説明

感電防止装置、及び感電防止装置を備える電源箱

【課題】構造が簡単であり、誤操作、誤認による感電を防止することが可能な電源箱の感電防止装置を提供する。また既設の電源箱にも装着可能な感電防止装置、及びこれを使用した電源箱を提供する。
【解決手段】筐体21内に遮断器22、配線接続端子27、及び開閉可能な配線接続端子の感電防止カバー40を備える電源箱20の該感電防止カバーの開閉を制限し、感電を防止する感電防止装置10であって、該遮断器22のレバー24に着脱可能に装着され、該レバー24の入り切りに連動して動く連結体11、12と、該連結体11、12に固着され該レバー24の入り切りに連動して動き、該感電防止カバー40の開閉を制限する開閉制限体13と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源箱内に設けられる配線接続端子の感電防止カバーの開閉、又は着脱を制限し、感電を防止する感電防止装置、及びこれを備える電源箱に関する。
【背景技術】
【0002】
現場の作業等に必要な機器や工具に、電源を供給するために作業現場に設置する作業用電源箱は、あるいは工場等で電源を供給するために電源箱、電源盤は、日常的によく使用されている。図9は、従来から使用されている電源箱1の斜視図の一部である。
【0003】
電源箱1は、電源を入り切りする遮断器2、機器や工具に電源を供給するための電線接続部3を有し、これらは筐体4に収納されている。筐体4の前面には、雨水が入り込むことを防止するための開閉扉が設けられることが多い。遮断器2は前面に電源を入り切りするためのレバー5を有し、レバーを上下することで、電源を入り切りすることができる。接続部3は、電気的絶縁性の材料からなる板状体6と、板状体6に設けられた配線接続端子7と、を含み構成される。配線接続端子7の前面には、配線接続端子7へ接触し感電することを防止する感電防止カバー8が設けられている。感電防止カバー8は、配線接続端子7を視認可能なように透明な材料で形成されることが多く、一端にヒンジ9を有し、ヒンジ9を中心に水平方向に回動可能である。
【0004】
工具や機器を接続する場合は、遮断器2を切りとした後、感電防止カバー8を開け、配線接続端子7に工具や機器の電気コードを接続する。工具や機器の電気コードを配線接続端子7に接続した後、感電防止カバー8を閉め、遮断器2を入りとした後、工具や機器を使用する。工具や機器の電気コードを配線接続端子7から取り外す場合には、遮断器2を切りとした後、感電防止カバー8を開け、配線接続端子7に接続した工具や機器の電気コードを取り外す。
【0005】
以上のように、電源箱1には、配線接続端子7へ接触し感電することを防止するための感電防止カバー8が設けられている。工具や機器の電気コードを配線接続端子7に接続、又は取り外す場合に、遮断器2を切りとすることで感電を防止することができるが、誤認又は誤操作により、遮断器2が入りの状態で感電防止カバー8を開け配線接続端子7に接触し、感電事故が発生する場合もある。
【0006】
感電を防止する技術として、装置筐体の開口部に外部から着脱可能な部材と、その部材近傍に取付けられる遮断器を有し、部材を装置筐体から取り外すときには、その部材が遮断器のレバーに接触しレバーを押し下げ、遮断器が切りとなる技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。また、変電設備等に用いられる断路器において、断路器を断路したとき、入力端子部を覆う安全カバーが設けられ、感電を防止する技術が開示されている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−116532号公報
【特許文献2】特開平10−144184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術は、部材を装置筐体から取り外すときには、部材が遮断器のレバーに接触しレバーを押し下げ、遮断器が切りとなる技術であり、電源箱、電源盤の配線接続端子の感電防止に適用可能な技術ではない。同様に特許文献2に記載の技術も、電源箱、電源盤の配線接続端子の感電防止に適用可能な技術ではない。
【0008】
以上のように、遮断器及び配線接続端子を有する電源箱、電源盤の誤認、誤操作による感電を防止する技術は、開発、開示されておらず、電源が入りの状態では、配線接続端子に接触することができない構造を有する電源箱、電源盤の開発が待たれている。また、配線接続端子への接触による感電を確実に防止することが可能で、既設の電源箱、電源盤にも取付け可能な感電防止装置の開発も待たれているところである。
【0009】
本発明の目的は、構造が簡単であり、誤操作、誤認による感電を防止することが可能な
電源箱の感電防止装置を提供することにある。また既設の電源箱にも装着可能な感電防止装置、及びこれを使用した電源箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、筐体内に遮断器、配線接続端子、及び開閉可能な配線接続端子の感電防止カバーを備える電源箱の該感電防止カバーの開閉を制限し、感電を防止する感電防止装置であって、
該遮断器のレバーに着脱可能に装着され、該レバーの入り切りに連動して動く連結体と、
該連結体に固着され該レバーの入り切りに連動して動き、該感電防止カバーの開閉を制限する開閉制限体と、
を含むことを特徴とする感電防止装置である。
【0011】
また本発明で、前記開閉可能な配線接続端子の感電防止カバーは、一辺を中心に回動し、
前記開閉制限体は、前記遮断器が入りのときには、前記感電防止カバーが回動する範囲内に位置し、前記感電防止カバーの回動を阻止し、
前記開閉制限体は、前記遮断器が切りのときには、前記感電防止カバーが回動する範囲外に位置し、前記感電防止カバーの回動を阻止しないことを特徴とする請求項1に記載の感電防止装置である。
【0012】
また本発明で、前記開閉可能な配線接続端子の感電防止カバーは、板状体であり、一端部にヒンジを有し、該ヒンジを中心に水平方向に回動し、
前記開閉制限体は、前記遮断器が入りのときは、前記感電防止カバーと僅かな隙間を有し、前記感電防止カバーの回動方向であって、前記感電防止カバーの前面に位置し、前記感電防止カバーの回動を阻止し、
前記開閉制限体は、前記遮断器が切りのときは、前記感電防止カバーの下方に位置し、前記感電防止カバーの回動を阻止しないことを特徴とする請求項2に記載の感電防止装置である。
【0013】
また本発明で、前記開閉制限体は、剛性を有する板状体又は棒状体であり、
前記感電防止カバーが開いているときに、前記遮断器を入りにしようとすると、前記開閉制限体が前記感電防止カバーに接触し、前記遮断器が入の状態にならないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の感電防止装置である。
【0014】
また本発明は、筐体内に遮断器、配線接続端子、及び開閉可能な配線接続端子の感電防止カバーを備える電源箱の該感電防止カバーの開閉を制限し、感電を防止する感電防止装置であって、
該筐体内に固定された開閉制限体と、
該遮断器のレバーに着脱可能に装着され、該レバーの入り切りに連動して動く連結体と、を含み構成され、
該感電防止カバーは、該連結体に開閉可能に固着され、該レバーの入り切りに連動して動き、
前記遮断器が入りのときには、前記開閉制限体は、前記感電防止カバーが開閉する範囲内となり、前記感電防止カバーは開閉が阻止され、
前記遮断器が切りのときには、前記開閉制限体は、前記感電防止カバーが開閉する範囲外となり、前記感電防止カバーは回動可能なことを特徴とする感電防止装置である。
【0015】
また本発明は、筐体内に遮断器、配線接続端子、及び着脱可能な配線接続端子の感電防止カバーを備える電源箱の該感電防止カバーの着脱を制限し、感電を防止する感電防止装置であって、
該遮断器のレバーに着脱可能に装着され、該レバーの入り切りに連動して動く連結体と、
該連結体に固着され該レバーの入り切りに連動して動き、該感電防止カバーの着脱を制限する着脱制限体と、
を含むことを特徴とする感電防止装置である。
【0016】
また本発明で、着脱可能な配線接続端子の前記感電防止カバーは、固定ネジで前記筐体内に着脱可能に固定され、
前記着脱制限体は、前記遮断器が入りのときには、該固定ネジを取外し不能とする範囲に位置し、前記感電防止カバーの取外しを阻止し、
前記着脱制限体は、前記遮断器が切りのときには、該固定ネジを取外し可能とする範囲に位置し、前記感電防止カバーの取外しを阻止しないことを特徴とする請求項6に記載の感電防止装置である。
【0017】
また本発明は、電気を入り切りする遮断器と、
電気配線を接続可能な配線接続端子と、
開閉可能な配線接続端子の感電防止カバー、又は着脱可能な配線接続端子の感電防止カバーと、
請求項1から7のいずれか1に記載の感電防止装置と、
該遮断器、該配線接続端子、該感電防止カバー、及び該感電防止装置を収納可能な筐体と、
を含むことを特徴とする電源箱である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、電源箱内の配線接続端子の感電防止カバーの開閉を制限し、感電を防止する感電防止装置であって、遮断器のレバーに着脱可能に装着され、レバーの入り切りに連動して動く連結体と、連結体に固着されレバーの入り切りに連動して動き、感電防止カバーの開閉を制限する開閉制限体と、を含むので、配線接続端子に接触し感電することを確実に防止することができる。
【0019】
また本発明の感電防止装置は、遮断器のレバーに着脱可能に装着され、レバーの入り切りに連動して動く連結体と、連結体に固着されレバーの入り切りに連動して動き、感電防止カバーの開閉を制限する開閉制限体と、を含み構成されるので、構造が簡単であり、また既設の電源箱に装着して使用することができる。
【0020】
また本発明によれば、開閉可能な配線接続端子の感電防止カバーは、一辺を中心に回動し、開閉制限体は、遮断器が入りのときには、感電防止カバーが回動する範囲内に位置し、感電防止カバーの回動を阻止し、遮断器が切りのときには、感電防止カバーが回動する範囲外に位置し、感電防止カバーの回動を阻止しないので、遮断器が入りのときは、感電防止カバーを開けることができず、配線接続端子への接触による感電を確実に防止することができる。
【0021】
また本発明によれば、開閉可能な配線接続端子の感電防止カバーは、板状体であり、一端部にヒンジを有し、ヒンジを中心に水平方向に回動し、開閉制限体は、遮断器が入りのときは、感電防止カバーと僅かな隙間を有し、感電防止カバーの回動方向であって、感電防止カバーの前面に位置し、遮断器が切りのときは、開閉制限体は、感電防止カバーの下方に位置するので、水平方向に回動可能な感電防止カバーを有する電源箱に装着して使用することができる。また接触による感電を確実に防止することができる。
【0022】
また本発明によれば、開閉制限体は、剛性を有する板状体又は棒状体であり、前記感電防止カバーが開いているときに遮断器を入りにしようとすると、開閉制限体が感電防止カバーに接触し、遮断器が入の状態にならないので、接触による感電を確実に防止することができる。
【0023】
また本発明は、電源箱内の配線接続端子の感電防止カバーの開閉を制限し、感電を防止する感電防止装置であって、筐体内に固定された開閉制限体と、遮断器のレバーに着脱可能に装着され、レバーの入り切りに連動して動く連結体と、を含み構成され、感電防止カバーは、連結体に開閉可能に固着され、レバーの入り切りに連動して動き、遮断器が入りのときには、開閉制限体は、感電防止カバーが開閉する範囲内となり、感電防止カバーは開閉が阻止され、遮断器が切りのときには、開閉制限体は、感電防止カバーが開閉する範囲外となり、感電防止カバーは回動可能なので、構造が簡単であり、また既設の電源箱に装着して使用することができる。さらに接触による感電を確実に防止することができる。
【0024】
また本発明は、電源箱内の配線接続端子の感電防止カバーの着脱を制限し、感電を防止する感電防止装置であって、遮断器のレバーに着脱可能に装着され、レバーの入り切りに連動して動く連結体と、連結体に固着されレバーの入り切りに連動して動き、感電防止カバーの着脱を制限する着脱制限体と、を含み構成されるので、構造が簡単であり、また既設の電源箱に装着して使用することができる。さらに接触による感電を確実に防止することができる。
【0025】
また本発明によれば、着脱可能な配線接続端子の感電防止カバーは、固定ネジで筐体内に着脱可能に固定され、着脱制限体は、遮断器が入りのときには、固定ネジを取外し不能とする範囲に位置し、感電防止カバーの取外しを阻止し、遮断器が切りのときには、固定ネジを取外し可能とする範囲に位置し、感電防止カバーの取外しを阻止しないので、接触による感電を確実に防止することができる。本発明により、固定ネジで固定される感電防止カバーを備える電源箱にも使用することができる。
【0026】
また本発明によれば、本電源箱は、電気を入り切りする遮断器と、電気配線を接続可能な配線接続端子と、開閉可能な配線接続端子の感電防止カバー、又は着脱可能な配線接続端子の感電防止カバーと、請求項1から8のいずれか1に記載の感電防止装置と、遮断器、配線接続端子、感電防止カバー、及び感電防止装置を収納可能な筐体と、を含み構成されるので、接触による感電を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の第1の実施形態としての感電防止装置10を装着した電源箱20の斜視図である。図2は図1の切断線II−IIで切断した断面図の一部を示す部分断面図である。電源箱20は、電気機器、電気工具などに電気を供給するためのものであり、筐体21内に、電源を入り切りする遮断器22、機器や工具の電気コードを接続し、機器や工具に電源を供給するための配線接続部23などを有する。
【0028】
遮断器22は、前面に電源を入り切りするためのレバー24を有し、遮断器固定用架台25を介して、筐体21に固定される。レバー24を上下に動かすことで、電源を入り切りすることができる。配線接続部23は、電気的絶縁性の材料からなる板状体26と、板状体26に設けられた配線接続端子27と、を含み構成される。配線接続端子27はネジ構造を有しており、ナット28a、28bで板状体26に固定されている。配線接続端子27は、電線29で遮断器22と電気的に接続される。
【0029】
電線29と配線接続端子27との接続は、電線29に固着された接続部材30をナット28aで挟持することで行われる。さらに配線接続端子27は、筐体21の下部開口部31から導入される電気工具等の電気コード32(32a、32b、32c)と着脱可能にナット33で接続される。電気コード32と配線接続端子27との接続は、電気コード32に固着された接続部材34をナット33で挟持することで行われる。
【0030】
配線接続部23の前面には、配線接続端子27に接触し、感電することを防止するための感電防止カバー40が配設されている。感電防止カバー40は、配線接続端子27の接続状態を視認可能なように、電気絶縁性の透明樹脂で形成されることが多い。感電防止カバー40は矩形の形状を有し、一側辺にヒンジ41を備える。ヒンジ41の一端は、電源箱20の筐体21に固着されたヒンジ固定台42に固定され、感電防止カバー40は、ヒンジ41を中心に水平方向に回動することができる。感電防止カバー40は、図1中Aの方向には回動可能であるが、反対方向には回動することができない。
【0031】
遮断器22のレバー24には、感電防止装置10が装着されている。感電防止装置10は、レバー24に着脱可能な連結棒取付板11と、連結棒取付板11に固着される連結棒12(12a、12b)と、連結棒12に固着される断面形状が凹状の凹状体13とを含み構成される。本実施形態では、連結棒取付板11と連結棒12とを別々の部材で構成したけれども、これらを一体に形成可能なことは言うまでもない。本実施形態では、連結棒取付板11と連結棒12とが連結体に該当する。また後述するように、本実施形態では、連結棒に固着される凹状体13が開閉制限体に該当する。
【0032】
遮断器22のレバー24に着脱可能に装着される連結棒取付板11、及び連結棒12の材質は、特に限定されないけれども、これら連結体及び開閉制限体13の重量は、レバー24が受けることとなるため、軽量な材料であることが望ましい。さらに安全上、電気絶縁性の材料であることがさらに望ましい。連結体の形状も、重量を考慮し、変形することのなく開閉制限体13を支持可能な形状とすればよい。
【0033】
断面形状が凹状の凹状体13は、凹状体13を形成する板状部のうち前面側の板状部14が、後述のように凹状体13が持ち上げられたとき、感電防止カバー40が回動する方向であって、感電防止カバー40の前面側に、平面視において重なり合うように配設される。
【0034】
次に感電防止装置10の、感電防止メカニズムを説明する。遮断器22のレバー24を下げ電源を切りの状態とすると、レバー24に装着された連結体11、12もレバーに連動して下がる。連結体11、12に固着する凹状体13も、連結体11、12と一体的に下がる。遮断器22のレバー24が下がった状態では、凹状体13の前面側の板状部14
の上端15は、感電防止カバー40の下端43よりも低い位置にある。よって、遮断器22を切りの状態としているときは、感電防止カバー40を開ける(回動させる)ことができる。このときは、配線接続端子27には電気が通じていないので、配線接続端子27に接触しても感電することはない。
【0035】
一方、遮断器22のレバー24を上げ電源を入りの状態とすると、レバー24に装着された連結体11、12もレバー24に連動して上がる。連結体11、12に固着する凹状体13も、連結体11、12と一体的に持ち上げられる。凹状体13を形成する板状部のうち前面側の板状部14は、凹状体13が持ち上げられたとき、感電防止カバー40が回動する方向であって、感電防止カバー40の前面側に、平面視において重なり合うように配設される。つまり遮断器22のレバー24が上がった状態では、凹状体13の前面側の板状部14の上端15は、感電防止カバー40の下端43よりも高い位置にある。
【0036】
この結果遮断器22を入りの状態としているときは、感電防止カバー40を開ける(回動させる)ことができない。遮断器22を入りの状態としているときは、配線接続端子27には電気が通じているが、感電防止カバー40を開けることができないので、配線接続端子27に接触し感電することはない。
【0037】
以上のように凹状体13は、連結体11、12と連動し感電防止カバー40の開閉を制限する開閉制限体として機能する。断面形状が凹状の凹状体13の低部の板状部16の幅が大きく、凹状体13が持ち上げられたとき、凹状体13の前面側の板状部14と、感電防止カバー前面部44との間の距離が大きいと、感電防止カバー40を完全に開けることは無理であっても、多少は開けることが可能なので、凹状体13が持ち上げられたときの凹状体13の前面側の板状部14と感電防止カバー前面部44との間の距離δは、わずかであることが望ましい。この距離は、感電防止カバー40が少し開いたとしても、配接続端子27に接触することができない距離である。
【0038】
上記に記載のように、本発明の感電防止装置10は、非常に簡単な構造で、かつ配線接続端子27に接触し感電することを確実に防止することができる。また、本発明の感電防止装置10は、遮断器22のレバー24に着脱可能な構造を有するので、既設の電源箱にも使用することができる。なお、図1及び図2に示す第1の実施形態において、感電防止カバー40は水平方向に回動する例を示したけれども、感電防止カバーの上端部にヒンジを設け、感電防止カバー40を鉛直方向に回動させる形式のものにも適用可能なことは言うまでもない。
【0039】
図3は、本発明の第1の実施形態としての感電防止装置10を装着した電源箱20の斜視図であって、感電防止カバー40が開いている状態を示した図である。本実施形態で図1、又は図2の実施形態に対応する部分には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。図3に示すように感電防止装置10を備える電源箱20において、感電防止カバー40が開いている状態で、電源を入れるために遮断器22のレバー24を持ち上げると、レバー24と連動して開閉制限体13も持ち上げられる。その結果、開閉制限体13が感電防止カバー40に接触し、レバー24が引き続き持ち上げられることを抑制するので、電源を入りとすることができない。
【0040】
このように感電防止装置10を装着した電源箱20にあっては、感電防止カバー40が開いているときには、遮断器22を入りの状態にすることができないので、仮に誤って配線接続端子27に接触しても感電することはない。開閉制限体13が仮に感電防止カバー40に接触した場合であっても、開閉制限体13及び連結体11、12が変形又は破損しない強度を備えることが必要なことは言うまでもない。
【0041】
図4は、本発明の第2の実施形態としての感電防止装置50を装着した電源箱20の部分断面図である。本実施形態で図1、又は図2の実施形態に対応する部分には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。図4に示す感電防止装置50は、図1の切断線II−IIと同じ位置で切断した部分断面図である。図4は、遮断器22のレバー24が上がった状態、つまり配線接続端子27に電気が通じている状態である。図1に示す第1の実施形態との相異点は、開閉制限体の形状にあり、その他の構成は図1の構成と同一である。
【0042】
本感電防止装置50も、図1に示した感電防止装置10と同様、遮断器22のレバー24に装着可能な連結体11、12、及び開閉制限体51を含み構成される。本実施形態に示す開閉制限体51は、連結棒12に板状体51を固着したものであり、断面形状が矩形である。開閉制限体は、本実施形態に示すように板状体51であっても断面形状が凹状の凹状体13と同様、確実に感電を防止することができる。
【0043】
本感電防止装置50の感電防止メカニズムは、図1に示した感電防止装置10の感電防止メカニズムと同一である。図4に示すように遮断器22のレバー24を上げ、電源を入りの状態とすると、連結体12に連動して板状体である開閉制限体51も持ち上げられ、開閉制限体51の上端52が、感電防止カバー40の下端43よりも高い位置となるため、感電防止カバー40が開けられることを防止することができる。遮断器22のレバー24を下げると、感電防止カバー40を開くことができるのは、図1に示す感電防止装置10と同一である。図4に示す感電防止装置50では、開閉制限体51に板状体を用いているけれども、板状体の代わりに、棒状体を使用することもできる。
【0044】
図4に示すように開閉制限体は、板状体51又は棒状体を使用することが可能であるが、開閉制限体51は、所定の長さを有することが必要である。図5(a)、図5(b)は、本発明の実施形態の比較例として、開閉制限体として長さの短い開閉制限体60(60a、60b)を用いた例を示す図である。図5(a)は、感電防止カバー40と開閉制限体60の関係を示す斜視図であり、図5(b)は、感電防止カバー40と開閉制限体60の関係を示す平面図である。本比較例で図1、又は図2の実施形態に対応する部分には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0045】
図5(a)、図5(b)に示す開閉制限体60(60a、60b)は、図4に示した開閉制限体51と同様、断面形状が矩形の板状体であるが、中央部に板状体がなく両側に長さの短い板状体60a、60bが連結棒12a、12bに固着されている。このような形状を有する開閉制限体60a、60bを用いると、図5(b)に示すように遮断器22が入りの状態(二点鎖線で示す)では、感電防止カバー40は開閉制限体60aが邪魔となり閉まっている状態から開けることはできない。
【0046】
しかしながら、感電防止カバー40が開いている状態では、遮断器22を入りとすることができる場合がある。図5(a)、図5(b)に示すように、開閉制限体の中央部に部材がないため、感電防止カバー40に接触することなく開閉制限体60a、60bを持ち上げることができることによる。このような状態が生じると、電源が入りの状態で、配線接続端子27に接触し、感電することもあるので、感電防止装置が備える機能としては不完全である。
【0047】
これを防止するには、開閉制限体を感電防止カバー40の長さ以上にすればよい。開閉制限体の中央部に空間部を設けるような場合、又はヒンジ41側にのみ開閉制限体を設ける場合にあっては、感電防止カバー40が所定の位置、つまり感電防止カバー40が仮に開いていても、配線接続端子27に接することができない位置まで感電防止カバーが閉まっていなければ、遮断器22のレバー24を入りとすると、開閉制限体が感電防止カバー40に接触し、遮断器22を入りとすることができない長さを有する開閉制限体であることが必要である。
【0048】
図6は、本発明の第3の実施形態としての感電防止装置70を装着した電源箱20の正面図である。図6は、遮断器22が入りの状態で、感電防止カバー40を開けることができない状態を示す。なお本実施形態で図1、又は図2の実施形態に対応する部分には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。図6で示す感電防止装置70も、第1及び第2の実施形態と同様、遮断器22のレバー24に装着可能な連結体11、12、及び開閉制限体71を含み構成される。
【0049】
図6で示す第3の実施形態の感電防止装置70は、図1で示した感電防止装置10とは異なり、感電防止カバー40が遮断器22のレバー24に連動して上下し、開閉制限体71は筐体21に固定されている。連結棒12a、12bはヒンジ固定台42を有し、感電防止カバー40は、ヒンジ41を介して開閉可能にヒンジ固定台42に取り付けられている。このため遮断器22のレバー24を上下、つまり電源を入り切りすると、レバー24に連動して連結体11、12、及び感電防止カバー40が上下する。感電防止カバー40は、一側辺にヒンジ41を有し、ヒンジ41を介してヒンジ固定台42に固定されているため、ヒンジ41を中心に水平方向に回動することができる。一方、開閉制限体71は、感電防止カバー40の回動方向であって、感電防止カバー40が持ち上げられたとき、感電防止カバー40の前面側に、感電防止カバー40の前面部とわずかな隙間をもって筐体21に固着されている。
【0050】
感電防止装置70の、感電防止メカニズムを説明する。遮断器22のレバー24を下げ電源を切りの状態とすると、レバー24に装着された連結体11、12もレバー24に連動して下がる。連結体11、12に固着された感電防止カバー40も、連結体11、12と一体に下がる。遮断器22のレバー24が下がった状態では、感電防止カバー40の上端45は、開閉制限体71の下端72よりも低い位置にある。よって、遮断器22を切りの状態としているときは、感電防止カバー40を開ける(回動させる)ことができる。このときは、配線接続端子27には電気が通じていないので、配線接続端子27に接触しても感電することはない。
【0051】
一方、遮断器22のレバー24を上げ電源を入りの状態とすると、レバー24に装着された連結体11、12もレバー24に連動して上がる。連結体に固着された感電防止カバー40も、連結体11、12と一体に持ち上げられる。遮断器22のレバー24が上がった状態では、図6に示すように感電防止カバー40の上端45は、開閉制限体71の下端72よりも高い位置にある。また第1の実施形態と同様、開閉制限体71は、感電防止カバー40が持ち上げられたとき、感電防止カバー40が回動する方向であって、感電防止カバー40の前面側に位置するように配設されるので、遮断器22を入りの状態としているときは、感電防止カバー40を開ける(回動させる)ことができない。遮断器22を入りの状態としているときは、配線接続端子27には電気が通じているが、感電防止カバー40を開けることができないので、配線接続端子27に接触し感電することはない。
【0052】
図7は、本発明の第4の実施形態としての感電防止装置80を装着した電源箱20の正面図である。図7は、遮断器が入りの状態で、感電防止カバーを取り外すことができない状態を示す。図8は、図7の切断線VIII−VIIIで切断した部分断面図である。なお本実施形態で図1、図2、図6の実施形態に対応する部分には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0053】
図7、図8で示す第4の実施形態の感電防止装置80は、図6で示す感電防止装置70と同様、遮断器22のレバー24に装着可能な連結体11、12、及び着脱制限体83を主要な構成とする。本実施形態も第3の実施形態で示した感電防止装置70と同様、感電防止カバー40が遮断器22のレバー24に連動して上下するが、本実施形態においては、感電防止カバー40は第3の実施形態と異なり、回動する構造となっていない。その代わりに感電防止カバー40は、着脱可能に固定されている。
【0054】
第4の実施形態では、連結棒12a、12bに感電防止カバー40を取付けるための感電防止カバー取付部材81a、81bが固着されている。この感電防止カバー取付部材81a、81bに、固定ネジ82a、82bを用いて着脱可能に感電防止カバー40が取付けられている。このため遮断器22のレバー24を上下、つまり電源を入り切りすると、レバー24に連動して連結体11、12および感電防止カバー40が上下する。感電防止カバー40は、感電防止カバー取付部材81に固定ネジ82で固定されているので、固定ネジ82を取り外せば感電防止カバー40も取りはずことができる。一方、着脱制限体83は、感電防止カバー40が持ち上げられたとき、感電防止カバー40を固定する固定ネジ82の前面側となる位置に、筐体21に固着されている。
【0055】
感電防止装置80の、感電防止メカニズムを説明する。遮断器22のレバー24を下げ電源を切りの状態とすると、レバー24に装着された連結体11、12もレバー24に連動して下がる。連結体11、12に固着された感電防止カバー40も、連結体11、12と一体に下がる。遮断器22のレバー24が下がった状態では、感電防止カバー40の上端45は、着脱制限体83の下端84よりも低い位置にある。よって、遮断器22を切りの状態としているときは、感電防止カバー40を固定する固定ネジ82を取り外し、感電防止カバー40を取り外すことができる。このときは、配線接続端子27には電気が通じていないので、配線接続端子27に接触しても感電することはない。
【0056】
一方、遮断器22のレバー24を上げ電源を入りの状態とすると、レバー24に装着された連結体11、12もレバーに連動して上がる。連結された感電防止カバー40も、連結体11、12と一体に持ち上げられる。遮断器22のレバー24が上がった状態では、図7、図8に示すように感電防止カバー40を固定する固定ネジ82の前面には、着脱制限体83が位置する。このため感電防止カバー40を固定する固定ネジ82を取り外すことができず、感電防止カバー40を取り外すことができない。遮断器22を入りの状態としているときは、配線接続端子27には電気が通じているが、感電防止カバー40を取り外すことができないので、配線接続端子27に接触し感電することはない。
【0057】
以上、第1から第4の実施形態において、遮断器22のレバー24に装着する連結棒取付部材11として、板状体の中央部に開口部を設け、板状体11をレバー24に挿入する例を示したけれども、板状体11の代わりに紐を用いてもよい。レバー24に紐をくくり付け、この紐に連結棒12を取付ける構成であってもよい。要すれば、遮断器22のレバー24と連動して、開閉制限体13、51、71又は感電防止カバー40を動かすことが可能であればよいのである。また、第1から第4の実施形態をはじめ本発明の感電防止装置において、遮断器22のレバー24を操作中に感電防止装置が外れ落ちないように、はずれ防止対策を講じておくことが好ましい。さらに感電防止装置の移動をスムーズに行わせるための、ガイドを設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施形態としての感電防止装置10を装着した電源箱20の斜視図である。
【図2】図1の切断線II−IIで切断した部分断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態としての感電防止装置10を装着した電源箱20の斜視図であって、感電防止カバー40が開いている状態を示した図である。
【図4】本発明の第2の実施形態としての感電防止装置50を装着した電源箱20の部分断面図である。
【図5】図5(a)、図5(b)は、本発明の実施形態の比較例として、開閉制限体として長さの短い開閉制限体60(60a、60b)を用いた例を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態としての感電防止装置70を装着した電源箱20の正面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態としての感電防止装置80を装着した電源箱20の正面図である。
【図8】図7の切断線VIII−VIIIで切断した部分断面図である。
【図9】従来の電源箱1の斜視図の一部である。
【符号の説明】
【0059】
10、50、70、80 感電防止装置
11 連結棒取付部材
12 連結棒
13、51、71 開閉制限体
14 凹部体の前面側の板状部
15 凹部体の前面側の板状部の上端
16 凹部体の底部の板状部
20 電源箱
21 筐体
22 遮断器
23 配線接続部
24 レバー
27 配線接続端子
40 感電防止カバー
41 ヒンジ
43 感電防止カバー下端
44 感電防止カバー前面部
45 感電防止カバー上端
72 開閉制限部材下端
82 固定ネジ
83 着脱制限体
84 着脱制限体下端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に遮断器、配線接続端子、及び開閉可能な配線接続端子の感電防止カバーを備える電源箱の該感電防止カバーの開閉を制限し、感電を防止する感電防止装置であって、
該遮断器のレバーに着脱可能に装着され、該レバーの入り切りに連動して動く連結体と、
該連結体に固着され該レバーの入り切りに連動して動き、該感電防止カバーの開閉を制限する開閉制限体と、
を含むことを特徴とする感電防止装置。
【請求項2】
前記開閉可能な配線接続端子の感電防止カバーは、一辺を中心に回動し、
前記開閉制限体は、前記遮断器が入りのときには、前記感電防止カバーが回動する範囲内に位置し、前記感電防止カバーの回動を阻止し、
前記開閉制限体は、前記遮断器が切りのときには、前記感電防止カバーが回動する範囲外に位置し、前記感電防止カバーの回動を阻止しないことを特徴とする請求項1に記載の感電防止装置。
【請求項3】
前記開閉可能な配線接続端子の感電防止カバーは、板状体であり、一端部にヒンジを有し、該ヒンジを中心に水平方向に回動し、
前記開閉制限体は、前記遮断器が入りのときは、前記感電防止カバーと僅かな隙間を有し、前記感電防止カバーの回動方向であって、前記感電防止カバーの前面に位置し、前記感電防止カバーの回動を阻止し、
前記開閉制限体は、前記遮断器が切りのときは、前記感電防止カバーの下方に位置し、前記感電防止カバーの回動を阻止しないことを特徴とする請求項2に記載の感電防止装置。
【請求項4】
前記開閉制限体は、剛性を有する板状体又は棒状体であり、
前記感電防止カバーが開いているときに、前記遮断器を入りにしようとすると、前記開閉制限体が前記感電防止カバーに接触し、前記遮断器が入の状態にならないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の感電防止装置。
【請求項5】
筐体内に遮断器、配線接続端子、及び開閉可能な配線接続端子の感電防止カバーを備える電源箱の該感電防止カバーの開閉を制限し、感電を防止する感電防止装置であって、
該筐体内に固定された開閉制限体と、
該遮断器のレバーに着脱可能に装着され、該レバーの入り切りに連動して動く連結体と、を含み構成され、
該感電防止カバーは、該連結体に開閉可能に固着され、該レバーの入り切りに連動して動き、
前記遮断器が入りのときには、前記開閉制限体は、前記感電防止カバーが開閉する範囲内となり、前記感電防止カバーは開閉が阻止され、
前記遮断器が切りのときには、前記開閉制限体は、前記感電防止カバーが開閉する範囲外となり、前記感電防止カバーは回動可能なことを特徴とする感電防止装置。
【請求項6】
筐体内に遮断器、配線接続端子、及び着脱可能な配線接続端子の感電防止カバーを備える電源箱の該感電防止カバーの着脱を制限し、感電を防止する感電防止装置であって、
該遮断器のレバーに着脱可能に装着され、該レバーの入り切りに連動して動く連結体と、
該連結体に固着され該レバーの入り切りに連動して動き、該感電防止カバーの着脱を制限する着脱制限体と、
を含むことを特徴とする感電防止装置。
【請求項7】
着脱可能な配線接続端子の前記感電防止カバーは、固定ネジで前記筐体内に着脱可能に固定され、
前記着脱制限体は、前記遮断器が入りのときには、該固定ネジを取外し不能とする範囲に位置し、前記感電防止カバーの取外しを阻止し、
前記着脱制限体は、前記遮断器が切りのときには、該固定ネジを取外し可能とする範囲に位置し、前記感電防止カバーの取外しを阻止しないことを特徴とする請求項6に記載の感電防止装置。
【請求項8】
電気を入り切りする遮断器と、
電気配線を接続可能な配線接続端子と、
開閉可能な配線接続端子の感電防止カバー、又は着脱可能な配線接続端子の感電防止カバーと、
請求項1から7のいずれか1に記載の感電防止装置と、
該遮断器、該配線接続端子、該感電防止カバー、及び該感電防止装置を収納可能な筐体と、
を含むことを特徴とする電源箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−27007(P2007−27007A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210607(P2005−210607)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】