説明

慢性炎症性応答の調節および自己免疫疾患の処置のためのIL−4由来ペプチド

本発明は、サイトカインインターロイキン4(IL−4)に由来する小ペプチドであって、IL−4受容体に結合することおよびマクロファージ活性化を阻害すること、それによって炎症性応答の開始を阻止することができる小ペプチドに関する。本発明は、IL−4が顕著な役割を演ずる様々な病的状態を治療する医薬の生産のための、前記ペプチドの使用にさらに関する。本発明は、IL−4由来の多くとも35個の連続するアミノ酸残基、または少なくとも70%同一である変異体からなる単離ペプチドを含む化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイトカインインターロイキン4(IL−4)に由来する小ペプチドであって、IL−4受容体に結合することおよびマクロファージ活性化を阻害すること、それによって炎症性応答の開始を阻止することができる小ペプチドに関する。本発明は、IL−4が顕著な役割を演ずる様々な病的状態を治療する医薬の生産のための、前記ペプチドの使用にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
炎症に関連する異常は、様々なヒト疾患の基礎をなす、大きな、無関係な障害群を含む。炎症に関連する障害の例には、喘息、慢性炎、および関節リウマチを含む自己免疫疾患が含まれる。慢性炎は、同時並行の活動性炎症、組織破壊および修復の試みを特徴とする病的状態である。関節リウマチ(RA)は、免疫系が関節を攻撃して、炎症(関節炎)および破壊を引き起こす原因になる、慢性、全身性の自己免疫障害である。それは、一部の器官、例えば肺および皮膚に損傷を与えることもできる。それは、機能および運動性の実質的な喪失をもたらすこともある、障害性および疼痛性の状態となることがある。それは、血液検査(特にリウマチ因子と呼ばれる検査)およびX線で診断される。
【0003】
自己免疫疾患で観察される炎症性反応は、細胞性プレーヤーおよび可溶性プレーヤーの両方を含む。RAの原因は、未知である。それは、様々な細胞、サイトカインおよび酵素の複雑な相互作用を含む。本疾患は、刺激性の抗原が関節に接して、免疫応答を誘発するときに始まる。抗原性の刺激は、CD4+リンパ球(T細胞)を活性化する。CD4+T細胞が活性化されると、マクロファージ、B細胞、線維芽細胞、軟骨細胞および破骨細胞の刺激を含む生物学的事象の複雑なカスケードが起こる。活性化マクロファージは、インターロイキン1(IL−1)、IL−6、IL−8、IL−15および腫瘍壊死因子α(TNF−α)などのサイトカインを分泌する(非特許文献1)。
【0004】
インターロイキン4(IL−4)は、CD4+T細胞(Th2細胞)によって分泌される。それは多面的サイトカインであり、様々な細胞型および組織に作用する。免疫細胞へのその作用は、B細胞の活性化および増殖、IgGおよびIgE生成、MHCクラスII誘導、T細胞の増殖および生存、Th2分化、肥満細胞増殖の強化、NK細胞におけるIL−2およびIL−12誘導のインターフェロンγ(INF−γ)分泌の強化、単球およびMo由来樹状細胞におけるC5aおよびC3aの下方制御、ならびにマクロファージ活性化の阻害をもたらす(非特許文献2;非特許文献3;Roland、2003年)。
【0005】
組換えヒトIL−4の構造は、いくつかの研究室でNMRおよびX線回折の両方法で決定された。それは、古典的な4ヘリックス束サイトカイン構造を有する(Mullerら、1995年)。IL−4は、他のサイトカインのように、細胞表面の受容体への結合によってその生物学的な活性を発揮する。ある受容体複合体は、2つの成分、IL−4Rα鎖(IL−4Rα)およびIL−2Rγ鎖(γc、サイトカインIL−2、IL−7、IL−9、IL−15およびIL−21によって共有される)によって構成され、I型IL−4Rと表され、一方、他の受容体複合体は、IL−4RαおよびIL13α鎖(IL−13Rα1)によって構成され、II型IL−4Rと呼ばれる。γcはほとんどの造血細胞および免疫細胞で発現されるので、IL−4は、I型IL−4Rを通してこれらの細胞に作用すると推定される。対照的に、IL−13Rα1の発現は、造血細胞および免疫細胞の中では、B細胞などの一部の系統に限定されているが、非免疫細胞では遍在的に検出される(Izuharaら、2002年)。したがって、IL4は、II型IL−4R/IL−13Rを通して非免疫細胞に作用する。
【0006】
その受容体α鎖(IL−4Rα)へのIL−4の結合は、Th2支配下の初期免疫応答の生成のための重要な事象である。ヒトIL−4とIL4−BP間の中間複合体の結晶構造は、2.3Å分解能で決定された(PDB ID:1IAR)。それは、2つのタンパク質の新規空間配向性、受容体に結合したIL−4の小さいが予想外の立体配置的変化、およびトランス相互作用残基の3つの別々のクラスターとの界面を明らかにする(Hageら、1999年)。Il4−Il4r共通のガンマ三元複合体の結晶構造が、最近解析された(PDB ID:3BPL;LaPorteら、2008年)。
【0007】
組換えIL−4は、いくつかの臨床試験を経ている。IL−4は、乾癬患者で有益であり、免疫機能のアンバランスを効果的に修正することが示された(Martin 2003年)。Escherichia coli由来の組換えヒトインターロイキン4(rhuIL−4)の安全性および耐容性は、様々な悪性腫瘍を有するヒト患者の第I相および第II相試験で評価されている。臨床試験は、rhuIL−4の皮下投与が5μg/kg/日という高用量で、さらに週3回の投与の場合には10μg/kgという高用量で、安全であり、かつ良好な耐容性を示すことを証明している。カニクイザルでの前臨床安全性試験は、rhuIL−4による毎日の反復投与の後にいくつかの有害作用を証明したが、ヒト患者では類似した影響は一般に観察されていない(Leachら、1997年)。最も一般的な毒性は、肝臓機能検査値の上昇、吐き気/嘔吐/下痢、倦怠感/疲労、浮腫、頭痛、筋痛/関節痛および発熱/悪寒であった。有望な前臨床の増殖阻害性および免疫調節性の効果にもかかわらず、この用量およびスケジュールのIL−4は、低い抗腫瘍活性しか示さなかった(Whiteheadら、1998年)。
【0008】
多くのヒト自己免疫疾患および炎症性疾患は、今でもコルチコステロイドと一般免疫抑制剤との組合せによって治療される。これらの疾患の病因のより深い理解は、より特異的である療法をもたらしている。これらの中で、組換えヒト化タンパク質は、将来の療法とみなされている。しかし、組換えタンパク質に基づく薬剤は、高い生産費、大きいバッチ間変動および保存中の変性を含むいくつかの欠点を有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Martinez FO, Sica A, Mantovani A, Locati M. Macrophage activation and polarization. Front Biosci.(2008)13、453〜61
【非特許文献2】Agnello D, Lankford CS, Bream J, Morinobu A, Gadina M, O’Shea JJ, Frucht DM. Cytokines and transcription factors that regulate T helper cell differentiation: new players and new insights. J Clin Immunol.(2003)23, 147〜61
【非特許文献3】Szegedi A, Aleksza M, Gonda A, Irinyi B, Sipka S, Hunyadi J, Antal−Szalmas P. Elevated rate of Thelper1 (T(H)1) lymphocytes and serum IFN−gamma levels in psoriatic patients. Immunol Lett.(2003)86, 277〜80
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、化学的に合成して、IL−4の機能的模倣薬として用いることができるIL−4の断片に関する。
【0011】
本発明は、IL−4由来の多くとも35個の連続するアミノ酸残基、または少なくとも70%同一である変異体からなる単離ペプチドを含む化合物に関する。そのようなアミノ酸配列を含む化合物は、本発明によると、i)IL−4受容体に結合すること、ii)炎症性応答を阻害すること、iii)マクロファージ活性化を阻害すること、iii)B細胞を活性化すること、iv)T細胞の増殖および生存を活性化すること、v)単球および樹状細胞でC5aおよびC3aを下方制御すること、vi)IL−4受容体の活性を調節することが可能である。
【0012】
したがって、本発明の別の態様は、本発明の化合物の医薬としての使用、および状態または疾患の治療のための医薬の調製のための使用に関し、i)IL−4受容体に結合すること、ii)炎症性応答を阻害すること、iii)マクロファージ活性化を阻害すること、iii)B細胞を活性化すること、iv)T細胞の増殖および生存を活性化すること、v)単球および樹状細胞でC5aおよびC3aを下方制御すること、vi)IL−4受容体の活性を調節することは、前記治療の一部である。
【0013】
さらに、別の態様では、本発明のペプチドまたは前記ペプチドを含む化合物は、抗体の生成のために用いてもよい。そのような抗体は、本発明のペプチド中のエピトープに結合する。
【0014】
本発明は、本発明のペプチド、または本発明のペプチド中のエピトープを認識することができる抗体を含む医薬組成物にさらに関する。
【0015】
本発明は、i)IL−4受容体に結合すること、ii)炎症性応答を阻害すること、iii)マクロファージ活性化を阻害すること、iii)B細胞を活性化すること、iv)T細胞の増殖および生存を活性化すること、v)単球および樹状細胞でC5aおよびC3aを下方制御すること、vi)IL−4受容体の活性を調節することが有益である状態の治療法であって、本発明の化合物、本発明の抗体、または前記ペプチド配列、前記化合物もしくは前記抗体を含む医薬組成物を、必要とする個体に投与するステップを含む方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、IL−4Rαの外部ドメインと複合体形成したIL−4の構造(PDB ID:1IAR)を示す図である。ペプチド1(配列番号2)(左)およびペプチド3(配列番号3)(右)の位置を、灰色で示す。
【図2】図2は、IL−4Rαの外部ドメインと複合体形成したIL−4の構造(PDB ID:1IAR)を示す図である。ペプチド3a(配列番号1)(左)およびペプチド4(配列番号4)(右)の位置を、灰色で示す。
【図3】図3は、γc共通受容体の外部ドメインと複合体形成したIL−4の構造(PDB ID:3BPL)を示す図である。ペプチド1(配列番号2)(左)およびペプチド3(配列番号3)(右)の位置を、灰色で示す。
【図4】図4は、IL−4Rαおよびγc共通受容体の外部ドメインと複合体形成したIL−4の構造(PDB ID:3BPL)を示す図である。ペプチド3a(配列番号1)(左)およびペプチド4(配列番号4)(右)の位置を、灰色で示す。
【図5】図5は、小脳顆粒ニューロン(cerebellar granule neuron)の培養での神経突起成長に対するIL−4由来のペプチドPh1(配列番号2)の効果を示す図である。P2dペプチドを、陽性対照として用いた(Sorokaら、2002年を参照)。
【図6】図6は、小脳顆粒ニューロンの培養での神経突起成長に対するPh2(配列番号3)の効果を示す図である。対照と比較した有意水準を以下のように表す:***=p<0.001。7回の独立した実験を実施した。
【図7】図7は、Ph2(配列番号3)で前処置したときのマクロファージによるTNF−αの分泌を示す図である。A:Ph2で前処置せず、IFN−γによって活性化しなかったとき(ストライプの棒)、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(白い棒)、または100μMヒドロコルチゾンで前処置し、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(黒い棒)のマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。非前処置の活性化マクロファージから放出されたTNF−αの量(白い棒)と比較した有意水準を、以下のように表す:***=p<0.001。B:0.01μg/ml IFN−γによる活性化の前に様々な濃度のPh2で前処置したときのマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。非前処置の活性化マクロファージから放出されたTNF−αの量(0の棒)と比較した有意水準を、以下のように表す:***=p<0.001。両図面の結果は、IFN−γによって活性化されただけの未処置対照に対する割合(%)として示す。6回の独立した実験からの結果を、対照についてと、Ph2濃度9、27、81および243μg/mlについて示す。
【図8】図8は、IL4rαへのPh2(配列番号3)の結合を示す図である。表面プラズモン共鳴の適用による結合試験。A:対照として、IL4とIL4rαとの間の結合を、IL4rαをチップ上に固定し、次にIL4を溶液中のチップの上に流すことによって調査した。B:Ph2とIL4rαとの間の結合を、Ph2をチップ上に固定し、IL4rαを溶液中のチップの上に流すことによって調査した。結果を分析し、KDをコンピュータソフトウェアBIAevaluationで計算した。
【図9】図9は、小脳顆粒ニューロンの培養での神経突起成長に対するPh3(配列番号1)の効果を示す図である。対照と比較した有意水準を以下のように表す:**=p<0.01。7回の独立した実験を実施した。
【図10】図10は、Ph3(配列番号1)で前処置したときのマクロファージによるTNF−αの分泌を示す図である。A:Ph3で前処置せず、IFN−γによって活性化しなかったとき(ストライプの棒)、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(白い棒)、または100μMヒドロコルチゾンで前処置し、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(黒い棒)のマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。非前処置の活性化マクロファージから放出されたTNF−αの量(白い棒)と比較した有意水準を、以下のように表す:***=p<0.001。B:0.01μg/ml IFN−γによる活性化の前に様々な濃度のPh3で前処置したときのマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。非前処置の活性化マクロファージから放出されたTNF−αの量(0の棒)と比較した有意水準を、以下のように表す:***=p<0.001。両図面の結果は、IFN−γによって活性化されただけの未処置対照に対する割合(%)として示す。6回の独立した実験からの結果を、対照についてと、Ph3濃度9、27および81μg/mlについて示す。
【図11】図11は、IL4rαへのPh3(配列番号1)の結合を示す図である。表面プラズモン共鳴の適用による結合試験。A:対照として、IL4とIL4rαとの間の結合を、IL4rαをチップ上に固定し、次にIL4を溶液中のチップの上に流すことによって調査した。B:Ph3とIL4rαとの間の結合を、Ph3をチップ上に固定し、IL4rαを溶液中のチップの上に流すことによって調査した。結果を分析し、KDをコンピュータソフトウェアBIAevaluationで計算した。
【図12】図12は、小脳顆粒ニューロンの培養での神経突起成長に対するPh4(配列番号4)の効果を示す。対照と比較した有意水準を以下のように表す:=p<0.05、**=p<0.01。5回の独立した実験を実施した。
【図13】図13は、Ph5(配列番号5)で前処置したときのマクロファージによるTNF−αの分泌を示す図である。A:Ph4で前処置せず、IFN−γによって活性化しなかったとき(ストライプ)、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(白色)、および100μMヒドロコルチゾンで前処置し、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(黒色)のマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。B:0.01μg/ml IFN−γによる活性化の前に9μg/mlのPh5で前処置したときのマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。2回の独立した実験を実施した。
【図14】図14は、Ph6(配列番号6)で前処置したときのマクロファージによるTNF−αの分泌を示す図である。A:Ph4で前処置せず、IFN−γによって活性化しなかったとき(ストライプ)、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(白色)、および100μMヒドロコルチゾンで前処置し、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(黒色)のマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。B:0.01μg/ml IFN−γによる活性化の前に様々な濃度のPh6で前処置したときのマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。2回の独立した実験を実施した。
【図15】図15は、Ph8(配列番号1)で前処置したときのマクロファージによるTNF−αの分泌を示す図である。A:Ph3で前処置せず、IFN−γによって活性化しなかったとき(ストライプの棒)、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(白い棒)、または100μMヒドロコルチゾンで前処置し、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(黒い棒)のマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。非前処置の活性化マクロファージから放出されたTNF−αの量(白い棒)と比較した有意水準を、以下のように表す:***=p<0.001。B:0.01μg/ml IFN−γによる活性化の前に様々な濃度のPh8で前処置したときのマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。非前処置の活性化マクロファージから放出されたTNF−αの量(0の棒)と比較した有意水準を、以下のように表す:***=p<0.001。両図面の結果は、IFN−γによって活性化されただけの未処置対照に対する割合(%)として示す。6回の独立した実験からの結果を、対照についてと、Ph8濃度9、27、81および243μg/mlについて示す。
【図16】図16は、Ph10(配列番号1)で前処置したときのマクロファージによるTNF−αの分泌を示す図である。A:Ph10で前処置せず、IFN−γによって活性化しなかったとき(ストライプの棒)、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(白い棒)、または100μMヒドロコルチゾンで前処置し、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(黒い棒)のマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。非前処置の活性化マクロファージから放出されたTNF−αの量(白い棒)と比較した有意水準を、以下のように表す:**=p<0.01。B:0.01μg/ml IFN−γによる活性化の前に様々な濃度のPh10で前処置したときのマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。非前処置の活性化マクロファージから放出されたTNF−αの量(0の棒)と比較した有意水準を、以下のように表す:**=p<0.01。両図面の結果は、IFN−γによって活性化されただけの未処置対照に対する割合(%)として示す。4回の独立した実験からの結果を、対照についてと、Ph10濃度9、27、81および243μg/mlについて示す。濃度54μg/mlのPh10では2つの実験だけしか実施されなかったので、これらのデータは統計分析に含まれなかった。
【図17】図17は、Ph12(配列番号19)で前処置したときのマクロファージによるTNF−αの分泌を示す図である。A:Ph12で前処置せず、IFN−γによって活性化しなかったとき(ストライプ)、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(白色)、および100μMヒドロコルチゾンで前処置し、0.01μg/ml IFN−γで活性化したとき(黒色)のマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。B:0.01μg/ml IFN−γによる活性化の前に様々な濃度のPh12で前処置したときのマクロファージから放出されたTNF−αの量の棒グラフ。2回の独立した実験を実施した。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による化合物は、インターロイキン4に由来する断片であってもよく、あるいは、天然もしくは組換えのインターロイキン4変異体などのインターロイキン4の変異体、例えば選択的スプライシングによって生成されるインターロイキン4変異体、または遺伝的多型、または任意の種類の組換えインターロイキン4に由来することができる。
【0018】
本発明によるペプチドは、IL−4受容体と相互作用すること、IL−4受容体シグナル伝達を調節すること、B細胞を活性化すること、T細胞の増殖および生存を活性化すること、単球および樹状細胞でC5aおよびC3aを下方制御すること、またはマクロファージ活性化を阻害することができるペプチドである。
【0019】
用語「調節」または「調節すること」は、変化、例えば阻害または刺激を意味する。用語「相互作用する」は、ペプチドとIL−4受容体との間の、影響を引き起こす結合などの作用を意味する。
【0020】
アミノ酸配列
本発明による化合物は、IL−4またはその断片もしくは変異体に由来する連続するアミノ酸配列からなるペプチドを含む。
【0021】
一実施形態では、本発明による化合物は、インターロイキン4(配列番号38)もしくはその断片に由来する多くとも35個の連続するアミノ酸、または配列番号38もしくはその断片と少なくとも70%同一である変異体からなるペプチドを含むことができる。
【0022】
ヒトIL−4前駆体のアミノ酸配列(Swiss−Prot ID:P05112)は、以下の通りである:
MGLTSQLLPP LFFLLACAGN FVHGHKCDIT LQEIIKTLNS LTEQKTLCTE
LTVTDIFAAS KNTTEKETFC RAATVLRQFY SHHEKDTRCL GATAQQFHRH
KQLIRFLKRL DRNLWGLAGL NSCPVKEANQ STLENFLERL KTIMREKYSK CSS
(配列番号38)。
【0023】
本発明によるペプチド配列は、多くとも35個の連続するアミノ酸残基、例えば3〜35アミノ酸残基、例えば3〜30、例えば3〜25、例えば5〜25、例えば7〜25、例えば8〜25、例えば10〜25、または12〜25、例えば14〜25個からなる。5〜25個の連続するアミノ酸残基を含む配列が好ましい。
【0024】
好ましい実施形態では、本発明の前記ペプチドは、IL−4のαヘリックスに由来する多くとも35個の連続するアミノ酸を含む。
【0025】
用語「αヘリックス」は、タンパク質の二次構造での共通モチーフを意味し、アルファヘリックス(αヘリックス)は右巻きまたは左巻きの立体構造であり、そこにおいてすべての骨格N−H基は、4残基前のアミノ酸の骨格C=O基に水素結合を供与する。
【0026】
好ましい実施形態では、本発明の前記ペプチドは、式
X1−X2−X3を有する配列を含み、式中、
X1はLであり、
X2は、I、Q、G、T、または荷電アミノ酸であり、
X3は、Q、Tまたは荷電アミノ酸である。
【0027】
好ましい一実施形態では、X2はIまたはQである。
【0028】
より好ましい実施形態では、X2はIである。
【0029】
別のより好ましい実施形態では、X2はQである。
【0030】
好ましい一実施形態では、X2は荷電アミノ酸である。
【0031】
好ましい実施形態では、X3は荷電アミノ酸である。
【0032】
より好ましい実施形態では、X3はRまたはEである。
【0033】
最も好ましい一実施形態では、X3はRである。
【0034】
別のより好ましい実施形態では、X3はEである。
【0035】
別の好ましい実施形態では、X3はQまたはTである。
【0036】
さらにより好ましい実施形態では、X1はLであり、X2はIであり、X3はRである。
【0037】
別のさらにより好ましい実施形態では、X1はLである、X2はQであり、X3はEである。
【0038】
最も好ましい実施形態では、本発明の前記ペプチドは、以下のアミノ酸配列
AQFHRHKQLIRFLKRA 配列番号1
AITLQEIIKTLNSA 配列番号2
ARFLKRLDRNLWGG 配列番号3
AERLKTIMREKYSKS 配列番号4
LQEIKTLN 配列番号5
KRLQQNLFGG 配列番号6
Ac−AQFHRHKQLIRFLKRA 配列番号7
QEIIKKL 配列番号8
AIQNQEEIKYLNS 配列番号9
AIILQEI 配列番号10
IVLQEII 配列番号11
TLGEIIKGVNS 配列番号12
VTLIDHSEEIFKTLN 配列番号13
LQERIKSLN 配列番号14
RLDRENVAVYNLW 配列番号15
LRSLDRNL 配列番号16
RLLRLDRN 配列番号17
RFLKRYFYNLEENL 配列番号18
RNKQVIDSLAKFLKR 配列番号19
RHKALIR 配列番号20
KKLIRYLK 配列番号21
RHKTLIR 配列番号22
MQDKYSKS 配列番号23
AERVKIEQREYKKYS 配列番号24
SQLIRFLKRLA 配列番号25
TVTDIFAASKNTT 配列番号26
TLENFLERLKTA 配列番号27
TEKEVLRQFYSA 配列番号28
KTLTELTKTLNS 配列番号29
AHKEIIKTLNSLQKA 配列番号30
AKTLSTELTVTA 配列番号31
STLENFLERLA 配列番号32
NEERLKTIMRA 配列番号33
RAATVLRQFYSR 配列番号34
KTLNSLTEQKT 配列番号35
AHRHKQLIRA 配列番号36
ATAQQFHRHKQA 配列番号37
の1つ、またはその変異体もしくは断片から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0039】
一実施形態では、本発明の前記ペプチドは、以下のアミノ酸配列
AQFHRHKQLIRFLKRA (配列番号1)
Ac−AQFHRHKQLIRFLKRA (配列番号7)
RHKALIR (配列番号20)
KKLIRYLK (配列番号21)
RHKTLIR (配列番号22)
SQLIRFLKRLA (配列番号25)
AHRHKQLIRA (配列番号36)
の1つ、またはその変異体もしくは断片から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0040】
一実施形態では、本発明の前記ペプチドは、以下のアミノ酸配列
AITLQEIIKTLNSA (配列番号2)
LQEIKTLN (配列番号5)
AIILQEI (配列番号10)
IVLQEII (配列番号11)
LQERIKSLN (配列番号14)
AHKEIIKTLNSLQKA (配列番号30)
の1つ、またはその変異体もしくは断片から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0041】
本文脈では、アミノ酸残基の標準の1文字コードに加えて、標準の3文字コードを適用する。アミノ酸の略記号は、IUPAC−IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature、Eur. J. Biochem、1984年、184巻、9〜37頁の推奨に従う。明細書および請求項全体で、天然のアミノ酸の3文字コードまたは1文字コードを用いる。L形またはD形が指定されていない場合、問題のアミノ酸は天然のL形、Pure & Appl. Chem. 56巻(5号)595〜624頁(1984年)を参照、またはD形を有することを理解すべきであり、したがって形成されるペプチドは、L形、D形またはL形およびD形の混合した配列のアミノ酸によって構成されてもよい。
【0042】
何も指定されていない場合、本発明による使用のためのペプチドのC末端アミノ酸は、遊離のカルボン酸として存在することを理解すべきであり、これは「−OH」と指定することもできる。しかし、本発明による使用のためのペプチドのC末端アミノ酸はアミド化された誘導体であることができ、それは「−NH」と示される。他に明示されていない場合、ポリペプチドのN末端アミノ酸は遊離のアミノ基を含み、これは「H−」と指定することもできる。
【0043】
本発明によるペプチド、その断片または変異体は、1つまたは複数の非天然アミノ酸を含むこともできる。
【0044】
本発明による好ましいペプチドは、IL−4の多くとも35個のアミノ酸残基を含む、単離された連続ペプチド配列である。本発明によるすべてのペプチドは、配列番号1〜37の配列のいずれかまたはその断片もしくは変異体から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を含むものと理解される。
【0045】
したがって、本発明の一部の実施形態は、配列番号1〜37から選択される配列の断片を含むペプチドに関するものでもよい。別の実施形態は、配列番号1〜37の変異体に関するものでもよい。
【0046】
一実施形態では、変異体断片は、配列番号38の断片と比較して異なる。変異体断片は、1つまたは複数の位置に異なるアミノ酸を有することによって、配列番号38の断片と異なることができる。好ましくは、変異体は最高10個のアミノ酸位置、より好ましくは最高8個の位置、例えば最高6個の位置、例えば最高5個の位置、例えば4、3、2または1個の位置で配列番号38の断片と異なる。そのような変異体は、1つまたは複数の化学的改変を有することなど、他の方法で配列番号38の断片と異なることもできる。
【0047】
配列番号1〜38の配列から選択されるアミノ酸配列の本発明による変異体は、以下であることができる。
【0048】
i) 選択された配列と少なくとも70%の同一性、例えば71〜75%の同一性、例えば76〜80%の同一性、例えば81〜85%の同一性、例えば86〜90%の同一性、例えば91〜95%の同一性、例えば96〜99%の同一性を有するアミノ酸配列であって、同一性は、それを選択された配列と照合したときの前記配列中の同一のアミノ酸の割合と定義される。アミノ酸配列間の同一性は、BLOSUM 30、BLOSUM 40、BLOSUM 45、BLOSUM 50、BLOSUM 55、BLOSUM 60、BLOSUM 62、BLOSUM 65、BLOSUM 70、BLOSUM 75、BLOSUM 80、BLOSUM 85またはBLOSUM 90などの周知のアルゴリズムを用いて計算することができる。
【0049】
ii) 選択された配列と少なくとも70%の正のアミノ酸マッチ、例えば71〜80%の正のアミノ酸マッチ、例えば81〜85%の正のアミノ酸マッチ、例えば86〜90%の正のアミノ酸マッチ、例えば91〜95%の正のアミノ酸マッチ、例えば96〜99%の正のアミノ酸マッチを有するアミノ酸配列であって、正のアミノ酸マッチは、類似した物理的および/または化学的特性を有するアミノ酸残基の、2つの比較した配列の同じ位置での存在と定義される。本発明の好ましい正のアミノ酸マッチは、KとR、EとD、LとM、QとE、IとV、IとL、AとS、YとW、KとQ、SとT、NとSおよびQとRである。
【0050】
iii) 選択された配列と同一であるか、または前記配列と少なくとも70%の同一性、例えば71〜80%の同一性、例えば81〜85%の同一性、例えば86〜90%の同一性、例えば91〜95%の同一性、例えば96〜99%の同一性を有するか、または選択された配列と少なくとも75%の正のアミノ酸マッチ、例えば76〜80%の正のアミノ酸マッチ、例えば81〜85%の正のアミノ酸マッチ、例えば86〜90%の正のアミノ酸マッチ、例えば91〜95%の正のアミノ酸マッチ、例えば96〜99%の正のアミノ酸マッチを有し、他の化学部分、例えばホスホリル、硫黄、アセチル、グリコシル部分を含むアミノ酸配列。
【0051】
用語「ペプチド配列の変異体」は、ペプチド配列が、例えばアミノ酸残基の1つまたは複数の置換によって改変されてもよいことも意味する。Lアミノ酸およびDアミノ酸の両方を用いることができる。他の改変は、エステル、糖などの誘導体、例えばメチルおよびアセチルエステル、ならびにポリエチレングリコール改変を含むことができる。
【0052】
さらに、ペプチドのアミン基は、アミドの酸部分が脂肪酸であるアミドに変換されてもよい。
【0053】
別の態様では、本発明によるアミノ酸配列の変異体は、同じ変異体もしくはその断片の中に、または異なる変異体もしくはその断片の間で、少なくとも1つの置換、例えばお互いに独立に導入される複数の置換を含むことができる。複合体の変異体、またはその断片は、したがってお互いに独立に保存的置換を含むことができ、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのグリシン(Gly)は、Ala、Val、LeuおよびIle、ならびにそれとは独立に変異体またはその断片からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのアラニン(Ala)は、Gly、Val、LeuおよびIle、ならびにそれとは独立に変異体またはその断片からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのバリン(Val)は、Gly、Ala、LeuおよびIle、ならびにそれとは独立に変異体またはその断片からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのロイシン(Leu)は、Gly、Ala、ValおよびIle、ならびにそれとは独立に変異体またはその断片からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのイソロイシン(Ile)は、Gly、Ala、ValおよびLeu、ならびにそれとは独立に変異体またはその断片からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのアスパラギン酸(Asp)は、Glu、AsnおよびGln、ならびにそれとは独立に変異体またはその断片からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのアスパラギン(aspargine)(Asn)は、Asp、GluおよびGln、ならびにそれとは独立に変異体またはその断片からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのグルタミン(Gln)は、Asp、GluおよびAsnからなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのフェニルアラニン(Phe)は、Tyr、Trp、His、Proからなるアミノ酸の群から選択され、好ましくはTyrおよびTrp、ならびにそれとは独立に変異体またはその断片からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのチロシン(Tyr)は、Phe、Trp、His、Pro、からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸、好ましくはPheおよびTrp、ならびにそれとは独立に変異体またはその断片からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記断片の少なくとも1つのアルギニン(Arg)は、LysおよびHis、ならびにそれとは独立に変異体またはその断片からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのリジン(Lys)は、ArgおよびHis、ならびにそれとは独立に変異体またはその断片からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのプロリン(Pro)は、Phe、Tyr、TrpおよびHis、ならびにそれとは独立に変異体またはその断片からなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換され、前記変異体またはその断片の少なくとも1つのシステイン(Cys)は、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Asn、Gln、Ser、ThrおよびTyrからなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換される。
【0054】
したがって上記から、ペプチド断片の同じ変異体または前記変異体の断片は、本明細書の上で定義される保存的アミノ酸の複数の群からの複数の保存的アミノ酸置換を含むことができることがわかる。用語「保存的アミノ酸置換」は、本明細書で用語「同種のアミノ酸置換」と同義で用いられる。
【0055】
保存的アミノ酸の群は、以下の通りである。
A、G(中性、弱疎水性)、
Q、N、S、T(親水性の、非荷電)
E、D(親水性、酸性)
H、K、R(親水性、塩基性)
L、P、I、V、M、F、Y、W(疎水性、芳香族)
C(架橋形成性) 。
【0056】
保存的置換は、本発明による使用のための好ましい所定のペプチドまたはその断片の、任意の位置に導入されてもよい。しかし、非保存的置換、特に、それに限定されないが、任意の1つまたは複数の位置に非保存的置換を導入することが望ましいこともある。
【0057】
本発明による使用のためのペプチドの変異体断片の形成をもたらす非保存的置換は、例えば極性が相当異なり、例えば無極性側鎖を有する残基(Ala、Leu、Pro、Trp、Val、Ile、Leu、PheまたはMet)が、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、AsnもしくはGlnなどの極性側鎖を有する残基、またはAsp、Glu、ArgもしくはLysなどの荷電アミノ酸を置換し、または荷電したもしくは極性の残基で無極性のものを置換し、ならびに/あるいはii)別の残基によるProもしくはGlyの置換またはProもしくはGlyへの置換などのように、ペプチド骨格の配向性に及ぼすその影響が相当異なり、ならびに/あるいはiii)例えばGluまたはAspなどの負荷電残基のLys、HisまたはArgなどの正荷電残基に対する置換(および、その逆)のように、電荷が相当異なり、ならびに/あるいはiv)例えばHis、Trp、PheまたはTyrなどのかさ高い残基のより小さな側鎖を有するもの、例えばAla、GlyまたはSerに対する置換(および、その逆)のように、立体的なかさが相当異なる。
【0058】
一実施形態では、アミノ酸の置換は、それらの疎水性および親水性の値、ならびに電荷、サイズなどを含むアミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性に基づいて加えることができる。
【0059】
本発明によるペプチドは、IL−4受容体と相互作用することができるペプチドである。
【0060】
一実施形態では、本発明によるペプチドは、IL−4受容体シグナル伝達を調節することができる。
【0061】
好ましい実施形態では、本発明によるペプチドは、IL−4シグナル伝達を刺激することができる。別の好ましい実施形態では、本発明によるペプチドは、IL−4受容体シグナル伝達を阻害することができる。
【0062】
別の実施形態では、本発明によるペプチドは、B細胞を活性化することができる。
【0063】
さらなる実施形態では、本発明によるペプチドは、T細胞の増殖および生存を活性化することができる。
【0064】
別の実施形態では、本発明によるペプチドは、単球および樹状細胞でC5aおよびC3aを下方制御することができる。
【0065】
さらに別の実施形態では、本発明によるペプチドは、マクロファージ活性化を阻害することができる。
【0066】
本発明によるアミノ酸配列の断片および変異体の両方は、前記配列の機能的同等物である。
【0067】
本文脈で、アミノ酸配列の「機能的同等物」という用語は、上記の前記アミノ酸配列の変異体または断片の基準を満たし、前記配列または前記配列を含む化合物の1つまたは複数の機能的活性が可能な分子を意味する。好ましい実施形態では、本発明によるアミノ酸配列の機能的同等物は、IL−4受容体と相互作用して、IL−4受容体シグナル伝達を調節することができる。
【0068】
本発明は、本発明による単離されたペプチドおよび本発明によるペプチドを含む融合タンパク質の両方に関する。
【0069】
一実施形態では、本発明によるペプチドは、単離されたペプチドである。用語「単離されたペプチド」は、本発明によるペプチドが個々の化合物であって、別の化合物の一部でないことを意味する。単離されたペプチドは、任意の組換え技法または化学合成の使用によって生成すること、および他の化合物から分離することができ、または、それは酵素的切断もしくは化学的切断の方法によってより長いポリペプチドもしくはタンパク質から分離すること、および他のタンパク質断片からさらに分離することができる。
【0070】
ペプチド配列は、単一コピーとして、すなわちペプチド配列の単量体として製剤化されて化合物に存在することができ、または、それは同じ配列のいくつかのコピーとして、例えば配列番号1〜37から選択される配列の2つ以上のコピー、または前記配列の断片もしくは変異体の2つ以上のコピーを含む多量体として存在することができる。
【0071】
別の実施形態では、本発明による単離されたペプチドは、配列番号1〜37またはその変異体から選択される、インターロイキン4に由来する連続するアミノ酸配列からなるインターロイキン4の断片を含むことができる。別の実施形態では、単離されたペプチドは、配列番号1〜37の配列の1つまたは複数からなることができる。
【0072】
ペプチド配列の生成
本発明のペプチド配列は、任意の従来の合成法、組換えDNA技術、ペプチド配列が由来する完全長タンパク質の酵素的切断、または前記方法の組合せによって調製することができる。
【0073】
合成調製物
ペプチドの合成的生成の方法は、当技術分野で周知である。合成ペプチドを生成するための詳細な説明ならびに実際的なアドバイスは、Synthetic Peptides: A User’s Guide(Advances in Molecular Biology)、Grant G. A.編、Oxford University Press、2002年、またはPharmaceutical Formulation: Development of Peptides and Proteins、FrokjaerおよびHovgaard編、Taylor and Francis、1999年で見ることができる。
【0074】
例えばペプチドは、Fmoc化学を用いて、およびAcm保護システインで合成することができる。逆相HPLCによる精製の後、例えば環状の、またはC末端もしくはN末端が改変されたアイソフォームを得るために、ペプチドをさらに処理することができる。環化および末端改変のための方法は当技術分野で周知であり、上で引用したマニュアルで詳細に記載されている。
【0075】
好ましい実施形態では、本発明のペプチド配列は、合成的に、特にSequence Assisted Peptide Synthesis(SAPS)法によって生成される。
【0076】
ペプチドは、ろ過のためのポリプロピレンフィルターを備えたポリエチレン容器でバッチ式に、または、側鎖官能基のためのN−a−アミノ保護基および適する共通保護基として9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)またはtert−ブチルオキシカルボニル(Boc)を用いる、完全自動化ペプチドシンセサイザー上でのポリアミド固相法(Dryland, A.およびSheppard, R.C.、(1986年)J.Chem. Soc. Perkin Trans. I、125〜137頁)の連続フローバージョンで合成することができる。
【0077】
組換え調製物
したがって、一実施形態では、本発明のペプチドは組換えDNA技術を用いて生成される。
【0078】
ペプチドまたはそのペプチドが由来する対応している完全長タンパク質をコードするDNA配列は、確立された標準の方法、例えばBeaucageおよびCaruthers、1981年、Tetrahedron Lett. 22巻:1859〜1869頁によって記載されるホスホアミジン(phosphoamidine)法、またはMatthesら、1984年、EMBO J. 3巻:801〜805頁によって記載される方法によって、合成的に調製することができる。ホスホアミジン法によると、オリゴヌクレオチドは、例えば自動DNAシンセサイザーで合成され、精製され、アニールされ、ライゲーションされ、適するベクターにクローニングされる。
【0079】
ペプチドをコードするDNA配列は、標準のプロトコル(Sambrookら、Molecular cloning: A Laboratory manual.第2版、CSHL Press、Cold Spring Harbor, NY、1989年)に従ってDNAアーゼIを用いて、ペプチド起源の対応する完全長タンパク質をコードするDNA配列の断片化によって調製することもできる。本発明は、上で特定されるタンパク質の群から選択される完全長タンパク質に関する。あるいは、本発明の完全長タンパク質をコードするDNAは、特異的制限エンドヌクレアーゼを用いて断片化することができる。DNAの断片は、Sambrookら、Molecular cloning: A Laboratory manual.第2版、CSHL Press、Cold Spring Harbor, NY、1989年に記載の標準手順を用いてさらに精製される。
【0080】
完全長タンパク質をコードするDNA配列は、ゲノム起源またはcDNA起源でもよく、例えば、ゲノムまたはcDNAライブラリーを調製し、標準手法に従って合成オリゴヌクレオチドプローブを用いるハイブリダイゼーションによって完全長タンパク質のすべてまたは一部をコードするDNA配列についてスクリーニングすることによって得られる(Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、1989年を参照)。DNA配列は、例えば米国特許第4,683,202号またはSaikiら、1988年、Science 239巻:487〜491頁に記載の特異的プライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応によって調製することもできる。
【0081】
DNA配列は、都合よく組換えDNA手順にかけることができる任意のベクターであってもよい組換え発現ベクターに次に挿入される。ベクターの選択は、それが導入される宿主細胞にしばしば依存する。したがって、ベクターは、自律的に複製するベクター、すなわちその複製は染色体複製に依存しない染色体外実体として存在するベクター、例えばプラスミドであることができる。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体(複数可)と一緒に複製されるものであってもよい。
【0082】
ベクターでは、ペプチドまたは完全長タンパク質をコードするDNA配列は、適するプロモーター配列に作動可能に連結されるべきである。プロモーターは、選択された宿主細胞で転写活性を示し、宿主細胞と同種または異種であるタンパク質をコードする遺伝子に由来してもよい、任意のDNA配列であることができる。哺乳動物の細胞でコードDNA配列の転写を指示するのに適するプロモーターの例は、SV40プロモーター(Subramaniら、1981年、Mol. Cell Biol. 1巻:854〜864頁)、MT−1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター(Palmiterら、1983年、Science 222巻:809〜814頁)またはアデノウイルス2主要後期プロモーターである。昆虫細胞で用いるのに適するプロモーターは、ポリヘドリンプロモーター(Vasuvedanら、1992年、FEBS Lett. 311巻:7〜11頁)である。酵母宿主細胞で用いるのに適するプロモーターには、酵母糖分解遺伝子(Hitzemanら、1980年、J. Biol. Chem. 255巻:12073〜12080頁、AlberおよびKawasaki、1982年、J. Mol. Appl. Gen. 1巻:419〜434頁)もしくはアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(Youngら、1982年、Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals、Hollaenderら編、Plenum Press、New York)からのプロモーター、またはTPI1(米国特許第4,599,311号)もしくはADH2−4c(Russellら、1983年、Nature 304巻:652〜654頁)プロモーターが含まれる。糸状菌宿主細胞で用いるのに適するプロモーターは、例えばADH3プロモーター(McKnightら、1985年、EMBO J. 4巻:2093〜2099年)またはtpiAプロモーターである。
【0083】
コードDNA配列は、適するターミネーター、例えばヒト成長ホルモンターミネーター(Palmiterら、前掲書)、または(真菌宿主の場合)TPI1(AlberおよびKawasaki、前掲書)もしくはADH3(McKnightら、前掲書)プロモーターに、作動可能に連結されてもよい。ベクターは、ポリアデニル化シグナル(例えばSV40またはアデノウイルス5Elb領域から)、転写エンハンサー配列(例えばSV40エンハンサー)および翻訳エンハンサー配列(例えば、アデノウイルスVA RNAをコードするもの)などのエレメントをさらに含むことができる。
【0084】
組換え発現ベクターは、ベクターが問題の宿主細胞で複製することを可能にするDNA配列をさらに含むことができる。そのような配列の例(宿主細胞が哺乳動物細胞である場合)は、SV40複製起点である。ベクターは、選択可能なマーカー、例えばその生成物は宿主細胞の欠損を補う遺伝子、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)をコードする遺伝子またはネオマイシン、ハイドロマイシンもしくはメトトレキセートなどの薬剤に対する抵抗性を与えるものを含むこともできる。
【0085】
ペプチドまたは完全長タンパク質をコードするDNA配列、プロモーターおよびターミネーターをそれぞれライゲーションして、複製のために必要な情報を含む適するベクターにそれらを挿入するために用いられる手順は、当分野の技術者に周知である(例えばSambrookら、前掲書を参照)。
【0086】
本発明の組換えペプチドを得るために、コードDNA配列を、第二のペプチドコード配列およびプロテアーゼ切断部位コード配列と有効に融合させ、融合タンパク質をコードするDNA構築物を与えることができ、そこで、プロテアーゼ切断部位コード配列は、HBP断片と第二のペプチドコードDNAとの間に位置し、組換え発現ベクターに挿入され、組換え宿主細胞で発現される。一実施形態では、前記第二のペプチドは、それらに限定されないが、グルタチオン−S−レダクターゼ、子ウシサイモシン、細菌チオレドキシンまたはヒトユビキチンの天然もしくは合成変異体、またはそのペプチドを含む群から選択される。別の実施形態では、プロテアーゼ切断部位を含むペプチド配列は、アミノ酸配列IEGR、エンテロキナーゼ、アミノ酸配列DDDDK、トロンビン、アミノ酸配列LVPR/GSを有する第Xa因子、またはアミノ酸配列XKXを有するAcharombacter lyticus切断部位であることができる。
【0087】
発現ベクターが導入される宿主細胞は、ペプチドまたは完全長タンパク質の発現が可能である任意の細胞であることができ、好ましくは真核細胞、例えば無脊椎動物(昆虫)の細胞または脊椎動物の細胞、例えばXenopus laevis卵母細胞または哺乳動物の細胞、特に昆虫および哺乳動物の細胞である。適する哺乳動物細胞系の例は、HEK293(ATCC CRL−1573)、COS(ATCC CRL−1650)、BHK(ATCC CRL−1632、ATCC CCL−10)またはCHO(ATCC CCL−61)細胞系である。哺乳動物細胞をトランスフェクトして、細胞に導入されたDNA配列を発現させる方法は、例えば、KaufmanおよびSharp、J. Mol. Biol. 159巻、1982年、601〜621頁、SouthernおよびBerg、1982年、J. Mol. Appl. Genet. 1巻:327〜341頁、Loyterら、1982年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79巻:422〜426頁、Wiglerら、1978年、Cell 14巻:725頁、CorsaroおよびPearson、1981年、Somatic Cell Genetics 7巻、603頁、Grahamおよびvan der Eb、1973年、Virol. 52巻:456頁、およびNeumannら、1982年、EMBO J. 1巻:841〜845頁に記載されている。
【0088】
あるいは、真菌細胞(酵母細胞を含む)を、宿主細胞として用いることができる。適する酵母細胞の例には、Saccharomyces種またはSchizosaccharomyces種の細胞、特にSaccharomyces cerevisiaeの株が含まれる。他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えばAspergillus種またはNeurospora種、特にAspergillus oryzaeまたはAspergillus nigerの株の細胞である。タンパク質の発現のためのAspergillus種の使用は、例えば欧州特許第238023号に記載されている。
【0089】
細胞を培養するために用いられる培地は、適当な補助剤を含む血清含有培地もしくは無血清培地などの、哺乳動物細胞の増殖に適する任意の従来の培地、または昆虫、酵母もしくは真菌の細胞の増殖に適する培地であることができる。適する培地は民間の納入業者から入手可能であるか、または公開レシピ(例えばAmerican Type Culture Collectionのカタログ)に従って調製することができる。
【0090】
次に、細胞によって組換えで生成されるペプチドまたは完全長タンパク質は、遠心分離またはろ過によって宿主細胞を培地から分離すること、塩、例えば硫安によって上清またはろ液のタンパク性成分を沈殿させること、様々なクロマトグラフィー法、例えばHPLC、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどによる精製を含む従来の方法によって培地から回収することができる。
【0091】
医薬
本発明の目的は、IL−4の活性を調節することができる化合物を提供することであり、本発明による前記化合物は、IL−4シグナル伝達の調節が治療のための必須の条件とみなすことができる疾患の治療のための医薬として用いることができる。
【0092】
したがって、本発明は、医薬の製造のための、IL−4由来の配列またはその断片もしくは変異体を含むペプチドの1つまたは複数の使用に関する。
【0093】
一実施形態では、本発明の医薬は、配列番号1〜37に示すアミノ酸配列、または前記配列の断片もしくは変異体の少なくとも1つを含む。別の実施形態では、本発明の医薬は、IL−4のエピトープもしくはその断片に結合することができる抗体、または前記抗体の断片もしくは変異体を含む。
【0094】
本発明の医薬は、上で定義される化合物の1つまたは複数、または上で定義される化合物を含む組成物の有効量を、薬学的に許容される添加剤と組み合わされて含む。そのような医薬は、経口、経皮、皮下、局所、筋肉内、静脈内、頭蓋内、クモ膜下、脳室内、経鼻(nasal)、鼻腔内(intranasal)または肺内投与(pulmonal administration)のために、あるいは関節包内またはその近くへの関節内投与(intraarticular administration)で補われる非経口投与のために、適切に製剤化することができる。
【0095】
一般に、本発明のペプチドに基づく医薬および組成物の製剤開発での戦略は、他の任意のタンパク質に基づく薬品の製剤戦略に対応する。可能性のある問題およびこれらの問題を克服するために必要とされる指針は、いくつかの教科書、例えば「Therapeutic Peptides and Protein Formulation. Processing and Delivery Systems」、A.K. Banga編、Technomic Publishing AG、Basel、1995年で扱われている。
【0096】
通常は、注射剤は、液体の溶液または懸濁液、注射の前に液体の溶液または懸濁液にするのに適する固体の形で調製される。調製物は、乳状にされてもよい。有効成分は、薬学的に許容され、有効成分に適合する賦形剤としばしば混合される。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノール等、およびそれらの組合せである。さらに、所望により、調製物は、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤などの補助物質、または調製物の有効性もしくは輸送を強化する補助物質を少量含むことができる。
【0097】
本発明の化合物の製剤は、当分野の技術者に公知である技術によって調製することができる。製剤は、薬学的に許容される担体および賦形剤、例えばマイクロスフェア、リポソーム、マイクロカプセル、ナノ粒子などを含むことができる。
【0098】
調製物は、任意選択で有効成分がその効果を発揮する部位に、注射によって好適に投与することができる。他の投与様式に適するさらなる製剤には、坐薬、鼻、肺および、場合によっては経口用の製剤が含まれる。坐薬のために、従来の結合剤および担体には、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドが含まれる。そのような坐薬は、0.5%〜10%、好ましくは1〜2%の範囲の有効成分(複数可)を含む混合物から形成することができる。経口製剤は、例えば医薬用のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような通常使用される賦形剤を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、持続的放出製剤または粉末の形をとり、一般に、10〜95%の有効成分(複数可)、好ましくは25〜70%を含有する。
【0099】
他の製剤は、鼻および肺投与に適するもの、例えば吸入器およびエアゾールである。
【0100】
活性化合物は、中性または塩の形として製剤化することができる。
【0101】
薬学的に許容される塩には、酸付加塩(例えば、ペプチド化合物の遊離アミノ基と形成される)、例えば塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸と形成される塩、またはギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸、サリチル酸ビスメチレン、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸と形成される塩が含まれる。遊離のカルボキシル基で形成される塩は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムまたは水酸化第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することもできる。
【0102】
薬学的に許容される無機または有機酸の付加塩のさらなる例には、参照により本明細書に組み込まれる、J. Pharm. Sci. 1977年、66巻、2頁に記載の薬学的に許容される塩が含まれる。金属塩の例には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムの塩などが含まれる。アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩の例には、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムの塩などが含まれる。
【0103】
調製物は、投薬製剤に適合する方法で、および治療的に有効となる量で投与される。投与される量は、例えば対象の体重および年齢を含む治療対象、治療する疾患ならびに疾患の病期によって決まる。適する投薬量範囲は、投与につき通常キロ体重あたり数百μg位の有効成分であり、好ましい範囲はキロ体重あたり約0.1μg〜5000μgである。化合物の単量体形を用いると、適する投薬量は、しばしば、キロ体重あたり0.1μg〜5000μgの範囲、例えばキロ体重あたり約0.1μg〜3000μgの範囲、特にキロ体重あたり約0.1μg〜1000μgの範囲である。化合物の多量体形を用いると、適する投薬量は、しばしば、キロ体重あたり0.1μg〜1000μgの範囲、例えばキロ体重あたり約0.1μg〜750μgの範囲、特にキロ体重あたり約0.1μg〜500μgの範囲、例えばキロ体重あたり約0.1μg〜250μgの範囲である。特に鼻から投与する場合、他の経路で投与するよりも小さな投薬量が用いられる。投与は1回実施することができるか、または以降の投与が続くことができる。投薬量は投与経路にも依存し、治療対象の年齢および体重によって異なる。多量体形の好ましい投薬量は、その間隔において70kg体重につき1mg〜70mgであろう。
【0104】
ほとんどの適用のために、局在化された、または実質的に局在化された適用が好ましい。
【0105】
本発明の化合物のいくつかは十分に活性であるが、他のいくつかについては、その調製物が薬学的に許容される添加剤および/または担体をさらに含む場合に、その効果は増強される。そのような添加剤および担体は、当技術分野で公知である。場合によっては、その標的への活性物質の送達を促進する化合物を含むことが有利となる。
【0106】
多くの例では、製剤を複数回投与する必要性がある。投与は脳室内注入などの連続注入であってもよく、または1日により多くの回数、毎日、1週により多くの回数、毎週など、より多くの用量での投与であってもよい。医薬の投与は、細胞死をもたらすことができる因子(複数可)に個体をさらす前または直後に開始されることが好ましい。好ましくは、医薬は因子の開始から8時間以内、例えば因子の開始から5時間以内に投与される。化合物の多くは長期間の効果を示し、それによって、化合物の投与は長い間隔、例えば1週間または2週間で行うことができる。
【0107】
神経ガイドでの使用に関連して、投与は、活性化合物(複数可)の制御放出に基づき、連続的であっても小部分に分けてもよい。さらに、放出の速度および/または放出の部位を制御するために、前駆体を用いてもよい。他の種類のインプラントおよび経口投与も、制御放出および/または前駆体の使用に同様に基づくことができる。
【0108】
上記のように、本発明は、分化を誘導するため、増殖を調節するため、再生、ニューロンプラスティシティおよび細胞のin vitroまたはin vivo生存を刺激するための個体の治療に関し、その治療は、上で定義される1つまたは複数の化合物の有効量を投与することを含む。
【0109】
投与のための別の戦略は、問題の化合物を発現および分泌することができる細胞を移植または注入することである。それによって、化合物は、それが作用する場所で生成させることができる。
【0110】
治療
本発明による化合物は、炎症性の疾患および状態を治療するために特に有用である。化合物は、下記疾患および状態のために有用であり、特に、関節リウマチおよび自己免疫疾患、ならびにアルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病に関連する炎症の治療のために有用である。
【0111】
本発明の化合物で治療することができる炎症関連の障害の例には、以下のものが含まれる。神経炎、アルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン舞踏病、喘息および他のアレルギー反応、自己免疫疾患、例えば急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、ALS、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫溶血性貧血、自己免疫肝炎、自己免疫内耳疾患、水疱性類天疱瘡、腹腔疾患、シャガス病、慢性閉塞性肺疾患、皮膚筋炎、1型糖尿病、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギランバレー症候群(GBS)、橋本病、化膿性汗腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、エリテマトーデス、斑状強皮症、多発性硬化症、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経ミオトニー、尋常天疱瘡、悪性貧血、多発筋炎、原発性胆汁性肝硬変、関節リウマチ、統合失調症、強皮症、シェーグレン症候群、SLE、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」としても公知である)、血管炎、白斑、ヴェーゲナー肉芽腫症;慢性炎、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、過敏性、炎症性腸疾患、骨盤炎症性疾患、再灌流損傷、関節リウマチ、移植拒絶、血管炎、骨関節炎、腱鞘炎および関節炎。
【0112】
治療は、非分解性病原体、持続的外来物体または自己免疫反応による持続的な急性炎症、中枢神経系の炎症性疾患、例えば急性感染性多発性神経炎、組織損傷を有する炎症性障害、HIV、肝炎、骨関節炎、腱鞘炎および関節炎を含む、髄膜炎、脳炎、炎症性および毒性神経障害の治療でもよい。
【0113】
一実施形態では、治療は、癌、アテローム硬化症および虚血性心疾患を含む、炎症過程に病原学的起源を有する非免疫性疾患のものでもよい。
【0114】
抗体
本発明の目的は、インターロイキン4に由来する連続アミノ酸配列またはその断片、同族体もしくは変異体を含むエピトープに選択的に結合することができる抗体、その抗原結合性断片または組換えタンパク質の使用を提供することである。本発明は、配列番号1〜37に示す配列のいずれかから選択されるインターロイキン4に由来する連続アミノ酸配列、または前記配列の断片もしくは変異体を含むエピトープに選択的に結合することができる任意の抗体に関する。
【0115】
用語「エピトープ」は、(その抗原の)抗体によって認識される特異的原子団(抗原分子上の)を意味する。用語「エピトープ」は、用語「抗原決定基」と同等である。エピトープは、近接して、例えば連続するアミノ酸配列中に位置するか、または抗原のアミノ酸配列の遠い部分に位置するがタンパク質の折たたみのために互いに近づいている、3つ以上のアミノ酸残基、例えば4、5、6、7、8個のアミノ酸残基を含むことができる。
【0116】
抗体分子は免疫グロブリンと呼ばれる血漿タンパク質のファミリーに属し、その基本的なビルディングブロックである免疫グロブリン折たたみまたはドメインは、免疫系および他の生体認識系の多くの分子で様々な形で用いられる。一般的な免疫グロブリンは、可変領域として公知である抗原結合性領域および定常領域として公知である非可変領域を含む、4つのポリペプチド鎖を有する。
【0117】
天然の抗体および免疫グロブリンは、通常、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖で構成される、約150,000ダルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質である。各軽鎖は1つの共有結合ジスルフィド結合によって重鎖に連結され、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で異なる。各重鎖および軽鎖は、規則正しく間隔をあけた鎖内部のジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、その一端に可変ドメイン(VH)と、それに続くいくつかの定常ドメインを有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を、その他方の端に定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第一の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖および重鎖可変領域の間で界面を形成すると考えられている(Novotny J.およびHaber E. Proc Natl Acad Sci USA. 82巻(14号):4592〜6頁、1985年)。
【0118】
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列によって、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの少なくとも五(5)個の主要なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG−1、IgG−2、IgG−3およびIgG−4;IgA−1およびIgA−2にさらに分類することができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれアルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)およびミュー(μ)と呼ばれる。抗体の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つの明らかに異なる型の1つに割り当てることができる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元配置は周知である。
【0119】
抗体の可変ドメインとの関連で用語「可変」は、可変ドメインの特定の部分が、抗体間で配列が広く異なることを指す。可変ドメインは結合のためであり、その特定の抗原に対する各特定の抗体の特異性を決定する。しかし、可変性は、抗体の可変ドメイン全体に均一に分布しているわけではない。それは、軽鎖および重鎖の可変ドメインの両方の、超可変領域としても公知である相補性決定領域(CDR)と呼ばれる3つの区分に集中している。
【0120】
可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは各々4つのFR領域を含み、そのほとんどはβシート配置を採用し、3つのCDRによって連結され、それらはβシート構造を連結するループを、場合によってはその一部を形成するループを形成する。各鎖のCDRは、FR領域によって他の鎖のCDRに近接して一緒に保持され、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。定常ドメインは抗体を抗原に結合することに直接関与していないが、抗体依存性細胞毒性への抗体の関与などの様々なエフェクター機能を示す。
【0121】
したがって本発明で使用することが企図されている抗体は、完全体免疫グロブリン、Fv、Fab、類似した断片などの抗体断片、可変ドメイン相補性決定領域(CDR)を含む単鎖抗体、および類似形態を含む様々な形態のいずれかでよく、それらのすべては、本明細書で用いる広い用語「抗体」に入る。本発明は、ポリクローナルまたはモノクローナルの抗体の任意の特異性の使用を企図し、特異的抗原を認識してそれと免疫反応する抗体に限定されない。下記の治療方法およびスクリーニング方法との関連で、好ましい実施形態は、本発明の抗原またはエピトープに免疫特異的である抗体またはその断片の使用である。
【0122】
用語「抗体断片」は、完全長抗体の一部、一般には抗原結合性または可変性の領域を指す。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)およびFv断片が含まれる。抗体のパパイン消化は、Fab断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合性断片を生成し、それぞれは単一の抗原結合部位、および、容易に結晶化するその能力のためにそのように呼ばれる、残留性「Fc」断片を含む。ペプシン処理は、抗原を架橋することができる2つの抗原結合性断片を有するF(ab’)断片、および残留性の他の断片(pFc’と呼ばれる)を与える。さらなる断片には、抗体断片から形成されるダイアボディ、線状抗体、単鎖抗体分子および多重特異性抗体を含めることができる。本明細書で用いるように、抗体に関する「機能的断片」は、Fv、F(ab)およびF(ab’)断片を指す。
【0123】
用語「抗体断片」は、用語「抗原結合性断片」と互換的に用いられる。
【0124】
抗体断片は、約4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、9アミノ酸、約12アミノ酸、約15アミノ酸、約17アミノ酸、約18アミノ酸、約20アミノ酸、約25アミノ酸、約30アミノ酸以上と同じくらい小さくてもよい。一般に、配列番号1〜37と本明細書で同定される配列のいずれかから選択されるペプチド配列または前記配列の断片を含むエピトープに特異的に結合する抗体と比較して、それが類似のまたは免疫学的特性を有する限り、本発明の抗体断片は、任意のサイズ上限を有することができる。したがって、本発明の文脈では、用語「抗体断片」は、用語「抗原結合性断片」と同一である。
【0125】
抗体断片は、その抗原または受容体に選択的に結合する多少の能力を保持する。数種類の抗体断片は、以下の通りに定義される。
【0126】
(1)Fabは、抗体分子の一価の抗原結合性断片を含む断片である。Fab断片は、完全体抗体を酵素パパインで消化して完全な軽鎖および1つの重鎖の一部を与えることによって生成することができる。
【0127】
(2)Fab’は、完全体抗体をペプシンで処理し、続いて還元して、完全な軽鎖および重鎖の一部を与えることによって得ることができる抗体分子の断片である。抗体分子につき2つのFab’断片が得られる。
【0128】
Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つまたは複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端でのいくつかの残基の付加によって、Fab断片と異なる。
【0129】
(3)(Fab’)は、完全体抗体を酵素ペプシンで処理し、その後還元しないことによって得ることができる抗体の断片である。
【0130】
(4)F(ab’)は、2つのジスルフィド結合によって一緒に保持される2つのFab’断片の二量体である。
【0131】
Fvは、完全な抗原認識および結合部位を含む、最小限の抗体断片である。この領域は、密接な、非共有的に結合した1つの重鎖および1つの軽鎖の可変ドメインの二量体からなる(V−V二量体)。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してV−V二量体の表面の抗原結合部位を規定するのは、この配置においてである。一緒になって、6つのCDRは、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRだけを含むFvの半分)でさえも、抗原を認識して結合する能力を有するが、親和性は結合部位全体よりも低い。
【0132】
(5)適するポリペプチドリンカーによって遺伝的に融合された単鎖分子として連結される、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含む遺伝子操作された分子として定義される単鎖抗体(「SCA」)。そのような単鎖抗体は、「単鎖Fv」または「sFv」抗体断片とも呼ばれる。一般には、Fvポリペプチドは、sFvが抗原結合のために所望の構造を形成するのを可能にする、VHおよびVLドメイン間のポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvのレビューのためには、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies 113巻:269〜315頁、RosenburgおよびMoore編、Springer−Verlag、NY、1994年、の中のPluckthunを参照。
【0133】
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指し、その断片は、同じポリペプチド鎖中に、軽鎖可変ドメイン(VL)に連結される重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH−VL)。同じ鎖の上で2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを用いることにより、ドメインは別の鎖の相補的ドメインと対合し、2つの抗原結合部位を形成することが強制される。ダイアボディは、例えば欧州特許第404,097号、国際公開第93/11161号、およびHollingerら、Proc. Natl. Acad Sci. USA 90巻:6444〜6448頁(1993年)でより詳細に記載されている。
【0134】
本発明は、少なくとも2つの結合性ドメインを有する多価抗体も企図する。結合性ドメインは、同じリガンドまたは異なるリガンドに対する特異性を有することができる。一実施形態では、多重特異的分子は、二重特異的抗体(BsAb)であり、それは少なくとも2つの異なる結合性ドメインを運び、そのうちの少なくとも1つは抗体起源である。多価抗体は、いくつかの方法によって生成することができる。二価または多価抗体を調製するための様々な方法が、例えば米国特許第5,260,203号、第5,455,030号、第4,881,175号、第5,132,405号、第5,091,513号、第5,476,786号、第5,013,653号、第5,258,498号および第5,482,858号に記載されている。
【0135】
本発明は、本発明によるエピトープに結合することができるポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両方、抗原結合性断片およびその組換えタンパク質を企図する。
【0136】
ポリクローナル抗体の調製は、当分野の技術者に周知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Greenら、1992年、Production of Polyclonal Antisera、Immunochemical Protocols(Manson編)、1〜5頁(Humana Press)、Coliganら、Production of Polyclonal Antisera in Rabbits, Rats Mice and Hamsters、Current Protocols in Immunology、セクション2.4.1を参照。
【0137】
モノクローナル抗体の調製は、同様に従来通りである。例えば、KohlerおよびMilstein、Nature、256巻:495〜7頁(1975年)、Coliganら、セクション2.5.1〜2.6.7、およびHarlowら、Antibodies: A Laboratory Manual、726頁、Cold Spring Harbor Pub.(1988年)を参照。モノクローナル抗体は、様々な確立された技術によってハイブリドーマ培養から単離、精製することができる。そのような単離技術には、プロテインAセファロースによるアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーが含まれる。例えば、Coliganら、セクション2.7.1〜2.7.12およびセクション2.9.1〜2.9.3、Barnesら、Purification of Immunoglobulin G (IgG)、Methods in Molecular Biology、1992年、10巻:79〜104頁、Humana Press、NYを参照。
【0138】
モノクローナル抗体のin vitroおよびin vivo操作の方法は、当分野の技術者に周知である。例えば、本発明に従って用いられるモノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein、1975年、Nature 256巻:495〜7頁によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製することができ、または、例えば米国特許第4,816,567号に記載の組換え法によって作製することができる。本発明で用いるためのモノクローナル抗体は、Clacksonら、1991年、Nature 352巻:624〜628頁、ならびにMarksら、1991年、J Mol Biol 222巻:581〜597頁に記載の技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。別の方法は、組換え手段によってモノクローナル抗体をヒト化して、ヒト特異的および認識可能な配列を含む抗体を生成することを含む。レビューのためには、Holmesら、1997年、J Immunol 158巻:2192〜2201頁およびVaswaniら、1998年、Annals Allergy, Asthma & Immunol 81巻:105〜115頁を参照。
【0139】
本明細書で用いる用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量存在することのある可能な天然の突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原部位に向けられる。さらに、異なる決定因子(エピトープ)に対する異なる抗体を一般に含む従来のポリクローナル抗体調製物と対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定因子に向けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンに汚染されずに、ハイブリドーマ培養によって合成されるという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の特性を示し、任意の特定の方法による抗体の生成を要求するものと解釈されてはならない。
【0140】
本明細書で、具体的にモノクローナル抗体には、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するか特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一または相同であるが、鎖(複数可)の残りは、別の種に由来するか別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体、ならびに、それらが所望の生物学的な活性を示す限り、そのような抗体の断片の対応配列と同一または相同である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)が含まれる(米国特許第4,816,567号)、Morrisonら、1984年、Proc Natl Acad Sci 81巻:6851〜6855頁。
【0141】
抗体断片を作製する方法も、当技術分野で公知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、NYを参照)。本発明の抗体断片は、抗体のタンパク分解性加水分解によって、または断片をコードするDNAのE.coliでの発現によって調製することができる。抗体断片は、従来の方法による完全体抗体のペプシンまたはパパイン消化によって得ることができる。例えば、抗体断片は、ペプシンによる抗体の酵素切断によって、F(ab’)で表される5S断片を提供することによって生成することができる。この断片は、チオール還元剤、および任意選択でジスルフィド結合の切断から生じるスルフヒドリル基のブロック基を用いてさらに切断し、3.5S Fab’一価断片を生成することができる。あるいは、ペプシンを用いる酵素切断は、2つの一価Fab’断片およびFc断片を直接に生成する。これらの方法は、例えば米国特許第4,036,945号および米国特許第4,331,647号、およびそこに含まれる参考文献に記載されている。これらの特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0142】
完全な抗体によって認識される抗原にその断片が結合する限り、抗体を切断する他の方法、例えば重鎖を分離して一価の軽鎖−重鎖断片を形成すること、さらなる断片切断、または他の酵素的、化学的もしくは遺伝的技術を用いることもできる。例えば、Fv断片は、VおよびV鎖の結合を含む。この結合は非共有結合であってもよく、または、可変鎖は分子間ジスルフィド結合によって連結されてもよく、もしくはグルタルアルデヒドなどの化学物質によって架橋されてもよい。好ましくは、Fv断片は、ペプチドリンカーによって連結されるVおよびV鎖を含む。これらの単鎖抗原結合性タンパク質(sFv)は、オリゴヌクレオチドによって連結されるVおよびVドメインをコードするDNA配列を含む構造遺伝子を構築することによって調製される。構造遺伝子は発現ベクターに挿入され、その後、それはE.coliなどの宿主細胞に導入される。組換え宿主細胞は、2つのVドメインを架橋するリンカーペプチドで、単一のポリペプチド鎖を合成する。sFvを生成する方法は、例えばWhitlowら、1991年、Methods: A Companion to Methods in Enzymology、2巻:97頁、Birdら、1988年、Science 242巻:423〜426頁、米国特許第4,946,778号およびPackら、1993年、BioTechnology11巻:1271〜77頁に記載されている。
【0143】
抗体断片の別の形は、単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRペプチド(「最小認識単位」)は、抗原の認識および結合にしばしば関与する。CDRペプチドは、対象の抗体のCDRをコードする遺伝子をクローニングまたは構築することによって得ることができる。そのような遺伝子は、例えばポリメラーゼ連鎖反応を用いて、抗体産生細胞のRNAから可変領域を合成することによって調製される。例えば、Larrickら、Methods: a Companion to Methods in Enzymology、2巻、106頁(1991年)を参照。
【0144】
本発明は、ヒト以外(例えばマウス)の抗体のヒト形態およびヒト化形態を企図する。そのようなヒト化抗体は、ヒト以外の免疫グロブリンに由来する最小限の配列、例えばエピトープ認識配列を含むキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)または抗体の他の抗原結合性部分配列)である。大部分、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する、マウス、ラットまたはウサギなどのヒト以外の種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置換されている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。本発明の抗体(複数可)の最小限の配列(複数可)を含むヒト化抗体(複数可)、例えば本明細書に記載のエピトープ(複数可)を認識する配列(複数可)は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0145】
場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応するヒト以外の残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体でもインポートされたCDRおよびフレームワーク配列でも見出されない残基を含むこともできる。これらの改変は、抗体能力をさらに洗練および最適化するために加えられる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、一般的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、そのCDR領域のすべてまたは実質的にすべてはヒト以外の免疫グロブリンのそれらに対応し、そのFR領域のすべてまたは実質的にすべてはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のそれらである。ヒト化抗体は、最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)、一般的にはヒト免疫グロブリンのそれの少なくとも一部も含む。詳しくは、以下を参照のこと。Jonesら、1986年、Nature 321巻、522〜525頁、Reichmannら、1988年、Nature 332巻、323〜329頁、Presta、1992年、Curr Op Struct Biol 2巻:593〜596頁、Holmesら、1997年、J Immunol 158巻:2192〜2201頁およびVaswaniら、1998年、Annals Allergy, Asthma & Immunol 81巻:105〜115頁。
【0146】
抗体の生成は、配列番号1〜37と同定される配列のいずれかから選択される配列の天然または組換えの断片を抗原として用いる、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を生成するための当技術分野の任意の標準方法によって達成することができる。そのような抗体は、配列番号1〜37の変異体または断片を用いて生成することもできる。
【0147】
抗体は、例えば、その個体に本発明による免疫原性断片を投与することによって、治療される個体がin vivoで生成することもできる。したがって、本発明は、上記の免疫原性断片を含むワクチンにさらに関する。
【0148】
本出願は、上記の免疫原性断片を提供するステップを含む、本発明の抗体を生成する方法にも関する。
【0149】
本発明は、IL−4の生物機能、特に炎症に関係する機能を調節すること、例えば増強または減弱させることができる抗体、およびその生物学的な活性を調節することなくIL−4を認識し、特異的に結合することができる抗体の両方に関する。
【0150】
本発明は、IL−4の活性の調節を含む治療的適用のための上記抗体の使用に関する。
【0151】
一態様では、本発明は、上記抗体を含む医薬組成物の使用に関する。
【実施例】
【0152】
(実施例1)
IL−4に由来する4つのペプチドを設計、合成した(配列番号1〜4)。ペプチド位置のマッピングを、PyMOL v0.99(DeLano Scientific LLC、South San Francisco、California、U.S.A)に基づいてPyMOL(商標)ソフトウェアを使用して実施した。これは、ヒトIl4−Il4r−Il13ra、PDB ID:3BPNおよび3BPLの三元複合体の結晶構造に基づいて実行された(LaPorteら、2008年)。
【0153】
IL−4は、IL−4Rαの細胞外部分の2つのフィブロネクチンIII型モジュール(FN3−1およびFN3−2)と相互作用する(図1および2)。IL−4は、IL−4Rαおよびγcの細胞外部分の2つのフィブロネクチンIII型モジュール(FN3−1およびFN3−2)と相互作用する(図3および4)。
【0154】
(実施例2)
それらが任意の生物学的な活性を有するかどうかにかかわらず、IL−4に由来する4つのペプチドを神経突起成長アッセイで試験した。
【0155】
小脳顆粒ニューロン(CGN)は、出産後(P)3日または7日のウィスターラット(Charles River、Sulzfeld、GermanyまたはTaconic、Ejby、Denmark)から調製した。小脳は髄膜および血管を取り除き、チョッピングによって粗くホモジナイズし、Sigma−Aldrich(Brondby、Denmark)のトリプシンでトリプシン処理をした。ニューロンをDNアーゼ1および大豆トリプシンインヒビター(Sigma−Aldrich)の存在下で洗浄し、細胞破片は平板培養の前に遠心分離によってペレットにした。単細胞培養実験のために、P7のCGNを、0.4%(w/v)BSAを加えたNeurobasal−A培地中の未コーティング8ウェルLab−Tekチャンバスライド(NUNC、Slangerup、Denmark)の上へ、10,000細胞/ウェルの密度で平板培養した。平板培養の直後に様々な濃度のペプチドを培地に加え、細胞を37℃および5%COに24時間維持した。次に、前に記載のとおり、培養物を固定、ブロックし、ラットGAP−43に対するポリクローナルウサギ抗体(Chemicon、Temecula、CA、USA)とインキュベートし、その後Alexa Fluor488ヤギ抗ウサギ二次抗体(Molecular Probes、Eugene、OR、USA)とのインキュベーションが続いた(Neiiendamら、2004年)。免疫染色した培養のすべてを、Nikon Plane 20×対物レンズを備えたNikon Diaphot倒立顕微鏡(Nikon、日本国)を用いて、コンピュータによる蛍光顕微鏡検査によって記録した。画像は、Protein Laboratory(University of Copenhagen、Copenhagen、Denmark)で開発されたソフトウェアパッケージPrimaを用いて、電荷結合素子ビデオカメラ(Grundig Electronics、Nurnberg、Germany)で獲得した。細胞あたりのニューロン突起の長さは、Protein Laboratory(Ronnら2000年)で開発されたソフトウェアパッケージProcess Lengthを用いて推定した。神経突起成長の推定のために、個々の各実験の群ごとに、少なくとも200±20細胞を処理した。
【0156】
結果:
IL−4結合部位からの配列番号1、2、3および4を有するペプチドは、一次ニューロンから神経突起生成応答を誘発することが見出された。小脳神経突起成長に及ぼす配列番号1、2、3および4の影響の結果を、それぞれ図5、6、9および12に示す。
【0157】
(実施例3)
一次マクロファージ細胞(または、AMJ2C8マクロファージ細胞系の細胞、Ryanら、1997年を参照)は、37℃、5%COおよび95%湿度の12ウェルプレート(Nunc、Slangerup、Denmark)で、6×10−5細胞/mlの密度で24時間培養することができる。LPS刺激に応じるTNF−α放出の測定のために、3反復の培養を10%FCS含有DMEMで24時間培養し、次に0〜10μg/mlのLPSで追加の24時間刺激し、その後培養上清を収集した。LPS処理マクロファージからのならし培地中のTNF−α濃度の測定は、アクチノマイシンDへの曝露後にTNF−α感受性であったL929線維芽細胞様細胞を使用して実行した(Heら、2002年)。L929細胞を、ウェルにつき20,000細胞の密度で96ウェルプレートに播種し、37℃、5%COの、10%FCSおよび0.5%ペニシリン−ストレプトマイシン含有RPMI 1640で維持した。TNF−αバイオアッセイとして用いる1時間前に、L929細胞を5μg/mlアクチノマイシン(actrinomycin)D(Sigma)で前処理し、LPS処理マクロファージ培養からの様々な希釈のならし培地とさらにインキュベートした。次に、CellTiter 96アッセイ(Promega、Madison、WI、USA)を用いて細胞生存度を評価した。
【0158】
マクロファージ活性化試験系
・マクロファージを、1ウェルにつき9.6cmを有する6ウェルマルチディッシュに、密度10,000細胞/ウェルで播種した。
【0159】
・潜在的な抗炎症効果を有するペプチドまたはタンパク質を、培養に加えた。陰性対照として、培地を1つのウェルに加え、陽性対照として、100μMヒドロコルチゾンを1つのウェルに加えた。
【0160】
・細胞培養を、37℃で24時間インキュベートした。
【0161】
・マクロファージを活性化するために、IFN−γを濃度0.01μg/mlでマクロファージ培養に加えた。対照として、1つのウェルには培地以外IFN−γを加えなかった。
【0162】
・線維芽細胞を、濃度0.2×10細胞/mlで96ウェルプレートに播種した。
【0163】
・両細胞培養を、37℃で24時間インキュベートした。
【0164】
マクロファージからのならし培地は、1200rpmで5分間細胞液を遠心回転させることによって収集した。ならし培地を線維芽細胞に加え、TNF−αを滴定曲線のために加え、最後に、アクチノマイシンDを濃度0.5μg/mlで線維芽細胞に加えた。
【0165】
結果:
マクロファージ細胞培養での炎症性応答の阻害に及ぼす、配列番号1、3、5、6および19を有するペプチドの影響を試験した。結果を、図7、10および13〜17に示す。
【0166】
(実施例4)
表面プラズモン共鳴(SPR)分析を用いる結合試験
組換えIL4Rαを、CM5センサーチップの上に固定した。固定化工程は、35μlの活性化液でカルボキシメチル化デキストランマトリックスを活性化し、続いて10mM酢酸ナトリウム溶液(pH5.0)中のタンパク質の注射によって実行した。所望レベルのタンパク質を固定化した後、35μlの失活液を注入して、デキストランマトリックス中のあらゆる遊離のカルボキシメチル化基を不活性化する。対照として、1つのフローセルは常に空であった。各分析物(組換えIL−4またはIL−4由来のペプチド)をPBSで希釈し、10μl/分の流速で注入した。得られたデータは、BiacoreのソフトウェアBIAevaluation v.4を用いて非線形カーブフィッティングを実施することによって分析した。1:1の複合体の2つの分子の相互作用を記載する、1:1のラングミュア結合モデルに曲線をあてはめた。結合速度定数(k)および解離速度定数(k)から、親和定数(K)を計算した。これは、以下の式を用いて実行し、式中、Lは固定化リガンドであり、Aは分析物であり、LAは分析物−リガンド複合体である。
【0167】
ラングミュア1:1モデル:
【0168】
【化1】

リガンド濃度の低下速度:
【0169】
【化2】

生成物濃度の増加速度:
【0170】
【化3】

【0171】
【化4】

結果:
Ph2(配列番号3)とIL4rαとの間、およびPh3(配列番号1)とIL4rαとの間の結合を試験した。結果をそれぞれ図8および11に示す。
【0172】
参考文献
【0173】
【化5】

【0174】
【化6】

【0175】
【化7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロイキン4(配列番号38)もしくはその断片に由来する多くとも35個の連続するアミノ酸残基、または配列番号38と少なくとも70%同一である変異体もしくはその断片からなるペプチドを含む化合物。
【請求項2】
前記ペプチドが、式X1−X2−X3を有する配列を含み、式中、
X1はLであり、
X2は、I、Q、G、Tまたは荷電アミノ酸であり、
X3は、Q、Tまたは荷電アミノ酸である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X2がIまたはQである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
X2がIである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
X2がQである、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
X2が荷電アミノ酸である、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
X3が荷電アミノ酸である、請求項2から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
X3がRまたはEである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
X3がRである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
X3がEである、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
X3がQまたはTである、請求項2から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
X1がL、X2がI、X3がRである、請求項2に記載の化合物。
【請求項13】
X1がL、X2がQ、X3がEである、請求項2に記載の化合物。
【請求項14】
前記ペプチドがIL−4受容体と相互作用することができる、上記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
前記ペプチドがIL−4のαヘリックスの一部を含む、上記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
前記ペプチドがIL−4受容体シグナル伝達を調節することができる、上記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
前記ペプチドがIL−4受容体シグナル伝達を刺激することができる、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
前記ペプチドがIL−4受容体シグナル伝達を阻害することができる、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
前記ペプチドが以下の配列
AQFHRHKQLIRFLKRA (配列番号1)
AITLQEIIKTLNSA (配列番号2)
ARFLKRLDRNLWGG (配列番号3)
AERLKTIMREKYSKS (配列番号4)
LQEIKTLN (配列番号5)
KRLQQNLFGG (配列番号6)
Ac−AQFHRHKQLIRFLKRA (配列番号7)
QEIIKKL (配列番号8)
AIQNQEEIKYLNS (配列番号9)
AIILQEI (配列番号10)
IVLQEII (配列番号11)
TLGEIIKGVNS (配列番号12)
VTLIDHSEEIFKTLN (配列番号13)
LQERIKSLN (配列番号14)
RLDRENVAVYNLW (配列番号15)
LRSLDRNL (配列番号16)
RLLRLDRN (配列番号17)
RFLKRYFYNLEENL (配列番号18)
RNKQVIDSLAKFLKR (配列番号19)
RHKALIR (配列番号20)
KKLIRYLK (配列番号21)
RHKTLIR (配列番号22)
MQDKYSKS (配列番号23)
AERVKIEQREYKKYS (配列番号24)
SQLIRFLKRLA (配列番号25)
TVTDIFAASKNTT (配列番号26)
TLENFLERLKTA (配列番号27)
TEKEVLRQFYSA (配列番号28)
KTLTELTKTLNS (配列番号29)
AHKEIIKTLNSLQKA (配列番号30)
AKTLSTELTVTA (配列番号31)
STLENFLERLA (配列番号32)
NEERLKTIMRA (配列番号33)
RAATVLRQFYSR (配列番号34)
KTLNSLTEQKT (配列番号35)
AHRHKQLIRA (配列番号36)
ATAQQFHRHKQA (配列番号37)
の1つ、または
その断片もしくは変異体を含む、上記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
前記ペプチドが以下の配列
AQFHRHKQLIRFLKRA (配列番号1)
Ac−AQFHRHKQLIRFLKRA (配列番号7)
RHKALIR (配列番号20)
KKLIRYLK (配列番号21)
RHKTLIR (配列番号22)
SQLIRFLKRLA (配列番号25)
AHRHKQLIRA (配列番号36)
の1つ、または
その断片もしくは変異体を含む、請求項12に記載の化合物。
【請求項21】
前記ペプチドが以下の配列
AITLQEIIKTLNSA (配列番号2)
LQEIKTLN (配列番号5)
AIILQEI (配列番号10)
IVLQEII (配列番号11)
LQERIKSLN (配列番号14)
AHKEIIKTLNSLQKA (配列番号30)
の1つ、または
その断片もしくは変異体を含む、請求項13に記載の化合物。
【請求項22】
前記ペプチドがB細胞を活性化することができる、上記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項23】
前記ペプチドがT細胞の増殖および生存を活性化することができる、上記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項24】
前記ペプチドが単球および樹状細胞でC5aおよびC3aを下方制御することができる、上記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項25】
前記ペプチドがマクロファージ活性化を阻害することができる、上記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項26】
以下の配列
AQFHRHKQLIRFLKRA (配列番号1)
AITLQEIIKTLNSA (配列番号2)
ARFLKRLDRNLWGG (配列番号3)
AERLKTIMREKYSKS (配列番号4)
LQEIKTLN (配列番号5)
KRLQQNLFGG (配列番号6)
Ac−AQFHRHKQLIRFLKRA (配列番号7)
QEIIKKL (配列番号8)
AIQNQEEIKYLNS (配列番号9)
AIILQEI (配列番号10)
IVLQEII (配列番号11)
TLGEIIKGVNS (配列番号12)
VTLIDHSEEIFKTLN (配列番号13)
LQERIKSLN (配列番号14)
RLDRENVAVYNLW (配列番号15)
LRSLDRNL (配列番号16)
RLLRLDRN (配列番号17)
RFLKRYFYNLEENL (配列番号18)
RNKQVIDSLAKFLKR (配列番号19)
RHKALIR (配列番号20)
KKLIRYLK (配列番号21)
RHKTLIR (配列番号22)
MQDKYSKS (配列番号23)
AERVKIEQREYKKYS (配列番号24)
の1つ、または
その断片もしくは変異体からなる単離されたペプチド配列。
【請求項27】
請求項1から25に記載の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物。
【請求項28】
医薬を製造するための、請求項1から25のいずれかに記載の化合物または請求項27に記載の医薬組成物の使用。
【請求項29】
前記医薬が、IL−4受容体シグナル伝達の調節が必須である疾患または状態の治療のためのものである、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記医薬が炎症性の疾患または状態の治療のためのものである、請求項28に記載の使用。
【請求項31】
前記医薬が自己免疫性の疾患または状態の治療のためのものである、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記医薬が関節リウマチの治療のためのものである、請求項30に記載の使用。
【請求項33】
前記医薬が、皮下、静脈内、経口、経鼻、肺内、局所投与、または関節包内もしくはその近くへの関節内投与で補われる非経口投与のためである、請求項28から32のいずれかに記載の使用。
【請求項34】
抗体の生成のための、請求項1から25のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項35】
配列番号1から37のアミノ酸配列の少なくとも1つを含むエピトープに結合することができる抗体。
【請求項36】
前記抗体が、IL−4によって媒介される生物学的な活性を調節することができる、請求項35に記載の抗体。
【請求項37】
炎症性の疾患または状態の治療のための医薬の製造のための、請求項35から36に記載の抗体の使用。
【請求項38】
請求項35から36のいずれかに記載の抗体を含む、医薬組成物。
【請求項39】
請求項1から25のいずれかに記載の化合物、請求項35に記載の抗体、または請求項27もしくは38に記載の医薬組成物の有効量を、治療を必要とする個体に投与することを含む、治療法。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2012−508698(P2012−508698A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535880(P2011−535880)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/DK2009/050304
【国際公開番号】WO2010/054667
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511096710)コーベンハブンス ウニベルシテト (3)
【Fターム(参考)】