説明

情報端末装置

【課題】 タッチペンの取り出しによって利き腕に応じた画面表示を行うことができる情報端末装置を提供する。
【解決手段】 CPU10は、ペンが右側から取り出されたか否かを判定する。第1格納スイッチ16によってタッチペン19が収納部20から取り出されたことが検出された時刻が、第2格納スイッチ17によってタッチペン19が収納部20から取り出されたことが検出された時刻よりも早い時刻であるとき、ペンが右側から取り出されたと判定し、右利き用の手書き入力画面を表示部13に表示する。第1格納スイッチ16によってタッチペン19が収納部20から取り出されたことが検出された時刻が、第2格納スイッチ17によってタッチペン19が収納部20から取り出されたことが検出された時刻よりも早い時刻でないとき、ペンが左側から取り出されたと判定し、左利き用の手書き入力画面を表示部13に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手書き入力が可能な情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルを持つシステム、たとえば情報端末装置は、使用者に対して、利き腕を問うユーザインターフェイスを表示する。使用者は、この問いに答える操作をすることによって、利き腕に応じたユーザインターフェイスを表示することができる。
【0003】
第1の従来技術として、特許文献1に記載される操作案内装置がある。この操作案内装置は、ディスプレイ上に選択入力エリアを画面左右に跨って表示する。そして、操作者が接触した位置が、選択入力エリア中の右半分の場合、次に表示する入力エリアを右寄りに表示し、選択入力エリア中の左半分の場合、次に表示する入力エリアを左寄りに表示することによって、利用者の利き腕に応じた表示を行う。また、操作案内装置は、初期画面に利用者の利き腕を尋ねる右利きエリアおよび左利きエリアを表示し、利用者に利き腕を指定させることもできる。
【0004】
第2の従来技術として、特許文献2に記載されるペン入力型情報処理装置がある。このペン入力型情報処理装置は、ペンが入力用専用ペン収納箇所から取り出されれば、ペン入力型情報処理装置への電力の供給を開始し、ペンが入力用専用ペン収納箇所に収納されたことが検出されれば、ペン入力型情報処理装置への電力の供給が終了する。ペンの取り付け状態に応じて、自動的に電源のオン/オフの制御を行う。また、入力用専用ペン収納箇所は、ペン入力型情報処理装置の右寄りに設けられているが、ペン入力型情報処理装置の上下を180度回転して、入力用専用ペン収納箇所を左寄りにして使用することもできる。
【0005】
第3の従来技術として、特許文献3に記載されるペン入力装置がある。このペン入力装置は、それぞれ電源制御のパターンが設定されている2つのペン検出センサによって、ペン収納部に収納されたペンの回転方向あるいは回転回数を検出し、検出した回転方向あるいは回転回数に応じて、電源制御を行う。ペンを回転させることによって、電源制御を可能としたものである。
【0006】
第4の従来技術として、特許文献4に記載されるペン入力型情報機器がある。このペン入力型情報機器は、タッチパネルを保護するための保護カバーの一端縁に中空筒状の入力ペン取付け部が設けられ、機器本体に凹所の入力ペン収納部が設けられる。入力ペン取付け部に入力ペンが取り付けられた状態で保護カバーを閉じると、入力ペン取付け部および入力ペンが入力ペン収納部に収納される。その状態で、入力ペンを横方向に移動することによって、保護カバーが開かないようにロックする。保護カバーロックのためには、入力ペンを入力ペン取付け部に取り付ける必要があるので、入力ペンの紛失を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−208671号公報
【特許文献2】特開平6−289975号公報
【特許文献3】特開平11−66011号公報
【特許文献4】特開平10−307666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
第1の従来技術では、選択入力エリアの操作または利き腕の設定など、使用者による画面での操作が必要である。第2,3の従来技術では、ペンを使用して電源のオン/オフ等を制御するので、ペンを紛失すると、電源のオン/オフを制御することができなくなる。また、第2の従来技術では、利き腕に応じた操作を行うためには、装置の上下を180度回転させなければならない。第4の従来技術では、ペンの紛失を防止することはできるが、利き腕に応じた操作を行うことはできない。
【0009】
本発明の目的は、タッチペンの取り出しによって利き腕に応じた画面表示を行うことができる情報端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、情報を表示するための表示部と、
タッチペンによって手書きで情報を入力するためのタッチパネルと、
表示部およびタッチパネルに電力を供給する電源部と、
表示部に向かって左右方向にタッチペンを収納する収納部と、
タッチペンが収納部から取り外されたこと、およびタッチペンの右端よりも左端が先に取り出されたか、タッチペンの左端よりも右側が先に取り出されたかを検出する取り出し検出部と、
取り出し検出部によってタッチペンが取り出されたことが検出されたとき、電源部の電源を投入し、取り出し検出部によってタッチペンの右端よりも左端が先に取り出されたことが検出された場合、左手によって手書きで情報を入力するための左利き用の手書き入力画面を表示部に表示し、取り出し検出部によってタッチペンの左端よりも右端が先に取り出されたことが検出された場合、右手によって手書きで情報を入力するための右利き用の手書き入力画面を表示部に表示する制御部とを含むことを特徴とする情報端末装置である。
【0011】
また本発明は、前記電源部の電源の投入および電源の切断を指示する電源投入切断指示部をさらに含み、
前記取り出し検出部は、タッチペンが前記収納部に収納されていることをさらに検出し、
前記制御部は、
電源投入切断指示部が電源の投入を指示した時点で、前記取り出し検出部によって、タッチペンが前記収納部に収納されていることが検出されず、かつ電源投入切断指示部が電源の切断を指示した時点で、前記取り出し検出部によって、タッチペンが前記収納部に収納されていることが検出されなかった場合、タッチペンが紛失した可能性があると判定し、
電源投入切断指示部が電源の投入を指示した時点で、前記取り出し検出部によって、タッチペンが前記収納部に収納されていることを検出された場合、または、電源投入切断指示部が電源の切断を指示した時点で、前記取り出し検出部によって、タッチペンが前記収納部に収納されていることが検出された場合、タッチペンが存在すると判定することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、時間を計時する計時部をさらに含み、
前記制御部は、タッチペンが紛失した可能性があると判定した場合、前記取り出し検出部が、タッチペンが収納部から取り出されたことを検出した時点から、タッチペンが収納部に収納されたことを検出することなく、計時部によって計時された時間が、予め定める時間を超えたとき、手書き入力画面を右利き用にするか、左利き用にするかを設定するための設定画面を表示部に表示することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、情報を入力するための複数のキーを有するキーボードをさらに含み、
前記取り出し検出部は、タッチペンが前記収納部に収納されたことをさらに検出し、
前記制御部は、前記取り出し検出部によって、電源が投入されている状態でタッチペンが前記収納部に収納されたことが検出されたとき、表示部に表示している手書き入力画面を、キーボードによって情報を入力するためのキーボード入力画面に代えて、表示部に表示することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記収納部は、筒状であることを特徴とする。
また本発明は、前記収納部は、溝状であることを特徴とする。
また本発明は、前記収納部は、クリップ状であることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記取り出し検出部は、複数のスイッチによって構成されることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記取り出し検出部は、2つのスイッチによって構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表示部は、情報を表示する。タッチパネルは、タッチペンによって手書きされた情報を入力する。電源部は、表示部およびタッチパネルに電力を供給する。収納部は、表示部に向かって左右方向にタッチペンを収納する。取り出し検出部は、タッチペンが収納部から取り外されたこと、およびタッチペンの右端よりも左端が先に取り出されたか、タッチペンの左端よりも右側が先に取り出されたかを検出する。そして、制御部は、取り出し検出部によってタッチペンが取り出されたことが検出されたとき、電源部の電源を投入し、取り出し検出部によってタッチペンの右端よりも左端が先に取り出されたことが検出された場合、左手によって手書きで情報を入力するための左利き用の手書き入力画面を表示部に表示し、取り出し検出部によってタッチペンの左端よりも右端が先に取り出されたことが検出された場合、右手によって手書きで情報を入力するための右利き用の手書き入力画面を表示部に表示する。したがって、タッチペンの取り出しによって利き腕に応じた画面表示を行うことができる。また、タッチペンを取り出すだけで電源をオンにすることもでき、タッチペンを利用した電源投入および利き腕に応じた手書き入力画面の切り換えを自動で行うことができる。特に、複数の使用者で共有される情報端末装置において、使用者による利き腕に応じた手書き入力画面の切り換え操作を省くことができ、使用者の利便性を向上することができる。
【0018】
また本発明によれば、電源投入切断指示部は、前記電源部の電源の投入および電源の切断を指示する。前記取り出し検出部は、タッチペンが前記収納部に収納されていることをさらに検出する。そして、前記制御部は、電源投入切断指示部が電源の投入を指示した時点で、前記取り出し検出部によって、タッチペンが前記収納部に収納されていることが検出されず、かつ電源投入切断指示部が電源の切断を指示した時点で、前記取り出し検出部によって、タッチペンが前記収納部に収納されていることが検出されなかった場合、タッチペンが紛失した可能性があると判定する。また、前記制御部は、電源投入切断指示部が電源の投入を指示した時点で、前記取り出し検出部によって、タッチペンが前記収納部に収納されていることを検出された場合、または、電源投入切断指示部が電源の切断を指示した時点で、前記取り出し検出部によって、タッチペンが前記収納部に収納されていることが検出された場合、タッチペンが存在すると判定する。したがって、タッチペンの紛失の可能性を検出することができる。
【0019】
また本発明によれば、計時部は、時間を計時する。そして、前記制御部は、タッチペンが紛失した可能性があると判定した場合、前記取り出し検出部が、タッチペンが収納部から取り出されたことを検出した時点から、タッチペンが収納部に収納されたことを検出することなく、計時部によって計時された時間が、予め定める時間を超えたとき、手書き入力画面を右利き用にするか、左利き用にするかを設定するための設定画面を表示部に表示する。したがって、タッチペンが紛失されたと判断されるとき、右利き/左利きを設定するための画面を自動的に表示することができ、タッチペンを紛失しても、情報端末装置が使用不能になることを防止することができる。
【0020】
また本発明によれば、キーボードは、情報を入力するための複数のキーを有する。前記取り出し検出部は、タッチペンが前記収納部に収納されたことをさらに検出する。そして、前記制御部は、前記取り出し検出部によって、電源が投入されている状態でタッチペンが前記収納部に収納されたことが検出されたとき、表示部に表示している手書き入力画面を、キーボードによって情報を入力するためのキーボード入力画面に代えて、表示部に表示する。したがって、タッチペンが収納されたとき、タッチペンが使用されることはないので、自動的に手書き入力画面からキーボード入力画面に切り換えることができる。
【0021】
また本発明によれば、前記収納部は、筒状であるので、タッチペンを確実に収納することができる。
【0022】
また本発明によれば、前記収納部は、溝状であるので、筒状の場合に比べて、容易に収納部を形成することができる。
【0023】
また本発明によれば、前記収納部は、クリップ状であるので、筒状および溝状に比べて、収納部を小さくすることができる。
【0024】
また本発明によれば、前記取り出し検出部は、複数のスイッチによって構成されるので、検出の順序に基づいて、収納方向および取り出し方向を検出することができる。
【0025】
また本発明によれば、前記取り出し検出部は、2つのスイッチによって構成されるので、スイッチの数を必要最小限まで低減することができ、減価低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態である電子辞書1の構成を示すブロック図である。
【図2】電子辞書1の外観を示す図である。
【図3】タッチペン19の収納方向を説明するための図である。
【図4】第1格納スイッチ16および第2格納スイッが配置される位置を示す図である。
【図5】キーボード入力画面および手書き入力画面の例を示す図である。
【図6】右利き用および左利き用の手書き入力画面の例を示す図である。
【図7】ペン存在判断テーブル40に含まれる情報を示す図である。
【図8】利き腕設定画面34の一例を示す図である。
【図9】ペン取り出し処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】電源オン処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】電源オフ処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】リセット処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】使用者による手書きモード切り換え処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】手書き入力画面表示処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】収納部20の他の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の一実施形態である電子辞書1の構成を示すブロック図である。図2は、電子辞書1の外観を示す図である。情報端末装置である電子辞書1は、電子化された辞書であり、国語辞典、英和辞典、和英辞典あるいは百科事典などの辞書の機能を有し、手書きあるいはキーボードによって入力された文字の意味を調べることができる。情報端末装置は、電子辞書1に限定されるものではなく、手書き入力ができるパーソナルコンピュータあるいは携帯端末装置などであってもよい。以下、情報端末装置として、電子辞書1を例にして説明する。
【0028】
電子辞書1は、中央処理装置(Central Processing Unit:以下「CPU」という)10、リードオンリーメモリ(Read Only Memory:以下「ROM」という)11、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:以下「RAM」という)12、表示部13、操作部14、電源スイッチ15、第1格納スイッチ16、第2格納スイッチ17、データバス18、タッチペン19、計時部23および図示しない電源を含んで構成される。
【0029】
制御部であるCPU10は、ROM11に記憶されるプログラムを読み出して実行することによって、RAM12、表示部13および操作部14を制御する。CPU10は、計時部23を参照することによって、時刻の認識および時間の計測を行うことができる。ROM11は、CPU10で実行されるプログラムを記憶する。RAM12は、CPU10によって情報の書き込みおよび読み出しが行われ、CPU10がプログラムを実行するために必要な情報を記憶する。
【0030】
表示部13は、たとえば液晶ディスプレイなどの表示装置によって構成される。表示部13は、表示画面を有し、CPU10から受け取る情報を表示画面に表示する。操作部14は、情報を入力するための入力装置であり、たとえばタッチパネル141およびキーボード142を含んで構成される。
【0031】
タッチパネル141は、表示部13の表示画面に近接する位置に対向して設けられる。タッチパネル141は、タッチペン19が接触した位置を表す位置情報を、CPU10に送る。CPU10は、タッチパネル141から受け取る位置情報に基づいて、入力された手書き文字を認識し、また、表示画面に表示している操作ボタンのうちどの操作ボタンがタッチペン19によって操作されたかを認識する。キーボード142は、文字、数字および記号などの情報を入力するための複数のキーを有し、操作されたキーが表す情報をCPU10に送る。
【0032】
電源スイッチ15は、図示しない電源を投入あるいは切断するためのスイッチである。図示しない電源は、主電源と補助電源とを含む。電源部である主電源は、表示部13および操作部14に電力を供給する。電源スイッチ15は、使用者によって操作され、主電源に対する電源投入指示および電源切断指示を指示することができる。補助電源は、常時オン状態であり、CPU10、ROM11、RAM12、電源スイッチ15、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17に電力を供給する。
【0033】
電源投入切断指示部である電源スイッチ15は、電源投入指示があったこと、および電源切断指示があったことをCPU10に知らせる。CPU10は、電源スイッチ15から電源投入指示を受けると、電源オン処理を実行し、電源スイッチ15から電源切断指示を受けると、電源オフ処理を実行する。電源オン処理は、主電源を投入する処理であり、電源オフ処理は、主電源を切断する処理である。
【0034】
第1格納スイッチ16は、表示画面に向かって左右方向の中心よりも左側に設けられ、第1格納スイッチ16が設けられている位置の収納部20に、タッチペン19が収納されているか否かを検出するスイッチである。第1格納スイッチ16は、検出結果をCPU10に送る。第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17は、物理的なスイッチによって構成されてもよいし、光学的なスイッチによって構成されてもよい。第2格納スイッチ17は、表示画面に向かって左右方向の中心よりも右側に設けられ、第2格納スイッチ17が設けられている位置の収納部20に、タッチペン19が収納されているか否かを検出するスイッチである。第2格納スイッチ17は、検出結果をCPU10に送る。第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17は、取り出し検出部である。
【0035】
データバス18は、情報を伝送するためのデータバスであり、CPU10と、ROM11、RAM12、表示部13、操作部14、電源スイッチ15、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17との間での情報の送受信を可能とする信号線である。タッチペン19は、タッチパネル141に接触させ、接触した位置を指示するための指示具であり、たとえばタッチペンや人の指である。タッチペン19は、棒状に形成され、少なくとも長手方向一端部に先細状のペン先部が設けられる。計時部23は、時間を計時する。CPU10は、計時部23を参照することによって、時刻の認識および時間の計測を行うことができる。
【0036】
図3は、タッチペン19の収納方向を説明するための図である。図3(a)は、電子辞書1の正面側から見た図であり、図3(b)は、電子辞書1の背面側から見た図である。電子辞書1は、背面側に収納部20が形成される。収納部20は、電子辞書1の背面側上部に設けられている。収納部20は、表示画面に向かって左右方向に貫通する筒状の貫通孔である。収納部20は、背面左端に右開口部21が形成され、背面右端に左開口部22が形成されている。
【0037】
タッチペン19は、電子辞書1の左右方向の両側から収納可能であり、かついずれの側からも取り出し可能である。すなわち、左側および右側のいずれからでも収納可能であり、かつ取り出し可能である。
【0038】
図4は、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17が配置される位置を示す図である。第1格納スイッチ(以下「LSW」ともいう)16は、左開口部22に近接する位置で、かつ収納部20の貫通孔の側壁面に近接して、タッチペン19の収納および取り出しを妨げない位置に設けられる。第2格納スイッチ(以下「RSW」という)17は、右開口部21に近接する位置で、かつ収納部20の貫通孔の側壁面に近接して、タッチペン19の収納および取り出しを妨げない位置に設けられる。
【0039】
CPU10は、LSW16およびRSW17がタッチペン19を検出する順序によって、タッチペン19の収納方向および取り出し方向を判断する。すなわち、CPU10は、タッチペン19を収納する場合、LSW16が先にタッチペン19を検出し、RSW17がその後にタッチペン19を検出すると、タッチペン19が、電子辞書1の正面側からみて、左側から収納されたと判断し、RSW17が先にタッチペン19を検出し、LSW16がその後にタッチペン19を検出すると、タッチペン19が、電子辞書1の正面側からみて、右側から収納されたと判断する。
【0040】
また、CPU10は、タッチペン19を取り出す場合、LSW16が先にタッチペン19を検出しなくなり、RSW17がその後にタッチペン19を検出しなくなると、タッチペン19が、電子辞書1の正面側からみて、右側から取り出されたと判断し、RSW17が先にタッチペン19を検出しなくなり、LSW16がその後にタッチペン19を検出しなくなると、タッチペン19が、電子辞書1の正面側からみて、左側から取り出されたと判断する。
【0041】
すなわち、CPU10は、LSW16およびRSW17の検出結果が、収納部20から、タッチペン19の右端よりも左端が先に取り出されたことが検出されたことを示している場合、使用者は左利きであると判断することができる。また、CPU10は、LSW16およびRSW17の検出結果が、収納部20から、タッチペン19の左端よりも右端が先に取り出されたことが検出されたことを示している場合、使用者は右利きであると判断することができる。
【0042】
図5は、キーボード入力画面31および手書き入力画面32の例を示す図である。図5(a)は、キーボード入力画面31の一例を示す図である。キーボード入力画面31は、表示部13の表示画面に表示される。キーボード入力画面31には、「電子辞書」というタイトルと、キーボード入力文字表示欄311とが形成されている。キーボード入力文字表示欄311は、キーボードによって入力された文字を表示するための欄である。
図5に示したキーボード入力文字表示欄311には、文字列「読み」が表示されている。この「読み」は、「読みを入力してください」という使用者に対するメッセージである。入力された読みは、キーボード入力文字表示欄311に表示される文字列「読み」に続いて表示される。たとえば、「挨拶」に対する読みとして「あいさつ」が入力されると、キーボード入力文字表示欄311には、「読み あいさつ」と表示される。
【0043】
キーボード入力画面31は、電源が投入されている状態で、タッチペン19が収納部20に収納されたとき表示される。タッチペン19が収納部20に収納されたときにキーボード入力画面31を表示するのは、使用者がキーボードによる入力を望んでいると考えられるからである。また、電子辞書1のメニューには、キーボード入力画面31を表示させるための項目が用意されていれている。したがって、使用者は、タッチペン19を紛失した場合でも、メニューからキーボード入力画面31を表示させることができる。
【0044】
図5(b)は、手書き入力画面32の一例を示す図である。手書き入力画面32は、表示部13の表示画面に表示される。手書き入力画面32には、「電子辞書」というタイトルと、手書き入力欄321とが形成されている。手書き入力欄321は、タッチペン19によって手書きで文字を入力し、かつ手書きで入力された文字を表示するための欄である。
【0045】
手書き入力欄321には、手書き入力領域322、手書き入力文字表示欄323、自動ボタン324、手動ボタン325および認識ボタン326が設けられる。手書きによって入力された文字列「読み」が表示されている。手書き入力領域322は、手書きで文字を入力するための領域である。手書き入力文字表示欄323は、入力された手書き文字を表示する欄である。手書き入力領域322に文字を手書きで入力した後、認識ボタン326を操作することによって、入力された手書き文字を認識し、認識した文字が手書き入力文字表示欄323に表示される。図5(b)に示した手書き入力文字表示欄323には、文字列「読み」が表示されている。この「読み」は、図5(a)に示したキーボード入力文字表示欄311の「読み」と同じである。
【0046】
自動ボタン324は、手書き入力領域322に入力された手書き文字の認識を、自動的に、つまり認識ボタン326の操作とは関係なく電子辞書1が行うように設定するための操作ボタンである。手書き入力領域322に入力された手書き文字の認識を、利用者が手動で、つまり、認識ボタン326の操作によって行うように設定するための操作ボタンである。認識ボタン326は、手書き入力領域322に入力された手書き文字の認識を指示する操作ボタンである。
【0047】
文字入力が可能な画面、つまりキーボード入力画面31または手書き入力画面32を表示しているときに、主電源が切断された後、主電源が切断されているときに、収納部20からタッチペン19が取り出されたときは、主電源が投入され、主電源が投入された後、手書き入力画面32が表示される。収納部20からタッチペン19が取り出されたときに手書き入力画面32を表示するのは、使用者がタッチペン19による手書き入力を望んでいると考えられるからである。以下、主電源のことを、単に「電源」ともいう。
【0048】
図6は、右利き用および左利き用の手書き入力画面の例を示す図である。図6(a)は、左利き用の手書き入力画面32の一例を示す図である。図6(a)に示した左利き用の手書き入力画面32は、図5(a)に示した手書き入力画面32と同じであり、重複する部分の説明は省略する。左利き用の手書き入力画面32は、タッチペン19が左側から取り出されたときに表示される。
【0049】
左利き用の手書き入力画面32では、手書き入力領域322が表示画面内の左側に配置され、自動ボタン324、手動ボタン325および認識ボタン326が右側に配置されている。これは、使用者が左手で手書き入力領域322に手書き入力を行っているときに、使用者の左手が、誤って、自動ボタン324、手動ボタン325および認識ボタン326などに触れることがないようにするためである。
【0050】
図6(b)は、右利き用の手書き入力画面33の一例を示す図である。右利き用の手書き入力画面33は、タッチペン19が右側から取り出されたときに表示される。右利き用の手書き入力画面33では、手書き入力領域322が表示画面内の右側に配置され、自動ボタン324、手動ボタン325および認識ボタン326が左側に配置されている。これは、使用者が右手で手書き入力領域322に手書き入力を行っているときに、使用者の右手が、誤って、自動ボタン324、手動ボタン325および認識ボタン326などに触れることがないようにするためである。
【0051】
したがって、電子辞書1は、タッチペン19が取り出された方向によって、使用者の利き腕を判断し、利き腕に応じた手書き入力画面を表示することができ、使用者の利き腕に応じた最適な画面を表示することができる。
【0052】
図7は、ペン存在判断テーブル40に含まれる情報を示す図である。使用者は、タッチペン19を紛失した場合、電子辞書1専用のタッチペン19以外の別のタッチペン、または指で操作を行う可能性が高くなる。電子辞書1は、収納部20に収納可能な純正のタッチペン19を紛失すると、利き腕の判定を行うことができなくなる。そこで、電源オフ(以下「OFF」ともいう)時、および電源オン(以下「ON」ともいう)時のタッチペン19の収納状態からタッチペン19の存在を、ペン存在判断テーブル40に基づいて判定する。
【0053】
ペン存在判断テーブル40は、「OFF時」、「ON時」および「判定」の項目を含む。「OFF時」は、電源オフ時にタッチペン19が収納部20にあることが検出されたか否かを示す。「ペンなし」は、電源オフ時にタッチペン19が収納部20にあることが検出されなかったことを示し、「ペンあり」は、電源オフ時にタッチペン19が収納部20にあることが検出されたことを示す。
【0054】
「ON時」は、電源オン時にタッチペン19が収納部20にあることが検出されたか否かを示す。「ペンなし」は、電源オン時にタッチペン19が収納部20にあることが検出されなかったことを示し、「ペンあり」は、電源オン時にタッチペン19が収納部20にあることが検出されたことを示す。
【0055】
「判定」は、「OFF時」の状態と「ON時」の状態との組み合わせに応じて判定される結果を示す。具体的には、「OFF時」が「ペンなし」で、「ON時」が「ペンなし」であるとき、「判定」は、「ペン紛失の可能性あり」である。すなわち、タッチペン19が紛失している可能性があるということである。
【0056】
「OFF時」が「ペンなし」で、かつ「ON時」が「ペンあり」であるとき、「OFF時」が「ペンあり」で、かつ「ON時」が「ペンなし」であるとき、および「OFF時」が「ペンあり」で、かつ「ON時」が「ペンあり」であるとき、いずれも「判定」は、「ペン存在」である。「ペン存在」とは、タッチペン19が存在しているということである。ただし、「OFF時」が「ペンあり」で、かつ「ON時」が「ペンなし」であるときは、使用するために事前にタッチペン19が抜かれた可能性がある。
【0057】
「OFF時」が「ペンなし」で、かつ「ON時」が「ペンなし」であるときは、タッチペン19が紛失している可能性があるということであり、タッチペン19が紛失しているか否かが定かではない。そこで、電子辞書1は、タッチペン19が収納部20から取り出されてからの時間が、予め定める時間、たとえば24時間を超えた場合に、タッチペン19が紛失したと判定する。電子辞書1は、タッチペン19が紛失したと判定すると、使用者に利き腕を設定させるための後述する利き腕設定画面34を表示して、使用者に利き腕を設定させる。
【0058】
図8は、利き腕設定画面34の一例を示す図である。利き腕設定画面34は、図6(a)に示した左手用の手書き入力画面32の手書き入力欄321の上に、利き腕設定欄341を重ねて表示したものである。利き腕設定欄341には、「長時間ペンが戻されませんでした。あなたの利き腕はどちらですか?」というメッセージが表示され、選択肢として、[右利き]342および[左利き]343が表示されている。使用者は、タッチペン19によって選択肢[右利き]342を選択することによって、利き腕として右利きを設定し、タッチペン19によって選択肢[左利き]343を選択することによって、利き腕として左利きを設定することができる。
【0059】
利き腕設定画面34によって利き腕が設定された後、タッチペン19が収納部20に収納されたことが、第1格納スイッチ16または第2格納スイッチ17によって検出されるまで、利き腕設定画面34によって設定された利き腕に対応する手書き入力画面が表示される。タッチペン19が収納部20に収納されたことが、第1格納スイッチ16または第2格納スイッチ17によって検出されると、以後、タッチペン19が収納部20から取り出されたとき、タッチペン19が収納部20から取り出された方向に対応する利き腕の手書き入力画面が表示され、利き腕設定画面34による設定は無効となる。
【0060】
図9は、ペン取り出し処理の処理手順を示すフローチャートである。ペン取り出し処理は、タッチペン19が収納部20から取り出されたときに実行される処理である。第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17によって、タッチペン19が収納部20から取り出されたことが検出されると、ステップA1に移る。
【0061】
ステップA1では、CPU10は、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17から、タッチペン19が収納部20から取り出されたことを検出した旨を受け取る。ステップA2では、CPU10は、ペンが右側から取り出されたか否かを判定する。CPU10は、第1格納スイッチ16によってタッチペン19が収納部20から取り出されたことが検出された時刻が、第2格納スイッチ17によってタッチペン19が収納部20から取り出されたことが検出された時刻よりも早い時刻であるとき、ペンが右側から取り出されたと判定し、ステップA3に進む。CPU10は、第1格納スイッチ16によってタッチペン19が収納部20から取り出されたことが検出された時刻が、第2格納スイッチ17によってタッチペン19が収納部20から取り出されたことが検出された時刻よりも早い時刻でないとき、ペンが右側から取り出されなかった、つまり左側から取り出されたと判定し、ステップA6に進む。
【0062】
ステップA3では、CPU10は、利き腕情報ARM_INFOに、利き腕が右腕であることを示す「RIGHT」を記憶する。利き腕情報ARM_INFOは、利き腕が右腕であるか左腕であるかを表す情報であり、RAM12に記憶される。利き腕が左腕である場合は、利き腕情報ARM_INFOに、利き腕が左腕であることを示す「LEFT」が記憶される。
【0063】
ステップA4では、CPU10は、システムが文字を入力可能な状態であるか否かを判定する。CPU10は、システムが文字を入力可能な状態であるとき、ステップA5に進み、システムが文字を入力可能な状態でないとき、ペン取り出し処理を終了する。
【0064】
システムが文字を入力可能な状態とは、文字を入力可能な画面を表示している状態である。文字を入力可能な状態であるか否かは、文字を入力可能な画面を表示しているか否かによって判定することができる。文字を入力可能な画面であるか否かは、電子辞書1に実装されているアプリケーションプログラムによって決まる。
【0065】
画面には、メニューを操作するための画面、たとえば、辞書を選ぶための画面、辞書を引くために文字を入力する画面、検索した結果、たとえば辞書による訳を表示する画面などがあるが、メニューを操作するための画面や検索した結果を表示する画面を表示している状態は、システムが文字を入力可能な状態ではない。辞書を引くために文字を入力する画面を表示している状態は、システムが文字を入力可能な状態である。
【0066】
ステップA5では、CPU10は、後述する手書き入力画面表示処理を実行し、ペン取り出し処理を終了する。ステップA6では、CPU10は、CPU10は、利き腕情報ARM_INFOに、「LEFT」を記憶し、ステップA4に進む。
【0067】
図10は、電源オン処理の処理手順を示すフローチャートである。電源スイッチ15が電源投入指示を指示すると、ステップB1に移る。
【0068】
ステップB1では、CPU10は、ペンがあるか否かを判定する。CPU10は、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17のうちの少なくとも1つから、タッチペン19が収納部20に収納されていることを検出していることが知らされていると、ペンがあると判定し、ステップB2に進む。CPU10は、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17から、タッチペン19が収納部20に収納されていないことを検出していることが知らされていると、ペンがないと判定し、ステップB6に進む。
【0069】
ステップB2では、CPU10は、電源オン時フラグON_PEN_FLAGに、タッチペン19が収納部20に存在することを示す「FALSE」を記憶する。電源オン時フラグON_PEN_FLAGは、電源オン時にタッチペン19が収納部20に存在するか否かを示す情報であり、電源オン時にタッチペン19が収納部20に存在しない場合、電源オン時フラグON_PEN_FLAGに、タッチペン19が収納部20に存在しないことを示す「TRUE」を記憶する。
【0070】
ステップB3では、CPU10は、現在の時刻NOW()から電源オフ時刻OFF_TIMEを減算した時間が、予め定める時間、たとえば24時間(図10では「24Hour」という)よりも長いか否かを判定する。現在の時刻NOW()は、計時部23によって計時される現在の時刻である。電源オフ時刻OFF_TIMEは、最も直近に電子辞書1の電源が切断された時刻である。CPU10は、現在の時刻NOW()から電源オフ時刻OFF_TIMEを減算した時間が、予め定める時間、たとえば24時間(図10では「24Hour」という)よりも長いとき、ステップB4に進む。CPU10は、現在の時刻NOW()から電源オフ時刻OFF_TIMEを減算した時間が、予め定める時間、たとえば24時間(図10では「24Hour」という)よりも長くないとき、電源オン処理を終了する。
【0071】
ステップB4では、CPU10は、電源オン時フラグON_PEN_FLAGが「TRUE」であり、かつ電源オフ時フラグOFF_PEN_FLAGが「TRUE」であるか否かを判定する。CPU10は、電源オフ時フラグOFF_PEN_FLAGは、電源オフ時にタッチペン19が収納部20に存在するか否かを示す情報である。電源オフ時にタッチペン19が収納部20に存在しない場合、電源オフ時フラグOFF_PEN_FLAGに、タッチペン19が収納部20に存在しないことを示す「TRUE」が記憶される。電源オフ時にタッチペン19が収納部20に存在する場合、電源オフ時フラグOFF_PEN_FLAGに、タッチペン19が収納部20に存在することを示す「FALSE」が記憶される。
【0072】
CPU10は、電源オン時フラグON_PEN_FLAGが「TRUE」であり、かつ電源オフ時フラグOFF_PEN_FLAGが「TRUE」であるとき、すなわち、電源オン時にタッチペン19が収納部20に存在せず、かつ電源オフ時にタッチペン19が収納部20に存在しなかったとき、ステップB5に進む。CPU10は、電源オン時フラグON_PEN_FLAGが「TRUE」でないとき、または電源オフ時フラグOFF_PEN_FLAGが「TRUE」でないとき、すなわち、電源オン時にタッチペン19が収納部20に存在したとき、または電源オフ時にタッチペン19が収納部20に存在したとき、ステップB7に進む。
【0073】
ステップB5では、CPU10は、ペン認識モードPEN_MODEに、利き腕を手動で設定するための手動モードであることを示す「MANUAL」を記憶して、電源オン処理を終了する。ペン認識モードPEN_MODEは、利き腕を設定するモードが、自動モードであるか、手動モードであるか、または手動固定モードであるかを示す情報である。利き腕を設定するモードが、利き腕を自動で設定するモードであるとき、ペン認識モードPEN_MODEに、自動モードであることを示す「AUTO」が記憶される。手動モードで利き腕が設定されているとき、ペン認識モードPEN_MODEに、手動固定モードであることを示す「MANUAL_FIXED」が記憶される。
【0074】
ステップB6では、CPU10は、電源オン時フラグON_PEN_FLAGに、「TRUE」を記憶して、ステップB3に進む。ステップB7では、CPU10は、ペン認識モードPEN_MODEに、「AUTO」を記憶して、電源オン処理を終了する。
【0075】
図11は、電源オフ処理の処理手順を示すフローチャートである。電源スイッチ15から電源切断指示を受けると、ステップC1に移る。
【0076】
ステップC1では、CPU10は、ペンがあるか否かを判定する。CPU10は、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17のうちの少なくとも1つから、タッチペン19が収納部20に収納されていることを検出していることが知らされていると、ペンがあると判定し、ステップC2に進む。CPU10は、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17から、タッチペン19が収納部20に収納されていないことを検出していることが知らされていると、ペンがないと判定し、ステップC4に進む。
【0077】
ステップC2では、CPU10は、電源オフ時フラグOFF_PEN_FLAGに、「FALSE」を記憶する。ステップC3では、CPU10は、電源オフ時刻OFF_TIMEに、現在の時刻NOW()を記憶して、電源オフ処理を終了する。ステップC4では、CPU10は、電源オフ時フラグOFF_PEN_FLAGに、「TRUE」を記憶して、ステップC4に進む。
【0078】
図12は、リセット処理の処理手順を示すフローチャートである。リセット処理は、電子辞書1が何らかの原因でハングアップした場合に、たとえば、電子辞書1の背面に設けれるリセットスイッチが押されたとき、または乾電池で駆動する電子辞書1の場合に、乾電池の交換によって電子辞書1がリセットされたときに実行される。
【0079】
ステップD1では、CPU10は、電源オン時フラグON_PEN_FLAGに、「FALSE」を記憶する。ステップD2では、CPU10は、電源オフ時フラグOFF_PEN_FLAGに、「FALSE」を記憶する。ステップD3では、CPU10は、ペン認識モードPEN_MODEに、「AUTO」を記憶する。ステップD4では、CPU10は、利き腕情報ARM_INFOに、「RIGHT」を記憶して、リセット処理を終了する。
【0080】
図13は、使用者による手書きモード切り換え処理の処理手順を示すフローチャートである。ペンが紛失された状態では、キーボード入力画面31と手書き入力画面32との切り換えは使用者が行わなければない。使用者がメニュー等の操作で手書き入力画面32を表示させたときに、使用者による手書きモード切り換え処理が実行され、必要であれば利き腕を問い合わせるダイアログを表示する。
【0081】
ステップE1では、CPU10は、ペン認識モードPEN_MODEが「MANUAL」であるか否かを判定する。CPU10は、ペン認識モードPEN_MODEが「MANUAL」であるとき、ステップE2に進み、ペン認識モードPEN_MODEが「MANUAL」でないとき、ステップE4に進む。
【0082】
ステップE2では、CPU10は、使用者に利き腕の入力を要求し、利き腕を設定する。具体的には、CPU10は、たとえば図8に示した利き腕設定画面34を表示し、表示した利き腕設定画面34に応答して、タッチペン19によって選択肢[右利き]342が選択されると、利き腕情報ARM_INFOに「RIGHT」を設定し、タッチペン19によって選択肢[左利き]343が選択されると、利き腕情報ARM_INFOに「LEFT」を設定する。
【0083】
ステップE3では、CPU10は、ペン認識モードPEN_MODEに、「MANUAL_FIXED」を記憶する。ステップE4では、CPU10は、キー入力モードから手書きモード表示に切り換えて、使用者による手書きモード切り換え処理を終了する。すなわち、表示部13の表示画面に表示しているキーボード入力画面31を、手書き入力画面32に切り換えて、使用者による手書きモード切り換え処理を終了する。
【0084】
図14は、手書き入力画面表示処理の処理手順を示すフローチャートである。使用者による手書きモード切り替え処理、または図9に示したステップA5が実行されると、ステップF1に移る。
【0085】
ステップF1では、CPU10は、利き腕情報ARM_INFOが「RIGHT」であるか否かを判定する。CPU10は、利き腕情報ARM_INFOに、利き腕が右腕であることを示す「RIGHT」が記憶されていると、利き腕情報ARM_INFOが「RIGHT」であると判定し、ステップF2に進む。CPU10は、利き腕情報ARM_INFOに、利き腕が左腕であることを示す「LEFT」が記憶されていると、利き腕情報ARM_INFOが「RIGHT」でないと判定し、ステップF3に進む。
【0086】
ステップF2では、CPU10は、右利き用の手書き入力画面33を表示部13に表示して、手書き入力画面表示処理を終了する。ステップF3では、CPU10は、左利き用の手書き入力画面32を表示部13に表示して、手書き入力画面表示処理を終了する。
【0087】
図14に示した手書き入力画面表示処理では、手書き入力画面について、右利き用または左利き用の画面を出力したが、図14に示した処理は、手書き入力画面に限定されるものではなく、右利き用および左利き用の画面がある場合には、図14に示した手書き入力画面表示処理と同様の処理が行われる。
【0088】
図15は、収納部20の他の形態を示す図である。上述した実施形態では、収納部20を筒状に形成したが、筒状に限定されるものではなく、溝状あるいはクリップ状であってもよい。図15(a)は、収納部20を溝状に形成した電子辞書1aの一例である。電子辞書1aには、溝状に形成された凹部51が、電子辞書1aの正面下部に左右方向に設けられ、凹部51にタッチペン19が収納される。凹部51の長手方向両端部には、タッチペン19を長手方向に押圧する押圧部、たとえばばねが設けられ、タッチペン19は、該押圧部によって保持される。長手方向の左端の押圧部に、第1格納スイッチ16が設けられ、長手方向の右端の押圧部に、第2格納スイッチ17が設けられる。第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17は、タッチペン19が各押圧部によって押圧されているか否かを検出する。
【0089】
図15(b)は、収納部20をクリップ状に形成した電子辞書1bの一例である。電子辞書1bには、クリップ状に形成されたクリップ部52が、電子辞書1bの正面上部に設けられ、クリップ部52にタッチペン19が横方向に収納される。クリップ部52は、上部が開放しており、タッチペン19を挟持する。クリップ部52は、タッチペン19を左右いずれの方向からも挿入可能に形成される。第1格納スイッチ16は、クリップ部52の左端に設けられ、第2格納スイッチ17は、クリップ部52の右端に設けられる。
【0090】
このように、表示部13は、情報を表示する。タッチパネル141は、タッチペン19によって手書きされた情報を入力する。電源部は、表示部13およびタッチパネル141に電力を供給する。収納部20は、表示部13に向かって左右方向にタッチペン19を収納する。第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17は、タッチペン19が収納部20から取り外されたこと、およびタッチペン19の右端よりも左端が先に取り出されたか、タッチペン19の左端よりも右側が先に取り出されたかを検出する。そして、CPU10は、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17によってタッチペン19が取り出されたことが検出されたとき、電源部の電源を投入し、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17によってタッチペン19の右端よりも左端が先に取り出されたことが検出された場合、左手によって手書きで情報を入力するための左利き用の手書き入力画面を表示部13に表示し、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17によってタッチペン19の左端よりも右端が先に取り出されたことが検出された場合、右手によって手書きで情報を入力するための右利き用の手書き入力画面を表示部13に表示する。したがって、タッチペン19の取り出しによって利き腕に応じた画面表示を行うことができる。また、タッチペン19を取り出すだけで電源をオンにすることもでき、タッチペン19を利用した電源投入および利き腕に応じた手書き入力画面の切り換えを自動で行うことができる。特に、複数の使用者で共有される情報端末装置において、使用者による利き腕に応じた手書き入力画面の切り換え操作を省くことができ、使用者の利便性を向上することができる。
【0091】
さらに、電源スイッチ15は、前記電源部の電源の投入および電源の切断を指示する。第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17は、タッチペン19が収納部20に収納されていることをさらに検出する。そして、CPU10は、電源スイッチ15が電源の投入を指示した時点で、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17によって、タッチペン19が収納部20に収納されていることが検出されず、かつ電源スイッチ15が電源の切断を指示した時点で、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17によって、タッチペン19が収納部20に収納されていることが検出されなかった場合、タッチペン19が紛失した可能性があると判定する。また、CPU10は、電源スイッチ15が電源の投入を指示した時点で、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17によって、タッチペン19が収納部20に収納されていることを検出された場合、または、電源スイッチ15が電源の切断を指示した時点で、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17によって、タッチペン19が収納部20に収納されていることが検出された場合、タッチペン19が存在すると判定する。したがって、タッチペン19の紛失の可能性を検出することができる。
【0092】
さらに、計時部23は、時間を計時する。そして、CPU10は、タッチペン19が紛失した可能性があると判定した場合、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17が、タッチペン19が収納部20から取り出されたことを検出した時点から、タッチペン19が収納部20に収納されたことを検出することなく、計時部23によって計時された時間が、予め定める時間を超えたとき、手書き入力画面を右利き用にするか、左利き用にするかを設定するための設定画面を表示部13に表示する。したがって、タッチペン19が紛失されたと判断されるとき、右利き/左利きを設定するための画面を自動的に表示することができ、タッチペン19を紛失しても、情報端末装置が使用不能になることを防止することができる。
【0093】
さらに、キーボード142は、情報を入力するための複数のキーを有する。第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17は、タッチペン19が収納部20に収納されたことをさらに検出する。そして、CPU10は、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17によって、電源が投入されている状態でタッチペン19が収納部20に収納されたことが検出されたとき、表示部13に表示している手書き入力画面を、キーボード142によって情報を入力するためのキーボード入力画面に代えて、表示部13に表示する。したがって、タッチペン19が収納されたとき、タッチペン19が使用されることはないので、自動的に手書き入力画面からキーボード入力画面に切り換えることができる。
【0094】
さらに、収納部20は、筒状であるので、タッチペン19を確実に収納することができる。
【0095】
さらに、収納部20は、溝状であるので、筒状の場合に比べて、容易に収納部20を形成することができる。
【0096】
さらに、収納部20は、クリップ状であるので、筒状および溝状に比べて、収納部20を小さくすることができる。
【0097】
さらに、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17は、複数のスイッチによって構成されるので、検出の順序に基づいて、収納方向および取り出し方向を検出することができる。
【0098】
さらに、第1格納スイッチ16および第2格納スイッチ17は、2つのスイッチによって構成されるので、スイッチの数を必要最小限まで低減することができ、減価低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 電子辞書
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 表示部
14 操作部
15 電源スイッチ
16 第1格納スイッチ
17 第2格納スイッチ
18 データバス
19 ペン
20 収納部
21 右開口部
22 左開口部
23 計時部
141 タッチパネル
142 キーボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示するための表示部と、
タッチペンによって手書きで情報を入力するためのタッチパネルと、
表示部およびタッチパネルに電力を供給する電源部と、
表示部に向かって左右方向にタッチペンを収納する収納部と、
タッチペンが収納部から取り外されたこと、およびタッチペンの右端よりも左端が先に取り出されたか、タッチペンの左端よりも右側が先に取り出されたかを検出する取り出し検出部と、
取り出し検出部によってタッチペンが取り出されたことが検出されたとき、電源部の電源を投入し、取り出し検出部によってタッチペンの右端よりも左端が先に取り出されたことが検出された場合、左手によって手書きで情報を入力するための左利き用の手書き入力画面を表示部に表示し、取り出し検出部によってタッチペンの左端よりも右端が先に取り出されたことが検出された場合、右手によって手書きで情報を入力するための右利き用の手書き入力画面を表示部に表示する制御部とを含むことを特徴とする情報端末装置。
【請求項2】
前記電源部の電源の投入および電源の切断を指示する電源投入切断指示部をさらに含み、
前記取り出し検出部は、タッチペンが前記収納部に収納されていることをさらに検出し、
前記制御部は、
電源投入切断指示部が電源の投入を指示した時点で、前記取り出し検出部によって、タッチペンが前記収納部に収納されていることが検出されず、かつ電源投入切断指示部が電源の切断を指示した時点で、前記取り出し検出部によって、タッチペンが前記収納部に収納されていることが検出されなかった場合、タッチペンが紛失した可能性があると判定し、
電源投入切断指示部が電源の投入を指示した時点で、前記取り出し検出部によって、タッチペンが前記収納部に収納されていることを検出された場合、または、電源投入切断指示部が電源の切断を指示した時点で、前記取り出し検出部によって、タッチペンが前記収納部に収納されていることが検出された場合、タッチペンが存在すると判定することを特徴とする請求項1に記載の情報端末装置。
【請求項3】
時間を計時する計時部をさらに含み、
前記制御部は、タッチペンが紛失した可能性があると判定した場合、前記取り出し検出部が、タッチペンが収納部から取り出されたことを検出した時点から、タッチペンが収納部に収納されたことを検出することなく、計時部によって計時された時間が、予め定める時間を超えたとき、手書き入力画面を右利き用にするか、左利き用にするかを設定するための設定画面を表示部に表示することを特徴とする請求項2に記載の情報端末装置。
【請求項4】
情報を入力するための複数のキーを有するキーボードをさらに含み、
前記取り出し検出部は、タッチペンが前記収納部に収納されたことをさらに検出し、
前記制御部は、前記取り出し検出部によって、電源が投入されている状態でタッチペンが前記収納部に収納されたことが検出されたとき、表示部に表示している手書き入力画面を、キーボードによって情報を入力するためのキーボード入力画面に代えて、表示部に表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の情報端末装置。
【請求項5】
前記収納部は、筒状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の情報端末装置。
【請求項6】
前記収納部は、溝状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の情報端末装置。
【請求項7】
前記収納部は、クリップ状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の情報端末装置。
【請求項8】
前記取り出し検出部は、複数のスイッチによって構成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の情報端末装置。
【請求項9】
前記取り出し検出部は、2つのスイッチによって構成されることを特徴とする請求項8に記載の情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−226713(P2012−226713A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96504(P2011−96504)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】