説明

情報提供タイミング管理装置、情報提供タイミング管理方法およびプログラム

【課題】
ワークロードを考慮して適切な情報を提供できるようにした情報提供装置を提供する。
【解決手段】
情報提供タイミング管理装置30は、車内で提供される情報の種類及びその情報の認知負荷に対応するランクを記憶した第1のテーブル35と、ワークロードレベルに応じて情報提供開始可能なランクを記憶した第2のテーブル36と、情報提供装置40から送信される情報の種類及びその情報の認知負荷を示す情報を入力する通信部31と、第1テーブル35を参照して、通信部31より入力された情報にランクを設定するランク設定部32と、ドライバのワークロードを推定するワークロード推定装置20と、第2テーブル36を参照して得られるワークロードに対応するランクと、ランク設定部32にて設定されたランクに基づいて情報を提供開始可能か否かを判定する判定部33と、判定結果を情報提供装置40に対して送信する通信部31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内において、警報系のメッセージ、経路案内のメッセージ、マルチメディアコンテンツ等の情報の提供タイミングを管理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車内において、警報系のメッセージ、経路案内のメッセージ、マルチメディアコンテンツ等の様々な情報を提供する情報提供装置が知られている。例えば、特許文献1は、走行状態に応じた提示形態で情報を提示する情報提供装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−201217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両を運転するドライバのワークロードは、運転中の状況(例えば、右左折しようとしている場合と、単にレーンの中を走行している場合等)に応じて大きく異なる。従って、運転に対する負荷をかけないで、いつどこで情報を提供すべきかという情報タイミングを考慮することが重要である。上記した特許文献1では、走行状態が走行中か停止中かに応じて提示形態の優先度を変更しているが(特許文献1、図2参照)、走行中のワークロードを考慮していない。また、車内での情報提供の現在のガイドラインも、ドライバのワークロードを考慮していない。
【0005】
そこで、本発明は、上記背景に鑑み、ワークロードを考慮して適切なタイミングで適切な情報を提供できるようにした情報提供タイミング管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報提供タイミング管理装置は、車内で提供される情報の種類及びその情報の認知負荷に対応するランクを記憶した第1のテーブルと、ワークロードレベルに応じて情報提供開始可能なランクを記憶した第2のテーブルと、情報提供装置から送信される情報の種類及びその情報の認知負荷を示す情報を入力する入力部と、前記第1のテーブルを参照して、前記入力部より入力された情報にランクを設定するランク設定部と、車両を運転するドライバのワークロードを推定するワークロード推定部と、前記第2のテーブルを参照して、前記ワークロード推定部にて推定したワークロードに対応する情報提供開始可能なランクを求め、前記ランク設定部にて設定されたランクが前記提供開始可能なランクか否かに基づいて前記情報を提供開始可能か否かを判定する判定部と、前記判定部での判定結果を前記情報提供装置に対して送信する出力部とを備える。
【0007】
このように第1のテーブルを参照して情報の種類及び認知負荷に基づいて車内で提供される情報にランクを設定し、第2のテーブルに従ってワークロードに対応するランクの情報の提供を許可することにより、ワークロードに応じて適切なタイミングで情報を提供することができる。
【0008】
本発明の情報提供タイミング管理装置は、前記情報提供装置にて提供中の情報のランクを含む管理情報を記憶する記憶部を備え、前記第2のテーブルは、ワークロードレベルに応じて情報提供を中断すべきランクを記憶しており、前記判定部は、前記第2のテーブルを参照して、前記ワークロード推定部にて推定したワークロードに対応する情報提供を中断すべきランクを求め、提供中の情報のランクを前記記憶部から読み出し、前記提供中の情報のランクが前記情報提供を中断すべきランクか否かに基づいて前記情報提供を中断するか否かを判定し、前記出力部は、前記判定部にて情報提供を中断すべきと判定された場合に、情報提供の中断を指示する信号を前記情報提供装置に送信してもよい。
【0009】
この構成により、ワークロードに応じて適切なタイミングで情報の提供を中断することができる。
【0010】
本発明の情報提供タイミング管理装置は、前記ドライバが運転している車両に関する車両情報と、前記車両が走行している道路に関する道路情報とに基づいて、前記車両の現在の運転シーンを判定する運転シーン判定部と、前記運転シーンごとの運転マナーに応じて定められるワークロードの変化パターンに基づいて、前記現在の運転シーンにおける前記現在のワークロードから前記車両を運転している前記ドライバの運転マナーの改善の必要の有無を診断する運転マナー診断部と、前記ドライバの運転マナーの診断結果に基づいて、前記現在のワークロードを調整するワークロード調整部と、を備えてもよい。
【0011】
この構成により、運転マナーに応じて定められるワークロードの変化パターンに基づいて、ドライバの運転マナーの改善が必要であるか否かが診断され、その診断結果に基づいて現在のワークロードが調整される。例えば、運転マナーの改善が必要であると診断された場合には、現在のワークロードが高くなるように(運転シーンから推定されるワークロードよりも高くなるように)調整され、ドライバに情報提供をしないように、あるいは、機器操作規制を厳しくするように制御される。そのような事態を避けるために、ドライバは、運転マナーの改善の必要がない、と診断されるような運転を心がけるようになる。これにより、ドライバの運転マナーが改善される。
【0012】
本発明の情報提供タイミング管理方法は、車内における情報提供のタイミングを情報提供タイミング管理装置によって管理する方法であって、前記情報提供タイミング管理装置に、情報提供装置から送信される情報の種類及びその情報の認知負荷を示す情報を入力する入力ステップと、前記情報提供タイミング管理装置が、車内で提供される情報の種類及びその情報の認知負荷に対応するランクを記憶した第1のテーブルを参照して、前記入力ステップにて入力された情報にランクを設定するランク設定ステップと、前記情報提供タイミング管理装置が、車両を運転するドライバのワークロードを推定するワークロード推定ステップと、前記情報提供タイミング管理装置が、ワークロードレベルに応じて情報提供開始可能なランクを記憶した第2のテーブルを参照して、前記ワークロード推定ステップにて推定したワークロードに対応する情報提供開始可能なランクを求め、前記ランク設定ステップにて設定されたランクが前記提供開始可能なランクか否かに基づいて前記情報を提供開始可能か否かを判定する判定ステップと、前記情報提供タイミング管理装置が、前記判定ステップでの判定結果を前記情報提供装置に対して送信する出力ステップとを備える。
【0013】
本発明の情報提供タイミング管理方法は、前記情報提供タイミング管理装置が、前記情報提供装置にて提供中の情報のランクを含む管理情報を記憶部に記憶するステップと、前記情報提供タイミング管理装置が、ワークロードレベルに応じて情報提供を中断すべきランクをさらに記憶した第2のテーブルを参照して、前記ワークロード推定ステップにて推定したワークロードに対応する情報提供を中断すべきランクを求め、提供中の情報のランクを前記記憶部から読み出し、前記提供中の情報のランクが前記情報提供を中断すべきランクか否かに基づいて前記情報提供を中断するか否かを判定するステップと、前記情報提供タイミング管理装置が、情報提供を中断すべきと判定された場合に、情報提供の中断を指示する信号を前記情報提供装置に送信するステップとを備えてもよい。
【0014】
本発明の情報提供タイミング管理方法は、前記情報提供タイミング管理装置が、前記ドライバが運転している車両に関する車両情報と、前記車両が走行している道路に関する道路情報とに基づいて、前記車両の現在の運転シーンを判定する運転シーン判定ステップと、前記情報提供タイミング管理装置が、前記運転シーンごとの運転マナーに応じて定められるワークロードの変化パターンに基づいて、前記現在の運転シーンにおける前記現在のワークロードから前記車両を運転している前記ドライバの運転マナーの改善の必要の有無を診断する運転マナー診断ステップと、前記情報提供タイミング管理装置が、前記ドライバの運転マナーの診断結果に基づいて、前記現在のワークロードを調整するワークロード調整ステップと、を備えてもよい。
【0015】
本発明のプログラムは、上記した情報提供タイミング管理方法の各ステップをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、ワークロードに応じて、適切なタイミングで適切な情報を提供することができるというすぐれた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態の情報提供タイミング管理装置の構成を示す図である。
【図2】第1テーブルに記憶されたデータの例を示す図である。
【図3】第2テーブルに記憶されたデータの例を示す図である。
【図4】記憶部に記憶された管理情報の例を示す図である。
【図5】本実施の形態の情報提供タイミング管理装置のハードウェア構成を示す図である。
【図6】本実施の形態の情報提供タイミング管理装置により情報提供開始可否を判定する動作を示す図である。
【図7】本実施の形態の情報提供タイミング管理装置により情報提供の中断を判定する動作を示す図である。
【図8】本実施の形態における運転シーン判定装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本実施の形態における運転シーン対応情報(走行時)の説明図である。
【図10】本実施の形態における運転シーン対応情報(停止時)の説明図である。
【図11】本実施の形態におけるシーン遷移の可否の説明図である。
【図12】(a)右左折の運転シーンにおける車速と舵角の大きさの関係を示す図である。 (b)車線変更の運転シーンにおける車速と舵角の大きさの関係を示す図である。 (c)車線変更の運転シーンにおける車速と舵角変化率の大きさの関係を示す図である。
【図13】本実施の形態における運転シーン判定装置の動作の流れを示すフロー図である。
【図14】本実施の形態におけるワークロード推定装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本実施の形態におけるワークロードの推定の一例(定式化モデルを用いた例)を示す図である。
【図16】本実施の形態におけるワークロードの推定の一例(確率推論モデルを用いた例)を示す図である。
【図17】本実施の形態におけるワークロード推定装置の動作の流れを示すフロー図である。
【図18】本実施の形態における運転マナー改善装置のブロック図である。
【図19】本発明の実施の形態におけるワークロード対応情報(走行時)の説明図である。
【図20】本発明の実施の形態におけるワークロード対応情報(停止時など)の説明図である。
【図21】本発明の実施の形態における運転マナー改善装置の動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態の情報提供タイミング管理装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施の形態の情報提供タイミング管理装置30の構成を示す図である。情報提供タイミング管理装置30は、情報提供装置40に接続して用いられる。情報提供装置40としては、例えば、警報出力装置41、ナビゲーション装置42、マルチメディア装置43がある。
【0019】
警報出力装置41は、危険な状況を検知したときに警報を出力して運転を支援する装置である。警報出力装置41は、例えば、前方車両との車間距離が所定の閾値以上に狭くなった場合に警報を出力したり、ドライバの脇見運転を検出したときに警報を出力したりする。ナビゲーション装置42は、現在位置から目的地までの経路を探索し、案内する機能を有する装置である。ナビゲーション装置42は、経路案内を行うために、右左折や車線変更等の音声案内を出力したり、目的地までの道路地図を表示したりする。マルチメディア装置43は、音楽や映像等を提供する装置である。例えば、あらかじめ設定された番組リストに従って、音楽やニュース等で構成される番組を出力することができる。警報出力装置41から出力される警報、ナビゲーション装置42から出力される経路案内情報、マルチメディア装置43から出力されるコンテンツはいずれも、情報提供装置40によって提供される「情報」に該当する。
【0020】
次に、情報提供タイミング管理装置30の機能の概要について説明する。情報提供装置40は、情報を提供しようとする際に、情報を提供してよいか否かを情報提供タイミング管理装置30に問い合わせる。情報提供タイミング管理装置30は、そのときのワークロードや提供すべき情報の種類および認知負荷を考慮して、問合せに係る情報の提供を開始してよいか否かを判定し、その判定結果を情報提供装置40に返す。情報提供装置40は、判定結果がOKの場合には、情報提供を開始する。判定結果がNGの場合には、情報提供を開始しないで、再度、問い合わせを行う。
【0021】
また、情報提供タイミング管理装置30は、情報提供装置40にて現在提供中の情報を管理している。情報提供タイミング管理装置30は、ワークロードを監視し、ワークロードが所定の基準に達した場合には、情報提供の中断を指示する信号を情報提供装置40に送信する。
【0022】
次に、情報提供タイミング管理装置30の構成について詳しく説明する。情報提供タイミング管理装置30は、情報提供装置40と通信を行う通信部31と、情報提供装置40から問合せのあった情報に対してランクを設定するランク設定部32と、情報に設定されたランクとワークロードとに基づいて情報の提供の可否を判定する判定部33と、ランクの設定に用いる第1テーブル35および情報提供の可否の判定に用いる第2テーブル36とを記憶する記憶部34を有している。また、記憶部34は、情報提供装置40にて提供中の情報のランクのデータ等を含む管理情報37も記憶する。
【0023】
また、情報提供タイミング管理装置30は、ワークロードを求めるワークロード推定装置20を有しており、ワークロード推定装置20は、推定したワークロードのデータを判定部33に通知する。運転中のドライバのワークロードを推定する装置としては、様々な装置を用いることができる。ワークロード推定装置20の一例の構成を後述する。
【0024】
図2は、第1テーブル35を構成するデータの例を示す図である。第1テーブル35は、情報の種類及び情報の認知負荷に対応付けて情報のランクを記憶している。ランクは、後述する第2のテーブルを用いた情報提供可否の判定の際に用いられる。本実施の形態では、A〜Eまでの5段階のランクを規定しているが、ランクの数は5つに限定されない。
【0025】
情報の種類としては、警報系、経路案内系、マルチメディア系の3つの種類がある。警報出力装置41から出力される情報は警報系の情報であり、ナビゲーション装置42から出力される情報を経路案内系の情報であり、マルチメディア装置43から出力される情報はマルチメディア系の情報である。
【0026】
また、認知負荷として、大、中、小の3種類の値が存在する。認知負荷とは、情報を認知する際に人間にかかる負荷である。本実施の形態では、情報の長さを認知負荷として用いる。例えば、0〜2秒の情報であれば認知負荷が小、2〜7秒の情報であれば認知負荷が中、7秒以上の情報であれば認知負荷が大とする。
【0027】
ランク設定部32は、第1テーブル35を参照して、情報提供装置40から問合せのあった情報に対してランクを設定する。情報提供装置40からの問い合わせの信号には、情報の種類及び情報の認知負荷を示すデータが含まれている。警報出力装置41からの問い合わせに含まれる情報の種類は警報系であり、ナビゲーション装置42からの問い合わせに含まれる情報の種類は経路案内系であり、マルチメディア装置43からの問い合わせに含まれる情報の種類はマルチメディア系である。認知負荷を示す情報は、前述したとおり、情報の長さに応じて大、中、小の3段階のデータである。ランク設定部32は、問い合わせの信号に含まれる情報の種類及び認知負荷を示すデータに対応するランクを、第1テーブル35から読み出し、情報にランクを設定する。
【0028】
図3は、第2テーブル36を構成するデータの例を示す図である。第2テーブル36は、ワークロードレベルに対応付けて情報提供開始可能な情報のランクと情報提供を中断すべき情報のランクとを記憶している。ワークロードレベルは、1〜5の5段階のレベルを有し、数値が大きくなるほどワークロードが高い。どの程度のワークロードがどのレベルに属するかは適宜設定することが可能である。例えば、ワークロード推定装置20により求められ得るワークロードレベルのレンジを5分割して、大きい方から順にワークロードレベル5,4,3,2,1とすることができる。
【0029】
図3に示すように、最も高いワークロードレベル5において、情報提供開始可能な情報のランクはAであり、情報提供を中断すべき情報のランクはC,D,Eである。最も低いワークロードレベル1において、情報提供開始可能な情報のランクはA,B,C,D,Eであり、情報提供を中断すべき情報はない。従って、ワークロードが高くても情報提供が開始されるランクAの方が、ワークロードが低くなければ情報提供が開始されないランクEよりも優先度が高いとも言える。従って、ランクは、情報の種類と情報の認知負荷に基づいて決定された情報提供の優先度を表しているとも言える。
【0030】
なお、本実施の形態においては、同じワークロードレベルに対応する情報提供を開始するランクと情報提供を中断するランクとが連続しないように設定されている。具体的に述べると、ワークロードレベル5の場合には、情報提供開始可能なランクはAであり、情報提供を中断するランクはC,D,Eであり、ランクBが省かれている。ワークロードレベル4の場合には、情報提供開始可能なランクはA,Bであり、情報提供を中断するランクはD,Eであり、ランクCが省かれている。このように、情報提供開始可能なランクと情報提供を中断するランクとが連続していないことにより、ワークロードの変動により情報提供を開始した後すぐに情報提供を中断するという事態を回避することができる。
【0031】
図4は、記憶部34に記憶された管理情報37の例を示す図である。管理情報37には、警報出力装置41、ナビゲーション装置42、マルチメディア装置43のそれぞれについて、情報提供中か否かを示すフラグと、情報提供中の場合には情報提供を開始した時刻と、情報の長さと、情報のランクのデータが含まれる。図4に示す例では、警報出力装置41とナビゲーション装置42は情報提供中ではなく、マルチメディア装置43は情報提供中である。マルチメディア装置43による情報提供開始時刻は11:24:21であり、情報の長さは220秒である。従って、11:27:41まで情報提供が継続して行われる。情報提供の開始時刻と情報の長さのデータを記憶していることにより、情報提供の終了時刻になったら、判定部33は提供中フラグをオフにすることができる。図4の例では、11:27:41になったら、判定部33は、提供中フラグをオフにすると共に、開始時刻、長さ、ランクのデータを消去する。
【0032】
マルチメディア装置43により提供されている情報のランクはDである。従って、ワークロードが4または5まで上昇した場合には、判定部33は、マルチメディア装置43にて行われている情報提供を中断すると判定する。
【0033】
図5は、上記に説明した情報提供タイミング管理装置30のハードウェア構成を示す図である。情報提供タイミング管理装置30は、CPU50、RAM51、ROM52、通信インターフェース54、ハードディスク55、操作部56、ディスプレイ57がデータバス58によって接続されたコンピュータによって構成される。CPU50が、ROM52に書き込まれたプログラム53に従って演算処理を実行することにより、上記した情報提供タイミング管理装置30の機能が実現される。このようなプログラム53は、本発明の範囲に含まれる。
【0034】
図6は、本実施の形態の情報提供タイミング管理装置30により情報提供開始可否を判定する動作を示す図である。情報提供装置40は、情報を提供する際に、情報提供を行ってよいか否かを問い合わせる問合せ信号を情報提供タイミング管理装置30に送信する(S10)。情報提供タイミング管理装置30は、情報提供装置40から送信された問合せ信号を受信する(S12)。この問合せ信号には、情報提供に係る情報の種類とその認知負荷のデータを含んでいる。
【0035】
情報提供タイミング管理装置30は、問い合わせ信号に含まれている情報の種類と認知負荷に対応するランクを第1テーブル35から読み出し、問合せがあった情報提供に係る情報にランクを設定する(S14)。続いて、情報提供タイミング管理装置30は、ワークロード推定装置20からドライバにかかっているワークロードのデータを取得する(S16)。ここで、ワークロード推定装置20は、ワークロードの大きさを5〜1の5段階で評価し、その評価値のデータを判定部33に対して出力する。
【0036】
情報提供タイミング管理装置30は、ワークロードの値に対応する提供開始可能な情報のランクを第2テーブル36から読み出す。そして、情報提供タイミング管理装置30は、読み出したランクの中にランク設定部32にて設定されたランクが含まれるか否かに基づいて情報提供開始可能か否かを判定する(S18)。具体的には、ランク設定部32にて設定されたランクが第2テーブル36から読み出したランクの中に含まれていれば情報提供開始可能であり、含まれていなければ情報提供開始不可である。情報提供タイミング管理装置30は、情報提供開始可否の判定結果を情報提供装置40に送信する(S20)。なお、情報提供タイミング管理装置30は、情報提供開始可能と判定した場合には、管理情報37の情報提供中フラグをオンにすると共に、情報提供開始時刻、情報の長さ、情報のランクのデータを記憶する。
【0037】
情報提供装置40は、情報提供タイミング管理装置30から送信される情報提供開始可否の判定結果を受信し(S22)、受信した判定結果に基づいて情報提供を開始できるか否かを判定する(S24)。この結果、情報提供開始できると判定された場合には(S24でYES)、情報提供装置40は情報提供を開始する(S26)。情報提供を開始できないと判定された場合には(S24でNO)、情報提供を開始しない。情報提供装置40は、情報提供を行いたい場合には、再度、問い合わせ信号を送信する処理を行う(S10)。情報提供装置40は、ワークロードの値が低下して情報提供開始可能となるか、あるいは、情報提供を行わなくてよい(例えば、経路案内する地点を通過した場合等)と判断するまで、繰り返し、問い合わせ信号を送信する(S10)。
【0038】
図7は、本実施の形態の情報提供タイミング管理装置30により情報提供の中断を判定する動作を示す図である。情報提供タイミング管理装置30は、情報提供装置40による情報提供中に(S30)、情報提供を中断するか否かを判定する。
【0039】
情報提供タイミング管理装置30は、記憶部34に記憶された管理情報37を読み出し、情報提供中フラグがオンになっているか否かを判定する(S32)。いずれの情報提供中フラグもオフの場合には(S32でNO)、いずれも情報提供装置40も情報提供中ではないので、情報提供タイミング管理装置30は処理を行わない。情報提供中フラグがオンになるまで、情報提供中フラグの状態を定期的に監視する(S32)。
【0040】
情報提供中フラグがオンになっている場合には(S32でYES)、情報提供タイミング管理装置30は、ワークロード推定装置20からワークロードの値を取得する(S34)。続いて、情報提供タイミング管理装置30は、ワークロードの値に対応する情報提供を中断する情報のランクを第2テーブル36から読み出す。情報提供タイミング管理装置30は、提供中の情報のランクが第2テーブル36から読み出したランクに含まれているか否かに基づいて、情報提供を中断すべきか否かを判定する(S36)。
【0041】
情報提供を中断すべきと判定されなかった場合には(S38でNO)、情報提供中フラグがオンになっているか否かを判定する処理に戻る(S32)。情報提供を中断すべきと判定された場合には(S38でYES)、情報提供タイミング管理装置30は、情報提供装置40に対して、情報提供の中断を指示する信号を送信する(S40)。情報提供装置40は、中断指示の信号を受信すると(S42)、情報提供を中断する(S44)。以上、本実施の形態の情報提供タイミング管理装置30の構成および動作について説明した。
【0042】
本実施の形態の情報提供タイミング管理装置30は、第1テーブル35を参照して情報の種類及び認知負荷に対応するランクを設定したうえで、第2テーブル36を参照して設定されたランクとワークロードとに基づいて情報提供開始可否を決定している。これにより、情報の種類と認知負荷の両方に基づいて情報提供するか否かの基準を決めているので、情報の種類と認知負荷の観点から見て、適切なタイミングで適切な情報を提供することが可能となる。具体的には、同じワークロードであっても、情報の種類や情報の認知負荷の大きさに応じて、情報提供を開始してよいか否かを適切に判断することができる。
【0043】
また、本実施の形態の情報提供タイミング管理装置30は、いったん開始された情報提供についても、情報の種類と認知負荷とワークロードとに応じて、情報提供を中断するか否かを判定するので、ワークロードが高くなった場合には、情報の種類と認知負荷の両方に基づいて、適切なタイミングで情報の提供を中断することができる。
【0044】
[ワークロード推定装置]
ここからは、情報提供タイミング管理装置30にて用いられるワークロード推定装置20の一例について説明する。上述したとおり、ワークロード推定装置20としては様々な装置を用いることができ、以下で説明するワークロード推定装置20の構成は、一例に過ぎない。
【0045】
以下では、運転シーンに基づいてワークロードを推定するワークロード推定装置を例として説明することとする。従って、最初に運転シーン判定装置について説明し、続いて、ワークロード推定装置20について説明する。また、ワークロード推定装置20は、運転マナーを改善するための機能を備えてもよい。運転マナー改善装置の例については、最後に説明する。なお、以下に説明する運転シーン判定機能、ワークロード推定機能、運転マナー改善機能は、装置のHDDやメモリなど(図示せず)に格納されたプログラムによって実現される。
【0046】
(運転シーン判定装置)
本実施の形態の運転シーン判定装置の構成を、図面を参照して説明する。図8は、本実施の形態の運転シーン判定装置の構成を示すブロック図である。図8に示すように、運転シーン判定装置1は、車両情報や道路情報などの各種の情報を取得する機能を有する情報取得部2と、運転シーンの判定に関する各種の処理を行う制御部3を備えている。情報取得部2は、ユーザ(ドライバ)が運転している車両に関する情報(車両情報)を取得するための車両情報取得部4と、車両が通行している道路に関する情報(道路情報)を取得するための道路情報取得部5で構成されている。また、制御部3は、CPUやマイコンなどで構成されている。
【0047】
車両情報取得部4は、車両の現在位置などの車両情報を、車両に搭載されたGPS装置6から取得する機能を備えている。また、この車両情報取得部4は、車速(km/時)、加速度(m/秒2)、舵角(°)(左回し:正、右回し:負)、左右のウィンカー(左右ターンSW)のオン/オフ、ハザードランプのオン/オフ、ブレーキ圧、サイドブレーキのオン/オフなどの車両情報を、車両に搭載された車両センサ7から取得する機能を備えている。また、この車両情報取得部4は、前方の車両との車間距離(m)、車両前方の停止線の有無、車両前方の横断歩道の有無、車両前方の信号の有無などの車両情報を、車両に搭載された車載カメラ8から取得する機能を備えている。本実施の形態では、車両情報取得部4は、図示しない車載LAN(例えば、CAN、AVC−LAN、BEANなど)を介して、これらの車両情報を取得する。
【0048】
道路情報取得部5は、大容量のHDDなどで構成された道路情報DB9(データベース)から道路情報を取得する機能を備えている。この道路情報には、交差点の位置(緯度経度など)、車線数(本)、道路種別(高速自動車道、国道、県道など)、道路の旋回半径(m)などの情報が含まれている。また、この道路情報には、交差点における信号の有無、交差点における停止線の有無、交差点における横断歩道の有無などの情報が含まれている。さらに、この道路情報には、交差点までの距離(m)(交差点の位置と車両の現在位置から算出される)が含まれている。
【0049】
制御部3は、情報取得部2によって取得した現在の車両情報と道路情報に基づいて、現在の運転シーンの判定を行う運転シーン判定部10を備えている。運転シーン判定部10は、HDDやメモリなどで構成された運転シーンDB11から、運転シーン対応情報を取得する機能を備えている。この運転シーン対応情報は、車両情報と道路情報に運転シーンが対応付けられた情報であり、本実施の形態では、予め設定されて運転シーンDB11に記憶されている。
【0050】
ここで、図9および図10を参照して、運転シーン対応情報をより具体的に説明する。図9は、車両走行時の運転シーン対応情報の一例を示す説明図であり、また、図10は、車両停止時の運転シーン対応情報の一例を示す説明図である。例えば、図9の例では、「左折」という運転シーンが、「車速」「舵角」「左右ターンSW」という車両情報および「交差点までの距離」という道路情報に対応付けられている。この場合、「車速V>0」「舵角θ≧50」「左ターンSW:ON」「交差点までの距離D=0」という条件に、「左折」という運転シーンが対応付けられているともいえる。また、この場合、「左折」という運転シーンは、「車速V>0」「舵角θ≧50」「左ターンSW:ON」「車線数N=1」という条件にも対応付けられている。
【0051】
なお、このような運転シーン対応情報は、現在の運転シーンごとに用意されていてもよい。例えば、運転シーンが「安定走行」である場合と「高速走行」である場合で、異なる運転シーン対応情報を用いてもよい。より具体的には、「安定走行」における運転シーン対応情報では、「高速走行」に対応付けられる条件が「車速V≧60」であり「安定走行」に対応付けられる条件が「20≦車速V<60」であって、一方、「高速走行」における運転シーン対応情報では、「高速走行」に対応付けられる条件が「車速V≧50」であり「安定走行」に対応付けられる条件が「20≦車速V<50」であってもよい。
【0052】
そして、運転シーン判定部10は、現在の運転シーンごとに用意された複数の運転シーン対応情報の中から現在の運転シーンに応じた運転シーン対応情報を選択して、現在の運転シーンの判定に用いる。つまり、上記の例では、「安定走行」時の運転シーン対応情報では、「高速走行」の運転シーンへ遷移するための車速の条件が「時速60km以上」に設定されるのに対して、「高速走行」時の運転シーン対応情報では、「安定走行」の運転シーンへ遷移するための車速の条件が「時速50km以下」に設定される。そして、「安定走行」時の運転シーン対応情報と「高速走行」時の運転シーン対応情報とで値が異なるのは、相互に遷移できる運転シーン(例えば「安定走行」と「高速走行」)に対応づけられる車両情報や道路情報の設定値(例えば「車速」の設定値)である。
【0053】
また、運転シーン判定部10は、HDDやメモリなどで構成された遷移可否DB12から、遷移可否情報を取得する機能を備えている。この遷移可否情報は、複数の運転シーンについて、ある運転シーンから他の運転シーンへのシーン遷移の可否を示す情報であり、本実施の形態では、予め設定されて遷移可否DB12に記憶されている。
【0054】
ここで、図11を参照して、遷移可否情報をより具体的に説明する。図11は、遷移可否情報の一例を示す説明図である。図11では、遷移可能である運転シーンが「矢印」で示されている。例えば、「発進」という運転シーンから「加速」と「低速走行」という運転シーンには遷移可能であるが、「減速」という運転シーンには遷移不可能であることが示されている。なお、図11は、あくまで一例である。つまり、図11の例では、走行シーン間でのシーン遷移のみが例示されているが、走行シーンと停止シーンとの間でのシーン遷移についての遷移可否情報を利用してよいことは言うまでもない。
【0055】
そして、運転シーン判定部10は、運転シーン対応情報と遷移可否情報を参照して、現在の車両情報と道路情報から現在の運転シーンを判定する。具体的には、運転シーン判定部10は、現在の車両情報と道路情報に対応付けられた運転シーンが一つ前の運転シーンから遷移可能である場合に、その運転シーンを現在の運転シーンであると判定する。
【0056】
例えば、交差点内で右左折をした後に、ハンドルを戻したときに(舵角を小さくしたときに)、ウィンカーが一緒に戻ってしまい、左右ターンSWがOFFになってしまうと、「車速V>0」「舵角|θ|<50」「交差点までの距離D=0」という条件を満たすことになり、遷移可否情報を参照しなければ「交差点直進通過(=本来は、交差点を直進して通過するときに選択されるべき運転シーン)」が現在の運転シーンとして判定されることになる。しかし、図11に示すように「右左折」から「交差点直進通過」へのシーン遷移は不可能であるため、現在の運転シーンが「交差点直進通過」であるとは判定されない。このような場合には、その前に「現在の運転シーン」として判定された「右左折」が、現在の運転シーンであると判定される。
【0057】
なお、ここでは、「交差点までの距離D=0」であれば交差点内であるとしているが、交差点内での移動距離を考慮にいれて運転シーンを判定することも可能である。例えば、交差点に入ってからの移動距離(m)に応じて「信号待ち先頭付近」の運転シーンと「交差点内停止」の運転シーンとを判別することが可能になる。
【0058】
同様に、車線変更を行った後に、ハンドルを戻して舵角を小さくなると、「車速V>0」「舵角|θ|≦10」「車線数N≧2」という条件を満たすことになり、遷移可否情報を参照しなければ「もうすぐ左へ/もうすぐ右へ(=本来は、車線変更前/右左折前に選択されるべき運転シーン)」が現在の運転シーンとして判定されることになる。しかし、図11に示すように「車線変更」から「もうすぐ左へ」や「もうすぐ右へ」へのシーン遷移は不可能であるため、現在の運転シーンが「もうすぐ左へ/もうすぐ右へ」であるとは判定されない。このような場合、その前に「現在の運転シーン」として判定された「車線変更」が、現在の運転シーンであると判定される。
【0059】
なお、「車線変更」や「右左折」に対応付けられる「舵角」の基準値は、図12(a)(b)に示すように、車両の車速が小さいほど大きく、車両の車速が大きいほど小さくなるように設定されてもよい。なお、図12(a)(b)では、|舵角|と車速との関係が一次関数である場合が例示されているが、これはあくまでも一例であり、|舵角|と車速との関係が他の関数(n次関数や三角関数など)であってもよいことは言うまでもない。図9の例では、「右左折」に対応付けられる「舵角」の基準値が、車速によらず一定値(θ≧50)であるが、例えば、車速が小さい(V<20)場合には舵角の基準値を大きく(θ≧60)、車速が大きい(V≧50)場合には舵角の基準値を小さく(θ≧40)してもよい。
【0060】
また、制御部3は、現在の車両情報に基づいて、現在の運転シーンが終了したか否かを判定するシーン終了判定部13を備えており、運転シーン判定部10は、現在の運転シーンが終了したと判定されるまで、前の運転シーンが継続しているとして現在の運転シーンの判定を行う。具体的には、シーン終了判定手段は、「舵角」と「舵角変化率」に基づいて、車線変更の運転シーンが終了したか否かを判定する。例えば、「舵角」が「正(左)→負(右)→正(左)→ゼロ(直進)」と変化し、かつ、「舵角変化率」の絶対値が「正(毎秒0°より大)→ゼロ(毎秒0°)」と変化した場合に、「左車線変更」の運転シーンが終了したと判定する。なお、舵角変化率の代わりに、ヨーレート(ヨー角変化率:ラジアン/秒)を利用してもよい。ヨーレートの情報は、車両に搭載されたヨーレートセンサ(図示せず)から取得することが可能である。
【0061】
なお、この場合の「舵角」や「舵角変化率」の基準値は、図12(b)(c)に示すように、車両の車速が小さいほど大きく、車両の車速が大きいほど小さくなるように設定されてもよい。例えば、車速が小さい(V<20)場合には舵角の基準値を大きく(θ≧60)、車速が大きい(V≧50)場合には舵角の基準値を小さく(θ≧40)してもよい。同様に、例えば、車速が小さい(V<20)場合には舵角変化率の基準値を大きく(例えば、毎秒10°)、車速が大きい(V≧50)場合には舵角変化率の基準値を小さく(例えば、毎秒0°)してもよい。なお、図12(c)では、|舵角変化率|と車速との関係が一次関数である場合が例示されているが、これはあくまでも一例であり、|舵角変化率|と車速との関係が他の関数(n次関数や三角関数など)であってよいことは言うまでもない。
【0062】
また、運転シーン判定部10は、第1の運転シーンから第2の運転シーンへシーン遷移した後に、第2の運転シーンから第1の運転シーンへ戻る場合に、第1の運転シーンと対応付けられている車両情報または道路情報(第1の運転シーンへ遷移する条件)を変更して、第1の運転シーンへ戻るのを困難にするヒステリシス制御を行う。
【0063】
例えば、「低速走行」の運転シーン(第1の運転シーン)から「加速」の運転シーン(第2の運転シーン)へ遷移するときには、「加速」の運転シーンへ遷移する条件が「加速度≧3m/秒2」であるとする。その後、「加速」の運転シーンから「低速走行」の運転シーンへ戻るときには、ヒステリシス制御によって、「低速走行」の運転シーンへ遷移する条件が「加速度<2m/秒2」に変更される。さらに、その後、「低速走行」の運転シーンから「加速」の運転シーンへ遷移するときには、ヒステリシス制御によって、「加速」の運転シーンへ遷移する条件が「加速度≧4m/秒2」に変更される。
【0064】
なお、ここでは、一次元のヒステリシス制御の場合(変更する条件(パラメータ)が一つの場合)を例示したが、多次元のヒステリシス制御が行われてよいことは言うまでもない。また、このヒステリシス制御では、パラメータ(第1の運転シーンへ遷移する条件)の変更のほかに、更なる条件を追加することによって、第1の運転シーンへ戻るのを困難にすることも可能である。
【0065】
以上のように構成された本実施の形態の運転シーン判定装置1について、図13のフロー図を参照してその動作を説明する。
【0066】
本実施の形態の運転シーン判定装置1では、定期的に(例えば毎秒1回)運転シーンの判定が行われる。そして、運転シーンの判定が行われるときには、図13に示すように、まず、情報取得部2によって現在の車両情報と道路情報が取得される(S1、S2)。そして、現在の運転シーン判定の前処理として、前回の運転シーン判定で求めた運転シーン(車線変更など)が終了したか否かの判定を行い(S3)、その運転シーンが終了していた場合には、現在の運転シーン判定を開始する(S4)。
【0067】
現在の運転シーン判定では、運転シーン対応情報を用いるだけでなく、遷移可否情報を用いることによって、現在の車両情報および現在の道路情報から現在の運転シーンが判定される。すなわち、現在の車両情報および現在の道路情報に対応付けられた運転シーンが前の運転シーンから遷移可能である場合に(S5)、その運転シーンが現在の運転シーンであると判定される(S6)。
【0068】
このような本発明の実施の形態の運転シーン判定装置1によれば、運転シーン対応情報を用いるだけでなく、遷移可否情報を用いることによって、現在の車両情報および現在の道路情報から現在の運転シーンを正しく判定することができる。すなわち、現在の車両情報および現在の道路情報に対応付けられた運転シーンが前の運転シーンから遷移可能である場合に、現在の運転シーンであると判定される。言い換えれば、現在の車両情報および現在の道路情報に対応付けられた運転シーンであっても、前の運転シーンから遷移可能でない場合には、現在の運転シーンでないと判定される。したがって、運転シーンの誤判定が発生するのを抑え、運転シーンの判定精度を高めることができる。
【0069】
また、本実施の形態では、運転シーンごとに用意された複数の運転シーン対応情報の中から選択した運転シーン対応情報(現在の運転シーンに応じた運転シーン対応情報)を用いることによって、現在の運転シーンの判定を適切に行うことができる。
【0070】
この場合、運転シーンごとに用意された複数の運転シーン対応情報では、運転シーンに対応づけられる車両情報や道路情報が異なっているともいえる。そして、ある運転シーンの運転シーン対応情報と他の運転シーンの運転シーン対応情報とで異なるのは、相互に遷移できる運転シーンに対応づけられる車両情報や道路情報の設定値である。
【0071】
例えば、「安定走行」と「高速走行」とは相互に遷移できる運転シーンであるが、「安定走行」の運転シーンの運転シーン対応情報では、「高速走行」の運転シーンへ遷移するための車速の条件が「時速60km以上」に設定されるのに対して、「高速走行」の運転シーンの運転シーン対応情報では、「安定走行」の運転シーンへ遷移するための車速の条件が「時速50km以下」に設定される。これにより、時速60km近傍の車速で車両が走行している場合(時には時速61kmで走行し、時には時速59kmで走行するような場合)には、時速60kmを上回った時点(時速61kmになった時点)で運転シーンが「安定走行」から「高速走行」へ遷移した後は、時速60kmを少し下回った程度(時速59kmになった程度)では「高速走行」から「安定走行」へ運転シーンが遷移しない。このようにして、運転シーンの遷移が頻繁に発生するのを抑えることができる。
【0072】
また、本実施の形態では、「車線変更」または「右左折」の運転シーンに対応付けられる「舵角」の車両情報が、車両の「車速」に応じて適切に設定される。具体的には、「車速」が小さいほど「舵角」が大きくなり、「車速」が大きいほど「舵角」が小さくなるように設定される。したがって、「車線変更」または「右左折」の運転シーンの判定を、その車両の車速に応じて適切に行うことができる。
【0073】
また、本実施の形態では、現在の車両情報に基づいて、現在の運転シーンが終了したか否かが判定され、その運転シーンが終了したと判定されるまでは、前の運転シーンが継続しているとして現在の運転シーンの判定が行われる。したがって、前の運転シーンが終了しないうちは(前の運転シーンが継続しているときには)、車両情報や道路情報が別の運転シーンに対応するものであったとしても、その運転シーンが継続していると判定される。このようにして、運転シーンの継続中に他の運転シーンへ遷移するという誤判定を抑えることができる。
【0074】
この場合、「舵角」および「舵角変化率」に基づいて、「車線変更」の運転シーンが終了したか否かを適切に判定することができる。例えば、「舵角」が「正(左)→負(右)→正(左)→ゼロ(直進)」と変化し、かつ、「舵角変化率」の絶対値が「正(毎秒0°より大)→ゼロ(毎秒0°)」と変化した場合に、「左車線変更」の運転シーンが終了したと判定される。この場合、「舵角」および「舵角変化率」の車両情報が、車両の「車速」に応じて適切に設定される。具体的には、「車速」が小さいほど「舵角」が大きくなり、「車速」が大きいほど「舵角」が小さくなるように設定される。したがって、「車線変更」の運転シーンの終了判定を、その車両の車速に応じて適切に行うことができる。
【0075】
また、本実施の形態では、第1の運転シーン(例えば「低速走行」の運転シーン)から第2の運転シーン(例えば「加速」の運転シーン)へシーン遷移した後に、第2の運転シーンから第1の運転シーンへ戻る場合には、第1の運転シーンと対応付けられている車両情報または道路情報(例えば「加速度」の情報)を変更するヒステリシス制御が行われ、第1の運転シーンへ戻りにくくなる。このようなヒステリシス制御によって、運転シーンの遷移が頻繁に発生するのを抑えることができる。
【0076】
(ワークロード推定装置)
次に、本実施の形態のワークロード推定装置20について説明する。本実施の形態のワークロード推定装置20は、上記した運転シーン判定装置1にワークロード推定機能が付加された装置である。
【0077】
図14は、本実施の形態のワークロード推定装置20の構成を示すブロック図である。図14に示すように、ワークロード推定装置20は、運転シーン判定装置1の構成に加えて、車両の運転に関連するワークロード値を算出するための定量化モデルが記憶されているモデルDB21(データベース)を備えている。定量化モデルは、ワークロードに寄与するユーザの寄与行動とワークロード値との相関関係が記録された正解データを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動からワークロード値を算出するためのモデルである。なお、定量化モデルや正解データの詳しい内容については、図面を用いて後述する。
【0078】
このワークロード推定装置20の情報取得部2は、車両センサ7や車載カメラ8(視線カメラを含む)や生体センサ22から、車両運転中のユーザの寄与行動に関するデータを取得する機能も備えている。ワークロード推定装置20は、定量化モデルを用いて、車両運転中のユーザの寄与行動のデータからユーザのワークロード値を推定するワークロード推定部23を備えている。
【0079】
(ワークロードの種類)
ここで、車両運転中のユーザのワークロードの種類と、そのワークロードの寄与データについて説明する。車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの運転操作に起因する運転ワークロードが含まれる。例えば、情報取得部2は、運転ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中の舵角データ、車速データ、車間距離データ、アクセル開度率データ、ブレーキ信号データなど)を、車両センサ7から取得する。
【0080】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両に備えられた機器を操作するときのユーザの機器操作に起因する機器操作ワークロードが含まれる。情報取得部2は、機器操作ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中のナビ操作データ、オーディオ操作データ、エアコン操作データ、窓開閉操作データなど)を、車両センサ7から取得する。
【0081】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの聴覚的動作に起因する聴覚的ワークロードが含まれている。情報取得部2は、聴覚的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中の経路案内やオーディオ再生などに含まれる音声情報データや音楽情報データなど)を、車両センサ7から取得する。
【0082】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの視覚的動作に起因する視覚的ワークロードが含まれる。情報取得部2は、視覚的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中のユーザの視点移動速度データや視点座標データなど)を、視線カメラ4から取得する。
【0083】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両を運転するときのユーザの心理状態に起因する内因的ワークロードが含まれる。情報取得部2は、内因的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、車両運転中のユーザの心拍数データ、血圧データ、呼吸回数データなど)を、生体センサ22から取得する。
【0084】
また、車両運転中のユーザのワークロードには、車両の運転シーンに起因する外因的ワークロードが含まれる。情報取得部2は、外因的ワークロードの寄与行動に関するデータ(例えば、現在の運転シーン)を、運転シーン判定部10から取得する。
【0085】
そして、ワークロード推定部23は、これらの複数のワークロード(運転ワークロード、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロード、外因的ワークロード)を要素として、車両運転中のユーザのワークロード値を推定する。具体的には、ワークロード推定部23は、モデルDB21に記憶されている定量化モデルを用いて、情報取得部2が取得した車両運転中のユーザの寄与行動のデータから、複数のワークロードごとのワークロード値を推定し、それらを要素として車両運転中のユーザのワークロード値を推定する。
【0086】
(定量化モデルを用いたワークロードの推定)
ここで、本実施の形態の特徴であるワークロードの推定について、図面を用いて説明する。図15は、本実施の形態におけるワークロードの推定の一例を示す説明図である。ここでは、図15に示すように、定量化モデルの一つとして定式化モデルを用いて、複数のワークロードごとにワークロード値の推定を行う場合を例示して説明する。この定式化には、例えば、線形重回帰分析、主成分分析、因子分析などの統計的手法が用いられる。
【0087】
図15に示すように、運転ワークロードに寄与するデータ(運転WL寄与データ)には、車両運転中の舵角d1(度)、車速d2(km/h)、車間距離d3(m)、アクセル開度率d4(%)、ブレーキ信号d5(ON:1、OFF:0)のデータが含まれる。これらのデータd1〜d5と正解データ(後述する)との関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式1ように運転ワークロード(DWL)の定式化が行われる。
DWL=α(n)×d1/360+β(n)×d2/100+γ(n)/d3
+δ(n)×d4/100+ε×d5 (式1)
【0088】
ここで、α、β、γ、δ、εは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。この慣れ係数は、ユーザの走行履歴に基づいて定められる係数である。重み付け係数αを例示して説明すると、ユーザが初めて車両走行をした場合(n=1)の重み付け係数は、α(1)となり、ユーザが二度目に車両走行した場合(n=2)の重み付け係数は、α(2)となる。つまり、この定式化モデルは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した重み付け処理がなされているともいえる。
【0089】
また、機器操作ワークロードに寄与するデータ(機器操作WL寄与データ)には、車両運転中のナビ操作o1(ハードウェアボタン操作:A1、タッチパネル操作:A2など)、オーディオ操作o2(スキップボタン操作:A3、ボリューム操作:A4など)、エアコン操作o3(操作あり:1、操作なし:0)、窓開閉操作o4(操作あり:1、操作なし:0)のデータが含まれる。これらのデータo1〜o4と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式2ように機器操作ワークロード(OWL)の定式化が行われる。
OWL=α(n)×o1+β(n)×o2
+γ(n)×o3+δ(n)×o4 (式2)
なお、A1〜A4は、それぞれ所定の定数である。また、α、β、γ、δは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0090】
また、聴覚的ワークロードに寄与するデータ(聴覚的WL寄与データ)には、車両運転中の経路案内やオーディオ再生などに含まれる音声情報a1(経路案内:B1、施設情報案内:B2、電話:B3など)、音楽情報a2(クラシック:B4、ロック:B5、お気に入りの曲:B6など)のデータが含まれる。これらのデータa1、a2と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式3ように聴覚的ワークロード(AWL)の定式化が行われる。
AWL=α(n)×a1+β(n)×a2 (式3)
なお、B1〜B6は、それぞれ所定の定数である。また、α、βは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0091】
また、視覚的ワークロードに寄与するデータ(視覚的WL寄与データ)には、車両運転中の視点移動速度v1(mm/秒)、視点座標v2(ルームミラー:C1、サイドミラー:C2、ナビ:C3など)のデータが含まれる。これらのデータv1、v2と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式4ように視覚的ワークロード(VWL)の定式化が行われる。
VWL=α(n)×v1+β(n)×v2 (式4)
なお、C1〜C6は、それぞれ所定の定数である。また、α、βは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0092】
また、内因的ワークロードに寄与するデータ(内因的WL寄与データ)には、車両運転中の心拍数i1(回/分)、血圧i2(mmHg)、呼吸回数i3(回/分)のデータが含まれる。これらのデータi1〜i3と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式5ように内因的ワークロード(IWL)の定式化が行われる。
IWL=α(n)×i1+β(n)×i2+γ(n)×i3 (式5)
なお、α、β、γは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0093】
また、外因的ワークロードに寄与するデータ(外因的WL寄与データ)には、現在の運転シーンのデータが含まれる。これらのデータs1と正解データとの関係を統計的手法などで導くことにより、下記の式6ように外因的ワークロード(SWL)の定式化が行われる。
SWL=α(n)×f(s1) (式6)
なお、fは、運転シーンを数値化する関数(入力値である運転シーンごとに所定の出力値が設定されていてもよい)であり、αは、重み付け係数であり、nは、ユーザの車両運転に関する慣れを考慮した慣れ係数である。
【0094】
以上では、定式化モデルを用いたワークロードの推定の例について説明したが、例えば、図16に示すように、ワークロードの推定には、確率推論モデルが用いられてもよい。
【0095】
確率推論モデルとしては、例えば、ベイジアンネットワークやニューラルネットワーク等が用いられる。運転シーンのデータは、各ワークロード値を推定するときに用いられてもよい。例えば、運転ワークロードを例示して具体的に説明すると、運転ワークロードに寄与するデータ(運転WL寄与データ)である舵角d1(度)、車速d2(km/h)、車間距離d3(m)、アクセル開度率d4(%)、ブレーキ信号d5(ON:1、OFF:0)、運転シーンd6のデータを入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として運転ワークロード(DWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0096】
同様に、機器操作ワークロードについては、上述の機器操作WL寄与データ(o1〜o4)および運転シーンのデータo5を入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として機器操作ワークロード(OWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0097】
また、聴覚的ワークロードについては、上述の聴覚的WL寄与データ(a1、a2)および運転シーンのデータa3を入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として聴覚的ワークロード(AWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0098】
また、視覚的ワークロードについては、上述の視覚的WL寄与データ(v1、v2)および運転シーンのデータv3を入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として視覚的ワークロード(VWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0099】
また、内因的ワークロードについては、上述の内因的WL寄与データ(i1〜i3)および運転シーンのデータi4を入力として、ベイジアンネットワークやニューラルネットワークの確率モデルを構築し、その推論結果として内因的ワークロード(IWL)のワークロード値の推定が行われる。
【0100】
なお、定量化モデル(定式化モデルや確率推論モデル)を構築する際には、正解データを利用するとともに、ユーザのプロフィール(年齢、性別、運転暦)などを考慮してもよい。
【0101】
(正解データ)
つぎに、定量化モデルの構築に用いられる正解データについて説明する。本実施の形態では、二種類の正解データ(生体信号指標と主観評価指標)を利用して、定量化モデルの構築が行われる。なお、定量化モデルの構築は、各ワークロードのモデル化(定量化)ということもできる。
【0102】
ここでは、生体信号指標として、瞳孔反応を例示して説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。本発明の生体信号指標には、瞳孔反応のほかに、心拍数変動、呼吸数変動、生体電位変動などが含まれる。
【0103】
一般に、瞳孔が散瞳(瞳孔半径が大きくなる)している場合には、交感神経が刺激され、ユーザは興奮している。逆に、瞳孔が縮瞳(瞳孔半径が小さくなる)している場合には、副交感神経が刺激され、ユーザはリラックスしている。そして、瞳孔反応(瞳孔半径変化速度)が大きいほど、ユーザに加わるワークロードは高く、瞳孔反応が小さいほど、ユーザに加わるワークロードは低い。
【0104】
本実施の形態では、所定の実験コースをユーザが走行したときの車両運転中のユーザの瞳孔反応の時系列のデータを取得し、車両の運転との対応を解析する。例えば、出発時には、瞳孔反応が小さく、左折や右折、すれ違いや追越しなどを行うときに、瞳孔反応が大きくなっている。このような瞳孔反応の正解データから、各ワークロードの寄与行動を行っている部分を抽出して、その部分の瞳孔反応の大きさや変化率等に基づいて、各ワークロードの定式化が行われる。
【0105】
ここで、運転ワークロードの定式化を例にして説明する。例えば、瞳孔反応の正解データから、運転ワークロードの寄与行動を行っている部分(例えば右折の部分)を抽出して、そのときの運転WL寄与データ(舵角信号、車速、車間距離、アクセル開度率、ブレーキ信号のデータ)との関係を統計的手法で導いて、運転ワークロードの定式化が行われる。つまり、この瞳孔反応の正解データに基づいて、運転WL寄与データから運転ワークロードのワークロード値を算出するための定式化モデル(上記の式1)が求められる。
【0106】
以上、瞳孔反応の正解データから運転ワークロードの定式化を行う例について説明した。なお、ここでは説明を省略するが、これと同様にして、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロードの定式化が行われる。
【0107】
つぎに、主観評価指標の正解データについて説明する。ここでは、主観評価指標として、従前のNASA−TLXを例示して説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。例えば、従前のNASA−TLXの代わりに、映像を見ながら事後的にPC上で主観評価を行う連続的なNASA−TLX(時系列のNASA−TLX)を用いてもよい。本発明の主観評価指標には、NASA−TLXのほかに、SWAT、MCHなどが含まれる。
【0108】
NASA−TLXは、ワークロードをユーザが主観的に定量化する指標であり、一般に、その値が大きいほど、ユーザのワークロードが高く、その値が小さいほど、ユーザのワークロードは低い。
【0109】
本実施の形態では、所定の実験コースをユーザが走行したときの車両運転中のユーザのNASA−TLXの時系列のデータを取得し、車両の運転との対応を解析する。例えば、出発時や左折時や右折時に、NASA−TLXの値が大きく、直進時に、NASA−TLXの値が小さくなっている。このようなNASA−TLXの正解データから、各ワークロードの寄与行動を行っている部分を抽出して、その部分のNASA−TLXの値の大きさや変化率等に基づいて、各ワークロードの定式化が行われる。
【0110】
ここで、運転ワークロードの定式化を例にして説明する。例えば、NASA−TLXの正解データから、運転ワークロードの寄与行動を行っている部分(例えば右折の部分)を抽出して、そのときの運転WL寄与データ(舵角信号、車速、車間距離、アクセル開度率、ブレーキ信号のデータ)との関係を統計的手法で導いて、運転ワークロードの定式化が行われる。つまり、このNASA−TLXの正解データに基づいて、運転WL寄与データから運転ワークロードのワークロード値を算出するための定式化モデル(上記の式1)が求められる。
【0111】
以上、NASA−TLXの正解データから運転ワークロードの定式化を行う例について説明した。なお、ここでは説明を省略するが、これと同様にして、機器操作ワークロード、聴覚的ワークロード、視覚的ワークロード、内因的ワークロードの定式化が行われる。
【0112】
以上のように構成されたワークロード推定装置20について、図17のフロー図を用いてその動作を説明する。
【0113】
本実施の形態のワークロード推定装置20では、現在の運転シーンの判定を行い、その現在の運転シーンを利用してワークロードの推定が行われる。すなわち、まず、情報取得部2によって現在の車両情報と道路情報が取得される(S1、S2)。そして、現在の運転シーン判定の前処理として、前回の運転シーン判定で求めた運転シーン(車線変更など)が終了したか否かの判定を行い(S3)、その運転シーンが終了していた場合には、現在の運転シーン判定を開始する(S4)。
【0114】
現在の運転シーン判定では、運転シーン対応情報を用いるだけでなく、遷移可否情報を用いることによって、現在の車両情報および現在の道路情報から現在の運転シーンが判定される。すなわち、現在の車両情報および現在の道路情報に対応付けられた運転シーンが前の運転シーンから遷移可能である場合に(S5)、その運転シーンが現在の運転シーンであると判定される(S6)。そして、この現在の運転シーンを用いてワークロードを推定する(S7)。
【0115】
ここでは運転シーンを利用してワークロードを推定する装置について説明したが、車載機器の操作の状況に基づいてワークロードを求めたり、生体センサにて取得した情報からワークロードを求めたりする簡易な構成を採用することも可能である。
【0116】
(運転マナー改善装置)
本実施の形態の運転マナー改善装置の構成を、図面を参照して説明する。なお、ここでは、運転マナー改善装置が、運転シーン判定装置1と相違する点を中心に説明する。特に言及しない限り、運転マナー改善装置の構成および動作は、運転シーン判定装置1と同様である。
【0117】
図18は、本実施の形態の運転マナー改善装置の構成を示すブロック図である。図18に示すように、運転マナー改善装置60には、運転シーン判定装置1と同様の情報取得部2(車両情報や道路情報などの各種の情報を取得する機能を有する情報取得部2)が備えられており、情報取得部2は、車両情報取得部4と道路情報取得部5で構成されている。また、運転マナー改善装置60には、運転シーン判定装置1と同様の運転シーン判定部19(情報取得部2によって取得した現在の車両情報と道路情報に基づいて、現在の運転シーンの判定を行う運転シーン判定部10)が備えられている。
【0118】
また、運転マナー改善装置60には、ワークロード推定部23と制御部61と運転マナー診断部62が備えられている。ワークロード推定部23は、車両の運転シーンと車両の運転に関するワークロード(運転ワークロード)との対応関係に基づいて、車両の現在の運転シーンから車両を運転しているドライバの現在の運転ワークロードを推定する。
【0119】
ワークロード推定部23は、HDDやメモリなどで構成されたワークロードDB(図示せず)などから、ワークロード対応情報を取得する機能を備えている。このワークロード対応情報は、運転シーンと運転ワークロードが対応付けられた情報であり、予め設定されてワークロードDBなどに記憶されている。
【0120】
ここで、図19および図20を参照して、ワークロード対応情報についてより詳しく説明する。図19は、車両走行時のワークロード対応情報の一例を示す説明図であり、また、図20は、車両停止時などのワークロード対応情報の一例を示す説明図である。例えば、図19の例では、「細街路」を「低速走行中」という運転シーンが、運転ワークロードレベル「3」に対応付けられている。また、「一般道」を「低速走行中」という運転シーンが、運転ワークロードレベル「2」に対応付けられている。また、図20の例では、「細街路」で「停車中」という運転シーンが、運転ワークロードレベル「2」に対応付けられている。また、「一般道」で「停車中」という運転シーンが、運転ワークロードレベル「1」に対応付けられている。
【0121】
制御部61は、現在の運転ワークロードに基づいて、現在の運転シーンにおけるドライバに対する情報提供(経路案内情報の提供など)または機器操作規制(オーディオ操作の規制など)を制御する。また、運転マナー診断部62は、運転シーンごとの運転マナーに応じて定められる運転ワークロードの変化パターンに基づいて、現在の運転シーンにおける現在の運転ワークロードから車両を運転しているドライバの運転マナーの改善の必要の有無を診断する。そして、制御部61には、ドライバの運転マナーの診断結果に基づいて、現在の運転ワークロードを調整するワークロード調整部63が備えられている。
【0122】
ワークロード調整部63は、ドライバの運転マナーが改善の必要有りと診断されたときに、現在の運転ワークロードを高くするペナルティ調整を行い、その後、ドライバの運転マナーが改善の必要無しと診断されたときに、ペナルティ調整された現在の運転ワークロードを元に戻すペナルティ解除を行う。
【0123】
また、運転マナー診断部62には、ドライバが故意に運転マナーに違反したか否かを判定する故意判定部64が備えられており、ワークロード調整部63は、故意に運転マナーに違反したと判定された場合には、故意に運転マナーを違反したのではないと判定された場合に比べて、現在の運転ワークロードを高くするペナルティ調整を行う。
【0124】
また、図18に示すように、運転マナー改善装置60には、出力部65が備えられており、出力部65には、違反通知部66と提示部67が含まれている。違反通知部66は、ドライバが運転マナーに違反したときに、ドライバに対して、違反した運転マナーの内容(例えば、左折時の左ターンSWの操作のし忘れなど)を通知する機能を備えている。提示部67は、ドライバの運転マナーが改善の必要有りと診断されたときに、ドライバに対して、音声や映像などで運転マナーの改善方法(例えば、「左折するときには、左ターンSWの操作を忘れずに。」など)を提示する機能を備えている。
【0125】
以上のように構成された運転マナー改善装置60について、図面を参照してその動作を説明する。
【0126】
図21は、本実施の形態の運転マナー改善装置60の動作の一例を示す説明図である。運転マナー診断部12は、例えば、交差点を左折するときに左ターンSWの操作がされなかった場合に、運転マナーの改善の必要があると診断する。また、例えば、ドライバが左ターンSWの操作を行わず、代わりに、機器操作(オーディオ機器などの操作)を行っている場合、故意判定部14は、ドライバが故意に運転マナーに違反した(機器操作をするために、意図的に左ターンSWの操作を行わなかった)と判定する。なお、機器操作が行われなかった場合、故意判定部14は、運転マナー違反は故意でない(左ターンSWの操作のし忘れ)と判定する。
【0127】
上記のようにして、交差点を左折したときに、運転マナーの改善の必要があると診断された場合、ワークロード調整部13は、次に交差点を左折するときに、運転ワークロードを高くするペナルティ調整を行う。このペナルティ調整により、例えば、第2テーブル(ワークロードレベルと開始可能条件と中断条件の対応付け)が調整される。
【0128】
図21の例では、通常時(運転マナー違反がない場合)には、ワークロードレベル4のときに、情報提供開始可能な情報のランクはA,Bであり、情報提供を中断すべき情報のランクはD,Eであるのに対し、ペナルティ調整後(運転マナー違反があった場合)には、ワークロードレベル4のときに、情報提供開始可能な情報のランクはAであり、情報提供を中断すべき情報のランクはC,Dである。
【0129】
ワークロード調整部13は、その後に交差点を左折したときに、運転マナーの改善の必要がないと診断された場合、その次に交差点を左折するときに、ペナルティ調整された運転ワークロードを元に戻すペナルティ解除を行う。なお、このワークロード調整部13は、故意に運転マナーに違反したと判定された場合には、故意に運転マナーを違反したのではないと判定された場合に比べて、現在の運転ワークロードを高くしてもよい。例えば、ワークロードレベル4のときに、情報提供開始可能な情報はなく、情報提供を中断すべき情報のランクはB,C,Dとなるようにしてもよい。
【0130】
このような本実施の形態の運転マナー改善装置60によれば、ドライバが適切な運転を心がけるようになり、ドライバの運転マナーを改善することができる。
【0131】
すなわち、本実施の形態では、車速などの車両情報と道路情報から現在の運転シーンが決定され、現在の運転シーンから車両を運転するドライバの現在の運転ワークロードが推定される。そして、現在の運転ワークロードに基づいて、ドライバに対する情報提供や機器操作規制が制御される。この場合、運転マナーに応じて定められる運転ワークロードの変化パターンに基づいて、ドライバの運転マナーの改善が必要であるか否かが診断され、その診断結果に基づいて現在の運転ワークロードが調整される。
【0132】
例えば、図21に示すように、運転マナーの改善が必要であると診断された場合には、現在の運転ワークロードが高くなるように(運転シーンから推定される運転ワークロードよりも高くなるように)調整され、ドライバに情報提供をしないように、あるいは、機器操作規制を厳しくするように制御される。そのような事態を避けるために、ドライバは、運転マナーの改善の必要がない、と診断されるような運転を心がけるようになる。これにより、ドライバの運転マナーが改善される。
【0133】
また、本実施の形態では、ドライバの運転マナーが改善の必要があると診断されると、現在の運転ワークロードを高くするペナルティ調整が行われ、その後、ドライバの運転マナーが改善の必要がないと診断されると、ペナルティ調整された運転ワークロードを元に戻すペナルティ解除が行われる。そのため、ドライバは、ペナルティ調整が行われるような運転(運転マナーの改善の必要があると診断されるような運転)をしないようになり、また、一旦、ペナルティ調整が行われてしまった場合でも、ペナルティ解除が行われるような運転(運転マナーの改善の必要がないと診断されるような運転)を心がけるようになる。このようにして、ドライバの運転マナーが改善される。
【0134】
また、本実施の形態では、故意に運転マナーに違反したと判定された場合には、故意に運転マナーを違反したのではないと判定された場合に比べて、現在の運転ワークロードを高くするペナルティ調整が行われる。そのような事態を避けるために、ドライバは、故意に運転マナーを違反した、と判定されるような運転をしないように心がけるようになる。このようにして、ドライバの運転マナーが改善される。
【0135】
また、本実施の形態では、ドライバが運転マナーに違反したときに、ドライバに対して、違反した運転マナーの内容が通知される。したがって、ドライバは、運転マナー違反の内容を知ることができ、その後、同じような運転マナー違反を繰り返さないように心がけるようになる。このようにして、ドライバの運転マナーが改善される。
【0136】
また、本実施の形態では、ドライバの運転マナーが改善の必要があると診断されたときに、ドライバに対して、その運転マナーの改善方法が提示される。したがって、ドライバは、運転マナーの改善方法を知ることができ、それを実行することにより運転マナーを改善することができる。このようにして、ドライバの運転マナーが改善される。
【0137】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、ワークロードに応じて、適切なタイミングで適切な情報を提供することができるというすぐれた効果を有し、車内での情報提供のタイミングを管理する装置として有用である。
【符号の説明】
【0139】
1 運転シーン判定装置
2 情報取得部
3 制御部
4 車両情報取得部
5 道路情報取得部
6 GPS装置
7 車両センサ
8 車載カメラ
9 道路情報DB
10 運転シーン判定部
11 運転シーンDB
12 遷移可否DB
13 シーン終了判定部
20 ワークロード推定装置
21 モデルDB
22 生体センサ
23 ワークロード推定部
30 情報提供タイミング管理装置
31 通信部
32 ランク設定部
33 判定部
34 記憶部
35 第1テーブル
36 第2テーブル
37 管理情報
40 情報提供装置
41 警報出力装置
42 ナビゲーション装置
43 マルチメディア装置
50 CPU
51 RAM
52 ROM
53 プログラム
54 通信インターフェース(通信I/F)
55 ハードディスク
56 操作部
57 ディスプレイ
60 運転マナー改善装置
61 制御部
62 運転マナー診断部
63 ワークロード調整部
64 故意判定部
65 出力部
66 違反通知部
67 提示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内で提供される情報の種類及びその情報の認知負荷に対応するランクを記憶した第1のテーブルと、
ワークロードレベルに応じて情報提供開始可能なランクを記憶した第2のテーブルと、
情報提供装置から送信される情報の種類及びその情報の認知負荷を示す情報を入力する入力部と、
前記第1のテーブルを参照して、前記入力部より入力された情報にランクを設定するランク設定部と、
車両を運転するドライバのワークロードを推定するワークロード推定部と、
前記第2のテーブルを参照して、前記ワークロード推定部にて推定したワークロードに対応する情報提供開始可能なランクを求め、前記ランク設定部にて設定されたランクが前記提供開始可能なランクか否かに基づいて前記情報を提供開始可能か否かを判定する判定部と、
前記判定部での判定結果を前記情報提供装置に対して送信する出力部と、
を備えることを特徴とする情報提供タイミング管理装置。
【請求項2】
前記情報提供装置にて提供中の情報のランクを含む管理情報を記憶する記憶部を備え、
前記第2のテーブルは、ワークロードレベルに応じて情報提供を中断すべきランクを記憶しており、
前記判定部は、前記第2のテーブルを参照して、前記ワークロード推定部にて推定したワークロードに対応する情報提供を中断すべきランクを求め、提供中の情報のランクを前記記憶部から読み出し、前記提供中の情報のランクが前記情報提供を中断すべきランクか否かに基づいて前記情報提供を中断するか否かを判定し、
前記出力部は、前記判定部にて情報提供を中断すべきと判定された場合に、情報提供の中断を指示する信号を前記情報提供装置に送信する、請求項1に記載の情報提供タイミング管理装置。
【請求項3】
前記ドライバが運転している車両に関する車両情報と、前記車両が走行している道路に関する道路情報とに基づいて、前記車両の現在の運転シーンを判定する運転シーン判定部と、
前記運転シーンごとの運転マナーに応じて定められるワークロードの変化パターンに基づいて、前記現在の運転シーンにおける前記現在のワークロードから前記車両を運転している前記ドライバの運転マナーの改善の必要の有無を診断する運転マナー診断部と、
前記ドライバの運転マナーの診断結果に基づいて、前記現在のワークロードを調整するワークロード調整部と、
を備える、請求項1または請求項2に記載の情報提供タイミング管理装置。
【請求項4】
車内における情報提供のタイミングを情報提供タイミング管理装置によって管理する方法であって、
前記情報提供タイミング管理装置に、情報提供装置から送信される情報の種類及びその情報の認知負荷を示す情報を入力する入力ステップと、
前記情報提供タイミング管理装置が、車内で提供される情報の種類及びその情報の認知負荷に対応するランクを記憶した第1のテーブルを参照して、前記入力ステップにて入力された情報にランクを設定するランク設定ステップと、
前記情報提供タイミング管理装置が、車両を運転するドライバのワークロードを推定するワークロード推定ステップと、
前記情報提供タイミング管理装置が、ワークロードレベルに応じて情報提供開始可能なランクを記憶した第2のテーブルを参照して、前記ワークロード推定ステップにて推定したワークロードに対応する情報提供開始可能なランクを求め、前記ランク設定ステップにて設定されたランクが前記提供開始可能なランクか否かに基づいて前記情報を提供開始可能か否かを判定する判定ステップと、
前記情報提供タイミング管理装置が、前記判定ステップでの判定結果を前記情報提供装置に対して送信する出力ステップと、
を備えることを特徴とする情報提供タイミング管理方法。
【請求項5】
前記情報提供タイミング管理装置が、前記情報提供装置にて提供中の情報のランクを含む管理情報を記憶部に記憶するステップと、
前記情報提供タイミング管理装置が、ワークロードレベルに応じて情報提供を中断すべきランクをさらに記憶した第2のテーブルを参照して、前記ワークロード推定ステップにて推定したワークロードに対応する情報提供を中断すべきランクを求め、提供中の情報のランクを前記記憶部から読み出し、前記提供中の情報のランクが前記情報提供を中断すべきランクか否かに基づいて前記情報提供を中断するか否かを判定するステップと、
前記情報提供タイミング管理装置が、情報提供を中断すべきと判定された場合に、情報提供の中断を指示する信号を前記情報提供装置に送信するステップと、
を備える、請求項4に記載の情報提供タイミング管理方法。
【請求項6】
前記情報提供タイミング管理装置が、前記ドライバが運転している車両に関する車両情報と、前記車両が走行している道路に関する道路情報とに基づいて、前記車両の現在の運転シーンを判定する運転シーン判定ステップと、
前記情報提供タイミング管理装置が、前記運転シーンごとの運転マナーに応じて定められるワークロードの変化パターンに基づいて、前記現在の運転シーンにおける前記現在のワークロードから前記車両を運転している前記ドライバの運転マナーの改善の必要の有無を診断する運転マナー診断ステップと、
前記情報提供タイミング管理装置が、前記ドライバの運転マナーの診断結果に基づいて、前記現在のワークロードを調整するワークロード調整ステップと、
を備える、請求項4または請求項5に記載の情報提供タイミング管理方法。
【請求項7】
車内における情報提供のタイミングを管理するためのプログラムであって、コンピュータに、
情報提供装置から送信される情報の種類及びその情報の認知負荷を示す情報を入力する入力ステップと、
車内で提供される情報の種類及びその情報の認知負荷に対応するランクを記憶した第1のテーブルを参照して、前記入力ステップにて入力された情報にランクを設定するランク設定ステップと、
車両を運転するドライバのワークロードを推定するワークロード推定ステップと、
ワークロードレベルに応じて情報提供開始可能なランクを記憶した第2のテーブルを参照して、前記ワークロード推定ステップにて推定したワークロードに対応する情報提供開始可能なランクを求め、前記ランク設定ステップにて設定されたランクが前記提供開始可能なランクか否かに基づいて前記情報を提供開始可能か否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップでの判定結果を前記情報提供装置に対して送信する出力ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、
前記情報提供装置にて提供中の情報のランクを含む管理情報を記憶部に記憶するステップと、
ワークロードレベルに応じて情報提供を中断すべきランクをさらに記憶した第2のテーブルを参照して、前記ワークロード推定ステップにて推定したワークロードに対応する情報提供を中断すべきランクを求め、提供中の情報のランクを前記記憶部から読み出し、前記提供中の情報のランクが前記情報提供を中断すべきランクか否かに基づいて前記情報提供を中断するか否かを判定するステップと、
情報提供を中断すべきと判定された場合に、情報提供の中断を指示する信号を前記情報提供装置に送信するステップと、
を実行させる、請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、
前記ドライバが運転している車両に関する車両情報と、前記車両が走行している道路に関する道路情報とに基づいて、前記車両の現在の運転シーンを判定する運転シーン判定ステップと、
前記運転シーンごとの運転マナーに応じて定められるワークロードの変化パターンに基づいて、前記現在の運転シーンにおける前記現在のワークロードから前記車両を運転している前記ドライバの運転マナーの改善の必要の有無を診断する運転マナー診断ステップと、
前記ドライバの運転マナーの診断結果に基づいて、前記現在のワークロードを調整するワークロード調整ステップと、
を実行させる、請求項7または請求項8に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−216203(P2012−216203A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−74740(P2012−74740)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】