説明

情報管理システム及び情報管理方法

【課題】 紙の書類と、電子データと、建築物や建築資材等の物体とを相互に関連づけ、効率的に管理すると共に、書類に表示された内容に関連する電子データを簡単に検索して参照できる情報管理システムを提供する。
【解決手段】 建物の平面図に表示された室の中央付近には、利用者からの要求に基づき発行されたタグ・コードを含む2次元コードが印刷されている。利用者は、読取装置40により、図面から2次元コードを読み取ってタグ・コードを復号化する。復号化されたタグ・コードは、検索用端末30からサーバ装置10へ送信され、サーバ装置10では、情報の検索を行って室Rに関連するデータを抽出する。抽出されたデータは検索用端末30に送信され、検索用端末30は、適切なアプリケーションを立ち上げてこのデータを表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木または建築に係る管理対象に関する情報を管理し利用するための情報管理システム及び情報管理方法に係り、特に、電子データと、物品と、紙や紙状の情報媒体からなる書類とを、タグ・コードによって互いに関連づけて効率的に管理し利用することが可能な情報管理システム及び情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物の計画から設計、施工、竣工後の維持管理にわたるライフサイクルの中で、様々な電子データが様々な目的で作成され利用されている。このような電子データは、建築物のライフサイクル全体にわたるプロセスにおいて、膨大な量が作成される。例えば、CADによる設計図面のデータ、現場工事のデジタル写真や監督官庁に提出するドキュメント、クライアントとの打合せなどの会議記録、スケジュールの進捗状況の管理データなど、様々な形式の電子データが大量に作成されている。
そこで、これら様々な形式の大量のデータを一元的に管理運用することを目的とした技術やシステム(例えばファイリング・システムなど)が作成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、電子データはコンピュータという空間の中に生成された情報であり、一方、建築物を建設、維持管理する行為は現実の空間の中の物体を扱う行為である。そのため、電子データと建築物あるいはそれに関わる様々な実態との関係性をどのように管理するかということが問題となっている。なお、本明細書において、建築物あるいはそれに関わる実態とは、例えば建築物そのもの以外に、建築物を構成する部品や部材、建築物の中で利用される机や椅子などといった備品、さらには建築のライフサイクルの中で作成される建築設計図面などを印刷した設計図書などの書類や、その電子データを納めたCD−ROMやFDなどの電子記憶媒体、などの物品を示す。
【0004】
建築物の設計や工事、維持管理に携わる人々は、コンピュータの中の情報と実際の建築物とを関連付けるためのインターフェイスとしての機能を、教育や訓練を通じて身につけており、自らがその機能の役割を担っている。しかし、現在では、建築物はより巨大化し、情報化に対応すべくより複雑化され、より高度な構法が用いられ、また、より複雑な機能を有するものとなっている。これに伴い、扱うべき建築資材や備品などの種類及び量は膨大なものとなり、扱うべき情報量もまた複雑かつ膨大となっている。
そこで、電子データと建築資材などの実態とを関連付けるためのシステムが作成され、インターフェイスとしての人間の能力を補う機能を提供している(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−297691号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】特開2001−350807号公報(第2−5頁、図4)
【0005】
特許文献1に記載の建築用資料管理システムは、画像読取手段を用いて読み取った画像に、単一または複数の検索項目から成るキーワード情報を付加して登録するものである。このように構成すると、大量の建築図面や資料を画像形式の電子データとして統一して管理することができる。また、大量の建築図面や資料に対するキーワード付与及び分類を、データベース作成段階で行うことができる。また、データベースに登録された電子データを簡単に検索・表示することができる。従って、大量に蓄積されていくデータを効率的に管理し、利用することができる。
【0006】
また、特許文献2に記載の建築部材の製造ならびに搬入システムは、CADで作成した図面データから必要な建築部材を部屋ごとに拾い出し、連番を付与して発注し、発注された建築部材には連番が記録されたバーコードラベルを設置するものである。
このように構成すると、CADデータから必要な情報を自動的に拾い出して製造工程に渡すことができるので、製造工場に間違いのない情報を渡すことができる。また、ラベルを参照することにより、建築部材の搬入先を確認することができるので、施工現場へ建築部材を間違いなく搬入することができる。これにより、非常に多くの部材を扱う場合でも、それらを間違いなく効率的に管理することができ、建築部材の製造から搬入までの工程をスムーズに行うことができる。従って、トラブルを防止することができる。また、必要に応じて、ラベルに記録された連番をキー情報としてデータを検索することにより、ラベルに記載しきれない仕様情報を容易に確認することができる。
【0007】
そしてまた、建築物の維持・管理を行うシステムとして、FM(施設管理)と呼ばれるシステムがある。これは、建物を構成する部材や電気・空調等の設備、さらには机や椅子などのファーニチャー等もコンピュータにより管理するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の建築用資料管理システムは、大量の建築図面や資料を電子データに変換して一括管理することができるものであるが、建築物や建築資材などの物体と電子データとを関連付けるシステムを提供するものではない。
また、特許文献2の建築部材の製造ならびに搬入システムは、バーコードに格納された連番をキー情報として、電子データと物体としての建築資材とを関連付けるものであるが、紙に出力された図面や仕様書などの書類までも含めて一元的に管理することができるものではない。
【0009】
印刷された出力図面などに代表される紙や紙状の物体からなる書類は、データの電子化が進んだ現在でも、建築物の計画から設計、施工、竣工後の維持管理にわたるプロセスにおいて、重要な情報媒体として扱われ、多用されている。即ち、CADによる設計が進み、多くの情報が当初から電子データとして生成される現在においても、このような電子データは、多くの場合、一度プロッターやプリンタを利用して印刷してから利用される。
その理由は、コンピュータのスクリーン上では、図面全体の情報を見渡して読みとることが印刷物などの書類と比して難しいという「情報の一覧性の問題」にあると考えられる。また、建設現場やクライアントとの打合せなど、コンピュータが常設された環境以外での情報の利用といった「情報の可搬性の問題」にあると考えられる。
【0010】
これらの問題に対しては、高解像度のモニタの開発やソフトウェアによる情報表示技術の向上、あるいは持ち運び容易なコンピュータ機器の開発、といった印刷物などの書類とは異なる情報利用手段の開発及び機能向上による解決も図られている。しかし、このような解決手段は、現在のところはまだ紙や紙状の物体からなる書類に匹敵するほどの利便性を提供しているとは言い難い。また、「紙」というメディアに長いこと慣れ親しんできた文化的・習慣的な背景もあり、紙に表示した形態で情報を利用したいという需要は依然として多い。
【0011】
しかしながら、紙や紙状の物体からなる書類へのアプローチとしては、特許文献1に記載のように、スキャナによる電子データ化を行った上での管理方法は提案されているが、紙などの書類と、電子データや建築物、建築資材などの物体とを関連付けて合理的に管理するシステムは提供されていない。
【0012】
従って、紙や紙状の物体に表示した、例えば図面や仕様書などに表示された情報に関連付けられた電子データを取得して端末装置等に表示させようとすると、図面や仕様書から目視で読み取った情報を手入力して、データベースの検索を行う必要があった。そして、このような方法では、情報の取得に手間を要するという問題点があった。また、入力ミスにより間違った情報を取得してしまうという危険性があった。また、電子データが格納されたデータベースについて検索方法などの知識を有する人間でないと、的確に欲しいデータを引き出すことができない等の問題点があった。
【0013】
本発明では、上記のような問題点に鑑み、現在でも重要な情報媒体としての「紙」と、電子データと、建築物や建築資材等の物品とを相互に関連づけ、効率的に管理すると共に、紙などの書類に表示された情報に関連する電子データを、簡単に参照できる情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、請求項1に記載の情報管理システムによれば、サーバと、前記サーバとネットワークを介して通信を行うことにより、土木又は建築に係る管理対象に関連するデータを前記サーバから取得して表示する端末と、前記管理対象を特定するタグ・コードが格納された情報格納手段と、を備えた情報管理システムであって、前記端末は、前記管理対象に関連するデータを表示する情報表示手段と、前記情報格納手段から前記タグ・コードを読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取ったタグ・コードを含む検索指令を前記サーバに送信する検索指令送信手段と、を備え、前記サーバは、前記タグ・コードと前記管理対象に関連するデータとを対応付けて登録した情報データベースを有する情報管理手段と、前記検索指令に基づき、前記情報データベースを検索して抽出したデータを前記端末に送信する検索手段と、を備え、前記情報格納手段は、前記管理対象の情報を表示した紙または紙状の物体からなる書類と、該書類に表示された情報に係る物品と、に添付可能に構成されること、により解決される。
【0015】
このように、請求項1に記載の情報管理システムは、管理対象を特定するタグ・コードが格納された情報格納手段を備え、この情報格納手段を、前記管理対象の情報を表示した紙または紙状の物体からなる書類と、該書類に表示された情報に係る物品と、にそれぞれ添付可能に構成されている。そして、この書類または物品に添付された情報格納手段から、管理対象を特定するタグ・コードを読み取ってサーバに送信し、これに基づき、書類や物品に表示された内容に関連する情報を、情報データベースを検索して抽出し、端末に表示することができる。
【0016】
このように構成すると、管理対象に関連する情報を、紙または紙状の物体からなる書類に表示した状態で利用すると共に、この書類と、情報データベースに登録された電子データとを関連付けて管理することができる。そして、書類と端末が手元にあれば、書類に表示された内容に関する情報を簡単に抽出して端末に表示させ、利用することができる。
また、タグ・コードを格納した情報格納手段は、上記書類のほかに、上記書類に表示された管理対象に係る物品そのものにも添付可能とされている。これにより、管理対象に係る物品と端末が手元にあれば、この物品に関して、必要な情報を、随時抽出して端末に表示させることができる。更にまた、書類と物品のそれぞれから取得した情報を照合することもできる。
【0017】
従って、請求項1に記載の情報管理システムによれば、管理対象の情報が表示された紙または紙状の物体からなる書類、管理対象に係る電子データ、管理対象に係る物品の3要素を、タグ・コードによって相互に関連付けて一元的に管理することができる。
また、情報格納手段に格納されたタグ・コードは、読取手段により読み取り可能に構成されているので、検索に用いる情報の入力作業が自動化される。従って、検索の手間を省くことができる。また、データベースに関する知識がなくても検索を行うことができる。よって、専門家でなくても情報を容易かつ確実に利用することができる。
【0018】
また、請求項2に記載のように、前記書類には、前記情報格納手段が複数添付されており、前記情報格納手段は、該情報格納手段に格納されるタグ・コードにより特定される管理対象の情報が表示される表示領域の内側の空白部,前記表示領域の近傍,前記表示領域に所定の引き出し線または記号によって対応付けられた領域,のいずれかに添付されている。
このように構成すると、書類に複数の管理対象の情報が表示されているときに、各々の表示位置に対応付けられた位置に情報格納手段を添付することができる。従って、複数の管理対象の各々について、各々を特定するタグ・コードを誤りなく読み取ることができ、書類に表示された内容に関連する情報を誤りなく取得して利用することができる。
【0019】
また、請求項3に記載のように、前記サーバは、利用者から正規のユーザ情報及び新規タグ・コード発行要求の入力があったことに基づき、新たな管理対象に係るデータを取得するデータ取得手段と、前記データ取得手段により取得したデータに基づき、前記新たな管理対象に係る企業を特定する企業コード,前記新たな管理対象に係るプロジェクトを特定するプロジェクトコード,の少なくともいずれかを含む複数のコードを生成して結合することにより、前記情報データベースに既に登録された管理対象から前記新たな管理対象を識別して特定するタグ・コードを生成して出力するタグ・コード発行手段と、を備えた構成とすることができる。
このように構成すると、利用者は、必要な情報を入力することにより、新たな管理対象に対して一意に割り振られたタグ・コードの発行を受けることができる。
【0020】
また、請求項4に記載のように、請求項3に記載の情報管理システムは、前記タグ・コード発行手段により出力されたタグ・コードを、前記情報格納手段に格納し、前記新たな管理対象の情報が表示された書類,該書類に表示された情報に係る物品,の所定位置にそれぞれ添付可能とするタグ・コード付与手段をさらに備えて構成することができる。
このように構成すると、新たな管理対象を特定するタグ・コードの発行を受けた利用者は、そのタグ・コードを情報格納手段に格納して書類または物品に添付することができる。これにより、書類または物品と端末が手元にあれば、必要な情報を随時サーバから取得して端末に表示させることができる。
【0021】
そして、請求項5に記載のように、前記検索指令には、前記情報表示手段で表示可能なデータの種類についての情報が含まれ、前記サーバは、前記検索指令に基づき、前記検索手段により抽出されたデータを前記情報表示手段で表示可能な種類のデータに変換する情報変換手段を備えて構成することができる。
このように構成すると、検索によって抽出されたデータを、サーバ側で予め端末で表示するのに適したデータに自動的に変換してから端末に送信することができる。従って、端末側では常に適切なデータ表示を行うことができ、好適である。
【0022】
また、請求項6に記載のように、前記書類は、より具体的には土木図面または建築図面からなる。土木図面または建築図面に表示される情報は、一般に、一覧性や可搬性の要求が高い。すなわち、建築図面は、一般に、A2サイズ等の寸法の大きい書類として作成される。従って、通常のオフィスコンピュータが備えるモニタ等の情報表示手段に表示された形態では、通常の縮尺で図面全体を一覧することができない。また、土木図面または建築図面は、建設現場などのコンピュータ端末が常設された環境以外での利用も多い。従って、電子データ化して利用するよりも、印刷物などの紙に表示された形態の方が利用しやすい。
そこで、このような情報は、本発明のように構成すると、紙または紙状の物体からなる書類に表示した状態で利用しつつ、関連する情報を容易にサーバから取得して端末に表示させることができるので、好適である。
【0023】
また、請求項7に記載のように、より具体的には、前記情報格納手段はバーコードからなり、前記読取手段はバーコードリーダからなる構成とすることができる。また、請求項8に記載のように、前記情報格納手段は2次元コードからなり、前記読取手段は2次元コードリーダからなる構成とすることができる。また、請求項9に記載のように、前記情報格納手段はICタグからなり、前記読取手段はICタグリーダからなる構成とすることができる。
【0024】
そして、請求項10に記載の情報管理方法によれば、前記課題は、請求項1に記載の情報管理システムにより、サーバと端末との間でネットワークを介して通信を行い、土木又は建築に係る管理対象に関連するデータが登録された情報データベースから抽出したデータを端末に表示する情報管理方法であって、利用者から正規のユーザ情報を含む新規タグ・コード発行要求の入力があったことに基づき、新たな管理対象に係るデータを取得するデータ取得工程、前記データ取得工程において取得したデータに基づき、前記新たな管理対象に係る企業を特定する企業コード,前記新たな管理対象に係るプロジェクトを特定するプロジェクトコード,の少なくともいずれかを含む複数のコードを生成して結合することにより、前記情報データベースに既に登録された管理対象から前記新たな管理対象を識別して特定するタグ・コードを生成して出力するタグ・コード発行工程、前記タグ・コード発行工程において発行された新たなタグ・コードと前記新たな管理対象に関するデータとを対応付けて前記情報データベースに登録する情報登録工程、前記新たなタグ・コードを情報格納手段に格納し、前記新たな管理対象の情報を表示する紙または紙状の物体からなる書類,該書類に表示された情報に係る物品,の少なくともいずれかの所定位置に添付するタグ・コード付与工程、前記書類または前記物体に付された情報格納手段から前記タグ・コードを読み取る読み取り工程、前記読み取り工程において読み取ったタグ・コードを含む検索指令を前記サーバに送信する検索指令送信工程、前記検索指令に基づいて前記情報データベースを検索してデータを抽出する検索工程、前記検索工程において抽出したデータを前記情報表示手段で表示可能なデータに変換する情報変換工程、前記管理対象に関連付けられたデータを受信して前記端末が備える情報表示手段に表示する情報表示工程を行うこと、により解決される。
このような方法により、請求項1について説明したのと同様に、書類と端末が手元にあれば、書類に表示された内容に関する情報を簡単に抽出して端末に表示させ、利用することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、以下のような効果を奏する。
(イ)本発明の情報管理システム及び情報管理方法によれば、土木又は建築に係る管理対象に関連する情報を、紙や紙状の物体からなる書類に表示した状態で利用しつつ、この書類とこの書類に表示された内容に係る電子データとをタグ・コードにより関連付けて効率的に管理することができる。
また、新たな管理対象が加わったときには、利用者から必要な情報の入力を受け付けることにより、新たな管理対象に対して一意に割り振られたタグ・コードを発行することができる。これにより、新たな管理対象を既存の管理対象と識別して特定し、管理することができる。
【0026】
(ロ)また、本発明の情報管理システム及び情報管理方法によれば、書類と携帯端末が手元にあれば、この書類に表示された内容に関連する情報をサーバにおいて検索し、サーバから取得した関連情報を端末に表示させ、利用することができる。サーバと端末との間で通信を行うためのネットワークは、LAN、インターネット等により構成できるので、どこでも、いつでもタグ・コードを参照し、情報検索を行うことができる。また、用途や利用場所に応じた端末を選択して検索に使用することができる。
また、検索に用いるタグ・コードは、読取手段によって読み取り可能に構成されている。従って、検索に用いる情報の入力作業が自動化される。これにより、検索の手間を省くことができる。また、タグ・コードに関連する情報が自動的に抽出されるので、データベースに関する知識がなくても検索を行うことができる。よって、書類に表示された内容に関連する情報を容易かつ確実に利用することができる。
【0027】
(ハ)また、本発明の情報管理システム及び情報管理方法によれば、書類に複数の管理対象の情報が表示されているときに、各々の情報に対応付けられた位置に情報格納手段を添付することができる。従って、書類に複数の管理対象の情報が表示されていても、各々の管理対象を特定するタグ・コードを誤りなく読み取ることができる。よって、書類に表示された内容に関連する情報を誤りなく取得して利用することができる。
【0028】
(ニ)また、本発明の情報管理システム及び情報管理方法では、検索によって抽出されたデータを、サーバ側で予め端末で表示するのに適したデータに自動的に変換してから端末に送信することができる。従って、端末側では常に適切なデータ表示を行うことができる。
【0029】
(ホ)また、本発明の情報管理システム及び情報管理方法では、タグ・コードを格納した情報格納手段が、管理対象の情報が表示された書類のほかに、書類に表示された管理対象に係る物品そのものにも添付可能とされている。これにより、管理対象の情報が表示された書類、管理対象に係る電子データ、管理対象に係る物品の3要素を、タグ・コードによって相互に関連付けて効率的に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。また、以下に説明する配置、形状等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1乃至図15は本発明の一実施形態を示す図で、図1は本実施形態の情報管理システムSの全体構成を示す説明図、図2は本実施形態のタグ・コードに基づく情報検索を示す説明図である。また、図3乃至図6は、それぞれ、本実施形態の情報管理システムSにおけるサーバ装置、登録用端末、検索用端末、及び読取装置の構成を示すブロック図である。
また、図7は本実施形態の情報管理システムSにおいて各種情報を関連付けて管理するためのデータベースの構成を示す説明図、図8は各種管理対象及び情報を関連付けるためのタグ・コードの構成を示す説明図、図9及び図10は本実施形態の情報管理システムSが行うタグ・コード発行処理を示すフローチャートである。
また、図11はタグ・コードが格納された情報格納手段としての2次元コードが付された建築図面を示す説明図、図12は書類にタグ・コードが格納された2次元コードを添付するタグ・コード設置処理を示すフローチャートである。
また、図13及び図14はタグ・コードに基づく情報検索処理を示すフローチャート、図15は本実施形態のデータベースに含まれるデータ対応テーブルの一例を示す説明図である。
【0031】
(情報管理システム)
本実施形態の情報管理システムSは、土木又は建築の設計や工事、維持管理に携わる個人や法人などの利用者により利用されるもので、土木又は建築に係る各種の管理対象に関する各種要素のうち、「書類」「電子データ」「物品」の3要素を、タグ・コードにより相互に関連付けて管理するものである。そして、図2に示すように、このタグ・コードを読取装置によって読み取り可能な形態で書類や物品などの各要素に添付し、読み取ったタグ・コードに含まれる情報をキー情報としてデータベースから情報を抽出し、端末装置で利用可能とするものである。
【0032】
本明細書において、土木又は建築に係る管理対象とは、土木又は建築に係る各種要素の中から任意に設定することができるものとされ、例えば、土木又は建築の設計、施工、維持管理などに係る各種業務、これらの業務の対象物、これらの業務を行うための情報や物品などを設定することができる。
例えば、建築物の一部または全体を管理対象とすることができる。また、建築物の一部を構成する各部位の工事を行う業務を管理対象とすることができる。また、完成した建物の一部のメンテナンス業務を管理対象とすることができる。また、建築物の所定部位に用いられる資材を管理対象とすることもできる。
【0033】
また、本明細書において、管理対象に関する各種要素としての「電子データ」とは、管理対象のライフサイクルの中で作成される電子データであって、上述した管理対象に関連する情報を含むデータであればどのようなものであってもよいが、例えば、CADによる設計図面のデータ、現場工事のデジタル写真や監督官庁に提出するドキュメント、クライアントとの打合せなどの会議記録、スケジュールの進捗状況の管理データ、構造計算データ、建築物を構成する部品や部材の仕様や技術情報のデータ、施工要領書のデータなど、様々な内容及び形式の電子データが考えられる。
【0034】
また、本明細書において、管理対象に関する各種要素としての「書類」とは、紙または紙状の物体からなるものであって、上述した管理対象に関連する情報を表示した書類であればどのようなものであってもよいが、例えば、上記の電子データを紙または紙状の物体に印刷した建築図面、設計図書、申請図面、議事録、工程表、工事記録、構造計算書、施工要領書、見積書、納品書、仕様書、試験成績書などが考えられる。
【0035】
そしてまた、本明細書において、管理対象に関する各種要素としての「物品」とは、上述した管理対象に関連する物品であればどのようなものであってもよいが、例えば、建築物の全体または一部の部位、建築物を構成する部品や部材、建築物の中で利用される机や椅子などといった備品、建築物の施工や管理において利用される工具や治具、さらには上記の電子データを納めたCD−ROMやFDなどの電子記憶媒体、などが考えられる。このような物品についての情報は、上記の「書類」に表示された形態で利用されることがある。つまり、このような、管理対象に関する各種要素としての「物品」が、本発明の「書類に表示された情報に係る物品」に相当する。
【0036】
まず、情報管理システムSの全体構成について説明する。
図1に示すように、情報管理システムSは、サーバ装置10と、登録用端末20と、検索用端末30と、後述するタグ・コードを読み取るための読取装置40を備えて構成されている。登録用端末20及び検索用端末30は、それぞれ、インターネット又は専用回線網、あるいはLAN等の通信回線Iを介してサーバ装置10と接続されている。また、読取装置40は検索用端末30とデータを送受信可能に構成されている。
なお、このサーバ装置10が本発明のサーバに相当し、検索用端末30が本発明の端末に相当し、読取装置40が本発明の読取手段に相当する。
【0037】
次に、サーバ装置10の構成について説明する。
図3に示すように、サーバ装置10は、各種データ及びプログラムが記憶された記憶部11と、通信回線Iとの入出力インターフェースであるモデム等からなる通信部12と、記憶部11に格納されたプログラムを読み出してこのプログラムに基づき各種の処理を行うためのCPUを備えた制御部13と、を有している。このサーバ装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、汎用コンピュータなどにより構成することができる。
【0038】
記憶部11は、例えば、ROM11a、RAM11b、HDD11cを備えて構成されている。ROM11aには、タグ・コードの発行処理、タグ・コードをキー情報とした情報の検索処理、検索により抽出された情報の変換処理及び送信処理などを行うための各種プログラムが格納されている。また、RAM11bは、一時的にデータを記憶する作業領域として使用されている。
【0039】
HDD11cには、タグ・コードを構成する各種コード及びそれらに関連付けられた各種情報が格納される情報データベースと、タグ・コードの正しさ及び整合性を確認するための管理データベースが格納されている。これらはデータベース管理ソフトウェア(DBMS)によって操作及び管理される。
図7に示すように、情報データベースは、企業基本情報データベース、ユーザ管理データベース、プロジェクト管理データベース、サブプロジェクト管理データベース、データ管理データベース、等の複数のデータベースを備えている。また、管理データベースは情報データベースとは独立して管理されている。これらのデータベースから、データベース管理ソフトウェア(DBMS)を構成するプログラムに基づき、タグ・コードに含まれるキー情報を利用して、データの検索及び抽出を行うことができる。
また、情報データベースには、後述するように、タグ・コードと種々の関連データを対応付けて登録したデータ対応テーブルが含まれる。このデータ対応テーブルは、データ管理データベースに含まれるように構成することもできる。
この情報データベースが本発明の情報データベースに相当し、データベース管理ソフトウェアが本発明の情報管理手段及び検索手段に相当する。
【0040】
なお、データベースは、サーバ装置10の記憶部11に全て格納される構成とするほか、一部をサーバ装置10に通信回線Iを介して接続された外部のコンピュータまたは記憶装置に格納する構成としてもよい。この場合、サーバ装置10を介して外部の装置に格納されたデータベースの内容を検索する。また、上記データベースには、外部のデータベースに格納された情報を検索可能なインデックス情報を格納してもよい。このようにすると、タグ・コードをキー情報として、本実施形態の情報管理システムS内に記憶された情報だけでなく、外部のデータベースに格納された情報を検索して抽出し、適切な形式のデータに変換して利用者に送信することができる。
【0041】
次に、登録用端末20の構成について説明する。
登録用端末20は、通信回線Iを介してサーバ装置10との間で各種データを送受信可能に構成されている。利用者は、この登録用端末20からサーバ装置10にユーザIDやパスワード、情報データベースに追加登録するデータなどの各種データを送信する。また、サーバ装置10から、これらの各種データに基づいて新たに生成されたタグ・コードのデータを受信する。
なお、この登録用端末20を省略して、検索用端末30から各種データをサーバに送信するとともに、検索用端末30において新たに生成されたタグ・コードのデータを受信するように構成することもできる。あるいは、サーバ装置10に、利用者がデータを入力するための入力部を設け、直接各種データを入力可能に構成してもよい。
【0042】
図4に示すように、登録用端末20は、利用者がデータを入力するための入力部21と、CRT、LCDパネル等からなる表示部22と、通信回線Iとの入出力インターフェースであるモデム等からなる通信部23と、各種データやプログラムが記憶された記憶部24と、これらを制御するCPUを備えた制御部25と、プリンタ等の出力装置からなる出力部26を備えている。この登録用端末20は、例えばプリンタ及びプリンタに直接またはネットワークを介して接続されたパーソナルコンピュータから構成されている。また、パーソナルコンピュータに代えて、ワークステーション、汎用コンピュータなどにより構成することができる。
入力部21は、マウス、キーボード等から構成されている。また、入力部21は、スキャナ、電子記憶媒体読取装置等のデータ取込装置を備えていてもよい。このように構成すると、サーバ装置10に送信する電子データを登録用端末20に取り込むことができる。
【0043】
出力部26は、例えばレーザープリンタなど、紙に書類を印刷するためのプリンタ装置を備えて構成されている。登録用端末20の制御部25は、記憶部24に格納されたプログラムに基づき、サーバ装置10から取得したタグ・コードが格納されたバーコードあるいは2次元コードのイメージデータを作成する。そして、このイメージデータを、電子データとして作成した書類上に配置し、紙に印刷して出力する。これにより、紙の書類に直接タグ・コードが格納された情報格納手段としてのバーコードあるいは2次元コードを印刷することができる。このようにして、紙の書類と情報データベースに登録された電子データを、タグ・コードをキー情報として関連付けることができる。
なお、フィルムや紙以外の素材からなるボードなどの紙状の物体を書類として使用する場合には、そのような素材に印刷可能な出力装置を備えた構成とすることができるのは勿論である。
【0044】
また、出力部26は、サーバ装置10から受信したタグ・コードを、紙などの書類や建築資材などの物品に添付するために、例えば、バーコードラベルや2次元コードを印刷したラベルを出力するラベルプリンタを備えた構成とすることができる。ラベルプリンタから出力されたラベルは、紙に出力された図面や仕様書などの書類、建築資材やファーニチャー等の物品の所定位置にそれぞれ貼付される。このようにすると、紙の書類と、建築物や建築資材などの物品と、情報データベースに登録された電子データとが、タグ・コードをキー情報として関連付けられる。
【0045】
バーコードや2次元コードを作成して書類に直接印刷する処理を行うプログラムは、例えば、登録用端末20にインストールされたCADソフトウェアと連動して処理を行うように構成することができる。例えば、CADのメニュー選択あるいはコマンド入力により起動してダイアログ画面を表示し、入力事項に基づき、バーコードあるいは2次元コードの生成処理及び図面中へのペースト処理を行うように構成することができる。また、CADソフトウェアに限らず、表計算や文書作成等を行うソフトウェアなど、建築に関する文書の電子データを作成するための一般的なソフトウェアに連動するように実装することができる。なお、既存のソフトウェアのコマンド入力等からの起動ではなく、単体のアプリケーションとして起動し処理を行うように構成することができるのは勿論である。
この出力部26及びバーコードや2次元コードを作成して書類に直接印刷する処理を行うプログラムが、本発明のタグ・コード付与手段に相当する。
【0046】
次に、検索用端末30の構成について説明する。
検索用端末30は、通信回線Iを介してサーバ装置10との間で各種データを送受信可能に構成されている。利用者は、読取装置40で読み取られたタグ・コードのデータを検索用端末30で取得し、サーバ装置10に送信する。また、送信したタグ・コードをキー情報として行われた検索により抽出されたデータを、サーバ装置10から受信する。
【0047】
図5に示すように、検索用端末30は、キーボードや入力ボタン等からなる操作部31と、LCDパネル等の表示部32と、通信回線Iとの入出力インターフェースである通信部33と、各種データやプログラム等が記憶された記憶部34と、これらを制御するCPUを備えた制御部35を備えている。また、バーコードや2次元コードを読み取るための読取装置40に接続されデータの送受信を行うための入出力部36を備えている。
この検索用端末30は、例えばPDAやノートパソコン、携帯電話等の携帯情報端末から構成されている。また、ワークステーション、汎用コンピュータなどにより構成することも勿論可能であるが、建設現場やクライアントとの打合せなど「情報の可搬性」が要求される環境での利用には、携帯情報端末により構成するのが好適である。
【0048】
制御部35は、記憶部34に格納されたプログラムに基づき、読取装置を介して読み取ったタグ・コードをサーバ装置10に送信する処理を行う。また、タグ・コードと共に、タグ・コードに含まれる情報をキー情報とした検索を行うための要求データをサーバ装置10に送信する処理を行う。このプログラムが、本発明の検索指令送信手段に相当する。この処理は、上述したタグ・コード発行処理と同様に、検索用端末30にインストールされたソフトウェアと連動するように構成することができる。
なお、タグ・コード及びタグ・コードと共に送信される要求データが、本発明の検索指令に相当する。
【0049】
また、制御部35は、記憶部34に格納されたプログラムに基づき、サーバ装置10から受信したデータの形式に応じて適切なアプリケーションを起動し、表示部32に表示する処理を行う。すなわち、表示部32が、本発明の情報表示手段に相当する。
ここで、サーバ装置10から受信するデータは、予め検索用端末30から送信した要求データに基づき、適切な形式のデータに変換されている。すなわち、この要求データには、検索用端末30にインストールされた表示用のアプリケーションプログラムや表示部32の寸法や解像度などの情報が含まれるように構成することができる。そして、この要求データに基づき、サーバ装置10では、記憶部11に格納された本発明の情報変換手段としてのプログラムにより、例えば、CADデータ、表計算シート、画像、文書、構造計算データ、等のデータ形式に変換する処理を行う。また、通信環境に応じて、適切なデータ量となるように圧縮する処理を行ってもよい。
【0050】
次に、読取装置40の構成について説明する。
本実施形態の読取装置40は、バーコードや2次元コード、ICタグ等の情報格納手段に格納されたタグ・コードの読み取りを行うもので、例えば、図6に示すように、本体部41とイメージ取込部46とを備えて構成されている。
本体部41は、入力ボタン等からなる操作部42と、取り込んだイメージデータや操作指示、エラー表示等が表示されるLCDパネル等の表示部43と、バーコードや2次元コードの読み取り処理及び復号化処理を行うためのプログラムが記憶された記憶部44と、これらを制御するCPUを備えた制御部45と、取り込んだイメージデータやこれを復号化したデータを外部へ出力すると共に外部からの操作信号等が入力される入出力部47を備えている。
イメージ取込部46は、本体部41からの操作信号に基づいて、バーコードや2次元コードのイメージデータをデジタル画像として取り込むものであって、例えばCCDカメラから構成されている。また、イメージ取込部46は、取り込んだデジタル画像を本体部41へ出力する。
【0051】
なお、読取装置40は、検索用端末30からの操作信号に基づき、完全にリモートモードで動作するように構成することもできる。この場合には、操作部42及び表示部43を省略し、検索用端末30の操作部31及び表示部32において操作入力及び表示がなされるように構成される。また、本体部41を省略してイメージ取込部46から取り込んだデジタル画像を直接検索用端末30へ出力し、検索用端末30の制御部35において読み取り処理及び復号化処理を行うように構成することもできる。例えば、CCDカメラを備えた携帯電話でバーコードや2次元コードを撮影し、携帯電話の通信機能を用いて、取り込んだイメージデータを検索用端末30に送信するように構成することもできる。
【0052】
この読取装置40は、例えば、公知の2次元コードリーダから構成されている。また、公知のバーコードリーダやICタグリーダから構成することもできる。タグ・コードがバーコードに変換されて管理対象に付されている場合には、読取装置40をバーコードリーダにより構成する。また、タグ・コードが2次元コードに変換されて管理対象に付されている場合には、2次元コードリーダにより構成する。また、タグ・コードがICタグに格納されて管理対象に付されている場合には、ICタグリーダにより構成する。
【0053】
次に、上記構成からなる本実施形態の情報管理システムSにおいて、各種管理対象に係る書類、物体、電子データを相互に関連付けて利用可能とするためのタグ・コードの構成と、タグ・コードの発行処理と、タグ・コードを情報格納手段に格納して添付するタグ・コード設置処理について説明する。
【0054】
(タグ・コードの構成)
まず、タグ・コードの構成について説明する。タグ・コードは、図8に示すように、例えば30桁の数字により構成されており、システム識別コード、企業識別コード、プロジェクトコード、サブプロジェクトコード、データシーケンシャルコードの5つのコードからなる27桁のデータ部分と、3桁のチェックコードからなる部分とを有している。
【0055】
以下、タグ・コードを構成する各コードの内容について説明する。
システム識別コードは、例えば2桁の数字からなるもので、当該タグ・コードが生成され管理される情報管理システムの属性を識別するためのものである。
本実施形態の情報管理システムSは、例えば、利用者が自分のサーバ装置においてタグ・コードの生成及び管理を全て行うプライベートシステム、管理者が運営するサーバ装置から複数の利用者にタグ・コードを生成して送信し、それらを同一のデータベース内に登録して統一的に管理するパブリックシステム、等として運営することができる。タグ・コードは、この識別コードの数字の配列に基づき、例えば、プライベートシステムとして運営される場合は「プライベートコード」として識別され、パブリックシステムとして運営される場合は「パブリックコード」として識別される。また、プライベートシステム及びパブリックシステムがそれぞれ複数運営されている場合には、それらを互いに識別可能とすることもできる。
本実施形態の情報管理システムSは、このように、利用者のサーバ管理能力や扱うべき情報の範囲等に応じて、その運営方法を設定することができるものである。
【0056】
企業識別コードは、例えば6桁の数字からなり、当該タグ・コードに関わる企業を識別するためのもので、各企業に対して一意に割り振られている。この企業識別コードは、例えば、当該タグ・コードが属する情報管理システムがプライベートシステムである場合には、そのシステムを運営する企業のコードとすることができる。あるいは、当該タグ・コードの発行を要求した利用者の属する企業のコードとすることができる。また、当該タグ・コードに対して関連付けられた管理対象や電子データが利用されるプロジェクトを実行する企業のコードとすることもできる。
【0057】
プロジェクトコードは、例えば6桁の数字からなり、当該タグ・コードに対して関連付けられた管理対象や電子データが利用されるプロジェクトを識別するためのもので、各プロジェクトに対して一意に割り振られている。プロジェクトは、例えば、ある建築物の建設工事全体を示す総合プロジェクトとすることができる。
サブプロジェクトコードは、例えば6桁の数字からなり、当該タグ・コードに対して関連付けられた管理対象や電子データが利用されるサブプロジェクトを識別するためのもので、各サブプロジェクトに対して一意に割り振られている。サブプロジェクトは、例えば、上記プロジェクトコードによって識別される総合プロジェクトのうち、一部の工程あるいは一部の工区や建物部分において行われる工事とすることができる。
【0058】
データシーケンシャルコードは、例えば7桁の数字からなり、識別コードと企業識別コードとプロジェクトコードとサブプロジェクトコードの組み合わせが同一となる個々の管理対象及び電子データを識別するためのもので、例えばタグ・コードの生成順にシーケンシャルに割り振られている。
チェックコードは、識別コードと企業識別コードとプロジェクトコードとサブプロジェクトコードとデータシーケンシャルコードの組み合わせに対して、その整合性を確認するためのものである。ここで、整合性の確認とは、データの改ざんの有無やデータの正しさの確認を意味する。
【0059】
以上のような構成からなるタグ・コードは、0〜9の数字の配列から構成されているので、バーコード、2次元コード等に変換して利用することが可能である。また、ICタグに書き込んで利用することも可能である。
なお、数字以外にも、記号や文字の配列を含むようにタグ・コードを構成してもよい。記号や文字の配列を含んだタグ・コードであっても、数字と同様にバーコード、2次元コード、ICタグ等に格納することができる。
また、各コードを構成する数字あるいは文字、記号の桁数は、上述の桁数に限定されず、この情報管理システム内で一意に管理対象あるいは電子データを特定可能であれば、どのような桁数であってもよい。
なお、この企業識別コードが、本発明の企業コードに相当し、プロジェクトコード及びサブプロジェクトコードが、本発明のプロジェクトコードに相当する。
【0060】
(タグ・コード発行処理)
次に、図9、図10に示すフローチャートを参照しながら、サーバ装置10において行われるタグ・コード発行処理について説明する。このタグ・コード発行処理は、サーバ装置の記憶部11に格納された各種プログラムに基づいて行われる。
まず、タグ・コードを取得しようとする利用者は、例えば、登録用端末20に表示されたメニュー画面からタグコード作成ボタンを選択してクリックすることにより、登録用端末20からサーバ装置10にタグ・コードの発行を要求する要求データを送信する。このとき、サーバ装置10では、利用者からの要求データを受け付けるか否かを判定するために、ユーザ認証を行う(ステップS1100)。
【0061】
ステップS1100において、登録用端末20の表示部22には、ユーザID及びパスワードの入力画面が提示される。利用者がこの画面にユーザID及びパスワードを入力して送信すると、サーバ装置10は、受信したデータと、ユーザ管理データベースに登録されたデータとを照合する処理を行う。そして、一致するデータが検出された場合には、正規の利用者と判定し、処理を続行する。
一方、一致するデータが検出されなかった場合には、このステップで処理を終了する。そして、登録用端末20の表示部22には、正規の利用者と判定されなかった旨のメッセージを表示する。
なお、このタグ・コードの発行を要求する要求データが、本発明の新規タグ・コード発行要求に相当し、このユーザID及びパスワードが、本発明のユーザ情報に相当する。
【0062】
ステップS1100において正規の利用者であると判定されると、続いて、タグ・コード生成登録処理を行う(ステップS1200)。このステップでは、図10のフローチャートに示すステップS1201〜ステップS1211の処理を行う。
まず、サーバ装置10は、登録用端末20から、タグ・コードの生成に必要なデータを取得する(ステップS1201)。すなわち、登録用端末20の表示部22には、データ入力画面が提示される。例えば、新たに生成されるタグ・コードが付されるべき管理対象に関する情報の入力欄として、管理対象の内容、その管理対象が用いられるプロジェクト及びサブプロジェクトの名称、内容、及び担当者名、プロジェクトを実行する企業の名称、住所、電話番号及び代表者氏名等の入力欄が提示される。
情報の入力は、その都度、利用者が手入力するほか、例えば、各々の入力項目について既にデータベースに登録された内容をリスト表示あるいは検索によって抽出して表示させ、その中から選択可能に構成することができる。このようにすると、入力の手間を省くことができる。なお、このステップS1201が、本発明のデータ取得手段に相当する。
【0063】
利用者が上記入力欄に情報を入力して送信すると、サーバ装置10は、この入力情報に基づき、タグ・コードを構成する30桁の数字のうち、先頭の27桁部分、すなわちデータ部分をセットする処理を行う(ステップS1202〜S1207)。
まず、データ部分のうち、2桁のシステム識別コードをセットする(ステップS1202)。例えば、このサーバ装置10が現在プライベートシステムとして運営されているか、パブリックシステムとして運営されているかに基づき、現在の運営システムに該当するコードを自動的にセットする。
【0064】
次に、6桁の企業識別コードをセットする(ステップS1203)。本実施形態では、企業識別コードは、利用者がステップS1201において送信したデータに基づきセットされる。すなわち、サーバ装置10は、入力された情報と一致する企業がすでに登録されているかどうか、企業基本情報データベースを検索する。そして、一致する企業のデータが検出された場合には、その企業の企業識別コードをセットする。一方、一致する企業のデータが検出されなかった場合には、既存の企業識別コードと重複しない企業識別コードを新たに生成してセットする。このようにして、各企業に対して一意に割り振られた企業識別コードがセットされる。
次に、6桁のプロジェクトコードのセットを行い(ステップS1204)、続いて6桁のサブプロジェクトコードのセットを行う(ステップS1205)。これらの処理では、企業識別コードと同様に、入力情報と同一のデータが存在するか検索し、同一のデータが存在すればそのコードをセットし、存在しなければ新たに生成してセットする。
【0065】
次に、7桁のデータシーケンシャルコードをセットする(ステップS1206)。データシーケンシャルコードは、ステップS1202〜S1205で設定した4つのコードの組み合わせが同一となるタグ・コードに対して、シーケンシャルに割り振られる。
例えば、一番最初にセットされるデータシーケンシャルコードを7桁の数字のうち最も小さい数としてセットし、それ以降は、現在のデータ管理データベースを検索して、4つのコードの組み合わせが同一のタグ・コードのうちで最も大きい数からなるデータシーケンシャルコードを検出し、この数字に1を加えた数字を新たなデータシーケンシャルコードとしてセットするように構成することができる。このようにすれば、タグ・コードの生成順に割り振られた数字をデータシーケンシャルコードとしてセットすることができる。
【0066】
以上の5つの各コードがセットされると、その組み合わせに基づき、サーバ装置10の記憶部11に格納されたチェックコード生成プログラムに基づいて、3桁の数字が自動生成され、チェックコードとしてセットされる(ステップS1207)。
そして、データ部分の27桁のコードと、チェックコードとを結合して新たなタグ・コードを生成する(ステップS1208)。続いて、20桁の乱数からなる確認コードを生成する(ステップS1209)。
【0067】
以上の処理を行った後に、生成されたタグ・コードに対して、桁数などのデータ形式のチェック及びコード内容の整合性の確認などのチェックを行う(ステップS1210)。
なお、このタグ・コードに付随して登録される情報、すなわち、利用者により入力された情報や、既にデータベースに登録された情報でこのタグ・コードに関連付けられるデータ等についても、整合性のチェックを行うように構成することもできる。例えば、サブプロジェクトの内容がプロジェクトの内容に包含されるものかどうかについてチェックを行うこともできる。あるいは、プロジェクトを行う企業の属性とプロジェクトの内容との整合性をチェックするように構成することもできる。また、各項目についてあらかじめ設定された基準を満たす内容かどうかをチェックするように構成することもできる。
【0068】
そして、生成されたタグ・コードが整合性があると判定されると(ステップS1210:Yes)、生成されたタグ・コード及び付随する情報を、情報データベース及び管理データベースに追加登録する処理を行う(ステップS1211)。
このステップでは、情報データベースに、例えば、以下の内容を追加登録する。まず、新たに生成された企業識別コードを、利用者により入力された企業名、住所等の情報と共に、企業基本情報データベースに追加登録する。また、新たに生成されたプロジェクトコードを、企業識別コード及び利用者の入力情報と共にプロジェクト管理データベースに追加登録する。また、新たに生成されたサブプロジェクトコードを、プロジェクトコード及び利用者の入力情報と共にサブプロジェクト管理データベースに追加登録する。また、新たに生成されたデータシーケンシャルコード及びチェックコードを、プロジェクトコード、サブプロジェクトコードと共に、データ管理データベースに追加登録する。
また、情報データベースとは独立して存在する管理データベースに、新たに生成したタグ・コード及び確認コードを対にして追加登録する。
【0069】
一方、生成されたタグ・コードに整合性がないと判定されると(ステップS1210:No)、生成されたタグ・コード及び確認コードのデータを破棄し、システム識別コードセット処理(ステップS1202)に戻り、再び各コードをセットしてタグ・コード生成を行う。
そして、ステップS1211においてデータ登録が行われると、サーバ装置10は、生成されたタグ・コードを登録用端末20に送信する処理を行う(ステップS1300)。
以上のようにして、利用者は、サーバ装置10にデータを送信して、タグ・コードを取得すると共に、情報データベース及び管理データベースにタグ・コード及びタグ・コードに関連付けられる管理対象のデータを格納することができる。
なお、このステップS1202〜S1211及びステップS1300が、本発明のタグ・コード発行手段に相当する。
【0070】
(タグ・コード設置処理)
次に、図11に示す2次元コードが付された建築図面と、図12に示すフローチャートを参照しながら、上記タグ・コードを情報格納手段に格納して書類に添付するタグ・コード設置処理について説明する。
この実施例では、情報格納手段を2次元コードとする。また、建物内のある特定の室Rの内装を管理対象とし、これに対応付けて生成されたタグ・コードを例にとって説明する。すなわち、室Rの内装に関連する物品、ずなわち、内装仕上材などの物品と、室Rが表示された建築図面と、室Rに関連する電子データとが、タグ・コードによって相互に関連付けられている。なお、この処理は、登録用端末20の構成の欄で説明したように、例えばCADソフトウェアと連動して行われるように構成されている。
【0071】
本実施形態の建築図面は、建築物を設計する利用者によって作成された建物の平面図50である。この平面図50は、CADソフトウェアで作成されたものであり、図12に示すように、建築物の一部である室Rを含む各部位についての情報が表示されている。すなわち、室Rを含む各部位の形状や構成材料を示す描線、各種基準線及び寸法線、各部位の名称や使用される建築資材の名称、特記事項などの文字情報、等が印刷されている。また、この平面図50には、図面を管理するための情報が表示されている。すなわち、図面枠、工事名、平面図50の名称、平面図50の管理番号、設計者、縮尺、図面の履歴情報等が印刷されている。
そして、平面図50には、室Rに関する情報を関連付けるために生成されたタグ・コードが格納された2次元コードのイメージデータ51が印刷されている。また、室Rとは異なる部位Raに関する情報を関連付けるために生成されたタグ・コードが格納された2次元コードのイメージデータ51aが印刷されている。また、上述した平面図50の管理番号に関する情報を関連付けるために生成されたタグ・コードをコード化したバーコードのイメージデータ52が印刷されている。
【0072】
以下、平面図50に上記イメージデータ51を添付して出力する処理について説明する。
まず、利用者は、登録用端末20においてCADソフトウェアを立ち上げる。そして、予め作成した平面図50のCADデータのファイルを開いて平面図50を画面に表示する。そして、CADのメニュー選択あるいはコマンド入力により、タグ・コード設置のためのダイアログ画面を表示する。そして、このダイアログ画面に、例えば室Rの内装の名称、ファイル名、コメントなどの入力事項を入力する。これにより、サーバ装置10から受信したタグ・コードを含む所望のデータを取得する(ステップS2100)。
なお、このタグ・コードは、予め生成され保存されていたものであってもよいし、このダイアログ画面から必要事項を入力し、上述したタグ・コード発行処理を行ってタグ・コードを新たに生成してもよい。
【0073】
次に、例えばダイアログ画面に表示されたコード生成ボタンをクリックして、ステップS2100で取得したタグ・コードを含むデータが格納された2次元コードのイメージデータ51を作成する(ステップS2200)。この処理は、公知のコード化プログラムによって行われ、その詳細は省略する。なお、用途に応じて、作成するコードの種類をダイアログ画面で選択するように構成してもよい。このとき、生成された2次元コードのイメージデータ51が表示されたウィンドウが、登録用端末20のモニタ上に表示されている。
【0074】
続いて、利用者は、CADの画面上において、平面図50の所望の位置にイメージデータ51をドラッグし、ペーストする(ステップS2300)。
この処理は、座標入力により行うこともできる。また、CAD図面上に配置されたアイテムを選択することにより、自動的にそのアイテムに関連付けてイメージデータの貼り付け処理を行うように構成することもできる。例えば、室Rの一部をクリックして選択すると、室Rの表示領域内部の空白部に2次元コードのイメージデータ51がペーストされる。また、表示領域内部に貼り付けるスペースがない場合には、室Rの近傍にペーストされる。あるいは、室Raのように、一端が室Raを指示する引き出し線を生成し、その先端にイメージデータ51aをペーストする。引き出し線は、デザイン上の要求や図面の読み易さなどを考慮してペースト位置をずらしたい場合にも利用することができる。
このようにして、タグ・コードと、室Rが表示された建築図面のCADデータとが対応付けられる。
【0075】
続いて、CADのメニュー選択あるいはコマンド入力により、2次元コードが付された図面をプリンタで印刷し、出力する(ステップS2400)。これにより、タグ・コードを介して、室Rが表示された建築図面のCADデータと、室Rが表示された建築図面を出力した図面とが相互に対応付けられる。以上のステップS2100〜2400からなるタグ・コード設置処理は、登録用端末20の構成の欄で説明したように、CADに限らず、表計算や文書作成等を行うソフトウェアなど、建築に関する文書の電子データを作成するための一般的なソフトウェアに連動して行うように構成することができる。また、単体のアプリケーションとして起動し処理を行うように構成することができるのは勿論である。
【0076】
なお、バーコードラベルや2次元コードを印刷したラベルを出力すれば、出力されたラベルを図面や仕様書などの書類の所望の位置に貼り付けることにより、書類に添付することができる。また、建築資材や備品等の物品の所定位置にラベルを貼り付けて添付することができる。例えば、室Rの内装に用いられる床材に貼付することができる。
このようにして、タグ・コードを介して、室Rが表示された建築図面のCADデータと、室Rが表示された建築図面を出力した図面と、室Rの内装に関連する物品とが相互に対応付けられる。つまり、紙等の書類と、建築物や建築資材や備品などの物品と、情報データベースに登録された電子データとを、タグ・コードを介して関連付けることができる。
【0077】
(タグ・コードを利用した情報検索及び表示)
次に、図13及び図14に示すフローチャートを参照しながら、検索用端末30とサーバ装置10との間でデータを送受信して行われる情報検索処理と情報の表示処理について説明する。
はじめに、室Rに関連する情報を取得するための情報検索処理について説明する。
上述のタグ・コード設置処理により、本実施形態の情報管理システムSでは、例えば、タグ・コードが格納された2次元コード51、51a等が、平面図50に印刷されている。
【0078】
まず、タグ・コードを読取装置40としての2次元コードリーダで読み取って検索用端末30に入力する処理を行う(ステップS3100)。この処理は、上述したCADソフトウェア等のアプリケーションに連動して、あるいは単独のアプリケーションとして行うことができる。
利用者は、例えば、検索用端末30に表示されたメニューの選択あるいはコマンド入力により、コード入力画面を表示させる。そして、平面図50の図面中に配置された2次元コードのうち、室Rの略中央に印刷された2次元コード51をイメージ取込部46により撮影し、撮影画像を取り込む。
【0079】
そして、読取装置40では、この撮影画像を、例えば以下のように処理する。
まず、撮影画像をビットマップデータ等の所定のデータ形式の画像データに変換する。このとき、2次元コードが一部画面から欠如した状態、撮影角度により歪んだ状態、ピントが合っていない状態等、正確に解析できないおそれがある場合には、エラー表示が表示部43に表示される。
次いで、トリミング処理により、上記画像データから明色と暗色のセルの配列からなる2次元コードの画像領域を確定してその領域の画像が切り出される。そして、切り出された画像を明暗のセルの配列からなる2次元コードとして認識するためのセル分解処理が行われる。この処理では、例えば、切り出された画像領域の所定領域に形成されているタイミングパターンを検出する。タイミングパターンは、明色と暗色のセルが交互に配列されたものである。この検出パターンに基づき、各セルの位置及び大きさを判定することができる。
次いで、明暗のセルの配列として認識された2次元コードに格納されたデータが復号化され、数字の配列からなるタグ・コードに変換される。この復号化処理は、例えば、記憶部44に記憶された変換プログラムに基づいて行われる。なお、これらのセル分解処理、及び復号化処理は公知技術であり、詳細な説明は省略する。このようにして復号化されたタグ・コードは読取装置40から検索用端末30に送信される。そして、復号化されたタグ・コードが上記コード入力画面に入力される。
【0080】
続いて、検索用端末30に表示されたメニューの選択あるいはコマンド入力により、入力されたタグ・コードを含む検索指令データを、サーバ装置10に送信する処理を行う(ステップS3200)。
次に、サーバ装置10では、検索指令データを受信すると、受信したデータに基づいて情報の検索を行うか否かを判定するためのタグ・コード照合処理を行う(ステップS3300)。このタグ・コード照合処理では、サーバ装置10の記憶部11に格納された照合プログラムに基づき、図14に示すステップS3301〜S3305の処理を行う。
【0081】
タグ・コード照合処理では、まず、検索用端末30から受信した検索指令データの中から、復号化されたタグ・コードを取得する(ステップS3301)。
次に、取得したタグ・コードのデータ形式が、予め設定されたものと一致するか否かを判定する(ステップS3302)。例えば、タグ・コードの桁数が30桁であるか、構成する記号が0〜9の数字であるか、などを判定することにより、登録された形式と一致するか否かを判定する。
一致する場合には(ステップS3302:Yes)次のステップへ進み、取得したタグ・コードが生成され管理される情報管理システムの判別を行う(ステップS3303)。例えば、図8に例示した構成のタグ・コードであれば、冒頭の2桁部分のシステム識別コードを取得し、このシステム識別コードに基づき、取得したタグ・コードがパブリックコードか、プライベートコードかを判別し、この情報管理システムが、パブリックシステムか、プライベートシステムかを判別する。
【0082】
次に、取得したタグ・コードに基づき、チェックコードを取得する(ステップS3304)。すなわち、取得したタグ・コードを構成する各コードの内容及び組み合わせに基づき、図7に示すデータ管理データベースを検索して、チェックコードを取得する。
そして、取得したチェックコードに基づき、このタグ・コードが正常か否かの判定を行う(ステップS3305)。例えば、情報データベースとは独立して管理されている管理データベースを検索し、取得したタグ・コードと対にして登録されている確認コードを抽出して照合する。これにより、取得したタグ・コードが正常か否かを判定する。正常であると判定された場合には(ステップS3305:Yes)、タグ・コード照合処理を終了し、今回取得したタグ・コードに基づく情報検索処理へと処理を進める。
【0083】
一方、今回取得したタグ・コードが正常であると判定されなかった場合、すなわち、データ形式が一致しなかった場合(ステップS3302:No)、又は、確認コードとの照合によって正常であると判定されなかった場合(ステップS3305:No)には、今回取得したタグ・コードに基づく情報検索処理を行わないものとし、ステップS3301に戻ってもう一度検索指令データからタグ・コードを取得する。
なお、ステップS3301に戻って再び処理を行う前に、エラー信号を検索用端末30に送信して、処理を続行するか、中止するか、タグ・コードの再読取を行うかの入力を促すダイアログ画面を表示するように構成してもよい。
【0084】
続いて、ステップS3305で正常であると判定された場合には、サーバ装置10は、今回取得したタグ・コードに基づき、情報データベースを検索してデータを抽出し、関連するデータを取得する(ステップS3400)。まず、図7に示す情報データベースに登録された情報を抽出する。
情報データベースには、タグ・コードと、タグ・コードに関連する情報と、関連するデータのファイル名やダウンロード先のアドレスとを対応付けるデータ対応テーブルが含まれ、サーバ装置10には、このデータ対応テーブルにファイル名が記録されたデータファイルが格納されている。このデータ対応テーブルは、例えば、図15に示すように、タグ・コードを含むデータレコードの集合から構成されている。
【0085】
各データレコードには、データファイル名、データ名称及び関連情報が登録されている。例えば、室Rの床材の名称、床材の形状や納まりなどの図面のファイル名、床材を供給するサプライヤー名、サプライヤーの連絡先、床材についての技術情報及び技術情報が掲載されたサプライヤーのホームページのアドレス、施工業者名、現場搬入日、供給価格、この床材について行ったクライアントとの打合せ記録のファイル名、施工要領書のファイル名、などの関連情報を登録することができる。また、壁仕上材や天井仕上材など、他の内装材についての情報を登録してもよく、関連する情報であればどのようなものでも登録することができる。
【0086】
ステップS3400では、サーバ装置10は、このデータ対応テーブルを検索して、今回取得したタグ・コードを含むレコードを抽出し、このレコードに含まれる関連情報を取得する。そして、このレコードに含まれるデータファイル名に基づき、データファイルを取得する。また、このレコードに含まれるアドレスにアクセスして、データを取得する。それとともに、上述の企業基本情報データベース、プロジェクト管理データベース、サブプロジェクト管理データベース、データ管理データベース、等を検索し、タグ・コードの生成と共に登録された登録情報を抽出する。
【0087】
続いて、サーバ装置10は、抽出したデータに対し、必要に応じて後述する表示データ変換処理(ステップS3500)を行った後、検索用端末30に送信する処理を行う(ステップS3600)。そして、検索用端末30は、表示部32に、受信したデータを表示する(ステップS3700)。
ステップS3700では、検索用端末30は、データを受信すると、まず、抽出されたデータのリストが表示された検索結果画面を表示する。抽出されたデータのリストには、データ名称やサプライヤー名などのテキストデータについては、そのままその内容を表示する。そして、受信したデータに特定のアプリケーションのデータファイルが含まれていた場合には、そのデータファイル名またはデータ名称を表示する。そして、利用者がリスト上のデータファイル名またはデータ名称をクリックすると、適切なアプリケーションを起動し、データファイルを開いて内容を表示する処理を行う。
【0088】
例えば、受信したデータにCADデータが含まれる場合には、リストに、図面名称または図面ファイル名が表示される。そして、その図面名称または図面ファイル名をクリックすると、CADソフトウェアが起動して図面ファイルが開き、内容が表示される。また、表計算シート、写真等の画像、構造計算データなどの場合にも、同様に、各々適切なアプリケーションを用いて表示することができる。なお、抽出されたデータのリストは、複数の表示ウィンドウに分けて順次表示することができる。
【0089】
ここで、表示データ変換処理(ステップS3500)について説明する。
本実施形態では、検索用端末30として、PDAやノートパソコン、携帯電話等の種々の携帯情報端末を使用することができる。これらの携帯情報端末にインストール可能なアプリケーションは、それぞれ異なっている。従って、例えば、CADデータの図面ファイルを検索により取得した場合に、そのファイルをCADソフトウェアがインストールされていない検索用端末30にそのまま送信しても、検索用端末30ではその内容を表示できないという不具合が生じる。一方、CADソフトウェアがインストールされていない検索用端末30であっても、図面ファイルがビットマップ形式などの画像データに変換されていれば表示可能となる。
【0090】
そこで、サーバ装置10は、上記のような不具合が生じないように、検索によって取得したデータを、検索用端末30から要求された適切な形式に変換する処理を行う(ステップS3500)。
この処理を可能とするために、検索用端末30からサーバ装置10に送信される検索指令データに、当該検索用端末30で表示可能なデータ形式についての情報が含まれるように構成する。そして、サーバ装置10は、検索により取得したデータファイルのデータ形式を、検索指令データに含まれる表示可能なデータ形式と照合し、一致するデータ形式が含まれていなかった場合には、データファイルを、表示可能なデータ形式に変換する処理を行う。また、一致するデータ形式が含まれていた場合には、変換を行わない。例えば、検索用端末30に汎用の画像形式のデータを表示可能な画像ビューアのみがインストールされていた場合は、CADデータ、表計算シート、写真等の画像、構造計算書などのデータを、いずれも、汎用の画像形式のデータに変換する。
【0091】
以上のようにして、検索用端末30とサーバ装置10との間で、ネットワークを介してタグ・コードその他のデータを送受信して情報検索を行ってデータを取得し、取得したデータを、検索用端末30で表示することができる。このとき、文字情報だけでなく、関連するCADデータや関連する画像などの多様なデータを表示することができる。これにより、紙の書類と電子データがタグ・コードにより、一意に結び付けられ、容易に書類と電子データを相互に関連付けて利用することができる。
【0092】
本発明の情報管理システムは、FM(施設管理)に適用すると好適である。すなわち、タグ・コードにより、図面情報、建築の各設備、デジタル情報を相互に関連付け、ネットワークを介して利用可能とすることができる。利用するための端末装置は、PDAや携帯電話のほか、多種多様なものが利用できる。
さらに、従来のFMと比較して大きく異なる点は、PDAや携帯端末では図面情報は小さくしか表示できず、実用上十分な表示とされていなかったが、図面にタグ・コードを埋め込むことにより、図面は紙の情報を、残りの情報は携帯端末を通じてリアルタイムに表示できる点にある。
【0093】
また、本発明の情報管理システムは、設計支援にも適用することができる。
この場合には、建築資材のカタログや資材メーカーのホームページにバーコードや2次元コードのイメージデータを掲載する。このようにすると、設計時にはカタログに記載された内容を参照して設計作業を行いつつ、設計内容の検討に必要な情報を、このバーコードや2次元コードに格納されたタグ・コードに基づき検索し、取得することができる。さらに、取得した情報は設計図面に反映されるだけでなく、データベースに登録して利用可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本実施形態の情報管理システムSの全体構成を示す説明図である。
【図2】タグ・コードに基づく情報検索を示す説明図である。
【図3】本実施形態の情報管理システムSにおけるサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態の情報管理システムSにおける登録用端末の構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態の情報管理システムSにおける検索用端末の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態の情報管理システムSにおける読取装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本実施形態の情報管理システムSにおけるデータベースの構成を示す説明図である。
【図8】タグ・コードの構成を示す説明図である。
【図9】タグ・コード発行処理を示すフローチャートである。
【図10】タグ・コード発行処理を示すフローチャートである。
【図11】2次元コードが付された建築図面を示す説明図である。
【図12】タグ・コードを2次元コードに格納して書類に添付するタグ・コード設置処理を示すフローチャートである。
【図13】タグ・コードに基づく情報検索処理を示すフローチャートである。
【図14】タグ・コードに基づく情報検索処理を示すフローチャートである。
【図15】本実施形態のデータベースに含まれるデータ対応テーブルの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0095】
10 サーバ装置
11 記憶部
12 通信部
13 制御部
20 登録用端末
21 入力部
22 表示部
23 通信部
24 記憶部
25 制御部
26 出力部
30 検索用端末
31 操作部
32 表示部
33 通信部
34 記憶部
35 制御部
36 入出力部
40 読取装置
41 本体部
42 操作部
43 表示部
44 記憶部
45 制御部
46 イメージ取込部
47 入出力部
50 平面図
51,51a 2次元コードのイメージデータ
52 バーコードのイメージデータ
I 通信回線
R,Ra 室
S 情報管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、前記サーバとネットワークを介して通信を行うことにより、土木又は建築に係る管理対象に関連するデータを前記サーバから取得して表示する端末と、前記管理対象を特定するタグ・コードが格納された情報格納手段と、を備えた情報管理システムであって、
前記端末は、前記管理対象に関連するデータを表示する情報表示手段と、前記情報格納手段から前記タグ・コードを読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取ったタグ・コードを含む検索指令を前記サーバに送信する検索指令送信手段と、を備え、
前記サーバは、前記タグ・コードと前記管理対象に関連するデータとを対応付けて登録した情報データベースを有する情報管理手段と、前記検索指令に基づき、前記情報データベースを検索して抽出したデータを前記端末に送信する検索手段と、を備え、
前記情報格納手段は、前記管理対象の情報を表示した紙または紙状の物体からなる書類と、該書類に表示された情報に係る物品と、に添付可能に構成されることを特徴とする情報管理システム。
【請求項2】
前記書類には、前記情報格納手段が複数添付されており、
前記情報格納手段は、該情報格納手段に格納されるタグ・コードにより特定される管理対象の情報が表示される表示領域の内側の空白部,前記表示領域の近傍,前記表示領域に所定の引き出し線または記号によって対応付けられた領域,のいずれかに添付されることを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記サーバは、利用者から正規のユーザ情報及び新規タグ・コード発行要求の入力があったことに基づき、新たな管理対象に係るデータを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段により取得したデータに基づき、前記新たな管理対象に係る企業を特定する企業コード,前記新たな管理対象に係るプロジェクトを特定するプロジェクトコード,の少なくともいずれかを含む複数のコードを生成して結合することにより、前記情報データベースに既に登録された管理対象から前記新たな管理対象を識別して特定するタグ・コードを生成して出力するタグ・コード発行手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記タグ・コード発行手段により出力されたタグ・コードを、前記情報格納手段に格納し、前記新たな管理対象の情報が表示された書類,該書類に表示された情報に係る物品,の所定位置にそれぞれ添付可能とするタグ・コード付与手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の情報管理システム。
【請求項5】
前記検索指令には、前記情報表示手段で表示可能なデータの種類についての情報が含まれ、
前記サーバは、前記検索指令に基づき、前記検索手段により抽出されたデータを前記情報表示手段で表示可能な種類のデータに変換する情報変換手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項6】
前記書類は土木図面または建築図面からなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4のいずれか一項に記載の情報管理システム。
【請求項7】
前記情報格納手段はバーコードからなり、前記読取手段はバーコードリーダからなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4のいずれか一項に記載の情報管理システム。
【請求項8】
前記情報格納手段は2次元コードからなり、前記読取手段は2次元コードリーダからなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4のいずれか一項に記載の情報管理システム。
【請求項9】
前記情報格納手段はICタグからなり、前記読取手段はICタグリーダからなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4のいずれか一項に記載の情報管理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の情報管理システムにより、サーバと端末との間でネットワークを介して通信を行い、土木又は建築に係る管理対象に関連するデータが登録された情報データベースから抽出したデータを端末に表示する情報管理方法であって、
利用者から正規のユーザ情報を含む新規タグ・コード発行要求の入力があったことに基づき、新たな管理対象に係るデータを取得するデータ取得工程、
前記データ取得工程において取得したデータに基づき、前記新たな管理対象に係る企業を特定する企業コード,前記新たな管理対象に係るプロジェクトを特定するプロジェクトコード,の少なくともいずれかを含む複数のコードを生成して結合することにより、前記情報データベースに既に登録された管理対象から前記新たな管理対象を識別して特定するタグ・コードを生成して出力するタグ・コード発行工程、
前記タグ・コード発行工程において発行された新たなタグ・コードと前記新たな管理対象に関するデータとを対応付けて前記情報データベースに登録する情報登録工程、
前記新たなタグ・コードを情報格納手段に格納し、前記新たな管理対象の情報を表示する紙または紙状の物体からなる書類,該書類に表示された情報に係る物品,の少なくともいずれかの所定位置に添付するタグ・コード付与工程、
前記書類または前記物品に付された情報格納手段から前記タグ・コードを読み取る読み取り工程、
前記読み取り工程において読み取ったタグ・コードを含む検索指令を前記サーバに送信する検索指令送信工程、
前記検索指令に基づいて前記情報データベースを検索してデータを抽出する検索工程、
前記検索工程において抽出したデータを前記情報表示手段で表示可能なデータに変換する情報変換工程、
前記管理対象に関連付けられたデータを受信して前記端末が備える情報表示手段に表示する情報表示工程を行うことを特徴とする情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−79290(P2006−79290A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261399(P2004−261399)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(504143359)株式会社建築ピボット (1)
【Fターム(参考)】