情報記録媒体
【課題】管理を複雑にすることなく、AVストリームの特徴的な再生区間を、簡単かつ確実に、再生できるようにする。
【解決手段】AVストリームの特徴点を表すマークとして、ポイントを示すタイプのマークと、セクション(期間)を示すタイプのマークが用意される。ポイントを示すタイプのマークは、AVストリームの所定の再生時刻に対応するタイムスタンプでポイントを指定する。セクションを示すタイプのマークは、AVストリームの所定の再生区間の再生開始点のタイムスタンプと、再生開始始点から再生終了点までの持続時間(duration)に基づいて、その区間を指定する。
【解決手段】AVストリームの特徴点を表すマークとして、ポイントを示すタイプのマークと、セクション(期間)を示すタイプのマークが用意される。ポイントを示すタイプのマークは、AVストリームの所定の再生時刻に対応するタイムスタンプでポイントを指定する。セクションを示すタイプのマークは、AVストリームの所定の再生区間の再生開始点のタイムスタンプと、再生開始始点から再生終了点までの持続時間(duration)に基づいて、その区間を指定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体に関し、特に、再生区間の記録再生の管理を容易に行うことができるようにする情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記録可能で記録再生装置から取り外し可能なディスク型媒体として、各種の光ディスクが提案されている。このような記録可能な光ディスクは、数ギガバイトの大容量メディアとして提案されており、ビデオ信号等のAV(Audio Visual)信号を記録するメディアとしての期待が高い。
【0003】
ディジタルビデオ信号をディジタル圧縮する符号化方式の1つにMPEG(Moving Picture Experts Group)2方式がある。MPEG2は、ディジタルビデオ信号を記録媒体に記録する場合にも応用されている。例えば、アナログビデオ信号を記録媒体に記録する場合、ビデオ信号をMPEG2方式にエンコードして、符号化ビットストリームを記録媒体に記録する。また、近年始まったデジタル方式のTV(テレビジョン)放送では、MPEG2方式で符号化されたビデオ番組が、トランスポートストリームと呼ばれるフォーマットで伝送されている。デジタル放送を情報記録媒体に記録する場合には、トランスポートストリームをデジタル信号のまま、デコードや再エンコードすることなく記録する方式が用いられている。
【0004】
ディスク媒体にAV信号が記録されていると、AV信号のランダムアクセス再生(頭だし再生や早送り再生など)が容易に実現できる。この特徴を利用して、ユーザが、記録されているAV信号の中から任意の再生区間(IN点(イン点)とOUT点(アウト点))を選択して、自由にAV信号の再生経路を作成することができる。この機能は、一般に、プレイリスト再生と呼ばれる。例えば、DVDビデオレコーディング規格(DVD specifications for Rewritable/Re-recordable Discs, Part 3 Video Recording, Version 1.0, September 1999)では、プレイリスト再生は、User Defined PGCやOriginal PGCとして規定されている。
【0005】
また、ユーザが、プレイリストの中から、お気に入りのシーンの開始点を選択して、再生の頭だし点情報を記録することができる。この機能は、特徴点やマークと呼ばれる。例えば、DVDビデオレコーディング規格では、Movie Cell Entry Point Information(M_C_EPI)として規定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザが、あるプレイリストの中から任意の再生区間(スタート点とエンド点)を選択した場合において、その再生区間に特別な意味を与える機能を実現するには、従来、例えば、次の2つの方法が考えられる。
【0007】
第1番目の方法は、ユーザが、プレイリストの中から上記の特別な再生区間を選択したとき、その再生区間を再生経路に持つ別のプレイリストを作成する方法である。しかしながら、この方法は、ユーザが新しいプレイリストの作成を望んでいないにも関わらず、プレイリストの数が増加してしまう問題がある。
【0008】
第2番目の方法は、ユーザが、プレイリストの中から上記の特別な再生区間を選択したとき、2つのマーク(スタートマークとエンドマーク)を使って、その区間を示す方法である。しかしながら、この方法は、マーク情報の数が増えるし、また、区間を示す2つのマークをペアで管理しなければならないために、マークを使う再生処理や編集処理が複雑になる問題がある。
【0009】
また、入力されたAVストリームから任意の特徴的な再生区間の動画像を選択して、その区間に特別な意味を与える機能を実現する場合にも、例えば、2つのマーク(スタートマークとエンドマーク)を使って、その区間を示す方法が考えられる。しかしながら、この方法も、マーク情報の数が増えるし、また、区間を示す2つのマークをペアで管理しなければならないために、マークの記録再生の管理方法が複雑になる問題がある。
【0010】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、ユーザがあるプレイリストの中から任意の再生区間を選択して、その区間に特別な意味を与える機能を実現する場合、その再生区間の記録再生の管理を容易に行えるようにするものである。
【0011】
また、入力されたAVストリームから任意の特徴的な再生区間の動画像を選択して、その区間に特別な意味を与える機能を実現する場合に、その再生区間の記録再生の管理を容易に行えるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面の情報記録媒体は、再生装置によって再生されるクリップAVストリーム、前記クリップAVストリームと1対1に対応するクリップ情報、および前記クリップAVストリームの再生区間を指定するプレイリストを記録する情報記録媒体であって、前記クリップAVストリームから検出されたユーザの指定によらない特徴的な再生区間の再生開始点のタイムスタンプと前記再生区間の持続時間を有するクリップマークであって、特別な再生を指定する拡張データが付加されたクリップマークを前記プレイリストから参照される前記クリップ情報の要素として記録するとともに、前記プレイリストの中からユーザが指示した任意の再生区間の開始点のタイムスタンプと、前記再生区間の持続時間との組からなるプレイリストマークであって、特別な再生を指示する拡張データが付加されたプレイリストマークを記録し、前記再生装置に、前記クリップマークまたは前記プレイリストマークの前記タイムスタンプに基づいて、前記AVストリームの読み出し位置を決定させる。
【0013】
前記クリップ情報および前記プレイリストは、それぞれ前記AVストリームとは別のファイルとして記録されるようにすることができる。
【0014】
本発明の一側面においては、クリップAVストリームから検出されたユーザの指定によらない特徴的な再生区間の再生開始点のタイムスタンプと再生区間の持続時間を有するクリップマークであって、特別な再生を指定する拡張データが付加されたクリップマークがプレイリストから参照されるクリップ情報の要素として記録されるとともに、プレイリストの中からユーザが指示した任意の再生区間の開始点のタイムスタンプと、再生区間の持続時間との組からなるプレイリストマークであって、特別な再生を指示する拡張データが付加されたプレイリストマークが記録され、再生装置に、クリップマークまたはプレイリストマークのタイムスタンプに基づいて、AVストリームの読み出し位置が決定させられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、ユーザがあるプレイリストの中から任意の再生区間を選択して、その区間に特別な意味を与える機能を実現する場合、その再生区間の記録再生の管理を容易に行えるようなる。また、入力されたAVストリームから任意の特徴的な再生区間の動画像を選択して、その区間に特別な意味を与える機能を実現する場合に、その再生区間の記録再生の管理を容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】記録再生システムで用いる記録媒体上のアプリケーションフォーマットの簡単化された構造を説明する図である。
【図2】PlayList上のマークを説明する図である。
【図3】Clip上のマークを説明する図である。
【図4】PlayListMark()のシンタクスを説明する図である。
【図5】ClipMark()のシンタクスを説明する図である。
【図6】動画像記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図7】ClipMarkを作成する方法を説明するフローチャートである。
【図8】PlayListMarkを作成する方法を説明するフローチャートである。
【図9】PlayListを再生する時、セクションを示すタイプのPlayListMark / ClipMarkを使用した再生方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明を適用した記録再生システムで用いる記録媒体上のアプリケーションフォーマットの簡単化された構造を示している。このフォーマットは、AVストリームの管理のためにPlayList(プレイリスト)とClip(クリップ)の2つのレイヤをもつ。
【0018】
1つのAVストリームとそれの付属情報のペアを1つのオブジェクトと考え、それをClipと呼ぶ。AVストリームファイルはClip AVストリームファイルと呼ばれ、その付属情報は、Clip Information file(クリップインフォメーションファイル)と呼ばれる。
【0019】
1つのClip AVストリームファイルは、MPEG2トランスポートストリームをDVRアプリケーションフォーマットによって規定される構造に配置したデータからなる。
【0020】
一般に、コンピュータ等で用いるデータファイルは、バイト列として扱われるが、Clip AVストリームファイルのコンテンツは、時間軸上に展開される。そして、PlayListは、Clipの中のアクセスポイントをタイムスタンプで指定する。PlayList が、Clipの中へのアクセスポイントをタイムスタンプで指し示している時、Clip Information fileは、Clip AVストリームファイルの中でストリームのデコードを開始すべきアドレス情報を見つけるために役立つ。そのために、Clip Information fileは、Clip AVストリーム中のタイムサーチ用のタイムスタンプ対アドレスの対応テーブルを持つ。
【0021】
PlayListは、Clipの中からユーザが見たい再生区間を選択し、それを簡単に編集することができることを目的にして導入された。1つのPlayListは、Clipの中の再生区間の集まりである。あるClipの中の1つの再生区間は、PlayItem(プレイアイテム)と呼ばれる。それは、時間軸上のIN(イン)点とOUT(アウト)点のペアで表される。それゆえ、PlayListは、PlayItemの集まりである。
【0022】
PlayListには、2つのタイプがある。1つは、Real PlayList(リアルプレイリスト)であり、もう1つは、Virtual PlayList(バーチャルプレイリスト)である。
【0023】
Real PlayListは、それが参照しているClipのストリーム部分を共有しているとみなされる。すなわち、Real PlayListは、それの参照しているClipのストリーム部分に相当するデータ容量をディスクの中で占める。AVストリームが新しいClipとして記録される場合、そのClip全体の再生可能範囲を参照するReal PlayListが自動的に作られる。Real PlayListの再生範囲の一部分が消去された場合、それが参照しているClipのストリーム部分もまたデータが消去される。
【0024】
Virtual PlayListは、Clipのデータを共有していないとみなされる。Virtual PlayListが変更または消去されたとしても、Clipは何も変化しない。
【0025】
なお、以下の説明においては、Real PlayListとVirtual PlayListを総称して単に、PlayListと称する。
【0026】
マークは、ClipおよびPlayListの中のハイライトや特徴的な時間を指定するためにある。
【0027】
PlayListに付加されるマークは、PlayListMark(プレイリストマーク)と呼ばれ、これは主にユーザによってセットされる。PlayListMarkには2つのタイプがある(図2参照)。1つは、ポイントを示すタイプのマークであり、これは、そのポイントを示すタイムスタンプで示される。もう1つはセクションを示すタイプのマークであり、これは、セクションの開始点を示すタイムスタンプと、そのセクションの持続時間(duration)で示される。ポイントを示すタイプのマークの例としては、ユーザがお気に入りのシーンの開始点がある。セクションを示すタイプのマークの例としては、ユーザがお気に入りのシーンの区間があげられる。
【0028】
Clipに付加されるマークは、ClipMark(クリップマーク)と呼ばれ、これは、AVストリームの内容に起因する特徴的なシーンを指定する。ClipMarkには2つのタイプがある(図3参照)。1つは、ポイントを示すタイプのマークであり、これは、そのポイントを示すタイムスタンプで示される。もう1つはセクションを示すタイプのマークであり、これは、セクションの開始点を示すタイムスタンプと、そのセクションの持続時間(duration)で示される。ポイントを示すタイプのマークの例としては、ある特徴的なシーンの開始点がある。セクションを示すタイプのマークの例としては、ある特徴的なシーンの区間があげられる。PlayListを再生する時、再生機器は、そのPlayListが参照するClipのマークを参照する事ができる。
【0029】
なお、図3において、STC連続区間は、マークのタイムスタンプが置かれているところのシステムタイムクロックが連続である区間を表す。
【0030】
図4は、PlayListMarkをストアするデータベースであるPlayListMark()のシンタクスを示す。PlayListMark()は、PlayListファイルに属する。
【0031】
lengthは、このlengthフィールドの直後のバイトからPlayListMark()の最後のバイトまでのバイト数を示す。
【0032】
number_of_PlayList_marksは、PlayListMark()の中にストアされているマークのエントリー数を示す。
【0033】
mark_typeは、マークのタイプを示し、少なくとも、そのマークがポイントタイプのものか、セクションタイプのものかを示す。さらに、そのポイントの種類やそのセクションの種類をmark_typeの意味に持たせても良い。
【0034】
maker_IDは、そのマークをPlayListMark()にストアした記録機器を製造したメーカの識別番号を示す。
【0035】
ref_to_PlayItem_idは、マークが置かれているところのPlayItemを指定するところのPlayItemの識別番号を示す。
【0036】
mark_time_stampは、マークがポイントタイプの場合、ポイントを示すタイムスタンプをストアする。また、マークがセクションタイプの場合、セクションの開始点を示すタイムスタンプをストアする。mark_time_stampは、ref_to_PlayItem_idで示されるPlayItemの中で定義されているところのIN_timeとOUT_timeで特定される再生範囲の中の時間を指す。
【0037】
durationは、マークがセクションタイプの場合、そのセクションの持続時間で示される。この持続時間は、ref_to_PlayItem_idで示されるPlayItemの中に閉じていても良いし、前記PlayItemに続くPlayItemにまたがっても良い。
【0038】
makers_private_dataは、maker_IDで示されるメーカが自由に使用できるフィールドであり、そのマークにメーカ独自の意味を与えることができる。例えば、セクションタイプのマークの場合、durationで示される区間を再生する時に、フェードインまたはフェードアウト再生することを指示するために使用できる。
【0039】
図5は、ClipMarkをストアするデータベースであるClipMark()のシンタクスを示す。ClipMark()は、Clip Informationファイルに属する。
【0040】
lengthは、このlengthフィールドの直後のバイトからClipMark()の最後のバイトまでのバイト数を示す。
【0041】
maker_IDは、ClipMark()を作成する記録機器の製造メーカの識別番号を示す。
【0042】
number_of_Clip_marksは、ClipMarkの中にストアされているマークのエントリー数を示す。
【0043】
mark_typeは、マークのタイプを示し、少なくとも、そのマークがポイントタイプか、セクションタイプのものかを示す。さらに、そのポイントの種類やそのセクションの種類をmark_typeの意味に持たせても良い。
【0044】
ref_to_STC_idは、mark_time_stampで示されるタイムスタンプが置かれているところのシステムタイムクロックの時間軸を指定するところの識別番号を示す。ここで、システムタイムクロックの時間軸は、Clip AVストリーム中のビデオの再生タイムスタンプが参照するところの時間軸である。
【0045】
mark_time_stampは、マークがポイントタイプの場合、ポイントを示すタイムスタンプをストアする。また、マークがセクションタイプの場合、セクションの開始点を示すタイムスタンプをストアする。mark_time_stampは、ref_to_STC_idで示されるシステムタイムクロックの時間軸上の時間を指す。
【0046】
durationは、マークがセクションタイプの場合、そのセクションの持続時間で示される。この持続時間は、ref_to_STC_idで示されるシステムタイムクロックの時間軸の中に閉じていても良いし、前記システムタイムクロックの時間軸に続く時間軸にまたがっても良い。
【0047】
makers_private_dataは、maker_IDで示されるメーカが自由に使用できるフィールドであり、そのマークにメーカ独自の意味を与えることができる。例えば、セクションタイプのマークの時、durationで示される区間を再生する時に、その区間のスキップ再生をすることを指示するために使用できる。
【0048】
次に、DVRアプリケーション構造のデータを記録再生するシステムについて、図6の動画像記録再生装置のブロック図を用いて説明する。この動画像記録再生装置は、再生部1と記録部2とで構成されている。
【0049】
はじめに記録時の動作について、入力オーディオビデオ信号を符号化して記録する場合を説明する。
【0050】
端子28と端子29からは、それぞれビデオ信号とオーディオ信号が入力される。ビデオ信号とオーディオ信号は、信号解析部24とAVエンコーダ23へ入力される。AVエンコーダ23は、入力ビデオ信号とオーディオ信号を符号化し、符号化ビデオストリーム(V)と符号化オーディオストリーム(A)をマルチプレクサ22に出力する。符号化ビデオストリーム(V)は、例えばMPEG2ビデオストリームであり、符号化オーディオストリーム(A)は、例えばMPEG1オーディオストリームやドルビー(商標)AC3オーディオストリーム等である。
【0051】
マルチプレクサ22は、入力ストリームを多重化して、多重化ストリームを出力する。多重化ストリームは、例えば、MPEG2トランスポートストリームやMPEG2プログラムストリームである。多重化ストリームは、ソースパケッタイザ21に入力される。ソースパケッタイザ21は、入力多重化ストリームを記録媒体のアプリケーションフォーマットに従って、ソースパケットから構成されるAVストリームに符号化する。AVストリームは、ECC(誤り訂正)符号化部20、変調部19で処理された後、書き込み部18へ入力される。書き込み部18は、制御部17から指示される制御信号に基づいて、記録媒体10へClip AVストリームファイルを記録する。
【0052】
この動画像記録再生装置は、Clip AVストリームファイルを記録すると共に、そのファイルに関係するアプリケーションデータベース情報、すなわち、Clip Information ファイルとPlayListファイルもまた記録する。これらのアプリケーションデータベース情報は、制御部17により作成される。
【0053】
Clip Information ファイルは、ClipMark()を含む。ClipMark()は信号解析部24から制御部17へ入力される情報に基づいて作られる。PlayListファイルは、主に端子27を介してユーザインタフェースから入力されるユーザの指示情報に基づいて作られる。
【0054】
信号解析部24からの動画像の特徴情報は、この動画像記録再生装置により自動生成されるものである。信号解析部24は、入力ビデオオーディオ信号の内容を解析し、入力動画像信号の中の特徴的な画像を検出し、特徴点の開始点とその終了点を示す画像のタイムスタンプを制御部17へ出力する。例えば、特徴点の開始点とその終了点とは、入力ビデオ信号の中のプログラムの開始点とその終了点や、CM(コマーシャルメッセージ)の開始点とその終了点などである。制御部17は、入力される特徴点の開始点とその終了点の画像のタイムスタンプに基づいて、ClipMark()を作成する。
【0055】
制御部17は、ポイントタイプのマークの場合は、開始点のタイムスタンプだけをClipMark()にストアする。また、セクションタイプのマークの場合は、開始点のタイムスタンプ(mark_time_stamp)、および開始点から終了点までの持続時間(duration)がClipMark()にストアされる。また、制御部17は、マークに拡張データ(makers_private_data)を付加することができる。
【0056】
端子27から入力されるユーザの指示情報は、AVストリームの中のお好みの再生区間の情報や、ユーザのお好みシーンの開始点や終了点の情報である。これらのユーザの指示情報は、PlayListのデータベースにストアされるものである。制御部17は、入力されるユーザのお好みシーンの情報から得られる当該シーンの開始点と終了点の画像のタイムスタンプに基づいて、PlayListMark()を作成する。ポイントタイプのマークの場合は、開始点のタイムスタンプだけをPlayListMark()にストアする。また、セクションタイプのマークの場合は、開始点のタイムスタンプ(mark_time_stamp)、および開始点から終了点までの持続時間(duration)をPlayListMark()にストアする。また、制御部17は、マークに拡張データ(makers_private_data)を付加することができる。
【0057】
制御部17は、上記の入力情報に基づいて、AVストリームのデータベース(Clip Information)とPlayListのデータベースを作成する。これらのデータベース情報は、AVストリームと同様にして、ECC(誤り訂正)符号化部20、変調部19で処理されて、書き込み部18へ入力される。書き込み部18は、制御部17から指示される制御信号に基づいて、記録媒体10へデータベースファイルを記録する。
【0058】
次に、再生時の動作について説明する。
【0059】
記録媒体10には、AVストリームファイルとアプリケーションデータベース情報が記録されている。
【0060】
はじめに制御部17は、読み出し部11に対して、アプリケーションデータベース情報を読み出すように指示する。そして、読み出し部は、記録媒体からアプリケーションデータベース情報を読み出し、そのデータベース情報は、復調部12、ECC(誤り訂正)復号部13の処理を経て、制御部17へ入力される。
【0061】
制御部17は、アプリケーションデータベースに基づいて、記録媒体(ディスク)10に記録されているPlayListの一覧を端子27からユーザインタフェースへ出力する。ユーザは、ユーザインタフェースを用いてPlayListの一覧から再生したいPlayListを選択する。再生を指定されたPlayListは、端子27から、制御部17へ入力される。
【0062】
制御部17は、そのPlayListの再生に必要なAVストリームファイルの読み出しを読み出し部11に指示する。そして、読み出し部11は、記録媒体10からそのAVストリームを読み出す。このAVストリームは、復調部12、誤り訂正部13の処理を経て、AVストリームはソースデパケッタイザ14へ入力される。
【0063】
ソースデパケッタイザ14は、記録媒体10のアプリケーションフォーマットのAVストリームを、デマルチプレクサ15へ入力できるストリームに変換する。デマルチプレクサ15は、制御部17により指定されたAVストリームの再生区間(PlayItem)を構成するビデオストリーム(V)とオーディオストリーム(A)をAVデコーダ16へ入力する。AVデコーダ16は、ビデオストリームとオーディオストリームを復号し、再生ビデオ信号と再生オーディオ信号をそれぞれ端子25と端子26から出力する。
【0064】
次に、PlayListMark または ClipMarkを使用してPlayListを再生する場合を説明する。
【0065】
まず、ClipMark()やPlayListMark()にストアされているマーク点のリストの中から、ユーザが、あるマークを使用する再生方法を制御部17に指示する(例えば、この動作は、ClipMark()やPlayListMark()にストアされているマーク点のサムネール画像リストをユーザインタフェースに表示して、ユーザが、その中からある画像を選択することにより行われる)。
【0066】
制御部17は、マークのタイムスタンプで指示されるAVストリームの読み出しを読み出し部11へ指示する。具体的には、制御部17は、マークのタイムスタンプを取得すると、Clip Informationファイルにストアされているタイムサーチ用のタイムスタンプ対アドレスの対応テーブルに基づいて、記憶媒体からのAVストリームの読み出し位置を決定し、そのAVストリームの読み出しを読み出し部11へ指示する。
【0067】
読み出し部11は、指定されたアドレスからデータを読み出す。読み出されたデータは、復調部12、ECC復号部13、ソースデパケッタイザ14の処理を経て、デマルチプレクサ15へ入力され、AVデコーダ16で復号(デコード)されて、マークで示されるAVデータが再生される。
【0068】
マークに拡張データ(makers_private_data)が付加されている時、その内容に基づいて、特別な再生をしても良い。例えば、セクションタイプのマークの拡張データがフェードインまたはフェードアウト再生を示す時、セクションで示される区間をそのように再生しても良い。
【0069】
次に、図7を参照して、動画像記録再生装置が、ClipMarkを作成する方法を説明する。
【0070】
ステップS11において、信号解析部24は、端子28と端子29より入力されたビデオ信号とオーディオ信号を解析し、その特徴点を検出する。
【0071】
ステップS12において、制御部17は、ステップS11の処理で、信号解析部24により解析された特徴点のマークタイプ、タイムスタンプ、およびそのSTC情報を取得する(mark_type,mark_time_stamp,ref_to_STC_idを取得する。図5を参照。)。
【0072】
ステップS13において、制御部17は、ステップS12の処理で取得されたmark_typeがセクションタイプのマークであるか否かを判定する。mark_typeがセクションタイプのマークである場合には、ステップS14に進み、制御部17は、入力されたオーディオ信号とビデオ信号を解析して、そのマークが示す区間(duration)を検出する。
【0073】
ステップS13において、mark_typeがセクションタイプのマークではないと判定された場合、ステップS14の処理はスキップされる。
【0074】
次に、ステップS15に進み、制御部17は、プライベートデータ(makers_private_data)を記録する場合、信号解析部24から入力されるそのデータを取得するか、もしくは、端子27を介して、ユーザインタフェースから入力されるそのデータを取得する。
【0075】
ステップS16において、制御部17は、以上の処理により取得されたデータに基づいて、ClipMark()(図5)の情報を作成する。
【0076】
ステップS17において、制御部17は、書き込み部18に対して、Clip Information fileとClip AV stream fileの記録を指示する。この指示に基づいて、書き込み部18により、記録媒体10にこれらのファイルが記録される。
【0077】
次に、図8を参照して、動画像記録再生装置がPlayListMarkを作成する方法を説明する。
【0078】
ステップS31において、ユーザが1つのPlayListの再生を指示すると、この指示は、ユーザインタフェースから端子27を介して、制御部17に入力される。
【0079】
ステップS32において、制御部17は、ステップS31の処理で指示されたPlayListの再生の開始を、読み出し部11に指示する。
【0080】
ステップS33において、ユーザは、ユーザインタフェースを操作し、端子27から制御部17に対して、所望のシーンの位置にマークのセットを指示する。
【0081】
ステップS34において、制御部17は、ステップS33の指示に対応する処理を実行する。すなわち、マークのタイプ、タイムスタンプ、およびそのタイムスタンプの属するPlayItemのPlayItem_idを取得する(mark_type, mark_time_stamp, ref_to_PlayItem_idなどが取得される)(図4)。
【0082】
ステップS35において、制御部17は、マークタイプがセクションタイプのマークであるか否かを判定する。マークのタイプがセクションタイプのマークである場合には、ステップS36に進み、ユーザは、そのマークが示す区間を指示する。例えば、ユーザは、その区間の開始点と終了点を指示する。ステップS37において、制御部17は、ステップS36の処理で指示された区間の情報(duration)を取得する。
【0083】
ステップS35の処理で、マークがセクションタイプのマークではないと判定された場合、ステップS36とステップS37の処理は、スキップされる。
【0084】
ステップS38において、制御部17は、プライベートデータ(makers_private_data)が記録される場合、それがユーザインタフェースを介して、端子27から入力されてくるので、それを取得する。
【0085】
ステップS39において、制御部17は、以上の処理により、取得したデータに基づいて、PlayListMark()(図4)の情報を作成する。
【0086】
ステップS40において、制御部17は、書き込み部18を制御し、PlayListファイルを記録するように指示する。書き込み部18は、この指示に基づいて、PlayListファイルを記録媒体10に記録する。
【0087】
さらに、図9を参照して、動画像記録再生装置が、セクションを示すタイプのPlayListMarkまたはClipMarkを使用して、PlayListを再生する場合の処理を説明する。
【0088】
ステップS61において、ユーザは、1つのPlayListの再生を指示する。この指示は、上述した場合と同様に、ユーザインタフェースから端子27を介して、制御部17に入力される。
【0089】
ステップS62において、ユーザは、セクションを示すタイプのマークを使用する所定の再生方法を制御部17に更に指示する。例えば、所定の区間をスキップするなどの指示がここで行われることになる。
【0090】
ステップS63において、制御部17は、ステップS61で指示されたPlayListに関係するPlayListMark(図4)と、ClipMark(図5)の情報を取得する。これらは、上述したように、図7または図8の処理で、記録媒体10に記録されたものである。
【0091】
ステップS64において、制御部17は、ステップS62の処理で指示された所定の再生方法に必要なマークデータを、ステップS63の処理で取得した情報から取得する。
【0092】
ステップS65において、制御部17は、マークのタイムスタンプとdurationに基づいて、AVストリームを記録媒体10から再生するように、読み出し部11を制御する。読み出し部11は、この制御に基づいて、記録媒体10から指定された範囲のAVストリームを再生する。
【0093】
ステップS66において、制御部17は、マークのmakers_private_dataに基づいて、再生画像の処理を行う。
【0094】
なお、本実施の形態は、多重化ストリームとしてMPEG2トランスポートストリームを例にして説明しているが、これに限らず、DSSトランスポートストリームやMPEG2プログラムストリームについても適用することが可能である。
【0095】
また、本実施の形態では、Clip InformationファイルとPlayListファイルを分離したファイルとして管理しているが、これらの情報を1つのファイルにまとめて管理しても良い。例えば、1つのファイルの中でClipMark情報を集めたオブジェクトと、PlayListMarkを集めたオブジェクトを管理するようにしても良い。
【0096】
さらに、必ずしも、ファイルという形式でデータを管理する(ファイルシステムを使ってデータを管理する)必要もなく、動画像記録再生装置が管理できる形式でデータを管理できれば良い。
【0097】
以上のようにして、再生区間の記録再生の管理を容易に行えるようなる。すなわち、再生区間を選択したとき、2つのマーク(スタートマークとエンドマーク)を使って、その区間を示す必要がないので、マーク情報の数が増えることがなく、また、区間を示す2つのマークをペアで管理する必要がないので、マークの管理方法が記録再生の容易になる。また、ユーザが望んでいないプレイリストを別に作成する必要もないので、ユーザに対して分かりやすいユーザインタフェースを提供できる。
【0098】
また、マークに動画像記録再生装置のメーカの独自情報を与えることが可能である。
【0099】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるが、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0100】
この記録媒体は、図6に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク41(フロッピディスクを含む)、光ディスク42(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク43(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリ44など(これらは、必要に応じて接続されるドライブ31によりドライブされる)よりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROMや、ハードディスク(図示せず)などで構成される。
【0101】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0102】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【符号の説明】
【0103】
10 記録媒体, 11 読み出し部, 12 復調部, 14 ソースデパケッタイザ, 15 デマルチプレクサ, 16 AVデコーダ, 17 制御部, 18 書き込み部, 19 変調部, 21 ソースパケッタイザ, 22 マルチプレクサ, 23 AVエンコーダ, 24 信号解析部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体に関し、特に、再生区間の記録再生の管理を容易に行うことができるようにする情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記録可能で記録再生装置から取り外し可能なディスク型媒体として、各種の光ディスクが提案されている。このような記録可能な光ディスクは、数ギガバイトの大容量メディアとして提案されており、ビデオ信号等のAV(Audio Visual)信号を記録するメディアとしての期待が高い。
【0003】
ディジタルビデオ信号をディジタル圧縮する符号化方式の1つにMPEG(Moving Picture Experts Group)2方式がある。MPEG2は、ディジタルビデオ信号を記録媒体に記録する場合にも応用されている。例えば、アナログビデオ信号を記録媒体に記録する場合、ビデオ信号をMPEG2方式にエンコードして、符号化ビットストリームを記録媒体に記録する。また、近年始まったデジタル方式のTV(テレビジョン)放送では、MPEG2方式で符号化されたビデオ番組が、トランスポートストリームと呼ばれるフォーマットで伝送されている。デジタル放送を情報記録媒体に記録する場合には、トランスポートストリームをデジタル信号のまま、デコードや再エンコードすることなく記録する方式が用いられている。
【0004】
ディスク媒体にAV信号が記録されていると、AV信号のランダムアクセス再生(頭だし再生や早送り再生など)が容易に実現できる。この特徴を利用して、ユーザが、記録されているAV信号の中から任意の再生区間(IN点(イン点)とOUT点(アウト点))を選択して、自由にAV信号の再生経路を作成することができる。この機能は、一般に、プレイリスト再生と呼ばれる。例えば、DVDビデオレコーディング規格(DVD specifications for Rewritable/Re-recordable Discs, Part 3 Video Recording, Version 1.0, September 1999)では、プレイリスト再生は、User Defined PGCやOriginal PGCとして規定されている。
【0005】
また、ユーザが、プレイリストの中から、お気に入りのシーンの開始点を選択して、再生の頭だし点情報を記録することができる。この機能は、特徴点やマークと呼ばれる。例えば、DVDビデオレコーディング規格では、Movie Cell Entry Point Information(M_C_EPI)として規定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザが、あるプレイリストの中から任意の再生区間(スタート点とエンド点)を選択した場合において、その再生区間に特別な意味を与える機能を実現するには、従来、例えば、次の2つの方法が考えられる。
【0007】
第1番目の方法は、ユーザが、プレイリストの中から上記の特別な再生区間を選択したとき、その再生区間を再生経路に持つ別のプレイリストを作成する方法である。しかしながら、この方法は、ユーザが新しいプレイリストの作成を望んでいないにも関わらず、プレイリストの数が増加してしまう問題がある。
【0008】
第2番目の方法は、ユーザが、プレイリストの中から上記の特別な再生区間を選択したとき、2つのマーク(スタートマークとエンドマーク)を使って、その区間を示す方法である。しかしながら、この方法は、マーク情報の数が増えるし、また、区間を示す2つのマークをペアで管理しなければならないために、マークを使う再生処理や編集処理が複雑になる問題がある。
【0009】
また、入力されたAVストリームから任意の特徴的な再生区間の動画像を選択して、その区間に特別な意味を与える機能を実現する場合にも、例えば、2つのマーク(スタートマークとエンドマーク)を使って、その区間を示す方法が考えられる。しかしながら、この方法も、マーク情報の数が増えるし、また、区間を示す2つのマークをペアで管理しなければならないために、マークの記録再生の管理方法が複雑になる問題がある。
【0010】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、ユーザがあるプレイリストの中から任意の再生区間を選択して、その区間に特別な意味を与える機能を実現する場合、その再生区間の記録再生の管理を容易に行えるようにするものである。
【0011】
また、入力されたAVストリームから任意の特徴的な再生区間の動画像を選択して、その区間に特別な意味を与える機能を実現する場合に、その再生区間の記録再生の管理を容易に行えるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面の情報記録媒体は、再生装置によって再生されるクリップAVストリーム、前記クリップAVストリームと1対1に対応するクリップ情報、および前記クリップAVストリームの再生区間を指定するプレイリストを記録する情報記録媒体であって、前記クリップAVストリームから検出されたユーザの指定によらない特徴的な再生区間の再生開始点のタイムスタンプと前記再生区間の持続時間を有するクリップマークであって、特別な再生を指定する拡張データが付加されたクリップマークを前記プレイリストから参照される前記クリップ情報の要素として記録するとともに、前記プレイリストの中からユーザが指示した任意の再生区間の開始点のタイムスタンプと、前記再生区間の持続時間との組からなるプレイリストマークであって、特別な再生を指示する拡張データが付加されたプレイリストマークを記録し、前記再生装置に、前記クリップマークまたは前記プレイリストマークの前記タイムスタンプに基づいて、前記AVストリームの読み出し位置を決定させる。
【0013】
前記クリップ情報および前記プレイリストは、それぞれ前記AVストリームとは別のファイルとして記録されるようにすることができる。
【0014】
本発明の一側面においては、クリップAVストリームから検出されたユーザの指定によらない特徴的な再生区間の再生開始点のタイムスタンプと再生区間の持続時間を有するクリップマークであって、特別な再生を指定する拡張データが付加されたクリップマークがプレイリストから参照されるクリップ情報の要素として記録されるとともに、プレイリストの中からユーザが指示した任意の再生区間の開始点のタイムスタンプと、再生区間の持続時間との組からなるプレイリストマークであって、特別な再生を指示する拡張データが付加されたプレイリストマークが記録され、再生装置に、クリップマークまたはプレイリストマークのタイムスタンプに基づいて、AVストリームの読み出し位置が決定させられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、ユーザがあるプレイリストの中から任意の再生区間を選択して、その区間に特別な意味を与える機能を実現する場合、その再生区間の記録再生の管理を容易に行えるようなる。また、入力されたAVストリームから任意の特徴的な再生区間の動画像を選択して、その区間に特別な意味を与える機能を実現する場合に、その再生区間の記録再生の管理を容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】記録再生システムで用いる記録媒体上のアプリケーションフォーマットの簡単化された構造を説明する図である。
【図2】PlayList上のマークを説明する図である。
【図3】Clip上のマークを説明する図である。
【図4】PlayListMark()のシンタクスを説明する図である。
【図5】ClipMark()のシンタクスを説明する図である。
【図6】動画像記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図7】ClipMarkを作成する方法を説明するフローチャートである。
【図8】PlayListMarkを作成する方法を説明するフローチャートである。
【図9】PlayListを再生する時、セクションを示すタイプのPlayListMark / ClipMarkを使用した再生方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明を適用した記録再生システムで用いる記録媒体上のアプリケーションフォーマットの簡単化された構造を示している。このフォーマットは、AVストリームの管理のためにPlayList(プレイリスト)とClip(クリップ)の2つのレイヤをもつ。
【0018】
1つのAVストリームとそれの付属情報のペアを1つのオブジェクトと考え、それをClipと呼ぶ。AVストリームファイルはClip AVストリームファイルと呼ばれ、その付属情報は、Clip Information file(クリップインフォメーションファイル)と呼ばれる。
【0019】
1つのClip AVストリームファイルは、MPEG2トランスポートストリームをDVRアプリケーションフォーマットによって規定される構造に配置したデータからなる。
【0020】
一般に、コンピュータ等で用いるデータファイルは、バイト列として扱われるが、Clip AVストリームファイルのコンテンツは、時間軸上に展開される。そして、PlayListは、Clipの中のアクセスポイントをタイムスタンプで指定する。PlayList が、Clipの中へのアクセスポイントをタイムスタンプで指し示している時、Clip Information fileは、Clip AVストリームファイルの中でストリームのデコードを開始すべきアドレス情報を見つけるために役立つ。そのために、Clip Information fileは、Clip AVストリーム中のタイムサーチ用のタイムスタンプ対アドレスの対応テーブルを持つ。
【0021】
PlayListは、Clipの中からユーザが見たい再生区間を選択し、それを簡単に編集することができることを目的にして導入された。1つのPlayListは、Clipの中の再生区間の集まりである。あるClipの中の1つの再生区間は、PlayItem(プレイアイテム)と呼ばれる。それは、時間軸上のIN(イン)点とOUT(アウト)点のペアで表される。それゆえ、PlayListは、PlayItemの集まりである。
【0022】
PlayListには、2つのタイプがある。1つは、Real PlayList(リアルプレイリスト)であり、もう1つは、Virtual PlayList(バーチャルプレイリスト)である。
【0023】
Real PlayListは、それが参照しているClipのストリーム部分を共有しているとみなされる。すなわち、Real PlayListは、それの参照しているClipのストリーム部分に相当するデータ容量をディスクの中で占める。AVストリームが新しいClipとして記録される場合、そのClip全体の再生可能範囲を参照するReal PlayListが自動的に作られる。Real PlayListの再生範囲の一部分が消去された場合、それが参照しているClipのストリーム部分もまたデータが消去される。
【0024】
Virtual PlayListは、Clipのデータを共有していないとみなされる。Virtual PlayListが変更または消去されたとしても、Clipは何も変化しない。
【0025】
なお、以下の説明においては、Real PlayListとVirtual PlayListを総称して単に、PlayListと称する。
【0026】
マークは、ClipおよびPlayListの中のハイライトや特徴的な時間を指定するためにある。
【0027】
PlayListに付加されるマークは、PlayListMark(プレイリストマーク)と呼ばれ、これは主にユーザによってセットされる。PlayListMarkには2つのタイプがある(図2参照)。1つは、ポイントを示すタイプのマークであり、これは、そのポイントを示すタイムスタンプで示される。もう1つはセクションを示すタイプのマークであり、これは、セクションの開始点を示すタイムスタンプと、そのセクションの持続時間(duration)で示される。ポイントを示すタイプのマークの例としては、ユーザがお気に入りのシーンの開始点がある。セクションを示すタイプのマークの例としては、ユーザがお気に入りのシーンの区間があげられる。
【0028】
Clipに付加されるマークは、ClipMark(クリップマーク)と呼ばれ、これは、AVストリームの内容に起因する特徴的なシーンを指定する。ClipMarkには2つのタイプがある(図3参照)。1つは、ポイントを示すタイプのマークであり、これは、そのポイントを示すタイムスタンプで示される。もう1つはセクションを示すタイプのマークであり、これは、セクションの開始点を示すタイムスタンプと、そのセクションの持続時間(duration)で示される。ポイントを示すタイプのマークの例としては、ある特徴的なシーンの開始点がある。セクションを示すタイプのマークの例としては、ある特徴的なシーンの区間があげられる。PlayListを再生する時、再生機器は、そのPlayListが参照するClipのマークを参照する事ができる。
【0029】
なお、図3において、STC連続区間は、マークのタイムスタンプが置かれているところのシステムタイムクロックが連続である区間を表す。
【0030】
図4は、PlayListMarkをストアするデータベースであるPlayListMark()のシンタクスを示す。PlayListMark()は、PlayListファイルに属する。
【0031】
lengthは、このlengthフィールドの直後のバイトからPlayListMark()の最後のバイトまでのバイト数を示す。
【0032】
number_of_PlayList_marksは、PlayListMark()の中にストアされているマークのエントリー数を示す。
【0033】
mark_typeは、マークのタイプを示し、少なくとも、そのマークがポイントタイプのものか、セクションタイプのものかを示す。さらに、そのポイントの種類やそのセクションの種類をmark_typeの意味に持たせても良い。
【0034】
maker_IDは、そのマークをPlayListMark()にストアした記録機器を製造したメーカの識別番号を示す。
【0035】
ref_to_PlayItem_idは、マークが置かれているところのPlayItemを指定するところのPlayItemの識別番号を示す。
【0036】
mark_time_stampは、マークがポイントタイプの場合、ポイントを示すタイムスタンプをストアする。また、マークがセクションタイプの場合、セクションの開始点を示すタイムスタンプをストアする。mark_time_stampは、ref_to_PlayItem_idで示されるPlayItemの中で定義されているところのIN_timeとOUT_timeで特定される再生範囲の中の時間を指す。
【0037】
durationは、マークがセクションタイプの場合、そのセクションの持続時間で示される。この持続時間は、ref_to_PlayItem_idで示されるPlayItemの中に閉じていても良いし、前記PlayItemに続くPlayItemにまたがっても良い。
【0038】
makers_private_dataは、maker_IDで示されるメーカが自由に使用できるフィールドであり、そのマークにメーカ独自の意味を与えることができる。例えば、セクションタイプのマークの場合、durationで示される区間を再生する時に、フェードインまたはフェードアウト再生することを指示するために使用できる。
【0039】
図5は、ClipMarkをストアするデータベースであるClipMark()のシンタクスを示す。ClipMark()は、Clip Informationファイルに属する。
【0040】
lengthは、このlengthフィールドの直後のバイトからClipMark()の最後のバイトまでのバイト数を示す。
【0041】
maker_IDは、ClipMark()を作成する記録機器の製造メーカの識別番号を示す。
【0042】
number_of_Clip_marksは、ClipMarkの中にストアされているマークのエントリー数を示す。
【0043】
mark_typeは、マークのタイプを示し、少なくとも、そのマークがポイントタイプか、セクションタイプのものかを示す。さらに、そのポイントの種類やそのセクションの種類をmark_typeの意味に持たせても良い。
【0044】
ref_to_STC_idは、mark_time_stampで示されるタイムスタンプが置かれているところのシステムタイムクロックの時間軸を指定するところの識別番号を示す。ここで、システムタイムクロックの時間軸は、Clip AVストリーム中のビデオの再生タイムスタンプが参照するところの時間軸である。
【0045】
mark_time_stampは、マークがポイントタイプの場合、ポイントを示すタイムスタンプをストアする。また、マークがセクションタイプの場合、セクションの開始点を示すタイムスタンプをストアする。mark_time_stampは、ref_to_STC_idで示されるシステムタイムクロックの時間軸上の時間を指す。
【0046】
durationは、マークがセクションタイプの場合、そのセクションの持続時間で示される。この持続時間は、ref_to_STC_idで示されるシステムタイムクロックの時間軸の中に閉じていても良いし、前記システムタイムクロックの時間軸に続く時間軸にまたがっても良い。
【0047】
makers_private_dataは、maker_IDで示されるメーカが自由に使用できるフィールドであり、そのマークにメーカ独自の意味を与えることができる。例えば、セクションタイプのマークの時、durationで示される区間を再生する時に、その区間のスキップ再生をすることを指示するために使用できる。
【0048】
次に、DVRアプリケーション構造のデータを記録再生するシステムについて、図6の動画像記録再生装置のブロック図を用いて説明する。この動画像記録再生装置は、再生部1と記録部2とで構成されている。
【0049】
はじめに記録時の動作について、入力オーディオビデオ信号を符号化して記録する場合を説明する。
【0050】
端子28と端子29からは、それぞれビデオ信号とオーディオ信号が入力される。ビデオ信号とオーディオ信号は、信号解析部24とAVエンコーダ23へ入力される。AVエンコーダ23は、入力ビデオ信号とオーディオ信号を符号化し、符号化ビデオストリーム(V)と符号化オーディオストリーム(A)をマルチプレクサ22に出力する。符号化ビデオストリーム(V)は、例えばMPEG2ビデオストリームであり、符号化オーディオストリーム(A)は、例えばMPEG1オーディオストリームやドルビー(商標)AC3オーディオストリーム等である。
【0051】
マルチプレクサ22は、入力ストリームを多重化して、多重化ストリームを出力する。多重化ストリームは、例えば、MPEG2トランスポートストリームやMPEG2プログラムストリームである。多重化ストリームは、ソースパケッタイザ21に入力される。ソースパケッタイザ21は、入力多重化ストリームを記録媒体のアプリケーションフォーマットに従って、ソースパケットから構成されるAVストリームに符号化する。AVストリームは、ECC(誤り訂正)符号化部20、変調部19で処理された後、書き込み部18へ入力される。書き込み部18は、制御部17から指示される制御信号に基づいて、記録媒体10へClip AVストリームファイルを記録する。
【0052】
この動画像記録再生装置は、Clip AVストリームファイルを記録すると共に、そのファイルに関係するアプリケーションデータベース情報、すなわち、Clip Information ファイルとPlayListファイルもまた記録する。これらのアプリケーションデータベース情報は、制御部17により作成される。
【0053】
Clip Information ファイルは、ClipMark()を含む。ClipMark()は信号解析部24から制御部17へ入力される情報に基づいて作られる。PlayListファイルは、主に端子27を介してユーザインタフェースから入力されるユーザの指示情報に基づいて作られる。
【0054】
信号解析部24からの動画像の特徴情報は、この動画像記録再生装置により自動生成されるものである。信号解析部24は、入力ビデオオーディオ信号の内容を解析し、入力動画像信号の中の特徴的な画像を検出し、特徴点の開始点とその終了点を示す画像のタイムスタンプを制御部17へ出力する。例えば、特徴点の開始点とその終了点とは、入力ビデオ信号の中のプログラムの開始点とその終了点や、CM(コマーシャルメッセージ)の開始点とその終了点などである。制御部17は、入力される特徴点の開始点とその終了点の画像のタイムスタンプに基づいて、ClipMark()を作成する。
【0055】
制御部17は、ポイントタイプのマークの場合は、開始点のタイムスタンプだけをClipMark()にストアする。また、セクションタイプのマークの場合は、開始点のタイムスタンプ(mark_time_stamp)、および開始点から終了点までの持続時間(duration)がClipMark()にストアされる。また、制御部17は、マークに拡張データ(makers_private_data)を付加することができる。
【0056】
端子27から入力されるユーザの指示情報は、AVストリームの中のお好みの再生区間の情報や、ユーザのお好みシーンの開始点や終了点の情報である。これらのユーザの指示情報は、PlayListのデータベースにストアされるものである。制御部17は、入力されるユーザのお好みシーンの情報から得られる当該シーンの開始点と終了点の画像のタイムスタンプに基づいて、PlayListMark()を作成する。ポイントタイプのマークの場合は、開始点のタイムスタンプだけをPlayListMark()にストアする。また、セクションタイプのマークの場合は、開始点のタイムスタンプ(mark_time_stamp)、および開始点から終了点までの持続時間(duration)をPlayListMark()にストアする。また、制御部17は、マークに拡張データ(makers_private_data)を付加することができる。
【0057】
制御部17は、上記の入力情報に基づいて、AVストリームのデータベース(Clip Information)とPlayListのデータベースを作成する。これらのデータベース情報は、AVストリームと同様にして、ECC(誤り訂正)符号化部20、変調部19で処理されて、書き込み部18へ入力される。書き込み部18は、制御部17から指示される制御信号に基づいて、記録媒体10へデータベースファイルを記録する。
【0058】
次に、再生時の動作について説明する。
【0059】
記録媒体10には、AVストリームファイルとアプリケーションデータベース情報が記録されている。
【0060】
はじめに制御部17は、読み出し部11に対して、アプリケーションデータベース情報を読み出すように指示する。そして、読み出し部は、記録媒体からアプリケーションデータベース情報を読み出し、そのデータベース情報は、復調部12、ECC(誤り訂正)復号部13の処理を経て、制御部17へ入力される。
【0061】
制御部17は、アプリケーションデータベースに基づいて、記録媒体(ディスク)10に記録されているPlayListの一覧を端子27からユーザインタフェースへ出力する。ユーザは、ユーザインタフェースを用いてPlayListの一覧から再生したいPlayListを選択する。再生を指定されたPlayListは、端子27から、制御部17へ入力される。
【0062】
制御部17は、そのPlayListの再生に必要なAVストリームファイルの読み出しを読み出し部11に指示する。そして、読み出し部11は、記録媒体10からそのAVストリームを読み出す。このAVストリームは、復調部12、誤り訂正部13の処理を経て、AVストリームはソースデパケッタイザ14へ入力される。
【0063】
ソースデパケッタイザ14は、記録媒体10のアプリケーションフォーマットのAVストリームを、デマルチプレクサ15へ入力できるストリームに変換する。デマルチプレクサ15は、制御部17により指定されたAVストリームの再生区間(PlayItem)を構成するビデオストリーム(V)とオーディオストリーム(A)をAVデコーダ16へ入力する。AVデコーダ16は、ビデオストリームとオーディオストリームを復号し、再生ビデオ信号と再生オーディオ信号をそれぞれ端子25と端子26から出力する。
【0064】
次に、PlayListMark または ClipMarkを使用してPlayListを再生する場合を説明する。
【0065】
まず、ClipMark()やPlayListMark()にストアされているマーク点のリストの中から、ユーザが、あるマークを使用する再生方法を制御部17に指示する(例えば、この動作は、ClipMark()やPlayListMark()にストアされているマーク点のサムネール画像リストをユーザインタフェースに表示して、ユーザが、その中からある画像を選択することにより行われる)。
【0066】
制御部17は、マークのタイムスタンプで指示されるAVストリームの読み出しを読み出し部11へ指示する。具体的には、制御部17は、マークのタイムスタンプを取得すると、Clip Informationファイルにストアされているタイムサーチ用のタイムスタンプ対アドレスの対応テーブルに基づいて、記憶媒体からのAVストリームの読み出し位置を決定し、そのAVストリームの読み出しを読み出し部11へ指示する。
【0067】
読み出し部11は、指定されたアドレスからデータを読み出す。読み出されたデータは、復調部12、ECC復号部13、ソースデパケッタイザ14の処理を経て、デマルチプレクサ15へ入力され、AVデコーダ16で復号(デコード)されて、マークで示されるAVデータが再生される。
【0068】
マークに拡張データ(makers_private_data)が付加されている時、その内容に基づいて、特別な再生をしても良い。例えば、セクションタイプのマークの拡張データがフェードインまたはフェードアウト再生を示す時、セクションで示される区間をそのように再生しても良い。
【0069】
次に、図7を参照して、動画像記録再生装置が、ClipMarkを作成する方法を説明する。
【0070】
ステップS11において、信号解析部24は、端子28と端子29より入力されたビデオ信号とオーディオ信号を解析し、その特徴点を検出する。
【0071】
ステップS12において、制御部17は、ステップS11の処理で、信号解析部24により解析された特徴点のマークタイプ、タイムスタンプ、およびそのSTC情報を取得する(mark_type,mark_time_stamp,ref_to_STC_idを取得する。図5を参照。)。
【0072】
ステップS13において、制御部17は、ステップS12の処理で取得されたmark_typeがセクションタイプのマークであるか否かを判定する。mark_typeがセクションタイプのマークである場合には、ステップS14に進み、制御部17は、入力されたオーディオ信号とビデオ信号を解析して、そのマークが示す区間(duration)を検出する。
【0073】
ステップS13において、mark_typeがセクションタイプのマークではないと判定された場合、ステップS14の処理はスキップされる。
【0074】
次に、ステップS15に進み、制御部17は、プライベートデータ(makers_private_data)を記録する場合、信号解析部24から入力されるそのデータを取得するか、もしくは、端子27を介して、ユーザインタフェースから入力されるそのデータを取得する。
【0075】
ステップS16において、制御部17は、以上の処理により取得されたデータに基づいて、ClipMark()(図5)の情報を作成する。
【0076】
ステップS17において、制御部17は、書き込み部18に対して、Clip Information fileとClip AV stream fileの記録を指示する。この指示に基づいて、書き込み部18により、記録媒体10にこれらのファイルが記録される。
【0077】
次に、図8を参照して、動画像記録再生装置がPlayListMarkを作成する方法を説明する。
【0078】
ステップS31において、ユーザが1つのPlayListの再生を指示すると、この指示は、ユーザインタフェースから端子27を介して、制御部17に入力される。
【0079】
ステップS32において、制御部17は、ステップS31の処理で指示されたPlayListの再生の開始を、読み出し部11に指示する。
【0080】
ステップS33において、ユーザは、ユーザインタフェースを操作し、端子27から制御部17に対して、所望のシーンの位置にマークのセットを指示する。
【0081】
ステップS34において、制御部17は、ステップS33の指示に対応する処理を実行する。すなわち、マークのタイプ、タイムスタンプ、およびそのタイムスタンプの属するPlayItemのPlayItem_idを取得する(mark_type, mark_time_stamp, ref_to_PlayItem_idなどが取得される)(図4)。
【0082】
ステップS35において、制御部17は、マークタイプがセクションタイプのマークであるか否かを判定する。マークのタイプがセクションタイプのマークである場合には、ステップS36に進み、ユーザは、そのマークが示す区間を指示する。例えば、ユーザは、その区間の開始点と終了点を指示する。ステップS37において、制御部17は、ステップS36の処理で指示された区間の情報(duration)を取得する。
【0083】
ステップS35の処理で、マークがセクションタイプのマークではないと判定された場合、ステップS36とステップS37の処理は、スキップされる。
【0084】
ステップS38において、制御部17は、プライベートデータ(makers_private_data)が記録される場合、それがユーザインタフェースを介して、端子27から入力されてくるので、それを取得する。
【0085】
ステップS39において、制御部17は、以上の処理により、取得したデータに基づいて、PlayListMark()(図4)の情報を作成する。
【0086】
ステップS40において、制御部17は、書き込み部18を制御し、PlayListファイルを記録するように指示する。書き込み部18は、この指示に基づいて、PlayListファイルを記録媒体10に記録する。
【0087】
さらに、図9を参照して、動画像記録再生装置が、セクションを示すタイプのPlayListMarkまたはClipMarkを使用して、PlayListを再生する場合の処理を説明する。
【0088】
ステップS61において、ユーザは、1つのPlayListの再生を指示する。この指示は、上述した場合と同様に、ユーザインタフェースから端子27を介して、制御部17に入力される。
【0089】
ステップS62において、ユーザは、セクションを示すタイプのマークを使用する所定の再生方法を制御部17に更に指示する。例えば、所定の区間をスキップするなどの指示がここで行われることになる。
【0090】
ステップS63において、制御部17は、ステップS61で指示されたPlayListに関係するPlayListMark(図4)と、ClipMark(図5)の情報を取得する。これらは、上述したように、図7または図8の処理で、記録媒体10に記録されたものである。
【0091】
ステップS64において、制御部17は、ステップS62の処理で指示された所定の再生方法に必要なマークデータを、ステップS63の処理で取得した情報から取得する。
【0092】
ステップS65において、制御部17は、マークのタイムスタンプとdurationに基づいて、AVストリームを記録媒体10から再生するように、読み出し部11を制御する。読み出し部11は、この制御に基づいて、記録媒体10から指定された範囲のAVストリームを再生する。
【0093】
ステップS66において、制御部17は、マークのmakers_private_dataに基づいて、再生画像の処理を行う。
【0094】
なお、本実施の形態は、多重化ストリームとしてMPEG2トランスポートストリームを例にして説明しているが、これに限らず、DSSトランスポートストリームやMPEG2プログラムストリームについても適用することが可能である。
【0095】
また、本実施の形態では、Clip InformationファイルとPlayListファイルを分離したファイルとして管理しているが、これらの情報を1つのファイルにまとめて管理しても良い。例えば、1つのファイルの中でClipMark情報を集めたオブジェクトと、PlayListMarkを集めたオブジェクトを管理するようにしても良い。
【0096】
さらに、必ずしも、ファイルという形式でデータを管理する(ファイルシステムを使ってデータを管理する)必要もなく、動画像記録再生装置が管理できる形式でデータを管理できれば良い。
【0097】
以上のようにして、再生区間の記録再生の管理を容易に行えるようなる。すなわち、再生区間を選択したとき、2つのマーク(スタートマークとエンドマーク)を使って、その区間を示す必要がないので、マーク情報の数が増えることがなく、また、区間を示す2つのマークをペアで管理する必要がないので、マークの管理方法が記録再生の容易になる。また、ユーザが望んでいないプレイリストを別に作成する必要もないので、ユーザに対して分かりやすいユーザインタフェースを提供できる。
【0098】
また、マークに動画像記録再生装置のメーカの独自情報を与えることが可能である。
【0099】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるが、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0100】
この記録媒体は、図6に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク41(フロッピディスクを含む)、光ディスク42(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク43(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリ44など(これらは、必要に応じて接続されるドライブ31によりドライブされる)よりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROMや、ハードディスク(図示せず)などで構成される。
【0101】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0102】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【符号の説明】
【0103】
10 記録媒体, 11 読み出し部, 12 復調部, 14 ソースデパケッタイザ, 15 デマルチプレクサ, 16 AVデコーダ, 17 制御部, 18 書き込み部, 19 変調部, 21 ソースパケッタイザ, 22 マルチプレクサ, 23 AVエンコーダ, 24 信号解析部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生装置によって再生されるクリップAVストリーム、前記クリップAVストリームと1対1に対応するクリップ情報、および前記クリップAVストリームの再生区間を指定するプレイリストを記録する情報記録媒体であって、
前記クリップAVストリームから検出されたユーザの指定によらない特徴的な再生区間の再生開始点のタイムスタンプと前記再生区間の持続時間を有するクリップマークであって、特別な再生を指定する拡張データが付加されたクリップマークを前記プレイリストから参照される前記クリップ情報の要素として記録するとともに、
前記プレイリストの中からユーザが指示した任意の再生区間の開始点のタイムスタンプと、前記再生区間の持続時間との組からなるプレイリストマークであって、特別な再生を指示する拡張データが付加されたプレイリストマークを記録し、
前記再生装置に、前記クリップマークまたは前記プレイリストマークの前記タイムスタンプに基づいて、前記AVストリームの読み出し位置を決定させる
情報記録媒体。
【請求項2】
前記クリップ情報および前記プレイリストは、それぞれ前記AVストリームとは別のファイルとして記録される
請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項1】
再生装置によって再生されるクリップAVストリーム、前記クリップAVストリームと1対1に対応するクリップ情報、および前記クリップAVストリームの再生区間を指定するプレイリストを記録する情報記録媒体であって、
前記クリップAVストリームから検出されたユーザの指定によらない特徴的な再生区間の再生開始点のタイムスタンプと前記再生区間の持続時間を有するクリップマークであって、特別な再生を指定する拡張データが付加されたクリップマークを前記プレイリストから参照される前記クリップ情報の要素として記録するとともに、
前記プレイリストの中からユーザが指示した任意の再生区間の開始点のタイムスタンプと、前記再生区間の持続時間との組からなるプレイリストマークであって、特別な再生を指示する拡張データが付加されたプレイリストマークを記録し、
前記再生装置に、前記クリップマークまたは前記プレイリストマークの前記タイムスタンプに基づいて、前記AVストリームの読み出し位置を決定させる
情報記録媒体。
【請求項2】
前記クリップ情報および前記プレイリストは、それぞれ前記AVストリームとは別のファイルとして記録される
請求項1に記載の情報記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−225270(P2010−225270A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115002(P2010−115002)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【分割の表示】特願2007−6645(P2007−6645)の分割
【原出願日】平成14年10月30日(2002.10.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【分割の表示】特願2007−6645(P2007−6645)の分割
【原出願日】平成14年10月30日(2002.10.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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