説明

情報媒体およびその製造方法

【課題】その側面において、基材やフレームが剥離することを防止した情報媒体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の情報媒体10は、略四角形状のフレーム11と、フレーム11に内設されたモジュール13と、フレーム11およびモジュール13を被覆する接着層14と、接着層14を介して、フレーム11およびモジュール13を挟持する、第一基材15および第二基材16と、を備え、フレーム11の外縁には、その四隅に、他の部分よりも内側に凹んだ凹部11bが形成され、接着層14の一部は、凹部11b内に充填された接着剤からなり、凹部11bと対向する部分において、接着層14のみを介して第一基材15と第二基材16が対向していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な回路を有するモジュールを備えたカード型またはシート型の情報媒体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、そのカードを用いた情報管理や決済などが行われている。
このような情報管理や決済などに用いられるカードとしては、ICチップが内蔵されたICカードや、磁気により情報が書き込まれた磁気カードなどが挙げられる。これらのICカードや磁気カードなどのカード型の情報媒体は、専用の装置を用いて情報の書込みや読み出しが行われる。
このようなカード型の情報媒体は、電気的な回路を有するモジュールを備えている。また、この情報媒体では、モジュールを、基材に対して所定の位置に配置するためにフレームが用いられている。すなわち、この情報媒体は、モジュールが所定の位置に内設されたフレームが、接着剤を介して、一対の基材で挟持された構造をなしている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−236937号公報
【特許文献2】特開2004−110142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような情報媒体は、モジュールが内設されたフレームが、接着剤を介して一対の基材で挟持された後、これらの部材からなる積層体が、その厚さ方向に打ち抜かれるなどして裁断され、最終的な形状(カード形状など)に加工されている。したがって、この情報媒体は、その側面において、基材と接着剤の界面、および、接着剤とフレームの界面が露出しているため、これらの界面にて、基材やフレームが剥離しやすいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その側面において、基材やフレームが剥離することを防止した情報媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報媒体は、略四角形状のフレームと、該フレームに内設されたモジュールと、少なくとも前記フレームの一部と接する接着層と、該接着層に接し、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備えた情報媒体であって、前記フレームの外縁には、少なくともその四隅に、前記基材の外郭線よりも内側に凹んだ凹部が形成され、前記接着層の一部は、前記凹部内に充填された接着剤からなり、前記凹部と対向する部分において、前記接着層のみを介して前記一対の基材が対向していることを特徴とする。
【0007】
本発明の情報媒体の製造方法は、略四角形状のフレームと、該フレームに内設されたモジュールと、少なくとも前記フレームの一部と接する接着層と、該接着層に接し、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備え、前記フレームの外縁には、少なくともその四隅に、前記基材の外郭線よりも内側に凹んだ凹部が形成され、前記接着層の一部は、前記凹部内に充填された接着剤からなり、前記凹部と対向する部分において、前記接着層のみを介して前記一対の基材が対向している情報媒体の製造方法であって、第一基材の一方の面に、外縁部の少なくとも四隅に、前記情報媒体の外郭線よりも内側に凹んだ凹部、または、その厚さ方向に貫通する貫通部が、前記外郭線を跨ぐように形成され、かつ、内側にモジュールを嵌入する嵌入部が形成された略四角形状のフレームを接合する工程Aと、前記嵌入部に、モジュールを嵌入する工程Bと、前記フレームおよび前記モジュールの前記第一基材と対向する面とは反対側の面に接着剤を塗布する工程Cと、前記接着剤を介して、前記フレームおよび前記モジュールに、第二基材の一方の面を重ね合わせて、前記フレームおよび前記モジュールに対して前記第二基材を押圧することにより、前記フレームおよび前記モジュールと、前記第二基材との間に、前記接着剤を展開させるとともに、前記凹部または前記貫通部に、前記接着剤を流入させる工程Dと、前記第一基材、前記接着剤、前記フレーム、前記モジュールおよび前記第二基材を含む積層体を、前記外郭線に沿って裁断する工程Eと、を有し、前記工程Aと前記工程Bを順不同に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の情報媒体によれば、フレームの外縁には、少なくともその四隅に、基材の外郭線よりも内側に凹んだ凹部が形成され、接着層の一部は、凹部内に充填された接着剤からなり、凹部と対向する部分において、接着層のみを介して一対の基材が対向しているので、その四隅において、一対の基材と接着層の界面のみが露出し、フレームと接着層の界面が露出しない。したがって、本発明の情報媒体は、その四隅において、フレームと接着層が剥離することがなく、耐久性に優れている。
【0009】
本発明の情報媒体の製造方法によれば、外縁部の少なくとも四隅に、情報媒体の外郭線よりも内側に凹んだ凹部、または、その厚さ方向に貫通する貫通部が、前記の外郭線を跨ぐように形成された略四角形状のフレームを用い、フレームの貫通部または凹部に、接着剤を流入させ、第一基材、接着剤、フレーム、モジュールおよび第二基材を含む積層体を、前記の外郭線に沿って裁断するので、フレームの凹部と対向する部分において、接着層のみを介して第一基材と第二基材が対向し、その四隅において、第一基材および第二基材と、接着層との界面のみが露出し、フレームと接着層との界面が露出しない情報媒体を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の情報媒体の第一の実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において用いられ、表面印刷が施された第一基材を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において、接着剤の塗布工程を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図5】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図6】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において、工程Cを示す概略斜視図である。
【図7】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において、工程Dを示す概略斜視図である。
【図8】本発明の情報媒体の第二の実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図9】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において用いられ、表面印刷が施された第一基材を示す概略斜視図である。
【図10】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において、接着剤の塗布工程を示す概略斜視図である。
【図11】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図12】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図13】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において、工程Cを示す概略斜視図である。
【図14】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において、工程Dを示す概略斜視図である。
【図15】本発明の情報媒体の第三の実施形態を示す概略平面図である。
【図16】本発明の情報媒体の第三の実施形態を示す概略構成図であり、(a)は図15のC−C線に沿う断面図、(b)は図15のD−D線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の情報媒体およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0012】
(1)第一の実施形態
「情報媒体」
図1は、本発明の情報媒体の第一の実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態の情報媒体10は、平面視略長方形状のフレーム11と、フレーム11に内設され、表示素子12を有するモジュール13と、フレーム11およびモジュール13を被覆する接着層14と、接着層14を介して、フレーム11およびモジュール13を挟持する一対の基材15,16(第一基材15、第二基材16)とから概略構成されている。
すなわち、情報媒体10は、モジュール13を内設したフレーム11が、接着層14を介して第一基材15および第二基材16に挟持され、これらの部材がその厚さ方向において積層された構造をなしている。したがって、フレーム11は、接着層14を形成する接着剤によって、第一基材15および第二基材16に接着されている。これにより、情報媒体10は、平面視略長方形状をなしている。
ここで、フレーム11にモジュール13を内設するとは、フレーム11の内側にモジュール13を設けることを言う。
【0013】
フレーム11の内側には、モジュール13を嵌入するために、その厚さ方向に貫通し、モジュール13の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが設けられている。さらに、この嵌入部11aは、モジュール13を嵌入した場合、表示素子12の表示部12aが第二基材16の窓部16aに対向する位置に配置されるように設けられている。
また、フレーム11の厚さは、モジュール13の厚さとほぼ等しくなっており、フレーム11に嵌入されたモジュール13の表面は、フレーム11の表面とほぼ同一面をなしている。
【0014】
また、フレーム11の外縁には、その四隅に、第一基材15および第二基材16の外郭線(外周)よりも内側に凹んだ、平面視略長方形状の凹部11bが形成されている。
これにより、情報媒体10では、凹部11bと対向する部分にて、接着層14のみを介して第一基材15と第二基材16が対向している。すなわち、フレーム11の四隅に形成された凹部11b内にも接着層14が形成され、この接着層14に、第一基材15と第二基材16が接着されている。したがって、情報媒体10の四隅において、第一基材15および第二基材16と、接着層14との界面のみが露出し、フレーム11と接着層14との界面が露出しないようになっている。
【0015】
フレーム11の材質としては、少なくとも表層部に、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材にマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または各種易接着処理などの表面処理を施したもの、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を押出発泡成形したシート)などの公知のものから選択して用いられる。
【0016】
モジュール13としては、各種の電気的な回路を有するモジュールが挙げられる。例えば、表示素子12および接触型のICチップを備えたモジュール、互いに接続されたアンテナおよび非接触型のICチップを備えたRFID用途のモジュール、これらに、さらに、電池、ダイオード、制御装置などを備えたモジュールなどが挙げられる。
【0017】
表示素子12としては、電子ペーパー、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などが挙げられる。
また、接触型のICチップとしては、金属端子が表面に剥き出しになっており、その金属端子を情報書込/読出装置に接触させて、情報の読み書きを行うものが用いられる。
【0018】
モジュール13がRFID用途のモジュールである場合、アンテナは、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0019】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナをなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナをなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10−5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0020】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0021】
また、アンテナをなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナをなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0022】
モジュール13がRFID用途のモジュールである場合、ICチップとしては、特に限定されず、上記のアンテナを介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0023】
接着層14をなす接着剤としては、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えることにより硬化する接着剤が用いられる。このような接着剤としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂が挙げられる。また、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型接着剤も用いられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂などが挙げられる。
【0024】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化性樹脂としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
2液硬化型接着剤としては、ポリエステル樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、ウレタンとポリイソシアネートとの混合物などが挙げられる。
【0025】
このような接着剤の具体例としては、主剤(商品名:アロンマイティAP−317A、東亞合成社製)と硬化剤(商品名:アロンマイティAP−317B、東亞合成社製)からなる2液混合型エポキシ系接着剤、主剤(商品名:MLT2900、イーテック社製)と硬化剤(商品名:G3021−B174、イーテック社製)からなる2液混合型ウレタン系接着剤などが挙げられる。
【0026】
また、接着層14を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、接着層14を任意の色に着色することもできる。
【0027】
第一基材15および第二基材16としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0028】
また、主に、第一基材15の接着層14と接する面(以下、「一方の面」と言う。)15aとは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)15bには、装飾用の印刷が施されるが、第一基材15の一方の面15aに、装飾用の印刷が施されていてもよい。
同様に、主に、第二基材16の接着層14と接する面(以下、「一方の面」と言う。)16bとは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)16cには、装飾用の印刷が施されるが、第二基材16の一方の面16bに、装飾用の印刷が施されていてもよい。
なお、第二基材16に印刷が施される場合、表示素子12の表示部12aと対向する窓部16aを除いた部分に印刷が施される。
【0029】
この情報媒体10は、フレーム11の四隅に、第一基材15および第二基材16の外郭線よりも内側に凹んだ、平面視略長方形状の凹部11bが形成され、接着層14は、フレーム11およびモジュール13における、第一基材15および第二基材16と対向する面に塗布した接着剤、並びに、凹部11b内に充填された接着剤からなり、凹部11bと対向する部分にて、接着層14のみを介して第一基材15と第二基材16が対向しているので、その四隅において、第一基材15および第二基材16と、接着層14との界面のみが露出し、フレーム11と接着層14との界面が露出しない。したがって、情報媒体10は、その四隅において、フレーム11と接着層14が剥離することがなく、耐久性に優れている。
【0030】
なお、この実施形態では、フレーム11が、接着層14を形成する接着剤によって、第一基材15および第二基材16に接着されている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、一対の基材の一方に、フレームが熱融着されていてもよい。
また、この実施形態では、フレーム11と、第一基材15および第二基材16との間に接着層14が介在している場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、一対の基材の一方に、フレームが熱融着された場合、接着層は、フレームおよびモジュールにおける一方の基材と対向する面とは反対側の面を被覆する接着剤と、フレームの凹部内に充填された接着剤とから形成されていてもよい。
すなわち、例えば、第一基材15にフレーム11が熱融着され、フレーム11およびモジュール13と、第二基材16とが、接着層14を介して接着されていてもよい。
【0031】
また、この実施形態では、フレーム11が1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つ以上の部材からなる場合、予め2つ以上の部材が接着剤または熱融着により接合されて、1つのフレームとされて用いられる。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。
【0032】
また、この実施形態では、情報媒体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、情報媒体は、平面視した場合、略正方形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、表示素子12を有するモジュール13を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、モジュールが表示素子を備えていなくてもよい。
【0033】
「情報媒体の製造方法」
次に、図1〜図7を参照して、この実施形態の情報媒体の製造方法を説明する。
まず、図2に示すように、他方の面15bに装飾用の表面印刷21が施された第一基材15を用意する。
【0034】
次いで、図3に示すように、第一基材15の一方の面(表面印刷21が施された面とは反対側の面)15aに、接着剤塗布装置のノズル31から吐出される接着剤14Aを塗布する。
【0035】
接着剤14Aとしては、上記の接着層14を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一基材15の一方の面15aに対する接着剤14Aの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤14Aによって被覆される、フレーム11Aの面積、フレーム11Aに設けられた貫通部11cの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0036】
次いで、図4に示すように、外縁部の四隅に、その厚さ方向に貫通する貫通部11cが、上述の情報媒体10の外郭線(最終的な情報媒体10の形状の外郭線)10aを跨ぐように形成され、かつ、内側に、その厚さ方向に貫通し、モジュール13の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが形成された略長方形状のフレーム11Aを用意する。
そして、接着剤14Aを介して、第一基材15の一方の面15aに、フレーム11Aを重ね合わせ、第一基材15に対してフレーム11Aを押圧することにより、第一基材15とフレーム11Aの間に、接着剤14Aを展開させ、第一基材15の一方の面15aにフレーム11Aを接着する(工程A)。
【0037】
ここでは、情報媒体10の外郭線10aは、表面印刷21の外郭線21aに対応する。
この工程Aでは、第一基材15とフレーム11Aの間に、接着剤14Aを展開させる際、フレーム11Aの嵌入部11aおよび貫通部11cに、接着剤14Aを流入させてもよい。
また、この工程Aでは、第一基材15とフレーム11Aの間に展開させた接着剤14Aの余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(表面印刷21の外郭線21a)よりも外側に、裾拡がりするように展開させる。
【0038】
次いで、図5に示すように、フレーム11Aの内側に形成された嵌入部11aに、表示素子12を有するモジュール13を嵌入する(工程B)。
【0039】
次いで、図6に示すように、フレーム11Aの第一基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)11d、および、モジュール13の第一基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)13aに、接着剤塗布装置のノズル31から吐出される接着剤14Bを塗布する(工程C)。
【0040】
接着剤14Bとしては、上記の接着層14を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、フレーム11Aの一方の面11dおよびモジュール13の一方の面13aに対する接着剤14Bの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤14Bによって被覆される、フレーム11Aの面積、フレーム11Aに設けられた貫通部11cの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0041】
次いで、図7に示すように、フレーム11Aおよびモジュール13に塗布した接着剤14Bを介して、フレーム11Aおよびモジュール13に、装飾用の表面印刷22が施された第二基材16の印刷面(他方の面16c)とは反対側の面(一方の面16b)を重ね合わせ、フレーム11Aおよびモジュール13に対して第二基材16を押圧することにより、フレーム11Aおよびモジュール13と、第二基材16との間に、接着剤14Bを展開させるとともに、フレーム11Aの貫通部11cに、接着剤14Bを流入させる(工程D)。
【0042】
この工程Dでは、表示素子12の表示部12aが第二基材16の窓部16aに対向するように、フレーム11Aおよびモジュール13に、第二基材16を重ね合わせる。
また、第二基材16の他方の面16cに施された表面印刷22の外郭線22aは、情報媒体10の外郭線10a、および、第一基材15に施された表面印刷21の外郭線21aに対応する。すなわち、この第二基材16に施された表面印刷22の外郭線22aと、第一基材15に施された表面印刷21の外郭線21aとが重なるように、フレーム11Aおよびモジュール13に、第二基材16を重ね合わせる。
また、この工程Eでは、フレーム11Aおよびモジュール13と、第二基材16との間に展開させた接着剤14Bの余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(表面印刷22の外郭線22a)よりも外側に、裾が拡がるように展開させる。
【0043】
次いで、第一基材15、接着剤14A、フレーム11A、モジュール13、接着剤14Bおよび第二基材16から構成される積層体を加圧処理および接着剤を硬化させる処理(例えば、加熱、紫外線照射、電子線照射、エージング〔放置して時間とともに硬化反応をさせていくこと〕処理)する(加圧処理および接着剤硬化処理する工程)ことによって、接着剤14A,14Bを硬化させて、前記の積層体を一体化する。
【0044】
次いで、第一基材15、接着剤14A、フレーム11A、モジュール13、接着剤14Bおよび第二基材16から構成される積層体を、情報媒体10の外郭線10aに沿って裁断して(工程E)、図1に示す情報媒体10を得る。
【0045】
この工程Eでは、上記の積層体の裁断により、接着剤14A,14Bの余剰分も分離、除去される。
【0046】
この実施形態の情報媒体の製造方法によれば、外縁部の四隅に、第一基材15の厚さ方向に貫通する貫通部11cが上述の情報媒体10の外郭線10aを跨ぐように形成されたフレーム11Aを用い、貫通部11c内に接着剤14A,14Bを流入させ、第一基材15、接着剤14A、フレーム11A、モジュール13、接着剤14Bおよび第二基材16から構成される積層体を形成し、接着剤14A,14Bを硬化させた後、前記の積層体を外郭線10aに沿って裁断するので、フレーム11の凹部11bと対向する部分にて、接着層14のみを介して第一基材15と第二基材16が対向し、その四隅において、第一基材15および第二基材16と、接着層14との界面のみが露出し、フレーム11と接着層14との界面が露出しない情報媒体10を作製することができる。したがって、得られた情報媒体10は、その四隅において、フレーム11と接着層14が剥離することがなく、耐久性に優れたものとなる。
【0047】
なお、この実施形態では、外縁部の四隅に、第一基材15の厚さ方向に貫通する貫通部11cが情報媒体10の外郭線10aを跨ぐように形成されたフレーム11Aを用いた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、外縁部の四隅に、最終的に得られる情報媒体の外郭線よりも内側に凹んだ凹部が形成されたフレームを用いてもよい。
【0048】
また、この実施形態では、工程Aにおいて、第一基材15の一方の面15aに塗布した接着剤14Aによって、第一基材15の一方の面15aにフレーム11を接着する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面に、フレームを熱融着により接合してもよい。その場合、第一基材の一方の面に、接着剤を塗布しない。したがって、工程Dにおいて、フレームおよびモジュールに対して第二基材を押圧することにより、フレームおよびモジュールと、第二基材との間に、第二基材の一方の面に塗布された接着剤を展開させるとともに、フレームの凹部または貫通部に、接着剤を流入させることのみにより、接着層を形成する。
【0049】
また、この実施形態では、フレーム11Aが1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つの部材からなる場合、予め2つ以上の部材を接着剤または熱融着により接合して、1つのフレームとして用いてもよい。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。
【0050】
また、この実施形態では、工程Aの後に、工程Bを行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Aと工程Bを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、工程Bにて、フレームに設けられた嵌入部に、モジュールを嵌入した後、工程Aにて、モジュールを内設したフレームを、第一基材の一方の面に接合してもよい。
【0051】
また、この実施形態では、第一基材15の他方の面15bに表面印刷21が施された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面に表面印刷が施されていてもよい。
また、この実施形態では、第二基材16の他方の面16cに表面印刷22が施された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第二基材の一方の面に表面印刷が施されていてもよい。
【0052】
(2)第二の実施形態
「情報媒体」
図8は、本発明の情報媒体の第二の実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
この実施形態の情報媒体40は、平面視略長方形状のフレーム41と、フレーム41に内設され、表示素子42を有するモジュール43と、フレーム41およびモジュール43を被覆する接着層44と、接着層44を介して、フレーム41およびモジュール43を挟持する一対の基材45,46(第一基材45、第二基材46)とから概略構成されている。
すなわち、情報媒体40は、モジュール43を内設したフレーム41が、接着層44を介して第一基材45および第二基材46に挟持され、これらの部材がその厚さ方向において積層された構造をなしている。したがって、フレーム41は、接着層44を形成する接着剤によって、第一基材45および第二基材46に接着されている。これにより、情報媒体40は、平面視略長方形状をなしている。
ここで、フレーム41にモジュール43を内設するとは、フレーム41の内側にモジュール43を設けることを言う。
【0053】
フレーム41の内側には、モジュール43を嵌入するために、その厚さ方向に貫通し、モジュール43の外形とほぼ形状が等しい嵌入部41aが設けられている。さらに、この嵌入部41aは、モジュール43を嵌入した場合、表示素子42の表示部42aが第二基材46の窓部46aに対向する位置に配置されるように設けられている。
また、フレーム41の厚さは、モジュール43の厚さとほぼ等しくなっており、フレーム41に嵌入されたモジュール43の表面は、フレーム41の表面とほぼ同一面をなしている。
【0054】
また、フレーム41の外縁には、その四隅を含んで隣接する2つの辺に沿って延在し、第一基材45および第二基材46の外郭線(外周)よりも内側に凹んだ、平面視略L字状の凹部41bが間隔を置いて4つ形成され、この凹部41bと対向する部分にて、接着層44のみを介して第一基材45と第二基材46が対向している。すなわち、フレーム41の四隅を含んで形成された凹部41b内にも接着層44が形成され、この接着層44に、第一基材45と第二基材46が接着されている。したがって、情報媒体40の四隅において、第一基材45および第二基材46と、接着層44との界面のみが露出し、フレーム41と接着層44との界面が露出しないようになっている。
【0055】
また、主に、第一基材45の接着層44と接する面(以下、「一方の面」と言う。)45aとは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)45bには、装飾用の印刷が施されるが、第一基材45の一方の面45aに、装飾用の印刷が施されていてもよい。
同様に、主に、第二基材46の接着層44と接する面(以下、「一方の面」と言う。)46bとは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)46cには、装飾用の印刷が施されるが、第二基材46の一方の面46bに、装飾用の印刷が施されていてもよい。
なお、第二基材46に印刷が施される場合、表示素子42の表示部42aと対向する窓部46aを除いた部分に印刷が施される。
【0056】
フレーム41の材質としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
モジュール43としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
接着層44をなす接着剤としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
第一基材45および第二基材46としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0057】
この情報媒体40は、フレーム41の外縁に、その四隅を含んで隣接する2つの辺に沿って延在し、第一基材45および第二基材46の外郭線よりも内側に凹んだ、平面視略L字状の凹部41bが間隔を置いて4つ形成され、接着層44は、フレーム41およびモジュール43における、第一基材45および第二基材46と対向する面に塗布した接着剤、並びに、凹部41b内に充填された接着剤からなり、凹部41bと対向する部分にて、接着層44のみを介して第一基材45と第二基材46が対向しているので、その四隅において、第一基材45および第二基材46と、接着層44との界面のみが露出し、フレーム41と接着層44との界面が露出しない。したがって、情報媒体40は、その四隅において、フレーム41と接着層44が剥離することがなく、耐久性に優れている。
【0058】
なお、この実施形態では、フレーム41が、接着層44を形成する接着剤によって、第一基材45および第二基材46に接着されている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、一対の基材の一方に、フレームを熱融着されていてもよい。
また、この実施形態では、フレーム41と、第一基材45および第二基材46との間に接着層44が介在している場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、一対の基材の一方に、フレームが熱融着された場合、接着層は、フレームおよびモジュールにおける一方の基材と対向する面とは反対側の面を被覆する接着剤と、フレームの凹部内に充填された接着剤とから形成されていてもよい。
すなわち、例えば、第一基材45にフレーム41が熱融着され、フレーム41およびモジュール43と、第二基材46とが、接着層44を介して接着されていてもよい。
【0059】
また、この実施形態では、フレーム41が1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つ以上の部材からなる場合、予め2つ以上の部材が接着剤または熱融着により接合されて、1つのフレームとされて用いられる。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。
【0060】
また、この実施形態では、情報媒体40が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、情報媒体は、平面視した場合、略正方形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、表示素子42を有するモジュール43を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、モジュールが表示素子を備えていなくてもよい。
【0061】
「情報媒体の製造方法」
次に、図8〜図14を参照して、この実施形態の情報媒体の製造方法を説明する。
まず、図9に示すように、他方の面45bに装飾用の表面印刷51が施された第一基材45を用意する。
【0062】
次いで、図10に示すように、第一基材45の一方の面(表面印刷51が施された面とは反対側の面)45aに、接着剤塗布装置のノズル61から吐出される接着剤44Aを塗布する。
【0063】
接着剤44Aとしては、上記の接着層44を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一基材45の一方の面45aに対する接着剤44Aの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤44Aによって被覆される、フレーム41Aの面積、フレーム41Aに設けられた貫通部41cの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0064】
次いで、図11に示すように、外縁部に、その四隅を含んで隣接する2つの辺に沿って延在し、その厚さ方向に貫通する貫通部41cが、上述の情報媒体40の外郭線(最終的な情報媒体40の形状の外郭線)40aを跨ぐように、間隔を置いて4つ形成され、かつ、内側に、その厚さ方向に貫通し、モジュール43の外形とほぼ形状が等しい嵌入部41aが形成された略長方形状のフレーム41Aを用意する。
そして、接着剤44Aを介して、第一基材45の一方の面45aに、フレーム41Aを重ね合わせ、第一基材45に対してフレーム41Aを押圧することにより、第一基材45とフレーム41Aの間に、接着剤44Aを展開させ、第一基材45の一方の面45aにフレーム41Aを接着する(工程A)。
【0065】
ここでは、情報媒体40の外郭線40aは、表面印刷51の外郭線51aに対応する。
この工程Aでは、第一基材45とフレーム41Aの間に、接着剤44Aを展開させる際、フレーム41Aの嵌入部41aおよび貫通部41cに、接着剤44Aを流入させてもよい。
また、この工程Aでは、第一基材45とフレーム41Aの間に展開させた接着剤44Aの余剰分を、情報媒体40の外郭線40a(表面印刷51の外郭線51a)よりも外側に、裾拡がりするように展開させる。
【0066】
次いで、図12に示すように、フレーム41Aの内側に形成された嵌入部41aに、表示素子42を有するモジュール43を嵌入する(工程B)。
【0067】
次いで、図13に示すように、フレーム41Aの第一基材45と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)41d、および、モジュール43の第一基材45と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)43aに、接着剤塗布装置のノズル61から吐出される接着剤44Bを塗布する(工程C)。
【0068】
接着剤44Bとしては、上記の接着層44を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、フレーム41Aの一方の面41dおよびモジュール43の一方の面43aに対する接着剤44Bの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤44Bによって被覆される、フレーム41Aの面積、フレーム41Aに設けられた貫通部41cの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0069】
次いで、図14に示すように、フレーム41Aおよびモジュール43に塗布した接着剤44Bを介して、フレーム41Aおよびモジュール43に、装飾用の表面印刷52が施された第二基材46の印刷面(他方の面46c)とは反対側の面(一方の面46b)を重ね合わせ、フレーム41Aおよびモジュール43に対して第二基材46を押圧することにより、フレーム41Aおよびモジュール43と、第二基材46との間に、接着剤44Bを展開させるとともに、フレーム41Aの貫通部41cに、接着剤44Bを流入させる(工程D)。
【0070】
この工程Dでは、表示素子42の表示部42aが第二基材46の窓部46aに対向するように、フレーム41Aおよびモジュール43に、第二基材46を重ね合わせる。
また、第二基材46の他方の面46cに施された表面印刷52の外郭線52aは、情報媒体40の外郭線40a、および、第一基材45に施された表面印刷51の外郭線51aに対応する。すなわち、この第二基材46に施された表面印刷52の外郭線52aと、第一基材45に施された表面印刷51の外郭線51aとが重なるように、フレーム41Aおよびモジュール43に、第二基材46を重ね合わせる。
また、この工程Eでは、フレーム41Aおよびモジュール43と、第二基材46との間に展開させた接着剤44Bの余剰分を、情報媒体40の外郭線40a(表面印刷52の外郭線52a)よりも外側に、裾が拡がるように展開させる。
【0071】
次いで、第一基材45、接着剤44A、フレーム41A、モジュール43、接着剤44Bおよび第二基材46から構成される積層体を加圧処理および接着剤を硬化させる処理(例えば、加熱、紫外線照射、電子線照射、エージング〔放置して時間とともに硬化反応をさせていくこと〕処理)する(加圧処理および接着剤硬化処理する工程)ことによって、接着剤44A,44Bを硬化させて、前記の積層体を一体化する。
【0072】
次いで、第一基材45、接着剤44A、フレーム41A、モジュール43、接着剤44Bおよび第二基材46から構成される積層体を、情報媒体40の外郭線40aに沿って裁断して(工程E)、図8に示す情報媒体40を得る。
【0073】
この工程Eでは、上記の積層体の裁断により、接着剤44A,44Bの余剰分も分離、除去される。
【0074】
この実施形態の情報媒体の製造方法によれば、外縁部に、その四隅を含んで隣接する2つの辺に沿って延在し、第一基材45の厚さ方向に貫通する貫通部41cが上述の情報媒体40の外郭線40aを跨ぐように形成されたフレーム41Aを用い、貫通部41c内に接着剤44A,44Bを流入させ、第一基材45、接着剤44A、フレーム41A、モジュール43、接着剤44Bおよび第二基材46から構成される積層体を形成し、接着剤44A,44Bを硬化させた後、前記の積層体を外郭線40aに沿って裁断するので、フレーム41の凹部41bと対向する部分にて、接着層44のみを介して第一基材45と第二基材46が対向し、その四隅において、第一基材45および第二基材46と、接着層44との界面のみが露出し、フレーム41と接着層44との界面が露出しない情報媒体40を作製することができる。したがって、得られた情報媒体40は、その四隅において、フレーム41と接着層44が剥離することがなく、耐久性に優れたものとなる。
【0075】
なお、この実施形態では、外縁部に、その四隅を含んで隣接する2つの辺に沿って延在し、第一基材45の厚さ方向に貫通する貫通部41cが上述の情報媒体40の外郭線40aを跨ぐように形成されたフレーム41Aを用いた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、外縁部に、その四隅を含んで隣接する2つの辺に沿って延在し、最終的に得られる情報媒体の外郭線よりも内側に凹んだ凹部が形成されたフレームを用いてもよい。
【0076】
また、この実施形態では、工程Aにおいて、第一基材45の一方の面45aに塗布した接着剤44Aによって、第一基材45の一方の面45aにフレーム41を接着する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面に、フレームを熱融着により接合してもよい。その場合、第一基材の一方の面に、接着剤を塗布しない。したがって、工程Dにおいて、フレームおよびモジュールに対して第二基材を押圧することにより、フレームおよびモジュールと、第二基材との間に、第二基材の一方の面に塗布された接着剤を展開させるとともに、フレームの凹部または貫通部に、接着剤を流入させることのみにより、接着層を形成する。
【0077】
また、この実施形態では、フレーム41Aが1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つの部材からなる場合、予め2つ以上の部材を接着剤または熱融着により接合して、1つのフレームとして用いてもよい。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。
【0078】
また、この実施形態では、工程Aの後に、工程Bを行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Aと工程Bを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、工程Bにて、フレームに設けられた嵌入部に、モジュールを嵌入した後、工程Aにて、モジュールを内設したフレームを、第一基材の一方の面に接合してもよい。
【0079】
また、この実施形態では、第一基材45の他方の面45bに表面印刷51が施された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面に表面印刷が施されていてもよい。
また、この実施形態では、第二基材46の他方の面46cに表面印刷52が施された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第二基材の一方の面に表面印刷が施されていてもよい。
【0080】
(3)第三の実施形態
上述の第一の実施形態および第二の実施形態では、フレームの外縁に、その四隅のそれぞれを含んで、第一基材および第二基材の外郭線(外周)よりも内側に凹んだ凹部が形成された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、図15に示すように、フレームの外縁には、四隅のそれぞれを含む凹部と、それぞれの辺に沿って点在し、第一基材および第二基材の外郭線よりも内側に凹む1つ以上の凹部とが形成されていてもよい。
【0081】
図15は、本発明の情報媒体の第三の実施形態を示す概略平面図である。図16は、本発明の情報媒体の第三の実施形態を示す概略構成図であり、(a)は図15のC−C線に沿う断面図、(b)は図15のD−D線に沿う断面図である。
この実施形態の情報媒体60は、平面視略長方形状のフレーム61と、フレーム61に内設され、表示素子62を有するモジュール63と、フレーム61およびモジュール63を被覆する接着層64と、接着層64を介して、フレーム61およびモジュール63を挟持する一対の基材65,66(第一基材65、第二基材66)とから概略構成されている。
すなわち、情報媒体60は、モジュール63を内設したフレーム61が、接着層64を介して第一基材65および第二基材66に挟持され、これらの部材がその厚さ方向において積層された構造をなしている。したがって、フレーム61は、接着層64を形成する接着剤によって、第一基材65および第二基材66に接着されている。これにより、情報媒体60は、平面視略長方形状をなしている。
ここで、フレーム61にモジュール63を内設するとは、フレーム61の内側にモジュール63を設けることを言う。
【0082】
フレーム61の内側には、モジュール63を嵌入するために、その厚さ方向に貫通し、モジュール63の外形とほぼ形状が等しい嵌入部61aが設けられている。さらに、この嵌入部61aは、モジュール63を嵌入した場合、表示素子62の表示部62aが第二基材66の窓部66aに対向する位置に配置されるように設けられている。
また、フレーム61の厚さは、モジュール63の厚さとほぼ等しくなっており、フレーム61に嵌入されたモジュール63の表面は、フレーム61の表面とほぼ同一面をなしている。
【0083】
また、フレーム61の外縁には、その四隅に、第一基材65および第二基材66の外郭線(外周)よりも内側に凹んだ、平面視略長方形状の凹部61bが形成され、この凹部61bと対向する部分にて、接着層64のみを介して第一基材65と第二基材66が対向している。すなわち、フレーム61の四隅に形成された凹部61b内にも接着層64が形成され、この接着層64に、第一基材65と第二基材66が接着されている。したがって、情報媒体60の四隅において、第一基材65および第二基材66と、接着層64との界面のみが露出し、フレーム61と接着層64との界面が露出しないようになっている。
【0084】
さらに、フレーム61の外縁には、それぞれの辺に沿って点在し、第一基材65および第二基材66の外郭線(外周)よりも内側に凹んだ、平面視略長方形状の凹部61c、16dが間隔を置いて複数形成され、この凹部61c、61dと対向する部分にて、接着層64のみを介して第一基材65と第二基材66が対向している。すなわち、フレーム61の外縁に間隔を置いて複数形成された凹部61c、61d内にも接着層64が形成され、この接着層64に、第一基材65と第二基材66が接着されている。したがって、非接触型データ受送信体60の外縁においても、第一基材65および第二基材66と、接着層64との界面のみが露出し、フレーム61と接着層64との界面が露出しない部分が設けられている。
【0085】
また、主に、第一基材65の接着層64と接する面(以下、「一方の面」と言う。)65aとは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)65bには、装飾用の印刷が施されるが、第一基材65の一方の面65aに、装飾用の印刷が施されていてもよい。
同様に、主に、第二基材66の接着層64と接する面(以下、「一方の面」と言う。)66bとは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)66cには、装飾用の印刷が施されるが、第二基材66の一方の面66bに、装飾用の印刷が施されていてもよい。
なお、第二基材66に印刷が施される場合、表示素子62の表示部62aと対向する窓部66aを除いた部分に印刷が施される。
【0086】
フレーム61の材質としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
モジュール63としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
接着層64をなす接着剤としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
第一基材65および第二基材66としては、上述の第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0087】
この情報媒体60は、フレーム61の四隅に、第一基材65および第二基材66の外郭線よりも内側に凹んだ、平面視略長方形状の凹部61bが形成され、かつ、フレーム61の外縁に、それぞれの辺に沿って点在し、第一基材65および第二基材66の外郭線よりも内側に凹んだ、平面視略長方形状の凹部61c、61dが形成され、接着層64は、フレーム61およびモジュール63における、第一基材65および第二基材66と対向する面に塗布した接着剤、並びに、凹部61bおよび凹部61c、61d内に充填された接着剤からなり、凹部61bおよび凹部61c、61dと対向する部分にて、接着層64のみを介して第一基材65と第二基材66が対向しているので、その四隅および外縁において、第一基材65および第二基材66と、接着層64との界面のみが露出し、フレーム11と接着層64との界面が露出しない。したがって、情報媒体60は、その四隅および外縁において、フレーム61と接着層64が剥離することがなく、耐久性に優れている。
【0088】
なお、この実施形態では、フレーム61が、接着層64を形成する接着剤によって、第一基材65および第二基材66に接着されている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、一対の基材の一方に、フレームを熱融着されていてもよい。
また、この実施形態では、フレーム61と、第一基材65および第二基材66との間に接着層64が介在している場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、一対の基材の一方に、フレームが熱融着された場合、接着層は、フレームおよびモジュールにおける一方の基材と対向する面とは反対側の面を被覆する接着剤と、フレームの凹部内に充填された接着剤とから形成されていてもよい。
すなわち、例えば、第一基材65にフレーム61が熱融着され、フレーム61およびモジュール63と、第二基材66とが、接着層64を介して接着されていてもよい。
【0089】
また、この実施形態では、フレーム61が1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つ以上の部材からなる場合、予め2つ以上の部材が接着剤または熱融着により接合されて、1つのフレームとされて用いられる。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。
【0090】
なお、この実施形態では、情報媒体60が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、情報媒体は、平面視した場合、略正方形状をなしていてもよい。
また、この実施形態では、表示素子62を有するモジュール63を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、モジュールが表示素子を備えていなくてもよい。
【0091】
また、情報媒体60は、上述の第一の実施形態または第二の実施形態と同様に製造される。
【符号の説明】
【0092】
10,40,60・・・情報媒体、11,41,61・・・フレーム、12,42,62・・・表示素子、13,43,63・・・モジュール、14,44,64・・・接着層、15,45,65・・・第一基材、16,46,66・・・第二基材、21,22,51,52・・・表面印刷。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略四角形状のフレームと、該フレームに内設されたモジュールと、少なくとも前記フレームの一部と接する接着層と、該接着層に接し、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備えた情報媒体であって、
前記フレームの外縁には、少なくともその四隅に、前記基材の外郭線よりも内側に凹んだ凹部が形成され、
前記接着層の一部は、前記凹部内に充填された接着剤からなり、
前記凹部と対向する部分において、前記接着層のみを介して前記一対の基材が対向していることを特徴とする情報媒体。
【請求項2】
略四角形状のフレームと、該フレームに内設されたモジュールと、少なくとも前記フレームの一部と接する接着層と、該接着層に接し、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備え、前記フレームの外縁には、少なくともその四隅に、前記基材の外郭線よりも内側に凹んだ凹部が形成され、前記接着層の一部は、前記凹部内に充填された接着剤からなり、前記凹部と対向する部分において、前記接着層のみを介して前記一対の基材が対向している情報媒体の製造方法であって、
第一基材の一方の面に、外縁部の少なくとも四隅に、前記情報媒体の外郭線よりも内側に凹んだ凹部、または、その厚さ方向に貫通する貫通部が、前記外郭線を跨ぐように形成され、かつ、内側にモジュールを嵌入する嵌入部が形成された略四角形状のフレームを接合する工程Aと、
前記嵌入部に、モジュールを嵌入する工程Bと、
前記フレームおよび前記モジュールの前記第一基材と対向する面とは反対側の面に接着剤を塗布する工程Cと、
前記接着剤を介して、前記フレームおよび前記モジュールに、第二基材の一方の面を重ね合わせて、前記フレームおよび前記モジュールに対して前記第二基材を押圧することにより、前記フレームおよび前記モジュールと、前記第二基材との間に、前記接着剤を展開させるとともに、前記凹部または前記貫通部に、前記接着剤を流入させる工程Dと、
前記第一基材、前記接着剤、前記フレーム、前記モジュールおよび前記第二基材を含む積層体を、前記外郭線に沿って裁断する工程Eと、を有し、
前記工程Aと前記工程Bを順不同に行うことを特徴とする情報媒体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−53607(P2012−53607A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194823(P2010−194823)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】