説明

情報表示端末

【課題】表示内容を無電源で保持する機能を有する情報表示端末において、セキュリティ機能の高い情報表示端末を提供する。
【解決手段】画像データに基づいて画像を表示し、表示内容を無電源で保持可能な媒体を有する表示部と、画像データを表示部に出力し、該表示部の動作を制御する表示制御部と、該表示制御部と独立して配備され、表示部の表示内容を消去する表示消去部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示端末に関し、特に表示内容を無電源で保持する機能を有した情報表示端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータやインターネット、携帯端末等が急速に普及するに伴い、通信ネットワークを介して新聞、書籍等の電子化された情報を入手して表示する情報表示端末への要望が高まっている。電子情報は、具体的にはLCD(Liquid Crystal Display)やEL(Electro Luminescence)等のディスプレイに表示され、人間は、これらの情報表示端末を介して多くの情報を取得し、処理している。その為、人間と情報のインターフェイスである情報表示端末は、より高精度化、省電力化、小型化を目指して開発が進められている。
【0003】
このような情報表示端末において、現在、紙の利点とディスプレイの利点を兼ね備え、表示内容を無電源で保持する機能(メモリ性)を有したカイラルネマティック液晶等の表示媒体を用いた所謂電子ペーパーを搭載した情報表示端末が研究、開発されている。電子ペーパーは、電気的に書換可能であり、一度表示された情報は電力を必要とせずに保持され、また、目への刺激が少なく、紙のように薄膜軽量で持ち運びが自由で、フレキシブルである等の特徴を具備したものである。この為、電子ペーパーは、バッテリーサイズが小さく、携帯性に優れた情報表示端末を実現することができる。
【0004】
一方、電子ペーパーは、一度表示された情報は電力を必要とせずに保持される、すなわち、情報表示端末の電源をオフした後にも表示内容が保持される、ので情報が流出する恐れがある。そこで、情報の流出を防止する方法として、情報の閲覧後、電子ペーパー(表示部)に画像データを出力し表示部の動作を制御する表示制御部により表示画面を消去する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
【特許文献1】特開平8−160395号公報
【特許文献2】特開2006−350190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような方法は、表示制御部がいつも正常に機能することを前提としたものであり、落下や外力等の衝撃による故障により、表示制御部自身が機能しなくなった場合には対応できるものではない。
【0006】
電子ペーパーを備えた情報表示端末は、表示制御部が正常に機能しない場合の長時間の残存表示状態、すなわち、表示内容の更新が不能でも表示画面から情報を読取ることが可能である。この為、機密情報が流出する危険性が高くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、表示内容を無電源で保持する機能を有する情報表示端末において、セキュリティ機能の高い情報表示端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、下記の1乃至5のいずれか1項に記載の発明によって達成される。
【0009】
1.画像データに基づいて画像を表示し、表示内容を無電源で保持可能な媒体を有する表示部と、
前記画像データを前記表示部に出力し、該表示部の動作を制御する表示制御部と、
前記表示制御部と独立して配備され、前記表示部の表示内容を消去する表示消去部と、
を有することを特徴とする情報表示端末。
【0010】
2.前記表示消去部は、該表示消去部の電源である電池と、
前記表示部の表示内容を消去する駆動回路と、
前記駆動回路を起動するスイッチと、
を有することを特徴とする前記1に記載の情報表示端末。
【0011】
3.前記表示部は、2次元状に配列され前記媒体である複数の表示素子を有し、
前記駆動回路は、前記複数の表示素子の電極を短絡させることを特徴とする前記2に記載の情報表示端末。
【0012】
4.衝撃を検知する衝撃検知部を有し、
前記スイッチは、前記衝撃検知部の検知結果に基づいて作動することを特徴とする前記2または3に記載の情報表示端末。
【0013】
5.前記媒体は、少なくとも強誘電性液晶表示素子、反強誘電性液晶表示素子、強誘電性高分子液晶表示素子、コレステリック液晶表示素子、エレクトロクロミック表示素子、電気泳動セルを用いた表示素子、粒子移動型表示素子、銀の析出と溶解により表示を行う表示素子、ツイストボールを用いた表示素子のいずれかであることを特徴とする前記1乃至4のいずれか1項に記載の情報表示端末。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像データを表示部に出力し、該表示部の動作を制御する表示制御部と独立して、表示部の表示内容を消去する表示消去部を配備する構成とした。したがって、例えば、情報表示端末の落下や外部からの負荷等による故障により、表示制御部自身が機能しなくなった場合においても、表示制御部と独立して配備された表示消去部により表示画面を消去することができる。これにより、機密情報の流失を防止することができ、セキュリティ機能を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面に基づいて、本発明に係る情報表示端末の実施の形態を説明する。尚、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
【0016】
最初に情報表示端末の外観を図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る情報表示端末1の外観正面図である。
【0017】
情報表示端末1は、図1に示すように、表示部10、電源スイッチ511、各種操作・設定を行う十字キー512、及び後述する表示消去部30に表示画面の消去動作を実行させる押しボタンスイッチ321等を有する。情報表示端末1は、図示しない通信ネットワークを介して受信した新聞、書籍等の電子化された情報や社内データベース内の社内文書等の電子化された情報を表示部10に表示する情報表示携帯端末である。
【0018】
次に、情報表示端末1の要部構成について図2を用いて説明する。図2は、情報表示端末1の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
情報表示端末1の要部は、図2に示すように、表示部10、表示制御部20、及び表示消去部30等から構成される。
【0020】
表示部10は、例えば、特開平10−324155号公報に記載されている強誘電性液晶から構成される表示装置のように、表示内容を無電源で保持する機能(メモリ性)を有した所謂電子ペーパと称される表示媒体である。電子ペーパは、情報を電気的に書換えることができ、情報の書換え時のみ電力を消費する一方、書換えが終了した後には電力を消費することなく情報を表示させておくことが可能であり、消費電力を抑制することができる。
【0021】
このようなメモリ性を有する表示媒体としては、前述の強誘電性液晶表示素子の他、例えば、反強誘電性液晶素子、強誘電性高分子液晶表示素子、室温でコレステリック液晶相を示すカイラルネマチック液晶等を用いたコレステリック液晶表示素子、エレクトロクロミック表示素子、電気泳動セルを用いた表示素子、乾式粉体を基板内に封入し電界で移動させて表示を行う粒子移動型表示素子、銀の析出と溶解により表示を行う表示素子、ツイストボールを用いた表示素子等を利用して構成することも可能である。
【0022】
表示部10は、このような表示媒体(表示素子)が2次元マトリクス状に配列されて構成されている。各々の表示素子には、後述するように、表示素子を駆動する為の列電極および行電極が接続されている。1つの列電極には、該当する列の表示素子がすべて接続され、1つの行電極には該当する行の表示素子がすべて接続されている。1つの表示素子に対応する列電極、行電極にそれぞれ画像信号、行選択信号を印加する動作を表示素子毎に繰り返す一連の動作により、一画面の表示がなされる。
【0023】
表示制御部20は、CPU21、表示ドライバ22等から構成される。
【0024】
表示ドライバ22は、表示部10に再生表示される画像を構成する画像信号のバッファメモリを備えた表示部10の駆動回路である。
【0025】
CPU21は、画像データ(画像信号)を表示ドライバ22を介して表示部10に出力する。また、図示しないROM(Read Only Memory)に格納されている各種制御プログラムを実行し、画像信号処理動作や表示部10の表示動作を制御する。
【0026】
表示消去部30は、表示制御部20と電気的に独立して配備され、表示部10の表示画面を消去する。
【0027】
次に、表示消去部30の構成について図3を用いて説明する。図3は、表示消去部30の概略構成を示すブロック図である。
【0028】
表示消去部30は、図3に示すように、表示部10の表示画面を消去する駆動回路31、駆動回路31を起動するスイッチ32、及び駆動回路31の電源である電池33等から構成される。
【0029】
図4に駆動回路31の具体例を示す。
【0030】
先ず、表示部10には、前述のように、表示素子Pxが2次元マトリクス状に配列され、各々の表示素子Pxには、表示素子Pxを駆動する為の列電極101および行電極102が接続されている。
【0031】
駆動回路31は、列ショート回路311、行ショート回路312等から構成される。列ショート回路311には、スイッチ32により駆動回路31に電源が投入されることにより全ての列電極101をショートする電極が設けられている。同様に行ショート回路312には、スイッチ32により駆動回路31に電源が投入されることにより全ての行電極102をショートする電極が設けられている。全ての列電極101、行電極102がそれぞれショートされることにより、各々の表示素子Pxには、等しい駆動電圧が印加され、発光強度が等しくなる。これにより、表示画面は、均一になりそれまで表示されていた画像が消去される。また、このような簡易な構成で確実に表示画面を消去することができる。
【0032】
図5にスイッチ32の具体例を示す。
【0033】
スイッチ32には、図5に示すように、押しボタンスイッチ321を用いることができる。表示画面を消去したい場合には、押しボタンスイッチ321を操作することにより、電池33から駆動回路31に電源が投入され、駆動回路31が起動し、表示画面が消去される。このような構成にすることにより、簡易な操作で表示画面を消去することができる。
【0034】
図6にスイッチ32の他の具体例を示す。
【0035】
先ず、表示消去部30に、図3で示した駆動回路31、スイッチ32、電池33に加えて、図6に示すように、落下や外部からの負荷等による衝撃を検知する衝撃検知部35を設ける。そして、スイッチ32としては、衝撃検知部35の検知結果に基づき作動するスイッチ322を用いる。このような構成にすることにより、衝撃により故障が想定された場合、使用者の操作に拠らず表示画面を消去することができので、セキュリティ機能をさらに高めることができる。
【0036】
このように本発明の実施形態に係る情報表示端末1においては、画像データを表示部10に出力し、該表示部10の動作を制御する表示制御部20と独立して、表示部10の表示内容を消去する表示消去部30を配備する構成とした。したがって、例えば、情報表示端末1の落下や外部からの負荷等による故障により、表示制御部20自身が機能しなくなった場合においても、表示制御部20と独立して配備された表示消去部30により表示画面を消去することができる。これにより、機密情報の流失を防止することができ、セキュリティ機能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係る情報表示端末の外観正面図である。
【図2】情報表示端末の概略構成を示すブロック図である。
【図3】表示消去部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】表示消去部の駆動回路の構成を示す図である。
【図5】表示消去部のスイッチの一例を示す図である。
【図6】表示消去部のスイッチの他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 情報表示端末
10 表示部
101 列電極
102 行電極
20 表示制御部
21 CPU
22 表示ドライバ
30 表示消去部
31 駆動回路
311 列ショート回路
312 行ショート回路
32 スイッチ
321 押しボタンスイッチ
322 スイッチ
33 電池
35 衝撃検知部
511 電源スイッチ
512 十字キー
Px 表示素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて画像を表示し、表示内容を無電源で保持可能な媒体を有する表示部と、
前記画像データを前記表示部に出力し、該表示部の動作を制御する表示制御部と、
前記表示制御部と独立して配備され、前記表示部の表示内容を消去する表示消去部と、
を有することを特徴とする情報表示端末。
【請求項2】
前記表示消去部は、該表示消去部の電源である電池と、
前記表示部の表示内容を消去する駆動回路と、
前記駆動回路を起動するスイッチと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の情報表示端末。
【請求項3】
前記表示部は、2次元状に配列され前記媒体である複数の表示素子を有し、
前記駆動回路は、前記複数の表示素子の電極を短絡させることを特徴とする請求項2に記載の情報表示端末。
【請求項4】
衝撃を検知する衝撃検知部を有し、
前記スイッチは、前記衝撃検知部の検知結果に基づいて作動することを特徴とする請求項2または3に記載の情報表示端末。
【請求項5】
前記媒体は、少なくとも強誘電性液晶表示素子、反強誘電性液晶表示素子、強誘電性高分子液晶表示素子、コレステリック液晶表示素子、エレクトロクロミック表示素子、電気泳動セルを用いた表示素子、粒子移動型表示素子、銀の析出と溶解により表示を行う表示素子、ツイストボールを用いた表示素子のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報表示端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−175315(P2009−175315A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12398(P2008−12398)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】