説明

感震センサ、異常時対応コンセントおよび配線システム

【課題】振動の感知に伴う機械的なリセット機構を必要としない感震センサ、振動が納まった時点で勝手に電源の供給が再開しない異常時対応コンセントおよび配線システムを得ること。
【解決手段】感震センサ20は棒状部22が振動を受けて特定方向振動部23と共に上下あるいは左右に振動する。これにより棒状部22の下部に位置する突起形状の接点部24は、棒状部の下部に位置する接触部22cとの電気的な接続を一時的にオフにする。この状態を自己保持回路で保持することで、コンセントの給電を絶つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等の振動の感知を行う感震センサ、この感震センサを内蔵した異常時対応コンセントおよび異常時対応コンセントを使用した配線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震大国である我が国では地震によって多くの被害が発生している。たとえば1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災がその一例である。この地震で約6400名の命が失われている。この地震では多くの地点で火災が発生した。この火災は地震の発生直後よりもその後の電力供給が再開した時点で多く発生したと言われている。コンセントに接続したままの電気ストーブや発熱部を有するその他の電気製品が家具によって押し付けられたり家財の間に挟まれた状態となった場合が多い。この状態で、ある電気製品は電源が勝手に入ってしまい、またある電気製品は転倒時の安全スイッチが異常事態の下でうまく動作しなかった。このような状況の下で地震発生からしばらく経った後に電力会社の給電が再開すると、これらの電気製品が発熱し、火災を発生させてしまう。各家庭が広範に電化されている現在、このような地震等の異常時における電気製品の安全性を確保することは極めて重要である。
【0003】
そこで、地震が発生したときにその揺れを検出して壁埋め込み型コンセントに取り付けられた配線器具に対して電源の供給を遮断するようにする技術が本発明の第1の関連技術として提案されている(たとえば特許文献1)。この第1の関連技術による配線器具は、そのプラグをコンセントに差し込んで、これを介して電気製品を使用する。そしてこの使用状態で配線器具内の振動検出器が振動を感知すると、同じく配線器具内の地震判定部が生活振動を取り除いて地震を判定する。この配線器具は、地震判定部が地震と判定したときにプラグから供給を受けた電気製品の電力を遮断する遮断回路を備えており、レセプタクルへの電力供給をこの時点から遮断するようになっている。
【0004】
ところがこの第1の関連技術では壁埋め込み型コンセントの上に特別の配線器具を挿着し、これに電気製品のプラグを差し込んで使用する。したがって、壁面に配置された壁埋め込み型コンセントから配線器具が更にその厚さの分だけ突出することになり、これに更に電気製品のプラグを挿着すると大きな空間を必要とする。また、コンセントの上に配線器具を挿着するので、この配線器具自体が安定性を欠く。このため配線器具の内部の振動を感知する装置部分が生活振動と地震の振動を判別することが困難となり、地震判定部が高価となって配線器具自体の価格が高価になるという問題があった。また、配線器具を容易にコンセントから取り外しできるので、子供のいたずら等によってこの配線器具自体が無くなってしまうこともあり、肝心の異常発生時に役立たない場合もあった。
【0005】
そこで、本発明者は第2の関連技術として、壁面にプラグの差込口を供え、比較的安価に異常時の電源遮断を実現できる配線システムを提案した(特許文献2参照)。この第2の関連技術の配線システムで使用する感震センサは、円柱状金属体の上面から上方に中心軸の延長上に突出した突起を、円柱状金属体の上に配置された錘の下面から下方に突出した突起と上下方向に重ねた状態で静止させて地震の発生を待機するようになっている。この待機状態で、地震が発生して振動によって2つの突起の位置がずれて錘が下方に移動すると、この錘の上下方向の移動に連動した機械式のスイッチの接点が開き、コンセントへの電源の供給が絶たれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−367737号公報(第0018段落、第0019段落、図1)
【特許文献2】特開2004−304964号公報(第0029段落〜第0031段落、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この第2の関連技術によれば、感震センサ自体をコンセントの内部に組み込むことで第1の関連技術で生じた各種の問題を解決することができる。しかしながら、第2の関連技術では、感震センサが一度地震を感知すると、機械的なリセット機構を用いて円柱状金属体の突起の上に錘の突起を再び正確に重ね合わせる必要がある。リセット機構が不完全に動作すると、スイッチの接点が機械的に閉じることができず、配線が正常に復帰しないという問題がある。そこで信頼性の高いリセット機構の実現が不可欠であるが、機構の小型化との兼ね合いで困難であった。
【0008】
そこで本発明の目的は、振動の感知に伴う機械的なリセット機構を必要としない感震センサと、振動が収まった時点で勝手に電源の供給が再開しない復旧異常時対応コンセントおよび配線システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、(イ)内面が球面の一部をなし、その底部に水平方向に所定の径の開口部を有する皿状部材を振動の伝達を受ける所定の空間位置に固定した固定部と、(ロ)この固定部の前記した皿状部材における前記した球面と外接する外接面を外周部分に形成し、前記した開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部と接すると共に前記した開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部における前記した頭部と反対側に配置され前記した開口部の径よりも小径となった接触部とを備え、前記した頭部と接触部とが電気的に導通しており、前記した皿状部材の前記した球面と前記した頭部の前記した外接面とが摺接することで特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、(ハ)貫通孔を備え前記した棒状部の前記した胴体部をこれに貫挿した重り部材と、この重り部材を上下動自在に前記した棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、(ニ)前記した棒状部が前記した固定部に静止状態で垂直に保持されているときに前記した接触部と電気的に接触して前記した頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記した棒状部が垂直方向に対して所定角度以上振れたとき、あるいは前記した特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる接点を備えた接点部とを感震センサが具備する。
【0010】
また、本発明では、(イ)振動の伝達を受ける所定の空間位置に配置され水平方向に所定の径の開口部を有する支持部材と、(ロ)この支持部材の前記した開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部の底面と接して前記した開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部の前記した頭部と反対側に位置する接触部とからなる導体部品であり、前記した支持部材により前記した頭部の下面を支持された状態で特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、(ハ)貫通孔を備え前記した棒状部の前記した胴体部をこれに貫挿した重り部材と、前記した接触部をこの重り部材の底部から露出させた状態で上下動自在に前記した棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、(ニ)頂部が前記した開口部と所定の距離を置いて対向配置され、前記した棒状部が静止状態にあるとき前記した重り部材を含めたこの棒状部の自重により前記した接触部の外周面と電気的に接触して前記した頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記した棒状部が前記した静止状態にあるときの垂直方向となす角度よりも更に大きく振れたとき、あるいは前記した特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき前記した頭部との間の電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる突起状の接点部とを感震センサが具備する。
【0011】
更に本発明では、(イ)コンセント本体と、(ロ)このコンセント本体内部の特定部位に配置され、その内面が球面の一部をなし、その底部に水平方向に所定の径の開口部を有する皿状部材を前記したコンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に固定した固定部と、この固定部の前記した皿状部材における前記した球面と外接する外接面を外周部分に形成し、前記した開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部と接すると共に前記した開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部における前記した頭部と反対側に配置され前記した開口部の径よりも小径となった接触部とを備え、前記した頭部と接触部とが電気的に導通しており、前記した皿状部材の前記した球面と前記した頭部の前記した外接面とが摺接することで特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記した棒状部の前記した胴体部をこれに貫挿した重り部材と、この重り部材を上下動自在に前記した棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、前記した棒状部が前記した固定部に静止状態で垂直に保持されているときに前記した接触部と電気的に接触して前記した頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記した棒状部が垂直方向に対して所定角度以上振れたとき、あるいは前記した特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる接点を備えた接点部とを有する感震センサと、(ハ)この感震センサの前記した接点部の前記した接点と前記した棒状部の前記した頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、(ニ)この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチとを異常時対応コンセントが具備する。
【0012】
更にまた、本発明では、(イ)コンセント本体と、(ロ)このコンセント本体内部の特定部位に配置され、前記したコンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に配置され水平方向に所定の径の開口部を有する支持部材と、この支持部材の前記した開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部の底面と接して前記した開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部の前記した頭部と反対側に位置する接触部とからなる導体部品であり、前記した支持部材により前記した頭部の下面を支持された状態で特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記した棒状部の前記した胴体部をこれに貫挿した重り部材と、前記した接触部をこの重り部材の底部から露出させた状態で上下動自在に前記した棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、頂部が前記した開口部と所定の距離を置いて対向配置され、前記した棒状部が静止状態にあるとき前記した重り部材を含めたこの棒状部の自重により前記した接触部の外周面と電気的に接触して前記した頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記した棒状部が前記した静止状態にあるときの垂直方向となす角度よりも更に大きく振れたとき、あるいは前記した特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき前記した頭部との間の電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる突起状の接点部とを有する感震センサと、(ハ)この感震センサの前記した接点部の前記した接点と前記した棒状部の前記した頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、(ニ)この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチとを異常時対応コンセントが具備する。
【0013】
また、本発明では、(イ)コンセント本体と、このコンセント本体内部の特定部位に配置され、その内面が球面の一部をなし、その底部に水平方向に所定の径の開口部を有する皿状部材を前記したコンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に固定した固定部と、この固定部の前記した皿状部材における前記した球面と外接する外接面を外周部分に形成し、前記した開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部と接すると共に前記した開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部における前記した頭部と反対側に配置され前記した開口部の径よりも小径となった接触部とを備え、前記した頭部と接触部とが電気的に導通しており、前記した皿状部材の前記した球面と前記した頭部の前記した外接面とが摺接することで特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記した棒状部の前記した胴体部をこれに貫挿した重り部材と、この重り部材を上下動自在に前記した棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、前記した棒状部が前記した固定部に静止状態で垂直に保持されているときに前記した接触部と電気的に接触して前記した頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記した棒状部が垂直方向に対して所定角度以上振れたとき、あるいは前記した特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる接点を備えた接点部とを有する感震センサと、この感震センサの前記した接点部の前記した接点と前記した棒状部の前記した頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチとを備えた異常時対応コンセントと、(ロ)この異常時対応コンセントよりも電源の下流側に配置され、前記した電源の供給側に一端を接続された電線の他端を接続する入力側電線接続手段と、この入力側電線接続手段と接続されたプラグ接続端子と、前記した入力側電線接続手段と電気的に接続され、後続のコンセントに電源を供給する出力側電線接続手段とを備えた通常時対応コンセントと、(ハ)前記した異常時対応コンセントの前記した保持回路の自己保持と前記したリセットスイッチによる自己保持の解除に下流側の通常時対応コンセントが連動して電源の供給をオフまたはオンにして接続する導電性部材とを配線システムが具備する。
【0014】
更にまた、本発明では、(イ)コンセント本体と、このコンセント本体内部の特定部位に配置され、前記したコンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に配置され水平方向に所定の径の開口部を有する支持部材と、この支持部材の前記した開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部の底面と接して前記した開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部の前記した頭部と反対側に位置する接触部とからなる導体部品であり、前記した支持部材により前記した頭部の下面を支持された状態で特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記した棒状部の前記した胴体部をこれに貫挿した重り部材と、前記した接触部をこの重り部材の底部から露出させた状態で上下動自在に前記した棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、頂部が前記した開口部と所定の距離を置いて対向配置され、前記した棒状部が静止状態にあるとき前記した重り部材を含めたこの棒状部の自重により前記した接触部の外周面と電気的に接触して前記した頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記した棒状部が前記した静止状態にあるときの垂直方向となす角度よりも更に大きく振れたとき、あるいは前記した特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき前記した頭部との間の電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる突起状の接点部とを有する感震センサと、この感震センサの前記した接点部の前記した接点と前記した棒状部の前記した頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチとを備えた異常時対応コンセントと、(ロ)この異常時対応コンセントよりも電源の下流側に配置され、前記した電源の供給側に一端を接続された電線の他端を接続する入力側電線接続手段と、この入力側電線接続手段と接続されたプラグ接続端子と、前記した入力側電線接続手段と電気的に接続され、後続のコンセントに電源を供給する出力側電線接続手段とを備えた通常時対応コンセントと、(ハ)前記した異常時対応コンセントの前記した保持回路の自己保持と前記したリセットスイッチによる自己保持の解除に下流側の通常時対応コンセントが連動して電源の供給をオフまたはオンにして接続する導電性部材とを配線システムが具備する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明の感震センサによれば、特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部の先端が接点部から離れることをもって震動の感知を行うようにしたので、機械的にシンプルな構成で震動の感知を信頼性よく行うことができる。
【0016】
また、本発明の異常時対応コンセントによれば、コンセントの内部に、特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部の先端が接点部から離れることをもって震動の感知を行う感震センサを配置したので、感震センサを空間的に固定することができ、その動作の信頼性を高めることができる。また、感震センサの出力がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチを異常時対応コンセントに内蔵したので、リセットスイッチを動作させるまでコンセントから外部への電源の供給を絶つことができ、電力会社が電源の供給を開始したときの電気製品による火災の発生を有効に防止することができる。
【0017】
更に本発明の配線システムによれば、安価な通常時対応コンセントの上流側に異常時対応コンセントを配置したので、異常時対応コンセントが異常を感知したときに通常時対応コンセントも給電を停止することができるだけでなく、電力会社が電源の供給を開始したときの電気製品による火災の発生を有効に防止することができる。また、地震の震度に応じた異常時対応コンセントと通常時対応コンセントを組み合わせることで、各種の震度に対応した電気製品の安全対策を採ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の感震センサのクレーム対応図である。
【図2】本発明の他の感震センサのクレーム対応図である。
【図3】本発明の異常時対応壁埋め込み型コンセントのクレーム対応図である。
【図4】本発明の他の異常時対応壁埋め込み型コンセントのクレーム対応図である。
【図5】本発明の配線システムのクレーム対応図である。
【図6】本発明の他の配線システムのクレーム対応図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態による感震センサをその振り子の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図8】第1の実施の形態の感震センサにおける振り子を示した平面図である。
【図9】第1の実施の形態の感震センサを振り子の中心軸を中心として図7から90度回転した位置で切断した場合の要部を表わした断面図である。
【図10】第1の実施の形態の感震センサを使用した異常時対応壁埋め込み型コンセントの回路構成の要部を表わした回路図である。
【図11】第1の実施の形態の異常時対応壁埋め込み型コンセントを使用した配線システムの一例を示したシステム構成図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態による感震センサをその振り子の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図13】第2の実施の形態の感震センサにおける振り子を示した平面図である。
【図14】第2の実施の形態の感震センサを振り子の中心軸を中心として図12から90度回転した位置で切断した場合の要部を表わした断面図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態の配線システムの適用された第1の実施例におけるコンセントの接続関係を示した回路図である。
【図16】第1の実施例で異常時対応壁埋め込み型コンセントが壁に埋め込まれたときの外観を示した平面図である。
【図17】第2の実施例の配線システムにおけるコンセントの接続関係を示した回路図である。
【図18】第3の実施例の配線システムにおけるコンセントの接続関係を示した回路図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態の変形例における感震センサをその振り子の中心軸に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の感震センサのクレーム対応図を示したものである。本発明の感震センサ10は、固定部11と、棒状部12と、特定方向振動部13と、接点部14を備えている。ここで、固定部11は、内面が球面の一部をなし、その底部に水平方向に所定の径の開口部を有する皿状部材を振動の伝達を受ける所定の空間位置に固定している。棒状部12は、頭部12aと、胴体部12bと、接触部12cを備えている。頭部12aは、固定部11の前記した皿状部材における前記した球面と外接する外接面を外周部分に形成し、前記した開口部の径よりも大径となっている。胴体部12bは、頭部12aと接すると共に前記した開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の部材である。接触部12cは、胴体部12bにおける頭部12aと反対側に配置され前記した開口部の径よりも小径となっている。棒状部12は、頭部12aと接触部12cとが電気的に導通しており、前記した皿状部材の前記した球面と頭部12aの前記した外接面とが摺接することで特定点を回転中心として揺動自在に配置されている。特定方向振動部13は、貫通孔を備え棒状部12の胴体部12bをこれに貫挿した重り部材13aと、この重り部材13aを上下動自在に棒状部12に支持する弾性部材13bとを備えている。接点部14は、棒状部12が固定部11に静止状態で垂直に保持されているときに接触部12cと電気的に接触して頭部12aとの間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、棒状部12が垂直方向に対して所定角度以上振れたとき、あるいは特定方向振動部13が所定量以上上下動を行ったとき電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる接点を備えている。
【0020】
図2は、本発明の他の感震センサのクレーム対応図を示したものである。本発明の他の感震センサ20は、支持部材21と、棒状部22と、特定方向振動部23と、接点部24を備えている。ここで、支持部材21は、振動の伝達を受ける所定の空間位置に配置され水平方向に所定の径の開口部を有する。棒状部22は、頭部22aと胴体部22bと、接触部22cとからなる導体部品である。頭部22aは、支持部材21の前記した開口部の径よりも大径となっている。胴体部22bは、頭部22aの底面と接して前記した開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の部材である。接触部22cは、胴体部22bの頭部22aと反対側に位置する。棒状部22は、支持部材21により頭部22aの下面を支持された状態で特定点を回転中心として揺動自在に配置されている。特定方向振動部23は、貫通孔を備え棒状部22の胴体部22bをこれに貫挿した重り部材23aと、接触部22cをこの重り部材23aの底部から露出させた状態で上下動自在に棒状部22に支持する弾性部材23bとを備えている。接点部24は、頂部が前記した開口部と所定の距離を置いて対向配置されている突起状の形状をしている。そして、棒状部22が静止状態にあるとき接触部22cが重り部材23aを含めた棒状部22の自重により接点部24と電気的に接触して頭部22aとの間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、棒状部22が前記した静止状態にあるときの垂直方向となす角度よりも更に大きく振れたとき、あるいは特定方向振動部23が所定量以上上下動を行ったとき前記した頭部との間の電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる。
【0021】
図3は、本発明の異常時対応コンセントのクレーム対応図を示したものである。本発明の異常時対応コンセント30は、コンセント本体31と、感震センサ32と、保持回路33と、リセットスイッチ34を備えている。ここで、感震センサ32は、固定部32aと、棒状部32bと、特定方向振動部32cと、接点部32dを備えている。固定部32aは、コンセント本体31内部の特定部位に配置され、その内面が球面の一部をなし、その底部に水平方向に所定の径の開口部を有する皿状部材を前記したコンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に固定するものである。棒状部32bは、固定部32aの前記した皿状部材における前記した球面と外接する外接面を外周部分に形成し、前記した開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部と接すると共に前記した開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部における前記した頭部と反対側に配置され前記した開口部の径よりも小径となった接触部とを備え、前記した頭部と接触部とが電気的に導通しており、前記した皿状部材の前記した球面と前記した頭部の前記した外接面とが摺接することで特定点を回転中心として揺動自在に配置されている。特定方向振動部32cは、貫通孔を備え棒状部32bの前記した胴体部をこれに貫挿した重り部材と、この重り部材を上下動自在に前記した棒状部に支持する弾性部材とを備えている。接点部32dは、棒状部32bが固定部32aに静止状態で垂直に保持されているときに前記した接触部と電気的に接触して前記した頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、棒状部32bが垂直方向に対して所定角度以上振れたとき、あるいは特定方向振動部32cが所定量以上上下動を行ったとき電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる接点を備えている。保持回路33は、感震センサ32の接点部32dの前記した接点と前記した棒状部の前記した頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する。リセットスイッチ34は、保持回路33の自己保持を解除する。
【0022】
図4は、本発明の他の異常時対応コンセントのクレーム対応図を示したものである。本発明の他の異常時対応コンセント40は、コンセント本体41と、感震センサ42と、保持回路43と、リセットスイッチ44を備えている。ここで、感震センサ42は支持部材42aと、棒状部42bと、特定方向振動部42cと、接点部42dから構成されている。支持部材42aは、コンセント本体内部の特定部位に配置され、コンセント本体41から振動の伝達を受ける所定の空間位置に配置され水平方向に所定の径の開口部を有している。棒状部42bは、支持部材42aの前記した開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部の底面と接して前記した開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部の前記した頭部と反対側に位置する接触部とからなる導体部品であり、支持部材42aにより前記した頭部の下面を支持された状態で特定点を回転中心として揺動自在に配置されている。特定方向振動部42cは、貫通孔を備え棒状部42bの前記した胴体部をこれに貫挿した重り部材と、前記した接触部をこの重り部材の底部から露出させた状態で上下動自在に前記した棒状部に支持する弾性部材とを備えている。接点部42dは、頂部が前記した開口部と所定の距離を置いて対向配置され、棒状部42bが静止状態にあるとき前記した接触部が前記した重り部材を含めた棒状部42bの自重により接点部42dと電気的に接触して前記した頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、棒状部42bが前記した静止状態にあるときの垂直方向となす角度よりも更に大きく振れたとき、あるいは特定方向振動部42cが所定量以上上下動を行ったとき前記した頭部との間の電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる突起状の部材である。保持回路43は、感震センサ42の接点部42dの前記した接点と棒状部42bの前記した頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する。リセットスイッチ44は、保持回路43の自己保持を解除する。
【0023】
図5は、本発明の配線システムのクレーム対応図を示したものである。本発明の配線システム50は、異常時対応コンセント51と、通常時対応コンセント52と、導電性部材53を備えている。ここで、異常時対応コンセント51は、コンセント本体51aと、感震センサ51bと、保持回路51cと、リセットスイッチ51dから構成される。感震センサ51bは、コンセント本体51a内部の特定部位に配置され、その内面が球面の一部をなし、その底部に水平方向に所定の径の開口部を有する皿状部材を前記したコンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に固定した固定部と、この固定部の前記した皿状部材における前記した球面と外接する外接面を外周部分に形成し、前記した開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部と接すると共に前記した開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部における前記した頭部と反対側に配置され前記した開口部の径よりも小径となった接触部とを備え、前記した頭部と接触部とが電気的に導通しており、前記した皿状部材の前記した球面と前記した頭部の前記した外接面とが摺接することで特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記した棒状部の前記した胴体部をこれに貫挿した重り部材と、この重り部材を上下動自在に前記した棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、前記した棒状部が前記した固定部に静止状態で垂直に保持されているときに前記した接触部と電気的に接触して前記した頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記した棒状部が垂直方向に対して所定角度以上振れたとき、あるいは前記した特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる接点を備えた接点部とを有している。保持回路51cは、感震センサ51bの前記した接点部の前記した接点と前記した棒状部の前記した頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する。リセットスイッチ51dは、保持回路51cの自己保持を解除する。通常時対応コンセント52は、入力側電線接続手段52aと、プラグ接続端子52bと、出力側電線接続手段52cを備えている。入力側電線接続手段52aは、異常時対応コンセント51よりも電源の下流側に配置され、前記した電源の供給側に一端を接続された電線の他端を接続する。プラグ接続端子52bは、入力側電線接続手段52aと接続されている。出力側電線接続手段52cは、入力側電線接続手段52aと電気的に接続され、後続のコンセントに電源を供給する。導電性部材53は、異常時対応コンセント51の保持回路51cの自己保持とリセットスイッチ51dによる自己保持の解除に下流側の通常時対応コンセント52が連動して電源の供給をオフまたはオンにして接続する。
【0024】
図6は、本発明の他の配線システムのクレーム対応図を示したものである。本発明の他の配線システム60は、異常時対応コンセント61と、通常時対応コンセント62と、導電性部材63を備えている。ここで、異常時対応コンセント61は、コンセント本体61aと、感震センサ61bと、保持回路61cと、リセットスイッチ61dから構成される。感震センサ61bは、コンセント本体61a内部の特定部位に配置され、コンセント本体61aから振動の伝達を受ける所定の空間位置に配置され水平方向に所定の径の開口部を有する支持部材と、この支持部材の前記した開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部の底面と接して前記した開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部の前記した頭部と反対側に位置する接触部とからなる導体部品であり、前記した支持部材により前記した頭部の下面を支持された状態で特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記した棒状部の前記した胴体部をこれに貫挿した重り部材と、前記した接触部をこの重り部材の底部から露出させた状態で上下動自在に前記した棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、頂部が前記した開口部と所定の距離を置いて対向配置され、前記した棒状部が静止状態にあるとき前記した接触部が前記した重り部材を含めた前記した棒状部の自重により前記した接点部と電気的に接触して前記した頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記した棒状部が前記した静止状態にあるときの垂直方向となす角度よりも更に大きく振れたとき、あるいは前記した特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき前記した頭部との間の電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる突起状の接点部とを有する。保持回路61cは、感震センサ61bの前記した接点部の前記した接点と前記した棒状部の前記した頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する。リセットスイッチ61dは、保持回路61cの自己保持を解除する。通常時対応コンセント62は、異常時対応コンセント61よりも電源の下流側に配置され、前記した電源の供給側に一端を接続された電線の他端を接続する入力側電線接続手段62aと、この入力側電線接続手段62aと接続されたプラグ接続端子62bと、入力側電線接続手段62aと電気的に接続され、後続のコンセントに電源を供給する出力側電線接続手段62cとを備えている。導電性部材63は、異常時対応コンセント61の保持回路61cの自己保持とリセットスイッチ61dによる自己保持の解除に下流側の通常時対応コンセント62が連動して電源の供給をオフまたはオンにして接続する。
【0025】
<発明の第1の実施の形態>
【0026】
次に本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0027】
図7は、本発明の第1の実施の形態による感震センサの断面構造を表わしたものである。感震センサ100は、外形が直方体をしており、樹脂により形成された装置本体101の上端および下端を、樹脂製の底蓋102および上蓋103によって密閉した構造となっている。
【0028】
装置本体101の一側面104上部と上蓋103の境界位置からは第1の電極板105の一端が露出している。また、装置本体101の下部の同一側面104と底蓋102の境界位置からは第2の電極板106の一端が露出している。第1の電極板105は、1本のL字状の金属板の中程から、この金属板の短い直線部分105Aの向きと逆方向に、すなわち長い直線部分105Bの中程から、短い直線部分105Aと同じ長さの短い直線部分105Cが直線部分105Aと反対方向に突出した形状の板状部材を使用している。この1本の板状部材は、短い2つの直線部分105A、105Cを、それぞれ同一方向に折れ曲がるように、長い直線部分105Bに対して直角に折り曲げている。
【0029】
装置本体101の内部上部には、直方体状の上部凹部111が形成されている。上部凹部111の中央部には、この底部から上部空間111の深さよりも第1の電極板105の直線部分105Bの厚さだけ短い高さの壁部材112が筒状に突出している。第1の電極板105の2つの直線部分105A、105Cは、壁部材112の外壁表面を挟持した状態で、装置本体101と上蓋103の接着によって固定されている。
【0030】
装置本体101の内部の中央から下部にかけては、直方体状の下部凹部113が形成されている。上部凹部111における壁部材112によって仕切られた円筒状空間111Aの底部は、球面の一部を形成する面114によって下方に窪んだ部分球面形状となっている。この部分球面形状によって、上部凹部111の底部の中央には、下部凹部113と連通する所定の直径Dの開口部115が形成されている。
【0031】
下部凹部113の底部に配置された第2の電極板106は、装置本体101の外部に端子としてその一端を突出させた第1の直線部分106Aと、他端側から直角に折れ曲がった第2の直線部分106Bから構成されている。第2の直線部分106Bは、断面がコ字状に折り返された形状に加工されている。これにより、第2の直線部分106Bにおける折り返し前の状態で第1の直線部分106Aから高さ方向に最も離れた部位(以下、支持部という。)106BAは、加工後に、下部凹部113の底部と所定の間隔を置いて平行になっている。
【0032】
支持部106BAは、板状の振動板116の図示した一端近傍をリベット117によって位置的に固定している。振動板116は、その一部がプレス加工によって、丸い皿の形状に周囲を突起させた皿状部116Aを形成している。このため、図7に示した断面の位置では、リベット117の頭部が皿状部116Aの背後に隠れており、図示されていない。
【0033】
円筒状空間111Aの底部に位置する開口部115からは金属製の振り子118(118A、118B、118C)が下部凹部113に向けて所定距離だけ差し込まれている。振り子118は、開口部115よりも大径の頭部118Aと、開口部115よりも小径の胴体部118Bおよび胴体部118Bの先端に位置するテーパ状に加工された接触部118Cから構成されている。
【0034】
図8は、振り子を単独の部品として示したものである。図7と共に説明する。
【0035】
振り子118の頭部118Aは、その上部の中央に突起118AAが形成されている。突起118AAは、円筒状空間111A内で第1の圧縮バネ121の下端側を振り子118の頭部118Aに固定するために用いられる。
【0036】
頭部118Aの下半分は面114と同一の曲率の部分球面を形成している。したがって、振り子118は第1の圧縮バネ121によって円筒状空間111Aの底部に頭部118Aの下半分の面を押しつけた状態で、部分球面を構成する球の中心を中心として揺動自在となっている。
【0037】
胴体部118Bは接触部118Cに繋がる端部近傍がリング状にカットされた小径部118BAを形成している。この小径部118BAには留め具123が装着されており、その上に胴体部118Bの外径よりも内径の大きなワッシャ124が装着されている。ワッシャ124の上には第2の圧縮バネ125が胴体部118Bの外周を上下動自在に装着されている。ワッシャ124は第2の圧縮バネ125の下方向の移動を制限する役割を果たしている。
【0038】
胴体部118Bには、断面がコ字状をした筒状の第1の錘126が上下動自在に装着されている。この第1の錘126の下向きに開放した窪部127の天井部分とワッシャ124の間には第2の圧縮バネ125が圧縮された状態で収容されている。第2の圧縮バネ125は振り子118が地震等の外力によって左右に揺動したり上下方向に移動したとき、これらの振動を早期に収束させて胴体部118Bを鉛直方向に静止させる役割を持っている。
【0039】
接触部118Cはその先端部118CAが部分球面を形成しており、丸まっている。先端部118CAは、胴体部118Bが鉛直方向に静止した状態で皿状部116Aの内面に摺接した状態を保っている。この状態で、第1の電極板105と第2の電極板106は、第1の圧縮バネ121、振り子118および振動板116を介して電気的に接続される。
【0040】
これに対して、振り子118が左または右に揺動して先端部118CAが皿状部116Aの内面あるいは外周から離れると、第1の電極板105と第2の電極板106の間の電気的な接続は絶たれる。図7では、一点鎖線を用いて振り子118が揺動したときを具体的に表わしている。振り子118が図示のように右方向に振れたとすると、その間は先端部118CAが皿状部116Aから離れた状態となる。
【0041】
図9は、第1の実施の形態の感震センサの要部を表わしたものである。感震センサ100を構成する振動板116の一端は、すでに説明したようにリベット117によって第2の電極板106の支持部106BAによって位置的に固定されている。振動板116の他端は自由端となっており、その自由端の近傍には第2の錘131が固定されている。
【0042】
また、振り子118が静止してその先端部118CA(図8)が皿状部116Aの内部中央と接触している状態で、振動板116はほぼ水平を保っている。このとき、振動板116の自由端側の端部116Bは、下部凹部113の内壁から一部突出した突起部101Aのわずか下に位置するようになっている。突起部101Aは、感震センサ100に上下方向の振動が加わったときの振動板116の振れの上限位置を規制する役割を持っている。
【0043】
この図9で一点鎖線を用いて、振り子118が上下方向に震動する力を与えられたときの動作を説明する。地震等によって振り子118が上下方向に震動する力を与えられ、この力がある程度以上大きくなったとする。すると、あるタイミングで第1の錘126の下端部が第2の錘131の上端部と接触し、これを下方に押し下げる。すると、このタイミングで振り子118の先端部118CAが皿状部116Aから離れる。このときも、図7に示した第1の電極板105と第2の電極板106の電気的な接続が一時的にオフとなる。
【0044】
図10は、感震センサを使用した異常時対応壁埋め込み型コンセントの回路構成の要部を表わしたものである。異常時対応壁埋め込み型コンセント200は、図7等に示した感震センサ100の第1の電極板105と第2の電極板106の間に、第1のリレー回路201の励磁コイル(L1)202と第1の直流電源203を直列に接続した第1の回路部分204を備えている。第1の回路部分204は、感震センサ100がたとえば所定以上の震度に相当する横揺れあるいは縦揺れを感知すると、第1の電極板105と第2の電極板106の間が少なくとも一時的にオフとなる。
【0045】
異常時対応壁埋め込み型コンセント200は、第1の回路部分204の他に、第2の回路部分205および第3の回路部分206を備えている。第2の回路部分205は、第2の直流電源208を備えており、この第2の直流電源208に第1のリレー回路201の常開(ノーマルオープン:NO)接点209と第2のリレー回路207の励磁コイル(L2)210の直列回路を接続している。また、第1のリレー回路201の常開接点209には、第2のリレー回路207の常開接点211と、常時はオンとなっているリセットスイッチ212からなる直列回路が並列に接続されている。
【0046】
したがって、第1の回路部分204の励磁コイル202が励磁されると、第1のリレー回路201の常開接点209が閉じて第2のリレー回路207の励磁コイル210が励磁される。これにより、常開接点211が閉じて第2のリレー回路207が自己保持する。すなわち、感震センサ100の第1の電極板105と第2の電極板106の間が一時的にでもオフになると、その後、これらの間が再びオンになっても第2のリレー回路207の常開接点211が連続的にオン状態となる。このオン状態は、ユーザがリセットスイッチ212を手動によってオフにしない限り継続する。
【0047】
第3の回路部分206は、異常時対応壁埋め込み型コンセント200に取り付けられた一対の刃受け金具214、215を回路部品として備えている。一方の刃受け金具214には、第2のリレー回路207の常閉接点(ノーマルクローズ:NC)216の一端が接続され、他端は家屋内を配線される商用電源217の一端に接続されている。この商用電源217の他端はバイメタル等のサーモスイッチ218の一端に接続され、他端は他方の刃受け金具215に接続されている。サーモスイッチ218は屋内の火災やコンセント内の異常発熱を感知して所定の温度以上になったときにその接点を開くスイッチである。第2のリレー回路207の常閉接点216およびサーモスイッチ218の各接点は、定格電力の電流のオン・オフを可能とする接点構造となっている。
【0048】
異常時対応壁埋め込み型コンセント200の埋め込まれた家屋に地震等による規定以上の振動が加わらない初期状態では、第2のリレー回路207の常閉接点216がオンとなっている。したがって、サーモスイッチ218が異常な温度を感知していない状態で一対の刃受け金具214、215には商用電源217が供給され、その使用が可能になっている。この状態で予め定めた震度以上の地震が発生したとする。すると、感震センサ100がこれを感知して第2のリレー回路207の常閉接点216がオフとなる。地震の揺れが収まって、図7に示す第1の電極板105と第2の電極板106の間が再びオンになってもリレー回路208の常閉接点216がオフの状態が保たれ、一対の刃受け金具214、215に図示しない電源プラグが装着されていても、この電源プラグへ電力が供給されることはない。これにより、電力会社が商用電源217の供給を回復させても、たとえば地震によって転倒した電気ストーブが発熱して火災が発生する事態を防止することができる。
【0049】
ユーザは異常時対応壁埋め込み型コンセント200を使用した家電製品の安全をチェックした後にリセットスイッチ212を押す。すると、第2のリレー回路207の励磁コイル210が解磁されて常開接点211が再びオフとなり、自己保持回路が自己保持を解消する。これにより、第2のリレー回路207の常閉接点216が再びオンになり、サーモスイッチ218が異常な温度を感知していない限り一対の刃受け金具214、215に商用電源217の供給が開始されることになる。
【0050】
図11は、第1の実施の形態の異常時対応壁埋め込み型コンセントを使用した配線システムの一例を示したものである。この配線システム300の適用される家屋301には外部から電力を供給する入り口としてのブレーカ(分電盤)302が設けられており、内部のそれぞれの分岐ブレーカに系統別の電線304〜306が接続されている。この例では第1系統の電線304は照明器具307〜309に接続されている。第2系統の電線305はエアーコンディショナ311に接続されている。第3系統の電線306は第1の実施の形態の異常時対応壁埋め込み型コンセント200と通常時対応壁埋め込み型コンセント3211、3212に接続されている。通常時対応壁埋め込み型コンセント3211、3212は、従来から使用されている通常の壁埋め込み型コンセントであり、地震や火災に対する電源供給の遮断機能を備えていない。
【0051】
<発明の第2の実施の形態>
【0052】
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0053】
図12は、本発明の第2の実施の形態による感震センサの断面構造を表わしたものである。この第2の実施の形態の感震センサ400も、外形が直方体をしており、樹脂により形成された装置本体401の上端および下端を、樹脂製の底蓋402および上蓋403によって密閉した構造となっている。
【0054】
装置本体401の一側面404の上部と上蓋403の境界位置からは第1の電極板405の一端が露出している。また、装置本体401の下部の同一側面404と底蓋402の境界位置からは第2の電極板406の一端が露出している。第1の電極板405は、1本のL字状の金属板の中程から、この金属板の短い直線部分405Aの向きと逆方向に、すなわち長い直線部分405Bの中程から、短い直線部分405Aと同じ長さの短い直線部分405Cが直線部分405Aと反対方向に突出した形状の板状部材を使用している。この1本の板状部材は、短い2つの直線部分405A、405Cを、それぞれ同一方向に折れ曲がるように、長い直線部分405Bに対して直角に折り曲げている。
【0055】
上蓋403の内部には、それぞれの底部が装置本体401の上部と接する形で第1〜第3の上部凹部411〜413が形成されている。このうちの第1の上部凹部411における図で右端部分に位置する内壁には、直線部分405Cが配置されており、第3の上部凹部413における図で左端部分に位置する内壁には、直線部分405Aが配置されている。これら2つの直線部分405C、405Aは、上蓋403および装置本体401と共に電極板405を感震センサ400内の所定位置に固設する役割を果たしている。
【0056】
第2の上部凹部412は紙面に垂直に切断したときの断面が円形となるような、ほぼ円筒形の形状の空間となっている。この第2の上部凹部412の底部は、装置本体401に開けられた下部凹部414と、断面が円形の筒状開口部415によって連通している。電極板の直線部分405Bを成す所定幅の平板部分は、筒状開口部415の中心軸が通過する点を中心として上方に盛り上がった隆起部405Dを形成している。隆起部405Dの頂上に相当する箇所には筒状開口部415の直径よりも短くこれと同心円状となった円形穴416が穿たれている。
【0057】
下部凹部414の底部に配置された第2の電極板406は、装置本体401の外部に端子としてその一端を突出させた第1の直線部分406Aと、他端側から直角に折れ曲がった第2の直線部分406Bから構成されている。第2の直線部分406Bは、断面がコ字状に折り返された形状に加工されている。これにより、第2の直線部分406Bにおける折り返し前の状態で第1の直線部分406Aから高さ方向に最も離れた部位(以下、支持部という。)406BAは、加工後に、下部凹部414の底部と所定の間隔を置いて平行になっている。
【0058】
支持部406BAの上には、導体からなる振動板417がリベット117によって固定されている。振動板417はその中央位置が盛り上がった突起部417Aを形成している。リベット117は、筒状開口部415の中心位置から垂線を引いたときの、その足が突起部417Aの頂点に位置するように振動板417の水平方向における位置決めを行っている。
【0059】
円筒状の第2の上部凹部412の円形穴416からは金属製の振り子419(419A、419B、419C)が下部凹部414に向けて所定距離だけ差し込まれている。振り子419は、円形穴416よりも大径の頭部419Aと、円形穴416よりも小径の胴体部419Bおよび胴体部419Bの先端に位置するテーパ状に加工された接触部419Cから構成されている。
【0060】
図13は、振り子を単独の部品として示したものである。図12と共に説明する。
【0061】
振り子419の頭部419Aは、円板状となっている。この頭部419Aは、振り子419の自重によって下向きの力が働く。したがって、第1の実施の形態の図7で示した第1の圧縮バネ121は用いられていない。もちろん、頭部419Aに図7に示したような突起を配置して、圧縮バネの一端をこれに固定させてもよい。
【0062】
頭部419Aの下面は、図12で示した隆起部405Dの上端によって支えられる。この状態で胴体部419Bは円形穴416および筒状開口部415によって定められる自由空間内で揺動自在である。
【0063】
胴体部419Bは接触部419Cに繋がる端部近傍がリング状にカットされた小径部419BAを形成している。この小径部419BAには留め具423が装着されており、その上に胴体部419Bの外径よりも内径の大きなワッシャ424が装着されている。ワッシャ424の上には圧縮バネ425が胴体部419Bの外周を上下動自在に装着されている。ワッシャ424は圧縮バネ425の下方向の移動を制限する役割を果たしている。
【0064】
胴体部419Bには、断面がコ字状をした筒状の第1の錘426が上下動自在に装着されている。この第1の錘426の下向きに開放した窪部427の天井部分とワッシャ424の間には圧縮バネ425が圧縮された状態で収容されている。圧縮バネ425は振り子419が地震等の外力によって左右に揺動したり上下方向に移動したとき、これらの振動を早期に収束させて胴体部419Bを鉛直方向に静止させる役割を持っている。
【0065】
接触部419Cはその先端を除く、断面が2等辺三角形の斜辺に相当する部分であり、第1の錘426を取り付けた振り子419が自重で静止した状態では、同じく断面が2等辺三角形の斜辺に相当する突起部417Aの外周部分に接触する。この接触状態で2つの2等辺三角形は互いに逆向きとなっており、接触部位の斜辺は互いに平行である。
【0066】
また、接触部419Cおよび突起部417Aは、金メッキでこれらの表面が加工されている。このため、振り子419が自重で静止した状態で、振り子419と第2の電極板406は電気的に良好に接続される。また、第1の電極板405の隆起部405Dの上部と振り子419の頭部419Aも金メッキでこれらの表面が加工されている。このため、第1の電極板405と振り子419は常に電気的に良好に接続される。すなわち、地震等の震動が振り子419に加わっていない状態で第1の電極板405と第2の電極板406は電気的に導通していることになる。
【0067】
これに対して、振り子419が揺動して、その接触部419Cが突起部417Aから離れると、第1の電極板405と第2の電極板406の間の電気的な接続は絶たれる。図12では、一点鎖線を用いて振り子419が揺動したときを具体的に表わしている。振り子419が図示のように右方向に振れたとすると、その間は接触部419Cが突起部417Aから離れた状態となる。
【0068】
図14は、第2の実施の形態の感震センサの要部を表わしたものである。感震センサ400を構成する振動板417の一端は、すでに説明したようにリベット418によって第2の電極板406の支持部406BAによって位置的に固定されている。振動板417の他端は自由端となっており、その自由端の近傍には第2の錘431が固定されている。
【0069】
また、振り子419が静止してその接触部419Cが突起部417Aと接触している状態で、振動板417はほぼ水平を保っている。このとき、振動板417の自由端側の端部417Bは、下部凹部414の内壁から一部突出した突起部401Aのわずか下に位置するようになっている。突起部401Aは、感震センサ400に上下方向の振動が加わったときの振動板417の振れの上限位置を規制する役割を持っている。
【0070】
この図14で一点鎖線を用いて、振り子419が上下方向に震動する力を与えられたときの動作を説明する。地震等によって振り子419が上下方向に震動する力を与えられ、この力がある程度以上大きくなったとする。すると、あるタイミングで第1の錘426の下端部が第2の錘431の上端部と接触し、これを下方に押し下げる。すると、このタイミングで振り子419の接触部419Cが突起部417Aから離れる。このときも、図12に示した第1の電極板405と第2の電極板406の電気的な接続が一時的にオフとなる。
【0071】
先に図10で示した異常時対応壁埋め込み型コンセントの回路構成は、第2の実施の形態の感震センサ400でも適用することができる。ただし、図10で示した「感震センサ100」を「感震センサ400」と置き換え、「第1の電極板105」を「第1の電極板405」と置き換え、「第2の電極板106」を「第2の電極板406」と置き換えるものとする。図11も第2の実施の形態の感震センサ400に適用することができる。
【実施例1】
【0072】
図15は第1の実施の形態の配線システムの適用された第1の実施例におけるコンセントの接続関係を示したものである。なお、この図ではアース接地用の接続端子およびこれに接続される電線の図示を省略している。図10および図11と共に説明する。
【0073】
第1の実施例の配線システム300Aで、異常時対応壁埋め込み型コンセント200は、その内部に感震センサ100やその付属回路およびサーモスイッチ218を備えている。また、図11に示した第3系統の電線306の一方を第2のリレー回路207の常閉接点216に接続し、他方を刃受け金具214および第1の接続端子331に接続している。第3系統の電線306の他方はサーモスイッチ218を介して刃受け金具215および第2の接続端子332に接続している。
【0074】
第1の接続端子331と電気的に接続した第3の接続端子333には、次の第1の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211用の電線3411の一端を接続している。第2の接続端子332と電気的に接続した第4の接続端子334には、第1の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211用の電線3412の一端を接続している。
【0075】
電線3411の他端は第1の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211内の第1の接続端子351に接続し、電線3412の他端は第1の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211内の第2の接続端子352に接続している。第1の接続端子351と電気的に接続した第3の接続端子353には、次の第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3212用の電線3421の一端を接続している。第2の接続端子352と電気的に接続した第4の接続端子354には、第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3212用の電線3422の一端を接続している。
【0076】
電線3421の他端は第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3212内の第1の接続端子361に接続し、電線3422の他端は第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3212内の第2の接続端子362に接続している。第1の接続端子361と電気的に接続した第3の接続端子363は後続のコンセントの配線用である。第2の接続端子362と電気的に接続した第4の接続端子364も後続のコンセントの配線用である。
【0077】
このように第1および第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211、3212は内部に感震センサ100やその付属回路およびサーモスイッチ218を備えていない。しかしながら、異常時対応壁埋め込み型コンセント200に対して第1および第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211、3212を直列に接続することで、異常時対応壁埋め込み型コンセント200が異常を検出して対応するプラグへの給電をオフとしたとき、第1および第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211、3212も対応するプラグへの給電をオフとすることになる。
【0078】
図16は、壁埋め込み型コンセントが壁に埋め込まれたときの外観を示したものである。第1の実施の形態の異常時対応壁埋め込み型コンセント200の下半分はプラグ挿入部371となっている。ここには、図10に示した一対の刃受け金具214、215に対応する電源挿入口372、373と、アース挿入口374が設けられている。
【0079】
また、本来はもう1組のプラグ挿入部が配置されるプラグ挿入部371の上部には、正常点灯ランプ375と異常点灯ランプ376の2つのLED(Light Emitting Diode)ランプと、リセットスイッチ212が配置されている。正常点灯ランプ375は一例としては緑色のランプであり、規定異常の地震が発生しておらず、かつ異常時対応壁埋め込み型コンセント200の内部の温度が正常であることを示す。正常点灯ランプ375が点灯している状態では、プラグ挿入部371に電源が供給されている。
【0080】
異常点灯ランプ376は一例としては赤色のランプであり、規定異常の地震が発生するか、異常時対応壁埋め込み型コンセント200の内部の温度が異常になったことを示す。異常点灯ランプ376が点灯している状態では、プラグ挿入部371に電源が供給されていない。ユーザは、異常の原因を探り、かつ利用する電気製品の状態を確認した後にリセットスイッチ212を押下する。このとき、異常の原因がなくなっていれば異常点灯ランプ376が消灯して代わりに正常点灯ランプ375が点灯し、プラグ挿入部371に電源の供給が開始される。異常時対応壁埋め込み型コンセント200に電源の供給が行われれば、第1および第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211、3212にも電源の供給が行われれることになる。
【0081】
もちろん、異常時対応壁埋め込み型コンセント200の電源の供給のオン・オフに係わらず、第1および第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211、3212に常に電源を供給したい場合がある。また、第1および第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211、3212には商用電源が復旧した時点でリセットスイッチ212のリセットの操作を待つまでもなく電源の供給を開始させる必要がある場合もある。たとえば地震情報を聞くためにラジオを第1の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211に接続していたり、インターネット接続用のルータを第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3212に接続している場合である。このような場合には、電線3411の一端を第2のリレー回路207の常閉接点216よりも電源の上流側に接続するようにすればよい。これにより、第2のリレー回路207の動作の有無に係わらず第1および第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211、3212に商用電源の供給が可能になる。
【実施例2】
【0082】
図17は本発明の第2の実施例による配線システムにおけるコンセントの接続関係を表わしたものである。第2の実施例の配線システム300Bで図15と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
【0083】
第2の実施例では、第3系統の電線306の他に第4系統の電線381が用意されている。第3系統の電線306の方には「震度7」以上の地震があったときに異常を検出する感震センサ1007を備えた異常時対応壁埋め込み型コンセント2007が、並列接続の1段目に接続されている。また、第4系統の電線381の方には「震度5」以上の地震があったときに異常を検出する感震センサ1005を備えた異常時対応壁埋め込み型コンセント2005が、並列接続の1段目に接続されている。一方の異常時対応壁埋め込み型コンセント2007の後段には、第1および第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211、3212が、電線3411、3412、3421、3422を用いて図15と同一の接続構造で接続されている。他方の異常時対応壁埋め込み型コンセント2005の後段には、第3および第4の通常時対応壁埋め込み型コンセント3213、3214が、電線3431、3432、3441、3442を用いて図15と同一の接続構造で接続されている。
【0084】
これにより、第2の実施例の配線システム300Bでは「震度5」以上で「震度7」未満の地震が発生したとき、異常時対応壁埋め込み型コンセント2005と第3および第4の通常時対応壁埋め込み型コンセント3213、3214がそれらの給電を一斉に停止する。また、震度7以上の地震が発生した場合には2つの異常時対応壁埋め込み型コンセント2005、107だけでなく、4つの通常時対応壁埋め込み型コンセント3211〜3214がそれらの給電を一斉に停止することになる。このように地震の程度に応じた配線システムを経済的に作成することができる。なお、この第2の変形例では異常な温度になったときの動作の説明を省略している。
【実施例3】
【0085】
図18は本発明の第3の実施例による配線システムを表わしたものである。第3の実施例の配線システム300Cで図15あるいは図17と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
【0086】
この第3の実施例では、「震度7」以上の地震があったときに異常を検出する感震センサ1007を備えた異常時対応壁埋め込み型コンセント2007の次の段に第1の通常時対応壁埋め込み型コンセント3211を接続し、その次の段に「震度5」以上の地震があったときに異常を検出する感震センサ1005を備えた異常時対応壁埋め込み型コンセント2005を接続している。そして更に次の段に第2の通常時対応壁埋め込み型コンセント3222を接続し、その次の段に「震度3」以上の地震があったときに異常を検出する感震センサ1003を備えた異常時対応壁埋め込み型コンセント2003を接続している。その更に次に第3の通常時対応壁埋め込み型コンセント3213を接続している。
【0087】
これにより、「震度3」以上「震度5」未満の地震が発生すると、異常時対応壁埋め込み型コンセント2003と第3の通常時対応壁埋め込み型コンセント3213の給電が停止する。また、「震度5」以上「震度7」未満の地震が発生すると、異常時対応壁埋め込み型コンセント2003と異常時対応壁埋め込み型コンセント2005ならびに第2および第3の通常時対応壁埋め込み型コンセント3212、3213の給電が停止することになる。更に「震度7」以上の地震が発生した場合には、図18に示したすべての埋め込み型コンセント2003、2005、2007、3211〜3213の給電が停止することになる。
【0088】
なお、この図18に示した接続構造では大きな震度の地震を検出する異常時対応壁埋め込み型コンセント200ほど図11に示したブレーカ302あるいは配電盤に近い側に配置されている。したがって、何らかの原因で震度の小さな側の異常時対応壁埋め込み型コンセント200が給電をオフにする制御に失敗しても、震度が大きくなってより大きな震度を検出する異常時対応壁埋め込み型コンセント200が動作すれば、それよりも後段ですべての給電が遮断される。したがって、より信頼性の高い異常時対策を採ることが可能になる。
【0089】
なお、以上説明した第1および第2の実施の形態および各実施例では地震と壁埋め込み型コンセントの温度上昇の異常について本発明を適用したが、他の異常を検出した場合にも本発明を同様に適用することができる。また、地震や異常温度の検出には各種の方法があり、第1および第2の実施の形態および各実施例で示した具体的な検出原理あるいは検出の構成に限定されるものではないことは当然である。更に本発明は地震以外の異常な振動に対しても適用されることは当然である。
【0090】
また、図7に示した感震センサ100や図12に示した感震センサ400は、単独に使用することができるセンサであり、必ずしも異常時対応壁埋め込み型コンセント200の内部に組み込んで使用する必要はない。たとえば、テーブルに置いて使用するガスコンロの側部に感震センサ100、400を取り付けて、その出力を保持する回路を用いてガスの放出を停止させることも可能である。
【0091】
以上説明した第1の実施の形態の感震センサ100、によれば、第1の圧縮バネ121や第2の圧縮バネ125のバネ圧を調整することで、地震の感度や皿状部116Aに対する振り子の先端部118CAを調整することができる。しかも、第2の関連技術では、振り子の震動によってその上に配置した錘を落下させるので、リセット時には落下した錘を正確に振り子の上端部にセットし直す必要があるが、第1の実施の形態の感震センサ100ではこのような複雑な機構を必要とせず、装置の信頼性を高めることができる。
【0092】
なお、感震センサ100、400を異常時対応壁埋め込み型コンセント200等の機器の内部に組み込む場合には、必ずしもセンサ自体を密閉構造にする必要はない。たとえば、図7に示した装置本体101等の部品の一部を省略したり、端子を装置内部に埋め込む等の工夫を行って、装置を簡略化して、感震センサの小型化や軽量化およびコストダウンを図ることができることは当然である。
【0093】
また、以上説明した実施例によれば、異常時対応壁埋め込み型コンセントの後続のコンセントが異常時対応壁埋め込み型コンセントでない通常時対応壁埋め込み型コンセントであっても異常時に電気製品に対して電源の供給を同様に絶つことができ、経済的な配線システムを構築可能であり、これにより通電に伴うトラブルの発生を大幅に減少させることができる。
【0094】
また、配電盤あるいは電源に近い側をより震度の大きな地震によって接点を絶つことで、何らかの障害で、より小さな地震に対して異常時対応壁埋め込み型コンセントがうまく動作しなくても他の異常時対応壁埋め込み型コンセントがより大きな地震による変位によって接点を絶ってこれよりも下流側の電源供給を遮断することができるので、信頼性を高めた配線システムを安価に構成することができる。
【0095】
更に異常時対応壁埋め込み型コンセントの表面には、正常時に点灯するLEDランプと、異常時に点灯するLEDランプとリセットスイッチを配置した。これにより、ユーザはコンセントに接続した家電製品等の電気器具が動作しないときに障害の切り分けを簡単に行うことができる。また、異常時に点灯するLEDランプが点灯している時には、リセットボタンを押す前に家電製品等の電気器具の安全性を確認することができる。
【0096】
なお、実施例では異常時対応壁埋め込み型コンセントが1組のプラグ挿入部371を備えることにしたが、たとえばアース挿入口374を省略して、2組のプラグ挿入部を備えるようにすることも可能である。また、実施の形態では、振り子118の頭部118Aの下半分を面114と同一の曲率の部分球面としたが、これよりも径の短い部分球面としてもよい。また、リセットスイッチの代わりに、機械的に外部から差し込んだ針金等の物体で第1の錘126、426を移動させるリセット用穴を設けてもよい。
【0097】
また、実施例では異常時対応壁埋め込み型コンセントが1回の比較的大きな振動の発生によって給電を絶つものとして説明したが、これに限るものではない。通常の地震は、大きな揺れが複数回同時に発生する。そこで、感震センサ内に電気的な計数回路を配置しておいて、2回以上の所定回数だけ連続してオフ状態が出現したとき異常な振動があったものと検出するようにしてもよい。これにより、異常時対応壁埋め込み型コンセントの使用者が誤って足や物体を異常時対応壁埋め込み型コンセントにぶつけたような場合に給電が停止するといった検出ミスを防止することができる。
【0098】
更に第1および第2の実施の形態および各実施例では異常時対応壁埋め込み型コンセントについて説明したが、本発明の異常時対応コンセントは、壁に埋め込んで使用するコンセントに限るものではない。コンセントが位置的に固定され、これに内蔵する感震センサが精度よく地震を感知できるものであれば、その名称の如何を問わない。たとえば、建築後の家屋や工場の柱や壁に主として取り付ける露出コンセントあるいは仮設コンセントと呼ばれるコンセントを固定して、プラグへ電源を供給する場合がある。このような柱や壁の表面から露出したコンセントに対しても本発明を適用することができるのは当然である。
【0099】
また、感知する震度の異なる複数の感震センサを使用して配線を行う場合、実施例で挙げた以外の各種の組み合わせで各コンセントの給電の制御を行うことができることも当然である。
【0100】
更に第1の実施の形態では、図7または図8で示したように、接触部118Cの先端部118CAが皿状部116Aの内面と接触するようにしたが、振動板116が先端部118CAと接触する部位は必ずしも皿状に窪んでいる必要はない。また、実施の形態では感震センサ100を密閉構造としたが、必ずしも密閉にする必要はない。
【0101】
図19は、図7に対応するもので、振動板の他の形状を示したものである。第1の実施の形態の変形例の感震センサ100Aでは、板状の振動板501の一部がプレス加工によって、円錐を所定の高さで水平に切断してその上部を取り除いたような凸状部501Aを形成している。この変形例の場合にも、金属製の振り子118が静止した状態で接触部118Cの先端部118CA(図5参照)が凸状部501Aの上部を形成する平坦な部位と接触する。そして、図19で一点鎖線で示したように振り子118が所定角度以上横揺れしたり、あるいは感震センサ100Aの上下方向の震動により錘126の当接片131(図9参照)が押し下げられることによって、先端部118CAと凸状部501Aが一時的に非接触となることになる。
【0102】
また、以上説明した第1の実施例〜第3の実施例は、第1の実施の形態のみならず、第2の実施の形態にも適用することができる。
【0103】
また、以上説明した実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0104】
(付記1)
内面が球面の一部をなし、その底部に水平方向に所定の径の開口部を有する皿状部材を振動の伝達を受ける所定の空間位置に固定した固定部と、
この固定部の前記皿状部材における前記球面と外接する外接面を外周部分に形成し、前記開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部と接すると共に前記開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部における前記頭部と反対側に配置され前記開口部の径よりも小径となった接触部とを備え、前記頭部と接触部とが電気的に導通しており、前記皿状部材の前記球面と前記頭部の前記外接面とが摺接することで特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、
貫通孔を備え前記棒状部の前記胴体部をこれに貫挿した重り部材と、この重り部材を上下動自在に前記棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、
前記棒状部が前記固定部に静止状態で垂直に保持されているときに前記接触部と電気的に接触して前記頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記棒状部が垂直方向に対して所定角度以上振れたとき、あるいは前記特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる接点を備えた接点部
とを具備することを特徴とする感震センサ。
【0105】
(付記2)
振動の伝達を受ける所定の空間位置に配置され水平方向に所定の径の開口部を有する支持部材と、
この支持部材の前記開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部の底面と接して前記開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部の前記頭部と反対側に位置する接触部とからなる導体部品であり、前記支持部材により前記頭部の下面を支持された状態で特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、
貫通孔を備え前記棒状部の前記胴体部をこれに貫挿した重り部材と、前記接触部をこの重り部材の底部から露出させた状態で上下動自在に前記棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、
頂部が前記開口部と所定の距離を置いて対向配置され、前記棒状部が静止状態にあるとき前記重り部材を含めたこの棒状部の自重により前記接触部の外周面と電気的に接触して前記頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記棒状部が前記静止状態にあるときの垂直方向となす角度よりも更に大きく振れたとき、あるいは前記特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき前記頭部との間の電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる突起状の接点部
とを具備することを特徴とする感震センサ。
【0106】
(付記3)
前記接点部と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチとを具備することを特徴とする付記1または付記2記載の感震センサ。
【0107】
(付記4)
前記接点部と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続のオン・オフによって励磁コイルのオン・オフ状態を切り替えてその接点をオン・オフ制御するリレー回路を更に具備することを特徴とする付記3記載の感震センサ。
【0108】
(付記5)
コンセント本体と、
このコンセント本体内部の特定部位に配置され、その内面が球面の一部をなし、その底部に水平方向に所定の径の開口部を有する皿状部材を前記コンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に固定した固定部と、この固定部の前記皿状部材における前記球面と外接する外接面を外周部分に形成し、前記開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部と接すると共に前記開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部における前記頭部と反対側に配置され前記開口部の径よりも小径となった接触部とを備え、前記頭部と接触部とが電気的に導通しており、前記皿状部材の前記球面と前記頭部の前記外接面とが摺接することで特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記棒状部の前記胴体部をこれに貫挿した重り部材と、この重り部材を上下動自在に前記棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、前記棒状部が前記固定部に静止状態で垂直に保持されているときに前記接触部と電気的に接触して前記頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記棒状部が垂直方向に対して所定角度以上振れたとき、あるいは前記特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる接点を備えた接点部とを有する感震センサと、
この感震センサの前記接点部の前記接点と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、
この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチ
とを具備することを特徴とする異常時対応コンセント。
【0109】
(付記6)
コンセント本体と、
このコンセント本体内部の特定部位に配置され、前記コンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に配置され水平方向に所定の径の開口部を有する支持部材と、この支持部材の前記開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部の底面と接して前記開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部の前記頭部と反対側に位置する接触部とからなる導体部品であり、前記支持部材により前記頭部の下面を支持された状態で特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記棒状部の前記胴体部をこれに貫挿した重り部材と、前記接触部をこの重り部材の底部から露出させた状態で上下動自在に前記棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、頂部が前記開口部と所定の距離を置いて対向配置され、前記棒状部が静止状態にあるとき前記重り部材を含めたこの棒状部の自重により前記接触部の外周面と電気的に接触して前記頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記棒状部が前記静止状態にあるときの垂直方向となす角度よりも更に大きく振れたとき、あるいは前記特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき前記頭部との間の電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる突起状の接点部とを有する感震センサと、
この感震センサの前記接点部の前記接点と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、
この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチ
とを具備することを特徴とする異常時対応コンセント。
【0110】
(付記7)
前記コンセント本体内部の他の特定部位に配置され、予め定めた温度以上の温度を感知したときその接点をオフにするサーモスイッチを具備し、前記保持回路は前記感震センサの前記接点部の前記接点と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続または前記サーモスイッチの接点のいずれかが少なくともオフになったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路であることを特徴とする付記5または付記6記載の異常時対応コンセント。
【0111】
(付記8)
コンセント本体と、このコンセント本体内部の特定部位に配置され、その内面が球面の一部をなし、その底部に水平方向に所定の径の開口部を有する皿状部材を前記コンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に固定した固定部と、この固定部の前記皿状部材における前記球面と外接する外接面を外周部分に形成し、前記開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部と接すると共に前記開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部における前記頭部と反対側に配置され前記開口部の径よりも小径となった接触部とを備え、前記頭部と接触部とが電気的に導通しており、前記皿状部材の前記球面と前記頭部の前記外接面とが摺接することで特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記棒状部の前記胴体部をこれに貫挿した重り部材と、この重り部材を上下動自在に前記棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、前記棒状部が前記固定部に静止状態で垂直に保持されているときに前記接触部と電気的に接触して前記頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記棒状部が垂直方向に対して所定角度以上振れたとき、あるいは前記特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる接点を備えた接点部とを有する感震センサと、この感震センサの前記接点部の前記接点と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチとを備えた異常時対応コンセントと、
この異常時対応コンセントよりも電源の下流側に配置され、前記電源の供給側に一端を接続された電線の他端を接続する入力側電線接続手段と、この入力側電線接続手段と接続されたプラグ接続端子と、前記入力側電線接続手段と電気的に接続され、後続のコンセントに電源を供給する出力側電線接続手段とを備えた通常時対応コンセントと、
前記異常時対応コンセントの前記保持回路の自己保持と前記リセットスイッチによる自己保持の解除に下流側の通常時対応コンセントが連動して電源の供給をオフまたはオンにして接続する導電性部材
とを具備することを特徴とする配線システム。
【0112】
(付記9)
コンセント本体と、このコンセント本体内部の特定部位に配置され、前記コンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に配置され水平方向に所定の径の開口部を有する支持部材と、この支持部材の前記開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部の底面と接して前記開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部の前記頭部と反対側に位置する接触部とからなる導体部品であり、前記支持部材により前記頭部の下面を支持された状態で特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記棒状部の前記胴体部をこれに貫挿した重り部材と、前記接触部をこの重り部材の底部から露出させた状態で上下動自在に前記棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、頂部が前記開口部と所定の距離を置いて対向配置され、前記棒状部が静止状態にあるとき前記重り部材を含めたこの棒状部の自重により前記接触部の外周面と電気的に接触して前記頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記棒状部が前記静止状態にあるときの垂直方向となす角度よりも更に大きく振れたとき、あるいは前記特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき前記頭部との間の電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる突起状の接点部とを有する感震センサと、この感震センサの前記接点部の前記接点と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチとを備えた異常時対応コンセントと、
この異常時対応コンセントよりも電源の下流側に配置され、前記電源の供給側に一端を接続された電線の他端を接続する入力側電線接続手段と、この入力側電線接続手段と接続されたプラグ接続端子と、前記入力側電線接続手段と電気的に接続され、後続のコンセントに電源を供給する出力側電線接続手段とを備えた通常時対応コンセントと、
前記異常時対応コンセントの前記保持回路の自己保持と前記リセットスイッチによる自己保持の解除に下流側の通常時対応コンセントが連動して電源の供給をオフまたはオンにして接続する導電性部材
とを具備することを特徴とする配線システム。
【0113】
(付記10)
前記異常時対応コンセントは、前記コンセント本体内部の他の特定部位に配置され、予め定めた温度以上の温度を感知したときその接点をオフにするサーモスイッチを具備し、前記保持回路は前記感震センサの前記接点部の前記接点と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続または前記サーモスイッチの接点のいずれかが少なくともオフになったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路であることを特徴とする付記8または付記9記載の配線システム。
【符号の説明】
【0114】
10、20、31b、32、42、61b、100、400 感震センサ
11、32a 固定部
12、22、32b、42b 棒状部
12a、22a 頭部
12b、22b 胴体部
12c、22c、419C 接触部
13、23、32c、42c 特定方向振動部
13a、23a 重り部材
13b、23b 弾性部材
14、24、32d、42d 接点部
21、42a 支持部材
23 特定方向振動部
30、40、61 異常時対応コンセント
31、41、61a コンセント本体
33、43、61c 保持回路
34、44、61d、212 リセットスイッチ
50、300、300A、300B、300C 配線システム
52、62 通常時対応コンセント
52a、62a 入力側電線接続手段
52b、62b プラグ接続端子
52c、62c 出力側電線接続手段
53、63 導電性部材
105、405 第1の電極板
106、406 第2の電極板
116、417 振動板
116A 皿状部
118、419 振り子
118C 接触部
121 第1の圧縮バネ
125 第2の圧縮バネ
126、426 第1の錘
131、431 第2の錘
201 第1のリレー回路
207 第2のリレー回路
214、215 刃受け金具
217 商用電源
218 サーモスイッチ
302 ブレーカ
321 通常時対応壁埋め込み型コンセント
417A 突起部
425 圧縮バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面が球面の一部をなし、その底部に水平方向に所定の径の開口部を有する皿状部材を振動の伝達を受ける所定の空間位置に固定した固定部と、
この固定部の前記皿状部材における前記球面と外接する外接面を外周部分に形成し、前記開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部と接すると共に前記開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部における前記頭部と反対側に配置され前記開口部の径よりも小径となった接触部とを備え、前記頭部と接触部とが電気的に導通しており、前記皿状部材の前記球面と前記頭部の前記外接面とが摺接することで特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、
貫通孔を備え前記棒状部の前記胴体部をこれに貫挿した重り部材と、この重り部材を上下動自在に前記棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、
前記棒状部が前記固定部に静止状態で垂直に保持されているときに前記接触部と電気的に接触して前記頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記棒状部が垂直方向に対して所定角度以上振れたとき、あるいは前記特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる接点を備えた接点部
とを具備することを特徴とする感震センサ。
【請求項2】
振動の伝達を受ける所定の空間位置に配置され水平方向に所定の径の開口部を有する支持部材と、
この支持部材の前記開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部の底面と接して前記開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部の前記頭部と反対側に位置する接触部とからなる導体部品であり、前記支持部材により前記頭部の下面を支持された状態で特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、
貫通孔を備え前記棒状部の前記胴体部をこれに貫挿した重り部材と、前記接触部をこの重り部材の底部から露出させた状態で上下動自在に前記棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、
頂部が前記開口部と所定の距離を置いて対向配置され、前記棒状部が静止状態にあるとき前記重り部材を含めたこの棒状部の自重により前記接触部の外周面と電気的に接触して前記頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記棒状部が前記静止状態にあるときの垂直方向となす角度よりも更に大きく振れたとき、あるいは前記特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき前記頭部との間の電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる突起状の接点部
とを具備することを特徴とする感震センサ。
【請求項3】
前記接点部と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチとを具備することを特徴とする請求項1または請求項2記載の感震センサ。
【請求項4】
前記接点部と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続のオン・オフによって励磁コイルのオン・オフ状態を切り替えてその接点をオン・オフ制御するリレー回路を更に具備することを特徴とする請求項3記載の感震センサ。
【請求項5】
コンセント本体と、
このコンセント本体内部の特定部位に配置され、その内面が球面の一部をなし、その底部に水平方向に所定の径の開口部を有する皿状部材を前記コンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に固定した固定部と、この固定部の前記皿状部材における前記球面と外接する外接面を外周部分に形成し、前記開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部と接すると共に前記開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部における前記頭部と反対側に配置され前記開口部の径よりも小径となった接触部とを備え、前記頭部と接触部とが電気的に導通しており、前記皿状部材の前記球面と前記頭部の前記外接面とが摺接することで特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記棒状部の前記胴体部をこれに貫挿した重り部材と、この重り部材を上下動自在に前記棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、前記棒状部が前記固定部に静止状態で垂直に保持されているときに前記接触部と電気的に接触して前記頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記棒状部が垂直方向に対して所定角度以上振れたとき、あるいは前記特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる接点を備えた接点部とを有する感震センサと、
この感震センサの前記接点部の前記接点と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、
この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチ
とを具備することを特徴とする異常時対応コンセント。
【請求項6】
コンセント本体と、
このコンセント本体内部の特定部位に配置され、前記コンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に配置され水平方向に所定の径の開口部を有する支持部材と、この支持部材の前記開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部の底面と接して前記開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部の前記頭部と反対側に位置する接触部とからなる導体部品であり、前記支持部材により前記頭部の下面を支持された状態で特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記棒状部の前記胴体部をこれに貫挿した重り部材と、前記接触部をこの重り部材の底部から露出させた状態で上下動自在に前記棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、頂部が前記開口部と所定の距離を置いて対向配置され、前記棒状部が静止状態にあるとき前記重り部材を含めたこの棒状部の自重により前記接触部の外周面と電気的に接触して前記頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記棒状部が前記静止状態にあるときの垂直方向となす角度よりも更に大きく振れたとき、あるいは前記特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき前記頭部との間の電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる突起状の接点部とを有する感震センサと、
この感震センサの前記接点部の前記接点と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、
この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチ
とを具備することを特徴とする異常時対応コンセント。
【請求項7】
前記コンセント本体内部の他の特定部位に配置され、予め定めた温度以上の温度を感知したときその接点をオフにするサーモスイッチを具備し、前記保持回路は前記感震センサの前記接点部の前記接点と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続または前記サーモスイッチの接点のいずれかが少なくともオフになったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路であることを特徴とする請求項5または請求項6記載の異常時対応コンセント。
【請求項8】
コンセント本体と、このコンセント本体内部の特定部位に配置され、その内面が球面の一部をなし、その底部に水平方向に所定の径の開口部を有する皿状部材を前記コンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に固定した固定部と、この固定部の前記皿状部材における前記球面と外接する外接面を外周部分に形成し、前記開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部と接すると共に前記開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部における前記頭部と反対側に配置され前記開口部の径よりも小径となった接触部とを備え、前記頭部と接触部とが電気的に導通しており、前記皿状部材の前記球面と前記頭部の前記外接面とが摺接することで特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記棒状部の前記胴体部をこれに貫挿した重り部材と、この重り部材を上下動自在に前記棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、前記棒状部が前記固定部に静止状態で垂直に保持されているときに前記接触部と電気的に接触して前記頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記棒状部が垂直方向に対して所定角度以上振れたとき、あるいは前記特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる接点を備えた接点部とを有する感震センサと、この感震センサの前記接点部の前記接点と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチとを備えた異常時対応コンセントと、
この異常時対応コンセントよりも電源の下流側に配置され、前記電源の供給側に一端を接続された電線の他端を接続する入力側電線接続手段と、この入力側電線接続手段と接続されたプラグ接続端子と、前記入力側電線接続手段と電気的に接続され、後続のコンセントに電源を供給する出力側電線接続手段とを備えた通常時対応コンセントと、
前記異常時対応コンセントの前記保持回路の自己保持と前記リセットスイッチによる自己保持の解除に下流側の通常時対応コンセントが連動して電源の供給をオフまたはオンにして接続する導電性部材
とを具備することを特徴とする配線システム。
【請求項9】
コンセント本体と、このコンセント本体内部の特定部位に配置され、前記コンセント本体から振動の伝達を受ける所定の空間位置に配置され水平方向に所定の径の開口部を有する支持部材と、この支持部材の前記開口部の径よりも大径となった頭部と、この頭部の底面と接して前記開口部の径よりも小径となった所定長の棒状の胴体部と、この胴体部の前記頭部と反対側に位置する接触部とからなる導体部品であり、前記支持部材により前記頭部の下面を支持された状態で特定点を回転中心として揺動自在に配置された棒状部と、貫通孔を備え前記棒状部の前記胴体部をこれに貫挿した重り部材と、前記接触部をこの重り部材の底部から露出させた状態で上下動自在に前記棒状部に支持する弾性部材とを備えた特定方向振動部と、頂部が前記開口部と所定の距離を置いて対向配置され、前記棒状部が静止状態にあるとき前記重り部材を含めたこの棒状部の自重により前記接触部の外周面と電気的に接触して前記頭部との間で電気的な接続のオン状態を保持する一方、前記棒状部が前記静止状態にあるときの垂直方向となす角度よりも更に大きく振れたとき、あるいは前記特定方向振動部が所定量以上上下動を行ったとき前記頭部との間の電気的な接続が少なくとも一時的にオフとなる突起状の接点部とを有する感震センサと、この感震センサの前記接点部の前記接点と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続がオフとなったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路と、この保持回路の自己保持を解除するリセットスイッチとを備えた異常時対応コンセントと、
この異常時対応コンセントよりも電源の下流側に配置され、前記電源の供給側に一端を接続された電線の他端を接続する入力側電線接続手段と、この入力側電線接続手段と接続されたプラグ接続端子と、前記入力側電線接続手段と電気的に接続され、後続のコンセントに電源を供給する出力側電線接続手段とを備えた通常時対応コンセントと、
前記異常時対応コンセントの前記保持回路の自己保持と前記リセットスイッチによる自己保持の解除に下流側の通常時対応コンセントが連動して電源の供給をオフまたはオンにして接続する導電性部材
とを具備することを特徴とする配線システム。
【請求項10】
前記異常時対応コンセントは、前記コンセント本体内部の他の特定部位に配置され、予め定めた温度以上の温度を感知したときその接点をオフにするサーモスイッチを具備し、前記保持回路は前記感震センサの前記接点部の前記接点と前記棒状部の前記頭部との電気的な接続または前記サーモスイッチの接点のいずれかが少なくともオフになったときこのオフとなった状態を自己保持する保持回路であることを特徴とする請求項8または請求項9記載の配線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−159618(P2011−159618A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163737(P2010−163737)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(591176340)杉本電器株式会社 (11)
【出願人】(505320160)第一通商株式会社 (3)
【Fターム(参考)】