説明

情報表示システム、サーバ装置、クライアント装置及びプログラム

【課題】コンポーネントの選択表現に要する時間を短縮化することのできる技術を提供する。
【解決手段】サーバ装置2において、蓄積部21は、複数のコンポーネントの情報を記述する第1のファイルと、クライアント装置3において、複数のコンポーネントの中から所定のコンポーネントを選択した場合には、第1のファイルに記述されている複数のコンポーネントの表示色とは異なる表示色で選択された第1のコンポーネントの内容を含む第2のコンポーネントを生成する処理、及び第2のコンポーネントを第1のコンポーネントと重ねて表示させる処理を実行するプログラムとを互いに関連付けて蓄積する。提供部22は、クライアント装置3から第1のファイルに記述された複数のコンポーネントをクライアント装置3に表示させる旨の要求を受け付けた場合には、蓄積部21から第1のファイル及びプログラムを読み出して、クライアント装置3に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置上のソースに記述されているコンポーネントを、サーバ装置とネットワークを介して接続されたクライアント装置において表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
クライアント装置が、ネットワークを介してサーバ装置にアクセスしてサーバ装置上に置かれたウェブコンポーネントをディスプレイ等の表示装置に表示するときに、クライアント装置において、表示されている複数のウェブコンポーネントの中から所定のウェブコンポーネントを選択すると、選択したウェブコンポーネントについては表示色を変更させる表現方法が従来から一般的に用いられてきている。
【0003】
例えばHTML(Hyper Text Markup Language)形式で記述されたウェブページにテーブルが設けられている場合に、テーブルの中から所定の行をポインティングデバイス等の入力手段により選択すると、クリックした行を選択したことをディスプレイ上に表現するために、該当行の背景色を変更する等の処理を実行する。従来技術においては、該当行のプロパティを変更することにより、選択行の表示色を変更させる手法が一般的である。
【0004】
ディスプレイ等に表示しているデータの視認性を向上させるための公知の技術としては、例えば、選択されたオブジェクトを強調してビジュアル表示する技術が提供されている(例えば、特許文献1)。あるいは、ウェブブラウザ上の文書の一部または全部が選択されたときに、選択部分の文書中における位置情報等の注目情報を文書に付加しておき、ウェブブラウザに文書を表示させるときには、サーバから得られた注目情報等にしたがって強調表示し、重畳表示する技術が提供されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−244848号公報
【特許文献2】特開2008−3973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術による表示方法によれば、ユーザの選択した行のプロパティを書き換えると、テーブル全体を再描画する必要がある。これを例えば数千行を超える大規模なテーブルに適用すると、テーブル全体の再描画には非常に時間がかかってしまうため、実用的ではなくなってしまっていた。
【0007】
このような問題を回避するための方策の一つとして、チェックボックスを用いてテーブルの選択状態を表現する案が考えられる。しかし、チェックボックスを設置するためには、画面レイアウトの変更が必要となるため、ウェブページの製作者にとっては、余分な作業が発生することとなる。
【0008】
あるいは、他の方策として、1つのテーブルを分割し、次ページ、前ページ等のリンクを設置する案も考えられる。しかし、この場合も上記案と同様に、リンク設置に伴う画面レイアウトの変更が必要となる。更に、テーブルを分割することにより、ウェブページの閲覧者にとっては、テーブル全体を俯瞰して操作することができなくなる上に、表示するページを切り替えるために余分な操作が必要となり、操作性が低下してしまう。
【0009】
製作者や閲覧者にとっては煩雑な作業や操作を要することなく、テーブル等のコンポーネントのうち、選択されたコンポーネントを表現するための処理時間を短縮化できることが望ましい。
【0010】
本発明は、コンポーネントの選択表現に要する時間を短縮化することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、ネットワークを介して相互に接続されたサーバ装置とクライアント装置とを有する情報表示システムであって、前記サーバ装置は、複数のコンポーネントの情報を記述する第1のファイルと、前記クライアント装置において、該複数のコンポーネントの中から所定のコンポーネントを選択した場合には、該第1のファイルに記述されている前記複数のコンポーネントの表示色とは異なる表示色で該選択された第1のコンポーネントの内容を含む第2のコンポーネントを生成する処理、及び該第2のコンポーネントを該第1のコンポーネントと重ねて表示させる処理を実行するプログラムとを互いに関連付けて蓄積する蓄積部と、前記クライアント装置から前記第1のファイルに記述された前記複数のコンポーネントを該クライアント装置に表示させる旨の要求を受け付けた場合には、前記蓄積部から前記第1のファイル及び前記プログラムを読み出して、該クライアント装置に提供する提供部とを備え、前記クライアント装置は、前記第1のファイルを指定して前記サーバ装置に提供を要求する指定部と、前記提供部より提供される前記第1のファイルを表示する第1の出力部と、前記第1の出力部により表示された前記複数のコンポーネントの中から前記第1のコンポーネントを選択する選択部と、前記複数のコンポーネントの表示色とは異なる表示色で前記第1のコンポーネントの内容を含む第2のコンポーネントを生成する生成部と、前記第2のコンポーネントを前記第1のコンポーネントと重ねて表示する第2の出力部とを備える構成とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コンポーネントの選択表現に要する時間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る情報表示システムの構成図である。
【図2】実施形態に係る情報表示システムの機能ブロック図である。
【図3】テーブルの状態を説明する図である。
【図4】ファイルの構造を示す図である。
【図5】テーブルを表示する全体処理を示したフローチャートである。
【図6】テーブル選択処理の詳細を示したフローチャートである。
【図7】テーブル選択解除処理の詳細を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る情報表示システムの構成図である。本実施形態に係る情報表示システム1は、サーバ装置2とクライアント装置3とがネットワークを介して相互に接続されている。以下の説明においては、図1に示すとおり、サーバ装置2とクライアント装置3とがインターネット10を介して接続され、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)通信を行う場合を例に説明する。
【0015】
サーバ装置2は、ウェブサーバより構成され、HTML形式で記述されたソースコードや、Java(登録商標)Scriptにより記述されたソースコード等を保有する。クライアント装置3は、サーバ装置2との間でHTTP通信を行って、ウェブブラウザを介してHTMLやJavaScriptを利用して記述されたウェブページを閲覧またはダウンロードする。
【0016】
HTML形式で記述されたソースコードには、HTMLコンポーネントが記述されているものとする。本実施形態に係る情報表示システム1によれば、クライアント装置3において、ディスプレイに表示されている複数のHTMLコンポーネントの中から1つをポインティングデバイス等の入力手段を用いて選択した場合には、選択されたHTMLコンポーネントの表示色を変更することにより、そのHTMLコンポーネントが選択されたことを、ディスプレイ上で表現する。このとき、表示されているHTMLコンポーネントのうち、選択されたHTMLコンポーネントと同内容で異なる表示色のコンポーネントを生成して、選択されたコンポーネントの位置に重ねて出力表示させる。
【0017】
以下においては、HTMLコンポーネントの1つとして、テーブルを例に挙げ、テーブルの所定の行を選択した場合に選択行をディスプレイ上に表現する方法について説明する。
【0018】
図2は、本実施形態に係る情報表示システム1の機能ブロック図である。図2に示すとおり、サーバ装置2は、蓄積部21及び提供部22を有し、クライアント装置3は、指定部31、第1の出力部32、選択部33、カーソルテーブル生成部34及び第2の出力部35を有する。
【0019】
クライアント装置3は、表示装置としてディスプレイ4を備える。クライアント装置3のディスプレイ4に表示されるテーブルのうち、所定の行をユーザがディスプレイを通じて選択した場合における動作を説明するため、図2においては、ディスプレイ4を別個の構成として示し、情報の入出力を示している。
【0020】
サーバ装置2の蓄積部21は、HTMLソースコードやJavaScriptソースコードの記述されたファイルを蓄積する。ファイルには、ディスプレイ4に表示するテーブルについての記述に加えて、カーソルテーブルについての記述がなされているが、ファイルの内容の詳細については、後述する。提供部22は、クライアント装置3からの要求に応じて、インターネット10を介して蓄積部21に蓄積されているファイルをクライアント装置3のウェブブラウザを通じて閲覧やダウンロードさせる。
【0021】
クライアント装置3の指定部31は、閲覧やダウンロードしようとするファイルを指定して、サーバ装置2に閲覧やダウンロードを要求する。第1の出力部32は、サーバ装置2の提供部22が提供するファイルをディスプレイ4に表示する。
【0022】
選択部33は、ユーザがポインティングデバイス等を用いてディスプレイ4を介して行った操作を認識し、例えば、ディスプレイ4に表示されるテーブルの中からある行を指定した場合には、指定した行を選択する。カーソルテーブル生成部34は、第1の出力部32により出力しているテーブルの表示色とは異なる表示色で、選択された行(選択行)を記述するカーソルテーブルの生成に係わる処理を実行する。なお、実施例では、ディスプレイ4に表示しているテーブルの中から「行」を選択する場合について説明している。これに応じて、カーソル生成部34において生成するカーソルテーブルについても、1行からなるテーブルとして説明をしている。
【0023】
第2の出力部35は、カーソルテーブル生成部34において生成したカーソルテーブルを、第1の出力部32が表示しているテーブルの選択行に重ねて表示する。
このように、本実施形態に係る情報表示システム1によれば、サーバ装置2に蓄積されているHTMLファイルには、テーブルについての記述に加えてカーソルテーブルについて記述されている。テーブルの所定の行が選択された場合には、カーソルテーブルについての記述により、その行と同じ内容で異なる表示色からなるカーソルテーブルを生成し、生成したカーソルテーブルをクライアント装置2のディスプレイ4に表示させる。選択行をディスプレイ4上で表現するためには、選択行の表示色を変更し、テーブル全体を再描画させる処理を実行させる必要がなく、カーソルテーブルの生成処理のみで足りる。
【0024】
図3は、テーブルの状態を説明する図である。このうち、図3(a)は、選択がされていない状態のテーブルを示し、図3(b)は、生成されるカーソルテーブルを示し、図3(c)は、行が選択された状態のテーブルを示す。
【0025】
まず、初期状態においては、ディスプレイ4には、図3(a)に示すテーブルT1が表示される。テーブルT1は、HTML形式で記述され、ファイル中には、JavaScriptにより、カーソルテーブルについて記述されている。初期状態においてはテーブルT1のうちいずれの行も選択されておらず、したがって、カーソルテーブルT2については、内容の記述は「なし」の状態である。ファイルの詳細については図4を参照して説明する。
【0026】
テーブルT1のうち、上から5行目(コード:02005)が選択されたとする。この場合、カーソルテーブルT2には、コード・02005の行の内容がコピーされる。カーソルテーブルT2にテーブルT1の選択行の内容がコピーされた状態を図3(b)に示す。
【0027】
生成したカーソルテーブルT2は、テーブルT1のうち、選択行である5行目の位置に重ねて表示する。カーソルテーブルT2をテーブルT1上に重ねて表示した状態を図3(c)に示す。
【0028】
図3(c)に示すとおり、テーブルT1に重ねて表示するカーソルテーブルT2は、内容は選択行と同内容であり、背景色はテーブルT1の背景色と異なる色が設定されている。これにより、クライアント装置3のユーザがポインティングデバイス等によりテーブルT1上の行を選択したことを、ディスプレイ4上に表現している。
【0029】
なお、図3(a)のテーブルT1中のL、H、W及びindexは、カーソルテーブルT2の表示位置を特定するために使用する。詳しくは後述する。
上記のテーブルT1及びカーソルテーブルT2の表示方法は、サーバ装置2において保有するファイルにHTMLソースコードやJavaScriptソースコードにより記述されている。次に、ファイルの構造について説明する。
【0030】
図4は、ファイルの構造を示す図である。ここでは、HTMLで記述されたソースコードのうち、テーブルに係わる箇所のデータ構造のみを示す。
図4に示すとおり、HTMLタグ中にDIVタグ等が記述され、DIVタグ内にテーブルT1及びカーソルテーブルT2について記述される。テーブルT1の行のうち、クライアント装置3において選択された行を示す選択位置やその行数を示す値には、初期設定では「NULL」を設定する(図4の※1)。
【0031】
DIVタグ内には、まず、テーブルT1を記述するTABLEタグを記述し、続けて、カーソルテーブルT2を記述するTABLEタグを記述する。
テーブルT1を記述するTABLEタグ内には、テーブルT1の文字色・背景色の定義「color」及び「bgcolor」や、テーブルT1の行ごとのTRタグが記述される(図4の※2)。TRタグ内には、行の上から数えた行数「index」や、高さや幅の描画サイズ「offsetHeight」「offsetWidth」、テーブル外枠左端からのオフセット位置を示す「offsetLeft」、行の中身である「innerHTML」が記述されている。TRタグにより記述される行にセルを含む場合は、セルごとにTDタグが記述されている(図4の※3)が、TDタグ内に記述される内容については、公知の技術であるので、詳細な説明は省略する。
【0032】
カーソルテーブルT2を記述するTABLEタグ内には、カーソルテーブルT2の文字色・背景色の定義「color」「bgcolor」や、行の中身である「innerHTML」(a)のほか、スタイルシート「style」に、カーソルテーブルT2の表示/非表示を表す「display」(b)や、表示位置を指定する「top」「left」「height」「width」「position」(c)が記述される(図4のD2)。
【0033】
カーソルテーブルT2の文字色及び背景色については、テーブルT1の文字色及び背景色と異なる色が設定される。図4においては、テーブルT1の文字色及び背景色はそれぞれcolor1及びbgcolor1とし、カーソルテーブルT2については、それぞれcolor2(≠color1)及びbgcolor2(≠bgcolor1)と定義する。
【0034】
なお、初期状態においては、すなわち、テーブルT1のいずれの行も選択されていない状態においては、表示状態(b)は「非表示」を表す「none」が設定されている(図4の※4)。このため、初期状態においては、カーソルテーブルT2を記述するTABLEタグの内容D2はディスプレイ4には表示されない。
【0035】
図4に示す構造のHTMLファイルに記述されたテーブルT1について、選択行の内容を含み、テーブルT1とは異なる文字色・背景色のカーソルテーブルT2を生成し、ディスプレイ4に表示する方法、及び選択が解除された場合にカーソルテーブルT2を非表示とする方法について、フローチャートを参照して以下に説明する。
【0036】
図5は、本実施形態に係る情報表示システム1によるテーブルT1を表示する全体処理を示したフローチャートである。情報表示システム1のクライアント装置3は、サーバ装置2の提供部22がクライアント装置3の指定部31が要求するファイルをクライアント3装置に提供すると、図5に示す処理を開始する。
【0037】
まず、ステップS1で、第1の出力部32が、ウェブページをディスプレイ4に表示する。ウェブページの表示処理は、ウェブブラウザによる。
次に、ステップS2で、カーソルテーブル生成部34は、ファイルの選択位置を初期化し、ステップS3で、カーソルテーブル生成部34は、カーソルテーブルT2の表示状態「display」を初期化し、非表示とする。そして、ステップS4で、カーソルテーブル34は、JavaScript関数を設定する。具体的には、テーブルを選択した場合には、そのテーブル(の行)をクリックした場合のイベントについて記述したJavaScript命令を実行し、テーブルの選択を解除した場合には、カーソルテーブルT2をクリックした場合のイベントについて記述したJavaScript命令を実行するよう、JavaScript関数の設定を行う。
【0038】
ステップS5で、選択部33は、クライアント装置3のユーザによる操作が、ウェブページを閉じる操作であるか否か、あるいはウェブページを更新する操作であるか否かを判定する。ウェブページを閉じる操作やウェブページを更新する操作を認識した場合には、処理を終了する。認識した操作が他の操作である場合(No)には、ステップS6に進む。
【0039】
ステップS6で、選択部33は、クライアント装置3のユーザによる操作が、テーブルT1(の行)をクリックする操作であるか否かを判定する。テーブルT1(の行)をクリックする操作を認識した場合(Yes)には、ステップS7に進み、カーソルテーブル生成部34がテーブル選択処理を実行し、ステップS5に戻る。テーブル選択処理の詳細については、図6を参照して説明する。ステップS6において認識したユーザの操作が、テーブルT1(の行)をクリックする操作でない場合には、ステップS8に進む。
【0040】
ステップS8で、選択部33は、クライアント装置3のユーザによる操作が、カーソルテーブルT2をクリックする操作であるか否かを判定する。カーソルテーブルT2をクリックする操作を認識した場合(Yes)には、ステップS9に進み、カーソルテーブル生成部34がテーブル選択解除処理を実行し、ステップS5に戻る。テーブル選択解除処理の詳細については、図7を参照して説明する。ステップS8において認識したユーザの操作が、カーソルテーブルT2をクリックする操作でない場合(No)には、特に処理を行わず、ステップS5に戻る。
【0041】
図6は、図5のステップS7のテーブル選択処理の詳細を示したフローチャートである。図5のステップS7の説明において述べたとおり、選択部33が、ユーザがテーブルT1(の行)をクリックする操作を認識すると、カーソルテーブル生成部34が、図6に示す処理を開始する。
【0042】
ステップS11で、選択位置を設定する。具体的には、クリックされた行について記述するTRタグ内の、行番号を示す「index」を、選択位置(図4の(*))に設定する。
【0043】
ステップS12で、クリックされた行の内部要素をカーソルテーブルにコピーする。具体的には、クリックされた行について記述するTRタグ内の「innerHTML」をカーソルテーブルについて記述するTABLEタグ内の「innerHTML」(図4の(a))に代入する。
【0044】
ステップS13で、カーソルテーブルT2の表示位置を調整する。カーソルテーブルT2の表示位置は、テーブルT1のクリックされた行の位置に基づきカーソルテーブルT2の位置を算出することにより求める。実施例では、テーブルT1の外枠を基準とした場合のカーソルテーブルT2の上端の座標、テーブルT1の外枠を基準とした場合のカーソルテーブルT2の左端の座標、カーソルテーブルT2の幅及びカーソルテーブルT2の高さを算出する。具体的には、カーソルテーブルT2の上端の座標は、ステップS1で設定した「選択位置」にクリックされた行の高さ「offsetHeight」を掛けることにより求める。実施例においては、テーブルT1の行の高さoffsetHeightは一律であり、図3(a)の「H」がこれに相当する。テーブルT1の1行目の行数「index」は「0」としているため、この式によりカーソルテーブルT2の上端座標を算出することができる。カーソルテーブルT2の左端の座標は、クリックされた行のテーブルT1の左端からの位置「offsetLeft」を設定する。offsetLeftは、図3(a)の「L」がこれに相当する。カーソルテーブルT2の幅は、クリックされた行の幅「offsetWidth」を設定する。offsetWidthは、図3(a)の「W」がこれに相当する。カーソルテーブルT2の高さは、クリックされた行の高さ「offsetHeight」を設定する。offsetHeightは、図3(a)の「H」がこれに相当する。
【0045】
ステップS14で、カーソルテーブルT2の表示状態を「表示」に切り替える。具体的には、カーソルテーブルT2について記述するTABLEタグ内の「display」に表示状態を表す「block」を設定する。ステップS14の処理により、ステップS12でコピーした内容のカーソルテーブルT2が、ステップS13で設定した位置に表示される。図3の「コード・02005」の行を例に挙げると、図3(a)の状態のテーブルT1に図3(b)のカーソルテーブルT2が重ねて表示され、ディスプレイ4上では、図3(c)の状態に表示が切り替わる。
【0046】
ここで、図4の説明においても述べたとおり、カーソルテーブルT2の背景色及び文字色には、テーブルT1の背景色及び文字色とはそれぞれ異なる色が設定されている。また、カーソルテーブルT2の内容には、クリックにより選択した行の内容がコピーされている。このため、ディスプレイ4上には、カーソルテーブルT2の表示された位置が選択されたことが表現される。このような選択行の表現方法によれば、テーブルT1の所定の行の背景色や文字色を変更してテーブルT1全体を再描画する処理が不要となり、図6に示すカーソルテーブルT2の表示処理のみで足りる。したがって、選択行を表現するために要する時間を短縮化させることができる。
【0047】
図7は、図5のステップS9のテーブル選択解除処理の詳細を示したフローチャートである。図5のステップS9の説明において述べたとおり、選択部33が、ユーザがカーソルテーブルT2をクリックする操作を認識すると、すなわち、選択行を再度クリックする操作を認識すると、カーソルテーブル生成部34が、図7に示す処理を開始する。
【0048】
ステップS21で、選択位置を初期化する。具体的には、選択位置(図4の(*))に「NULL」を設定する。
ステップS22で、カーソルテーブルT2の表示状態を「非表示」に切り替える。具体的には、カーソルテーブルT2について記述するTABLEタグ内の「display」に、非表示状態を表す「none」を設定する。ステップS22の処理により、ディスプレイ4上に表示されていたカーソルテーブルT2が非表示となり、カーソルテーブルT2の表示されていた行の選択が解除されたことが表現される。図3の「コード・02005」の行を例に挙げると、図3(c)の状態から図3(b)のカーソルテーブルT2が非表示となることにより、ディスプレイ4上では、図3(a)の状態に表示が切り替わる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る情報表示システム1によれば、クライアント装置3からの要求に応じてサーバ装置2がクライアント装置3に提供するファイルには、カーソルテーブルT2が用意されている。クライアント装置3において、ポインティングデバイス等によりテーブルT1の所定の行を選択した場合には、カーソルテーブルT2が、テーブルT1の文字色や背景色等の表示色とは異なる色で選択行の位置に選択行と同内容で表示される。予め用意されているカーソルテーブルT2に選択行の内容をコピーして、選択行の位置に基づきカーソルテーブルT2の表示位置を設定して表示させることで、テーブルT1の選択行の表示色を変更してテーブルT1全体を再描画させることが不要となり、表示時間を短縮化させることができる。
【0050】
また、カーソルテーブルT2を用意する構成とすることで、ウェブページの製作者にとっては、ウェブページの画面レイアウトを変更する場合と比べて、より簡素な作業で済むこととなる。
【0051】
更には、ウェブページを閲覧するクライアント装置3のユーザにとっては、従来と同様の方法でより早く選択行の表現がなされるウェブページの閲覧等が可能となり、操作性を低下させることがない。
【0052】
なお、上記においては、テーブルの所定の行を選択する場合の表示方法を例に説明しているが、これに限るものではない。例えば、セルごとに選択セルを異なる表示色でディスプレイ4上に表示させるためのカーソルセルを用意しておき、セル単位で上記の方法を実施する構成とすることもできる。また、上記の表示方法は、テーブルの表示方法に限定されるものではなく、選択されたHTMLコンポーネントを他のHTMLコンポーネントを表示する方法にも適用が可能である。
【0053】
更には、上記の方法は、ウェブに限定されるものではなく、ネットワークを介してサーバ装置とクライアント装置とが接続され、サーバ装置がクライアント装置からの要求に応じてファイルを提供し、クライアント装置のディスプレイにファイルに記述されているテーブル等のコンポーネントを表示させる場合の選択されたコンポーネントの表現方法にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 情報表示システム
2 サーバ装置
3 クライアント装置
4 ディスプレイ
10 インターネット
21 蓄積部
22 提供部
31 指定部
32 第1の出力部
33 選択部
34 カーソルテーブル生成部
35 第2の出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して相互に接続されたサーバ装置とクライアント装置とを有する情報表示システムであって、
前記サーバ装置は、
複数のコンポーネントの情報を記述する第1のファイルと、前記クライアント装置において、該複数のコンポーネントの中から所定のコンポーネントを選択した場合には、該第1のファイルに記述されている前記複数のコンポーネントの表示色とは異なる表示色で該選択された第1のコンポーネントの内容を含む第2のコンポーネントを生成する処理、及び該第2のコンポーネントを該第1のコンポーネントと重ねて表示させる処理を実行するプログラムとを互いに関連付けて蓄積する蓄積部と、
前記クライアント装置から前記第1のファイルに記述された前記複数のコンポーネントを該クライアント装置に表示させる旨の要求を受け付けた場合には、前記蓄積部から前記第1のファイル及び前記プログラムを読み出して、該クライアント装置に提供する提供部と
を備え、
前記クライアント装置は、
前記第1のファイルを指定して前記サーバ装置に提供を要求する指定部と、
前記提供部より提供される前記第1のファイルを表示する第1の出力部と、
前記第1の出力部により表示された前記複数のコンポーネントの中から前記第1のコンポーネントを選択する選択部と、
前記複数のコンポーネントの表示色とは異なる表示色で前記第1のコンポーネントの内容を含む第2のコンポーネントを生成する生成部と、
前記第2のコンポーネントを前記第1のコンポーネントと重ねて表示する第2の出力部と
を備えることを特徴とする情報表示システム。
【請求項2】
ネットワークを介して接続されているクライアント装置からの要求に応じて、保有するファイルを該クライアント装置に提供するサーバ装置であって、
複数のコンポーネントの情報を記述する第1のファイルと、前記クライアント装置において、該複数のコンポーネントの中から所定のコンポーネントを選択した場合には、該第1のファイルに記述されている前記複数のコンポーネントの表示色とは異なる表示色で該選択された第1のコンポーネントの内容を含む第2のコンポーネントを生成する処理、及び該第2のコンポーネントを該第1のコンポーネントと重ねて表示させる処理を実行するプログラムとを互いに関連付けて蓄積する蓄積部と、
前記クライアント装置から前記第1のファイルに記述された前記複数のコンポーネントを該クライアント装置に表示させる旨の要求を受け付けた場合には、前記蓄積部から前記第1のファイル及び前記プログラムを読み出して、該クライアント装置に提供する提供部と
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
前記プログラムは、
前記第2のコンポーネントの内容に、前記第1のコンポーネントの内容をコピーし、
前記第1のファイルに記述されている前記第1のコンポーネントの表示位置を用いて、前記第2のコンポーネントの表示位置を算出し、
前記第2のコンポーネントのコピーした内容を、前記算出した表示位置に表示させる
処理を前記クライアント装置において実行させる
ことを特徴とする請求項2記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記プログラムは、
前記クライアント装置が前記第1のコンポーネントの選択を解除した場合には、前記第2のコンポーネントを非表示とする
処理を更に前記クライアント装置に実行させる
ことを特徴とする請求項3記載のサーバ装置。
【請求項5】
ネットワークを介して接続されているサーバ装置が提供するファイルを表示させるクライアント装置であって、
前記第1のファイルを指定して前記サーバ装置に提供を要求する指定部と、
前記提供部より提供される前記第1のファイルを表示する第1の出力部と、
前記第1の出力部により表示された前記複数のコンポーネントの中から前記第1のコンポーネントを選択する選択部と、
前記複数のコンポーネントの表示色とは異なる表示色で前記第1のコンポーネントの内容を含む第2のコンポーネントを生成する生成部と、
前記第2のコンポーネントを前記第1のコンポーネントと重ねて表示する第2の出力部と
を備えることを特徴とするクライアント装置。
【請求項6】
コンピュータを、ネットワークを介して接続されているサーバ装置が提供するファイルを表示させるクライアント装置として動作させるためのプログラムであって、
複数のコンポーネントの情報を記述する第1のファイルを指定して前記サーバ装置に提供を要求し、
前記提供される前記第1のファイルを表示し、
前記表示された前記複数のコンポーネントの中から前記第1のコンポーネントを選択し、
前記複数のコンポーネントの表示色とは異なる表示色で前記第1のコンポーネントの内容を含む第2のコンポーネントを生成し、
前記第2のコンポーネントを前記第1のコンポーネントと重ねて表示する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−232998(P2011−232998A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103740(P2010−103740)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】