説明

情報記録媒体、情報記録装置及び情報記録方法並びに情報再生装置及び情報再生方法

【課題】DVDに代表される高密度光ディスク等の情報記録媒体を用いてインタラクティブな再生を行う際に、スキャンやサーチなどの特殊再生をすべきでない情報については簡単な構成により、その再生を禁止できるようにする。
【解決手段】DVD1には、複数のVOBUと、複数のセルとに区分されて、情報が記録トラック上に記録されており、且つ複数のセルの特殊再生の禁止を夫々示す複数の第1再生禁止フラグを含むテーブルが記録トラックの一部にまとめて記録されている。情報再生装置S2は、特殊再生が指定された場合には、ピックアップ80を記録トラックを横切って移動させることにより映像情報等を特殊再生するようにモータ103、ピックアップ80等を制御し、通常再生及び特殊再生に先立ってテーブルに含まれる第1再生禁止フラグにより特殊再生が禁止されているセルについては特殊再生しないように制御するシステムコントローラ100を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、DVDに代表される映像、音声等の情報を高密度に記録可能な高密度光ディスク等の情報記録媒体、並びに当該情報記録媒体に情報を記録するための記録装置、及び当該情報記録媒体から情報を再生するための再生装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来は、映像、音声等の情報が記録された光ディスクとしては、いわゆるLD(Laser Disk)、CD(Compact Disk)等が広く一般化している。
【0003】
これらのLD等においては、映像情報や音声情報が、各LD等が有する再生開始位置を基準とした夫々の情報を再生すべき時刻を示す時間情報と共に記録されている。このため、記録されている情報を記録されている順序で再生する一般的な通常再生の他、例えば、CDにおいては、記録されている複数の曲のうち、聞きたい曲のみを抽出して聞いたり、再生順序をランダムに変えて聞く等の再生が可能である。
【0004】
しかしながら、上記LD等においては、表示される映像や再生される音声について視聴者が選択枝をもち、当該視聴者がそれらを選択して視聴する等のいわゆるインタラクティブな変化に富んだ再生はできないという問題点があった。
【0005】
即ち、例えば、最近のゲーム用や教育用のパソコンのソフトウエアにみられるような「問題」を表示等した後に視聴者が入力した「答え」の内容に応じて異なる表示や音声出力等をするようなインタラクティブな再生(例えば、「答え」が正解である場合には、正解に対応した映像及び音声を再生し、この「答え」が間違いである場合には、間違いに対応した映像及び音声を再生すること)ができないのである。
【0006】
一方、現在、上記従来のCDに対して、光ディスク自体の大きさを変えずに記憶容量を約10倍に向上させた光ディスクであるDVDにおけるインタラクティブな再生についての提案や開発がなされている。このDVDを再生するプレーヤにおいても、その性質上、LDプレーヤと同じようにサーチ(検索)やスキャン(早見チェック)操作が可能となる。即ち、上述の如きインタラクティブな再生を可能とするDVDプレーヤは、従来のLDプレーヤー等と同じように情報を時間を追って再生する装置としての機能とパソコンやゲーム機器と同じようなインタラクティブなやり取りを行う装置としての機能とを兼ね備えたものとなる。従って、上述の如きインタラクティブな再生を可能とするDVDに対してサーチやスキャンした際に、「問題」を再生する前にその「正解」や「間違い」に対応した情報を再生してしまう可能性が出てくる。このような再生は、製作者(ソフトウエアの製作者)の意図に根本的に反するものであり更に視聴者(ソフトウエアの使用者)にとってもゲームや勉強の進行上望ましいことではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、サーチやスキャンの際に製作者が意図せずまた視聴者も希望しない再生が行われないようにするためのDVD技術については未だ提案も開発もされていない。更に、上述の如き二つの機能を併せ持つDVDにおけるインタラクティブな再生においては、サーチやスキャンの際に製作者が意図せず視聴者も希望しない再生が行われないようにすべきであるという課題自体が当業者の間で認識されていないのが現状である。
【0008】
本願発明者らは、この未だに公知でない課題にいち早く着目し、未だ公知とされていない特願平7―166025号において、(i)一定のデータグループ毎に再生条件を示す再生禁止情報を含む付加情報を予め付加しておき、この再生禁止情報に定められた再生条件(例えば、所定の再生手順を経たという条件、「問題」の再生が完了したという条件など)を満たしたか否かをプレーヤにおいて常時モニタリングして再生条件を満たしたと判断されたときに、その再生禁止情報に続く映像データ及び音声データの再生を許可する再生方法、及び(ii)一定のデータグループ毎に再生を許可するための基準値を示す再生禁止情報を含む付加情報を予め付加しておくと共に当該ソフトウエアに対する視聴者の再生操作状況に応じて決定される再生許可レベルを各プレーヤに持たせておき、これらの再生禁止情報に含まれる基準値と再生許可レベルとの大小関係に基づいて、その再生禁止情報に続く映像データ及び音声データの再生を許可する再生方法を発明している。
【0009】
しかしながら、これらの(i)及び(ii)の方法によれば、プレーヤは再生条件や再生の進行状況を記憶しておかねばならない。特に(i)の方法によれば、プレーヤは、例えば、問題の再生が完了したか否かをモニタリングしておき、完了した際に内蔵レジスタの特定ビットが1とされる。これ以降に、この完了を条件に再生可能であることを示す再生禁止情報をもつデータグループがあれば、プレーヤはその内蔵レジスタの値により、再生可能であるか不可能であるかを判断する。従って、再生されるソフトウエアにおいて分岐が、複数箇所あると、その箇所毎に再生許可判断を行うためには、少なくとも分岐の総数分のビット数のレジスタが必要となる。また(ii)の方法によれば、プレーヤは、再生許可レベルを不揮発的に常に記憶するレジスタが必要となる。
【0010】
更に、これらの(i)及び(ii)の方法によれば、各データグループ毎に再生禁止情報が付加されているため、実際にそのデータグループの所へピックアップを移動させて情報を読み出して始めて(即ち、リアルタイムで)、再生が認められないことが判明することになる。よって、再生が認められないデータグループへのスキャンを行った場合には、(a)このデータグループのところへピックアップが移動してからスキャンがいきなり中断されたり、(b)このデータグループのところへピックアップが移動した後に再生が認められた別のデータグループのところまでピックアップが戻って、その後にその部分の再生を開始したり、(c)再生が認められる別のデータグループを見つけるまでジャンプが何度も繰り返されたりしてしまう。上記(a)のような動作では、スキャン本来の別の箇所を再生するという目的に根本的に適さない。また、上記(b)のような動作では、再生不可能な部分をまたぐスキャンが不可能となり、スキャン本来の前方や後方の離れた箇所へ移動するという目的に適さない。更に、上記(c)のような動作では、再生不可能とされている部分が長い場合にはスキャン動作をしているにも拘わらず再生されない期間が長く続き、視聴者にとっては使い勝手が非常に悪い。特に、ディスクの最初や最後の部分で、このような動作が繰り返されると、そのままスキャンを停止してしまう不都合もある。
【0011】
以上のように、この本願発明者らの発明した再生方法によれば、スキャン本来の機能が不完全なものとなる。
【0012】
そこで、本発明の課題は、インタラクティブな再生においてスキャンやサーチなどの特殊再生の際に再生すべきでない情報の再生を比較的簡単な構成により未然に防止し得ると共に円滑な特殊再生を可能ならしめる情報記録媒体、並びにその記録装置及び再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明は、読取手段を備えており該読取手段を映像情報及び音声情報の記録された記録トラックに沿って移動させつつ通常再生し且つ前記映像情報及び音声情報にアクセスするためのアクセス情報に基づいて前記読取手段を前記記録トラックを横切って移動させて特殊再生する再生装置により、再生される前記記録トラックを有する情報記録媒体であって、前記再生装置により物理的にアクセス可能な最小単位であり前記映像情報及び音声情報と前記アクセス情報を含む制御情報とから夫々構成される複数の第1データグループと、前記再生装置による通常及び特殊再生において論理的に分割可能な単位であり前記複数の第1データグループのうち前記記録トラックに沿って並べられた一連の第1データグループから夫々構成される複数の第2データグループとに区分されて、前記映像情報、音声情報及び制御情報が前記記録トラック上に記録されており、前記複数の第2データグループの前記再生装置による特殊再生の禁止を夫々示す複数の第1再生禁止情報を含む管理情報が前記記録トラックの一部にまとめて記録されている。
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明は、読取手段を備えており該読取手段を映像情報及び音声情報の記録された記録トラックに沿って移動させつつ通常再生し且つ前記映像情報及び音声情報にアクセスするためのアクセス情報に基づいて前記読取手段を前記記録トラックを横切って移動させて特殊再生する再生装置により再生される前記記録トラックを有する情報記録媒体に、情報を記録するための情報記録装置であって、前記映像情報及び音声情報に対応する前記アクセス情報を生成するアクセス情報生成手段と、前記再生装置により物理的にアクセス可能な最小単位であり前記映像情報及び音声情報と前記アクセス情報を含む制御情報とから夫々構成される複数の第1データグループと、前記再生装置による通常及び特殊再生において論理的に分割可能な単位であり前記複数の第1データグループのうち前記記録トラックに沿って並べられた一連の第1データグループから夫々構成される複数の第2データグループとに区分して、前記映像情報、音声情報及び制御情報を前記記録トラック上に記録すると共に、前記複数の第2データグループの前記再生装置による特殊再生の禁止を夫々示す複数の第1再生禁止情報を含む管理情報を前記記録トラックの一部にまとめて記録する記録手段と、前記第1再生禁止情報を入力するための入力手段と、を備える。
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明は、物理的にアクセス可能な最小単位であり映像情報及び音声情報と該映像情報及び音声情報にアクセスするためのアクセス情報を含む制御情報とから夫々構成される複数の第1データグループと、通常再生及び特殊再生において論理的に分割可能な単位であり前記複数の第1データグループのうち記録トラックに沿って並べられた一連の第1データグループから夫々構成される複数の第2データグループとに区分されて、前記映像情報、音声情報及び制御情報が前記記録トラック上に記録されており、且つ前記複数の第2データグループの特殊再生の禁止を夫々示す複数の第1再生禁止情報を含む管理情報が前記記録トラックの一部にまとめて記録されている情報記録媒体を再生するための情報再生装置であって、前記記録トラック上で所定の読取り位置に記録されている情報を読取る読取手段と、前記読取手段を前記記録トラックに沿って又は前記記録トラックを横切って相対的に移動させる移動手段と、前記読取手段により読取られた情報を再生する再生手段と、前記通常再生及び特殊再生のいずれかを指定可能な指定手段と、前記指定手段により前記通常再生が指定された場合には、前記読取手段を前記記録トラックに沿って移動させることにより前記映像情報及び音声情報を通常再生し、前記特殊再生が指定された場合には、前記アクセス情報に基づいて前記読取手段を前記記録トラックを横切って移動させることにより前記映像情報及び音声情報を特殊再生するように前記移動手段、前記読取手段及び前記再生手段を制御する制御手段であって、前記通常再生及び特殊再生に先立って前記管理情報を再生させると共に該再生された管理情報に含まれる第1再生禁止情報により特殊再生が禁止されている第2データグループについては特殊再生しないように前記読取手段、前記移動手段及び前記再生手段のうち少なくとも一つを制御する制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る情報記録媒体によれば、製作者がサーチやスキャンなどの特殊再生を禁止した第2データグループに対応する第1再生禁止情報が管理情報の中にまとめて記録されているので、再生装置において通常及び特殊再生に先立ってこの管理情報を一括して再生することができ、この管理情報の中にまとめて記録された第1再生禁止情報に基づいて、第2データグループの特殊再生を迅速且つ円滑に中止し得る。この結果インタラクティブな再生においてスキャンやサーチなどの際に再生すべきでない情報の再生を比較的簡単な構成により、未然に防ぐことができ、更に、迅速な中止により及びその中止の際の適当な中止処理により、極めて円滑な特殊再生が可能となる。
【0017】
本発明に係る情報記録装置によれば、上述した情報記録媒体を記録できる。
【0018】
本発明に係る情報再生装置によれば、製作者がサーチやスキャンなどの特殊再生を禁止した第2データグループに対応する第1再生禁止情報がまとめて記録された管理情報を、通常及び特殊再生に先立って一括して再生することができ、この管理情報の中にまとめて記録された第1再生禁止情報に基づいて、第2データグループの特殊再生を迅速且つ円滑に中止し得る。この結果インタラクティブな再生においてスキャンやサーチなどの際に再生すべきでない情報の再生を比較的簡単な構成により、未然に防ぐことができ、更に、迅速な中止により及びその中止の際の適当な中止処理により、極めて円滑な特殊再生が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態としてのDVDにおけるデータの物理的構成を示す概念図である。
【図2】図1のDVDにおけるデータの論理的構成を示す概念図である。
【図3】図1のDVDにおけるインターリーブドユニットの構成を示す概念図である。
【図4】図1のDVDに設けられたセル再生情報テーブルのデータ構造を示す表である。
【図5】図4のセル再生情報テーブル内のセルの属性情報のデータ構造を示す概念図である。
【図6】図1のDVDに設けられたDSIのデータ構造を示す表である。
【図7】図6のDSI内の再生禁止情報のデータ構造を示す概念図である。
【図8】本発明の他の実施の形態としての図1のDVDを記録するための情報記録装置のブロック図である。
【図9】本発明の他の実施の形態としての図1のDVDを再生するための情報再生装置のブロック図である。
【図10】図9の情報再生装置のサーチ動作を示すフローチャートである。
【図11】図9の情報再生装置のスキャン動作を示すフローチャートである。
【図12】図9の情報再生装置のスキャン動作を示す概念図である。
【図13】図9の情報再生装置の通常再生動作を示す概念図である。
【図14】図9の情報再生装置の特殊再生動作を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に好適な実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、上述のDVDに対して本発明を適用した実施の形態について説明するものである。
【0021】
なお、以下の実施の形態においては、下記リストの左側に示した特許請求の範囲における各構成要素の一例が、下記リストの右側に示した要素から夫々構成されている。
第1データグループ :VOBU(VOB-Unit)
第2データグループ :セル
管理情報 :セル再生情報テーブル(PGCI内)
制御情報 :DSI(Data Search Information)
第1再生禁止情報 :第1再生禁止フラグ(セル再生情報テーブル内)
第2再生禁止情報 :第2再生禁止フラグ(DSI内)
【0022】
(I)情報記録媒体の実施の形態
始めに、本発明が適用された情報記録媒体の実施の一形態であるDVDの物理的及び論理的な構成並びにその動作について、図1から図3を用いて説明する。
【0023】
先ず、映像情報及び音声情報のDVD上における記録フォーマット(物理的記録フォーマット)について、図1を用いて説明する。
【0024】
図1に示すように、実施の形態のDVD1は、その最内周部にリードインエリアLIを有すると共にその最外周部にリードアウトエリアLOを有しており、その間に、映像情報及び音声情報が、夫々にID(識別)番号を有する複数のVTS3(VTS#1乃至VTS#n)に分割されて記憶されている。ここで、VTS(Video Title Set)とは、関連する(音声、サブピクチャのストリーム数や仕様、対応言語などの属性が同じ)タイトル(映画等の、製作者が視聴者に提示しようとする一つの作品)を一まとめにしたセット(まとまり)であり、より具体的には、例えば、一本の同じ映画について、異なる言語のセリフ等を有する複数の映画が夫々にタイトルとして記録されたり、又は、同じ映画であっても劇場版と特別版とが夫々別のタイトルとして記憶されたりするものである。また、VTS3が記録されている領域の先頭には、ビデオマネージャ2が記録される。このビデオマネージャ2として記録される情報は、例えば、各タイトルのアクセスのためのメニューや、違法コピー防止のための情報、又は夫々のタイトルに直接アクセスするためのアクセステーブル等、当該DVD1に記録される映像情報及び音声情報の全体に係わる情報が記録される。
【0025】
次に、一のVTS3は、コントロールデータ11を先頭として、夫々にID番号を有する複数のVOB10に分割されて記録されている。ここで、複数のVOB10により構成されている部分をVOBセット(VOBS)という。このVOBセットは、VTS3を構成する他のデータであるコントロールデータ11と、映像情報及び音声情報の実体である複数のVOB10の部分とを区別するために当該実体部分についてVOBセットとしたものである。
【0026】
VTS3の先頭に記録されるコントロールデータ11には、複数のセル(セルについては後述する。)を組合わせた論理的区分であるプログラムチェーンに関する種々の情報であるPGCI(Program Chain Information)等の情報が記録される。また、各VOB10には、制御情報の他に映像情報及び音声情報の実体部分(制御情報以外の映像又は音声そのもの)が記録されている。
【0027】
更に、一のVOB10は、夫々にID番号を有する複数のセル20により構成されている。ここで、一のVOB10は、複数のセル20により完結するように構成されており、一のセル20が二のVOB10に跨がることはない。
【0028】
次に、一のセル20は、夫々にID番号を有する複数のVOBユニット(VOBU)30により構成されている。ここで、VOBユニット30とは、映像情報、音声情報及び副映像情報(映画における字幕等の副映像の情報をいう。)の夫々を含む情報単位である。
【0029】
そして、一のVOBユニット30は、制御情報用のナビパック41と、映像情報用のビデオパック42と、音声情報用のオーディオパック43と、副映像情報用のサブピクチャパック44とにより構成されている。ここで、ビデオパック42には、映像データの含まれるパケットが記録され、オーディオパック43には、音声データの含まれるパケットが記録される。また、サブピクチャパック44には、副映像としての文字や図形等のグラフィックの含まれるパケットが記録される。図1に示すようにデータ量の多いビデオパック42は、一つのVOBユニット30の内部で一又は複数のGOPが記録されており、各ビデオパック42間にオーディオパック43及びサブピクチャパック44が配置されている。なお、DVD1に記録可能な音声は8種類であり、記録可能な副映像の種類は32種類であることが規格上定められている。更に、一つのVOBU30においてナビパック41は、必ず存在するが、ビデオパック42、オーディオパック43及びサブピクチャパック44の夫々は、必ずしも存在しなくてもよく、存在する場合も、その数や順序は自由である。
【0030】
最後に、ナビパック41は、表示させたい映像や音声等を検索するための検索情報(具体的には、当該表示させたい映像や音声等が記録されているDVD1上のアドレス等)を含むDSI(Data Search Information)パケット51と、DSIパケット51の情報に基づいて検索してきた映像を表示したり音声を発生させたりする際の表示制御に関する情報を含むPCI(Presentation Control Information)パケット50とにより構成され、更に、一のVOBUに含まれる全てのビデオデータは、1個以上のGOP(Group Of Picture)により構成されている。なお、PCIパック50には、視聴者によって選択される選択項目に対して、その項目が選択されたときの表示や動作を定義したハイライト情報が含まれている。ハイライト情報によって、例えば、視聴者が選択すべき項目を表示した画面(いわゆるメニュー画面)における選択された項目に対する画面表示の変化や変化すべき表示位置及び選択した項目に対応するコマンド(選択された項目に対応して実行される命令)の設定が行われる。
【0031】
ここで、メニュー画面を構成して表示するために必要な、枠、選択ボタン等を構成して表示するための映像情報は、上記の副映像情報としてサブピクチャパック44として記録される。
【0032】
更に、上記GOPは、本実施の形態におけるDVD1に映像情報を記録する際に採用されている画像圧縮方式であるMPEG2(Moving Picture Experts Group 2)方式の規格において定められている単独で再生可能な最小の画像単位である。
【0033】
ここで、MPEG2方式についてその概要を説明すると、一般に、連続したフレーム画像において、一枚のフレーム画像の前後にあるフレーム画像は、互いに類似し相互関係を有している場合が多い。MPEG2方式はこの点に着目し、数フレームを隔てて転送される複数のフレーム画像に基づき、当該複数のフレーム画像の間に存在する別のフレーム画像を、原画像の動きベクトル等に基づく補間演算にて生成する方式である。この場合、当該別のフレーム画像を記録する場合には、複数のフレーム画像との間における差分及び動きベクトルに関する情報を記録するだけで、再生時には、それらを参照して上記複数のフレーム画像から予測して当該別のフレーム画像を再生することが可能となる。これにより、画像の圧縮記録が可能となるのである。MPEG2方式においては、夫々のGOPに含まれるデータ量が一定でない可変レート方式を採用している。
【0034】
以上説明した図1に示す階層構造の記録フォーマットにおいて、夫々の区分は、製作者がその意図に応じて自在に区分設定をして記録させることができる。これらの区分毎に後述の論理的構造に基づいて再生することにより、変化に富んだ種々の再生が可能となるのである。
【0035】
次に、図1に示す物理的な区分により記録された情報を組合わせた論理的フォーマット(論理的構造)について図2を用いて説明する。なお、図2に示す論理的構造は、その構造で実際にDVD1上に情報が記録されているのではなく、図2に示す論理的構造で図1に示す各データ(特にセル20)を組合わせて再生するための情報(アクセス情報又は時間情報等)がDVD1上の、特にコントロールデータ11の中に記録されているものである。即ち、DVD1においては、セル20が再生における論理的に分割可能な単位を構成している。例えば、前述の「問題」が一つのセル、「正解」が一つのセル、「間違い」が一つのセルという具合である。
【0036】
説明の明確化のために、図2の下位の階層から説明していくと、上記図1において説明した物理構造のうち、複数のセル20を選択して組合わせることにより、一のプログラム60が製作者の意図に基づいて論理上構成される。このプログラム60は、後述の再生装置におけるシステムコントローラが、区分を識別してコマンドによってアクセスできる最小の論理的単位でもある。なお、このプログラム60を一個以上まとめたものを、視聴者が自由に選択して視聴することができる最小単位として製作者が定義することもでき、この単位をPTT(Part Of Title)という。
【0037】
また、一のプログラム60が複数のセル20を選択して論理的に構成されることから、複数のプログラム60で一のセル20を用いる、すなわち、一のセル20を異なった複数のプログラム60において再生させる、いわゆるセル20の使い回しを行うことも可能となっている。
【0038】
ここで、一のセル20の番号については、当該セル20を図1に示す物理フォーマットにおいて取り扱う際にはセルID番号として扱われ(図1中、セルID#と示す。)、図2に示す論理フォーマットにおいて取り扱う際には後述するPGCI中の記述順にセル番号として扱われる。
【0039】
次に、複数のプログラム60を組合わせて一のPGC(Program Chain)61が製作者の意図に基づいて論理上構成される。このPGC61の単位で、前述したPGCI(Program Chain Information)が定義され、当該PGCIには、夫々のプログラム60を再生する際の各プログラム60の再生順序(この再生順序により、プログラム60毎に固有のプログラム番号が割当てられる。)、セルの再生順序(この再生順序により、セル毎に固有のセル番号が割当てられる。)、夫々のセル20のDVD1上の記録位置であるアドレス、一のプログラム60における再生すべき先頭セル20の番号、各プログラム60の再生方式[本実施の形態のDVD1に情報を記録する際には、再生時において、ランダム再生(乱数によるランダム再生であり、同じプログラム60が複数回再生されることがある。)、シャッフル再生(ランダム再生と同様の乱数によるランダム再生であるが、同じプログラム60は一度しか再生されず、同じプログラム60が複数回再生されることはない。)又はループ再生(一つのPGC61を何度も再生すること。)のうち、いずれか一つ或いはループ再生とランダム再生又はシャッフル再生の組み合わせによる再生方法を、製作者が選択して再生させるようにすることができる。]及び各種コマンド(PGC61又はセル20毎に製作者が指定可能なコマンド)などが含まれている。なお、PGCIのDVD1上の記録位置は、上述の通り、コントロールデータ11内であるか又はビデオマネージャ2内のメニューに関するPGCIであればビデオマネージャ2内のコントロールデータ(図示せず)内である(図1参照)。
【0040】
また、一のPGC61には、上記PGCIの他に、実体的な映像及び音声等のデータがプログラム60の組合わせとして(換言すれば、セル20の組合わせとして)含まれることとなる。
【0041】
更に、一のPGC61においては、上記のプログラム60における説明において示したセル20の使い回し(すなわち、異なるPGC61により、同一のセル20を用いること。)も可能である。また、使用するセル20については、DVD1に記録トラック上で記憶されている順番にセル20を再生する方法(連続配置セルの再生)の他に、DVD1に記憶されている順序に関係なく再生する(例えば、記録トラック上で後に記録されているセル20を先に再生する等)方法(非連続配置セルの再生)を製作者が選択することができる。
【0042】
次に、一又は複数のPGC61により、一のタイトル62が論理上構成される。このタイトル62は、例えば、映画一本に相当する単位であり、製作者がDVD1の視聴者に対して提供したい完結した情報である。
【0043】
そして、一又は複数のタイトル62により、一のVTS63が論理上構成される。このVTS63に含まれるタイトル62は、夫々に共通の属性を有するものであり、例えば、一本の同じ映画に対して違う言語の映画が夫々のタイトル62に相当することとなる。また、図2に示す一のVTS63に相当する情報は、図1に示す一のVTS3に含まれている情報に対応している。すなわち、DVD1には、図2に示す論理上のVTS63内に含まれる全ての情報が一のVTS3として記録されていることとなる。
【0044】
以上説明した論理フォーマットに基づいて、DVD1上の物理的構造において区分された情報を製作者が指定することにより、視聴者が見るべき映像(映画等)が形成されるのである。
【0045】
なお、図1に示す物理的構造の説明においては、内容の理解の容易化のため、複数のセル20がID番号の順に記録されているとして説明したが、実施の形態のDVD1においては、実際には、一のセル20が図3に示す複数のインターリーブドユニットIUに分割されて記録される場合がある。
【0046】
すなわち、例えば図3に示すように、製作者が一のPGC61AをID番号1、2及び4を有するセル20により構成し、他のPGC61BをID番号1、3及び4を有するセル20により構成する場合を考えると、当該PGC61Aに基づいてDVD1から情報を再生する際には、ID番号1、2及び4を有するセル20のみを再生し、PGC61Bに基づいてDVD1から情報を再生する際には、ID番号1、3及び4を有するセル20のみを再生することとなる。この場合に、セル20がID番号毎に分離して記録されていると、例えば、PGC61Aの場合には、ID番号2のセル20のDVD1上の記録位置からID番号4のセル20のDVD1上の記録位置まで、再生のためのピックアップをジャンプする時間が必要となり、後述の再生装置におけるトラックバッファの容量によっては、ID番号2のセル20とID番号4のセル20を連続的に再生すること(以下、これをシームレス再生という。)ができなくなる。
【0047】
そこで、図3に示す場合には、ID番号2のセル20とID番号3のセル20を、上記トラックバッファにおける入出力処理の速度に対応して、一時的に入力信号の入力が停止しても、出力信号の連続性が損なわれない長さのインターリーブドユニットIU(すなわち、一のインターリーブドユニットIUの間だけピックアップがジャンプすることによりトラックバッファへの入力信号が途絶えても、当該トラックバッファからの出力信号を連続的に出力可能な長さのインターリーブドユニットIU)に夫々分解して記録し、例えば、PGC61Aに基づいて再生する場合には、ID番号2に対応するセル20を構成するインターリーブドユニットIUのみを連続して検出し、再生することが行われる。同様に、PGC61Bに基づいて再生する場合には、ID番号3に対応するセル20を構成するインターリーブドユニットIUのみを連続して検出し、再生するのである。なお、インターリーブドユニットIUの長さは、上述のように、トラックバッファの容量を勘案して決定される他に、トラックジャンプを行うためのスライダモータ等の駆動機構の性能をも加味して決定される場合がある。
【0048】
このように、製作者の意図によって、一のセル20を複数のインターリーブドユニットIUに分割して記録させておくことにより、飛び飛びのID番号のセル20を含むPGC61を再生する際にも、トラックバッファから出力される信号は途切れることはなく、従って、視聴者は中断することのない再生映像を視聴することができるのである。
【0049】
なお、上記インターリーブドユニットIUは、一のVOB10内で完結するように形成され、一のインターリーブドユニットIUが隣り合う複数のVOB10に跨がることはない。また、インターリーブドユニットIUとVOBユニット30との関係については、一のインターリーブドユニットIU内に一又は複数のVOBユニット30が含まれ、一のインターリーブドユニットIU内においては一のVOBユニット30が完結するように構成されており、一のVOBユニット30が分割されて複数のインターリーブドユニットIUに跨がることはない。
【0050】
次に、上記の物理的構造及び論理的構造を有する各種制御情報のうち、第1の再生禁止情報の一例を構成する第1再生禁止フラグ及び第2の再生禁止情報の一例を構成する第2再生禁止フラグに係る構成について更に詳細に説明する。
【0051】
先ず、図1、図4及び図5を参照して、第1再生禁止フラグについて説明する。
【0052】
図1に示したVTS3の先頭に記録されるコントロールデータ11に含まれるPGCI(Program Chain Information)は、当該PGCIが含む複数のセルについての詳細情報からなる図4の如きセル再生情報テーブル201を含んで構成されている。なお、本実施の形態においては、「問題」を表示や音声出力するために、一つの「問題」についての映像及び音声情報等を含むように一つのセルが定義されており(セル#1)、視聴者が入力した「答え」が正解である場合に表示や音声出力するために、正解に対応した映像及び音声情報等を含むように別のセルが定義されており(セル#2)、更に、この「答え」が間違いである場合に表示や音声出力するために、間違いに対応した映像及び音声情報等を含むように更に別のセルが定義されている(セル#3)ものとする。このように、問題の回答単位で再生禁止フラグを定義することにより、サーチやスキャンの際に、問題を見ないで解答を見てしまう事態を以下に説明するように、効果的に防止できる。
【0053】
図4において、セル再生情報テーブル201は、各セルがセル単位でサーチやスキャンなどの特殊再生の際に再生可能であるか否かを示す再生禁止フラグ202と、各セルの再生時間を示すセル再生時間情報203と、各セル内の最初のVOBUのスタートアドレスを示すセルスタートアドレス情報204と、セル内の最後のVOBUのスタートアドレスを示すセルエンドアドレス情報205とから構成されている。これらの内、第1再生禁止フラグ202が「オフ」の(即ち、フラグが立てられていない)場合には、後述の再生装置におけるシステムコントローラによる当該第1再生禁止フラグ202に基づく再生制御により、特殊再生や通常再生の区別を問わずに、当該第1再生禁止フラグ202に対応するセルにおけるセル単位の再生が許可される。また、第1再生禁止フラグ202が「オン」の(即ち、フラグが立てらている)場合には、同じくシステムコントローラによる再生制御により、特殊再生の場合には当該第1再生禁止フラグ202に対応するセルにおけるセル単位の再生が禁止される。即ち、システムコントローラによる再生制御により、時間指定再生、飛び越し再生又は再生速度の変更(前方早送り及び後方早送りについての速度変更を含む)という視聴者による操作が行われる際に、当該第1再生禁止フラグ202に対応するVOBUを含むセルの再生が禁止される。
【0054】
尚、図4の例では、セル再生情報テーブルは、セルスタートアドレス情報とセルエンドアドレス情報とを含むが、セルエンドアドレス情報に変えて、各セルの大きさ(バイト数)を含むようにしてもよい。即ち、このようにしても、各セルのエンドアドレスを特定できる。
【0055】
従って、図4において、例えば、セル#1のセルは、問題1に対応するセルであり、セル#2のセルは、その問題1に対する正解に対応するセルであり、セル#3のセルは、その問題1に対する間違いに対応するセルであり、セル#4は、問題2に対応するセルである。この結果、問題に対応するセル(セル#1及びセル#4)は、第1再生禁止フラグ202が「オフ」であるので、特殊再生や通常再生の区別を問わずに再生が可能である。一方、正解又は間違い(即ち、問題の答え)に対応するセル(セル#2及び#3)は、サーチやスキャンなどの特殊再生の場合には、再生が禁止されるが、通常再生(即ち、対応する問題を再生し終えた際の再生)は禁止されていない。
【0056】
図4において、セル再生情報テーブル201内において、第1再生禁止フラグ202は、2次元的な表における一つの行として論理的に構成されている。
【0057】
より具体的な第1再生禁止フラグ202の構成例としては、例えばセル再生情報テーブル201内において一つの行として論理的に構成される32ビットからなるセルの属性情報の一部として第1再生禁止フラグは構成される。即ち、図5に示すように、セルの属性情報210は、b0〜b31の32ビットから構成されており、その内の1ビットであるb21のビットが、第1再生禁止フラグ202に割り当てられている。ここに、第1再生禁止フラグ202は、「0」の場合には、オフであり、「1」の場合には、オンである。
【0058】
尚、図5において、二つのビットb31及びb30に割り当てられたセルブロックモードは、「00」の場合に当該ブロック内のセルではないことを示し、「01」の場合に当該ブロック内の第1のセルであることを示し、「10」の場合に当該ブロック内のセルであることを示し、「11」の場合に当該ブロック内の最後のセルであることを示す。二つのビットb29及びb28に割り当てられたセルブロックタイプは、「00」の場合に当該ブロックの一部ではないことを示し、「01」の場合にアングルブロックであることを示し、「10」及び「11」についてはシステム拡張用の値である。他のビットb27〜b0についてもセルの属性を示す他の詳細情報がビット単位で記録されているか又はシステム拡張用領域として空状態(「0」が並べられる状態)とされている。
【0059】
次に、図1、図6及び図7を参照して、第2再生禁止フラグについて説明する。
【0060】
図1に示したナビパック41に含まれるDSI(Data Search Information)パケット51は、当該ナビパック41が先頭におかれたVOBU30についてのサーチとシームレス再生を行うための各VOBU30に固有の内容を持つナビゲーション情報であり、第2再生禁止フラグを備えて構成されている。
【0061】
より具体的には、例えば、DSIパケット51のデータ構造は、図6に示したように、VOBUに対するサーチを行うための一般的な情報であるDSI一般情報、シームレス再生の際のサーチを行うためのシームレス再生情報、アングル再生をシームレスに行うためのシームレス用アングル情報、ナビパックのアドレス情報及び同期再生用の情報の他に、第2再生禁止フラグを含む1byteの再生禁止情報211から構成されている。図7に示すように、第2再生禁止フラグ212は、8ビットb0〜b7からなる1byteの再生禁止情報211の内の1ビットb7から構成されており、他の7ビットb0〜b6は、拡張用領域(「0」が並べられた状態)とされている。この第2再生禁止フラグ212は、「0」の(即ち、フラグが立てられていない)場合には、後述の再生装置におけるシステムコントローラによる再生制御に対し、特に制限は加えられない。また、第2再生禁止フラグ212は、「1」の(即ち、フラグが立てらている)場合には、同じくシステムコントローラによる再生制御により、時間指定再生、飛び越し再生又は再生速度の変更(前方早送り及び後方早送りについての速度変更を含む)という視聴者による操作が行われる際に、当該第2再生禁止フラグ212に対応するVOBUを含むセルの再生が禁止される。
【0062】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、PGCI内に設けられたセル再生情報テーブル内にセル単位で特殊再生を夫々許可又は禁止する複数の第1再生禁止フラグが構築されており、同じくセル単位で特殊再生を禁止又は許可する第2再生禁止フラグが各DSIパケットの内部に夫々構築されている。従って、後述する再生装置は、PGCI毎の再生に入る時点でPGCI内に設けられたセル再生情報テーブルを参照することにより、当該PGCI内の映像データ等を実際に再生する以前に、第1再生禁止フラグに基づいて、サーチやスキャンなどの特殊再生の際に再生が禁止されているセルを予め認識できるので、その再生が禁止されたセルへのサーチやスキャンを事前に(そのセルを再生する前に)、確実に阻止することができる。更に、再生装置は、瞬間的なエラー等により又はセル再生情報テーブルに異常があったような場合に、ピックアップが、再生禁止されたセル内に飛び込んだとしても、最初にそのセルの先頭にあるナビパックに含まれるDSIデータを読み込んだ時に、第2再生禁止フラグに基づいて、その再生が禁止されたセルの再生をリアルタイムで(DSIデータを読み込んだ後に遅延なく)、より確実に阻止することができる。本実施の形態によるこのような作用は、後述する本実施の形態のDVDを再生する再生装置の動作の説明により、より明らかにされよう。
【0063】
なお、上記DVDは、例えば、「問題」を表示等した後に視聴者が入力した「答え」の内容に応じて複数の表示等をするために必要な比較的複雑であり且つ大量の情報も同一の光ディスクに記録することが可能な大きな記憶容量を有しているので、上記の記録フォーマットは、特にDVD1に対して適用することが効果的である。
【0064】
(II)記録装置の実施の形態
次に、上述の制御情報、映像情報及び音声情報をDVD1に記録するための記録装置の実施の形態について、図8を用いて説明する。
【0065】
始めに、図8を用いて、実施の形態の記録装置の構成及び動作について説明する。
【0066】
図8に示すように、実施の形態に係る記録装置S1は、VTR(Video Tape Recorder)70と、メモリ71と、信号処理部72と、ハードディスク(HD)装置73と、ハードディスク(HD)装置74と、コントローラ75と、多重器76と、変調器77と、マスタリング装置78とにより構成されている。本実施の形態では、信号処理部72からアクセス情報生成手段の一例が構成されており、ハードディスク装置73、フレキシブルディスク(FD)装置74、コントローラ75、多重器76、変調器77及びマスタリング装置78から記録手段が構成されており、キューシートST及びメモリ71から入力手段の一例が構成されており、更に、多重器76から多重手段の一例が構成されている。
【0067】
次に、動作を説明する。
【0068】
VTR70には、DVD1に記録すべき音楽情報や映像情報等の素材である記録情報Rが一時的に記録されている。そして、VTR70に一時的に記録された記録情報Rは、信号処理部72からの要求により当該信号処理部72に出力される。
【0069】
信号処理部72は、VTR1から出力された記録情報RをA/D変換した後、MPEG2方式により圧縮処理し、音楽情報と映像情報とを時間軸多重して圧縮多重信号Srとして出力する。その後、出力された圧縮多重信号Srは、ハードディスク装置73に一時的に記憶される。
【0070】
これらと並行して、メモリ71は、上記記録情報Rを部分記録情報Prに予め区分し、それぞれの部分記録情報Prに関する、特に各セルについての第1再生禁止フラグ及び第2再生禁止フラグのオン、オフ等が記載されたキューシートSTに基づき予め入力された当該部分記録情報Prに関する内容情報を一時的に記憶し、信号処理部72からの要求に基づいて内容情報信号Siとして出力する。
【0071】
そして、信号処理部72は、VTR70から出力される上記記録情報Rに対応したタイムコードTt及びメモリ71から出力される内容情報信号Siに基づき、タイムコードTtを参照して上記部分記録情報Prに対応するアクセス情報信号Sacを生成して出力し、当該アクセス情報信号Sacがハードディスク装置74に一時的に記憶される。
【0072】
以上の処理が記録情報R全体について実行される。
【0073】
記録情報Rの全てについて上記の処理が終了すると、コントローラ75は、ハードディスク装置73から圧縮多重信号Srを読み出すとともにハードディスク装置74からアクセス情報信号Sacを読み出し、これらに基づいて付加情報DAを生成し、ハードディスク装置74に記憶する。これは、各種制御信号中に、圧縮多重信号Srの生成結果によって内容が定まるものがあるからである。一方、コントローラ75は、上記信号処理部72、ハードディスク装置73及びハードディスク装置74の夫々の動作の時間管理を行い、当該付加情報DAをハードディスク装置74から読み出し、それに対応した付加情報信号Saを生成して出力すると共に、圧縮多重信号Srと付加情報信号Saを時間軸多重するための情報選択信号Sccを生成して出力する。
【0074】
その後、圧縮多重信号Srと付加情報信号Saは、情報選択信号Sccに基づき、多重器76により時間軸多重されて情報付加圧縮多重信号Sapとして出力される。なお、副映像情報が存在する場合には、図示されないハードディスク装置など他の手段によって、信号処理部72に入力され、画像、音声情報と同様に処理される。
【0075】
そして、変調器77は、出力された情報付加圧縮多重信号Sapに対してリードソロモン符号等のエラー訂正コード(ECC)の付加及び8−16変調等の変調を施してディスク記録信号Smを生成し、マスタリング装置78に出力する。
【0076】
最後に、マスタリング装置78は、当該ディスク記録信号Smを光ディスクを製造する際のマスタ(抜き型)となるスタンパディスクに対して記録する。そして、このスタンパディスクを用いて図示しないレプリケーション装置により、一般に市販されるレプリカディスクとしての光ディスク、即ちDVD1が製造される。
【0077】
次に、第1及び第2再生禁止フラグをマスタディスクに記録する記録装置S1の細部動作について説明する。
【0078】
先ず、コントローラ75により、キューシートSTにより入力された第1及び第2再生禁止フラグのセル毎のオンオフを指定する内容情報SIに基づき生成されたアクセス情報信号Sacに応じたタイミングで、付加情報信号Saを選択すべき旨の情報選択信号Sccが出力され、多重器76は、付加情報信号Sa側にスイッチされる。そして、第1再生禁止フラグは、PGCI内のセル再生情報テーブルを構成する付加情報信号Saの一部として変調器77に入力されて、更にディスク記録信号Smの一部としてマスタリング装置78に入力される。続いて、図1に示した1番目のVOBを構成する最初のVOBUのナビパック41を構成する第2再生禁止フラグを含むDSIデータが同様に変調器77に入力され、ディスク記録信号Smの一部とされる。次に、コントローラ75により、圧縮多重信号Srを選択すべき旨の情報選択信号Sccが出力され、多重器76は、圧縮多重信号Sr側にスイッチされ、このVOBUのビデオパック、オーディオパック、サブピクチャパックが情報付加圧縮信号Sapとして順次変調器77に入力される。この動作が複数のVOBUについて繰り返し行われ、更に複数のVTSについて繰り返される。
【0079】
以上の結果、本実施の形態によれば、PGCI内に設けられたセル再生情報テーブル内にセル単位で特殊再生を夫々許可又は禁止する複数の第1再生禁止フラグが構築されており、同じくセル単位で特殊再生を禁止又は許可する第2再生禁止フラグが各DSIデータの内部に夫々構築されているマスタディスクを作成することができる。
【0080】
(III)再生装置の実施の形態
次に、上記の記録装置S1によりDVD1に記録された情報を再生するための再生装置の実施の形態を、図9から図14を用いて説明する。
【0081】
始めに、図9を用いて、実施の形態の再生装置の構成及び動作について説明する。
【0082】
図9に示すように、実施の形態に係る再生装置S2は、読取手段の一例を構成するピックアップ80と、復調訂正部81と、ストリームスイッチ82及び84と、トラックバッファ83と、システムバッファ85と、デマルチプレクサ86と、VBV(Video Buffer Verifier)バッファ87と、ビデオデコーダ88と、サブピクチャバッファ89と、サブピクチャデコーダ90と、混合器91と、オーディオバッファ92と、オーディオデコーダ93と、PCIバッファ94と、PCIデコーダ95と、ハイライトバッファ96と、ハイライトデコーダ97と、入力部98と、ディスプレイ99と、システムコントローラ100と、ドライブコントローラ101と、スピンドルモータ102と、スライダモータ103とにより構成されている。なお、図9に示す構成は、再生装置S2の構成のうち、映像及び音声の再生に関する部分のみを記載したものであり、ピックアップ80及びスピンドルモータ102並びにスライダモータ103等のサーボ制御するためのサーボ回路等は従来技術と同様であるので、記載及び細部説明を省略する。本実施の形態では、スライダモータ103から移動手段の一例が構成されている。また、復調訂正部81と、ストリームスイッチ82及び84と、トラックバッファ83と、システムバッファ85と、デマルチプレクサ86と、VBV(Video Buffer Verifier)バッファ87と、ビデオデコーダ88と、サブピクチャバッファ89と、サブピクチャデコーダ90と、混合器91と、オーディオバッファ92と、オーディオデコーダ93と、PCIバッファ94と、PCIデコーダ95と、ハイライトバッファ96と、ハイライトデコーダ97とから再生手段の一例が構成されている。更に、入力部98から指定手段の一例が構成されており、システムコントローラ100から制御手段の一例が構成されている。
【0083】
次に、全体動作を説明する。
【0084】
ピックアップ80は、図示しないレーザダイオード、偏向ビームスプリッタ、対物レンズ、光検出器等を含み、DVD1に対して再生光としての光ビームBを照射すると共に、当該光ビームBのDVD1からの反射光を受光し、DVD1上に形成されている情報ピットに対応する検出信号Spを出力する。このとき、光ビームBがDVD1上の情報トラックに対して正確に照射されると共に、DVD1上の情報記録面で正確に焦点を結ぶように、図示しない対物レンズに対して従来技術と同様の方法によりトラッキングサーボ制御及びフォーカスサーボ制御が施されている。
【0085】
ピックアップ80から出力された検出信号Spは、復調訂正部81に入力され、復調処理及び誤り訂正処理が行われて復調信号Sdmが生成され、ストリームスイッチ82及びシステムバッファ85に出力される。
【0086】
復調信号Sdmが入力されたストリームスイッチ82は、ドライブコントローラ101からのスイッチ信号Ssw1によりその開閉が制御され、閉のときには、入力された復調信号Sdmをそのままスルーしてトラックバッファ83に出力する。一方、ストリームスイッチ82が開のときには、復調信号Sdmは出力されず、不要な情報(信号)がトラックバッファ83に入力されることがない。
【0087】
復調信号Sdmが入力されるトラックバッファ83は、FIFO(First In First Out)メモリ等により構成され、入力された復調信号Sdmを一時的に記憶すると共に、ストリームスイッチ84が閉とされているときには、記憶した復調信号Sdmを連続的に出力する。トラックバッファ83は、MPEG2方式における各GOP毎のデータ量の差を補償すると共に、インターリーブドユニットIUに分割されたデータの読み取りの際等に、上記のシームレス再生におけるトラックジャンプに起因して不連続に入力される復調信号Sdmを連続的に出力し、当該不連続による再生の中断を解消するためのものである。
【0088】
連続的に復調信号Sdmが入力されるストリームスイッチ84は、デマルチプレクサ86における分離処理において、後段の各種バッファがオーバーフローしたり、逆に空になってデコード処理が中断することがないように、システムコントローラ100からのスイッチ信号Ssw2により開閉が制御される。
【0089】
一方、トラックバッファ83と並行して復調信号Sdmが入力されるシステムバッファ85は、DVD1をローディングしたときに最初に検出され、DVD1に記録されている情報全体に関するビデオマネージャやVTS3のコントロールデータ等(図1参照)を蓄積して制御情報SCとしてシステムコントローラ100に出力すると共に、情報再生中に必要に応じて上記ナビパック41毎のDSIパケット51を一時的に蓄積し、システムコントローラ100に制御情報SCとして出力する。
【0090】
ストリームスイッチ84を介して復調信号Sdmが連続的に入力されたデマルチプレクサ86においては、当該復調信号SDMから映像情報、音声情報、副映像情報及びナビパック41毎のPCIパケット50を分離し、ビデオ信号Sv、副映像信号Ssp、オーディオ信号Sad並びにPCI信号Spcとして、夫々VBVバッファ87、サブピクチャバッファ89、オーディオバッファ92及びPCIバッファ94に出力する。なお、復調信号Sdmには、音声情報又は副映像情報として複数の言語が別のストリームとして含まれている場合があるが、その場合には、システムコントローラ100からのストリーム選択信号Slcにより所望の言語が夫々選択されてオーディオバッファ92又はサブピクチャバッファ89に出力される。
【0091】
ビデオ信号Svが入力されるVBVバッファ87は、FIFOメモリ等により構成され、ビデオ信号Svを一時的に蓄積し、ビデオデコーダ88に出力する。VBVバッファ87は、MPEG2方式により圧縮されているビデオ信号Svにおける各ピクチャ毎のデータ量のばらつきを補償するためのものである。そして、データ量のばらつきが補償されたビデオ信号Svがビデオデコーダ88に入力され、MPEG2方式により復調が行われて復調ビデオ信号Svdとして混合器91に出力される。
【0092】
一方、副映像信号Sspが入力されるサブピクチャバッファ89は、入力された副映像信号Sspを一時的に蓄積し、サブピクチャデコーダ90に出力する。サブピクチャバッファ89は、副映像信号Sspに含まれる副映像情報を、当該副映像情報に対応する映像情報と同期して出力するためのものである。そして、映像情報との同期が取られた副映像信号Sspがサブピクチャデコーダ90に入力され、復調が行われて復調副映像信号Sspdとして混合器91に出力される。
【0093】
なお、副映像信号Sspが、メニュー画面を構成して表示するために必要な、枠、選択ボタン等を構成するための映像情報を含んでいる場合には、システムコントローラ100からのハイライト制御信号Schに基づき、表示すべき選択ボタン等の表示状態の変更を行って出力する。
【0094】
ビデオデコーダ88から出力された復調ビデオ信号Svd及びサブピクチャデコーダ90から出力された復調副映像信号Sspd(対応する復調ビデオ信号Svdとの同期が取れている。)は、混合器91により混合され、最終的な表示すべき映像信号Svpとして図示しないCRT(Cathode Ray Tube)等の表示部に出力される。
【0095】
次に、オーディオ信号Sadが入力されるオーディオバッファ92は、FIFOメモリ等により構成され、入力されたオーディオ信号Sadを一時的に蓄積し、オーディオデコーダ93に出力する。オーディオバッファ92は、オーディオ信号Sadを対応する映像情報を含むビデオ信号Sv又は副映像信号Sspに同期して出力させるためのものであり、対応する映像情報の出力状況に応じてオーディオ信号Sadを遅延させる。そして、対応する映像情報と同期するように時間調整されたオーディオ信号Sadは、オーディオデコーダ93に出力され、所定のデコードが施されて復調オーディオ信号Saddとして図示しないスピーカ等に出力される。なお、アクセス直後の再生で一時的に音声を中断する(ポーズする)必要があることが検出された場合には、システムコントローラ100からポーズ信号Scaがオーディオデコーダ93に出力され、当該オーディオデコーダ93において一時的に復調オーディオ信号Saddの出力を停止する。
【0096】
更に、PCI信号Spcが入力されるPCIバッファ94は、FIFOメモリ等により構成され、入力されたPCI信号Spcを一時的に蓄積し、PCIデコーダ95に出力する。PCIバッファ94は、PCI信号Spcに含まれるPCIパケット50と当該PCIパケット50が対応する映像情報、音声情報、副映像情報等とを同期させ、当該映像情報、音声情報又は副映像情報等にPCIパケット50を適用させるためのものである。そして、PCIバッファ94により対応する映像情報又は副映像情報等と同期したPCI信号Spcは、PCIデコーダ95によりPCIパケット50に含まれるハイライト情報が分離され、ハイライト信号Shiとしてハイライトバッファ96に出力されると共に、PCIパケット50のハイライト情報以外の部分がPCI情報信号Spciとしてシステムコントローラ100に出力される。
【0097】
ハイライト信号Shiが入力されるハイライトバッファ96は、FIFOメモリ等により構成され、入力されたハイライト信号Shiを一時的に蓄積し、ハイライトデコーダ97に出力する。ハイライトバッファ96は、当該ハイライト情報のための映像情報が含まれている副映像信号Sspに対応して、ハイライト情報に対応する選択項目の表示状態の変更が正確に行われるための時間軸補償を行うためのバッファである。そして、時間軸補償が行われたハイライト信号Shiは、ハイライトデコーダ97においてデコードされ、当該ハイライト信号Shiに含まれる情報が復調ハイライト信号Shidとしてシステムコントローラ100に出力される。ここで、システムコントローラ100は、当該復調ハイライト信号Shidに基づき、ハイライト情報による表示状態の変更を行うべく、上記のハイライト制御信号Schを出力することとなる。
【0098】
システムコントローラ100は、システムバッファ85から入力される制御情報Sc、PCIデコーダ95から入力されるPCI情報信号Spci及びリモコン等の入力部98から入力される入力信号Sinに基づき、それらの信号に対応した正しい再生を行うために上記のスイッチ信号Ssw2、言語選択信号Slc、ポーズ信号Sca、ハイライト制御信号Schを出力すると共に、再生装置S2の動作状況等を表示するために表示信号Sdpを液晶表示装置等のディスプレイ99に出力する。
【0099】
更に、システムコントローラ100は、上記制御信号Sc等により、シームレス再生のためにサーチ等のトラックジャンプの処理が必要であることを検出したときには、ドライブコントローラ101に対して、当該トラックジャンプの処理に対応するシームレス制御信号Scslを出力する。
【0100】
そして、シームレス制御信号Scslが入力されたドライブコントローラ101は、スピンドルモータ102又はスライダモータ103に対して駆動信号Sdを出力する。この駆動信号Sdにより、スピンドルモータ102又はスライダモータ103は、光ビームBが再生すべきDVD1上の記録位置に照射されるようにピックアップ2を移動させる(図9破線矢印参照)と共に、DVD1の回転数をCLV(線速度一定)制御する。これと並行して、ドライブコントローラ101は、ピックアップ2が移動中であり復調訂正部81から復調信号Sdmが出力されないときには、シームレス制御信号Scslに基づきスイッチ信号Ssw1を出力し、ストリームスイッチ82を開とすると共に、復調信号Sdmが出力され始めると、ストリームスイッチ82を閉成して復調信号Sdmをトラックバッファ83に出力する。
【0101】
本実施の形態では、特に、システムコントローラ100は、再生装置S2の動作状態を示す動作状態レジスタを備えており、この動作状態レジスタは、サーチ又はスキャンなどの特殊再生実行中の場合に1にセットされる特定ビットを有している。従って、この特定ビットが1にセットされている時にのみ、特殊再生を禁止する制御を行えばよい。更に、システムコントローラ100は、各PGCの再生に先立ってPGCIに記述されたセル再生情報テーブル(図4参照)を予め内蔵されたRAM等の記憶装置に格納するように構成されている。従って、各セルについて特殊再生が禁止されているか否かをそのセルを再生することなく判定できる。
【0102】
次に、上記再生装置S2の内、特に本発明に係るシステムコントローラ100の第1及び第2再生禁止フラグに基づくサーチ動作及びスキャン動作について、説明する。
【0103】
先ず、サーチ動作に付いて図10を参照して説明する。
【0104】
図10において、サーチ動作に先立って、システムコントローラ100は、各VTSの再生を開始する際に、そのコントロールデータが含むPGCIデータが有する図4に示したようなセル再生情報テーブルを予め読み込んで内部のRAM等の記憶装置に記憶しておく。
【0105】
この状態で、チャプターサーチ、時間サーチ等のサーチが、視聴者により再生装置S2に対し入力部98を介して指示されると、システムコントローラ100が有する、動作状態レジスタの特殊再生実行中であることを示す特定ビットが、1にセットされる。そして、システムコントローラ100は、この指示されたサーチ先のチャプター、時間等に対応するセルについての第1再生禁止フラグをセル再生情報テーブルから抜き出す(ステップS11)。次に、システムコントローラ100は、この抜き出した第1再生禁止フラグが「1(オン)」であるか「0(オフ)」であるかを判定する(ステップS12)。ここで、第1再生禁止フラグが「0」であれば、当該セルのサーチ動作及びスキャン動作の再生が許可されているので、ステップS13へ進み、システムコントローラ100による制御下で目的アドレスがサーチされる(ステップS13)、その後、サーチされたチャプター、時間等に対応するセルから映像情報及び音声情報の再生が開始される(ステップS14)。一方、ステップS12で、第1再生禁止フラグが「1」であれば、当該セルのサーチ動作及びスキャン動作の際の再生が禁止されているので、ステップS15へ進み、システムコントローラ100による制御下で、例えば、「問題に答えた後でなければ、答えは見れません!」のようなサーチ不能である旨がディスプレイ99上に表示され(ステップS15)、指示されたサーチ動作は実行されない(ステップS16)。
【0106】
このように、本実施の形態によれば、セル再生情報テーブル内に構築された第1再生禁止フラグをピックアップ80の移動に先立って参照することにより、ピックアップ80をサーチの目的位置まで移動させることなくサーチを迅速且つ確実に中止することができるので有利である。これにより、例えば、インタラクティブな再生において、ある「問題」を探している際に、「問題」を見る前に「答え」を見てしまうといった、製作者の意に反し視聴者にとっても不快な再生を未然に防止することができる。
【0107】
更に、本実施の形態によれば、物理的にアクセス可能な最小単位である各VOBU毎に、その映像、再生の音声情報の再生に先立って読み込まれるナビパックのDSIデータの内部に第2再生禁止フラグが設けられているので、仮に再生装置S2のエラー動作により、ピックアップ80がサーチ目標のセルと異なるセルであって第1再生禁止フラグにより再生が禁止されているセルに飛び込んでしまったような場合であっても、そのセル内における映像、音声情報の再生に先立って、各VOBU毎に設けられたナビパック内のDSIデータ内部に構築された第2再生禁止フラグを参照することにより、そのセルを誤って再生することをリアルタイムで(即ち、ピックアップ80がそのセルまで移動した後に)、禁止することができるので、サーチ動作の際に再生が禁止されたセルが再生される事態をより確実に阻止することができる。
【0108】
次に、スキャン動作に付いて図11を参照して説明する。
【0109】
図11において、スキャン動作に先立って、システムコントローラ100は、各VTSの再生を開始する際に、そのコントロールデータが含むPGCIデータが有する図4に示したようなセル再生情報テーブルを予め読み込んで内部のRAM等の記憶装置に記憶しておく。
【0110】
この状態で、前方早送りスキャン、後方早送りスキャンなどのスキャン動作が、視聴者により再生装置S2に対し入力部98を介して指示されると、システムコントローラ100による制御下で、スキャンの際に表示するものと予め定められた特定のピクチャ(例えば、Iピクチャなど)が出画される(ステップS21)。この際、特に、システムコントローラ100が有する、動作状態レジスタの特殊再生実行中であることを示す特定ビットが、1にセットされる。
【0111】
次に、スキャンの方向に応じたトラックジャンプを行い(ステップS22)、現在のアドレスをVOBUの単位で取得する(ステップS23)。即ち、ジャンプ後に再生しようとするVOBUのナビパックを読み、そのVOBUの先頭アドレスがシステムコントローラ100に認識される。続いて、システムコントローラ100は、動作状態レジスタの特殊再生実行中であることを示す特定ビットが1にセットされているので、次の動作を行う。即ち、この現在アドレスを含むセルの第1再生禁止フラグを、再生に先立って予め読み込み記憶しているセル再生情報テーブルの中から抜き出す(ステップS24)。次に、システムコントローラ100は、この抜き出した第1再生禁止フラグが「1(オン)」であるか「0(オフ)」であるかを判定する(ステップS25)。ここで、第1再生禁止フラグが「0」であれば、当該セルのサーチ動作及びスキャン動作の再生が許可されているので、ステップS27へ直接進み、スキャン終了が指示されているか否かが判断される(ステップS27)。このステップS27において、スキャン終了が指示されていれば、スキャンを終了し(ステップS28)、そのセルから通常の再生が行われる。ステップS27において、スキャン終了が指示されていない、即ち再度スキャンが指示されている場合には、ステップS21に戻る。
【0112】
一方、ステップS25で、第1再生禁止フラグが「1」であれば、当該セルのサーチ動作及びスキャン動作の際の再生が禁止されているので、ステップS26へ進み、システムコントローラ100による制御下で、スキャンしている方向について次に位置する第1再生禁止フラグが「0」であるセルの先頭アドレスにトラックジャンプすることにより、次のセルの先端がサーチされ(ステップS26)、その後、ステップS27へと進む。
【0113】
このステップS26の動作が行われる様子を図12に示す。
【0114】
図12に示すように、再生可能なセル301を再生している途中で、視聴者がスキャンを開始し、スキャン動作中に再生不可能なセル302にピックアップが移動されても、再生不可能なセルであることがセル再生情報テーブルに基づいて迅速に判断されて、更に次の再生可能なセル303が自動的に且つ直ちにサーチされる。このように、本実施の形態によれば、スキャン本来の目的である迅速な前方早送り、及び後方早送りなどの機能は殆ど害されることなく、特に前述した本願発明者らにより発明された特願平07―166025号の技術によるスキャン動作と比較して、再生されない時間が長く続くことはなくなり、遥かに円滑且つ自然なスキャン動作が可能であることが分かる。
【0115】
このように、本実施の形態によれば、セル再生情報テーブル内に構築された第1再生禁止フラグをピックアップ80のスキャン動作による移動が行われる度に参照することにより、再生可能なセルについてのみスキャンを行うことができるので有利である。これにより、例えば、インタラクティブな再生において、「問題」のみを安心して且つ迅速にサーチすることが可能となり、サーチにより「問題」を見る前に「答え」を見てしまうといった、製作者の意に反し視聴者にとっても不快な再生を未然に防止することができ、更に、視聴者にとって大変使い心地の良い円滑なスキャン動作が可能となる。
【0116】
更に、本実施の形態によれば、物理的にアクセス可能な最小単位である各VOBU毎に、その映像、再生の音声情報の再生に先立って読み込まれるナビパックのDSIデータの内部に第2再生禁止フラグが設けられているので、仮に再生装置S2のエラー動作により、ピックアップ80がスキャン目標のセルと異なるセルであって第1再生禁止フラグにより再生が禁止されているセルに飛び込んでしまったような場合であっても、そのセル内における映像、音声情報の再生に先立って、各VOBU毎に設けられたナビパック内のDSIデータ内部に構築された第2再生禁止フラグを参照することにより、そのセルを誤って再生することをリアルタイムで、禁止することができるので、スキャン動作の際に再生が禁止されたセルが再生される事態をより確実に阻止することができる。
【0117】
更に、このように同じセル単位で再生を禁止する二種類の再生禁止フラグを設けたことにより、DSI中のVO第2再生禁止フラグをオフ(許可状態)としておき、PGCI中の第1再生禁止フラグのみを一つのPGCについてはオン(禁止状態)且つ他のPGCについてはオフ(許可状態)としておけば、前述の「セルの使い回し」をした際に、同じセルについても、サーチやスキャンの際に再生可能としたり、不可能としたりができるようになり便利である。即ち、例えば、先生や親は、問題など見ることなく正解のみを迅速に予めチェックできるPGCを再生し、他方で生徒や子どもは、問題を終えないと回答が見れないPGCを再生するようにでき便利である。
【0118】
最後に、上述のように動作する本実施の形態により、「問題」を表示等した後に視聴者が入力した「答え」の内容に応じて異なる表示等をするようなインタラクティブな再生を行った様子を図13及び図14を参照して説明する。
【0119】
この再生では、「答え」が正解である場合には、正解に対応した映像として、例えば「正解です。」という表示に、解説を加えた映像が表示されると共に、音声として、電子チャイムの「ピンポーン」というような音、表示された文章を読み上げる音声等が出力される。一方、この「答え」が間違いである場合には、間違いに対応した映像として、例えば「間違いです。正解は、…です。」という表示に、解説を加えた映像が表示されると共に、音声として電子ブザーの「ブー」というような音、表示された文章を読み上げる音声等が出力される。
【0120】
図13は、通常再生の場合の再生処理の流れを示している。正解1に対応するセル及び間違い1に対応するセルは、第1及び第2再生禁止フラグによりサーチ動作、スキャン動作などの特殊再生は禁止されているが、この場合通常再生であるので、問題が再生された後に、これに対する視聴者による「答え」に応じて、正解1に対応するセル又は間違い1に対応するセルが再生される。
【0121】
図14は、問題1を再生している途中でスキャン動作又はスキャン動作が開始された場合の再生処理の流れを示している。正解1に対応するセル及び間違い1に対応するセルは、第1及び第2再生禁止フラグにより、このようなサーチ動作、スキャン動作などの特殊再生は禁止されているので、サーチ又はスキャンにより、問題1が再生されていない正解1に対応するセル又は間違い1に対応するセルが再生されることはない。従って、この場合には、例えば、システムコントローラ100による制御下で、次の問題2の先頭部分がサーチ又はスキャンされたり、当該サーチやスキャンが停止されたりする。
【0122】
図13及び図14から分かるように、本実施の形態によれば、製作者が意図し、視聴者にとっても好ましいインタラクティブな再生が行われる。
【符号の説明】
【0123】
1 DVD
2 ビデオマネージャ
3、63 VTS
10 VOB
11 コントロールデータ
20 セル
30 VOBユニット
41 ナビパック
42 ビデオデータ
43 オーディオデータ
44 サブピクチャデータ
50 PCIデータ
51 DSIデータ
60 プログラム
61、61A、61B PGC
62 タイトル
70 VTR
71 メモリ
72 信号処理部
73 ハードディスク装置
74 ハードディスク装置
75 コントローラ
76 多重器
77 変調器
78 マスタリング装置
80 ピックアップ
81 復調訂正部
82、84 ストリームスイッチ
83 トラックバッファ
85 システムバッファ
86 デマルチプレクサ
87 VBVバッファ
88 ビデオデコーダ
89 サブピクチャバッファ
90 サブピクチャデコーダ
92 オーディオバッファ
93 オーディオデコーダ
94 PCIバッファ
95 PCIデコーダ
96 ハイライトバッファ
97 ハイライトデコーダ
98 入力部
99 ディスプレイ
100 システムコントローラ
101 ドライブコントローラ
102 スピンドルモータ
103 スライダモータ
201 セル再生情報テーブル
202 第1再生禁止フラグ
212 第2再生禁止フラグ
S1 記録装置
S2 再生装置
DK 光ディスク
ST キューシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取手段を備えており該読取手段を映像情報及び音声情報の記録された記録トラックに沿って移動させつつ通常再生し且つ前記映像情報及び音声情報にアクセスするためのアクセス情報に基づいて前記読取手段を前記記録トラックを横切って移動させて特殊再生する再生装置により、再生される前記記録トラックを有する情報記録媒体であって、
前記再生装置により物理的にアクセス可能な最小単位であり前記映像情報及び音声情報と前記アクセス情報を含む制御情報とから夫々構成される複数の第1データグループと、前記再生装置による通常及び特殊再生において論理的に分割可能な単位であり前記複数の第1データグループのうち前記記録トラックに沿って並べられた一連の第1データグループから夫々構成される複数の第2データグループとに区分されて、前記映像情報、音声情報及び制御情報が前記記録トラック上に記録されており、
前記複数の第2データグループの前記再生装置による特殊再生の禁止を夫々示す複数の第1再生禁止情報を含む管理情報が前記記録トラックの一部にまとめて記録されていることを特徴とする情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−199715(P2009−199715A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68747(P2009−68747)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【分割の表示】特願2006−113895(P2006−113895)の分割
【原出願日】平成8年3月15日(1996.3.15)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】