説明

感熱粘着ラベル

【課題】 特にアクリルエマルジョンと粘着付与剤を含む粘着剤の粘着力を調整し得る感熱粘着ラベルを提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくとも支持体の一方に、ロイコ染料と顕色剤とを含有する感熱発色層を形成し、他方に、感圧性粘着剤層を設けてなる感熱粘着ラベルにおいて、感圧性粘着剤層を形成する粘着剤中にシリコーンゴムフィラー、もしくはフッ素ゴムフィラーもしくはその両方を含有することを特徴とする感熱粘着ラベル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録を利用した粘着ラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでに、アクリル系ベースポリマーに対して粘着付与剤を混合してポリオレフィン被着体に対する粘着力の向上を図った粘着ラベルが知られている(特許文献1 特開昭63−256672号公報、特許文献2 特開平5−311137号公報、特許文献3 特開2000−10485号公報)。
これら従来技術では、粘着付与剤のエマルジョンとアクリル系感圧粘着剤を混合することでポリオレフィンに対する粘着力向上を図っている。また配合比を調節することにより比較的容易に粘着力の調整が可能である。しかしこの方式はアクリル系感圧粘着剤と粘着付与剤をそれぞれ単独で乳化重合する必要があり、その際多量の乳化剤が必要となる。感熱ラベルの場合、粘着剤の乳化剤量が多いと乳化剤が支持体を通過して感熱発色層の発色成分と接触し印字画像の劣化を引き起こす問題があった。
【0003】
この問題に対し、特許文献4(特開平2002−200754号公報)では、ベースポリマーと粘着付与剤を同時に重合して必要な乳化剤量を低減することで、強力な粘着力と感熱ラベルの保存品質を両立することが可能となった。しかしこの方法はポリマーの仕込み時に粘着力が決定されてしまうため、一旦粘着剤を大量に製造してしまうと、必要に応じて粘着力を調整することが困難である。
【0004】
一般に粘着剤の粘着力を調整する方法として粘着性アクリル粒子を添加したり、無機フィラーを添加する方法が知られているが、感熱ラベルの場合これら硬質な粒子を粘着剤に添加するとサーマルヘッドとの接触が不均一化し、画像抜けや筋の発生等、画像均一性が劣化する場合が多い。このため画像劣化を生じさせないで粘着力を調整する方法が研究されてきた。
【特許文献1】特開昭63−256672号公報
【特許文献2】特開平5−311137号公報
【特許文献3】特開2000−10485号公報
【特許文献4】特開平2002−200754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の問題を解消し、特にアクリルエマルジョンと粘着付与剤を含む粘着剤の粘着力を調整し得る感熱粘着ラベルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために、粘着剤に添加するフィラーに着目して鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明によれば、
第1に、支持体の一方に、ロイコ染料と顕色剤とを含有する感熱発色層を形成し、他方に、感圧性粘着剤層を設けてなる感熱粘着ラベルにおいて、粘着剤層を形成する粘着剤中にシリコーンゴムフィラー、もしくはフッ素ゴムフィラーを含有することを特徴とする感熱粘着ラベルが提供される。
【0007】
この第1の発明には、該感圧粘着剤が粘着付与剤の存在下に乳化重合してえられたアクリルエマルジョン型ポリマーである粘着ラベル、該ゴムフィラーの量が粘着剤の3重量%から50重量%である粘着ラベル、該ゴムフィラーの粒径が1μmから20μmである粘着ラベル、粘着付与剤が、ロジン系粘着付与剤及び/又は石油樹脂系粘着付与剤である粘着ラベル、該支持体と該感熱発色層との間に、断熱層を形成したものである粘着ラベル、該断熱層が熱可塑性樹脂を殻とする中空度30%以上の微小中空粒子を主成分としてなる非発泡性断熱層である粘着ラベル及び該支持体と該感圧性粘着剤層との間に水溶性高分子物質を含有したバック層を形成したものである粘着ラベルが含まれる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粘着剤中にフィラーとして特にシリコーンゴムフィラー、及び/またはフッ素ゴムフィラーを選択し、その含有量を調整することにより、画像品質を低下させることなく、容易にさまざまな粘着力を有する粘着ラベルが提供され、感熱記録又は熱転写記録を利用した記録用粘着紙分野に寄与するところはきわめて大きいものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で使用するアクリルエマルジョンは、ビニルエステル及び(メタ)アクリル酸エステルのエステル基含有単量体を主成分とするエマルジョン中に、粘着付与剤及び乳化剤を混合し、乳化剤及び重合触媒の存在下で乳化重合して得られるが、これに限定されるものではない。
本発明に使用し得る粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、純モノマー共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、キシレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂、エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂が最も好ましい。これらは、1種又は2種以上組合わせて使用される。
【0010】
ロジン系樹脂としては、生ロジン、水添ロジン、水添ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジネステル、重合ロジンエステル、ポリテルペン系樹脂としては、α−ピネン樹脂、β−ピネン系樹脂、ジペンテン系樹脂、テルペン−フェーノール樹脂、脂肪族系石油樹脂としては、ハイレッツ(三井石油化学製)、クイントン(日本ゼオン製)、タッキロール(住友化学製)、エステコレッツ1000(エッソ化学製)、芳香族系石油樹脂としては、ネオポリマーS(日本合成樹脂製)、ペトロジン(三井石油化学製)、ペトライト(乗洋ソーダ製)、純モノマー共重合系石油樹脂としては、ハイレジン(東邦石油化学製)、タックエース(三井石油化学製)、エステコレッツ200(エッソ化学製)、脂環系石油樹脂としては、アルコン(荒川化学製)、エステコレッツ(エッソ化学製)、ポリアミド系樹脂としては、トーマイド(富士化成工業)、エポキシ樹脂としては、エピコート(シェル化学製)、エポミック(三井石油化エポキシ製)、エポトート(東都化成等〕、エラストマーとしては、天然ゴム、インプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンソープダジョンブロックポリマー、スチレン−イソプレンブロックポリマーエチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー等が挙げられる。
【0011】
本発明で使用する乳化剤としては、乳化重合用の公知のものであればよく、上記シードエマルジョンの製造(乳化重合)には、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルアルキルスルホコハク酸ナトリウムン等のアニオン型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等の非イオン系界面活性剤、両性型界面活性剤、部分鹸化又は完全鹸化のポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子物質からなる保護コロイドの1種又は2種以上が使用される。上記のプレエマルジョン(第2段目の重合)に使用される乳化剤としては、主として、上記の非イオン型界面活性剤、アニオン型界面活性剤又は上記両者を組合せて使用される。
【0012】
重合触媒としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、等の親水性触媒や個酸化物と還元剤との組合せからなるレドックス、触媒系等が使用される。また、必要に応じて、四塩化炭素、アルキルメルカプタン等の重合連鎖移動剤やPH調整剤等を併用してもよい。
【0013】
本発明においては、上記のエステル基含有単量体からなる単独重合体、共重合体、又はエステル基含有単量体の少なくとも一つを主成分とし、これとエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン性不飽和カルボン酸、架橋性単量体、(α−メチル)スチレン、N−アルキル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロニトリルの群から選択された共重合可能な単量体の少なくとも一つとからなる共重合体等が好ましい。上記共重合体の中でも、エチレン性不飽和カルボン酸及び/又は架橋性単量体を共重合成分としてなる上記の共重含体が最も好ましい。
【0014】
上記のビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル(以下、VACと略記)プロピオン酸ビニル(以下、VPと略記)、ペオパ(シエルケミカル社の商標名、バーサチック酸のビニルエステル)3級ノナン酸ビニル(以下、3NVと略記)、ステアリン酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、安息香酸ビニル等を挙げることができ、1種又は2種以上を組合せて使用される。
【0015】
上記の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、イソノニル、ラウリル、ステアリル等(アルキル基の炭素数が1〜18)のアルキルエステル、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族アルコールの(メタ)アクリレート等を挙げることができ、それらの1種又は2種以上組合せて使用される。上記のエチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸(無水マレイン酸)、アルキル基の炭素数が1〜12のモノアルキルマレート、ヒドロキシエチル(プロピル)モノマレート、モノフタレート、イタコン酸のモノアルキル(炭素数1〜12)エステル基が挙げられ、1種又は2種以上を組合せて使用される。
【0016】
上記の架橋性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸の2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピルエステル、3−ヒドロキシエチルエステル、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等の−CONH2基やメチロール基を有する単量体、ジビニルベンゼン、ジビニルシラン、ジアリルフタレート、シクロペンタジエン、メチレンビスアクリルアミド、ジアリルマレート、テトラアリルオキシエタン等のエチレン性不飽和結合を2個以上有する単量体を挙げることができる。架橋性単量体も、1種又は2種以上を組合せて使用される。
【0017】
上記のN−アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−ターシャリーブチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル基の炭素数が4〜12のものが挙げられる。
【0018】
本発明で使用されるゴムフィラーは、球状、楕円球状、もしくは不定形状に造粒された粒子であるが、あらかじめ水もしくは溶剤に分散されたものでもかまわない。このようなゴムフィラーとして挙げられるものとしては、シリコーンゴムフィラーとしてトレフィルE−500,E−600,等(東レダウコーニング社製)、KMP597,KMP598,KMP534,KMP594(信越シリコーン社製)等が、水分散タイプとしてはBY−29−119等(東レダウコーニング社製)、X−52−875(信越シリコーン社製)等などが挙げられる。フッ素ゴムフィラーとしてはバイトンE−45(デュポン社製)、フッ素ゴム水性ディスパージョン(ダイキン製)等が挙げられる。
【0019】
これらを直接使用するか、もしくは粒径を調整するために必要に応じて水や溶剤で再度分散処理した後用いる。フィラーの材質がシリコーンゴム、あるいはフッ素ゴムであればこれらに限定されるものではない。フィラーの材質として天然ゴム、SBR等の材質のゴムパウダーを使用すると、粘着剤との接着力が大きく、粘着剤層の見かけの凝集力を下げる効果が少ないため、粘着力を下げるために多量のフィラーを添加せねばならず非経済的である。またエマルジョン中の乳化剤による膨潤が発生したり酸化劣化による影響が大きく、エマルジョンの破壊による液劣化が生じる場合がある。
【0020】
本発明において用いられるゴム粒子は、粘着剤層中に添加されることによって粘着剤の被着体への接触面積を減少させるとともに、印字中にはサーマルヘッドと記録体表面との密着性を妨げることなく、そのため添加量にかかわらず良好な画質が得られる。但しその粒径は粘着剤の長期接着性に対し重要な因子であり、粘着剤層の厚さ(通常3〜40μm、好ましくは8〜20μm)に対してあまりに粒子径が大きくなってくると、初期粘着時に弾性変形していた粒子が復元力により自然剥離を促すため、ラベルの浮きやはがれが発生する。このため粒子径としては1〜20μmが好ましく、特に好ましくは、2〜5μmである。
【0021】
また、その添加量に関しても、添加量が多くなるにつれ粘着力は小さくなるが、あまりにも多くなりすぎると、粘着剤の見かけの凝集力が小さくなりすぎるため、やはりラベルの浮きやはがれが発生する。また添加量を多くしていくと、粘着剤の凝集力の低下から被着体への糊残りが多くなり、ラベルを糊残り無くきれいにはがしたい場合は支障が出る。このため添加量は粘着剤の約30%以下が望ましい。但し改ざん防止を目的とし糊残りを促進したい場合はこの限りではない。
【0022】
本発明の断熱層に用いられる熱可塑性樹脂を殻としてなる中空度30%以上の微小中空粒子は、内部に空気、その他の気体を含有するもので、既に発泡状態になっている微小中空粒子である。この平均粒子径は、2.0〜20μmのものが使用できるが、3〜10μmのものがより好ましい。この平均粒子径(粒子外径)が2.0μmよりも小さいものは、任意の中空度にするのが難しい等の生産上の問題があり、逆に20μmより大きいものは、塗布乾燥後の表面の平滑性が低下するため、サーマルヘッドとの密着性が低下し、ドット再現性が悪くなると共に、感度向上の効果が低下する。したがって、このような粒子分布は、粒子径が上記範囲にあると同時に、バラツキの少ない分布スペクトラムの均一なものが望ましい。
【0023】
さらに、本発明において用いるプラスチック球状中空粒子は、中空度が30%以上のものが使用できるが、50%以上のものがより好ましい。中空度が30%未満のものは、断熱性が不十分なため、サーマルヘッドから熱エネルギーが支持体を通じて感熱記録材料の外へ放出され、発色感度向上がなされず、また、熱媒体からの熱エネルギーの断熱効果が少なく、感熱性粘着剤の活性化の効果が劣り、粘着性の発現が弱まる。
ここでいう中空度とは、中空粒子の外径と内径との比であり、次式で表されるものである。
【0024】
【数1】

【0025】
そして、本発明で用いる微小中空粒子は、上記したように、熱可塑性樹脂を殻とするものであるが、該樹脂としては、特に塩化ビニリデンとアクリルニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
また、本発明の断熱層に用いられるポーラスな顔料としては、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の有機顔料やシラス土等の無機顔料等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0026】
本発明の非発泡性断熱層を設けるには、上記の微小中空粒子やポーラスな顔料を公知の水溶性高分子物質、水性高分子エマルジョン等のバインダーと共に水に分散し、これを支持体上に塗布し、乾燥することによって得られる。この場合、微小中空粒子の塗布量は、支持体1m2当たり少なくとも1g、好ましくは2〜15g程度であり、また、バインダー樹脂の塗布量は、中間層を支持体に強く結合させるような量であればよく、通常は、微小中空粒子とバインダー樹脂との合計量に対して2〜50重量%である。
【0027】
本発明において、上記非発泡性断熱層を形成する際に使用されるバインダーとしては、従来公知の水溶性高分子物質及び/又は水性高分子エマルジョンから適宜、選択される。その具体例としては、水溶性高分子物質としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メククリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。また、水性高分子エマルジョンとしては、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックスや酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂のエマルジョン等が挙げられる。
【0028】
また、本発明において用いる発泡性フィラーは、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に低沸点溶媒の発泡剤を含有する中空伏のプラスチックフィラーであり、加熱により発泡するものである。このような発泡プラスチックフィラーは公知であり、種々のものが使用されるが、その粒子直径に関しては、未発泡の状態の場合、2〜50μm、好ましくは5〜20μmであり、発泡状態では、10〜100μm、好ましくは10〜50μmである。このプラスチックフィラーの殻となる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン又は、それらの共重合体が挙げられる。また、殻内に含まれる発泡剤としては、プロパンやブタン等が用いられる。
【0029】
支持体上に発泡層を設けるには、上記した発泡性プラスチックフィラーを、結着剤と共に支持体上に塗布乾燥した後、その塗布面に熱板を密着させ、プラスチックフィラーを加熱発泡させればよい。プラスチックフィラーの塗布量は、支持体1m2に対し、未発泡フィラーとして、少なくとも1g、好ましくは2〜5g程度である。また、結着剤の使用量は、発泡層を支持体に対し、強く結着させるような量であればよく、通常は、未発泡フィラーと結着剤の合計量に対し、5〜50重量%である。また、加熱発泡温度は、フィラーの殻を構成する熱可塑性樹脂を軟化させる温度である。発泡倍率は、通帯2〜4倍、好ましくは2〜3倍程度であり、所期の発泡を達成するように適宜、選択される。
【0030】
このように、支持体上に形成された発泡層の表面は、かなりの凹凸が生じているために、発泡層形成後(加熱発泡後)、キャレンダー処理により表面を平滑にすることが好ましく、また、必要に応じて、発泡層の表面のみ又は表面及び下面に1層又は複数層のアンダーコート層を設けることもできる。
なお、本発明の断熱層においては、上記微小中空粒子、ポーラスな顔料又は発泡性フィラー及びバインダーと共に、必要に応じて、さらにこの種の感熱記録材料に使用される補助添加成分、例えば、熱可融性物質、界面活性剤等を併用することができる。この場合、熱可融性物質の具体例としては、後記の感熱記録層成分との関連で示される各種のものが挙げられる。
【0031】
本発明の感熱発色層において用いるロイコ染料は、単独又は2種以上を混合して使用されるが、このようなロイコ染料としては、この種の感熱材料に使用されているものが任意に使用され、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチジアン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられる。
【0032】
このようなロイコ染料の具体例としては、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−718−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−〔N−3’−トリフルオルメチルフェニル)アミノ〕−6−ジエチルアミノフルオラン、2−〔3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム〕、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−〔m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N,n−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−クロルフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−・3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロル−5・−メチルフェニル)フタリド、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−m−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(o−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソプロピル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4)−ジメチルアニリノ)フルオラン等を挙げることができる。
【0033】
また、本発明の感熱発色層で用いる顕色剤としては、上記ロイコ染料を接触時発色させる電子受容性の種々の化合物又は酸化剤等が使用される。このようなものは公知であり、その具体倒としては、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−イソプロビリデンビス−(o−メチルフェノール)、4,4’−セカンダリーブチリデンビスフェノール、4,4−インプロビリデンビス(2−ターシャリーブチルフェノール)、p−ニトロ安息香酸亜鉛、1,3,5−トリス(4−ターシャリーブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、2,2−(3,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)3,5’−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ〕−5−オキサペンタン、フタル酸モノベンジルエステルモノカルシウム塩、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(6−ターシャリーブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジフェノールスルホキシド、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルプロトカテキュ酸ベンジル、没食子酸ネテアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)プロパン、N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4’−ジフェノールスルホン、2,21−ジアリル−4,4’−ジフェノールスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルジフェニルスルホン、1−アセチルオキシ−2−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−1−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸亜鉛、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエン、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4’−チオビス(2−メチルフェノール)、4,4−チオビス(2−クロロフェノール)等を挙げることができる。
【0034】
本発明における感熱記録媒体では、顕色剤の使用量は、発色剤1部に対して1〜20部、好ましくは2〜10部である。顕色剤は単独又は2種以上混合して使用することができ、発色剤についても同様に、単独又は2種以上混合して使用することができる。
感熱記録層に用いるバインダー樹脂として好ましいものは、分子内に水酸基又はカルボキシル基を有する樹脂である。このような樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール等のポリビニルアセタール類、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用される。
【0035】
本発明では、感熱記録層上に保護層を設けることもできる。この保護層は、記録煤体の透明性、耐薬品性、耐水性、耐磨耗性、耐光性及びサーマルヘッドに対するヘッドマッチング性の向上のため本発明の構成要素として重要である。保設層には、水溶性樹脂や疎水性樹脂を主体として形成された皮膜や、紫外線硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂を主体として形成された皮膜等が包含される。
【0036】
このような樹脂としては、水溶性樹脂の外、水性エマルジョン、疎水性樹脂及び紫外線硬化性樹脂、さらに電子線硬化性樹脂が包含される。水溶性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体(メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシセルロース等)、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スチレンー無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、酸性ポリアクリルアミド、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。水性エマルジョン用の樹脂又は疎水性樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエシ共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチルセルロース、エチレン/酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。また、これらの樹脂とシリコンセグメントとの共重合体も好ましく用いられる。これらは単独又は混合して使用され、さらに必要に応じて、硬化剤を添加して樹脂を硬化させてもよい。
【0037】
紫外線硬化性樹脂は、紫外線照射によって重合反応を起こし硬化して樹脂となるモノマー、オリゴマー又はプレポリマーであれば、その種類は特に限定されず、公知の種々のものが使用できる。電子線硬化性樹脂も、特に種類は限定されないが、特に好ましい電子線硬化性樹脂としては、ポリエステルを骨格とする5官能以上の分枝状分子構造を有する電子線硬化性樹脂及びシリコン変性電子線硬化性樹脂を主成分としたものである。
【0038】
保護層には、ヘッドマッチングの向上のために無機及び有機フィラーや滑性剤を表面の平滑性を落さない範囲で添加することができる。このフィラーの粒径としては0.3μm以下が好ましい。この場合の顔料としては、給油量30ml/100g以上、好ましくは80ml/100g以上のものが選択させる。これらの無機又は/及び有機顔料としては、この種の感熱記録媒体に慣用される顔料中の1種又は2種以上を選択することができる。
【0039】
その具体例としては、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機顔料の外、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機顔料を挙げることができる。保護層の塗工方式は特に制限はなく、公知の方法により塗工することができる。好ましい保護層厚は0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmである。保護層厚が薄すぎると、記録媒体の保存性やヘッドマッチング等の保設層としての機能が不充分であり、厚すぎると、記録媒体の熱感度が低下し、また、コスト的にも不利となる。
【0040】
なお、本発明により感熱記録材料を得る場合には、ロイコ染料、顕色剤と共に、必要に応じてこの種の感熱記録材料に慣用される添加成分、例えば、填料、界面活性剤、滑剤、圧力発色防止剤等を記録媒体の発色性を損なわない範囲で併用することができる。この場合填料としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、カオリン、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の外、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の有機系の微粉末を挙げることができ、滑剤としては、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、植物性、鉱物性又は石油系の各種ワックス類等が挙げられる。
【0041】
本発明の粘着ラベルには、支持体と感圧性粘着剤との間に粘着剤が支持体を浸透し、発色成分との接触を防止する目的のために、バリヤー層を設けることができる。このバリヤー層で用いる樹脂は、SBR、MBR、NBR等のラテックス及びポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉及びその誘導体、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸及びその誘導体、スチレン/アクリル酸共重合体及びその誘導体、ポリ(メタ)アクリルアミド及びそれらの誘導体、スチレン/アクリル酸/アクリルアミド共重合体、アミノ基変性ポリビニルアルコール、エポキシ変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体及びその誘導体の水溶性高分子樹脂等を挙げることができる。
【0042】
また、前記バリヤー層には、フィラーを含有させることができ、このフィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の外、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末を挙げることができる。
【0043】
本発明で使用する支持体としては、特に限定されず、紙以外にも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム又はこれらを貼り合わせたフィルム等を使用することができる。
【0044】
剥離紙としては、グラシン紙等の高度原紙、クレーコート紙、クラフト紙又は上質紙等の原紙に、例えば、カゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の天然又は合成の樹脂単独又は、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、焼成クレー(焼成カオリン)、酸化チタン、シリカ等の無機顔料やプラスチックピグメント等の有機顔料と併用した目止め層を設けた基材、クラフト紙又は上質紙等にポリエチレン等の合成樹脂をラミネートしたポリラミ紙等に、溶剤型又は無溶剤型のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等を乾燥重量が0.05〜3g/m2程度になるように塗布後、熱硬化や電子線又は紫外線硬化等によって剥離剤層を形成したものが適宜、使用される。なお、剥離剤を塗布する装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、バーコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、エアーナイフコーター、多段ロールコーター等が適宜、使用される。
【0045】
粘着剤の塗布方法としては、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、スロットダイコーター等が使用され、その塗布量は、乾燥重量で5〜50g/m2程度の範囲で調節される。粘着剤は剥離紙の剥離剤面に塗工してもよく、感熱記録体の裏面(感熱記録層の反対面)に塗工してもよい。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これら実施例によって本発明はなんら限定されるものではない。なお、「部」、「%」は、重量基準である。
実施例1
(A液)
3−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 20部
ポリビニルアルコール10%水溶液 20部
水 60部
(B液)
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン 10部
ポリビニルアルコール10%水溶液 25部
炭酸カルシウム 15部
水 50部
上記組成からなる混合物を、それぞれ平均粒径が2.0μm以下となるようにサンドミルを用いて分散して、(A液)及び(B液)を調製した。次に、(A液)と(B液)の重量比が(A液):(B液)=1:8となるように混合攪拌して、感熱塗液(C液)を得た。
(D液)
微小中空粒子分散体
(固形分32%、平均粒子径5μm、中空度92%) 30部
(塩化ビニリデン−アクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂)
スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス(固形分47.5%) 1.5部
水 60部
上記組成からなる(D液)を攪拌分散して、非発泡性断熱層液を調製し、これを上質紙の表面に、乾燥後重量が5g/m2となるように塗布乾燥して、非発泡性断熱層塗布済紙を得た。上記非発泡性断熱層塗布済紙を用いて、その層上に、(C液)を塗布乾燥後重量が5g/m2となるように塗布乾燥して、さらにべック平滑度が60〜700秒になるようにスーパーキャレンダー処理して、感熱発色層塗布済紙を得た。
【0047】
(感圧性粘着剤の製造)
(1)シードエマルジョンの製造
酢酸ビニル(VAC)30部、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)68部、アクリル酸(AA)2部及びN−メチルアクリルアミド(N−MAM)0.3部からなるモノマー混合物を、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、ポリオキシンエチレンノニルフェニルエーテル(HLB:約10)1部及び酢酸ナトリウム0.3がイオン交換水30部に溶解している乳化剤水溶液の中に添加、攪拌し、プレエマルジョンを作製した。
一方、攪拌機、温度計及び冷却筒を備えた反応容器の中にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB:約10)1部及び過硫酸カリウム0.3部が溶解している水溶液を仕込み、その後、系内に窒素ガスを流しかつ攪拌しながら内温を75℃に昇温し、前記プレエマルジョンの5%量を添加して、30分間重合(初期重合)を行ない、次いで残りの90%量を4時間にわたって滴下して重合を行なった。
この間、内温を75〜80℃に保った。滴下終了後、更に2時間内温を80℃に保持して後期重合を行なった。得られた前記のエマルジョンの固形分濃度は50.1%、粘度は100cps、PHは3.0平均粒子径は0.23μ、該共重合体のTgは計算値で229゜Kであった。以上の操作によりVAC−2EHA−AA−N−MAM共重合体エマルジョン(シードエマルジョン)を得た。
【0048】
(2)粘着付与剤(TR)−共存型共重合体エマルジョンの製造
メタアクリル酸(MA)30部、2EHA58部及びAA2部からなるモノマー混合物(共重合体のTgは228°K)に、スーパーエステルA−100(TR)10部を予め溶解した溶液(粘着付与剤モノマー溶液)を、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB:約10)1部及び、酢酸ナトリウム0.4部が溶解している乳化剤水溶液とを攪拌下に混合して乳化し、TR−モノマープレエマルジョンを調製した。次に上記のVAC−2EHA−AA−N−MAM共重合体エマルジョン(シードエマルジョン)20部とイオン交換水18部を仕込み、攪拌下に、系内に窒素カスに流しながら昇温し、75%℃に保持して、上記TR−モノマープレエマルジョンと過硫酸カリウム0.3部がイオン交換水7部に溶解している触媒水溶液を、4時間にわたって滴下して、重合反応を行なった。さらに、この共重合体エマルジョンを25%アンモニア水で中和した後、増粘剤を配合して、粘度を4000cpsに調製して、感圧性粘着剤(E液)を得た。
【0049】
感圧性粘着剤(E液 50%) 10部
シリコーンゴムフィラー
(BY−29−119) 35% 3部
上記の配合比で混合し、F液を得た。
次に、グラシン紙ベースのシリコーン剥離紙(リンテック製剥離紙)に、上記感圧性粘着剤(F液)を乾燥後の重量が20g/m2となるようにワイヤーバーで塗布乾燥し、さらに上記感熱発色層塗布済み紙を貼り合わせ、24時間、常温マニキュア後、粘着ラベルを得た。
【0050】
実施例2
実施例1において
感圧性粘着剤(E液 50%) 5部
シリコーンゴムフィラー
(BY−29−119) 35% 5部
とした以外は同様にして粘着ラベルを得た。
【0051】
実施例3
実施例1におけるシリコーンゴムフィラー(BY29−119)の代わりにトレフィルE−604を使用した以外は同様にして粘着ラベルを得た。
【0052】
実施例4
実施例1における感熱発色層において、断熱層を取り除いた以外は、実施例1と同様にして粘着ラベルを得た。
【0053】
実施例5
実施例1において、支持体の裏面に下記バック層(乾燥後重量が3g/m2)を設けた以外は、実施例1と同様にして粘着ラベルを得た。
<バック層液>
水酸化アルミニウム 1.0部
10%ポリビニルアルコール 10.0部
水 9.0部
【0054】
比較例1
実施例4において、粘着剤合成の際粘着付与剤モノマー溶液を使用せず、かつシリコーンゴムフィラー(BY−29−119)を除いた以外は、実施例1と同様にして粘着ラベルを得た。
【0055】
比較例2
実施例2において、シリコーンゴムフィラー(BY−29−119)の代わりにSBRゴムフィラーを用いた以外は、実施例1と同様にして粘着ラベルを得た。
このようにして得られた粘着ラベルについて下記の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0056】
(評価)
<SUS板に対する粘着力>
粘着ラベルのSUS板への粘着力を180°剥離試験で評価した。
温度 20℃
剥離速度 300mm/min
ラベル幅 25mm
<体積平均粒子径>
粘着剤の粒径を粒度分布計Capa 700(堀場製作所)にて測定した。
<糊残り>
SUS板に粘着し、はがした後の糊残りを目視で評価した。
<印字濃度>
松下電子部品(株)製の、薄膜ヘッドを有する感熱印字実験装置にてヘッド電力0.6w/dot、1ライン記録時聞10msec/1ライン、走査線密度8×7.7dot/mm条件下で、パルス幅0.4msec、0.5msecで印字し、その印字濃度をマクベス濃度計RD−914で測定した。
<ラベル浮き>
ポリエチレン瓶にラベルを粘着し、1ヶ月保存後、ラベルの浮きを目視評価した。
<1ヶ月後濃度>
上記動的発色濃度で0.5msで得られた画像を、40℃−90%RHの条件下で1ヶ月保存し、濃度を測定した。
【0057】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも支持体の一方に、ロイコ染料と顕色剤とを含有する感熱発色層を形成し、他方に、感圧性粘着剤層を設けてなる感熱粘着ラベルにおいて、感圧性粘着剤層を形成する粘着剤中にシリコーンゴムフィラー、もしくはフッ素ゴムフィラーもしくはその両方を含有することを特徴とする感熱粘着ラベル。
【請求項2】
該感圧性粘着剤が粘着付与剤の存在下に乳化重合してえられたアクリルエマルジョン型ポリマーであることを特徴とする請求項1記載の感熱粘着ラベル。
【請求項3】
該ゴムフィラーの量が粘着剤の3重量%から30重量%であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の感熱粘着ラベル。
【請求項4】
該ゴムフィラーの粒径が1μmから20μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱粘着ラベル。
【請求項5】
粘着剤中に、ロジン系粘着付与剤及び/又は石油樹脂系粘着付与剤をアクリルエマルジョン型ポリマーに対し、3〜30重量%含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱粘着ラベル。
【請求項6】
該支持体と該感熱発色層との間に、断熱層を形成したものである請求項1〜5のいずれかに記載の感熱粘着ラベル。
【請求項7】
該断熱層が、熱可塑性樹脂を殻とする中空度30%以上の微小中空粒子を主成分としてなる非発泡性断熱層である請求項6に記載の感熱粘着ラベル。
【請求項8】
該支持体と該感圧性粘着剤層との間に、水溶性高分子物質を含有したバック層を形成したものである請求項1〜7のいずれかに記載の感熱粘着ラベル。

【公開番号】特開2006−82377(P2006−82377A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269240(P2004−269240)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】