説明

慢性閉塞性肺疾患の処置のための、α‐リポ酸を伴う少なくとも1つのグルタチオン代謝のエフェクターの使用

本発明は、α‐リポ酸、この塩類、および/またはこれのプロドラッグを伴う少なくとも1つのグルタチオン代謝のエフェクターの使用であって、慢性閉塞性肺疾患の同時的、分離的または時間段階的な細胞保護的処置のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α‐リポ酸、この塩類、および/またはこれのプロドラッグを伴う少なくとも1つのグルタチオン代謝のエフェクターの使用であって、慢性閉塞性肺疾患の同時的、分離的または時間段階的な細胞保護的処置のためのものに関する。
【0002】
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患;COPD)は、近代産業国家において数的に最も激しく増大している健康問題と考えられている。この増大に関して種々の原因があるが、環境要因およびニコチン濫用を含む不適切なライフスタイルが大きな位置を占めている。直接的および間接的な疾病コストから発生する毎年の経済的損失は重大な負担であり、種々な治療法的および予防的介入手段の原因となっている。
【0003】
慢性肺閉塞がいったん顕在化すれば、この原因は一般的に治療によってなくなるものではない。処置は出来る限り症状の軽減に集中して向けられる必要がある。これには分泌亢進および気管支狭窄が挙げられる。より緩慢な形態を除き、コルチコステロイドを用いた付随する抗炎症的な治療が必須である。
【0004】
ここ数年来、肺細胞タイプおよび非常在性もしくは常在性の免疫細胞の両方における肺機能制御および細胞エフェクターメカニズムに関する異常病態生理学的な関連性を探索するために多数の実験が行われてきた。
【0005】
その結果、マトリックス結合の溶解性プロテアーゼにより引き起こされ最終的に肺気腫の発症へと至らしめる組織破壊プロセスの他に、とくに肺に典型的な免疫細胞の機能制御不全が記録されてる。ここで主に中心的なのは、気管支肺胞領域において免疫細胞の83%超を占め数的に最大割合となる肺胞マクロファージである。健康なヒトとCOPD患者の肺胞マクロファージとの比較では、患者群の肺胞マクロファージの機能性の明白な低減が認められ、本来の食作用性能ならびに殺菌性能の損失により主として特徴づけられ、通常的にサイトカイン生産のホメオスタシスにおける障害を伴うものである。
【0006】
さらに、COPD患者、とくに喫煙COPD患者の肺胞マクロファージが、高度な損傷を受けたチオール‐ジスルフィド状態を有することが示され得た。チオール欠乏と他の細胞系での機能不全との直接的な相関関係に関する知見との関連において、本疾患の発生およびとくに疾患の維持においてこの肺のチオール欠乏が異常病態生理学的に重要な役割を表すという結論は明白であった。
【0007】
チオール‐ジスルフィド状態の高精度な制御は、生物学的な代謝効率の最も重要で基本的な必要条件の一つである。このシステム内での中心的な制御エレメントは、還元型で比較的高い細胞内濃度(10mMまで)に到達するトリペプチドグルタチオンである。
【0008】
グルタチオンの他に、細胞内SH(チオール)基を有するタンパク質、この内とりわけ細胞膜結合型のタンパク質は、各細胞のチオール‐ジスルフィド状態のさらに重要な構造単位である。
【0009】
種々な酵素の属により制御されるジスルフィド切断およびチオール基形成の代謝は、生物学的機能の多様性、とくにプログラムされた細胞死ならびに細胞防御メカニズムおよび解毒メカニズムを含む細胞の成長プロセスおよび分化プロセスに起因する正常な細胞機能のいずれに対しても障害ないようにあらねばならない。このシステムにおける障害およびチオール濃度における変動は深刻な細胞機能不全をもたらし、これは隔離された状況では部分的に限定的に留まるが、通常は生命体全体に損傷を引き起こす。
【0010】
従ってDE 101 25 883からは、とくに大きく制限された腎臓機能の条件下、すなわち血液透析または腹膜透析の形態における腎臓補完治療が必要とされた場合に、細胞チオール‐ジスルフィド代謝に深刻な障害を受けることが知られている。この障害はとりわけ腹膜マクロファージの食作用能力またはリンパ球の活性化能などの正常な細胞機能の大きな損失を引き起こす結果となる。
【0011】
DE 101 25 832 には、糖尿病の観点において、還元されたグルタチオンのための酸化還元状態の変位、ならびにグルタチオンの全体プールにおける絶対的減少が実証可能であることに関する研究が記載されている。この障害はα‐リポ酸およびプロチオールの組合せにより取り除かれることができる。
【特許文献1】DE 101 25 883
【特許文献2】DE 101 25 832
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述をふまえ進めば、本発明の課題は、慢性障害肺疾患における肺胞マクロファージの機能性を回復可能とし、さらにサイトカイン生産のホメオスタシスの関連する障害を取り除くことができる薬剤を手に入れることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本課題は、請求項1に記載の特徴を実施することにより解決できる。別の従属する請求項は、別の有利な発展態様を開示している。
【0014】
本発明によれば、グルタチオン代謝のエフェクターの少なくとも1種をα‐リポ酸、この塩類および/またはこのプロドラッグと一緒に、慢性肺疾患の同時的、分離的または時間段階的な細胞保護的処置のために用いることが説明されている。
【0015】
本発明記載のα‐リポ酸とグルタチオン代謝のエフェクターとの組合せの適用により、肺胞マクロファージの最初に減少したチオール状態が正常化されることを示すことができた。本組合せのチオール安定化効果は、α‐リポ酸または各エフェクターの単独使用の場合と比べて一般的に優れているだけでなく、付加的な効果も認められた。
【0016】
ここでチオール状態の回復には、細胞内チオールも細胞膜結合SH基も含まれ、これにより複雑な生物学上の制御が発現される。この現象は、グルタチオン代謝のエフェクターが一方で中間的に生成されたフリーのラジカルを除去するのに対し、もう一方でジサルフィド型から還元型へのα‐リポ酸の転換のための還元当量の利用可能性を増大させ、これによりチオール‐ジスルフィド状態に関するα‐リポ酸の合成誘導効果を改善することに基づく。免疫細胞のチオール状態の回復は、中心的な機能パラメーターの制御発現としての食作用活性の正常化を付随する。
【0017】
本発明に従って使用されるα‐リポ酸とグルタチオン代謝のエフェクターとの組合せは、従来の薬理学的態様または滴下注入として、予防的もしくは治療的に投与されることができる。有効投与量は個々のケースに従って決定されるが、好ましくはα‐リポ酸の30〜1800mg/dの範囲内、より好ましくは200〜600mg/dの範囲内にある。
【0018】
グルタチオン代謝のエフェクターとして、一般式Iのアンブロキソール、
【0019】
【化2】

【0020】
これの塩類および/またはこれのプロドラッグが用いられるのが好ましい。アンブロキソール、この塩類、および/またはこのプロドラッグのヒト患者への施与のための投与量は、7.5〜90mg/dの範囲内であることが好ましく、60〜75mg/dの範囲内がより好ましい。
【0021】
アンブロキソールは粘膜溶解性の薬剤として肺疾患および気管支疾患において種々な投与形態において用いられている。粘膜溶解性剤としてのアンブロキソールの作用は、気管支細胞のサファクタント生成の刺激ととりわけフリーラジカル除去の能力との両方に基づく。このことに基づく物質の抗酸化能は、主に肺胞細胞に対して確認されたが、炎症性メカニズムの観点の研究でも確認された。
【0022】
さらに別の変形において、グルタチオン代謝のエフェクターとしてシリビニンが用いられる。シリビニン、この塩類、および/またはこのプロドラッグのヒト患者への施与のための投与量は、20〜1600mg/dの範囲内であることが好ましく、とくに300〜800mg/dの範囲内が好ましい。
【0023】
シリビニンは、フラボリグナンとして知られる天然由来のポリヒドロキシ‐フェニルクロマノン化合物の代表例である。フラボリグナンの群においてシマリンはオオアザミの実の抽出物として記述されている。また一方、シリマリンはフラボノイドのシリビニン、シリクリスチン、シリジアニンおよび苦味素の複合物である。独国特許第3537656号に記載されているように、位置異性体を含むシリビニンが、この複合物から分離され得る。
【0024】
本願に記載の薬剤は、吸入、経口または非経口により投与されることができる。ここで薬剤は、たとえば粉状、霧状エアゾール、スプレーまたは吸入エアゾールなどのエアゾールの形態であってもよく、溶液、顆粒、粉末、エマルション、タブレットおよび/またはフィルムタブレットであってもよい。
【0025】
本薬剤が、水性の溶媒、安定化剤、けん濁剤、分散剤、湿潤剤からの群から選択される別の添加剤をさらに含有することも好ましい。
【0026】
グルタチオン代謝のエフェクターおよびα‐リポ酸は、単一の組成にても分離した組成にても存在することができる。
【0027】
本発明に従う実施は、以下の実施例によってさらに詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
実施例 1
α‐リポ酸とアンブキソールの組合せによる肺胞マクロファージの細胞チオール状態に対する影響
【0029】
既成の正常な肺胞マクロファージセルラインCRL 21-92 (NR8383 [AgC11x3A; NR8383.1])を使用した。細胞は特殊な細胞培養培地に移され、37℃、相対湿度98%および相対エアCO含有量5%でガス処理インキベータにて培養された。本発明により使用された組合せのチオール欠乏肺胞マクロファージのチオール状態に対する影響を確認する目的で、これらは人工的にチオール除去された。このことは、試験方法(Free Radic Biol Med 2000年; 第29巻:第1160〜1165頁)に記載のチオール欠乏培地(TDM)中で培養することにより行われた。完全培地(RPMI 1640)を用いる比較培養を使用して、培養条件下での可能な限り最高の正常値を決定した。
【0030】
個々の細胞レベルの細胞内チオール含有量は、フローサイトフルオロメトリー(flow cytofluorimetry) にて5‐クロロメチルフオレセイン・ジアセテート(CMFDA)を用いることで決定された(Cytometry 1994年; 第15巻:第349〜第358頁、 Cytometry 1997年;第29巻:第76〜82頁)。
【0031】
最初に非蛍光性であるCMFDAはここで受動的に細胞により吸収される。クロロメチル残基を介して細胞質チオール基への結合が行われる。アセテート残基が非特異的細胞エステラーゼにより切断された後に、ここで細胞膜透過性となったこの複合物は励起波長λex = 490 nmにて発光波長λem = 520 nmである蛍光性が認められることとなる。サンプル(10,000細胞)の平均蛍光強度は細胞内チオール基濃度に直接比例する。
【0032】
細胞膜結合のチオール基の発現についても、フローサイトフルオロメトリーで測定された。ここではクロロメチルテトラメチルローダミン(CMTMR)が、細胞のブロックされた膜ポテンシャルおよ阻害された拡散能力の条件下でチオールコンジュゲートとして用いられた(Exp Hematol 1997年; 第25巻第(7)号: 第601-607頁)。細胞膜上の結合蛍光色素分子の蛍光強度は、この場合もまた細胞表面のチオール基の量に比例している。不死化した肺胞マクロファージを上述の試験アセンブリにおいて人為的にチオール欠乏にした。本発明の使用による物質の影響は、細胞内チオール量およびチオールの膜発現を96時間にわたり測定することにより確認された。
【0033】
α‐リポ酸とアンブロキソールの組合せが100nM〜10μMの幅広い範囲において、開始24時間後に肺胞マクロファージのチオール状態の完全な回復を起こすことが示された。表1に示すように、このアンブロキソールの投与量についてのチオール量の顕著な増加が試験時間全てにわたり認められた。α‐リポ酸単独での効果を規則的に顕著に超過していた。
【0034】
表1は、肺胞マクロファージセルラインの細胞内チオール濃度に対するα‐リポ酸とアンブロキソールの組合せの影響を示す(*: p<0.05, ANOVA, n=12)。
【0035】
【表1】

【0036】
表2は、肺胞マクロファージセルラインの膜チオール濃度に対するα‐リポ酸とアンブロキソールの組合せの影響を示す(*: p<0.05, ANOVA, n=12)。表2は膜チオールのパラレルな誘発に基づく。
【0037】
【表2】

【0038】
実施例 2
α‐リポ酸とシリビニンの組合せによる肺胞マクロファージの細胞チオール状態に対する影響
【0039】
実施例1に記載した試験アセンブリにおいて、不死化した肺胞マクロファージを人為的にチオール欠乏にした。本発明の使用による物質の影響は、細胞内チオール量およびチオールの膜発現を96時間にわたり測定することにより確認された。
【0040】
α‐リポ酸とシリビニンの組合せが70μg/mlの狭い濃度範囲において、開始24時間後に肺胞マクロファージのチオール状態の完全な回復を起こすことが示された。表3に示すように、このシリビニンの投与量についてのチオール量の顕著な増加が試験時間全てにわたり認められた。α‐リポ酸単独での効果を規則的に顕著に超過していた。より少量のシリビニンの添加濃度についても、より長時間にわたる処理の後においてチオールの復元を誘発していた。
【0041】
膜チオールの影響は表4に記録されるとおり、上述の濃度‐時間条件で表されている。細胞内誘発と対照的なことに、より低濃度のシリビニンの存在において24時間後の表面チオールはすでに調整されていた。
【0042】
表3は、肺胞マクロファージセルラインの細胞内チオール濃度に対するα‐リポ酸とシリビニンの組合せの影響を示す(*: p<0.05, ANOVA, n=12)。
【0043】
【表3】

【0044】
表4は、肺胞マクロファージセルラインの膜チオール濃度に対するα‐リポ酸とシリビニンの組合せの影響を示す(*: p<0.05, ANOVA, n=12)。
【0045】
【表4】

【0046】
実施例 3
COPD患者のプライマリ肺胞マクロファージの細胞チオール状態に対するα‐リポ酸とアンブロキソールの組合せの影響
【0047】
肺胞マクロファージは、COPD患者の気管支肺胞洗浄液から分離され、細胞培養培地に移され、37℃、相対湿度98%および相対エアCO含有量7.5%でガス処理インキベータにて培養された。本発明により使用された組合せにおける腹膜マクロファージのチオール状態に対する影響を確認する目的で、それぞれの場合の1フラクションについて、α‐リポ酸、グルタチオン代謝のエフェクターのアンブロキソール、またはα‐リポ酸/アンブロキソールにより処理が行われ、またそれぞれの場合の別のフラクションについて未処理コントロールとして用いられた。健康な非COPD患者の未処理の肺胞マクロファージをノーマル比較として用いた。
【0048】
細胞チオール状態は、実施例1で記載された測定方法により決定された。96時間にわたる時間動的なα‐リポ酸とアンブロキソールの組合せの健康な細胞に対する効果は、表5にて示されている。
【0049】
単独物質の添加下では、アンブロキソールを用いた場合に細胞チオール発現の付随的な上昇しか認められず、α‐リポ酸を用いた場合には効果は認められなかった。対照的にα‐リポ酸とアンブロキソールの組合せの場合、開始24時間後から細胞チオール発現に明確な上昇が認められ、10μMアンブロキソールの存在下で試験時間全体にわたって付加的で顕著な最大値に達していた。
【0050】
表5は、COPD患者のプライマリ肺胞マクロファージの細胞チオール濃度に対するα‐リポ酸とアンブロキソールの組合せの影響を示す(*: p<0.05, ANOVA, n=8)。
【0051】
【表5】

【0052】
実施例 4
COPD患者のプライマリ肺胞マクロファージの細胞チオール状態に対するα‐リポ酸とシリビニンの組合せの影響
【0053】
実施例3と同じ試験アセンブリにおいて、COPD患者の肺胞マクロファージはそれぞれの場合について、α‐リポ酸、エフェクターのシリビニンまたはα‐リポ酸/シリビニンの組合せを用いて処理され、それぞれの場合の別のフラクションについても未処理コントロールとして用いられた。健康な非COPD患者の未処理の肺胞マクロファージをここでもノーマル比較として用いた。
【0054】
細胞チオール状態は、実施例1で記載された測定方法により決定された。96時間にわたる時間動的なα‐リポ酸とシリビニンの健康な細胞に対する効果は、表6にて示されている。
【0055】
α‐リポ酸またはシリビニンの単独物質の添加によって、細胞チオール発現の変化は認められなかった。対照的にα‐リポ酸とシリビニンの組合せの場合、開始24時間後から細胞チオール発現に明確な上昇が認められ得て、70μg/mlシリビニンの存在下では試験時間全体にわたって付加的で顕著な最大値に達していた。
【0056】
表6は、COPD患者のプライマリ肺胞マクロファージの細胞チオール濃度に対するα‐リポ酸とシリビニンの組合せの影響を示す(*: p<0.05, ANOVA, n=8)。
【0057】
【表6】

【0058】
実施例 5
肺胞マクロファージの食作用能に対する影響
【0059】
肺胞マクロファージの本来の機能に関する特徴付けを可能とする目的で、食作用能が測定可能な変数として選択された。
【0060】
実施例3に記載された方法と類似の方法において、肺胞マクロファージが分離され生体外で培養された。食作用効率は、個々の細胞レベルについてのサイトフルオロメトリー試験により決定された。マクロファージはオプソニンを作用させて蛍光色素標識されたバクテリアと共培養された。定められた時間内に吸収されたバクテリアの量は、マクロファージ内での蛍光強度により量的に評価され、その食作用能に関する測定として扱った。96時間までの処理時間の後の腹膜マクロファージの食作用能に対する本発明の組合せの使用による影響は、表7に示されている。
【0061】
α‐リポ酸、アンブロキソールもしくはシリビニンとのインキベーションの後で、未処理コントロールと比べて食作用速度は変化していなかった。それに対して、α‐リポ酸とアンブロキソールとの組合せを使用した場合、72時間後にノーマルコントロール群の値に匹敵するほどの食作用速度に顕著な増加が認められた。
【0062】
α‐リポ酸とシリビニン70μg/mlとの組合せによる食作用の誘発の挙動は同様であった。ここでも、チオール状態の回復にパラレルな食作用能力の顕著な改善が示された。
【0063】
表7は、COPD患者のプライマリ肺胞マクロファージの食作用速度に対するα‐リポ酸とアンブロキソールもしくはシリビニンとの組合せの影響を示す(*: p<0.05, ANOVA, n=6)。
【0064】
【表7】

【0065】
総合すれば、これらの試験はα‐リポ酸とグルタチオン代謝のエフェクターであるアンブロキソールまたはシリビニンとの組合せを適用することによって、人為的なチオール欠乏処理後でもCOPD患者においても、チオール欠乏肺胞マクロファージにおいて最初に激しく損傷を受けたチオール状態を安定化させることを明らかにする。この正常化はさらに、本処理を行わなければ記録されなかった食作用活動のような中心的な細胞機能の回復へと導く。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性閉塞性肺疾患への同時的、分離的または時間段階的な細胞保護的処置のための、α‐リポ酸、この塩類、および/またはこのプロドラッグを伴う少なくとも1つのグルタチオン代謝のエフェクターの使用。
【請求項2】
α‐リポ酸、この塩類、および/またはこのプロドラッグのヒト患者への投与量が30〜1800mg/d、好ましくは200〜600mg/dの間にあることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
エフェクターとして、一般式(I)のアンブロキソール、
【化1】

この塩類および/またはこのプロドラッグが用いられることを特徴とする請求項1および請求項2の少なくともいずれか1項に記載の使用。
【請求項4】
アンブロキソール、この塩類および/またはこのプロドラッグのヒトへの投与量が患者あたり7.5〜90mg/d、好ましくは60〜75mg/dの間にあることを特徴とする請求項3に記載の使用。
【請求項5】
エフェクターとして、シリビニン、この塩類および/またはこのプロドラッグが用いられることを特徴とする、請求項1〜4の少なくとも1項に記載の使用。
【請求項6】
シリビニン、この塩類および/またはこのプロドラッグのヒトへの投与量が患者あたり20〜1600mg/d、好ましくは300〜800mg/dの間にあることを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項7】
薬剤が吸入、経口または非経口により投与されうることを特徴とする、請求項1〜6の少なくともいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
薬剤が水性溶剤、安定化剤、けん濁剤、分散剤、湿潤剤の群から選択される添加剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜7の少なくともいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
薬剤がエアゾール、溶液、顆粒、粉末、エマルション、タブレットおよび/またはフィルムタブレットの形態を有することを特徴とする、請求項1〜8の少なくともいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
グルタチオン代謝のエフェクターおよびα‐リポ酸、この塩類および/またはこのプロドラッグが、1つの組成にて存在することを特徴とする、請求項1〜9の少なくともいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
グルタチオン代謝のエフェクターおよびα‐リポ酸、この塩類および/またはこのプロドラッグが、別個の組成にて存在することことを特徴とする、請求項1〜10の少なくともいずれか1項に記載の使用。

【公表番号】特表2007−534654(P2007−534654A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546083(P2006−546083)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014687
【国際公開番号】WO2005/063234
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(501251873)エスパルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【出願人】(506218066)イーエムテーエム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】