説明

情報検索装置、情報検索方法、及びコンピュータプログラム

【課題】サービス情報の読みにおける重複検索や誤読検索を解消し、検索対象となる所定の情報群より、所望のサービス情報を効率良く円滑に探し出す検索を行う。
【解決手段】本装置10は、サービス情報に含まれる検索対象物の属性情報を適宜分割し、仮名読み変換することなく得た文字列と、前記サービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報と、を互いに関連付けて記憶するサービス索引情報記憶部F1を備える。これにより、文字列情報受付部11が、平仮名、片仮名、漢字、アルファベット、数字、記号といった言語又はこれらの組み合わせからなる文字列の入力を受け付け、検索位置情報特定部12が、サービス索引情報記憶部を参照して検索位置特定情報を特定する。そして、サービス情報検索部13が、検索位置特定情報に基づきサービス情報を特定・抽出し、サービス情報出力部14が、抽出したサービス情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望のサービス情報を探し出す検索技術に係り、詳しくは、検索対象となる所定の情報群より、指定(入力)された文字列に対応するサービス情報を、効率良く円滑に探し出すことのできる検索を行う情報検索装置、情報検索方法、及び情報検索用のコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガソリンスタントやコンビニエンスストア、ラーメン店、ホテル・旅館といった店舗や、有名な施設、行楽地といったPOI(Point Of Interest)を検索対象物とし、その属性となり得る名称や住所、紹介記事(テキスト文)等からPOIを探し出し、POIに関する情報をサービス情報として表示する情報検索装置が知られている。また、この情報検索装置機能を備え、電子地図と共にその情報を表示するカーナビゲーション装置(以下、「カーナビ」という。)も知られている。
【0003】
このような情報検索装置では、検索データより所望のサービス情報を探し出す場合、仮名文字の50音を利用した文字列を入力して検索を行う、いわゆる50音検索を行なっている。したがって、カーナビにおいては、一般にPOIの名称の読みを元に50音検索に基づいてサービス情報を検索する処理を行なっている。
【0004】
ところが、読みを元にした50音検索では、異なるPOIであっても「読み」が一緒であると重複して検索されてしまい、検索結果が必要以上に多いものとなってしまう。すなわち、たとえば「新井商店」と「荒井商店」と「あらい商店」と「アライ商店」においては、何れも読みが「あらいしょうてん」又は「アライショウテン」であるため、読みを元にした50音検索ではこれら全てが検索結果として出力されてしまう。
したがって、多くの検索結果の中から希望する検索結果を探し出すのに時間が掛かり、所望のサービス情報を効率良く得ることができない。しかも、カーナビ等の情報検索装置では、検索結果を出力・表示する表示部の大きさの制限により、一画面に大量の選択肢を提示できない。このことからも、検索結果が多すぎると希望する検索結果を探し出すのが困難であり、やはり所望のサービス情報を効率良く得ることができない。
【0005】
また、この読みを元にした50音検索では、検索対象物(POI)の読みが誤っていると、所望のサービス情報を検索することができないことになってしまう。すなわち、たとえば名称の読みが「かくたしょうてん」となっている「角田商店」があった場合、その読みを誤って「かどたしょうてん」と入力したり、「すみだしょうてん」と入力したり、「つのだしょうてん」と入力してしまうと、たとえ検索対象となる所定の情報群の中に「角田商店」があったとしても、検索結果として所望のサービス情報を得ることができない。
したがって、読みが正しく一致するまで読みを代えて何度も検索を行なわなければならない煩わしさがあり、所望のサービス情報を効率良く得ることができない。
【0006】
しかも、従来の情報検索装置では、読みを元にサービス情報の検索を行なうものであるため、POIの住所や紹介記事等を検索対象とする場合、これらを50音の読みに置き換える必要があり、非常に煩わしく困難であった。
【0007】
そこで、所望のサービス情報を効率良く得るようにした手段が幾つか提案されている。
たとえば、検索用キーワードに代えて検索することが有効であると想定されるキーワードを記憶しておき、検索用キーワードに該当する情報としてユーザの必要とする情報が見つからない場合に、検索用キーワードに代わるキーワードを読み出して再検索を行なうようにした手段がある(特許文献1を参照)。
また、文章もしくは複数の単語からなる入力情報を単語レベルに分割するとともに、それらの単語の中から所定の単語を抽出し、この単語に基づいてPOI情報を検索するようにした手段もある(特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2002−24261号公報
【特許文献2】特開2005−214961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の技術は何れにおいても、読みを元にしたサービス情報の検索における、重複検索や誤読検索の問題を共に解消し、所望のサービス情報を効率良く円滑に探し出すことを可能としたものではない。
【0009】
また、Webを利用して情報検索サービスを行うWebアプリでは、組み込みデータベース等を使用することにより、入力された文字列に応じて適切に検索を行うようにするものもある。しかしながら、カーナビのような限られた環境ではデータサイズの制約により組み込みデータベースを導入することが困難である。
このように、サービス情報の読みにおける重複検索や誤読検索を解消し、検索対象となる所定の情報群より、所望のサービス情報を効率良く円滑に探し出すことを可能とした検索手段は、現在のところ提案されていない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、サービス情報の読みにおける重複検索や誤読検索を解消し、検索対象となる所定の情報群より、所望のサービス情報を効率良く円滑に探し出す検索を行うことが可能な仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の情報検索装置は、検索対象となる所定の情報群より、指定された文字列に対応するサービス情報を効率良く円滑に探し出す検索を行う情報検索装置であって、前記サービス情報に含まれる検索対象物の属性情報を適宜分割し、仮名読み変換することなく得た文字列と、前記サービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報と、を互いに関連付けて記憶する第1記憶手段と、前記検索位置特定情報と、前記サービス情報と、を互いに関連付けて記憶する第2記憶手段と、前記サービス情報を検索するために、平仮名、片仮名、漢字、アルファベット、数字、記号といった言語又はこれらの組み合わせからなる文字列の入力を受け付ける文字列情報受付手段と、前記文字列情報受付手段で受け付けた文字列に基づき、前記第1記憶手段を参照して検索位置特定情報を特定する検索位置情報特定手段と、前記検索位置情報特定手段で特定した検索位置特定情報に基づき、前記第2記憶手段を参照してサービス情報を特定し、抽出するサービス情報検索手段と、前記サービス情報検索手段で抽出したサービス情報を出力するサービス情報出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の情報検索装置は、前記第1記憶手段が、前記属性情報を形態素解析して得られた形態素を文字列として記憶するものとしても良い。
【0013】
また、本発明の情報検索方法は、サービス情報に含まれる検索対象物の属性情報を適宜分割し、仮名読み変換することなく得た文字列と、前記サービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報と、を互いに関連付けて記憶する第1記憶手段と、前記検索位置特定情報と、前記サービス情報と、を互いに関連付けて記憶する第2記憶手段と、を備え、情報検索装置において、検索対象となる所定の情報群より、指定された文字列に対応するサービス情報を効率良く円滑に探し出す検索を行う情報検索方法であって、前記情報検索装置が、前記サービス情報を検索するために、平仮名、片仮名、漢字、アルファベット、数字、記号といった言語又はこれらの組み合わせからなる文字列の入力を受け付ける第1ステップと、前記情報検索装置において、前記第1ステップで受け付けた文字列に基づき、前記第1記憶手段を参照して検索位置特定情報を特定する第2ステップと、前記情報検索装置において、前記第2ステップで特定した検索位置特定情報に基づき、前記第2記憶手段を参照してサービス情報を特定し、抽出する第3ステップと、前記第3ステップで抽出したサービス情報を前記情報検索装置より出力する第4ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の情報検索方法は、前記情報検索装置において、前記第1記憶手段が、前記属性情報を形態素解析して得られた形態素を文字列として記憶し、前記第2ステップが、前記第1ステップで受け付けた文字列に基づき、前記属性情報を形態素解析して得られた形態素を文字列として記憶する前記第1記憶手段を参照して検索位置特定情報を特定するものとしても良い。
【0015】
また、本発明のコンピュータプログラムは、サービス情報に含まれる検索対象物の属性情報を適宜分割し、仮名読み変換することなく得た文字列と、前記サービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報と、を互いに関連付けて記憶する第1記憶手段と、前記検索位置特定情報と、前記サービス情報と、を互いに関連付けて記憶する第2記憶手段と、を備え、検索対象となる所定の情報群より、指定された文字列に対応するサービス情報を効率良く円滑に探し出す検索を行うことを実行させるためにコンピュータを、前記サービス情報を検索するために、平仮名、片仮名、漢字、アルファベット、数字、記号といった言語又はこれらの組み合わせからなる文字列の入力を受け付ける手段、受け付けた前記文字列に基づき、前記第1記憶手段を参照して検索位置特定情報を特定する手段、特定した前記検索位置特定情報に基づき、前記第2記憶手段を参照してサービス情報を特定し、抽出する手段、抽出した前記サービス情報を出力する手段、として機能させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のコンピュータプログラムは、前記第1記憶手段が、前記属性情報を形態素解析して得られた形態素を文字列として記憶し、前記コンピュータを、受け付けた前記文字列に基づき、前記属性情報を形態素解析して得られた形態素を文字列として記憶する前記第1記憶手段を参照して検索位置特定情報を特定する手段、として機能させるものとしても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明の情報検索装置は、サービス情報に含まれる検索対象物の属性情報を適宜分割し、仮名読み変換することなく得た文字列と、前記サービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報と、を互いに関連付けて記憶する手段を備える。ゆえに、サービス情報に含まれる属性情報を50音の読みに置き換える必要がなく、適宜分割した文字列を検索対象として、平仮名、片仮名、漢字、アルファベット、数字、記号といった言語又はこれらの組み合わせからなる文字列による検索が可能となる。
したがって、サービス情報の読みにおける重複検索や誤読検索を解消し、検索対象となる所定の情報群より、所望のサービス情報を効率良く円滑に探し出す検索を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る情報検索装置、情報検索方法、情報検索用のコンピュータプログラムの一例について説明する。
本発明に係る情報検索装置(以下、「本装置」という)は、検索対象となる所定の情報群より、指定された文字列に対応するサービス情報を素早く正確に探し出す検索を行う装置である。
【0019】
図1は、本装置10を用いた情報検索システム(以下、「本システム」という)の一例を示す概略図である。
本システムは、図1に示すように、本装置10と、表示部20と、入力部30と、によって構成することができる。
表示部20は、本装置10に対して検索を指示する文字列や、本装置10による検索結果を出力・表示するディスプレイ(モニタ)である。
入力部30は、本装置10に対して各種指示を行うコマンドの入力用ボタンである。
【0020】
また、図2は、本システムを用いることにより実現されるナビゲーション装置1を示す概略図である。
図2において、表示部20のスクリーン上に、入力部30が積層されたものとなっている。
入力部30を構成する入力用ボタンは、図2に示すように、文字入力ボタン31、片仮名入力又は変換するための「カタカナ」ボタン32、アルファベット入力又は変換するための「ABC」ボタン33、小文字入力に切り替えたり、濁点「゛」や半濁点「゜」を入力したりするための「小゛゜」ボタン34、数字を入力するための「123」ボタン35、入力された仮名文字を漢字へ変換する「変換」ボタン36、入力文字列の確定や、受け付けた文字情報により構成された文字列に基づく検索実行を指示する「OK」ボタン37等より構成されている。
【0021】
文字入力ボタン31は、該当情報を検索するための文字の入力情報を発信する処理を行う。文字入力ボタン31としては、たとえば平仮名のキーボードを模したGUI(Graphic User Interface)画面を表示部20に表示し、ユーザがGUI画面上で平仮名を1文字ずつカーソルあるいは指で選択していくことで、所望の文字列の入力を行なうものとすることができる。
図2において、文字入力ボタン31は、あ行、か行、さ行・・・わ行の各種文字ボタン、句点「。」を入力するためのボタン、読点「、」を入力するためのボタン、「−」を入力するためのボタンにより構成されている。
【0022】
また、表示部20には、文字入力ボタン31より入力された文字情報を出力・表示する表示欄21が表示されたものとなっている。
図2において、表示欄21には、「新井商店」といった検索のための文字列が表示されている。
【0023】
図3は、本装置10の一例を示すブロック構成図である。
本装置10は、図3に示すように、サービス索引情報記憶部F1と、サービス情報記憶部F2と、文字列情報受付部11と、検索位置情報特定部12と、サービス情報検索部13と、サービス情報出力部14と、制御部Cと、を少なくとも有している。なお、図中の符号Bは、本装置10において制御信号、データ等を伝送するバスである。
【0024】
本装置10は、情報処理装置であればよく、たとえば、モバイルタイプのパーソナルコンピュータをはじめ、PND(Portable Navigation Device)や専用デバイス、携帯電話機などで実現される。また、本装置10は、図示しないが、CPU(中央処理装置)、プログラム記憶部、補助記憶装置、OS(オペレーティング・システム)、等を有する。
CPUは、プログラム記憶部に記憶されたコンピュータプログラムに従い、本装置10の各構成要素を統制制御し、プログラム処理を実行する手段である。プログラム記憶部は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成され、本装置10が使用する各種コンピュータプログラムを記憶している手段である。
【0025】
サービス索引情報記憶部F1は、サービス情報に含まれる検索対象物の属性情報を適宜分割し、仮名読み変換することなく得た文字列と、このサービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報と、を互いに関連付けて記憶する手段である。ここで、属性情報とは、たとえば検索対象物の名称や住所、紹介文といった検索対象物を特定することができるサービス情報をいう。
【0026】
また、文字列は、サービス情報の特徴を表した属性となり得る単語である。この文字列は、1文字情報の場合もあれば、2文字情報の場合、n文字情報の場合もある。したがって、属性情報を適宜分割し、仮名読み変換することなく得た文字列は、平仮名、片仮名、漢字、アルファベット、数字、記号といった言語又はこれらの組み合わせにより構成されたものとなっている。
【0027】
また、検索位置特定情報は、いわゆるオフセット情報である。したがって、文字列が1文字である場合、このオフセット情報が直ちにサービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報となる。また、文字列が2文字からなる場合、このオフセット情報は第2文字目の記憶位置を特定する情報となり、第2文字情報に対するオフセット情報がサービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報となる。そして、文字列がn文字からなる場合、最終文字情報に対するオフセット情報がサービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報となる。
【0028】
図4は、サービス索引情報記憶部F1に記憶されている情報の例を示す図である。
たとえば、図4に示す検索位置特定ファイルでは、文字列情報と検索位置特定情報(オフセット情報)とを関連付けてファイルを構成することを示している。なお、図4において、文字列情報と検索位置特定情報とが最初から関連付けられたように示されているが、上述のように、文字列を構成する文字情報の数に応じてオフセット情報が異なり、最終文字列に対するオフセット情報が検索位置特定情報となる。
したがって、本装置10では、このサービス索引情報記憶部F1により、サービス情報に含まれるそのままの文字列から検索位置特定情報が分かるものとなる。
【0029】
また、サービス索引情報記憶部F1においては、たとえば属性情報を形態素解析して得られた形態素を文字列として記憶するものとしても良い。形態素解析とは、コンピュータ等の計算機を用いた自然言語処理の基礎技術のひとつであり、自然言語で書かれた文を、言語で意味を持つ最小単位、すなわち形態素の列に分割し、それぞれの品詞を判別する作業をいう。
このように形態素解析して得られた形態素を文字列として用いることで、POIの名称だけでなく、POIの住所や、紹介文といったテキスト情報を対象として検索を行なうことが可能となる。しかも、POIの名称や住所、紹介文といった属性情報を一緒に検索対象とした索引とすることができるので、効率良く検索を行なうことができることになる。
【0030】
ここで、形態素解析して得られた形態素を文字列とする一例は、図8及び図9に示すことができる。図8は、検索対象物となるPOIの名称を形態素解析した場合の文字列を示す模式図であり、図9は、検索対象物となるPOIの紹介文を形態素解析した場合の文字列を示す模式図である。
図8(A)において、POIの名称として「東京ファミリーランド」があり、これを形態素解析すると「東京」「ファミリー」「ランド」といった3つの形態素に分割され、これらの形態素をそれぞれサービス索引情報記憶部F1における文字列として用いることが示されている。なお、これらの文字列からは何れも、「東京ファミリーランド」のサービス情報を検索するための検索位置特定情報を特定することができるものとなっている。
また、図8(B)において、POIの名称として「アイダホフライドポテト新宿東口店」があり、これを形態素解析すると「アイダホ」「フライド」「ポテト」「新宿」「東口店」といった5つの形態素に分割され、これらの形態素をそれぞれサービス索引情報記憶部F1における文字列として用いることが示されている。なお、これらの文字列からは何れも、「アイダホフライドポテト新宿東口店」のサービス情報を検索するための検索位置特定情報を特定することができるものとなっている。
【0031】
また、図9において、「新井商店」をPOIとする紹介文として「江戸の町並みが残る引田の町で目をひく、ベンガラ色の蔵が醤油醸造元の新井商店。土・日曜、祝日はうどん屋を営業。」があり、これを形態素解析すると「江戸」「町並み」「引田」「ベンガラ色」「醤油醸造元」「新井商店」「祝日」「うどん屋」「営業」といった9つの形態素に分割され、これらの形態素をそれぞれサービス索引情報記憶部F1における文字列として用いることが示されている。なお、これらの文字列からは何れも、「新井商店」のサービス情報を検索するための検索位置特定情報を特定することができるものとなっている。
【0032】
なお、サービス索引情報記憶部F1においては、検索において探し出すことができる割合、いわゆるヒット率を向上させるために、POIの名称からは全文字、POIの紹介文等のテキストからは重要な語と判定できる文字だけを、それぞれ索引用の文字列として採用すると望ましい。
【0033】
サービス情報記憶部F2は、検索位置特定情報と、サービス情報と、を互いに関連付けて記憶する手段である。サービス情報は、ガソリンスタントやコンビニエンスストア、ラーメン店、ホテル・旅館といった店舗や、有名な施設、行楽地といったPOI(Point Of Interest)に関する属性情報をいう。したがって、本装置10では、この検索位置特定情報に基づきサービス情報を特定する検索を行うことができる。
【0034】
図5は、サービス情報記憶部F2に記憶されている情報の例を示す図である。
たとえば、図5に示すサービス情報検索ファイルでは、検索位置特定情報と、POIの名称や住所、紹介文(テキスト記事)、電話番号といった属性情報と、を関連付けてファイルを構成することを示している。なお、ここでの紹介文には、web上の口コミ情報等を含めることもできる。
したがって、本装置10では、このサービス情報記憶部F2により、検索位置特定情報から検索対象物のサービス情報が分かるものとなる。
【0035】
文字列情報受付部11は、サービス情報を検索するために、平仮名、片仮名、漢字、アルファベット、数字、記号といった言語又はこれらの組み合わせからなる文字列の入力を受け付ける処理を行う。なお、文字列情報受付部11では、片仮名、アルファベット、数字についての揺らぎを排除するため、事前に、半角文字を全角文字に変換、小文字を大文字に変換する処理を行なった文字列を取得するようにすると良い。
文字列情報受付部11は、受け付けた文字列情報を検索位置情報特定部12へ送信する。
【0036】
検索位置情報特定部12は、文字列情報受付部11で受け付けた文字列に基づき、サービス索引情報記憶部F1を参照して検索位置特定情報を特定する処理を行う。ここでの処理は、上述したとおり、文字列情報受付部11で受け付けた文字列をそのまま用い、文字列を構成する文字情報の数だけ繰り返され、最終的なオフセット情報を検索位置特定情報として特定する。
検索位置情報特定部12は、特定した検索位置特定情報をサービス情報検索部13へ送信する。
【0037】
サービス情報検索部13は、検索位置情報特定部12で特定した検索位置特定情報に基づき、サービス情報記憶部F2を参照してサービス情報を特定し、抽出する処理を行う。
サービス情報検索部13は、抽出したサービス情報をサービス情報出力部14へ送信する。
【0038】
サービス情報出力部14は、サービス情報検索部13で抽出したサービス情報を表示部30へ出力する処理を行う。
【0039】
制御部Cは、CPU、ROM、RAM等を具備し、プログラム記憶部に記憶されたプログラムに従い、本装置10の各構成要素を統制制御し、プログラム処理を実行する。
【0040】
次に、上述した本装置10により実行される情報検索方法を実施する本装置10の動作の一例を、図6を参照しながら説明する。図6は、本装置10での情報検索処理の一例を示すフローチャートである。
まず、文字列情報受付部11が、サービス情報を検索するための文字列の入力を受け付ける(S10)。
次いで、検索位置情報特定部12が、サービス索引情報記憶部F1を参照し、文字列情報受付部11で受け付けた文字列における第1番目の文字情報に基づいて、そのオフセット情報を特定(検索)する(S20)。
第1番目の文字情報に対するオフセット情報の特定後、引き続き、検索位置情報特定部12は、未だ文字情報は有るか否か判定する(S30)。すなわち、文字列情報受付部11で受け付けた文字列が2文字以上であるか否かを判定する。
【0041】
その結果、検索位置情報特定部12が、未だ文字情報は有ると判定した場合(Y)、検索位置情報特定部12は、引き続きサービス索引情報記憶部F1を参照し、文字列情報受付部11で受け付けた文字列における第2番目の文字情報に基づいて、そのオフセット情報を特定(検索)する(S40)。この検索位置情報特定部12は、未検索の文字情報がなくなるまで、すなわち文字列を構成する文字の数だけこの処理を繰り返す。
そして、検索位置情報特定部12では、最終文字情報において特定したオフセット情報を検索位置特定情報として特定する。
【0042】
ここで、検索位置特定情報の特定処理は、たとえば図7に示すことができる。図7は、本発明に係る情報検索装置での検索位置特定情報の特定処理を示す模式図である。
図7において、「新井商店」なる文字列を検索する場合を示す。
まず、第1文字情報である「新」のオフセット情報を特定する。図7において、「新」のオフセット情報は「A0648」で示されている。ここで、「新井商店」なる文字列の場合、引き続き第2文字情報があるので、このオフセット情報は、第2番目の文字情報を検索するためのオフセット情報となる。
【0043】
次いで、このオフセット情報に基づき第2文字情報である「井」のオフセット情報を特定する。すなわち「新」「井」の文字情報を含む文字列のオフセット情報を特定する。図7において、「井」のオフセット情報は「B0182」で示されている。ここで、「新井商店」なる文字列の場合、引き続き第3文字情報があるので、このオフセット情報は、第3番目の文字情報を検索するためのオフセット情報となる。
【0044】
そして、同様に第3文字情報である「商」のオフセット情報を特定し、さらに、第4文字情報、すなわち「新井商店」における最終文字情報である「店」オフセット情報を特定する。すなわち「新」「井」「商」「店」の文字情報を含む文字列のオフセット情報を特定する。図7において、「店」のオフセット情報は「N0003」で示されている。ここで、「新井商店」なる文字列の場合、引き続き文字情報が無いので、この「N0003」が「新井商店」のサービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報となる。
【0045】
また、検索位置情報特定部12が、もう文字情報は無いと判定した場合(N)、次に、サービス情報検索部13が、サービス情報記憶部F2を参照し、検索位置情報特定部12で特定した検索位置特定情報に応じたサービス情報を特定し抽出する(S50)。
そして、サービス情報出力部14が、サービス情報検索部13で抽出したサービス情報を表示部30へ出力する(S60)。
これにより、本装置10での一連の動作が終了する。
なお、これら一連の処理は、制御部Cでの統制制御により実行される。
【0046】
以上のように本実施の形態では、事前に、サービス情報に含まれる検索対象物の属性情報を適宜分割し、仮名読み変換することなく得た文字列と、サービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報と、を互いに関連付けて記憶する索引を備え、検索対象物(POI)の読みを用いることなく、この索引を用いることで検索を行なう。これにより、日本語特有の同音異義語を排除することができ、検索結果の重複をなくすことができる。また、検索対象物の読みが分からなくても、誤読を解消することができる。
したがって、ユーザが取得することを望むサービス情報を効率良く円滑に探し出す検索を行うことが可能となり、サイズや操作性に制約が多いカーナビ等において、ユーザインタフェースの向上を図ることが可能となると共に、ユーザの満足度を高めることができる。
【0047】
また、本装置10は、ナビゲーション機能を兼ね備えた装置としても良い。この場合、本装置10は、図示しないが、地図情報を記憶する手段や、この地図上の領域若しくはPOIを特定する位置情報と、POIのサービス情報とを互いに関連付けて記憶する手段をさらに備える。また、地図情報は、CD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体に格納されたものすることができる。
【0048】
これにより、POI情報に基づき位置情報を特定し、さらに、特定した位置情報に基づき該当する道路地図情報を特定、抽出し、この道路地図上にサービス情報が表示されるように、サービス情報と道路地図情報とを重ね合わせて出力することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、所定の情報群より、ユーザが求めているサービス情報の検索が可能なデバイスを扱う業種において産業上有用であり、検索によって電子地図上に所望のPOI情報の表示を可能とするカーナビゲーション装置等の電化製品市場においても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る情報検索装置を用いた情報検索システムの一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る情報検索装置を情報検索システムに用いることにより実現されるナビゲーション装置を示す概略図である。
【図3】本発明に係る情報検索装置の実施形態の一例を示すブロック構成図である。
【図4】本発明に係る情報検索装置が備える記憶部に記憶されている検索位置特定ファイルの構造を示す一例である。
【図5】本発明に係る情報検索装置が備える記憶部に記憶されているサービス検索ファイルの構造を示す一例である。
【図6】本発明に係る情報検索装置での情報検索処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る情報検索装置での検索位置特定情報の特定処理を示す模式図である。
【図8】本発明に係る情報検索装置において、検索対象物となるPOIの名称を形態素解析した場合の文字列を示す模式図である。
【図9】本発明に係る情報検索装置において、検索対象物となるPOIの紹介文を形態素解析した場合の文字列を示す模式図である。
【符号の説明】
【0051】
F1 サービス索引情報記憶部(第1記憶部)、F2 サービス情報記憶部(第2記憶部)、10 情報検索装置、11 文字列情報受付部、12 検索位置情報特定部、13 サービス情報検索部、14 サービス情報出力部、20 表示部、30 入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索対象となる所定の情報群より、指定された文字列に対応するサービス情報を効率良く円滑に探し出す検索を行う情報検索装置であって、
前記サービス情報に含まれる検索対象物の属性情報を適宜分割し、仮名読み変換することなく得た文字列と、前記サービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報と、を互いに関連付けて記憶する第1記憶手段と、
前記検索位置特定情報と、前記サービス情報と、を互いに関連付けて記憶する第2記憶手段と、
前記サービス情報を検索するために、平仮名、片仮名、漢字、アルファベット、数字、記号といった言語又はこれらの組み合わせからなる文字列の入力を受け付ける文字列情報受付手段と、
前記文字列情報受付手段で受け付けた文字列に基づき、前記第1記憶手段を参照して検索位置特定情報を特定する検索位置情報特定手段と、
前記検索位置情報特定手段で特定した検索位置特定情報に基づき、前記第2記憶手段を参照してサービス情報を特定し、抽出するサービス情報検索手段と、
前記サービス情報検索手段で抽出したサービス情報を出力するサービス情報出力手段と、
を備えることを特徴とする情報検索装置。
【請求項2】
前記第1記憶手段は、前記属性情報を形態素解析して得られた形態素を文字列として記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報検索装置。
【請求項3】
サービス情報に含まれる検索対象物の属性情報を適宜分割し、仮名読み変換することなく得た文字列と、前記サービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報と、を互いに関連付けて記憶する第1記憶手段と、前記検索位置特定情報と、前記サービス情報と、を互いに関連付けて記憶する第2記憶手段と、を備え、情報検索装置において、検索対象となる所定の情報群より、指定された文字列に対応するサービス情報を効率良く円滑に探し出す検索を行う情報検索方法であって、
前記情報検索装置が、前記サービス情報を検索するために、平仮名、片仮名、漢字、アルファベット、数字、記号といった言語又はこれらの組み合わせからなる文字列の入力を受け付ける第1ステップと、
前記情報検索装置において、前記第1ステップで受け付けた文字列に基づき、前記第1記憶手段を参照して検索位置特定情報を特定する第2ステップと、
前記情報検索装置において、前記第2ステップで特定した検索位置特定情報に基づき、前記第2記憶手段を参照してサービス情報を特定し、抽出する第3ステップと、
前記第3ステップで抽出したサービス情報を前記情報検索装置より出力する第4ステップと、
を含むことを特徴とする情報検索方法。
【請求項4】
前記情報検索装置において、前記第1記憶手段は、前記属性情報を形態素解析して得られた形態素を文字列として記憶し、
前記第2ステップは、前記第1ステップで受け付けた文字列に基づき、前記属性情報を形態素解析して得られた形態素を文字列として記憶する前記第1記憶手段を参照して検索位置特定情報を特定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報検索方法。
【請求項5】
サービス情報に含まれる検索対象物の属性情報を適宜分割し、仮名読み変換することなく得た文字列と、前記サービス情報の記憶位置を特定する検索位置特定情報と、を互いに関連付けて記憶する第1記憶手段と、前記検索位置特定情報と、前記サービス情報と、を互いに関連付けて記憶する第2記憶手段と、を備え、検索対象となる所定の情報群より、指定された文字列に対応するサービス情報を効率良く円滑に探し出す検索を行うことを実行させるためにコンピュータを、
前記サービス情報を検索するために、平仮名、片仮名、漢字、アルファベット、数字、記号といった言語又はこれらの組み合わせからなる文字列の入力を受け付ける手段、
受け付けた前記文字列に基づき、前記第1記憶手段を参照して検索位置特定情報を特定する手段、
特定した前記検索位置特定情報に基づき、前記第2記憶手段を参照してサービス情報を特定し、抽出する手段、
抽出した前記サービス情報を出力する手段、
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記第1記憶手段は、前記属性情報を形態素解析して得られた形態素を文字列として記憶し、
前記コンピュータを、
受け付けた前記文字列に基づき、前記属性情報を形態素解析して得られた形態素を文字列として記憶する前記第1記憶手段を参照して検索位置特定情報を特定する手段、
として機能させることを特徴とする請求項5に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−271593(P2009−271593A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118985(P2008−118985)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(507052430)キャンバスマップル株式会社 (77)
【Fターム(参考)】