説明

感光性樹脂組成物、当該組成物から形成される接着剤層、当該接着剤層を含む画像表示装置、及び、当該組成物に含有され得る共重合体の製造方法

【課題】接着性と耐衝撃性に優れる画像表示装置の接着剤層を形成することが可能な感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 下記の成分(A)、(B)及び(C)を含有する感光性樹脂組成物であって、当該成分(A)の共重合体は、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分を共重合体全体に対して60〜99重量%含有し、かつ、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する共重合体画分を1〜22重量%含有する共重合体である感光性樹脂組成物を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。
(A) (メタ)アクリロイル基を有する共役ジエンポリマー、共役ジエンモノマー、及び(メタ)アクリル酸モノマーを共重合させることによって得られる共重合体、
(B) エチレン性不飽和基を含む化合物、
(C) 光開始剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性樹脂組成物、より詳細には、優れた接着性及び良好な耐衝撃性を有する感光性樹脂組成物に関するものである。本発明はまた、当該感光性樹脂組成物から形成される接着剤層及び当該接着剤層を含む画像表示装置に関するものである。さらに本発明は、当該感光性樹脂組成物に含有され得る共重合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置は一般に、表示部と、当該表示部上に配置された透明パネル、例えば、保護パネル又はタッチパネル、とを有する。表示部と透明パネルとの間には空隙が設けられており、当該空隙には通常空気が含まれている。空気の屈折率は透明パネルの屈折率と異なるため、反射現象が生じ、それは光透過性の減少をもたらす。
【0003】
上記問題を解決するため、表示部と透明パネルとの間の空隙に樹脂組成物を充填することが提案されている。当該樹脂組成物によって、表示部と透明パネルとを互いに固着することができ、透明パネルに応力がかかる時に緩衝効果が発揮され得る。それ故、当該樹脂組成物は、透明性及び接着性に加えて、表示部及び透明パネルに特定の、適切な特性、例えば、機械的性質、光学的性質など、を有しなければならない。
【0004】
樹脂組成物は一般に、熱硬化性樹脂組成物、光硬化性樹脂組成物、並びに、光及び熱硬化性樹脂組成物に分類される。表示部の中には、熱変形温度が約80〜120℃のものがあり(例えば、エレクトロルミネッセンス素子)、その耐熱性は不十分であり、当該表示部は、熱硬化性樹脂組成物を加熱により硬化させる際に、損傷され得る。それ故、一般的に熱硬化性樹脂組成物より光硬化性樹脂組成物が、表示部との接触使用において有用である。
【0005】
特開2009−186963号公報(特許文献1)においては、ポリウレタンアクリレート、ポリイソプレン系アクリレート又はそのエステル化物、テルペン系水素添加樹脂及びブタジエン重合体から選ばれる1種以上のポリマーと、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート及び2−ヒドロキシブチルメタクリレートから選ばれる1種以上のアクリレート系モノマーと、光重合開始剤、具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン及びジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、とを含有する樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−186963号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された技術について検討を行った結果、なお当該特許文献にて開示された樹脂組成物の接着性及び耐衝撃性では十分ではないことが判明した。
【0008】
よって本発明の課題は、特に優れた接着性と耐衝撃性を有する、画像表示装置における接着剤層を形成させることが可能な感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが特許文献1に開示された技術についてさらに検討を重ねた結果、この樹脂組成物に含まれるポリマー(共重合体)は、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する重合体画分を約30重量%、及び、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する重合体画分を約40重量%含むものであることが分かった。
【0010】
そして、この共重合体の分子量分布の比率に着目することにより、驚くべきことに、特に優れた接着性と耐衝撃性を伴う接着剤層を画像表示装置において形成させることが可能な感光性樹脂組成物が提供され得ることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、第一に、下記の成分(A)、(B)及び(C)を含有する感光性樹脂組成物であって、当該成分(A)の共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより計測された1,000と1,000,000の間の範囲に含まれる分子量に対して累積重量%をプロットすることにより得られた積分分子量分布曲線(integral molecular weight distribution curve)、から計算したときに、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分を共重合体全体に対して60〜99重量%含有し、かつ、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する共重合体画分を1〜22重量%含有する共重合体である、感光性樹脂組成物(以下、本発明の感光性樹脂組成物ともいう)を提供する発明である。
(A) (メタ)アクリロイル基を有する共役ジエンポリマー、共役ジエンモノマー、及び(メタ)アクリル酸モノマーを共重合させることによって得られた共重合体(以下、本発明の共重合体、又は、共重合体(A)ともいう)
(B) エチレン性不飽和基を含む化合物
(C) 光開始剤
【0012】
第二に、本発明は、本発明の感光性樹脂組成物を硬化することによって得られる接着剤層(以下、本発明の接着剤層ともいう)を提供する発明である。当該接着剤層は、表示装置における形成に適している。
【0013】
第三に、本発明は、タッチ部、液晶表示部、及び、タッチ部と液晶表示部との間、に配置された本発明の接着剤層を含む画像表示装置(以下、本発明の表示装置ともいう)を提供する発明である。
【0014】
第四に、本発明は、本発明の共重合体の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう)を提供する発明である。本発明の製造方法は、(メタ)アクリロイル基を有する共役ジエンポリマー、共役ジエンモノマー、及び(メタ)アクリル酸モノマーを共重合させる工程を含むことを特徴とするものである。
【0015】
本願において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味するものであり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味するものであり、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味するものであり、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを意味するものである。また、これらに類する用語は、ここに示した内容に従うものとする。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、接着性と耐衝撃性に優れる画像表示装置の接着剤層を形成することが可能な感光性樹脂組成物が提供される。また、当該感光性樹脂組成物を硬化させることによって形成される接着剤層、当該接着剤層がタッチ部と液晶表示部との間等に配置された画像表示装置、及び感光性樹脂組成物に含有させることができる共重合体の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記したように、本発明の感光性樹脂組成物は、下記の成分(A)、(B)及び(C)を含有する感光性樹脂組成物である。
(A) 本発明の共重合体(共重合体(A))
(B) エチレン性不飽和基を含む化合物
(C) 光開始剤
【0018】
本発明の共重合体(共重合体(A))
共重合体(A)は、好ましくは、以下の工程(a)〜(d)を含む方法によって製造される(本発明の製造方法)。
【0019】
(a)共役ジエンモノマーを溶媒に溶解させる。開始剤としてsec-ブチルリチウム(s-BuLi)を用いてアニオン重合を行い共役ジエンポリマーを得る。
【0020】
【化1】

【0021】
(b)こうして得られた共役ジエンポリマーと無水マレイン酸とを溶媒中で混合する。共役ジエンポリマー上に無水マレイン酸をグラフトさせるように、重合を85℃〜100℃の範囲の温度で行う。こうして無水マレイン酸変性共役ジエンポリマーが得られる。
【0022】
【化2】

【0023】
(c)こうして得られた無水マレイン酸変性共役ジエンポリマーを、溶媒中で、ヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル酸モノマーと混合し、触媒としてヒドロキノン及びN,N−ジメチルベンジルアミンを加えて半エステル化反応を行い、下記式(a)で表される(メタ)アクリロイル基を含む共役ジエンポリマー(以下、共役ジエンポリマー(a)ともいう)を得る。
【0024】
【化3】

【0025】
式(a)中、R及びR11は、互いに無関係に、水素原子又はメチル基を表し、nは、1〜20,000の範囲の整数であり、mは、1〜4,000の範囲の整数である。
【0026】
(d)共役ジエンポリマー(a)を溶媒と混合し、反応温度に加熱する。ここに、有効量の共役ジエンモノマー、有効量の(メタ)アクリル酸モノマー、及び開始剤を添加して、共役ジエンモノマーと(メタ)アクリル酸モノマーを、共役ジエンポリマー(a)に、共役ジエンポリマー(a)の分岐基の末端二重結合を介して、共重合させて共重合体(A)を得る。
【0027】
工程(d)は、具体的には、以下の工程(d−1)〜(d−3)を含む。
【0028】
(d−1)共役ジエンポリマー(a)を溶媒に混入し、反応温度に加熱して反応溶液を調製する。
(d−2)有効量の共役ジエンモノマー、有効量の(メタ)アクリル酸モノマー、及び開始剤を混合してモノマー混合物を得る。
(d−3)反応溶液にモノマー混合物を、又は、モノマー混合物に反応溶液を、制御された速度で添加することによって共重合反応を行い、共重合体(A)を得る。
【0029】
工程(d)の反応温度は、60〜100℃であるのが好ましい。
【0030】
工程(d)において、共役ジエンポリマー(a)100重量部に対して、10〜200重量部の共役ジエンモノマー、及び、5〜100重量部の(メタ)アクリル酸モノマーを用いるのが好ましい。
【0031】
反応溶液へのモノマー混合物の添加又はモノマー混合物への反応溶液の添加は、5時間〜15時間かけて滴加(dropwise addition)により行うのが好ましい。
【0032】
共重合反応は、反応溶液へのモノマー混合物の添加又はモノマー混合物への反応溶液の添加の終了後、0.5時間〜3時間続けるのが好ましい。
【0033】
共役ジエンモノマーとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。共役ジエンモノマーは、単独でも2種以上の混合物としても使用することができる。
【0034】
(メタ)アクリル酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸アリル、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、ラウリルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、セチルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、エイコシルメタクリレート、ドコシルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピルアクリレート、及び、N−t−ブチルアミノエチルメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。(メタ)アクリル酸モノマーは、単独でも2種以上の混合物としても使用することができる。
【0035】
上記工程(c)において使用されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸モノマーとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。より好ましいヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸モノマーは、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルである。
【0036】
上記工程(a)、(b)、(c)、及び(d)において使用される溶媒は、それぞれ、脂肪族又は芳香族炭化水素化合物から選択されるのが好ましい。上記工程(a)、(b)、(c)、及び(d)において使用される溶媒は、それぞれ、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、又はキシレンから選択されるのが好ましい。
【0037】
開始剤としては、例えば、アゾ化合物及び過酸化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(以下、AMBNともいう)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下、ADVNともいう)、及び2,2’−アゾビスイソプロピルシアニドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイルが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0038】
共重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより計測された1,000と1,000,000の間の範囲に含まれる分子量に対して累積重量%をプロットすることにより得られた積分分子量分布曲線(integral molecular weight distribution curve)、から計算したときに、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分を共重合体全体に対して60〜99重量%含有し、かつ、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する共重合体画分を1〜22重量%含有する共重合体である。
【0039】
共重合体(A)における、分子量が30,000〜900,000の共重合体画分の含有量が60重量%未満の場合、当該共重合体(A)を含む感光性樹脂組成物の接着性が悪くなる。なお、分子量が30,000〜900,000の共重合体画分の含有量が99重量%を超えると、感光性樹脂組成物の製造コストの上昇に見合った感光性樹脂組成物の接着性の向上は認められない。
【0040】
共重合体(A)における、分子量が30,000〜900,000の共重合体画分の含有量は、65重量%〜95重量%であるのがより好ましく、70重量%〜90重量%であるのが特に好ましい。
【0041】
分子量が1,000〜10,000の共重合体画分の含有量が1重量%未満の場合、感光性樹脂組成物の製造コストの上昇に見合った感光性樹脂組成物の耐衝撃性の向上は認められない。分子量が1,000〜10,000の共重合体画分の含有量が22重量%を超えると、当該共重合体(A)を含む感光性樹脂組成物の接着性と耐衝撃性が悪くなる。
【0042】
共重合体(A)における、分子量が1,000〜10,000の共重合体画分の含有量は、3重量%〜20重量%であるのがより好ましく、5重量%〜18重量%であるのが特に好ましい。
【0043】
エチレン性不飽和基を含む化合物((B)成分)
エチレン性不飽和基を含む化合物(B)としては、例えば、1個の(メタ)アクリル酸基を有する化合物、2個又はそれ以上の(メタ)アクリル酸基を有する化合物、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
1個の(メタ)アクリル酸基を有する化合物としては、例えば、アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、テトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びボルニル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
2個又はそれ以上の(メタ)アクリル酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートジ(メタ)アクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロピルトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(以下EOと略称する)変性トリメチロールプロピルトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(以下POと略称する)変性トリメチロールプロピルトリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオ−ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロピルテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
エチレン性不飽和基を含む化合物は、好ましくは、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリメチロールプロピルトリアクリレート、EO変性トリメチロールプロピルトリアクリレート、PO変性トリメチロールプロピルトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロピルテトラアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、又はそれらの組み合わせ、から選択される。
【0047】
エチレン性不飽和基を含む化合物(B)の使用量は、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは20〜100重量部、より好ましくは30〜90重量部、最も好ましくは35〜80重量部である。
【0048】
光開始剤((C)成分)
本発明に適した光開始剤としては、例えば、アセトフェノン化合物、フェニルケトン化合物、ビイミダゾール化合物、アシルオキシム化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
アセトフェノン化合物としては、例えば、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α’−ジメトキシアゾキシアセトフェノン、2,2’−ジメチル−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
フェニルケトン化合物としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:Irgacure 184、チバ スペシャルティ ケミカルズ製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名:DAROCUR 1173、チバ スペシャルティ ケミカルズ製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 127、チバ スペシャルティ ケミカルズ製)、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−ビイミダゾール、2,2’−ビス(p−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,2’,4,4’−テトラメトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−ビイミダゾール、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
アシルオキシム化合物としては、例えば、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン(例えば、商品名:CGI-242、チバ スペシャルティ ケミカルズ製)、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)(例えば、商品名:CGI-124、チバ スペシャルティ ケミカルズ製)、及び1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−クロロ−4−ベンジル−チオ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン(アデカ製)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
アシルホスフィンオキシド化合物としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(商品名:TPO、チバ スペシャルティ ケミカルズ製)、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルベンジルホスフィンオキシド、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
光開始剤は、好ましくは、p−ジメチルアミノアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドから選択される。
【0055】
光開始剤の使用量は、エチレン性不飽和基を含む化合物(B)100重量部に対して、好ましくは2〜40重量部、より好ましくは3〜35重量部、最も好ましくは5〜30重量部である。
【0056】
水添テルペン樹脂
本発明の感光性樹脂組成物は、その接着性をさらに高めるために、共重合体(A)、エチレン性不飽和基を含む化合物(B)、及び、光開始剤(C)に加えて、水添テルペン樹脂を含むことができる。本発明に適した水添テルペン樹脂としては、例えば、クレアロン(Clearon)P−85、クレアロンM−115、クレアロンM−105、クレアロンP−125、クレアロンP−115、及びクレアロンP−105(これらの製品は全てヤスハラケミカルから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
他の添加剤
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、他の添加剤、例えば、増感剤、界面活性剤、消泡剤、可溶化剤などを添加することができる。
【0058】
接着剤層は、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させることによって、画像表示装置のタッチ部と液晶表示部の間に形成することができる。本発明の感光性樹脂組成物は、紫外線光、例えば、g線、h線、i線などを用いて、照射により硬化させるのが好ましい。紫外線光を提供する装置としては、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、又はメタルハライドランプが挙げられる。
【0059】
画像表示装置のタッチ部と液晶表示部の間に形成された接着剤層は、高い接着性及び良好な耐衝撃性に加えて、改善された光学的性質、例えば、低減した散乱作用、高められた画像明度、及び向上した表示品質、を提供することができる。
【実施例】
【0060】
以下の実施例において、本発明の好適な実施態様を説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
(メタ)アクリロイル基を有する共役ジエンポリマーの合成
[合成例a]
窒素注入口、撹拌器、ヒーター、コンデンサー、及び温度計を備えた1000mlの四つ口フラスコに窒素を導入し、ここに、ポリイソプレンをグラフトした無水マレイン酸(重量平均分子量:25,000、Sigma-Aldrich製、100重量部)、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(0.04重量部)、ヒドロキノン(0.05重量部)、N,N−ジメチルベンジルアミン(0.3重量部)、及びn−ヘプタン(20重量部、溶媒として)を添加した。重合反応を80℃の温度で3時間行った。重合反応の終了後、得られた生成物をフラスコから取り出し、残余の反応溶媒を、留去(devolatization)により当該生成物から除去して、上記式(a)で表される(メタ)アクリロイル基を有する共役ジエンポリマーを得た。
【0062】
共重合体Aの合成
[合成例A−1]
2000mlのオートクレーブに窒素を導入し、ここに、合成例aで得られた共役ジエンポリマー(50重量部)及びトルエン(200重量部、溶媒として)を添加して、共役ジエンポリマーがトルエン中に完全に溶解している溶液を得た。当該溶液の温度を80℃に調整した。
【0063】
ブタジエン(以下BDと略称する。40重量部)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(以下FA−512ABDとする。10重量部)、及び、トルエン(10重量部)中に溶解している2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(重合開始剤、以下AMBNと略称する、2重量部)を混合して混合物を得、当該混合物を、温度を80℃に維持したオートクレーブ中の共役ジエンポリマー溶液に6時間かけて滴加した。
【0064】
BD、FA−512ABD、及びAMBNの添加が完了した後、オートクレーブの中で、80℃でさらに1時間、重合反応を行った。こうして得られた生成物をオートクレーブから取り出し、残余の溶媒を、留去により当該生成物から除去して共重合体A−1を得た。
【0065】
[合成例A−2〜A−7]
合成例A−2〜A−7を、表1に示された成分及びその量、並びに重合条件を用いて、合成例A−1の方法と同じ方法で行った。
【0066】
[合成例A−8]
合成例A−7において得られた共重合体100重量部を、メタノール(700重量部)及びトルエン(300重量部)からなる共溶媒に添加し、30分間撹拌した。それにより生じた沈殿物を反応容器から取り出し、当該生成物から、残余の溶媒を留去により除去して共重合体A−8を得た。
【0067】
[合成例A−9及びA−10]
合成例A−9及びA−10を、表1に示された成分及びその量、並びにモノマー添加方法などの重合条件を用いて、合成例A−1の方法と同じ方法で行い、共重合体A−9及びA−10を得た。
【0068】
[合成例A−11]
合成例A−10で得られた共重合体100重量部を、アセトン(800重量部)及びトルエン(200重量部)からなる共溶媒に添加し、30分間撹拌した。それによって生じた沈殿物を反応容器から取り出し、当該生成物から、残余の溶媒を留去により除去して共重合体A−11を得た。
【0069】
【表1】

【0070】
感光性樹脂組成物の製造
[実施例1]
共重合体A−1(100重量部)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(以下B−1と称する。45重量部)、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(以下C−1と称する。10重量部)を一緒に混合して、感光性樹脂組成物を得た。得られた感光性樹脂組成物について、以下の評価方法による評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0071】
[実施例2〜7並びに比較例1〜4]
実施例2〜7並びに比較例1〜4を、表2に示された成分及びその量を用いて、実施例1の方法と同じ方法で行った。得られた実施例2〜7並びに比較例1〜4の感光性樹脂組成物について、以下の評価方法による評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0072】
[比較例5]
比較例5を、実施例1と方法と同じ方法で行った。但し、共重合体A−1の代わりに合成例aで得られた共役ジエンポリマーを用いた。得られた感光性樹脂組成物について、以下の評価方法による評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0073】
評価方法
1.共重合体(A)の分子量分布
各感光性樹脂組成物に用いた共重合体(A)の分子量分布を、以下の条件下でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCとする)によって測定した。積分分子量分布曲線を、1,000と1,000,000の間の範囲に含まれる分子量に対して累積重量%をプロットすることにより得た。この積分分子量分布曲線から、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の重量%と、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の重量%とを算出した。
【0074】
GPCの測定条件
機器:717 plus (Waters製)
カラム:79911GP-501, 79911GP-502, 79911GP-503及び79911GP-504 (Agilent Technologies製)
検出器:2414 RI Detector (Waters製)
移動相:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/分
注入量:100μl
測定温度:40℃
測定時間:60分
標準物質:ポリスチレン
【0075】
2.接着性
感光性樹脂組成物を、2枚のガラスプレート(各々20mm×50mm)の間に塗布して挟み、紫外線光を用いて照射し(照度:100mW/cm、露光時間:50秒)、硬化した接着剤層(厚さ:0.1mm)を形成して、2枚のガラスプレートを接着させる。これらのガラスプレートがはがれるまで、GOTECH製の引張試験機(Model No. AI-7000S)のジグを用いて引っ張る。ジグとガラスプレートとの接触面積は4mmであり、引っ張り速度は5mm/秒である。最大引っ張り力を記録する。
【0076】
◎:最大引っ張り力 ≧70N
○:70N> 最大引っ張り力 ≧50N
△:50N> 最大引っ張り力 ≧30N
×:最大引っ張り力 <30N
【0077】
3.耐衝撃性
感光性樹脂組成物を2枚のガラスプレート(各々20mm×50mm)の間に塗布して挟み、紫外線光を用いて照射し(照度:100mW/cm、露光時間:50秒)、硬化した接着剤層(厚さ:0.1mm)を形成して、2枚のガラスプレートを接着させる。これらのプレートが壊れるまで、GOTECH製の引張試験機(Model No. AI-7000S)のジグを用いて加圧する。ジグとガラスプレートとの接触面積の直径は3mmであり、加圧速度は1mm/秒である。最大押圧を記録する。
【0078】
○:最大押圧 ≧30N
△:30N> 最大押圧 ≧20N
×:最大押圧 <20N
【0079】
【表2】

【0080】
表1及び2に示されているとおり、比較例1の感光性樹脂組成物に含まれる共重合体A−7は、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が61重量%であり、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が24重量%である。合成例A−7において、共重合体A−7を製造する際の反応温度は60℃に過ぎない。比較例1の感光性樹脂組成物の接着性及び耐衝撃性はいずれも不十分である。
【0081】
比較例2の感光性樹脂組成物に含まれる共重合体A−9は、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が58重量%であり、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が26重量%である。合成例A−9において、共重合体A−9を製造する際にモノマーを滴加しているが、モノマー及び開始剤の添加時間がわずか4時間である。比較例2の感光性樹脂組成物の接着性及び耐衝撃性はいずれも不十分である。
【0082】
比較例3の感光性樹脂組成物に含まれる共重合体A−10は、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が55重量%であり、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が35重量%である。合成例A−10において、共重合体A−10を製造する際にモノマーを一度に添加している。比較例3の感光性樹脂組成物の接着性及び耐衝撃性はいずれも不十分である。
【0083】
比較例4の感光性樹脂組成物に含まれる共重合体A−11は、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が58重量%であり、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が20重量%である。合成例A−11において使用した共重合体A−11は、モノマーを一度に添加して製造した共重合体A−10を、アセトン及びトルエンの共溶媒で処理することにより得たものである。比較例4の感光性樹脂組成物の耐衝撃性は良好であるが、接着性は不十分である。
【0084】
比較例5において、感光性樹脂組成物を製造するために、合成例aで得られた共役ジエンポリマーを用いた。この共役ジエンポリマーは、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が30重量%であり、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が40重量%である。比較例5の感光性樹脂組成物の接着性及び耐衝撃性はいずれも不十分である。
【0085】
実施例1〜7において、感光性樹脂組成物中に含まれる共重合体はいずれも、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が60重量%〜99重量%であり、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が1重量%〜22重量%である。実施例1〜7において使用された共重合体の製造のための合成例において、モノマーの添加方法、反応温度、モノマー及び開始剤の添加時間、並びに、その後反応時間のような反応条件は、適切に制御されている。実施例1〜7の感光性樹脂組成物の接着性及び耐衝撃性はいずれも高い。
【0086】
これらの結果から、改善された接着性及び耐衝撃性は、共重合体Aの分子量分布が適切に制御されている本発明の感光性樹脂組成物によって得ることができることが証明された。
【0087】
上述したとおり、本発明は、良好な接着性及び耐衝撃性を有する感光性樹脂組成物、並びに、当該感光性樹脂組成物から硬化(例えば、紫外線光を用いた硬化)によって作られる接着剤層を提供する。当該接着剤層は、画像表示装置中のタッチ部と液晶表示部を接着するために使用することができる。
【0088】
本発明は、最も実用的で好適な実施態様であると考えられるものに関して記載されているが、この発明は、開示された実施態様に限定されるものではなく、最も広い解釈と均等の精神と範囲の中に含まれる、様々なアレンジメントを包含することが意図されていることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)、(B)及び(C)を含有する感光性樹脂組成物であって、当該成分(A)の共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより計測された1,000と1,000,000の間の範囲に含まれる分子量に対して累積重量%をプロットすることにより得られた積分分子量分布曲線(integral molecular weight distribution curve)、から計算したときに、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分を共重合体全体に対して60〜99重量%含有し、かつ、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する共重合体画分を1〜22重量%含有する共重合体である、感光性樹脂組成物。
(A) (メタ)アクリロイル基を有する共役ジエンポリマー、共役ジエンモノマー、及び(メタ)アクリル酸モノマーを共重合させることによって得られた共重合体、
(B) エチレン性不飽和基を含む化合物、
(C) 光開始剤。
【請求項2】
前記共重合体(A)における、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が65〜95重量%である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記共重合体(A)における、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分の含有量が70〜90重量%である、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記共重合体(A)100重量部に対して、20〜100重量部のエチレン性不飽和基を含む化合物を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、水添テルペン樹脂が含まれる、請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1記載の感光性樹脂組成物を硬化させることによって得られる接着剤層。
【請求項7】
タッチ部、液晶表示部、並びに、当該タッチ部と当該液晶表示部との間に請求項6記載の接着剤層が配置されてなる、画像表示装置。
【請求項8】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより計測された1,000と1,000,000の間の範囲に含まれる分子量に対して累積重量%をプロットすることにより得られた積分分子量分布曲線(integral molecular weight distribution curve)、から計算したときに、30,000〜900,000の範囲の分子量を有する共重合体画分を共重合体全体に対して60〜99重量%含有し、かつ、1,000〜10,000の範囲の分子量を有する共重合体画分を1〜22重量%含有する共重合体の製造方法であって、(メタ)アクリロイル基を有する共役ジエンポリマー、共役ジエンモノマー、及び(メタ)アクリル酸モノマーを共重合させる工程を含むことを特徴とする、共重合体の製造方法。
【請求項9】
(メタ)アクリロイル基を有する共役ジエンポリマー100重量部に対して、10〜200重量部の共役ジエンモノマーと、5〜100重量部の(メタ)アクリル酸モノマーを用いることを特徴とする、請求項8に記載の共重合体の製造方法。
【請求項10】
(メタ)アクリロイル基を有する共役ジエンポリマー、共役ジエンモノマー、及び(メタ)アクリル酸モノマーを共重合させる工程は、(1)(メタ)アクリロイル基を有する共役ジエンポリマー溶液、並びに、(2)共役ジエンモノマー、(メタ)アクリル酸モノマー及び開始剤を含有するモノマー混合物を、(1)に対して(2)を、又は、(2)に対して(1)を、制御された速度で添加することによって行われることを特徴とする、請求項9に記載の共重合体の製造方法。
【請求項11】
制御された速度での添加は、(1)(メタ)アクリロイル基を有する共役ジエンポリマー溶液に対して、(2)共役ジエンモノマー、(メタ)アクリル酸モノマー及び開始剤を含有するモノマー混合物を添加することによって行われることを特徴とする、請求項10に記載の共重合体の製造方法。
【請求項12】
制御された速度での添加は、滴加によって行われることを特徴とする、請求項10又は11に記載の共重合体の製造方法。
【請求項13】
制御された速度での添加は、5時間〜15時間かけての添加であることを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
【請求項14】
(メタ)アクリロイル基を有する共役ジエンポリマー100重量部に対して、1〜10重量部の開始剤を用いることを特徴とする、請求項10〜13のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
【請求項15】
制御された速度での添加終了後、さらに0.5時間〜3時間共重合反応を継続することを特徴とする、請求項10〜14のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
【請求項16】
共重合反応は60〜100℃で行われる、請求項8〜15のいずれかに記載の共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2013−23690(P2013−23690A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−149570(P2012−149570)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【出願人】(594006345)奇美實業股▲分▼有限公司 (19)
【Fターム(参考)】