かを判定する判定手段を更に備え、
前記動作モード選択手段は、前記判定手段によって前記入力デバイスが前記装置本体に対応するものであると判定された場合のみに、前記装置本体の動作モードを選択する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−170521(P2011−170521A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32517(P2010−32517)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】