説明

成形体の製造方法

【課題】 表面に微細な凹凸部を有する成形体を、その凹凸形状を良好に維持しながら金型から迅速に容易に、かつ確実に離型できる成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】 (1)鏡面111および微細な凹凸部121を有する上金型11および下金型12を準備し、鏡面111および微細な凹凸部121を熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上に昇温する工程;(2)微細な凹凸部121上に熱可塑性樹脂の樹脂層21を設ける工程;(3)両金型を閉鎖し、圧力を加え、樹脂層21に微細な凹凸部121の形状を転写し転写体を形成する工程;(4)微細な凹凸部121に転写体を付着させたまま、微細な凹凸部121を熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下に急速に冷却する工程;および(5)鏡面111に転写体を付着させながら、上金型11および下金型121を開放し、転写体を離型する工程を有する成形体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形体の製造方法に関するものであり、詳しくは、表面に微細な凹凸部を有する成形体を、その凹凸形状を良好に維持しながら、金型から迅速に、容易に、かつ確実に離型することのできる成形体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、数十nmから数百μmの超微細な凹凸形状を表面に有するとともに、三次元、薄肉、かつ大面積の形状を有する成形体が、マイクロレンズ・アレイのような電子ディスプレイ用光学部品、マルチモード光導波路のような光情報通信用部品、マイクロ化学チップのようなライフサイエンス部品等として求められている。
一般にこのような成形体は、少なくとも一方の表面に微細な凹凸部を有する上金型および下金型を用い、この下金型上(もしくは下金型と上金型の間)に熱可塑性樹脂を設置し、金型を閉鎖させてプレスし、その後、得られた成形体を金型から離型することによって製造されている。
しかしながら、このようにして製造された表面に微細な凹凸形状を有する成形体は、金型と強固に付着し、離型が非常に困難であるという問題点を有する。
【0003】
特許文献1(特開2002−59440号公報)には、成形型より光学物品を離型するに際し、両者の接合部に局所的な温度差を与えて接合部を局所的に剥離し、該局所的な温度差による剥離域を順次拡大させて全域の離型を行う光学物品の製造方法および装置が開示されている。しかしこの技術は、成形型と光学物品の温度差によるソリを利用するため、光学物品が成形型から斜め方向に離型することになり、微細な凹凸形状が損傷するという問題点がある。とくにこの問題点は、微細な凹凸形状が円柱や角柱等の形状を有する場合に顕著であり、これにより微細な凹凸形状によっては適用できないものがある。また装置についても冷却用のエアー配管や押上部(機械式イジェクタ部)を設置する必要があり、装置構成が複雑になり、コストが増加するという問題点もある。
特許文献2(特開2003−154573号公報)には、固定側金型と可動側金型とで形成される微細な凹凸を有するキャビティ内に成形原料を充填し、両金型を加熱し、両金型のいずれか一方もしくは両方に設けられた超音波振動子によって超音波振動させながら加圧、及び離型するエンボス加工成形方法および装置が開示されている。超音波振動子を使用することにより、成形体の離型は可能であるが、金型に超音波振動子を設置する必要があり、この場合も前記特許文献1と同様に装置構成が複雑になり、コストが増加するという問題点がある。また、超音波振動が原因で微細な凹凸が損傷する可能性がある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−59440号公報
【特許文献2】特開2003−154573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、表面に微細な凹凸部を有する成形体を、その凹凸形状を良好に維持しながら、金型から迅速に、容易に、かつ確実に離型することのできる成形体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、下記(1)〜(5)工程を順次有することを特徴とする成形体の製造方法である。
(1)一方の金型表面が鏡面を有し、他方の金型表面に微細な凹凸部を有する上金型および下金型を準備し、前記鏡面および微細な凹凸部を下記(2)工程で用いる熱可塑性樹脂のガラス転移温度付近あるいはガラス転移温度以上に昇温する工程;、
(2)前記微細な凹凸部上に熱可塑性樹脂の樹脂層を設ける工程;、
(3)前記上金型および下金型を閉鎖し、両金型間に圧力を加え、前記樹脂層に前記微細な凹凸部の形状を転写し転写体を形成する工程;
(4)前記微細な凹凸部に前記転写体を付着させたまま、前記微細な凹凸部を前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下に急速に冷却し、前記微細な凹凸部と前記転写体との付着力を低減させる工程;および
(5)前記鏡面に転写体を付着させながら、前記上金型および下金型を前記微細な凹凸部の面に対し垂直方向に開放し、前記転写体を前記微細な凹凸部から離型する工程。
請求項2に記載の発明は、前記(4)工程時、前記微細な凹凸部を50℃/minの以上の冷却速度で、かつ前記鏡面の冷却速度に比べて25℃/min以上速い速度で冷却することを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記(4)工程時、両金型の加熱を停止した後、前記鏡面を有する金型を放冷した状態で、前記微細な凹凸部を有する金型に30℃以下の冷却水を通水して急速に冷却することを特徴とする請求項1または2に記載の成形体の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記(4)工程時、両金型間の加圧を停止した後、前記微細な凹凸部と前記鏡面との間隔を樹脂層の厚み±5%以内の距離に保持した状態で、前記上金型および下金型を冷却することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形体の製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記微細な凹凸部が、表面に微細な凹凸部を有するスタンパであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形体の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表面に微細な凹凸部を有する成形体を、その凹凸形状を良好に維持しながら、金型から迅速に、容易に、かつ確実に離型することのできる成形体の製造方法および装置を提供することができる。本発明は、成形体側の制約などにより離型剤などが使用できない場合に特に有効であるが、離型剤などを使用した場合には、さらに離型が容易となり、より大きな効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の製造方法および金型装置をさらに詳細に説明する。
図1は本発明に使用できる金型装置の一実施形態の概略断面図である。
図1において、金型装置1は、対向して配置される一対の上金型11および下金型12を備えてなる。上金型11および下金型12は閉鎖してキャビティ面間に設置した樹脂層を加圧することが可能であり、可動金型としての上金型11には、駆動手段としての加力発生器13が設置されている。加力発生器13は、上金型11および下金型12の型開閉と上金型11および下金型12のキャビティ面間の樹脂層の加圧を可能にするとともに、金型の精密な位置および速度制御機能を有する。
本発明では、一方の金型表面(図1の形態では上金型11のキャビティ面)がRa2.0μm以下の鏡面111を有し、他方の金型表面(図1の形態では下金型12のキャビティ面)が微細な凹凸部121を有する。
なお、本発明は上記形態に限定されない。前記微細な凹凸部を上金型に、前記鏡面を下金型に設けても良い。
【0009】
本明細書でいうRaとは、JIS B0601−1994に規定された算術平均粗さを意味する。鏡面111のRaは、2.0μm以下が好ましく、0.2μm以下がさらに好ましい。
下金型12は、微細な凹凸部121を有する。微細な凹凸部121は、例えば10nm〜1mmの幅または直径を有するとともに、10nm〜1mmの深さまたは高さを有する。
また、上金型11には、図1に示したように、加熱手段と、冷却手段を設置するのが好ましい。なお本形態では、下金型12にも加熱手段および冷却手段が設けられている。加熱手段は、例えば加熱ヒータ15から構成され、冷却手段は、冷却水が流れる冷却管16から構成されている。また、上金型11および下金型12には、図示しない温度センサおよび温度制御手段が設けられ、これらにより両金型の温度制御が可能となっている。なお上金型11および下金型12の温度制御は、PID制御などにより行うことができる。上記温度制御手段は、上金型11と下金型12で別々に備えることが望ましく、加熱速度、冷却速度の調節を行えることがさらに望ましい。加熱速度の制御は前記PID制御などにより、冷却速度の制御は冷却水量調節、冷却媒体の温度調節などにより容易に行うことができる。また、図1の形態では、下金型12に直接微細な凹凸部121が設けられているが、これとは別に、表面に微細な凹凸部を有するスタンパーを下金型12上に設置してもよい。スタンパーを用いる場合は、下金型12に該スタンパーを固定する手段を設けるのが好ましい。
【0010】
本発明の(1)工程は、鏡面111および微細な凹凸部121を下記(2)工程で用いる熱可塑性樹脂のガラス転移温度付近あるいはガラス転移温度以上に昇温する工程である。
鏡面111および微細な凹凸部121の昇温は、上金型11および下金型12の加熱ヒータ15の稼動により可能である。
本発明では、熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも10℃以上高い温度に鏡面111および微細な凹凸部121を昇温させるのが好ましい。
また、本発明でいうガラス転移温度付近とは、ガラス転移温度±10℃の範囲である。
【0011】
図2は、本発明の製造方法の(2)工程、すなわち微細な凹凸部121上または鏡面111上に樹脂層を設ける工程を説明するための図である。なお本形態では微細な凹凸部121上に樹脂層を設けている。
図2において、下金型12上の微細な凹凸部121上に、樹脂層21が形成される。樹脂層21の形成方法はとくに制限されないが、吐出口22を備えた塗布装置23に熱可塑性樹脂を供給し、塗布装置23を矢印24方向に移動させながら、微細な凹凸部121の上方から熱可塑性樹脂を吐出し、微細な凹凸部121上に熱可塑性樹脂を設置するのが好ましい。このようにすれば、高い寸法精度、低残留応力、低複屈折、高光透過性、優れた機械的強度を有する成形体を、超低圧の成形プロセスでありながら、三次元、薄肉、かつ大面積の形状でもって提供することができる。熱可塑性樹脂としてはとくに制限されないが、例えばポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィン(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、メチルメタクリレートブタジエンスチレン(MBS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)またはこれらの混合物などが挙げられる。また、成形体に求められる性能にあわせて、特別に製造された熱可塑性樹脂でもよい。なお、熱可塑性樹脂の吐出以外にも、熱可塑性樹脂フィルムもしくは樹脂製の板材を微細な凹凸部121上に設置してもよい。
【0012】
本発明の(3)工程は、上金型11および下金型12を閉鎖し、両金型間に圧力を加え、樹脂層21に微細な凹凸部121の形状を転写し転写体を形成する工程である(図3)。両金型間の加圧は、加力発生器13によって行う。前述のように、加力発生器13は、上金型11および下金型12の型開閉と上金型11および下金型12のキャビティ面間の樹脂層の加圧を可能にするとともに、金型の精密な位置および速度制御機能を有する。両金型間の圧力は、例えば1〜10MPaである。
【0013】
本発明の(4)工程は、微細な凹凸部121に転写体を付着させたまま、微細な凹凸部121を熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下に急速に冷却し、微細な凹凸部121と転写体との付着力を低減させる工程である。
この(4)工程では、樹脂層21を冷却固化する際に、微細な凹凸部121を有する下金型12を急速に冷却し、上金型11に比べて冷却速度を速くすることがより望ましい。この方法は、微細な凹凸部と転写体との付着力が非常に高い場合にとくに有効である。
ここで本発明者らの検討によれば、熱可塑性樹脂は、付着面との付着力に温度依存性が存在し、そのガラス転移温度(Tg)付近で金属やガラス等の無機質板に最も付着力が増大し、Tg以下では急速に付着力が低下することが判明した。
図4は、鏡面111の温度に対する、ポリスチレン(PS)の付着力(引き剥がし力)の関係を説明するための図である。
図4によれば、鏡面111の温度を上昇させるにしたがって、ポリスチレンの引き剥がし力も上昇し、ポリスチレンのTg(約100℃)で引き剥がし力が最大となっている。なお図4では鏡面111の材質としてソーダガラス(四角形のプロット)と石英ガラス(三角形のプロット)を使用した例であるが、本発明者らは金型を通常構成する材質においても同様の結果が得られることを確認している。
したがって、(4)工程時に下金型12の微細な凹凸部121を熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下に急速に冷却することにより、微細な凹凸部121と樹脂層21との付着力を低減させ、微細な凹凸部121から樹脂層21を離型しやすい状態とすることができる。
【0014】
また、下金型12を急速に冷却することにより、下金型12と樹脂層21との収縮が生じるが、この際、金型と樹脂との線膨張率の差に起因するズリ変形が生じ、微細な凹凸部121と樹脂層21との付着力がさらに低下する。
図5は、微細な凹凸部121に充填された樹脂層21の体積収縮およびズリ変形を説明するための、微細な凹凸部121と樹脂層21の拡大断面図である。
図5(a)のように、微細な凹凸部121に熱可塑性樹脂からなる樹脂層21が充填され、続いて矢印41方向のプレス力を印加したまま樹脂層21を冷却し固化させると、図5(b)に示すように樹脂層21が微細な凹凸部121の内側方向(矢印42方向)に向かって体積収縮が生じる。同時に、下金型12の金属と樹脂層21の界面で両者の線膨張率の差による相対的なズリ変形が、矢印43方向で生じる。同時に、樹脂層21と微細な凹凸部121との間に間隙が生じ、樹脂層21と微細な凹凸部121との間の真空が破壊される。これらの理由から、調製された転写体が微細な凹凸部121から離型しやすくなる。
一方、上金型11の鏡面111と樹脂層21との間は、加圧により樹脂層21が外側方向に変形しても、冷却による体積収縮により内側方向に変形しても、上金型11の鏡面111と樹脂層21との間に真空状態は維持される。したがって、上金型11の鏡面111と転写体との付着力が、微細な凹凸部121と転写体との付着力よりも大きい場合は、上金型11および下金型12を微細な凹凸部121の面に対し垂直方向に開放すれば、微細な凹凸部121と転写体とが接触することなく、転写体は上金型11の鏡面111に付着したまま微細な凹凸部121から離型される。
【0015】
上記下金型12の急速な冷却にともなう微細な凹凸部121と樹脂層21との付着力の低減および金型と樹脂との間の線膨張率の差に起因するズリ変形による微細な凹凸部121と樹脂層21との付着力の低下により、本発明の(5)工程において、上金型11を微細な凹凸部121に対して垂直方向に開放すれば、図6に示したように、上金型11の鏡面111に樹脂層21を付着させたまま転写体51を下金型12の微細な凹凸部121から離型することができる。
【0016】
前記急速な冷却は、使用する樹脂、加圧時の金型温度、加圧力などにも影響されるが、例えば、アクリル樹脂で加圧時の金型温度を110〜150℃、加圧力を5〜10M Paとした場合、下金型12の微細な凹凸部121の冷却速度を少なくとも冷却初期の10秒間は50℃/min以上、より好ましくは100℃/min以上とし、上金型11の鏡面111の冷却速度を下金型12より遅くすることで効果を一層良好に得ることができる。なお上記冷却速度は、アクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂を使用した場合でも適用できる。
また急速な冷却は少なくとも上金型11の金型温度が樹脂のガラス転移温度付近になるまで続けるのが好ましい。
【0017】
前記微細な凹凸部121を有する下金型12を急速に冷却する方法としては、下金型12の容積を小さくし、熱容量を小さくした状態で冷却水を通水する、あるいは、下金型12の微細な凹凸部121の表面近傍に設けた冷却管16に低温の媒体(好ましくは30℃以下の冷却水)を流すことなどが挙げられる。
また、下金型12を上金型11に比べて速く冷却する方法としては、例えば、下金型12の微細な凹凸部121と冷却管16との距離を、上金型11の鏡面111と冷却管16との距離に比べて短くする;下金型12の冷却管16の直径を上金型11に比べて大きくして媒体の流量を大きくする;下金型12の冷却管16に流れる媒体の温度を上金型11に比べて低くするなどが挙げられる。また、前記以外にも、下金型12と上金型11とで温度の異なる媒体を流して、下金型12の冷却管16に流す媒体の温度を上金型11に比べて低くするなどしてもよい。
【0018】
また、本発明によれば、前述のように、前記(4)工程において、樹脂層21を冷却固化する際に、微細な凹凸部121を有する下金型12を急速に冷却し、上金型11をゆっくり冷却することが望ましい。
前記方法は、微細な凹凸部と転写体との付着力が非常に高い場合にとくに有効である。
このような場合、閉鎖した金型内において、金型の冷却中に次の現象が生じる。すなわち、上金型11の鏡面111から下金型12の微細な凹凸部121への熱の移動、微細な凹凸部121と樹脂層21との間の付着力の低下、冷却による樹脂層及び金型の収縮、鏡面111と微細な凹凸部121との間の温度差の形成である。
【0019】
まず、下金型12の冷却管16に低温の媒体、例えば冷却水を通水することにより、下金型12の微細な凹凸部121の温度は急速に低下する。一方、上金型11に冷却水を流さないことにより、上金型11の鏡面111の温度は高い状態にある。その結果、下金型12の微細な凹凸部121と上金型11の鏡面111との間の温度勾配が大きくなり、図7に示すように、上金型11の鏡面111から下金型12の微細な凹凸部121への熱の流れが生じる。
一方、鏡面111と微細な凹凸部121との間の樹脂層21は、金属に比べて熱伝導率が低く、一種の断熱層として作用するため、微細な凹凸部121の冷却速度は鏡面111の冷却速度に比べ高い状態で維持され、下金型12の微細な凹凸部121が選択的に冷却されることになる。そのため、下金型12を樹脂のガラス転移温度以下まで冷却すれば、低温の下金型12の微細な凹凸部121と樹脂層21との付着力が選択的に低下し、高温の上金型11の鏡面111に樹脂層21が付着しやすい状況が形成される。
この際、下金型12の微細な凹凸部121では冷却により樹脂層21および下金型12の収縮が生じるが、双方の線膨張率が異なるため、微細な凹凸部121に対して垂直方向では相対的なズリ変形が生じ、微細な凹凸部121と樹脂層21との付着力が低減される。また、微細な凹凸部121に対して垂直方向および水平方向では樹脂層21と微細な凹凸部121との間に微小な間隙が生じる。一方、樹脂層21が垂直方向および水平方向に収縮して間隙が生じた部分は、樹脂層21と金型との接触面積が低下するため、熱がさらに伝播しにくくなり、樹脂層21と微細な凹凸部121が接触している部分のみが選択的に冷却される。そのため、樹脂層21と微細な凹凸部121が接触している部分でのみ収縮が進行し、微小な間隙が形成され、微細な凹凸部121の全面で均一に樹脂層21が剥離されやすくなる。一方、樹脂および金型が収縮しても鏡面111と樹脂層21との間には間隙が生じないため、樹脂層21との接触面積が維持され、鏡面111と樹脂層21との付着力が相対的に増加する。
冷却中に上記の現象が同時進行で生じた結果、上金型11と樹脂層21との付着力が強い状態で維持され、下金型12と樹脂層21との付着力は微細な凹凸部121の全面で均一に低減されるため、樹脂層21が上金型11に付着した状態となる。
この状態で上金型11を微細な凹凸部121に対して垂直方向に開放すれば、図6に示したように、上金型11に転写体51を付着させたまま転写体51を微細な凹凸部121から離型することができる。
【0020】
前記離型は、使用する樹脂、加圧時の金型温度、加圧力などにも影響されるが、例えば、アクリル樹脂で加圧時の金型温度を110〜150℃、加圧力を5〜10M Paとした場合で、下金型12の微細な凹凸部121の冷却速度を50℃/min以上とし、上金型11の鏡面111の冷却速度よりも25℃/min以上速くすることで顕著な効果を得ることができる。
なお上記冷却速度の差は、アクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂を使用した場合でも適用できる。
【0021】
このような下金型12と上金型11とで冷却速度の差を形成する方法としては、例えば、下金型12の冷却管16にのみ冷却水を通水し、上金型はヒータをOFFにした状態で放冷あるいは空冷するなどが挙げられる。
【0022】
また、本発明によれば、前記(4)工程時、両金型間の加圧を停止した後、微細な凹凸部121と鏡面111との間隔を樹脂層21の厚み±5%以内の距離に保持した状態(以下、位置保持という)で、上金型11および下金型12を冷却することが好ましい。
前記方法は微細な凹凸部と転写体との付着力が強い場合に特に有効である。
上記形態では、冷却による樹脂層21および金型の収縮により、微細な凹凸部121と樹脂層21との界面B(凹部)のみでなく、界面A(凸部)においても樹脂層21の微細な凹凸部121からの剥離が進行し、より一層離型が容易となる。樹脂層21の冷却工程において、加圧力を維持した状態では、図8(a)に示すように、冷却による樹脂および金型の収縮により、微細な凹凸部121と樹脂層21との界面Bのみで剥離が進行し、界面Aは加圧力により接触が維持される。これに対し、図8(b)に示すように、加圧を停止し、上金型11の鏡面111と下金型12の微細な凹凸部121との間隔Cを、樹脂層21の厚みと同じ距離、すなわち樹脂層21の厚み±5%以内の距離に保った場合、樹脂層21の収縮により、界面Aにおいても空間が形成される。この時、図5に示したように、上金型11の鏡面111と樹脂層21との界面は付着した状態を維持するため、上金型11の鏡面111と樹脂層21との付着力が相対的に高くなり、下金型12の微細な凹凸部121から剥離を補助する。また、界面Aおよび界面Bにおける微細な凹凸部121と樹脂層21との剥離は、樹脂の収縮により進展するため、徐々に進行していくが、先に微細な凹凸部121から剥離された部分は熱が伝わりにくくなるため、微細な凹凸部と接触している部分のみが選択的に冷却され、収縮し、微細な凹凸部121の全面で均一に樹脂層21の剥離が進行する。上記により、冷却工程において微細な凹凸部121と樹脂層21との付着力が大きく低減されるため、冷却工程の後、金型を開放する際に微細な凹凸部121から転写体を離型することが一層容易となる。
加圧から位置保持に移行するタイミングについては特に指定はないが、加圧時の金型温度が高い場合は、冷却と同時に位置保持に移行すると、樹脂が固化するまでの温度差が大きいため、冷却による樹脂の収縮によってヒケなどの外観不良が発生する可能性がある。このような場合、冷却管16に冷却水を通水して、両金型の温度がある程度降下するまで加圧力を維持した後、位置保持に移行するのが望ましい。
【0023】
なお、本発明は上記形態に限定されない。例えば、下金型12の微細な凹凸部121以外の部分と上金型11の鏡面111以外の部分との距離を一定に保っても良いし(例えば図8(b)における距離D)、金型の位置をプレスの型盤位置により制御する場合は、プレスの盤面間の距離を一定に保ってもよい。その場合、上金型11の鏡面111と微細な凹凸部121が接触する位置より、樹脂層の厚みだけ金型が開放された状態で金型の位置を保持すれば、前記と同様の効果を得ることができる。さらに、金型盤面がモータで駆動する場合は、加圧後、冷却中にモータの回転を停止するだけでも同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例によってさらに説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1
実施例1は、図1に示す装置を用いて実施した。
加熱ヒータ15を稼動して下金型12を140℃に、上金型11を140℃に加熱した後、アクリル樹脂を、235℃に加熱して溶融し、縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmであるNi製スタンパーの微細な凹凸部121上に、塗布厚さ130μmとして塗布装置により塗布し、樹脂層21を形成した。なお用いたアクリル樹脂のガラス転移温度は、100℃付近である。
続いて、加力発生器13を用い、上金型11と下金型12とを嵌合させ、樹脂層21を8MPaの圧力でプレスした。
なお、上金型11の鏡面111のRaは、0.20μm以下であった。
次に金型の冷却工程を行った。すなわち、加圧を開始して1分間後に上金型11と下金型12の加熱ヒータ15をオフにして、下金型12の冷却管16に20℃の冷却水を流して急速に冷却した。上金型11は冷却水を流さず、ゆっくり冷却した。この状態で上金型11の鏡面111の温度が100℃になるまで前記プレス圧力を維持した。特に冷却初期20秒において、下金型12の冷却速度は100℃/min であったのに対し、上金型11の冷却速度は25℃/minと25℃/min以上の差があった。
続いて、上金型11と下金型12を開放し、得られた転写体を微細な凹凸部121から離型した。上金型11と転写体との付着力と、急速冷却による微細な凹凸部121の離型促進によって転写体は微細な凹凸部121から簡単に離型することができた。この後、上金型11に20℃の冷却水を通水し、60℃まで冷却すると同時に、非接触搬送体を金型内に進入させ、転写体を上金型11から離型した。また、転写体は微細な凹凸部121の形状が忠実に転写されていることが確認できた。
【0026】
実施例2
実施例1の金型の冷却工程において、加圧を開始して1分間後に上金型11と下金型12の加熱ヒータ15をオフにして、下金型12の冷却管16に20℃の冷却水を流して急速に冷却し、上金型11は80℃の冷却水を流して冷却を行った。この時、冷却初期20秒間の下金型12の冷却速度を100℃/min、上金型11の冷却速度を50℃/minとなるように冷却媒体の流量を調整した。この場合についても実施例1と同様の結果を得た。
【0027】
実施例3
実施例1の金型の冷却工程において、加圧を開始して1分間後に上金型11と下金型12の加熱ヒータ15をオフにして、下金型12の冷却管16および上金型11の冷却管16に20℃の冷却水を流して冷却を行った。この時、冷却初期20秒間の下金型の冷却速度を100℃/min、上金型の冷却速度を 75℃/minとなるように冷却媒体の流量を調整した。この場合についても実施例1と同様の結果を得た。
【0028】
実施例4
実施例1の金型の冷却工程において、加圧を開始して1分間後に上金型11と下金型12の加熱ヒータ15をオフにして、下金型12の冷却管16に80℃の冷却水を流して冷却し、上金型11は冷却水を流さず、ゆっくり冷却した。この時、冷却初期20秒間の下金型の冷却速度を50℃/min、上金型の冷却速度を25℃/minとなるように冷却媒体の流量を調整した。この場合についても実施例1と同様の結果を得た。
【0029】
比較例1
実施例1の金型の冷却工程において、加圧を開始して1分間後に上金型11と下金型12の加熱ヒータ15をオフにして、下金型12の冷却管16および上金型11の冷却管16に20℃の冷却水を流して急速に冷却した。この時、冷却初期20秒間の下金型12の冷却速度を100℃/min、上金型11の冷却速度を100℃/minとなるように冷却媒体の流量を調整した。この場合、上金型11および下金型21を開放する際に、転写体が下金型12の微細な凹凸部121に付着し、これを剥離する際に、下記で説明する図10(a)のような形状の崩れなどの不良が発生した。
【0030】
比較例2
実施例1の金型の冷却工程において、加圧を開始して1分間後に上金型11と下金型12の加熱ヒータ15をオフにして、下金型12の冷却管16および上金型11の冷却管16に80℃の冷却水を流して冷却した。この時、冷却初期20秒間の下金型の冷却速度を50℃/min、上金型の冷却速度を50℃/minとなるように冷却媒体の流量を調整した。この場合も前記比較例1と同様に形状の崩れなどの不良が発生した。
【0031】
比較例3
実施例1の金型の冷却工程において、加圧を開始して1分間後に上金型11と下金型12の加熱ヒータ15をオフにして、下金型12の冷却管16および上金型11の冷却管16に空気を流して冷却した。この時、冷却初期20秒間の下金型12の冷却速度を25℃/min、上金型11の冷却速度を25℃/minとなるように冷却媒体の流量を調整した。この場合も前記比較例1と同様に形状の崩れなどの不良が発生した。
【0032】
比較例4
実施例1の金型の冷却工程において、加圧を開始して1分間後に上金型11と下金型12の加熱ヒータ15をオフにして、下金型12の冷却管16に80℃の冷却水を流し、上金型11の冷却管16に20℃の冷却水を流して冷却を行った。この時、冷却初期20秒間の下金型12の冷却速度を50℃/min、上金型11の冷却速度を100℃/minとなるように冷却媒体の流量を調整した。この場合も前記比較例1と同様に形状の崩れなどの不良が発生した。
【0033】
比較例5
実施例1の金型の冷却工程において、加圧を開始して1分間後に上金型11と下金型12の加熱ヒータ15をオフにして、下金型12の冷却管16に空気を流し、上金型11の冷却管に80℃の冷却水を流して冷却した。この時、冷却初期20秒間の下金型12の冷却速度を25℃/min、上金型11の冷却速度を50℃/minとなるように冷却媒体の流量を調整した。この場合も前記比較例1と同様に形状の崩れなどの不良が発生した。
【0034】
比較例6
実施例1の金型の冷却工程において、加圧を開始して1分間後に上金型11と下金型12の加熱ヒータ15をオフにして、下金型12の冷却管16に空気を流し、上金型11の冷却管16に20℃の冷却水を流して冷却を行った。この時、冷却初期20秒間の下金型12の冷却速度を25℃/min、上金型11の冷却速度を100℃/minとなるように冷却媒体の流量を調整した。この場合も前記比較例1と同様に形状の崩れなどの不良が発生した。
【0035】
実施例5
実施例1の金型の冷却工程において、加圧を開始して1分間後に上金型11と下金型12の加熱ヒータ15をオフにして、下金型12の冷却管16にのみ20℃の冷却水を流して急速に冷却した。この時、下金型12の微細な凹凸部の温度が100℃になるまでプレス圧力を維持した。その後、下金型12の微細な凹凸部121と上金型11の鏡面111との距離を加圧時の樹脂層21の厚さと同じに維持した状態で金型の位置を保持し、上金型11の鏡面111の温度が100℃になるまで、下金型の冷却管に冷却水を流した場合についても、実施例1と同様の結果を得た。
【0036】
実施例6
前記各実施例において、樹脂層21を形成する際に、Ni製の微細な凹凸部121上に市販のアクリル樹脂シート(厚さ 0.5 mm)を設置した場合についても、前記と同様の結果を得た。
さらに、前記各実施例2〜4の金型の冷却工程において、上金型11および下金型12の加熱ヒータ15をオフにして、上金型11および下金型12もしくは下金型12の冷却管16に冷却水を流した状態で、下金型12の微細な凹凸部121が100℃になるまで前記プレス圧力を維持した後、下金型12の微細な凹凸部121と上金型11の鏡面111との距離を加圧時の樹脂層21の厚さと同じに維持した状態で金型の位置を保持し、上金型11の鏡面111の温度が100℃になるまで、上金型11および下金型12あるいは下金型12の冷却管16に冷却水を流した場合についても、実施例1と同様の結果を得た。
【0037】
上記実施例1〜4および比較例1〜6における金型冷却速度と微細凹凸形状の不良との関係を下記表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
なお、前記特許文献1(特開2002−59440号公報)などに記載の方法、すなわち機械式イジェクタ部によって転写体51を離型する方法では、転写体に転写された微細な凹凸部のエッジ部がめくれたり、角柱部の上面の傾き、角柱の倒れなどが生じ、微細な凹凸部121の形状を忠実に転写することができなかった。
【0040】
前記実験結果の、転写体51の微細な凹凸部のレーザー顕微鏡写真を図9に示す。図9の(a)は、前記特許文献1(特開2002−59440号公報)などに記載の従来法であり、転写体に転写された微細な凹凸部のエッジ部がめくれたり、角柱部の上面の傾き、角柱の倒れがなどが生じていることが分かる。これに対し、図9(b)に示される本発明の方法により調製された転写体51は、微細な凹凸部121の形状が忠実に転写されていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、装置構成が複雑な特殊な金型を必要とせず、表面に微細な凹凸部を有する成形体を、その凹凸形状を良好に維持しながら、金型から迅速に、容易に、かつ確実に離型することのできる成形体の製造方法を提供することができ、数十nmから数百μmの超微細な凹凸形状を表面に有するとともに、三次元、薄肉、かつ大面積の形状を有する、マイクロレンズ・アレイのような電子ディスプレイ用光学部品、マルチモード光導波路のような光情報通信用部品、マイクロ化学チップのようなライフサイエンス部品等の製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に使用できる金型装置の一実施形態の概略断面図である。
【図2】本発明の製造方法の(2)工程を説明するための図である。
【図3】本発明の製造方法の(3)工程を説明するための図である。
【図4】鏡面の温度に対する、ポリスチレン(PS)の付着力(引き剥がし力)の関係を説明するための図である。
【図5】微細な凹凸部に充填された樹脂層の体積収縮およびズリ変形を説明するための、微細な凹凸部と樹脂層の拡大断面図である。
【図6】本発明の製造方法における(5)工程を説明するための図である。
【図7】上金型の鏡面から下金型の微細な凹凸部への熱の流れを説明するための図である。
【図8】金型の位置保持による効果を説明するための図である。
【図9】(a)は、従来法により調製された転写体の微細な凹凸形状のレーザー顕微鏡写真、(b)は、本発明の方法により調製された転写体の微細な凹凸形状のレーザー電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0043】
1 金型装置
11 上金型
111 鏡面
12 下金型
121 微細な凹凸部
13 加力発生器
15 加熱ヒータ
16 冷却管
21 樹脂層
51 転写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(5)工程を順次有することを特徴とする成形体の製造方法。
(1)一方の金型表面が鏡面を有し、他方の金型表面に微細な凹凸部を有する上金型および下金型を準備し、前記鏡面および微細な凹凸部を下記(2)工程で用いる熱可塑性樹脂のガラス転移温度付近あるいはガラス転移温度以上に昇温する工程;
(2)前記微細な凹凸部上に熱可塑性樹脂の樹脂層を設ける工程;
(3)前記上金型および下金型を閉鎖し、両金型間に圧力を加え、前記樹脂層に前記微細な凹凸部の形状を転写し転写体を形成する工程;
(4)前記微細な凹凸部に前記転写体を付着させたまま、前記微細な凹凸部を前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下に急速に冷却し、前記微細な凹凸部と前記転写体との付着力を低減させる工程;および
(5)前記鏡面に転写体を付着させながら、前記上金型および下金型を前記微細な凹凸部の面に対し垂直方向に開放し、前記転写体を前記微細な凹凸部から離型する工程。
【請求項2】
前記(4)工程時、前記微細な凹凸部を50℃/minの以上の冷却速度で、かつ前記鏡面の冷却速度に比べて25℃/min以上速い速度で冷却することを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
【請求項3】
前記(4)工程時、両金型の加熱を停止した後、前記鏡面を有する金型を放冷した状態で、前記微細な凹凸部を有する金型に30℃以下の冷却水を通水して急速に冷却することを特徴とする請求項1または2に記載の成形体の製造方法。
【請求項4】
前記(4)工程時、両金型間の加圧を停止した後、前記微細な凹凸部と前記鏡面との間隔を樹脂層の厚み±5%以内の距離に保持した状態で、前記上金型および下金型を冷却することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形体の製造方法。
【請求項5】
前記微細な凹凸部が、表面に微細な凹凸部を有するスタンパであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−265001(P2008−265001A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106716(P2007−106716)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】