説明

感熱印刷及び磁気記録のためのシート製品

【課題】感熱印刷及び磁気レコーディングのためのシート製品
【解決手段】(i)バインダマトリクス中に磁気的に活性化可能な粒子を含む磁気層を間に有する、一対の積層された外層シート、(ii)前記外層シートの一方の外面に適用され、顔料及びバインダを含む、少なくとも一層、(iii)前記層(ii)に適用された感熱コーティング又は感熱インク、を含む磁気的に活性化可能なシート製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱感受性材料に対する熱の直接適用によって、印刷物が生み出されるタイプのシート製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の感熱紙の製造において、紙などの基材は、その全表面を当初は無色であるが、熱に晒されることで着色する発色剤、顕色剤及び増感剤を含む、水性分散液でコートされる。該紙が感熱式プリンターのプリントヘッド下を通過する際、プリンターの加熱された印刷要素によって活性化された領域が紙の表面上に着色されたイメージを形成する。例えば米国特許第5,888,283号明細書に記載の、代替的アプローチにおいて、従来の印刷プロセスを用いて紙に印刷できる感熱インクが使用され、よって、感熱コーティングを適用するためのコーティング装置を使用する必要性を排除する。
【0003】
我々のPCT出願であるPCT/GB2004/004161及びPCT/GB2004/004149(2004年9月29日出願)は、固体多孔質粒子状形態の顔料を含有する層でコートされた少なくとも一つの表面を有するベースシートを含む基材を提供すること、並びに、プリンターを用いて、前記基材のコート表面上に、発色剤、顕色剤及び増感剤を含む感熱インクを印刷することを含み、前記増感剤がジメチルテレフタレートを含み、及び前記インクが少なくとも一つの顔料をも含む。感熱印刷可能なシートを製造する方法に関する;さらに、前記プロセスにおいて使用され得、発色剤、顕色剤及び増感剤を含む新規なインクであって、前記発色剤が3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを含み、前記顕色剤がビスフェノールAを含み、前記増感剤がジメチルテレフタレートを含むインクに関する。
【0004】
磁気情報並に、従来の印刷情報を保持することができるシート製品が知られている。国際公開第01/92961号パンフレットは、電気的−及び/又は磁気的に活性化可能な粒子が配された中空部を含むコーティングを保持するシート材料が記載されている。国際公開第03/102926号パンフレットは、一対の積層された外層シートを含む磁気的に活性化可能なシート製品であって、該外層シートの少なくとも一枚にはその内面に顔料/バインダ下塗りが設けられており、該シート間に、バインダマトリクス中に磁気的に活性化可能な粒子を含む磁気層を含み、前記外層シートは前記磁気層の外観を隠蔽するのに十分な隠蔽力を有する、シート製品が記載されている。国際公開第03/101744号パンフレットは、感圧コピー紙システム用の磁気的に活性化可能なシート製品が記載されている。
【0005】
従来の感熱式プリンターを用いて印刷することができるばかりでなく、磁気的に読み取り可能な情報を保持することが出来るシート製品を提供することが望まれている。欧州特許第774363号明細書は、特定の感熱紙を記載しており、“本発明の感熱記録材料に対して、更なる加工を施すことにより更なる機能を付与することができる、・・・記録材料の裏面に磁気層を形成し、感熱性磁気記録材料を提供する”と記載している。さらに、欧州特許第492628号明細書は、可逆的な感熱性着色組成物に使用する特定の化学組成物に関し、磁気層が支持体と可逆的感熱性着色層の間に設置され得る。しかしながら、これらの文献の何れも、両側に非感熱可視印刷を保持することができ、さらに磁気情報及び感熱印刷をも保持することができるシートの製造方法に関して、可能とする説明は提案されていない。感熱紙は、可視感熱印刷の現像の間、高温に晒される。高温が磁気データの破損につながること(例えば直射日光に置かれた音声又はビデオテープなどのように)はよく知られており、そのため、100℃を上回る局所温度となる感熱印刷は、その書類
に保存された磁気データの完全性が妨げられることが予想される。
【特許文献1】米国特許第5,888,283号明細書
【特許文献2】国際公開第01/92961号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/102926号パンフレット
【特許文献4】国際公開第03/101744号パンフレット
【特許文献5】欧州特許第774363号明細書
【特許文献6】欧州特許第492628号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
我々は、磁気データを保持することもできる書類上に感熱印刷を実現することができる特定のシステムを見出した。
【0007】
従って、本発明は、
(i)バインダマトリクス中に磁気的に活性化可能な粒子を含む磁気層を間に有する、一対の積層された外層シート、
(ii)前記外層シートの一方の外面に適用され、顔料及びバインダを含む、少なくとも一層、
(iii)前記層(ii)に適用された感熱コーティング又は感熱インク、
を含む磁気的に活性化可能なシート製品を提供する。
【発明の効果】
【0008】
層(ii)(下塗り層)及びその上に適用された感熱コーティング又は感熱インクの組み合わせは、磁気層へ磁気データの書き込みを可能にし、続いて、シートが、磁気的に保存されたデータの劣化や破損なしに、感熱式プリンターを通過することにより加工されることを可能にする。あるいは、所望により、該シートは感熱式プリンターを通過すること、続いて、磁気層に磁気データを書き込むことにより、加工され得る。驚くべきことに、適切な下塗り層(ii)を用いた場合、従来の感熱式プリンターに事前に磁気データが書き込まれたシートを通過させても、そのデータは劣化や破損しなかったことが見出された。
【0009】
磁気層は、国際公開第03/102926号パンフレットに記載されるように形成され得る。例えば、一方又は双方の外層シートの内面上にコーティングによって形成され得、或いは、2つの外層シートを積層プレス機又は類似の装置中で一緒にする時又はその直前に適用する、貼り合わせ用接着剤として構築される。
【0010】
磁気層は例えば二酸化クロム、酸化鉄、多結晶性ニッケル−コバルト合金、コバルト−クロム又はコバルト−サマリウム合金、又はバリウム−フェライトなどの磁気的に活性化可能な材料から形成され得る。用いられるバインダは、例えばポリビニルアルコール、ラテックス、デンプン又は、大豆タンパク誘導体などのタンパク性バインダから選択され得る。好ましくは、スチレン−ブタジエン系ラテックス、又はアクリル系ラテックス、或いは他のラテックスである。適用される塗布量は、該して磁気的に活性化可能な材料が最大約10gm-2存在するような量であるが、しかし、要求される磁気シグナルのレベルに応じて変化できる。所望により、磁気層は炭酸カルシウムなどの体質顔料を含み得、それはコスト削減をもたらすだけでなく、磁気層の暗色を減少させることに役立つ。
【0011】
好ましくは、磁気的に活性化可能な材料は、低保磁力、すなわち1000エルステッド未満、好ましくは500エルステッド未満の保磁力を有する。高保磁力の材料の使用は、結局、消磁が難しく、それゆえ、周囲に散在する磁気フィールドの耐性がある材料につながる。このような材料は、しかしながら、高価であり、磁気情報を書き込むのに高い磁気
フィールドの使用が要求されるとする技術的な不利点にも悩まされる。既知システムとは異なり、本システムの使用は、散在する磁気フィールドの耐性があり、低保磁力の材料の使用を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
積層バインダ又は接着剤は、通常、磁気層を挟んで一緒にしたシートを保護し、積層を形成するために使用される。そのようなバインダは、例えば、ポリビニルアルコール、ラテックス、デンプン、又は大豆タンパク誘導体などのタンパク性バインダであり得る。
【0013】
好ましい本発明の実施態様において、一方又は双方の外側シートは、その内面に顔料/バインダ下塗りを保持する。この下塗りは、該して、紙工業で使用される、例えば炭酸カルシウム(特に沈降炭酸カルシウム)、カオリン、またはその他の粘土(特に焼成粘土)及び/又は高隠蔽性が要求され、余分なコストが認められる場合には二酸化チタンなどの、従来の顔料コーティングから形成される。使用されるバインダは、例えばラテックス(特にスチレン−ブタジエン系またはアクリル系ラテックス)、デンプン又はデンプン誘導体、ポリビニルアルコール及び/又は大豆タンパク誘導体又は他のタンパク性材料などの従来品でありうる。下塗り量は、該して約5乃至15gm-2の範囲であるが、要求される隠蔽効果並びに使用される外層シートの重量(通常、より重いベースペーパーは、より少ない下塗り量を要する)に応じて、変化できる。該製品が内面の下塗りを有する外層シートを1枚のみ含む場合、磁気データは好ましくは、製品の下塗りを保持する側から書き込み及び読み込みされる。
【0014】
好ましくは、本発明の製品は、最終製品において、磁気層の外観が隠蔽されるように、十分に不透明である外層シートを用いて構成される。外層シートは、好ましくは紙で製造され、また、紙の特性を模倣するプラスチックシート材料(通称「合成紙」)もその代わりとして使用できる。外層シートとして使用される材料は、好ましくは、十分な遮蔽効果及び望ましさを、及びまた最終製品の優れた外観をも提供することが好ましい。サーマルチケットとしてのような用途において、外層シートは概して60乃至150gm-2と比較的重くあり得、最終製品が120乃至300gm-2で製造される。或いは、外層シートは、積層した際、最終製品は過剰に厚くまたは重くはならないよう、軽量のベースペーパー(概して約50gm-2以下)であり得る。感熱紙として一般的に使用される種類のベースペーパー、例えば、軽量のベースペーパーは、当然、それらは優れた外観及び軽さと強度を兼ね備えるため、特にこの事情において適している。好ましくは、外層シート及び特に磁気的に読み取れる外層シートは、65ミクロン以下の厚さを有する。
【0015】
一般に、外層シートは、得た製品の白色度が、紫外線強化の使用を伴うエルレホ(Elrepho)3000装置で測定したときに、Lスケール上で、元々のベースシートから5ポイント以内である場合、前記磁気層の外観を隠蔽するのに十分な被覆性/隠蔽性を有するとみなされる。好ましくは、白色度は本製品の製造するために使用した元々のベースシートのものに近づく
【0016】
本発明の製品の層(ii)は、一種以上の顔料及び一種以上のバインダを含む、顔料/バインダ下塗り層である。顔料は、例えば固体多孔質微粒子状形態の顔料であり得る。そのような顔料は、広い表面積と高い吸収性を有し、好ましくは、BET法を用いて>100m2と測定される表面積、又は、>50g 油/100g顔料のインク吸収性を有する
(キルク−オトマー(Kirk−Otemer)エンサイクロペディア オブ ケミカル
テクノロジー,第三版,17巻,796−808頁に記載されるように)。理想的には、使用される材料は、最終製品に付加的な隠蔽性を与え、ベースシート中への感熱層の吸収を避けるものから選択され、高レベルの断熱性を有する材料が好ましい。顔料は、好ましくは、カオリン又は他の粘土、特に焼成粘土、炭酸カルシウム(特に、多孔質であり高
い吸収性である沈降形態のもの)、シリカ、及び/又は二酸化チタンを含む。あるいは、又は加えて、コーティングは、中空球形態のプラスチック顔料を含み得る。上記の記載された顔料のどんな混合物も使用され得、上記リストは網羅的なものではない。
【0017】
層(ii)に使用されるバインダは、一般的なもの、例えばラテックス(特にスチレン−ブタジエン系ラテックスまたはアクリル系ラテックス)、デンプン又はデンプン誘導体、ポリビニルアルコール及び/又は大豆タンパク誘導体又は他のタンパク性物質である。
【0018】
層(ii)は、領域全体の被膜を提供するために当該表面への直接コーティングによって適用され得る;あるいは、シート上の感熱コーティング又は感熱インクの適用が要求される場所に個々に印刷され得る。それは積層加工の前後に適用され得る;例えば、感熱コーティングは、マルチコーティングスライドアプリケーションによる、感熱層の適用の直前に、適用され得る。好ましくは、層は約5乃至15gm-2の範囲の塗布量で適用され、しかし、これは個々に状況によって様々に変化し得る。
【0019】
当然、層(iii)は層(ii)の適用後に適用される;これは、積層加工プロセスが、製品の乾燥等の過度な熱を用いないことを条件に製品の積層加工前、あるいは、積層加工後であり得る。層(iii)は、層(ii)の実質全部をカバーし得、又は、それらの一部のみをカバーし得る。本発明のシート製品は、従来のコーターを用いて、従来の感熱コーティングを、下塗り層を有する外層シートに適用することによって製造され得る。しかしながら、好ましくは、プリンターを用いて、下塗り層表面に感熱インクを印刷することにより製造される。該インクは、下塗り表面の熱的活性が要求される部分上にのみ印刷され、コーターを用いて表面全体を覆うコーティング層を提供するよりも安価で簡単である。この感熱インクシステムのさらなる有利点は、所望により、従来の非感熱インクが感熱インクの印刷と同時に、或いは別々に表面上に印刷し得、表面上に高い品質の可視情報を提供することである。
【0020】
感熱コーティング及び感熱インクは、発色剤、顕色剤及び増感剤を含む。いずれの好適な発色剤及び顕色剤も、本発明において使用される感熱インク又はコーティングに使用され得る。好適な発色剤としては、例えば、4,4−ビス(ジメチルアミノベンズヒドロキシベンジル)エーテル、N−ハロフェニル、ロイコオーラミン、及びN−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなどのジアリルメタン類;2−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−メチル−2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(エチル−イソペンチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ブチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、及び7,7’−ビス(3−ジエチルアミノフルオラン)などのフルオラン類;3−メチルスピロジナフト−ピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3’−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロナフトピラン及び3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピランなどのスピロピラン類;3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、及び3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリドなどのアザフタリド類;3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド及び3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリドなどのインドリルフタリド類;チアニルメタン類;及びスチリルキノリンが挙げられる。
【0021】
本発明の使用のために好ましい発色剤は、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、通称CVL(ブルー);2’−(ジベンジルアミノ)
−6’−(ジエチルアミノ)スピロ(イソベンゾフラン−1(3H),9’−キサンテン)3−オン、フジグリーン;スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’[9H]キサンテン]−3−オン,6’−(ジエチルアミノ)−2’−オクチルアミノ−、ODB1(ブラック);3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(代替命名法:スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’[9H]キサンテン]−3−オン,−6’(ジブチルアミノ)−3’−メチル−2’−(フェニルアミノ)−、ODB2(ブラック);2’−アニリノ−6’−(エチル(イソペンチル)アミノ)−3’−メチルスピロ(イソベンゾフラン−1(3H),9−キサンテン)3−オン、S−205(ブラック);3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3’−メチルアニリノ)フルオラン、ODB7(ブラック);ベンゼンアミン,4,4’((9−ブチル−9H−カルバゾール−3−イル)メチレン)ビス(N−メチル−N−フェニル−)、SRB(ブルー);6’−ジエチルアミノ−3’−メチル−2’−(2,4−キシリジノ)スピロ(イソベンゾフラン−1(3H),9−キサンテン)3−オン、ブラック XV;2−メチル−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−フルオラン、ETPM(レッド);スピロ(イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン)−3−オン,3’−クロロ−6’−(シクロヘキシルアミノ)、オレンジ 100;3,3’−ビス(2−メチル−1−オクチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン、レッド 1−6B;オレンジ 1−G;レッド MC30、イエロー 1−3R;及び3,3−ビス(2,2−ビス(4−(ジメチルアミノ)フェニル)エテニル)−4,5,6,7−テトラクロロ−1(3H)−イソベンゾフラノン、光学式文字認識用途(OCR)に有用な、近赤外で活性を有するグリーン/ブラック、商品名 MG1(マークスケミカルズ社)がある。
【0022】
本発明において感熱インクを使用する際に用いられる、特に好ましい発色剤は、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(代替命名法:スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]−3−オン,−6’−(ジブチルアミノ)−3’−メチル−2’−(フェニルアミノ)−、通称 ODB2として知られる、CAS番号 89331−94−2、特に、商標名 ブラック I−2R(チバ社)、ブラック T−2R(チバ社)、及びPSD 184(ニッソー社)より入手可能、である。もっとも好ましくは、この材料が該インク中で使用される唯一の発色剤である。しかしながら、所望により、一種以上の更なる発色剤を添加し得る。前記更なる発色剤は、好ましくは、発色剤の総質量に基づいて、10%未満、好ましくは5%未満、特に1%未満である。3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランは、通常製造条件下で導入される不純物を含み得る;これらは好ましくは1質量%を超えるべきでない。
【0023】
本発明で使用される感熱コーティング又はインクに使用するための好適な顕色剤としては、例えばビス−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、p−ヒドロキシベンジルフェノール、4,4’−ジスルホニルフェノール、3−ベンジルサリチル酸、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、4−ヒドロキシフェニル−4−イソプロポキシフェニルスルホン、4,4’−チオジフェノール フェノール−ホルムアルデヒド ノボラック樹脂、アルファナフトール、ビスフェノールA、ビスフェノールスルホン、ベンジル4−ヒドロキシベンゾエート、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−イソプロピルサリチル酸、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、及び3,3’−ジメチル−4,4’−チオジフェノールが挙げられる。
【0024】
感熱インクに使用するために特に好ましい顕色剤はビスフェノールAである。もっとも好ましくは、この材料は該インクにおいて使用される唯一の顕色剤である。しかしながら、所望により、一種以上のさらなる顕色剤を添加してもよい。前記さらなる顕色剤は、好ましくは顕色剤の総質量に基づいて、10%未満、好ましくは5%未満、特に1%未満の量である。ビスフェノールAは製造条件下で通常導入される不純物を含む;これらは好ましくは1質量%を超えるべきでない。
【0025】
本発明で使用される感熱コーティング又はインクに使用されるための好適な増感剤としては、例えば、ジメチルテレフタレート(DMT)、ビフェニルベンゾキシナフタレン、ジフェニルエトキシレート、4−アセチルビフェニル、ジ(イソプロピルナフタレン、パラビフェニル、及びPHNTがあげられる。感熱インクが使用される際、DMTが特に好ましい増感剤である;好ましくはDMTが存在する唯一の増感剤であるが、所望により一種以上のさらなる増感剤が存在してもよい。過度の変色を防ぐために、前記さらなる増感剤は、好ましくは増感剤の総質量に基づいて10%未満、好ましくは5%未満の量で存在する。DMTは、通常製造条件下で導入される不純物を含み得る;それらは好ましくは1質量%を超えるべきでない。
【0026】
本発明で使用される感熱コーティング又はインクは、好ましくは顔料を含む。感熱インクに含まれる顔料は、好ましくは、高表面積の吸収性顔料、例えば沈降炭酸カルシウム、シリカまたは焼成粘土である。好ましくは該インクはまた、例えば中空球形態のプラスチック顔料などの更なる顔料を含む。
【0027】
本発明で使用されるための好ましい感熱インクは、好ましくは顔料と一緒に、好ましくはワックスフリーで、発色剤、顕色剤及び増感剤としてDMTを含む。唯一の発色剤として3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを、並びに唯一の顕色剤としてビスフェノールAを含むインクは、本発明の製品の保管において最小限の変色という、特に優れた性能を与えることが見出されている。
【0028】
感熱インクは、インク前駆体を形成するために混合される個々の成分から適宜構成される。
1)発色剤及び増感剤を含み、例えば一種以上の界面活性剤、好ましくはポリビニルアルコール界面活性剤、及び所望によりさらなる界面活性剤、そして消泡剤などの成分を含んでもよい、染色システム。
2)顕色剤及び増感剤を含み、例えば一種以上の界面活性剤、好ましくはポリビニルアルコール界面活性剤、及び所望によりさらなる界面活性剤、そして消泡剤などの成分を含んでもよい、補助反応物システム。
3)好ましくは、スラリー形態の顔料分散液。
【0029】
本発明で使用されるための感熱インクは、前記成分を別個に粉砕することにより、適宜調製される。これら別個の粉砕操作は、望まない発色反応傾向を減少させ、及び無色インクビヒクルを生成する。好ましくは、各成分の粒子は、1.5μ未満、特に1.0μ未満、例えば0.25μ乃至1.0μの粒子サイズに粉砕される。該成分は続いて、所望により、例えばスリップ剤及び消泡剤などの更なる成分を含んで、一緒に混合され、慣用の方法を用いて印刷され得、粘度及びセル転送に関して、標準的なフレキソ印刷プロセスに適応するインクが形成される。固体粒子が1.5μ未満の粒子サイズを有するインクは、特に有利な結果を生み出す。
【0030】
所望により、インクに存在し得る他の添加剤は、感熱式プリンターの構造に依存して、感熱印刷ヘッドに蓄積されるのを防ぐためのスリップ剤として添加される、ステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0031】
慣用の感熱コーティングが適用される際、カレンダー中の事前反応を避けるために、これは少量のパラフィンワックスを含み得る。また、クローダミド SR(登録商標、クローダ社)などのステアリンワックスも、反応に要するエネルギーを減少させる補助増感剤として使用され得る。OBAもまた白色度の調整のために添加され得る。
【0032】
本発明は、慣用の感熱紙プリンターを用いた感熱印刷方法、並びに、所望により慣用の印刷方法により、可視的に記録された情報だけでなく、磁気的に記録された情報をも、シートに与えることを可能にする。これは、ペーパーハンドリング性並びに間接的にはコストの低下に関して、多くの状況下において、重要な有利点を提供する。本発明はそのため、磁気データ書き込み機を用いるデジタルデータの本発明の製品への書き込みを含む、デジタル磁気データの保存方法を提供する。本発明はまた、磁気データ書き込み機を用いるデジタルデータの本発明の製品への書き込みに続き、磁気データ読み取り機を用いた前記データの読み取りを含む、デジタル磁気データの読み取り方法を提供する。本発明はまた、感熱式プリンターに本発明の製品を通過させることを含む、本発明の製品に感熱印刷する方法をも提供する。
【0033】
本発明は以下の実施例によってここに説明され、全ての部及びパーセンテージは特に定めのない限り質量による。
【実施例】
【0034】
保磁力360エルステッドの磁気顔料を含む接着剤で感熱紙をベースシートに積層することによって、感熱、磁気読み取り可能な紙を実験室スケールで製造した。最上層は標準60g/m2感熱ファクスグレード紙であった。最下層は、約10gsmのカレンダー、
着色のプレコーティング(すなわち、炭酸カルシウム及びラテックス)を有する、60μmベースペーパーであった。これら2層を、最終製品において8乃至10g/m2の乾燥
磁気顔料を与える、磁気顔料インク(WL315、ピラル社)及び水溶性積層用接着剤(スーパーロック 320、ナショナルスターチ社)の3:1混合物を用いて、国際公開第03/102926号パンフレットに記載されるように、一緒に積層した。得られた感熱シートを75bpiで磁気データをエンコード及びデコードする、タリー ゲニコム(Tally Genicom) T5200 チケット プリンターで磁気エンコードすることによって試験し、ある温度範囲において “ステップ ウェッジ(step wed
ge)”サーマルイメージテスターを用いて熱イメージングし、最後に、磁気シグナルを再度Tally T5200 磁気チケットプリンター上で再読み取りした。熱イメージング並びに磁気エンコーディング及びデコーディングは正常に行われた。特に、シートを熱イメージテスターの通過によって磁気データの破損が無かったことが注目された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)バインダマトリクス中に磁気的に活性化可能な粒子を含む磁気層を間に有する、一対の積層された外層シート、
(ii)前記外層シートの一方の外面に適用され、顔料及びバインダを含む、少なくとも一層、
(iii)前記層(ii)に適用された感熱コーティング又は感熱インク、
を含む磁気的に活性化可能なシート製品。
【請求項2】
夫々の外層シートが紙製である、請求項1記載のシート製品。
【請求項3】
最終製品において、前記磁気層の外観が隠蔽されるように、夫々の外層シートが十分に不透明である、請求項1又は請求項2に記載のシート製品。
【請求項4】
前記製品の層(ii)が粘土、炭酸カルシウム、シリカ、二酸化チタン、及び/又は、中空球形態のプラスチック顔料から選択される顔料を含む、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載のシート製品。
【請求項5】
前記製品の層(ii)が固体多孔質粒子状形態の顔料を含む、請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載のシート製品。
【請求項6】
層(ii)がラテックス、デンプン又はデンプン誘導体、ポリビニルアルコール、及び/又はタンパク性物質から選択されるバインダを含む、請求項1乃至請求項5のうち何れか一項に記載のシート製品。
【請求項7】
層(ii)が、前記外層シートの一方の外面の全面に適用されている、請求項1乃至請求項6のうち何れか一項に記載のシート製品。
【請求項8】
プリンターを用いて層(ii)に適用されている層(iii)が、発色剤、顕色剤及び増感剤を含む感熱インクを含む、請求項1乃至請求項7のうち何れか一項に記載のシート製品。
【請求項9】
前記感熱インクがさらに顔料含む、請求項8記載のシート製品。
【請求項10】
前記感熱インクが増感剤としてジメチルテレフタレートを含む、請求項8又は請求項9記載のシート製品。
【請求項11】
前記感熱インクにおいて、発色剤が3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを含み、顕色剤がビスフェノールAを含む、請求項10記載のシート製品。
【請求項12】
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランが存在する唯一の発色剤であり、ビスフェノールAが存在する唯一の顕色剤である、請求項11記載のシート製品。
【請求項13】
前記磁気層が、二酸化クロム、酸化鉄、多結晶性ニッケル−コバルト合金、コバルト−クロム又はコバルト−サマリウム合金、及び/又はバリウム−フェライトを含む、請求項1乃至請求項12のうち何れか一項に記載のシート製品。
【請求項14】
前記磁気層が、ポリビニルアルコール、ラテックス、デンプン及び/又はタンパク性バインダから選択されるバインダを含む、請求項1乃至請求項13のうち何れか一項に記載のシート製品。
【請求項15】
前記外層シートの一方又は双方が、内面に顔料/バインダコートを保持する、請求項1乃至請求項14のうち何れか一項に記載のシート製品。
【請求項16】
最終製品において、磁気層の外観が隠蔽されるように、前記外層シートが十分に不透明である、請求項1乃至請求項15のうち何れか一項に記載のシート製品。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のうち何れか一項に記載の製品へデジタルデータを書き込むことを含む、デジタル磁気データの保存方法。
【請求項18】
磁気データ書き込み機を使用して、請求項1乃至請求項16のうち何れか一項に記載の製品へデジタルデータを書き込むこと、続いて磁気データ読み取り機を用いて前記データを読み取ることを含む、デジタル磁気データの読み取り方法。
【請求項19】
請求項1乃至請求項16のうち何れか一項に記載の製品を感熱式プリンターに通過させることを含む、前記製品の感熱印刷方法。

【公表番号】特表2008−516816(P2008−516816A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537372(P2007−537372)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004003
【国際公開番号】WO2006/043044
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(507128816)アルジョ ウィギンス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】